まず、本発明の種々の態様に係る搬送ハンド及び搬送ロボットは以下の通りである。例えば、本発明の一態様に係る搬送ハンドは、物品を把持して搬送する搬送ハンドであって、第1方向で物品を把持する第1把持部と、前記第1方向と異なる第2方向で前記物品を把持する第2把持部とを備え、前記第1把持部は、把持した前記物品をスライド移動させるように動作し、前記第2把持部は、前記第1把持部によってスライド移動された前記物品を把持する。
上記構成によると、第2把持部は、第1把持部によってスライド移動された物品を、第1把持部の把持方向と異なる方向で把持する。これにより、搬送ハンドは、物品をスライド移動させた後に把持して搬送することができる。よって、搬送ハンドは、物品のスライド移動を伴った搬送をできる。また、第2把持部は、第1把持部と異なる方向で物品を把持するため、第1把持部の影響を受けずに物品を容易且つ確実に把持することができる。
本発明の一態様に係る搬送ハンドは、第1ハンドと第2ハンドとをさらに備え、前記第1ハンドは、第1アームに取り付けられる第1取付部を有し、第1面内で回動可能な第1ハンド本体と、前記第1ハンド本体に備えられ、前記物品の端部を厚さ方向である前記第1方向で把持する前記第1把持部と、前記第1把持部の両側方における前記物品の幅寸法内で側面の少なくとも2箇所に当接させる当接部と、前記物品を第3方向で両側部から把持する第3把持部とを有し、前記第2ハンドは、第2アームに取り付けられる第2取付部を有し、前記第1面内で回動可能な第2ハンド本体と、前記第2ハンド本体に備えられ、前記物品を幅方向である前記第2方向で両側部から把持する前記第2把持部とを有してもよい。
上記構成によると、第1ハンドの当接部を物品に当接させて第1ハンド本体に対する物品の位置決めをして、その状態で第1把持部によって物品を厚さ方向で把持することができる。そして、第2ハンドの第2把持部によって、第1把持部で引き出した物品を幅方向で把持することができる。これらの動作により、周縁部で保持されて格納されている物品を適切に引き出して搬送することができる。
本発明の一態様に係る搬送ハンドにおいて、前記第2把持部は、前記第1ハンドの前記第1把持部で把持した前記物品を両側部から把持するように構成されていてもよい。上記構成によると、第2把持部による物品の確実な把持が可能になる。
本発明の一態様に係る搬送ハンドにおいて、前記第2把持部は、前記第1ハンドの前記第1把持部で把持して前記第1面内で移動させる前記物品を下方から支持する支持部を有していてもよい。上記構成によると、物品を第1面内から逸脱させずに確実に移動させることが可能になる。
本発明の一態様に係る搬送ハンドにおいて、前記第2ハンドは、前記物品を厚さ方向である第4方向で把持し、前記物品の姿勢を前記第1面内と直交する第2面内に変更する第4把持部をさらに備えていてもよい。上記構成によると、第2ハンドによる物品の姿勢の変化が可能になる。
本発明の一態様に係る搬送ハンドにおいて、前記第1ハンド本体はL字状に形成され、L字状の一方に前記当接部と前記第1把持部とが備えられ、L字状の他方に前記第3把持部が備えられていてもよい。上記構成によると、第1把持部と第3把持部とが干渉することが抑制される。
本発明の一態様に係る搬送ハンドにおいて、前記第1ハンド本体は、下面に前記第3把持部が配置され、上面に前記物品を下方から支持する支持部が配置されていていてもよい。上記構成によると、第1ハンドは、第1ハンド本体の下面と上面とで異なる物品の処理を行うことができる。
本発明の一態様に係る搬送ハンドにおいて、前記第2ハンド本体はL字状に形成され、L字状の一方に前記第2把持部が備えられ、L字状の他方に前記第4把持部が備えられていてもよい。上記構成によると、第2把持部と第4把持部とが干渉することが抑制される。
本発明の一態様に係る搬送ハンドにおいて、前記当接部は、前記第1把持部の両側方における配置間隔を調節できるように構成されていてもよい。上記構成によると、当接部は、様々なサイズの物品に対して当接することができる。
本発明の一態様に係る搬送ハンドにおいて、前記第2把持部及び前記第3把持部は、前記物品の把持間隔を調節できるように構成されていてもよい。上記構成によると、第2把持部及び第3把持部は、様々なサイズの物品に対して把持することができる。
本発明の一態様に係る搬送ロボットは、本発明の一態様に係る搬送ハンドの前記第1ハンドを備えた前記第1アームと、本発明の一態様に係る搬送ハンドの前記第2ハンドを備えた前記第2アームと、前記第1アームの動作と前記第2アームの動作とを制御する制御装置とを備えている。
上記構成によると、1台の搬送ロボットにより、第1アームの第1ハンドを動作制御して物品を引き出す動作と、第2アームの第2ハンドを動作制御して物品を把持して搬送する動作とを適切に行うことができる。また、一方のアームで物品を格納部などから所定の場所に配置する動作と、他方のアームで他の物品を所定の場所から格納部などに保持する動作とを並行して効率良く行うことができる。
本発明の一態様に係る搬送ハンドは、前記第1把持部と前記第2把持部とを有するハンド本体をさらに備え、前記第1把持部は、前記第1方向で前記物品を把持し且つスライド移動可能である第1把持部材を有し、前記第2把持部は、前記第2方向で前記物品を把持し且つ対向して配置される第2把持部材を有し、前記第1把持部は、前記物品を把持した前記第1把持部材をスライド移動させることで、前記物品を前記第2把持部材の間に移動させ、前記第2把持部は、前記第2把持部材を前記第2方向に移動させることで、前記物品を把持してもよい。上記構成によると、1つのハンド本体によって、物品をスライド移動させた後に把持して搬送することができる。よって、搬送ハンドの構成のコンパクト化が可能になる。
本発明の一態様に係る搬送ハンドにおいて、前記第2把持部材はそれぞれ、前記第1把持部材のスライド移動方向に延び且つ互いに対向するガイド部を有し、前記ガイド部は、前記第1把持部材によって移動される前記物品を前記第2把持部材の間に案内するように構成されてもよい。上記構成によると、第1把持部材による物品の確実且つ安定したスライド移動が可能になる。
本発明の一態様に係る搬送ハンドにおいて、前記第1把持部は、前記第1把持部材をスライド移動させるスライドアクチュエータを有してもよい。上記構成によると、アクチュエータを用いた第1把持部材のスライド動作が可能になる。
本発明の一態様に係る搬送ハンドにおいて、前記スライドアクチュエータは、複数段のシリンダを含んでもよい。上記構成によると、第1把持部材を複数段のスライド移動を用いて移動させることができる。よって、様々なパターンの第1把持部材のスライド移動が可能になる。
本発明の一態様に係る搬送ハンドにおいて、前記第2把持部は、前記第2把持部材の少なくとも一方を移動させる把持アクチュエータを有してもよい。上記構成によると、アクチュエータを用いた第2把持部材の把持動作が可能になる。
本発明の一態様に係る搬送ハンドは、前記ハンド本体を取り付け対象に取り付ける取付部と、前記ハンド本体と前記取付部とを接続する接続部とをさらに備え、前記接続部は、前記取付部に対する前記ハンド本体の揺動を可能にするフローティング機構を含んでもよい。上記構成によると、第2把持部で把持した物品を、周囲の物体との衝突等に起因する損傷を与えずに搬送及び配置することが可能になる。
本発明の一態様に係る搬送ロボットは、本発明の一態様に係る搬送ハンドを備えたアームと、前記アーム及び前記搬送ハンドの動作を制御する制御装置とを備える。上記構成によると、1つのアームを用いて、物品をスライド移動させた後に把持して搬送することが可能になる。
本発明の一態様に係る搬送ロボットは、前記アームとして、第1アーム及び第2アームを備え、前記第1アーム及び前記第2アームのそれぞれが、前記搬送ハンドを備え、前記制御装置は、前記第1アーム及び前記第2アームの動作を制御してもよい。上記構成によると、第1アーム及び第2アームそれぞれによって、物品の搬送動作を行うことができるため、搬送効率が向上する。
本発明の一態様に係る搬送ロボットにおいて、前記第1アーム及び前記第2アームは、同軸上で回動するように構成されてもよい。上記構成によると、回動時の第1アーム及び第2アームの干渉が抑えられ、それぞれの回動範囲を大きくすることができる。
