JP6579204B2 - 改変された耐熱性dnaポリメラーゼ - Google Patents

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Description

本発明は、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)等に用いられる耐熱性DNAポリメラーゼの変異体及びその製法に関する。更には、該耐熱性DNAポリメラーゼを用いた核酸の増幅方法、並びに該耐熱性DNAポリメラーゼを含有する試薬に関する。本発明は、研究のみならず臨床診断や環境検査等にも利用できる。
PCRに用いられる耐熱性DNAポリメラーゼにはファミリーAに属するものとファミリーBに属するものが存在する。ファミリーAに属するDNAポリメラーゼとしてはサーマス・サーモフィラス(Thermus thermophilus)由来のDNAポリメラーゼ(Tthポリメラ−ゼ)やサーマス・アクアチカス(Thermus aquaticus)由来のDNAポリメラ−ゼ(Taqポリメラーゼ)などが知られている。また、ファミリーBに属するDNAポリメラーゼとしてはパイロコッカス・フリオサス(Pyrococcus furiosus)由来の耐熱性DNAポリメラーゼ(Pfuポリメラーゼ)やサーモコッカス・リトラリス(Thermococcus litoralis)由来の耐熱性DNAポリメラ−ゼ(Tliポリメラーゼ)、サーモコッカス・コダカラエンシス(Thermococcus kodakaraensis)由来の耐熱性DNAポリメラーゼ(KOD DNAポリメラーゼ)などが知られている。
一般的に、PCRには増幅効率が良く、条件設定が容易という点からファミリーAに属するDNAポリメラーゼが用いられていた。しかし、最近では反応組成など様々な検討によりファミリーBに属するDNAポリメラーゼでも容易に条件設定が可能となっている。正確性が高い点や熱安定性が高い点、また反応系に持ち込まれる阻害物質に強いといった点から、ファミリーBに属するDNAポリメラーゼは研究分野のみならず、遺伝子診断、臨床診断といった法医学分野、あるいは、食品や環境中の微生物検査等においても、広く用いられるようになってきている。
しかし、ファミリーBに属するDNAポリメラーゼは、その高い忠実性からdUTPを取り込むと反応が停止してしまうという問題があった。dUTPはdCTPが熱分解しても生じるため、PCRの熱サイクルで生じるdUTPの影響を受け、ファミリーBに属するDNAポリメラーゼはその高い増幅効率を十分に発揮できていなかった。特に熱サイクルの時間が長い長鎖ターゲットのPCRや多サイクルを回して行う微量テンプレートからのPCRでは、ファミリーBに属するDNAポリメラーゼの増幅効率が落ちることが知られていた。
一方、PCRは非常に高感度な検出方法であるため、以前に行ったPCR増幅産物のキャリーオーバーによる偽陽性が問題となる。そこで、dTTPの代わりにdUTPを含む基質を用いてPCRを行い、増幅産物にウラシル塩基を取り込ませ、次のPCRを行う際にUracil−N−Glycosylase (UNG)処理することで、コンタミネーション(キャリーオーバー)した増幅産物を分解する手法(dUTP/UDGコンタミネーション除去法)がとられている(非特許文献1)。しかし、ファミリーBに属するDNAポリメラーゼは、正確性が高く、熱安定性が高い、また反応系に持ち込まれる阻害物質に強いといった利点をもつものの、dUTPの取り込みができないため、このような手法では使用することはできなかった(非特許文献2、非特許文献3、非特許文献4)。
近年、ファミリーBに属するDNAポリメラーゼとdUTPを含む核酸の相互作用が研究され、サーモコッカス・ゴルゴナリウス(Thermococcus gorgonarius)由来の耐熱性DNAポリメラ−ゼ(Tgoポリメラーゼ)においてdUTPとの結晶構造解析が実施された。解析結果から、アミノ酸1〜40とアミノ酸78〜130からなるウラシル結合ポケットの存在が示唆され、このウラシル結合ポケットとdUTPが強く相互作用を起こすため、PCRの伸長反応を止めることが分かっている(非特許文献5)。
そこで、ウラシル結合ポケットに関与するアミノ酸を改変するとdUTPとの親和性が減少し、dUTPが存在する条件でもPCRを行えることが見出されてきた。しかしながら、これらの変異体でも、PCRの増幅量が減少するなど、その増幅効率を十分発揮することができていなかった。また、従来、酵素活性の低下が予想されていたため、多重変異は検討されていなかった(特許文献1、2)。
特表第2005−526510号公報 特表第2006−507012号公報 米国特許第6946273号
Gene, Vol.93(1), 125-128 (1990) BioTechniques, vol.21(3), 368−370 (1996) Analytical Biochemistry, Vol.211(1), 164-169 (1993) Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America, vol.99, 596−601 (2002) Journal of Molecular Biology, Vol. 381(3), 529-539 (2008)
上述したように、ファミリーBに属するDNAポリメラーゼは研究分野のみならず、遺伝子診断、臨床診断といった法医学分野、あるいは、食品や環境中の微生物検査等において、広く利用されている。しかし、dUTPによって反応が停止するため、dUTP/UNGコンタミネーション除去法は使用できず、また、熱サイクル中に生成されるdUTPにより、その増幅効率を十分発揮することができていなかった。本発明の目的は、dUTPによって阻害されない、改変されたファミリーBに属するDNAポリメラーゼを提供することである。
本発明者らは、パイロコッカス(Pyrococcus)属又はサーモコッカス(Thermococcus)属由来のDNAポリメラーゼにおいて、ウラシルの結合に関与するアミノ酸配列における2つ以上のアミノ酸を改変することにより、アミノ酸の単変異体よりもウラシルへの感受性がさらに低下することを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、配列番号1に示されるアミノ酸配列における7、36、37、90〜97、および112〜119番目のアミノ酸、もしくは他の種由来のDNAポリメラーゼにおける7、36、37、90〜97、および112〜119番目のアミノ酸に相当するアミノ酸に少なくとも2つのアミノ酸の改変を導入することにより、ウラシルへの感受性が低下し、dUTP存在下でもDNA伸長反応を行うことができる改変された耐熱性DNAポリメラーゼを発明した。好ましい例は、7番目、36番目、93番目のいずれか2つ以上のアミノ酸の改変を有する耐熱性DNAポリメラーゼである。より好ましい例は7番目のチロシンが非極性アミノ酸に置換されており、36番目のプロリンが正電荷をもつ極性アミノ酸に置換されており、及び/または93番目のバリンが正電荷をもつ極性アミノ酸に置換されている耐熱性DNAポリメラーゼである。
さらに本発明らは、ウラシルの結合に関するアミノ酸配列の改変に加え、ファミリーBに属する古細菌由来のDNAポリメラーゼの3‘−5’エキソヌクレアーゼ領域を改変し、3‘−5’エキソヌクレアーゼ(エキソ)活性を欠損させることで、よりウラシルへの感受性が低下することを見出した。本出願はさらに、配列番号1における137〜146、206〜222、および308〜318番目に対応するアミノ酸への改変を有し、エキソ活性を50%以下に減少させた耐熱性DNAポリメラーゼを提供する。より好ましくは、配列番号1における141、142、143、210、311番目に対応するアミノ酸の少なくとも一つを改変した耐熱性DNAポリメラーゼである。さらに好ましくは、3‘−5’エキソヌクレアーゼ領域のアミノ酸の改変が141番目のアスパラギン酸からアラニンへの置換及び143番目のグルタミン酸からアラニンへの置換、142番目のイソロイシンからアルギニンへの置換、210番目のアスパラギンからアスパラギン酸への置換、並びに311番目のチロシンからフェニルアラニンへの置換から選択されるいずれか一つである、耐熱性DNAポリメラーゼである。
本出願はさらに、ウラシルの結合に関するアミノ酸配列の改変に加え、ファミリーBに属する古細菌由来のDNAポリメラーゼの3‘−5’エキソヌクレアーゼ領域を改変し、PCR効率を向上させたDNAポリメラーゼを提供する。より好ましくは配列番号1における147番目のヒスチジンからグルタミン酸への置換、または147番目のヒスチジンからアスパラギン酸への置換されるいずれか一つである、耐熱性DNAポリメラーゼである。
代表的な発明は以下の通りである。
(1)パイロコッカス(Pyrococcus)属又はサーモコッカス(Thermococcus)属由来のDNAポリメラーゼであって、ウラシルの結合に関するアミノ酸配列のうち、少なくとも2つのアミノ酸の改変を有し、野生型DNAポリメラーゼよりもウラシルの感受性が低いことを特徴とする、改変型DNAポリメラーゼ。
(2)配列番号1に示されるアミノ酸配列における7、36、37、90〜97、および112〜119番目に相当するアミノ酸からなるウラシルの結合に関するアミノ酸配列のうち、少なくとも2つのアミノ酸の改変を有し、野生型DNAポリメラーゼよりもウラシルの感受性が低いことを特徴とする、(1)に記載の改変型DNAポリメラーゼ。
(3)配列番号1に示されるアミノ酸配列におけるY7、P36、およびV93に相当するアミノ酸のうち、少なくとも2つのアミノ酸を改変し、野生型DNAポリメラーゼよりもウラシルの感受性が低いことを特徴とする、(2)に記載の改変型DNAポリメラーゼ。
