JP6982320B2 - 黒鉛/グラフェン複合材、集熱体、伝熱体、放熱体および放熱システム - Google Patents
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Description
[1]扁平状の黒鉛粒子とグラフェン集合体とを含んでなる黒鉛/グラフェン複合材であって、扁平状の黒鉛粒子は、そのベーサル面が折り重なるように、グラフェン集合体をバインダーとして積層されており、グラフェン集合体は単層または多層のグラフェンが堆積したものである黒鉛/グラフェン複合材、
[2]扁平状の黒鉛粒子の、平均粒径が10〜1000μm、好ましくは50〜800μm、好ましくは100〜400μm、好ましくは200〜400μmであり、厚さが1〜50μm、好ましくは1〜20μmである、上記[1]記載の黒鉛/グラフェン複合材、
[3]グラフェン集合体の、平均径が1〜1000μm、好ましくは1〜850μm、より好ましくは1〜710μm、さらに好ましくは1〜500μmであり、厚さが50μm未満、好ましくは20μm未満である、上記[1]または[2]記載の黒鉛/グラフェン複合材、
[4]扁平状の黒鉛粒子とグラフェン集合体の合計質量に対する扁平状の黒鉛粒子の質量比が1〜99質量%、好ましくは20〜95質量%、好ましくは40〜90質量%である、上記[1]〜[3]のいずれか1項に記載の黒鉛/グラフェン複合材、
[5]X線回折における004回折線の半価幅(2θ)が0.3°未満、好ましくは0.25°未満である上記[1]〜[4]のいずれか1項に記載の黒鉛/グラフェン複合材、
[6]嵩密度が1.9g/cm3以上、好ましくは2.1g/cm3以上である、上記[1]〜[5]のいずれか1項に記載の黒鉛/グラフェン複合材、
[7]扁平状の黒鉛粒子が積層した方向の厚さが100μm以上、好ましくは1mm以上、より好ましくは10mm以上である、上記[1]〜[6]のいずれか1項に記載の黒鉛/グラフェン複合材、
[8]上記[1]〜[7]のいずれか1項に記載の黒鉛/グラフェン複合材の外表面の全部または一部に、コーティング層を付与した黒鉛/グラフェン複合材、
[9]上記[1]〜[8]のいずれか1項に記載の黒鉛/グラフェン複合材を含んでなる集熱体、
[10]上記[7]記載の黒鉛/グラフェン複合材を含んでなる集熱体であって、
複数の柱状の該黒鉛/グラフェン複合材が柔軟性材料に埋め込まれた構造である集熱体、
[11]上記[1]〜[8]のいずれか1項に記載の黒鉛/グラフェン複合材を含んでなる伝熱体、
[12]上記[1]〜[8]のいずれか1項に記載の黒鉛/グラフェン複合材を含んでなる放熱体、
[13]扁平状の黒鉛粒子の黒鉛積層方向の、他の方向に比べて相対的に低い熱伝導性を補うため、黒鉛/グラフェン複合材料が黒鉛/グラフェン複合材と金属との組合せからなるものである、上記[12]記載の放熱体、
[14]発熱体から熱を吸収する集熱体、集熱体から放熱体に熱を伝える伝熱体および伝熱体から受け取った熱を発散する放熱体を含んでなる放熱システムであって、
集熱体、伝熱体および放熱体の少なくとも一つに、上記[1]〜[8]のいずれか1項に記載の黒鉛/グラフェン複合材を用いてなる放熱システム、
[15]上記[1]〜[7]のいずれか1項に記載の黒鉛/グラフェン複合材の製造方法であって、
(1)扁平状の黒鉛粒子とグラフェン集合体とを混合する工程、
(2)該混合物を金型に充填して、扁平状の黒鉛粒子を、そのベーサル面が折り重なるように、グラフェン集合体をバインダーとして積層する工程、および、
(3)該積層体を、扁平状の黒鉛粒子の積層方向が断面として現れるように切り出し加工する工程を含んでなる、黒鉛/グラフェン複合材の製造方法、
に関する。
黒鉛粒子は、天然黒鉛および人造黒鉛のいずれであってもよいが、その形態は扁平状であって、ベーサル面とエッジ面を有するものである。ここに、ベーサル面とは、炭素六角網面が積み重なって形成されている黒鉛結晶において、当該炭素六角網面が現れる面であり、エッジ面とは、炭素六角網面の端部が現れる面である。このような黒鉛粒子としては、鱗片状黒鉛、鱗状黒鉛、土状黒鉛、薄片状黒鉛、キッシュグラファイト、熱分解黒鉛、高配向性熱分解黒鉛(HOPG)などを使用することができる。
グラフェン集合体とは、単層または多層のグラフェンが堆積して形成されたグラフェンの集合体をいう。本明細書において、「グラフェン」は、単層のもののみならず、このように多層のものも含む意味で使用する場合がある。この場合において、多層とは、ファンデルワールス力による接着性という性質が維持できるものである限り特に限定されないが、通常、100層以下であることが好ましく、より好ましくは50層以下、さらに好ましくは10層以下である。
黒鉛/グラフェン複合材とは、扁平状の黒鉛粒子が、そのベーサル面が折り重なるように、グラフェン集合体をバインダーとして積層したものである。このように黒鉛粒子とグラフェン集合体が積層する様子は、図2に示されている。ここで、グラフェン集合体は、その強いファンデルワールス力により、黒鉛粒子同士を接着するバインダーの役割をはたしている。また、グラフェン集合体がバインダーとして機能することで、黒鉛/グラフェン複合材の曲げ強度が増加するという効果も得られる。