以下において、本発明の実施の形態を、図面を参照しつつ説明する。なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも包括的又は具体的な例を示すものである。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。また、添付の図面における各図は、模式的な図であり、必ずしも厳密に図示されたものでない。さらに、各図において、実質的に同一の構成要素に対しては同一の符号を付しており、重複する説明は省略又は簡略化される場合がある。
<実施の形態1>
本発明の実施の形態1を図面に基づいて説明する。以下の実施の形態でも、搬送対象の物品として板状物である基板100を例に説明する。以下の実施の形態では、第1基板格納部110に格納された基板100を試験装置200に搬送する基板搬送ロボットである搬送ロボット1を例に説明する。本明細書及び特許請求の範囲の書類中における基板100の幅方向は、基板100の板厚方向と直交する盤面の左右方向をいう。基板100の板厚方向は第1方向の一例であり、基板100の幅方向は第2方向の一例である。また、水平方向の面を「第1面」、垂直方向の面を「第2面」と表記する場合がある。
(搬送ロボットの構成)
図1は、実施の形態1に係る搬送ロボット1を示す斜視図である。実施の形態1に係る搬送ロボット1は、基台2の鉛直方向に設けられた第1軸S1を中心に水平面内で回動する、第1アーム3(左腕)及び第2アーム4(右腕)を備える。第1アーム3及び第2アーム4はそれぞれ、第1リンク5、第2リンク6、第3リンク7及び第4リンク8を有している。第1リンク5は、第1軸S1を中心に水平面内で回動可能となっている。第2リンク6は、第2軸S2を中心に水平面内で回動可能となっている。第3リンク7は、第3軸S3を中心に垂直面内で回動可能となっている。第4リンク8は、第4軸S4を中心に揺動可能となっている。第1アーム3と第2アーム4とは、第1軸S1について同軸上で回動し、それぞれ独立した動作が可能となっている。第1アーム3の第1リンク5と第2アーム4の第1リンク5とは、第1軸S1方向にずらして配置されている。これにより、第1軸S1を中心とした回動時、第1アーム3と第2アーム4との干渉が抑えられるため、第1アーム3及び第2アーム4の回動範囲を大きくすることが可能になる。
第1アーム3及び第2アーム4はそれぞれ、制御装置9によって動作制御される。制御装置9は、プロセッサ、揮発性メモリ、不揮発性メモリ及びI/Oインターフェース等を有する。制御装置9は、受信部、記憶部、制御部及び出力部を機能的な構成要素として有する。受信部及び出力部は、I/Oインターフェースにより実現される。記憶部は、揮発性メモリ及び不揮発性メモリにより実現される。制御部の機能は、各リンク5〜8の先端座標位置などを、不揮発性メモリに保存されたプログラムに基づいてプロセッサが揮発性メモリを用いて演算処理することで実現される。制御部は、演算処理した先端座標位置に基づいて、各リンク5〜8の駆動部に動作量を出力し、各リンク5〜8の駆動部から受信した動作信号に基づいて各座標位置を算出する。制御装置9は、後述する各把持部30,40,60,70の開閉制御、及び旋回部73の旋回制御もする。
そして、搬送ロボット1には、第1ハンド20と第2ハンド50とを備えた搬送ハンド10が備えられている。第1ハンド20は、第1アーム3の第4リンク8の先端部に備えられている。第1ハンド20は、第4リンク8の第5軸S5(第2ハンド50と同一方向の軸)を中心に水平方向の第1面内で回動可能となっている。第2ハンド50は、第2アーム4の第4リンク8の先端部に備えられている。第2ハンド50は、第4リンク8の第5軸S5を中心に水平方向の第1面内で回動可能となっている。なお、図では第4リンク8の先端部に設けられた板材を介して第1ハンド20及び第2ハンド50が取り付けられている。
また、本実施の形態では、基台2の側方に、基板100を水平方向に格納する第1基板格納部(格納部)110と、基板100を垂直方向に格納する第2基板格納部(格納部)120とが備えられている。本実施の形態では、後述するように第1基板格納部110が基板100の供給側であり、第2基板格納部120が基板100の搬出側である。第1基板格納部110には、矩形状に形成された筐体111の内部の左右位置に垂直方向に延びる支持部材112が設けられている。支持部材112には、基板100の周囲を水平状態で保持するように複数の支持溝113が設けられている。第1基板格納部110によれば、複数の基板100を支持溝113に水平方向に格納できる。なお、以下の説明では、第1基板格納部110における基板100の奥行き方向をY軸方向とし、幅方向をX軸方向とする。第2基板格納部120には、矩形状に形成された筐体121の内部の左右位置に垂直方向に延びる支持部材122(一方のみ図示)が設けられている。支持部材122には、基板100を垂直方向に格納できるように複数の仕切溝123が所定間隔で設けられている。第2基板格納部120によれば、複数の基板100を仕切溝123の間に垂直方向に格納できる。
さらに、基台2の他の側方には、基板100の試験装置200が備えられている。この例では、試験装置200の基板載置部201の部分のみを示している。図示する状態は、基板載置部201に試験動作中の基板100が載置されている状態を示している。
搬送ロボット1によれば、第1基板格納部110の内部に水平方向に格納された基板100を引き出して試験装置200に搬送し、試験装置200で試験が終了した基板100を第2基板格納部120の内部に垂直方向に格納することができる。
(第1ハンドの構成)
図2は、図1に示す第1ハンド20を示す平面図である。図3は、図2に示す第1ハンド20の正面図である。図4は、図2に示す第1ハンド20の側面図である。図5は、図2に示すV−V矢視の断面図である。第1ハンド20の上下方向は、図3に示す正面視の状態における上下方向とする。
本実施の形態の第1ハンド20は、平面視がL字状に形成された第1ハンド本体21を有している。第1ハンド本体21のL字状形状を形成する2つの直線状部分の一方には、第1アーム3の第4リンク8に取り付けられる第1取付部22が設けられている(図では円形部で示す)。第1取付部22は、第4リンク8に取り付けられて第5軸S5を中心に回動させられる(図1)。第1取付部22の近傍には、L字状形状を形成する2つの直線状部分の他方と平行に突出するように設けられた第1把持部30と、基板当接部(当接部)35とが設けられている。第1把持部30には、基板100を厚み方向から把持するように、上下方向に近接又は離間して開閉可能な一対の第1把持部材31が設けられている。一対の第1把持部材31としては、エアチャック及び電磁チャック等を用いることができる。第1把持部材31には、一対の第1把持部材31の間に基板100が有ることを検知するセンサ32が設けられている。センサ32には、例えば、光電センサ(「ビームセンサ」とも呼ばれる)、レーザセンサ、リミットスイッチなどを用いることができる。
第1把持部30の両側方には、第1把持部材31で把持する基板100の端面に当接させる基板当接部35が設けられている。基板当接部35は、基板100の幅寸法内で少なくとも2箇所に設けられる。基板当接部35は、例えば樹脂材料で形成され、基板100に当接させても基板100を傷付けない材料で形成される。
第1把持部30によれば、後述するように、基板当接部35を基板100に当接させ、第1把持部材31の間に基板100が有ることをセンサ32で検知した状態で、第1把持部材31が閉じられて基板100が把持される。第1把持部30によれば、基板100を基板当接部35に当接させた状態で把持するため、第1ハンド本体21の第1取付部22の中心に対して常に一定の距離Hで基板100を適切に把持することができる。
