JP6968536B2 - 核酸増幅試薬 - Google Patents

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Description

本発明は、反応特異性及び増幅効率に優れたPCR(polymerase chain reaction)に用いられる核酸増幅試薬に関する。
PCRとは、(1)熱処理によるDNA変性(2本鎖DNAから1本鎖DNAへの解離)、(2)鋳型1本鎖DNAへのプライマーのアニーリング、(3)DNAポリメラーゼを用いた前記プライマーの伸長、という3ステップを1サイクルとし、このサイクルを繰り返すことによって、試料中の標的核酸を増幅する方法である。数コピーといった微量サンプルからでも標的核酸を何十万倍に増幅することができ、研究分野のみならず、遺伝子診断、臨床診断といった法医学分野、あるいは、食品や環境中の微生物検査等においても、広く用いられるようになってきている。
PCRにおいては、反応特異性と増幅効率が重要になってくる。ここで、反応特異性とは、目的のターゲットDNAのみを特異的に増幅する性能であり、反応特異性が低いと、非特異的な増幅やプライマーダイマーが生じ、目的産物の増幅量が減少することにつながる。また増幅効率とは、ターゲットDNAを増幅する効率を示し、増幅効率が100%の理想的なPCRは1サイクルでターゲットDNAが2倍に増幅する。増幅効率が低いと、1サイクルでのターゲットDNAの増幅量が少なくなり、得られる産物量が少なくなることや増幅ターゲットDNAの検出ができなくなることにつながる。
反応特異性、増幅効率を高めるために様々なPCR組成の検討が行われている。例えば、KClやNH4Cl、(NH42SO4、水酸化テトラメチルアンモニウムなど、塩はプライマーのアニーリング力を調節する働きがあり、これらの濃度の至適が反応特異性及び増幅効率を高めるために重要になってくる。また、ベタイン、グリセロール、グリコール類、糖などの添加剤は、プライマーのミスアニーリングを防ぎ、またタンパク質の安定化にも関わるとされており、添加によって反応特異性・増幅効率を高めることが可能になる。
PCRの添加剤としては、複製因子としてDNAポリメラーゼと共同して働くタンパク質因子の添加も検討されている。一本鎖結合タンパク(SSB)は一本鎖に特異的に結合し、核酸の二重螺旋構造を不安定化するため、プライマーのミスアニーリングを防ぐことが示されている。またDNAクランプとして働くPCNAは添加することでポリメラーゼの合成核酸からの解離を防ぎ、増幅効率を高めることが示されている(特許文献1)。
PCRを実施するDNAポリメラーゼについても、反応特異性、増幅効率を高めるためには非常に重要となる。汎用的に用いられるTaq DNAポリメラーゼやTth DNAポリメラーゼではPCR効率や反応特異性を向上させるため様々な変異の検討がなされている。また核酸との結合力を強めるため、SSBを融合させたDNAポリメラーゼも存在する。最近では、ファミリーAに属するDNAポリメラーゼ(汎用的なTaq DNAポリメラーゼ、Tth DNAポリメラーゼなどが該当する。)に比べ、ファミリーBに属するDNAポリメラーゼの方が、増幅効率が高いといったことも示されている。
また、特許文献2においては、ファミリーBに属するDNAポリメラーゼを用いた核酸増幅においてベタインを含有せしめる組成が示されており、PCRパフォーマンスを高めるために、様々な添加剤を用いることが示唆されている。しかしながら、特許文献2に記載されている発明においても、その汎用性の観点などから、十分な要求特性を満たしているとは言い難いところがある。
このように様々な検討が行われているにも関わらず、PCRで十分に増幅しないことが散見される。特に長鎖ターゲットやGC率の高い領域を持つターゲットのDNA増幅では増幅が起こりにくく、また不純物質が含まれる条件でも反応が阻害され、DNA増幅が起こらないことがあった。このような難しい条件でも効率よく増幅することができる、成功率の高い(反応特異性及び増幅効率が高いことをいう。以下同じ。)PCR組成が求められている。
国際公開第2007/004654号パンフレット 特開2010−213689号公報
Carol J.Bultら、Science 第273巻、1996年、第1058−1073頁
DNA複製において、成功率が高い反応組成を提供することを目的とする。さらに本発明の他の目的は、上記の目的に適した核酸増幅試薬を提供することにある。要約すれば、本発明の目的は、塩基類似体存在下の遺伝子の増幅に適したPCR反応試薬を提供することにある。
上記目的を達成するための本発明の核酸増幅試薬は、ファミリーBに属するDNAポリメラーゼと、PCNAと、ベタインを用いることを特徴とする。
すなわち、本発明者らは、上記事情に鑑み鋭意検討した結果、ファミリーBに属するDNAポリメラーゼと、PCNAとを用いる反応系にさらにベタインを添加することで、長鎖ターゲットDNAやGC率の高い領域を持つターゲットDNAの増幅、また阻害物質を含む反応系でも効率的なPCRが可能になることを見出し、本発明を完成するに至った。代表的な本発明は以下の通りである。
[項1]
ファミリーBに属するDNAポリメラーゼ、Proliferating Cell Nuclear Antigen(PCNA)、及びベタインを含む核酸増幅試薬であって、該PCNAが以下の(1)又は(2)に示されるいずれかからなるものであることを特徴とする核酸増幅試薬。
(1)配列番号13に記載のアミノ酸配列において、1乃至数個のアミノ酸残基が置換、欠失、挿入又は付加されているアミノ酸配列からなり、かつ、DNAポリメラーゼ増幅増強活性を有するポリペプチド
(2)配列番号13に記載のアミノ酸配列との相同性が80%以上であるアミノ酸配列からなり、かつ、DNAポリメラーゼ増幅増強活性を有するポリペプチド
[項2]
ファミリーBに属するDNAポリメラーゼ、PCNA及びベタインを含む核酸増幅試薬であって、該PCNAが以下の(1)又は(2)に示されるいずれかからなるものであることを特徴とする核酸増幅試薬。
(1)配列番号14に記載のアミノ酸配列において、1乃至数個のアミノ酸残基が置換、欠失、挿入又は付加されているアミノ酸配列からなり、かつ、DNAポリメラーゼ増幅増強活性を有するポリペプチド
(2)配列番号14に記載のアミノ酸配列との相同性が80%以上であるアミノ酸配列からなり、かつ、DNAポリメラーゼ増幅増強活性を有するポリペプチド
[項3]
ファミリーBに属するDNAポリメラーゼ、PCNA及びベタインを含む核酸増幅試薬であって、該PCNAが以下の(1)又は(2)に示されるいずれかからなるものであることを特徴とする核酸増幅試薬。
(1)配列番号19に記載のアミノ酸配列において、1乃至数個のアミノ酸残基が置換、欠失、挿入又は付加されているアミノ酸配列からなり、かつ、DNAポリメラーゼ増幅増強活性を有するポリペプチド
(2)配列番号19に記載のアミノ酸配列との相同性が80%以上であるアミノ酸配列からなり、かつ、DNAポリメラーゼ増幅増強活性を有するポリペプチド
[項4]
ファミリーBに属するDNAポリメラーゼが、古細菌(Archea)由来のDNAポリメラーゼである項1から3のいずれかに記載の核酸増幅試薬。
[項5]
ファミリーBに属するDNAポリメラーゼが減少した塩基類似体検出活性を有する古細菌DNAポリメラーゼ変異体である項1から4のいずれかに記載の核酸増幅試薬。
[項6]
ファミリーBに属するDNAポリメラーゼが3’−5’エキソヌクレアーゼ活性領域を構成するアミノ酸のいずれかに、少なくとも1つのアミノ酸の改変を有するものである項1から5のいずれかに記載の核酸増幅試薬。
[項7]
PCNAが増幅増強活性を有する変異型PCNAである項1から6のいずれかに記載の核酸増幅試薬。
本発明により、DNA増幅において反応特異性及び増幅効率の優れたPCR組成が提供される。研究分野だけでなく、遺伝子診断などの臨床分野もしくは法医学分野、あるいは食品や環境中の微生物検査等においても広く利用することができる。
長鎖ターゲットDNAの増幅 GC率の高い領域をもつターゲットDNAの増幅 植物ライセートからのDNA増幅 PCNAの多量体形成に関するアミノ酸領域を示す図
以下、本発明の実施形態を示しつつ、さらに詳説する。
本明細書においては、塩基配列、アミノ酸配列及びその個々の構成因子については、アルファベット一文字表記による簡略化した記号を用いる場合があるが、いずれも分子生物学・遺伝子工学分野における慣行に従う。また、本明細書においては、アミノ酸配列の変異を簡潔に示すため、例えば「D143A」などの表記を用いる。「D143A」は、第143番目のアスパラギン酸をアラニンに置換したことを示しており、すなわち、置換前のアミノ酸残基の種類、その場所、置換後のアミノ酸残基の種類を示している。また、配列番号は、特に断らない限り、配列表に記載された配列番号に対応する。また、多重変異体の場合は、上記の表記を「/」でつなげて表す。例えば「D143A/D147A」は、第143番目のアスパラギン酸をアラニンに置換し、かつ、第147番目のアスパラギン酸をアラニンに置換したことを示す。三重変異体以上の多重変異体については、さらに「/」の記号の後に「P36H」などの変異箇所についての情報を追記する。また、本明細書において「変異型PCNA」などという場合の「変異型」とは、従来知られたPCNAとは異なるアミノ酸配列を備えることを意味するものであり、人為的変異によるか自然界における変異によるかを区別するものではない。
