JP6969006B2 - インジウムスズ酸化物粒子の製造方法及び硬化性組成物の製造方法 - Google Patents

インジウムスズ酸化物粒子の製造方法及び硬化性組成物の製造方法 Download PDF

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Description

本開示は、インジウムスズ酸化物粒子の製造方法及び硬化性組成物の製造方法に関する。
インジウムスズ酸化物粒子(以下、「ITO粒子」と称することがある)は、種々の用途に使用し得る。なかでも、近赤外領域で高い吸光度を有するITO粒子は、回折格子レンズ、赤外線フィルタ等の光学材料の形成に有用であり、低アッベ数の複合材料が実現可能となる。
このため、波長1900nm以下の近赤外線領域に吸収を有するITO粒子の製造方法が各種検討されている。
例えば、低温にて複数の金属種を含む金属酸化物粒子を製造し得る方法として、カルボン酸金属塩とカルボン酸とを含む溶液を調製し、得られた溶液を、250℃以下の温度のアルコールに滴下して反応させ、金属酸化物のナノ粒子を製造する方法が提案されている(米国特許出願公開第2015/0259217号明細書参照)。
米国特許出願公開第2015/0259217号明細書に記載の方法により、ITO粒子などのナノサイズの金属酸化物粒子を製造し得る。
しかし、好適な製造方法として米国特許出願公開第2015/0259217号明細書に具体的に記載されているのは、金属酸化物を含む前駆体溶液の滴下速度を0.5mL(ミリリットル)/分以下として、粒子生成反応を生起させ、液中で、反応温度を30分間維持して粒子を得る方法であり、滴下速度が遅いためITO粒子の合成に長時間を要する。例えば、前駆体溶液の総滴下量を500mLとすると、少なくとも合成時間は16時間以上必要となり、この文献に記載の方法を工業的スケールに適用することは現実的ではない。
また、米国特許出願公開第2015/0259217号明細書には、前駆体溶液の製造方法に関する着目はない。
本発明者らは、ITO粒子生成反応に供される前駆体溶液の調製方法に着目し、検討した結果、金属前駆体として酢酸インジウム及び酢酸スズを用いて、カルボン酸に溶解させ、前駆体溶液を調製する際に、条件によっては、得られた前駆体溶液が経時で増粘したり、白濁したりすることを見出した。
前駆体溶液が増粘すると、ITO粒子生成反応に供する際に、前駆体溶液の滴下が困難となったり、白濁した前駆体溶液に起因して、得られるITO粒子の物性が低下したりすることが判明した。
本発明の一実施形態が解決しようとする課題は、保存安定性に優れた前駆体溶液を用いることにより、近赤外線領域に吸収を有するインジウムスズ酸化物粒子を、効率よく安定的に製造し得るインジウムスズ酸化物粒子の製造方法を提供することである。
本発明の別の実施形態が解決しようとする課題は、近赤外線領域に吸収を有するインジウムスズ酸化物粒子を含み、低アッベ数であり、光学材料用途に有用な硬化性組成物を、効率よく安定的に製造し得る硬化性組成物の製造方法を提供することである。
上記課題を解決するための手段には、以下の態様が含まれる。
<1> 酢酸インジウム及び酢酸スズを、炭素数6〜20のカルボン酸を含む溶媒中で加熱して、インジウム及びスズを含む前駆体溶液を得る工程と、得られた前駆体溶液を、230℃〜320℃の炭素数14〜22のヒドロキシ基を有する溶媒中に滴下し、インジウムスズ酸化物粒子を含む反応液を得る工程と、を含み、前駆体溶液中の酢酸濃度が0.5質量%〜6質量%の範囲である、インジウムスズ酸化物粒子の製造方法。
<2> 前駆体溶液の25℃における粘度が0.14Pa・s以下である<1>に記載のインジウムスズ酸化物粒子の製造方法。
<3> インジウムスズ酸化物粒子を含む反応液を得る工程において、前駆体溶液を、1.0mL/min以上の滴下速度で滴下する<1>又は<2>に記載のインジウムスズ酸化物粒子の製造方法。
<4> 前駆体溶液に含まれる金属の総モル濃度が、0.1mmol/mL以上である<1>〜<3>のいずれか1つに記載のインジウムスズ酸化物粒子の製造方法。
<5> 炭素数14〜22のヒドロキシ基を有する溶媒中に含まれるヒドロキシ基の含有量をAモルとし、前駆体溶液に含まれる炭素数6〜20のカルボン酸の含有量をBモルとした場合、AとBとが下記式(I)の条件を満たす<1>〜<4>のいずれか1つに記載のインジウムスズ酸化物粒子の製造方法。
B/(A+B)<0.5 式(I)
<6> 炭素数6〜20のカルボン酸がオレイン酸を含む<1>〜<5>のいずれか1つに記載のインジウムスズ酸化物粒子の製造方法。
<7> 炭素数14〜22のヒドロキシ基を有する溶媒が、オレイルアルコールを含む<1>〜<6>のいずれか1つ記載のインジウムスズ酸化物粒子の製造方法。
<8> <1>〜<7>のいずれか1つに記載の製造方法により、インジウムスズ酸化物粒子を得る工程と、得られたインジウムスズ酸化物粒子と、重合性化合物と、を混合し、近赤外線領域に吸収を有する硬化性組成物を得る工程と、を含む硬化性組成物の製造方法。
本発明の一実施形態によれば、保存安定性に優れた前駆体溶液を用いることにより、近赤外線領域に吸収を有するインジウムスズ酸化物粒子を、効率よく安定的に製造し得るインジウムスズ酸化物粒子の製造方法を提供することができる。
本発明の別の実施形態によれば、近赤外線領域に吸収を有するインジウムスズ酸化物粒子を含み、低アッベ数であり、光学材料用途に有用な硬化性組成物を、効率よく安定的に製造し得る硬化性組成物の製造方法を提供することができる。
前駆体溶液の調製に用いられるディーン・スタークトラップを備える反応器の一例を示す概略構成図である。 実施例1〜実施例4及び比較例1〜比較例2の製造方法で得られた前駆体溶液中の酢酸濃度と前駆体溶液の粘度との関係との相関を示す図である。
以下、本開示の内容について説明する。
以下に記載する構成要件の説明は、本開示の代表的な実施態様に基づいてなされることがあるが、本開示は以下の実施態様に限定されない。
本開示において「〜」を用いて記載した数値範囲は、「〜」の前後の数値を下限値及び上限値として含む数値範囲を表す。
本開示において組成物中の各成分の量は、組成物中に各成分に該当する物質が複数存在する場合、特に断らない限り、組成物中に存在する当該複数の物質の合計量を意味する。
本開示中に段階的に記載されている数値範囲において、ある数値範囲で記載された上限値又は下限値は、他の段階的な記載の数値範囲の上限値又は下限値に置き換えてもよい。また、本開示中に記載されている数値範囲において、ある数値範囲で記載された上限値又は下限値は、実施例に示されている値に置き換えてもよい。
また、本開示において、2以上の好ましい態様の組み合わせは、より好ましい態様である。
特に断りのない限り、本開示における基(原子団)の表記は、無置換のもの、置換基を有するものをも包含する意味で用いられる。例えば、「アルキル基」とは、置換基を有さないアルキル基(無置換アルキル基)と、置換基を有するアルキル基(置換アルキル基)との双方を包含する意味で用いられる。その他の基についても同様である。
また、本開示において、「(メタ)アクリル」は、アクリル及びメタクリルの双方又はいずれかを表し、「(メタ)アクリレート」は、アクリレート及びメタクリレートの双方又はいずれかを表す。
本開示において「工程」との語は、独立した工程だけでなく、他の工程と明確に区別できない場合であっても工程の所期の目的が達成されれば、本用語に含まれる。
<ITO粒子の製造方法>
本開示のITO粒子の製造方法(以下、単に「製造方法」と称することがある。)は、酢酸インジウム及び酢酸スズを、炭素数6〜20のカルボン酸を含む溶媒中で加熱して、インジウム及びスズを含む前駆体溶液を得る工程(工程(I))と、得られた前駆体溶液を、230℃〜320℃の炭素数14〜22のヒドロキシ基を有する溶媒中に滴下し、インジウムスズ酸化物粒子を含む反応液を得る工程(工程(II))と、を含み、工程(I)における前駆体溶液中の酢酸濃度が0.5質量%〜6質量%の範囲である。
