JP6974985B2 - ウレタン樹脂積層体、及びその製造方法 - Google Patents

ウレタン樹脂積層体、及びその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、ウレタン樹脂積層体、及びその製造方法に関する。
ポリウレタン樹脂を繊維布帛に積層したウレタン樹脂積層体は、防水布として、柔らかく伸縮性に優れていることにより、レインウエア―、ヤッケ、ウインドブレーカー、スキーウエア―、靴、帽子、手袋、寝袋、シーツ、テントなどに使用されている。
さらに、ポリウレタン樹脂を繊維布帛に積層したウレタン樹脂積層体は、柔らかく触感がよいため、合成皮革や人工皮革としても使用されている。具体的には、自動車用シートなどの自動車用内装材、ソファーなどの家具、鞄、スマートフォン用ケース、衣服、手袋、帽子、靴、ボールやグローブなどが例として挙げられる。
このようなウレタン樹脂膜、特に透湿性を有するウレタン樹脂膜は、防虫剤に含まれるN,N’−ジエチル−m−トルアマイド(DEETとも言う。)や化粧品に含まれる低級のアルコールに接触することにより、溶解、破壊され防水性が低下することが知られている。
このような問題に対し、官能基数が3以上のポリイソシアネートを有する有機ポリイソシアネートを原料に用いることにより、防虫剤や化粧品に含まれる溶剤に耐えうるウレタン樹脂膜を得ることができることが知られている。(特許文献1)
特開2010−215918号公報
オゾン層の破壊による紫外線の増加の懸念に加え、健康、美容意識の高まりにより紫外線による皮膚のダメージを抑えるために、日焼け止めクリームを使用する人が近年増加している。さらに、夏だけではなく、春秋、また冬においても日焼け止めクリームは使用され、その使用量や使用頻度も増えてきている。さらにUltraviolet Protection Factor 50+(UPF50+と略すこともある。)等の性能を有する紫外線遮蔽効果の高いクリームも市販されるようになってきている。
このような状況において、本発明者らは、透湿性を有していないポリウレタン樹脂を用いたウレタン樹脂積層体である合成皮革等においても、日焼け止めクリームが付着すると、その箇所が膨潤し外観品位が低下したり、ウレタン樹脂膜が剥がれるなどの劣化が起こることを発見した。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、日焼け止めクリームが付着した場合であっても、膨潤を抑え、風合いが柔らかく、防水性布帛として用いた場合には、防水性を維持し、合成皮革、人工皮革として用いた場合には、優れた外観品位を有するウレタン樹脂積層体を提供することを目的とする。さらに前記ウレタン樹脂積層体の製造方法を提供することを合わせて目的とする。
本発明者らは、鋭意検討した結果、以下のウレタン樹脂積層体が、上記課題を解決できることを見出した。
すなわち本発明は、以下の構成を有する。
[1]ポリウレタン樹脂を含む層と、ビニルアルコール系共重合体を含むバリア層と、を有する積層体が基布に貼り合わされ
前記ビニルアルコール系共重合体が、ポリビニルアルコール樹脂であるウレタン樹脂積層体。
[2]前記ポリウレタン樹脂を含む層が2層以上あり、少なくとも1層が表皮層で、少なくとも1層が接着層である[1]に記載のウレタン樹脂積層体。
[3]前記表皮層と前記バリア層が接合されており、前記表皮層が前記バリア層に対して前記基布のある方とは反対側に位置している[2]に記載のウレタン樹脂積層体。
[4]前記表皮層の厚みが、1μm以上100μm以下である[2]に記載のウレタン樹脂積層体。
[5]前記バリア層の厚みが、0.1μm以上100μm以下である[1]〜[]のいずれか1に記載のウレタン樹脂積層体。
[6]さらに前記基布のある方とは反対側の最も外側に位置している層として樹脂を含む表面処理層を有する[1]〜[]のいずれか1に記載のウレタン樹脂積層体。
[7]前記表面処理層の厚みが、0.01μm以上30μm以下である[]に記載のウレタン樹脂積層体。
[8]離型性基材の上に、ポリウレタン樹脂を含む樹脂溶液を塗布し表皮層を形成する工程、
前記表皮層の上に、ビニルアルコール系共重合体としてポリビニルアルコール樹脂を含む樹脂溶液を塗布し、バリア層を形成する工程、
前記バリア層と、基布とを、接着剤を介して貼り合わせる工程、
を含むウレタン樹脂積層体の製造方法。
本発明によれば、日焼け止めクリームが付着した場合であっても、膨潤を抑え、風合いが柔らかく、防水性布帛として用いた場合には、防水性を維持し、合成皮革、人工皮革として用いた場合には、優れた外観品位を有するウレタン樹脂積層体が提供される。さらに、前記ウレタン樹脂積層体の製造方法が提供される。
第1実施形態に係るウレタン樹脂積層体の層構成の一例を示す断面図である。 第2実施形態に係るウレタン樹脂積層体の層構成の一例を示す断面図である。 第3実施形態に係るウレタン樹脂積層体の層構成の一例を示す断面図である。 第4実施形態に係るウレタン樹脂積層体の層構成の一例を示す断面図である。
以下、本発明のウレタン樹脂積層体、及び前記ウレタン樹脂積層体の製造方法について説明する。以下の態様は、本発明を説明するための単なる例示であって、本発明をこの態様にのみ限定することは意図されない。本発明は、その趣旨を逸脱しない限り、様々な態様で実施することが可能である。
[ウレタン樹脂積層体]
本実施形態のウレタン樹脂積層体は、ポリウレタン樹脂を含む層と、ビニルアルコール系共重合体を含むバリア層と、を有する積層体が基布に貼り合わされた構造をとる。
<ポリウレタン樹脂を含む層>
本実施形態のウレタン樹脂積層体は、ポリウレタン樹脂を含む層を有する。ポリウレタン樹脂を含む層に含まれるポリウレタン樹脂としては、特に制限はなく、エーテル系、エステル系、カーボネート系等任意のものを用いることができる。
ポリウレタン樹脂を得る方法は、特に限定されず、従来公知の製造方法で合成されたものを用いてもよいし、市販品を用いてもよい。従来公知のポリウレタン樹脂の製造方法としては、主剤であるポリオールと硬化剤であるポリイソシアネートをウレタン化反応させることによって製造する方法が例として挙げられる。
従来公知のエーテル系、エステル系、カーボネート系ポリウレタン樹脂の製造方法としては、エーテル系ポリオールとポリイソシアネート、エステル系ポリオールとポリイソシアネート、カーボネート系ポリオールとポリイソシアネートをウレタン化反応させることによって製造する方法が例として挙げられる。
また、前記主剤であるポリオ―ル、硬化剤であるポリイソシアネートに加えて、触媒を含んでいてもよい。前記触媒としては、従来公知の塩基性触媒、スズ系触媒(例えば、ジラウリン酸ジブチルスズ)が例として挙げられる。
ポリウレタン樹脂を含む層は1層のみで構成されてもよく、2層以上から構成されてもよい。本実施形態のポリウレタン樹脂を含む層としては、表皮層、接着層、表面処理層、中間層等が例として挙げられる。
ポリウレタン樹脂を含む層が2層以上から構成される場合、少なくとも1層が表皮層で、少なくとも1層が接着層であることが好ましい。
以下、本実施形態のポリウレタン樹脂を含む表皮層、接着層について詳細に説明を行う。
<表皮層>
本実施形態の表皮層には、ポリウレタン樹脂が含まれる。また、ポリウレタン樹脂としては、エーテル系、エステル系、カーボネート系等任意のものを用いることができる。カーシート用などに用いられる場合には、耐久性の観点より、エーテル系及び/又はカーボネート系のポリウレタン樹脂が好ましく、特にカーボネート系ポリウレタン樹脂が好ましい。人工皮革、又は合成皮革としての前記ウレタン樹脂積層体の表面に汚れ除去性を付与したい場合には、フッ素変性やシリコーン変性されたポリウレタン樹脂を用いることが好ましく、特にシリコーン変性ポリカーボネート系ポリウレタン樹脂を用いることが好ましい。
ウレタン樹脂積層体が後述する防水布帛である場合、水に濡れた際に膨潤を抑えるとの観点からは、エステル系及び/又はカーボネート系のポリウレタン樹脂が好ましく、透湿性の観点からは、エーテル系が好ましい。
上記ポリウレタン樹脂としては一液型又はセミ一液型のものが好ましく用いられる。
これらのポリウレタン樹脂は、いずれか1種が単独で用いられても、2種以上が組み合わされて用いられてもよい。また、本発明の目的を逸脱しない範囲で他の樹脂を配合して用いてもよい。
ポリウレタン樹脂を得る方法は、特に限定されず、従来公知の製造方法で合成されたものを用いてもよいし、市販品を用いてもよい。従来公知の製造方法、及び市販品については、ポリウレタン樹脂を含む層においての説明と同様である。
表皮層には、着色のための顔料や意匠性や触感を変えるための球状粒子や紫外線吸収剤、酸化防止剤、抗菌剤、赤外線反射材、消臭剤、汚れ除去剤(以下、SR剤とも言う)、帯電防止剤、発泡剤、難燃剤などを含んでいてもよい。
本実施形態の表皮層の厚みは前記ウレタン樹脂積層体の用途やデザイン等に応じ任意に設定すればよいが、前記ウレタン樹脂積層体が後述する合成皮革、人工皮革等である場合には、1μm以上であることが好ましく、5μm以上であることがより好ましく、10μm以上であることがさらに好ましい。また、前記表皮層の厚みは、100μm以下であることが好ましく、50μm以下であることがより好ましく、30μm以下であることがさらに好ましい。なお、上述した上限値及び下限値は、任意に組み合わせることができる。
前記下限値以上であると、十分な磨耗強度が得られ、十分なシボ感を有する合成皮革、人工皮革等を得ることができる。また、前記上限値以下であると、日焼け止めクリームが付着した場合、膨潤の発生を抑制する効果が高まる。
