以下、本発明にかかる画像形成装置を具体化した実施の形態について、添付図面を参照しつつ詳細に説明する。本形態は、電子写真方式による画像形成機能を備えたプリンタに本発明を適用したものである。
本形態のプリンタ100は、図1に示すように、シートに画像を印刷する画像形成部10と、印刷に使用するシートを載置する給紙トレイ91と、印刷済みのシートを載置する排紙トレイ94とを備えている。プリンタ100の画像形成部10は、図1に示すように、電子写真方式によりシートにトナー像を形成するプロセス部5と、プロセス部5にシートを搬送する搬送ベルト7と、シート上の未定着のトナー像をシートに定着させる定着部8とを有している。なお、搬送ベルト7は、シートをプロセス部5に沿って図1中で右から左へ向けて、つまり、プロセス部5から定着部8に向けて搬送する。搬送ベルト7は、搬送機構の一例である。搬送ベルト7によってシートが搬送される方向は、搬送方向の一例である。
本形態のプリンタ100は、カラー画像の形成が可能な装置である。プリンタ100のプロセス部5は、図1に示すように、定着部8に対して遠い側から順に、イエロー(Y)のプロセス部50Yと、マゼンタ(M)のプロセス部50Mと、シアン(C)のプロセス部50Cと、ブラック(K)のプロセス部50Kと、を備えている。搬送ベルト7によって搬送されるシートは、各色のプロセス部50を50Y,50M,50C,50Kの順で通過する。各色のプロセス部50Y,50M,50C,50Kは、トナーの色を除いていずれも同じ構成のものであり、搬送ベルト7に沿って並列に配置されている。以下では、色の区別が不要の場合には、単に、プロセス部50とする。
各色のプロセス部50は、図1のプロセス部50Kに示すように、ドラム形状の感光体である感光ドラム51を備え、感光ドラム51の周囲に感光ドラム51の回転方向について順に帯電装置52と、露光装置53と、現像装置54と、転写装置55と、を有している。なお、感光ドラム51は、表面の進行方向がシートの進行方向と一致する方向であって、図1中で時計回りに回転する。
帯電装置52は、例えば、スコロトロン帯電器であり、感光ドラム51の表面をほぼ均一に帯電させる。露光装置53は、例えば、LED露光器であり、感光ドラム51に光を照射して、感光ドラム51上に画像データに基づく静電潜像を形成させる。現像装置54は、現像ローラ541を備え、感光ドラム51上の静電潜像に現像ローラ541にてトナーを供給することで現像し、感光ドラム51上にトナー像を形成させる。転写装置55は、感光ドラム51上のトナー像を電気的に引き寄せ、搬送ベルト7にて搬送されるシートに転写させる。
プリンタ100の内部には、図1中に一点鎖線で示すように、シートの通過する経路である搬送経路11が形成されている。搬送経路11は、給紙トレイ91からプロセス部5を介して排紙トレイ94へとシートを搬送する経路である。さらに、プリンタ100は、図1に示すように、搬送経路11に沿ってシートを搬送するための複数の搬送部材を有している。プリンタ100は、搬送部材として、例えば、給紙トレイ91からシートを引き出す給紙ローラ71と、搬送ベルト7を回転させる2つのベルトローラ73、74と、シートを排紙トレイ94へ排紙する排紙ローラ76と、レジストレーションローラ77と、を備えている。レジストレーションローラ77は、給紙ローラ71より下流側であって搬送ベルト7より上流側の位置に設けられている。なお、プリンタ100は、図示したもの以外にも、さらに搬送部材を備えていてもよい。
プリンタ100は、図1に示すように、シートの搬送方向について、レジストレーションローラ77よりも下流側でプロセス部5よりも上流側の位置にてシートの有無を検知するシートセンサ79を備えている。シートセンサ79は、検知部の一例である。シートセンサ79は、例えば、その検知位置にシートが有る場合と無い場合とで異なる信号を出力する。プリンタ100は、シートセンサ79からの出力信号に基づいて、シートの先端または後端がシートセンサ79の検知位置を通過したタイミングを取得できる。
プリンタ100は、図2に示すように、各種の回転部材を回転駆動させるモータ61と、モータ61の駆動力の伝達状態を切り替える電磁クラッチ62、63と、を備えている。プリンタ100は、モータ61によって、各色のプロセス部50の感光ドラム51等の回転部材と、ベルトローラ74等の搬送部材と、を回転させる。そして、プリンタ100は、電磁クラッチ62によって、モータ61の駆動力をプロセス部50Kの現像ローラ541の回転軸に伝達させる伝達状態と、伝達させない非伝達状態とに切り替える。プリンタ100は、電磁クラッチ63によって、モータ61の駆動力をプロセス部50Y,50M,50Cの各現像ローラ541の回転軸に伝達させる伝達状態と、伝達させない非伝達状態とに切り替える。電磁クラッチ62、63は、駆動力切替機構の一例である。
また、本形態のプリンタ100は、図3と図4とに示すように、一端部にラック543aが形成された接離カム543と、接離カム543のラック543aと噛み合うギア544と、を備えている。各現像ローラ541の回転軸は、不図示のバネ等を含む付勢部材によって、感光ドラム51に近づく向き(図中で下向き)に付勢されている。付勢部材の付勢力により、各現像ローラ541の回転軸は、接離カム543に接触している。ギア544は、正逆両方向への回転駆動が可能なモータ65によって回転駆動され、図中で時計回りおよび反時計回りのいずれの方向へも回転する。
接離カム543は、各色のプロセス部50の並び方向に長い棒状の部材であり、ギア544の回転によって長手方向に移動可能である。長手方向は、例えば図3中では左右方向で表されている方向である。そして、接離カム543のうち、各現像ローラ541の回転軸と接触する面には、各回転軸の位置に対応する位置に、計4箇所の凹部5431が形成されている。接離カム543の移動により、接離カム543と各現像ローラ541の回転軸とが摺動し、接離カム543の凹部5431が現像ローラ541の回転軸の位置に至ると、付勢部材の付勢力によって各回転軸は凹部5431の中に入る。つまり、プリンタ100の各現像ローラ541は、ギア544の回転により、凹部5431の深さの分だけ感光ドラム51に近づく。
