本発明に係る移動体1の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は移動体1の前方斜視図、図2は移動体1の側面図、図3は移動体1の正面図、図4は移動体1の後方斜視図である。
以下、説明の便宜上、移動体1に乗車した状態の使用者(乗車者)の前側(図1〜図3の矢印A方向)を前方、乗車者の後側(矢印B方向)を後方、乗車者の左側(矢印C方向)を左方、乗車者の右側(矢印D方向)を右方として説明する。また、前後方向X(図1、図2参照)に直交する方向である水平方向を幅方向Y(図2、図3参照)として説明する。移動体1の中央部から右部或いは左部へ向かう方向を外方という。言い換えれば、外方とは、幅方向であって、移動体1の中央部から離れる方向である。また、外方とは反対の方向を内方という。言い換えれば、内方とは、幅方向であって、移動体1の中央部に近づく方向である。
図1〜図4に示すように、移動体1は、第1支持機構2と、第2支持機構3と、支軸4と、を備えている。第1支持機構2は第1車輪5を支持している。第2支持機構3は第2車輪6を支持している。第1車輪5と第2車輪6とは、前後方向Xに並んで配置されている。支軸4は、第2支持機構3に対して第1支持機構2を揺動可能に支持している。
第1車輪5は、一方車輪5Lと他方車輪5Rとを含む。一方車輪5Lは、第1車輪5と第2車輪6との並び方向(前後方向X)と異なる幅方向Yの一方側に設けられている。他方車輪5Rは、第1車輪5と第2車輪6との並び方向と異なる幅方向Yの他方側に設けられている。本実施形態の場合、一方車輪5Lは左方に設けられた左車輪であり、他方車輪5Rは右方に設けられた右車輪である。つまり、一方車輪5Lと他方車輪5Rは、第1車輪5と第2車輪6との並び方向である前後方向Xと交差する方向である幅方向Y(左右方向)に並んで設けられている。
第1支持機構2は、一方車輪5Lを支持する一方支持機構2Lと、他方車輪5Rを支持する他方支持機構2Rと、を含む。一方支持機構2Lは左方に設けられている。他方支持機構2Rは、右方に設けられている。但し、一方支持機構2Lと他方支持機構2Rとの位置関係を反対としてもよい。つまり、一方支持機構2Lを右方に設け、他方支持機構2Rを左方に設けてもよい。図3に示すように、一方支持機構2Lと他方支持機構2Rとは、支軸4の軸方向(幅方向Y)に間隔をあけて並んで設けられている。
一方支持機構2Lは、基端側が支軸4に枢支されており、先端側が一方車輪5Lを回転可能に支持している。一方支持機構2Lは、第1アーム7Lと第1カバー8Lとを有している。第1アーム7Lは、基端側に支軸4に枢支された第1枢支部9を有しており、先端側に第1カバー8Lが取り付けられている。第1アーム7Lは、基端側から先端側に向けて支軸4から離れる方向に延設されている。第1アーム7Lは、第1カバー8Lを介して一方車輪5Lを支持している。
第1カバー8Lは、基端側が第1アーム7Lの外方側(左側)に取り付けられている。第1カバー8Lの先端側は、第1アーム7Lの先端から突出している。第1カバー8Lの先端側には、一方車輪5Lの車軸を回転可能に支持する第1支持部10が設けられている。第1支持部10は、軸受等によって一方車輪5Lを回転可能に支持している。また、第1支持部10は、一方車輪5Lを着脱可能に支持している。これにより、一方車輪5Lを使用しないときには第1支持部10から離脱させる(取り外す)ことができる。
本実施形態の場合、第1アーム7Lと第1カバー8Lは、別体の部材から形成されているが、一体の部材から形成してもよい。第1アーム7Lと第1カバー8Lとを別体の部材から形成する場合、第1アーム7Lに対して第1カバー8Lを着脱可能とすることができる。また、第1アーム7Lに対して第1カバー8Lを揺動可能とする構成を採用することもできる。
他方支持機構2Rは、基端側が支軸4に枢支されており、先端側が他方車輪5Rを回転可能に支持している。他方支持機構2Rは、第2アーム7Rと第2カバー8Rとを有している。第2アーム7Rは、基端側に支軸4に枢支された第2枢支部11を有しており、先端側に第2カバー8Rが取り付けられている。第2アーム7Rは、基端側から先端側に向けて支軸4から離れる方向に延設されている。第2アーム7Rは、第2カバー8Rを介して他方車輪5Rを支持している。
第2カバー8Rは、基端側が第2アーム7Rの外方側(右側)に取り付けられている。第2カバー8Rの先端側は、第2アーム7Rの先端から突出している。第2カバー8Rの先端側には、他方車輪5Rの車軸を回転可能に支持する第2支持部12が設けられている。第2支持部12は、軸受等によって他方車輪5Rを回転可能に支持している。また、第2支持部12は、他方車輪5Rを着脱可能に支持している。これにより、他方車輪5Rを使用しないときには第2支持部12から離脱させる(取り外す)ことができる。
本実施形態の場合、第2アーム7Rと第2カバー8Rは、別体の部材から形成されているが、一体の部材から形成してもよい。第2アーム7Rと第2カバー8Rとを別体の部材から形成する場合、第2アーム7Rに対して第2カバー8Rを着脱可能とすることができる。また、第2アーム7Rを第2カバー8Rに対して揺動可能とする構成を採用することもできる。
図1、図3に示すように、一方支持機構2Lの第1アーム7Lと、他方支持機構2Rの第2アーム7Rは、幅方向Yに並べて配置することができる。図3に示すように、一方支持機構2Lの第1アーム7Lと、他方支持機構2Rの第2アーム7Rは、幅方向Yに並べて配置した状態において、幅方向Yの中心線CLを挟んで対称な形状となるように形成されている。第1アーム7Lと第2アーム7Rは、支軸4から離れるにつれて、互いの距離(間隔)が幅方向Yに次第に拡がるように湾曲している。
また、図1、図2に示すように、第1アーム7L及び第2アーム7Rは、基端側(支軸4側)から先端側(第1車輪5側)に向かうにつれて湾曲している。具体的には、第1アーム7L及び第2アーム7Rは、第1車輪5を第2車輪6の前方に配置し且つ第1車輪5と第2車輪6とを接地した姿勢(地面Gに当接させた姿勢)において、前方に向かうにつれて下方に移行するように湾曲している。
また、図1、図3に示すように、第1アーム7L及び第2アーム7Rの幅(幅方向Yの長さ)は、基端側(支軸4側)が先端側(第1車輪5側)に比べて大きくなるように形成されている。
第1支持機構2は、一方支持機構2Lと他方支持機構2Rとを、それぞれ独立して姿勢変更可能である。言い換えれば、一方支持機構2Lのみを支軸4を支点として揺動することもできるし、他方支持機構2Rのみを支軸4を支点として揺動することもできる。一方支持機構2Lと他方支持機構2Rとをそれぞれ独立して姿勢変更(揺動)するための構成については、後ほど説明する。
移動体1は、第1車輪5と第2車輪6の少なくとも1つ以上を駆動する駆動部13を備えている。図2、図3に示すように、駆動部13は、第1駆動部13Lと第2駆動部13Rとを含んでいる。第1駆動部13Lと第2駆動部13Rは、それぞれ独立して動作可能である。
第1駆動部13Lは、一方支持機構2Lに設けられ且つ一方車輪5Lを駆動する。第1駆動部13Lは、一方支持機構2Lの内部に収容されている。具体的には、第1駆動部13Lは、第1アーム7Lの内部に設けられた空間に収容されている。第1駆動部13Lは、第1電動モータ14Lと第1バッテリ15Lとを有している。第1電動モータ14Lは、第1バッテリ15Lから供給される電力により駆動する。
第2駆動部13Rは、他方支持機構2Rに設けられ且つ他方車輪5Rを駆動する。第2駆動部13Rは、他方支持機構2Rの内部に収容されている。具体的には、第2駆動部13Rは、第2アーム7Rの内部に設けられた空間に収容されている。第2駆動部13Rは、第2電動モータ14Rと第2バッテリ15Rとを有している。第2電動モータ14Rは、第2バッテリ15Rから供給される電力により駆動する。
図2に示すように、第1電動モータ14Lの回転軸には駆動スプロケット16が接続されており、一方車輪5Lの車軸には従動スプロケット17が接続されている。駆動スプロケット16と従動スプロケット17にはチェーン18が掛け渡されている。これにより、第1電動モータ14Lの駆動による動力は、駆動スプロケット16、チェーン18、従動スプロケット17を介して一方車輪5Lに伝達され、一方車輪5Lが回転する。
また、図示していないが、第2電動モータ14Rの回転軸には駆動スプロケットが接続されており、他方車輪5Rの車軸には従動スプロケットが接続されている。これら駆動スプロケットと従動スプロケットにはチェーンが掛け渡されている。これにより、第2電動モータ14Rの駆動による動力は、駆動スプロケット、チェーン、従動スプロケットを介して他方車輪5Rに伝達され、他方車輪5Rが回転する。