ウレタン樹脂積層体が後述する防水布帛である場合、表皮層の厚みは、防水布帛の用途やデザイン等に応じ任意に設定すればよいが、1μm以上であることが好ましく、5μm以上であることがより好ましく、10μm以上であることが更に好ましい。また、前記表皮層の厚みは、100μm以下であることが好ましく、50μm以下であることがより好ましく、30μm以下であることがさらに好ましい。なお、上述した上限値及び下限値は、任意に組み合わせることができる。
前記下限値以上であると、十分な防水性を得ることができる。また、前記上限値以下であると、風合いの硬化、及び膨潤を抑制することができる。
本明細書において「表皮層の厚み」とは、ウレタン樹脂積層体における表皮層の積層方向の寸法を意味する。詳細は実施例で説明するが、表皮層の厚みは、例えば、ウレタン樹脂積層体の積層方向の断面を電子顕微鏡で観察することによって求めることができる。
また、表皮層は、多孔質膜、無孔質膜いずれであってもよい。
<接着層>
本実施形態の接着層は、例えば、基布とバリア層、基布と中間層、又は基布と表皮層を貼り合わせるための層である。接着層においても接着力や風合いの観点よりポリウレタン樹脂を含むことが好ましい。
ポリウレタン樹脂としては、エーテル系、エステル系、カーボネート系等任意のものを用いることができる。カーシート用などに用いる場合には、耐久性の観点より、エーテル系及び/又はカーボネート系のポリウレタン樹脂が好ましく、特にカーボネート系ポリウレタン樹脂が好ましい。また、ポリウレタン樹脂は、ホットメルト型、湿気硬化型又は2液反応型のポリウレタン樹脂が好ましく用いられる。
ウレタン樹脂積層体が後述する防水布帛である場合、接着層を形成する樹脂溶液には、基布とバリア層、基布と中間層、又は基布と表皮層との剥離強度(接着強度)の向上の観点より架橋剤や触媒を含んでいることが好ましい。また、架橋剤は、イソシアネート系、メラミン系、オキサゾリン系、カルボジイミド系、エポキシ系、アジリジン系など特に限定されるものではない。官能基を3以上有する架橋剤が好ましく、官能基を3以上有するイソシアネート系架橋剤がより好ましい。官能基を3以上有するイソシアネート系架橋剤については後述する。
また、イソシアネート系架橋剤は、ブロックタイプ、非ブロックタイプいずれであってもよい。前記触媒としてはポリウレタン樹脂を含む層で説明したものと同様である。
これらのポリウレタン樹脂は、いずれか1種が単独で用いられても、2種以上が組み合わされて用いられてもよい。
また、接着層は、無孔質膜であっても多孔質膜であってもよい。
ポリウレタン樹脂を得る方法は、特に限定されず、従来公知の製造方法で合成されたものを用いてもよいし、市販品を用いてもよい。従来公知の製造方法、及び市販品については、ポリウレタン樹脂を含む層においての説明と同様である。
本実施形態の接着層の厚みは、用途等に応じた求められる性能によっても異なり、また、接着層が無孔質膜であるか、多孔質膜であるかによっても異なるが1μm以上5000μm以下が好ましい。
無孔質膜の場合の接着層の厚みは、1μm以上であることが好ましく、10μm以上であることがより好ましく、20μm以上であることがさらに好ましい。また、前記接着層の厚みは、500μm以下であることが好ましく、300μm以下であることがより好ましく、100μm以下であることがさらに好ましい。なお、上述した上限値及び下限値は、任意に組み合わせることができる。
多孔質膜の場合の接着層の厚みは、10μm以上であることが好ましく、50μm以上であることがより好ましい。また、前記接着層の厚みは、1000μm以下であることが好ましく、700μm以下であることがより好ましく、500μm以下であることがさらに好ましい。なお、上述した上限値及び下限値は、任意に組み合わせることができる。
どちらの場合も、前記下限値以上であると接着する層との剥離強度(接着強度)が十分となり、前記上限値以下であると得られるウレタン樹脂積層体の風合いが硬くなることを抑制することができる。
本明細書において「接着層の厚み」とは、ウレタン樹脂積層体における接着層の積層方向の寸法を意味する。詳細は実施例で説明するが、接着層の厚みは、例えば、ウレタン樹脂積層体の積層方向の断面を電子顕微鏡で観察することによって求めることができる。
また、接着層として多孔質膜を用いた場合、前記ウレタン樹脂積層体が合成皮革、人工皮革等の場合、ボリューム感のある合成皮革、人工皮革等が得られる。
また、接着層には、本発明の目的を逸脱しない範囲で、着色のための顔料や意匠性や触感を変えるための球状粒子や紫外線吸収剤、酸化防止剤、抗菌剤、赤外線反射材、消臭剤、SR剤、帯電防止剤、発泡剤、難燃剤などを含んでいてもよい。
<バリア層>
本実施形態においてバリア層は、日焼け止めクリームが接着層、中間層等に浸透するのを防ぐために設けられる層である。前記バリア層にとしては、ビニルアルコール系共重合体を用いることが好ましい。ビニルアルコール系共重合体としては、ポリビニルアルコール樹脂、エチレン−ビニルアルコール樹脂などが例として挙げられる。なお、ポリビニルアルコール樹脂、エチレン−ビニルアルコール樹脂は、酢酸基を持つものを含んでいてもよい。これらのポリビニルアルコール系共重合体は、いずれか1種が単独で用いられても、2種以上が組み合わされて用いられてもよい。また、本発明の目的を逸脱しない範囲で塩化ビニル樹脂など他の樹脂を配合して用いてもよい。
ポリビニルアルコール系樹脂を得る方法は、特に限定されず、従来公知の製造方法で合成されたものを用いてもよいし、市販品を用いてもよい。従来公知のポニビニルアルコール系樹脂の製造方法としては、ポリ酢酸ビニル系樹脂をけん化することにより製造する方法が例として挙げられる。ポリ酢酸ビニル系樹脂は、酢酸ビニルの単独重合体であるポリ酢酸ビニルのほか、酢酸ビニルと酢酸ビニルに共重合可能な他の単量体との共重合体であることもできる。酢酸ビニルに共重合可能な他の単量体としては、例えば、不飽和カルボン酸類、オレフィン類、ビニルエーテル類、不飽和スルホン酸類、アンモニウム基を有するアクリルアミド類などが挙げられる。
従来公知のポリビニルアルコール樹脂の製造方法としては、酢酸ビニルを重合して得られるポリ酢酸ビニルをけん化することにより製造する方法が例として挙げられる。
また、従来公知のエチレン−ビニルアルコール樹脂の製造方法としては、エチレンと酢酸ビニルを共重合して得られるエチレン−酢酸ビニル共重合体をけん化することにより製造する方法が例として挙げられる。
ポリビニルアルコールの市販品としては、株式会社クラレのクラレポバールPVA205(商標)が例として挙げられる。エチレン−ビニルアルコール樹脂の市販品としては、株式会社クラレの16DXが例として挙げられる。
得られるウレタン樹脂積層体の外観品位や意匠性の観点及び環境配慮の観点からポリビニルアルコール系樹脂の中でもポリビニルアルコール樹脂が好ましい。前記エチレン−ビニルアルコール共重合体は、水に溶解させることができないため、プロピルアルコールなどの各種有機溶剤に溶解して用いる必要がある。一方、ポリビニルアルコール樹脂は、有機溶剤を含まない水溶液とすることができるため、ウレタン樹脂積層体の製造上における環境配慮の点から好ましい。
バリア層には、着色のための顔料や意匠性や触感を変えるための球状粒子や紫外線吸収剤、酸化防止剤、抗菌剤、赤外線反射材、消臭剤、SR剤、帯電防止剤、発泡剤、難燃剤などを含んでいてもよい。
本実施形態のバリア層の厚みは、0.1μm以上であることが好ましく、1μm以上であることがより好ましく、5μm以上であることがさらに好ましい。また、前記バリア層の厚みは、100μm以下であることが好ましく、60μm以下であることがより好ましく、40μm以下であることがさらに好ましい。なお、上述した上限値及び下限値は、任意に組み合わせることができる。
前記下限値以上であると、日焼け止めクリームによる膨潤抑制効果が向上し、前記上限値以下であると、得られるウレタン樹脂積層体の風合いが硬くなることを抑制することができる。
本明細書において、「バリア層の厚み」とは、ウレタン樹脂積層体におけるバリア層の積層方向の寸法を意味する。詳細は実施例で説明するが、バリア層の厚みは、例えば、ウレタン樹脂積層体の積層方向の断面を電子顕微鏡で観察することによって求めることができる。
また、バリア層は、日焼け止めクリームによる膨潤を抑制するとの観点から無孔質膜であることが好ましい。
<基布>
本実施形態の基布としては、ポリエステル、ナイロン、アクリル、ポリウレタン、アセテート、レーヨン、ポリ乳酸、アラミドなどの化学繊維、綿、麻、絹、羊毛等の天然繊維やこれらの混繊、混紡、交織品、交編品であってもよく、特に限定されるものではない。また、それらは織物、編物、不織布等いかなる形態であってもよい。
また、接着層と基布との接着性を高めるとの観点からは起毛やサンディングやバフィングなど、基布の表面に毛羽を発生させておくとよい。また、肌触りをやさしくしたり、風合いを柔らかくする観点からは、基布の片面又は両面に起毛やサンディングやバフィングなどを施してもよい。
また、基布は、染色、捺染をはじめ、制電加工、撥水加工、抗菌防臭加工、制菌加工、難燃性、紫外線遮蔽加工、消臭加工、吸水加工、吸湿加工などを施してあってもよい。
また、織物、編物、不織布等の上に、ポリウレタン樹脂等からなる多孔質層を有するものであってもよい。
また、人工皮革を得る場合には、基布として、マイクロファイバーを用いた不織布ベースのものやマイクロファイバーを用いた不織布に樹脂を含浸させたものを用い、例えば、東レ株式会社のエクセーヌ(登録商標)や株式会社クラレのクラリーノ(登録商標)の銀面を付与する前の人工皮革を用いればよい。