ただし、図3または図4に示すように、プロセス部50Kの現像ローラ541の回転軸に対応する位置に形成されている凹部5431Kは、他のプロセス部50Y,50M,50Cの各現像ローラ541の回転軸に対応する位置に形成されている凹部5431Y,5431M,5431Cに比較して、接離カム543の長手方向に長い。そのため、プリンタ100では、図4に実線で示すように、プロセス部50Kの現像ローラ541の回転軸は凹部5431Kの中に入り、他色のプロセス部50Y,50M,50Cの現像ローラ541の回転軸は凹部5431の中に入っていない状態となることができる。
凹部5431の深さは、現像ローラ541と感光ドラム51との距離に対応する深さとなっている。各現像ローラ541は、回転軸が凹部5431に入っている下位置では、現像ローラ541の外周面と感光ドラム51の外周面とが接触する接触状態となる。一方、各現像ローラ541は、回転軸が接離カム543の凹部5431に入っていない上位置にあると、現像ローラ541の外周面と感光ドラム51の外周面とが接触しない離間状態となる。つまり、プリンタ100は、ギア544の回転により、現像ローラ541と感光ドラム51とを、接触状態と離間状態とに切り替える。接離カム543とギア544とは、接離切替機構の一例である。
なお、プリンタ100は、現像ローラ541が接触状態であれば、感光ドラム51の静電潜像にトナーを供給して現像を行うことができる一方、現像ローラ541が離間状態であれば、適切に現像することはできない。接触状態は、感光ドラム51の周面と現像ローラ541の周面とが直接接触している状態のみでなく、感光ドラム51と現像ローラ541とがトナーを介して接触している状態も含む。
プリンタ100は、ギア544を回転させて接離カム543を移動させることで、各現像ローラ541と感光ドラム51との接触状態または離間状態を、3種類に切り替える。図3に実線で示す第1の態様では、各現像ローラ541は全て、接離カム543の凹部5431に入っておらず、全色とも離間状態である。
第1の態様から、ギア544を図3中で反時計回りに回転させると、接離カム543が図3中で左方へ移動し、図3中に二点鎖線で示す第2の態様となる。第2の態様では、プロセス部50Kの現像ローラ541の回転軸は、接離カム543の凹部5431に入っており、他の3色の現像ローラ541の回転軸は、接離カム543の凹部5431に入っていない。つまり、第2の態様では、プロセス部50Kの現像ローラ541は接触状態であり、他の3色の現像ローラ541は離間状態である。
図3中に二点鎖線で示す第2の態様を図4では実線で示している。そして、第2の態様から、ギア544を図4中で反時計回りにさらに回転させると、各現像ローラ541の回転軸はそれぞれ接離カム543の凹部5431に入り、図4に二点鎖線で示す第3の態様となる。第3の態様では、各現像ローラ541は、全色とも接触状態となる。つまり、プリンタ100は、第1の態様からギア544を反時計回りに回転させることにより、各現像ローラ541を、全色離間状態、ブラックのみ接触状態、全色接触状態の順に切り替える。この構成では、ブラックのプロセス部50Kは、一部の画像形成部の一例である。
なお、プリンタ100は、図4に二点鎖線で示す第3の態様からギア544を図4中で時計回りに回転させることで、各現像ローラ541を、図3に実線で示した第1の態様に戻す。プリンタ100は、例えば、画像形成を行っていないタイミングで、ギア544を図中で時計回り方向に回転させる。
本形態のプリンタ100は、接離カム543の位置と、電磁クラッチ62および電磁クラッチ63の状態と、を制御することによって、現像ローラ541のモードを3種類に切り替える。具体的には、プリンタ100は、画像を形成しない非形成モードと、モノクロ画像のみを形成する場合のモノクロモードと、カラー画像を形成する場合のカラーモードと、に切り替える。
非形成モードは、接離カム543を第1の態様とし、電磁クラッチ62および電磁クラッチ63をともに非伝達状態とするモードである。非形成モードでは、各色の現像ローラ541は、すべて、感光ドラム51と離間する離間状態であり、駆動力が伝達されないことから、回転しない。プリンタ100は、例えば、印刷ジョブを受け付けていない状態が続いた場合に、現像ローラ541を非形成モードに切り替え、感光ドラム51の回転を停止させる。プリンタ100は、継続して印刷を実行している期間中には、非形成モードへの切り替えを行わない。
モノクロモードは、接離カム543を第2の態様とし、電磁クラッチ62は伝達状態とし、電磁クラッチ63は非伝達状態とするモードである。モノクロモードでは、ブラックの現像ローラ541は、感光ドラム51と接触する接触状態であり、駆動力が伝達されることから、回転する。モノクロモードでは、ブラック以外の3色の現像ローラ541は、すべて、感光ドラム51と離間する離間状態であり、駆動力が伝達されないことから、回転しない。つまり、モノクロモードでは、ブラック単色の画像であるモノクロ画像の形成のみが可能である。プリンタ100は、モノクロ画像を形成する際には、ブラックのプロセス部50Kのみにトナー像を形成させる。
カラーモードは、接離カム543を第3の態様とし、電磁クラッチ62および電磁クラッチ63をともに伝達状態とするモードである。カラーモードでは、全色の現像ローラ541は、感光ドラム51と接触する接触状態であり、駆動力が伝達されることから、回転する。つまり、カラーモードでは、カラー画像の形成が可能である。プリンタ100は、カラー画像を形成する場合には、現像ローラ541をカラーモードとし、全てのプロセス部50にてそれぞれの色のトナー像を形成させる。プリンタ100は、搬送ベルト7によってシートを搬送させ、シートが各色の転写位置を通過するタイミングに合わせて、トナー像を順にシートに転写することで、各トナー像をシート上で重ね合わせる。なお、プリンタ100は、カラーモードでモノクロ画像を形成することも可能である。