黒鉛/グラフェン複合材は、扁平状の黒鉛粒子とグラフェン集合体を混合したのち、これを成形することにより製造することができる。
混合の方法は特に限定されず常法に従い実施することができ、例えば、黒鉛粒子とグラフェン集合体を所定の配合比で配合した後、ボールミルなどを用いて混合することにより、実施することができる。また、グラフェン集合体の製造過程においてアルコールなどの溶媒中にグラフェンが分散している状態で、黒鉛粒子を添加、混合し、次いで溶媒を分離する方法で製造することもできる。
こうして得た混合物の成形は、目的物として得る複合材の形状に応じた金型を用いて、これに混合物を充填し、所望により荷重をかけることにより実施することができる。このような操作により、上述した扁平状の黒鉛粒子がグラフェン集合体をバインダーとして積層した成形体(積層体)が得られる。この場合において、当該金型は真空吸入機構を備えるものであることが好ましく、さらに荷重成形時に熱をかけてホットプレスできるよう、加熱機構を備えたものであることが好ましい。成形法としては、圧縮成形、インフレーション成形、エンゲル成形、押出成形、押出ラミネート成形、回転成形、カレンダー成形、射出成形、真空成形、スタンピング成形、スプレーアップ法、スラッシュ成形、積層成形、注形法、注入成形、手積み成形、低圧成形、トランスファー成形、発泡成形、ハンドレイアップ法、フィラメントワインディング法、ブロー成形、粉末成形、マッチドダイ成形、SMC法(シート・モールディング・コンパウンド)、Tダイ法などの各種の成形法を適用することができる。
こうして得た黒鉛/グラフェン複合材は、黒鉛結晶の面内方向の優れた熱伝導性を維持しつつ、大量の熱を速やかに伝導させる際に熱源と接触させる面として有利なエッジ面を広く大きくできるので、集熱体、伝熱体、放熱体等の熱伝導体の材料として極めて有用である。
黒鉛/グラフェン複合材の集熱体への適用としては、例えば、その広く大きな黒鉛のエッジ面を熱源と接触させるように配置することで、ベーサル面を接触させるのに比して、熱源から効率よく熱を吸収することが可能な集熱体とすることができる。また、適度な柔軟性を付加させることにより、発熱体の表面の凹凸に集熱体の表面が追随し、その接触面積が増大し、空隙の減少により伝熱性能を高めることもできる。柔軟性を付加させるために使用することができる柔軟性材料としては、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、スチレン・ブタジエンゴム、クロロプレンゴム、ニトリルゴム、ポリイソブチレンゴム、エチレンプロピレンゴム、クロロスルホン化ポリエチレンゴム、アクリルゴム、フッ素ゴム、エピクロルヒドリンゴム、ウレタンゴム、シリコーンゴム、テフロンゴム等のゴム材料が挙げられ、これらを単独または組み合わせて好適に使用することができる。またゴム材料中に、グラフェン集合体、金属粒子、金属繊維、炭素繊維、アルミナ、窒化アルミ、炭化ケイ素、酸化亜鉛などの熱伝導性フィラーを添加して、柔軟材料部の熱伝導度を高めることもできる。
黒鉛/グラフェン複合材の伝熱体への適用としては、例えば、黒鉛の積層方向への熱伝達性の悪さを補うべく、熱伝導性のよい金属(例えば、アルミ、銅、マグネシウム、金、銀、ステンレス、鉄鋼、すず、はんだなど)との組合せ材料とすることができる。一例としては、金属を本複合材に埋め込むことで、当該金属によって積層方向への熱伝達の悪さをカバーし、かつ、黒鉛結晶の面内方向への優れた熱伝導性を活用した伝熱体とすることができる。このように本複合材に埋め込まれた金属を金属製のコアという。同様の金属埋め込み型本複合材は、放熱体(または、ヒートシンク)としても活用される。すなわち、金属が積層方向への熱伝達の悪さをカバーすることで、黒鉛結晶の面内方向および積層方向のいずれの方向への熱伝達性にも優れた放熱体(または、ヒートシンク)とすることができる。また、逆に本複合材を金属に埋め込むこともできる。なお、金属の形状は柱状、球状、繊維状、粒子状など必要に応じて選択することが可能である。また、金属は黒鉛/グラフェン複合材の強度を補強する構造とすれば黒鉛/グラフェン複合材の補強にも役立つ。
さらに、上記の如き本黒鉛/グラフェン複合材を用いた集熱体、伝熱体および放熱体のうちの少なくとも一つを用いることで、これまでにない放熱性に優れた放熱システムとすることができる。ここで、放熱システムとは、発熱体からの熱を、伝導、空間への放射、気体や液体による対流等によって奪うものであればいずれも該当し、例えば、冷却システムなども含む意味である。つまり、本質的には熱を移動させることを目的としており、冷却素子などと組み合わせて、目的の部位を冷却する冷却システムであってもよい。
黒鉛/グラフェン複合材は、目的に応じて、その外表面の全部または一部に、コーティング層が付与されてもよい。このようなコーティング層としては、例えば、絶縁膜、耐衝撃膜などが挙げられる。