本開示の製造方法によれば、工程(I)において、前駆体溶液中の酢酸濃度を0.5質量%〜6質量%の範囲とすることで、前駆体溶液の経時安定性が良好となる。具体的には、前駆体溶液の粘度が、工程(II)において溶媒中に滴下し易い範囲に維持され、且つ、一旦調製した前駆体溶液を経時した場合も、所望されない粘度の上昇及び不溶物の析出が抑制される。従って、工程(I)で得た前駆体溶液を用いて、近赤外線領域に良好な吸収を有するITO粒子を効率よく安定的に製造することができる。
本開示の製造方法に係る作用効果は明かではないが、下記のように推測している。
工程(I)において、カルボン酸金属塩含む前駆体溶液を調製する際には、炭素数6〜20のカルボン酸を含む溶媒中で、加熱条件下、例えば、カルボン酸としてオレイン酸を用いた場合を挙げれば、オレイン酸を含む溶媒中で、酢酸インジウム及び酢酸スズを溶解する。酢酸インジウム及び酢酸スズを溶解することにより、それぞれオレイン酸インジウム及びオレイン酸スズが生成される。酢酸インジウム及び酢酸スズから分離した酢酸は、通常、系外に除去するか、又は、溶媒中に戻すことが行われている。
本発明者らの検討では、系中に残存する酢酸量が6質量%を超えると、系の温度低下に伴い、系中に析出物が生成し、反応液が白濁する現象が生じる場合があることが判明した。系中に析出物が生成する現象は、溶解したインジウム又はスズに酢酸が再配位することを示唆すると考えられる。また、析出したインジウム又はスズはコロイド状の微細な粒子となり、加熱しても再溶解はされなかった。析出したコロイド状の粒子を含む前駆体溶液をITO粒子の生成反応に用いると、前駆体溶液の特性が安定せず、生成されるITO粒子に欠陥が生じやすくなり、得られたITO粒子のプラズモン共鳴ピークがばらつく傾向がある。
一方、酢酸を完全に系外に除去することは、上記所望されない副反応の抑制には有効であると考えられていた。しかし、反応液中における酢酸の含有量を0.5質量%未満とし場合、さらに、酢酸を反応液系中から完全に除去した場合には、経時により前駆体溶液の粘度の大幅な上昇が生じること、及び、粘度が上昇した前駆体溶液は、引き続き行われるITO粒子生成反応に供する際に、滴下が困難となることが判明した。
前駆体溶液中に、適切な量の酢酸を含むことにより、生成されたオレイン酸インジウム及びオレイン酸スズの安定性が向上し、前駆体溶液の所望されない粘度の上昇及び析出物の生成が抑制され、経時安定性が良好な前駆体溶液が得られると推定される。
オレイン酸インジウム及びオレイン酸スズを安定に含み、粘度安定性が良好な前駆体溶液を用いることで、引き続き行われるITO粒子の生成において、前駆体溶液の滴下を安定に行うことができ、得られたITO粒子は均一で、物性が良好な粒子になると考えている。
本開示の製造方法によれば、前駆体溶液の均一性及び安定性が良好であり、予め前駆体溶液を調製し、経時後に得られた前駆体溶液を用いてITO粒子生成反応を行う場合、滴下性が良好となる。滴下性が良好であることは、前駆体溶液の滴下速度をより向上させる際に、特に有効である。従って、本開示の製造方法によれば、安定且つ効率的にITO粒子を製造しうる。
さらに、本開示の製造方法により得られるITO粒子は、所望されない欠陥の発生が抑制され、近赤外線領域に良好な吸収を有することから、回折格子レンズなどに適用することで、低アッベ数が実現する。よって、本開示の製造方法により得られるITO粒子は、回折格子レンズに適用した場合、回折格子高さを低くすることが可能となるために、フレアが減少するという効果を得ることができる。さらに、近赤外線領域におけるフィルタ用途にも有用であると考えられる。
なお、本開示は上記推定機構には制限されない。
以下、本開示の製造方法について工程順に説明する。
〔工程(I)〕
工程(I)は、酢酸インジウム及び酢酸スズを、炭素数6〜20のカルボン酸を含む溶媒中で加熱して、インジウム及びスズを含む前駆体溶液を得る工程である。工程(I)においては、前駆体溶液中の酢酸濃度が0.5質量%〜6質量%の範囲に制御される。
(酢酸インジウム及び酢酸スズ)
前駆体溶液の調製に用いるインジウム原料及びスズ原料としては、酢酸インジウム及び酢酸スズが用いられる。
インジウム原料としての酢酸インジウムは、安定性、ハンドリング性、供給安定性及びコストの点で好ましい原料である。
スズ原料としての酢酸スズは、酢酸スズ(II)、及び酢酸スズ(IV)からなる群より選ばれる。酢酸スズ(II)及び酢酸スズ(IV)は、安定性、ハンドリング性、供給安定性及びコストの観点から好ましい原料であり、なかでも、酢酸スズ(IV)がより好ましい。
原料としての酢酸インジウム及び酢酸スズは、炭素数6〜20のカルボン酸を含む溶媒中で加熱する際に、溶媒に容易に溶解される。従って、インジウム及びスズに炭素数6〜20のカルボン酸が配位した前駆体を含む前駆体溶液を容易に得ることができる。
なかでも、原料コスト、純度、安定性、ハンドリング、前駆体溶液形成の容易性等の観点から、酢酸インジウム及び酢酸スズ(IV)を用いることが好ましい。
(前駆体溶液の調製に用いる溶媒)
前駆体溶液を調製する溶媒としては、炭素数6〜20のカルボン酸を含む有機酸を用いる。
カルボン酸を含む有機酸におけるカルボン酸の炭素数は、6〜20であり、14〜20が好ましい。
カルボン酸における炭化水素基は、上記炭素数の範囲であれば、直鎖状であってもよく、分岐を有していてもよく、環構造であってもよい。
なかでも、カルボン酸としては、不飽和脂肪酸が好ましい。
炭素数6〜20のカルボン酸としては、具体的には、カプロン酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、2−エチルヘキサン酸、カプリン酸、ウンデカン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、パルミトレイン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸等の有機酸が挙げられる。前駆体溶液を調製する溶媒として、上記有機酸からなる群より選ばれた1種以上の有機酸を用いることが好ましく、カプロン酸、カプリル酸、オレイン酸、リノール酸、及びリノレン酸からなる群より選ばれる1種以上の有機酸を用いることがより好ましく、溶媒は、オレイン酸を含むことがさらに好ましい。
上記溶媒はいずれも、加熱することによって既述の酢酸インジウム及び酢酸スズを容易に溶解させることができ、溶解により、インジウム及びスズに、それぞれ炭素数6〜20のカルボン酸が配位した前駆体溶液を容易に得ることができる。
(前駆体溶液の調製)
工程(I)では、前駆体溶液中の酢酸濃度を0.5質量%〜6質量%の範囲に制御する。前駆体溶液中の酢酸濃度の調整は公知の方法により行うことができる。一例として、反応器から反応中に生成される酢酸を除去する際、全ての酢酸を除去せず、一部を除去し、残余の所定量の酢酸を反応槽中に戻す方法が挙げられる。
図1は、前駆体溶液の調製に用いられるディーン・スタークトラップを備える反応器の一例を示す概略構成図である。
図1に示す反応器10の例では、炭素数6〜20のカルボン酸を含む溶媒を貯留する反応槽12と、反応時に副生される酢酸を冷却する冷却管14と、冷却され、液状となった酢酸を保持するディーン・スタークトラップ16とを備える。図1においては、ディーン・スタークトラップ16内に、ディーン・スタークトラップ16の容量を調整するためのガラスビーズ18が配置されている。
酢酸インジウム及び酢酸スズは、炭素数6〜20のカルボン酸を含む溶媒を貯留する反応槽12内において溶媒に溶解され、前駆体溶液が得られる。