プリンタ100は、現像ローラ541のモードを、非形成モード→モノクロモード→カラーモード→非形成モードの順に切り替える。モードの切り替え時には、ギア544を回転させて接離カム543を移動させるため、所定の時間を要する。電磁クラッチ62,63の切り替えに要する時間は、接離カム543の切り替えに要する時間に比較して短い。なお、モードの切り替え時には、ギア544を回転させて接離カム543を移動させる動作と、電磁クラッチ62,63の切り替え動作とは、同時に行ってもよいし、時間差があってもよい。時間差がある場合には、どちらを先に切り替えてもよい。
続いて、プリンタ100の電気的構成について説明する。プリンタ100は、図5に示すように、CPU31と、ROM32と、RAM33と、NVRAM(不揮発性RAM)34と、を含むコントローラ30を備えている。また、プリンタ100は、画像形成部10と、ネットワークインターフェース37と、USBインターフェース38と、操作パネル40と、モータ61と、電磁クラッチ62と、電磁クラッチ63と、モータ65と、シートセンサ79と、を備え、これらがコントローラ30に電気的に接続されている。
ROM32には、プリンタ100を制御するための各種制御プログラムや各種設定、初期値等が記憶されている。RAM33は、各種制御プログラムが読み出される作業領域として、あるいは、データを一時的に記憶する記憶領域として利用される。CPU31は、ROM32から読み出した制御プログラムに従って、その処理結果をRAM33またはNVRAM34に記憶させながら、プリンタ100の各構成要素を制御する。
CPU31は、制御装置の一例である。なお、コントローラ30が制御装置の一例であってもよい。また、図5中のコントローラ30は、CPU31等、プリンタ100の制御に利用されるハードウェアを纏めた総称であって、実際にプリンタ100に存在する単一のハードウェアを表すとは限らない。
ネットワークインターフェース37は、ネットワークを介して接続された外部装置と通信を行うためのハードウェアである。USBインターフェース38は、USB規格に基づいて接続された外部装置と通信を行うためのハードウェアである。操作パネル40は、ディスプレイと、スタートキー、ストップキー、テンキー等から構成されるボタン群と、を備え、各種のメッセージの表示を行うとともに、ユーザによる指示入力を受け付ける。
続いて、本形態のプリンタ100にて現像ローラ541のモードを切り替える切替動作について説明する。プリンタ100は、例えば省エネモードのように、感光ドラム51の回転を停止させ、現像ローラ541を非形成モードとする場合がある。印刷ジョブを受け付けた時、現像ローラ541が非形成モードであれば、プリンタ100は、現像ローラ541のモードを、非形成モードからモノクロモードまたはカラーモードに切り替える。プリンタ100は、現像ローラ541のモードを切り替えるタイミングである切替タイミングQを以下のように決定する。
プリンタ100は、例えば、図6に示すように、印刷ジョブの1枚目の画像データ21を解析し、画像の先端位置を取得する。以下では、画像データのうち、シートの搬送方向について、先に形成される側を先端側、後で形成される側を後端側とする。プリンタ100は、画像データ21の先端側から後端側へ向かって順に画像を形成する。図6中の矢印は、シートの搬送方向を示す。つまり、プリンタ100は、画像データ21のうち図6中で上方に示されている側から順に、画像データ21に基づくトナー像を形成し、形成した順にトナー像をシートに転写する。
プリンタ100は、画像データ21を、例えば、図6に示すように、先端側から、所定ライン数ごとに複数のブロック22a,22b,22c,22d等に分割し、ブロック単位で画像の有無を判断する。つまり、プリンタ100は、先端側から後端側へ向かって各ブロックに画像が有るか否かを判断し、画像が有ると判断した最初のブロックを特定する。以下では、画像が有るブロックのうち、最も先端側のブロックを、先端画像ブロックとする。先端画像ブロックの1ライン目の位置は、画像の先端位置の一例である。
なお、プリンタ100は、シートの端部の所定の範囲の領域へは画像形成を行わない。そのため、プリンタ100は、画像データの最も先端側のラインに基づくトナー像を、シートの先端ではなく、シートの先端から所定の距離だけ後端側の位置であって、シート中の画像形成可能な最も先端側の位置に転写する。シートの先端から、シート中の画像形成可能な最も先端側の位置までの距離を、距離Zとする。本形態では、距離Zは、プリンタ100にて固有の距離である。距離Zは、第1の距離の一例である。
そして、プリンタ100は、特定した先端画像ブロックが、画像データ21のうちの最も先端側のブロック22aである場合、所定の最先端タイミングまでに現像ローラ541のモードを切り替える。最先端タイミングは、プリンタ100にてシートの先端から距離Zの位置に画像を形成する場合に、現像ローラ541から感光ドラム51へトナーを供給するタイミングの一例である。最先端タイミングは、第1のタイミングの一例である。つまり、プリンタ100は、最先端タイミングにてモードを切り替えた直後に、現像ローラ541から感光ドラム51にトナーを供給した場合、供給したトナーを、シート中の画像形成可能な最も先端側の位置に転写する。
一方、図6の例では、最も先端側のブロック22aと次のブロック22bには画像が無く、3番目のブロック22cには画像Pが有る。図6の例の画像データ21では、ブロック22cが先端画像ブロックである。この例では、ブロック22cのうち、最も先端側のラインである1ライン目の位置が画像の先端位置の一例である。
そして、特定した先端画像ブロックと、画像データ21の最も先端側のブロック(図6の例ではブロック22a)との距離を、距離Xとする。図6の例では、距離Xは、ブロック22cの1ライン目とブロック22aの1ライン目との距離であり、0より大きい。一方、先端画像ブロックがブロック22aであれば、距離Xは、0である。プリンタ100は、先端画像ブロックが、画像データ21のうちの最も先端側のブロック22aでなければ、つまり距離Xが0より大きければ、前述した最先端タイミングよりも後のタイミングで、現像ローラ541のモードを切り替える。