尚、第1電動モータ14Lから一方車輪5Lへの動力伝達機構と、第2電動モータ14Rから他方車輪5Rへの動力伝達機構は、上述した機構には限定されない。例えば、駆動スプロケット、従動スプロケット、チェーンに代えて、駆動プーリ、従動プーリ、ベルトを用いてもよい。また、歯車伝動機構等の他の動力伝達機構を用いてもよい。
図3に示すように、第2支持機構3は、幅方向Yにおいて、一方支持機構2Lと他方支持機構2Rとの間に配置されている。図1〜図4に示すように、第2支持機構3は、車輪支持部19とハンドル支持部20とを有している。
車輪支持部19は、基端側が支軸4に枢支されており、先端側が第2車輪6を回転可能に支持している。車輪支持部19の長さ(基端部から先端部までの距離)は、第1支持機構2の長さ(基端部から先端部までの距離)に比べて短く形成されている。
車輪支持部19は、第3アーム21と第3カバー22とを有している。
第3アーム21は、基端側が支軸4に枢支された第3枢支部23を有しており、先端側に第3カバー22が取り付けられている。第3アーム21は、基端側から先端側に向けて支軸4から離れる方向に延設されている。第3アーム21の幅(幅方向Yの長さ)は、第1アーム7Lと第2アーム7Rとの間の距離(幅方向Yの距離)以下に設定されている。より詳しくは、第3アーム21の幅は、第1アーム7Lと第2アーム7Rとの間の距離よりも小さく設定されている。
図1、図2、図4に示すように、第3アーム21は、基端側(支軸4側)から先端側(第2車輪6側)に向かうにつれて湾曲している。具体的には、第3アーム21は、第1車輪5を第2車輪6の前方に配置し且つ第1車輪5と第2車輪6とを接地した姿勢において、後方に向かうにつれて下方に移行するように湾曲している。そのため、第1車輪5を第2車輪6の前方に配置し且つ第1車輪5及び第2車輪6を接地した姿勢において、第1アーム7L及び第2アーム7Rと、第3アーム21とは、下方に向かうにつれて次第に接近している(前後方向Xの距離が小さくなっている)。
図3に示すように、第3カバー22は、基端側が第3アーム21の左側と右側(幅方向Yの一方と他方)にそれぞれ取り付けられている。第3カバー22の先端側は、車輪支持部19の先端から突出している。図2〜図4に示すように、第3カバー22の先端側には、第2車輪6の車軸を回転可能に支持する第3支持部24が設けられている。
第2車輪6は、車輪支持部19に対して縦軸(第2車輪6の接地状態において上下方向に延びる軸)回りに揺動可能な可動状態と、車輪支持部19に対して縦軸回りに揺動不能な固定状態とに切り換え可能であることが好ましい。第2車輪6を可動状態とした場合、第2車輪6を右方又は左方に揺動させることができる。移動体1の走行中において、第2車輪6を右方に揺動させると移動体1を右折走行させることができ、左方に揺動させると移動体1を左折走行させることができる。第2車輪6の可動状態と固定状態とを切り換えるための構成は、特に限定されないが、例えば、車輪支持部19に可動のストッパを設け、当該ストッパを第2車輪6に対して当接又は離反する構成を採ることができる。第2車輪6を可動状態とした場合、第2車輪6の揺動は、例えば、後述するハンドル28の操作部29により行わせることができる。
本実施形態の場合、第1車輪5(一方車輪5L、他方車輪5R)は駆動部13(第1駆動部13L、第2駆動部13R)によって駆動される駆動輪であり、第2車輪6は従動輪である。つまり、駆動部13は、第1車輪5と第2車輪6を構成する3つの車輪のうち、第1車輪5を構成する2つの車輪(一方車輪5L、他方車輪5R)を駆動する。但し、駆動部13は、第1車輪5と第2車輪6の少なくとも1つ以上を駆動するものであればよい。例えば、駆動部13は、第1車輪5と第2車輪6を構成する3つの車輪の全てを駆動するものであってもよいし、いずれか1つのみ(例えば、第2車輪6のみ)を駆動するものであってもよい。
第1車輪5と第2車輪6のうち、少なくとも駆動輪である第1車輪5にはエアレスタイヤを使用することが好ましい。エアレスタイヤを使用することによって、パンクを防止し、高いグリップ力と舗装面における静粛性を実現することができる。尚、第1車輪5と第2車輪6の両方にエアレスタイヤを使用することも可能である。
第1車輪5と第2車輪6の直径は、全てが同じであってもよいが、いずれか1つ以上が異なっていてもよい。本実施形態の場合、第1車輪5を構成する2つの車輪(一方車輪5L、他方車輪5R)の直径が同じであり、第2車輪6の直径は第1車輪5の直径よりも小さい。また、第1車輪5と第2車輪6の幅は、全て同じであってもよいが、いずれか1つ以上が異なっていてもよい。本実施形態の場合、第1車輪5を構成する2つの車輪(一方車輪5L、他方車輪5R)の幅が同じであり、第2車輪6の幅は第1車輪5の幅よりも小さい。
本実施形態の場合、第2車輪6は1つであるが、第2車輪6を2つ設けてもよい。第2車輪6を2つ設ける場合、2つの車輪支持部19を幅方向Yに並べて設け、2つの車輪支持部19のそれぞれが第2車輪6を支持するように構成することができる。2つの車輪支持部19は、幅方向Yにおいて、一方支持機構2Lと他方支持機構2Rとの間に配置することができる。この場合、第2車輪6が1つの場合に比べて一方支持機構2Lと他方支持機構2Rとの間の距離を広くし、2つの車輪支持部19が揺動によって一方支持機構2Lと他方支持機構2Rとの間を通過できるように構成することが好ましい。2つの車輪支持部19は、支軸4を支点として一体的に若しくはそれぞれ独立して揺動可能とすることができる。
図1〜図4等に示すように、第1支持機構2及び第2支持機構3には、足置き部25、26、27が設けられている。足置き部25、26、27は、移動体1に乗る使用者(乗車者)が足を置くための部分である。本実施形態では、足置き部25、26、27は、乗車者が足を置くために適した略平らな面を有する板状部材である。以下、便宜上、第1支持機構2の一方支持機構Lに設けられた足置き部を第1足置き部25、第1支持機構2の他方支持機構2Rに設けられた足置き部を第2足置き部26、第2支持機構3に設けられた足置き部を第3足置き部27という。
第1足置き部25は、一方支持機構2Lの下部に設けられている。詳しくは、第1足置き部25は、第1アーム7Lの後面下部に取り付けられており、当該後面下部から後方に延びている。第1足置き部25は、第1アーム7Lの後面下部から後方に延びた状態において、上面が略水平(地面に対して略平行)となる。この状態において、乗車者は、第1足置き部25の上面に一方の足(左足)を置くことができる。図2に矢印E及び仮想線で示すように、第1足置き部25は、当該第1足置き部25の前部に設けられた回動軸(図示略)を支点として、上方(第1アーム7Lの後面に接近する方向)に向けて回動可能である。従って、第1足置き部25を使用しない場合(足を置かない場合)には、第1足置き部25を上方に回動させて折り畳むことができる。
第2足置き部26は、他方支持機構2Rの下部に設けられている。詳しくは、第2足置き部26は、第2アーム7Rの後面下部に取り付けられており、当該後面下部から後方に延びている。第2足置き部26は、第2アーム7Rの後面下部から後方に延びた状態において、上面が略水平(地面に対して略平行)となる。この状態において、乗車者は、第2足置き部26の上面に他方の足(右足)を置くことができる。図示しないが、第2足置き部26も第1足置き部25と同様に上方(第2アーム7Rの後面に接近する方向)に向けて回動可能である。従って、第2足置き部26を使用しない場合には、第2足置き部26を上方に回動させて折り畳むことができる。
第3足置き部27は、第2支持機構3の車輪支持部19の下部に設けられている。詳しくは、第3足置き部27は、左側の第3カバー22の側面(左面)と右側の第3カバー22の側面(右面)にそれぞれ取り付けられており、当該側面から移動体外方に向けて延びている。第3足置き部27は、第3カバー22の側面から外方に延びた状態において、上面が略水平(地面に対して略平行)となる。この状態において、乗車者は、左側と右側の第3足置き部27の上面に、それぞれ一方の足(左足)と他方の足(右足)を置くことができる。図3に矢印F及び仮想線で示すように、第3足置き部27は、当該第3足置き部27の第3カバー22側に設けられた回動軸(図示略)を支点として、上方(第3カバーの側面に接近する方向)に向けて回動可能である。従って、第3足置き部27を使用しない場合(足を置かない場合)には、第3足置き部27を上方に回動させて折り畳むことができる。