(4)Y7に相当するアミノ酸の改変が、Y7A、Y7G、Y7V、Y7L、Y7I、Y7P、Y7F、Y7M、Y7W、及びY7Cからなる群より選ばれるアミノ酸置換である、(3)に記載の改変型DNAポリメラーゼ。
(5)P36に相当するアミノ酸の改変が、P36H、P36K、またはP36Rのアミノ酸置換である、(3)または(4)に記載の改変型DNAポリメラーゼ。
(6)V93に相当するアミノ酸の改変が、V93H、V93K、またはV93Rのアミノ酸置換である、(3)〜(5)のいずれかに記載の改変型DNAポリメラーゼ。
(7)少なくとも2つのアミノ酸の改変が、Y7A及びP36Hのアミノ酸置換である、(3)に記載の改変型DNAポリメラーゼ。
(8)少なくとも2つのアミノ酸の改変が、Y7A及びP36Kのアミノ酸置換である、(3)に記載の改変型DNAポリメラーゼ。
(9)少なくとも2つのアミノ酸の改変が、Y7A及びP36Rのアミノ酸置換である、(3)に記載の改変型DNAポリメラーゼ。
(10)少なくとも2つのアミノ酸の改変が、Y7A及びV93Qのアミノ酸置換である、(3)に記載の改変型DNAポリメラーゼ。
(11)少なくとも2つのアミノ酸の改変が、Y7A及びV93Kのアミノ酸置換である、(3)に記載の改変型DNAポリメラーゼ。
(12)少なくとも2つのアミノ酸の改変が、Y7A及びV93Rのアミノ酸置換である、(3)に記載の改変型DNAポリメラーゼ。
(13)少なくとも2つのアミノ酸の改変が、P36H及びV93Kのアミノ酸置換である、(3)に記載の改変型DNAポリメラーゼ。
(14)さらに3’−5’エキソヌクレアーゼ活性領域のアミノ酸配列のいずれかに少なくとも1つのアミノ酸の改変を有する、(1)〜(13)のいずれかに改変型DNAポリメラーゼ。
(15)3’−5’エキソヌクレアーゼ活性領域のアミノ酸配列が、配列番号1に示される137〜147、206〜222、および308〜318番目に相当するアミノ酸からなる、(14)に記載の改変型DNAポリメラーゼ。
(16)3’−5’エキソヌクレアーゼ活性領域のD141、I142、E143、N210、及びY311に相当するアミノ酸に少なくとも1つのアミノ酸の改変を有する、(15)に記載の改変型DNAポリメラーゼ。
(17)3’−5’エキソヌクレアーゼ活性領域のアミノ酸配列の改変がD141A及びE143Aである、(16)に記載の改変型DNAポリメラーゼ。
(18)3’−5’エキソヌクレアーゼ活性領域のアミノ酸配列の改変がI142Rである、(16)に記載の改変型DNAポリメラーゼ。
(19)3’−5’エキソヌクレアーゼ活性領域のアミノ酸配列の改変がN210Dである、(16)に記載の改変型DNAポリメラーゼ。
(20)3’−5’エキソヌクレアーゼ活性領域のアミノ酸配列の改変がY311Fである、(16)に記載の改変型DNAポリメラーゼ。
(21)前記改変型DNAポリメラーゼがH147E、またはH147Dのアミノ酸置換を更に含む、(1)から(20)のいずれかに記載の改変型DNAポリメラーゼ。
(22)パイロコッカス(Pyrococcus)属又はサーモコッカス(Thermococcus)属由来のDNAポリメラーゼが、パイロコッカス・フリオサス、パイロコッカス・エスピーGB−D、サーモコッカス・コダカラエンシス、サーモコッカス・ゴルゴナリウス、サーモコッカス・リトラリス、サーモコッカス・エスピーJDF−3、サーモコッカス・エスピー9°N−7、サーモコッカス・エスピーKS−1、サーモコッカス・セラー、又はサーモコッカス・シクリ由来のDNAポリメラーゼである、(1)〜(21)のいずれかに記載の改変型DNAポリメラーゼ。
(23)野生型が配列番号1〜10のいずれかに示されるアミノ酸配列からなるパイロコッカス(Pyrococcus)又はサーモコッカス(Thermococcus)に属するDNAポリメラーゼである、(1)〜(22)のいずれかに記載の改変型DNAポリメラーゼ。
(24)(1)〜(23)のいずれかに記載のポリメラーゼを使用して核酸増幅反応を行う方法。
(25)(1)〜(23)のいずれかに記載のポリメラーゼを使用して、イノシンを含んだプライマーで核酸増幅反応を行う方法。
(26)(1)〜(23)のいずれかに記載のポリメラーゼを使用して、バイサルファイト処理したDNAから核酸増幅反応を行う方法。
(27)(1)〜(23)のいずれかに記載のポリメラーゼを使用して増幅した核酸を、ウラシル−DNAグリコシラーゼを用いて分解する方法。
(25)(1)〜(23)のいずれかに記載のポリメラーゼを含む、核酸増幅反応を行うための試薬。
(26)(1)〜(23)のいずれかに記載のポリメラーゼを含む、核酸増幅反応を行うための試薬を含むキット。
本発明によって、dUTPによって阻害されないDNAポリメラーゼを提供することでき、熱サイクルの時間が長い長鎖ターゲットのPCRや多サイクルを回して行う微量テンプレートからのPCRにおいても高い増幅効率を発揮することができる。正確性、熱安定性が高く、反応系に持ち込まれる阻害物質に強いといった利点をもつファミリーBに属するDNAポリメラーゼの特徴と合わせて、非常に高感度な検出系に応用することができる。高感度であり、正確性が高いことから一分子からの増幅を行うエマルジョンPCRや、ブリッジPCR、またそれらの技術をもとに行う次世代のシークエンス技術にも応用できる。また、コンタミネーション(キャリーオーバー)した増幅産物を分解する方法であるdUTP/UDGコンタミネーション除去法を利用できるようになることから、同じターゲットを増幅することが多い診断用途でも擬陽性のない正確な結果を出すことができる。本発明の改変された耐熱性DNAポリメラーゼは、研究分野を始め、遺伝子診断などの臨床分野もしくは法医学分野、あるいは食品や環境中の微生物検査等において広く利用することができる。
ウラシルの結合に関するアミノ酸領域を示す図である。 3’−5’エキソヌクレアーゼ活性に関するアミノ酸領域を示す図である。 dUTPの感受性を調べるため、反応系にdUTPを添加して行ったPCR増幅を示す図である。 dUTPの感受性を調べるため、反応系にdUTPを添加して行ったPCR増幅を示す図である。 100%dUTP存在下で482bpのPCR増幅を示す図である。 図5におけるPCR増幅量を電気泳動のピーク面積で示す図である。 100%dUTP存在下で482bpのPCR増幅を示す図である。 図7におけるPCR増幅量を電気泳動のピーク面積で示す図である。 100%dUTP存在下で長鎖長のPCR増幅を示す図である。 100%dUTP存在下で長鎖長のPCR増幅を示す図である。 イノシンを含んだプライマーを用いて行ったPCR増幅を示す図である。 バイサルファイト処理したDNAを用いて行ったPCR増幅を示す図である。 dUTP存在下で増幅したPCR産物のUNGによる分解を示す図である。
本発明は、ファミリーBに属するDNAポリメラーゼに関する。ファミリーBに属するDNAポリメラーゼはその酵素分子内にポリメラーゼ領域と3‘−5‘エキソヌクレアーゼ(エキソ)領域を保持していため、間違った塩基を連結してしまった場合には、エキソ領域で誤った塩基を除去し、校正することができる。そのため、複製の正確性が高いという特徴を持つ。
本発明におけるファミリーBに属するDNAポリメラーゼは、好ましくは古細菌(Archea)由来のDNAポリメラーゼである。古細菌由来のDNAポリメラーゼは、ファミリーBのPol I型又はPol II型のいずれかに属する。本発明においては、好ましくはPol I型に属するDNAポリメラーゼである。ファミリーBのPol I型に属する古細菌由来のDNAポリメラーゼとしては、パイロコッカス(Pyrococcus)属およびサーモコッカス(Thermococcus)属の細菌から単離されるDNAポリメラーゼが挙げられる。パイロコッカス属由来のDNAポリメラーゼとしては、Pryrococcus friosus、Pryrococcus sp.GB−D、Pryrococcus Woesii、Prococcus abysii、Prococcus horikoshiiから単離されたDNAポリメラーゼを含むが、これらに限定されない。サーモコッカス属に由来するDNAポリメラーゼとしては、Thermococcus kodakaraensis、Thermocossu gorgonarius、Thermococcus litoralis、Thermococcus sp.JDF−3、Thermococcsu sp.9degree North−7(Thermococcus sp.9°N−7)、Thermococcsu sp.KS−1、Thermococcus celer、又はThermococcsu siculiから単離されたDNAポリメラーゼを含むが、これらに限定されない。これらのDNAポリメラーゼを用いたPCR酵素は市販されており、Pfu(Staragene社)、KOD(Toyobo社)、Pfx(Life Technologies社)、Vent(New England Biolabs社)、Deep Vent(New England Biolabs社)、Tgo(Roche社)、Pwo(Roche社)などがある。
本発明における耐熱性DNAポリメラーゼはウラシルの結合に関するアミノ酸配列(ウラシル結合ポケット)を有している。ウラシルの結合に関するアミノ酸配列とは、dUTPを認識する部位に関与するアミノ酸配列のことであり、古細菌に属するDNAポリメラーゼはdUTPが存在すると伸長反応を停止するという特徴を持つ。
ウラシルはシトシンの熱分解により生じ、ウラシルはアラニンと対合するので,シトシン→ウラシルの変化は突然変異の原因となる。古細菌は好熱菌より高温で生育するため防護機構として、DNAポリメラーゼにこのような機能が付加されたことが考えられる。ウラシルの産出は、PCRの熱サイクルでも生じる。このウラシルの影響を受け、ファミリーBに属する古細菌由来のDNAポリメラーゼはPCRでその高い増幅効率を十分に発揮できていなかった。