本実施形態の基布の厚みは前記ウレタン樹脂積層体の用途やデザイン等に応じ任意に設定すればよいが、前記ウレタン樹脂積層体が人工皮革、又は合成皮革の場合、100μm以上であることが好ましく、300μm以上であることがより好ましく、500μm以上であることがさらに好ましい。また、前記基布の厚みは、6000μm以下であることが好ましく、4000μm以下であることがより好ましく、2000μm以下であることがさらに好ましい。なお、上述した上限値及び下限値は、任意に組み合わせることができる。
前記下限値以上であると、得られる人工皮革、又は合成皮革の強度と外観品位を向上させることができる。また、前記上限値以下であると、得られる人工皮革、又は合成皮革の風合いや取扱い性を向上させることができる。
本実施形態の基布の厚みは、前記ウレタン樹脂積層体が防水布帛の場合、30μm以上であることが好ましく、50μm以上であることがより好ましく、100μm以上であることがさらに好ましい。また、前記基布の厚みは、1000μm以下であることが好ましく、800μm以下であることがより好ましく、500μm以下であることがさらに好ましい。なお、上述した上限値及び下限値は、任意に組み合わせることができる。
前記下限値以上であると、得られる防水布帛の強度と外観品位を向上させることができる。また、前記上限値以下であると、得られる防水布帛の風合いや取扱い性を向上させることができる。
本明細書において「基布の厚み」とは、ウレタン樹脂積層体における基布の積層方向の寸法を意味する。詳細は実施例で説明するが、基布の厚みは、例えば、ウレタン樹脂積層体の積層方向の断面を電子顕微鏡で観察することによって求めることができる。
本実施形態のウレタン樹脂積層体は、前述したポリウレタン樹脂を含む表皮層、ビニルアルコール系共重合体を含むバリア層、ポリウレタン樹脂を含む接着層、基布以外にも本発明の目的を逸脱しない範囲でさらに表面処理層、中間層等の他の層を有していてもよい。
<表面処理層>
表面処理層に用いられる樹脂は、本発明の目的を逸脱しない範囲で任意に選択することができ、ポリウレタン樹脂、シリコーン樹脂、フッ素樹脂、塩化ビニル樹脂、アクリル樹脂、ナイロン樹脂、ポリオレフィン樹脂等を挙げることができる。これらの樹脂は、いずれか1種が単独で用いられても、2種以上が組み合わされて用いられてもよい。得られるウレタン樹脂積層体の触感の観点からは、ポリウレタン樹脂を含むことが好ましくエーテル系、エステル系、カーボネート系等任意のものを用いることができる。これらのポリウレタン樹脂は、いずれか1種が単独で用いられても、2種以上が組み合わされて用いられてもよい。
また、カーシート用などに用いる場合には耐久性の観点より、エーテル系及び/又はカーボネート系のポリウレタン樹脂が好ましく、特にカーボネート系ポリウレタン樹脂が好ましい。
また、ウレタン樹脂積層体が人工皮革、又は合成皮革であって、前記ウレタン樹脂積層体の表面に汚れ除去性を付与したい場合には、フッ素変性やシリコーン変性されたポリウレタン樹脂を用いることが好ましく、特にシリコーン変性ポリカーボネート系ウレタン樹脂を用いることが好ましい。
ポリウレタン樹脂を得る方法は、特に限定されず、従来公知の製造方法で合成されたものを用いてもよいし、市販品を用いてもよい。従来公知の製造方法、及び市販品については、ポリウレタン樹脂を含む層においての説明と同様である。
本実施形態の表面処理層の厚みは、0.01μm以上であることが好ましく、0.1μm以上であることがより好ましく、1μm以上であることがさらに好ましい。また、前記表面処理層の厚みは、30μm以下であることが好ましく、20μm以下であることがより好ましく、10μm以下であることがさらに好ましい。なお、上述した上限値及び下限値は、任意に組み合わせることができる。
前記下限値以上であると、磨耗強度の向上や風合いや触感の付与や着色、また、防汚性能、消臭性能など各種機能性など表面処理層を設けた目的を十分に得ることができ、前記上限値以下であると、得られるウレタン樹脂積層体の風合いが硬くなることを抑制することができる。
本明細書において「表面処理層の厚み」とは、ウレタン樹脂積層体における表面処理層の積層方向の寸法を意味する。詳細は実施例で説明するが、表面処理層の厚みは、例えば、ウレタン樹脂積層体の積層方向の断面を電子顕微鏡で観察することによって求めることができる。
<中間層>
本実施形態の形態において、前記ウレタン樹脂積層体のボリューム感(厚み)を増すため、若しくはウレタン樹脂積層体が後述する防水布帛である場合で前記ウレタン樹脂積層体の防水性の向上の目的で、任意ではあるが例えば、表皮層と接着層、表皮層とバリア層、バリア層と接着層の間に1層以上の中間層を設けてもよい。
中間層は、無孔質膜であっても、多孔質膜であってもよく、目的のウレタン樹脂積層体に応じて選択すればよい。
また、中間層の厚みも、特に限定されるものではなく、無孔質膜であるか、多孔質膜であるかによっても異なるが1μm以上5000μm以下であることが好ましい。
本明細書において「中間層の厚み」とは、ウレタン樹脂積層体における中間層の積層方向の寸法を意味する。詳細は実施例で説明するが、中間層の厚みは、例えば、ウレタン樹脂積層体の積層方向の断面を電子顕微鏡で観察することによって求めることができる。
中間層を形成する樹脂はポリウレタン樹脂が好ましい。カーシート用などに用いる場合には、耐久性の観点より、エーテル系及び/又はカーボネート系のポリウレタン樹脂が好ましく、特にカーボネート系ポリウレタン樹脂が好ましい。これらのポリウレタン樹脂は、いずれか1種が単独で用いられても、2種以上が組み合わされて用いられてもよい。
ポリウレタン樹脂を得る方法は、特に限定されず、従来公知の製造方法で合成されたものを用いてもよいし、市販品を用いてもよい。従来公知の製造方法、及び市販品については、ポリウレタン樹脂を含む層においての説明と同様である。
ウレタン樹脂積層体の総厚みは、前記ウレタン樹脂積層体が人工皮革、又は合成皮革の場合、120μm以上であることが好ましく、350μm以上であることがより好ましく、550μm以上であることがさらに好ましい。また、前記ウレタン樹脂積層体の総厚みは、10000μm以下であることが好ましく、8000μm以下であることがより好ましく、4000μm以下であることがさらに好ましい。なお、上述した上限値及び下限値は、任意に組み合わせることができる。
ウレタン樹脂積層体の総厚みは、前記ウレタン樹脂積層体が防水布帛の場合、50μm以上であることが好ましく、70μm以上であることがより好ましく、120μm以上であることがさらに好ましい。また、前記ウレタン樹脂積層体の総厚みは、1000μm以下であることが好ましく、850μm以下であることがより好ましく、550μm以下であることがさらに好ましい。なお、上述した上限値及び下限値は、任意に組み合わせることができる。
本明細書において「ウレタン樹脂積層体の総厚み」とは、ウレタン樹脂積層体の積層方向の寸法を意味する。すなわち、「ウレタン樹脂積層体の総厚み」とは、表皮層の厚み、バリア層の厚み、接着層の厚み、基布の厚み、表面処理層の厚み、中間層の厚み、その他ウレタン樹脂積層体に含まれる全ての層の厚みを合計した厚みを意味する。
詳細は実施例で説明するが、ウレタン樹脂積層体の総厚みは、例えば、ウレタン樹脂積層体の積層方向の断面を電子顕微鏡で観察することによって求めることができる。また、ウレタン樹脂積層体の総厚みは、前記表皮層の厚み、前記バリア層の厚み、前記接着層の厚み、前記基布の厚み、前記表面処理層の厚み、前記中間層の厚み、その他ウレタン樹脂積層体に含まれる全ての層の厚みをそれぞれ測定し、その値を合計することによっても得ることができる。
上述した各層を任意に積層させて、本実施形態のウレタン樹脂積層体を得ることができる。本実施形態のウレタン樹脂積層体がポリウレタン樹脂を含む層として表皮層を含む場合、バリア層と前記表皮層は接合されていることが好ましく、前記表皮層が基布のある方とは反対側に位置していることが好ましい。以下、特に好ましい積層構成を図1〜4を参照しながら説明する。
(第1実施形態:合成皮革)
以下、本発明の第1実施形態に係るウレタン樹脂積層体について、図1を参照して説明を行う。
本実施形態のウレタン樹脂積層体20は、合成皮革又は人工皮革である。特に銀付といわれる表皮層を有する合成皮革又は人工皮革である。
本実施形態の合成皮革は、ポリウレタン樹脂を含む表皮層10と、ビニルアルコール系共重合体を含むバリア層11と、ポリウレタン樹脂を含む接着層12と、基布13と、がこの順番にて積層されているウレタン樹脂積層体20である。すなわち、表皮層10がバリア層11に対して基布13のある方とは反対側に位置していることを特徴とする。
本実施形態のウレタン樹脂積層体20は、自動車用シート等の自動車用内装材、ソファー等の家具、鞄、スマートフォンケース、衣服、手袋、帽子、靴、ボールやグローブ等などに主として用いられるがこれらに限定されるものではない。
本実施形態では、前記表皮層10と前記バリア層11が接合されている。本実施形態のウレタン樹脂積層体が例えば合成皮革であり、カーシートに用いられる場合は、前記ウレタン樹脂積層体の基布のある方とは反対側の面がシートに座る人と接する面となる。以下、本明細書において、ウレタン樹脂積層体の基布のある方とは反対側を「外側」といい、最も外側に位置している層を「最外層」と言う。すなわち、前記第1実施形態においては、最外層は、表皮層10となる。