第1足置き部25は、第1アーム7Lに取り付ける代わりに第1カバー8Lに取り付けてもよい。第2足置き部26は、第2アーム7Rに取り付ける代わりに第2カバー8Rに取り付けてもよい。第3足置き部27は、第3カバー22に取り付ける代わりに車輪支持部19に取り付けてもよい。
第1足置き部25、第2足置き部26、第3足置き部27は、全てを設けることが好ましいが、1つ以上を省略することもできる。例えば、第1足置き部25と第2足置き部26を設けて、第3足置き部27を省略してもよい。また、第3足置き部27を設けて、第1足置き部25と第2足置き部26を省略してもよい。
第2支持機構3のハンドル支持部20は、ハンドル28を支持している。言い換えれば、ハンドル28は、第2支持機構3のハンドル支持部20に取り付けられている。
図1、図3、図4に示すように、ハンドル支持部20は、幅方向Yにおいて、一方支持機構2Lと他方支持機構2Rとの間に配置されている。ハンドル支持部20は、基端側が支軸4に枢支されており、先端側がハンドル28を支持している。ハンドル支持部20の長さ(基端部から先端部までの距離)は、第1支持機構2の長さ(基端部から先端部までの距離)に比べて短く形成されている。
ハンドル支持部20は、第4アーム30と第4カバー31とを有している。
第4アーム30は、基端側に支軸4に枢支された枢支部32(以下、「第4枢支部32」という)を有しており、先端側に第4カバー31が取り付けられている。第4アーム30は、基端側から先端側に向けて支軸4から離れる方向に延設されている。第4アーム30の幅(幅方向Yの長さ)は、第1アーム7Lと第2アーム7Rとの間の距離(幅方向Yの距離)以下に設定されている。より詳しくは、第4アーム30の幅は、第1アーム7Lと第2アーム7Rとの間の距離よりも小さく設定されている。
図3、図4に示すように、第4アーム30の基端側にある第4枢支部32は、支軸4の軸方向(幅方向Y)において二股に分かれており、二股の間に第3アーム21の第3枢支部23が配置されている。第3枢支部23及び第4枢支部32は、支軸4の軸方向(幅方向Y)において、第1枢支部9と第2枢支部11の間に配置されている。
第4アーム30の先端側には、ハンドル28が取り付けられている。ハンドル28は、第4アーム30の外面(左面及び右面)から外方(右方及び左方)に突出している。ハンドル28は、移動体1と共に移動する使用者が両手で把持する部分である。尚、使用者には、移動体1に乗って移動体1と共に移動する者(乗車者)と、移動体1に乗らずに移動体1と共に移動する者(歩行者)とが含まれる。つまり、ハンドル28は、使用者(乗車者)が移動体1に乗って移動体1と共に移動する場合に把持することもできるし、使用者(歩行者)が移動体1に乗らずに移動体1と共に歩いて移動する場合に把持することもできる。
ハンドル28の形状は、本実施形態では直線状であるが、特に限定されない。ハンドル28の形状は、例えば、U字状であってもよいし、環状であってもよい。また、ハンドル28は、第4アーム30側に向けて折り畳み可能な構成としてもよい。
図1、図2に示すように、第4アーム30は、基端側(支軸4側)から先端側(ハンドル28側)に向かうにつれて湾曲している。具体的には、第4アーム30は、第1車輪5を第2車輪6の前方に配置し且つ第1車輪5と第2車輪6とを接地し、ハンドル28を支軸4の上方且つ前方(斜め上前方)に配置した姿勢において、上方に向かうにつれて後方に移行するように湾曲している。
ハンドル28は、第1駆動部13Lの動作及び第2駆動部13Rの動作を指令することができる。この指令は、ハンドル28に設けられる操作部29(後述する)を操作することによって実行される。
第4カバー31は、第4アーム30の左面及び右面(外方面)にそれぞれ取り付けられている。第4アーム30の左面に取り付けられた第4カバー31には、第1バッテリ15Lと接続される電気コードが収容されている。この電気コードは、第4アーム30に設けられた内部空間を通って延設され、第1アーム7Lの内部空間に配置された第1バッテリ15Lと接続されている。第4アーム30の右面に取り付けられた第4カバー31には、第2バッテリ15Rと接続される電気コードが収容されている。この電気コードは、第4アーム30に設けられた内部空間を通って延設され、第2アーム7Rの内部空間に配置された第2バッテリ15Rと接続されている。第4カバー31から電気コードを取り出して、当該電気コードのプラグをプラグ受け(コンセント)に差し込むことによって、第1バッテリ15Lと第2バッテリ15Rを充電することができる。
図3に示すように、支軸4は幅方向Yに延びている。支軸4は、一方支持機構2Lと他方支持機構2Rとをそれぞれ独立して揺動可能に支持している。これにより、第2支持機構3に対して一方支持機構2Lのみを支軸4を支点として揺動することができる。また、第2支持機構3に対して他方支持機構2Rのみを支軸4を支点として揺動することができる。また、支軸4は、ハンドル支持部20に対して車輪支持部19を揺動可能に支持している。
別の言い方をすれば、支軸4は、4本のアームをそれぞれ独立して揺動可能に支持している。詳しくは、支軸4は、一方支持機構2Lの第1アーム7L、他方支持機構2Rの第2アーム7R、車輪支持部19の第3アーム21、ハンドル支持部20の第4アーム40をそれぞれ独立して揺動可能に支持している。但し、支軸4は、少なくとも3本のアームを独立して揺動可能に支持していればよい。
図3に示すように、支軸4は、第1支軸4Lと第2支軸4Rとを含んでいる。第1支軸4Lと第2支軸4Rとは、幅方向Yに並んで同一軸線上に配置されている。第1支軸4Lは、幅方向Yの一方側(左側)に配置されている。第1支軸4Lは、一方支持機構2Lを揺動可能に支持している。第1支軸4Lは、第1駆動源33により軸回り方向に回転される。第1支軸4Lが軸回り方向に回転することによって、一方支持機構2Lが揺動する。第2支軸4Rは、幅方向Yの他方側(右側)に配置されている。第2支軸4Rは、他方支持機構2Rを揺動可能に支持している。第2支軸4Rは、第2駆動源34により軸回り方向に回転される。第2支軸4Rが軸回り方向に回転することによって、他方支持機構2Rが揺動する。
第1支軸4Lは、第1外方軸4Laと第1内方軸4Lbとを含んでいる。第1外方軸4Laと第1内方軸4Lbは、第1駆動源33である第1の2軸同軸モータ(以下、「第1同軸モータ33」という)により駆動される。第1外方軸4Laは、第1同軸モータ33から左方(外方)に突出している。第1内方軸4Lbは、第1同軸モータ33から右方(内方)に突出している。
第2支軸4Rは、第2外方軸4Raと第2内方軸4Rbとを含んでいる。第2外方軸4Raと第2内方軸4Rbは、第2駆動源34である第2の2軸同軸モータ(以下、「第2同軸モータ34」という)により駆動される。第2外方軸4Raは、第2同軸モータ34から右方(外方)に突出している。第2内方軸4Rbは、第2同軸モータ34から左方(内方)に突出している。
第1同軸モータ33と第2同軸モータ34は、幅方向Yに並んで配置されている。第1同軸モータ33は、第4枢支部32の二股の一方側(左側)に収容されている。第2同軸モータ34は、第4枢支部32の二股の他方側(右側)に収容されている。第1同軸モータ33には、第1バッテリ15Lから電力を供給することができる。第2同軸モータ34には、第2バッテリ15Rから電力を供給することができる。
第1外方軸4Laには、一方支持機構2Lの第1アーム7Lの基端部が支持されている。第2外方軸4Raには、他方支持機構2Rの第2アーム7Rの基端部が支持されている。第1内方軸4Lb及び第2内方軸4Rbには、第2支持機構3の第3アーム21の基端部が支持されている。
第1同軸モータ33は、第1外方軸4Laと第1内方軸4Lbとを独立して回転させることができる。第1同軸モータ33は、第1外方軸4Laと第1内方軸4Lbとを、同方向に回転させることもできるし、互いに逆方向に回転させることもできる。第2同軸モータ34は、第2外方軸4Raと第2内方軸4Rbとを独立して回転させることができる。第2同軸モータ34は、第2外方軸4Raと第2内方軸4Rbとを、同方向に回転させることもできるし、互いに逆方向に回転させることもできる。また、第1同軸モータ33と第2同軸モータ34とは、独立して駆動することができる。これにより、第1外方軸4La、第1内方軸4Lb、第2外方軸4Ra、第2内方軸4Rbをそれぞれ独立して軸回り方向の一方又は他方に回転させることができる。