第1ハンド本体21のL字状形状を形成する2つの直線状部分の他方には、下面に第3把持部40が備えられている。第3把持部40は、基板100を幅方向から把持する一対の第3把持部材41を有している。第3把持部材41はL字状に形成されている。第3把持部材41は、それぞれに対して内向きに突出する突出部41aを下方部分に含む。L字状の第3把持部材41の下方部分を内向きに突出させることで、第3把持部材41は突出部41aによって基板100を下方から支持できるようにしている。第3把持部材41は、樹脂材料で形成することができる。一方の第3把持部材41(図4における右側)は、他方の第3把持部材41(図4における左側)に向けてシリンダ42で進退するようになっている。シリンダ42で一方の第3把持部材41を進退させることで、基板100を幅方向から把持することができる。基板100の幅方向は、第3方向の一例である。
また、第1ハンド本体21の第3把持部40と対向する上面には、所定長さの支持部38が備えられている。支持部38は、樹脂材料で形成され、基板100を第1基板格納部110などに水平状態で格納するためにスライドさせるときに基板100を下方から支持して撓みを抑える。
このような第1ハンド20によれば、後述するように、矩形状の基板100が第1基板格納部110に水平状態で保持されている場合、L字状の第1ハンド本体21を第1基板格納部110の2辺と平行にして基板当接部35を基板100に当接させる。これにより、第1ハンド本体21に対する基板100のY軸方向の位置決めができ、基板100を適切な状態で把持して第1基板格納部110から引き出すことができる。また、第1ハンド本体21を第1面内で90度回転させることで、基板100の1辺に対して第1把持部30又は第3把持部40が向くように姿勢変更できる。よって、簡単な制御で第1把持部30と第3把持部40とを使い分けることができる。
(第2ハンドの構成)
図6は、図1に示す第2ハンド50を示す平面図である。図7は、図6に示す第2ハンド50の側面図である。図8は、図6に示す第4把持部70の動作を示すVIII矢視の側面図である。
本実施の形態の第2ハンド50は、平面視がL字状に形成された第2ハンド本体51を有している。第2ハンド本体51のL字状形状を形成する2つの直線状部分の一方には、第2アーム4の第4リンク8に取り付けられる第2取付部52が設けられている(図では円形部で示す)。第2取付部52は、第4リンク8に取り付けられて第5軸S5を中心に回動させられる(図1)。
第2ハンド本体51のL字状形状を形成する2つの直線状部分の他方には、下面に第2把持部60が備えられている。第2把持部60は、基板100を幅方向から把持する一対の第2把持部材61を有している。第2把持部材61はL字状に形成されている。第2把持部材61は、それぞれに対して内向きに突出する突出部61aを下方部分に含む。L字状の第2把持部材61の下方部分を内向きに突出させることで、突出部61aが基板100を下方から支持する支持部となっている。第2把持部材61は、樹脂材料で形成することができる。一方の第2把持部材61(図7における左側)は、他方の第2把持部材61(図7における右側)に向けてシリンダ62で進退するようになっている。シリンダ62で一方の第2把持部材61を進退させることで、基板100を幅方向から把持することができる。
また、第2ハンド本体51の第2取付部52の近傍には、基板100を板厚方向から把持し、基板100の姿勢を第1面と直交する第2面に変更する第4把持部70が備えられている。第4把持部70は、図8に示すように、第2ハンド本体51に設けられた固定部72に対して旋回部73が45度の角度、つまり、水平面に対する45度の傾斜面内で回転するように構成されている。旋回部73には、近接又は離間して開閉可能な一対の第4把持部材71が設けられている。一対の第4把持部材71の間には、基板100が有ることを検知するセンサ74が設けられている。一対の第4把持部材71としては、エアチャック及び電磁チャック等を用いることができる。第4把持部70としては、例えばロータリーチャックを用いることができる。また、第4把持部材71では、基板100を把持する先端部分が幅方向に広くなっており(図6)、基板100の周囲端部を広い面で把持するようになっている。一方の第4把持部材71には、後述するように基板100を把持するときに基板100の中央方向を下方から支持して撓みを抑える支持部材75が設けられている。この第4把持部70によれば、固定部72に対して旋回部73を180度旋回させることで、第4把持部材71で横向きに把持した基板100を縦向きに姿勢変更することができる(二点鎖線)。
このような第2ハンド50によれば、後述するように、第1基板格納部110に格納されている基板100を第1ハンド20で引き出し、第2把持部60の第2把持部材61で幅方向から把持することでX軸方向の位置決めができる。このように、第1ハンド20と協動して基板100を適切に搬送することができる。また、第2ハンド本体51を第1面内で90度回転させることで、基板100に対する第2把持部60と第4把持部70との向きを変更することができ、簡単な制御で第2把持部60と第4把持部70とを使い分けることができる。
さらに、第4把持部70によって、第1面で搬送する基板100の向きを直交する第2面に姿勢変更できる。これにより、例えば、検査前の基板100と検査後の基板100とを向きを異ならせる必要がある場合など、適切に対応することができる。
(基板の第1基板格納部からの引き出し例)
図9は、図2に示す第1ハンド20と図6に示す第2ハンド50とを用いて第1基板格納部110から基板100を搬送する前の状態を示す平面図である。図10は、図9に示す状態から基板100を引き出すために把持した状態を示す平面図である。図11は、図10に示す状態から基板100を所定位置まで引き出した状態を示す平面図である。図12は、図11に示すXII−XII矢視の断面図である。図13は、図11に示す第2ハンド50で基板100を幅方向から把持した状態を示す平面図である。
図9に示すように、第2ハンド50によって第2把持部60が第1基板格納部110の所定位置に配置される。この所定位置は、第1基板格納部110から引き出す基板100を第2把持部60に設けられた第2把持部材61の内向きの突出部61aで支持し、突出部61a上を滑らせることができる位置である。また、第1ハンド20の第1把持部30が第1基板格納部110の所定位置に配置される。この所定位置は、第2ハンド50の下方であって、第1把持部30で第1基板格納部110から引き出す基板100を把持できる位置である。しかも、当該所定位置は、基板当接部35が基板100の幅寸法内であって第2把持部材61の間に位置し、第1基板格納部110から引き出す基板100に当接させることができる位置である。
次に、図10に示すように、第1ハンド20が基板100に向けて進出させられる。これにより、一対の第1把持部材31の間に基板100が位置した状態で、基板当接部35が基板100に当接する。基板100に対して離間した基板当接部35を当接させることで、第1ハンド本体21に対する基板100の向き及び位置を決めることができる。この状態では、第1把持部材31に設けられたセンサ32によって基板100が検知される。そして、第1把持部材31が閉じられて基板100が板厚方向から把持される。
次に、図11及び図12に示すように、第1把持部30で基板100を把持した第1ハンド20により、基板100が第1基板格納部110から引き出される。基板100は、第2把持部材61による把持位置まで引き出される。このとき、基板100は、第2ハンド50の第2把持部材61の内向きに突出する突出部61aによって両側部が下方から支持された状態で滑りながら引き出される。
次に、図13に示すように、基板100が第1基板格納部110から所定量(例えば、基板100の中央部分が第2把持部材61の位置となる量)引き出されると、第1把持部材31が開かれ、第2把持部材61が閉じられて基板100がその幅方向における両側部から把持される。このように、第1ハンド20と第2ハンド50とを用いれば、第1基板格納部110に水平方向に保持されている基板100を安定して引き出すことができる。
(基板の試験装置への搬送)
図14は、第2ハンド50で基板100を把持した状態の搬送ロボット1を示す平面図である。図15は、図14に示す搬送ロボット1で試験装置200に基板100を搬送する動作を示す平面図である。図16は、図15に示す搬送ロボット1で試験装置200の基板100を入れ替える状態を示す平面図である。図17は、図16に示す搬送ロボット1で試験装置200から外した基板100を第2基板格納部120に格納する前の状態を示す平面図である。