そのために、プリンタ100は、距離Xに基づいて、最先端タイミングよりも後のタイミングである非先端タイミングを算出する。距離Xに対応する非先端タイミングは、プリンタ100にて、シートの先端から距離(Z+X)の位置に画像を形成する場合に、現像ローラ541から感光ドラム51へトナーを供給するタイミングである。距離(Z+X)は、第2の距離の一例である。非先端タイミングは、第2のタイミングの一例である。つまり、プリンタ100は、距離Xに対応する非先端タイミングにてモードを切り替えた直後に、現像ローラ541から感光ドラム51にトナーを供給した場合、供給したトナーを、シートの先端から距離(Z+X)の位置に転写する。
さらに、プリンタ100は、現像ローラ541のモードを切り替えるタイミングである切替タイミングQを、最先端タイミングよりも後であって、算出した非先端タイミングよりも前のタイミングに決定する。切替タイミングQは、例えば、最先端タイミングと非先端タイミングとの中間のタイミングであってもよいし、先端画像ブロックの1つ前のブロックに対応する非先端タイミングであってもよいし、算出した非先端タイミングより所定時間だけ前のタイミングであってもよい。
なお、プリンタ100は、切替タイミングQを、例えば、シートの先端がシートセンサ79にて検知されたタイミングに基づいて決定する。プリンタ100は、印刷ジョブを受け付けた場合、給紙トレイ91から給紙したシートを搬送ベルト7にて搬送し、シートにプロセス部5を通過させる。そして、プリンタ100は、シートセンサ79の出力信号がシートの無を示す信号からシートの有を示す信号に変化した時点から、経過時間TQが経過した時点が、切替タイミングQとなる経過時間TQを決定する。
次に、受け付けた印刷ジョブの1枚目の画像が、図6に示す画像データ21のように、モノクロ印刷であって先端に画像の無い画像データである場合の経過時間TQについて、具体的に説明する。プリンタ100は、まず、最先端タイミングまでの経過時間TQ1と、非先端タイミングまでの経過時間TQ2と、をそれぞれ求める。
モノクロ印刷では、最先端タイミングは、ブラックのプロセス部50Kにて、シートの先端から距離Zの位置にトナーを供給できるタイミングである。モノクロ印刷の最先端タイミングにて現像ローラ541のモードをモノクロモードに切り替えた場合、シートの先端から距離Zの位置と最初のトナーとが同時にプロセス部50Kの転写位置に到達する。最初のトナーとは、モノクロモードとなった直後に現像ローラ541から感光ドラム51にトナーを供給した場合に、供給されたトナーのことである。プリンタ100は、シートの先端がシートセンサ79にて検知されたタイミングから、モノクロ印刷における最先端タイミングまでの時間である、経過時間TQ1を、例えばROM32に記憶している。
一方、シートの先端がシートセンサ79にて検知されたタイミングから非先端タイミングまでの時間である経過時間TQ2は、距離Xを用いて、TQ2=T1k+T2−T3−T4kで算出される。T1kは、シートの先端がシートセンサ79にて検知されてからブラックの転写位置に到達するまでに要する時間である。図1に示したように、プリンタ100におけるシートセンサ79の検知位置からブラックのプロセス部50Kの転写位置までの搬送距離をWkとし、シートの搬送速度をVとすると、時間T1kは、T1k=Wk/Vで表される。
T2は、距離Xをシートが進むのに要する時間である。T2は、Vをシートの搬送速度として、T2=X/Vである。T3は、感光ドラム51の回転によって、感光ドラム51の周面上の所定部が、現像ローラ541と感光ドラム51との接触位置である現像位置から転写位置まで移動するのに要する時間である。T3は、現像装置54の配置と感光ドラム51の周速とによって決まっている。なお、プリンタ100では、時間T3は、各色のプロセス部50で同じ時間である。
T4kは、現像ローラ541のモードを、非形成モードからモノクロモードへ切り替える動作が完了するまでに要する時間である。プリンタ100では、ギア544の回転速度と接離カム543の構成等により、現像ローラ541のモードを切り替えに要する時間は、予め決まっている。また、以下では、モノクロモードからカラーモードへの切り替えに要する時間を、時間T4kと区別して、時間T4cとする。非形成モードからカラーモードへの切り替えに要する時間は、時間T4k+T4cである。なお、プリンタ100では、時間T4kと時間T4cとは異なる長さであり、時間T4cの方が長い。
そして、プリンタ100は、非形成モードでモノクロ画像の印刷ジョブを受け付け、画像データ21の先端のブロックであるブロック22aに画像が無い場合、経過時間TQ1より長く経過時間TQ2より短い時間である経過時間TQを決定する。経過時間TQは、特定時間T0の一例である。そして、プリンタ100は、シートの先端がシートセンサ79にて検知された後、経過時間TQが経過したタイミングにて、現像ローラ541のモードを、非形成モードからモノクロモードに切り替える。
受け付けた印刷ジョブの1枚目の画像がモノクロ印刷である場合のタイミングを、図7のタイミングチャートを参照して説明する。図7では、プリンタ100は、印刷ジョブを受け付けた後、時刻t1にて給紙を開始する。その後、時刻t2にて、シートセンサ79の出力信号が、OFFからONに変化する。この時刻t2が、経過時間TQ1,TQ2,TQの起点である。
先端のブロックに画像の有る画像データの場合、プリンタ100は、時刻t2から、経過時間TQ1が経過するよりも前のタイミングである時刻t3にて、現像ローラ541のモードを切り替える。図7では、先端のブロックに画像の有る画像データの場合における各種のタイミングを、破線で示している。つまり、時刻t3から、現像ローラ541のモードを非形成モードからモノクロモードへ切り替える動作に要する時間である時間T4kだけ経過した後に、現像ローラ541が接触状態となる。さらに、プリンタ100は、現像ローラ541に現像バイアスを印加し、現像処理を開始する。
