以下、図を参照しながら、この発明の装置、方法の一実施の形態について説明する。以下に説明する実施の形態においては、例えば、会社などのオフィスに主要部分が形成されるビジネスホンシステム(ボタン電話システム)にこの発明を適用した場合を例にして説明する。
[電話システムの全体構成]
図1は、この実施の形態の電話システムの全体構成を説明するための図である。図1において、広域ネットワーク100は、インターネット、公衆交換電話網(Public Switched Telephone Network)、NGN(Next Generation Network)、3G(3rd Generation)規格やLTE(Long Term Evolution)規格の音声通信網(携帯電話網)などの種々のネットワークを含む。更に、広域ネットワーク100は、インターネットに接続された、例えば、Wi−Fi(登録商標)規格の無線LAN(Local Area Network)なども含む。また、広域ネットワーク100の伝送媒体には、電線、無線、光ケーブルなどの種々のものを含む。
なお、NGNは、FMC(Fixed-Mobile Convergence)と呼ばれる固定・移動体通信を統合し、トリプルプレイ(Triple Play)と呼ばれる、電話・データ通信・ストリーミング放送が融合したマルチメディアサービスを実現する次世代通信網を意味する。また、図1において、広域ネットワーク100に接続されている基地局BS(1)、BS(2)、BS(3)、…は、NGNあるいは携帯電話網の基地局である。
回線終端装置1は、広域ネットワーク100の終端に接続され、ユーザ側の装置を広域ネットワーク100に接続する。なお、回線終端装置には、ONU(Optical Network Unit:光回線終端装置)と呼ばれ、広域ネットワークを構成する光通信網に接続されて、光信号と電気信号間の変換と光信号の多重/分離をするものがある。また、回線終端装置には、モデムと呼ばれ、例えばADSL(Asymmetric Digital Subscriber Line:非対称デジタル加入者線)に接続され、デジタル信号とアナログ信号の変換を行うものがある。この実施の形態において、回線終端装置は、例えばONUである。
回線終端装置1には、呼制御装置2が接続されている。呼制御装置2には、LAN(Local Area Network)3を介して、複数の固定電話端末4(1)、4(2)、4(3)、…と、1以上の管理端末6(1)、…と、受付装置7とが接続されている。管理端末6(1)、…は、例えばPC(Personal Computer)などの通信機能を備えた情報処理装置である。
呼制御装置2は、通信路(通信回線)を接続する端末間のアドレス解決をするものであり、LAN3に接続された配下の機器間や、LAN3に接続された機器と広域ネットワーク100に接続された機器との間に、通信路をつなぐための小型の交換機として機能する。この実施の形態の呼制御装置2は、SIP(Session Initiation Protocol)を利用して、電話番号をIP(Internet Protocol)アドレスと対応付けたり、相手を呼び出して繋いだりするといった呼制御を行うSIPサーバとしての機能を備える。また、呼制御装置2は、LAN3を通じて接続されている管理端末6(1)、…などの情報処理装置を広域ネットワーク100に接続することもできる。
固定電話端末4(1)、4(2)、4(3)、…のそれぞれは、呼制御装置2を通じて、広域ネットワーク100に接続された外部の電話端末との間に接続される通信路を通じて外線通話を行うことができるものである。また、固定電話端末4(1)、4(2)、4(3)、…のそれぞれは、呼制御装置2を通じて、LAN3に接続され他の固定電話端末との間に接続される通信路を通じて内線通話を行うことができるものである。この実施の形態の固定電話端末4(1)、4(2)、4(3)、…のそれぞれは、オフィスの机の上などに固定的に配置され、通常、決まった使用者によって使用される。
訪問相手携帯端末5(1)、…は、訪問者の訪問を受ける訪問相手であって、固定電話端末4(1)、4(2)、4(3)、…のいずれかを使用する使用者が所持する携帯端末である。訪問相手携帯端末5(1)、…は、例えば、携帯電話端末やスマートホンなどと呼ばれる高機能携帯電話端末である。従って、自席から離れた場所におり、固定電話端末4(1)、4(2)、4(3)、…のいずれかを使用して電話を掛けたり、受けたりすることができないときには、自己が所持する例えば訪問相手携帯端末5(1)を使用して電話を掛けたり、受けたりすることができるようにされる。
管理端末6(1)、…は、広域ネットワーク100を通じて後述するUC(Unified communications)サーバ9にアクセスし、訪問者情報をUCサーバ9に登録する処理などを行う。受付装置7は、後述する訪問者携帯端末8からの訪問者に関する情報を受け付けて、呼制御装置2に提供する処理を行う。この実施の形態において受付装置7は、訪問者携帯端末8(1)のディスプレイにQRコード(登録商標)などの表示コードとして表示される訪問者に関する情報を読み取るリーダー装置である。
訪問者携帯端末8(1)は、訪問者が所持する、例えば、携帯電話端末やスマートホンなど呼ばれる高機能携帯電話端末である。この実施の形態においては、訪問者携帯端末8(1)は、高機能携帯電話端末であるものとして説明する。訪問者携帯端末8(1)には、訪問支援アプリケーション(以下、訪問支援アプリと記載する。)が搭載されている。この訪問支援アプリは、訪問者に関する情報の登録、訪問者に関する情報に応じた表示コードの表示、訪問相手に関する情報の取得と表示、電話を掛ける訪問相手の選択受付などの訪問者を支援するための種々の処理を実行する。
UCサーバ9は、電話(音声通話)、電子メール、チャットなどのいわゆるインスタント・メッセージなどの様々な通信手段(communications)を統合(Unified)して利用できるようにする機能を実現する。この実施の形態のUCサーバ9は、呼制御装置2と協働し、訪問者携帯端末8(1)、…と、固定電話端末4(1)、…や訪問相手携帯端末5(1)、…との間で、電話や電子メールやインスタント・メッセージを利用して連絡を取ることができるようにする。すなわち、UCサーバ9は、状況に応じて最適な通信手段(通信媒体)を使い分けて、目的とする相手先に必要な情報をタイムリーに提供できるようにする機能を実現する。なお、この実施の形態において、UCサーバ9は、インターネット上に設けられたサーバ装置や記憶装置から構成される、いわゆるクラウドシステムとして実現される。
そして、以下においては、説明を簡単にするため、回線終端装置1、呼制御装置2、LAN3、固定電話端末4(1)、4(2)、4(3)、…、管理端末6(1)、…、受付装置7は、会社Aのオフィス内に設けられ、ビジネスフォンシステムを構成するものとして説明する。このビジネスフォンシステムに、さらに訪問相手携帯端末5(1)、…や訪問者携帯端末8(8)、…やUCサーバ9を加えて全体的な電話システムを構成している。そして、この実施の形態の電話システムは、訪問時において、訪問者と訪問相手との間に受付者などの仲介者を介在させることなく、また、訪問者と訪問相手との双方が手間をかけることなく、迅速かつ確実に連絡を取り合うことができるようにしている。
なお、固定電話端末4(1)、4(2)、4(3)、…のそれぞれは、基本的な構成は同様のものであるので、以下においては特に区別して示す必要がある場合を除き、固定電話端末4と総称する。また、訪問相手携帯端末5(1)、…は、複数の訪問相手ごとに存在するものであるが、基本的な構成は同様のものであるので、以下においては特に区別して示す必要がある場合を除き、訪問相手携帯端末5と総称する。また、管理端末6(1)、…は、通常は複数台存在するものであり、それらの基本的な構成は同様のものであるので、以下においては特に区別して示す必要がある場合を除き、管理端末6と総称する。同様に、訪問者携帯端末8(1)、…についても、複数の訪問者ごとに存在するものであり、それらの基本的な構成は同様のものであるので、以下においては特に区別して示す必要がある場合を除き、訪問者携帯端末8と総称する。
そして、会社Aの担当者αと会社Bの担当者βとが打ち合わせを行うため、会社Bの担当者βが会社Aを訪問する必要が生じたとする。この場合、会社Aの担当者αと会社Bの担当者βとは、直接会った時に、あるいは、電話、電子メール、インスタント・メッセージなどを通じて、相互に予定を確認し合い、打ち合わせ日時等の必要事項を取り決める。打ち合わせ日時等が決まると、訪問先である会社Aの担当者αは、管理端末6を用いて広域ネットワーク100のインターネットを通じてUCサーバ9にアクセスし、訪問者である会社Bの担当者βに関する訪問者情報をUCサーバ9に登録する。