図14に示すように、第2ハンド50で第1基板格納部110から基板100を引き出した搬送ロボット1は、図15に示すように、第1アーム3及び第2アーム4を試験装置200の方向に向ける。そして、第1ハンド20の第3把持部40によって、試験装置200に配置されている他の基板100(試験終了した基板100)が把持される。その後、図16に示すように、第1ハンド20の第3把持部40で把持された基板100が試験装置200から退避させられる。そして、第2ハンド50の第2把持部60で把持されている基板100が、試験装置200の基板載置部201に配置される。
その後、図17に示すように、第1アーム3及び第2アーム4が第2基板格納部120の方向に向けられる。これにより、第2ハンド50が試験装置200から退避させられて、試験装置200によって新たな基板100の試験動作が開始される。また、試験動作と並行して、第1ハンド20の第3把持部40で把持されている基板100を、第2ハンド50と協動して第2基板格納部120に格納することができる。
(基板の第2基板格納部への格納例)
図18は、図17に示す基板100を第2ハンド50に持ち替える状態を示す平面図である。図19は、図18に示す第2ハンド50で基板100の向きを変更した状態を示す平面図である。図20は、図19に示すXX矢視の側面図である。図21は、図19に示す状態の基板100を第2基板格納部120に格納する状態と、格納した基板100を取り出す状態とを示す側面図である。
図18に示すように、第1ハンド20の第3把持部40で把持されている基板100(図17)の周囲端部が、第2ハンド50に設けられた第4把持部70の第4把持部材71によって把持される。その後、第3把持部40の第3把持部材41による基板100の把持が開放される。そして、図19に示すように、第4把持部70の旋回部73(図8)が180度旋回させられて、基板100の向きが第1平面から第2平面に変更させられる。これにより、図20に示すように、基板100は第2ハンド本体51から下方に向けて垂れ下がった状態となる。
その後、基板100は第2ハンド50によって第2基板格納部120の所定位置まで搬送されて、図21に示すように、所定の格納スペースに挿入されて格納される。第2基板格納部120に格納された基板100は、上部が第2基板格納部120から突出した状態となる。その後、第4把持部70の第4把持部材71による基板100の把持が開放される。
このように、第1ハンド20と第2ハンド50とを用いることで、試験装置200から取り外した水平状態の基板100を、第2基板格納部120に垂直状態で格納することができる。なお、第4把持部70によれば、第2基板格納部120に垂直状態で格納した基板100を取り出すこともできる。
(基板の第2基板格納部から第1基板格納部への移動例)
図22は、搬送ロボット1の第2ハンド50で基板100を引き出し、基板100の向きを変更して第1基板格納部110に格納する前の状態を示す平面図である。図23は、図22に示す第2ハンド50で第1基板格納部110に基板100を格納する前の状態を示す平面図である。図24は、図23に示す第2ハンド50で第1基板格納部110に基板100を格納する状態を示す平面図である。
上記図21に示すように、基板100の上部を第2ハンド50に設けられた第4把持部70の第4把持部材71で把持して基板100を第2基板格納部120から上方に取り出した後、図22に示すように、第4把持部70の旋回部73が180度旋回させられて基板100は水平状態にされる。また、第1ハンド20が第1基板格納部110の前方に配置される。そして、第1ハンド本体21に設けられた支持部38が、基板100を支持溝113に向けて挿入するときに下面を支持できる所定位置に配置される。
そして、図23に示すように、第2ハンド50の第4把持部70で把持された基板100の端部が第1ハンド20の支持部38に載せられる。その後、図24に示すように、第2ハンド50が第1基板格納部110に向けて移動させられて、基板100は支持部38の上を滑りながら第1基板格納部110に格納される。基板100を所定位置まで格納した後、第4把持部70の第4把持部材71による基板100の把持が開放される。
このように第1ハンド20と第2ハンド50とを用いることで、第2基板格納部120に垂直方向で格納されている基板100を、第1基板格納部110に水平方向で格納することができる。
(第1ハンドの変形例)
図25は、図2に示す第1ハンド20の基板当接部35と第3把持部40との位置調節を可能とした例の平面図である。図26は、図25の側面図である。上記基板当接部35は、第1把持部30の両側方における基板当接部35の配置間隔を調節できるように構成することができる。このように構成すれば、基板100の大きさが変更されても、基板当接部35の配置間隔を基板100の大きさに応じて調節して適切に対応することができる。また、第3把持部40(第2把持部60も同様)も、基板100の大きさに応じて幅方向の把持間隔を調節できるように構成することができる。このように構成すれば、基板100の大きさが変更されても、基板100に応じた把持間隔に変更して適切に把持するようにできる。これらの間隔調節は、例えば、固定ボルト等(図示略)で本体側に固定する位置を変更できるようにすることで対応できる。
(実施の形態1の総括)
以上のように、上記第1ハンド20及び第2ハンド50によれば、水平状態で格納された基板100を第1ハンド20によって位置決めをし、第1ハンド20で取り出す基板100を第2ハンド50によって下方から支持して水平方向に取り出すことができる。これにより、コンパクトな構成で基板100などの物品を試験装置200などの所定位置へ適切に搬送することが可能となる。
また、上記実施の形態1の搬送ロボット1によれば、第1ハンド20を備えた第1アーム3と第2ハンド50を備えた第2アーム4とを1つの基台2に備えた1台のロボットであるため、小さな設置スペースで基板100を適切に搬送することが可能となる。
<実施の形態2>
実施の形態2を図面に基づいて説明する。実施の形態2に係る搬送ロボット1Aでは、搬送ハンドの構成が実施の形態1と異なる。以下、実施の形態2について、実施の形態1と異なる点を中心に説明し、実施の形態1と同様の点の説明を適宜省略する。
(搬送ロボットの構成)
図27は、実施の形態2に係る搬送ロボット1Aを示す斜視図である。図28は、実施の形態2に係る搬送ロボット1Aを示す平面図である。図27及び図28に示すように、実施の形態2に係る搬送ロボット1Aの構成は、搬送ハンド10Aを除き、実施の形態1に係る搬送ロボット1と同様である。搬送ロボット1Aは、第1アーム3と、第2アーム4と、制御装置9とを備える。第1アーム3及び第2アーム4は、第1軸S1を中心に水平面内で回動する、つまり同軸上で回動する。さらに、搬送ロボット1Aは、搬送ハンド10Aを、第1アーム3及び第2アーム4それぞれに備える。搬送ハンド10Aは、第1アーム3及び第2アーム4それぞれの第4リンク8の先端部に、第5軸S5(図1参照)を中心に水平方向の第1面内で回動可能に設けられている。
また、本実施の形態では、試験装置200が、搬送ロボット1Aの基台2の前方に配置されている。さらに、第1基板格納部110A及び110Bが、試験装置200の両側に配置されている。第1基板格納部110A及び110Bは、水平方向に延びる桟等で構成される1つ以上の受け部を有し、基板100を当該受け部上に水平状態で格納する。第1基板格納部110Aは試験前の基板100を格納し、第1基板格納部110Bは試験に合格した基板100を格納する。また、第3基板格納部130が、試験装置200と第1基板格納部110Bとの間に配置され、試験に不合格であった基板100を受け入れる。第3基板格納部130は、基板100を収容できればいかなる構成であってもよい。