また、本実施形態のウレタン樹脂積層体を自動車用シートや靴などに用いる場合には、合成皮革の磨耗強度を向上させるため、表皮層10のさらに外側に表面処理層を有する構成とすることが好ましい。この場合、本実施形態のウレタン樹脂積層体の最外層は表面処理層となる。前記表面処理層を最外層として有することで、得られるウレタン樹脂積層体の磨耗強度の向上や風合いや触感の付与や着色、また、防汚性能、消臭性能など各種機能性、意匠性を付与することが可能となる。
なお、表面処理層は、表皮層10の全面を隙間なく覆うものが好ましいが、ドット状や格子状など表皮層10の一部を覆うものであってもよい。
合成皮革のボリューム感(厚み)を増すために、前記バリア層11を多孔質層としたり、前記ウレタン樹脂積層体中に1層以上の中間層を設けたり、基布の表面に多孔質層を設けてもよい。
本実施形態のウレタン樹脂積層体20は、バリア層11を有することにより、ポリウレタン樹脂を含む接着層12、及び中間層への日焼け止めクリームの浸透を防ぎ、結果として前記ウレタン樹脂積層体20の膨潤を抑え、かつポリウレタン樹脂を含む表皮層10が前記バリア層11よりも外側にあることで、触感のよさを保てるという効果を得ることができる。
(第2実施形態:合成皮革)
以下、本発明の2実施形態に係るウレタン樹脂積層体について、図2を参照して説明を行う。
本実施形態のウレタン樹脂積層体21は、合成皮革又は人工皮革である。特に銀付といわれる表皮層を有する合成皮革又は人工皮革である。
本実施形態のウレタン樹脂積層体は、自動車用内装材、家具、鞄、スマートフォンケース、衣服、手袋、帽子、靴、ボールやグローブ等などに主として用いられるがこれらに限定されるものではない。
本実施形態の合成皮革は、ビニルアルコール系共重合体を含むバリア層11とポリウレタン樹脂を含む表皮層10とポリウレタン樹脂を含む接着層12と基布13がこの順番にて積層されているウレタン樹脂積層体21である。
第1実施形態に係るウレタン樹脂積層体20とは、バリア層11が表皮層10よりも外側に積層されている点が異なる。本実施形態では、バリア層11が表皮層10よりも外側にあるため、日焼け止めクリームに対する膨潤性を抑える効果がより発揮されやすい。
前記第2実施形態のように最外層としてバリア層11をポリウレタン樹脂を含む表皮層10よりも外側の表面に設けた場合、表皮層10が最外層にあるものに比べ、光沢があり、また、触感が大きく異なるおそれがある。したがって、本実施形態のバリア層11には、得られるウレタン樹脂積層体の触感や光沢をポリウレタン樹脂からなる表皮層が外側の表面に有するものに近づける目的により、塩化ビニル樹脂、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、シリコーンゴム、無機微粒子などからなる粒状物等を添加してもよい。
これらの粒状物は、0.1〜30μm程度のものが好ましく、1〜10μmのものがより好ましい。
また、バリア層11を最外層とした場合には、前記の通り光沢があり、また、触感が大きく異なるおそれがある。この点を解消したい場合にはバリア層11のさらに外側に表面処理層を設けることが好ましい。なお、表面処理層は、バリア層12の全面を隙間なく覆うものが好ましいが、ドット状や格子状などバリア層の一部を覆うものであってもよい。
合成皮革のボリューム感(厚み)を増すために、前記バリア層を多孔質層としたり、表皮層と接着層の間に1層以上の中間層を有するものとしたり、基布の表面に多孔質層を有するものとしてもよい。
本実施形態のウレタン樹脂積層体21は、バリア層11を有することにより、ポリウレタン樹脂を含む表皮層10、接着層12、及び中間層への日焼け止めクリームの浸透を防ぎ、結果として前記ウレタン樹脂積層体21の膨潤を抑制することができる。
(第3実施形態及び第4実施形態:防水布帛)
以下、本発明の第3実施形態、及び第4実施形態に係るウレタン樹脂積層体について、図3、及び4を参照して説明を行う。
本実施形態のウレタン樹脂積層体は、防水布帛である。前記ウレタン樹脂積層体中に防水性を有する膜を有していることにより、防水布帛となる。防水布帛としての防水性のレベルや触感等の観点からは、前記ウレタン樹脂積層体中に防水性を有する膜としてポリウレタン樹脂を含む膜やポリテトラフルオロエチレン膜を有していることが好ましい。
第3実施形態、及び第4実施形態の防水布帛は、ポリウレタン樹脂を含む層と、ビニルアルコール系共重合体を含むバリア層、を有する積層体が基布に貼り合わされた防水性を有するウレタン樹脂積層体である。上述した通り、防水性を有するためには、防水性を有する膜を有している必要があり、前記防水性を有する膜は、前記ポリウレタン樹脂を含む層に含まれていてもよいし、別の層として含まれていてもよい。
第1実施形態、第2実施形態に係るウレタン樹脂積層体は天然皮革を模したものであるが、第3実施形態、及び第4実施形態に係るウレタン樹脂積層体は、防水性を有する布帛の代用として用いるものであり、レインウエア―、ヤッケ、ウインドブレーカー、スキーウエア―、靴、帽子、手袋、寝袋、シーツ、テントなどに用いられるが、これらに限定されるものではない。以下、図3、及び4を参照して第3実施形態、及び第4実施形態に係るウレタン樹脂積層体を説明する。
第3実施形態の防水布帛であるウレタン樹脂積層体は、ビニルアルコール系共重合体を含むバリア層11と、ポリウレタン樹脂を含む表皮層14と、ポリウレタン樹脂を含む接着層12と、基布15と、をこの順に有するウレタン樹脂積層体22である。すなわち、表皮層14がバリア層11に対して基布15のある方に位置していることを特徴とする。
第4実施形態の防水布帛であるウレタン樹脂積層体は、ポリウレタン樹脂を含む表皮層14と、ビニルアルコール系共重合体を含むバリア層11と、ポリウレタン樹脂を含む接着層12と、基布15と、をこの順に有するウレタン樹脂積層体23である。すなわち、表皮層14がバリア層11に対して基布15のある方とは反対側に位置していることを特徴とする。
前記第3実施形態において、例えば、ビニルアルコール系共重合体を含むバリア層11とポリウレタン樹脂を含む表皮層14の間、前記表皮層14とポリウレタン樹脂を含む接着層12の間、前記接着層12と基布15の間に防水性を有する膜として多孔質のポリテトラフルオロエチレン膜(以下、多孔質PTFE膜ともいう。)等を有していてもよく、前記表皮層14と前記接着層12の間、又は前記接着層12と基布15の間に多孔質PTFE膜等を有していることが好ましい。
また、前記第4実施形態において、例えば、ポリウレタン樹脂を含む表皮層14とビニルアルコール系共重合体を含むバリア層11の間、前記バリア層11とポリウレタン樹脂を含む接着層12の間、前記接着層12と基布15の間に防水性を有する膜として多孔質PTFE膜等を有していてもよく、前記接着層12と基布15の間、又は前記バリア層11と前記接着層12の間に多孔質PTFE膜等を有していることが好ましい。
前記第3実施形態、及び第4実施形態のウレタン樹脂積層体を、レインウエア―等に用いた場合、基布15側が外側(肌側と反対面)となってもよいし、第3実施形態ではバリア層11側が、第4実施形態では表皮層14側が外側(肌側と反対面)となってもよい。
第3実施形態は、バリア層11が直接、日焼け止めクリームと接触する可能性が高いため、日焼け止めクリームに対する膨潤性を抑える効果がより効果的であり、防水性にも優れるものである。
、第4実施形態は、表皮層14が肌に直接接触する可能性が高いが、肌に触れた際の触感がよく、また、表皮層14の次にバリア層11も有しているため、膨潤性を抑えながら防水性も維持することができる。
得られる防水性布帛の耐水度は、500mm以上が好ましい。なお、耐水度は、JIS L1092 耐水度試験(静水圧法)A法(低水圧法)に準じて測定することができる。耐水度測定時における表側(水に当たる試験片の面)としては、防水布帛の各面で測定し、両面とも500mm以上を有しているとよい。
前記第1実施形態、第2実施形態と同様に、第3実施形態、及び第4実施形態においても、本発明の目的を逸脱しない範囲で、最外層に表面処理層を有していてもよい。第3実施形態の場合、最外層に位置するバリア層11のさらに外側に表面処理層が積層される。第4実施形態の場合、最外層に位置する表皮層14のさらに外側に表面処理層が積層される。
表面処理層は、得られる防水布の磨耗強度の向上や風合いや触感の付与や着色、また、消臭性能など各種機能性、意匠性を付与するために有するものである。
なお、表面処理層は、第3実施形態においてはバリア層11、第4実施形態においては表皮層14の全面を隙間なく覆うものが好ましいが、ドット状や格子状など表皮層の一部を覆うものであってもよい。
本実施形態の形態においても、任意であるが、防水性の向上等の目的で、例えば、表皮層と接着層の間に1層以上の中間層を設けてもよい。中間層は、無孔質膜であっても、多孔質膜であってもよく、目的の防水布帛に応じて選択すればよい。前記中間層としては、すでに前述した中間層を構成する樹脂を用いてもよいし、本実施形態においては、ポリテトラフルオロエチレンの多孔質膜などを用いることもできる。
(第1実施形態のウレタン樹脂積層体の製造方法)
次に、第1実施形態のウレタン樹脂積層体:その中でも合成皮革の一製造方法について説明をおこなう。なお、本発明は以下の製造方法に限定されるものではない。また、上記にて説明した事項については一部説明を省略する。
本実施形態の合成皮革の製造方法は、離型性基材の上に、ポリウレタン樹脂を含む樹脂溶液を塗布し表皮層を形成する工程、前記表皮層の上に、ビニルアルコール系共重合体を含む樹脂溶液を塗布し、バリア層を形成する工程、前記バリア層と、基布とを、接着剤を介して貼り合わせる工程、を含むものである。
