以下、本発明に係る実施形態を収穫機の一例としての普通型コンバインに適用した場合について図面に基づいて説明する。
〔コンバインの基本構成〕
図1および図2に示されるように、普通型コンバインは、左右一対のクローラ走行装置1を備えた走行機体2の前部右側に運転部3が備えられ、刈り取られた作物を脱穀処理する脱穀装置4と、脱穀処理により得られた穀粒を貯留する穀粒貯留部5とが備えられている。穀粒貯留部5は運転部3の後側に位置する状態で備えられ、穀粒貯留部5が機体右側に位置し、脱穀装置4が機体左側に位置する状態で、穀粒貯留部5と脱穀装置4とが機体横幅方向に沿って並んで位置している。また、運転部3よりも下側にエンジン6が備えられ、エンジン6の動力が、コンバインの各部に伝達される。
この実施形態では、機体の前後方向を定義するときは、作業状態における機体進行方向に沿って定義し、機体の左右方向を定義するときは、機体進行方向視で見た状態で左右を定義する。すなわち、図1および図2に符号「F」で示す方向が機体前方向、図1および図2に符号「B」で示す方向が機体後方向である。図2に符号「L」で示す方向が機体左方向、図2に符号「R」で示す方向が機体右方向である。
脱穀装置4の前部に横軸芯周りに上下揺動自在に刈取穀稈搬送用のフィーダ7が連結され、このフィーダ7の前端に略機体横幅に相当する刈幅を有する刈取部8が連結されている。刈取部8は、植立穀稈を後方に向けて掻き込む回転リール9、植立穀稈の株元を切断して刈り取るバリカン型の刈取装置10、刈取穀稈を機体横幅方向中間側へ横送り移送する横送りオーガ11等を備えており、刈取装置10により刈り取った穀稈を横送りオーガ11によって横送りしてフィーダ7に供給する。
運転部3には、運転座席12と、運転座席12よりも前側に位置して操向操作レバー13等の複数の操作具を備えるフロントパネル14と、運転座席12よりも左横側に位置して変速レバー15や脱穀クラッチレバー16等の種々の操作具を備えるサイドパネル17等が備えられている。運転座席12よりも右横側には、図示しないラジエータファンの作用によってエンジン6に対する冷却風を吸気するための防塵ダクト18が備えられている。運転部3には、運転部3に着座する運転者に対する日差しを防ぐ運転部キャノピー19が備えられている。
脱穀装置4の左右両側は側壁によって覆われ、脱穀装置4の上部は天板4Bによって覆われている。そして、図示はしないが、左右の側壁と天板4Bにより囲われた内部空間の上部側に、扱胴と受網(図示せず)とを有し、フィーダ7より搬送されてくる刈取穀稈の扱き処理を行う扱室が形成されている。また、扱室の下部に、受網から漏下する扱き処理物を、穀粒、枝付き籾等の二番物、および、排ワラ屑等に選別する選別処理部が備えられている。
脱穀装置4における穀粒貯留部5側の右側壁4Aの横外側方にスクリューコンベアからなる揚穀装置20が備えられている。選別処理部にて選別された穀粒は、図示しない一番物回収スクリューにより脱穀装置4の穀粒貯留部5側の横側外方に排出され、揚穀装置20へ送り出される。そして穀粒は、揚穀装置20により上方に搬送され、穀粒貯留部5内に貯留される。
穀粒貯留部5は、脱穀処理された穀粒を貯留する貯留空間を有するとともにその貯留空間よりも下側に穀粒を排出可能な排出部として排出口41を有する貯留ホッパー40と、貯留ホッパー40から排出される穀粒を回収する回収空間42と、貯留ホッパー40を支持するホッパー支持フレーム43とが備えられている。
図3乃至図6に示されるように、ホッパー支持フレーム43は、貯留ホッパー40の前後両側端部に対応する位置において、機体フレーム30から立設された複数の支柱44と、複数の支柱44の上端部同士にわたって連結された左右向きの横フレームとしての前側横向きフレーム45Aおよび後側横向きフレーム45Bと、が備えられている。
複数の支柱44のうち、機体前側かつ機体横内側に位置する支柱44は前部縦フレーム44Aであり、機体前側かつ機体横外側に位置する支柱44は第二前部縦フレーム44Bである。また、複数の支柱44のうち、機体後側かつ機体横内側に位置する支柱44は後部縦フレーム44Cであり、機体後側かつ機体横外側に位置する支柱44は第二後部縦フレーム44Dである。貯留ホッパー40およびホッパー支持フレーム43に関する詳細は後述する。
図6に示されるように、揚穀装置20の上部側箇所が、平面視で略L字形の板体からなる前後一対の連結用ステー21により脱穀装置4の右側壁4Aに連結固定されている。一対の連結用ステー21の夫々において、一端部が揚穀装置20の外周部に溶接にて連結され、他端部が、脱穀装置4の右側壁4Aに固定されたブラケット22にボルト連結されている。
選別処理部にて得られた二番物は、二番物回収スクリュー(図示せず)により脱穀装置4の穀粒貯留部5側の横側外方に排出される。そして、図1および図3に示されるように、脱穀装置4における穀粒貯留部5側の横側に備えられた二番物還元装置23によって二番物が脱穀装置4の前側部分に還元される。排ワラ屑等は、脱穀装置4の機体後部側に排出ケース4Cを通して外方に排出される。
エンジン6から排出される燃焼後の排気は、エンジン6よりも左上側に位置するマフラー24を通過したのち、排気管25の管内を流動して機体後部の出口としての排気口26から外方に排出される。マフラー24の排気筒24aは、マフラー24の後部から後方側の斜め上向き姿勢で排気を排出するように設けられている。排気管25の前部管25aは後上がりに傾斜して、エンジン6からの排気が供給される入口としての排気流入口27よりも排気を外部に排出する出口としての排気口26の方が高い位置になる状態で、脱穀装置4と穀粒貯留部5との間を通って機体後部まで延ばされている。
