JP6965534B2 - 蓄電デバイス電極用組成物、蓄電デバイス電極用スラリー、蓄電デバイス電極及び蓄電デバイス - Google Patents

蓄電デバイス電極用組成物、蓄電デバイス電極用スラリー、蓄電デバイス電極及び蓄電デバイス Download PDF

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Description

本発明は、蓄電デバイス用組成物、蓄電デバイス用スラリー、蓄電デバイス電極及び蓄電デバイスに関する。
近年、電子機器の駆動用電源として高電圧、高エネルギー密度を有する蓄電デバイスが要求されている。特にリチウムイオン電池やリチウムイオンキャパシタは、高電圧、高エネルギー密度を有する蓄電デバイスとして期待されている。
このような蓄電デバイスに使用される電極は、活物質と電極用バインダーの混合物を集電体へ塗布・乾燥することで作製される。このような電極用バインダーに要求される特性としては、活物質同士の結合能力および活物質と集電体との接着力(以下、まとめて単に「結着性」ともいう)を高めることや、電極用バインダーに起因する電池の内部抵抗を低減させることが挙げられる。たとえば、電極用バインダーが高結着性を有することで電極の折り畳み方法や捲回半径等の設計が容易となり、蓄電デバイスの小型化を達成することができる。また、電極用バインダーに起因する電池の内部抵抗を低減させることで、良好な充放電特性を実現することができる。
これまでにも化学合成により得られるバインダー組成物が種々提案されている。また、低環境負荷の観点から、生物由来のバインダー組成物に関する技術が幾つか提案されている(たとえば、特許文献1〜3参照)。
特許第5499040号 特表2010−534392号公報 特開2000−100436号公報
上述の特許文献1〜2に記載されているようなポリマーを用いた従来技術によれば、粒子でないことから、結着性や抵抗に更なる改善が求められていた。
また、上記特許文献3に記載されているような電極用バインダーは、リチウム吸蔵量の大きい材料を利用した活物質を実用化するにあたり密着性が十分でなく、充放電を繰り返すことにより電極特性が劣化するため、実用化に必要な耐久性が十分に得られないという課題があった。
そこで、本発明に係る幾つかの態様は、密着性及び充放電特性に優れる蓄電デバイス電極を作製するための蓄電デバイス用バインダー組成物、及び該組成物を含有する蓄電デバイス用スラリーを提供するものである。
本発明は上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の態様または適用例として実現することができる。
[適用例1]
本発明に係る蓄電デバイス用組成物の一態様は、
(A)デンプン架橋粒子と、
(C)液状媒体と、
を含有することを特徴とする。
[適用例2]
適用例1の蓄電デバイス用組成物において、
前記(A)デンプン架橋粒子の粒子径が20〜450nmであることができる。
[適用例3]
適用例1または適用例2の蓄電デバイス用組成物において、
前記(C)液状媒体が水であることができる。
[適用例4]
適用例1ないし適用例3のいずれか一例の蓄電デバイス用組成物において、
さらに(B)重合体を含有することができる。
[適用例5]
適用例4の蓄電デバイス用組成物において、
前記重合体(B)が、不飽和カルボン酸エステルに由来する繰り返し単位と、不飽和カルボン酸に由来する繰り返し単位と、を含む重合体であることができる。
[適用例6]
適用例4または適用例5のいずれか一例の蓄電デバイス用組成物において、
前記(B)重合体が、共役ジエン化合物に由来する繰り返し単位を含むジエン系重合体粒子であることができる。
[適用例7]
適用例4の蓄電デバイス用組成物において、
前記(B)重合体が、含フッ素エチレン系単量体に由来する繰り返し単位を含む含フッ素系重合体粒子であることができる。
[適用例8]
本発明に係る蓄電デバイス電極用スラリーの一態様は、
適用例1ないし適用例7のいずれか一例の蓄電デバイス用組成物と、活物質と、を含有することを特徴とする。
[適用例9]
適用例8の蓄電デバイス電極用スラリーにおいて、
前記活物質としてケイ素材料を含むことができる。
[適用例10]
本発明に係る蓄電デバイス用電極の一態様は、
集電体と、前記集電体の表面上に適用例8または適用例9の蓄電デバイス用スラリーを用いて作製された活物質層と、を備えることを特徴とする。
[適用例11]
本発明に係る蓄電デバイスは、
適用例10の蓄電デバイス用電極を備えることを特徴とする。
本発明に係る蓄電デバイス用組成物は、活物質同士の結合能力及び活物質と集電体との密着能力を向上させた蓄電デバイス電極を作製するための材料として使用することができる。これにより、充放電の繰り返しまたは過充電によっても蓄電デバイスの内部抵抗が上昇する程度が少なくなるので、充放電特性に優れた蓄電デバイスが得られる。
また、本発明に係る蓄電デバイス用組成物を用いて活物質層を形成することにより、密着性及び充放電特性に優れる蓄電デバイス電極を作製することができる。
以下、本発明に係る好適な実施形態について詳細に説明する。なお、本発明は、以下に記載された実施形態のみに限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲において実施される各種の変形例も含むものとして理解されるべきである。なお、本明細書における「(メタ)アクリル酸〜」とは、「アクリル酸〜」及び「メタクリル酸〜」の双方を包括する概念である。また、「〜(メタ)アクリル酸エステル」とは、「〜アクリル酸エステル」および「〜メタクリル酸エステル」の双方を包括する概念である。
1.蓄電デバイス用組成物
本実施形態に係る蓄電デバイス用組成物は、(A)デンプン架橋粒子と、(C)液状媒体と、を含有する。蓄電デバイス用組成物は、蓄電デバイス用バインダー組成物として、蓄電デバイスに使用される電極を作製するために好適に用いることができる。以下、本実施形態に係る蓄電デバイス用組成物に含まれる各成分について詳細に説明する。
1.1.(A)デンプン架橋粒子
本実施形態に係る蓄電デバイス用組成物は、(A)デンプン架橋粒子を含有する。(A)デンプン架橋粒子は特に限定されないが、液状媒体に(A)デンプン架橋粒子が分散されたラテックス状であることが好ましい。本実施形態に係る蓄電デバイス用組成物がラテックス状であると、活物質と混合して作成される蓄電デバイス用スラリーの安定性が良好となるだけでなく、塗布性も良好となるため好ましい。
(A)デンプン架橋粒子として用いるデンプンとしては特に限定されないが、植物由来のデンプンを原料とするが好ましい。このデンプンは、天然のまま用いてもよいし、例えば物理的、化学的あるいは酵素により変性されたものでもよい。また、種々のタイプのデンプンを混合して用いてもよい。使用することができる誘導体は、加水分解が熱または酸の影響下で塩基性の、あるいは酵素による加水分解であることができるマルトデキストリン、酸化されたデンプン(カルボキシ、ジアルデヒドなど)、カルボキシル化、塩素化あるいは硫酸エステル化されたデンプン、疎水性とされたデンプン(アセテート、サクシネート、半エステル、ホスフェートエステル等のエステル)及びリン酸エステル化されたデンプン、デンプンエーテル(ヒドロキシアルキル)等の部分的あるいは完全に加水分解されたデンプンである。更には、上述の変性を組み合わせたデンプン、すなわち、2官能性あるいは多官能性のデンプンを使用することもできる。この誘導体は、また顆粒状であることもできる。
1.1.1.(A)デンプン架橋粒子の製造方法
(A)デンプン架橋粒子は、デンプンを架橋剤の存在下で架橋させたものをいう。この架橋は、架橋剤の存在下で剪断力(シェア)をかけて得られるものが好ましい。(A)デンプン架橋粒子の製造方法としては特に限定されないが、例えば特表2002−543220、特表2002−544335、特開2011−224477に記載の製造方法が挙げられる。
例えば、デンプンおよび他の多糖類(セルロース、ヘミセルロースおよびゴムなど)ならびにタンパク質(例えば、ゼラチン、ホエータンパク質)などのバイオポリマーに、架橋剤の存在下で剪断力(シェア)をかけることによって、架橋粒子を得ることができる。
