まず、第1の実施の形態について説明する。
図1は第1の実施の形態に係る半導体装置の一例を示す図である。図1には、第1の実施の形態に係る半導体装置の要部断面図を模式的に示している。
図1に示す半導体装置1Aは、ナノワイヤデバイス10及びナノワイヤデバイス20を含む3次元集積回路構造を有する。ここでは一例として、複数のナノワイヤデバイス10、及び複数のナノワイヤデバイス20を図示している。ナノワイヤデバイス10及びナノワイヤデバイス20は、互いに異なる用途に用いられるナノワイヤデバイスである。ナノワイヤデバイス10及びナノワイヤデバイス20は、基板30上に、X方向及びY方向(XY平面方向)に配列されて設けられる。図1には、X方向に配列されたナノワイヤデバイス10及びナノワイヤデバイス20を含む断面を図示している。ナノワイヤデバイス10及びナノワイヤデバイス20は、基板30上に設けられた絶縁層40内、この例では4層の絶縁層41,42,43,44内に設けられる。
基板30には、半導体又は化合物半導体の基板が用いられる。例えば、基板30には、シリコン(Si)、ゲルマニウム(Ge)、アンチモン化ガリウム(GaSb)、ヒ化ガリウム(GaAs)、リン化ガリウム(GaP)、アンチモン化インジウム(InSb)、リン化インジウム(InP)、ヒ化インジウム(InAs)、窒化ガリウム(GaN)、炭化シリコン(SiC)、窒化アルミニウム(AlN)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化ガリウム(Ga2O3)、サファイア等の基板が用いられる。
ナノワイヤデバイス10は、トランジスタ10aを含む。トランジスタ10aは、基板30上に、Z方向(基板30に対して垂直方向)に延伸されて設けられたナノワイヤ半導体11を有する。ナノワイヤ半導体11は、基板30上に設けられた絶縁膜50の開口部51に位置する活性層31上、この例ではn型の活性層31上に、Z方向に延伸されて成長される。
ナノワイヤ半導体11内には、Z方向に対向するドレイン領域12及びソース領域13が設けられる。この例では、ドレイン領域12にn型の半導体が用いられ、ソース領域13にp型の半導体が用いられる。後述のように、基板30上に、ドレイン領域12となるn型の半導体が成長され、その上に更に、ソース領域13となるp型の半導体が成長されて、ナノワイヤ半導体11が形成される。
ナノワイヤ半導体11(そのドレイン領域12及びソース領域13)には、半導体又は化合物半導体が用いられる。例えば、ナノワイヤ半導体11には、ガリウム(Ga)、インジウム(In)、アルミニウム(Al)のいずれかと、窒素(N)、リン(P)、ヒ素(As)、アンチモン(Sb)のいずれかを含む、III−V族化合物半導体が用いられる。或いは、ナノワイヤ半導体11には、Si、Ge、炭素(C)のいずれかを含む、IV族半導体が用いられる。
ナノワイヤ半導体11は、絶縁層41,42,43を貫通するように設けられる。1層目の絶縁層41内には、ナノワイヤ半導体11の基板30側の端部(ドレイン領域12)と接続されるドレイン電極12aが設けられる。ドレイン電極12aには、図示しないドレイン配線が更に接続される。3層目の絶縁層43上には、ナノワイヤ半導体11の基板30側とは反対側の端部(ソース領域13)と接続されるソース電極13aが設けられる。ソース電極13aには、4層目の絶縁層44を貫通してソース配線13bが更に接続される。ドレイン電極12a、ソース電極13a及びソース配線13b(並びにドレイン配線)には、各種導体材料、例えば、金(Au)、白金(Pt)、ニッケル(Ni)等の金属材料が用いられる。
ナノワイヤ半導体11の側面には、ゲート絶縁膜14が設けられる。ゲート絶縁膜14には、各種絶縁材料、例えば、酸化アルミニウム(Al2O3)、窒化シリコン(SiN)、酸化シリコン(SiO2)、酸化ハフニウム(HfO)等の絶縁材料が用いられる。
ナノワイヤ半導体11のドレイン領域12とソース領域13との間の接合界面11aは、1層目の絶縁層41上であって2層目の絶縁層42内に位置する。ナノワイヤ半導体11の、このような位置にある接合界面11aの周囲に、ゲート絶縁膜14を介してゲート電極15が設けられる。ゲート電極15には、絶縁層41上を所定のパターンで引き回されるゲート配線15aが接続される。ゲート電極15及びゲート配線15aには、各種導体材料、例えば、Au、Ni等の金属材料が用いられる。
ナノワイヤデバイス10のトランジスタ10aは、ナノワイヤ半導体11のドレイン領域12とソース領域13との間の接合界面11aを含む領域に設けられるチャネル領域16を有する。トランジスタ10aは、そのチャネル領域16の接合界面11aがトンネル層として機能し、ゲート電極15の電位によってオン/オフ状態が制御される、トンネル電界効果トランジスタ(Tunnel Field Effect Transistor,TFET)の一例である。
ナノワイヤデバイス20は、トランジスタ20aを含む。トランジスタ20aは、基板30上に、Z方向(基板30に対して垂直方向)に延伸されて設けられたナノワイヤ半導体21を有する。ナノワイヤ半導体21は、基板30上に設けられた絶縁膜50の開口部51に位置する活性層31上、この例ではn型の活性層31上に、Z方向に延伸されて成長される。ナノワイヤ半導体21は、基板30上に、上記ナノワイヤ半導体11よりも小さな直径で、Z方向に長く成長される。
ナノワイヤ半導体21内には、Z方向に対向するドレイン領域22及びソース領域23が設けられる。この例では、ドレイン領域22にn型の半導体が用いられ、ソース領域23にp型の半導体が用いられる。後述のように、基板30上に、ドレイン領域22となるn型の半導体が成長され、その上に更に、ソース領域23となるp型の半導体が成長されて、ナノワイヤ半導体21が形成される。ドレイン領域22は、上記ドレイン領域12よりも小さな直径で且つ長くなるように成長され、ソース領域23は、上記ソース領域13よりも小さな直径で且つ長くなるように成長される。
ナノワイヤ半導体21(そのドレイン領域22及びソース領域23)には、半導体又は化合物半導体が用いられる。例えば、ナノワイヤ半導体21には、Ga、In、Alのいずれかと、N、P、As、Sbのいずれかを含む、III−V族化合物半導体が用いられる。或いは、ナノワイヤ半導体21には、Si、Ge、Cのいずれかを含む、IV族半導体が用いられる。
ナノワイヤ半導体21は、絶縁層41,42,43,44を貫通するように設けられる。1層目の絶縁層41内には、ナノワイヤ半導体21の基板30側の端部(ドレイン領域22)と接続されるドレイン電極22aが設けられる。ドレイン電極22aには、図示しないドレイン配線が更に接続される。4層目の絶縁層44上には、ナノワイヤ半導体21の基板30側とは反対側の端部(ソース領域23)と接続されるソース電極23aが設けられる。ソース電極23aには、図示しないソース配線が更に接続される。ドレイン電極22a及びソース電極23a(並びにドレイン配線及びソース配線)には、各種導体材料、例えば、Au、Pt、Ni等の金属材料が用いられる。
ナノワイヤ半導体21の側面には、ゲート絶縁膜24が設けられる。ゲート絶縁膜24には、各種絶縁材料、例えば、Al2O3、SiN、SiO2、HfO等の絶縁材料が用いられる。
基板30上のナノワイヤ半導体21のドレイン領域22及びソース領域23はそれぞれ、上記ナノワイヤ半導体11のドレイン領域12及びソース領域13に比べて長い。そのため、ナノワイヤ半導体21のドレイン領域22及びソース領域23の接合界面21aは、上記ナノワイヤ半導体11の接合界面11aよりも上方の位置、この例では2層目の絶縁層42上であって3層目の絶縁層43内に位置する。ナノワイヤ半導体21の、このような位置にある接合界面21aの周囲に、ゲート絶縁膜24を介してゲート電極25が設けられる。ゲート電極25には、絶縁層42上を所定のパターンで引き回される、図示しないゲート配線が接続される。ゲート電極25及びゲート配線には、各種導体材料、例えば、Au、Ni等の金属材料が用いられる。