一方、先端のブロックに画像の無い画像データである場合、プリンタ100は、時刻t2から、経過時間TQ1よりも長く経過時間TQ2よりも短い経過時間TQが経過したタイミングである時刻t4にて、現像ローラ541のモードを切り替える。そして、時刻t4から時間T4kだけ経過した後の時刻t5に、現像ローラ541と感光ドラム51とが接触状態となる。さらに、プリンタ100は、現像ローラ541に現像バイアスを印加し、現像処理を開始する。つまり、プリンタ100は、先端のブロックに画像の無い画像データである場合、先端のブロックに画像の有る画像データの場合よりも後のタイミングで、現像処理を開始する。
さらに、プリンタ100は、シートセンサ79の出力信号がONに変化してから所定時間後の時刻t6にて、転写装置55への転写バイアスの印加を開始する。転写バイアスの印加の開始タイミングは、例えば、シートの先端が感光ドラム51と転写装置55との間の転写位置へ到達するタイミングである。時刻t6は、例えば、時刻t2から前述した時間T1kが経過した後である。転写バイアスの印加タイミングは、画像データの先端の画像の有無に関わらず、同じタイミングとすればよい。
次に、受け付けた印刷ジョブの1枚目が、カラー印刷である場合について具体的に説明する。カラー印刷の画像データ21の例を図8に示す。印刷ジョブの1枚目がカラー印刷であって、画像データ21の先端のブロックであるブロック22aに画像が無い場合、プリンタ100は、現像ローラ541を、最先端タイミングより後で非先端タイミングより前の切替タイミングQにて、非形成モードまたはモノクロモードからカラーモードに切り替える。
カラー印刷の場合の最先端タイミングは、シートセンサ79に最も近いプロセス部50であるイエローのプロセス部50Yの配置に基づいて求められる。カラー印刷における最先端タイミングは、プロセス部50Yの最先端タイミングである。カラー印刷における最先端タイミングにて現像ローラ541のモードを切り替えた場合、シートの先端から距離Zの位置と最初のトナーとが同時にプロセス部50Yの転写位置に到達する。最初のトナーとは、カラーモードに切り替えた直後にプロセス部50Yの現像ローラ541からプロセス部50Yの感光ドラム51にトナーを供給した場合に、供給されたトナーのことである。
プリンタ100は、画像データ21の先端のブロックであるブロック22aに画像が有る場合、最先端タイミングまでに非形成モードまたはモノクロモードからカラーモードに切り替える。カラー印刷においても最先端タイミングは、装置構成により予め決まっている。プリンタ100は、シートの先端がシートセンサ79にて検知されたタイミングからカラー印刷における最先端タイミングまでの時間である経過時間TQ1を、例えばROM32に記憶している。
カラー印刷の場合の非先端タイミングは、画像データ21中の各色の先端位置に基づいて求められる。プリンタ100は、画像データ21に基づいて、トナーの色ごとにシートの搬送方向の画像の先端位置を取得する。画像データ21では、例えば、図8に示すように、イエローの画像Pyとマゼンタの画像Pmとが最初に現れるブロックが2番目のブロック22bであり、シアンの画像Pcとブラックの画像Pkが最初に現れるブロックが3番目のブロック22cであるとする。
さらに、プリンタ100は、画像データ21の先端のブロック22aから各色の画像が最初に現れるブロックまでの距離X(Xy、Xm、Xc、Xk)を求める。図8の例では、XyとXmは等しく、XcとXkは、XyやXmよりも大きい。そして、シートの搬送速度をVとすると、距離Xをシートが進むのに要する時間T2は、色ごとに、T2=X/V(X=Xy,Xm,Xc,Xk)で求められる。
また、図1に示したように、プリンタ100におけるシートセンサ79の検知位置から各色のプロセス部50の転写位置までの搬送距離をWy、Wm、Wc、Wkとする。プリンタ100では、Wk>Wc>Wm>Wyである。シートの搬送速度をVとすると、シートの先端がシートセンサ79にて検知されてから各色の転写位置に到達するまでに要する時間T1は、色ごとに、T1=W/V(W=Wy,Wm,Wc,Wk)で求められる。
非形成モードでカラー印刷のジョブを受信した場合、シートがシートセンサ79にて検知された後、非先端タイミングまでの経過時間TQ2は、TQ2=T1+T2−T3−(T4k+T4c)で求めることができる。ただし、前述したように、T1とT2とは、色ごとに異なるため、経過時間TQ2は、色ごとに算出した経過時間TQ2のうち最短の時間である。つまり、min(Wy+Xy,Wm+Xm,Wc+Xc,Wk+Xk)=Sを用いて、経過時間TQ2は、TQ2=S/V−T3−(T4k+T4c)である。
プリンタ100は、非形成モードでカラー画像の印刷ジョブを受け付け、画像データ21の先端のブロックであるブロック22aに画像が無い場合、経過時間TQ1より長く経過時間TQ2より短い時間である経過時間TQを決定する。そして、プリンタ100は、シートの先端がシートセンサ79にて検知された後、経過時間TQが経過したタイミングにて、現像ローラ541のモードを、非形成モードからカラーモードに切り替える。なお、カラー画像の印刷ジョブを受け付けた時点で、現像ローラ541のモードがモノクロモードであれば、経過時間TQ2を、TQ2=S/V−T3−T4cで求めればよい。
以下、本形態のプリンタ100において、現像ローラ541のモードを切り替えて印刷を実行する動作を実現する印刷処理の手順について、図9のフローチャートを参照しつつ説明する。この印刷処理は、印刷ジョブを受け付けたことを契機に、CPU31によって実行される。プリンタ100は、印刷ジョブを、例えば、ネットワークインターフェース37またはUSBインターフェース38を介して外部から受け付けてもよいし、操作パネル40にて受け付けてもよい。この印刷処理を実行する契機となる印刷ジョブの受け付けは、受付処理の一例である。
印刷処理では、CPU31は、まず、現状の現像ローラ541のモードが、カラーモードであるか否かを判断する(S101)。カラーモードであると判断した場合(S101:YES)、CPU31は、画像形成部10に1枚の印刷を実行させる(S102)。既にカラーモードであれば、ジョブ中でのモードの切り替えは不要である。CPU31は、そのままのモードで印刷を実行する。