第1同軸モータ33を駆動して第1外方軸4Laを回転させると、一方支持機構2Lが支軸(第1外方軸4La)の軸回り方向に揺動する。ここで、第1内方軸4Lbを回転させないことにより、一方支持機構2Lが、他方支持機構2R及び第2支持機構3に対して相対的に揺動する。
第2同軸モータ34を駆動して第2外方軸4Raを回転させると、他方支持機構2Rが支軸(第2外方軸4Ra)の軸回り方向に揺動する。ここで、第2内方軸4Rbを回転させないことにより、他方支持機構2Rが、一方支持機構2L及び第2支持機構3に対して相対的に揺動する。
第1同軸モータ33を駆動して第1内方軸4Lbを回転させる、或いは、第2同軸モータ34を駆動して第2内方軸4Rbを回転させると、第2支持機構3の車輪支持部19が支軸(第1内方軸4Lb、第2内方軸4Rb)の軸回り方向に揺動する。これにより、車輪支持部19がハンドル支持部20に対して相対的に揺動する。また、第1外方軸4La及び第2外方軸4Raを回転させないことにより、車輪支持部19が、一方支持機構2L及び他方支持機構2Rに対して相対的に揺動する。
ここで、第1外方軸4La、第1内方軸4Lb、第2外方軸4Ra、第2内方軸4Rbは、それぞれ独立して回転させることができる。そのため、一方支持機構2L、他方支持機構2R、車輪支持部19を、それぞれ独立してハンドル支持部20に対して揺動させることができる。
例えば、第1同軸モータ33と第2同軸モータ34を駆動して、第1外方軸4Laと第2外方軸4Raのみを回転させると、第1支持機構2(一方支持機構2Lと他方支持機構2R)が、第2支持機構3(車輪支持部19及びハンドル支持部20)に対して相対的に揺動する。そのため、図2に示すように、第1支持機構2を、支軸4を支点として、第1車輪5が第2車輪6に接近する方向(矢印F方向)又は離間する方向(矢印H方向)に揺動させることができる。
上述したように、第1同軸モータ33及び第2同軸モータ34は、一方支持機構2L、他方支持機構2R、車輪支持部19を、それぞれ独立してハンドル支持部20に対して揺動させるための機構(以下、「独立揺動機構」という)を構成している。このように、2つの同軸モータによって独立揺動機構を構成することによって、独立揺動機構をコンパクトに且つ高精度に構成することが可能となる。但し、独立揺動機構は、同軸モータを使用しない他の機構(例えば、同軸モータ以外のモータと歯車伝達機構を組み合わせた機構等)としてもよい。また、モータ等の駆動源を使用せずに手動によって、一方支持機構2L、他方支持機構2R、車輪支持部19を、それぞれ独立してハンドル支持部20に対して揺動可能としてもよい。手動による揺動を可能とする場合は、一方支持機構2L、他方支持機構2R、車輪支持部19、ハンドル支持部20を、任意の揺動位置で固定可能な機構を設けることができる。
図3に示すように、第2支持機構3の車輪支持部19は、幅方向Yにおいて、第1支持機構2を構成する一方支持機構2Lと他方支持機構2Rとの間に配置されている。そのため、図5の矢印J及び仮想線に示すように、第2支持機構3の車輪支持部19を、第3車輪3と共に、一方支持機構2Lと他方支持機構2Rとの間を通過させて移動(揺動)させることができる。
これにより、第1支持機構2は、第2支持機構3の車輪支持部19に支持された第2車輪6に対して、第1車輪5を第1方向(前方)に離間させる第1姿勢(図2参照)と、第1車輪5を第1方向と反対方向である第2方向(後方)に離間させる第2姿勢(図6参照)とに姿勢変更可能である。言い換えれば、前後方向Xにおいて、第1車輪5の位置と第2車輪6の位置とを入れ替えることができる。
図2に示すように、第1姿勢では、第1車輪5が前方に配置され、第2車輪6が後方に配置される。図6に示すように、第2姿勢では、第2車輪6が前方に配置され、第1車輪5が後方に配置される。また、第1姿勢では、第1支持機構2が支軸4から下方且つ前方(斜め下前方)に延び且つ第2支持機構3が支軸4から下方且つ後方(斜め下後方)に延びる。第2姿勢では、第1支持機構2が支軸4から下方且つ後方(斜め下後方)に延び且つ第2支持機構3が支軸4から下方且つ前方(斜め下前方)に延びる。
更に、図7の矢印Kに示すように、第2支持機構3の車輪支持部19を、第1支持機構2に対して揺動させることによって、仮想線に示すように、車輪支持部19を、幅方向において、一方支持機構2Lと他方支持機構2Rとの間に挟まれた位置に配置することができる。このとき、幅方向Yにおいて、第2車輪3は一方車輪5Lと他方車輪5Rの間に配置され、第3アーム21は第1アーム7Lと第2アーム7Rの間に配置される。
また、図3に示すように、第2支持機構3のハンドル支持部20は、幅方向Yにおいて、一方支持機構2Lと他方支持機構2Rとの間に配置されている。そのため、図2の矢印L及び矢印Mに示すように、ハンドル支持部20を、支軸4回りに車輪支持部19に対して相対的に揺動させることで、ハンドル支持部20と車輪支持部19とを接近させる(折り畳む)ことができる。これにより、図8に示すように、車輪支持部19に加えてハンドル支持部20も、一方支持機構2Lと他方支持機構2Rとの間に挟まれた位置に配置することができる。
移動体1は、車輪支持部19及びハンドル支持部20が一方支持機構2Lと他方支持機構2Rの間から離脱した姿勢(以下、「基本姿勢」という)(図1等参照)と、車輪支持部19及びハンドル支持部20が一方支持機構2Lと他方支持機構2Rの間に位置する姿勢(以下、「折り畳み姿勢」という)(図8参照)とに変更可能である。
移動体1は、使用するときには基本姿勢とし、使用しないときには折り畳み姿勢とする。移動体1は、折り畳み姿勢とすることによってコンパクトになるため、持ち運びが容易となる。例えば、折り畳み姿勢とした移動体1は、自動車のトランクに収納したり、電車に乗る際に持ち込んだりすることが可能となる。
上述の通り、本実施形態の場合、車輪支持部19とハンドル支持部20とが支軸4を支点として相対的に揺動可能(折り畳み可能)であることにより、移動体1を折り畳み姿勢とすることができる。しかし、他の実施形態として、車輪支持部19とハンドル支持部20とを一体物とし、車輪支持部19とハンドル支持部20とが支軸4を支点として一体的に揺動(回動)するように構成することもできる。
図1〜図4等に示すように、移動体1は、使用者が着座するためのサドル35を備えている。サドル35は第2支持機構3に取り付けられている。具体的には、サドル35は、第2支持機構3の第3枢支部23において支軸4に取り付けられている。
サドル35は、着座部35aと、回動部35bと、接続部35cと、を有している。
着座部35aは、移動体1に乗車して移動する使用者(乗車者)が着座する部分である。着座部35aは、例えば、自転車において一般的に使用されているような、前部(支軸4に近い側)の幅が後部(支軸4から遠い側)の幅よりも狭い形状のものを使用することができる。また、図4に示すように、着座部35aの後部には、前方に向けて切り欠かれた凹部35dを設けることができる。凹部35dの幅は、第3アーム21の幅よりも大きく設定される。
回動部35bは、支軸4に対して当該支軸4の軸回り方向に回動可能に取り付けられる部分である。図2、図3に示すように、回動部35bは、円筒状のボス(以下、「ボス35b」と表記する)から構成されている。図3に示すように、ボス35bは、車輪支持部19の第3アーム21の基端部(第3枢支部23)に配置されている。ボス35bの内部には、支軸4(第1内方軸4Lb、第2内方軸4Rb)が配置されている。ボス35bの中心軸と支軸4の中心軸は、同一直線上に配置されている。ボス35bは、支軸4の軸回りに回転可能である。
接続部35cは、回動部(ボス)35bと着座部35aとを接続している。接続部35cは、一端部がボス35bの外周面に固定され、当該外周面からボス35bの半径方向外側に延びている。接続部35cの他端部は、着座部35aの前部に固定されている。
ボス35bを支軸4の軸回りに回転させると、接続部35c及び着座部35aも支軸4の軸回りに回転する。つまり、図5の矢印Nに示すように、サドル35は、支軸4を支点として(支軸4の軸回りに)上方又は下方に揺動可能となっている。