剪断力による処理は、本明細書中では、機械的な処理を意味する。具体的には、高剪断条件のもと、高温(40℃以上、特に60℃以上で、ポリマーの分解点よりも低く、例えば、200℃以下、特に140℃以下の温度)で行われる押出処理である。剪断は、バイオポリマー1グラムあたり少なくとも100ジュールの比力学的エネルギー(SME)を加えることによって行うことができる。使用する処理装置に応じて、最少エネルギーがより大きくなることがある。また、予めゼラチン化しなかった材料を使用する場合、最少SMEはより大きくなることがあり、例えば、250J/g以上になり、特に500J/g以上になることがある。機械的処理は高温で行うのが好適である。デンプンが原料となる場合、アルカリ性媒体を使用することによって、または、予めゼラチン化したデンプンを使用することによって、処理温度を低くすることができる。機械的処理の際、バイオポリマーは、水または水/アルコール混合物などの水性溶媒に、高濃度、好ましくは50重量%以上で存在する。例えば、5〜150barの圧力を、高濃度での処理を容易にするために加えることができる。可塑剤を、水または水/アルコール混合物に加えて存在させることができ、例えば、ポリオール(エチレングリコール、プロピレングリコール、ポリグリコール類、グリセロール、糖アルコール類、尿素、クエン酸エステル類など)などの可塑剤をバイオポリマーの5〜40重量%の量で存在させることができる。しかし、水は可塑剤として既に作用し得る。可塑剤(すなわち、水、およびグリセロールなどの他の可塑剤)の総量は、好ましくは15〜50%である。レシチンまたは他のリン脂質またはモノグリセリドなどの滑剤もまた、例えば、0.5〜2.5重量%の量で存在させることができる。酸、好ましくは、固体もしくは半固体の有機酸(マレイン酸、クエン酸、シュウ酸、乳酸、グルコン酸など)、またはアミラーゼなどの炭水化物分解酵素をバイオポリマーの0.01〜5重量%の量で存在させることができる。これらの酸または酵素は、特定のサイズのナノ粒子を製造するプロセスにおいて好都合であると考えられる軽度の解重合を助ける。
(A)デンプン架橋粒子を製造するプロセスにおける重要な工程は、機械的処理の際の架橋である。架橋は、好ましくは可逆的である。すなわち、架橋は、機械的な処理の工程の後で一部またはすべてが切断される。好適な可逆的架橋剤として、低い水分濃度で化学結合を形成し、より大きい水分濃度の存在下で解離または加水分解する架橋剤が挙げられる。この種の架橋により、処理の際に一時的に高粘度となるものの、処理後に粘度が低下する。可逆的架橋剤の例としては、ヘミアセタールを可逆的に形成するジアルデヒドおよびポリアルデヒド、そして酸無水物および混合無水物などがある。好適なジアルデヒドおよびポリアルデヒドには、グルタルアルデヒド、グリオキサール、過ヨウ素酸で酸化された炭水化物類などがある。グリオキサールが、ラテックス粒子を製造するための特に好適な架橋剤である。そのような架橋剤は、単独で、または可逆的架橋剤の混合物として、または可逆的架橋剤と非可逆的架橋剤との混合物として使用することができる。従って、エピクロロヒドリンおよび他のエポキシド類、トリホスフェート類、ジビニルスルホンなどの従来の架橋剤を、多糖バイオポリマーに対する非可逆的架橋剤として使用することができ、これに対して、ジアルデヒド類、チオール試薬類などをタンパク質性バイオポリマーに対して使用することができる。架橋反応は酸または塩基で触媒処理され得る。架橋剤の量は、好都合にはバイオポリマーに関して0.1〜10重量%である。架橋剤は、機械的な処理の開始時に既に存在してもよいが、顆粒状デンプンなどの予めゼラチン化しなかったバイオポリマーの場合、架橋剤は、後で、すなわち、機械的処理の際に加えることが好ましい。
機械的に処理された(A)デンプン架橋粒子は、その後、好適な溶媒において、通常、水および/または別の水性溶媒(アルコールなど)において、4〜50重量%の濃度、特に10〜40重量%の濃度にて分散することによってラテックスにされる。分散前に、極低温の粉砕工程を行うことができるが、穏和な加熱を伴う撹拌を行ってもよい。このような処理によって、自発的にラテックスとなるゲル、または、水の吸着によってラテックスとなるゲルが得られる。このような粘度挙動は、混合物の特性を改善するので、(A)デンプン架橋粒子のさらなる用途に利用することができる。必要に応じて、分散した(A)デンプン架橋粒子を、上記した架橋剤または他の架橋剤によってさらに架橋してもよい。
(A)デンプン架橋粒子としては、市販のデンプン架橋粒子用いることができる。これらの中でも、例えば、密着性向上の観点から、エコスフィア 92202(以上、エコシンセティックス社製)等が挙げられる。
1.1.2.(A)デンプン架橋粒子の数平均粒子径(Da1)
(A)デンプン架橋粒子の数平均粒子径(Da1)は、20〜450nmの範囲にあることが好ましく、30〜420nmの範囲にあることがより好ましく、50〜400nmの範囲にあることが特に好ましい。
(A)デンプン架橋粒子の数平均粒子径(Da1)が前記範囲にあると、蓄電デバイス用組成物の安定性が向上すると共に、電極やセパレータに保護膜が形成されても内部抵抗の上昇(抵抗上昇率)を低く抑えることができる。
(A)デンプン架橋粒子の数平均粒子径(Da1)とは、光散乱法を測定原理とする粒度分布測定装置を用いて粒度分布を測定し、小さい粒子から粒子を累積したときの粒子数の累積度数が50%となる粒子径(D50)の値である。このような粒度分布測定装置としては、例えばコールターLS230、LS100、LS13 320(以上、Beckman Coulter.Inc製)や、FPAR−1000(大塚電子株式会社製)等を挙げることができる。これらの粒度分布測定装置は、重合体粒子の一次粒子だけを評価対象とするものではなく、一次粒子が凝集して形成された二次粒子をも評価対象とすることができる。従って、これらの粒度分布測定装置によって測定された粒度分布は、組成物中に含まれる重合体粒子の分散状態の指標とすることができる。
1.1.3.(A)デンプン架橋粒子の耐電解液特性
(A)デンプン架橋粒子は、有機溶媒や電解液に対する溶解性・膨潤性に優れる。電解液に浸漬させた際の電解液不溶分としては、90%以上であることが好ましく、93%以上であることがより好ましく、95%以上であることが特に好ましい。電解液に浸漬させた際の電解液膨潤度としては、400%以下であることが好ましく、350%以下であることがより好ましく、300%以下であることが特に好ましい。
耐電解液特性としては、以下の様に算出することができる。(A)デンプン架橋粒子の水系分散体の10gを直径8cmのテフロン(登録商標)シャーレへ秤取り、120℃で1時間乾燥して成膜した。得られた膜(重合体)のうちの1gを、後述の蓄電デバイスの製造において電解液として用いるエチレンカーボネートおよびジエチルカーボネートからなる混合液(EC/DEC=1/2(容量比)、以下、この混合液を「EC/DEC」という。)400mL中に浸積して、60℃において24時間振とうした。次いで、300メッシュの金網で濾過して不溶分を分離した後、溶解分のEC/DECを蒸発除去して得た残存物の重量(Y(g))を測定した値から、下記数式(1)によって電解液不溶分を求める。また上記の濾過で分離した不溶分(フィルム)の表面についたEC/DECを紙に吸収させて取り除いた後、該不溶分フィルムの重量(Z(g))を測定した値から、下記数式(2)によって電解液膨潤度を測定する。
電解液不溶分(質量%)=((1−Y)/1)×100 (1)
電解液膨潤度(質量%)=(Z/(1−Y))×100 (2)
1.2.(C)液状媒体
本実施形態に係る蓄電デバイス用組成物は、さらに(C)液状媒体を含有する。(C)液状媒体としては、水を含有する水性媒体であることが好ましい。この水性媒体は、水以外に少量の非水媒体を含有することができる。このような非水媒体としては、例えばアミド化合物、炭化水素、アルコール、ケトン、エステル、アミン化合物、ラクトン、スルホキシド、スルホン化合物等を挙げることができ、これらのうちから選択される1種以上を使用することができる。このような非水媒体の含有割合は、水性媒体の全量に対して、好ましくは10質量%以下であり、より好ましくは5質量%以下である。なお、水性媒体は、非水媒体を含有せずに水のみからなるものであることが最も好ましい。