ウラシルの結合に関するアミノ酸配列はパイロコッカス属に由来するDNAポリメラーゼ及びサーモコッカス属に由来するDNAポリメラーゼにおいて高度に保存されている。サーモコッカス・コダカラエンシスに由来するDNAポリメラーゼ(配列番号1)においては、アミノ酸1〜40、およびアミノ酸78〜130によって形成される。パイロコッカス・フリオサス(配列番号2)においては、アミノ酸1〜40、およびアミノ酸78〜130によって形成される。サーモコッカス・ゴルゴナリウス(配列番号3)においては、アミノ酸1〜40、およびアミノ酸78〜130によって形成される。サーモコッカス・リトラリス(配列番号4)においては、アミノ酸1〜40、およびアミノ酸78〜130によって形成される。パイロコッカス・エスピーGB−D(配列番号5)においては、アミノ酸1〜40、およびアミノ酸78〜130によって形成される。サーモコッカス・エスピーJDF−3(配列番号6)のおいては、アミノ酸1〜40、およびアミノ酸78〜130によって形成される。サーモコッカス・エスピー9°N−7(配列番号7)においては、アミノ酸1〜40、およびアミノ酸78〜130によって形成される。サーモコッカス・エスピーKS−1(配列番号8)においては、アミノ酸1〜40、およびアミノ酸78〜130によって形成される。サーモコッカス・セラー(配列番号9)においては、アミノ酸1〜40、およびアミノ酸78〜130によって形成される。サーモコッカス・シクリ(配列番号10)においては、アミノ酸1〜40、およびアミノ酸78〜130によって形成される。図1は配列番号1〜10の配列におけるウラシルの結合に関するアミノ酸配列の比較を示す。本発明は図1に具体的に配列を提示したDNAポリメラーゼ以外のDNAポリメラーゼにも適用される。
これらの配列の中でもより好ましくは、結晶構造解析等のデータからウラシルと相互作用に直接関連していると考えられる、7、36、37、90〜97、および112 〜 119番目に相当するアミノ酸をいう。なお、「配列番号1に示されるアミノ酸配列における7、36、37、90〜97、および112 〜 119番目に相当するアミノ酸」とは、配列番号1に示されるアミノ酸配列と完全同一ではないアミノ酸配列を有するDNAポリメラーゼにおいて、配列番号1の7、36、37、90〜97、および112 〜 119番目に対応するウラシルの結合に関するアミノ酸配列を含む表現である。
本発明は、アミノ酸1〜40、およびアミノ酸78〜130からなるウラシルの結合に関するアミノ酸配列において、少なくとも2つのアミノ酸の改変を有する。より好ましくは、7、36、37、90〜97、および112 〜 119番目のアミノ酸において、少なくとも2つのアミノ酸の改変を有する。アミノ酸の改変は、アミノ酸の置換、欠失又は付加からなる。
本発明の耐熱性DNAポリメラーゼは、より好ましくは配列番号1におけるアミノ酸Y7、P36、またはV93に相当するアミノ酸から選択される少なくとも2つのアミノ酸の改変を有する。ここで、例えばY7とは、7番目のアミノ酸であるチロシン(Y)残基を意味しており、アルファベット1文字は通用されているアミノ酸の略号を表している。好ましい例において、Y7アミノ酸はチロシン(Y)が非極性アミノ酸に置換されており、具体的にはY7A、Y7G、Y7V、Y7L、Y7I、Y7P、Y7F、Y7M、Y7W、及びY7Cからなる群より選ばれるアミノ酸置換である。ここで、例えばY7Aとは、7番目のアミノ酸のチロシン(Y)がアラニン(A)に置換されていることを意味しており、以下同様である。別の好ましい例において、P36アミノ酸はプロリン(P)が正電荷をもつ極性アミノ酸に置換されており、具体的にはP36H、P36K、またはP36Rのアミノ酸置換である。別の好ましい例において、V93アミノ酸はバリン(V)が正電荷をもち極性アミン酸に置換されており、具体的にはV93H、V93K、またはV93Rのアミノ酸置換である。
より好ましくは、改変がY7A、P36H、P36K、P36R 、V93Q、V93K、及びV92Rからなる群より選ばれる、少なくとも2つのアミノ酸の改変である。特に好ましくは、P36H/Y7A、P36K/Y7A、P36R/Y7A、V93Q/Y7A、V93K/Y7A、V93R/Y7A、またはP36H/V93Kの組み合わせであるアミノ酸の改変である。
ウラシルの結合に関するアミノ酸配列の改変を有する耐熱性DNAポリメラーゼは、野生型のDNAポリメラーゼと比較して、ウラシルの感受性が低いことを特徴とする。ウラシルの感受性が低いとは、dUTPの存在下でもファミリーBに属する古細菌由来のDNAポリメラーゼの機能低下があまり見られず、dUTPによるDNAポリメラーゼの伸長反応への影響が低減されていることをいう。
本発明におけるウラシル感受性はPCRによって評価できる。例えば、鋳型となるDNA、緩衝材、マグネシウム、dNTPs、プライマー、鋳型となるDNA、および評価対象のDNAポリメラーゼを含む通常のPCR反応液に、dUTP溶液を、終濃度0.5μM〜200μMで添加し、熱サイクルを行う。反応後にエチジウムブロマイド染色アガロース電気泳動でPCR産物の有無を確認し、許容できたdUTP濃度によって、ウラシルの感受性を評価することが出来る。ウラシル感受性の高いDNAポリメラーゼは少しのdUTPの添加で伸長反応が阻害され、PCR産物が確認できない。またウラシル感受性の低いDNAポリメラーゼは高濃度のdUTPを添加しても問題なくPCRによる遺伝子増幅が確認できる。
本発明におけるウラシル感受性が低い改変型DNAポリメラーゼとは、酵素至適の反応Buffer中で、任意のプライマー、および鋳型となるDNAを用い、至適の熱サイクルを行った結果、変異がない野生型と比較し、高濃度のdUTPを添加しても伸長反応が阻害されず、PCR産物が確認できるDNAポリメラーゼのことをいう。
具体的には、KOD −Plus− Ver.2(Toyobo社製)添付の10×PCR Buffer、またはPfu DNA Polymerase(Agilent社製)添付の10×PCR Bufferを用い、1×PCR Buffer、および1.5mM MgSO4、0.2mM dNTPs(dATP、dTTP,dCTP、dGTP)、約1.3kbを増幅する15pmolの配列番号25及び26に記載のプライマー、10ngのヒトゲノムDNA(Roche製)、1Uの各酵素を含む50μlの反応液中に、dUTP(Roche製)を終濃度0.5、5、50、100、200μMになるよう添加する。94℃、30秒の前反応の後、98℃、10秒→65℃、30秒→68℃、1分30秒を30サイクル繰り返すスケジュールでPCR system GeneAmp9700(Applied Biosystem社)にてPCRを行う。反応終了後、5μlの反応液についてアガロース電気泳動を行い、エチジウムブロマイド染色し、紫外線照射下約1.3kbの増幅DNA断片を確認することでウラシル感受性が評価できる。
本発明の改変されたDNAポリメラーゼは、さらに3‘−5’エキソヌクレアーゼ領域への改変を含む。3‘−5’エキソアーゼ活性とは、取り込まれたヌクレオチドをDNA重合体の3’末端から除去する能力を指し、上記の3‘−5’エキソヌクレアーゼ領域とは、ファミリーBに属するDNAポリメラーゼで高度に保存されている部位であり、サーモコッカス・コダカラエンシスに由来するDNAポリメラーゼ(配列番号1)、パイロコッカス・フリオサスに由来するDNAポリメラーゼ(配列番号2)、サーモコッカス・ゴルゴナリウスに由来するDNAポリメラーゼ(配列番号3)、サーモコッカス・リトラリスに由来するDNAポリメラーゼ(配列番号4)、パイロコッカス・エスピーGB−Dに由来するDNAポリメラーゼ(配列番号5)、サーモコッカス・エスピーJDF−3に由来するDNAポリメラーゼ(配列番号6)、サーモコッカス・エスピー9°N−7に由来するDNAポリメラーゼ(配列番号7)、サーモコッカス・エスピーKS−1に由来するDNAポリメラーゼ(配列番号8)、サーモコッカス・セラーに由来するDNAポリメラーゼ(配列番号9)、又はサーモコッカス・シクリに由来するDNAポリメラーゼ(配列番号10)においては、137〜147、206〜222、および308〜318番目のアミノ酸である。図2は配列番号1〜10の配列における3‘−5’エキソヌクレアーゼ領域に関するアミノ酸配列の比較を示す。本発明は図2に具体的に配列を提示したDNAポリメラーゼ以外のDNAポリメラーゼにも適用される。また、配列番号1〜10に示されるDNAポリメラーゼ以外のファミリーBに属する古細菌由来DNAポリメラーゼにおいては、図2に示される137〜147、206〜222、および308〜318番目のアミノ酸からなる3‘−5’エキソヌクレアーゼ領域と対応する領域のことを示す。
なお、「配列番号1に示される137〜147、206〜222、および308〜318番目に相当するアミノ酸」とは、配列番号1に示されるアミノ酸配列と完全同一ではないアミノ酸配列を有するDNAポリメラーゼにおいて、配列番号1の137〜147、206〜222、および308〜318番目に対応するアミノ酸配列を含む表現である。