放熱システムを必要とする電子素子、デバイス、IT機器では、使用する部位により、電気回路の短絡を防ぐための絶縁処理が必要な場合がある。このような場合には、黒鉛/グラフェン複合材の表面や、該黒鉛/グラフェン複合材を用いて構成した集熱体、伝熱体、放熱体などの表面に、絶縁膜(絶縁性のコーティング層)を付与することができる。絶縁膜は、この分野で使用される一般的な樹脂、セラミックス、ガラスなどから選択される1種以上を含んでなるものとすることができる。例えば、それぞれを単独で用いることもできるし、あるいは、樹脂にセラミックスやガラスなどを配合して用いてもよいし、あるいは、樹脂によるコーティング層とセラミックスによるコーティング層を積層してもよい。この場合において、絶縁膜は、黒鉛/グラフェン複合材の外表面の全部または一部に付与することができ、例えば、発熱体と接触する部分にマスク処理を施し、発熱部と接触する部分以外の表面に付与することもできる。また、絶縁性を維持しつつ、放熱性能を高めるために、放射率の高い黒色のカーボンブラックなどを添加してもよい。
自動車積載の電子部品などでは、部品、部材に対して十分な耐衝撃性が要求されることが一般的である。このようなケースでは、黒鉛/グラフェン複合材の表面や、該黒鉛/グラフェン複合材を用いて構成した集熱体、伝熱体、放熱体などの表面に、この分野で使用される一般的な樹脂を用いて耐衝撃膜(耐衝撃性のコーティング層)を付与することができる。耐衝撃膜は、この分野で使用される一般的な樹脂、セラミックス、ガラスおよび金属などから選択される1種以上を含んでなるものとすることができる。例えば、それぞれを単独で用いることもできるし、あるいは、樹脂にセラミックスやガラスなどを配合して用いてもよいし、あるいは、樹脂によるコーティング層とセラミックスによるコーティング層を積層してもよい。この場合において、耐衝撃膜は、黒鉛/グラフェン複合材の外表面の全部または一部に付与することができるのは、上記絶縁膜の場合と同様である。
コーティング方法としては、例えば樹脂をコーティングする場合、樹脂を水、アルコール、シンナーなどの溶媒に混合させたコーティング液を作成し、該コーティング液を用いてディップコーティング、バーコーティング、スプレーコーティングなどの汎用的な方法でコーティングすることが挙げられる。また、該コーティング液には、必要に応じ、さらにガラスやセラミックスなどを一緒に混合してもよい。樹脂にセラミックスやガラスを併用することでより絶縁性の高い膜やより耐衝撃性の高い膜を得ることができる。あるいは、樹脂とセラミックスを併用する場合には、例えば、樹脂フィルムとセラミックフィルムを組合せて用いて、これを外表面に接着し、積層させることによりコーティングしてもよい。一方、セラミックス、ガラス、金属などを使用する場合、そのコーティング法としてはこの分野で通常使用されるものを使用することができる。例えば、スパッタリング、化学気相成長(CVD)、イオンプレーティング、溶射、蒸着などはそのようなコーティング法に含まれる。
黒鉛硫酸層間化合物:EPX−60M(日本黒鉛商事(株)製)
天然黒鉛粒子:高純度天然黒鉛SNO(エスイーシーカーボン(株)製)を分級したもの
黒鉛粒子1:平均粒径50μm、厚さ1〜20μmに調整したもの
黒鉛粒子2:平均粒径100μm、厚さ1〜20μmに調整したもの
黒鉛粒子3:平均粒径200μm、厚さ1〜20μmに調整したもの
黒鉛粒子4:平均粒径400μm、厚さ1〜20μmに調整したもの
黒鉛粒子5:平均粒径400μm以上、厚さ1〜50μmに調整したもの(日本黒鉛商事(株)から入手可能)
GF−1(グラファイトフィルム):PGSグラファイトシート(PGS−17)(パナソニック(株))、厚さ17μm
GF−2(グラファイトフィルム):PGSグラファイトシート(PGS−25)(パナソニック(株))、厚さ25μm
GF−3(グラファイトフィルム):PGSグラファイトシート(PGS−70)(パナソニック(株))、厚さ75μm
GS1−1(グラファイトシート):eGRAF(SS500)(巴工業(株)より入手可能)、厚さ99μm
GS1−2(グラファイトシート):eGRAF(SS500)(巴工業(株)より入手可能)、厚さ197μm
GS1−3(グラファイトシート):eGRAF(SS500)(巴工業(株)より入手可能)、厚さ286μm
GS2−1(グラファイトシート):eGRAF(SS600)(巴工業(株)より入手可能)、厚さ142μm
GS2−2(グラファイトシート):eGRAF(SS600)(巴工業(株)より入手可能)、厚さ252μm
GS2−3(グラファイトシート):eGRAF(SS600)(巴工業(株)より入手可能)、厚さ426μm
(グラフェン集合体1)
≪グラフェン分散液1≫
黒鉛硫酸層間化合物200gをセラミックス製のるつぼに装填し、炉内温度を800℃に設定した電気炉中に投じて、5分間保持し、黒鉛粒子の厚さ方向に数百倍に膨張した膨張黒鉛160gを得た。なお、得られた膨張黒鉛を、容積100cm3のアルミ計量カップに採取し、カップの上部を外径10mmのガラス棒を用いてすりきり、余分な膨張黒鉛を除去し、100cm3の容積とした。ついで分析用電子天秤HTR−80(新光電子(株)製、分析精度0.1mg)を使用して、100cm3の膨張黒鉛の重量を測定し、その値を100cm3で割り算することによりタップ密度を測定したところ0.028g/cm3であった。