本実施形態に係る蓄電デバイス用組成物は、(C)液状媒体として水性媒体を使用し、好ましくは水以外の非水媒体を含有しないことにより、環境に対する悪影響を与える程度が低く、取扱作業者に対する安全性も高くなる。
1.3.(B)重合体
本願実施形態に係る蓄電デバイス用組成物は、(B)重合体を含有してもよい。(B)重合体としては特に限定されないが、具体的にはアクリル系重合体、共役ジエン系重合体、含フッ素系重合体、ポリアミック酸及びそのイミド化重合体よりなる群から選択される少なくとも1種などが挙げられる。これらの中でも、アクリル系重合体、共役ジエン系重合体、含フッ素系重合体が好ましい。上記例示した重合体は1種単独で用いてもよく、2種以上組み合わせて用いてもよい。
(B)重合体は、液状媒体に溶解した状態でも分散されたラテックス状であってもよいが、液状媒体中に(B)重合体の粒子が分散されたラテックス状であることが好ましい。本実施形態に係る蓄電デバイス用バインダー組成物がラテックス状であると、活物質と混合して作成される蓄電デバイス用スラリーの安定性が良好となるだけでなく、塗布性も良好となるため好ましい。但し、本明細書において、(B)重合体は(A)デンプン架橋粒子である場合を除く。
(B)重合体は、単量体の重合方法を適宜調整して作製してもよい。以下、本実地携帯に係る(B)重合体に含んでもよい各成分について説明する。
1.3.1.不飽和カルボン酸エステルに由来する繰り返し単位(a1)
(B)重合体は、不飽和カルボン酸エステルに由来する繰り返し単位(a1)を含有してもよい。所望の性能を得る目的で、適宜不飽和カルボン酸エステルに由来する繰り返し単位(a1)を使用することが可能となる。例えば、電解液との親和性が良好となり、蓄電デバイス中でバインダーが電気抵抗成分となることによる内部抵抗の上昇を抑制すると共に、電解液を過大に吸収することによる結着性の低下を防ぐことができる。
繰り返し単位(a1)としては、(メタ)アクリル酸エステルを好ましく使用することができる。(メタ)アクリル酸エステルの具体例としては例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸i−プロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸i−ブチル、(メタ)アクリル酸n−アミル、(メタ)アクリル酸i−アミル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸n−オクチル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシメチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチル、ジ(メタ)アクリル酸エチレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸プロピレングリコール、トリ(メタ)アクリル酸トリメチロールプロパン、テトラ(メタ)アクリル酸ペンタエリスリトール、ヘキサ(メタ)アクリル酸ジペンタエリスリトール、(メタ)アクリル酸アリルなどを挙げることができ、これらのうちから選択される1種以上であることができる。
その他の繰り返し単位(a1)としては、(メタ)アクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド等のエチレン性不飽和カルボン酸のアルキルアミド;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のカルボン酸ビニルエステル;エチレン性不飽和ジカルボン酸の酸無水物;モノアルキルエステル;モノアミド;アミノエチルアクリルアミド、ジメチルアミノメチルメタクリルアミド、メチルアミノプロピルメタクリルアミド等のエチレン性不飽和カルボン酸のアミノアルキルアミド;ビニルスルホン酸、スチレンスルホン酸、アリルスルホン酸、スルホエチルメタクリレート、スルホプロピルメタクリレート、スルホブチルメタクリレート、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、2−ヒドロキシ−3−アクリルアミドプロパンスルホン酸、3−アリロキシ−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸などのスルホン酸基を有する化合物等を挙げることができ、これらから選択される1種以上を使用することができる。
(B)重合体において、繰り返し単位(a1)を含む場合、含有割合は、全繰り返し単位の合計を100質量部とした場合に5〜50質量部であることが好ましく、10〜30質量部であることがより好ましい。(B)重合体における繰り返し単位(a1)の含有割合が前記範囲にあると、結着性のさらなる向上が可能となる。
1.3.2.不飽和カルボン酸に由来する繰り返し単位(a2)
(B)重合体は、不飽和カルボン酸に由来する繰り返し単位(a2)を含有してもよい。不飽和カルボン酸に由来する繰り返し単位(a2)を使用すると、電解液との親和性が良好となり、蓄電デバイス中で重合体粒子が電気抵抗成分となることによる内部抵抗の上昇を抑制するとともに、電解液を過大に吸収することによる結着性の低下を防ぐことができる。
繰り返し単位(a2)としては特に限定されないが、具体的にはアクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸等の、モノカルボン酸またはジカルボン酸を挙げることができ、これらから選択される1種以上を使用することができる。不飽和カルボン酸としては、アクリル酸及びメタクリル酸から選択される1種以上を使用することが好ましく、アクリル酸が特に好ましい。
(B)重合体において、繰り返し単位(a2)を含む場合、含有割合は、全繰り返し単位の合計を100質量部とした場合に1〜99質量部であることが好ましく、10〜90質量部であることがより好ましい。(B)重合体における繰り返し単位(a2)の含有割合が前記範囲にあると、結着性のさらなる向上が可能となる。
1.3.3.共役ジエン化合物に由来する繰り返し単位(a3)
(B)重合体は、共役ジエン化合物に由来する繰り返し単位(a3)を含有してもよい。共役ジエン化合物に由来する繰り返し単位(a3)を含有すると、適度な柔軟性を付与することができ、重合体粒子同士の結着性が良好となるため好ましい。
繰り返し単位(a3)としては特に限定されないが、具体的には共役ジエン化合物、芳香族ビニル化合物等を挙げることができる。
共役ジエン化合物としては特に限定されないが、具体的には1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ブタジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、2−クロル−1,3−ブタジエンなどを挙げることができ、これらのうちから選択される1種以上であることができる。これらの中でも、1,3−ブタジエンが特に好ましい。
芳香族ビニル化合物の具体例としては、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、ビニルトルエン、クロルスチレンなどを挙げることができ、これらのうちから選択される1種以上であることができる。芳香族ビニル化合物としては、上記のうち特にスチレンであることが好ましい。
(B)重合体において、繰り返し単位(a3)を含む場合、含有割合は、全繰り返し単位の合計を100質量部とした場合に5〜50質量部であることが好ましく、10〜30質量部であることがより好ましい。(B)重合体における繰り返し単位(a3)の含有割合が前記範囲にあると、結着性のさらなる向上が可能となる。
1.3.4.フッ素原子を含有する繰り返し単位(a4)
(B)重合体は、フッ素原子を含有する繰り返し単位(a4)を含有してもよい。フッ素原子を含有する繰り返し単位(a4)を使用すると、耐酸化性を劣化させることなく、密着性及び柔軟性を発現することが可能となる。