上記の3‘−5’エキソヌクレアーゼ領域への改変とは、置換、欠失、または付加からなり得る。配列番号1における137〜147、206〜222、および308〜318番目に対応するアミノ酸への改変を示す。より好ましくは、配列番号1における141、142、143、210、311番目に対応するアミノ酸の少なくとも一つを改変したものである。より好ましくは、アミノ酸の改変がD141A/E143A、I142R、N210D、またはY311Fから選択されるいずれか一つである、3‘−5’エキソヌクレアーゼ活性を欠損させたDNAポリメラーゼである。さらにH147E、またはH147Dから選択されるいずれか一つであるエキソヌクレアーゼ活性を維持したまま、PCR効率を向上させたDNAポリメラーゼであることも好ましい。なお、3‘−5’エキソヌクレアーゼ活性を欠損させた(エキソ(−))DNAポリメラーゼとは、活性の完全な欠如を含み、例えば、親酵素と比較して0.03%、0.05%、0.1%、1%、5%、10%、20%、または最大でも50%以下のエキソヌクレアーゼ活性を有する改変されたDNAポリメラーゼを指す。3‘−5’エキソヌクレアーゼDNAポリメラーゼを生成し、解析するために使用される方法は、特許文献3などに開示されている。PCR効率を向上させたDNAポリメラーゼとは、PCR産物の量が親酵素と比較して増加している改変されたDNAポリメラーゼを示す。解析するための方法は、特許第3891330号に記載されている。
これらの改変された酵素を製造する方法としては、従来の公知の方法が使用できる。例えば、野生型DNAポリメラーゼをコードする遺伝子に変異を導入して、タンパク質工学的手法により新たな機能を有する変異型(改変型)DNAポリメラーゼを製造する方法がある。
アミノ酸の改変を導入する方法の一態様として、Inverse PCR法に基づく部位特異的変異導入法を用いることができる。例えば、KOD −Plus− Mutaagenesis Kit(Toyobo社製)は、(1)目的とする遺伝子を挿入したプラスミドを変性させ、該プラスミドに変異プライマーをアニーリングさせ、続いてKOD DNAポリメラーゼを用いて伸長反応を行う、(2)(1)のサイクルを15回繰り返す、(3)制限酵素DpnIを用いて鋳型としたプラスミドのみを選択的に切断する、(4)新たに合成された遺伝子をリン酸化、Ligationを実施し環化させる、(5)環化した遺伝子を大腸菌に形質転換し、目的とする変異の導入されたプラスミドを保有する形質転換体を取得することのできるキットである。
上記改変DNAポリメラーゼ遺伝子を必要に応じて発現ベクターに移し替え、宿主として例えば大腸菌を、該発現ベクターを用いて形質転換した後、アンピシリン等の薬剤を含む寒天培地に塗布し、コロニーを形成させる。コロニーを栄養培地、例えばLB培地や2×YT培地に接種し、37℃で12〜20時間培養した後、菌体を破砕して粗酵素液を抽出する。ベクターとしては、pBluescript由来のものが好ましい。菌体を破砕する方法としては公知のいかなる手法を用いても良いが、例えば超音波処理、フレンチプレスやガラスビーズ破砕のような物理的破砕法やリゾチームのような溶菌酵素を用いることができる。 この粗酵素液を80℃、30分間熱処理し、宿主由来のポリメラーゼを失活させ、DNAポリメラーゼ活性を測定する。
上記方法により選抜された菌株から精製DNAポリメラーゼを取得する方法は、いかなる手法を用いても良いが、例えば下記のような方法がある。栄養培地に培養して得られた菌体を回収した後、酵素的または物理的破砕法により破砕抽出して粗酵素液を得る。得られた粗酵素抽出液から熱処理、例えば80℃、30分間処理し、その後硫安沈殿によりDNAポリメラーゼ画分を回収する。この粗酵素液をセファデックスG−25(アマシャムファルマシア・バイオテク製)を用いたゲル濾過等の方法により脱塩を行うことができる。この操作の後、ヘパリンセファロースカラムクロマトグラフィーにより分離、精製し、精製酵素標品を得ることができる。該精製酵素標品はSDS−PAGEによってほぼ単一バンドを示す程度に純化される。
本発明はPCRのみならず、DNAを鋳型とし、1種のプライマー、dNTP(デオキシリボヌクレオチド3リン酸)を反応させることによりプライマーを伸長して、DNAプライマー伸長物を合成する方法にも使用される。具体的には、プライマーエクステンション法、シークエンス法、従来の温度サイクルを行わない方法およびサイクルシーケンス法を含む。
本発明の改変された耐熱性DNAポリメラーゼは核酸増幅用試薬の態様で提供されることがある。核酸増幅用試薬の一例としては、一方のプライマーが他方のプライマーのDNA伸長生成物に互いに相補的である2種のプライマー、dNTP、及び上記のような本発明における耐熱性DNAポリメラーゼ、2価イオン、1価イオン、及び緩衝液を含み、さらに具体的には、一方のプライマーが他方のプライマーDNA伸長生成物に相補的である2種のプライマー、dNTP及び上記耐熱性DNAポリメラーゼ、マグネシウムイオン、アンモニウムイオン及び/又はカリウムイオン、BSA、上述のような非イオン界面活性剤及び緩衝液を含む。
核酸増幅用試薬の別の態様としては、一方のプライマーが他方のプライマーのDNA伸長生成物に互いに相補的である2種のプライマー、dNTP及び上述したような本発明における耐熱性DNAポリメラーゼ、2価イオン、1価イオン、緩衝液、及び必要に応じて耐熱性DNAポリメラーゼのポリメラーゼ活性及び/又は3’−5’エキソヌクレアーゼ活性を抑制する活性を有する抗体を含む核酸増幅用試薬がある。該抗体としては、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体などが挙げられる。本核酸増幅用試薬は、PCRの感度上昇、非特異増幅の軽減に特に有効である。
本発明の改変型DNAポリメラーゼを用いた応用分野として、例として下記の分野に利用することができる。
イノシン(dITP)を含むプライマーを用いたPCR:
既知のアミノ酸配列からその遺伝子をクローニングする手法として、縮重プライマーを用いたPCR法が用いられる。縮重プライマーを用いたPCR法では、縮重プライマーの組み合わせ数を減らすため、イノシン(dITP)を用いたプライマーが利用されることが多い。イノシンはどの塩基とも相補対とならず、二本鎖形成の阻害もしないため、アミノ酸に対する複数種類のコドンを網羅的に増幅することができる。ところが、パイロコッカス(Pyrococcus)属又はサーモコッカス(Thermococcus)属由来の野生型のDNAポリメラーゼでは、イノシンを含むプライマーを使用すると、反応性が著しく低下するという問題がある。しかしながら、本発明の改変型DNAポリメラーゼは、イノシンを含むプライマーでも高い増幅効率が見られ、正確性もあることから、本発明はイノシンを含むプライマーを用いたPCRに有用である。
バイサルファイト処理をしたDNAの増幅反応:
DNAメチル化解析の手法として、ゲノムDNAにバイサルファイト(亜硫酸水素)処理を行い、メチル化の有無やポジションを解析できるバイサルファイト・シーケンス法(BSP法)や、メチル化および非メチル化されている塩基を特異的にPCR増幅してメチル化の様子を解析するメチル化特異的PCR法(MSP法)がある。ゲノムDNAにバイサルファイト処理を行うと、メチル化されていないシトシンがウラシルに変換され、メチル化されたシトシンは変換されない。そこでバイサルファイト処理の前後で生じるシトシンとチミン(ウラシル)の差異を元に、メチル化の解析を行うことが出来る。本発明の改変型DNAポリメラーゼはウラシルを含むDNAを効率的に増幅することが出来るため、バイサルファイト処理をしたDNAの増幅反応、およびメチル化解析の手法に有用である。
dUTP/UNGコンタミネーション除去法への利用:
PCRのキャリーオーバーの防止のため、PCRに際し、ウラシル(dUTP)を取り込ませてPCR反応を行い、次のPCR反応を行う前に,夾雜PCR産物をウラシル−DNA グリコシラーゼ(UNG)により分解させることにより、キャリーオーバーを防ぐdUTP/UNGコンタミネーション除去法が用いられる。UNGは一本鎖あるいは二本鎖DNAのウラシル−グリコシド結合を分解し,ウラシルの削除とDNA内にアルカリ感受性無塩基部位を生成する。本発明の改変型DNAポリメラーゼはウラシルを含むDNAを効率的に増幅することが出来るため、dUTP/UNGコンタミネーション除去法に有用である。
[DNAポリメラーゼ活性測定法]
酵素活性が強い場合には、保存緩衝液(50mM Tris−HCl(pH8.0),50mM KCl,1mM ジチオスレイトール,0.1% Tween20,0.1% Nonidet P40,50% グリセリン)でサンプルを希釈して測定を行う。(1)下記のA液25μl、B液5μl、C液5μl、滅菌水10μl、及び酵素溶液5μlをマイクロチューブに加えて75℃にて10分間反応する。(2)その後氷冷し、E液50μl、D液100μlを加えて、攪拌後更に10分間氷冷する。(3)この液をガラスフィルター(ワットマン製GF/Cフィルター)で濾過し、0.1N 塩酸およびエタノールで十分洗浄する。(4)フィルターの放射活性を液体シンチレーションカウンター(パッカード製)で計測し、鋳型DNAのヌクレオチドの取り込みを測定する。酵素活性の1単位はこの条件で30分当りの10nmolのヌクレオチドを酸不溶性画分(即ち、D液を添加したときに不溶化する画分)に取り込む酵素量とする。
A:40mM Tris−HCl緩衝液(pH7.5)16mM 塩化マグネシウム15
mM ジチオスレイトール100μg/ml BSA(牛血清アルブミン)
B:1.5μg/μl 活性化仔牛胸腺DNA
C:1.5mM dNTP(250cpm/pmol [3H]dTTP)
D:20% トリクロロ酢酸(2mMピロリン酸ナトリウム)
E:1mg/ml仔牛胸腺DNA
(実施例1)
KOD Y7A変異体の作製
サーモコッカス・コダカラエンシス KOD1株由来の改変型耐熱性DNAポリメラーゼ遺伝子を含有するプラスミド、pKOD Y7A(配列番号11の19〜21番目のTACをGCCに置換した改変型耐熱性DNAポリメラーゼ遺伝子を持つプラスミド)を作製した。
変異導入に使用されるDNA鋳型は、pBluescriptにクローニングされたサーモコッカス・コダカラエンシス KOD1株由来の改変型耐熱性DNAポリメラーゼ遺伝子(配列番号11)(pKOD)を用いた。変異導入にはKOD −Plus− Mutaagenesis Kit(Toyobo社製)を用いて、方法は取扱い説明書に準じて行った。変異作製用プライマーとしては、配列番号13及び14に記載されるプライマーを使用した。なお、変異体の確認は塩基配列の解読で行った。得られたプラスミドによりエシェリシア・コリJM109を形質転換し、酵素調製に用いた。