機体フレーム30にフレーム部30Aが備えられ、フレーム部30Aは、後部縦フレーム44Cを支持するとともに脱穀装置4よりも機体後側に突出する。また、脱穀装置4と貯留ホッパー40との間の領域のうち、貯留ホッパー40よりも下側の領域、かつ、排気口26よりも下側の領域に、燃料タンク31が備えられている。燃料タンク31は、後部縦フレーム44Cよりも機体後側に突出する状態かつフレーム部30Aの後端部よりも機体後側に突出しない状態で、フレーム部30Aに支持されている。また、燃料タンク31の給油口31bに隣接する状態で給油台31Aが備えられ、給油台31Aは、給油口31bと横並びに位置する状態で、後部縦フレーム44Cと第二後部縦フレーム44Dとに支持されている。
燃料タンク31は平面視で貯留ホッパー40と部分的に重複する。燃料タンク31は、平面視において前後方向に幅広でかつ左右方向に幅狭の長方形状で、かつ、図4に示すように、機体前後方向視において左右方向に幅狭で上下方向に幅広の長方形状の矩形箱状体に構成されている。つまり、燃料タンク31は、左右方向には幅狭で、かつ、前後方向並びに上下方向に幅広となり、左右方向にコンパクトな形状であり、脱穀装置4と穀粒貯留部5との間の狭い領域に配備できるものでありながら、大きめの燃料貯留容量を確保できる。また、燃料タンク31がフレーム部30Aの後端部よりも機体後側に突出しないため、収穫機の走行時における燃料タンク31が、他の物体と接触しないように、フレーム部30Aによって保護される。
燃料タンク31よりも前側にセパレータ32が配置され、セパレータ32は燃料タンク31からエンジン6への給油経路に設けられ、燃料中に含まれる水分等の不純物がセパレータ32によって分離除去される。図示はしないが、セパレータ32に筒状のドレンタンクが設けられ、ドレンタンクは内部のドレン水を透視可能な透明部材で構成されている。ドレンタンクの外周に沿って目盛りが設けられ、作業者は、ドレンタンクに貯留されたドレン水のたまり度合いを目盛りと共に確認できる。
〔穀粒貯留部〕
図3および図4に示されるように、貯留ホッパー40は、上部側に、略直方体形状の貯留空間を形成する略無底箱状の矩形箱状部40Aが備えられ、下部側に、三つの下狭まり状の漏斗部46,46,46を有する流下案内部40Bが備えられている。矩形箱状部40Aの下端開口部と流下案内部40Bの上端開口部とが接続されて、矩形箱状部40Aの内部と流下案内部40Bの内部とが連なる状態で空間が形成されている。すなわち、矩形箱状部40Aの内部空間と流下案内部40Bの内部空間の全体により穀粒を貯留する貯留空間が形成されている。三つの漏斗部46,46,46の下端部には、穀粒を下方に排出可能な排出口41が形成され、かつ、その排出口41を開閉自在な手動操作式のシャッター機構47が備えられている。
このように構成することで、矩形箱状部40Aと流下案内部40Bとを各別に作製しておき、矩形箱状部40Aの下端開口部と流下案内部40Bの上端開口部とを嵌め合わせてリベット止め等により連結することができ、生産性の向上を図ることができる。
回収空間42には、貯留ホッパー40の排出口41から排出される穀粒を収容するための穀粒収容袋を縦姿勢で保持する袋保持部39が備えられている。袋保持部39は、穀粒収容袋の上部に係止して縦姿勢を保持するために、複数の左右向きの支持杆39aが片持ち状に延びる状態で備えられている。貯留ホッパー40よりも下側に、穀粒を収容するための穀粒収容袋を受止め支持するための載置台33が備えられている。貯留ホッパー40と載置台33との間の作業空間としての回収空間42において、穀粒収容袋が配置され、排出口41から流下する穀粒が袋詰めにされる。
載置台33のうち、脱穀装置4の位置する側の側端部に、仕切板34が設けられ、仕切板34は、貯留ホッパー40よりも下側の回収空間42と、脱穀装置4と貯留ホッパー40との間の空間と、を区画する。仕切板34は、前部縦フレーム44Aの下部と、後部縦フレーム44Cの下部と、に亘って設けられ、仕切板34の長手方向は機体前後方向に沿い、仕切板34の短手方向は機体上下方向に沿う。仕切板34は燃料タンク31およびセパレータ32よりも機体右側、即ち燃料タンク31およびセパレータ32に対して脱穀装置4の位置する側と反対側に設けられている。この構成によって、たとえ穀粒収容袋が脱穀装置4の位置する側に倒れる場合であっても、穀粒収容袋は仕切板34によって受け止められて回収空間42に留まる。
仕切板34のうち、機体横方向でセパレータ32と隣接する箇所に開口部34aが形成されている。開口部34aによって、作業者はセパレータ32のドレンタンクを回収空間42から視認可能となり、セパレータ32のメンテナンス作業が容易になる。
載置台33よりも右側に、穀粒回収作業を行う補助作業者が乗ることができる作業デッキ35が備えられている。この作業デッキ35は、機体内方側(左側)端部の前後揺動軸芯Z周りで揺動自在に機体フレーム30に支持され、機体横外方に張り出した作業姿勢と、機体内方側に引退する格納姿勢とに揺動姿勢変更可能なように構成されている。なお、作業デッキ35の後端部は、後部縦フレーム44Cおよび第二後部縦フレーム44Dよりも機体後側に位置し、作業デッキ35の後部はフレーム部30Aに支持されている。つまり、作業デッキ35の機体前後方向の長さが出来るだけ長く延ばされて、作業者の足元スペースが出来るだけ広くなるように構成されている。
貯留ホッパー40よりも上側に、作業領域の上方側を覆う日除け部材としての補助キャノピー28が備えられている。補助キャノピー28は、作業デッキ35に乗ったまま作業領域内で作業する補助作業者に対する日差しを遮ることができる。
補助キャノピー28は、貯留ホッパー40の上部のうち右側の外側部分に、使用状態と格納状態とにわたり揺動可能に支持されている。説明を加えると、図4に示されるように、補助キャノピー28は、貯留ホッパー40の天板40Cの右上部に取り付けられた一対の支点ブラケット36,36を介して、天板40Cよりも高い位置にある揺動軸芯X周りで揺動可能に支持されている。
〔ホッパー支持フレームについて〕