第1基板格納部110Aは、背部に押出シリンダ110Aaを備える。押出シリンダ110Aaは、格納されている基板100を搬送ロボット1Aに向かって押し出す。押出シリンダ110Aaは、1つの基板100を押し出してもよく、複数の基板100を一緒に押し出してもよい。また、押出シリンダ110Aaを上下に移動させる移動装置110Abが設けられてもよい。これに限定されないが、押出シリンダ110Aa及び移動装置110Abは、制御装置9によって制御される。制御装置9は、第1アーム3、第2アーム4及び搬送ハンド10Aの動作とリンクさせて、押出シリンダ110Aa及び移動装置110Abの動作を制御する。
本実施の形態に係る搬送ハンド10Aは単独で、第1基板格納部110Aに格納された基板100を水平状態で引き出し把持することができる。さらに、搬送ハンド10Aは単独で、把持している基板100を水平状態で第1基板格納部110B内に挿入し載置することができる。また、搬送ハンド10Aは単独で、把持している基板100を、試験装置200及び第3基板格納部130に配置することができる。
(搬送ハンドの構成)
図29は、実施の形態2に係る搬送ハンド10Aを示す斜視図である。図29に示すように、搬送ハンド10Aは、ハンド本体11Aと、取付部12Aと、接続部13Aとを備える。ハンド本体11Aは、ベース11Aaと、第1把持部30Aと、第2把持部60Aとを有する。ベース11Aaは、アーム3又は4の第4リンク8(図28参照)から搬送ハンド10Aの長手方向D1aに延びる部材である。方向D1bは方向D1aと反対方向である。第2把持部60Aは、ベース11Aaの先端部に配置され、第1把持部30Aは、第2把持部60Aよりもベース11Aaの基部つまり第4リンク8に近い位置に配置されている。
取付部12Aは、ハンド本体11Aを取り付け対象である第4リンク8に取り付ける。具体的には、取付部12Aは、接続部13Aを第4リンク8に、第5軸S5を中心に回動可能に取り付ける。取付部12Aは、図示しないアクチュエータを備えてもよく、制御装置9によって当該アクチュエータが制御を受けることで、接続部13Aを第4リンク8に対して回動させてもよい。
接続部13Aは、ハンド本体11Aと取付部12Aとを接続する。接続部13Aは、取付部12と接続され且つ方向D1aに延びる第1接続部材13Aaと、第1接続部材13Aaの先端部とベース11Aaとを接続する第2接続部材13Abとを有する。第1接続部材13Aaに対して、取付部12Aは方向D2aに配置され、第2接続部材13Abは方向D2bに配置されている。方向D2a及びD2bは、互いに反対方向であり、方向D1a及びD1bに対して交差する方向であり、本実施の形態では直交する。本実施の形態では、ベース11Aaは、第2接続部材13Abに対して下方である方向D2bに位置し、第2接続部材13Abから垂下する。
第2接続部材13Abは、フローティング機構を含む。フローティング機構は、ばね、ダンパ及び空気圧又は液圧シリンダ等の緩衝部材(図示せず)を含み、当該緩衝部材を介して第1接続部材13Aaとベース11Aaとを接続する。さらに、フローティング機構は、緩衝部材の動作を制止する制止装置(図示せず)を含む。制止装置は、電流の印加等によりON又はOFF動作し、それにより制止動作又は制止解除動作を行う。そして、制止装置の動作は、制御装置9によって制御される。本実施の形態では、ON状態のフローティング機構は、方向D2bに垂直な方向での第1接続部材13Aaに対するベース11Aaの揺動を可能にし、OFF状態のフローティング機構は、上記揺動を不可能にする。なお、上述のようなフローティング機構は、既知の技術であるため、その詳細な説明を省略する。
第1把持部30Aは、一対の第1把持部材31Aa及び31Abと、第1アクチュエータ32Aと、第2アクチュエータ33Aとを備えている。第1把持部材31Aa及び31Abは第1アクチュエータ32Aに取り付けられ、第1アクチュエータ32Aは第2アクチュエータ33Aに取り付けられ、第2アクチュエータ33Aはベース11Aaに取り付けられている。
第2アクチュエータ33Aは、第2接続部材13Abと反対側でベース11Aaに固定されている。第2アクチュエータ33Aは、方向D1a及びD1bに伸縮可能であり、第1アクチュエータ32Aを、第1把持部材31Aa及び31Abと共に方向D1a及びD1bにスライド移動させることができる。本実施の形態では、第2アクチュエータ33Aは、空気圧シリンダ、液圧シリンダ又は電気式リニアアクチュエータ等であるが、これに限定されず、第1アクチュエータ32Aを方向D1a及びD1bにスライド移動させる構成であればよい。例えば、第2アクチュエータ33Aは、電気モータと電気モータの回転運動を直線運動に変換する変換機構とを備えた装置等であってもよい。第2アクチュエータ33Aは、スライドアクチュエータの一例である。
さらに、本実施の形態では、第2アクチュエータ33Aは、複数段のシリンダであり、具体的には、第1シリンダ33Aaと第2シリンダ33Abとを有する。第1シリンダ33Aaはベース11Aaに固定して取り付けられ、方向D1aに伸長し且つ方向D1bに収縮するシリンダロッド33Aaaを有する。第2シリンダ33Abは、シリンダロッド33Aaaの先端部に固定して取り付けられ、方向D1aに伸長し且つ方向D1bに収縮するシリンダロッド33Abaを有する。第2シリンダ33Abは、第1シリンダ33Aaよりも方向D1aつまり第2把持部60Aの近くに位置する。シリンダ33Aa及び33Abの動作は、制御装置9によって制御される。シリンダ33Aa及び33Abの作動方式は同じであってもよく異なっていてもよい。
第1アクチュエータ32Aは、第2シリンダ33Abのシリンダロッド33Abaの先端部に固定して取り付けられている。第1把持部材31Aa及び31Abは、シリンダロッド33Abaと反対側である方向D1a側で第1アクチュエータ32Aに取り付けられている。第1把持部材31Aaは、第1把持部材31Abに対して方向D2aに位置し、第1把持部材31Abと対向している。第1把持部材31Aa及び31Abは、方向D2a及びD2bに互いに近接又は離間する開閉動作をするように移動可能であり、基板100を厚み方向で把持することができる。第1アクチュエータ32Aは、第1把持部材31Aa及び31Abの少なくとも一方を方向D2a及びD2bに動作させる。第1アクチュエータ32Aは、エアチャック及び電磁チャック等であるが、これに限定されず、第1把持部材31Aa及び31Abの少なくとも一方を方向D2a及びD2bに移動させる構成であればよい。第1アクチュエータ32Aの動作は、制御装置9によって制御される。基板100が有することを検知するセンサ34Aが、第1把持部材31Aa、第1把持部材31Ab、又は第1把持部材31Aa及び31Abの間に設けられてもよい。センサ34Aは検知信号を制御装置9に出力する。
上述のような第1把持部30Aは、第1方向の一例である方向D2a及びD2bで基板100を把持し且つ方向D1a及びD1bにスライド移動可能である第1把持部材31Aa及び31Abを有する。第1アクチュエータ32Aは、第1把持部材31Aa及び31Abに把持動作をさせ、第2アクチュエータ33Aは、第1把持部材31Aa及び31Abを第1アクチュエータ32Aと共にスライド移動させる。
第2把持部60Aは、一対の第2把持部材61Aa及び61Abと、支持部材62Aと、第3アクチュエータ63Aa及び63Abとを備えている。支持部材62Aは、第2把持部材61Aa及び61Abを、方向D3a及びD3bで互いに対向させた状態で方向D3a及びD3bに移動可能に支持する。方向D3a及びD3bは互いに反対方向であり、方向D2a及びD2bと異なる方向である。本実施の形態では、方向D3a及びD3bは、方向D1a及びD1b並びに方向D2a及びD2bと垂直であるが、斜めに交差してもよい。方向D3a及びD3bは、第2方向の一例である。
支持部材62Aは、ベース11Aaに固定して取り付けられ、ベース11Aaから両側に方向D3a及びD3bに延びる。本実施の形態では、2つの棒状の支持部材62Aが方向D1aに離れて配置され、互いに平行に延びる。支持部材62Aは、第2把持部材61Aa及び61Abの両方を移動可能に支持するが、一方を固定して支持し、他方を移動可能に支持してもよい。
第2把持部材61Aa及び61Abは、板状の部材であり、ベース11Aaを挟んで方向D3b及びD3aに互いに反対側に配置されている。2つの支持部材62Aは、第2把持部材61Aa及び61Abを貫通する。第2把持部材61Aa及び61Abはそれぞれ、支持部材62Aに沿って方向D3a及びD3bに移動可能である。2つの離間した支持部材62Aは、第2把持部材61Aa及び61Abが支持部材62Aを中心として回転することを抑制する。