本実施形態で使用される離型性基材は、特に限定はないが、ポリウレタン樹脂、ポリビニルアルコール樹脂に対して離型性を有する基材、又は離型処理を施した基材であればよい。例えば、離型紙、離型布、撥水処理布、ポリエチレン樹脂、又はポリプロピレン樹脂などからなる離型フィルム、フッ素樹脂離型フィルムなどが例として挙げられる。前記離型性基材は凹凸模様を有していてもよく、このような離型性基材を用いることにより、人工皮革、合成皮革の表面にダル感や光沢感を付与したり、シボを成形するなどして意匠性を付与することができる。
まず、表皮層を形成するため離型性基材の上に、ポリウレタン樹脂を含む樹脂溶液を塗布する。ポリウレタン樹脂溶液は、ポリウレタン樹脂を溶媒に溶解、分散、乳化等したものである。溶媒は、水、ジメチルホルムアミド(以下、DMFとも言う)、メチルエチルケトン、トルエン、エチルアルコール等やこれらの配合物など任意のものを用いることができるが、環境負荷の観点からは有機溶剤を用いずに、水を用いることが好ましい。
また、ポリウレタン樹脂を含む樹脂溶液は、溶剤を含まずにポリウレタン樹脂を加熱により溶融したものであってもよい。
前記樹脂溶液には、日焼け止めクリームによるポリウレタン樹脂膜の膨潤抑制及び表皮層の磨耗強度及びバリア層との剥離強度(接着強度)の向上の観点より架橋剤や触媒を含んでいるとよい。前記触媒は、ポリウレタン樹脂を含む層で説明したものと同様のものを用いることができる。また、架橋剤は、イソシアネート系、メラミン系、オキサゾリン系、カルボジイミド系、エポキシ系、アジリジン系など特に限定されるものではない。官能基を3以上有する架橋剤が好ましく、官能基を3以上有するイソシアネート系架橋剤がより好ましい。
官能基を3以上有するポリイソシアネート系架橋剤としては、例えば、有機ジイソシアネート(3モル)とトリメチロールプロパン(TMP)(1モル)を反応させたウレタン変性体(例えば、HDI又はIPDI又はTDIとTMPとを反応させた変性体など)、有機ジイソシアネート(3モル)と水(1モル)を反応させたビューレット変性体(例えば、HDI又はIPDIと水を反応させた変性体など)、有機ジイソシアネートのイソシアヌレート変性体(例えば、HDI又はIPDI又はTDIの3量体など)、前記変性体の2量体(例えば、前記ウレタン変性体又はビューレット変性体又はイソシアヌレート変性体(2モル)と水又はEG(1モル)とを反応させた変性体など)、前記変性体の3量体(例えば、前記ウレタン変性体又はビューレット変性体又はイソシアヌレート変性体(3モル)と水又はEG(2モル)とを反応させた変性体など)など、及びこれらの2種以上の混合物などが挙げられる。上記においてHDIはヘキサメチレンジイソシアネート、IPDIは、イソホロンジイソシアネート、TDIはトルエンジイソシアネートを示す。
これらのうち好ましいものは、脂肪族ジイソシアネートを用いた前記変性体である脂肪族ポリイソシアネート及び脂環式ジイソシアネートを用いた前記変性体である脂環式ポリイソシアネート及びこれらの2種以上の混合物が挙げられ、さらに好ましくはイソシアヌレート変性体の脂肪族ポリイソシアネート、イソシアヌレート変性体の脂環式ポリイソシアヌレート及びこれらの2種以上の混合物が挙げられ、特に好ましくはHDIのイソシアヌレート変性体、IPDIのイソシアヌレート変性体及びこれらの混合物が挙げられる。官能基数の上限は特に限定されるものではないが5程度である。
また、イソシアネート系架橋剤は、ブロックタイプ、非ブロックタイプいずれであってもよい。
また、前記樹脂溶液には、着色のための顔料や意匠性や触感を変えるための球状粒子や紫外線吸収剤、酸化防止剤、抗菌剤、赤外線反射材、消臭剤、SR剤、帯電防止剤、難燃剤、触媒などが含まれていてもよい。
離型性基材への前記樹脂溶液の塗布は、ナイフコーター、バーコーター、コンマコーター、ダイコーター、押出しコ−ター等公知の方法で塗布すればよい。
樹脂溶液を塗布した後、60℃〜150℃にて、15秒間から60分間程度乾燥し溶媒を揮発させ、必要に応じて130℃〜180℃にて15秒間〜60分間熱処理を行い、表皮層を形成する。
次のバリア層を形成する工程は、引き続き連続して行ってもよいし、各工程ごとにエージングを行ってもよい。エージング条件は室温〜90℃程度で、0.5時間〜100時間程度である。
次に、表皮層の上に、ビニルアルコール系共重合体を含む樹脂溶液を塗布し、バリア層を形成する。
ビニルアルコール系共重合体を含む樹脂溶液は、溶媒に溶解、分散、乳化等したものを用いる。溶媒は、水、DMF、メチルエチルケトン、トルエン、エチルアルコール、メチルアルコール等やこれらの配合物など任意のものを用いることができるが、環境負荷の観点からは有機溶剤を用いずに、水を用いることが好ましい。
また、ビニルアルコール系共重合体を含む樹脂溶液は、ビニルアルコール系共重合体を加熱により溶融したものであってもよい。
前記ビニルアルコール系共重合体を含む樹脂溶液に、塩化ビニル樹脂、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、シリコーンゴム、無機微粒子などからなる粒状物等を添加してもよい。
前記樹脂溶液には、表皮層との剥離強度(接着強度)の向上の観点より架橋剤や触媒を含んでいることが好ましい。また、架橋剤は、イソシアネート系、メラミン系、オキサゾリン系、カルボジイミド系、エポキシ系、アジリジン系など特に限定されるものではない。官能基を3以上有する架橋剤が好ましく、官能基を3以上有するイソシアネート系架橋剤がより好ましい。官能基を3以上有するイソシアネート系架橋剤とは前記の表皮層の製造方法にて説明したものと同様である。また、イソシアネート系架橋剤は、ブロックタイプ、非ブロックタイプいずれであってもよい。
また、前記樹脂溶液には、着色のための顔料や意匠性や触感を変えるための球状粒子や紫外線吸収剤、酸化防止剤、抗菌剤、赤外線反射材、消臭剤、SR剤、帯電防止剤、難燃剤などが含まれていてもよい。
表皮層の上への前記樹脂溶液の塗布は、ナイフコーター、バーコーター、コンマコーター、ダイコーター、押出しコ−ター等公知の方法で塗布すればよい。
樹脂溶液を塗布した後、60℃〜150℃にて、15秒間から60分間程度乾燥し溶媒を揮発させ、必要に応じて130℃〜180℃にて15秒間〜60分間熱処理を行いバリア層を形成する。
次のバリア層と、基布とを、接着剤を介して貼り合わせる工程は、引き続き連続して行ってもよいし、エージング後を行ってもよい。エージング条件は室温〜90℃程度で、0.5時間〜100時間程度である。
バリア層と、基布とを、接着剤を介して貼り合わせる工程は、バリア層の上に接着剤を塗布して接着層を形成した後に基布を貼り合わせてもよいし、基布上に接着剤を塗布して接着層を形成した後にバリア層を貼り合わせてもよい。以下、バリア層の上に接着剤を塗布して接着層を形成した後に基布を貼り合わせる方法について説明を行う。
接着層を形成するためのポリウレタン樹脂を含む樹脂溶液は、ポリウレタン樹脂を溶媒に溶解、分散、乳化等したものである。溶媒は、水、DMF、メチルエチルケトン、トルエン、エチルアルコール等やこれらの配合物など任意のものを用いることができるが、環境負荷の観点からは有機溶剤を用いずに、水を用いることが好ましい。
また、ポリウレタン樹脂を含む樹脂溶液は、溶剤を含まずに加熱によりポリウレタン樹脂を溶融したものであってもよい。
前記樹脂溶液には、バリア層と基布、又は中間層と基布との剥離強度(接着強度)の向上の観点より架橋剤や触媒を含んでいることが好ましい。前記触媒は、ポリウレタン樹脂を含む層で説明したものと同様のものを用いることができる。また、架橋剤は、イソシアネート系、メラミン系、オキサゾリン系、カルボジイミド系、エポキシ系、アジリジン系など特に限定されるもものではない。官能基を3以上有する架橋剤が好ましく、官能基を3以上有するイソシアネート系架橋剤がより好ましい。官能基を3以上有するイソシアネート系架橋剤とは前記の表皮層の製造方法にて説明したものと同様である。また、イソシアネート系架橋剤は、ブロックタイプ、非ブロックタイプいずれであってもよい。
また、前記樹脂溶液には、着色のための顔料や意匠性や触感を変えるための球状粒子や紫外線吸収剤、酸化防止剤、抗菌剤、赤外線反射材、消臭剤、SR剤、帯電防止剤、発泡剤、難燃剤、触媒などが含まれていてもよい。
バリア層の上への前記樹脂溶液の塗布は、ナイフコーター、バーコーター、コンマコーター、ダイコーター、押出しコ−ター等公知の方法で塗布すればよい。
樹脂溶液を塗布した後、必要に応じ60℃〜150℃にて、15秒間から60分間程度乾燥し溶媒を揮発させ接着層を形成する。
加熱によりポリウレタン樹脂を溶融させた樹脂溶液を用いた場合には、架橋剤や発泡剤の状況に合わせて、バリア層の上に前記樹脂溶液を塗布した後、ポリウレタン樹脂を硬化したり、また、加熱により前記樹脂溶液に含まれる架橋剤を反応させたり、発泡剤を発泡させたりし、接着層を多孔質としてもよい。なお、発泡剤はポリウレタン樹脂を加熱溶融させたときに、発泡するタイプのものであってもよい。
なお、接着層の形成は、次の基布を積層する前に、固化した接着層を形成したものに限定されるものではなく、基布積層時には接着層がウエット状態やセミウエット状態などの流動性を有しているものも含むものである。
また、次の基布を積層し、貼り合せる工程は、引き続き連続して行っても良く、剥離強度(接着強度)の観点からは、接着層を形成後、引き続き、接着層の上に、基布を積層し貼り合わせる工程を行うとよい。
次に、接着層の上に、基布を積層し貼り合わせる。本工程は、接着層の上に基布を重ね合わせ積層し、接着層のタイプにもよるが、接着層と基布を重ね合わせた後、ニップロール等でニップすればよい。このニップの際に、ホットロール(金属製や樹脂製のニップロール等)を用いてもよい。また、ニップ後、130℃〜180℃にて、15秒間〜15分間程度熱処理を行ってもよい。