図3乃至図8に示されるように、前部縦フレーム44Aおよび第二前部縦フレーム44Bは、貯留ホッパー40よりも前下側で左右横並びに配置されている。また、前部縦フレーム44Aおよび後部縦フレーム44Cは、前後方向視で重複するように配置されている。後部縦フレーム44Cおよび第二後部縦フレーム44Dは、貯留ホッパー40よりも後下側で左右横並びとなるようにフレーム部30Aに支持されて、前後方向において脱穀装置4の後端部よりも後方に配置されている。
平面視において、第二後部縦フレーム44Dは第二前部縦フレーム44Bよりも機体横内側に位置する。この構成によって、作業デッキ35の後端部が第二後部縦フレーム44Dよりも機体後側に位置する構成と相俟って、作業者の足元スペースが広く確保されて、作業者の作業性や作業環境が向上する。
前部縦フレーム44Aの上端部と第二前部縦フレーム44Bの上端部とに亘って、機体横方向に沿う前側横向きフレーム45Aが連結されている。前部縦フレーム44Aの上端部は、前側横向きフレーム45Aの下面部に連結され、かつ、第二前部縦フレーム44Bの上端部は、前側横向きフレーム45Aの下面部に連結されている。また、後部縦フレーム44Cの上端部と第二後部縦フレーム44Dの上端部とに亘って、機体横方向に沿う後側横向きフレーム45Bが連結されている。後部縦フレーム44Cの上端部は、後側横向きフレーム45Bの下面部に連結され、かつ、第二後部縦フレーム44Dの上端部は、後側横向きフレーム45Bの下面部に連結されている。後部縦フレーム44Cおよび第二後部縦フレーム44Dが前後方向において脱穀装置4の後端部よりも後方に配置されているため、後側横向きフレーム45Bは、脱穀装置4よりも後方に位置する。
図6に示されるように、前側横向きフレーム45Aのうち、前部縦フレーム44Aよりも脱穀装置4の位置する側は、脱穀装置4の右側壁4Aまで延びる延出部45cである。
この延出部45cの延出端部、即ち脱穀装置4の位置する側の端部に連結ブラケット45dが溶接固定されている。連結ブラケット45dは延出部45cに対してフランジ状に形成され、脱穀装置4の右側壁4Aと当接し、連結ブラケット45dと右側壁4Aとがボルト連結される。連結ブラケット45dのボルト連結箇所は、延出部45cの断面よりも外側に位置し、インパクトレンチ等を用いて作業者が容易にボルト連結できる構成となっている。
前側横向きフレーム45Aは、前部縦フレーム44Aと、第二前部縦フレーム44Bと、脱穀装置4の右側壁4Aと、によって三点支持されている。なお、前側横向きフレーム45Aのうち、脱穀装置4の位置する側と反対側の端部は、第二前部縦フレーム44Bとの連結箇所の近傍に位置し、前側横向きフレーム45Aと第二前部縦フレーム44Bとの連結箇所よりも若干機体横外方へ延出する。
前側横向きフレーム45Aのうち延出部45cにおいて、延出部45cよりも下側に、排気管25の前部管25aが配置されている。前部管25aは、支持ブラケット29を介して延出部45cに支持されている。つまり、排気管25は、前側横向きフレーム45Aのうち、前部縦フレーム44Aよりも脱穀装置4の側に延出された延出部45cよりも下側を通過する状態、かつ、延出部45cに支持された状態で、脱穀装置4と貯留ホッパー40との間を通されている。
後側横向きフレーム45Bのうち、脱穀装置4の位置する側の端部は、後部縦フレーム44Cの近傍に位置する。また、後側横向きフレーム45Bのうち、脱穀装置4の位置する側と反対側の端部は、左右方向において、前側横向きフレーム45Aの機体横外側の端部と同じ左右位置まで延出する。平面視において、第二後部縦フレーム44Dは第二前部縦フレーム44Bよりも機体横内側に位置するため、後側横向きフレーム45Bの機体横外側の端部は、第二後部縦フレーム44Dよりも機体横外側に延出する。
前部縦フレーム44Aのうち前部縦フレーム44Aと前側横向きフレーム45Aとの連結箇所の上面部に、前側ブラケット48Aが溶接固定され、前側ブラケット48Aは、前側横向きフレーム45Aの上面部から後向きに片持ち状に延出されている。また、後部縦フレーム44Cのうち後部縦フレーム44Cと後側横向きフレーム45Bとの連結箇所の上面部に、後側ブラケット48Bが溶接固定され、後側ブラケット48Bは、後側横向きフレーム45Bの上面部から前向きに片持ち状に延出されている。つまり、前側ブラケット48Aおよび後側ブラケット48Bの夫々は、前側横向きフレーム45Aと後側横向きフレーム45Bとの夫々から互いに対向する側に突出する。そして、前後向きフレーム49は、前側ブラケット48Aの上面部と、後側ブラケット48Bの上面部と、に載置支持されている。換言すると、前後向きフレーム49は、前部縦フレーム44Aと前側横向きフレーム45Aとの連結箇所と、後部縦フレーム44Cと後側横向きフレーム45Bとの連結箇所と、を繋いでいる。前部縦フレーム44Aの略真上と、後部縦フレーム44Cの略真上と、に前後向きフレーム49が配置されるため、前後向きフレーム49の支持構造が安定的になる。
図7に、脱穀装置4の位置する側から貯留ホッパー40を見る場合の貯留ホッパー40およびホッパー支持フレーム43が示されている。また、図8に、前後向きフレーム49のうち、連結フレーム50よりも機体後側、かつ、ブラケット38よりも機体前側の箇所から機体前方を見る場合の前後向きフレーム49の背面断面図が示されている。なお、図7において、揚穀装置20は前後向きフレーム49よりも紙面手前側に設けられ、排気管25は揚穀装置20よりも紙面手前側に設けられている。また、図8において、揚穀装置20と排気管25とは、前側横向きフレーム45Aと連結フレーム50との間に設けられている。
図6乃至図8に示されるように、前後向きフレーム49は板状フレームであって、前後向きフレーム49のうち、短手方向において脱穀装置4の位置する側と反対側の箇所に、下方向きに折り曲げられた折り曲げ部49aが前後方向に亘って形成されている。つまり、前後向きフレーム49は前後方向の断面視でL字状に形成されている。これにより、前後向きフレーム49の剛性が折り曲げ部49aによって高められる。前後向きフレーム49のうち、折り曲げ部49aよりも脱穀装置4の位置する側は水平面であって、この水平面の長手方向両端部にボルト挿通孔が形成されている。