(実施例2)
改変型耐熱性DNAポリメラーゼ(KOD Y7A)の作製
実施例1で得られた菌体の培養は以下のようにして実施した。まず、滅菌処理した100μg/mlのアンピシリンを含有するTB培地(Molecular cloning 2nd edition、p.A.2)80mLを500mL坂口フラスコに分注した。この培地に予め100μg/mlのアンピシリンを含有する3mlのLB培地(1%バクトトリプトン、0.5%酵母エキス、0.5%塩化ナトリウム;ギブコ製)で37℃、16時間培養したエシェリシア・コリJM109(プラスミド形質転換株)(試験管使用)を接種し、37℃にて16時間通気培養した。培養液より菌体を遠心分離により回収し、50mlの破砕緩衝液(30mM Tris−HCl緩衝液(pH8.0)、30mM NaCl、0.1mM EDTA)に懸濁後、ソニケーション処理により菌体を破砕し、細胞破砕液を得た。次に細胞破砕液を80℃にて15分間処理した後、遠心分離にて不溶性画分を除去した。更に、ポリエチレンイミンを用いた除核酸処理、硫安塩析、ヘパリンセファロースクロマトグラフィーを行い、最後に保存緩衝液(50mM Tris−HCl緩衝液(pH8.0)、50mM 塩化カリウム、1mM ジチオスレイトール、0.1% Tween20、0.1%ノニデットP40、50%グリセリン)に置換し、改変型耐熱性DNAポリメラーゼ(KOD Y7A)を得た。
上記精製工程のDNAポリメラーゼ活性測定は以下の操作で行った。また、酵素活性が高い場合はサンプルを希釈して測定を行った。
(試薬)
A液: 40mM Tris−HCl緩衝液(pH7.5)、16mM 塩化マグネシウム、15mM ジチオスレイトール、100μg/ml BSA
B液: 1.5μg/μl 活性化仔牛胸腺DNA
C液: 1.5mM dNTP(250cpm/pmol [3H]dTTP)
D液: 20% トリクロロ酢酸(2mMピロリン酸ナトリウム)
E液: 1mg/ml仔牛胸腺DNA
(方法)
A液25μl、B液5μl、C液5μl及び滅菌水10μlをマイクロチューブに加えて攪拌混合後、上記精製酵素希釈液5μlを加えて75℃で10分間反応する。その後冷却し、E液50μl、D液100μlを加えて、攪拌後更に10分間氷冷する。この液をガラスフィルター(ワットマン製GF/Cフィルター)で濾過し、0.1N塩酸及びエタノールで十分洗浄し、フィルターの放射活性を液体シンチレーションカウンター(パッカード製)を用いて計測し、鋳型DNAへのヌクレオチドの取り込みを測定した。酵素活性の1単位はこの条件下で30分当り10nmolのヌクレオチドを酸不溶性画分に取り込む酵素量とした。
(実施例3)
KOD P36Hの作製
実施例2と同様の方法にて、pKOD P36H(配列番号11の106〜108番目のCCCをCACに置換した改変型耐熱性DNAポリメラーゼ遺伝子を持つプラスミド)を作製した(pKOD P36H)。鋳型にはpKOD、変異作製用プライマーとしては配列番号15および18に記載のプライマーを使用した。更に実施例2同様の精製方法にて改変型耐熱性DNAポリメラ−ゼ(KOD P36H)を得た。
(実施例4)
KOD P36Kの作製
実施例2と同様の方法にて、pKOD P36K(配列番号11の106〜108番目のCCCをAAAに置換した改変型耐熱性DNAポリメラーゼ遺伝子を持つプラスミド)を作製した(pKOD P36K)。鋳型にはpKOD、変異作製用プライマーとしては配列番号16および18に記載のプライマーを使用した。更に実施例2同様の精製方法にて改変型耐熱性DNAポリメラ−ゼ(KOD P36K)を得た。
(実施例5)
KOD P36Rの作製
実施例2と同様の方法にて、pKOD P36R(配列番号11の106〜108番目のCCCをCGTに置換した改変型耐熱性DNAポリメラーゼ遺伝子を持つプラスミド)を作製した(pKOD P36R)。鋳型にはpKOD、変異作製用プライマーとしては配列番号17および18に記載のプライマーを使用した。更に実施例2同様の精製方法にて改変型耐熱性DNAポリメラ−ゼ(KOD P36R)を得た。
(実施例6)
KOD V93Qの作製
実施例2と同様の方法にて、pKOD V93Q(配列番号11の277〜279番目のGTCをCAGに置換した改変型耐熱性DNAポリメラーゼ遺伝子を持つプラスミド)を作製した(pKOD V93Q)。鋳型にはpKOD、変異作製用プライマーとしては配列番号19および20に記載のプライマーを使用した。更に実施例2同様の精製方法にて改変型耐熱性DNAポリメラ−ゼ(KOD V93Q)を得た。
(実施例7)
KOD V93Kの作製
実施例2と同様の方法にて、pKOD V93K(配列番号11の277〜279番目のGTCをAAAに置換した改変型耐熱性DNAポリメラーゼ遺伝子を持つプラスミド)を作製した(pKOD V93K)。鋳型にはpKOD、変異作製用プライマーとしては配列番号19および21に記載のプライマーを使用した。更に実施例2同様の精製方法にて改変型耐熱性DNAポリメラ−ゼ(KOD V93K)を得た。
(実施例8)
KOD V93Rの作製
実施例2と同様の方法にて、pKOD V93R(配列番号11の277〜279番目のGTCをCGTに置換した改変型耐熱性DNAポリメラーゼ遺伝子を持つプラスミド)を作製した(pKOD V93R)。鋳型にはpKOD、変異作製用プライマーとしては配列番号19および22に記載のプライマーを使用した。更に実施例2同様の精製方法にて改変型耐熱性DNAポリメラ−ゼ(KOD V93R)を得た。
(実施例9)
KOD P115Δの作製
実施例2と同様の方法にて、pKOD P115Δ(配列番号11の343〜345番目のCCCを欠損した改変型耐熱性DNAポリメラーゼ遺伝子を持つプラスミド)を作製した(pKOD P115Δ)。鋳型にはpKOD、変異作製用プライマーとしては配列番号23および25に記載のプライマーを使用した。更に実施例2同様の精製方法にて改変型耐熱性DNAポリメラ−ゼ(KOD P115Δ)を得た。
(実施例10)
KOD Y7A/P36Hの作製
実施例2と同様の方法にて、pKOD Y7A/P36H(配列番号11の19〜21番目のTACをGCCに、配列番号11の106〜108番目のCCCをCACに置換した改変型耐熱性DNAポリメラーゼ遺伝子を持つプラスミド)を作製した(pKOD Y7A/P36H)。鋳型には(pKOD Y7A)、変異作製用プライマーとしては配列番号15および18に記載のプライマーを使用した。更に実施例2同様の精製方法にて改変型耐熱性DNAポリメラ−ゼ(KOD Y7A/P36H)を得た。
(実施例11)
KOD Y7A/P36Kの作製
実施例2と同様の方法にて、pKOD Y7A/P36K(配列番号11の19〜21番目のTACをGCCに、配列番号11の106〜108番目のCCCをAAAに置換した改変型耐熱性DNAポリメラーゼ遺伝子を持つプラスミド)を作製した(pKOD Y7A/P36K)。鋳型にはpKOD Y7A、変異作製用プライマーとしては配列番号16および18に記載のプライマーを使用した。更に実施例2同様の精製方法にて改変型耐熱性DNAポリメラ−ゼ(KOD Y7A/P36K)を得た。
(実施例12)
KOD Y7A/P36Rの作製
実施例2と同様の方法にて、pKOD Y7A/P36R(配列番号11の19〜21番目のTACをGCCに、配列番号11の106〜108番目のCCCをCGTに置換した改変型耐熱性DNAポリメラーゼ遺伝子を持つプラスミド)を作製した(pKOD Y7A/P36R)。鋳型にはpKOD Y7A、変異作製用プライマーとしては配列番号17および18に記載のプライマーを使用した。更に実施例2同様の精製方法にて改変型耐熱性DNAポリメラ−ゼ(KOD Y7A/P36R)を得た。
(実施例13)
KOD Y7A/V93Kの作製
実施例2と同様の方法にて、pKOD Y7A/V93K(配列番号11の19〜21番目のTACをGCCに、配列番号11の277〜279番目のGTCをAAAに置換した改変型耐熱性DNAポリメラーゼ遺伝子を持つプラスミド)を作製した(pKOD Y7A/V93K)。鋳型にはpKOD Y7A、変異作製用プライマーとしては配列番号19および21に記載のプライマーを使用した。更に実施例2同様の精製方法にて改変型耐熱性DNAポリメラ−ゼ(KOD Y7A/V93K)を得た。
(実施例14)
KOD Y7A/P115Δの作製
実施例2と同様の方法にて、pKOD Y7A/P115Δ(配列番号11の19〜21番目のTACをGCCに、配列番号11の343〜345番目のCCCを欠損した改変型耐熱性DNAポリメラーゼ遺伝子を持つプラスミド)を作製した(pKOD Y7A/P115Δ)。鋳型にはpKOD Y7A、変異作製用プライマーとしては配列番号23および24に記載のプライマーを使用した。更に実施例2同様の精製方法にて改変型耐熱性DNAポリメラ−ゼ(KOD Y7A/P115Δ)を得た。
(実施例15)
KOD P36H/V93Kの作製
実施例2と同様の方法にて、pKOD P36H/V93K(配列番号11の106〜108番目のCCCをCACに、配列番号11の277〜279番目のGTCをAAAに置換した改変型耐熱性DNAポリメラーゼ遺伝子を持つプラスミド)を作製した(pKOD P36H/V93K)。鋳型にはpKOD V93K、変異作製用プライマーとしては配列番号15および18に記載のプライマーを使用した。更に実施例2同様の精製方法にて改変型耐熱性DNAポリメラ−ゼ(KOD P36H/V93K)を得た。
(実施例16)
KOD P36R/V93Kの作製