UCサーバ9は、訪問者情報を受け付けると当該訪問者情報に対応する訪問者に対する認証情報を発行し、当該訪問者情報と認証情報とを対応付けて記憶保持する。また、UCサーバ9は、当該訪問者情報と当該認証情報から当該訪問者の認証処理に必要になる情報を、広域ネットワーク100のインターネットを通じて呼制御装置2に提供する。呼制御装置2は、当該認証処理に必要になる情報を記憶保持する。更に、UCサーバ9は、広域ネットワーク100のインターネットを通じて、当該認証情報を管理端末6に提供し、訪問相手である会社Aの担当者αから訪問者である会社Bの担当者βに通知する。担当者βは、通知された認証情報を自己が使用する訪問者携帯端末8に登録する。当該認証情報の登録は、訪問者携帯端末8に搭載されている訪問支援アプリを起動し、認証情報の登録機能を用いて行う。
そして、訪問者である会社Bの担当者βは、取り決めた訪問日において、訪問時刻に間に合うように会社Aを訪問し、自己の所持する訪問者携帯端末8において、訪問支援アプリを起動する。そして、訪問者携帯端末8のディスプレイに訪問者に関する情報からなる表示コードを表示し、これを会社Aのエントランスに設置されている受付装置7に読み取らせる。受付装置7は、読み取った表示コードを解析し、訪問者に関する情報を得て、LAN3を通じて呼制御装置2に提供する。
受付装置7が取得した訪問者に関する情報は、訪問者を特定する情報や認証情報を含むものである。このため、呼制御装置2は、受付装置7からの訪問者に関する情報が、自機に登録されている訪問予定のある訪問者についてのものである場合に、当該訪問者に関する情報を広域ネットワーク100のインターネットを通じてUCサーバ9に送信する。UCサーバ9は、自己が保持する訪問者情報と呼制御装置2からの訪問者に関する情報とに基づいて認証を取るようにし、認証が取れたとする。この場合、UCサーバ9は、広域ネットワーク100のインターネットを通じて、当該訪問者の訪問者情報として登録されている訪問相手が使用する訪問相手携帯端末5に訪問者が来訪したことを通知するメッセージを送信する。当該メッセージは、電子メールやインスタント・メッセージにより通知される。
これにより、当該訪問相手は、訪問者が来訪したことを知り、電話、電子メール、インスタント・メッセージなどの通信手段を通じて訪問者携帯端末8にアクセスし、連絡を取り合うことができる。この場合、すぐに迎えに行くので少し待つように伝えたり、所定のミーティングエリアに向かうように指示したりするなどのことができる。一方、訪問者は、自己が所持する訪問者携帯端末8を受付装置7にかざすだけで、目的とする訪問相手に来訪を通知し、連絡を取るように促すことができる。
しかし、訪問相手が所持する訪問相手携帯端末5に訪問者が来訪したことを通知しても、当該訪問相手が当該通知に気が付かない場合もあると考えられる。この場合には、訪問者は訪問相手と迅速に連絡を取ることができない。そこで、この実施の形態の電話システムにおいては、訪問者から訪問相手に対して簡便に連絡を取る手段も提供している。
すなわち、この実施の形態の電話システムにおいては、訪問者は自己が所持する訪問者携帯端末8を用いて、広域ネットワーク100のインターネットを通じてUCサーバ9に直接にアクセスし、訪問者に関する情報を提供して認証を受けるようにする。認証が取れた場合には、UCサーバ9及び呼制御装置2は、当該訪問者が所持する訪問者携帯端末8を、仮想的に呼制御装置2の配下の電話端末(仮想端末)と見做す。そして、UCサーバ9は、仮想端末と見做した訪問者携帯端末8に対して、1以上の訪問相手に関する情報を提供する。
訪問相手に関する情報が提供された訪問者携帯端末8では、これを自機のディスプレイに表示し、訪問相手の指示入力を受け付ける。訪問者携帯端末8は、訪問相手の指示入力を受け付けた場合には、指示された訪問相手を特定する情報(指示情報)を、広域ネットワーク100のインターネットを通じてUCサーバ9に提供する。そして、UCサーバ9は、呼制御装置2に対して、当該訪問者携帯端末8に広域ネットワーク100のNGNや携帯電話網を通じて外線電話を掛けるように指示する。これにより、呼制御装置2は、最初に訪問相手を指示するという電話を掛けるアクションを起こした訪問者の訪問者携帯端末8に対して、呼制御装置2から外線電話を掛けて通信路を接続するようにするいわゆるコールバック発信を行うようにする。
更に、UCサーバ9は、当該訪問者携帯端末8を通じて呼制御装置2からの発信に応答がされた場合には、指示された訪問相手が使用する固定電話端末4にLAN3を介して内線電話を掛けるように指示する。そして、呼制御装置2が内線電話を掛けた訪問相手が使用する固定電話端末4を通じて応答した場合に、呼制御装置2は、当該訪問者携帯端末8と固定電話端末4との間に通信路を接続し、通話を行えるようにする。
これにより、訪問者は、直接に目的とする訪問相手と通話を行って、自分が来訪したことを当該訪問相手に通知し、迅速にその後の指示を受けることができる。なお、訪問相手が自席またはその近傍に存在せず、当該訪問相手が使用する固定電話端末4を通じて応答ができなかったとする。この場合には、UCサーバ9は、呼制御装置2を制御して、当該固定電話端末4への内線着信を、広域ネットワーク100のNGNや携帯電話網を通じて当該訪問相手が所持する訪問相手携帯端末5に転送する。これにより、訪問相手が訪問相手携帯端末5を通じて応答すれば、訪問者携帯端末8と訪問相手携帯端末5との間に通信路が接続される。この場合、訪問者は、直接に、かつ、確実に、目的とする訪問相手と通話を行って、来訪したことを当該訪問相手に通知し、迅速にその後の指示を受けることができる。
このように、訪問者が訪問相手と簡単かつ迅速に連絡を取ることができるようにする機能を実現する、この実施の形態の電話システムを構成する各装置の構成例について、以下において具体的に説明する。なお、回線終端装置1、管理端末6、受付装置7のそれぞれは、既に市場に存在するものを用いれば足りるため、それらの詳細な構成の説明については省略する。
[UCサーバ9の構成例]
図2は、UCサーバ9の構成例を説明するためのブロック図である。接続端子901Tは、広域ネットワーク100への接続端部を構成する。通信I/F901は、広域ネットワーク100を通じて自機宛てに送信されてきたデータを受信して自機において処理が可能な形式に変換して取り込んだり、自機から送信するデータを送信用の形式に変換して広域ネットワーク100に送出したりする処理を行う。従って、広域ネットワーク100を通じた通信は、接続端子901T及び通信I/F901を介して行われる。制御部902は、図示しないが、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、不揮発性メモリなどがバスを通じて接続されて構成されたマイクロプロセッサであり、UCサーバ9の各部を制御する。
記憶装置903は、例えばハードディスクなどの記憶媒体とそのドライバとからならなり、データの書き込み、記憶、読み出し、削除等の処理を行う。記憶装置903は、種々のプログラムや処理に必要になるデータを記憶する他、種々の処理において途中結果を一時記憶する作業領域としても用いられる。
社員DB904は、例えばハードディスクなどの記憶媒体とそのドライバとからならなり、この実施の形態においては、訪問相手となる可能性のある会社Aの社員のそれぞれについての社員情報(訪問先に関する情報)を記憶保持する。図3は、社員DB904の格納データの例を説明するための図である。社員DB904には、社員ごとに図3に示した各データを記憶保持する。図3において、ログインID、ログインPW(PassWord)、パスワードは、各社員が例えばUCサーバ9にアクセスしたり、会社Aのシステムにアクセスしたりする際に必要になる認証情報である。各社員の氏名は、漢字、カナ、ローマ字の3種類の態様で管理されている。ソートスコアは、種々のソートキーで並べ替えを行った場合に、同一レベル内での位置を指示するための情報であり、当該ソートスコアが高ければ上位に位置付けられるようにされる。
社員番号は各社員を一意に特定可能な識別情報である。また、職務、備考といった各社員の属性も管理されている。また、内線番号、電話番号(代表)、携帯番号(携帯電話番号)、FAX番号、Eメール(電子メールアドレス)といった通信手段を通じて当該社員と連絡を取るために必要になる情報も管理されている。また、役職や部署といった所属に関する情報や「アカウントの有効/無効」によって当該社員が会社Aのシステムにログインできる者か否かの別も管理されている。更に、「行き先」によって、当該社員の現在の所在位置についても管理することができるようにされている。なお、「行き先」として、各社員に割り当てられている固定電話端末4(1)、4(2)、4(3)、…を通じて、「在席」、「離席」「会議」、「休憩」、「外出」、「帰宅」といった大まかな所在を示す情報の選択入力ができるようにされている。