(1)核酸増幅試薬
本発明の実施形態の一つは、核酸を増幅させるための試薬であって、
(a)ファミリーBに属するDNAポリメラーゼ、及び
(b)PCNA
(c)ベタイン
の存在下で、DNAの合成反応を行うことを特徴とする核酸増幅試薬である。
(1.1)
本発明における核酸増幅試薬は、DNAポリメラーゼで増幅可能であれば特に限定されない。典型的な核酸増幅方法としてははPCRであるが、本発明の核酸増幅試薬はPCRのみならず、DNAを鋳型とし、1種のプライマー、dNTP(デオキシリボヌクレオチド3リン酸)を反応させることによりプライマーを伸長して、DNAプライマー伸長物を合成する方法にも使用される。具体的には、プライマーエクステンション法、シークエンス法、従来の温度サイクルを行わない方法及びサイクルシーケンス法等を含む。
本発明の核酸増幅試薬に適用される核酸は、DNAポリメラーゼで増幅可能なものであればその長さや配列、GC含量の違いなどに制約を受けず、特に限定されない。前記核酸は、典型的には、アデニン(A)、シトシン(C)、グアニン(G)、チミン(T)で構成されるDNAであるが、本発明の核酸増幅試薬においてはDNAポリメラーゼとして「減少した塩基類似体(本明細書においては、アデニンやシトシン、グアニン、チミン以外の塩基を塩基類似体と称する。)検出活性」を有する変異体を用いてもよいので、アデニンやシトシン、グアニン、チミン以外の塩基、例えばウラシルやイノシンなどを含むものであってもよい。以下、本明細書においては、特に断りのない限り、DNAを構成する塩基には、上記のA、C、G、T及び塩基類似体のいずれを含んでも良いものとする。
本発明の核酸増幅試薬において、PCRの場合の代表的な組成を以下に示すが、これに限定されるものではない。例えば、増幅対象DNAに、
(a)ファミリーBに属するDNAポリメラーゼ
(b)PCNA
(c)ベタイン
のほか、
(d)一方のプライマーが他方のプライマーのDNA伸長生成物に互いに相補的である一対のプライマー
(e)DNA合成基質(デオキシヌクレオチド三リン酸(dNTP))、及び、
(f)マグネシウムイオン、アンモニウムイオン及び/又はカリウムイオンを含む緩衝液溶液を、混合し、
サーマルサイクラー等を用いて反応液の温度を以下の(I)から(IV)で示されるサイクルで上下させることにより、(1)DNA変性、(2)プライマーのアニーリング、(3)プライマーの伸長の熱サイクルを繰り返し、特定のDNA断片を増幅させる。
(I)反応液を94℃程度に加熱し、30秒から1分間温度を保ち、2本鎖DNAを1本鎖に分かれさせる。
(II)60℃程度(プライマーによって若干異なる)にまで急速冷却し、その1本鎖DNAとプライマーをアニーリングさせる。
(III)プライマーの分離がおきずDNAポリメラーゼの活性に至適な温度帯まで、再び加熱する。実験目的により、その温度は60−72℃程度に設定される。DNAが合成されるのに必要な時間、増幅する長さによるが通常1分から2分、この温度を保つ。
(IV)ここまでが1つのサイクルで、以後、(I)から(III)までの手順を繰り返していく事で特定のDNA断片を増幅させる。
上記PCRにおいては、必要に応じて、さらに、BSA、非イオン界面活性剤を用いてもよい。また、さらに、耐熱性DNAポリメラーゼのポリメラーゼ活性及び/又は3’−5’エキソヌクレアーゼ活性を抑制する活性を有する抗体を用いても良い。前記抗体としては、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体などが挙げられる。本反応組成は、PCRの感度上昇、非特異的な増幅の軽減のために特に有効である。
(1.2)
[ファミリーBに属するDNAポリメラーゼ]
本発明の核酸増幅試薬に用いるDNAポリメラーゼは、ファミリーBに属するDNAポリメラーゼである。本発明においてファミリーBに属するDNAポリメラーゼとは、3’−5’エキソヌクレアーゼ活性を有し、5’−3’エキソヌクレアーゼ活性を有さないDNAポリメラーゼをいう。好ましくは古細菌(アーキア、Archea)由来のDNAポリメラーゼである。前記ファミリーBに属するDNAポリメラーゼは、好ましくは古細菌(Archea)由来のDNAポリメラーゼである。
[古細菌由来のDNAポリメラーゼ]
ファミリーBに属する古細菌由来のDNAポリメラーゼとしては、パイロコッカス(Pyrococcus)属及びサーモコッカス(Thermococcus)属の細菌から単離されるDNAポリメラーゼ等が挙げられる。パイロコッカス属由来のDNAポリメラーゼとしては、Pyrococcus furiosus、Pyrococcus sp.GB−D、Pyrococcus Woesei、Pyrococcus abyssi、Pyrococcus horikoshiiから単離されたDNAポリメラーゼを含むが、これらに限定されない。サーモコッカス属に由来するDNAポリメラーゼとしては、Thermococcus kodakaraensis、Thermococcus gorgonarius、Thermococcus litoralis、Thermococcus sp.JDF−3、Thermococcus sp.9degrees North−7(Thermococcus sp.9°N−7)、Thermococcus sp.KS−1、Thermococcus celer、又はThermococcus siculiから単離されたDNAポリメラーゼを含むが、これらに特に限定されない。これらのDNAポリメラーゼは市販されており、Pfu(Staragene)、KOD(東洋紡)、Pfx(Life Technologies)、Vent(New England Biolabs)、Deep Vent(New England Biolabs)、Tgo(Roche)、Pwo(Roche)などがある。なかでもPCR効率の観点から、伸長性や熱安定性の優れたKOD DNAポリメラーゼが好ましい。
また、前記DNAポリメラーゼに、後述の3’−5’エキソヌクレアーゼ領域の改変、及び/又は減少した塩基類似体検出活性を有するような改変を施した変異体を用いても良い。
(1.3)
[DNAポリメラーゼの改変(I)3’−5’エキソヌクレアーゼ領域の改変]
本発明の核酸増幅試薬に用いる改変されたDNAポリメラーゼは、さらに3’−5’エキソヌクレアーゼ活性領域のアミノ酸配列のいずれかに少なくとも1つのアミノ酸の改変を含んでいてもよい。
3’−5’エキソヌクレアーゼ活性とは、取り込まれたヌクレオチドをDNA重合体の3’末端から除去する能力を指し、上記の3’−5’エキソヌクレアーゼ領域とは、ファミリーBに属するDNAポリメラーゼで高度に保存されている部位であり、サーモコッカス・コダカラエンシスに由来するDNAポリメラーゼ(配列番号1)、パイロコッカス・フリオサスに由来するDNAポリメラーゼ(配列番号2)、サーモコッカス・ゴルゴナリウスに由来するDNAポリメラーゼ(配列番号3)、サーモコッカス・リトラリスに由来するDNAポリメラーゼ(配列番号4)、パイロコッカス・エスピーGB−Dに由来するDNAポリメラーゼ(配列番号5)、サーモコッカス・エスピーJDF−3に由来するDNAポリメラーゼ(配列番号6)、サーモコッカス・エスピー9°N−7に由来するDNAポリメラーゼ(配列番号7)、サーモコッカス・エスピーKS−1に由来するDNAポリメラーゼ(配列番号8)、サーモコッカス・セラーに由来するDNAポリメラーゼ(配列番号9)、又はサーモコッカス・シクリに由来するDNAポリメラーゼ(配列番号10)においては、137〜147、206〜222、及び308〜318番目のアミノ酸である。本発明においては、具体的に配列を提示したDNAポリメラーゼ以外のDNAポリメラーゼにも適用される。また、配列番号1〜10に示されるDNAポリメラーゼ以外のファミリーBに属する古細菌由来DNAポリメラーゼにおいては、配列番号1の137〜147、206〜222、及び308〜318番目のアミノ酸からなる3’−5’エキソヌクレアーゼ領域と対応する領域のことを示す。
なお、「配列番号1に示される137〜147、206〜222、及び308〜318番目に相当するアミノ酸」とは、配列番号1に示されるアミノ酸配列と完全同一ではないアミノ酸配列を有するDNAポリメラーゼにおいて、配列番号1の137〜147、206〜222、及び308〜318番目に対応するアミノ酸配列を含む表現である。本明細書において、前記と同じ形式の表記における「相当する」の意味は、前記の例示と同じである。
本発明において、配列番号1に示されるアミノ酸配列と完全同一ではないアミノ酸配列における、配列番号1上のある位置(順番)と対応するアミノ酸の位置とは、配列の一次構造を比較(アラインメント)したとき、配列番号1の当該位置と対応する位置とする。本明細書において、前記と同じ形式の表記における「対応する位置」の意味は、前記の例示と同じである。
配列の一次構造を比較する方法としては、種々の方法が知られている。例えば、市販の又は電気通信回線(インターネット)を通じて利用可能な解析ツールを用いて算出することができる。本発明においては、DNA Databank of Japan(DDBJ)のClustalW(http://clustalw.ddbj.nig.ac.jp/index.php/lang=ja)においてデフォルト(初期設定)のパラメーターを用いることにより、配列の一次構造を比較する。