通常、ディーン・スタークトラップ16の容量を十分に大きくすることで、生成される酢酸をディーン・スタークトラップ16内に全て保持し、前駆体溶液中に戻さない態様をとる。しかし、本開示の製造方法では、一定量の酢酸を反応槽12内に戻すことで、反応槽の前駆体溶液に含まれる酢酸の量を0.5質量%〜6質量%の範囲に維持する。
酢酸を系中に戻す量を調整するための手段としては、ディーン・スタークトラップの容量を調整することにより酢酸の戻し量を制御する手段が挙げられる。
ディーン・スタークトラップの容量の調整方法には特に制限はない。例えば、当初から所定の容量のディーン・スタークトラップを備える反応器を準備する方法をとることもできる。しかし、反応槽内の前駆体溶液の量が変動すれば、酢酸の濃度を所定量に維持するためのディーン・スタークトラップの容量も変動する。このため、より簡易な方法として、ディーン・スタークトラップ内に、所定の容量となる量のビーズを配置して、ディーン・スタークトラップ内に保持する酢酸の量を調整する方法が挙げられる。ビーズは、例えば、分散メディアとして使用しうるセラミックビーズ、ガラスビーズ、金属ビーズ等から任意に選択しうる。なかでも、耐酸性が良好であり、種々の粒径のものを容易に入手しうるという観点から、ガラスビーズを用いて容量を調整する方法が好ましい。ガラスビーズによるディーン・スタークトラップ容量の調整方法は、簡易であり、且つ、正確に容量を調整できるため好ましい。ガラスビーズは、目的に応じたサイズのものを適宜選択して、配置量を調整して使用することができる。
反応液中の酢酸の戻し量は、反応槽内に含まれる溶媒量、原料である酢酸インジウム、及び酢酸スズの総量から算出される所望の酢酸の濃度により決定される。
工程(I)における前駆体溶液の調製は、閉鎖された反応器内で行われ、冷却器により十分に冷却することで、発生した酢酸は系外に排出されることはない。このため、反応液内に含まれる酢酸の量と、ディーン・スタークトラップ内に保持される酢酸の量との総量は一定となる。従って、ディーン・スタークトラップ内に保持される酢酸の量が決まると、反応液中に戻される酢酸量が決まるために、反応液中の酢酸の濃度を容易に制御できる。なお、反応液中、さらには得られた前駆体溶液中の酢酸濃度は一定に維持されるために、反応終了後に得られた前駆体溶液中の酢酸の濃度を測定することで反応液中の酢酸濃度を確認することができる。
前駆体溶液中の酢酸の濃度が0.5質量%以上であることで、得られる前駆体溶液の粘度の大幅な上昇を抑制することができる。また、酢酸の濃度が6質量%以下であることで、所望されない前駆体溶液の粘度の上昇、カルボン酸溶液に溶解したインジウムの再析出による濁りの発生等が抑制され、得られた前駆体溶液は、安定性が良好となる。
前駆体溶液中の酢酸の濃度が0.5質量%〜6質量%の範囲において、前駆体溶液は、滴下に適切な粘度に維持され、且つ、前駆体を原料として得られたITO粒子の物性が良好となる。前駆体溶液中の酢酸の濃度は、0.5質量%〜5.5質量%の範囲が好ましく、1質量%〜5質量%の範囲がより好ましい。
前駆体溶液の25℃における粘度は、後述の工程(II)における滴下性がより容易となるという観点から、0.14Pa・s以下であることが好ましく、0.13Pa・s以下であることがより好ましく、0.12Pa・s以下であることがさらに好ましい。
本開示における前駆体溶液の粘度は、JIS Z8803(2011年)に記載される「11.振動粘度計による粘度測定方法」に準拠して、音叉型振動式粘度計を用いて測定することができる。
本開示においては、音叉型振動式粘度計として、(株)エー・アンド・デイ製、音叉型振動式粘度計SV−10を用いて、25℃にて測定した結果を、液の密度(g/cm)で除した値を粘度として採用している。
酢酸インジウム及び酢酸スズと、炭素数6〜20のカルボン酸を含む溶媒と、を混合した後、加熱して前駆体溶液を調製する。
加熱によって酢酸インジウム及び酢酸スズが溶解し、炭素数6〜20のカルボン酸が配位した前駆体(例えばオレイン酸を使用した場合であればインジウムオレイト及びスズオレイト)の溶液を得ることができる。
工程(I)において、カルボン酸インジウム及びカルボン酸スズを、インジウムとスズとの総量に対するスズの量(〔Sn/(In+Sn)〕)が、モル比で0.05〜0.15となる量で用いることが好ましい。
即ち、酢酸インジウムと、酢酸スズとは、インジウムとスズとの総量に対するスズの量(〔Sn/(In+Sn)〕)が、モル比で0.05〜0.15となる量を秤量して混合することが好ましい。
インジウムとスズとを上記のモル比の範囲で含むことで、光学フィルタ、光学レンズ等の光学材料用途に好適に用いることができるプラズモン共鳴ピークが1900nm以下程度のITO粒子が得られやすい。
前駆体溶液に含まれる金属の総モル濃度は、0.1mmol(ミリモル)/mL以上であることが好ましく、0.3mmol/mL以上であることがより好ましい。
ここで、金属のモル総濃度とは、前駆体溶液に含まれるインジウムとスズとの合計量を基準とした値である。
前駆体溶液中の金属のモル濃度を上記範囲とすることで、ITO粒子の収量を容易に高くすることが可能となる。
前駆体溶液に含まれる金属の総モル濃度の上限には特に制限はないが、溶解性がより良好であるという観点からは、5mmol/mL以下とすることができる。
前駆体溶液を調製する際の加熱温度及び加熱時間は、用いる酢酸インジウム、酢酸スズ、及び炭素数6〜20のカルボン酸を含む溶媒の種類と含有量とによって適宜選択される。
例えば、原料として酢酸インジウム及び酢酸スズ(IV)を用い、溶媒としてオレイン酸を用いる場合、140℃〜160℃の温度上限で、1時間程度加熱することが好ましい。上記条件により、黄色透明な前駆体溶液を得ることができる。
なお、前駆体溶液の調製に際しては、反応系内に、酸素、水等の不純物が混入することを避ける目的で、原料の混合は酸素濃度及び水分濃度が制御されたグローブボックス内等で行うことが好ましい。また、原料と溶媒とを加熱し、前駆体溶液を調製する際には、例えば、図1に示す如き反応器10内に、窒素等の不活性ガスをフローさせて行うことが好ましい。
得られた前駆体溶液は、前駆体溶液中に含まれる酢酸濃度が適切な範囲に維持されていることから、次工程における滴下に適した粘度及び物性が長期間維持される。さらに、経時により前駆体溶液の温度が常温(25℃)近傍に低下した場合でも、大きな粘度の上昇及び析出物の発生が抑制され、安定な前駆体溶液となる。
得られた前駆体溶液は、例えば、シリンジ内に充填して、次工程(工程(II))に適用することができる。前駆体溶液を、工程(II)に適用するために滴下用のシリンジ内に充填する際には、酸素や水の混入を避けるため、充填作業は酸素濃度及び水分濃度が制御されたグローブボックス中等で行うことが好ましい。
制御された酸素濃度及び水分濃度の条件としては、例えば、酸素濃度が5ppm以下、水分濃度が1ppm以下等の条件が例示されるが、これに限定されない。なお、ここで、ppmは体積基準である。
〔工程(II)〕
工程(II)は、工程(I)で得られた前駆体溶液を、230℃〜320℃の炭素数14〜22のヒドロキシ基を有する溶媒中に滴下し、インジウムスズ酸化物粒子を含む反応液を得る工程である。
工程(I)で得られた前駆体溶液は、粘度の上昇が抑制され、滴下に適した粘度、例えば、25℃における粘度が0.14Pa・s以下に維持されているため、滴下する際にシリンジを用いる場合でも過剰な圧力を加えることなく、任意の速度にて容易に滴下することができる。このため、本開示の製造方法における工程(I)で得られた前駆体溶液は、工程(II)における滴下速度の調整も容易であるという利点を有する。滴下速度の調整が容易であるという利点は、工程(II)において前駆体溶液の滴下速度を速める際に有利であるといえる。
(ITO粒子の合成用溶媒)
反応液の調製には、炭素数14〜22のヒドロキシ基を有する溶媒を用いる。上記溶媒は、反応温度における安定性の観点から選択される。以下、炭素数14〜22のヒドロキシ基を有する溶媒を合成用溶媒と称することがある。