ナノワイヤデバイス20のトランジスタ20aは、ナノワイヤ半導体21のドレイン領域22とソース領域23との間の接合界面21aを含む領域に設けられるチャネル領域26を有する。トランジスタ20aは、そのチャネル領域26の接合界面21aがトンネル層として機能し、ゲート電極25の電位によってオン/オフ状態が制御されるTFETの一例である。
上記のように、図1に示す半導体装置1Aでは、基板30上の一方のナノワイヤデバイス10のチャネル領域16が、2層目の絶縁層42内に設けられ、基板30上の他方のナノワイヤデバイス20のチャネル領域26が、3層目の絶縁層43内に設けられる。一方のナノワイヤデバイス10のチャネル領域16よりも、他方のナノワイヤデバイス20のチャネル領域26が上方に位置する。これにより、半導体装置1Aでは、チャネル領域16の周囲のゲート電極15に繋がるゲート配線15aと、チャネル領域26の周囲のゲート電極25に繋がるゲート配線とが、一方のレイアウトが他方のレイアウトに与える制約が抑えられて、それぞれ引き回される。
ここで、上記のような構成を有する半導体装置1Aの形成方法について述べる。
図2〜図7は第1の実施の形態に係る半導体装置の形成方法の一例を示す図である。図2(A)及び図2(B)、図3(A)及び図3(B)、図4(A)及び図4(B)、図5(A)及び図5(B)、図6(A)及び図6(B)並びに図7(A)及び図7(B)にはそれぞれ、第1の実施の形態に係る半導体装置の形成工程の要部断面図を模式的に示している。
まず、図2(A)に示すように、基板30の、ナノワイヤ半導体11及びナノワイヤ半導体21を成長する所定の領域に、n型の活性層31が形成される。例えば、図2(A)の工程では、基板30として、半絶縁性のGaAs(111)B基板が用いられ、基板30の所定の領域に対するSiイオンの注入及び活性化アニールが行われ、活性層31として、n+型GaAs層が形成される。この時、Siイオンが注入されない領域は、高抵抗であり、基板30上に形成されるナノワイヤデバイス10及びナノワイヤデバイス20の各々をアイソレーションする。
次いで、図2(B)に示すように、基板30上に、それに形成された活性層31が露出する開口部51を有する絶縁膜50が形成される。例えば、図2(B)の工程では、基板30の全面に、絶縁膜50となる厚さ50nm程度のSiO2膜が形成される。このSiO2膜上に、電子線リソグラフィにより、ナノワイヤ半導体11及びナノワイヤ半導体21を成長する活性層31に対応する領域にそれぞれ、直径100nm及び50nmの開口パターンを有するマスクが形成される。このマスクを用いたドライエッチングにより、SiO2膜が開口され、開口部51を有する絶縁膜50が形成される。尚、この例では、絶縁膜50の開口部51から露出する、基板30の活性層31上に、Au等の触媒金属は設けられない。
次いで、図3(A)に示すように、絶縁膜50の開口部51から露出する、基板30の活性層31上に、ナノワイヤ半導体11及びナノワイヤ半導体21の、ドレイン領域12及びドレイン領域22、並びに、ソース領域13及びソース領域23が成長される。
例えば、図3(A)の工程では、基板30の活性層31上に、有機金属気相成長(Metal Organic Chemical Vapor Deposition,MOCVD)により、ドレイン領域12及びドレイン領域22として、n+型InAsナノワイヤセグメントが成長される。この場合、原料には、トリメチルインジウム(TMI)及びアルシン(AsH3)が用いられ、ドーピング原料には、硫化水素(H2S)が用いられる。成長条件は、基板温度500℃〜600℃、V/III比500〜1500、圧力100mbarに設定される。直径100nmの開口部51の活性層31上には、ドレイン領域12として、高さ1μmのn+型InAsナノワイヤセグメントが成長される。直径50nmの開口部51の活性層31上には、ドレイン領域22として、高さ1.5μmのn+型InAsナノワイヤセグメントが成長される。
更に、図3(A)の工程では、n+型InAsナノワイヤセグメントの成長後、ソース領域13及びソース領域23として、p+型GaSbナノワイヤセグメントが成長される。この場合、原料には、トリメチルガリウム(TMG)及びトリメチルアンチモン(TMSb)が用いられ、ドーピング原料には、ジエチル亜鉛(DEZn)が用いられる。成長条件は、基板温度600℃〜700℃、V/III比500〜1500、圧力100mbarに設定される。直径100nmの開口部51の活性層31に形成されたドレイン領域12上には、ソース領域13として、高さ1μmのp+型GaSbナノワイヤセグメントが成長される。直径50nmの開口部51の活性層31に形成されたドレイン領域22上には、ソース領域23として、高さ1.5μmのp+型GaSbナノワイヤセグメントが成長される。
この結果、直径の小さいナノワイヤ半導体21の接合界面21a(GaSb/InAs界面)は、直径の大きいナノワイヤ半導体11の接合界面11a(GaSb/InAs界面)よりも、上方(垂直方向)に0.5μm高くなる。図3(A)の工程では、ナノワイヤ半導体21の接合界面21aが、ナノワイヤ半導体11の接合界面11aとその上端との間に位置するように、n+型InAsナノワイヤセグメント及びp+型GaSbナノワイヤセグメントの成長が行われる。これにより、ナノワイヤ半導体21の接合界面21aのゲート配線を設ける際、そのゲート配線を、ナノワイヤ半導体11の接合界面11aの周囲に配置させずにXY平面方向に延在させることが可能になる。
次いで、図3(B)に示すように、ナノワイヤ半導体11及びナノワイヤ半導体21の基板30側の端部に、ドレイン領域12及びドレイン領域22にそれぞれ接続されるドレイン電極12a及びドレイン電極22aが形成される。例えば、図3(B)の工程では、フォトリソグラフィにより、ドレイン電極12a及びドレイン電極22aを形成する領域に開口部を有するマスクが形成され、このマスクが用いられ、絶縁膜50に開口部が形成される。そして、マスク及び絶縁膜50の開口部内、及びマスクの上面に、蒸着により、厚さ300nmのAu及び厚さ30nmの金ゲルマニウム(AuGe)(AuGe/Au)が形成され、マスクの上面に形成されたAuGe/Auがマスクと共に除去される(リフトオフ)。これにより、活性層31であるn+型GaAs層に接続される、ドレイン電極12a及びドレイン電極22aが形成される。
次いで、図4(A)に示すように、ナノワイヤ半導体11の表面(少なくともその側面)、及びナノワイヤ半導体21の表面(少なくともその側面)に、それぞれゲート絶縁膜14及びゲート絶縁膜24が形成される。例えば、図4(A)の工程では、ナノワイヤ半導体11及びナノワイヤ半導体21の表面に、ゲート絶縁膜14及びゲート絶縁膜24として、原子層堆積(Atomic Layer Deposition,ALD)により、Al2O3が堆積される。尚、図4(A)では、ナノワイヤ半導体11及びナノワイヤ半導体21の側面に形成されるAl2O3(ゲート絶縁膜14及びゲート絶縁膜24)のみ図示している。
次いで、図4(B)に示すように、基板30上に1層目の絶縁層41が形成される。例えば、図4(B)に示す工程では、ベンゾシクロブテン(BCB)等の樹脂が用いられ、絶縁層41が形成される。絶縁層41は、基板30上に、ナノワイヤ半導体11の接合界面11aが露出する厚さで、形成される。樹脂を用いた絶縁層41の形成時に、ナノワイヤ半導体11の接合界面11aが被覆されるような場合には、エッチバックやリフローによって絶縁層41の厚さが調整され、ナノワイヤ半導体11の接合界面11aが露出される。
次いで、図5(A)に示すように、絶縁層41上に、ナノワイヤ半導体11の接合界面11aを含むチャネル領域16の周囲を取り囲むゲート電極15、及びそれに繋がるゲート配線15aが形成される。例えば、図5(A)の工程では、フォトリソグラフィにより、ゲート電極15及びゲート配線15aを形成する領域に開口部を有するマスクが形成される。このマスクの開口部内及び上面に、蒸着により、厚さ300nmのAu及び厚さ10nmのNi(Ni/Au)が形成され、マスクの上面に形成されたNi/Auがマスクと共に除去される(リフトオフ)。これにより、絶縁層41上であって、ナノワイヤ半導体11のドレイン領域12とソース領域13との間のチャネル領域16の周囲に、ゲート絶縁膜14を介してゲート電極15が形成され、このゲート電極15から引き出されたゲート配線15aが形成される。