前側ブラケット48Aおよび後側ブラケット48Bの夫々にも、前後向きフレーム49のボルト挿通孔と対応するボルト挿通孔が形成され、前側ブラケット48Aおよび後側ブラケット48Bの夫々のボルト挿通孔と、前後向きフレーム49の長手方向両端部のボルト挿通孔と、が係合する状態で、前後向きフレーム49と前側ブラケット48Aとがボルト連結され、前後向きフレーム49と後側ブラケット48Bとがボルト連結される。このように、前後向きフレーム49は、前側横向きフレーム45Aと後側横向きフレーム45Bとの夫々の上面部同士を、前側ブラケット48Aおよび後側ブラケット48Bを介して繋いでいる。
前後向きフレーム49の前後中間部のうち、後部寄りの部分における水平面の下面に、連結フレーム50が溶接固定されている。連結フレーム50は、前後向きフレーム49における水平面の下面に面合わせされた板状のフレームであって、機体横方向に沿って前後向きフレーム49の後部寄り箇所から脱穀装置4の位置する側に向かって延出し、脱穀装置4における右側壁4Aの後部寄り箇所と連結ブラケット56を介して連結する。このことから、連結フレーム50が右側壁4Aに支持された状態で、前後向きフレーム49は、連結フレーム50の上面部に載置支持されている。連結フレーム50の長手方向中間部よりも脱穀装置4の位置する側に傾斜面50aが形成されている。連結フレーム50のうち、傾斜面50aの位置する側の領域は、前後向きフレーム49から離れるほど下方に位置するように傾斜する。また、連結フレーム50のうち、傾斜面50aよりも前後向きフレーム49の位置する側の上面は水平な水平面50bである。
連結ブラケット56と傾斜面50aとは溶接によって連結されている。このことから、連結フレーム50と連結ブラケット56とは一体形成されている。連結ブラケット56は傾斜面50aに対してフランジ状に形成され、連結ブラケット56と右側壁4Aとがボルト連結される。なお、図8において連結ブラケット45dは図示されていないが、連結ブラケット45dは、前後方向視で連結ブラケット56と重複する状態で連結ブラケット56よりも機体前側に位置する。また、連結ブラケット56におけるボルト連結の上下位置も、連結ブラケット45dにおけるボルト連結の上下位置と略重複する。連結ブラケット56のボルト連結箇所は、傾斜面50aの断面よりも外側に位置し、連結ブラケット45dと同様にインパクトレンチ等を用いて作業者が容易にボルト連結できる構成となっている。
前後向きフレーム49が、前側ブラケット48Aの上面部と、連結フレーム50の上面部と、後側ブラケット48Bの上面部と、に載置支持される構成によって、前後向きフレームの上面は面一に形成可能となる。この構成によって、前後向きフレーム49の上面に塵埃が降り掛かっても、風等で塵埃が飛ばされ易くなり、前後向きフレーム49の上面に塵埃が滞留し難くなる。同様に、連結フレーム50の傾斜面50aおよび水平面50bも面一に形成され、連結フレーム50の上面に塵埃が滞留し難くなっている。
図3および図6に示されるように、前側横向きフレーム45Aに前支持部52Aが溶接固定され、後側横向きフレーム45Bに後支持部52Bが溶接固定されている。そして、前支持部52Aおよび後支持部52Bに支持部材51,51の夫々がボルト連結され、貯留ホッパー40は前後一対の支持部材51,51の夫々に載置支持されている。このようにして貯留ホッパー40がホッパー支持フレーム43に支持されている。支持部材51は、板材を折り曲げて形成され、貯留ホッパー40の前後両側端部における傾斜面部分に対して上部位置と上下中間位置の上下両側でボルト連結されている。
図3乃至図6に示されるように、穀粒貯留部5には、作業デッキ35に載置して穀粒回収作業を行う補助作業者を保護するためのガード部60と、穀粒回収作業を行う補助作業者が握り操作可能な手摺53とが備えられている。
手摺53は、丸パイプ材の握り部53Aと、握り部53Aの前後両側に位置する前後一対の連結端部53Bと、を有する。握り部53Aは、貯留ホッパー40の右側外方箇所において前後方向に長く延びる。連結端部53Bは、丸パイプ材を直径方向に押し潰して平板状に形成されており、この平板状に形成された連結端部53Bが、前側横向きフレーム45Aと後側横向きフレーム45Bとの夫々の機体右側端部にボルト連結されている。
上述したように、前側横向きフレーム45Aよりも下側に、排気管25の前部管25aが配置されているため、前部管25aと回収空間42とが近接する。このことから、排気管25の内側に排気が流れる場合、高温の排気に起因して放射熱が排気管25から回収空間42に放射され易くなる。このため、図6および図7に示されるように、排気管25に対して脱穀装置4の位置する側と反対側、即ち前部管25aと回収空間42との間にカバー体54が設けられている。カバー体54は前後方向視でL字状に屈曲する平板で構成され、屈曲箇所よりも上側に水平面54aを有するとともに、屈曲箇所よりも下側に鉛直面54bを有する。図8に示されるように、水平面54aの右端部が前後向きフレーム49の前部にボルト固定され、水平面54aの右端部においてカバー体54は鉛直方向に屈曲する。これにより、カバー体54が前後向きフレーム49の前部に支持される。鉛直面54bと、排気管25の前部管25aと、が横並びで隣接し、排気管25から放射される放射熱が、鉛直面54bに受け止められる。このため、作業デッキ35および回収空間42において穀粒の袋詰め作業を行う作業者が、排気管25から発せられる熱気を感じ難くなり、作業デッキ35および回収空間42における作業性が向上する。
〔ガード部について〕