工程(II)に用いる合成溶媒は、炭素数14〜22の炭化水素基とヒドロキシ基とを有する化合物である。
合成用溶媒の炭素数、即ち、合成用溶媒が有する炭化水素基の炭素数は、14〜22であり、16〜20が好ましい。
合成用溶媒における炭化水素基は、上記炭素数の範囲において、直鎖状であってもよく、分岐を有していてもよく、環構造を有していてもよい。なかでも、合成用溶媒における炭化水素基は、直鎖状の炭化水素基であることが好ましい。炭化水素基は、飽和炭化水素基であってもよく、不飽和炭化水素基であってもよい。
なかでも、好ましい合成用溶媒としては、以下に示す炭素数14〜22の直鎖状炭化水素基とヒドロキシ基とを有する合成用溶媒が挙げられる。
炭素数14〜22の直鎖状炭化水素基とヒドロキシ基とを有する溶媒としては、具体的には、ミリスチルアルコール、ステアリルアルコール、パルミチルアルコール、ベヘニルアルコール、アラキジルアルコール、パルミトレイルアルコール、オレイルアルコール、リノレイルアルコール、ドコセノール等が挙げられる。
合成用溶媒は、上記例示された溶媒からなる群より選ばれた1種又は2種以上の溶媒を含むことが好ましい。
合成用溶媒としては、沸点が反応温度より十分に低く、且つ、反応後に室温冷却した際に固体にならない融点を有し、作業性が良好であるという観点から、パルミトレイルアルコール、オレイルアルコール、及びリノレイルアルコールからなる群より選ばれた1種又は2種以上の溶媒を含むことがより好ましく、オレイルアルコールを含むことがさらに好ましい。
ヒドロキシ基を有する上記合成用溶媒を230℃〜320℃の温度条件に加熱し、工程(I)で得られたインジウム及びスズにカルボン酸が配位した前駆体溶液を滴下することで、反応液中でITO粒子が形成される。反応のメカニズムとしては、ヒドロキシ基とカルボン酸によるエステル化反応に伴って、Metal−OHが形成され、更に脱水反応が進むことでMetal−O−Metalの結合が形成されると推測される。
反応に際しては、既述のヒドロキシ基を有する合成用溶媒を三口フラスコ等の反応容器に投入し、加熱する。反応容器に合成用溶媒を投入する際は、反応系内への、酸素及び水の混入を避けるため、酸素濃度及び水分濃度が制御されたグローブボックス中等で行うことが好ましい。
合成用溶媒の加熱温度は、ITO粒子が形成される温度であれば特に制限はない。合成用溶媒の加熱温度としては、ITO粒子が形成されやすい温度である230℃〜320℃とすることができる。例えば、合成用溶媒としてオレイルアルコールを用いる場合であれば、230℃〜320℃が好ましく、250℃〜300℃がより好ましく、280℃〜300℃がさらに好ましい。
(合成)
予め加熱された炭素数14〜22のヒドロキシ基を有する溶媒中に、工程(I)で得た前駆体溶液を滴下することで、合成用溶媒中における反応によりITO粒子を得る。
滴下速度は、用いる前駆体溶液に含まれるインジウム原料及びスズ原料の種類、及び前駆体溶液の濃度などに応じて適宜調製することができる。なかでも、ITO粒子をより効率よく生成し得るという観点から、前駆体溶液は1.0mL/min以上の滴下速度で滴下することが好ましく、1.5mL/min以上の滴下速度で低下することがより好ましい。
また、滴下速度には特に上限はないが、設備コストの観点から、100mL/min以下とすることができる。
滴下速度を1.0mL/min以上とすることで、例えば、前駆体溶液の、反応系に対する総滴下量を50mL以上とすることができ、ITO粒子を効率よく生成させることができる。
前駆体溶液の滴下量は、前駆体溶液の組成、用いるアルコール等の合成用溶媒の量などにより適宜調製することができる。滴下量は50mL以上が好ましく、100mL以上がより好ましい。また、設備コストの観点から、5L以下とすることが好ましい。
この際、エステル化反応に伴って水、遊離した酢酸等が発生するため、反応系内に窒素等の不活性ガスをフローし、発生した水、酢酸等を系外に排出させることが、エステル化反応がより進行しやすくなり、ITO粒子の収率がより向上するという観点から好ましい。
窒素等の不活性ガスの流量は、反応スケール、滴下速度などによって適宜調整される。なお、不活性ガスの流量が少なすぎる場合、水、酢酸等の系外への排出が十分行えず、反応液に突沸が発生する懸念がある。このため、窒素等の不活性ガスの流量は、水、酢酸等を十分系外へ除去することが可能な流量を設定することが好ましい。
なお、生成された、水、酢酸等は系外に排出することが好ましいが、一方で、反応液中の炭素数14〜22のヒドロキシ基を有する溶媒は系外に排出せず、反応液中に保持されることが好ましい。
このような観点からは、工程(II)においてITO粒子の合成に使用される反応器は、工程(I)で前駆体溶液の製造に使用された、図1に示す如き、反応槽と冷却管との間に適切な容量のディーン・スタークトラップが配置された反応器を用いることが好ましい。
適切な容量のディーン・スタークトラップが配置された反応器を適用することで、合成用溶媒に比較して比重のより重い酢酸及び水は、ディーン・スタークトラップに貯留され、より比重の軽い炭素数14〜22のヒドロキシ基を有する溶媒のみを系内に戻すことが可能となる。従って、反応が一定期間継続して行われる場合においても、水などに比較して沸点が低く、より揮発しやすい合成用溶媒は冷却により反応槽に戻り、充分な量の合成用溶媒中で既述の反応が継続されることになる。
なお、反応液中における炭素数14〜22のヒドロキシ基を有する溶媒中に含まれるヒドロキシ基の含有量をAモルとし、上記前駆体溶液に含まれる炭素数6〜20のカルボン酸の含有量をBモルとした場合、AとBとが下記式(I)の条件を満たすことが好ましく、下記式(II)の条件を満たすことがより好ましい。
B/(A+B)<0.5 式(I)
B/(A+B)<0.46 式(II)
上記式(I)の条件を満たすことによって、エステル化反応が進行しやすくなり、ITO粒子の収率が向上する。
なお、反応に際しては、ITO粒子の収率がより良好となるという観点から、下記式(III)を満たすことが好ましい。
0.1<B/(A+B)<0.5 式(III)
なお、上記B/(A+B)の値は、工程(I)において前駆体液の調製に用いるカルボン酸の量、アルコール溶媒の量と、それぞれの分子量からモル数を計算することで算出することができる。
工程(II)において、安定な前駆体溶液と合成用溶媒とを反応させ、エステル化反応が十分に進行することにより、ナノオーダーのサイズを有するITO粒子が生成する。
本開示の製造方法においては、工程(I)で得た前駆体溶液は安定性が良好で、経時後も優れた滴下性が維持されるため、効率のよいITO粒子の合成が可能となる。滴下性が良好であることで、特に工程(II)において滴下速度が高い場合に、本開示の効果が著しいといえる。
本開示の製造方法は、既述の工程(I)及び工程(II)以外に、任意の工程をさらに含んでいてもよい。
任意の工程としては、形成されたITO粒子を所定の温度に保持する工程(工程(III))、反応液に分散されたITO粒子を精製する工程(工程(IV))などが挙げられる。
〔工程〔III)〕
本開示のITO粒子の製造方法では、工程(II)において前駆体溶液の滴下を終了した後に、所望により、得られた反応液を、例えば、230℃〜320℃の温度条件下で、60分以上180分以下保持する工程(工程(III))を行うことができる。
工程(II)において、前駆体溶液の滴下を完了した後、得られた反応液は、すぐに冷却せず、例えば、230℃〜320℃の温度条件で、例えば、60分間〜180分間保持することで、得られるITO粒子の物性がより向上する。