次いで、図5(B)に示すように、ゲート電極15及びゲート配線15aが形成された絶縁層41上に、2層目の絶縁層42が形成される。例えば、図5(B)に示す工程では、ベンゾシクロブテン等の樹脂が用いられ、絶縁層42が形成される。絶縁層42は、絶縁層41上に、ナノワイヤ半導体21の接合界面21aが露出する厚さで、形成される。樹脂を用いた絶縁層42の形成時に、ナノワイヤ半導体21の接合界面21aが被覆されるような場合には、エッチバックやリフローによって絶縁層42の厚さが調整され、ナノワイヤ半導体21の接合界面21aが露出される。
次いで、図6(A)に示すように、絶縁層42上に、ナノワイヤ半導体21の接合界面21aを含むチャネル領域26の周囲を取り囲むゲート電極25、及びそれに繋がるゲート配線が形成される。例えば、図6(A)の工程では、フォトリソグラフィにより、ゲート電極25及びゲート配線を形成する領域に開口部を有するマスクが形成される。このマスクの開口部内及び上面に、蒸着により、厚さ300nmのAu及び厚さ10nmのNi(Ni/Au)が形成され、マスクの上面に形成されたNi/Auが、リフトオフによってマスクと共に除去される。これにより、絶縁層42上であって、ナノワイヤ半導体21のドレイン領域22とソース領域23との間のチャネル領域26の周囲に、ゲート絶縁膜24を介してゲート電極25が形成され、このゲート電極25から引き出されたゲート配線が形成される。
次いで、図6(B)に示すように、ゲート電極25及びゲート配線が形成された絶縁層42上に、3層目の絶縁層43が形成され、更に、この絶縁層43から露出されたナノワイヤ半導体11のソース領域13上に、ソース電極13aが形成される。例えば、図6(B)に示す工程では、ベンゾシクロブテン等の樹脂が用いられ、絶縁層43が形成される。絶縁層43は、絶縁層42上に、ナノワイヤ半導体11のソース領域13の上端が露出する厚さで、形成される。樹脂を用いた絶縁層43の形成時に、ナノワイヤ半導体11のソース領域13の上端が被覆されるような場合には、エッチバックやリフローによって絶縁層43の厚さが調整され、ナノワイヤ半導体11のソース領域13の上端が露出される。絶縁層43の形成後、フォトリソグラフィにより、ソース電極13aを形成する領域に開口部を有するマスクが形成され、蒸着によって厚さ300nmのAu及び厚さ10nmのPt(Pt/Au)が形成され、リフトオフが行われる。これにより、ナノワイヤ半導体11のソース領域13上に、ソース電極13aが形成される。
次いで、図7(A)に示すように、ソース電極13aが形成された絶縁層43上に、4層目の絶縁層44が形成され、更に、この絶縁層44から露出されたナノワイヤ半導体21のソース領域23上に、ソース電極23aが形成される。例えば、図7(A)に示す工程では、ベンゾシクロブテン等の樹脂が用いられ、絶縁層44が形成される。絶縁層44は、絶縁層43上に、ナノワイヤ半導体21のソース領域23の上端が露出する厚さで、形成される。樹脂を用いた絶縁層44の形成時に、ナノワイヤ半導体21のソース領域23の上端が被覆されるような場合には、エッチバックやリフローによって絶縁層44の厚さが調整され、ナノワイヤ半導体21のソース領域23の上端が露出される。絶縁層44の形成後、フォトリソグラフィにより、ソース電極23aを形成する領域に開口部を有するマスクが形成され、蒸着によって厚さ300nmのAu及び厚さ10nmのPt(Pt/Au)が形成され、リフトオフが行われる。これにより、ナノワイヤ半導体21のソース領域23上に、ソース電極23aが形成される。
次いで、以上の工程で得られた、ドレイン電極12a及びドレイン電極22a、ゲート電極15に繋がるゲート配線15a及びゲート電極25に繋がるゲート配線、並びにソース電極13a及びソース電極23aに接続される配線が形成される。例えば、図7(B)に示すように、フォトリソグラフィ及びドライエッチングにより、絶縁層44にソース電極13aに通じるコンタクトホールが形成され、Auめっき等により、ソース電極13aに接続されるソース配線13bが形成される。ここでは図示を省略するが、ドレイン電極12a及びドレイン電極22a、並びにゲート電極15に繋がるゲート配線15a及びゲート電極25に繋がるゲート配線に接続される配線についても、同様に形成することができる。また、ソース電極23aに接続される配線についても、フォトリソグラフィ及びAuめっき等によって形成することができる。
以上、図2〜図7に示したような工程により、トランジスタ10a(TFET)を含むナノワイヤデバイス10、及びトランジスタ20a(TFET)を含むナノワイヤデバイス20を備えた半導体装置1A(図1及び図7(B))が形成される。
尚、ここでは、基板30として半絶縁性のGaAs(111)B基板を用い、これにイオン注入を行ってn+型GaAs層を形成し、アイソレーションとして機能する活性層31を形成する例を示した。このほか、半絶縁性のGaAs(111)B基板上にn型GaAsエピタキシャル層を成長させ、これにイオン注入又はメサエッチングを行い、アイソレーションを実現してもよい。
また、ここでは、n+型InAsナノワイヤセグメント、p+型GaSbナノワイヤセグメントの順に積層した半導体装置1Aを示したが、p+型GaSbナノワイヤセグメント、n+型InAsナノワイヤセグメントの順に積層して半導体装置を得ることもできる。この場合は、基板30として半絶縁性のGaAs(111)B基板を用い、これにイオン注入を行ってp+型GaAs層を形成する。或いは、半絶縁性のGaAs(111)B基板上にp型GaAsエピタキシャル層を成長させ、これにイオン注入又はメサエッチングを行う。このようにしてアイソレーションを実現することができる。
また、ナノワイヤ半導体11及びナノワイヤ半導体21は、格子不整合系の基板30上であっても、欠陥を抑えて成膜することが可能である。そのため、基板30には、成長させるナノワイヤ半導体11及びナノワイヤ半導体21とは格子定数の異なる基板30が用いられてもよい。
また、ここでは、ゲート絶縁膜14及びゲート絶縁膜24にAl2O3を用いる例を示したが、ゲート絶縁膜14及びゲート絶縁膜24には、SiN、SiO2、HfO等が用いられてもよい。
また、ここでは、ナノワイヤ半導体11及びナノワイヤ半導体21の選択成長マスクとして機能する絶縁膜50にSiO2を用いる例を示したが、絶縁膜50には、SiN、酸化窒化シリコン(SiON)等が用いられてもよい。
また、ここでは、ナノワイヤ半導体11及びナノワイヤ半導体21にInAs及びGaSbを用いる例を示したが、ナノワイヤ半導体11及びナノワイヤ半導体21には、Si、Ge、InP、InAs、GaN等、他の半導体材料が用いられてもよい。
以上述べた半導体装置1Aの構成例を図8及び図9に示す。
図8及び図9は第1の実施の形態に係る半導体装置の構成例を示す図である。図8には、第1の実施の形態に係る半導体装置の要部斜視図(鳥瞰図)を模式的に示している。図9には、第1の実施の形態に係る半導体装置の要部平面図を模式的に示している。
この例では、図9のL9−L9断面位置が、上記図2〜図7に示した断面位置に相当する。尚、図8では、上記の基板30、絶縁膜50、絶縁層40(41〜44)、ゲート絶縁膜14、ゲート絶縁膜24及びソース配線13bの図示は省略している。図9では、上記の基板30、絶縁膜50、絶縁層40(41〜44)、ドレイン電極12a、ドレイン電極22a、ソース電極13a、ソース電極23a及びソース配線13bの図示は省略している。
半導体装置1Aの形成では、上記図2〜図7に示したように、直径の異なる開口部51を設けた絶縁膜50によってマスクされた基板30上に、ナノワイヤ半導体21が、ナノワイヤ半導体11よりも小さな直径で成長される。その結果、ナノワイヤ半導体21のドレイン領域22とソース領域23との間のチャネル領域26は、ナノワイヤ半導体11のドレイン領域12とソース領域13との間のチャネル領域16に比べて、Z方向のより高位置に設けられるようになる。このようにZ方向の異なる位置に設けられたチャネル領域16及びチャネル領域26の周囲にそれぞれ、ゲート電極15及びゲート電極25が形成される。