図5において、サドル35が支軸4を支点として上方に揺動した位置(以下、「上方位置」という)を実線で示し、下方に揺動した位置(以下、「下方位置」という)を仮想線で示している。サドル35は、上方位置にあるとき、使用者が着座するために適した位置となる。従って、使用者がサドル35に着座した状態で移動する場合、サドル35を上方位置とする。サドル35は、上方位置において、着座部35aの座面が略水平となるように設定される。一方、使用者がサドル35に着座しない状態で移動する場合、或いは、移動体1を使用しない場合には、サドル35を下方位置とする。これにより、サドル35が上方位置にある場合と比べて着座部35aが第3アーム21に接近した位置となるため、サドル35が邪魔になる不具合を回避できる。また、サドル35を下方位置としたときに、着座部35aに設けられた凹部35dに第3アーム21が嵌まり込むようにすると、サドル35が邪魔になる不具合をより確実に回避できる。
図9に示すように、サドル35は、第2支持機構3に対する第1支持機構2の姿勢変更によって高さが変化する。具体的には、サドル35は、第1車輪5と第2車輪6とが接近した姿勢(接近姿勢)にあるときには第1高さ位置となる(仮想線参照)。一方、第1車輪5と第2車輪6とが離間した姿勢(離間姿勢)にあるときには、サドル35は、第1高さ位置よりも低い第2高さ位置となる(実線参照)。接近姿勢における第1支持機構2と第2支持機構3との間の角度は、離間姿勢における第1支持機構2と第2支持機構3との間の角度よりも小さくなる。
このようにサドル35の高さを変化させることにより、使用者の体格に応じてサドル35の高さ調整を行うことができる。具体的には、使用者の身長が高い(股下が長い)場合にはサドル35を第1高さ位置とし、使用者の身長が低い(股下が短い)場合にはサドル35を第2高さ位置とすることができる。また、使用者が移動体1への乗り降りを行う際にサドル35の高さを低くすることによって、乗り降りを容易に行うことができる。サドル35の高さ調整のための姿勢変更(接近姿勢と離間姿勢との変更)は、手動でも可能であるが、第1駆動源33及び第2駆動源34を駆動し、第2支持機構3に対して第1支持機構2を揺動させることによって行うことができる。そのため、サドル35の高さ調整を容易に行うことが可能である。
図1に示すように、着座部35aの後部には、使用者が把持するためのグリップ36を設けることができる。言い換えれば、サドル35は、支軸4に取り付けられた側と反対側にグリップ36を有することができる。グリップ36は、着座部35aの後部から後方(支軸4から離れる方向)に突出している。本実施形態の場合、グリップ36は、略U字状の金具から構成されており、使用者がグリップ36と着座部35aとの間に手指を差し入れることによって、グリップ36を容易に把持することができる。
図8に示すように、着座部35aの後部にグリップ36を設けることにより、移動体1を折り畳み姿勢としたときに、グリップ36を、支軸4を挟んで、第1支持機構2、第2支持機構3、車輪支持部19、ハンドル支持部20と反対側に配置可能である。そのため、図10に示すように、使用者Uは、折り畳み姿勢とした移動体1を、グリップ36を把持して牽引しながら移動することができる。尚、グリップ36の形状や位置は、使用者の把持し易さ等を考慮して適宜変更することができる。また、グリップ36は、サドル35に対して、出没可能又は折り畳み可能とすることができる。この場合、グリップ36を使用しないときには、没入する又は折り畳むことができる。
図11に示すように、移動体1は、操作部29、検出部37、制御部38を備えている。
操作部29は、使用者が移動体1を操作するために使用する装置である。操作部29は、例えば、操作ボタン、操作レバー、操作パネル(タッチパネル等)等の入力インターフェイスから構成される。操作部29は、使用者が操作し易い移動体1の外部に設けられる。操作部29は、ハンドル28に設けることが好ましいが、ハンドル28以外の部分(例えば、ハンドル支持部20等)に設けてもよい。
操作部29は、使用者によって選択して操作可能な複数の入力部を含んでいる。複数の入力部は、例えば、複数のボタンや、操作パネルに表示される複数の画像(アイコン等)等である。複数の入力部によって複数の操作メニューから1又は複数の操作を選択することができる。選択可能な操作メニューは、例えば、「前進」、「後進」、「左折」、「右折」、「停止」、「サドル上昇」、「サドル下降」、「折り畳み」等である。複数の操作メニューは、例えば、複数の操作ボタン又は操作レバーのいずれかを操作することにより選択されるものとしてもよいし、操作パネルに表示される複数の画像(アイコン等)のいずれかをタッチすることにより選択されるものとしてもよい。操作部29を操作することによって入力される入力信号は、操作信号として制御部38に入力される。
検出部37は、移動体1の姿勢(傾き等)を検出する。検出部37は、例えば、ジャイロセンサや加速度センサ等の姿勢センサを含む。検出部37により検出された移動体1の姿勢に関する情報は、検出信号として制御部38に入力される。
制御部38は、CPU等の演算部38aと、RAMやROM等の記憶部38b等を備えたコンピュータから構成されている。制御部38は、例えば、移動体1の内部(ハンドル支持部20の内部等)に設けられる。記憶部38bには、制御部38の動作を実行するための所定のプログラムが記憶されている。演算部38aは、操作部29からの入力信号(操作信号)又は検出部37からの入力信号(検出信号)に基づいて、記憶部38bに記憶されたプログラムを読み出して実行することにより、第1電動モータ14L、第2電動モータ14R、第1同軸モータ33、第2同軸モータ34の動作を制御する。
具体的には、例えば、操作部29から「前進」又は「後進」の入力がなされた場合、制御部38は、第1電動モータ14Lと第2電動モータ14Rを駆動し、一方車輪5Lと他方車輪5Rとを同じ速度で前方又は後方に回転させる。これにより、移動体1を前進又は後進させることができる。
また、例えば、操作部29から「左折」又は「右折」の入力がなされた場合、制御部38は、第1電動モータ14Lと第2電動モータ14Rを駆動し、一方車輪5Lと他方車輪5Rとを異なる速度で同方向に回転させる。これにより、移動体1を左折又は右折させることができる。
また、例えば、操作部29から「停止」の入力がなされた場合、制御部38は、第1電動モータ14Lと第2電動モータ14Rを停止し、一方車輪5Lと他方車輪5Rとを停止させる。これにより、移動体1を停止させることができる。
また、例えば、操作部29から「サドル上昇」又は「サドル下降」の入力がなされた場合、制御部38は第1同軸モータ33と第2同軸モータ34を駆動して、第1外方軸4Laと第2外方軸4Raを同じ方向に回転させる。これにより、図2に示すように、第1支持機構2が、第2支持機構3の車輪支持部19に接近する方向(矢印F方向)又は離間する方向(矢印H方向)に移動する。その結果、図9に示すように、サドル35の高さが調整される。
また、例えば、移動体1が基本姿勢にあるときに、操作部29から「折り畳み」の入力がなされた場合、制御部38は第1同軸モータ33と第2同軸モータ34を駆動して、第1外方軸4La及び第2外方軸4Raと、第1内方軸4Lb及び第2内方軸4Rbとを、互いに逆方向に回転させる。これにより、第1支持機構2が第2支持機構3の車輪支持部19に接近し、更に車輪支持部19とハンドル支持部20とが接近する。そのため、図8に示すように、移動体1は、車輪支持部19及びハンドル支持部20が一方支持機構2Lと他方支持機構2Rの間に位置する折り畳み姿勢となる。
また、制御部38は、検出部37からの検出信号に基づいて、3つの車輪(一方車輪5L、他方車輪5R、第2車輪6)の位置を独立して制御することができる。詳しくは、制御部38は、検出部37により検出された移動体1の姿勢に関する検出信号に基づいて、第1同軸モータ33又は第2同軸モータ34を駆動して一方支持機構2L又は他方支持機構2Rを揺動させることにより、3つの車輪(一方車輪5L、他方車輪5R、第2車輪6)の位置を独立して調整することができる。
例えば、検出部37が、移動体1が左に傾いている(左部が右部に比べて低い)ことを検出した場合、移動体1が左傾姿勢にあることを示す検出信号を制御部38に送信する。制御部38は、検出部37からの検出信号を受けて第1同軸モータ33又は第2同軸モータ34を駆動して、第1外方軸4La又は第2外方軸4Raを回転させ、一方支持機構2L又は他方支持機構2Rを揺動させることにより、一方車輪5Lが他方車輪5Rよりも低い位置にある状態とする。具体的には、一方車輪5Lを他方車輪5Rよりも後方に配置する。これにより、図12に示すように、左部が右部に比べて低い傾斜面S1においても、移動体1の姿勢を略水平に(サドル35の座面やハンドル28等を略水平に)維持して走行することができる。