実施例2と同様の方法にて、pKOD P36H/V93K(配列番号11の106〜108番目のCCCをCGTに、配列番号11の277〜279番目のGTCをAAAに置換した改変型耐熱性DNAポリメラーゼ遺伝子を持つプラスミド)を作製した(pKOD P36R/V93K)。鋳型にはpKOD V93K、変異作製用プライマーとしては配列番号17および18に記載のプライマーを使用した。更に実施例2同様の精製方法にて改変型耐熱性DNAポリメラ−ゼ(KOD P36R/V93K)を得た。
(実施例17)
KOD Y7A/P36H/V93Kの作製
実施例2と同様の方法にて、pKOD Y7A/P36H/V93K(配列番号11の19〜21番目のTACをGCCに、配列番号11の106〜108番目のCCCをCACに、配列番号11の277〜279番目のGTCをAAAに置換した改変型耐熱性DNAポリメラーゼ遺伝子を持つプラスミド)を作製した(pKOD Y7A/P36H/V93K)。鋳型にはpKOD Y7A/V93K、変異作製用プライマーとしては配列番号15および18に記載のプライマーを使用した。更に実施例2同様の精製方法にて改変型耐熱性DNAポリメラ−ゼ(KOD Y7A/P36H/V93K)を得た。
(実施例18)
KOD Y7A/P36R/V93Kの作製
実施例2と同様の方法にて、pKOD Y7A/P36R/V93K(配列番号11の19〜21番目のTACをGCCに、配列番号11の106〜108番目のCCCをCGT、配列番号11の277〜279番目のGTCをAAAに置換した改変型耐熱性DNAポリメラーゼ遺伝子を持つプラスミド)を作製した(pKOD Y7A/P36R/V93K)。鋳型にはpKOD Y7A/V93K、変異作製用プライマーとしては配列番号17および18に記載のプライマーを使用した。更に実施例2同様の精製方法にて改変型耐熱性DNAポリメラ−ゼ(KOD Y7A/P36R/V93K)を得た。
(実施例19)
KOD N210D変異体の作製
KOD N210Dは野生型KOD DNAポリメラーゼの3‘−5’エキソヌクレアーゼ領域への改変を含み、3‘−5’エキソヌクレアーゼ活性を欠損させた(エキソ(−))改変型DNAポリメラーゼである。実施例1〜18と同様の方法にて、pKOD N210Dに様々な変異を挿入した。pKOD N210Dは配列番号11の628〜630番目のAACをGACに置換した改変型耐熱性DNAポリメラーゼ遺伝子を持つプラスミドであり、特許第3487394号に記載の配列である。更に実施例2同様の精製方法にて、それぞれ改変型DNAポリメラ−ゼを精製した。
(実施例20)
KOD D141A/E143A変異体の作製
KOD D141A/E143Aは野生型KOD DNAポリメラーゼの3‘−5’エキソヌクレアーゼ領域への改変を含み、3‘−5’エキソヌクレアーゼ活性を欠損させた(エキソ(−))改変型DNAポリメラーゼである。実施例1〜18と同様の方法にて、pKOD D141A/E143Aに様々な変異を挿入した。pKOD D141A/E143Aは配列番号11の421〜423番目のGACをGCCに、427〜429番目のGAAをGCAに置換した改変型耐熱性DNAポリメラーゼ遺伝子を持つプラスミドであり、更に実施例2同様の精製方法にてそれぞれ改変型DNAポリメラ−ゼを精製した。
(実施例21)
KOD I142R変異体の作製
KOD I142Rは野生型KOD DNAポリメラーゼの3‘−5’エキソヌクレアーゼ領域への改変を含み、3‘−5’エキソヌクレアーゼ活性を欠損させた(エキソ(−))改変型DNAポリメラーゼである。実施例1〜18と同様の方法にて、pKOD I142Rに様々な変異を挿入した。pKOD I142Rは配列番号11の424〜426番目のATTをCGTに置換した改変型耐熱性DNAポリメラーゼ遺伝子を持つプラスミドであり、特許第3487394号に記載の配列である。更に実施例2同様の精製方法にてそれぞれ改変型DNAポリメラ−ゼを精製した。
(実施例21)
KOD H147E変異体の作製
KOD H147Eは野生型KOD DNAポリメラーゼの3‘−5’エキソヌクレアーゼ領域に改変を含むが、3‘−5’エキソヌクレアーゼ活性を維持した改変型DNAポリメラーゼである。実施例1〜18と同様の方法にて、pKOD H147Eに様々な変異を挿入した。pKOD H147Eは配列番号11の439〜442番目のCATをGAGに置換した改変型耐熱性DNAポリメラーゼ遺伝子を持つプラスミドであり、特許第3891330号に記載の配列である。さらに実施例2同様の精製方法にてそれぞれ改変型DNAポリメラ−ゼを精製した。
(実施例22)
Pfu Y7Aの作製
実施例2と同様の方法にて、pPfu Y7A(配列番号12の19〜21番目のTACをGCCに置換した改変型耐熱性DNAポリメラーゼ遺伝子を持つプラスミド)を作製した(pPfu Y7A)。鋳型にはpPfu:pBluescriptに配列番号12の耐熱性DNAポリメラーゼ遺伝子をクローニングしたプラスミド、変異作製用プライマーとしては配列番号32および33に記載のプライマーを使用した。更に実施例2同様の精製方法にて改変型耐熱性DNAポリメラ−ゼ(Pfu Y7A)を得た。
(実施例23)
Pfu P36Hの作製
実施例2と同様の方法にて、pPfu P36H(配列番号12の106〜108番目のCCAをCACに置換した改変型耐熱性DNAポリメラーゼ遺伝子を持つプラスミド)を作製した(pPfu P36H)。鋳型にはpPfu、変異作製用プライマーとしては配列番号34および35に記載のプライマーを使用した。更に実施例2同様の精製方法にて改変型耐熱性DNAポリメラ−ゼ(Pfu P36H)を得た。
(実施例24)
Pfu V93Rの作製
実施例2と同様の方法にて、pPfu V93R(配列番号12の277〜279番目のGTTをCGTに置換した改変型耐熱性DNAポリメラーゼ遺伝子を持つプラスミド)を作製した(pPfu V93R)。鋳型にはpPfu、変異作製用プライマーとしては配列番号36および37に記載のプライマーを使用した。更に実施例2同様の精製方法にて改変型耐熱性DNAポリメラ−ゼ(Pfu V93R)を得た。
(実施例25)
Pfu Y7A/P36Hの作製
実施例2と同様の方法にて、pPfu Y7A/P36H(配列番号12の19〜21番目のTACをGCCに、配列番号12の106〜108番目のCCAをCACに置換した改変型耐熱性DNAポリメラーゼ遺伝子を持つプラスミド)を作製した(pPfu Y7A/P36H)。鋳型にはpPfu Y7A、変異作製用プライマーとしては配列番号34および35に記載のプライマーを使用した。更に実施例2同様の精製方法にて改変型耐熱性DNAポリメラ−ゼ(Pfu Y7A/P36H)を得た。
(実施例26)
Pfu Y7A/V93Kの作製
実施例2と同様の方法にて、pPfu Y7A/V93K(配列番号12の19〜21番目のTACをGCCに、配列番号12の277〜279番目のGTTをAAAに置換した改変型耐熱性DNAポリメラーゼ遺伝子を持つプラスミド)を作製した(pPfu Y7A/V93K)。鋳型にはpPfu Y7A、変異作製用プライマーとしては配列番号36および37に記載のプライマーを使用した。更に実施例2同様の精製方法にて改変型耐熱性DNAポリメラ−ゼ(Pfu Y7A/V93K)を得た。
(実施例27)
Pfu N210D/Y7A/P36Hの作製
実施例2と同様の方法にて、pPfu N210D/Y7A/P36H(配列番号12の19~21番目のTACをGCCに、配列番号12の106〜108番目のCCAをCACに、配列番号12の628〜630番目のAATをGACに置換した改変型耐熱性DNAポリメラーゼ遺伝子を持つプラスミド)を作製した(pPfu N210/Y7A/P36H)。鋳型にはpPfu Y7A/P36H、変異作製用プライマーとしては配列番号38および39に記載のプライマーを使用した。更に実施例2同様の精製方法にて改変型耐熱性DNAポリメラ−ゼ(Pfu Y7A/P36H)を得た。
(実施例28)
Pfu N210D/Y7A/V93Kの作製
実施例2と同様の方法にて、pPfu N210D/Y7A/V93K(配列番号12の19~21番目のTACをGCCに、配列番号12の277〜279番目のGTTをAAAに、配列番号12の628〜630番目のAATをGACに置換した改変型耐熱性DNAポリメラーゼ遺伝子を持つプラスミド)を作製した(pPfu N210/Y7A/V93K)。鋳型にはpPfu Y7A/V93K、変異作製用プライマーとしては配列番号38および39に記載のプライマーを使用した。更に実施例2同様の精製方法にて改変型耐熱性DNAポリメラ−ゼ(Pfu Y7A/V93K)を得た。
(実施例29)
改変された耐熱性DNAポリメラーゼのウラシルの感受性の評価
ウラシルの感受性は、以下のようにPCRを行い測定した。PCRにはKOD −Plus− Ver.2(Toyobo社製)添付のものを用い、1×PCR Buffer、および1.5mM MgSO4、0.2mM dNTPs(dATP、dTTP,dCTP、dGTP)、約1.3kbを増幅する15pmolの配列番号25及び26に記載のプライマー、10ngのヒトゲノムDNA(Roche社製)、1Uの各酵素を含む50μlの反応液中に、dUTP(Roche社製)を終濃度0.5、5、50、100、200μMになるよう添加した。94℃、30秒の前反応の後、98℃、10秒→65℃、30秒→68℃、1分30秒を30サイクル繰り返すスケジュールでPCR system GeneAmp9700(Applied Biosystem社製)を用いて行った。反応終了後、5μlの反応液についてアガロース電気泳動を行い、エチジウムブロマイド染色し、紫外線照射下約1.3kbの増幅DNA断片を確認した。