そのため、上記図2〜図7並びに図8及び図9に示すように、チャネル領域16の周囲のゲート電極15に繋がるゲート配線15aと、チャネル領域26の周囲のゲート電極25に繋がるゲート配線(図8及び図9のゲート配線25a)とが、絶縁層40内の異なるレイヤ(絶縁層42内と絶縁層43内)に形成される。従って、例えばゲート配線25aを、ゲート配線15aのレイアウトによる制約を抑えて、引き回すことができる。
ここで、別の形態に係る半導体装置の一例を図10に示す。図10(A)には、別の形態に係る半導体装置の一例の要部断面図を模式的に示している。図10(B)には、別の形態に係る半導体装置の一例の要部平面図を模式的に示している。
図10(A)及び図10(B)には、同一又は同等直径の開口部51を有する絶縁膜50を基板30上に設け、開口部51から露出する基板30上に、同一又は同等直径のナノワイヤ半導体11及びナノワイヤ半導体21を成長させた場合に得られる半導体装置100の一例を示している。尚、図10(A)は、図10(B)のL10−L10断面位置に相当する断面図である。図10(B)では、図10(A)に示す基板30、絶縁膜50、絶縁層40(41,42)、ドレイン電極12a、ドレイン電極22a、ソース電極13a及びソース電極23aの図示は省略している。
半導体装置100では、ナノワイヤ半導体11及びナノワイヤ半導体21が同一又は同等直径で基板30上に成長される。その結果、図10(A)に示すように、ナノワイヤ半導体11のドレイン領域12とソース領域13との間のチャネル領域16と、ナノワイヤ半導体21のドレイン領域22とソース領域23との間のチャネル領域26の、Z方向の位置が同一又は同等になる。このようにZ方向の位置が同一又は同等のチャネル領域16及びチャネル領域26の周囲にそれぞれ、ゲート電極15及びゲート電極25が形成される。
そのため、チャネル領域16の周囲のゲート電極15に繋がるゲート配線15aと、チャネル領域26の周囲のゲート電極25に繋がるゲート配線25a(図10(B))とが、絶縁層40内の同じレイヤ(絶縁層42内)に形成される。従って、例えばゲート配線25aを引き回す際には、ゲート配線15aのレイアウトによる制約を受けることが起こり得る。
例えば、ナノワイヤ半導体11を用いたナノワイヤデバイス110と、ナノワイヤ半導体21を用いたナノワイヤデバイス120とを含む半導体装置100において、ナノワイヤデバイス120のゲート電極25に繋がるゲート配線25aを引き回す場合を想定する。ナノワイヤデバイス110及びナノワイヤデバイス120は、互いに異なる用途に用いられるナノワイヤデバイスである。
このような場合、図10(B)に示すように、ゲート配線25aを配置する領域には、X方向の1列分、ナノワイヤデバイス110を配置することができない。図10(A)に示すように、チャネル領域16及びチャネル領域26のZ方向の位置が同一又は同等であり、チャネル領域16の周囲にゲート配線25aが配置されてしまうと、もはやこれをナノワイヤデバイス110として用いることができなくなるためである。このようにチャネル領域16及びチャネル領域26が同一又は同等位置にある半導体装置100では、ゲート配線25aの配置のために、基板30上に設けることのできるナノワイヤデバイス110の集積度が低下する。
これに対し、第1の実施の形態に係る半導体装置1A(図1〜図9)では、チャネル領域16及びチャネル領域26のZ方向の位置が異なる。そのため、例えば一方のナノワイヤデバイス20について、そのチャネル領域26の周囲のゲート電極25に繋がるゲート配線25aを引き回す際、そのゲート配線25aが、他方のナノワイヤデバイス10のチャネル領域16の周囲に配置されることがない。ゲート配線25aが配置されるレイヤは、ナノワイヤデバイス10のソース領域13が存在するレイヤであるが、ソース領域13を高濃度とし且つその側面をゲート絶縁膜14で被覆しておくことで、ナノワイヤデバイス10の特性への影響は抑えられる。従って、ゲート配線25aの配置のために、基板30上に設けることのできるナノワイヤデバイス10の集積度が低下してしまうことを抑えることができる。
更に、第1の実施の形態に係る半導体装置1Aでは、チャネル領域16及びチャネル領域26のZ方向の位置が異なる構成を採用することで、ゲート配線25aの引き回し自由度を高めることができる。この点について、図11を参照して説明する。
図11はゲート配線の引き回しについての説明図である。
チャネル領域16及びチャネル領域26のZ方向の位置が同一又は同等である半導体装置100の平面レイアウトの説明図を図11(A)に、チャネル領域16及びチャネル領域26のZ方向の位置が異なる半導体装置1Aの平面レイアウトの説明図を図11(B)に、それぞれ示す。
一例として、同一直径の場合のナノワイヤ半導体11及びナノワイヤ半導体21の直径を150nm、ピッチを250nmとし、ゲート配線15a及びゲート配線25aの幅を100nmとする。また、図11(A)に示す半導体装置100においては、ナノワイヤデバイス120が、Y方向にあるナノワイヤデバイス120とは接続可であり、X方向にあるナノワイヤデバイス120とは接続不可であるという制約があるものとする。図11(B)に示す半導体装置1Aにおいても同様に、ナノワイヤデバイス20が、Y方向にあるナノワイヤデバイス20とは接続可であり、X方向にあるナノワイヤデバイス20とは接続不可であるという制約があるものとする。
図11(A)に示すように、チャネル領域16及びチャネル領域26のZ方向の位置が同一又は同等の半導体装置100では、前述の通り、ナノワイヤデバイス120のゲート電極25に繋がるゲート配線25aが、1列分のナノワイヤデバイス110を除去して設けられる。そのため、半導体装置100では、ナノワイヤデバイス110の集積度が低下する。
更に、半導体装置100では、上記の接続可否(Y方向は接続可、X方向は接続不可)の制約がある場合、図11(A)に示すような、或るナノワイヤデバイス120cに着目すると、そのナノワイヤデバイス120cのゲート電極25から引き出されるゲート配線25a(図11(A)に点線で図示)の開度は最大で45°となる。そのため、半導体装置100では、ゲート配線25aの引き回し自由度が比較的小さい。
これに対し、図11(B)に示すように、チャネル領域16及びチャネル領域26のZ方向の位置が異なる半導体装置1Aでは、前述の通り、ナノワイヤデバイス20のゲート電極25に繋がるゲート配線25aが、他方のナノワイヤデバイス10のチャネル領域16の周囲に配置されることがない。そのため、半導体装置1Aでは、1列分のナノワイヤデバイス110を除去することを要せず、ナノワイヤデバイス10の集積度の低下が抑えられる。
更に、半導体装置1Aでは、上記の接続可否(Y方向は接続可、X方向は接続不可)の制約がある場合、図11(B)に示すような、或るナノワイヤデバイス20cに着目すると、そのナノワイヤデバイス20cのゲート電極25から引き出されるゲート配線25a(図11(B)に点線で図示)の開度は最大で235°となる。そのため、半導体装置1Aでは、ゲート配線25aの引き回し自由度が大きくなる。
このように、半導体装置1Aでは、一方のナノワイヤデバイス10(トランジスタ10a)の集積度の低下を抑え、他方のナノワイヤデバイス20に繋がるゲート配線25aの引き回し自由度を高めることができる。尚、同様の観点で、半導体装置1Aでは、他方のナノワイヤデバイス20(トランジスタ20a)の集積度の低下を抑え、一方のナノワイヤデバイス10に繋がるゲート配線15aの引き回し自由度を高めることができる。
第1の実施の形態によれば、集積度が高く、配線の引き回し自由度の高い半導体装置1Aが実現される。
次に、第2の実施の形態について説明する。
図12は第2の実施の形態に係る半導体装置の一例を示す図である。図12には、第2の実施の形態に係る半導体装置の要部断面図を模式的に示している。
図12に示す半導体装置1Bは、段差を有する基板30上に、Z方向に延伸された同一又は同等直径のナノワイヤ半導体11及びナノワイヤ半導体21を用いたナノワイヤデバイス10及びナノワイヤデバイス20が設けられた3次元集積回路構造を有する。半導体装置1Bは、このような点で、上記第1の実施の形態で述べた半導体装置1Aと相違する。