一方、検出部37は、移動体1が右に傾いている(右部が左部に比べて低い)ことを検出した場合、移動体1が右傾姿勢にあることを示す検出信号を制御部38に送信する。制御部38は、検出部37からの検出信号を受けて、第1同軸モータ33又は第2同軸モータ34を駆動して、一方車輪5Lが他方車輪5Rよりも高い位置にある状態とする。具体的には、一方車輪5Lを他方車輪5Rよりも前方に配置する。これにより、右部が左部に比べて低い傾斜面においても、移動体1の姿勢を略水平に(サドル35の座面やハンドル28等を略水平に)維持して走行することができる。
また、検出部37は、移動体1が前に傾いている(前部が後部に比べて低い)ことを検出した場合、移動体1が前傾姿勢にあることを示す検出信号を制御部38に送信する。制御部38は、検出部37からの検出信号を受けて、第1同軸モータ33及び第2同軸モータ34を駆動して、第1外方軸4La及び第2外方軸4Raと第1内方軸4Lb及び第2内方軸4Rbとを互いに逆方向に回転させる。これにより、第1支持機構2(一方支持機構2L及び他方支持機構2R)と、第2支持機構3の車輪支持部19とを互いに逆方向に揺動し、第1車輪5(一方車輪5L及び他方車輪5R)を下降させ、第2車輪6を上昇させる。これにより、図13に示すように、下り坂の傾斜面S2においても、移動体1の姿勢を略水平に維持して走行することができる。
一方、検出部37は、移動体1が後に傾いている(後部が前部に比べて低い)ことを検出した場合、移動体1が後傾姿勢にあることを示す検出信号を制御部38に送信する。制御部38は、検出部37からの検出信号を受けて、第1同軸モータ33及び第2同軸モータ34を駆動して、第1車輪5(一方車輪5L及び他方車輪5R)を上昇させ、第2車輪6を下降させる。これにより、上り坂の傾斜面においても、移動体1の姿勢を略水平に維持して走行することができる。
上述したように、移動体1は、第1支持機構2、第2支持機構3、車輪支持部19、ハンドル支持部20が、支軸4を支点としてそれぞれ独立して揺動可能である。また、移動体1は、操作部29による操作によって、第1支持機構2、第2支持機構3、車輪支持部19、ハンドル支持部20を、それぞれ揺動させた後に、所望の位置で停止させることもできる。従って、移動体1を様々な姿勢に変更することができる。
以下、移動体1が変更可能な姿勢について説明する。
移動体1が変更可能な姿勢は、折り畳み姿勢と基本姿勢とに大別できる。
折り畳み姿勢は、車輪支持部19及びハンドル支持部20が第1支持機構2と第2支持機構3の間に位置する姿勢(図8参照)である。基本姿勢は、車輪支持部19及びハンドル支持部20が第1支持機構2と第2支持機構3の間から離脱した姿勢(図1等参照)である。
基本姿勢は、第1車輪5と第2車輪6との相対位置に基づく2つの姿勢に大別できる。
第1車輪5と第2車輪6との相対位置に基づく2つの姿勢は、上述した第1姿勢(図2参照)と第2姿勢(図6参照)である。第1姿勢では、第1車輪5が前方に配置され、第2車輪6が後方に配置される。第2姿勢では、第2車輪6が前方に配置され、第1車輪5が後方に配置される。
また、基本姿勢は、支軸4を基準とする2つの姿勢に大別できる。
支軸4を基準とする2つの姿勢は、支軸中間姿勢と支軸後方姿勢である。支軸中間姿勢は、支軸4の前方に第1車輪5(一方車輪5L及び他方車輪5R)が位置し且つ支軸4の後方に第2車輪6が位置する姿勢である(図1、図2等参照)。支軸後方姿勢は、第1車輪5(一方車輪5L及び他方車輪5R)及び第2車輪6の後方に支軸4が位置する姿勢である(図14、図15参照)。つまり、第1支持機構2と第2支持機構3は、支軸4を支点として揺動させることによって、支軸中間姿勢と支軸後方姿勢とに変更可能である。支軸中間姿勢では、第1車輪5及び第2車輪6が接地する。支軸後方姿勢には、第2車輪6のみが接地し、第1車輪5が第2車輪6の上方に位置する姿勢(図14参照)と、第1車輪5及び第2車輪6が接地する姿勢(図15参照)とが含まれる。図14及び図15に示される姿勢は、主として後述する作業モードにて使用される姿勢である。尚、支軸4と車輪(第1車輪5、第2車輪6)の位置関係は、支軸4の中心と車輪の中心とを基準とした位置関係である。
また、基本姿勢は、サドル35を基準とする2つの姿勢に大別できる。
サドル35を基準とする2つの姿勢は、サドル中間姿勢とサドル後方姿勢である。サドル中間姿勢は、サドル35の前方に第1車輪5(一方車輪5L及び他方車輪5R)が位置し且つサドル35の後方に第2車輪6が位置する姿勢である(図1、図2等参照)。サドル後方姿勢は、第1車輪5(一方車輪5L及び他方車輪5R)及び第2車輪6の後方にサドル35が位置する姿勢である(図14、図15参照)。つまり、第1支持機構2と第2支持機構3は、支軸4を支点として揺動させることによって、サドル中間姿勢とサドル後方姿勢とに変更可能である。サドル中間姿勢では、第1車輪5及び第2車輪6が接地する。サドル後方姿勢には、第2車輪6のみが接地し、第1車輪5が第2車輪6の上方に位置する姿勢(図14参照)と、第1車輪5及び第2車輪6が接地する姿勢(図15参照)とが含まれる。尚、サドル35と車輪(第1車輪5、第2車輪6)の位置関係は、サドル35の着座部35aの前端と車輪の中心とを基準とした位置関係である。
また、基本姿勢は、ハンドル28を基準とする3つの姿勢に大別できる。
ハンドル28を基準とする3つの姿勢は、ハンドル中間姿勢、ハンドル後方姿勢、ハンドル前方姿勢である。ハンドル中間姿勢は、ハンドル28の前方に第1車輪5(一方車輪5L及び他方車輪5R)が位置し且つハンドル28の後方に第2車輪6が位置する姿勢である(図1、図2等参照)。ハンドル後方姿勢は、第1車輪5(一方車輪5L及び他方車輪5R)及び第2車輪6の後方にハンドル28が位置する姿勢である(図14、図15参照)。ハンドル前方姿勢は、第1車輪5(一方車輪5L及び他方車輪5R)及び第2車輪6の前方にハンドル28が位置する姿勢である(図16参照)。尚、ハンドル28と車輪(第1車輪5、第2車輪6)の位置関係は、ハンドル28の基端部(ハンドル支持部20に支持された部分)と車輪の中心とを基準とした位置関係である。
ハンドル中間姿勢では、第1車輪5及び第2車輪6が接地する。ハンドル後方姿勢には、第2車輪6のみが接地し、第1車輪5が第2車輪6の上方に位置する姿勢(図14参照)と、第1車輪5及び第2車輪6が接地する姿勢(図15参照)とが含まれる。
図16に示すように、ハンドル前方姿勢においては、ハンドル支持部20に物体Oを載置することができる。言い換えれば、ハンドル支持部20は、ハンドル前方姿勢において、物体Oを載置可能とする載置部20aを有している。具体的には、ハンドル支持部20の後面(ハンドル28を支軸4の上方に配置した場合にサドル35側を向く面)が載置部20aを構成する。ハンドル支持部20の後面は、ハンドル支持部20を支軸4の前方に向けて倒した状態において上方を向くため、当該後面を載置部20aとして物体Oを載置することができる。載置部20aの前方にはハンドル28が位置するため、物体Oを載置部20aとハンドル28に跨って載置することもできる。図16では、物体Oとして容器が示されているが、載置部20aに載置される物体Oの種類は限定されない。物体Oを電力により作動する装置(例えば、照明装置、電気ヒータ等)とした場合、当該装置を載置部20aに載置し、第1バッテリ15Lや第2バッテリ15Rに蓄えられた電力を利用して作動させることができる。
移動体1は、主に2種類のモード(用途)で使用することができる。第1のモードは、使用者が移動する目的で使用する移動モードである。第2のモードは、使用者が作業をする目的で使用する作業モードである。ここでは先ず移動モードについて説明する。
移動モードにおいて、使用者は、移動体1について2つの使用形態を選択することができる。第1の使用形態は、使用者が移動体1に乗って移動体1と共に移動する使用形態(以下、「乗車使用形態」という)である、第2の使用形態は、使用者が移動体1に乗らずに移動体1と共に歩いて移動する使用形態(以下、「歩行使用形態」という)である。
乗車使用形態は、使用者が座った姿勢で乗車する座位使用形態と、使用者が立った姿勢で乗車する立位使用形態とを含む。