上記の3’−5’エキソヌクレアーゼ領域の改変とは、置換、欠失、又は付加からなり得るが特に限定されない。例えば、配列番号1における137〜147、206〜222、及び308〜318番目に対応するアミノ酸への改変を示す。
前記3’−5’エキソヌクレアーゼ活性領域を改変したDNAポリメラーゼとしては、配列番号1又は配列番号2における141、142、143、210、311番目に対応するアミノ酸の少なくとも一つを改変したものが好ましい。これらの改変型DNAポリメラーゼは、3’−5’エキソヌクレアーゼ活性が欠損している。より好ましくは、アミノ酸の改変がD141A、E143A、D141A/E143A、I142R、N210D、又はY311Fから選択されるいずれか一つである、3’−5’エキソヌクレアーゼ活性を欠損させたDNAポリメラーゼである。なお、3’−5’エキソヌクレアーゼ活性を欠損させた(エキソ(−))DNAポリメラーゼとは、活性の完全な欠如を含み、例えば、親酵素と比較して0.03%、0.05%、0.1%、1%、5%、10%、20%、又は最大でも50%以下のエキソヌクレアーゼ活性を有する改変されたDNAポリメラーゼを指す。
前記3’−5’エキソヌクレアーゼ活性領域を改変したDNAポリメラーゼとして、別の好ましい形態は、配列番号1又は配列番号2におけるH147E、又はH147Dから選択されるいずれか一つである。これらの改変型DNAポリメラーゼは、エキソヌクレアーゼ活性を維持したまま、PCR効率が向上している。
なお、3’−5’エキソヌクレアーゼ活性領域を改変したDNAポリメラーゼを生成する方法や、3’−5’エキソヌクレアーゼ活性を解析する方法は公知であり、例えば、米国特許第6946273号に開示されている。PCR効率を向上させたDNAポリメラーゼとは、PCR産物の量が親酵素と比較して増加している改変されたDNAポリメラーゼを示す。PCR産物の量が親酵素と比較して増加しているかどうかを解析するための方法としては、特許第3891330号公報等に記載されている。
(1.4)
[DNAポリメラーゼの改変(II)減少した塩基類似体検出活性を有するDNAポリメラーゼ変異体を作製する改変]
本発明の核酸増幅試薬に用いるファミリーBに属するDNAポリメラーゼは、減少した塩基類似体検出活性を有する変異体でもよい。塩基類似体とはアデニンやシトシン、グアニン、チミン以外の塩基を示し、ウラシルやイノシンなどが挙げられる。通常、ファミリーBに属するDNAポリメラーゼは、塩基類似体であるウラシルやイノシンを検出すると強く結合し、ポリメラーゼ機能を阻害する。塩基類似体検出活性とは、塩基類似体と強く結合し、ポリメラーゼ機能を阻害する活性を示す。減少した塩基類似体検出活性を有するファミリーBに属するDNAポリメラーゼ変異体とは、ウラシルやイノシンへの結合能力が低いことを特徴とするファミリーBに属するDNAポリメラーゼ変異体である。
このような変異体は、ウラシルの結合に関するアミノ酸配列(ウラシル結合ポケット)の少なくとも1か所に改変を加えることにより作製できる。具体的には、ファミリーBに属する古細菌DNAポリメラーゼ、例えば、Thermococcus kodakaraensis KOD1株由来のDNAポリメラーゼのアミノ酸配列(配列番号1)の1〜40番目、及び78〜130番目によって形成されるウラシル結合ポケットの少なくとも1か所に改変を加え、野生型のDNAポリメラーゼと比較してウラシルやイノシンへの結合能力を低下させたDNAポリメラーゼ変異体が例示される。ウラシルやイノシンへの結合能力が低いDNAポリメラーゼ変異体は、dUTPの存在下のPCRでもDNAポリメラーゼの機能低下があまり見られず、dUTPによるDNAポリメラーゼの伸長反応への影響が低減されている。
ウラシルの結合に関するアミノ酸配列は、パイロコッカス属に由来するDNAポリメラーゼ及びサーモコッカス属に由来するDNAポリメラーゼにおいて高度に保存されている。サーモコッカス・コダカラエンシスに由来するDNAポリメラーゼ(配列番号1)においては、アミノ酸1〜40、及びアミノ酸78〜130によって形成される。パイロコッカス・フリオサス(配列番号2)においては、アミノ酸1〜40、及びアミノ酸78〜130によって形成される。サーモコッカス・ゴルゴナリウス(配列番号3)においては、アミノ酸1〜40、及びアミノ酸78〜130によって形成される。サーモコッカス・リトラリス(配列番号4)においては、アミノ酸1〜40、及びアミノ酸78〜130によって形成される。パイロコッカス・エスピーGB−D(配列番号5)においては、アミノ酸1〜40、及びアミノ酸78〜130によって形成される。サーモコッカス・エスピーJDF−3(配列番号6)のおいては、アミノ酸1〜40、及びアミノ酸78〜130によって形成される。サーモコッカス・エスピー9°N−7(配列番号7)においては、アミノ酸1〜40、及びアミノ酸78〜130によって形成される。サーモコッカス・エスピーKS−1(配列番号8)においては、アミノ酸1〜40及びアミノ酸78〜130によって形成される。サーモコッカス・セラー(配列番号9)においては、アミノ酸1〜40、及びアミノ酸78〜130によって形成される。サーモコッカス・シクリ(配列番号10)においては、アミノ酸1〜40及びアミノ酸78〜130によって形成される。
(1.5)
本発明の核酸増幅試薬に用いる減少した塩基類似体検出活性を有するDNAポリメラーゼ変異体として、より好ましいのは、ウラシルと相互作用に直接関連していると想定されている7、36、37、90〜97、及び112〜119番目のアミノ酸のうち少なくとも1つに改変を加えた古細菌DNAポリメラーゼ変異体、例えば、(a)配列番号1又は配列番号2で示されるアミノ酸配列の7、36、37、90〜97及び112〜119番目に相当するアミノ酸のうち、少なくとも1つのアミノ酸の改変を有するアミノ酸配列で示される古細菌DNAポリメラーゼ変異体である。
(1.6)
上記のDNAポリメラーゼ変異体は、以下の(b)のアミノ酸配列で示されるものであってもよい。
(b)(a)で示されるアミノ酸配列においてさらに7、36、37、90〜97及び112〜119番目以外の部位において少なくとも1つのアミノ酸が改変されており、そのアミノ酸配列と配列番号1との同一性又はそのアミノ酸配列と配列番号2との同一性が80%以上(好ましくは85%以上であり、さらに好ましくは90%以上であり、さらに好ましくは95%以上であり、さらに好ましくは98%以上であり、さらに好ましくは99%以上である)であり、かつ、減少した塩基類似体検出活性を有するDNAポリメラーゼをコードするアミノ酸配列。
アミノ酸配列の同一性を算出する方法としては、種々の方法が知られている。例えば、市販の又は電気通信回線(インターネット)を通じて利用可能な解析ツールを用いて算出することができる。本発明においては、全米バイオテクノロジー情報センター(NCBI)の相同性アルゴリズムBLAST(Basic local alignment search tool)http://www.ncbi.nlm.nih.gov/BLAST/においてデフォルト(初期設定)のパラメーターを用いることにより、アミノ酸配列の同一性を算出する。
(1.7)
上記のDNAポリメラーゼ変異体は、以下の(c)のアミノ酸配列で示されるものであってもよい。
(c)(a)で示されるアミノ酸配列において、さらに7、36、37、90〜97及び112〜119番目以外の部位において1もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換もしくは付加されており、かつ、減少した塩基類似体検出活性を有するDNAポリメラーゼをコードするアミノ酸配列。
ここで「数個」とは、「減少した塩基類似体検出活性」が維持される限り制限されないが、例えば、全アミノ酸の約20%未満に相当する数であり、好ましくは約15%未満に相当する数であり、さらに好ましくは約10%未満に相当する数であり、より一層好ましくは約5%未満に相当する数であり、最も好ましくは約1%未満に相当する数である。より具体的には、変異されるアミノ酸残基の個数は、例えば、2〜160個、好ましくは2〜120個、より好ましくは2〜80個、更に好ましくは2〜40個であり、より更に好ましくは2〜5個である。
なお、「配列番号1に示されるアミノ酸配列における7、36、37、90〜97、及び112〜119番目に相当するアミノ酸」とは、配列番号1に示されるアミノ酸配列と完全同一ではないアミノ酸配列を有するDNAポリメラーゼにおいて、配列番号1の7、36、37、90〜97、及び112〜119番目に対応するウラシルの結合に関するアミノ酸配列を含む表現である。
本発明において、配列番号1に示されるアミノ酸配列と完全同一ではないアミノ酸配列おける、配列番号1上のある位置(順番)と対応する位置とは、配列の一次構造を比較(アラインメント)したとき、配列番号1の当該位置と対応する位置とする。本明細書において、前記と同じ形式の表記における「相当する」の意味は、前記の例示と同じである。
本発明において、配列番号1に示されるアミノ酸配列と完全同一ではないアミノ酸配列おける、配列番号6上のある位置(順番)と対応する位置とは、配列の一次構造を比較(アラインメント)したとき、配列番号1の当該位置と対応する位置とする。本明細書において、前記と同じ形式の表記における「対応する位置」の意味は、前記の例示と同じである。