半導体装置1Bの、段差を有する基板30は、面32と、それよりもZ方向の高位置にある面33とを有する。基板30の低位置の面32上に、ナノワイヤデバイス10のトランジスタ10a(TFET)が設けられ、高位置の面33上に、ナノワイヤデバイス20のトランジスタ20a(TFET)が設けられる。
半導体装置1Bでは、低位置の面32上に設けられるトランジスタ10aのナノワイヤ半導体11と、高位置の面33上に設けられるトランジスタ20aのナノワイヤ半導体21とが、同一又は同等直径とされる。高位置の面33上のナノワイヤ半導体21に設けられるドレイン領域22とソース領域23との間のチャネル領域26は、低位置の面32上のナノワイヤ半導体11に設けられるドレイン領域12とソース領域13との間のチャネル領域16よりも、Z方向の高位置にある。これにより、半導体装置1Bでは、チャネル領域16の周囲のゲート電極15に繋がるゲート配線15aと、チャネル領域26の周囲のゲート電極25に繋がるゲート配線とが、一方のレイアウトが他方のレイアウトに与える制約が抑えられて、それぞれ引き回される。
ここで、上記のような構成を有する半導体装置1Bの形成方法について述べる。
図13〜図18は第2の実施の形態に係る半導体装置の形成方法の一例を示す図である。図13(A)及び図13(B)、図14(A)及び図14(B)、図15(A)及び図15(B)、図16(A)及び図16(B)、図17(A)及び図17(B)並びに図18(A)及び図18(B)にはそれぞれ、第2の実施の形態に係る半導体装置の形成工程の要部断面図を模式的に示している。
まず、図13(A)に示すような、段差を有する基板30が準備される。例えば、図13(A)の工程では、基板30として、半絶縁性のGaAs(111)B基板が用いられ、これにエッチングが施され、段差が形成される。エッチングには、ウェットエッチング又はドライエッチングが用いられる。段差の高さd(面32と面33の高低差)は、後述のようにして面32上に形成されるナノワイヤ半導体11のGaSb/InAs界面の高さh(図14(A))よりも低く設定される。これにより、GaSb/InAs界面の周囲にゲート配線15aを設ける際、そのゲート配線15aを、基板30の段差と干渉させずにXY平面方向に延在させることが可能になる。段差の高さdは、例えば0.5μmとされる。基板30には、複数の段差が形成されてもよい。面32及び面33のサイズは、ナノワイヤ半導体11及びナノワイヤ半導体21のMOCVD成長時の原料の拡散長(100μm程度)よりも長い方が好ましい。これよりも極端に短くなると、ナノワイヤ半導体11及びナノワイヤ半導体21の成長が互いに影響し合う可能性がある。
次いで、図13(B)に示すように、段差を設けた基板30に対するn型の活性層31の形成、開口部51を有する絶縁膜50の形成、開口部51への触媒金属60の形成が行われる。例えば、図13(B)の工程では、基板30の所定の領域に対するSiイオンの注入と活性化アニールにより、活性層31として、n+型GaAs層が形成される。更に、基板30の全面に、絶縁膜50となる厚さ50nm程度のSiO2膜が形成され、電子線リソグラフィ及びエッチングにより、活性層31に対応する領域に直径100nmの開口部51が形成される。その後、絶縁膜50の開口部51の活性層31上に、Au等の触媒金属60が、蒸着及びリフトオフによって形成される。
次いで、図14(A)に示すように、絶縁膜50の開口部51から露出する、基板30の活性層31上に、ナノワイヤ半導体11及びナノワイヤ半導体21の、ドレイン領域12及びドレイン領域22、並びにソース領域13及びソース領域23が成長される。
例えば、図14(A)の工程では、基板30の活性層31上に、MOCVDにより、ドレイン領域12及びドレイン領域22として、n+型InAsナノワイヤセグメントが成長される。この場合、原料には、トリメチルインジウム及びアルシンが用いられ、ドーピング原料には、硫化水素が用いられる。成長条件は、基板温度400℃〜500℃、V/III比20〜50、圧力100mbarに設定される。開口部51の活性層31上には、ドレイン領域12及びドレイン領域22として、高さ0.75μmのn+型InAsナノワイヤセグメントが成長される。
更に、図14(A)の工程では、n+型InAsナノワイヤセグメントの成長後、ソース領域13及びソース領域23として、p+型GaSbナノワイヤセグメントが成長される。この場合、原料には、トリメチルガリウム及びトリメチルアンチモンが用いられ、ドーピング原料には、ジエチル亜鉛が用いられる。成長条件は、基板温度500℃〜580℃、V/III比5〜50、圧力100mbarに設定される。開口部51の活性層31に形成されたドレイン領域12及びドレイン領域22上には、ソース領域13及びソース領域23として、高さ0.75μmのp+型GaSbナノワイヤセグメントが成長される。この時、高位置の面33上に成長されるGaSb/InAs界面が、低位置の面32上に成長されるGaSb/InAs界面とその上端との間に位置するように、p+型GaSbナノワイヤセグメントが成長される。
このような方法により、例えば、面33上のナノワイヤ半導体21の接合界面21a(GaSb/InAs界面)が、面32上のナノワイヤ半導体11の接合界面11a(GaSb/InAs界面)よりも、Z方向に0.5μm高くなる構造が得られる。
次いで、図14(B)に示すように、ナノワイヤ半導体11及びナノワイヤ半導体21の基板30側の端部に、ドレイン領域12及びドレイン領域22にそれぞれ接続されるドレイン電極12a及びドレイン電極22aが形成される。例えば、図14(B)の工程では、フォトリソグラフィ及びエッチングにより、絶縁膜50に開口部が形成され、AuGe/Au(厚さ30nm/300nm)の蒸着及びリフトオフにより、活性層31上にドレイン電極12a及びドレイン電極22aが形成される。
次いで、図15(A)に示すように、ナノワイヤ半導体11及びナノワイヤ半導体21の表面に、それぞれゲート絶縁膜14及びゲート絶縁膜24が形成される。例えば、図15(A)の工程では、ナノワイヤ半導体11及びナノワイヤ半導体21の表面に、ゲート絶縁膜14及びゲート絶縁膜24として、ALDにより、Al2O3が堆積される。尚、図15(A)では、ナノワイヤ半導体11及びナノワイヤ半導体21の側面に形成されるAl2O3(ゲート絶縁膜14及びゲート絶縁膜24)のみ図示している。
次いで、図15(B)に示すように、基板30上に1層目の絶縁層41が形成される。例えば、図15(B)に示す工程では、ベンゾシクロブテン等の樹脂が用いられ、絶縁層41が形成される。絶縁層41は、基板30上に、要すればエッチバックやリフローが行われて、ナノワイヤ半導体11の接合界面11aが露出する厚さとなるように、形成される。
次いで、図16(A)に示すように、絶縁層41上に、ナノワイヤ半導体11の接合界面11aを含むチャネル領域16の周囲を取り囲むゲート電極15、及びそれに繋がるゲート配線15aが形成される。例えば、図16(A)の工程では、フォトリソグラフィによるマスクの形成後、Ni/Au(厚さ10nm/300nm)の蒸着及びリフトオフにより、ゲート電極15及びそこから引き出されたゲート配線15aが形成される。
次いで、図16(B)に示すように、ゲート電極15及びゲート配線15aが形成された絶縁層41上に、2層目の絶縁層42が形成される。例えば、図16(B)に示す工程では、ベンゾシクロブテン等の樹脂が用いられ、絶縁層42が形成される。絶縁層42は、絶縁層41上に、要すればエッチバックやリフローが行われて、ナノワイヤ半導体21の接合界面21aが露出する厚さとなるように、形成される。
次いで、図17(A)に示すように、絶縁層42上に、ナノワイヤ半導体21の接合界面21aを含むチャネル領域26の周囲を取り囲むゲート電極25、及びそれに繋がるゲート配線が形成される。例えば、図17(A)の工程では、フォトリソグラフィによるマスクの形成後、Ni/Au(厚さ10nm/300nm)の蒸着及びリフトオフにより、ゲート電極25及びそこから引き出されたゲート配線が形成される。