ブッフナーロートに、濾紙(定量濾紙5A、アドバンテック東洋(株)製)を装填し、アスピレータで減圧しながら、上記で調製したグラフェン分散液1を徐々に滴下して、グラフェンとイソプロピルアルコールを分離し、濾紙上にグラフェンを堆積させた。堆積物を、室温で5時間、風乾した後、90℃に設定した電気炉で8時間乾燥し、イソプロピルアルコールを完全に除去して、グラフェン集合体を得た。乾燥後のグラフェン集合体を、万能粉砕機(M20、アズワン(株)製)を使用して、粉砕時間15分で粗粒に粉砕した。
≪グラフェン分散液2≫
フェノール樹脂粉末(エア・ウォーター社製ベルパールS830)を黒鉛容器に装填し、2L/分の流量の窒素ガスを流しながら600℃の最高到達温度で焼成した。焼成後の粉末を、内径80mm×外径95mm、高さ150mmの黒鉛容器に封入し、熱間静水圧加圧装置を使用して、最高到達温度1400℃、最高到達圧力190MPaの加圧加熱処理を実施した。処理後の粉末表面には2〜10μmの形状で厚さが1〜2nmの多層グラフェンが大量に生成し、バルク状のグラフェン塊が得られた。バルク上のグラフェン塊160gをガラス容器中で、イソプロピルアルコール5000gに浸漬した後に、(株)マイクロテック・ニチオン製の万能ホモジナイザー(商品名:ヒスコトロンNS52)を使用して、12500rpmの回転数で、15分間×5回の解砕処理をおこなった。
原料として、グラフェン分散液1に代えてグラフェン分散液2を用いたこと以外は、グラフェン集合体1の調製と同様に処理して、グラフェン集合体を得た。また、こうして得たグラフェン集合体は、同様に粗粒に粉砕した。
≪グラフェン分散液3≫
天然黒鉛粒子(日本黒鉛商事(株)製)160gをガラス容器中で、イソプロピルアルコール5000gに浸漬した後に、日本精機(株)製の超音波ホモジナイザーUS300Tの超音波発信子を投入し、出力70%で10分間×30回の超音波処理をおこない、黒鉛粒子をグラフェン化した。得られたグラフェン溶液を遠心分離用ガラスチューブに分注した後に、(株)佐久間製作所製の遠心分離装置SS2000を使用して、回転数1000rpmで10分間の遠心分離処理をおこない、上澄を回収してグラフェン分散液3を得た。得られたグラフェン分散液50gを表面をアルマイト処理したアルミ製カップに採取し、90℃で20時間保持した後の固形分の重量を測定し、分散液の重量比から固形分を算出したところ0.08wt%であった。
原料として、グラフェン分散液1に代えてグラフェン分散液3を用いたこと以外は、グラフェン集合体1の調製と同様に処理して、グラフェン集合体を得た。また、こうして得たグラフェン集合体は、同様に粗粒に粉砕した。
≪分級≫
グラフェン集合体の調製において、万能粉砕機による粉砕時間を、15分から5分に変更したこと以外はグラフェン集合体1の製法と同様に処理して、比較的粗大な粒子が残留する状態のグラフェン集合体(粗粒)を調製した。
表1の記載に従い、各サンプルを調製した。
すなわち、黒鉛粒子とグラフェン集合体を所定の配合比で配合し、プラスチック製の広口瓶に装填した後に、卓上型ボールミルで240rpmの回転数で20分間回転させて、十分に混合させた。
こうして得た混合物0.2〜0.3gを、真空吸入機構をもつ外径14mmのコイン形状成形金型に装填した。装填後の金型を、90℃に設定された三庄インダストリー(株)製のホットプレスの熱板上に保持し、金型を予熱するとともに、金型内を真空排気した。金型内の真空度が20Paに到達したことを確認し、45kNの荷重で所定の時間ホットプレス成形した。成形後の試料を金型より取り出し、成形体のバリを除去した後に、厚さについては測定精度が1μmのデジマチック標準外側マイクロメータ((株)ミツトヨ製)で、外径については測定精度10μmのスーパキャリパ((株)ミツトヨ製)で測定し成形体の体積を算出した。次いで成形体の重量を測定精度が1mgの精密電子天秤(アズワン(株)製)で測定し、重量を体積で割り算することにより嵩密度を算出した。結果を表1に記載した。
(表面抵抗値)
重量測定後の成形体の表面抵抗値を(株)三菱化学アナリテック製の4端子4探針法定電流印加方式装置(ロレスタMCP−T370)で測定した。結果を表1に記載した。
各複合材のX線回折パターンに関し、(株)リガク製のSmartLab9kWを使用して、試料の表面の位置が一定になるようにガラスホルダーで固定し、CuKαターゲットを使用して、回折角(2θ)50〜60°の範囲で、グラファイトの004回折線を測定した。測定したX線回折パターンを図1に比較して示した。測定したX線回折パターンからグラファイト004回折線の半価幅を測定し、表1に記載した。
(株)イマダ製の折り曲げ治具GA5000Nを取り付けた計測スタンドMX2−2500Nを使用して、複合材に徐々に荷重をかけ、試料にかかる最大荷重をデジタルフォースゲージZTA−2500Nで計測した。測定した最大荷重、試料の外寸、厚さから、曲げ強度に相当する最大応力(MPa)を計算した。結果を表1に記載した。