結果、サーモコッカス・コダカラエンシス(KOD)の野生型のDNAポリメラーゼでは0.5μMのdUTPの添加で阻害がかかり、PCR産物が確認できないところ、Y7A、P36H、P36K、P36R、V93Q、V93K、V93Rのウラシル結合ポケットへの変異体では、多少のdUTPを添加してもPCR産物の確認が出来た。またP36KとP36K/Y7Aを比較すると、単変異に比べ2重変異を入れたものの方が、高濃度のdUTP添加に寛容で、増幅量が多い結果となった(図3、図4)。
PfuにおいてもY7AとP36Hの単変異体とY7A/P36Hの多重変異体を比較し、多重変異体の方が、増幅量が多いといった同様の結果が得られた。
また、KODポリメラーゼにおいて野生型のDNAポリメラーゼに比べ、エキソ(−)の変異体であるN210DやD141A/E143A、I142Rの変異体はdUTPへの感受性が弱く、エキソ(−)の変異体に加え、Y7AやP36位やV93位への変異を施すとさらにdUTPへの感受性が弱まることが確認された(図4)。これは、DNAポリメラーゼがdUTPをDNAに取り込んだ際、野生型は校正機能が働き3‘−5’エキソヌクレアーゼを用い、dUTPを切断してしまうのに対し、エキソ(−)の変異体では、dUTPを切断できないため、そのまま伸長を進めることが可能なためだと考えられる。そのため、ウラシル結合ポケットへの変異に加え、エキソ活性を欠損させる改変を行うとdUTPの含まれるPCRにおいて、増幅量が向上することが示唆される(図7、8)。
(実施例30)
改変された耐熱性DNAポリメラーゼを用いたPCR増幅量の評価
PCRにおいてdTTPとdUTPでの増幅の違いを、Human β−グロビンの482bpを増幅することで比較し、dUTPへの感受性を調べた。この際、各酵素は、1Uあたり1μgのKOD抗体と混合したものを用いた。PCRにはKOD −Plus− Ver.2(Toyobo社製)添付のものを用い、1×PCR Buffer、および1.5mM MgSO4、481kbを増幅する15pmolの配列番号27及び28に記載のプライマー、10ngのヒトゲノムDNA(Roche社製)、抗体と混合した1Uの各酵素を含む50μlの反応液中に、通常のdNTPs(dATP、dTTP,dCTP、dGTP)を0.2mM添加したものと、dTTPをdUTPに置換したdNTPs(dATP、dUTP,dCTP、dGTP)を0.2mMになるよう添加したものをそれぞれ用いた。94℃、2分の前反応の後、98℃、10秒→68℃、1分を35サイクル繰り返すスケジュールでPCR system GeneAmp9700(Applied Biosystem社)を用いてPCRを行った。反応終了後、MulitiNA(島津製作所社製)のDNA−1000キットに供し増幅DNA断片を確認した。
結果、Y7Aの変異体単体ではPCR増幅が出来なかったが、V93KやP36H、P36K、P36Rと組み合わせることでPCR増幅が可能になった。中でも、V93Kに比べV93K/Y7Aとの組み合わせでは大幅に増幅量が向上することが示された(図5、図6)。
また、野生型のDNAポリメラーゼにV93K/Y7AやP36Hなどの変異を施したものとエキソ(−)の変異体であるN210Dの変異体に、V93K/Y7A、P36Hなどの変異を施したものを比較するとエキソ(−)のDNAポリメラーゼに変異を施した方が増幅量が多い結果となり、エキソ(−)へ変異を入れたものではdUTPとdTTPで増幅量の差がほとんど見られなかった。ウラシル結合ポケットへの変異に加え、エキソ領域への変異を入れるとdUTPの感受性が減少し、増幅量が向上することが示唆される(図7、図8)。
PfuにおいてもN210Dの変異体にY7A/P36H、Y7A/V93Kの変異をいれ、同様の結果が得られた。
(実施例31)
改変された耐熱性DNAポリメラーゼを用いた長鎖DNA増幅の評価
dUTPを含むPCRにおいてHuman β−グロビンの1.3kbpおよび、2.8kbp、3.6kbpの増幅を比較した。この際、各酵素は、1Uあたり1μgのKOD抗体と混合したものを用いた。PCRにはKOD −Plus− Ver.2(Toyobo社製)添付のものを用い、1×PCR Buffer、および1.5mM MgSO4、2mM dTTPをdUTPに置換したdNTPs(dATP、dUTP,dCTP、dGTP)、15pmolのプライマー(1.3kbpの増幅では配列番号25及び26、2.8kbpの増幅では配列番号26および29、3.6kbpの増幅では配列番号30および31)、10ngのヒトゲノムDNA(Roche社製)、抗体と混合した1Uの各酵素を含む50μlの反応液を用いた。94℃、2分の前反応の後、98℃、10秒→65℃、30秒→68℃、1kbpあたり約1分(1.3kbpの増幅では1分30秒、2.8kbpの増幅では3分、3.6kbpの増幅では4分)を35サイクル繰り返すスケジュールでPCR system GeneAmp9700(Applied Biosystem社)にてPCRを行った。またコントロールとして、Taq DNAポリメラーゼでの増幅も行った。Taq DNAポリメラーゼはToyobo社製のものを用い、Anti−Taq High(Toyobo社製)と混合したものを用いた。反応は1×BlendTaqに添付のBuffer、2mM dTTPをdUTPに置換したdNTPs(dATP、dUTP,dCTP、dGTP)、10pmolのプライマー(上記と同様)、10ngのヒトゲノムDNA(Roche社製)、抗体と混合した2.5Uの酵素を含む50μlの反応液を、94℃、2分の前反応の後、94℃、30秒→65℃、30秒→68℃、1kbpあたり約1分(1.3kbpの増幅では1分30秒、2.8kbpの増幅では3分、3.6kbpの増幅では4分)を35サイクル繰り返すスケジュールでPCR system GeneAmp9700(Applied Biosystem社製)にてPCRを行った。
それぞれ反応終了後、5μlの反応液についてアガロース電気泳動を行い、エチジウムブロマイド染色し、紫外線照射下約増幅DNA断片の増幅量を確認した。
V93KとY7A/V93K、またP36HとY7A/P36H、P36RとY7A/P36R、P36HやV93KとP36H/V93Kの増幅量を比較した結果、V93Kの変異より、P36位への変異の方が増幅量が多く、長いターゲットまで増幅できることが確認された。また、単変異のものよりウラシル結合ポケットへ二重変異入れたものの方が、増幅量が多くなった。これらの変異体はTaqでは増幅できないような長鎖長を増幅することが可能となっていた(図9)。また、野生型のDNAポリメラーゼにV93KやP36Hなどの変異を施したものとエキソ(−)の変異体であるN210D、I142R、D141A/E143Aの変異体に、V93K、P36Hなどの変異を施したものを比較するとエキソ(−)のDNAポリメラーゼに変異を施した方が、増幅量が多い結果となった(図10)。さらに、野生型のDNAポリメラーゼにV93KやP36Hなどの変異を施したものとPCR効率が向上する変異体であるH147EにV93K、P36Hなどの変異を施したものを比較すると、H147E変異体の方が多い増幅量を示された。これはH147Eの改変の効果がウラシル結合ポケットへの改変とは独立しており、H147Eの改変による効果により増幅量が増えたことが考えられる。
実施例29〜31の結果を表1に示す。表1において、dUTP耐性における11段階評価は、0に近いほどdUTPに対する感受性が強く、10に近いほどdUTPに対する感受性が低いことを表す。また表1中、○は十分に増幅した、△はある程度増幅した、×は増幅しないことを表している。
PfuにおいてもY7AとP36H、V93Kの単変異体とY7A/P36H、Y7A/V93Kの多重変異体を比較し、多重変異体の方増幅量が多いといった同様の結果が得られた。
また、野生型のDNAポリメラーゼのウラシル結合ポケットに変異を施したものとエキソ(−)の変異体N210Dのウラシル結合ポケットに変異を施したものでは、エキソ(−)のDNAポリメラーゼに変異を施した方が、増幅量が多い結果になった。PfuにおいてもN210Dの変異体にY7A/P36H、Y7A/V93Kの変異をいれ、同様の結果が得られた。
(実施例32)
イノシンが含まれたプライマーを用いた増幅比較
イノシンが含まれたプライマーを用いて、PCRでの増幅の違いを比較した。比較には、1Uあたり1μgのKOD抗体と混合したKOD変異体とKOD(野生型)、抗体を混合したTaq DNAポリメラーゼ(TaqDNAポリメラーゼ(Toyobo社製)とAnti−Taq High(Toyobo社製)を等量混合したもの)を用いた。
KOD変異体とKODのPCRは、KOD −Plus− Ver.2(Toyobo社製)添付のBuffer、MgSO4、dNTPsを用い、1×PCR Buffer、および1.5mM MgSO4、0.2mM dNTPs(dATP、dTTP,dCTP、dGTP)、75pmolおよび150pmolのプライマー(配列番号40および41)、100ngのPsychrobacter DNA、抗体と混合した1Uの各酵素を含む50μlの反応液を、94℃、2分の前反応の後、98℃、10秒→54℃、10秒→68℃、1分を35サイクル繰り返すスケジュールでPCR system GeneAmp9700(Applied Biosystem社)を用いてPCRを行った。
Taq DNAポリメラーゼのPCRは、1×BlendTaqに添付のBuffer(Toyobo製品)、0.2mM dNTPs(dATP、dUTP,dCTP、dGTP)、75pmolおよび150pmolのプライマー(上記と同様)、100ngのPsychrobacter DNA、抗体と混合した2.5Uの酵素を含む50μlの反応液を、94℃、2分の前反応の後、94℃、30秒→54℃、30秒→68℃、1分を35サイクル繰り返すスケジュールでPCR system GeneAmp9700(Applied Biosystem社)を用いてPCRを行った。