配列の一次構造を比較する方法としては、種々の方法が知られている。例えば、市販の又は電気通信回線(インターネット)を通じて利用可能な解析ツールを用いて算出することができる。本発明においては、DNA Databank of Japan(DDBJ)のClustalW(http://clustalw.ddbj.nig.ac.jp/index.php/lang=ja)においてデフォルト(初期設定)のパラメーターを用いることにより、配列の一次構造を比較する。
(1.8)
本発明の核酸増幅試薬に用いる減少した塩基類似体検出活性を有するDNAポリメラーゼ変異体は、より好ましくは配列番号1又は配列番号2におけるアミノ酸Y7、P36、又はV93に相当するアミノ酸から選択される少なくとも1つのアミノ酸の改変を有する。ここで、例えば、Y7とは、7番目のアミノ酸であるチロシン(Y)残基を意味しており、アルファベット1文字は通用されているアミノ酸の略号を表している。好ましい例において、Y7アミノ酸はチロシン(Y)が非極性アミノ酸に置換されており、具体的にはY7A、Y7G、Y7V、Y7L、Y7I、Y7P、Y7F、Y7M、Y7W、及びY7Cからなる群より選ばれるアミノ酸置換である。別の好ましい例において、P36アミノ酸はプロリン(P)が正電荷をもつ極性アミノ酸に置換されており、具体的にはP36H、P36K、又はP36Rのアミノ酸置換である。別の好ましい例において、V93アミノ酸はバリン(V)が正電荷をもつ極性アミン酸に置換されており、具体的にはV93H、V93K、又はV93Rのアミノ酸置換である。
より好ましくは、改変がY7A、P36H、P36K、P36R、V93Q、V93K、及びV93Rからなる群より選ばれる、少なくとも1つのアミノ酸の改変である。さらに好ましくはP36K、P36R又はP36Hである。特に好ましくはP36Hである。
本発明における減少した塩基類似体検出活性を有するDNAポリメラーゼ変異体は、配列番号1又は配列番号2におけるアミノ酸Y7、P36、又はV93に相当するアミノ酸から選択される2つ以上のアミノ酸を改変したものでも良い。具体的には、Y7A/V93K、Y7A/P36H、Y7A/P36R、Y7A/V93R、Y7A/V93Q又はP36H/V93Kなどが挙げられ、好ましくはY7A/P36H又はY7A/V93Kなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
なお、特許第4395377号公報又は特表2006−507012号公報には、ウラシルと相互作用に直接関連していると想定されている7、36、37、90〜97、及び112〜119番目のアミノ酸のいずれかに改変を加えた古細菌DNAポリメラーゼ変異体がいくつか例示されている。しかしながら、その全ての改変体が本発明の課題を解決することができる程度の良好な特性を有しているわけではなく、中には活性を失っているものも見られる。
(1.9)
上記に例示したDNAポリメラーゼの改変をもとに、本発明の核酸増幅試薬に用いる改変されたDNAポリメラーゼとしては、種々の変異体が考えられる。そのような変異体として、以下の(1)−(4)のいずれかの改変を有する古細菌DNAポリメラーゼの変異体が例示されるが、これに限定されるものではない。
(1)(A)H147Eと、(B)Y7A/V93K、Y7A/V93R、Y7A/V93Q、Y7A/P36H、Y7A/P36R、P36H/V93K、P36K、P36R、P36H、V93R又はV93Qのいずれか
(2)(A)N210Dと、(B)Y7A/V93K、Y7A/P36H、Y7A/P36R、P36K、P36R、P36H、V93Q、V93K又はV93Rのいずれか
(3)(A)I142Rと、(B)Y7A/V93K、Y7A/V93R、Y7A/V93Q、Y7A/P36H、Y7A/P36R、P36R、P36H、V93K、V93R又はV93Qのいずれか
(4)(A)D141A/E143Aと、(B)Y7A/V93K、Y7A/P36H、Y7A/P36R、P36R、P36H又はV93Kのいずれか
(1.10)
[塩基類似体検出活性の評価方法]
本発明における塩基類似体検出活性は、PCRによって評価することができる。塩基類似体は典型的にはウラシルである。例えば、鋳型となるDNA、緩衝材、マグネシウム、dNTPs、プライマー及び評価対象のDNAポリメラーゼを含む通常のPCR反応液に、dUTP溶液を、終濃度0.5μM〜200μMで添加し、熱サイクルを行う。反応後にエチジウムブロマイド染色1%アガロース電気泳動でPCR産物の有無を確認し、許容できたdUTP濃度によって、ウラシルの検出活性を評価することが出来る。ウラシル検出活性の高いDNAポリメラーゼは少しのdUTPの添加で伸長反応が阻害され、PCR産物が確認できない。また、ウラシルの検出活性の低いDNAポリメラーゼは高濃度のdUTPを添加しても問題なくPCRによるDNA増幅が確認できる。
減少した塩基類似体検出活性を有するDNAポリメラーゼ変異体とは、酵素至適の反応Buffer中で、任意のプライマー、及び鋳型となるDNAを用い、至適の熱サイクルを行った結果、変異がない野生型と比較し、高濃度のdUTPを添加しても伸長反応が阻害されず、PCR産物が確認できるDNAポリメラーゼのことをいう。ただし、野生型との比較が困難な場合は、dUTPを0.5μMの濃度で添加してもPCRによる増幅ができる古細菌DNAポリメラーゼ変異体については、当該変異体が野生型と比較して減少した塩基類似体検出活性を有すると推定する。
本発明における塩基類似体検出活性の評価は、以下の方法に従う。
KOD −Plus− Ver.2(東洋紡製)添付の10×PCR Buffer、又はPfu DNA Polymerase(Agilent製)添付の10×PCR Bufferを用い、1×PCR Buffer、及び1.5mM MgSO4、0.2mM dNTPs(dATP、dTTP,dCTP、dGTP)、約1.3kbを増幅する15pmolの配列番号11及び12に記載のプライマー、10ngのヒトゲノムDNA(Roche製Human Genomic DNA;型番11691112001)、1Uの各酵素を含む50μlの反応液中に、dUTP(Roche製)を終濃度0.5、5、50、100、200μMになるよう添加する。94℃、30秒の前反応の後、98℃、10秒→65℃、30秒→68℃、1分30秒を30サイクル繰り返すスケジュールでPCR system GeneAmp9700(Applied Biosystem)にてPCRを行う。反応終了後、5μlの反応液について1%アガロース電気泳動を行い、エチジウムブロマイド染色し、紫外線照射下、約1.3kbの増幅DNA断片を確認することで塩基類似体検出活性が減少しているかどうかが評価することができる。
(1.11)
[アミノ酸改変の導入方法]
本発明の核酸増幅試薬に用いるDNAポリメラーゼを改変する方法は、既に当該技術分野において確立されている。よって、公知の方法に従い改変を行うことが出来、その態様は特に制限されない。
アミノ酸の改変を導入する方法の一態様として、Inverse PCR法に基づく部位特異的変異導入法を用いることができる。例えば、KOD −Plus− Mutagenesis Kit(東洋紡製)は、(1)目的とする遺伝子を挿入したプラスミドを変性させ、該プラスミドに変異プライマーをアニーリングさせ、続いてKOD DNAポリメラーゼを用いて伸長反応を行う、(2)(1)のサイクルを15回繰り返す、(3)制限酵素DpnIを用いて鋳型としたプラスミドのみを選択的に切断する、(4)新たに合成された遺伝子をリン酸化、Ligationを実施し環化させる、(5)環化した遺伝子を大腸菌に形質転換し、目的とする変異の導入されたプラスミドを保有する形質転換体を取得することのできるキットである。
上記改変DNAポリメラーゼ遺伝子を必要に応じて発現ベクターに移し替え、宿主として例えば大腸菌を、該発現ベクターを用いて形質転換した後、アンピシリン等の薬剤を含む寒天培地に塗布し、コロニーを形成させる。コロニーを栄養培地、例えばLB培地や2×YT培地に接種し、37℃で12〜20時間培養した後、菌体を破砕して粗酵素液を抽出する。ベクターとしては、pBluescript由来のものが好ましい。菌体を破砕する方法としては公知のいかなる手法を用いても良いが、例えば超音波処理、フレンチプレスやガラスビーズ破砕のような物理的破砕法やリゾチームのような溶菌酵素を用いることができる。この粗酵素液を80℃、30分間熱処理し、宿主由来のポリメラーゼを失活させ、DNAポリメラーゼ活性を測定する。
上記方法により選抜された菌株から精製DNAポリメラーゼを取得する方法は、いかなる手法を用いても良いが、例えば下記のような方法が好ましい。すなわち、栄養培地に培養して得られた菌体を回収した後、酵素的又は物理的破砕法により破砕抽出して粗酵素液を得る。得られた粗酵素抽出液から熱処理、例えば80℃、30分間処理し、その後硫安沈殿によりDNAポリメラーゼ画分を回収する。この粗酵素液をセファデックスG−25(アマシャムファルマシア・バイオテク製)を用いたゲル濾過等の方法により脱塩を行うことができる。この操作の後、ヘパリンセファロースカラムクロマトグラフィーにより分離、精製し、精製酵素標品を得ることができる。該精製酵素標品はSDS−PAGEによってほぼ単一バンドを示す程度に純化される。
(1.12)
[DNAポリメラーゼ活性測定法]