次いで、図17(B)に示すように、ゲート電極25及びゲート配線が形成された絶縁層42上に、3層目の絶縁層43が形成される。例えば、図17(B)に示す工程では、ベンゾシクロブテン等の樹脂が用いられ、絶縁層43が形成される。絶縁層43は、絶縁層42上に、要すればエッチバックやリフローが行われて、ナノワイヤ半導体11のソース領域13の上端までの厚さとなるように、形成される。ナノワイヤ半導体11のソース領域13上の触媒金属60が、そのままソース電極13aとして利用される。勿論、触媒金属60の除去後に改めてソース電極13aが形成されてもよい。
次いで、図18(A)に示すように、絶縁層43上に、4層目の絶縁層44が形成される。例えば、図18(A)に示す工程では、ベンゾシクロブテン等の樹脂が用いられ、絶縁層44が形成される。絶縁層44は、絶縁層43上に、要すればエッチバックやリフローが行われて、ナノワイヤ半導体21のソース領域23の上端までの厚さとなるように、形成される。ナノワイヤ半導体21のソース領域23上の触媒金属60が、そのままソース電極23aとして利用される。勿論、触媒金属60の除去後に改めてソース電極23aが形成されてもよい。
尚、触媒金属60をソース電極23aとして利用する場合には、絶縁層43を、ナノワイヤ半導体21のソース領域23の上端までの厚さとなるように形成し、絶縁層44の形成を省略することもできる。
次いで、以上の工程で得られた、ドレイン電極12a及びドレイン電極22a、ゲート電極15に繋がるゲート配線15a及びゲート電極25に繋がるゲート配線、並びにソース電極13a及びソース電極23aに接続される配線が形成される。例えば、図18(B)に示すように、絶縁層44を貫通しソース電極13aに接続されるソース配線13bが形成される。ドレイン電極12a及びドレイン電極22a、ゲート電極15に繋がるゲート配線15a及びゲート電極25に繋がるゲート配線、並びにソース電極23aについても、それらに接続される配線が、それぞれ所定の領域に形成される。
以上、図13〜図18に示したような工程により、低位置の面32上に形成されたトランジスタ10aを含むナノワイヤデバイス10、及び高位置の面33上に形成されたトランジスタ20aを含むナノワイヤデバイス20を備えた半導体装置1B(図12及び図18(B))が形成される。
尚、ここでは、n+型InAsナノワイヤセグメント、p+型GaSbナノワイヤセグメントの順に積層した半導体装置1Bを示したが、p+型GaSbナノワイヤセグメント、n+型InAsナノワイヤセグメントの順に積層して半導体装置を得ることもできる。この場合は、基板30として半絶縁性のGaAs(111)B基板を用い、これにイオン注入を行ってp+型GaAs層を形成する。或いは、半絶縁性のGaAs(111)B基板上にp型GaAsエピタキシャル層を成長させ、これにイオン注入又はメサエッチングを行う。このようにしてアイソレーションを実現することができる。
また、ナノワイヤ半導体11及びナノワイヤ半導体21は、格子不整合系の基板30上であっても、欠陥を抑えて成膜することが可能である。そのため、基板30には、成長させるナノワイヤ半導体11及びナノワイヤ半導体21とは格子定数の異なる基板30が用いられてもよい。
また、ここでは、ゲート絶縁膜14及びゲート絶縁膜24にAl2O3を用いる例を示したが、ゲート絶縁膜14及びゲート絶縁膜24には、SiN、SiO2、HfO等が用いられてもよい。
また、ここでは、ナノワイヤ半導体11及びナノワイヤ半導体21の選択成長マスクとして機能する絶縁膜50にSiO2を用いる例を示したが、絶縁膜50には、SiN、SiON等が用いられてもよい。
また、ここでは、ナノワイヤ半導体11及びナノワイヤ半導体21にInAs及びGaSbを用いる例を示したが、ナノワイヤ半導体11及びナノワイヤ半導体21には、Si、Ge、InP、InAs、GaN等、他の半導体材料が用いられてもよい。
以上述べた半導体装置1Bの構成例を図19及び図20に示す。
図19及び図20は第2の実施の形態に係る半導体装置の構成例を示す図である。図19には、第2の実施の形態に係る半導体装置の要部斜視図(鳥瞰図)を模式的に示している。図20には、第2の実施の形態に係る半導体装置の要部平面図を模式的に示している。
この例では、図20のL20−L20断面位置が、上記図13〜図18に示した断面位置に相当する。尚、図19では、上記の基板30、絶縁膜50、絶縁層40(41〜44)、ゲート絶縁膜14、ゲート絶縁膜24及びソース配線13bの図示は省略している。図20では、上記の基板30、絶縁膜50、絶縁層40(41〜44)、ドレイン電極12a、ドレイン電極22a、ソース電極13a、ソース電極23a及びソース配線13bの図示は省略している。
半導体装置1Bの形成では、上記図13〜図18に示すように、段差を有する基板30の、低位置の面32上に、ナノワイヤ半導体11が成長され、高位置の面33上に、ナノワイヤ半導体21が、ナノワイヤ半導体11と同一又は同等直径で成長される。その結果、ナノワイヤ半導体21のドレイン領域22とソース領域23との間のチャネル領域26は、ナノワイヤ半導体11のドレイン領域12とソース領域13との間のチャネル領域16に比べて、Z方向のより高位置に設けられるようになる。このようにZ方向の異なる位置に設けられたチャネル領域16及びチャネル領域26の周囲にそれぞれ、ゲート電極15及びゲート電極25が形成される。
そのため、上記図13〜図18並びに図19及び図20に示すように、チャネル領域16の周囲のゲート電極15に繋がるゲート配線15aと、チャネル領域26の周囲のゲート電極25に繋がるゲート配線(図19及び図20のゲート配線25a)とが、絶縁層40内の異なるレイヤ(絶縁層42内と絶縁層43内)に形成される。従って、例えばゲート配線25aを、ゲート配線15aのレイアウトによる制約を抑えて、引き回すことができる。これにより、一方のナノワイヤデバイス10の集積度の低下を抑え、他方のナノワイヤデバイス20に繋がるゲート配線25aの引き回し自由度を高めることができる。同様の観点で、他方のナノワイヤデバイス20の集積度の低下を抑え、一方のナノワイヤデバイス10に繋がるゲート配線15aの引き回し自由度を高めることができる。
第2の実施の形態によれば、集積度が高く、配線の引き回し自由度の高い半導体装置1Bが実現される。
次に、第3の実施の形態について説明する。
図21は第3の実施の形態に係る半導体装置の一例を示す図である。図21には、第3の実施の形態に係る半導体装置の要部断面図を模式的に示している。
図21に示す半導体装置1Cでは、段差を有する基板30として、下地半導体層34、i型半導体層35、n型半導体層36、i型半導体層37及びn型半導体層38の積層構造を有する基板が用いられる。半導体装置1Cは、このような点で、上記第2の実施の形態で述べた半導体装置1Bと相違する。
半導体装置1Cにおいて、段差を有する基板30の低位置の面32には、下地半導体層34上のi型半導体層35の上に設けられたn型半導体層36が露出する。段差を有する基板30の高位置の面33には、n型半導体層36上のi型半導体層37の上に設けられたn型半導体層38が露出する。隣り合うn型半導体層36間、及び隣り合うn型半導体層38間は、不活性層39によってアイソレーションされる。n型半導体層36及びn型半導体層38が、上記の活性層31に相当する。
段差を有する基板30として、この図21に示すような構造を有するものが用いられてもよい。
上記のような構成を有する半導体装置1Cの形成方法について述べる。
図22及び図23は第3の実施の形態に係る半導体装置の形成方法の一例を示す図である。図22(A)及び図22(B)並びに図23(A)及び図23(B)にはそれぞれ、第3の実施の形態に係る半導体装置の形成工程の要部断面図を模式的に示している。