繰り返し単位(a4)としては特に限定されないが、具体的にはフッ素原子を有するオレフィン化合物、フッ素原子を有する(メタ)アクリル酸エステル等が挙げられる。フッ素原子を有するオレフィン化合物としては、例えばフッ化ビニリデン、四フッ化エチレン、六フッ化プロピレン、三フッ化塩化エチレン、パーフルオロアルキルビニルエーテル等が挙げられる。フッ素原子を有する(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えば(メタ)アクリル酸3[4[1−トリフルオロメチル−2,2−ビス[ビス(トリフルオロメチル)フルオロメチル]エチニルオキシ]ベンゾオキシ]2−ヒドロキシプロピル等が挙げられる。
(B)重合体において、繰り返し単位(a4)を含む場合、含有割合は、全繰り返し単位の合計を100質量部とした場合に1〜90質量部であることが好ましく、10〜30質量部であることがより好ましい。(B)重合体における繰り返し単位(a4)の含有割合が前記範囲にあると、結着性のさらなる向上が可能となる。
1.3.5.ニトリル基を有する繰り返し単位(a5)
(B)重合体は、ニトリル基を有する繰り返し単位(a5)を含有してもよい。ニトリル基を有する繰り返し単位(a5)を使用すると、高い疎水性を有しているため、疎水性の高いセパレータや電極との接着性が良好となるため好ましい。
繰り返し単位(a5)としては特に限定されないが、具体的にはα,β−不飽和ニトリル化合物等が挙げられる。
α,β−不飽和ニトリル化合物の具体例としては、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、α−クロルアクリロニトリル、α−エチルアクリロニトリル、シアン化ビニリデン等が挙げられ、これらから選択される1種以上を使用することができる。これらのうち、アクリロニトリル及びメタクリロニトリルよりなる群から選択される1種以上が好ましく、アクリロニトリルが特に好ましい。
(B)重合体において、繰り返し単位(a5)を含む場合、含有割合は、全繰り返し単位の合計を100質量部とした場合に1〜50質量部であることが好ましく、5〜20質量部であることがより好ましい。(B)重合体における繰り返し単位(a5)の含有割合が前記範囲にあると、結着性のさらなる向上が可能となる。
1.3.6.芳香族多官能ビニル化合物(a6)
(B)重合体は、芳香族多官能ビニル化合物(a6)を含有してもよい。芳香族多官能ビニル化合物(a6)を含有すると、適度な柔軟性を付与することができ、重合体粒子同士の結着性が良好となるため好ましい。
芳香族多官能ビニル化合物(a6)としては、ジビニルベンゼン、ジイソプロペニルベンゼン等の芳香族ジビニル化合物が挙げられるが、これらに制限されるものではない。これらのうち、ジビニルベンゼンであることが好ましい。上記例示した芳香族多官能ビニル化合物は、1種単独で用いてもよく、2種以上組み合わせて用いてもよい。
(B)重合体において、芳香族多官能ビニル化合物(a6)を含む場合、含有割合は、全繰り返し単位の合計を100質量部とした場合に0.1〜50質量部であることが好ましく、1〜20質量部であることがより好ましい。(B)重合体における繰り返し単位(a7)の含有割合が前記範囲にあると、結着性のさらなる向上が可能となる。
1.3.7.分子量調整剤(a7)
分子量調整剤(a7)としては、n−ヘキシルメルカプタン、n−オクチルメルカプタン、t−オクチルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン、t−ドデシルメルカプタン、n−ステアリルメルカプタンなどのアルキルメルカプタン;ジメチルキサントゲンジサルファイド、ジイソプロピルキサントゲンジサルファイドなどのキサントゲン化合物;ターピノレン、テトラメチルチウラムジスルフィド、テトラエチルチウラムジスルフィド、テトラメチルチウラムモノスルフィドなどのチウラム化合物;2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、スチレン化フェノールなどのフェノール化合物;アリルアルコールなどのアリル化合物;ジクロルメタン、ジブロモメタン、四臭化炭素などのハロゲン化炭化水素化合物;α−ベンジルオキシスチレン、α−ベンジルオキシアクリロニトリル、α−ベンジルオキシアクリルアミドなどのビニルエーテル化合物などのほか、トリフェニルエタン、ペンタフェニルエタン、アクロレイン、メタアクロレイン、チオグリコール酸、チオリンゴ酸、2−エチルヘキシルチオグリコレート、α−メチルスチレンダイマーなどが挙げられるが、これらに制限されるものではない。これらのうち、ドデシルメルカプタンであることが好ましい。上記例示した分子量調整剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上組み合わせて用いてもよい。
(B)重合体において、分子量調整剤(a7)を含む場合、含有割合は、全繰り返し単位の合計を100質量部とした場合に0.1〜50質量部であることが好ましく、1〜20質量部であることがより好ましい。(B)重合体における分子量調整剤(a7)の含有割合が前記範囲にあると、結着性のさらなる向上が可能となる。
1.3.8.(B)重合体の数平均粒子径
(B)重合体が粒子である場合、重合体粒子の数平均粒子径は、20〜450nmの範囲にあることが好ましく、30〜420nmの範囲にあることがより好ましく、50〜400nmの範囲にあることが特に好ましい。
重合体粒子の数平均粒子径が前記範囲にあると、蓄電デバイス用組成物の安定性が向上すると共に、電極やセパレータに保護膜が形成されても内部抵抗の上昇(抵抗上昇率)を低く抑えることができる。
重合体粒子の数平均粒子径とは、光散乱法を測定原理とする粒度分布測定装置を用いて粒度分布を測定し、小さい粒子から粒子を累積したときの粒子数の累積度数が50%となる粒子径(D50)の値である。このような粒度分布測定装置としては、例えばコールターLS230、LS100、LS13 320(以上、Beckman Coulter.Inc製)や、FPAR−1000(大塚電子株式会社製)等を挙げることができる。これらの粒度分布測定装置は、重合体粒子の一次粒子だけを評価対象とするものではなく、一次粒子が凝集して形成された二次粒子をも評価対象とすることができる。従って、これらの粒度分布測定装置によって測定された粒度分布は、組成物中に含まれる重合体粒子の分散状態の指標とすることができる。
1.3.9.(B)重合体の分子量
(B)重合体の重合平均分子量(Mw)10000以上が好ましく、100000以上が更に好ましく、5000000以上が特に好ましい。(B)重合体の分子量が前記範囲であると、充放電特性の良好な電極との密着性を含有する。
1.3.10.(B)重合体の吸熱特性
(B)重合体は、JIS K7121に準拠して示差走査熱量測定(DSC)を行ったときに、−50〜+80℃の温度範囲における吸熱ピークが1つのみ観測されることが好ましい。(B)重合体の吸熱挙動は、重合体粒子の形状安定性と相関すると推測される。このため、(B)重合体の吸熱ピークが前記温度範囲であれば、前記重合体の形状安定性が良好となり、形成された保護膜が十分な強度を有することができると推測できる。
1.3.11.(B)重合体の製造方法
(B)重合体がジエン系重合体粒子である場合、一段重合で作製してもよく、二段重合、さらに多段重合で作製してもよく、それぞれの重合において公知の重合開始剤、分子量調節剤、乳化剤(界面活性剤)等の存在下で行うことができる。
(B)重合体が含フッ素系重合体粒子である場合、その具体的態様としては、(1)フッ素原子を有する単量体に由来する繰り返し単位を有する重合体粒子を一段階重合で合成して得られる共重合体粒子、(2)フッ素原子を有する単量体に由来する繰り返し単位を有する重合体Xと不飽和カルボン酸に由来する繰り返し単位を有する重合体Yとを有する複合粒子、の二態様が挙げられる。これらのうち、耐酸化性に優れる観点から、複合粒子であることが好ましく、該複合粒子がポリマーアロイ粒子であることがより好ましい。製造方法としては、特許公報2014−081996号等に記載の方法により、得ることができる。