本発明において、核酸増幅試薬に用いるDNAポリメラーゼは、以下のようにして活性を測定するものとする。酵素活性が強い場合には、保存緩衝液(50mM Tris−HCl(pH8.0),50mM KCl,1mM ジチオスレイトール,0.1% Tween20,0.1% Nonidet P40,50% グリセリン)でサンプルを希釈して測定を行う。
(1)下記のA液25μl、B液5μl、C液5μl、滅菌水10μl、及び酵素溶液5μlをマイクロチューブに加えて75℃にて10分間反応する。(2)その後氷冷し、E液50μl、D液100μlを加えて、攪拌後更に10分間氷冷する。(3)この液をガラスフィルター(ワットマン製GF/Cフィルター)で濾過し、0.1N 塩酸及びエタノールで十分洗浄する。(4)フィルターの放射活性を液体シンチレーションカウンター(パーキンエルマー製TriCarb 2810TR)で計測し、鋳型DNAのヌクレオチドの取り込みを測定する。酵素活性の1単位はこの条件で30分当りの10nmolのヌクレオチドを酸不溶性画分(即ち、D液を添加したときに不溶化する画分)に取り込む酵素量とする。
A液:40mM Tris−HCl緩衝液(pH7.5)、16mM 塩化マグネシウム15mM ジチオスレイトール、100μg/mL BSA(牛血清アルブミン)
B液:1.5μg/μl 活性化仔牛胸腺DNA
C液:1.5mM dNTP(250cpm/pmol [3H]dTTP)
D液:20% トリクロロ酢酸(2mM ピロリン酸ナトリウム)
E液:1mg/mL仔牛胸腺DNA
(2)PCNA
(2.1)
本発明の核酸増幅試薬に用いられるPCNA(Proliferating Cell Nuclear Antigen)は、PCR増強因子の一種である。前記PCNAとしては、特に限定されないが、PCRの熱サイクルに耐えられる耐熱性のものが望ましく、好ましくはPCR後も活性が残るものが望まれる。より好ましくは80℃で30分の熱処理を行っても可溶性であり、活性が50%以上、さらに好ましくは70%以上、特に好ましくは90%以上残っているものが望まれる。
そのようなPCNAとしては、例えば、パイロコッカス(Pyrococcus)属及びサーモコッカス(Thermococcus)属の細菌から単離されたPCNAが挙げられる。パイロコッカス属由来のPCNAとしては、Pyrococcus furiosus(配列番号13)、Pyrococcus sp.GB−D、Pyrococcus Woesei、Pyrococcus abyssi又はPyrococcus horikoshiiから単離されたPCNAを含むが、これらに限定されない。サーモコッカス属に由来するPCNAとしては、Thermococcus kodakaraensis(配列番号14)、Thermococcus gorgonarius、Thermococcus litoralis、Thermococcus sp.JDF−3、Thermococcus sp.9degrees North−7(Thermococcus sp.9°N−7)、Thermococcus sp.KS−1、Thermococcus celer、又はThermococcus siculi、Methanocaldococcus jannaschii(Mja)又はMethanobacterium thermoautotrophicum(Mth)から単離されたPCNAを含むが、特にこれらには限定されない。
PCNAをコードする遺伝子は、PCNAをもつ生物からクローニングすることができる。またアミノ酸の配列情報や核酸の配列情報をもとに人工的に合成することもできる。
さらに、本発明の核酸増幅試薬に用いるPCNAは、単独でDNAにロードする(DNAポリメラ−ゼ増幅増強活性のある)変異体であってもよい。PCNAは通常、多量体を形成し輪のような構造をとる。DNAにロードするとは、PCNA多量体の輪の構造内部にDNAを通すことを示し、通常はRFCと呼ばれる因子と共同して初めてPCNAはDNAにロードすることができる。単独でDNAにロードする変異体とは、PCNAの多量体形成に関わる部位を改変し、多量体形成を不安定化することで、RFCなしでもDNAをPCNA多量体内部に通しやすくした変異体を示す。
本発明の核酸増幅試薬に用いるPCNAとしては、具体的には、以下のようなものが挙げられる。配列番号13、14又は19に記載のアミノ酸配列において、1乃至数個のアミノ酸残基が置換、欠失、挿入又は付加されているアミノ酸配列からなり、かつ、DNAポリメラーゼ増幅増強活性を有するポリペプチドである。また、配列番号13、14又は19に記載のアミノ酸配列との相同性が80%以上であるアミノ酸配列からなり、かつ、DNAポリメラーゼ増幅増強活性を有するポリペプチドであっても良い。より好ましくは、配列番号13、14又は19に記載のアミノ酸配列との相同性が85%以上であり、より好ましくは88%以上、更に好ましくは90%以上、より更に好ましくは93%以上、一層好ましくは95%以上、特に好ましくは98%以上、最も好ましくは99%以上である。このような一定以上の同一性を有するアミノ酸配列からなるポリペプチドは、上述するような公知の遺伝子工学的手法に基づいて作成することができる。
(2.1.1)KOD−PCNA及びPfu−PCNA
PCNAが多量体形成に関する部位は、サーモコッカス・コダカラエンシスに由来するPCNA(以下、「KOD−PCNA」とも記載)(配列番号14)、パイロコッカス・フリオサスのPCNA(以下、「Pfu−PCNA」とも記載)(配列番号13)においては、82、84、109番目のアミノ酸からなるN末端領域と139、143、147番目のアミノ酸からなるC末端領域があげられる。N末端領域はプラスに帯電し、C末端領域はマイナスに帯電し、相互作用することで多量体形成を行う。
配列番号13又は配列番号14を例にして説明することは、本明細書で具体的に配列を提示したPCNA以外のPCNAにも適用される。例えば、図4で示したように配列番号13及び14に示されるPCNA以外のPCNAにおいては、配列番号13の82、84、109、139、143、147番目のアミノ酸からなる多量体形成に関する領域と対応する領域のことを示す。ここで、異なる2つのアミノ酸配列があるとき、基準となる一方のアミノ酸配列においてアミノ酸や領域が「対応する」とは、アミノ酸配列の一次構造を比較(アラインメント)したとき、基準となる配列の当該位置と対応する位置とする。
単独でDNAにロードするPCNA変異体は、より好ましくはPCNAの多量体形成に関わる、
(a)82、84、109番目に相当するアミノ酸からなるN末端領域、又は
(b)139、143、147番目に相当するアミノ酸からなるC末端領域に少なくとも一つの改変を有し、RFCがなくともDNAにロードし、DNAポリメラーゼによる伸長反応を促進する変異体が挙げられる。
例えば、配列番号13の143番目に相当するアミノ酸を塩基性アミノ酸に改変したもの、82番目と143番目を共に中性アミノ酸に改変したもの、147番目を中性アミノ酸に改変したもの、又は、109番目と143番目を共に中性アミノ酸に改変したものなどが挙げられる。本発明の中性アミノ酸としては、天然のものであれば、グリシン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、フェニルアラニン、チロシン、プロリン、セリン、スレオニン、システイン、メチオニン、アスパラギン、グルタミンが挙げられる。好ましくは、置換部位の周辺部位の立体構造に与える影響が最も小さいアラニンである。塩基性アミノ酸としては、天然のものであれば、アルギニン、ヒスチジン、リジン、トリプトファンが挙げられる。好ましくはアルギニン又はリジンである。
より好ましくは、特許文献1に記載のPCNA変異体が例示されるほか、第147番目のアミノ酸残基をアラニンに置換した配列(D147A)、第82番目、及び第143番目のアミノ酸残基をアラニンに置換した配列(R82A/D143A、もしくはR82A/E143A)、第109番目、及び第143番目のアミノ酸残基をアラニンに置換した配列(R109A/D143A、もしくはR109A/E143A)などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
また、本発明の核酸増幅試薬に用いるPCNAは、発現量を増やすため、配列番号13又は配列番号14の73番目に相当するメチオニンを改変したものでもよい。より好ましくはM73Lに改変したものが挙げられるが、これに限定されない。
(2.1.2)Mja−PCNA
また、本発明の核酸増幅試薬に用いるPCNAは、以下の(1)から(3)のうちいずれかで示されるPCNA単量体であることが好ましい。
[1]配列番号19に記載のアミノ酸配列の142番目のアミノ酸残基を塩基性アミノ酸残基に置換したアミノ酸配列からなるポリペプチド。
[2][1]で示されるPCNA単量体において、さらに、配列番号19に記載のアミノ酸配列における、142番目に相当するアミノ酸残基以外の、1若しくは数個のアミノ酸残基が置換、欠失、挿入及び/又は付加(これらを纏めて「変異」とも表す。)されているアミノ酸配列からなり、DNAポリメラーゼ増幅増強活性を有するポリペプチド。
[3]配列番号19で示されるアミノ酸配列との同一性が80%以上であるアミノ酸配列からなり、DNAポリメラーゼ増幅増強活性を有するポリペプチド。
配列番号19は、Methanocaldococcus jannaschii(以下、単にMjaとも記載する。)由来のPCNAのアミノ酸配列である。このアミノ酸配列は非特許文献1などで解明されている。