反応液の温度は、上記例示した保持時間の範囲内で、上記例示した如き230℃〜320℃の範囲に保持されれば、保持時間において必ずしも一定温度に保持する必要はない。反応液の温度を上記例示した範囲に保持するに際し、例えば、保持時間の当初は温度条件を230℃として、好ましい上限値である320℃以下の所定の温度まで徐々に昇温してもよく、当初の温度を好ましい上限値である320℃として、好ましい下限値である230℃以上の所定の温度まで徐々に降温してもよい。また、温度調整機構を付した反応容器を用いる場合、多少の温度変動があっても、反応液の温度を好ましい温度範囲である230℃〜320℃の範囲に保持する態様をとってもよい。
工程(II)における反応温度(反応液の温度)と、工程(III)における保持温度とは、それぞれの規定された温度範囲であれば、互いに同じであってもよく、異なっていてもよい。
反応液の保持温度は、230℃〜320℃の範囲が好ましく、250℃〜310℃の範囲がより好ましく、280℃〜300℃の範囲がさらに好ましい。
上記温度に反応液を保持する時間は、60分間〜180分間が好ましく、75分間〜150分間がより好ましい。
上記温度範囲で上記時間保持することにより、反応時の滴下速度を上げた際に懸念されるITO粒子の欠陥が補償されることが期待できる。
即ち、所望により工程(III)を設けることにより、ITO粒子のプラズモン共鳴ピークをより低くすること、具体的には、例えば、1800nm以下程度とすることが容易となり、得られたITO粒子の吸収粒子は、近赤外線領域により良好な吸収を有することが期待できる。
〔工程〔IV)〕
既述の工程(II)又は所望により行われる工程(III)の後に、反応液に分散されたITO粒子を精製する工程〔工程(IV)〕を行うことができる。
工程(IV)は、工程(II)又は工程(III)の後に、反応液を冷却し、遠心分離又は濾過分離によりITO粒子のみを抽出し、抽出されたITO粒子を非極性溶媒、例えば、トルエン、ヘキサン、オクタン、ベンゼン、クロロホルム等に再分散させることを含む。
なお、反応液を冷却し、遠心分離又は濾過分離を行ってITO粒子を抽出するに先立ち、ITO粒子の分離及び抽出をより効率的に行う目的で、反応液に、合成されたITO粒子に対して貧溶媒として機能する溶媒を1種又は2種以上添加してもよい。
合成されたITO粒子に対して貧溶媒として機能する溶媒を添加することで、合成されたITO粒子の分散性が低下して凝集し易くなり、且つ、引き続き行われる遠心分離又は濾過分離において、より効率的にITO粒子を捕集することができる。
合成されたITO粒子に対して貧溶媒として機能する溶媒としては、既述のITO粒子の適度な凝集促進効果を奏しうるという観点から、エタノール及びアセトンが好ましく、エタノールがより好ましい。
合成されたITO粒子に対して貧溶媒として機能する溶媒の添加量には特に制限はなく、例えば、目視にて反応液中のITO粒子の凝集による白濁が認められる量の貧溶媒を添加することで、目的とする適度な凝集促進効果を得ることができる。
抽出されたITO粒子を非極性溶媒に再分散させることで、反応溶液中の不純物を除去したITO粒子分散液を得ることができる。工程(IV)によって、不純物を除去し、不純物が除去されたITO粒子を非極性溶媒中に分散させることで、分散性のより良好なITO粒子分散液を得ることができる。
なお、工程(IV)、即ち、遠心分離又は濾過分離によるITO粒子の抽出と、非極性溶媒中への再分散とは、1回のみ行ってもよく、複数回行ってもよい。
(ITO粒子の組成の確認方法)
本開示の製造方法により得られたITO粒子におけるインジウムの含有量及びスズの含有量は、ICP質量分析法(Inductively Coupled Plasma Mass Spectrometry)により測定される。
(ITO粒子の粒径)
本開示の製造方法により得られるITO粒子の数平均粒径は、10nm以上30nm以下であることが好ましく、15nm以上25nm以下であることがより好ましく、20nm以上25nm以下であることが更に好ましい。
数平均粒径が上記範囲であることで、ITO粒子を硬化性組成物等に配合する際において、可視光領域の散乱が抑制され、且つ、組成物の粘度の上昇が抑制されやすい。組成物の粘度の上昇が抑制されることにより、粒子をより高濃度に分散させることができ、その結果、より低アッベ数である硬化性組成物を得ることが可能となる。
上記数平均粒径は、粒子を透過型電子顕微鏡(TEM)によって観察し、少なくとも100個の粒子の円相当径を算出して、その算術平均値を算出することにより得られる。
また、共鳴ピークを急峻に制御する観点から、数平均粒径の標準偏差が5nm以下であることが望ましく、3nm以下であることがより望ましい。
上記標準偏差は、粒子を透過型電子顕微鏡(TEM)によって観察し、少なくとも100個の粒子の円相当径を算出して、その標準偏差を算出することにより得られる。
(ITO粒子の使用態様)
本開示の製造方法により得られるITO粒子は、硬化性組成物に含有させて光学材料として使用することができる。
硬化性組成物(以下、単に「組成物」と称することがある。)としては、既述の本開示の製造方法により得られるITO粒子と、重合性化合物と、を含む組成物が挙げられる。
硬化性組成物は、外部からのエネルギー付与により硬化する組成物であり、熱又は光により硬化する組成物であることが好ましく、光により硬化する組成物であることがより好ましい。
以下、本開示の製造方法により得られるITO粒子を含む硬化性組成物の好ましい態様について、硬化性組成物の製造方法とともに記載する。
<硬化性組成物の製造方法>
本開示の製造方法により得られたインジウムスズ酸化物粒子を含む硬化性組成物の製造方法には、特に制限はなく、公知の硬化性組成物の製造方法を適宜適用することができる。なかでも、以下に示す本開示の硬化性組成物の製造方法により製造されることが好ましい。
本開示の硬化性組成物の製造方法は、既述の本開示の製造方法により、インジウムスズ酸化物粒子を得る工程(工程(I)+工程(II):第1の工程)と、得られたインジウムスズ酸化物粒子と、重合性化合物と、を混合し、近赤外線領域に吸収を有する硬化性組成物を得る工程(工程(V):第2の工程)と、を含む。
インジウムスズ酸化物粒子を得る工程は、工程(I)及び工程(II)に加え、さらに、任意の工程である工程(III)、工程(IV)等を含んでいてもよい。
硬化性組成物を光学材料として使用する場合には、低屈折率であり、且つ、低アッベ数の組成物であることが好ましい。各特性については後述する。
アッベ数とは、下記式1により算出される値である。
アッベ数ν=(n−1)/(n−n) 式1
式1中、nはD線(波長587.56nm)に対する屈折率を、nはF線(波長486.1nm)に対する屈折率を、nはC線(波長656.3nm)に対する屈折率を、それぞれ表している。なお、屈折率の測定方法については後述する。
なお、上記C線、D線及びF線はフラウンホーファー線におけるC線、D線及びF線である。
本開示の製造方法により得られるITO粒子は、既述のように、プラズモン共鳴吸収のピーク波長が、近赤外領域(例えば、好ましくは波長1800nm以下)に存在することで、低アッベ数の硬化性組成物を実現することが可能となる。低アッベ数の硬化性組成物はり、回折格子レンズとして用いた場合の性能向上が期待できる。また、低アッベ数の硬化性組成物の使用は、光学素子の設計の自由度の向上につながる。
〔硬化性組成物の製造方法における第1の工程〕
本開示の硬化性組成物の製造方法における第1の工程は、ITO粒子を製造する工程であり、既述の本開示の製造方法である工程(I)及び工程(II)によるITO粒子を製造する工程と同様であり、好ましい態様も同じである。
なお、第1の工程で、溶媒中に分散された状態で得られるITO粒子は、反応液に分散された状態であるため、反応液に分散されたITO粒子に対し、例えば、エタノール等の貧溶媒を加えて、ITO粒子の分散性をある程度低下させ、遠心分離を行い、粒子を沈降させた後、上澄みを除去し、トルエンに再分散させる工程を行なう等の、既述のITO粒子を精製する工程(工程(IV))を実施してもよい。ITO粒子を精製する工程は、必要に応じて複数回繰り返してもよい。