1.4.その他の成分
1.4.1.(D)水溶性ポリマー
本実施形態に係る蓄電デバイス用組成物は、その塗工性や密着性を改善する観点から、(D)水溶性ポリマーを含有してもよい。(D)水溶性ポリマーとしては、例えばカルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース等のセルロース化合物;上記セルロース化合物のアンモニウム塩またはアルカリ金属塩;ポリ(メタ)アクリル酸、変性ポリ(メタ)アクリル酸等のポリカルボン酸;上記ポリカルボン酸のアルカリ金属塩;ポリビニルアルコール、変性ポリビニルアルコール、エチレン−ビニルアルコール共重合体等のポリビニルアルコール系(共)重合体;(メタ)アクリル酸、マレイン酸及びフマル酸等の不飽和カルボン酸とビニルエステルとの共重合体の鹸化物;無水マレイン酸とイソブチレンとの交互共重合体;上記交互共重合体のアンモニウム塩またはアルカリ金属塩等の水溶性ポリマーを挙げることができる。これらの中でも特に好ましい(D)水溶性ポリマーとしては、カルボキシメチルセルロースのアルカリ金属塩、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ポリ(メタ)アクリル酸のアルカリ金属塩、無水マレイン酸とイソブチレンとの交互共重合体のアルカリ金属塩等である。
(D)水溶性ポリマーの市販品としては、例えばCMC1120、CMC1150、CMC2200、CMC2280、CMC2450(以上、株式会社ダイセル製)、メトローズSHタイプ、メトローズSEタイプ(以上、信越化学工業株式会社製)等のカルボキシメチルセルロースのアルカリ金属塩を挙げることができる。また、無水マレイン酸とイソブチレンとの交互共重合体の市販品としては、イソバン06、イソバン10、イソバン18、イソバン110(以上、株式会社クラレ製)等を挙げることができる。
1.4.2.界面活性剤
本実施形態に係る蓄電デバイス用組成物は、分散性及び分散安定性を改善する観点から界面活性剤を含有してもよい。界面活性剤としては、「1.1.3.11.(B)重合体の製造方法」と同様に、公知のものを使用することができる。
1.4.3.防腐剤
本実施形態に係る蓄電デバイス用組成物は、長期信頼性の観点から防腐剤を含有してもよい。防腐剤としては、公知のものを使用することができるが、イソチアゾリン系防腐剤を好適に用いることができる。
2.蓄電デバイス用スラリー
本実施形態に係る蓄電デバイス用スラリーは、上述の蓄電デバイス用組成物を含有するものである。そして、上述の蓄電デバイス用組成物は、充放電に伴って発生するデンドライトに起因する短絡を抑制するための保護膜を形成するための材料として使用することもできるし、活物質同士の結合能力及び活物質と集電体との密着能力並びに粉落ち耐性を向上させた蓄電デバイス電極(活物質層)を作製するための材料として使用することもできる。そのため、保護膜を形成するための蓄電デバイス用スラリー(以下、「保護膜形成用スラリー」ともいう。)と、蓄電デバイス電極の活物質層を形成するための蓄電デバイス用スラリー(以下、「蓄電デバイス電極用スラリー」ともいう。)とに分けて説明する。
2.1.保護膜形成用スラリー
本明細書における「保護膜形成用スラリー」とは、これを電極またはセパレータの表面もしくはその両方に塗布した後、乾燥させて、電極またはセパレータの表面もしくはその両方に保護膜を形成するために用いられる分散液のことをいう。その結果、蓄電デバイスの異常発熱時にセパレータの孔が閉塞してシャットダウン機能を発現する際、セパレータが熱収縮することをより効果的に抑制することができると発明者は推測する。
本実施形態に係る保護膜形成用スラリーは、上述した蓄電デバイス用バインダー組成物のみから構成されていてもよく、(E)フィラーをさらに含有していてもよい。以下、本実施形態に係る保護膜形成用スラリーに含まれる各成分について詳細に説明する。なお、蓄電デバイス用バインダー組成物については、上述した通りであるので説明を省略する。
本実施形態に係る蓄電デバイス用組成物を用いてセパレータ表面に保護膜もしくは電極を形成する場合、(A)デンプン架橋粒子の含有割合は、(B)重合体、後述する(D)水溶性ポリマー及び(E)フィラーの合計100質量部に対して、0.5〜15質量部であることが好ましく、0.9〜10質量部であることがより好ましい。前記範囲であると、樹脂(B)とセパレータ表面の密着性が向上するとともに、重合体(A)と樹脂(B)の相互作用により、密着性がさらに向上する。
2.1.1.(E)フィラー
本実施形態に係る保護膜形成用スラリーは、(E)フィラーを含有することにより、形成される保護膜のタフネスを向上させることができる。フィラーとしては、無機フィラー、有機フィラー等を用いることができるが、無機フィラーが好適に使用される。無機フィラーとしては、シリカ、酸化チタン(チタニア)、酸化アルミニウム(アルミナ)、酸化ジルコニウム(ジルコニア)、及び酸化マグネシウム(マグネシア)よりなる群から選択される少なくとも1種の粒子を用いることが好ましい。これらの中でも、保護膜のタフネスをより向上させる観点から、酸化チタン、酸化アルミニウムが好ましい。また、酸化チタンとしてはルチル型の酸化チタンがより好ましい。
(E)フィラーの平均粒子径は、1μm以下であることが好ましく、0.1〜0.8μmの範囲内であることがより好ましい。なお、(E)フィラーの平均粒子径は、多孔質膜であるセパレータの平均孔径よりも大きいことが好ましい。これにより、セパレータへのダメージを軽減し、(E)フィラーがセパレータの微多孔に詰まることを防ぐことができる。
本実施形態に係る保護膜形成用スラリーは、(E)フィラー100質量部に対して、上述の蓄電デバイス用組成物が、固形分換算で0.1〜20質量部含有されていることが好ましく、1〜10質量部含有されていることがより好ましい。蓄電デバイス用組成物の含有割合が固形分換算で0.1〜10質量部であることにより、形成される保護膜のタフネスとリチウムイオンの透過性とのバランスが良好となり、その結果、得られる蓄電デバイスの抵抗上昇率をより低くすることができる。
2.1.2.その他の成分
本実施形態に係る保護膜形成用スラリーは、上述の蓄電デバイス用組成物の「1.4.その他の成分」に記載されている材料、添加量を必要に応じて用いることができる。
2.2.蓄電デバイス電極用スラリー
本明細書における「蓄電デバイス電極用スラリー」とは、これを集電体の表面に塗布した後、乾燥して、集電体表面上に活物質層を形成するために用いられる分散液のことをいう。本実施形態に係る蓄電デバイス電極用スラリーは、上述の蓄電デバイス用組成物と、(F)活物質とを含有する。以下、本実施形態に係る蓄電デバイス電極用スラリーに含まれる成分についてそれぞれ詳細に説明する。なお、蓄電デバイス用組成物については、上述した通りであるので説明を省略する。
2.2.1.(F)活物質
本実施形態に係る蓄電デバイス電極用スラリーに使用される(F)活物質としては、例えば炭素材料、ケイ素材料、リチウム原子を含む酸化物、鉛化合物、錫化合物、砒素化合物、アンチモン化合物、アルミニウム化合物などを挙げることができる。
上記炭素材料としては、例えばアモルファスカーボン、グラファイト、天然黒鉛、メソカーボンマイクロビーズ(MCMB)、ピッチ系炭素繊維などが挙げられる。
上記ケイ素材料としては、例えばケイ素単体、ケイ素酸化物、ケイ素合金などを挙げることができるほか、例えばSiC、SiO(0<x≦3、0<y≦5)、Si、SiO、SiO(0<x≦2)で表記されるSi酸化物複合体(例えば特開2004−185810号公報や特開2005−259697号公報に記載されている材料など)、特開2004−185810号公報に記載されたケイ素材料を使用することができる。上記ケイ素酸化物としては、組成式SiO(0<x<2、好ましくは0.1≦x≦1)で表されるケイ素酸化物が好ましい。上記ケイ素合金としては、ケイ素と、チタン、ジルコニウム、ニッケル、銅、鉄及びモリブデンよりなる群から選ばれる少なくとも1種の遷移金属との合金が好ましい。これらの遷移金属のケイ素合金は、高い電子伝導度を有し、かつ高い強度を有することから好ましく用いられる。また、活物質がこれらの遷移金属を含むことにより、活物質の表面に存在する遷移金属が酸化されて表面に水酸基を有する酸化物となるため、バインダーとの結着力がより良好になる点でも好ましい。ケイ素合金としては、ケイ素−ニッケル合金またはケイ素−チタン合金を使用することがより好ましく、ケイ素−チタン合金を使用することが特に好ましい。ケイ素合金におけるケイ素の含有割合は、該合金中の金属元素の全部に対して10モル%以上とすることが好ましく、20〜70モル%とすることがより好ましい。なお、ケイ素材料は、単結晶、多結晶及び非晶質のいずれであってもよい。