図2乃至図7に示されるように、ガード部60に、前側アーム部61と、後側アーム部62と、直線状の背もたれ部63と、が備えられている。前側アーム部61の基端部は、前側横向きフレーム45Aの右側端部に揺動可能に支持されて、前側アーム部61は基端部から機体前後方向と直交する方向へ延びる。後側アーム部62の基端部は、後側横向きフレーム45Bの右側端部に揺動可能に支持されて、後側アーム部62は基端部から機体前後方向と直交する方向へ延びる。背もたれ部63の長手方向は機体前後方向に沿って延びている。後側アーム部62と背もたれ部63とは、丸パイプ材を略L字状に折り曲げることによって、一体的なL字形状のL字部材64に構成されている。背もたれ部63に、筒状のクッション部材65が装着されている。クッション部材65は、例えばウレタン等の柔軟材で構成されている。前側アーム部61は角形パイプによって構成されている。
ガード部60は複数の分割体を連結することで構成されている。本実施形態では、後側アーム部62と背もたれ部63とが一体形成されたL字部材64と、前側アーム部61と、が分割体として構成され、分割境界が背もたれ部63の前部に位置する。ガード部60が分割された状態で、背もたれ部63に筒状のクッション部材65が外嵌されることによって、クッション部材65は背もたれ部63に対して容易に装着可能となる。
複数の分割体の具体的な連結構造を説明する。背もたれ部63の前部にピン孔63aが形成され、前側アーム部61の遊端部に挿通孔61aが形成されている。丸パイプ材である背もたれ部63が挿通可能な大きさとなるように、挿通孔61aは形成されている。背もたれ部63の前部が挿通孔61aに差し込まれ、ピン孔63aが前側アーム部61よりも前側に位置する状態で、ピン孔63aにピンが挿通されてピン留めされる。これにより、背もたれ部63は挿通孔61aに対して抜けないように位置保持される。換言すると、前側アーム部61の遊端部と背もたれ部63の前部とが嵌合するように、前側アーム部61と背もたれ部63とが連結されている。ピン孔63aにピン留めされたピンを取外すことによって、前側アーム部61と背もたれ部63との連結が解除される。
図4に示されるように、ガード部60は、使用状態と格納状態とに亘って上下揺動可能なように構成されている。ガード部60の使用状態とは、背もたれ部63が貯留ホッパー40よりも機体横外側へ張り出して作業者の身体を受け止め可能な状態である(図4では実線で示す)。ガード部60の格納状態とは、背もたれ部63が機体横内側へ引退して貯留ホッパー40の天板40Cに接近する状態である(図4では仮想線で示し、図7では実線で示す)。
前側横向きフレーム45Aの右側端部に係止部55Aが溶接固定され、後側横向きフレーム45Bの右側端部に係止部55Bが溶接固定されている。係止部55Aは前側アーム部61の下側揺動を制限し、係止部55Aと前側アーム部61とが当接すると、前側アーム部61の揺動角度は揺動下限となる。また、係止部55Bは後側アーム部62の下側揺動を制限し、係止部55Bと後側アーム部62とが当接すると、後側アーム部62の揺動角度は揺動下限となる。係止部55Aおよび係止部55Bの夫々は、機体横外側ほど下方向に位置するように傾斜する。
ガード部60が使用状態である場合、前側アーム部61および後側アーム部62は機体横外方の箇所ほど下方に位置するように傾斜し、かつ、背もたれ部63が作業デッキ35の外側端部よりも機体横外側へ突出する。つまり、ガード部60が使用状態である場合、背もたれ部63は、前側アーム部61および後側アーム部62の夫々の揺動支点Yよりも下側に位置するとともに、作業デッキ35の外側端部よりも機体横外側、即ち、貯留ホッパー40に向き合う作業者の背中側に位置する。
〔保持機構について〕
ガード部60が格納状態である場合、前側アーム部61および後側アーム部62の夫々は、機体前後方向視で揺動支点Yよりも機体内側へ傾斜し、背もたれ部63は、前側アーム部61および後側アーム部62の夫々の揺動支点Yよりも機体内側に位置する。この状態で、背もたれ部63は、貯留ホッパー40に近接し、保持機構70(図3参照)によって位置保持されている。このように、使用状態と格納状態とは、ガード部60の揺動支点Yの直上方位置を跨ぐ両側位置に設定されている。このため、ガード部60の自重だけでガード部60が使用状態または格納状態に位置保持される構成が可能となり、不意にガード部60の状態が使用状態または格納状態に切り換わる虞が低減される。
図3に示されるように、貯留ホッパー40の天板40Cの上部に取り付けられた一対の支点ブラケット36,36のうち、機体前側の支点ブラケット36に、保持機構70がボルト固定によって取り付けられている。つまり、貯留ホッパー40に、格納状態における背もたれ部63を保持する保持機構70が、支点ブラケット36を介して取り付けられている。保持機構70は、例えば平板のプレス成型によって、前後方向視でC字状となるように形成されている。保持機構70の機体左側端部に位置する支持基端部71が支点ブラケット36にボルト固定されている。保持機構70の支持基端部71から、機体上側の上収容部72と、機体下側の下収容部73と、が夫々延出する。支持基端部71から前方に反発部75が延出する。
図9および図10に示されるように、保持機構70の機体右側端部、即ち、上収容部72の延出先端部と、下収容部73の延出先端部と、の夫々に、上下一対の入口部74,74が形成されている。入口部74,74の夫々の離間距離D1は、背もたれ部63の断面直径D2よりも小さくなるように、入口部74,74の夫々は形成されている。つまり、入口部74,74は、背もたれ部63の断面形状よりも小さく設定される。また、上収容部72の上端部と、下収容部73の下端部と、の離間距離が、背もたれ部63の断面直径D2と略同じ、または、断面直径D2よりも大きくなるように、上収容部72および下収容部73は形成されている。このように、支持基端部71と、上収容部72と、下収容部73と、上下一対の入口部74,74と、によって、背もたれ部63の一部を受け入れて収容可能な収容部76が形成され、この収容部76によって囲まれた内側の空間が収容空間Sとなる。