カラーモードではないと判断した場合(S101:NO)、CPU31は、印刷対象の画像データを解析し、各色のドットカウントを算出する(S105)。さらに、CPU31は、S105の結果に基づいて、各色の先端位置を取得する(S106)。S106は、特定処理の一例である。先端位置は、シートの搬送方向について、該当色の画像データが初めて現れる位置である。CPU31は、例えば、ブロックごとに所定数以上のドットの画像が含まれているか否かに基づいて先端画像ブロックを特定し、先端画像ブロックの1ライン目の位置を先端位置とする。なお、プリンタ100では、所定数に満たないドットはノイズであると判断し、画像形成の対象としない。
次に、CPU31は、印刷対象の画像がカラー画像であるか否かを判断する(S108)。そして、カラー画像ではないと判断した場合(S108:NO)、CPU31は、現状のモードがモノクロモードであるか否かを判断する(S110)。そして、モノクロモードであると判断した場合(S110:YES)、CPU31は、S102に進み、そのままのモードで印刷を実行する。印刷対象がモノクロ画像であって現像ローラ541のモードがモノクロモードであれば、モードを切り替える必要はない。
一方、モノクロモードではないと判断した場合(S110:NO)、CPU31は、モノクロモード切替タイミング決定処理を実行する(S111)。モノクロモード切替タイミング決定処理は、非形成モードからモノクロモードに切り替える切替タイミングQを決定する処理である。モノクロモード切替タイミング決定処理の手順について、図10のフローチャートを参照して説明する。
モノクロモード切替タイミング決定処理では、CPU31は、先端のブロックに画像が有るか否かを判断する(S201)。そして、先端のブロックに画像が有ると判断した場合(S201:YES)、CPU31は、切替タイミングQを、最先端タイミングまでの所定のタイミングに決定する(S202)。先端のブロックに画像が有る場合の切替タイミングQは、予め決まっている。プリンタ100は、先端のブロックに画像が有る場合の切替タイミングQに対応する経過時間TQ1を、例えば、ROM32に記憶している。
先端のブロックに画像が無いと判断した場合(S201:NO)、CPU31は、先端画像ブロックの位置に基づいて、前述したように、経過時間TQ2を算出する(S206)。経過時間TQ2は、シートがシートセンサ79にて検知された後、非先端タイミングまでの経過時間である。
具体的には、経過時間TQ2は、前述したように、TQ2=T1k+T2−T3−T4kにて求められる。また、T2は、先端のブロックと先端画像ブロックとの距離X(図6参照)を、シートの搬送速度Vで除した結果である。プリンタ100は、T1k,T3,T4kをそれぞれ、例えばROM32に記憶している。
さらに、CPU31は、算出した経過時間TQ2と、記憶している経過時間TQ1とに基づいて、切替タイミングQを決定する(S208)。CPU31は、シートセンサ79からの信号が、シートの無を示す信号からシートの有を示す信号に変化した時点から、切替タイミングQまでの経過時間TQを、経過時間TQ2より短く経過時間TQ1より長い時間とする。CPU31は、例えば、経過時間TQを、経過時間TQ1と経過時間TQ2との中間値とする。CPU31は、S202またはS208の後、モノクロモード切替タイミング決定処理を終了する。
図9の印刷処理の説明に戻り、印刷対象の画像が、カラー画像であると判断した場合(S108:YES)、CPU31は、画像データの先頭がブラックの画像であるか否かを判断する(S115)。つまり、CPU31は、S106にて取得した各色の先端位置のうち、ブラックの先端位置が最も先端側であるか否かを判断する。例えば、図11に示すように、シートの搬送方向について先頭側のブロック22bにはブラックの画像Pkのみが有り、ブロック22bよりも後端側のブロック22dにイエローの画像Pyとマゼンタの画像Pmとシアンの画像Pcとがある画像データ21であれば、CPU31は、画像データの先頭がブラックの画像であると判断する。
画像データの先頭がブラックの画像ではないと判断した場合(S115:NO)、CPU31は、カラーモード切替タイミング決定処理を実行する(S116)。カラーモード切替タイミング決定処理は、現状のモードからカラーモードに切り替える切替タイミングを決定する処理である。カラーモード切替タイミング決定処理の手順について、図12のフローチャートを参照して説明する。
カラーモード切替タイミング決定処理では、CPU31は、先端のブロックに画像が有るか否かを判断する(S301)。そして、先端のブロックに画像が有ると判断した場合(S301:YES)、CPU31は、切替タイミングQを、最先端タイミングまでの所定のタイミングに決定する(S302)。プリンタ100は、先端のブロックに画像が有る場合に、非形成モードまたはモノクロモードからカラーモードに切り替えるまでの経過時間TQ1を、例えばROM32に記憶している。
先端のブロックに画像が無いと判断した場合(S301:NO)、CPU31は、現状のモードがモノクロモードであるか否かを判断する(S305)。モノクロモードであると判断した場合(S305:YES)、CPU31は、T4=T4cとする(S306)。一方、モノクロモードではないと判断した場合(S305:NO)、CPU31は、T4=T4k+T4cとする(S307)。モノクロモードではない場合は、現状のモードは非形成モードである。プリンタ100は、T4c,T4kをそれぞれ、例えばROM32に記憶している。
そして、CPU31は、色ごとに、先端画像ブロックの位置に基づいて、前述したように、時間T2を算出する(S308)。そして、各色の時間(T1+T2)を算出し、それらのうちの最小値を算出する(S309)。時間T1は、シートセンサ79の検知位置から各色の転写位置までシートを搬送するのに要する時間である。プリンタ100は、色ごとの時間T1を、例えばROM32に記憶している。
さらに、CPU31は、算出した最小値に基づいて、経過時間TQ2を算出する(S310)。経過時間TQ2は、S309にて算出した最小値から、時間T3と、S306またはS307にて求めた時間T4と、を減じた値である。そして、CPU31は、算出した経過時間TQ2と、記憶している経過時間TQ1とに基づいて、切替タイミングQを決定する(S311)。CPU31は、S302またはS311の後、カラーモード切替タイミング決定処理を終了する。