図17は、乗車使用形態のうち、座位使用形態を示している。座位使用形態において、移動体1は、支軸中間姿勢、サドル中間姿勢、ハンドル中間姿勢に相当する姿勢となる。座位使用形態において、使用者は、上方位置に固定されたサドル35に着座して、左足を第1足置き部25に乗せ、右足を第2足置き部26に乗せ、両手でハンドル28を把持する。ハンドル支持部20は、サドル35に着座した乗車者がハンドル28を把持できる位置に配置される。具体的には、ハンドル支持部20は、ハンドル28が支軸4の前方且つ上方(斜め上前方)となる位置に配置される。使用者(乗車者)Uは、ハンドル28に設けられた操作部29を操作して第1駆動部13L及び第2駆動部13Rの動作を指令することにより、第1車輪5を駆動して走行することができる。
図18、図19は、乗車使用形態のうち、立位使用形態を示している。立位使用形態において、移動体1は、支軸中間姿勢、サドル中間姿勢、ハンドル中間姿勢に相当する姿勢となる。立位使用形態において、使用者(乗車者)Uは、第3足置き部27に両足を乗せて起立し、両手でハンドル28を把持する。ハンドル支持部20は、第3足置き部27に乗った乗車者がハンドル28を把持できる位置に配置される。使用者(乗車者)Uは、ハンドル28に設けられた操作部29を操作して第1駆動部13L及び第2駆動部13Rの動作を指令することにより、第1車輪5を駆動して走行することができる。
立位使用形態は、図18に示す第1立位使用形態と、図19に示す第2立位使用形態とを含む。第1立位使用形態においては、ハンドル支持部20は、ハンドル28が支軸4の直上方となる位置に配置される。第2立位使用形態においては、ハンドル支持部20は、ハンドル28が支軸4の上方且つ後方(斜め上後方)となる位置に配置される。第2立位使用形態では、第1車輪5と第2車輪6との間の距離が、第1立位使用形態に比べて長くなる。言い換えれば、第2立位使用形態では、第1支持機構2(第1アーム7L及び第2アーム7R)と第2支持機構3(第3アーム21)との間の角度は、第1立位使用形態に比べて大きくなる。具体的には、第1立位使用形態における第1支持機構2と第2支持機構3との間の角度は鈍角となり、第2立位使用形態における第1支持機構2と第2支持機構3との間の角度は鋭角となる。
図20、図21は、歩行使用形態を示している。歩行使用形態において、使用者Uは、移動体1の後方において地面に起立し、両手でハンドル28を把持する。ハンドル支持部20は、地面に起立した使用者Uがハンドル28を把持できる位置に配置される。具体的には、ハンドル支持部20は、ハンドル28が支軸4の上方且つ後方(斜め上後方)となる位置に配置される。使用者Uは、ハンドル28に設けられた操作部29を操作して第1駆動部13L及び第2駆動部13Rの動作を指令することにより、第1車輪5を低速で駆動しながら歩行することができる。これにより、移動体1の走行によって使用者の歩行をアシストすることができる。
歩行使用形態は、図20に示す第1歩行使用形態と、図21に示す第2歩行使用形態とを含む。第1歩行使用形態において、移動体1は、第1車輪5が第2車輪6よりも前方に位置する第1姿勢となる。第2歩行使用形態において、移動体1は、第2車輪6が第1車輪5よりも前方に位置する第2姿勢となる。第2歩行使用形態においては、サドル35は使用者U側(後側)に位置する。第2歩行使用形態においては、サドル35は使用者Uと反対側(前側)に位置する。
次に、作業モードについて説明する。
先ず、作業モードに関係する移動体1の構成について説明する。
移動体1は、作業を行うための作業部40(以下、「第1作業部40」という)を取り付け可能な取付部39を備えている。
取付部39及び第1作業部40は、主として物体の運搬作業等を行う際に使用される。取付部39に取り付けられる第1作業部40は、外部から電力を供給されずに作業を行う部材である。詳しくは、第1作業部40は、駆動部13から供給される電力を使用せずに作業を行う部材である。具体的には、第1作業部40は、例えば、物体Pを載せて運搬するための荷台40Aや、物体の積み下ろしをするためのバケット40B等である。図22、図23は、取付部39に荷台40Aを取り付けた状態を示している。図24、図25は、取付部39にバケット40Bを取り付けた状態を示している。
取付部39は、第1支持機構2に設けられている。詳しくは、取付部39は、一方支持機構2L及び他方支持機構2Rに設けられている。より詳しくは、取付部39は、第1アーム7L及び第2アーム7Rに設けられている。図1等に示すように、一方支持機構2Lと他方支持機構2Rは、支軸4の軸方向に対向する対向位置に配置可能である。取付部39は、一方支持機構2Lと他方支持機構2Rが対向位置にある状態において、第1作業部40を取り付け可能である。
取付部39は、第1車輪5と第2車輪6の両方又は一方が接地した状態において第1作業部40を載置可能な取付面39aを有している。取付面39aは、少なくとも一部が平面であって、一方支持機構2L及び他方支持機構2Rにそれぞれ設けられている。一方支持機構2Lに設けられた取付面39aと、他方支持機構2Rに設けられた取付面39aは、一方支持機構2Lと他方支持機構2Rが対向位置にある状態において、同一の仮想平面内に配置される。
図22は、第2車輪6のみが接地した状態において、取付面39aに第1作業部40を載置した状態を示している。図23、図24は、第1車輪5及び第2車輪6が接地した状態において、取付面39aに第1作業部40を載置した状態を示している。図22に示される移動体1の姿勢は、上述した支軸後方姿勢、サドル後方姿勢、ハンドル後方姿勢に相当する姿勢である。図23、図24に示される移動体1の姿勢は、上述した支軸中間姿勢、サドル中間姿勢、ハンドル中間姿勢に相当する姿勢である。
図1に示すように、取付面39aは、第1アーム7Lと第2アーム7Rのそれぞれに、第1姿勢において上方(又は斜め上方)を向く面に設けられている。図22〜図25に示すように、取付面39aには、荷台40Aやバケット40B等の第1作業部40が載置される。取付部39には、当該取付面39aに載置された第1作業部40を固定するための固定部(図示略)を設けることが好ましい。固定部としては、例えば、取付面39aに載置された第1作業部40を把持するためのクランプや、取付面39aに載置された第1作業部40をボルトやピンで止めるための穴や、ロープやチェーン等の索体を引っ掛けるための掛止部等を設けることができる。
また、図22〜図24に示すように、取付面39aに第1作業部40を載置した状態において、第1作業部40の底面前部を一方車輪5L及び他方車輪5Rで支持可能とすることが好ましい。これにより、第1作業部40が取付面39aから前方に突出した場合でも、突出した部分を一方車輪5L及び他方車輪5Rで支持することができる。従って、第1作業部40が取付面39aに比べて大きい場合であっても、第1作業部40が取付面39aから落下することが防がれる。
取付面39aは、第1車輪5(一方車輪5L及び他方車輪5R)が第2車輪6に接近した姿勢(接近姿勢)と離間した姿勢(離間姿勢)において、地面に対する角度が変化する。図24は、移動体1が離間姿勢となっており、第1立位使用形態において取付面39aに第1作業部40を載置した状態である。図25は、移動体1が接近姿勢となっており、第2立位使用形態において取付面39aに第1作業部40を載置した状態である。
図25に示す接近姿勢における取付面39aの地面に対する角度は、図24に示す離間姿勢における取付面39aの地面に対する角度に比べて小さくなる。そのため、図24、図25に示すように、取付部39にバケット40Bを取り付けて、離間姿勢から接近姿勢へと移行して取付面39aの角度を変化させることで、バケット40Bに対する物体(土砂等)Pの積み下ろし(収容及び排出)を行うことができる。離間姿勢から接近姿勢への移行は、使用者が第3足置き部27に乗った状態で、ハンドル28に設けられた操作部29を操作して、第1駆動部(第1同期モータ)33や第2駆動部(第2同期モータ)34を駆動することにより行うことができる。そのため、物体Pの積み下ろしの作業を効率良く容易に行うことができる。
図26に示すように、移動体1は、作業を行うための作業部41(以下、「第2作業部41」という)を装着可能な装着部42を備えている。
装着部42は、一方支持機構2Lと他方支持機構2Rとの間に第2作業部41を装着可能とする部分である。装着部42は、第1装着部42Lと第2装着部42Rとから構成されている。第1装着部42Lは、一方支持機構2Lの第1カバー8Lに設けられている。第2装着部42Rは、他方支持機構2Rの第2カバー8Rに設けられている。本実施形態の場合、一方車輪5Lを支持する第1支持部10が、一方車輪5Lを離脱した(取り外した)状態において第1装着部42Lとなる。また、他方車輪5Rを支持する第2支持部12が、他方車輪5Rを離脱した(取り外した)状態において第2装着部42Rとなる。つまり、第1支持部10及び第2支持部12は、一方車輪5L及び他方車輪5Rを離脱した状態において、第2作業部41を装着可能な装着部42を構成する。