第3アクチュエータ63Aa及び63Abはそれぞれ、第2把持部材61Aa及び61Abと接続され、2つの支持部材62Aに固定して配置されている。第3アクチュエータ63Aa及び63Abはいずれも、2つの支持部材62Aに固定される固定部材63Baと、固定部材63Baに固定して配置されるアクチュエータ本体63Bbとを有する。第3アクチュエータ63Aaの固定部材63Baは、第2把持部材61Aaとベース11Aaとの間に配置され、アクチュエータ本体63Bbは、当該固定部材63Baと第2把持部材61Aaとの間に配置され、第2把持部材61Aaと接続されている。第3アクチュエータ63Abの固定部材63Baは、第2把持部材61Abとベース11Aaとの間に配置され、アクチュエータ本体63Bbは、当該固定部材63Baと第2把持部材61Abとの間に配置され、第2把持部材61Abと接続されている。第3アクチュエータ63Aa及び63Abは、把持アクチュエータの一例である。
アクチュエータ本体63Bbは、方向D3a及びD3bに伸縮可能であり、第2把持部材61Aa又は61Abを方向D3a及びD3bに移動させる。本実施の形態では、アクチュエータ本体63Bbは、空気圧シリンダ、液圧シリンダ又は電気式リニアアクチュエータ等であるが、これに限定されず、方向D3a及びD3bに第2把持部材61Aa又は61Abを移動させる構成であればよい。例えば、アクチュエータ本体63Bbは、電気モータと電気モータの回転運動を直線運動に変換する変換機構とを備えた装置等であってもよい。例えば、変換機構はボールねじ機構であってもよい。この場合、支持部材62Aに形成されたねじ溝と、第2把持部材61Aa又は61Abに配置されたナットのねじ溝とがボールを介して螺合し、アクチュエータ本体63Bbが支持部材62A又はナットを回転させることで、第2把持部材61Aa又は61Abが移動してもよい。アクチュエータ本体63Bbの動作は、制御装置9によって制御される。
第3アクチュエータ63Aaは、第2把持部材61Aaを方向D3a及びD3bに移動させ、第3アクチュエータ63Abは、第2把持部材61Abを方向D3a及びD3bに移動させることができる。第2把持部材61Aa及び61Abの少なくとも一方が、互いに接近するように方向D3a及びD3bに移動することで、第2把持部材61Aa及び61Abは、これらの間で基板100を把持することができる。
また、第2把持部材61Aa及び61Abはそれぞれ、切欠部64Aa及び64Abを有している。切欠部64Aa及び64Abはそれぞれ、第2把持部材61Aa及び61Abの方向D1aでの中央付近で、2つの支持部材62Aの間に位置する。切欠部64Aaは、方向D3aに向かって窪み且つ方向D2a及びD2bに延びるU字状断面の溝を形成する。切欠部64Abは、方向D3bに向かって窪み且つ方向D2a及びD2bに延びるU字状断面の溝を形成する。
また、第2把持部材61Aa及び61Abはそれぞれ、ガイド部65Aa及び65Abを有している。ガイド部65Aa及び65Abは、第1把持部材31Aa及び31Abのスライド移動方向D1a及びD1bに延び且つ互いに対向する。ガイド部65Aa及び65Abは、第2把持部材61Aa及び61Abの間での基板100の方向D1a及びD1bの移動を案内し、第2把持部材61Aa及び61Abによって把持される基板100を位置決めする。ガイド部65Aa及び65Abはそれぞれ、基板100の周縁が係合する溝65Ba及び65Bbを有している。ガイド部65Aa及び65Ab並びに溝65Ba及び65Bbは、方向D1aに延びる。ガイド部65Aaは第2把持部材61Aaから方向D3aに突出し、溝65Baは方向D3bに窪むU字状断面の溝を形成する。ガイド部65Abは第2把持部材61Abから方向D3bに突出し、溝65Bbは方向D3aに窪むU字状断面の溝を形成する。ガイド部65Aa及び65Abはそれぞれ、切欠部64Aa及び64Abには設けられず分断されている。
溝65Ba及び65Bbは、方向D3a及びD3bで互いに対向し互いに略平行である。溝65Ba及び65Bbは、基板100の周縁が嵌まることができる形状及び寸法を有し、方向D2a及びD2b並びに方向D3a及びD3bで基板100を保持し、方向D1a及びD1bで基板100のスライド移動を許容する。上述のようなガイド部65Aa及び65Abの断面形状は横向きのU字状であるが、これに限定されず、例えば、上方へ開放されたL字状であってもよい。
第2把持部材61Aa及び61Abは、方向D3a及びD3bに移動し溝65Ba及び65Bbに基板100の周縁を嵌合させることで、基板100を所定の位置に保持し且つ両側から把持する。第2把持部材61Aa及び61Abは、溝65Ba及び65Bbに基板100の周縁を遊嵌させることで、基板100の方向D1a及びD1bのスライド移動を可能にする。
(搬送ロボットの動作)
搬送ロボット1Aの動作を説明する。図27〜図29に示すように、搬送ロボット1Aは、制御装置9の制御に従って、以下に説明するように基板100の試験を行う。まず、制御装置9は、搬送ロボット1Aの右のアーム4を制御して、第1基板格納部110Aに格納される搬送対象の基板100に対する所定の位置に、アーム4の搬送ハンド10Aを移動させる。次いで、制御装置9は、押出シリンダ110Aaに搬送対象の基板100を押圧させることで、搬送ハンド10Aの第2把持部材61Aa及び61Abの間に、当該基板100を押し出させる。
次いで、制御装置9は、搬送ハンド10Aに、押し出された基板100を第2把持部材61Aa及び61Abの間に水平方向に引き出させ把持させる。次いで、制御装置9は、アーム4及びその搬送ハンド10Aに、把持している基板100を試験装置200の基板載置部201に載置させる。
制御装置9は、当該基板100の試験の完了後、試験装置200から試験結果を取得する。制御装置9は、試験結果の取得後、搬送ロボット1Aの左のアーム3及びその搬送ハンド10Aを制御して、基板載置部201の基板100を当該搬送ハンド10Aに把持させる。試験結果が不合格である場合、制御装置9は、アーム3及び搬送ハンド10Aに、把持している基板100を第3基板格納部130内に配置させる。試験結果が合格である場合、制御装置9は、アーム3及び搬送ハンド10Aに、把持している基板100を第1基板格納部110Bの前に移動させる。
次いで、制御装置9は、搬送ハンド10Aに、把持している基板100を水平方向にスライド移動させて、第1基板格納部110内に挿入させた後、把持を解除する。これにより、試験に合格した基板100が第1基板格納部110Bに収容される。
このように、搬送ロボット1Aは、右のアーム4のみを用いて第1基板格納部110Aから試験装置200へ基板100を搬送し、左のアーム3のみを用いて試験装置200から第3基板格納部130又は第1基板格納部110Bへ基板100を搬送する。さらに、搬送ロボット1Aは、アーム3及び4による搬送作業を並行して行うことができる。
(基板の第1基板格納部からの引き出し例)
搬送ハンド10Aによる基板100の第1基板格納部110Aからの引き出し動作の一例を図30〜図43を参照しつつ説明する。
図30及び図31はそれぞれ、右のアーム4の搬送ハンド10Aが、第1基板格納部110Aの搬送対象の基板100に対して位置決めされた状態を示す平面図及び側面図である。図31では、第2把持部材61Abが省略されている。
図32及び図33はそれぞれ、右のアーム4の搬送ハンド10Aに対して、第1基板格納部110Aの搬送対象の基板100が押し出された状態を示す平面図及び側面図である。図33では、第2把持部材61Abが省略されている。
図34及び図35はそれぞれ、右のアーム4の搬送ハンド10Aの第1把持部30Aが、押し出された基板100を把持する状態を示す平面図及び側面図である。図34では、第2把持部材61Abが省略されている。図36は、図34及び図35での第1把持部30Aの第1アクチュエータ32Aの状態を示す平面図である。