〔硬化性組成物の製造方法における第2の工程:工程(V)〕
本開示の硬化性組成物の製造方法は、第2の工程として、得られたインジウムスズ酸化物粒子と、重合性化合物と、を混合する工程を有する。
インジウムスズ酸化物粒子と、重合性化合物と、を混合する方法には、特に制限はない。
撹拌、混合は、目視にて、分離が認められず、均一な混合物を得るまで行なうことが好ましい。
(ITO粒子の含有量)
第2の工程において、ITO粒子と重合性化合物とを混合するに際し、用いるITO粒子の量は、得られる硬化性組成物におけるITO粒子が、組成物の全固形分に対し、18質量%以上となる量であることが好ましく、38質量%以上であることがより好ましく、43質量%以上であることがさらに好ましい。
また、含有量は、組成物の全固形分に対し、80質量%以下であることが好ましく、75質量%以下であることがより好ましく、70質量%以下であることが更に好ましい。
本開示において「全固形分」とは、組成物における溶剤等の揮発性成分を除いた成分の総量を指す。
硬化性組成物中のITO粒子の含有量は、組成物を、熱質量分析を行って、完全に液体成分が除去できる温度(例えば、500℃)まで加熱した後の残留固形成分を上記ITO粒子とみなすことにより、測定対象の硬化性組成物の全固形分に対するITO粒子の質量含有量として算出することができる。
(重合性化合物)
本開示の硬化性組成物の製造方法において用い得る重合性化合物について説明する。
既述の本開示の製造方法により得られたITO粒子と、重合性化合物とを混合することにより、ITO粒子と重合性化合物とを含有する硬化性組成物を得ることができる。
重合性化合物としては、重合し、硬化し得る化合物であれば特に限定されない。重合性化合物としては、ラジカル重合性化合物が好ましく、分子内にエチレン性不飽和基を少なくとも1つ有するエチレン性不飽和化合物であることがより好ましい。
エチレン性不飽和化合物としては、硬化性組成物の硬化後の屈折率を、例えば回折格子レンズに用いる場合に好適な値である1.5〜1.55程度としやすい観点からは、エチレン性不飽和基を2以上有する多官能エチレン性不飽和化合物が好ましく、(メタ)アクリロキシ基を2以上有する多官能(メタ)アクリレート化合物がより好ましい。
多官能エチレン性不飽和化合物としては、1,4−ジビニルシクロヘキサン、1,4−シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテル、ジビニルベンゼン、1,6−ジビニルナフタレン、エトキシ化ビスフェノールAジビニルエーテル、プロポキシ化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート;ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノールジアクリレート、トリ(アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、トリス(2−アクリロキシエチル)イソシアヌレート及びそれらに類する化合物を挙げることができる。
硬化性組成物は、重合性化合物を1種含有してもよいし、2種以上含有してもよい。
硬化性組成物における重合性化合物の含有量は、硬化性組成物の全固形分に対し、15質量%〜85質量%であることが好ましく、20質量%〜70質量%であることがより好ましく、30質量%〜60質量%であることがさらに好ましい。
(重合開始剤)
硬化性組成物は、重合開始剤を含有することが好ましい。
硬化性組成物を、紫外線硬化型硬化性組成物とする観点からは、重合開始剤として光重合開始剤を含有することが好ましい。
重合開始剤は、硬化性組成物に含有される重合性化合物に応じて適宜選択することができる。例えば、硬化性組成物が重合性化合物としてラジカル重合性化合物を含む場合、所望により含まれ得る重合開始剤はラジカル重合開始剤であることが好ましい。
以下、重合開始剤として好ましい態様である光ラジカル重合開始剤について述べる。
光ラジカル重合開始剤としては、アシルホスフィンオキサイド構造、α−ヒドロキシアルキルフェノン構造、又は、α−アミノアルキルフェノン構造を含む光ラジカル重合開始剤が好ましい。
光ラジカル重合開始剤においては、構造上の制限は特になく、例えば、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルフォスフィンオキサイド、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、2−ヒドロキシ−1−{4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル)ベンジル]フェニル}−2−メチル−プロパン−1−オン、2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オン等を挙げることができる。
光ラジカル重合開始剤は、市販品を用いてもよく、市販品の具体例として、BASF社製のイルガキュア(登録商標)シリーズ(例:IRGACURE TPO、IRGACURE 819、IRGACURE 651、IRGACURE 184、IRGACURE 1173、IRGACURE 2959、IRGACURE 127、IRGACURE 907)等が挙げられる。
硬化性組成物が重合開始剤を含む場合、重合開始剤を、1種単独で含んでいてもよく、2種以上を含んでいてもよい。
硬化性組成物が重合開始剤を含む場合の重合開始剤の含有量としては、硬化性組成物を用いて得られる硬化物の耐摩耗性及び高温延伸性の観点から、重合性化合物の全質量に対して、0.05質量%以上10質量%以下が好ましく、0.1質量%以上10質量%以下がより好ましく、0.1質量%以上5質量%以下が更に好ましく、0.5質量%以上3質量%以下が特に好ましい。
(分散剤)
硬化性組成物は、分散剤を含有してもよい。
分散剤を含むことによって、ITO粒子の硬化性組成物における分散性をより高めることができ、結果として、得られる硬化性組成物は、高い可視光透過特性、低アッベ数等を実現し易くなる。
硬化性組成物が含み得る分散剤としては、カチオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤及び両性界面活性剤が有効である。また、アンモニアなどの塩基性化合物を用いることもできる。
分散剤、及び分散剤として機能する界面活性剤としては、特にポリエステル系化合物、ε−カプロラクトン系化合物、ポリカルボン酸塩、ポリリン酸塩、ハイドロステアリン酸塩、アミドスルホン酸塩、ポリアクリル酸塩、オレフィンマレイン酸塩共重合物、アクリル−マレイン酸塩共重合物、アルキルアミン酢酸塩などの有機アミン系化合物、有機リン酸系化合物、アルキル脂肪酸塩、脂肪酸ポリエチレングリコールエステル系化合物、シリコーン系化合物、フッ素系化合物を用いることができる。
なかでも、アンモニア及び有機アミン系化合物よりなる群から選択される少なくとも一種の塩基系分散剤を用いることが好適である。
分散剤は市販品を用いてもよい。市販品としての塩基系分散剤の具体例としては、ディスパービックシリーズ(ビッグケミー・ジャパン社製)、ソルスパースシリーズ(ゼネガ社製)、TAMNシリーズ(日光ケミカル社製)等が挙げられる。ITO粒子への吸着性及び立体障害が大きく分散性を高めやすい観点から、DISPERBYK−161(アミン系)、DISPERNYK−111(リン酸系)が好ましい。
硬化性組成物が分散剤を含む場合、分散剤を1種単独で含有してもよいし、2種以上を含有してもよい。
硬化性組成物が分散剤を含む場合の分散剤の含有量は、硬化性組成物におけるITO粒子の全質量に対し、1質量%〜30質量%であることが好ましく、3質量%〜20質量%であることがより好ましく、5質量%〜15質量%であることがさらに好ましい。
(その他の成分)