上記リチウム原子を含む酸化物としては、例えばコバルト酸リチウム、ニッケル酸リチウム、マンガン酸リチウム、三元系ニッケルコバルトマンガン酸リチウム、LiFePO、LiCoPO、LiMnPO、Li0.90Ti0.05Nb0.05Fe0.30Co0.30Mn0.30POなどが挙げられる。
また、活物質層中には、以下に例示する活物質を含んでもよい。このような活物質としては、例えばポリアセン等の導電性高分子;A(但し、Aはアルカリ金属または遷移金属、Bはコバルト、ニッケル、アルミニウム、スズ、マンガン等の遷移金属から選択される少なくとも1種、Oは酸素原子を表し、X、Y及びZはそれぞれ1.10>X>0.05、4.00>Y>0.85、5.00>Z>1.5の範囲の数である。)で表される複合金属酸化物や、その他の金属酸化物等が例示される。
本実施形態に係る蓄電デバイス電極用スラリーは、正極及び負極のいずれの蓄電デバイス電極を作製する際にも使用することができる。
正極を作製する場合には、上記例示した活物質の中でもリチウム原子を含む酸化物を使用することが好ましい。
負極を作製する場合には、上記例示した活物質の中でも炭素材料やケイ素材料を含有するものを使用することが好ましい。
活物質として炭素材料とケイ素材料とを併用する場合、ケイ素材料の使用量は、十分な結着性を維持する観点から、活物質100質量%に占めるケイ素材料の含有割合は、4〜40質量%であること好ましく、5〜35質量%であることがより好ましく、5〜30質量%であることが特に好ましい。ケイ素材料の使用量が前記範囲であると、リチウムの吸蔵に伴うケイ素材料の体積膨張に対する炭素材料の体積膨張が小さいため、これらの活物質を含有する活物質層の充放電に伴う体積変化を低減させることができ、集電体と活物質層との結着性をより向上させることができる。
活物質の形状としては、粒状であることが好ましい。活物質の平均粒子径としては、0.1〜100μmであることが好ましく、1〜20μmであることがより好ましい。
ここで、活物質の平均粒子径とは、レーザー回折法を測定原理とする粒度分布測定装置を用いて粒度分布を測定し、その粒度分布から算出される体積平均粒子径のことである。このようなレーザー回折式粒度分布測定装置としては、例えばHORIBA LA−300シリーズ、HORIBA LA−920シリーズ(以上、株式会社堀場製作所製)などを挙げることができる。この粒度分布測定装置は、活物質の一次粒子だけを評価対象とするものではなく、一次粒子が凝集して形成された二次粒子をも評価対象とする。従って、この粒度分布測定装置によって得られた平均粒子径は、蓄電デバイス電極用スラリー中に含まれる活物質の分散状態の指標とすることができる。なお、活物質の平均粒子径は、スラリーを遠心分離して活物質を沈降させた後、その上澄み液を除去し、沈降した活物質を上記の方法により測定することによっても測定することができる。
(F)活物質の使用割合は、活物質100質量部に対する(A)デンプン架橋粒子の含有割合が、0.1〜25質量部となるような割合で使用することが好ましく、0.5〜15質量部となるような割合で使用することがより好ましい。このような使用割合とすることにより、密着性により優れ、しかも電極抵抗が小さく充放電特性により優れた電極を製造することができる。
3.蓄電デバイス電極
本実施形態に係る蓄電デバイス電極は、集電体と、前記集電体の表面上に上述の蓄電デバイス電極用スラリーが塗布、乾燥されて形成された層と、を備えるものである。かかる蓄電デバイス電極は、金属箔などの適宜の集電体の表面に、上述の蓄電デバイス電極用スラリーを塗布して塗膜を形成し、次いで該塗膜を乾燥することにより製造することができる。このようにして製造された蓄電デバイス電極は、集電体上に、上述の(A)デンプン架橋粒子、(B)重合体及び活物質、さらに必要に応じて添加した任意成分を含有する活物質層が結着されてなるものである。かかる蓄電デバイス電極は、(A)デンプン架橋粒子と(B)重合体とが適度に相溶することで、様々な表面特性をもつ基材と活物質層の密着性を向上させる。これにより、集電体およびセパレータと活物質層との密着性に優れるとともに、電気的特性の一つである充放電レート特性が良好となる。
集電体は、導電性材料からなるものであれば特に制限されない。リチウムイオン二次電池においては、鉄、銅、アルミニウム、ニッケル、ステンレスなどの金属製の集電体が使用されるが、特に正極にアルミニウムを、負極に銅を用いた場合、上述の蓄電デバイス電極用スラリーの効果が最もよく現れる。ニッケル水素二次電池における集電体としては、パンチングメタル、エキスパンドメタル、金網、発泡金属、網状金属繊維焼結体、金属メッキ樹脂板などが使用される。集電体の形状及び厚さは特に制限されないが、厚さ0.001〜0.5mm程度のシート状のものとすることが好ましい。
蓄電デバイス電極用スラリーの集電体への塗布方法についても特に制限はない。塗布は、例えばドクターブレード法、ディップ法、リバースロール法、ダイレクトロール法、グラビヤ法、エクストルージョン法、浸漬法、ハケ塗り法などの適宜の方法によることができる。蓄電デバイス電極用スラリーの塗布量も特に制限されないが、液状媒体を除去した後に形成される活物質層の厚さが、0.005〜5mmとなる量とすることが好ましく、0.01〜2mmとなる量とすることがより好ましい。
塗布後の塗膜からの乾燥方法(水および任意的に使用される非水媒体の除去方法)についても特に制限されず、例えば温風、熱風、低湿風による乾燥;真空乾燥;(遠)赤外線、電子線などの照射による乾燥などによることができる。乾燥速度としては、応力集中によって活物質層に亀裂が入ったり、活物質層が集電体から剥離したりしない程度の速度範囲の中で、できるだけ早く液状媒体が除去できるように適宜に設定することができる。
さらに、乾燥後の活物質層をプレスすることにより、活物質層の密度を高めることが好ましい。プレス方法は、金型プレスやロールプレスなどの方法が挙げられる。プレス後の活物質層の密度としては、1.6〜2.4g/cmとすることが好ましく、1.7〜2.2g/cmとすることがより好ましい。
4.蓄電デバイス
本実施の形態に係る蓄電デバイスは、上述の蓄電デバイス電極を備えるものであり、さらに電解液を含有し、セパレータなどの部品を用いて、常法に従って製造することができる。具体的な製造方法としては、例えば、負極と正極とをセパレータを介して重ね合わせ、これを電池形状に応じて巻く、折るなどして電池容器に収納し、該電池容器に電解液を注入して封口する方法などを挙げることができる。電池の形状は、コイン型、円筒型、角形、ラミネート型など、適宜の形状であることができる。
正極に用いる正極集電体としては、例えば金属箔、エッチング金属箔、エキスパンドメタル等を用いることができる。これらの材料の具体例としては、例えばアルミニウム、銅、ニッケル、タンタル、ステンレス、チタン等の金属を挙げることができ、目的とする蓄電デバイスの種類に応じて適宜選択して用いることができる。例えばリチウムイオン二次電池の正極を形成する場合には、正極集電体12としては上記のうちのアルミニウムを用いることが好ましい。かかる場合、正極集電体12の厚みは、5〜30μmとすることが好ましく、8〜25μmとすることがより好ましい。
正極活物質層は、リチウムをドープ/脱ドープ可能な正極材料の1種または2種以上の正極活物質を含んでおり、必要に応じてグラファイト等の導電付与剤を含んで構成されている。また、結着剤として、ポリフッ化ビニリデンやポリフッ化アクリル酸エステル等のフッ素含有ポリマーや正極活物質の分散に用いられる増粘剤、あるいはスチレンブタジエンゴム(SBR)や(メタ)アクリル酸エステル共重合体を含む重合体組成物を用いるようにしてもよい。これらの結着剤は、1種のみを使用してもよく、2種以上を混合して使用してもよい。