なお、図3において、網掛けをして区別するようにした、ログインID、ログインPW、パスワード、ソートスコア、社員番号、アカウント有効/無効の各情報は、予め決められた管理者以外の者は参照することができない情報である。これら以外の情報は、会社Aの社員であれば参照することができる。また、上述したように、呼制御装置2の配下の電話端末(仮想端末)であると見做された訪問者携帯端末8を通じては、参照可能な情報は更に制限され、例えば、訪問相手となる会社Aの社員の「氏名・漢字」、「電話番号(代表)」、「電子メールアドレス」、「部署」、「行き先」が参照できるにとどまる。
訪問者情報ファイル905は、例えばハードディスクなどの記憶媒体とそのドライバとからなり、会社Aを訪問する予定のある訪問者についての情報である訪問者情報を記憶保持する。図4は、訪問者情報ファイル905の格納データの例を説明するための図である。訪問者情報ファイル905は、訪問予定のある訪問者ごとに図4に示した各データを記憶保持する。図4において、ログインID、ログインPW、訪問者ID、パスワードは、各訪問者がこの実施の形態の電話システムに対してアクセスする際に必要になる認証情報であり、この実施の形態ではUCサーバ9によって付与されるものである。
そして、訪問者情報ファイル905では、いつ(訪問日時)、誰が(訪問者氏名、会社名等)、何人で(同行者人数)で来訪し、訪問相手は誰か(訪問相手1、訪問相手2、…)が管理される。訪問相手については、社員番号、氏名・漢字、部署・漢字などの情報が管理される。また、当該訪問者と連絡を取る場合に使用する当該訪問者の携帯番号(携帯電話番号)も管理される。ここで、携帯番号は端末識別情報であり、訪問相手1、訪問相手2、…は、訪問先特定情報である。
訪問者情報編集処理部906は、広域ネットワーク100のインターネットを通じて送信され、接続端子901T及び通信I/F901を通じて受信する管理端末6からの訪問者情報を受け付ける。そして、訪問者情報編集処理部906は、受け付けた訪問者情報と後述する認証情報発行部907が発行する訪問者用の認証情報とから、記録用の訪問者情報を編集して、これを訪問者情報ファイル905に記録する。
認証情報発行部907は、上述したように、訪問者情報編集処理部906が訪問者情報を受け付けた場合に、当該訪問者情報により特定される訪問者に対する認証情報を発行する。当該認証情報は、ログインID、ログインPW、訪問者ID、パスワードからなるものであり、訪問者ごとに異なるものである。これらの認証情報は、UCサーバ9から管理端末6に提供され、訪問相手から訪問者に伝達される。
認証処理部908は、上述もしたように、訪問者携帯端末8から訪問者に関する情報の提供を受けた場合に、当該訪問者携帯端末8を所持する訪問者が当該電話システムに接続可能な訪問者の使用するものか否かの認証処理を行う。すなわち、訪問予定があり認証情報が付与されて予め訪問者情報が登録されている訪問者であることの認証を取る処理を行う。なお、訪問者携帯端末8からの訪問者に関する情報の提供は、受付装置7及び呼制御装置2を通じて行われる場合と、訪問者携帯端末8から直接に行われる場合とがあるが、いずれの場合にも、広域ネットワーク100のインターネットを通じて提供される。
情報提供部909は、認証が取れた訪問者の訪問者携帯端末8に、訪問相手となる会社Aの社員についての情報(訪問相手に関する情報)であって、社員DB904に記憶保持されている社員情報を提供するものである。訪問者携帯端末8に情報を提供する場合、情報提供部909は、社員情報の全てを提供するのではなく、制限を掛けて、氏名、電話番号(代表)、電子メールアドレス、部署、行き先などの予め決められた情報のみを提供する。なお、情報提供部909は、予め決められた管理者に対しては、制限なく社員DB904の各データを提供できる。また、情報提供部909は、会社Aの社員に対しては、図3において網掛けを付して示した認証情報、ソートスコア、社員番号、アカウント有効/無効の各情報以外の情報を提供できる。
コールバック指示部910は、情報提供部909を通じて訪問相手に関する情報の提供を受けた訪問者携帯端末8の使用者が、当該訪問者携帯端末8を通じて訪問相手を指示した場合に、コールバックを行うように呼制御装置2に対して指示を出す。当該指示は2つの指示を含む。1つは、UCサーバ9に訪問相手を指示してきた訪問者携帯端末8に対して広域ネットワーク100のNGNや携帯電話網を通じて外線発信を行う指示である。もう1つは、当該訪問者携帯端末8の使用者が当該外線発信に応答した場合に、指示された訪問相手が使用する固定電話端末4に対して内線電話を掛け、当該訪問者携帯端末8と当該固定電話端末4との間に通信路を接続し通話を行えるようにする指示である。
これにより、訪問者の使用する訪問者携帯端末8と訪問相手が使用する固定電話端末4との間に通信路が接続され、通話ができるようにされる。また、当該固定電話端末4を通じて訪問相手が応答しなかった場合には、例えば、制御部902は、呼制御装置2に対して当該固定電話端末4への着信を、当該訪問相手が使用する訪問相手携帯端末5に転送する指示を出す。この場合には、当該固定電話端末4への着信が、当該訪問相手が使用する訪問相手携帯端末5に転送される。これにより、訪問者の使用する訪問者携帯端末8と訪問相手が使用する訪問相手携帯端末5との間に通信路が接続され、通話ができるようにされる。
また、UCサーバ9の制御部902は、訪問者が所持する訪問者携帯端末8から訪問者に関する情報の提供を受けた場合に、当該訪問者が目的とする訪問相手の訪問相手携帯端末に対して、訪問者の来訪を通知することもできる。当該通知は、上述もしたように、電子メールやインスタント・メッセージにより行うことができるようにされる。
このように、UCサーバ9は、この実施の形態の電話システムを構成する呼制御装置2、訪問者携帯端末8、訪問相手携帯端末5(1)などを制御して、訪問者が目的とする訪問相手と迅速かつ確実に連絡が取れるように機能するものである。
[呼制御装置2の構成例]
図5は、呼制御装置2の構成例説明するためのブロック図である。接続端子201Tは、回線終端装置1との接続端部を構成する。通信I/F201は、広域ネットワーク100を通じて自機宛てに送信されてきたデータを受信して自機において処理が可能な形式に変換して取り込んだり、自機から送信するデータを送信用の形式に変換して広域ネットワーク100に送出したりする処理を行う。従って、呼制御装置2は、回線終端装置1、接続端子201T、通信I/F201を通じて広域ネットワーク100に接続される。そして、広域ネットワーク100を通じた通信は、回線終端装置1、接続端子902T及び通信I/F201を介して行われる。
制御部202は、図示しないが、CPU、ROM、RAM、不揮発性メモリなどがバスを通じて接続されて構成されたマイクロプロセッサであり、呼制御装置2の各部を制御する。記憶装置203は、例えばハードディスクなどの記憶媒体とそのドライバとからならなり、データの書き込み、記憶、読み出し、削除等の処理を行う。記憶装置203は、種々のプログラムや処理に必要になるデータを記憶する他、種々の処理において途中結果を一時記憶する作業領域としても用いられる。
端末管理DB204は、呼制御装置2に接続されることにより呼制御装置2の配下の端末として機能する主に固定電話端末4に関する情報を記憶保持する。訪問者携帯端末管理DB205は、訪問予定のある訪問者が使用する訪問者携帯端末8に関する情報を記憶保持する。図6(A)は、端末管理DB204の格納データの例を説明するための図であり、図6(B)は、訪問者携帯端末管理DB205の格納データの例を説明するための図である。
端末管理DB204においては、図6(A)に示すように、呼制御装置2に接続された固定電話端末4などの内線番号、IPアドレス、主に使用する使用者の氏名、設置部署、その他の情報を管理する。端末管理DB204で管理される情報は、呼制御装置2に接続された端末からのリクエストに応じて登録される。そして、端末管理DB204に記憶されている情報を利用することにより、訪問者が所持する訪問者携帯端末8と通信路を接続すべき固定電話端末4を特定することができる。また、端末管理DB204は、例えば、ダイレクト・イン・ダイヤル機能が用いられて、内線番号まで指示された外線着信に応じて、着信先の固定電話端末を特定したり、内線発信に基づいて着信先の固定電話端末を特定したりする場合にも用いられる。
訪問者携帯端末管理DB205においては、図6(B)に示すように、携帯番号、訪問者ID、パスワード、サーバ(URL)、SSL設定情報を管理する。携帯番号は訪問予定のある訪問者が使用する訪問者携帯端末8の携帯電話番号である。訪問者ID、パスワード、サーバ(URL)、SSL設定情報のそれぞれは、UCサーバ9が訪問者情報の提供を受けた場合に、UCサーバ9の認証情報発行部907により発行された情報である。訪問者携帯端末管理DB205で管理される情報は、上述したUCサーバ9から提供されて、登録される。そして、訪問者携帯端末管理DB205の情報に基づいて、アクセスしてきた訪問者携帯端末8などの認証が行われる。