装着部42に装着される第2作業部41は、駆動部13から供給される動力によって駆動するものである。より詳しくは、第2作業部41は、駆動部13から供給される動力により回転する回転軸を有するものである。第2作業部41は、例えば、耕耘機43、除雪機44、芝刈り機45の少なくともいずれか1つを含む。言い換えれば、耕耘機43、除雪機44、芝刈り機45の少なくともいずれか1つを、第2作業部41として装着部42に装着して使用することができる。
図27は、装着部42に耕耘機43を装着した状態を示している。図28は、装着部42に除雪機44を装着した状態を示している。図29は、装着部42に芝刈り機45を装着した状態を示している。但し、装着部42に装着される第2作業部41は、耕耘機43、除雪機44、芝刈り機45には限定されず、草刈り機、収穫機、散布機、集草機等の別の作業機(農作業用の装置)であってもよい。また、農作業以外の作業に使用される装置であってもよい。
第2作業部41の回転軸は、装着部42に装着したときに、駆動部13から供給される動力により回転する。具体的には、例えば、第1車輪5の車軸の代わりに第2作業部41の回転軸の一端部を第1支持部10に支持し、第2車輪6の車軸の代わりに第2作業部41の回転軸の他端部を第2支持部12に支持することによって、第2作業部41の回転軸を駆動部13から供給される動力により回転させることができる。この場合、第1駆動部13Lから供給される動力と第2駆動部13Rから供給される動力のいずれか一方又は両方を使用して、第2作業部41の回転軸を回転させることができる。
以下、図27〜図32に基づいて、装着部42に装着される第2作業部41が、耕耘機43、除雪機44、芝刈り機45である場合についてそれぞれ説明する。但し、図27〜図32は、耕耘機43、除雪機44、芝刈り機45の一例を示すものであって、耕耘機43、除雪機44、芝刈り機45の構成を限定するものではない。
図27は、第2作業部41が耕耘機43である場合を示している。耕耘機43は、回転軸43aと、回転軸に装着された複数の耕耘爪43bとを備えている。回転軸43aは、装着部42に装着されている。具体的には、回転軸43aの一端部は第1装着部42Lに装着され、回転軸43aの他端部は第2装着部42Rに装着されている。これにより、第1駆動部13Lから供給される動力と第2駆動部13Rから供給される動力のいずれか一方又は両方を使用して、回転軸43a(第2作業部41の回転軸)を回転させることができる。これにより、回転軸43aと共に耕耘爪43bを回転させて土壌を耕耘することができる。
図30に示すように、第2作業部41が耕耘機43である場合、移動体1は、第1歩行使用形態において装着部42に耕耘機43を装着した状態として使用される。このとき、移動体1は、支軸後方姿勢、サドル後方姿勢、ハンドル後方姿勢に相当する姿勢となる。使用者Uは、移動体1の後方において地面に起立し、両手でハンドル28を把持する。使用者Uは、ハンドル28に設けられた操作部29を操作して第1駆動部13L及び第2駆動部13Rの動作を指令することにより、耕耘機43の回転軸43aを回転させつつ移動体1を押しながら歩行して、耕耘作業を行うことができる。
図28は、第2作業部41が除雪機44である場合を示している。除雪機44は、オーガ44aと、カバー44bと、シュータ44cとを備えている。オーガ44aの回転軸44dは、装着部42に装着されている。具体的には、回転軸44dの一端部は第1装着部42Lに装着され、回転軸44dの他端部は第2装着部42Rに装着されている。これにより、第1駆動部13Lから供給される動力から供給される動力と第2駆動部13Rから供給される動力のいずれか一方又は両方を使用して、オーガ44aの回転軸44d(第2作業部41の回転軸)を回転させることができる。カバー44bは、オーガ44aの上方、後方、側方(回転軸44dの一端側と他端側)を覆っている。シュータ44cは、カバー44bの上部に設けられた筒状の部材である。シュータ44cの内部は、カバー44bの上部に形成された穴を介してカバー44bの内部と連通している。オーガ44aの回転軸を回転させることにより、除雪機44の走行経路に積もった雪をカバー44b内に掻き込んで、カバー44bの上部に設けられたシュータ44cを通過させてカバー44bの外部に放出することができる。
図31に示すように、第2作業部41が除雪機44である場合、移動体1は、第1歩行使用形態において装着部42に除雪機44を装着した状態として使用される。このとき、移動体1は、支軸中間姿勢、サドル中間姿勢、ハンドル後方姿勢に相当する姿勢となる。当該姿勢において、カバー44bの後部に設けた補助輪46を接地させることができる。使用者Uは、移動体1の後方において地面に起立し、両手でハンドル28を把持する。使用者Uは、ハンドル28に設けられた操作部29を操作して第1駆動部13L及び第2駆動部13Rの動作を指令することにより、除雪機44の回転軸44dを回転させつつ移動体1を押しながら歩行して、除雪作業を行うことができる。
図29は、第2作業部41が芝刈り機45である場合を示している。芝刈り機45は、回転軸45aと、カバー45bと、集草部45cと、走行輪45dと、を有している。回転軸45aは、幅方向に延びており、外周に芝を刈り取るための複数の刈刃が設けられている。カバー45bは、回転軸45aの上方及び前方を覆っている。集草部45cは、回転軸45aの後方に設けられており、刈刃により刈り取られた芝を収集する。走行輪45dは、回転軸45aの一方側と他方側にそれぞれ設けられており、回転軸45aの回転とは独立して回転することができる。
回転軸45aは、装着部42に装着されている。具体的には、回転軸45aの一端部は第1装着部42Lに装着され、回転軸45aの他端部は第2装着部42Rに装着されている。これにより、第1駆動部13Lから供給される動力から供給される動力を使用して、回転軸45a(第2作業部41の回転軸)を回転させ、回転軸45aと共に回転する刈刃によって芝を刈り取ることができる。つまり、刈刃が設けられた回転軸45aは、第1駆動部13Lから供給される動力によって作業(芝刈り)を行う作業装置(芝刈り装置)を構成している。また、第2駆動部13Rから供給される動力を使用して、走行輪45dを回転させることができる。これにより、回転軸45aと共に刈刃を回転させることによって芝刈りを行いながら、走行輪45dの回転によって走行することができる。
尚、回転軸45aの回転のために第1駆動部13Lから供給される動力を使用し、走行輪45dの回転のために第2駆動部13Rから供給される動力を使用する構成に代えて、回転軸45aの回転のために第2駆動部13Rから供給される動力を使用し、走行輪45dの回転のために第1駆動部13Lから供給される動力を使用する構成を採用することも可能である。
図32に示すように、第2作業部41が芝刈り機45である場合、移動体1は、座位使用形態において装着部42に芝刈り機45を装着した状態として使用される。このとき、移動体1は、支軸中間姿勢、サドル中間姿勢、ハンドル中間姿勢に相当する姿勢となる。使用者Uは、サドル35に着座して、左足を第1足置き部25に乗せ、右足を第2足置き部26に乗せ、両手でハンドル28を把持する。使用者Uは、ハンドル28に設けられた操作部29を操作して第1駆動部13L及び第2駆動部13Rの動作を指令することにより、芝刈り機45の回転軸45aを回転させつつ第1車輪5を駆動して走行して、芝刈り作業を行うことができる。
上述したように、移動体1は、装着部42に対して耕耘機43、除雪機44、芝刈り機45等の様々な第2作業部41を装着することが可能であるため、多様な作業を行うことができる。また、第2作業部41は、支軸4により揺動可能に支持された一方支持機構2Lと他方支持機構2Rとの間に設けられた装着部(第1装着部42L、第2装着部42R)に装着されるため、作業の種類に応じて一方支持機構2Lと他方支持機構2Rを揺動して第2作業部41の位置(高さ等)を変更することができ、多様な作業を適切に行うことが可能となる。
以上、本発明について説明したが、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。