配列番号19において、142番目のアミノ酸残基はPCNAの多量体形成に関わるアミノ酸残基のうちの一つである。PCNAの多量体形成に関わるアミノ酸残基は、各単量体のN末端側領域とC末端側領域とに存在する。PCNA多量体は、一方の単量体のN末端側領域と他方の単量体のC末端側領域とが界面となって接合することにより形成される。真核細胞及び古細菌においては、多くの場合PCNAは三量体を形成する。配列番号19で示されるアミノ酸配列においては、N末端領域が下記の(a)で示される群の位置に該当し、C末端領域が下記の(b)で示される群の位置に該当する。
(a)80、82、108番目のアミノ酸残基群
(b)138、142、146番目のアミノ酸残基群
上記(2)のポリペプチドは、DNAポリメラーゼ増幅増強活性を保持する限度で、配列番号19に示されるアミノ酸配列において、1若しくは数個のアミノ酸配残基が置換、欠失、挿入及び/又は付加(以下、これらを纏めて「変異」とも表す。)されたアミノ酸配列からなるポリペプチドである。一又は数個の変異は、制限酵素処理、エキソヌクレアーゼやDNAリガーゼ等による処理、位置指定突然変異導入法やランダム突然変異導入法(Molecular Cloning,Third Edition,Chapter 13,Cold Spring Harbor Laboratory Press, New York)など公知の手法を利用して、後述する本発明のPCNA単量体をコードするDNAに変異を導入することによって実施することが可能である。また、紫外線照射など他の方法によってもバリアントPCNA単量体を得ることができる。バリアントPCNA単量体には、PCNAを保持する微生物の個体差、種や属の違いに基づく場合などの天然に生じるバリアント(例えば、一塩基多型)も含まれる。
上記[3]のポリペプチドは、DNAポリメラーゼ増幅増強活性を保持するものであって、かつ、配列番号19に示されるアミノ酸配列と比較した同一性が80%以上であるアミノ酸配列からなるポリペプチドである。好ましくは、本発明のPCNA単量体が有するアミノ酸配列と配列番号19に示されるアミノ酸配列との同一性は85%以上であり、より好ましくは88%以上、更に好ましくは90%以上、より更に好ましくは93%以上、一層好ましくは95%以上、特に好ましくは98%以上、最も好ましくは99%以上である。このような一定以上の同一性を有するアミノ酸配列からなるポリペプチドは、上述するような公知の遺伝子工学的手法に基づいて作成することができる。
上記の[2]又は[3]に記載したようなPCNAとして、より好ましくは、PCNAの精製を簡便にすべくN末端に挿入したHisタグなどのアフィニティタグの付加されたものが挙げられるが、特に限定されない。
上記のPCNA単量体においては、配列番号19における142番目のアミノ酸残基が塩基性アミノ酸残基に置換されるが、置換する塩基性アミノ酸の種類は特に限定されない。塩基性アミノ酸としては、天然のものであれば、アルギニン、ヒスチジン、リジン、トリプトファンが挙げられる。好ましくはアルギニン又はリジンである。
(2.2)
上記PCNAを得る方法は、PCNA遺伝子を必要に応じて発現ベクターに移し替え、宿主として例えば大腸菌を、該発現ベクターを用いて形質転換した後、アンピシリン等の薬剤を含む寒天培地に塗布し、コロニーを形成させる。コロニーを栄養培地、例えばLB培地や2×YT培地に接種し、37℃で12〜20時間培養した後、菌体を破砕して粗酵素液を抽出する。ベクターとしては、pBluescript由来のものが好ましい。菌体を破砕する方法としては、公知のいかなる手法を用いても良いが、例えば超音波処理、フレンチプレスやガラスビーズ破砕のような物理的破砕法やリゾチームのような溶菌酵素を用いることができる。この粗酵素液を80℃、30分間熱処理し、遠心分離することで宿主由来のタンパク質を除去し、SDS−PAGEに供することで、目的タンパク質の発現を確認することができる。
上記方法により選抜された菌株から精製PCNAを取得する方法は、いかなる手法を用いても良いが、例えば下記のような方法がある。栄養培地に培養して得られた菌体を回収した後、酵素的又は物理的破砕法により破砕抽出して粗酵素液を得る。得られた粗酵素抽出液から熱処理、例えば80℃、30分間処理し、その後硫安沈殿によりPCNA画分を回収する。この粗酵素液をセファデックスG−25(アマシャムファルマシア・バイオテク製)を用いたゲル濾過等の方法により脱塩を行うことができる。この操作の後、Qセファロースカラムクロマトグラフィーにより分離、精製し、精製酵素標品を得ることができる。該精製酵素標品は、SDS−PAGEによってほぼ単一バンドを示す程度に純化される。
(2.3)DNAポリメラーゼ増幅増強活性
上記PCNA変異体が単独でDNAにロードできるか(DNAポリメラーゼ増幅増強活性があるか)どうかは、PCRによって評価できる。鋳型となるDNA、緩衝材、マグネシウム、dNTPs、プライマー、及びファミリーBに属するDNAポリメラーゼを含むPCR反応液に、評価するPCNAを添加し、PCNA添加なしのもの、また野生型PCNA添加のものとDNA増幅量を比較することで、単独でDNAにロードできるかを確認することができる。野生型のPCNAをはじめ、単独でDNAにロードできないPCNAは添加しても、PCRによるDNA増幅量は変化せず、むしろDNA増幅量を減らす傾向がある。一方、単独でDNAにロードできる変異体は、PCNA添加なしのものと比較することでDNAポリメラーゼ増幅増強活性を評価することができる。
本発明において「PCNA変異体が単独でDNAにロードできるかどうか」の評価(DNAポリメラーゼ増幅増強活性の評価)は、以下の方法に従うものとする。
KOD Dash(東洋紡製)に添付の10×PCR Buffer(反応に用いる濃度の10倍に濃縮されている)を用いて、
1×PCR Buffer、
0.2mM dNTPs、
約3.6kbのDNAを増幅する15pmolの配列番号15及び16に記載のプライマー、
10ngのヒトゲノムDNA(Roche製Human Genomic DNA;型番11691112001)、
1U KOD −Plus− DNAポリメラーゼ
を含むよう反応液を調製し、
50μlの反応液中に、評価するPCNAを250ng添加し、94℃、30秒の前反応の後、98℃、10秒→68℃、30秒を30サイクル繰り返すスケジュールでPCRを行う。反応終了後、5μlの反応液について1%アガロース電気泳動を行い、エチジウムブロマイド染色し、紫外線照射下約3.6kbの増幅DNA断片を、野生型PCNAを添加したものと比較することで単独でDNAにロードできるPCNAかどうかを評価することができる。単独でDNAにロードできるPCNAは添加によってDNA増幅量が増加する。
本発明において、DNA増幅量の増加を定量的に評価する方法としては、電気泳動パターン解析用ソフトウェアであるGel Pro Analyzer(Media Cybernetics)を利用することにより、DNA増幅量を数値化するものとする。このような方法でDNA増幅量を比較したとき、PCNAを添加した場合のDNA増幅量が、PCNAを添加しなかった場合のDNA増幅量の1.0倍(好ましくは1.2倍、さらに好ましくは1.5倍、さらに好ましくは2倍、3倍)を超える。もしくは増幅していなかったターゲットDNAが増幅すれば、そのPCNAが「DNAポリメラーゼ増幅増強活性を有する」と判断する。
PCNAの改変についても、DNAポリメラーゼの改変と同様にして行うことができる。
上記の本発明の核酸増幅試薬において、DNA合成基質は、典型的には、dATP、dCTP、dGTP、dTTPの4種類のデオキシヌクレオチド三リン酸で構成されるが、dATP、dCTP、dGTP、dTTP以外のデオキシヌクレオチド三リン酸、例えばdUTPやdITPなどを含むものであってもよい。
上記の本発明の核酸増幅試薬において用いられるプライマーは、典型的には、アデニン、シトシン、グアニン、チミンの4塩基からなるヌクレオチドで構成されるが、本発明の核酸増幅試薬ではアデニン、シトシン、グアニン、チミン以外のヌクレオチド、例えばウラシルやイノシンなどを含むものであってもよい。
以下に、本発明を実施例により具体的に説明する。以下の実施例の記載は、本発明を特に限定するものではない。
(実施例1−1)
KOD DNAポリメラーゼ変異体の作製
後述の実施例に用いるために、サーモコッカス・コダカラエンシス KOD1株由来の改変型耐熱性DNAポリメラーゼ(Y7A/V93K/H147E及び、Y7A/P36H/N210D変異体)遺伝子を含有するプラスミドを作製した。変異導入に使用されるDNA鋳型は、pBluescriptにクローニングされたサーモコッカス・コダカラエンシス KOD1株由来の改変型耐熱性DNAポリメラーゼ遺伝子(配列番号17)(pKOD)を用いた。変異導入にはKOD −Plus− Mutagenesis Kit(東洋紡製)を用いて、取扱い説明書に準じて行った。なお、変異体の確認は塩基配列の解読で行った。得られたプラスミドによりエシェリシア・コリJM109を形質転換し、酵素調製に用いた。
(実施例1−2)
Pfu DNAポリメラーゼ変異体の作製