硬化性組成物は、ITO粒子、重合性化合物、及び既述の好ましい任意成分である重合開始剤及び分散剤に加え、上記化合物以外の、その他の成分を含有してもよい。
その他の成分としては、溶剤、重合禁止剤、上記分散剤以外の界面活性剤、可塑剤、増感剤等が挙げられる。なお、本開示の硬化性組成物の製造方法においては、得られる硬化性組成物の硬化性をより向上させ、硬化時の膜内部への不均一発生を抑制するため、硬化性組成物には溶剤は含有しないことが好ましい。
これらの各成分を撹拌、混合することにより、硬化性組成物を製造し得る。各成分の混合のタイミングは任意であり、各成分の物性に応じて適切に添加すればよい。
(硬化性組成物の特性)
本開示の硬化性組成物の製造方法により得られる硬化性組成物の好ましい特性を以下に示す。
−アッベ数−
本開示の製造方法により得られるITO粒子を含む硬化性組成物は、低アッベ数を実現可能である。そのような観点からは、得られる硬化性組成物のアッベ数が8〜30であることが好ましく、10〜25であることがより好ましく、10〜20であることがさらに好ましい。
硬化性組成物のアッベ数は、屈折率計を用いて測定することができる。
本開示においては、硬化性組成物は、(株)アタゴ製、屈折率計DR−M2を用いて測定した値を用いている。
−屈折率−
硬化性組成物は、波長589nmの光に対する屈折率nDが、1.40〜1.60であることが好ましく、1.40〜1.55であることがより好ましい。
本開示における屈折率は、既述のように、(株)アタゴ製、屈折率計DR−M2を用いて測定される。
−可視光透過率−
本開示に係る硬化性組成物の、波長405nmにおける可視光透過率(以下、単に「透過率」と称することがある。)は、85%〜100%であることが好ましく、90%〜100%であることがより好ましい。
可視光透過率は、分光光度計を用いて測定することができる。
本開示における可視光透過率は、日本分光(株)製、分光光度計V−670を用いて測定された、光路長10μmに換算した場合の値を採用している。
(硬化性組成物の用途)
本開示の硬化性組成物の製造方法により得られる硬化性組成物は、低アッベ数、且つ低屈折率の光学材料の製造に好ましく用いることができ、特に、回折格子レンズの製造用として好ましく用いられる。なお、本開示の製造方法により得られた硬化性組成物の用途は上記に限定されない。
以下に実施例を挙げて本発明の実施形態を更に具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、及び、処理手順等は、本発明の実施形態の趣旨を逸脱しない限り、適宜、変更することができる。したがって、本発明の実施形態の範囲は以下に示す具体例に限定されない。
なお、特に断りのない限り、以下の実施例において「部」、「%」は質量基準である。
(実施例1)
まず、フラスコ中に187.5mL(ミリリットル)のオレイン酸(シグマアルドリッチ社製、technical grade、90%)と、25.151g(87mmol(ミリモル))の酢酸インジウム(Alfa Aesar社製、99.99%)と、2.697g(8.5mmol)の酢酸スズ(IV)(Alfa Aesar社製)と、を投入し、窒素フロー中の環境下、160℃で2時間加熱して黄色透明な前駆体溶液を得た(工程(I))。
工程(I)における前駆体溶液中の調製は、図1に示す如き、フラスコ上部にディーン・スタークトラップ及び冷却管を配置した反応器を用いて行った。ディーン・スタークトラップにガラスビーズを投入してディーン・スタークトラップの容量を13mLに調整することで、生成した酢酸のうち13mLをディーン・スタークトラップ内に貯留させることで系中から除去した。
得られた前駆体溶液の酢酸濃度を核磁気共鳴分光計(NMR)によって評価したところ、酢酸濃度は0.5%であった。
NMRは、BRUKER社製、AVANCE III HD(600MHz)を用い、以下の条件で測定を行った。
<条件>
核種 1H
ロック溶媒 重クロロホルム
緩和待ち時間 2s
積算回数 16回
内部標準:ベンゼン
得られた前駆体溶液の25℃における粘度を、(株)エー・アンド・デイ製、音叉型振動式粘度計SV−10で評価し、粘度を算出したところ、0.115Pa・sであった。
別のフラスコにオレイルアルコール(富士フイルムワコーケミカル(株)製、純度80〜85%)225mLを加え、窒素フロー中で285℃にて加熱した。
工程(I)で得た前駆体溶液を、シリンジポンプを用いて、285℃に加熱したオレイルアルコール中に、1.75mL/minの速度で滴下した(工程(II))。
なお、前駆体溶液は、酸素濃度1ppmの環境下で、シリンジに注入した。
前駆体溶液の滴下が終了した後、得られた反応液の温度を285℃に維持し、60分間保持し、その後、加熱を停止し、室温(25℃)まで冷却した。
ここで、反応液中におけるオレイルアルコールに含まれるヒドロキシ基の含有量をAモルとし、前駆体溶液に含まれるオレイン酸の含有量をBモルとした場合、AとBとは以下の関係を満たすことを確認した。なお、以下の値は、上記B/(A+B)の値は、工程(I)において前駆体溶液の調製に用いるオレイン酸の量、及びオレイルアルコールの量と、それぞれの分子量からモル数を計算することで算出した。
B/(A+B)=0.455
また、酢酸インジウム及び酢酸スズの仕込み量から算出した前駆体溶液に含まれる金属の総モル濃度は、0.5mmol/mLであった。
得られた反応液を遠心分離して、生成したITO粒子を沈降させた後、上澄みを除去して、ITO粒子の沈降物を得た。
得られたITO粒子の沈降物に対し、下記a)及びb)からなる処理を2回行い、ITO粒子を精製した。(工程(IV))
a)ITO粒子の沈降物にトルエン300mLを加えてITO粒子を再分散させた液に、エタノール300mLを加えて白濁させる。
b)白濁させた液を遠心分離してITO粒子を沈降させた後、上澄みを除去して、ITO粒子の沈降物を得る。
精製されたITO粒子の沈降物に、トルエン300mlを加えて再分散させ、オレイン酸配位のITO粒子のトルエン分散液を得た。
得られたITO粒子を、既述の方法に従い、TEM観察して粒径を測定したところ、数平均粒径は21nmであった。
(実施例2)
実施例1において、工程(I)において、ディーン・スタークトラップ内に投入するガラスビーズの量を調整し、生成した酢酸のうち8.9mLをディーン・スタークトラップ内に貯留させることで系中から除去した以外は、実施例1と同様の方法でITO粒子のトルエン分散液を得た。
なお、工程(I)で得られた前駆体溶液中の酢酸濃度及び粘度を実施例1と同様にして測定した。
その結果、前駆体溶液の酢酸濃度は3%であり、粘度は、0.125Pa・sであった。
(実施例3)
実施例1において、工程(I)において、ディーン・スタークトラップ内に投入するガラスビーズの量を調整し、生成した酢酸のうち6.3mLをディーン・スタークトラップ内に貯留させることで系中から除去した以外は、実施例1と同様の方法でITO粒子のトルエン分散液を得た。
なお、工程(I)で得られた前駆体溶液中の酢酸濃度及び粘度を実施例1と同様にして測定した。
その結果、前駆体溶液の酢酸濃度は4.5%であり、粘度は、0.11Pa・sであった。
(実施例4)
実施例1において、工程(I)において、ディーン・スタークトラップ内に投入するガラスビーズの量を調整し、生成した酢酸のうち3.8mLをディーン・スタークトラップ内に貯留させることで系中から除去した以外は、実施例1と同様の方法でITO粒子のトルエン分散液を得た。
なお、工程(I)で得られた前駆体溶液中の酢酸濃度及び粘度を実施例1と同様にして測定した。
その結果、前駆体溶液の酢酸濃度は6%であり、粘度は、0.14Pa・sであった。
(比較例1)
実施例1において、工程(I)において、ディーン・スタークトラップとして、容量が15mLのものを配置し、生成した酢酸の全てを系中から除去した以外は、実施例1と同様の方法でITO粒子のトルエン分散液を得ることを試みた。