なお、図5には図示しなかったが、呼制御装置2は、アドレス管理DB(Database)をも備え、配下の端末との間で通信路を接続する可能性のある広域ネットワーク100上の種々の通信端末のIPアドレスやURLなどについても管理できるようなっている。呼制御装置2は、通信路を接続する端末間のアドレスを適切に解決することができるようにしている。
接続端子206Tは、LAN3への接続端部を構成する。LANI/F206は、LAN3を通じて自機宛てに送信されてきたデータを受信して自機において処理が可能な形式に変換して取り込んだり、自機から配下の端末に送信するデータを送信用の形式に変換してLAN3に送出したりする処理を行う。従って、LAN3を通じた通信は、接続端子206T及びLANI/F206を介して行われる。
呼制御部207は、自機の配下の端末への着信や自機の配下の端末からの発信を制御し、発信元と着信先との間に通信路を接続して通話を行えるようにする処理を行う。また、呼制御部207は、通信回線の使用状況や配下の端末の動作状態などを、配下の端末に通知する処理なども行う。
登録情報保守部208は、配下の端末からのリクエストに応じて、図6(A)を用いて説明した配下の端末に関する情報を端末管理DB204に追加したり、変更したり、削除したりする処理を行う。また、登録情報保守部208は、UCサーバ9からのリクエストに応じて、図6(B)を用いて説明した訪問者携帯端末に関する情報を訪問者携帯端末管理DB205に追加したり、変更したり、削除したりする処理を行う。
認証処理部209は、受付装置7を通じて訪問者携帯端末8から読み取られて、呼制御装置2に提供される訪問者に関する情報に基づいて、訪問者携帯端末管理DB205の格納データを参照して認証処理を行う。認証処理部209は、当該訪問者携帯端末8が、訪問予定のある訪問者のものであると認証が取れた場合に、訪問者に関する情報と共に、認証が取れた旨を来訪通知要求部210に通知する。
来訪通知要求部210は、認証処理部209からの認証が取れた旨の通知を受けた場合に、当該訪問者携帯端末8を所持する訪問者の訪問相手が所持する訪問相手携帯端末に対して、当該訪問者が来訪したことの通知を行うようにUCサーバ9に要求する。これにより、UCサーバ9は、例えば電子メールやインスタント・メッセージにより、訪問者の来訪を、訪問相手携帯端末を通じて訪問相手に通知できる。
コールバック処理部211は、上述したようにUCサーバ9が訪問者携帯端末8からの訪問相手の指示入力を受け付けた場合に、呼制御部207と協働し、当該訪問者携帯端末8に対して広域ネットワーク100を通じて外線電話を掛けるようにする。更に、コールバック処理部211は、呼制御部207と協働し、外線電話を掛けた相手先である訪問者携帯端末8を通じて応答があった場合に、当該訪問者携帯端末8を所持する訪問者の訪問相手が使用する固定電話端末4に内線電話を掛ける処理を行う。これにより、訪問相手が固定電話端末4を通じて応答すれば、当該訪問者携帯端末8と当該固定電話端末4との間に通信路を接続し、当該訪問者と訪問相手とが直接に通話を行うことができるようにされる。
そして、上述したようにコールバック処理部211と呼制御部207と協働して、訪問相手が使用する固定電話端末4に対して内線電話を掛けても、これに応答がなかったとする。この場合に、転送処理部212は、呼制御部207と協働し、当該固定電話端末4への着信を当該訪問相手が所持する訪問相手携帯端末5に転送する。すなわち、転送処理部212は、呼制御部207と協働し、広域ネットワーク100を通じて、当該訪問相手が所持する訪問相手携帯端末5に外線電話を掛けるようにする。これにより、訪問相手が、自己が使用する固定電話端末4の近傍に居ないために、当該固定電話端末4への着信に応答できなくても、自己が所持する訪問相手携帯端末5を通じて応答して、訪問者と通話を行うことができるようにされる。
このように、呼制御装置2は、UCサーバ9と協働することによって、訪問予定のある訪問者が来訪した場合に、当該訪問者の訪問相手に当該訪問者の来訪を通知することができる。これにより、訪問相手から訪問者に対して連絡を取ることができるようにしている。また、呼制御装置2は、UCサーバ9と協働することによって、訪問者携帯端末8と、相手先が使用する固定電話端末4あるいは訪問相手携帯端末5とを通じて通信路を接続し、訪問者と訪問相手とが直接に連絡を取ることができるようにしている。
[固定電話端末4の構成例]
図7は、固定電話端末4の構成例を説明するためのブロック図である。接続端子401Tは、LAN3への接続端部を構成する。LANI/F401は、LAN3を通じて自機宛てに送信されてきたデータを受信して自機において処理が可能な形式に変換して取り込んだり、自機から他の端末に送信するデータを送信用の形式に変換してLAN3に送出したりする処理を行う。従って、LAN3を通じた通信は、接続端子401T及びLANI/F401を介して行われる。
制御部402は、図示しないが、CPU、ROM、RAM、不揮発性メモリなどがバスを通じて接続されて形成されたマイクロプロセッサであり、固定電話端末4の各部を制御する。また、この実施の形態において、固定電話端末4において、制御部402は、パケット化されて送受される制御データや音声データなどの種々のデータの分解処理やパケット化して送信する種々のデータの生成処理をも行う。
操作入力部403と操作入力I/F404とは、使用者からの操作入力を受け付けて、受け付けた情報を自機において処理可能な形式のデータに変換して制御部402に提供する。操作入力部403には、テンキーや複数のファンクションキーなどが設けられている。ディスプレイコントローラ405とディスプレイ406とは、制御部402の制御の下、種々の情報をディスプレイ406の表示画面に表示する処理を行う。表示される情報には、入力した相手先の電話番号、発信元の電話番号、ガイダンスメッセージ、警告メッセージなど、種々の情報の表示が可能にされる。
コーデック407は、制御部402においてパケット分解された音声データの供給を受けて、これを圧縮伸長してアナログ音声信号に変換し、ハンドセット408のスピーカに供給する。これにより、相手先からの音声がハンドセット408のスピーカから放音される。また、コーデック407は、ハンドセット408のマイクロホンにより収音されたアナログ音声信号をデジタル信号に変換し、これをデータ圧縮して制御部402に供給する。制御部402は、コーデック407からの音声データをパケット化して、これを接続I/F401及び接続端子401Tを通じてLAN3に送出し、相手先に送信するようにする。
ハンドセット408は、上述したようにスピーカ(受話器)とマイクロホン(送話器)とを備えたものである。また、図示しないが、ハンドセット408が固定電話端末4の筐体の定位置に置かれているときにはオンフック状態となり、固定電話端末4の筐体の定位置から取り上げるとオフフック状態となり、これらのフック状態を制御部402が把握できる構成が整えられている。リンガ409は、制御部402の制御の下、着信時において着信音を放音させるものである。
このように構成された固定電話端末4を用いることにより、使用者は掛かってきた電話に応答して通信路を接続して通話を行ったり、目的とする相手先に電話を掛けて通信路を接続し、通話を行ったりすることができる。
[携帯電話端末5、8の構成例]
図8は、訪問相手携帯端末5、訪問者携帯端末8の構成例を説明するためのブロック図である。訪問相手携帯端末5と訪問者携帯端末8とは、使用者が異なるだけでその基本的な構成は同じである。このため、以下においては、訪問相手携帯端末5と訪問者携帯端末8の構成例として、訪問相手携帯端末5の場合を例にして説明する。
図8に示すように、携帯端末5は、通話処理系として、送受信アンテナ501A、無線通信部501、送受信信号処理部502、通話音声処理部503を備えている。通話音声処理部503には、スピーカ(受話器)504と、マイクロホン(送話器)505とが接続されている。
送受信アンテナ501A及び無線通信部501は、広域ネットワーク100のNGNや携帯電話網を通じて通信を行う機能を実現する。送受信信号処理部502は、送受信アンテナ501A及び無線通信部501を通じて受信した通話音声データを自機において処理可能な形式に変換し、これを通話音声処理部503に供給する。また、送受信信号処理部502は、通話音声処理部503からの音声データを送信する形式のデータに変換し、これを無線通信部501及び送受信アンテナ501Aを通じて相手先に送信する。
通話音声処理部503は、送受信信号処理部502からの音声データからスピーカ504に供給するアナログ音声信号を形成し、これをスピーカ504に供給する。また、通話音声処理部503は、マイクロホン505を通じて収音したアナログ音声信号を、デジタル音声信号に変換して、送受信信号処理部502に供給する。これにより、通話を可能にする。
さらに、携帯端末5は、制御部506と、記憶装置507と、操作入力部508と、操作入力I/F509と、ディスプレイコントローラ510と、ディスプレイ511と、リンガ512とを備える。制御部506は、図示しないが、CPU、ROM、RAM、不揮発性メモリなどがバスを通じて接続されて構成されたマイクロプロセッサであり、携帯端末5の各部を制御する機能を実現する。また、制御部406は、種々のアプリケーションソフトウェアを実行するアプリ実行部としても機能する。