実施例3の複合材の断面を、クロスセクションポリッシャー SM−09010(日本電子(株)製)を使用して、Arイオンビームで精密に切断し、SEM観察した。結果を図2に示した。(a)と(b)は同一の写真であるが、(b)は、(a)において、グラフェン集合体の部分を図示したものである。これらから明らかなように、グラフェン集合体が黒鉛粒子を挟む形で材料の組織が形成されており、結晶性に優れる黒鉛の大形状粒子を、バインダー成分を使用せずに、グラフェンで接着した複合構造が得られている。
複合材の厚さを表2記載のとおりとした以外は、上記複合材の調製と同様に処理して、各複合材を得た。各複合材について、上記方法に従い、評価をおこなった。結果を表2に記載した。
市販のグラファイトフィルム(上記GF1〜GF3)およびグラファイトシート(上記GS1−1〜GS1−3およびGS2−1〜GS2−3)を、φ14mmの外径で切り出して比較試料とした。実施例と同様に、厚さ、外径、重量を測定し嵩密度を算出した。表面抵抗値は上記方法に従い測定した。結果を表3に記載した。
表4の記載に従い、グラフェン集合体1(膨張黒鉛)と黒鉛粒子4(400μm)とを用いて、表5および図4から特定される所定の配向性を有する成形体(すなわち、XY、YZおよびZXの各タイプの成形体)を得た。
上記と同様にして実施した。
こうして得た混合物36gを、表4の記載に従い、前記と同様に処理して、成形した。但し、金型としては表5および図4に示した所定のもの(すなわち、XYタイプ、YZタイプまたはXZタイプのいずれかである。いずれのタイプも、上型、中型および下型の三つで構成される。)を使用し、これら金型には加熱用のヒーターおよび金型内を20Pa以下の真空度に設定できるように真空排気機構を設置した。また、ホットプレス時の荷重は300kNとした。さらに、混合物を金型に装填後、金型にエアー式振動子を接触させて、粒子の配向性を向上させた。
実施例17〜19および比較例5
実施例14の複合材(XYタイプ)、実施例15の複合材(YZタイプ)および実施例16の複合材(XZタイプ)を、それぞれ、黒鉛製の試料ホルダーに、40mm×40mm面が上部となるように、ホットメルト接着剤で固定し、平和テクニカ(株)製のファインカット装置を使用して、その40mm×40mm面に、幅5mm、深さ5mmの溝を5本加工してヒートシンクを作成した。この場合において、XYタイプにおける溝はX方向に、YZタイプにおける溝はZ方向に、およびXZタイプにおける溝はZ方向に作成した。一方、アルミ合金5052を同一形状に機械加工して比較材とした。
作成したヒートシンクを、図5に示すように、シリコーンゴムを介して、ヒーターに一定荷重で固定し、ヒーター部分に熱電対(2)、ヒートシンク上部に熱電対(1)を設置し、同一の電力容量5Wで通電し、発熱と放熱がバランスし温度が一定になる平衡温度を、ヒーター部およびヒートシンク上部のそれぞれで測定した。結果を表6に示した。
<集熱体>
実施例16の複合材を、黒鉛製の試料ホルダーに、40mm×40mm面(XZ面)が上部となるように、ホットメルト接着剤で固定し、平和テクニカ(株)製のファインカット装置を使用して、Z方向に刃を動かして、幅10mm、奥行き40mm、厚さ10mmの形状に切り出した。切り出した材料を、同じくXZ面が上に向くように、黒鉛製の試料ホルダーにホットメルト接着剤で固定した。
実施例21
表7および図8の(a)のように、10mm×10mm×2mmのセラミックスヒーター6と、シリコーンゴムの集熱板7の中間に熱電対8を挟み込み、安定化電源装置にて5Wの発熱量に設定し、加熱時間とヒーター温度の関係を調べたところ、加熱後28秒でヒーター温度が136℃に到達したため、測定を中止した。
表7および図8の(b)のように、16mm×150mm×2mmの伝熱体9をさらに設置し、ヒーター6に1Nの一定荷重をかけて、実施例21と同様に加熱試験をおこない、ヒーター温度が一定になる平衡温度を求めた。伝熱体(板)には実施例14の複合材(実施例22)または銅(比較例6)を使用した。
表7および図8の(c)のように、16mm×40mm×10mmのヒートシンク10をさらに設置し、ヒーターに1Nの一定荷重をかけて、実施例21と同様の加熱試験をおこない、ヒーター温度が一定になる平衡温度を求めた。伝熱体(板)には実施例14の複合材を、ヒートシンクには実施例19のものを、使用した。
集熱体(板)として、シリコーンゴムの代わりに実施例20の集熱体を10mm×10mm×厚さ1mmに切り出して使用した以外は、実施例23と同様の加熱試験をおこない、ヒーター温度が一定になる平衡温度を求めた。
集熱体(板)として、シリコーンゴムの代わりに、実施例16の複合材をXY面が厚さ方向になるよう10mm×10mm×厚さ1mmに切り出したものを使用した以外は、実施例23と同様の加熱試験をおこない、ヒーター温度が一定になる平衡温度を求めた。
液状フェノール樹脂(BRL2854、昭和電工(株)製)100g、導電性カーボンブラック(ケッチェンブラック EC300J、ライオン・スペシャリティ・ケミカルズ(株))5g、イソプロピルアルコール100gを混合し、スリーワンモータ攪拌機(BLh1200、アズワン(株)製)で、800rpmの回転数で15分間混合し、黒色のコーティング液を作成した。実施例14と同様に作成したXYタイプの成形体に、コーティング液をディップコート法でコーティングし、塗布膜厚が60μmのコーティング層付与体を得た。該コーティング層付与体は、風乾させた後に、80℃で2時間、120℃で1時間、180℃で2時間の乾燥、硬化処理をした(コーティング層付与体A)。コーティング層付与体Aのコーティング層は黒色であった。