なお、工程(I)で得られた前駆体溶液中の酢酸濃度及び粘度を実施例1と同様にして測定した。
その結果、前駆体溶液の酢酸濃度は検出限界以下(0.1%以下)であった。このため、下記表1には、0%と記載した。前駆体溶液の粘度は、4.00Pa・sと非常に高くなった。得られた高粘度の前駆体溶液を、実施例1と同様の手法で加熱したオレイルアルコール中に滴下することを試みたが、前駆体液の粘度が高いために、シリンジを用いて1.75ml/minの滴下速度にて滴下することはできなかった。このため、その後の評価を行わなかった。
(比較例2)
実施例1の工程(I)において、ディーン・スタークトラップ内に投入するガラスビーズの量を調整し、生成した酢酸のうち2.9mLをディーン・スタークトラップ内に貯留させることで系中から除去した以外は、実施例1と同様の方法で前駆体溶液を得た。
工程(I)で得られた前駆体溶液中の酢酸濃度及び粘度を実施例1と同様にして測定した。
その結果、前駆体溶液の酢酸濃度は6.5%であり、粘度は、0.22Pa・sであった。前駆体溶液を目視で観察したところ、白濁し、沈澱物が形成され、均一な前駆体溶液は得られなかった。
得られた白濁した前駆体溶液を用いて、実施例1と同様にして、シリンジポンプを用いて、加熱したオレイルアルコール中に、1.75mL/minの速度で滴下し、実施例1と同様にしてITO粒子のトルエン分散液を得た。
実施例1〜実施例4及び比較例1〜比較例2の製造方法において作製された前駆体溶液に含まれる酢酸濃度と前駆体溶液の粘度とを下記表1に記載した。
また、それぞれの前駆体溶液中の酢酸濃度と前駆体溶液の粘度との関係をプロットしたものを図2に示す。
<ITO粒子の吸収特性評価>
実施例1〜実施例4及び比較例2の製造方法で得られたITO粒子のトルエン分散液を、トルエンにて固形分濃度0.0025%程度に希釈し、光路長1cmの光学セルを用いて吸収特性を測定した。
装置は日本分光社製、紫外可視近赤外分光光度計V−670を用いて測定した。
得られたITO粒子の吸収ピーク中心波長(λd)を下記表1に併記した。
<硬化性組成物の製造と評価>
実施例1〜実施例4及び比較例2の製造方法により得られたITO粒子のトルエン分散液(ITO粒子の含有量420mg)に対し、分散剤として、ビッグケミー・ジャパン社製、DISPERBYK−106を36μL(マイクロリットル)加え、さらに、重合性化合物である1,6−ヘキサンジオールジアクリレートを533μL加えて、ホットスターラーにより40℃で1時間撹拌、混合して混合液を得た。(硬化性組成物の製造方法の第2の工程)
得られた混合液に対し、エバポレータを用いてトルエン溶媒を除去することにより、重合性化合物としてのアクリレート化合物にITO粒子が分散したITO粒子含有硬化性組成物を得た。得られたITO粒子含有硬化性組成物を、(株)アタゴ製、屈折率計DR−M2を用いて評価した。
即ち、実施例及び比較例のITO粒子のトルエン分散液について、既述の手法によりITO粒子を含む硬化性組成物を作製し、硬化性組成物の屈折率及びアッベ数を評価した。
近赤外領域のプラズモン共鳴が強い試料の場合には、硬化性組成物を0.01質量%程度まで希釈したサンプルを作製し、吸収特性の測定を行った。
アッベ数とは、可視光領域における屈折率の波長分散を示す指標であり、アッベ数νdは以下の式により算出される。
アッベ数(ν)は、下記式1により算出される値である。
アッベ数 ν=(n−1)/(n−n) 式1
式1中、nはD線(波長587.6nm)に対する屈折率を、nはF線(波長486.1nm)に対する屈折率を、nはC線(波長656.3nm)に対する屈折率を、それぞれ表している。
なお、上記C線、D線及びF線はフラウンホーファー線におけるC線、D線及びF線である。評価結果を表1に併記した。
Figure 0006969006
表1に記載した結果から、実施例の製造方法により得られた前駆体溶液は、粘度が適切な範囲に維持され、滴下性が良好であることがわかる。そして、各前駆体溶液を用いて、各実施例の製造方法により生成されたITO粒子の吸収ピーク中心波長は、1800nm以下であり、且つ、当該ITO粒子を含む硬化性組成物は、アッベ数(νd)が17以下となり、波長分散が大きいことがわかる。
なお、硬化性組成物のアッベ数が低いことにより、硬化性組成物の硬化物のアッベ数も低い値となることが期待できる。
このため、実施例の製造方法により得られた硬化性組成物は、回折格子として用いた際に回折格子の高さを低くすることが可能となり、フレアの発生を大幅に低減させることが可能となる。従って、本開示の製造方法により得られたITO粒子及び硬化性組成物は、光学材料等の種々の用途に好適に使用し得る。
他方、比較例2において得られた前駆体溶液は、粘度が0.22Pa・sであり、若干の粘度向上を生じたが、工程(II)における滴下は可能であった。しかし、白濁を生じた前駆体溶液を用いて作製されたITO粒子は、実施例の製造方法により得られたITO粒子に比較して、吸収ピーク中心波長がより長波長側にシフトし、当該ITO粒子を含む硬化性組成物のアッベ数も実施例により得られた硬化性組成物に比較し、より高い値となった。
〔符号の説明〕
10 反応器
12 反応槽
14 冷却管
16 ディーン・スタークトラップ
18 ガラスビーズ

Claims (8)

  1. 酢酸インジウム及び酢酸スズを、炭素数6〜20のカルボン酸を含む溶媒中で加熱して、インジウム及びスズを含む前駆体溶液を得る工程と、
    得られた前駆体溶液を、230℃〜320℃の炭素数14〜22のヒドロキシ基を有する溶媒中に滴下し、インジウムスズ酸化物粒子を含む反応液を得る工程と、を含み、
    前記前駆体溶液中の酢酸濃度が0.5質量%〜6質量%の範囲である、インジウムスズ酸化物粒子の製造方法。
  2. 前記前駆体溶液の25℃における粘度が0.14Pa・s以下である請求項1に記載のインジウムスズ酸化物粒子の製造方法。
  3. 前記インジウムスズ酸化物粒子を含む反応液を得る工程において、前記前駆体溶液を、1.0mL/min以上の滴下速度で滴下する請求項1又は請求項2に記載のインジウムスズ酸化物粒子の製造方法。
  4. 前記前駆体溶液に含まれる金属の総モル濃度が、0.1mmol/mL以上である請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載のインジウムスズ酸化物粒子の製造方法。
  5. 前記炭素数14〜22のヒドロキシ基を有する溶媒中に含まれるヒドロキシ基の含有量をAモルとし、前記前駆体溶液に含まれる炭素数6〜20のカルボン酸の含有量をBモルとした場合、AとBとが下記式(I)の条件を満たす請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載のインジウムスズ酸化物粒子の製造方法。
    B/(A+B)<0.5 式(I)
  6. 前記炭素数6〜20のカルボン酸がオレイン酸を含む請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載のインジウムスズ酸化物粒子の製造方法。
  7. 前記炭素数14〜22のヒドロキシ基を有する溶媒が、オレイルアルコールを含む請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載のインジウムスズ酸化物粒子の製造方法。
  8. 請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載の製造方法により、インジウムスズ酸化物粒子を得る工程と、
    得られたインジウムスズ酸化物粒子と、重合性化合物と、を混合し、近赤外線領域に吸収を有する硬化性組成物を得る工程と、
    を含む硬化性組成物の製造方法。
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