記憶装置507は、比較的に大容量の半導体メモリとそのドライバとからなり、データの書き込み、読み出し、変更、削除などを実現する。記憶装置507の記録媒体には、種々のアプリケーションソフトウェアや処理に必要になるデータなどか記憶される他、種々の処理において途中結果を一時記憶する作業領域としても用いられる。操作入力部508と操作入力I/F509とは、使用者からの操作入力を受け付けて、受け付けた情報を電気信号に変換し、これを制御部506に提供する。操作入力部508には、例えば、電源のオン/オフキーや幾つかのファンクションキーなどが設けられている。
ディスプレイコントローラ510は、制御部506からの表示データからディスプレイ511に供給する映像信号を形成し、これをディスプレイ511に供給する。ディスプレイ511は、例えば、LCD(Liquid Cristal Display)や有機ELディスプレイ(organic electro-luminescence Display)などの薄型のものであり、ディスプレイコントローラ510からの映像信号に応じた映像を自己の表示画面に表示する。なお、図8には図示しないが、ディスプレイ511の表示画面の全面にはタッチセンサが設けられており、ディスプレイ511と当該タッチセンサとによってタッチパネルを構成している。当該タッチパネルを通じて、使用者は種々の情報を携帯端末5に入力することができるようになっている。
リンガ512は、制御部506の制御の下、着信時において着信音を放音させるものである。この他にも、図示しないが振動により着信を通知するバイブレータなども備える。このように構成された携帯端末5を通じて、電話を受けたり、電話を掛けたりすることができる。また、電子メールやインスタント・メッセージの送受信も行うことができる。更に、同様に構成される訪問者携帯端末8の場合には、制御部506において、訪問支援アプリを実行することができる。
当該訪問支援アプリによって、訪問者携帯端末8の使用者は、訪問相手から訪問前に提供される認証情報(ログイン情報)を当該訪問者携帯端末8に登録(設定)したり、訪問者に関する情報からなる表示コードを生成してディスプレイ511に表示したりできる。更に、当該訪問支援アプリによって、UCサーバ9にアクセスし、認証を受けた後に、訪問相手に関する情報の提供を受けることができる。また、当該訪問支援アプリによって、この実施の形態の電話システムの機能を利用し、訪問者携帯端末8に対する操作を契機として、訪問者と訪問相手とが通話を行うことができるようにされる。この場合、上述もしたように、呼制御装置2から訪問者携帯端末8に対していわゆるコールバックを行うようにするので、訪問者携帯端末8の使用者が通信費を負担することもないようにされる。
[電話システムで行われる処理の詳細]
次に、主要な装置として上述の呼制御装置2、固定電話端末4、訪問相手携帯端末5、管理端末6、受付装置7、訪問者携帯端末8、UCサーバ9が用いられて構成されるこの実施の形態の電話システムで行われる処理の詳細について説明する。
<事前準備処理>
図9は、この実施の形態の電話システムにおいて、事前準備を行う場合の処理について説明するためのシーケンス図である。以下においても、上述したように、会社Aの担当者αと会社Bの担当者βとが打ち合わせを行うため、会社Bの担当者βが会社Aを訪問する必要が生じた場合を例にして説明とする。この場合、会社Aの担当者αと会社Bの担当者βとは、直接会った時に、あるいは、電話、電子メール、インスタント・メッセージなどを通じて、相互に予定を確認し合い、打ち合わせ日時等の必要事項を取り決める(ステップS1、S2)。
図10は、ステップS1、S2において取り決められる必要事項からなる訪問者情報の例について説明するための図である。図10に示すように、ステップS1、S2においては、訪問日時が取り決められる他、訪問者氏名、訪問者の会社名や所属部署等、訪問者が使用する訪問者携帯端末の携帯番号(携帯電話番号)、訪問相手の氏名などが確認される。これらの情報が取り決められ、また、双方で確認された後においては、訪問相手である会社Aの担当者αは、図10に示した訪問者情報を管理端末6に入力する(ステップS3)。管理端末6は、入力された訪問者情報と共に、訪問者情報編集要求を形成し、これをUCサーバ9に送信する(ステップS4)。
訪問者情報編集要求を受け付けたUCサーバ9では、訪問者情報編集処理部906がこれを受け付け、認証情報発行部907に対して認証情報の発行を依頼する。これに応じて認証情報発行部907は、認証情報を発行する。図11(A)は、UCサーバ9の認証情報発行部907により発行される認証情報(ログイン情報)を説明するための図である。図11(A)に示すように、認証情報は、ログインID、ログインPW、訪問者ID、パスワード、サーバURL(UCサーバ9のURL)、SSL情報、その他の情報からなる。
訪問者情報編集処理部906は管理端末6からの訪問者情報(図10)と認証情報発行部907からの認証情報(図11(A))とに基づいて、図4を用いて説明した記録用の訪問者情報を編集(作成)し、これを訪問者情報ファイル905に追加記録する。編集した訪問者情報(図4)の訪問者情報ファイル905への記録が完了すると、UCサーバ9の制御部902は管理端末6に対して要求に応じた処理が完了したことを示すレスポンス(応答)を管理端末6に返す(ステップS5)。
当該レスポンスを受信した管理端末6は、適切に訪問者情報が編集されて登録されたことが確認できるので、端末情報更新要求を形成し、これをUCサーバ9に送信する(ステップS6)。当該端末情報更新要求は、今回、登録された訪問者情報に対応して、当該訪問者が使用する訪問者携帯端末の携帯番号を含む訪問者に関する情報を呼制御装置2の訪問者携帯端末管理DB205に更新することを要求するものである。
UCサーバ9の制御部902は、訪問者に関する情報を訪問者情報ファイル905に今回記録した訪問者情報に基づいて作成する。図11(B)は、制御部902により作成される訪問者に関する情報の例を説明するための図である。制御部902は、今回、訪問者情報ファイル905に記録した訪問者情報から、携帯番号、訪問者ID、パスワードを抽出する。更に、制御部902は、当該抽出した情報に対して、自機の不揮発性メモリに記憶している自機(UCサーバ9)を特定するためのサーバURLと、暗号化を用いるために必要になるSSL情報を付加して訪問者に関する情報(図11(B))を作成する。そして、制御部902は、作成した訪問者に関する情報(図11(B))を含む端末情報更新要求を形成し、これを呼制御装置2の送信する(ステップS7)。
呼制御装置2の登録情報保守部208は、UCサーバ9からの端末情報更新要求を受信した場合には、これに含まれる訪問者に関する情報(図11(B))を抽出し、これを自機の訪問者携帯端末管理DB205に更新(登録)する。この後、呼制御装置2の制御部202は、端末情報更新要求に応じて訪問者に関する情報の登録が完了したことを示すレスポンス(応答)をUCサーバ9に返信する(ステップS8)。UCサーバ9の制御部902は、これに応じて、端末情報更新要求に応じた処理が完了したことを示すレスポンス(応答)を管理端末6に返信する(ステップS9)。
ステップS9において、UCサーバ9から管理端末6に返信されるレスポンスには、認証情報発行部907により発行された認証情報(図11(A))が含まれる。管理端末6は、ステップS9のUCサーバ9からのレスポンスを受信すると、訪問者情報の登録が完了したことを認識できるので、完了したことを通知するメッセージを管理端末6のディスプレイに表示出力するなどして登録完了を会社Aの担当者(訪問相手)αに通知する(ステップS10)。このステップS10の通知には、訪問者である会社Bの担当者βに対する認証情報(ログイン情報)が含まれている。このため、会社Aの訪問相手αは、電話、電子メール、インスタント・メッセージのいずれかを用いて、担当者βに対する認証情報を担当者βに通知する(ステップS11)。
認証情報の通知を受けた会社Bの担当者βは、自己が使用する訪問者携帯端末8に訪問支援アプリをダウンロードしてインストールし、実行可能にしておく(ステップS12)。もちろん、これよりも以前に訪問者βは、自己の訪問者携帯端末8に当該訪問支援アプリをダウンロードしてインストールしておくようにしてもよい。この後、訪問者βは、インストールした訪問支援アプリの認証情報等の設定機能により、認証情報等の必要情報を自己が使用する訪問者携帯端末8に設定する(ステップS13)。
これにより、この実施の形態の電話システムにおいて、訪問予定のある訪問者が訪問時において、訪問相手と迅速に連絡を取ることができるように支援するための準備が整えられる。すなわち、UCサーバ9と、呼制御装置2と、訪問者携帯端末8とにおいて、訪問者が訪問相手と迅速に連絡を取るようにするための準備が整えられる。