図37及び図38はそれぞれ、右のアーム4の搬送ハンド10Aの第1把持部30Aが、把持した基板100を第1基板格納部110Aから引き出す状態を示す平面図及び側面図である。図38では、第2把持部材61Abが省略されている。図39は、図37及び図38での第1把持部30Aの第2アクチュエータ33Aの状態を示す側面図である。図40は、図39の第1把持部30Aが、引き出された基板100の把持を解除する状態を示す側面図である。
図41及び図42はそれぞれ、右のアーム4の搬送ハンド10Aの第2把持部60Aが、引き出された基板100を把持する状態を示す平面図及び側面図である。図42では、第2把持部材61Abが省略されている。
まず、図30及び図31に示すように、制御装置9は、搬送ロボット1Aの右のアーム4を動作させることで、アーム4の搬送ハンド10Aを、第1基板格納部110Aの搬送対象の基板100に対する所定の位置に移動させる。所定の位置は、搬送ハンド10Aの第2把持部材61Aa及び61Abのガイド部65Aa及び65Abの溝65Ba及び65Bbと、搬送対象の基板100とが、水平方向つまり第1把持部材31Aa及び31Abのスライド方向に並び、且つ、第2把持部材61Aa及び61Abが当該基板100に接近した位置である。なお、基板100は、第1基板格納部110Aに設けられた、水平方向に延びる桟等で構成される受け部110Ac上に載置されている。1つの受け部110Acには、2つの基板100が水平方向であるY軸方向に一列に配置されている。
ここで、本実施の形態において、第1基板格納部110Aに対してX軸方向、Y軸方向及びZ軸方向を定義する。具体的には、押出シリンダ110Aaの伸長方向であり且つ水平方向をY軸負方向とし、Y軸負方向の反対方向をY軸正方向とする。さらに、鉛直上方向をZ軸正方向とし、鉛直下方向をZ軸負方向とする。また、Y軸方向及びZ軸方向に垂直である1つの水平方向をX軸正方向とし、X軸正方向の反対方向をX軸負方向とする。
上記所定の位置において、制御装置9は、以下のように搬送ハンド10Aの姿勢を制御する。具体的には、当該姿勢では、搬送ハンド10Aの方向D3aはX軸正方向と略平行であり、方向D3bはX軸負方向と略平行である。方向D1aはY軸正方向と略平行であり、方向D1bはY軸負方向と略平行である。方向D2aはZ軸正方向と略平行であり、方向D2bはZ軸負方向と略平行である。
次いで、図32及び図33に示すように、制御装置9は、押出シリンダ110Aaに搬送対象の基板100を押圧させることで、当該基板100をY軸負方向に所定量押し出させる。例えば、制御装置9は、基板100の端部がY軸方向の基準位置である基準面PYに到達するまで押出シリンダ110Aaに押圧させる。基準面PYはXZ平面に平行な面である。
制御装置9は、基準面PYへの到達を、押出シリンダ110Aaのストローク量、又は、第2把持部材61Aa又は61Abに配置された基板100を検出するセンサ(図示せず)の検出信号に基づき、判定してもよい。当該センサは、センサ34Aと同様のセンサであってもよくカメラ等であってもよい。制御装置9は、カメラで撮像された画像を処理し解析することで、基板100の位置を検出してもよい。これにより、基板100の一部は、ガイド部65Aa又は65Abの溝65Ba又は65Bbに周縁が嵌まった状態で、第2把持部材61Aa及び61Abの間に位置する。本例では、第2把持部材61Aaが基準の把持部材とされ、基板100の周縁は、溝65Baに嵌まり第2把持部材61Aaに隣接する。
次いで、図34及び図35に示すように、制御装置9は、第1把持部30Aの第2アクチュエータ33Aを伸長させることで、第1把持部材31Aa及び31Abの間に基板100の周縁を嵌め込む。このとき、図36に示すように、制御装置9は、シリンダ33Aa及び33Abを伸長させる。例えば、制御装置9は、第2シリンダ33Abを最大限に伸長させ、第1シリンダ33Aaを、第1把持部材31Aa及び31Abの間に基板100の周縁が入り込むまで伸長させる。制御装置9は、第1把持部材31Aa及び31Abに対する基板100の位置を、シリンダ33Aa及び33Abのストローク量、又は、センサ34Aの検出信号に基づき、検出してもよい。
さらに、制御装置9は、第1アクチュエータ32Aを動作させることで、第1把持部材31Aa及び31Abに閉動作させ、基板100を把持させる。本例では、第1把持部材31Aaは、第1把持部材31Abの上方であるZ軸正方向に位置し、制御装置9は、第1把持部材31Aaのみを第1把持部材31Abに向かって移動させるが、これに限定されない。移動しない第1把持部材31Abは、把持の有無に関わらず、基板100の上下方向の位置を保持することができる。
次いで、図37及び図38に示すように、制御装置9は、第1シリンダ33Aaを収縮させることで、基板100をガイド部65Aaによって案内されつつ方向D1bへスライド移動させる。このとき、図39に示すように、制御装置9は、第2シリンダ33Abの伸長状態を維持したまま、第1シリンダ33Aaのみを収縮させる。上記スライド移動により、基板100の略全体が、受け部110Acから引き出され第2把持部材61Aa及び61Abの間に位置するが、図37及び図38に示すように基板100の端部が受け部110Acの上に載っていてもよい。制御装置9は、第1シリンダ33Aaのストローク量、又は、第2把持部材61Aa又は61Abに配置された基板100を検出するセンサ(図示せず)の検出信号に基づき、基板100の方向D1bでの位置を検出してもよい。
次いで、図40に示すように、制御装置9は、第1把持部材31Aaを第1把持部材31Abから離すように方向D2aに移動させることで、基板100の把持を解除する。このとき、基板100は、不動の第1把持部材31Abによって下方から支持されるため、上下方向の位置を維持することができる。
次いで、図41及び図42に示すように、制御装置9は、第2把持部材61Abの第3アクチュエータ63Abを収縮させることで、第2把持部材61Abを基板100及び第2把持部材61Aaに向かって方向D3bに移動させる。制御装置9は、基板100の方向D3bの周縁がガイド部65Aaの溝65Baに当接し、基板100の方向D3aの周縁がガイド部65Abの溝65Bbに嵌まり当接するまで、第2把持部材61Abを移動させる。これにより、第2把持部材61Aa及び61Abが基板100の両側の周縁を把持する。第2把持部材61Aaは移動されないため、基板100は、方向D3aにおいて、第2把持部材61Aaを基準とする基準位置である基準面PXに位置決めされる。基準面PXはYZ平面に平行な面である。このとき、制御装置9は、シリンダ33Aa及び33Abの伸長状態を図40の状態に維持したまま、第3アクチュエータ63Abのみを収縮させる。
制御装置9は、第2把持部材61Abに対する基板100の位置を、第3アクチュエータ63Abのストローク量、又は、第2把持部材61Abに配置された基板100を検出するセンサ(図示せず)の検出信号に基づき、検出してもよい。
このように、搬送ハンド10Aは、第1基板格納部110Aから引きだした基板100を、搬送ハンド10Aにおける所定の位置に位置決めして把持することができる。なお、制御装置9は、第1基板格納部110Aからの基板100の引き出し動作の間、第2接続部材13Abのフローティング機構をOFF状態、つまり固定状態に維持する。
(基板の試験装置への搬送)
まず、試験装置200の基板載置部201の構成を説明する。図43及び図44はそれぞれ、実施の形態2に係る試験装置200の基板載置部201を示す側面図及び平面図である。図45は、基板載置部201に基板100を載置する際の第1把持部30Aの第2シリンダ33Abの状態を示す平面図である。
図43及び図44に示すように、基板載置部201の上面には、基板100が載置される所定の領域である載置領域201aが画定されている。載置領域201aは、基板100と同様に矩形状であり、載置領域201aの形状及び寸法は、基板100の形状及び寸法に対応する。さらに、基板載置部201の上面において、4つのガイド202が、載置領域201aの4つの周縁にそれぞれ設けられている。各ガイド202は、基板載置部201の上面から上方に向かって延びる。各ガイド202は、基板載置部201の上面から垂直に延びる位置決め部202aと、位置決め部202aから屈曲して載置領域201aの外方に向かって延びる導入部202bとを含む。4つのガイド202は、上方から降ろされる基板100をテーパ状の導入部202bを介して受け入れた後に位置決め部202aによって案内することで、基板100を載置領域201aに対して位置決めする。