その後、必要に応じエージングを行ってもよい。エージング条件は室温〜90℃程度で、0.5時間〜100時間程度である。
次に、任意の段階で、離型性基材を剥離し、合成皮革を得る。
表皮層の上に表面処理層を設ける場合には、離型性基材を剥離した後、表面処理層を形成するための樹脂溶液を表皮層の上に付与すればよい。表皮層の上への前記樹脂溶液の付与は、ナイフコーター、バーコーター、コンマコーター、ダイコーター、グラビアコーター、リバースコーター、スプレー、パデイング法等公知の方法で付与すればよい。
表皮層の上に前記樹脂溶液を付与した後、60℃〜150℃にて、15秒間から60分間程度乾燥し溶媒を揮発させ、必要に応じて130℃〜180℃にて15秒間〜60分間熱処理を行い表面処理層を形成すればよい。
また、バリア層と接着層の間に中間層を設ける場合には、表皮層の上にバリア層を形成させた後、中間層を形成するための樹脂溶液をバリア層の上に、ナイフコーター、バーコーター、コンマコーター、ダイコーター、押出しコ−ター等公知の方法で塗布し、60℃〜150℃にて、15秒間から60分程度乾燥し溶媒を揮発させ、必要に応じて130℃〜180℃にて15秒間〜60分間熱処理を行い中間層を形成すればよい。
中間層を形成した後、次に、前記の方法で中間層の上に接着層を形成すればよい。
上記の合成皮革や人工皮革のようなウレタン樹脂積層体は、日焼け止めクリームが付着しても、膨潤を抑え、風合いの柔らかく、表面のシボ感などの外観品位や触感に優れた合成皮革、人工皮革が得られる。
以上の本実施形態のウレタン樹脂積層体であれば、日焼け止めクリームに対する膨潤性を抑える効果がより発揮しやすい防水布を得ることができる。
(第2実施形態のウレタン樹脂積層体の製造方法)
次に、第2実施形態のウレタン樹脂積層体:その中でも合成皮革の製造方法について2種類説明をおこなう。なお、本発明は以下の製造方法に限定されるものではない。また、第1実施形態のウレタン樹脂積層体の製造方法と同様の部分については説明を省略する。
[第2実施形態のウレタン樹脂積層体の製造方法−その1]
本実施形態の合成皮革の製造方法は、離型性基材の上に、ビニルアルコール系共重合体を含む樹脂溶液を塗布し、バリア層を形成する工程、前記バリア層の上に、ポリウレタン樹脂を含む樹脂溶液を塗布し表皮層を形成する工程、前記表皮層と、基布とを、接着剤を介して貼り合わせる工程を含むものである。
まず、バリア層を形成するため離型性基材の上に、ビニルアルコール系共重合体を含む樹脂溶液を塗布する。ビニルアルコール系共重合体を含む樹脂溶液は、溶媒に溶解、分散、乳化等したものを用いる。溶媒は、水、DMF、メチルエチルケトン、トルエン、エチルアルコール、メチルアルコール等やこれらの配合物など任意のものを用いることができるが、環境負荷の観点からは有機溶剤を用いずに、水を用いることが好ましい。
また、ビニルアルコール系共重合体を含む樹脂溶液は、ビニルアルコール系共重合体を加熱により溶融したものであってもよい。
前記樹脂溶液には、表皮層との剥離強度(接着強度)の向上の観点より架橋剤や触媒を含んでいることが好ましい。また、架橋剤は、イソシアネート系、メラミン系、オキサゾリン系、カルボジイミド系、エポキシ系、アジリジン系など特に限定されるものではない。官能基を3以上有する架橋剤が好ましく、官能基を3以上有するイソシアネート系架橋剤がより好ましい。官能基を3以上有するイソシアネート系架橋剤とは第1実施形態のウレタン樹脂積層体の製造方法における表皮層の製造方法にて説明したものと同様である。また、イソシアネート系架橋剤は、ブロックタイプ、非ブロックタイプいずれであってもよい。
また、前記樹脂溶液には、着色のための顔料や意匠性や触感を変えるための球状粒子や紫外線吸収剤、酸化防止剤、抗菌剤、赤外線反射材、消臭剤、SR剤、帯電防止剤、難燃剤などが含まれていてもよい。
離型性基材への前記樹脂溶液の塗布は、ナイフコーター、バーコーター、コンマコーター、ダイコーター、押出しコ−ター等公知の方法で塗布すればよい。
樹脂溶液を塗布した後、60℃〜150℃にて、15秒間から60分間程度乾燥し溶媒を揮発させ、必要に応じて130℃〜180℃にて15秒間〜60分間熱処理を行いバリア層を形成する。
次の表皮層を形成する工程は、引き続き連続して行ってもよいし、エージング後を行ってもよい。エージング条件は室温〜90℃程度で、0.5時間〜100時間程度である。
次に、バリア層の上に、ポリウレタン樹脂を含む樹脂溶液を塗布し、表皮層を形成する。ポリウレタン樹脂溶液は、ポリウレタン樹脂を溶媒に溶解、分散、乳化等したものである。溶媒は、水、ジメチルホルムアミド(以下、DMFとも言う)、メチルエチルケトン、トルエン、エチルアルコール等やこれらの配合物など任意のものを用いることができるが、環境負荷の観点からは有機溶剤を用いずに、水を用いることが好ましい。
また、ポリウレタン樹脂を含む樹脂溶液は、溶剤を含まずにポリウレタン樹脂を加熱により溶融したものであってもよい。
前記樹脂溶液には、日焼け止めクリームによるポリウレタン樹脂膜の膨潤抑制及び表皮層の磨耗強度及びバリア層との剥離強度(接着強度)の向上の観点より架橋剤や触媒を含んでいることが好ましい。前記触媒は、ポリウレタン樹脂を含む層で説明したものと同様のものを用いることができる。また、架橋剤は、イソシアネート系、メラミン系、オキサゾリン系、カルボジイミド系、エポキシ系、アジリジン系など特に限定されるものではない。官能基を3以上有する架橋剤が好ましく、官能基を3以上有するイソシアネート系架橋剤がより好ましい。官能基を3以上有するイソシアネート系架橋剤とは第1実施形態のウレタン樹脂積層体の製造方法における表皮層の製造方法にて説明したものと同様である。また、イソシアネート系架橋剤は、ブロックタイプ、非ブロックタイプいずれであってもよい。
また、前記樹脂溶液には、着色のための顔料や意匠性や触感を変えるための球状粒子や紫外線吸収剤、酸化防止剤、抗菌剤、赤外線反射材、消臭剤、SR剤、帯電防止剤、難燃剤、触媒などが含まれていてもよい。
バリア層状への前記樹脂溶液の塗布は、ナイフコーター、バーコーター、コンマコーター、ダイコーター、押出しコ−ター等公知の方法で塗布すればよい。
樹脂溶液を塗布した後、60℃〜150℃にて、15秒間から60分程度乾燥し溶媒を揮発させ、必要に応じて130℃〜180℃にて15秒間〜60分間熱処理を行い、表皮層を形成する。
次の表皮層と、基布とを、接着剤を介して貼り合わせる工程は、引き続き連続して行ってもよいし、各工程ごとにエージングを行ってもよい。エージング条件は室温〜90℃程度で、0.5時間〜100時間程度である。
表皮層と、基布とを、接着剤を介して貼り合わせる工程は、表皮層の上に接着剤を塗布して接着層を形成した後に基布を貼り合わせてもよりし、基布上に接着剤を塗布して接着層を形成した後に表皮層を貼り合わせてもよい。以下、表皮層の上に接着剤を塗布して接着層を形成した後に基布を貼り合わせる方法について説明を行う。
接着層を形成するためのポリウレタン樹脂を含む樹脂溶液は、ポリウレタン樹脂を溶媒に溶解、分散、乳化等したものである。溶媒は、水、DMF、メチルエチルケトン、トルエン、エチルアルコール等やこれらの配合物など任意のものを用いることができるが、環境負荷の観点からは有機溶剤を用いずに、水を用いることが好ましい。
また、ポリウレタン樹脂を含む樹脂溶液は、溶剤を含まずに加熱によりポリウレタン樹脂を溶融したものであってもよい。
前記樹脂溶液には、表皮層と基布、又は中間層と基布との剥離強度(接着強度)の向上の観点より架橋剤や触媒を含んでいることが好ましい。また、架橋剤は、イソシアネート系、メラミン系、オキサゾリン系、カルボジイミド系、エポキシ系、アジリジン系など特に限定されるもものではない。官能基を3以上有する架橋剤が好ましく、官能基を3以上有するイソシアネート系架橋剤がより好ましい。官能基を3以上有するイソシアネート系架橋剤とは第1実施形態のウレタン樹脂積層体の製造方法にて説明したものと同様である。また、イソシアネート系架橋剤は、ブロックタイプ、非ブロックタイプいずれであってもよい。
また、前記樹脂溶液には、着色のための顔料や意匠性や触感を変えるための球状粒子や紫外線吸収剤、酸化防止剤、抗菌剤、赤外線反射材、消臭剤、SR剤、帯電防止剤、発泡剤、難燃剤、触媒などが含まれていてもよい。
表皮層の上への前記樹脂溶液の塗布は、ナイフコーター、バーコーター、コンマコーター、ダイコーター、押出しコ−ター等公知の方法で塗布すればよい。
樹脂溶液を塗布した後、必要に応じ60℃〜150℃にて、15秒間から60分間程度乾燥し溶媒を揮発させ接着層を形成する。
加熱によりポリウレタン樹脂を溶融させた樹脂溶液を用いた場合には、架橋剤や発泡剤の状況に合わせて、バリア層の上に前記樹脂溶液を塗布した後、ポリウレタン樹脂を硬化したり、また、加熱により前記樹脂溶液に含まれる架橋剤を反応させたり、発泡剤を発泡させたりし、接着層を多孔質としてもよい。なお、発泡剤はポリウレタン樹脂を加熱溶融させたときに、発泡するタイプのものであってもよい。
なお、接着層の形成は、次の基布を積層する前に、固化した接着層を形成したものに限定されるものではなく、基布積層時には接着層がウエット状態やセミウエット状態などの流動性を有しているものも含むものである。
また、次の基布を積層し、貼り合せる工程は、引き続き連続して行っても良く、剥離強度(接着強度)の観点からは、接着層を形成後、引き続き、接着層の上に、基布を積層し貼り合わせる工程を行うとよい。