<訪問者の来訪を訪問相手に通知する処理>
図12は、この形態の電話システムにおいて、訪問者の来訪を訪問相手に通知する処理について説明するためのシーケンス図である。この図12に示す処理は、図9〜図11を用いて説明した事前準備の終了後において実行可能になる処理である。すなわち、訪問者である会社Bの担当者βが使用する訪問者携帯端末8は、図9、図11(A)を用いて説明したように、認証情報(ログイン情報)が既に設定された状態になっている。
そして、訪問日が到来し、訪問者携帯端末8を所持した訪問者(会社Bの担当者β)が、訪問時刻に間に合うように会社Aを訪問する。そして、訪問者は自己が所持する訪問者携帯端末8において、訪問支援アプリを起動させ、表示コード表示機能を用いて、訪問者に関する情報からなる表示コードをディスプレイに表示させる。そして、訪問者は自己の訪問者携帯端末8のディスプレイを、会社Aのエントランスに設置されている受付装置7の読み取り部にかざし、当該表示コードを読み取らせるようにする(ステップS21)。
受付装置7は、訪問者携帯端末8のディスプレイに表示された表示コードを読み取って解析し、図11(B)を用いて説明した訪問者に関する情報を取得する(ステップS22)。すなわち、訪問者の所持する訪問者携帯端末8の携帯番号、図9を用いて説明した処理により設定された当該訪問者に付与された訪問者ID、パスワード、更に、UCサーバ9を利用可能にするためのサーバURL、SSL情報を受付装置7は取得する。そして、受付装置は解析して取得した訪問者に関する情報を解析情報としてLAN3を通じて呼制御装置2に送信する(ステップS23)。
呼制御装置2は、受付装置7からの解析情報(訪問者に関する情報)を受信すると、自己が訪問者携帯端末管理DB205において管理している情報と突き合わせて、訪問予定のある訪問者の訪問者携帯端末8からの情報か否かの認証を取るようにする。ここで、認証が取れれば、呼制御装置2は、訪問予定のある訪問者が訪問者携帯端末8を所持して来訪したことを通知するプレゼンス通知を形成し、広域ネットワーク100を通じてUCサーバ9に送信する(ステップS24)。このプレゼンス通知も図11(B)を用いて説明した訪問者に関する情報を含むものである。
UCサーバ9は、プレゼンス通知を受信すると、認証処理部908は、当該プレゼンス通知に含まれる訪問者に関する情報に基づいて、訪問者情報ファイル905の格納データを参照し、当該訪問者は、訪問予定のある訪問者か否かを確認する。そして、当該訪問者は、訪問予定のある訪問者であると認証が取れた場合には、認証処理部908は、認証が取れたことを示すレスポンス(応答)を形成してこれを呼制御装置2に送信する(ステップS25)。更に、認証処理部908は、認証に成功したことを通知する認証成功通知を形成し、これを当該訪問者が所持する訪問者携帯端末8に送信する(ステップS26)。
ステップS26における当該認証成功通知は、訪問支援アプリのポップアップ機能を利用して、広域ネットワーク100を通じてポップアップ通知として行うようにする。すなわち、訪問者携帯端末8は、訪問支援アプリの機能により、UCサーバ9からポップアップ通知により種々の通知を受けることができるようになっている。そして、例えば、「認証が成功しました。部署グループ:開発一課の訪問相手に通知します。」といったポップアップ通知が訪問者携帯端末8のディスプレイに表示される。このように、UCサーバ9において、訪問者が所持する訪問者携帯端末8が認証されると、当該訪問者携帯端末8は、呼制御装置2の配下の仮想端末となる(ステップS27)。
なお、ここでは、訪問支援アプリのポップアップ通知により認証成功通知を行うようにしたが、これに限るものではない。例えば、UCサーバ9の訪問者情報ファイル905において、訪問者携帯端末8の電子メールアドレスを管理するようにしておけば、認証成功通知を電子メールにより訪問者携帯端末8に通知することもできる。また、訪問者携帯端末8の携帯番号は、訪問者情報ファイル905で管理されているので、いわゆるSMS(Short Message Service)を用いて認証成功通知を行うこともできる。
この後、UCサーバ9の制御部902は、呼制御装置2を介して提供された訪問者携帯端末8からの訪問者に関する情報に基づいて、訪問者情報ファイル905を参照して、訪問相手を特定し、訪問相手携帯端末5の電子メールアドレスを取得する。そして、制御部902は、訪問予定のある訪問者が来訪したことを通知する訪問者来訪通知(訪問者来社通知)を形成して、広域ネットワーク100を通じて、当該訪問相手携帯端末5に対して送信する(ステップS28、S29)。
この例の場合、図3を用いて説明したように、訪問相手が、「鈴木さん」と「山田さん」の2名であるものとすると、図12に示すように、例えば、鈴木さんの使用する訪問相手携帯端末5(1)と、山田さんの使用する訪問相手携帯端末5(2)の両方に、訪問者来訪通知が送信される。訪問者来社通知は、例えば、「○○会社の△△様が来社されました。」といった通知がなされる。
これにより、訪問者が訪問者携帯端末8に訪問者に関する情報からなる表示コードを表示させて、受付装置7にかざすだけで、自己の来訪(来社)を訪問相手に通知することができる。そして、当該訪問者来訪通知を受信した訪問相手携帯端末5を所持する訪問相手は、訪問者が所持する訪問者携帯端末8に電話を掛けたり、電子メールを送ったり、インスタント・メッセージを送るなどして、迅速に連絡を取り合うことができる。従って、訪問者を取り次ぎのための待たせることもなく、訪問者と訪問相手とが迅速に会って、打ち合わせを開始させることができる。
<訪問者から訪問相手に連絡を取るようにする場合の処理>
図12に示した処理の場合、訪問相手が訪問者来訪通知に気が付かない場合もあると考えられる。そこで、この実施の形態の電話システムでは、訪問者の訪問者携帯端末8からの要求を契機として、訪問者が自己の使用する訪問者携帯端末8と訪問相手が使用する固定電話端末4との間に通信路を接続して通話することもできるようにしている。図13、図14は、訪問者が訪問者携帯端末を使用して、訪問相手と連絡を取る場合の処理について説明するためのシーケンス図である。
図12の処理により訪問相手に訪問者の来訪を通知したのに訪問相手から連絡がなかった場合、あるいは、直接に訪問者から訪問相手に連絡を取るようにしたい場合には、図13、図14に示す処理を行う。この場合、訪問者である会社Bの担当者βは、自己が使用する訪問者携帯端末8において訪問支援アプリを起動させ(ステップS31)、UCサーバ9が提供する所定のサイトにアクセスし、必要情報を含む認証要求を形成して、これをUCサーバ9に送信する(ステップS32)。
具体的に、ステップS32において、訪問者携帯端末8は、使用者である訪問者からの指示に応じて、自機に設定された認証情報の内のサーバURLを用いてUCサーバ9が提供するサイトにアクセスするする。そして、自機に設定された認証情報の内のSSL設定情報を用いて暗号化したログインID及びログインPWをUCサーバ9に送信して当該サイトにログインし、同じく暗号化した訪問者ID及びパスワードを送信して認証を要求する。
UCサーバ9では、認証処理部908が機能して、提供されたログインID及びログインPWに基づいて、訪問者情報ファイル905の情報を参照し、該当データが存在する場合には当該所定のサイトへのログインを許可する。そして、認証処理部908は、訪問者携帯端末8からの訪問者ID及びパスワードに基づいて、訪問者情報ファイル905の情報を参照し、該当データが存在する場合には、当該訪問者携帯端末8を認証する。
このようにして認証が取れた場合、認証処理部908は、認証が取れた訪問者携帯端末8を呼制御装置2の配下に仮想的に接続された仮想端末であるものと見做して、一時的に訪問先である会社Aのビジネスフォンシステムの利用権限の一部を与える。そして、認証処理部908は認証が取れたことを示す認証応答を訪問者携帯端末8に返信する(ステップS33)。
なお、ログインID及びログインPWが適切なものでない場合には、UCサーバ9の所定のサイトにはログインできない。また、訪問者IDやパスワードが適切なものでない場合には、認証はされない。従って、所定のサイトにログインできない場合にも、また、認証されない場合においても、ステップS33以降の処理は行われない。
そして、認証応答の提供を受けた訪問者携帯端末8は、訪問相手に関する情報の提供を要求する情報提供要求を形成し、これをUCサーバ9に送信する(ステップS34)。当該情報提供要求を受信したUCサーバ9では、情報提供部909が機能して、訪問者情報ファイル905を参照し、認証した訪問者の訪問相手を特定して、その訪問相手に関する情報をレスポンス(応答)に含めて、訪問者携帯端末8に通知する(ステップS35)。