後述の実施例に用いるために、パイロコッカス・フリオサス株由来の改変型耐熱性DNAポリメラーゼ(Y7A/P36H/N210D変異体)遺伝子を含有するプラスミドを作製した。変異導入に使用されるDNA鋳型は、pBluescriptにクローニングされたパイロコッカス・フリオサス株由来の改変型耐熱性DNAポリメラーゼ遺伝子(配列番号35)(pPfu)を用いた。変異導入にはKOD −Plus− Mutagenesis Kit(東洋紡製)を用いて、取扱い説明書に準じて行った。なお、変異体の確認は塩基配列の解読で行った。得られたプラスミドによりエシェリシア・コリJM109を形質転換し、酵素調製に用いた。
(実施例2)
改変型耐熱性DNAポリメラーゼの作製
実施例1で得られた菌体の培養は、以下のようにして実施した。まず、滅菌処理した100μg/mLのアンピシリンを含有するTB培地(Molecular cloning 2nd edition、p.A.2)80mLを、500mL坂口フラスコに分注した。この培地に予め100μg/mLのアンピシリンを含有する3mLのLB培地(1% バクトトリプトン、0.5% 酵母エキス、0.5% 塩化ナトリウム;ギブコ製)で37℃、16時間培養したエシェリシア・コリJM109(プラスミド形質転換株)(試験管使用)を接種し、37℃にて16時間通気培養した。培養液より菌体を遠心分離により回収し、50mLの破砕緩衝液(30mM Tris−HCl緩衝液(pH8.0)、30mM NaCl、0.1mM EDTA)に懸濁後、ソニケーション処理により菌体を破砕し、細胞破砕液を得た。次に、細胞破砕液を80℃にて15分間処理した後、遠心分離にて不溶性画分を除去した。更に、ポリエチレンイミンを用いた除核酸処理、硫安塩析、ヘパリンセファロースクロマトグラフィーを行い、最後に保存緩衝液(50mM Tris−HCl緩衝液(pH8.0)、50mM 塩化カリウム、1mM ジチオスレイトール、0.1% Tween20、0.1% ノニデットP40、50% グリセリン)に置換し、改変型耐熱性DNAポリメラーゼを得た。上記精製工程のDNAポリメラーゼ活性測定は、上記のDNAポリメラーゼ活性測定法に従い行った。また、酵素活性が高い場合はサンプルを希釈して測定を行った。
(実施例3)
KOD−PCNA1変異体の作製
サーモコッカス・コダカラエンシス KOD1株由来の改変型耐熱性PCNA1(M73L/D147A変異体)遺伝子を含有するプラスミドを作製した。変異導入に使用されるDNA鋳型は、pBlueScriptにクローニングされたサーモコッカス・コダカラエンシス KOD1株由来のPCNA(配列番号18)(pKODPCNA)を用いた。変異導入にはKOD −Plus− Mutagenesis Kit(東洋紡製)を用いて、方法は取扱い説明書に準じて行った。なお、変異体の確認は塩基配列の解読により行った。得られたプラスミドによりエシェリシア・コリDH5αを形質転換し、酵素の調製に用いた。
(実施例4)
KOD−PCNA1の作製
実施例3で得られた菌体の培養は、以下のようにして実施した。まず、滅菌処理した100μg/mLのアンピシリンを含有するTB培地(Molecular cloning 2nd edition、p.A.2)80mLを、500mL坂口フラスコに分注した。この培地に予め100μg/mLのアンピシリンを含有する3mLのLB培地(1% バクトトリプトン、0.5% 酵母エキス、0.5% 塩化ナトリウム;ギブコ製)で37℃、16時間培養したエシェリシア・コリDH5α(プラスミド形質転換株)(試験管使用)を接種し、37℃にて16時間通気培養した。培養液より菌体を遠心分離により回収し、50mLの破砕緩衝液(30mM Tris−HCl緩衝液(pH8.0)、30mM NaCl、0.1mM EDTA)に懸濁後、ソニケーション処理により菌体を破砕し、細胞破砕液を得た。次に細胞破砕液を80℃にて15分間処理した後、遠心分離にて不溶性画分を除去した。更に、ポリエチレンイミンを用いた除核酸処理、硫安塩析、Qセファロースクロマトグラフィーを行い、最後に保存緩衝液(50mM Tris−HCl緩衝液(pH8.0)、50mM 塩化カリウム、1mM ジチオスレイトール、0.1% Tween20、0.1% ノニデットP40、50% グリセリン)に置換し、改変型耐熱性PCNAを得た。
(実施例5)
Mja−PCNA変異体のプラスミド作製
Methanocaldococcus jannaschii株由来の改変型耐熱性PCNA遺伝子変異体(E142K)を含有するプラスミドを作製した。変異導入に使用されるDNA鋳型は、pET23bにクローニングされたMethanocaldococcus jannaschii株由来のPCNA(配列番号34)(pMjaPCNA)を用いた。変異導入にはKOD −Plus− Mutagenesis Kit(東洋紡製)を用いて、方法は取扱い説明書に準じて行った。なお、変異体の確認は塩基配列の解読で行った。得られたプラスミドにより、エシェリシア・コリBL21(DE3)pLysSを形質転換し、酵素の調製に用いた。
(実施例6)
Mja−PCNAの作製
実施例1で得られた菌体の培養は、以下のようにして実施した。まず、滅菌処理した100μg/mLのアンピシリンを含有するLB培地(1% バクトトリプトン、0.5% 酵母エキス、0.5% 塩化ナトリウム;ギブコ製)80mLを、500mL坂口フラスコに分注した。この培地に予め100μg/mLのアンピシリンを含有する3mLのLB培地で37℃、16時間培養したエシェリシア・コリBL21(DE3)pLysS(プラスミド形質転換株)(試験管使用)を接種し、37℃にてOD600が0.3〜0.6になるまで通気培養した。その後、IPTGを終濃度0.5mMになるように添加し、4時間通気培養した。培養液より菌体を遠心分離により回収し、50mLの破砕緩衝液(30mM Tris−HCl緩衝液(pH8.0)、30mM NaCl、0.1mM EDTA)に懸濁後、ソニケーション処理により菌体を破砕し、細胞破砕液を得た。次に、細胞破砕液を80℃にて15分間処理した後、遠心分離にて不溶性画分を除去した。更に、ポリエチレンイミンを用いた除核酸処理、硫安塩析、Qセファロースクロマトグラフィーを行い、最後に保存緩衝液(50mM Tris−HCl緩衝液(pH8.0)、50mM 塩化カリウム、1mM ジチオスレイトール、0.1% Tween20、0.1% ノニデットP40、50% グリセリン)に置換し、Mja−PCNA変異体を得た。
(実施例7)
長鎖ターゲットDNAの増幅
KOD DNAポリメラーゼ変異体(Y7A/V93K/H147E)、KOD−PCNA1 M73L/D147A変異体を用い、17.5kbのDNAを増幅する系で、PCNAがある場合とない場合とでDNA増幅の比較を行った。なお、前記のそれぞれの場合において、さらにベタインがある場合とない場合とでDNA増幅を比較した。PCRにはKOD −Plus− Ver.2(東洋紡製)に添付の10×PCR Bufferを用い、
1×PCR Buffer、
1.5mM MgSO4
0.2mM dNTPs、
約8.5kbのDNAを増幅する15pmolの配列番号20及び21に記載のプライマー、
300、30、3コピー相当のヒトゲノムDNA(Roche製Human Genomic DNA;型番11691112001)、及び、
1μgのKOD抗体と混合した1.25U KOD DNAポリメラーゼ変異体(Y7A/V93K/H147E)を含む50μlの反応液中に、KOD−PCNA1変異体(M73L/D147A)を500ng添加(又は添加せず)し、また、1M ベタインを添加(又は添加せず)して、反応系を比較した。
コントロールとしてPCNAを添加しないものも実施した。サイクルは94℃、2分の前反応の後、98℃、10秒→65℃、10秒→68℃、4分30秒を40サイクル繰り返すスケジュールでPCR system GeneAmp(登録商標)9700(Applied Biosystem社)を用いてPCRを行った。反応終了後、5μlの反応液について1%アガロース電気泳動を行い、エチジウムブロマイド染色し、紫外線照射下、増幅DNA断片の増幅量を確認した。
図1は、KOD−PCNA1変異体がある場合とない場合、さらに前記のそれぞれの場合においてベタインがある場合とない場合において、低コピーの鋳型から約8.5kbのDNAを増幅し、増幅を比較したものになる。
結果、PCNA、ベタインなしでは、まったくDNA増幅が確認できなかった。また、PCNAあり、ベタインなしでは、DNA増幅は確認できるものの特異性が悪く、DNA増幅が見られないレーンが散見された。PCNAなし、ベタインありでは、DNA増幅は確認できたものの、増幅効率が悪く、3コピーからの増幅ではDNA増幅量が少ない結果となった。一方、PCNAあり、ベタインありでは、特異性も高く、3コピーといった低コピーからも十分なDNA増幅が確認された。長鎖のターゲットDNAは、伸長時間が長く、非特異的な増幅が生じやすい。PCNAは増幅効率を高める働きには優れるものの、ミスアニーリングしたプライマーからもDNA増幅してしまうため、反応特異性が悪くなる。一方、ベタインは増幅効率を高めるだけでなく、反応特異性も向上させる働きがあり、これらが組み合わさることで反応特異性を高めたまま、優れた増幅効率をも得ることができたものと考えられる。
(実施例8)
GC率の高い領域をもつターゲットDNAの増幅
KOD DNAポリメラーゼ変異体(Y7A/V93K/H147E)、KOD−PCNA1 M73L/D147A変異体を用い、約10kbのDNAを増幅する系5種(これら5種はGC率が70%を超える500bp以上の領域を内部に含んでいる。)で、PCNAがある場合とない場合とでDNA増幅の比較を行った。なお、前記のそれぞれの場合において、さらにベタインがある場合とない場合とでDNA増幅を比較した。PCRにはKOD −Plus− Ver.2(東洋紡製)に添付の10×PCR Bufferを用い、