作業者がガード部60を上側に揺動し、ガード部60が作業状態から格納状態に切換えられる場合、背もたれ部63が保持機構70の入口部74,74と当接する。この状態から、背もたれ部63が脱穀装置4の位置する側に押圧されると、上収容部72および下収容部73が弾性変形して、入口部74,74が上下外側に押し広げられる。これにより、収容部76に対する背もたれ部63の出入りが許容される。つまり、背もたれ部63が、入口部74,74を越えて収容空間Sに入り込む。そして、背もたれ部63が収容空間Sに入った状態で、入口部74,74の上下位置が,上収容部72および下収容部73の復元力によって元に戻る。つまり、入口部74,74の夫々の離間距離D1は、背もたれ部63の断面直径D2よりも小さいため、収容空間Sの内側に位置する背もたれ部63が作業状態の側に揺動しても、背もたれ部63と入口部74,74とが当接して、その位置から作業状態の側への揺動が規制される。このため、背もたれ部63が入口部74,74を越えて揺動するためには、作業者が背もたれ部63を作業状態の側へ引っ張る必要があり、作業者が背もたれ部63を作業状態側へ揺動操作しなければ、背もたれ部63が収容空間Sの内側に位置保持される。このように、保持機構70は、背もたれ部63のうち延び方向の前側に位置する前端部側部分を位置保持可能に構成されている。
反発部75は、前後方向において支持基端部71の位置する側と反対側の箇所に、機体右方に突起する突起部75aを有する。背もたれ部63の一部が収容空間Sの内側に入り込むと、突起部75aと背もたれ部63とが当接する。この状態で、上収容部72および下収容部73の復元力が背もたれ部63を介して突起部75aに伝達し、突起部75aは、反発部75の弾性変形を伴って機体左方へ変位する。このことから、背もたれ部63の収納箇所は、反発部75の付勢力によって入口部74,74に押し付けられる。換言すると、収容空間Sの内側に位置する背もたれ部63は、上下一対の入口部74,74と、突起部75aと、によって三点で押し付けられる。これにより、ガード部60が格納状態である場合に、背もたれ部63の収納箇所は、収容空間Sの内側でガタつくことなく、収容部76の内部に収容された状態に維持される。
〔照明装置の配置について〕
図4および図6に示されるように、回収空間42を照らす照明装置37が、前後向きフレーム49の後部に支持されている。前後向きフレーム49の後部に、断面L字状のアングル部材によって構成されるブラケット38がボルト連結され、ブラケット38は、上下位置を保持しながら、前後向きフレーム49との連結箇所から機体右後方へ延出する。ブラケット38の延出先端部に照明装置37がボルト連結され、照明装置37は、脱穀装置4と貯留ホッパー40との間の空間のうち、後部縦フレーム44Cと後側横向きフレーム45Bとの連結箇所に隣接して配置されている。照明装置37の照射方向は、貯留ホッパー40よりも下側の空間、即ち回収空間42の全体を照射可能な方向に向けられている。照明装置37の光源として、発光ダイオードが用いられているが、HID(High−Intensity Discharge)ランプやキセノンランプ等であっても良い。
この構成であれば、照明装置37が貯留ホッパー40の後部における機体内側の隅角部の近傍に配置されるため、照明装置37の照射範囲が狭い場合であっても、照明装置37は回収空間42うちの広い範囲を照射できる。また、照明装置37が脱穀装置4と貯留ホッパー40との間に位置するため、照明装置37は貯留ホッパー40に邪魔されることなく回収空間42を照らすことができる。
〔貯留ホッパーにおける穀粒の案内構造〕
図11及び図12に示されているように、揚穀装置20の上端部は貯留ホッパー40と連通接続されている。揚穀装置20に、縦送りスクリュー80と、平板状の回転羽根81と、回転羽根81の周囲を覆う吐出ケース82と、が備えられている。縦送りスクリュー80は脱穀装置4の底部から穀粒を垂直に搬送する。縦送りスクリュー80の搬送方向終端部に、回転羽根81が連結され、回転羽根81は縦送りスクリュー80と一体的に軸芯P回りに回転する。吐出ケース82のうち、貯留ホッパー40と対向する個所に、吐出口82aが形成されている。回転羽根81の軸芯方向において、吐出口82aの上下高さは、回転羽根81の上下高さよりも大きく設定されている。吐出ケース82のうち、軸芯Pよりも前側の内壁82bは平面視で略機体横方向に沿っており、吐出ケース82のうち、軸芯Pよりも後側の内壁82cは機体横方向に対して後向きに傾斜する。回転羽根81は矢印Rで示された方向に回転し、吐出ケース82に送り出された穀粒は、回転羽根81によって吐出口82aから貯留ホッパー40の内部へ押し出される。
本実施形態における揚穀装置20は、貯留ホッパー40の前部寄りに設けられている。このため、単に穀粒が吐出口82aから貯留ホッパー40の内部へ押し出される構成であると、三つの下狭まり状の漏斗部46,46,46のうち、前側二箇所の漏斗部46,46に穀粒が偏って貯留され、貯留ホッパー40の後部における漏斗部46に穀粒が貯留され難くなる虞がある。このような不都合を回避するため、吐出口82aの前端部に投擲案内板83が片持状に連結されている。
投擲案内板83は、平板状に形成されており、回転羽根81の先端が投擲案内板83に最も接近する状態において、投擲案内板83は回転羽根81の接線方向に沿って右後方、即ち平面視において貯留ホッパー40における後部の左右中央寄りに向かって傾斜する。投擲案内板83の上下幅は、吐出口82aの上下幅の下側半分に亘っている。これにより、吐出口82aから吐出される穀粒のうち、下側半分の穀粒は投擲案内板83に押し当てられて貯留ホッパー40の後部へ跳ね飛ばされる。また、吐出口82aから吐出される穀粒のうち、上側半分の穀粒は、吐出ケース82における前側の内壁82bに沿って貯留ホッパー40の前部寄りに押し出される。