負極に用いる負極集電体としては、例えば金属箔、エッチング金属箔、エキスパンドメタル等を用いることができる。これらの材料の具体例としては、例えばアルミニウム、銅、ニッケル、タンタル、ステンレス、チタン等の金属を挙げることができ、目的とする蓄電デバイスの種類に応じて適宜選択して用いることができる。負極集電体としては上記のうちの銅を用いることが好ましい。かかる場合、集電体の厚みは、5〜30μmとすることが好ましく、8〜25μmとすることがより好ましい。
負極活物質層は、リチウムをドープ/脱ドープ可能な負極材料のいずれか1種または2種以上を負極活物質として含んで構成されており、必要に応じて正極電極と同様の結着剤を含んで構成されている。
なお、上述した活物質層は、プレス加工に供されることが好ましい。このプレス加工を行うための手段としては、例えばロールプレス機、高圧スーパープレス機、ソフトカレンダー、1トンプレス機等を挙げることができる。プレス加工の条件は、用いる加工機の種類ならびに活物質層の所望の厚みおよび密度に応じて、適宜に設定される。リチウムイオン二次電池正極の場合、厚みが40〜100μmであり、密度が2.0〜5.0g/cmであることが好ましい。リチウムイオン二次電池負極の場合、厚みが40〜100μmであり、密度が1.3〜1.9g/cmであることが好ましい。
電解液は、目的とする蓄電デバイスの種類に応じて適宜選択して用いられる。電解液としては、適当な電解質が溶媒中に溶解された溶液が用いられる。
リチウムイオン二次電池を製造する場合には、電解質としてリチウム化合物が用いられる。具体的には、例えばLiClO、LiBF、LiI、LiPF、LiCFSO、LiAsF、LiSbF、LiAlCl、LiCl、LiBr、LiB(C、LiCHSO、LiCSO、Li(CFSON等を挙げることができる。この場合の電解質濃度は、好ましくは0.5〜3.0モル/Lであり、より好ましくは0.7〜2.0モル/Lである。
リチウムイオンキャパシタを製造する場合における電解質の種類及び濃度は、リチウムイオン二次電池の場合と同様である。
上記いずれの場合であっても、電解液に用いられる溶媒としては、例えばプロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ブチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、メチルエチルカーボネート等のカーボネート;γ−ブチロラクトン等のラクトン;トリメトキシシラン、1,2−ジメトキシエタン、ジエチルエーテル、2−エトキシエタン、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン等のエーテル;ジメチルスルホキシド等のスルホキシド;1,3−ジオキソラン、4−メチル−1,3−ジオキソラン等のオキソラン誘導体;アセトニトリル、ニトロメタン等の窒素含有化合物;ギ酸メチル、酢酸メチル、酢酸ブチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、リン酸トリエステル等のエステル;ジグライム、トリグライム、テトラグライム等のグライム化合物;アセトン、ジエチルケトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン;スルホラン等のスルホン化合物;2−メチル−2−オキサゾリジノン等のオキサゾリジノン誘導体;1,3−プロパンスルトン、1,4−ブタンスルトン、2,4−ブタンスルトン、1,8−ナフタスルトン等のスルトン化合物を挙げることができる。
4.1.蓄電デバイスの製造方法
上述したような蓄電デバイスの製造方法としては、例えば、2つの電極(正極および負極の2つ、またはキャパシタ用電極の2つ)を必要に応じてセパレータを介して重ね合わせ、これを電池形状に応じて巻く、折るなどして電池容器に入れ、電池容器に電解液を注入して封口する方法が挙げられる。電池の形状は、コイン型、ボタン型、シート型、円筒型、角形、扁平型など、適宜の形状であることができる。
4.2.用途
上述したような蓄電デバイスは、大電流密度での放電が必要なリチウムイオン二次電池、電気二重層キャパシタやリチウムイオンキャパシタ等に適応可能である。この中でもリチウムイオン二次電池が特に好ましい。本発明の電極および蓄電デバイスにおいてバインダー組成物以外の部材は、公知のリチウムイオン二次電池用、電気二重層キャパシタ用やリチウムイオンキャパシタ用の部材を用いることが可能である。
5.実施例
以下、本発明を実施例に基づいて具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。実施例、比較例中の「部」および「%」は、特に断らない限り質量基準である。
5.1.(B)重合体の合成
5.1.1.合成例1
容量7リットルのセパラブルフラスコに、水90質量部およびドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.2質量部を仕込み、セパラブルフラスコの内部を十分に窒素置換した。
一方、別の容器に、水60質量部、乳化剤としてエーテルサルフェート型乳化剤(商品名「アデカリアソープSR1025」、(株)ADEKA製)を固形分換算で0.8質量部ならびに単量体としてメタクリル酸シクロヘキシル(CHMA)10質量部、アクリロニトリル(AN)10質量部、メタクリル酸メチル(MMA)10質量部、アクリル酸2−エチルヘキシル(EHA)60質量部、アクリル酸(AA)8質量部およびトリメタクリル酸トリメチロールプロパン(TMPTMA)2質量部を加え、十分に攪拌して上記単量体の混合物を含有する単量体乳化液を調製した。
上記セパラブルフラスコ内部の昇温を開始し、内部の温度が60℃に到達した時点で、重合開始剤として過硫酸アンモニウム0.5質量部を加えた。そして、セパラブルフラスコの内部の温度が70℃に到達した時点で、上記で調製した単量体乳化液の添加を開始し、セパラブルフラスコの内部の温度を70℃に維持したまま単量体乳化液を3時間かけてゆっくりと添加した。その後、セパラブルフラスコの内部の温度を85℃に昇温し、この温度を3時間維持して重合反応を行った。3時間後、セパラブルフラスコを冷却して反応を停止した後、アンモニウム水を加えてpHを7.6に調整することにより、粒子状重合体(B1)を40質量%含有する水系分散体を得た。
上記で得られた水系分散体について、動的光散乱法を測定原理とする粒度分布測定装置(大塚電子株式会社製、型式「FPAR−1000」)を用いて粒度分布を測定し、その粒度分布から数平均粒子径(Da1)を求めたところ250nmであった。
上記で得られた水系分散体の10gを直径8cmのテフロン(登録商標)シャーレへ秤取り、120℃で1時間乾燥して成膜した。得られた膜(重合体)のうちの1gを、後述の蓄電デバイスの製造において電解液として用いるエチレンカーボネートおよびジエチルカーボネートからなる混合液(EC/DEC=1/2(容量比)、以下、この混合液を「EC/DEC」という。)400mL中に浸積して、60℃において24時間振とうした。次いで、300メッシュの金網で濾過して不溶分を分離した後、溶解分のEC/DECを蒸発除去して得た残存物の重量(Y(g))を測定した値から、下記数式(1)によって電解液不溶分を求めたところ、上記重合体粒子の電解液不溶分は98質量%であった。また上記の濾過で分離した不溶分(フィルム)の表面についたEC/DECを紙に吸収させて取り除いた後、該不溶分フィルムの重量(Z(g))を測定した値から、下記数式(2)によって電解液膨潤度を測定したところ、上記重合体粒子の電解液膨潤度は300質量%であった。
電解液不溶分(質量%)=((1−Y)/1)×100 (1)
電解液膨潤度(質量%)=(Z/(1−Y))×100 (2)
5.1.2.合成例2