実施例14と同様に作成したXYタイプの成形体に、水溶性ポリエステル樹脂(プラスコートZ221、互応化学工業(株)製)をスプレーガンで塗布し、膜厚が30μmのコーティング層付与体とした。コーティング層付与体は、風乾させた後に、80℃で1時間、120℃で1時間の乾燥、硬化処理をした(コーティング層付与体B)。コーティング層付与体Bのコーティング層は透明であった。
(株)三菱化学アナリテック製の4端子4探針法定電流印加方式装置(ロレスタUP)を使用して、実施例26および27で作成したコーティング層付与体A、同Bの表面抵抗値を測定したところ、いずれも1×1010Ω/□以上の表面抵抗値を示し、絶縁性が十分であることを確認した。
実施例14の成形体、実施例26のコーティング層付与体A、実施例27のコーティング層付与体Bについて、高さ1mの地点から、コンクリート面に対して自由落下させ、重量が20%以上減少する破損状態に至る落下回数を比較した。実施例14の成形体は12回、実施例26のコーティング層付与体Aでは100回、実施例27のコーティング層付与体Bでは14回の結果となり、特にコーティング層付与体Aでは顕著な耐衝撃性の改善が観察された。
(1)複合材(A)の切り出し
実施例14で作成した、XYタイプの成形体(X方向40mm×Y方向40mm×Z方向10mm)を、成形体の底面がXY面になるように黒鉛製の試料ホルダーにホットメルト接着剤で固定した。固定した複合材を平和テクニカ(株)製のファインカット装置を使用して、幅(Z)10mm、奥行き(X)40mm、厚さ(Y)1mmの形状にスライス加工して、加工前の座標軸でXY方向に、加工後はX方向と厚さ方向のY方向に、熱伝導性の優れる複合材(A)を1枚作成した。
次いで、黒鉛製の試料ホルダーを90°回転させて、幅(Z)10mm、奥行き(Y)38.5mm、厚さ(X)1mmの形状にスライス加工して、加工前の座標軸でXY方向に、加工後はY方向と厚さ方向のX方向に、熱伝導性の優れる複合材(B)を10枚作成した。
次いで成形体を加熱して黒鉛製の試料ホルダーから取り外し、温水でホットメルト接着剤を除去した後に、再度、YZ面が底面になるように黒鉛製の試料ホルダーにホットメルト接着剤で固定した。固定した複合材を平和テクニカ(株)製のファインカット装置を使用して、幅(X)20mm、奥行き(Y)38.5mm、厚さ(Z)1mmの形状にスライス加工して、XY方向に熱伝導性の優れる複合材(C)2枚を作成した。
次いで成形体を加熱して黒鉛製の試料ホルダーから取り外し、温水でホットメルト接着剤を除去した後に、再度、YZ面を底面とし、上記(3)の場合に比較してY軸およびZ軸を10°回転させた状態で黒鉛製の試料ホルダーにホットメルト接着剤で固定した。固定した複合材を平和テクニカ(株)製のファインカット装置を使用してスライス加工して、切断面に対して、XY面が10°傾いた状態の、幅(X)20mm、奥行き(Y)28mm、厚さ(Z)1mmの複合材(D)1枚を作成した。
次いで成形体を加熱して黒鉛製の試料ホルダーから取り外し、温水でホットメルト接着剤を除去した後に、再度、YZ面を底面とし、上記(3)の場合に比較してY軸およびZ軸を20°回転させた状態で黒鉛製の試料ホルダーにホットメルト接着剤で固定した。固定した複合材を平和テクニカ(株)製のファインカット装置を使用してスライス加工して、切断面に対して、XY面が20°傾いた状態の、幅(X)20mm、奥行き(Y)27mm、厚さ(Z)1mmの複合材(E)1枚を作成した。
いずれのスライス加工時にも、材料は破壊することなく、歩留まり100%での加工が可能であり、一つの成形体ブロックから、熱伝導の方向が異なる薄厚の複合材を得ることができた。加工方法について図9に示した。
(1)成形体の作成
実施例14と同様のXY用の金型を使用して、実施例14と同様の方法にて、X方向45mm×Y方向45mm×Z方向40mmのXYタイプの成形体を作成した。
成形体をガラス製の試料ホルダーに、XZ面を底面にしてホットメルト接着剤で固定した。次いで、マルチワイヤソー装置(安永UD150型)を使用して、線径150μmの固定ダイヤ方式のワイヤを使用して、線幅1.5mm、ワイヤ送り速度300mm/分、ワーク送り速度20mm/時間の加工条件にて同時スライス加工をおこない、X方向45mm×Y方向45mm×Z方向1.5mmの、XYタイプのスライス品20枚を切り出した。ホットメルト接着剤を溶融させ、温水で洗浄した後に、外観検査をおこなったところ、加工割れの発生は無く、歩留まりは100%であった。加工に要した時間は120分であったため、1枚あたりの加工時間は120分を20で除した、6分であった。なお、スライス加工した複合材は、面内(XY)の熱伝導度が高く、厚さ方向(Z)の熱伝導度が低い、熱伝導の方向性を有している。ここで、XYZの座標軸は、成形時の方向と同一として記述している。