まず、図22(A)に示すような、段差を有する基板30が準備される。例えば、所定の下地半導体層34として半絶縁性のGaAs(111)B基板が用いられる。その上に、i型半導体層35としてi型GaAsエピタキシャル層が、n型半導体層36としてn型GaAsエピタキシャル層が、i型半導体層37としてi型GaAsエピタキシャル層が、n型半導体層38としてn型GaAsエピタキシャル層が、順に成長される。このようにして得られた積層体の所定の領域に対し、表層のn型半導体層38(n型GaAsエピタキシャル層)とその下のi型半導体層37(i型GaAsエピタキシャル層)を除去し、内層のn型半導体層36(n型GaAsエピタキシャル層)を露出させるエッチングが行われる。このような方法により、図22(A)に示すような、段差を有し、低位置の面32にn型半導体層36が露出し、高位置の面33にn型半導体層38が露出する、基板30が得られる。
次いで、上記のようにして得られた基板30に、図22(B)に示すように、不活性層39が形成される。例えば、低位置の面32に露出するn型半導体層36、及び高位置の面33に露出するn型半導体層38のうち、ナノワイヤ半導体11及びナノワイヤ半導体21を成長する部位以外の領域に対し、イオン注入が行われ、不活性層39が形成される。このような方法により、図23(A)に示すような、段差を有し、面32及び面33の所定の部位に不活性層39でアイソレーションされてn型半導体層36及びn型半導体層38が露出する、基板30が得られる。
以後、上記第2の実施の形態で述べたのと同様にして、基板30上にナノワイヤデバイス10及びナノワイヤデバイス20が形成される。
即ち、図23(A)に示すように、開口部51を有する絶縁膜50が形成され、開口部51に触媒金属60が形成され(図13(B))、n型半導体層36及びn型半導体層38(活性層31)の上にそれぞれ、ナノワイヤ半導体11及びナノワイヤ半導体21が成長される(図14(A))。
その後は、図23(B)に示すように、まずドレイン電極12a,22aの形成(図14(B))、ゲート絶縁膜14,24の形成(図15(A))、1層目の絶縁層41の形成(図15(B))が行われる。次いで、ナノワイヤ半導体11のチャネル領域16の周囲のゲート電極15とそれに繋がるゲート配線15aの形成(図16(A))が行われ、2層目の絶縁層42の形成(図16(B))が行われる。次いで、ナノワイヤ半導体21のチャネル領域26の周囲のゲート電極25とそれに繋がるゲート配線の形成(図17(A))、3層目の絶縁層43の形成(図17(B))が行われる。ここで、触媒金属60がソース電極13aとして利用されるか、或いは改めてソース電極13aが形成される。次いで、絶縁層44の形成(図18(A))が行われる。ここで、触媒金属60がソース電極23aとして利用されるか、或いは改めてソース電極23aが形成される。その後、ソース配線13b等、所定の部位に接続される配線の形成(図18(B))が行われる。
以上のような工程により、図23(B)(及び図21)に示すような半導体装置1Cが得られる。
尚、ここでは、基板30のn型半導体層36及びn型半導体層38にn型GaAsエピタキシャル層を用い、これらの間に介在されるi型半導体層37にi型GaAsエピタキシャル層を用いる例を示した。このほか、i型半導体層37に、n型半導体層36及びn型半導体層38とは異なる半導体材料、例えばインジウムガリウムリン(InGaP)を用いることもできる。このようにすると、上記図22(A)の工程でエッチングにより段差を形成する際、n型半導体層36及びn型半導体層38とのエッチング選択性を利用し、所定の長さ及び高さdの段差を、精度良く形成することが可能になる。
次に、第4の実施の形態について説明する。
図24は第4の実施の形態に係る半導体装置の一例を示す図である。図24には、第4の実施の形態に係る半導体装置の要部断面図を模式的に示している。
図24に示す半導体装置1Dは、段差を有する基板30の高位置の面33上に設けられるナノワイヤ半導体21が、低位置の面32上に設けられるナノワイヤ半導体11よりも、小さな直径とされた構成を有する。半導体装置1Dは、このような点で、上記第2の実施の形態で述べた半導体装置1Bと相違する。
半導体装置1Dのように、高位置の面33上のナノワイヤ半導体21の直径を小さくすると、ナノワイヤ半導体11と同一又は同等直径とした場合に比べて、チャネル領域26の周囲のゲート電極25とそれに繋がるゲート配線のZ方向の位置が、より高くなる。そのため、ナノワイヤ半導体21のチャネル領域26の周囲のゲート電極25に繋がるゲート配線と、ナノワイヤ半導体11のチャネル領域16の周囲のゲート電極15に繋がるゲート配線15aとの、Z方向の距離が大きくなる。これにより、ゲート電極25に繋がるゲート配線と、ゲート電極15に繋がるゲート配線15aとの間の、容量の発生やクロストーク等の電気的な影響を抑えることが可能になる。
尚、半導体装置1Dにおいて、段差を有する基板30には、上記第3の実施の形態(図21〜図23)で述べたようなものを採用してもよい。
次に、第5の実施の形態について説明する。
図25は第5の実施の形態に係る半導体装置の一例を示す図である。図25には、第5の実施の形態に係る半導体装置の要部断面図を模式的に示している。
図25に示す半導体装置1Eは、1本のナノワイヤ半導体11に2つのトランジスタ10a及びトランジスタ10bが設けられ、1本のナノワイヤ半導体21に2つのトランジスタ20a及びトランジスタ20bが設けられた構成を有する。
半導体装置1Eでは、基板30の一の活性層31上に、トランジスタ10aのドレイン領域12及びソース領域13が順に成長され、その上に、トランジスタ10bのソース領域13及びドレイン領域12が順に成長されて、ナノワイヤ半導体11が形成される。トランジスタ10a及びトランジスタ10bの各チャネル領域16の周囲に、ゲート電極15が設けられ、そのゲート電極15に、XY平面方向に延在するゲート配線15aが接続される。トランジスタ10a及びトランジスタ10bのソース領域13同士の接合部には、ソース電極13aが接続され、そのソース電極13aに、XY平面方向に延在するソース配線13bが接続される。トランジスタ10bのドレイン領域12上には、ドレイン電極12aが接続され、そのドレイン電極12aに、Z方向に延在するドレイン配線12bが接続される。
半導体装置1Eでは、基板30の他の活性層31上に、トランジスタ20aのドレイン領域22及びソース領域23が順に成長され、その上に、トランジスタ20bのソース領域23及びドレイン領域22が順に成長されて、ナノワイヤ半導体21が形成される。トランジスタ20a及びトランジスタ20bの各チャネル領域26の周囲に、ゲート電極25が設けられ、そのゲート電極25に、XY平面方向に延在するゲート配線(図示せず)が接続される。トランジスタ20a及びトランジスタ20bのソース領域23同士の接合部には、ソース電極23aが接続され、そのソース電極23aに、XY平面方向に延在するソース配線(図示せず)が接続される。トランジスタ20bのドレイン領域22上には、ドレイン電極22aが接続され、そのドレイン電極22aに、XY平面方向に延在するドレイン配線(図示せず)が接続される。
半導体装置1Eにおいて、トランジスタ20a及びトランジスタ20bが設けられるナノワイヤ半導体21は、トランジスタ10a及びトランジスタ10bが設けられるナノワイヤ半導体11よりも小さな直径とされる。トランジスタ20a及びトランジスタ20bの各チャネル領域26は、Z方向について、トランジスタ10a及びトランジスタ10bの各チャネル領域16とは異なる位置に設けられる。半導体装置1Eでは、トランジスタ20aのチャネル領域26が、トランジスタ10aのチャネル領域16よりも、Z方向のより高位置に設けられ、トランジスタ20bのチャネル領域26は、トランジスタ10bのチャネル領域16よりも、Z方向のより高位置に設けられる。
半導体装置1Eでは、このようにチャネル領域16及びチャネル領域26のZ方向の位置を互いに異ならせたことで、集積度の低下を抑え、高い引き回し自由度で、XY平面方向に延在する配線を配置することができる。
尚、ここでは、1本のナノワイヤ半導体11に2つのトランジスタ10a及びトランジスタ10bを設け、1本のナノワイヤ半導体21に2つのトランジスタ20a及びトランジスタ20bを設ける例を示したが、設けるトランジスタの数は限定されない。チャネル領域のZ方向の位置が異なるものであれば、1本のナノワイヤ半導体11に3つ以上のトランジスタが設けられてもよく、1本のナノワイヤ半導体21に3つ以上のトランジスタが設けられてもよい。また、1本のナノワイヤ半導体11に設けられるトランジスタの数と、1本のナノワイヤ半導体21に設けられるトランジスタの数とは、必ずしも同数であることを要しない。