なお、訪問者携帯端末8は、この実施の形態のビジネスフォンシステムに仮想的に接続されたものと見做された仮想端末であるので、訪問相手について管理されている全ての情報が提供されるものではない。情報提供部909は、仮想端末である訪問者携帯端末8に対しては、上述もしたように、当該訪問相手の(1)氏名・漢字、(2)電話番号(代表)、(3)電子メールアドレス、(4)部署、(5)行き先、といった予め決められたいくつかの情報について提供するに止まる。すなわち、この実施の形態のビジネスフォンシステムの一部の利用権限が与えられているに過ぎない。また、図4を用いて説明したように、複数の訪問相手が登録されている場合には、その複数の訪問相手に関する情報の提供を受けることができる。
そして、訪問者携帯端末8の使用者である訪問者は、訪問者携帯端末8のタッチパネルを通じて、ディスプレイに表示された訪問相手に関する情報から連絡を取りたい訪問相手を選択する(ステップS36)。これにより、訪問者携帯端末8の制御部506は、選択された訪問相手に関する情報を含み、当該訪問相手との間で通話をすることを要求する通話要求(指示情報)を形成し、これをUCサーバ9に送信する。この通話要求は、訪問者携帯端末8から訪問相手に電話を掛けるのではなく、呼制御装置2からのいわゆるコールバック発信を要求するものである。
なお、ステップS36においては、1件の訪問相手に関する情報が表示されていない場合には、その訪問相手を選択することになる。また、複数の訪問相手に関する情報が表示されている場合には、その中から例えば(5)行き先が在席となっている訪問相手を選択するなどのことができる。
訪問者携帯端末8からの通話要求を受信したUCサーバ9は、呼制御装置2に対して発呼制御要求を送信する(ステップS37)。この発呼制御要求は、ステップS36において通話要求を送信してきた訪問者携帯端末8と、訪問者により選択された訪問相手が使用する固定電話端末4とに、呼制御装置2から発呼(発信)して通信路を接続するように制御することを呼制御装置2に要求するものである。これに応じて、呼制御装置2の制御部202は、レスポンス(応答)をUCサーバ9に返信する(ステップS38)。
そして、UCサーバ9は、ステップS36で通話要求(コールバック発信要求)をしてきた訪問者携帯端末8に対してコールバック発信中画面を提供し、当該画面を訪問者携帯端末8のディスプレイに表示するように制御する(ステップS39)。これにより、訪問者携帯端末8の使用者である訪問者は、コールバック発信中であること、すなわち、目的とする訪問相手との間で通話を行うようにするための処理が行われていることを認識できる。
この後、呼制御装置2は、UCサーバ9のサイトにアクセスしている訪問者携帯端末8に対して、広域ネットワーク100を通じて発信する(ステップS40)。換言すれば、呼制御装置2は、広域ネットワーク100のNGNあるいは携帯電話網を通じて、訪問者携帯端末8に対して外線電話を掛ける。このように、発呼元が呼制御装置2であるので、訪問者携帯端末8の使用者が、通話のために掛かるコストを負担することはない。そして、訪問者携帯端末8の使用者は、訪問者携帯端末8を通じて呼制御装置2からの発信に応答することになる(ステップS41)。これにより、訪問者携帯端末8と呼制御装置2との間に広域ネットワーク100を通じて通信路が接続される。
次に、図14の処理に進み、呼制御装置2は、訪問者携帯端末8を通じて選択された訪問相手が使用する固定電話端末4に対してLAN3を通じて発信する(ステップS51)。すなわち、ステップS51において呼制御装置2は、UCサーバ9からの訪問者が目的とする訪問相手の固定電話端末の内線番号に基づいて、当該訪問相手の使用する固定電話端末4に対して内線発信する。固定電話端末4は、図7に示したリンガ409を制御して呼び出し音を放音すると共に、呼び出し中であることを示す応答を呼制御装置2に返信する(ステップS52)。
そして、呼制御装置2は、発呼制御通知をUCサーバ9に送信して、通信路を接続する処理を実行していることをUCサーバ9に通知する(ステップS53)。これに応じて、UCサーバ9の制御部902は、呼制御装置2に対してレスポンス(応答)を返信する(ステップS54)。この後、呼制御装置2は、既に通信路を接続している訪問者携帯端末8に対してRBT(Ring Back Tone)を送信して、訪問者携帯端末8の使用者に対して訪問相手を呼び出し中であることを認識できるようにする(ステップS55)。
この後、目的とする訪問相手が、着信が発生している固定電話端末4をオフフック操作して応答すると、応答したことが呼制御装置2に通知される(ステップS56)。これにより当該固定電話端末4と呼制御装置2との間に、LAN3を通じて通信路が接続される。そこで、呼制御装置2は、既に広域ネットワーク100を通じて接続している訪問者携帯端末8との間の通信路と、LAN3を通じて接続した固定電話端末4との間の通信路とを接続する(ステップS57)。これにより、訪問者携帯端末8と固定電話端末4との間に通信路が接続され、通話ができるようにされる。
このように、図13、図14のシーケンス図の処理により、ビジネスフォンシステムの仮想端末と見做された訪問者携帯端末8からの訪問相手を選択する指示情報の入力を契機として、訪問者携帯端末8と訪問相手が使用する固定電話端末4との間に通信路を接続して通話を可能にする。この場合、訪問者携帯端末8から固定電話端末4に電話を掛けるのではなく、UCサーバ9が呼制御装置2を制御して、呼制御装置2から訪問者携帯端末8と固定電話端末4とのそれぞれに電話を掛けて通信路を接続する。このため、通話のために、訪問者携帯端末8を使用する訪問者側が通信コストを負担することはない。
そして、訪問者携帯端末8と固定電話端末4とを通じて、訪問者と訪問相手とが、迅速に直接通話を行うようにできるので、受付者が仲介する場合に比べて、訪問者を待たせる時間を短縮できる。すなわち、迅速に、かつ、確実に、訪問者が訪問相手と連絡を取り合って、打ち合わせを開始することができる。
<訪問者から訪問相手に連絡を取るようにする場合の他の処理>
図13、図14に示した処理の場合、訪問相手がたまたま離席しているなどして、呼制御装置2からの着信が発生している固定電話端末4を通じて応答できない場合には、訪問者は訪問相手と通話をすることができない。このように、指示された訪問相手が使用する固定電話端末4に発信して、所定時間経過しても応答がなかった場合には、当該訪問相手が所持する訪問相手携帯端末5に対して固定電話端末4に発生している着信を転送できるようにしている。図15は、訪問者が訪問者携帯端末を使用して、訪問相手と連絡を取る場合の他の処理について説明するためのシーケンス図である。
この例の場合においても、図15のシーケンス図の処理が行われる前に、図13のシーケンス図に示した処理(ステップS31〜ステップS41までの処理)が行われているものとする。これにより、訪問者携帯端末8からの訪問相手を選択する指示を契機として、UCサーバ9の制御の下、呼制御装置2が機能して、訪問者携帯端末8にコールバックするように電話を掛けて、呼制御装置2と訪問者携帯端末8との間に広域ネットワーク100を通して通信路を接続する。この後、呼制御装置2は、図14のステップS51の処理と同様に、LAN3を介して訪問相手が使用する固定電話端末4に対して内線発信する(ステップS61)。
これにより、当該固定電話端末4では着信音を放音し、着信があることを訪問相手に通知する。一方、呼制御装置2の制御部202は、図5には図示しなかったが自機が備える時計回路を用いて転送開始タイマを構成し、予め決められた所定時間(例えば、5秒間)の計測を開始する(ステップS62)。この計測する所定時間の間に固定電話端末4においてオフフック操作(応答操作)がされなかったとする。この場合、呼制御装置2は、着信先である固定電話端末4の使用者である訪問相手が応答しないこと(不在であること)を通知するプレゼンス通知を形成し、これをUCサーバ9に送信する(ステップS63)。
ステップS63のプレゼンス通知に応じて、UCサーバ9は、当該訪問相手が使用する訪問相手携帯端末5の電子メールアドレスを、社員DB904の格納データから取得する。そして、UCサーバ9は、当該訪問相手携帯端末5に対して固定電話端末4に発生している着信を転送する旨の通知を行う(ステップS64)。そして、UCサーバ9は、ステップS63で受け付けたプレゼンス通知に対するレスポンス(応答)を、呼制御装置2に送信する(ステップS65)。このレスポンスには、転送先となる訪問相手が使用する訪問相手携帯電話端末の携帯番号を含むものである。
そして、呼制御装置2は、ステップS61で開始した固定電話端末4への内線発信を取りやめる。次に、呼制御装置2は、ステップS65において通知を受けた訪問相手携帯端末の携帯番号を用いて、当該訪問相手携帯端末5に対して、広域ネットワーク100を介して外線発信を行う(ステップS66)。すなわち、ステップS66の処理は、ステップS61で発生した当該訪問相手が使用する固定電話端末4への着信を、当該訪問相手が所持する訪問相手携帯端末5に転送する処理である。新たな着信先の訪問相手携帯端末5では、制御部506がリンガ512を制御して呼び出し音を放音すると共に、呼び出し中であることを示す応答を呼制御装置2に返信する(ステップS67)。