上記(1)で作成したXYタイプの成形体をガラス製の試料ホルダーに、XY面を底面にしてホットメルト接着剤で固定した。次いで、マルチワイヤソー装置(安永UD150型)を使用して、線径150μmの固定ダイヤ方式のワイヤを使用して、線幅1.5mm、ワイヤ送り速度300mm/分、ワーク送り速度20mm/時間の加工条件にて同時スライス加工をおこない、X方向45mm×Y方向1.5mm×Z方向40mmの、面内がXZで構成されるスライス品25枚を切り出した。ホットメルト接着剤を溶融させ、温水で洗浄した後に、外観検査をおこなったところ、加工割れの発生は無く、歩留まりは100%であった。加工に要した時間は135分であったため、1枚あたりの加工時間は135分を25で除した、5.4分であった。なお、スライス加工した複合材は、面内のX方向および、厚さ方向(Y)の熱伝導度が高く、厚さ方向のZ方向の熱伝導度が低い、熱伝導の方向性を有している。ここで、XYZの座標軸は、成形時の方向と同一として記述している。
上記(1)で作成したXYタイプの成形体をガラス製の試料ホルダーに、XY面を底面にして、上記(2)の場合と比較してX軸とY軸を90°回転させた状態で、ホットメルト接着剤で固定した。次いで、マルチワイヤソー装置(安永UD150型)を使用して、線径150μmの固定ダイヤ方式のワイヤを使用して、線幅1.5mm、ワイヤ送り速度300mm/分、ワーク送り速度20mm/時間の加工条件にて同時スライス加工をおこない、X方向1.5mm×Y方向45mm×Z方向40mmの、面内がYZで構成されるスライス品25枚を切り出した。ホットメルト接着剤を溶融させ、温水で洗浄した後に、外観検査をおこなったところ、加工割れの発生は無く、歩留まりは100%であった。加工に要した時間は135分であったため、1枚あたりの加工時間は135分を25で除した、5.4分であった。なお、スライス加工した複合材は、面内のY方向および、厚さ方向(X)の熱伝導度が高く、厚さ方向のZ方向の熱伝導度が低い、熱伝導の方向性を有している。ここで、XYZの座標軸は、成形時の方向と同一として記述している。
(1)成形体の作成
グラフェン集合体1を2重量%、黒鉛粒子5を98重量%とし、金型内の真空度を10Pa以下およびホットプレス時の荷重を200kNに設定した以外は実施例14と同様に処理して、X方向40mm×Y方向40mm×Z方向10mmの成形体を作成した。
上記により得られた成形体を、実施例29(2)と同様の方法でマルチスライス加工し、X方向40mm×Y方向40mm×Z方向0.5mmの、XY面方向に熱伝導性の優れる、薄厚の複合材を作成した。
上記(2)で切り出した複合材の片面に、熱伝導度230W/(m・K)で、形状が40mm×40mm×0.2mmのアルミ合金(A1050)製の薄板を、熱伝導性接着剤を使用して接着し、総厚さが0.73mmのアルミ複合板(1)を作成した。
上記(2)で切り出した複合材の両面に、熱伝導度230W/(m・K)で、形状が40mm×40mm×0.2mmのアルミ合金(A1050)製の薄板を、熱伝導性接着剤を使用して接着し、総厚さが0.76mmのアルミ複合板(2)を作成した。
上記で作成した複合材、アルミ複合板(1)およびアルミ複合板(2)と、比較例としてのアルミ合金について、以下に示す方法により、曲げ強度および放熱特性を測定した。結果を表8に示す。
(株)イマダ製の折り曲げ治具GA5000Nを取り付けた計測スタンドMX2−2500Nを使用して、試料に徐々に荷重をかけ、最大荷重をデジタルフォースゲージZTA−2500Nで計測した。測定した最大荷重、試料の外寸、厚さから、曲げ強度に相当する最大応力(MPa)を計算した。
10mm×10mm×2mmのセラミックスヒーター6と、シリコーンゴムの集熱板7の中間に熱電対8を挟み込み、さらに試料13と断熱材14を組合せて構成した図10に示す試験方法により、放熱特性を比較した。なお、荷重は5Nで固定する一方、発熱量は安定化電源装置により、それぞれ、4W、8W、15Wと変化させた。それぞれの場合において、熱電対が示す温度が一定になる温度を測定し、これをヒーター平衡温度として比較に供した。
(1)膨張黒鉛の調製
グラフェン集合体(1)を調製する際に製造した膨張黒鉛(タップ密度:0.028g/cm3)を使用した。
実施例14と同様の形式で、Z方向に200mmの高さを有するXY用の金型に、上記のタップ密度0.028g/cm3の膨張黒鉛を直接投入し、金型内を20Pa未満の真空度に維持した状態で、X方向45mm×Y方向45mm×Z方向20mmの形状で、嵩密度が0.3g/cm3、0.5g/cm3、0.7g/cm3、0.9g/cm3、1.2g/cm3、1.4g/cm3の6種類の成形体(成形体1〜6)を作成した。嵩密度の調整は、面積が同一であるので、膨張黒鉛の投入量に従い、金型の押し込み量、すなわち成形体の厚さを制御することにより調整した。また、気孔率は、黒鉛の理論密度(真密度2.26g/cm3 )と嵩密度の差異より、(理論密度−嵩密度)/理論密度から計算される値である。作成した成形体の寸法と嵩密度を表9に比較して示した。