図9の印刷処理の説明に戻り、画像データの先頭がブラックの画像であると判断した場合(S115:YES)、CPU31は、画像中に所定の隙間領域が有るか否かを判断する(S120)。隙間領域は、ブラックの画像が形成されない領域であって、シートの搬送方向の長さが、時間T4cの間にシートが移動する長さ以上である領域である。
画像データの先頭がブラックの画像であれば、ブラックの画像をモノクロモードで印刷した後、カラーの画像が有るブロックまでにカラーモードに切り替えることが考えられる。ただし、モードの切り替え時には、前述したようにギア544や接離カム543が駆動されることにより、振動が発生する。ブラックのプロセス部50Kの感光ドラム51上にトナー像が存在する期間にモードの切り替えを行うと、この振動により、形成中の画像に乱れが発生する可能性があるため好ましくない。
一方、受け付けた画像データ21が、例えば、図11に示すように、ブラックの画像Pkの先端位置であるブロック22bと他の3色の画像の先端位置であるブロック22dとの間に、画像が形成されないブロック22cが有る場合、プリンタ100は、ブロック22cへの画像形成に相当する期間中に、モノクロモードからカラーモードへ切り替える。この例でのブロック22cは、隙間領域の一例である。
CPU31は、S120にて、画像データ中に、モノクロモードからカラーモードへの切り替えに要する時間に相当する長さ以上の隙間領域があるか否かを判断する。隙間領域が無いと判断した場合(S120:NO)、CPU31は、S116のカラーモード切替タイミング決定処理(図12参照)を実行する。隙間領域が無ければ、CPU31は、各色の画像の先端位置に基づいて切替タイミングQを決定する。
一方、画像データ中に所定の隙間領域が有ると判断した場合(S120:YES)、CPU31は、モノクロモードに切り替えた後にさらにカラーモードに切り替える2段階切替タイミング決定処理を実行する(S121)。2段階切替タイミング決定処理の手順について、図13のフローチャートと図14のタイミングチャートとを参照して説明する。
2段階切替タイミング決定処理では、CPU31は、現状のモードがモノクロモードであるか否かを判断する(S401)。モノクロモードではないと判断した場合(S401:NO)、CPU31は、まず、モノクロモード切替タイミング決定処理(図10参照)を実行する(S402)。つまり、プリンタ100は、非形成モードであれば、ブラックの画像の先端位置に間に合うように、モノクロモードに切り替える切替タイミングQを決定する。
プリンタ100は、図14に示すように、非形成モードにて図11に示すような画像データを受け付けた場合、まず、時刻t4にて現像ローラ541のモードを非形成モードからモノクロモードに切り替える。時刻t1,t2,t4,t5は、図7に示した時刻と同じである。ただ、図14では、モノクロモードに切り替えるタイミングまでの経過時間TQを経過時間TQaとした。プリンタ100は、ブラックのプロセス部50Kの現像ローラ541と感光ドラム51とが時刻t5にて接触状態となった後、現像バイアスを印加して、ブラックのトナー像を形成する。
S402の後、または、モノクロモードであると判断した場合(S401:YES)、CPU31は、モノクロモードからカラーモードへ切り替えるタイミングを算出する。そのために、CPU31は、T4=T4cとする(S405)。次に、CPU31は、ブラック以外の3色について、時間T2を算出する(S406)。S406は、カラーモード切替タイミング決定処理のS308と同様の処理を、ブラック以外の3色について行う処理である。
さらに、CPU31は、ブラック以外の3色について、時間T1+T2の最小値を算出する(S407)。S407は、カラーモード切替タイミング決定処理のS309と同様の処理を、ブラック以外の3色について行う処理である。そして、CPU31は、算出した最小値に基づいて、ブラック以外の3色についての非先端タイミングまでの経過時間である経過時間TQ3を算出する(S408)。経過時間TQ3は、S407にて算出した最小値から、時間T3と時間T4とを減じた値である。
次に、CPU31は、隙間領域の先端の位置に相当する経過時間TQ4を決定する(S409)。つまり、CPU31は、ブロック22cの1ライン目にブラックの画像が有ると仮定した場合に、その1ライン目に転写されるトナーを現像ローラ541から感光ドラム51へ供給するタイミングまでの経過時間TQ4を決定する。経過時間TQ4は、Xをシートの先端からブロック22cまでの距離とした場合のT2(=X/V)を用いて、TQ4=T1k+T2−T3−T4kにて求められる。
そして、CPU31は、S408にて算出した経過時間TQ3と、S409にて算出した経過時間TQ4とに基づいて、切替タイミングQを決定し(S410)、2段階切替タイミング決定処理を終了する。CPU31は、例えば、シートセンサ79からの信号がシートの無を示す信号からシートの有を示す信号に変化した時点から、切替タイミングQまでの経過時間TQを、経過時間TQ4と経過時間TQ3との中間の時間とする。
プリンタ100は、図14に示すように、時刻t7にて現像ローラ541のモードをモノクロモードからカラーモードに切り替える。この切り替えに要する時間は、時間T4cである。図14では、カラーモードに切り替えるタイミングまでの経過時間TQを経過時間TQbとしている。経過時間TQbは、経過時間TQ4より長く、経過時間TQ3より短い。プリンタ100は、全てのプロセス部50の現像ローラ541と感光ドラム51とが時刻t8にて接触状態となった後、各色のトナー像を形成する。
プリンタ100は、画像データ中のブラックの画像の先端位置と、他の3色の画像の先端位置との間に、画像が形成されない隙間領域が有る場合に、まずモノクロモードに切り替え、その後、隙間領域にてカラーモードに切り替える。これにより、画像への悪影響を抑制しつつ、ブラック以外の3色の現像ローラ541が回転する期間を減らすことができる。