そして、呼制御装置2の制御部202は、発呼制御通知をUCサーバ9に送信して、通信路を接続する処理を実行していることをUCサーバ9に通知する(ステップS68)。これに応じて、UCサーバ9の制御部902は、呼制御装置2に対してレスポンス(応答)を返信する(ステップS69)。この後、呼制御装置2の制御部202は、既に通信路を接続している訪問者携帯端末8に対してRBT(Ring Back Tone)を送信して、訪問者携帯端末8の使用者に対して訪問相手を呼び出し中であることを通知する(ステップS70)。
この後、目的とする訪問相手が、着信が発生している訪問相手携帯端末5をオフフック操作して応答すると、応答したことが呼制御装置2に通知される(ステップS71)。これにより当該訪問相手携帯端末5と呼制御装置2との間に、広域ネットワーク100を通じて通信路が接続される。この後、呼制御装置2は、既に広域ネットワーク100を通じて接続している訪問者携帯端末8との間の通信路と、同じく広域ネットワーク100を通じて接続した訪問相手携帯端末5との間の通信路とを接続する(ステップS72)。これにより、訪問者携帯端末8と訪問相手携帯端末5との間に通信路が接続され、通話ができるようにされる。
このように、図13及び図15のシーケンス図の処理により、ビジネスフォンシステムの仮想端末と見做された訪問者携帯端末8からの指示を契機として、訪問者携帯端末8と訪問相手が所持する訪問相手携帯端末5との間に通信路を接続して通話を可能にする。この場合、訪問者携帯端末8から訪問相手携帯端末5に電話を掛けるのではなく、UCサーバ9が呼制御装置2を制御して、呼制御装置2から訪問者携帯端末8と訪問相手携帯端末5とのそれぞれに電話を掛けて通信路を接続する。このため、訪問者携帯端末8を使用する訪問者側が通話のための通信費を負担することはない。
そして、訪問者携帯端末8と訪問相手携帯端末5とを通じて、訪問者と訪問相手とが、迅速に直接通話を行うようにできるので、受付者が仲介する場合に比べて、訪問者を待たせる時間を短縮することができる。すなわち、迅速に、かつ、確実に、訪問者が訪問相手と連絡を取り合って、打ち合わせを迅速に開始するようにできる。しかも、訪問相手が所持する訪問相手携帯端末5を用いた通話を実現するので、訪問者は確実に訪問相手と通話を行うことができる。
[実施の形態の効果]
上述した実施の形態の電話システムにおいては、主に呼制御装置2とUCサーバ9とが協働することによって、仲介者(受付)を介在させることなく、訪問者と訪問相手とが迅速に連絡を取ることができる。しかも、訪問者は自己が所持する訪問者携帯端末を用いて、また、訪問相手は自己が通常使用する固定電話端末や自己が所持する訪問相手携帯端末を用いて、簡単かつ迅速に連絡を取るようにすることができる。
[変形例]
上述した実施の形態においては、UCサーバ9と呼制御装置2とを設け、両者が協働することにより1つの電話制御装置として機能するようになっていた。これにより、UCサーバ9と呼制御装置2とに機能を分散させることができると共に、1つのUCサーバ9が、例えば種々の会社などに設けられた複数の呼制御装置2を制御することができる。しかし、必ずしもUCサーバ9と呼制御装置2とを設ける必要はない。UCサーバ9が備える機能と呼制御装置2とが備える機能との両方を併せ持つ1つの電話制御装置を構成し、これを広域ネットワーク100に接続して利用可能にするようにしてもよい。
また、上述した実施の形態においては、訪問者による訪問者携帯端末8に対する指示を契機として訪問相手に連絡を取る場合、まず、当該訪問相手が使用する固定電話端末4との間で優先的に連絡を取るようにした。そして、当該訪問相手が、当該固定電話端末4に発生した着信に応答せずに連絡が取れない場合において、当該訪問相手が所持する訪問相手携帯端末との間で連絡を取るようにした。しかしこれに限るものではない。
上述もしたように、訪問者携帯端末8が、UCサーバ9から訪問相手に関する情報の提供を受ける場合には、在席、離席、会議、休憩、外出といった訪問相手の大まかな行き先などの現在の状態を確認できる。そこで、在席以外の場合には、初めから訪問相手携帯端末に電話を掛けるようにしてもよい。また、訪問相手の行き先が、会議である場合には、電話に出られない可能性が高いので、初めから、インスタント・メッセージ、電子メール、SMSなどの通話以外の媒体を利用して連絡を取り合うようにすることもできる。この場合、連絡に用いる媒体を訪問者が自己の所持する訪問者携帯端末8を通じて選択が可能である。
また、上述した実施の形態では、訪問者は自己が所持する訪問者携帯端末8に訪問者に関する情報からなる表示コードを表示させ、これを訪問先の受付装置7に読み取らせることにより、訪問者としての認証を受けるようにした。これにより、訪問先のビジネスフォンシステムにおいて、訪問者が来訪したことを管理できる。このため、当該訪問者が訪問先の会社から出るときに、再度、訪問者携帯端末8に訪問者に関する情報からなる表示コードを表示させ、これを訪問先の受付装置7に読み取らせるようにしてもよい。この場合には、訪問先のビジネスフォンシステムにおいて、当該会社に入った(入場した)訪問者が、当該会社から出たこと(退場したこと)を管理できる。
そして、呼制御装置2において、訪問者が会社から出たことを認識した場合には、当該訪問者が所持する訪問者携帯端末を、当該ビジネスフォンシステムの仮想端末から除外し、訪問相手に関する情報などの提供を受けることができないようにすることができる。具体的には、当該訪問者についてのデータを、呼制御装置2の訪問者携帯端末管理DB205から削除すると共に、UCサーバ9に指示を出し、当該訪問者についてのデータを、訪問者情報ファイル905から削除するようにすればよい。
また、訪問先である会社Aの社員のそれぞれは、訪問相手になることができるものであり、訪問相手携帯端末5となる携帯端末を所持している。このため、各社員が所持する携帯端末に社員に関する情報からなる表示コードを表示させ、これを出勤時と退勤時とにおいて受付装置7で読み取らせることにより、社員の出退勤管理もビジネスフォンシステムの呼制御装置2で行える。そして、社員が出勤したらその社員が使用する固定電話端末4に電源を投入し、社員が退勤したらその社員が使用する固定電話端末の電源をオフにするというように、呼制御装置2の例えば制御部202が各固定電話端末4を制御するようにできる。これにより、当該ビジネスフォンシステムの消費電力の省力化に寄与できる。
また、上述した実施の形態においては、訪問者携帯端末8のディスプレイに例えばQRコード(登録商標)などの読み取り可能な表示コードを表示させ、これを受付装置7において読み取らせることにより認証を行うようにした。しかし、これに限るものではない。訪問者に関する情報を、種々の方式の近距離無線通信により送信し、これを受信可能な受付装置を用いるようにしてももちろんよい。また、訪問相手携帯端末5と受付装置7との間で情報の送受を行う場合も同様に種々の方式の近距離無線通信により行うことができる。
[その他]
上述した実施の形態の説明からも分かるように、請求項の電話制御装置における訪問者情報受付手段、指示入力受付手段の各機能は、実施の形態のUCサーバ9(以下、単にUCサーバ9と記載する。)の主に接続端子及び通信I/F901が実現している。また、請求項の電話制御装置における認証情報発行手段、訪問者情報記憶手段、認証処理手段、訪問先記憶手段、情報提供手段の各機能は、UCサーバ9の認証情報発行部907、訪問者情報ファイル905、認証処理部908、社員DB904、情報提供部909が実現している。
また、請求項の電話制御装置におけるコールバック処理手段の機能は、UCサーバ9のコールバック指示部910と呼制御装置2のコールバック処理部211とが協働して実現している。また、請求項の電話制御装置における発信処理手段の機能は、UCサーバ9のコールバック指示部910と呼制御装置2のコールバック処理部211と呼制御部207とが協働して実現している。また、請求項の電話制御装置における転送処理手段の機能は、実施の形態の呼制御装置2の転送処理部212が実現している。
また、図9、図11〜図15のシーケンス図を用いて説明した処理を行う方法が、この発明による電話制御方法の一実施の形態が適用されたものである。また、実施の形態のUCサーバ9の訪問者情報編集処理部906、認証情報発行部907、認証処理部908、情報提供部909、コールバック指示部910の各機能は、制御部902において実行されるソフトウェアにより、制御部902の機能として実現することもできる。
また、実施の形態の呼制御装置2の呼制御部207、登録情報保守部208、認証処理部209、来訪通知要求部210、コールバック処理部211、転送処理部212の各機能は、制御部202において実行されるソフトウェアにより、制御部202の機能として実現することもできる。