反応終了後、MulitiNA(島津製作所社製)のDNA−1000キットに供し増幅DNA断片を確認した。
結果、KOD(野生型)はイノシンを含んだプライマーから増幅することはできず、KOD変異体(Y7A/V93K、Y7A/P36H、N210D/Y7A/P36H)、およびTaqDNAポリメラーゼからはしっかりとした増幅が確認された(図11)。このことから、ウラシル感受性が低い変異体はイノシンにも感受性が低いことがわかる。KODはTaq DNAポリメラーゼより正確性が高いため、増幅産物にエラーが入ることなく増幅が可能となる。クローニングにおいて、正確性が高いことは非常に重要であり、Taq DNAポリメラーゼよりKOD変異体の方が優位だと考えられる。またTaq DNAポリメラーゼは150pmolのプライマーを添加しないと増幅が見られないところ、KOD変異体では75pmolの添加で増幅が見られ、KOD変異体の方が、増幅効率が良いことが示される。
(実施例33)
バイサルファイト処理したDNAの増幅比較
バイサルファイト処理したDNAを鋳型に、様々なプライマーでPCRの増幅の違いを比較した。比較には、1Uあたり1μgのKOD抗体と混合したKOD変異体(Y7A/V93K)とKOD(野生型)、抗体を混合したTaq DNAポリメラーゼ(TaqDNAポリメラーゼ(Toyobo社製)とAnti−Taq High(Toyobo社製)を等量混合したもの)を用いた。
バイサルファイト処理したDNAは、ヒトゲノムDNA(Roche製)をInvitrogen社のMethylCodeBisulfite Conversion Kitで処理したものを用いた。
KOD変異体(Y7A/V93K)とKODのPCRは、KOD −Plus− Ver.2(Toyobo社製)添付のBuffer、MgSO4、dNTPsを用い、1×PCR Buffer、および1.5mM MgSO4、0.2mM dNTPs(dATP、dTTP,dCTP、dGTP)、15pmolのプライマー(MINT1の増幅では配列番号42及び43、RARの増幅では配列番号44および45、THBS1の増幅では配列番号46および47、MINT31の増幅では配列番号48および49)、バイサルファイト処理したDNA抽出液1μl、抗体と混合した1Uの各酵素を含む50μlの反応液を、94℃、2分の前反応の後、98℃、10秒→55℃、15秒→68℃、1分を40サイクル繰り返すスケジュールでPCR system GeneAmp9700(Applied Biosystem社)を用いてPCRを行った。
Taq DNAポリメラーゼのPCRは、1×BlendTaqに添付のBuffer(Toyobo製品)、0.2mM dNTPs(dATP、dUTP,dCTP、dGTP)、15pmolのプライマー(上記と同様)、バイサルファイト処理したDNA抽出液1μl、抗体と混合した2.5Uの酵素を含む50μlの反応液を、94℃、2分の前反応の後、94℃、30秒→55℃、30秒→68℃、1分を40サイクル繰り返すスケジュールでPCR system GeneAmp9700(Applied Biosystem社)を用いてPCRを行った。
反応終了後、MulitiNA(島津製作所社製)のDNA−1000キットに供し増幅DNA断片を確認した。
結果、KOD(野生型)はバイサルファイト処理したDNAから増幅することはできず、KOD Y7A/V93K、およびTaqDNAポリメラーゼからはしっかりとした増幅が確認された(図12)。
KOD Y7A/V93K変異体と同様の方法でKOD Y7A/P36H変異体やKOD N210D Y7A/P36H変異体、Pfu Y7A/V93K変異体でも同様の結果が得られている。このことから、ウラシル感受性が低い変異体はテンプレートにウラシルが含まれていても増幅ができることがわかり、バイサルファイト処理したDNAからでも増幅ができることがわかった。
(実施例34)
dUTP存在下で増幅したDNAのUNGによる分解確認
ウラシル感受性を弱めたKOD変異体(N210D/Y7A/P36H)を用いてdUTPを含むPCRで増幅したHuman β−グロビンの0.7kbpを、UNGと反応させることで分解できるかを確認した。PCRにはKOD −Plus− Ver.2(Toyobo社製)添付のものを用い、1×PCR Buffer、および1.5mM MgSO4、2mM dTTPをdUTPに置換したdNTPs(dATP、dUTP,dCTP、dGTP)、15pmolのプライマー(配列番号50及び51)、10ngのヒトゲノムDNA(Roche社製)、抗体と混合した1Uの酵素を含む50μlの反応液を用いた。94℃、2分の前反応の後、98℃、10秒→60℃、30秒→68℃、1分を35サイクル繰り返すスケジュールでPCR system GeneAmp9700(Applied Biosystem社)にてPCRを行った。その増幅産物を、上記1×PCR Bufferで10ng/μlに希釈し、希釈した増幅産物8μlと様々な濃度のUNG(Roche社製)2μlを混合し、37℃、10分反応させた。反応終了後、MulitiNA(島津製作所社製)のDNA−1000キットに供し増幅産物の量を確認した。
結果、0.25UのUNGで80ngのDNAが完全に分解されたことが確認できた。このことからウラシル感受性を弱めたKOD変異体(N210D/Y7A/P36H)で増幅したDNAでも、UNGを反応させることで分解できることが示された。
他の変異体(KOD Y7A/V93K、Pfu Y7A/V93K、KOD Y7A/P36H)で増幅したDNAにおいても、上記と同様の方法で、UNGにより分解できたという同様の結果が得られている。
本発明により、ファミリーBに属する古細菌由来DNAポリメラーゼの増幅効率を十分発揮することが可能となる。また、ファミリーBに属する古細菌由来DNAポリメラーゼを用いてdUTP/UNGコンタミネーション除去法を利用することができる。ファミリーBに属するDNAポリメラーゼの高い正確性や共雑物に強い性能は、研究分野での応用を始め、遺伝子診断などの法医学分野、あるいは、食品や環境中の微生物検査等において、広く利用することができる。

Claims (17)

  1. サーモコッカス・エスピー9°N−7(Thermococcus sp.9°N−7)由来の野生型DNAポリメラーゼにおけるウラシルの結合に関するアミノ酸配列のうち少なくとも2つのアミノ酸の改変を有するものであり、該改変が配列番号7に示されるアミノ酸配列におけるY7に改変を有し、かつ、P36又はV93に相当するアミノ酸を改変したものであって、該改変が(a)〜(c)に示すものである、野生型DNAポリメラーゼよりもウラシルの感受性が低いことを特徴とする改変型DNAポリメラーゼ。
    (a)Y7に相当するアミノ酸の改変が、Y7A、Y7G、Y7V、Y7L及びY7Iからなる群より選ばれるいずれかのアミノ酸置換である
    (b)P36に相当するアミノ酸の改変が、P36H、P36K及びP36Rからなる群より選ばれるいずれかのアミノ酸置換である
    (c)V93に相当するアミノ酸の改変が、V93H、V93K及びV93Rからなる群より選ばれるいずれかのアミノ酸置換である
  2. 少なくとも2つのアミノ酸の改変が、Y7A及びP36Hのアミノ酸置換である請求項1に記載の改変型DNAポリメラーゼ。
  3. 少なくとも2つのアミノ酸の改変が、Y7A及びP36Kのアミノ酸置換である請求項1に記載の改変型DNAポリメラーゼ。
  4. 少なくとも2つのアミノ酸の改変が、Y7A及びP36Rのアミノ酸置換である請求項1に記載の改変型DNAポリメラーゼ。
  5. 少なくとも2つのアミノ酸の改変が、Y7A及びV93Kのアミノ酸置換である請求項1に記載の改変型DNAポリメラーゼ。
  6. 少なくとも2つのアミノ酸の改変が、Y7A及びV93Rのアミノ酸置換である請求項1に記載の改変型DNAポリメラーゼ。
  7. 3’−5’エキソヌクレアーゼ活性領域に関するアミノ酸配列のうち、配列番号7に示されるアミノ酸配列におけるD141、I142、E143、H147、N210及びY311に相当するアミノ酸のうちの少なくとも1つの改変を更に有する請求項1〜のいずれかに記載の改変型DNAポリメラーゼ。
  8. 3’−5’エキソヌクレアーゼ活性領域のアミノ酸配列の改変がD141A及びE143Aである請求項に記載の改変型DNAポリメラーゼ。
  9. 3’−5’エキソヌクレアーゼ活性領域のアミノ酸配列の改変がI142Rである請求項に記載の改変型DNAポリメラーゼ。
  10. 3’−5’エキソヌクレアーゼ活性領域のアミノ酸配列の改変がY311Fである請求項に記載の改変型DNAポリメラーゼ。
  11. 前記改変型DNAポリメラーゼがH147E又はH147Dのアミノ酸置換を更に含む請求項1〜10のいずれかに記載の改変型DNAポリメラーゼ。
  12. 請求項1〜11のいずれかに記載の改変型DNAポリメラーゼを使用することを特徴とする核酸増幅方法。
  13. 請求項1〜11のいずれかに記載の改変型DNAポリメラーゼを使用して、イノシンを含んだプライマーを用いることを特徴とする核酸増幅方法。
  14. 請求項1〜11のいずれかに記載の改変型DNAポリメラーゼを使用して、バイサルファイト処理したDNAを増幅することを特徴とする核酸増幅方法。
  15. 請求項1〜11のいずれかに記載の改変型DNAポリメラーゼを使用して増幅した核酸を、ウラシル−DNAグリコシラーゼを用いて分解する工程を含むことを特徴とする核酸増幅方法。
  16. 請求項1〜11のいずれかに記載の改変型DNAポリメラーゼを含む核酸増幅用試薬。
  17. 請求項16に記載の核酸増幅用試薬を含むキット。
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