図9の印刷処理の説明に戻り、CPU31は、S111の後、または、S116の後、または、S121の後、画像形成部10に印刷動作を開始させる(S130)。具体的には、CPU31は、プロセス部5に動作を開始させ、各搬送部材を駆動させてシートを給紙トレイ91から給紙してプロセス部5へ向けて搬送させる。
そして、CPU31は、1枚の印刷が終了したか否かを判断する(S131)。終了していないと判断した場合(S131:NO)、CPU31は、モードを切り替えるタイミングである切替タイミングQであるか否かを判断する(S132)。切替タイミングQは、S111のモノクロモード切替タイミング決定処理、または、S116のカラーモード切替タイミング決定処理、または、S121の2段階切替タイミング決定処理の何れかにて決定している。
切替タイミングQであると判断した場合(S132:YES)、CPU31は、現像ローラ541のモードの切り替えを実行する(S133)。S133は、切替処理の一例である。S133の後、または、切替タイミングQではないと判断した場合(S132:NO)、CPU31は、S131に戻って、1枚の印刷が終了したか否かを判断する。
S102の後、または、S131にて1枚の印刷が終了したと判断した場合(S131:YES)、CPU31は、次に印刷する画像データが有るか否かを判断する(S135)。次の画像データが有ると判断した場合(S135:YES)、CPU31は、S101に戻って処理を繰り返す。次の画像データが無いと判断した場合(S135:NO)、CPU31は、現像ローラ541のモードを非形成モードに切り替え(S136)、印刷処理を終了する。
以上、詳細に説明したように、本形態のプリンタ100によれば、先端のブロックに画像が無い場合、現像ローラ541のモードを切り替える切替タイミングQを、最先端タイミングより後で、非先端タイミングより前のタイミングとする。非先端タイミングは、先端画像ブロックの1ライン目に転写されるトナーを現像ローラ541から感光ドラム51に供給するタイミングである。シートの先端から画像の先端位置までの距離が長い場合、非先端タイミングまでにモードの切り替えを行うことで、切り替えるタイミングが一律の場合と比較して、モードを切り替えるタイミングを遅らせることができる。すなわち、画像形成を行う場合であっても、現像ローラの回転を開始させるタイミングを遅らせることができる。その結果として、現像ローラが回転する期間を減らすことができる。
なお、本実施の形態は単なる例示にすぎず、本発明を何ら限定するものではない。したがって本発明は当然に、その要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良、変形が可能である。例えば、プリンタに限らず、複合機、複写機、FAX装置等、画像形成機能を備えるものであれば適用可能である。また、トナー像を直接シートに転写する方式のものに限らず、中間転写部材を用いる二次転写方式の画像形成装置にも適用可能である。
例えば、カラー印刷の可能なプリンタ100に限らず、モノクロ専用のプリンタであってもよい。その場合、カラーモードは不要であり、CPU31は、画像データに基づいて、モノクロモード切替タイミング決定処理を実行する。
また、駆動力の伝達状態を切り替える機構は、電磁クラッチ62,63に限らず、メカ式クラッチを用いてもよい。また、現像ローラ541と感光ドラム51との接触または離間を切り替える機構は、現像ローラ541を移動させる構成に限らず、感光ドラム51を移動させてもよい。現像ローラ541と感光ドラム51とが接触する接触状態とは、現像ローラ541と感光ドラム51との少なくとも一方が他方に近づく向きに移動することで、現像ローラ541と感光ドラム51とが接触した状態を指す。また、現像ローラ541と感光ドラム51とが離間する離間状態とは、現像ローラ541と感光ドラム51との少なくとも一方が他方から遠ざかる向きに移動することで、現像ローラ541と感光ドラム51とが離間した状態を指す。
また、接離カム543によって各色の現像ローラ541が一斉に移動する構成に限らず、各色の現像ローラをそれぞれ個別に移動できる構成であってもよい。その場合には、色ごとにモノクロモード切替タイミング決定処理と同様の処理を行えばよい。つまり、色ごとに、その色のトナー像を形成するタイミングに間に合うように、モードを切り替えるとすればよい。この場合にも、隙間領域の有無を考慮すればなおよい。
また、実施の形態では、両方向の回転が可能なモータ65を備えるとしたが、ギア544の回転方向を切り替えることができればよく、1方向のみに回転するモータとギア544の回転方向を切り替える構成との組み合わせで実現することもできる。
また、実施の形態では、画像データをブロックに分割して、ブロック単位での画像の有無に基づいて画像の先端位置を特定するとしたが、ブロックの分割はしなくてもよい。例えば、1ラインごとに画像の有無を判断してもよい。また、実施の形態では、シートの搬送方向についてブロックに分割するとしたが、シートの搬送方向に直交する方向にも分割してもよい。つまり、画像データを縦横に分割したブロックとしてもよい。
また、実施の形態では、切替タイミングQまでの経過時間の起点をシートセンサ79にてシートの先端が検知されたタイミングとしたが、これに限らない。例えば、シートセンサ79以外のセンサによってシートの先端が検知されたタイミングであってもよいし、給紙ローラ71によってシートの給紙が開始されたタイミングであってもよい。経過時間の起点の位置に応じて、時間T1を変更すればよい。
また、実施の形態では、2段階のモード切替は、ブラックの画像領域とカラー画像の領域との間に隙間領域が有る場合に行うとしたが、隙間領域が無くても行ってもよい。ただし、隙間領域が有る場合に行うことで、画質への悪影響を抑制できる。
また、実施の形態に開示されている処理は、単一のCPU、複数のCPU、ASICなどのハードウェア、またはそれらの組み合わせで実行されてもよい。また、実施の形態に開示されている処理は、その処理を実行するためのプログラムを記録した記録媒体、または方法等の種々の態様で実現することができる。