搬送ロボット1Aは、右のアーム4の搬送ハンド10Aで把持している基板100を、以下に説明するように、基板載置部201の載置領域201aに載置する。図43及び図44に示すように、制御装置9は搬送ハンド10Aを、基板載置部201の上方に移動させる。具体的には、制御装置9は、搬送ハンド10Aが把持している基板100が、載置領域201aの上方に位置するように、搬送ハンド10Aを移動させる。さらに、制御装置9は搬送ハンド10Aを下降させる。このとき、制御装置9は、第2接続部材13Abのフローティング機構をON状態、つまり揺動状態にする。これにより、搬送ハンド10Aは、第2把持部材61Aa及び61Abの揺動を可能にしつつ、基板100を下降させる。
第2把持部材61Aa及び61Abによって把持された基板100は、ガイド202の導入部202bの内側を通って位置決め部202aの内側に降ろされる。例えば、基板100と位置決め部202aとの間に位置のずれがある場合でも、第2把持部材61Aa及び61Abが揺動することによって、基板100は導入部202bによって案内され、位置決め部202aの内側に至る。よって、基板100とガイド202との干渉が抑制され、基板100のスムーズな下降が可能になる。
また、基板100の下降時、対向する2つのガイド202が、第2把持部材61Aa及び61Abの間に位置し、対向する他の2つのガイド202が、第2把持部材61Aa及び61Abが下降する位置に位置する。しかしながら、図45に示すように、後者のガイド202は、下降する第2把持部材61Aa及び61Abの切欠部64Aa及び64Abの内側に入り込み、第2把持部材61Aa及び61Abと干渉しない。なお、切欠部64Aa及び64Abは、ガイド202に対して第2把持部材61Aa及び61Abを位置決めするために、用いられてもよい。
また、基板100の下降時、制御装置9は、第2シリンダ33Abを収縮させ、第1把持部材31Aa及び31Abをガイド202から退避させる。これにより、搬送ハンド10Aの移動時、第1把持部材31Aa及び31Abが基板100を保持し、ガイド202への基板100の配置時、第1把持部材31Aa及び31Abとガイド202との干渉が防がれる。
また、第2把持部材61Aa及び61Abが基板載置部201の上面に接触する又は当該上面の近傍に到達すると、制御装置9は、第3アクチュエータ63Aa及び/又は63Abに伸長動作させることで、第2把持部材61Aa及び61Abによる基板100の把持を解除する。これにより、基板100が載置領域201aに載置される。
また、基板100の試験後、搬送ロボット1Aは、左のアーム3及びその搬送ハンド10Aを用いて、載置領域201aに載置された基板100を第1基板格納部110B又は第3基板格納部130に搬送する。搬送ハンド10Aが載置領域201aの基板100を把持する動作は、上記と逆の順序で行われる動作である。このとき、制御装置9は、第2接続部材13Abのフローティング機構をON状態としてもよく、OFF状態としてもよい。
(基板の第1基板格納部への格納例)
搬送ハンド10Aによる基板100の第1基板格納部110Bへの格納動作の一例を説明する。搬送ハンド10Aによる基板100の格納動作は、第1基板格納部110Aからの基板100の引き出し動作の逆の順序の動作と同様である。なお、制御装置9は、第1基板格納部110Bへの基板100の格納動作の間、第2接続部材13Abのフローティング機構をOFF状態に維持する。
具体的には、制御装置9は、左のアーム3を動作させることで、アーム3の搬送ハンド10Aを、第1基板格納部110Bに対する所定の位置に移動させる。所定の位置は、搬送ハンド10Aが把持する基板100と、基板100が挿入される第1基板格納部110Bの受け部とが水平方向に並び、且つ、第2把持部材61Aa及び61Abが第1基板格納部110Bに接近した位置である。
次いで、制御装置9は、第1把持部30の第2アクチュエータ33Aに伸長させ、第2把持部材61Aa及び61Abによって把持されている基板100の周囲端部を、第1把持部材31Aa及び31Abに把持させる。次いで、制御装置9は、第2把持部60の第3アクチュエータ63Aa及び/又は63Abに伸長させ、第2把持部材61Aa及び61Abによる基板100の把持を解除させる。
次いで、制御装置9は、第2アクチュエータ33Aに伸長させ、第1把持部材31Aa及び31Abによって把持されている基板100を第1基板格納部110Bの所定の受け部の上にスライド移動させる。制御装置9は、基板100を所定量スライド移動させた後、第1把持部材31Aa及び31Abに開動作させて、基板100の把持を解除させる。これにより、基板100は、第1基板格納部110B内の所定の位置に配置される。その後、制御装置9は、第2アクチュエータ33Aを収縮させ、第1把持部材31Aa及び31Abを所定の位置まで後退させる。
(実施の形態2の総括)
以上のように、上記搬送ハンド10Aによれば、第1把持部30A及び第2把持部60Aを備える1つのハンド本体11Aによって、水平状態で格納された基板100を、第1把持部30Aを用いてスライド移動させて引き出した後、第2把持部60Aを用いて基板100を把持し搬送することができる。これにより、コンパクトな構成で基板100等の物品を試験装置200等の所定位置へ適切に搬送することが可能となる。
また、上記実施の形態2の搬送ロボット1Aは、搬送ハンド10Aを備えたアーム3及び4を1つの基台2に備えた1台のロボットである。よって、小さな設置スペースで基板100を適切に且つ効率的に搬送することが可能となる。
(その他の実施の形態)
以上、本発明の実施の形態の例について説明したが、本発明は、上記実施の形態に限定されない。すなわち、本発明の範囲内で種々の変形及び改良が可能である。例えば、各種変形を実施の形態に施したもの、及び、異なる実施の形態における構成要素を組み合わせて構築される形態も、本発明の範囲内に含まれる。
例えば、上記した実施の形態1では、1台の搬送ロボット1に第1ハンド20と第2ハンド50とを備えさせているが、第1ハンド20と第2ハンド50とを異なる多関節ロボットなどに備えさせることもできる。
また、上記した実施の形態1では、第1ハンド20の第1ハンド本体21をL字状に形成し、第2ハンド50の第2ハンド本体51をL字状に形成しているが、第1ハンド本体21及び第2ハンド本体51の形状はL字状に限定されるものではない。
また、上記した実施の形態1における基板当接部35は、基板100の周囲に当接させる構成であるが、センサを設けて基板100を検知するようにしてもよい。
また、上記した実施の形態2では、搬送ロボット1Aは、2つのアーム3及び4を備えていたが、1つのアームのみを備えてもよく、3つ以上のアームを備えてもよい。例えば、2つのアーム3及び4が異なるロボットに備えさせてもよい。
また、上記した実施の形態2では、アーム3及び4の搬送ハンド10Aの両方が、第2接続部材13Abにフローティング機構を備えていたが、これに限定されない。例えば、試験装置200の基板載置部201に基板100を載置する動作を行わない左のアーム3の搬送ハンド10Aは第2接続部材13Abにフローティング機構を備えなくてもよい。
また、上記した実施の形態2では、第1把持部30Aの第2アクチュエータ33Aは、2段のシリンダを備えていたが、これに限定されない。第2アクチュエータ33Aは、1段のシリンダを備えてもよく、3段以上のシリンダを備えてもよい。複数段のシリンダを備えることによって、各シリンダを単に伸長又は収縮させるだけで、第2アクチュエータ33Aのストローク量を複数段に調整することができる。なお、第2把持部60Aの第3アクチュエータ63Aa及び63Abも、複数段のシリンダを備えてもよい。
また、上記した実施の形態2では、第2把持部60Aの第2把持部材61Aa及び61Abの両方が、第3アクチュエータ63Aa及び63Abによって移動されるように構成されていたが、これに限定されず、一方が固定されていてもよい。