1×PCR Buffer、
1.5mM MgSO4
0.2mM dNTPs、
約10kbを増幅する6pmolのプライマー(ATCB:配列番号22及び23、BRAF:配列番号24及び25、TGFb:配列番号26及び27、ACE:配列番号28及び29、CASP3:配列番号30及び31)、
20ngのヒトゲノムDNA(Roche製Human Genomic DNA;型番11691112001)、及び、
0.5μgのKOD抗体と混合した0.6U KOD DNAポリメラーゼ変異体(Y7A/V93K/H147E)
を含む20μlの反応液中に、ベタインを1Mになるように添加(又は添加せず)し、また、PCNA変異体を400ng添加(又は添加せず)して、反応系を比較した。コントロールとしてPCNA、ベタインを添加しないものも実施した。サイクルは94℃、2分の前反応の後、98℃、10秒→60℃、10秒→68℃、2分を30サイクル繰り返すスケジュールでPCR system GeneAmp(登録商標)9700(Applied Biosystem)を用いてPCRを行った。
図2は、KOD−PCNA1変異体がある場合とない場合、さらに前記のそれぞれの場合においてベタインがある場合とない場合において、PCRを行い、得られた産物を電気泳動した結果を示す。
結果、ベタイン、PCNAともに存在しない場合では、5種全てでDNA増幅が見られなかった。ベタインを添加せず、KOD−PCNA1変異体を添加したものではレーン5のCASP3のみDNA増幅が確認できたが、スメアが生じ増幅産物のバンドが確認できない、また全くバンドが見られないなど、増幅成功率は低い結果となった。ベタインを添加し、PCNAを添加しなかったものでは、レーン1のATCB、レーン5のCASP3で薄くバンドがあることが確認できたが、増幅効率が悪い結果となった。一方、ベタイン、PCNAを共に添加したものはレーン4のACEのバンドが薄いものの5種全てでDNA増幅を確認することができた。GCを含む領域は増幅しにくく、優れた増幅効率が必要になる。またこのターゲットDNAも10kbと長く、反応特異性も重要となる。PCNAとベタインを組み合わせることで、優れた反応特異性を保ちながら、効率的なDNA増幅が可能になった。
(実施例9)
植物ライセートからのDNA増幅
DNA ポリメラーゼとしてKOD DNAポリメラーゼ変異体(Y7A/P36H/N210D)及びPfuポリメラーゼ変異体(Y7A/P36H/N210D)の2種類、PCNAとしてKOD−PCNA1変異体(M73L/D147A)、Mja−PCNA変異体(E142K)の2種類を用いて、植物のライセートから精製を行うことなくPCRができるかをベタインありなしで比較検討した。鋳型にはタバコの葉3mm角をBuffer A(100mM Tris−HCl(pH9.5)、1M KCl、10mM EDTA)100μlに添加し、95℃、10分の熱処理を行ったものをライセートとして用いた。PCRにはKOD Dash(東洋紡製)添付の10×PCR Bufferを用い、
1×PCR Buffer、
0.2mM dNTPs、
約1.3kbを増幅する15pmolの配列番号32及び33に記載のプライマー、
1μgのKOD抗体と混合した1.25U DNAポリメラーゼ変異体(KOD、PfuそれぞれY7A/P36H/N210D変異体)を含む50μlの反応液中に、評価するPCNAを1000ng添加(又は添加せず)し、また、ベタインは1Mを含むものと含まないものを比較した。コントロールとしてPCNA、ベタインを添加しないものも実施した。サイクルは94℃、2分の前反応の後、98℃、10秒→65℃、10秒→68℃、1.5分を35サイクル繰り返すスケジュールでPCR system GeneAmp(登録商標)9700(Applied Biosystem)を用いてPCRを行った。
反応終了後、5μlの反応液について1%アガロース電気泳動を行い、エチジウムブロマイド染色し、紫外線照射下、増幅DNA断片の増幅量を確認した。
図3は、KOD DNAポリメラーゼ変異体(Y7A/P36H/N210D)のベタインがある場合とない場合において、KOD−PCNA1変異体、又は、Mja−PCNA変異体1000ng添加してPCR反応を行い、植物ライセートから精製を経ずにPCRを実施し、電気泳動した結果を示す。比較のためにPCNAを添加していないものも実施した。
植物ライセートはPCR阻害物質を多く含み、PCRに供すると阻害を生じることが知られている。ベタイン、PCNA共に添加しなかった場合では、ライセート2μlを50μlの反応性に添加すると阻害が生じた。ベタインを添加せず、Mja−PCNA変異体を用いたものは4μlで阻害が生じ、ベタインを添加せず、KOD−PCNA1変異体を用いたものは8μlで阻害が生じた。前記のそれぞれの場合において、そこへベタインを添加することで、それぞれ倍のライセートを添加しても阻害が生じなくなった。ベタインとPCNAを組み合わせることで、阻害にも強くなることが確認された。ベタイン、PCNAはそれぞれ機能が独立しており、これらを組み合わせることで優れた増幅性能を示すことがわかった。
Pfu DNAポリメラーゼ変異体(Y7A/P36H/N210D)でも同様の結果になり、ベタイン、PCNA共に添加しなかった場合では、ライセート2μlを50μlの反応性に添加すると阻害が生じた。ベタインを添加せず、Mja−PCNA変異体を用いたものは4μlで阻害が生じ、ベタインを添加せず、KOD−PCNA1変異体を用いたものは8μlで阻害が生じた。前記のそれぞれの場合において、そこへベタインを添加することで、それぞれ倍のライセートを添加しても阻害が生じなくなった。ベタインとPCNAの組み合わせにはポリメラーゼの種類は問わないことが分かった。
本発明は、バイオテクノロジー関連産業において有用であり、研究用途、診断用途を問わず、特にDNA合成に関わる技術において有用である。

Claims (6)

  1. ファミリーBに属するDNAポリメラーゼ、Proliferating Cell Nuclear Antigen(PCNA)、及びベタインを含む核酸増幅試薬であって、該PCNAが、配列番号13に記載のアミノ酸配列において、82、84、109、139、143及び147番目に相当するアミノ酸残基の少なくとも一つの改変を有するとともに、以下の(1)又は(2)に示されるいずれかからなるものであることを特徴とする核酸増幅試薬。
    (1)配列番号13に記載のアミノ酸配列において、1乃至数個のアミノ酸残基が置換、欠失、挿入又は付加されているアミノ酸配列からなり、かつ、RFCがなくともDNAにロードする活性を有するポリペプチド
    (2)配列番号13に記載のアミノ酸配列との同一性が90%以上であるアミノ酸配列からなり、かつ、RFCがなくともDNAにロードする活性を有するポリペプチド
  2. ファミリーBに属するDNAポリメラーゼ、PCNA及びベタインを含む核酸増幅試薬であって、該PCNAが、配列番号14に記載のアミノ酸配列において、82、84、109、139、143及び147番目に相当するアミノ酸残基の少なくとも一つの改変を有するとともに、以下の(1)又は(2)に示されるいずれかからなるものであることを特徴とする核酸増幅試薬。
    (1)配列番号14に記載のアミノ酸配列において、1乃至数個のアミノ酸残基が置換、欠失、挿入又は付加されているアミノ酸配列からなり、かつ、RFCがなくともDNAにロードする活性を有するポリペプチド
    (2)配列番号14に記載のアミノ酸配列との同一性が90%以上であるアミノ酸配列からなり、かつ、RFCがなくともDNAにロードする活性を有するポリペプチド
  3. ファミリーBに属するDNAポリメラーゼ、PCNA及びベタインを含む核酸増幅試薬であって、該PCNAが、配列番号19に記載のアミノ酸配列において、80、82、108、138、142及び146番目に相当するアミノ酸残基の少なくとも一つの改変を有するとともに、以下の(1)又は(2)に示されるいずれかからなるものであることを特徴とする核酸増幅試薬。
    (1)配列番号19に記載のアミノ酸配列において、1乃至数個のアミノ酸残基が置換、欠失、挿入又は付加されているアミノ酸配列からなり、かつ、RFCがなくともDNAにロードする活性を有するポリペプチド
    (2)配列番号19に記載のアミノ酸配列との同一性が90%以上であるアミノ酸配列からなり、かつ、RFCがなくともDNAにロードする活性を有するポリペプチド
  4. ファミリーBに属するDNAポリメラーゼが、古細菌(Archea)由来のDNAポリメラーゼである請求項1から3のいずれかに記載の核酸増幅試薬。
  5. ファミリーBに属するDNAポリメラーゼが減少した塩基類似体検出活性を有する古細菌DNAポリメラーゼ変異体である請求項1から4のいずれかに記載の核酸増幅試薬。
  6. ファミリーBに属するDNAポリメラーゼが3’−5’エキソヌクレアーゼ活性領域を構成するアミノ酸のいずれかに、少なくとも1つのアミノ酸の改変を有するものである請求項1から5のいずれかに記載の核酸増幅試薬。
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