次に、接着層の上に、基布を積層し貼り合わせる。本工程は、接着層の上に基布を重ね合わせ積層し、接着層のタイプにもよるが、接着層と基布を重ね合わせた後、ニップロール等でニップすればよい。このニップの際に、ホットロール(金属製や樹脂製のニップロール等)を用いてもよい。また、ニップ後、130℃〜180℃にて15秒間〜15分間程度熱処理を行ってもよい。
その後、必要に応じエージングを行ってもよい。エージング条件は室温〜90℃程度で、0.5時間〜100時間程度である。
以後の離型性基材の剥離、及び表面処理層、中間層を設ける方法については、第1実施形態のウレタン樹脂積層体の製造方法と同様に行うことができる。
[第2実施形態のウレタン樹脂積層体の製造方法−その2]
本実施形態の合成皮革の製造方法は、離型性基材の上に、ポリウレタン樹脂を含む樹脂溶液を塗布し表皮層を形成する工程、前記表皮層と、基布とを、接着剤を介して貼り合わせる工程、離型性基材を剥離し、剥離した面にビニルアルコール系共重合体を含む樹脂溶液を塗布し、バリア層を形成する工程を含むものである。
離型性基材の上に、ポリウレタン樹脂を含む樹脂溶液を塗布し表皮層を形成する工程は、第1実施形態のウレタン樹脂積層体の製造方法で説明した方法と同様に行うことができる。
表皮層と、基布とを、接着剤を介して貼り合わせる工程は、第2実施形態のウレタン樹脂積層体の製造方法−その1で説明した方法と同様に行うことができる。
任意の段階で、離型性基材を剥離し、合成皮革を得る。次に、表皮層の離型性基材を剥離した面上に、ビニルアルコール系共重合体を含む樹脂溶液を塗布し、バリア層を形成する。
ビニルアルコール系共重合体を含む樹脂溶液は、溶媒に溶解、分散、乳化等したものを用いる。溶媒は、水、DMF、メチルエチルケトン、トルエン、エチルアルコール、メチルアルコール等やこれらの配合物など任意のものを用いることができるが、環境負荷の観点からは有機溶剤を用いずに、水を用いることが好ましい。
また、ビニルアルコール系共重合体を含む樹脂溶液は、ビニルアルコール系共重合体を加熱により溶融したものであってもよい。
前記ビニルアルコール系共重合体を含む樹脂溶液に、塩化ビニル樹脂、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、シリコーンゴム、無機微粒子などからなる粒状物等を添加してもよい。
前記樹脂溶液には、表皮層との剥離強度(接着強度)の向上の観点より架橋剤や触媒を含んでいることが好ましい。また、架橋剤は、イソシアネート系、メラミン系、オキサゾリン系、カルボジイミド系、エポキシ系、アジリジン系など特に限定されるものではない。官能基を3以上有する架橋剤が好ましく、官能基を3以上有するイソシアネート系架橋剤がより好ましい。官能基を3以上有するイソシアネート系架橋剤とは第1実施形態のウレタン樹脂積層体の製造方法にて説明したものと同様である。また、イソシアネート系架橋剤は、ブロックタイプ、非ブロックタイプいずれであってもよい。
また、前記樹脂溶液には、着色のための顔料や意匠性や触感を変えるための球状粒子や紫外線吸収剤、酸化防止剤、抗菌剤、赤外線反射材、消臭剤、SR剤、帯電防止剤、難燃剤などが含まれていてもよい。
表皮層の上への前記樹脂溶液の塗布は、ナイフコーター、バーコーター、コンマコーター、ダイコーター、押出しコ−ター等公知の方法で塗布すればよい。
樹脂溶液を塗布した後、60℃〜150℃にて、15秒間から60分間程度乾燥し溶媒を揮発させ、必要に応じて130℃〜180℃にて15秒間〜60分間熱処理を行いバリア層を形成する。
表面処理層、中間層を設ける方法については、第1実施形態のウレタン樹脂積層体の製造方法と同様に行うことができる。
以下、実施例により本発明を更に説明するが、本発明はこれらの実施例によりなんら限定されるものではない。また、例中の「部」、「%」は質量部、質量%である。
以下の実施例における評価は次の方法によった。
<厚み>
ウレタン樹脂積層体の積層方向の断面を電子顕微鏡で観察し、任意の5カ所の各層の厚みを測定し、その平均値を厚みとした。なお、接着層や表面処理層が、ドット状や格子状などで付与され、場所により厚みが大きく異なる状態で付与されている場合には、接着用樹脂等が付与されている厚みの厚い任意の5カ所を選択し、厚みを測定した。
<日焼け止めクリームの付着による膨潤試験>
ウレタン樹脂積層体の基布を有する面の反対面(最外層が、表皮層あるいはバリア層あるいは表面処理層)の直径2.0cmの範囲に、日焼け止めクリーム(株式会社 資生堂製、アネッサ パーフェクトUV アクアブースター SPF50+、PA++++(商品名))を2.5g塗布し、次に、ウレタン樹脂積層体の前記日焼け止めクリームを塗布した箇所を、ガラス板で挟み、80℃の環境に1時間静置した。次に、ガラス板を外し、室温の環境下で10分間放冷する。放冷後、日焼け止めクリームをふき取って、ウレタン樹脂積層体の日焼け止めクリームを塗布した箇所の外観を観察した。
<風合い及び外観>
手で触って、風合い、触感を感じとった。また、目視にて外観を観察した。
<耐水度>
耐水度は、JIS L1092 耐水度試験(静水圧法)A法(低水圧法)に準じて測定した。なお、耐水度測定時における表側(水に当たる試験片の面)とは、衣服に使用した際に、雨などの水と接触する面となる。
(実施例1)(合成皮革)
ポリエステル製経編物(84デシテックス/72フィラメント。コース50/2.54cm、ウエル34/2.54cm)を分散染料及びリン系難燃剤を含む処理液を用いて黒色に染色すると同時に難燃加工したものを基布として用いた。
離型紙(シボ柄を有するもの)の上に、下記の表皮用樹脂溶液をコンマコーターを用い塗布し、120℃にて2分間、乾燥し、ポリウレタン樹脂膜からなる表皮層を得た。
樹脂溶液(表皮層用)
ポリカーボネート系ポリウレタン樹脂溶液(無黄変型、固形分35%、残:水):100部
カルボジイミド系架橋剤(官能基数3以上):4部
黒色顔料:10部
増粘剤:1部
濡れ向上剤:0.3部
消泡剤:0.1部
次に、表皮層の上にバリア層となる下記樹脂溶液をコンマコ−ターを用い塗布し、120℃にて2分間、乾燥し、60℃にて48時間エージングし、ポリウレタン樹脂を含む表皮層の上にポリビニルアルコール樹脂膜からなるバリア層を積層した。
樹脂溶液(バリア層用)
ポリビニルアルコール樹脂溶液(固形分25%、残:水):100部
(株式会社クラレ製、クラレポバールPVA205(商標)を水で溶解し、25%濃度としたもの)
イソシアネート系架橋剤(官能基数3以上):3部
次に、接着層用の下記樹脂溶液をコンマコ−ターを用い上記バリア層の上に塗布し、120℃にて1分間乾燥し、ポリビニルアルコール樹脂膜からなるバリア層の上にポリウレタン樹脂を含む接着層を積層した。
樹脂溶液(接着層用)
ポリカーボネート系ポリウレタン樹脂溶液(難黄変型、固形分45%、残:水):100部
イソシアネート系架橋剤(官能基数3以上):10部
リン系難燃剤(固形分41%):25部
(大京化学株式会社製、ビゴールFV6010(商標))
増粘剤:1部
この接着層の表面に繊維布帛を重ね合わせて120℃に加熱した金属製ニップロールを用いた熱圧着により貼り合わせた。次に、72時間60℃にてエージングをおこなった。
エージング後、離型紙を剥離し、前記実施形態1の層構成に対応する(図1)合成皮革(ウレタン樹脂積層体)を得た。
得られた合成皮革は、ポリウレタン樹脂を含む表皮層(厚み20μm)、ポリビニルアルコール樹脂からなるバリア層(厚み20μm)、ポリウレタン樹脂を含む接着層(厚み30μm)、基布の順に積層されたウレタン樹脂積層体である。得られた合成皮革は、風合いも柔らかく、触感もよいものであった。また、表面のシボも形成されており、日焼け止めクリームでの膨潤も確認されなかった。また、当合成皮革の製造工程では、有機溶剤を用いておらず、環境にやさしい水系溶媒を用いて合成皮革を得ることができた。
(比較例1)
バリア層を設けなかった以外は実施例1と同様にし、合成皮革を得た。得られた合成皮革は、風合いも柔らかく、触感もよいものであった。しかしながら、日焼け止めクリームでは、日焼け止めクリームが付着した部分が、大きく膨潤し、変形がみられた。
(実施例2)(合成皮革)
実施例1で得られた合成皮革の表皮層の上に、下記ポリウレタン樹脂を含む樹脂溶液をグラビアコ−ターを用い、表皮層の上に塗布し、110℃にて乾燥し、厚さ10μmの表面処理層を形成し、前記実施形態1の表皮層10上にさらに表面処理層が積層された(図1)防汚性合成皮革を得た。
アクリルシリコーン系化合物を含む樹脂溶液:100部
(アクリルシリコーン系化合物のエマルジョン)
(固形分32%、アクリルシリコーンと無機系シリカとの化合物を含む有機−無機ハイブリッド樹脂)
得られた合成皮革は、風合いも柔らかく、触感もよいものであった。また、表面のシボも形成されており、日焼け止めクリームでの膨潤も確認されなかった。また、本合成皮革の製造工程では、有機溶剤を用いておらず、環境にやさしい水系溶媒を用いて合成皮革を得ることができた。また、ケチャップ、コーヒー、ホワイトボ−ドマーカーをはじめ、病院等にて口内消毒用などに用いられるポビドンヨードなどに対し、防汚性を有しており、これらのものが付着してもタオル等でふき取ることができ、汚れ難い合成皮革が得られた。
(実施例3)(合成皮革)
ポリエステル製緯編物(84デシテックス/72フィラメント、28ゲージ)を分散染料にて黒色に染色し、起毛したものを基布として用いた。
離型紙(シボ柄を有するもの)の上に、下記のバリア層用樹脂溶液をコンマコーターを用い塗布し、120℃にて2分間、乾燥し、ポニビニルアルコール樹脂膜からなるバリア層を得た。
