JP6970710B2 - エンドミル - Google Patents

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本発明は、例えば、マンホールなどに環状の加工を施すような場合に好適なエンドミルに関する。
マンホールの壁面を環状に切削する背景技術としては、例えば、下記特許文献1記載の「切削用ビット及び既設マンホール取付管渠の耐震化工法」がある。これは、コア本体の円筒体の厚さを変えないで切削される環状空隙幅をより大きくすることを目的としたもので、円筒形状のコア本体の軸方向端面に、該コア本体の軸方向に突出して所定のピッチで第1の切削刃を複数設けるとともに、該第1の切削刃が設けられたコア本体の軸方向端部の外周面に、該コア本体の径方向に突出して所定のピッチで第2の切削刃を複数設けている。
特開2012-180673号公報
しかしながら、上述した背景技術では、円筒体の全周に渡って切削が行われるため、切削速度が遅く、環状の隙間を切削するのに時間がかかる。また、円筒体の厚さを変えないで切削される環状隙間幅をより大きくするといっても限度があり、切削する環径の大きさに合わせて円筒体の径も各種用意する必要がある。加えて円筒体が既設マンホール取付管渠の全体を覆ってしまうため、管渠内にケーブルなどがあるときは、それを外す必要があり、作業効率が非常に悪い。
本発明は、以上の点に着目したもので、切削加工を効率的に行うことができるとともに、各種の環径に対応することができるエンドミルを提供することを、その目的とする。
本発明のエンドミルは、円柱状の本体の外周面の互い違いのらせん状の位置に連続的に設けられた切削チップ,円柱の軸方向に設けられた導水路,前記切削チップの間に設けられており、前記導水路に繋がる出水孔,を備えており、隣接する切削チップとの間に間隔を設けたことを特徴とする。
本発明のエンドミルを適用する切削加工機は、前記いずれかのエンドミルを回転させる回転駆動部を備えたことを特徴とする。主要な形態の一つによれば、前記回転駆動部を周回軸の周りに周回させる周回機構を備えたことを特徴とする。他の形態としては、前記回転駆動部を、前記周回軸方向にスライドさせるスライド機構,もしくは、周回軸と直交する方向に高さを変更する昇降機構の少なくとも一方を設けたことを特徴とする。更に他の形態としては、前記周回機構の周回軸が、加工対象の円管の中心と一致するように、前記円管に対して前記周回機構を位置決めするための三点支持機構を備えたことを特徴とする。更には、前記切削加工機が、マンホールに接続する下水管の外周に隙間を形成することを特徴とする。本発明の前記及び他の目的,特徴,利点は、以下の詳細な説明及び添付図面から明瞭になろう。
本発明のエンドミルによれば、円柱状の本体の外周面に、切削チップをらせん状に連続的に設けるとともに、隣接する切削チップとの間に間隔を設けることとしたので、切削を効率的に行うことができる。
本発明のエンドミルの実施例を示す斜視図及び主要断面図である。 前記実施例のエンドミルによる耐震加工の一例を示す図である。 前記図2における主要部の断面構造を示す図である。 前記実施例による隙間切削の様子を示す図である。 本発明の他の実施例を示す図である。
以下、本発明を実施するための最良の形態を、実施例に基づいて詳細に説明する。
図1には、本発明のエンドミルの一実施例が示されている。同図(A)は斜視図であり、同図の#1−#1線に沿って矢印方向に見た断面が同図(B)に示されている。これらの図において、エンドミル100は、本体110が円柱状に形成されており、その外周面には、小片のダイヤモンドチップ120が多数設けられている。ダイヤモンドチップ120は、隣接するものがずれるように、互い違いの位置に設けられており、切削加工が隙間なく行われるようになっている。例えば、らせん状にダイヤモンドチップ120を設けるようにする。
本体110の下部には、円筒状のジョイント部112が設けられており、更に、軸方向(長手方向)に導水路114が形成されている。この導水路114の先端は塞がれている。一方、本体110の周面には、上述したダイヤモンドチップ120の間に、出水孔116が多数設けられており、上述した導水路114に通じている。これにより、ジョイント部112から矢印F11で示すように導入された切削用の水が導水路114を通り、矢印F12で示すように出水孔116から周面に放出されるようになっている。
次に、図2,図3を参照しながら、上述したエンドミル100による切削加工の一例を説明する。この例は、下水道用管渠である既設のマンホールMHと下水管SPとの結合部分に、隙間GAを形成する場合の例である。例えば、マンホールMHと下水管SPとの間に隙間GAを設け、この部分に弾性材を埋め込むことで耐震性を付与するといったような場合が該当する。
図2は側面から見た主要部の様子を示しており、同図の矢印F3Aの方向から見た図が図3(A)であり、矢印F3B方向から見た図が図3(B),(C)である。これらの図において、上述したエンドミル100は、回転駆動部300によって回転可能に保持されている。回転駆動部300は、モーター302の駆動力がギア機構304を介して、エンドミル100を保持するチャック機構306に伝達されるようになっている。切削用の水は、チャック機構306からエンドミル100に供給されるようになっている。以上の回転駆動部300は、後述する周回機構400のスライダ420上に設置されている。
周回機構400は、モーター402の駆動力がギア機構404を介して、周回軸406に伝達されるようになっている。周回軸406には、周回台410が設けられており、周回軸406が回転すると、周回台410も回転するようになっている。周回台410には、周回軸406の方向に摺動可能なスライダ420が設けられており、このスライダ420に、上述した回転駆動部300が設けられている。ハンドル422を回すと、摺動軸424が回転し、スライダ420が摺動するようになっている。なお、スライダ420に昇降機構(図示せず)を設け、周回軸406に対するエンドミル100の距離を調整できるようにしてもよい。