また、半導体装置1Eにおいて、基板30には、上記第2の実施の形態(図12〜図18)及び第3の実施の形態(図21〜図23)で述べたような段差を有するものを採用してもよい。
次に、第6の実施の形態について説明する。
ナノワイヤデバイス10及びナノワイヤデバイス20がそれぞれ備えるトランジスタ10a及びトランジスタ20aは、上記のようなTFETに限らず、MOS電界効果トランジスタ(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor,MOSFET)等でもよい。ここでは一例として、MOSFETを採用した例を第6の実施の形態として説明する。
図26は第6の実施の形態に係る半導体装置の一例を示す図である。図26には、第6の実施の形態に係る半導体装置の要部断面図を模式的に示している。
図26に示す半導体装置1Fは、ナノワイヤデバイス10及びナノワイヤデバイス20がそれぞれ備えるトランジスタ10a及びトランジスタ20aとして、MOSFETが用いられた構成を有する。
半導体装置1Fにおいて、トランジスタ10aは、基板30の一の活性層31上に形成されたナノワイヤ半導体11を用いて形成される。ナノワイヤ半導体11には、Z方向に対向するドレイン領域12及びソース領域13と、それらの間に介在するチャネル領域16が設けられる。この例では、ドレイン領域12及びソース領域13にn型の半導体が用いられ、チャネル領域16にp型の半導体が用いられる。n型の活性層31上に、ドレイン領域12となるn型の半導体、チャネル領域16となるp型の半導体、ソース領域13となるn型の半導体が順に成長され、ナノワイヤ半導体11が形成される。トランジスタ10aのチャネル領域16の周囲には、ゲート電極15が設けられ、そのゲート電極15に、XY平面方向に延在するゲート配線15aが接続される。トランジスタ10aのドレイン領域12及びソース領域13には、それぞれドレイン電極12a及びソース電極13a等が接続される。
半導体装置1Fにおいて、トランジスタ20aは、基板30の他の活性層31上に形成されたナノワイヤ半導体21を用いて形成される。ナノワイヤ半導体21には、Z方向に対向するドレイン領域22及びソース領域23と、それらの間に介在するチャネル領域26が設けられる。この例では、ドレイン領域22及びソース領域23にn型の半導体が用いられ、チャネル領域26にp型の半導体が用いられる。n型の活性層31上に、ドレイン領域22となるn型の半導体、チャネル領域26となるp型の半導体、ソース領域23となるn型の半導体が順に成長され、ナノワイヤ半導体21が形成される。トランジスタ20aのチャネル領域26の周囲には、ゲート電極25が設けられ、そのゲート電極25に、XY平面方向に延在するゲート配線が接続される。トランジスタ20aのドレイン領域22及びソース領域23には、それぞれドレイン電極22a及びソース電極23a等が接続される。
半導体装置1Fにおいて、トランジスタ20aが設けられるナノワイヤ半導体21は、トランジスタ10aが設けられるナノワイヤ半導体11よりも小さな直径とされる。トランジスタ20aのチャネル領域26は、Z方向について、トランジスタ10aのチャネル領域16とは異なる位置に設けられる。半導体装置1Fでは、トランジスタ20aのチャネル領域26が、トランジスタ10aのチャネル領域16よりも、Z方向のより高位置に設けられる。
半導体装置1Fでは、このようにチャネル領域16及びチャネル領域26のZ方向の位置を互いに異ならせたことで、集積度の低下を抑え、高い引き回し自由度で、XY平面方向に延在する配線を配置することができる。
尚、半導体装置1Fにおいて、上記第5の実施の形態(図25)で述べた例に従い、ナノワイヤ半導体11及びナノワイヤ半導体21にそれぞれ複数のトランジスタを設けてもよい。
次に、第7の実施の形態について説明する。
図27は第7の実施の形態に係る半導体装置の一例を示す図である。図27には、第7の実施の形態に係る半導体装置の要部断面図を模式的に示している。
図27に示す半導体装置1Gは、段差を有する基板30上に、Z方向に延伸された同一又は同等直径のナノワイヤ半導体11及びナノワイヤ半導体21を用いたトランジスタ10a及びトランジスタ20a(MOSFET)が設けられた構成を有する。半導体装置1Gは、このような点で、上記第6の実施の形態で述べた半導体装置1Fと相違する。
半導体装置1Gでは、低位置の面32上に成長されたナノワイヤ半導体11を用いてトランジスタ10aが形成され、高位置の面33上にナノワイヤ半導体11と同一又は同等直径で成長されたナノワイヤ半導体21を用いてトランジスタ20aが形成される。このようにしてチャネル領域16及びチャネル領域26のZ方向の位置を互いに異ならせたことで、集積度の低下を抑え、高い引き回し自由度で、XY平面方向に延在する配線を配置することができる。
尚、半導体装置1Gにおいて、段差を有する基板30には、上記第3の実施の形態(図21〜図23)で述べたようなものを採用してもよい。
また、半導体装置1Gにおいて、上記第4の実施の形態(図24)で述べた例に従い、高位置の面33上に、ナノワイヤ半導体11よりも直径の小さいナノワイヤ半導体21を設け、これを用いてナノワイヤデバイス20を形成してもよい。
また、半導体装置1Gにおいて、上記第5の実施の形態(図25)で述べた例に従い、ナノワイヤ半導体11及びナノワイヤ半導体21にそれぞれ複数のトランジスタを設けてもよい。
次に、第8の実施の形態について説明する。
上記第1〜第7の実施の形態で述べたような半導体装置1A〜1G等は、各種電子機器に搭載することができる。例えば、コンピュータ(パーソナルコンピュータ、スーパーコンピュータ、サーバ等)、スマートフォン、携帯電話、タブレット端末、センサ、カメラ、オーディオ機器、測定装置、検査装置、製造装置といった、各種電子機器に搭載することができる。
図28は第8の実施の形態に係る電子機器の説明図である。図28には、電子機器を模式的に示している。
図28に示すように、例えば上記第1の実施の形態で述べたような半導体装置1A(図1等)が各種電子機器70に搭載(内蔵)される。
半導体装置1Aでは、トランジスタ20aが設けられるナノワイヤ半導体21が、トランジスタ10aが設けられるナノワイヤ半導体11よりも小さな直径とされる。トランジスタ20aのチャネル領域26は、Z方向について、トランジスタ10aのチャネル領域16とは異なる位置に設けられる。このようにチャネル領域16及びチャネル領域26のZ方向の位置を互いに異ならせたことで、集積度の低下を抑え、高い引き回し自由度で、ゲート配線15a等を配置することができる。これにより、集積度の高い、高性能の半導体装置1Aが実現され、そのような半導体装置1Aを搭載した、高性能の各種電子機器70が実現される。
ここでは、上記第1の実施の形態で述べた半導体装置1Aを搭載した電子機器70を一例として示したが、上記第2〜第7の実施の形態で述べた半導体装置1B〜1G等についても同様に、各種電子機器に搭載することが可能である。
以上述べたような半導体装置1A〜1G等を用いることで、コンピュータ、センサ、通信機器等の超小型化や超低消費電力化を図り、IoT(Internet of Things)、ビッグデータ処理、人工知能、スマートグリッド、自動運転、ロボットの発展等に貢献することが可能になる。更には、新しい非ノイマン型脳コンピューティング等の実現による社会の発展に貢献することが可能になる。
尚、以上述べた「ナノワイヤ半導体」には、ワイヤ状や線状等と形容される半導体のほか、柱状や島状等と形容される半導体が含まれる。「ナノワイヤデバイス」には、このような半導体を用いて形成されたトランジスタを備えるものが含まれる。また、以上述べた手法は、ナノサイズの半導体を用いたデバイスに限らず、ミクロンサイズやサブミクロンサイズ等、様々なサイズの半導体を用いたデバイスにも同様に適用可能である。