6種類の成形体について、それぞれ、各成形体を囲むように、内寸が46mm×46mmのアルミ製の枠を設置し、真空引きが可能なグローブボックス内で2Paの真空状態に維持した後に、アルミ枠内にモメンティブジャパン社製の液状シリコーンゴムを硬化剤とともに注型し、1時間保持した。次いでグローブボックス内から注型した試料を取り出し、乾燥機を使用して、80℃で12時間硬化させた。硬化後に成形品をアルミ枠から取り出し、各嵩密度に成形した成形体とシリコーンゴムと一体化した複合体1〜6を得た。
得られた6種類の複合体について、それぞれ、底面をXY面として黒鉛製の試料ホルダーにホットメルト接着剤で固定した後に、平和テクニカ(株)製のファインカット装置を使用して、幅(X)10mm、奥行き(Y)45mm、厚さ(Z)10mmに切り出した。次いで成形体を加熱して黒鉛製の試料ホルダーから取り外し、温水でホットメルト接着剤を除去した後に、再度、XY面を底面とし、幅(X)10mm、奥行き(Z)10mm×厚さ(Y)1mmの形状にスライス加工して、厚さ1mmの6種類の複合材1〜6を得た。
複合材1〜6について、以下の方法により、圧縮率および熱抵抗値を測定した。結果は表10に記載のとおりである。
各複合体を10mm×10mm×1mmの形状に切り出した後、(株)イマダ製の計測スタンドMX2−2500Nを使用して、複合体に7Nの荷重をかけた場合の圧縮率を測定した。なお圧縮率は、(変位量/無荷重での試料の厚さ)×100(%)で計算をした。実施例20の集熱体も同様に測定し、比較した。
各複合体を10mm×10mm×1mmの形状に切り出した後に、図11に示したように、比較例5のアルミ製ヒートシンクと実施例21で使用した10mm×10mm×2mmのセラミックスヒーター6の間に集熱板として設置した。ヒーターに5Wの電気量を印加し、集熱板の表と裏に設置した熱電対により、集熱板の表裏での温度差を、5Nの荷重を印加した状態で測定した。測定した温度差より、熱抵抗値(℃/W)=(集熱板の表裏の温度差℃)/印加した電力量(W)の計算式より熱抵抗値を算出した。実施例20の集熱体も同様に測定し、比較した。
2 ヒーター
3 シリコーンゴム
4 熱電対(1)
5 熱電対(2)
6 ヒーター
7 集熱板
8 熱電対
9 伝熱体
10 ヒートシンク
11 黒鉛/グラフェン複合材(XZタイプ)
12 シリコーンゴム
13 試料
14 断熱材
Claims (11)
- 黒鉛/グラフェン複合材の製造方法であって、
前記黒鉛/グラフェン複合材は、扁平状の黒鉛粒子とグラフェン集合体とを含んでなる黒鉛/グラフェン複合材であって、
扁平状の黒鉛粒子は、そのベーサル面が折り重なるように、グラフェン集合体をバインダーとして積層されており、
グラフェン集合体は単層または多層のグラフェンが堆積したものであり、
前記製造方法は、
(1)扁平状の黒鉛粒子とグラフェン集合体とを混合する工程、
(2)該混合物を金型に充填して、扁平状の黒鉛粒子を、そのベーサル面が折り重なるように、グラフェン集合体をバインダーとして積層する工程、および、
(3)該積層体を、扁平状の黒鉛粒子の積層方向が断面として現れるように切り出し加工する、または、扁平状黒鉛粒子の積層方向に沿って切り出し加工する工程
を含んでなるものである、黒鉛/グラフェン複合材の製造方法。 - 扁平状の黒鉛粒子の、平均粒径が10〜1000μmであり、厚さが1〜50μmである、請求項1記載の製造方法。
- グラフェン集合体の、平均径が1〜1000μmであり、厚さが50μm未満である、請求項1または2記載の製造方法。
- 扁平状の黒鉛粒子とグラフェン集合体の合計質量に対する扁平状の黒鉛粒子の質量比が1〜99質量%である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の製造方法。
- 前記黒鉛/グラフェン複合材のX線回折における004回折線の半価幅(2θ)が0.3°未満である請求項1〜4のいずれか1項に記載の製造方法。
- 前記黒鉛/グラフェン複合材の嵩密度が1.9g/cm 3 以上である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の製造方法。
- 前記黒鉛/グラフェン複合材の扁平状の黒鉛粒子が積層した方向の厚さが100μm以上である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の製造方法。
- 工程(2)で得られる積層体の積層方向の厚みが100μm以上である、請求項1〜7のいずれか1項に記載の製造方法。
- 工程(3)で切り出し加工する際の切り出す厚みが0.1mm以上である請求項1〜8のいずれか1項に記載の製造方法。
- さらに、工程(1)に供するグラフェン集合体を調製する工程を含む黒鉛/グラフェン複合材の製造方法であって、
該調製工程が、グラフェン分散液から、溶媒を分離して、単層または多層のグラフェンを堆積させることによって、グラフェン集合体を調製する工程である、
請求項1〜9のいずれか1項に記載の製造方法。 - グラフェン分散液の溶媒が低級アルコールまたは水を含むものである、請求項10記載の製造方法。
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