一方、下水管SP内には、三点支持機構500が設置されている。三点支持機構500は、伸縮軸502の両端にそれぞれ設けられた一対の腕504を3組備えており、各組は、図3(A)に示すように、120度の角度で伸びるようになっている。腕504の先端には、当接片506が設けられている。すなわち、伸縮軸502が縮むと、腕204が伸び、更に当接片506が軸中心から離れるようになっている。当接片506は、120度の方向に変位するので、これが下水管SPの内壁に当接することで、伸縮軸502の中心が、下水管SPの中心と一致するようになる。
上述した周回機構400の周回軸406の先端は、軸接手510を介して、上述した伸縮軸502に接合されている。従って、周回機構400の周回軸406の軸方向は、下水管SPの中心と一致することになり、これにより、回転駆動部300が下水管SPの中心に対して回転するようになる。図3(B),(C)には、その様子が示されており、下水管SPの中心に対して、周回機構400の周回軸406が回転し、更には回転駆動部300も回転する。このため、エンドミル100を、下水管SPの外周の位置に設置すると、下水管SPの外周に対して隙間GAを形成することができる。なお、周回機構400の反対側には、必要に応じて、モーター402やギア機構404を支持する固定具490,492を設置する。
次に、図4も参照しながら、上記実施例の作用を説明する。回転駆動部300のモーター302を駆動すると、エンドミル100が回転し、切削用の水が供給される。この状態で、ハンドル422を回すと、下水管SPの外周部位においてエンドミル100がマンホールMHの内壁に当たるようになり、更にはマンホールMHを切削して貫通する。次に、周回機構400のモーター402を駆動すると、周回軸406が回転し、更には周回台410が回転する。この回転は、エンドミル100の回転と比較して、非常にゆっくりである。周回台410が回転すると、回転駆動部300が全体として回転し、エンドミル100も回転する。
これにより、エンドミル100は、図4(A)に示すように、下水管SPの外周側を切削しながら周回移動するようになり、図4(B)に示すように、下水管SPの外周側に、環状の隙間GAを形成することができる。耐震化を図る場合、隙間GAに弾性材EMを挿入する。この弾性材EMによって、地震の揺れによるマンホールMH壁面と下水管SPの外周側との変動が吸収され、破損が低減されるようになる。
本実施例に関連して行った実験によれば、上述したドラムビットの場合よりも速く隙間GAを形成できることが判明している。
以上のように、本実施例によれば、次のような効果が得られる。
a,短時間で良好に隙間GAを形成することができ、作業効率がよい。
b,ケーブルなどがあっても、良好に切削加工を行うことができる。
c,エンドミル100の位置を変更するだけで、各種の管径に対応することができる。
d,前記エンドミルを周回させることで、円環状の隙間を簡便に形成することができ、下水管の耐震対策に好適である。
なお、本発明は、上述した実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加えることができる。例えば、以下のものも含まれる。
(1)前記実施例で示した形状,寸法は一例であり、必要に応じて適宜変更してよい。例えば、前記実施例では、四角形状のダイヤモンドチップ120を使用したが、形状は問わない。
(2) 回転駆動部300,周回機構400,三点支持機構500の構造も、前記実施例に限定されるものではなく、各種の構造としてよい。例えば、特開2012-180673号公報,同2015-135297号公報,同2001-40751号公報,同2006-57390号公報,特開平7-259090号公報などに各種のものが開示されている。
(3)前記実施例では、下水管SPの外周に沿って隙間GAを形成する場合を説明したが、図5に示すように、マンホールMHの側面に円環状の孔GAaを形成するような場合にも適用可能である。
(4)前記実施例は、エンドミル100を円弧状に移動して切削を行う場合を示したが、直線状に移動してもよい。
(5)前記実施例では、三点支持機構500によって、下水管SPの中心を割り出したが、他の方法を用いてもよい。
(6)本発明による切削対象としては、ヒューム管や石材が好適な例であるが、各種の材料に対する切削を行うようにしてよい。
(7) 切削チップとしては、ダイヤモンドチップが一般的であるが、各種の切削チップを用いてよい。
本発明によれば、円柱状の本体の外周面に、切削チップをらせん状に連続的に設けるとともに、隣接する切削チップとの間に間隔を設けることとしたので、切削を効率的に行うことができ、マンホールなどに対する環状の加工に好適である。

100:エンドミル
110:本体
112:ジョイント部
114:導水路
116:出水孔
120:ダイヤモンドチップ
300:回転駆動部
302:モーター
304:ギア機構
306:チャック機構
400:周回機構
402:モーター
404:ギア機構
406:周回軸
410:周回台
420:スライダ
422:ハンドル
424:摺動軸
490,492:固定具
500:三点支持機構
502:伸縮軸
504:腕
506:当接片
510:軸接手
EM:弾性材
GA:隙間
GAa:孔
MH:マンホール
SP:下水管

Claims (3)

  1. 円柱状の本体の外周面の互い違いのらせん状の位置に連続的に設けられた切削チップ,
    円柱の軸方向に設けられた導水路,
    前記切削チップの間に設けられており、前記導水路に繋がる出水孔,
    を備えており、
    隣接する切削チップとの間に間隔を設けたことを特徴とするエンドミル。
  2. 前記本体の先端において、前記導水路を塞いだことを特徴とする請求項1記載のエンドミル。
  3. 前記本体の一端にジョイント部を設けたことを特徴とする請求項1又は2記載のエンドミル。
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