このように、吐出口82aから吐出される穀粒が投擲案内板83に押し当てられて貯留ホッパー40の後部へ跳ね飛ばされる構成によって、穀粒が貯留ホッパー40の後部における漏斗部46に穀粒が貯留され易くなる。これにより、貯留ホッパー40における三つの漏斗部46,46,46に対して穀粒がバランスよく貯留され、貯留ホッパー40の貯留効率が向上する。
なお、投擲案内板83の上下幅は、吐出口82aの上下幅の下側半分に亘っているが、投擲案内板83の上下幅は適宜変更可能である。また、吐出口82aにおいて投擲案内板83よりも上側に、投擲案内板83とは別の方向に傾斜した案内板が別途設けられる構成であっても良い。この場合、当該案内板の吐出口82aからの延出長さが、投擲案内板83と同一であっても良いし、投擲案内板83と異なっていても良い。
図11及び図12に示された構成の他に、図13及び図14に示されるような流下案内板84が、貯留ホッパー40における矩形箱状部40Aに設けられる構成も可能である。なお、図13及び図14において投擲案内板83が示されているが、投擲案内板83が設けられない構成であっても良い。流下案内板84は、五つの角部C1,C2,C3,C4,C5,C6を有する不等辺六角形の平板として形成されている。流下案内板84の前端部は、角部C1と角部C2とに亘って機体横方向に沿う辺E1の箇所であって、側面視で吐出口82aの前端部と略同じ箇所に位置する。流下案内板84の後端部は、角部C4と角部C5とに亘って機体横方向に沿う辺E4の箇所であって、側面視で前後中央の漏斗部46よりも後側に位置する。流下案内板84の上下位置は、辺E4に接近する箇所ほど下方に位置するように傾斜する。このため、吐出口82aから吐出された穀粒が、漏斗部46によって最後端の漏斗部46の位置する側に案内される。
流下案内板84のうち、角部C1と角部C6とに亘って辺E6が形成され、辺E6が矩形箱状部40Aの機体左側壁部に連結固定されている。また、流下案内板84のうち、角部C3の位置する箇所が貯留ホッパー40の機体右側壁部に連結固定されている。辺E1は、最前端の漏斗部46の真上に位置し、機体横方向に沿って形成されている。最前端の漏斗部46の真上に角部C2が位置し、辺E2は、後側に位置する箇所ほど矩形箱状部40Aの機体右側壁部に接近するように傾斜する。
角部C4および角部C5は貯留ホッパー40における左右中央寄りに位置する。角部C3と角部C4とに亘る辺E3は、平面視で角部C4に接近するほど貯留ホッパー40の左右中央寄りに位置するように傾斜する。また、角部C5と角部C6とに亘る辺E5は、平面視で角部C5に接近するほど貯留ホッパー40の左右中央寄りに位置するように傾斜する。このことから、角部C3よりも後側における流下案内板84の左右幅は、辺E4に接近する箇所ほど狭く形成されている。
吐出口82aから吐出されて流下案内板84に載せられた穀粒のうち、辺E1から落下する穀粒の多くは最前端の漏斗部46に貯留され、辺E2から落下する穀粒は前側二つの漏斗部46の何れかに貯留される。辺E1または辺E2から落下せずに流下案内板84に残った穀粒は、最後端の漏斗部46に案内されつつも、辺E3および辺E4からも落下し得る。辺E3および辺E5から落下する穀粒の多くは前後中央の漏斗部46に貯留されるが、辺E4から落下する穀粒の多くは最後端の漏斗部46に貯留される。このように、吐出口82aから吐出された穀粒の多くが、流下案内板84によって最後端の漏斗部46に案内されるため、三つの漏斗部46,46,46に対して穀粒がバランスよく貯留され、貯留ホッパー40の貯留効率が向上する。
図14に示される流下案内板84は、前後方向のみに傾斜して左右方向に傾斜しない構成となっているが、前後方向だけでなく左右方向に傾斜する構成であっても良い。つまり、流下案内板84は、左右何れかに位置する箇所ほど下方に位置するように傾斜する構成であっても良い。また、流下案内板84は平板状に形成されているが、流下案内板84における左右中央側の箇所の上下位置が、左右外側の箇所の上下位置よりも下側に湾曲しても良い。この湾曲構成によって、流下案内板84に載せられた穀粒の多くが、辺E4に案内されて角部C4の近傍から落下し易くなる。
〔別実施形態〕
本発明は、上記の実施形態に例示された構成に限定されるものではなく、以下、本発明の代表的な別実施形態を例示する。なお、以下において、前側アーム部61または後側アーム部62の一方を示す場合を「一方側アーム部」と称し、前側アーム部61または後側アーム部62の他方を示す場合を「他方側アーム部」と称する。
(1)上述した実施形態において、穀粒貯留部5が機体右側部に設けられ、ガード部60は貯留ホッパー40よりも機体右側に突出する構成となっているが、上述した実施形態に限定されない。例えば、穀粒貯留部5が機体後部に設けられ、かつ、作業デッキ35が貯留ホッパー40よりも機体後側に設けられ、ガード部60は貯留ホッパー40よりも機体後側に突出する構成であっても良い。つまり、ガード部60に、直線状の背もたれ部63と、一方側アーム部と、他方側アーム部と、が備えられ、背もたれ部63は使用状態のときに貯留ホッパー40に向き合う作業者の背中側に位置し、かつ、一方側アーム部は、背もたれ部63のうち背もたれ部63の延び方向での一端部からホッパー支持フレーム43における一端側部分に向けて延ばされて一端側部分に揺動可能に支持され、かつ、他方側アーム部は、背もたれ部63のうち延び方向での他端部からホッパー支持フレーム43の他端側部分に向けて延ばされて他端側部分に揺動可能に支持される構成であれば良い。