樹脂溶液(バリア層用)
ポリビニルアルコール樹脂溶液(固形分25%、残:水):100部
(株式会社クラレ製、クラレポバールPVA205(商標)を水で溶解し、25%濃度としたもの)
イソシアネート系架橋剤(官能基数3以上):5部
次に、バリア層の上に表皮層となる下記樹脂溶液をコンマコ−ターを用い塗布し、120℃にて2分間、乾燥し、60℃にて48時間エージングし、ポリビニルアルコール樹脂を架橋剤と反応させ、ポリビニルアルコール樹脂膜からなるバリア層の上に、ポリウレタン樹脂を含む表皮層を積層した。
樹脂溶液(表皮層用)
ポリカーボネート系ポリウレタン樹脂溶液(無黄変型、固形分30%):100部
イソシアネート系架橋剤(官能基数3以上):4部
黒色顔料:10部
DMF:25部
次に、接着層用の下記樹脂溶液をコンマコ−ターを用い上記表皮層の上に塗布し、120℃にて1分間乾燥し、ポリウレタン樹脂膜からなる表皮層の上にポリウレタン樹脂を含む接着層を積層した。
樹脂溶液(接着層用)
ポリカーボネート系ポリウレタン樹脂溶液(無黄変型、固形分70%):100部
イソシアネート系架橋剤(官能基数3以上):10部
触媒:1部
難燃剤(ブロム/アンチモン複合系、固形分70%):60部
黒色顔料:5部
DMF:60部
この接着層表面に繊維布帛の起毛面を重ね合わせて120℃に加熱した金属製ニップロールを用いた熱圧着により貼り合わせた。次に、72時間60℃にてエージングをおこなった。エージング後、離型紙を剥離し、前記実施形態2の層構成に対応する(図2)合成皮革(ウレタン樹脂積層体)を得た。
得られた合成皮革は、ポリビニルアルコール樹脂からなるバリア層(厚み20μm)、ポリウレタン樹脂を含む表皮層(厚み20μm)、ポリウレタン樹脂を含む接着層(厚み30μm)、基布の順に積層されたウレタン樹脂積層体である。得られた合成皮革は、風合いも柔らかく、触感もよいものであった。また、表面のシボも形成されており、日焼け止めクリームでの膨潤も確認されなかった。
(実施例4)(合成皮革)
ポリエステル製緯編物(84デシテックス/72フィラメント、28ゲージ)を分散染料にて黒色に染色し、起毛したものを基布として用いた。
離型紙(シボ柄を有するもの)の上に、下記の表皮用樹脂溶液をコンマコーターを用い塗布し、120℃にて2分間、乾燥し、ポリウレタン樹脂膜からなる表皮層を得た。
樹脂溶液(表皮層用)
ポリカーボネート系ポリウレタン樹脂溶液(無黄変型、固形分35%、残:水):100部
カルボジイミド系架橋剤(官能基数3以上):4部
黒色顔料:10部
増粘剤:1部
濡れ向上剤:0.3部
消泡剤:0.1部
次に、表皮層の上にバリア層となる下記樹脂溶液をコンマコ−ターを用い塗布し、120℃にて2分間、乾燥し、60℃にて48時間エージングし、ポリウレタン樹脂を含む表皮層の上にポリビニルアルコール樹脂膜からなるバリア層を積層した。
樹脂溶液(バリア層用)
ポリビニルアルコール樹脂溶液(固形分25%、残:水):100部
(株式会社クラレ製、クラレポバールPVA205(商標)を水で溶解し、25%濃度としたもの)
イソシアネート系架橋剤(官能基数3以上):3部
次に、接着層用のホットメルト型ポリウレタン樹脂を加熱溶融させ溶剤を含まない樹脂溶液を、押出しコ−ターを用い上記バリア層の上に塗布し、130℃にて3分間加熱し、接着層を形成するポリウレタン樹脂を発泡させ、ポリビニルアルコール樹脂膜からなるバリア層の上にポリウレタン樹脂を含む多孔質接着層を積層した。
樹脂溶液(接着層用)
イソシアネート基を有するホットメルトエーテル系ウレタンプレポリマー:100部
発泡剤(N,N’―ジニトロソペンタメチレンテトラミン、尿素、ポリオールを含む組成物):25部
黒色顔料:5部
この接着層表面に繊維布帛の起毛面を重ね合わせて120℃に加熱した金属製ニップロールを用いた熱圧着により貼り合わせた。次に、72時間60℃にてエージングをおこなった。
エージング後、離型紙を剥離し、前記実施形態1の層構成に対応する(図1)合成皮革(ウレタン樹脂積層体)を得た。
得られた合成皮革は、ポリウレタン樹脂を含む表皮層(厚み20μm)、ポリビニルアルコール樹脂からなるバリア層(厚み20μm)、ポリウレタン樹脂を含む多孔質接着層(厚み200μm)、基布の順に積層されたウレタン樹脂積層体である。得られた合成皮革は、ボリューム感のある風合いとなり、触感もよいものであった。また、日焼け止めクリームでの膨潤も確認されなかった。
(実施例5)(防水布)
ポリエステル製平織物(たて糸84デシテッス/72フィラメント、よこ糸84デシテッス/72フィラメント。目付120g/m)を分散染料で青に染色し、フッ素系撥水剤アサヒガードAG―E081(旭硝子(株)製)の3%水溶液を用い撥水加工したものを基布として用いた。
離型紙の上にバリア層となる下記樹脂溶液をコンマコーターを用い塗布し、120℃にて2分間、乾燥し、60℃にて48時間エージングし、ポリビニルアルコール樹脂を架橋剤と反応させ、耐DMF性を向上させたポリビニルアルコール樹脂膜を得た。
樹脂溶液(バリア層用)
ポリビニルアルコール樹脂溶液(固形分25%、残:水):100部
(株式会社クラレ製、クラレポバールPVA205(商標)を水で溶解し、25%濃度としたもの)
イソシアネート系架橋剤(官能基数3以上):5部
次に、バリア層の上に表皮層となる下記樹脂溶液をコンマコ−ターを用い塗布し、前記樹脂溶液上に、引き続き、中間層としての多孔質PTFE膜(気孔率92%、厚み38μm)を積層し120℃にて乾燥した。
樹脂溶液(表皮層用)
エ−テル系ポリウレタン樹脂(固形分30%):100部
メチルエチルケトン:60部
白色顔料:8部
次に接着層用の下記樹脂溶液をグラビアコ−ターを用い上記中間層の多孔質PTFE膜全面にドット状に塗布した。次に120℃で2分間乾燥した。
樹脂溶液(接着層用)
エ−テル系ポリウレタン樹脂(固形分45%):100部
トルエン:50部
イソシアネ−ト系架橋剤(官能基数3以上):9部
アミン系触媒:1部
この接着層表面に繊維布帛を重ね合わせて120℃に加熱した金属製ニップロールを用い熱圧着により貼り合わせた、48時間60℃にてエージングをおこなった。
次に、離型紙を剥離し、前記実施形態3の層構成に対応する(図3)防水布(ウレタン樹脂積層体)を得た。
得られた防水布は、ポリビニルアルコール樹脂からなるバリア層(厚み5μm)、ポリウレタン樹脂を含む表皮層(厚み13μm)、多孔質PTFE膜からなる中間層(厚み38μm)、ポリウレタン樹脂を含む接着層(厚み15μm)、基布の順に積層された防水布(ウレタン樹脂積層体)であった。
防水布は、軽量でソフトであり、膜の外観は光沢感のあるものであった。また、耐水度は、基布、バリア層いずれを接水面とした場合も、2000mm以上であった。
また、日焼け止めクリームで膨潤は、確認されなかった。
(比較例2)
バリア層を設けない以外は、実施例5と同様にして防水布を得た。得られた防水布は、風合いは柔らかく、外観は、実施例1に比べやや光沢感が低下しているが光沢のあるものであった。耐水度は基布、バリア層いずれを接水面とした場合も、2000mm以上であった。防水性能は問題がなかったが、日焼け止めクリームでポリウレタン樹脂を含む表皮層が膨潤し、変形が生じた。
本発明のウレタン樹脂積層体は合成皮革、人工皮革、防水布帛などとして用いることができ、日焼け止めクリームが付着しても膨潤し、変形が生じることを抑制することができ、本発明のウレタン樹脂積層体を用いカーシートをはじめとした自動車内装材、ソファーなどの家具、鞄、スマートフォンケース、衣服、手袋、帽子、靴、ボールやグローブ、ヘルメットなどに用いれば、日焼け止めクリームが付着しても膨潤耐性に優れた各種製品を得ることができる。
10 表皮層
11 バリア層
12 接着層
13 基布
14 表皮層
15 基布
20 第1実施形態に係るウレタン樹脂積層体
21 第2実施形態に係るウレタン樹脂積層体
22 第3実施形態に係るウレタン樹脂積層体
23 第4実施形態に係るウレタン樹脂積層体

Claims (8)

  1. ポリウレタン樹脂を含む層と、ビニルアルコール系共重合体を含むバリア層と、を有する積層体が基布に貼り合わされ
    前記ビニルアルコール系共重合体が、ポリビニルアルコール樹脂であるウレタン樹脂積層体。
  2. 前記ポリウレタン樹脂を含む層が2層以上あり、少なくとも1層が表皮層で、少なくとも1層が接着層である請求項1に記載のウレタン樹脂積層体。
  3. 前記表皮層と前記バリア層が接合されており、前記表皮層が前記バリア層に対して前記基布のある方とは反対側に位置している請求項2に記載のウレタン樹脂積層体。
  4. 前記表皮層の厚みが、1μm以上100μm以下である請求項2に記載のウレタン樹脂積層体。
  5. 前記バリア層の厚みが、0.1μm以上100μm以下である請求項1〜のいずれか1項に記載のウレタン樹脂積層体。
  6. さらに前記基布のある方とは反対側の最も外側に位置している層として樹脂を含む表面処理層を有する請求項1〜のいずれか1項に記載のウレタン樹脂積層体。
  7. 前記表面処理層の厚みが、0.01μm以上30μm以下である請求項に記載のウレタン樹脂積層体。
  8. 離型性基材の上に、ポリウレタン樹脂を含む樹脂溶液を塗布し表皮層を形成する工程、
    前記表皮層の上に、ビニルアルコール系共重合体としてポリビニルアルコール樹脂を含む樹脂溶液を塗布し、バリア層を形成する工程、
    前記バリア層と、基布とを、接着剤を介して貼り合わせる工程、
    を含むウレタン樹脂積層体の製造方法。
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