(2)上述した実施形態において、後側アーム部62と背もたれ部63とが一体形成されたL字部材64と、前側アーム部61と、が分割体として構成されているが、上述した実施形態に限定されない。例えば、前側アーム部61と背もたれ部63とがL字状部材として一体形成されていても良い。つまり、一方側アーム部と背もたれ部63とが一体的なL字形状のL字部材に構成されていても良い。この状態で、分割境界が背もたれ部63の後部に位置する構成となって、背もたれ部63の後部と後側アーム部62とが連結可能な構成であっても良い。即ち、複数の分割体として、他方側アーム部と、背もたれ部63と一方側アーム部とで構成されたL字部材と、が備えられ、他方側アーム部と当該L字部材とは、他方側アーム部の遊端部に当該L字部材を差し込んで位置保持することで連結される構成であっても良い。また、複数の分割体として、一方側アーム部と、背もたれ部63と他方側アーム部とで構成されたL字部材と、が備えられ、一方側アーム部と当該L字部材とは、一方側アーム部の遊端部に当該L字部材を差し込んで位置保持することで連結される構成であっても良い。
更に、図15に示されるように、後側アーム部62と背もたれ部63とが別体として構成されていても良く、例えば、複数の分割体として、一方側アーム部と、他方側アーム部と、背もたれ部63と、が備えられても良い。そして、背もたれ部63の一端部を一方側アーム部の遊端部に差し込むとともに、背もたれ部63の他端部を他方側アーム部の遊端部に差し込むことによって、背もたれ部63が一方側アーム部および他方側アーム部と連結される構成であっても良い。
(3)上述した実施形態において、分割境界が背もたれ部63の前部に位置する構成となっているが、上述した実施形態に限定されない。例えば、図16乃至図18に示されるように、分割境界が背もたれ部63の前後中央部に位置する構成であっても良い。この場合、背もたれ部63は、前側アーム部61の位置する側の前側背もたれ部63Aと、後側アーム部62の位置する側の後側背もたれ部63Bと、で構成されている。前側アーム部61と前側背もたれ部63Aとによって一体的な前側L字状部材64Bが形成され、後側アーム部62と後側背もたれ部63Bとによって一体的な後側L字状部材64Cが形成されている。そして、前側L字状部材64Bの後端部と後側L字状部材64Cの前端部とが対向する状態で連結される構成であっても良い。前側背もたれ部63Aと後側背もたれ部63Bとの間に中間部材63Cが介在しているが、中間部材63Cは、図16に示されるようなピン止め構成であっても良いし、図17に示されるような絞り部分が嵌合される構成であっても良いし、図18に示されるようなネジ止め構成であっても良い。また、前側背もたれ部63Aと後側背もたれ部63Bとが中間部材63Cを介さずに直接連結される構成であっても良い。このとき、前側L字状部材64Bが一方側L字部材であって、後側L字状部材64Cが他方側L字部材であっても良いし、前側L字状部材64Bが他方側L字部材であって、後側L字状部材64Cが一方側L字部材であっても良い。つまり、複数の分割体として、一方側L字部材と他方側L字部材と、が備えられ、一方側L字部材と他方側L字部材とは、前側背もたれ部63Aまたは後側背もたれ部63Bの一方側(一方側部分)の遊端部と、前側背もたれ部63Aまたは後側背もたれ部63Bの他方側(他方側部分)の遊端部と、を対向する状態に位置保持することで連結される構成であっても良い。
(4)上述した実施形態において、背もたれ部63が保持機構70によって位置保持されることによって、ガード部60が格納状態に位置保持される構成となっているが、上述した実施形態に限定されない。例えば、図19に示されるように、後側横向きフレーム45Bの右側端部、即ち後側アーム部62の揺動支点Yの近傍に、後側アーム部62を後側横向きフレーム45Bに連結固定可能なロック装置90が備えられる構成であっても良い。ロック装置90にロックピン91が備えられている。ガード部60が格納状態の場合において、ロックピン91が後側アーム部62の揺動範囲に進入することによって、ロックピン91と後側横向きフレーム45Bとが当接し、後側横向きフレーム45Bの下降揺動が制限される。この構成によっても、ガード部60が格納状態に位置保持される。また、保持機構70とロック装置90との何れかが設けられる構成であっても良いし、保持機構70とロック装置90との両方が設けられる構成であっても良い。つまり、保持機構70は、背もたれ部63のうち延び方向の一方側に位置する端部側部分を位置保持可能に構成され、一方側アーム部及び他方側アーム部のうち延び方向の他方側に位置するものを、ホッパー支持フレーム43に連結固定可能なロック装置90が備えられる構成であっても良い。
また、ロック装置90に代えて、前側アーム部61および後側アーム部62の少なくとも何れかの揺動支点Yに、ガード部60を使用状態と格納状態との何れかに揺動するように付勢するスプリング機構が備えられる構成であっても良い。この場合、使用状態と格納状態とに亘る揺動範囲の途中に死点が設けられ、この死点を越えると、使用状態から格納状態の方向、または、格納状態から使用状態の方向へ付勢方向が切換えられる構成であっても良い。
(5)上述した実施形態において、保持機構70は、一対の支点ブラケット36,36のうち、機体前側の支点ブラケット36に取り付けられているが、機体後側の支点ブラケット36に取り付けられる構成であっても良い。
(6)上述した実施形態において、ガード部60が分割された状態で、背もたれ部63に筒状のクッション部材65が外嵌される構成となっているが、上述した実施形態に限定されない。例えば、クッション部材65が背もたれ部63の外周に沿って巻き付けられ、クッション部材65が面ファスナーによって背もたれ部63に巻き付け固定される構成であっても良い。また、筒状のクッション部材65の外周一端に、クッション部材65の中空内周と連通するスリットが軸芯方向に沿って形成され、このスリットを介してクッション部材65が背もたれ部63に外嵌され、このスリットの外周側が面ファスナーで閉じられる構成であっても良い。つまり、クッション部材65は、ガード部60を包み込むようにガード部60に取り付けられる構成であれば良い。