撹拌機付きの温度調節可能なオートクレーブに、イオン交換水300質量部、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム1.5質量部、過硫酸カリウム0.5質量部、重亜硫酸ナトリウム0.1質量部、α−メチルスチレンダイマー0.1質量部、ドデシルメルカプタン0.1質量部、アクリロニトリル10質量部、アクリル酸2質量部、メタクリル酸2質量部、メタアクリル酸メチル11質量部、1,3−ブタジエン40質量部、スチレン35質量部を入れ、十分に撹拌した後、45℃に加温して24時間反応させ、その後過硫酸カリウム0.5質量部を添加後70℃に昇温し4時間反応を行った。固形分濃度から求めた重合転化率は約99%であった。40℃に冷却後、水酸化ナトリウムにてラテックスのpHを7.5に調節し、減圧下に残留単量体および水を蒸発させて、(B2)重合体を40%含有する水系分散体を作製した。得られた(B2)重合体を含有する水系分散体を用いて、合成例1と同様にして数平均粒子径(Da1)を求めたところ200nmであった。また、合成例1と同様にして電解液不溶分と電解液膨潤度の評価を行い、結果を表1に示した。
5.1.3.合成例3
<重合体Xの合成>
電磁式撹拌機を備えた内容積6Lのオートクレーブの内部を十分に窒素置換した後、脱酸素した純水2.5L及び乳化剤としてパーフルオロデカン酸アンモニウム25gを仕込み、350rpmで撹拌しながら60℃まで昇温した。次いで、単量体であるフッ化ビニリデン(VDF)70質量%および六フッ化プロピレン(HFP)30質量%からなる混合ガスを、内圧が20kg/cmに達するまで仕込んだ。重合開始剤としてジイソプロピルパーオキシジカーボネートを20%含有するフロン113(CClF−CClF)溶液25gを、窒素ガスを使用して圧入し、重合を開始した。重合中は内圧が20kg/cmに維持されるようVDF60.2質量%およびHFP39.8質量%からなる混合ガスを逐次圧入して、圧力を20kg/cmに維持した。また、重合が進行するに従って重合速度が低下するため、3時間経過後に、先と同じ重合開始剤溶液の同量を、窒素ガスを使用して圧入し、さらに3時間反応を継続した。その後、反応液を冷却すると同時に撹拌を停止し、未反応の単量体を放出した後に反応を停止することにより、重合体Xの粒子を40質量%含有する水分散体を得た。得られた重合体Xにつき、19F−NMRにより分析した結果、各単量体の質量組成比はVDF/HFP=21/4であった。
<(B3)重合体粒子の合成>
容量7Lのセパラブルフラスコの内部を十分に窒素置換した後、上記の工程で得られた重合体Xの粒子を含有する水分散体を重合体X換算で20質量部、乳化剤「アデカリアソープSR1025」(商品名、株式会社ADEKA製)0.4質量部、メタクリル酸イソボニル(IMA)40質量部、アクリル酸2−エチルヘキシル(EHA)34質量部、アクリル酸(AA)4質量部およびエチレングリコールジメタクリレート(EDMA)2質量部、並びに水104質量部を順次仕込み、70℃で3時間攪拌し、重合体Xに単量体を吸収させた。次いで油溶性重合開始剤であるアゾビスイソブチロニトリル0.5質量部を含有するテトラヒドロフラン溶液20mLを添加し、75℃に昇温して3時間反応を行い、さらに85℃で2時間反応を行った。その後、冷却した後に反応を停止し、2.5N水酸化ナトリウム水溶液でpH7に調節することにより、重合体X及び重合体Yを含有する(B3)重合体を40質量%含有する水系分散体を得た。得られた(B3)重合体を含有する水系分散体を用いて、合成例1と同様にして数平均粒子径(Da1)を求めたところ330nmであったまた、合成例1と同様にして電解液不溶分と電解液膨潤度の評価を行い、結果を表1に示した。
さらに、得られた膜((B3)重合体から構成された膜)を示差走査熱量計(NETZSCH社製、DSC204F1 Phoenix)によって測定したところ、融解温度Tmは観察されず、単一のガラス転移温度Tgが30℃に観測されたことから、得られた重合体(A1)はポリマーアロイ粒子であると推定される。
5.1.4.合成例4
特開2000−100436号公報の実施例1の方法に従って、(B4)セルロール系ポリマー粒子を40%含有する水系分散体を作製した。得られた(B4)セルロース系ポリマー粒子を含有する水系分散体を用いて、合成例1と同様にして数平均粒子径(Da1)を求めたところ180nmであった。また、合成例1と同様にして電解液不溶分と電解液膨潤度の評価を行い、結果を表1に示した。
5.1.5.合成例5
<活物質の合成>
粉砕した二酸化ケイ素粉末(平均粒径10μm)と炭素粉末(平均粒径35μm)との混合物を、温度を1,100〜1,600℃の範囲に調整した電気炉中で、窒素気流下(0.5NL/分)、10時間の加熱処理を行い、組成式SiOx(x=0.5〜1.1)で表される酸化ケイ素の粉末(平均粒径8μm)を得た。この酸化ケイ素の粉末300gをバッチ式加熱炉内に仕込み、真空ポンプにより絶対圧100Paの減圧を維持しながら、300℃/hの昇温速度にて室温(25℃)から1,100℃まで昇温した。次いで、加熱炉内の圧力を2,000Paに維持しつつ、メタンガスを0.5NL/分の流速にて導入しながら、1,100℃、5時間の加熱処理(黒鉛被膜処理)を行った。黒鉛被膜処理終了後、50℃/hの降温速度で室温まで冷却することにより、黒鉛被膜酸化ケイ素の粉末約330gを得た。この黒鉛被膜酸化ケイ素は、酸化ケイ素の表面が黒鉛で被覆された導電性の粉末(活物質)であり、その平均粒径は10.5μmであり、得られた黒鉛被膜酸化ケイ素の全体を100質量%とした場合の黒鉛被膜の割合は2質量%であった。
5.2.実施例1
5.2.1.正極用スラリーの調製
二軸型プラネタリーミキサー(プライミクス(株)製、商品名「TKハイビスミックス 2P−03」)に、増粘剤(商品名「CMC1120」、(株)ダイセル製)の6質量%水溶液2質量部(固形分換算値)、電極活物質(市販のリン酸鉄リチウム(LiFePO)をめのう乳鉢で粉砕し、ふるいを用いて分級することにより得られた、粒子径(D50値)が0.5μmのもの)100質量部、ポリフッ化ビニリデン4質量部(固形分換算)、アセチレンブラック5質量部及びN−メチルピロリドン68質量部を投入し、60rpmで1時間攪拌を行った。さらに、N−メチルピロリドン32質量部を投入し、1時間攪拌してペーストを得た。得られたペーストを、攪拌脱泡機(株式会社シンキー製、商品名「あわとり練太郎」)を使用して、200rpmで2分間、1800rpmで5分間、さらに真空下(5.0×10Pa)において1800rpmで1.5分間攪拌混合することにより、正極用スラリーを調製した。
5.2.2.正極の製造
厚み30μmのアルミニウム箔からなる集電体の表面に、上記で調製した正極用スラリーを、乾燥後の膜厚が100μmとなるようにドクターブレード法によって均一に塗布し、120℃において20分間乾燥した。その後、膜(電極活物質層)の密度が1.9g/cmになるようにロールプレス機によりプレス加工し、さらに絶対圧75Paの減圧下、150℃において4時間真空乾燥することにより、正極を得た。
5.2.3.負極用スラリーの調製
二軸型プラネタリーミキサー(プライミクス(株)製、商品名「TKハイビスミックス 2P−03」)中に、負極活物質として、平均粒子径22μmのグラファイト(日立化成工業(株)製、製品名「SMG−HE1」)80質量部(固形分換算)及び上記合成例5で調製した黒鉛被覆酸化ケイ素20質量部、並びに導電付与剤としてアセチレンブラック(電気化学工業(株)製、商品名「デンカブラック50%プレス品」)1質量部を投入して20rpmで3分間混合した。次いで、(A)デンプン架橋粒子としてECOSPHERE 92202(ECOSYNTHETIX社製)を固形分換算で2質量部及び水20質量部を投入して、60rpmで1時間攪拌を行った。その後、攪拌脱泡機((株)シンキー製、商品名「ARV930−TWIN」)を使用して、絶対圧25kPaの減圧下において600rpmで5分間攪拌混合することにより、負極用スラリーを調製した。
5.2.4.負極の製造
厚み10μmの銅箔からなる集電体の表面に、上記で調製したスラリーを、溶媒除去後の活物質層の質量が4.50mg/cmになるように膜厚を調整してドクターブレード法によって均一に塗布し、120℃で5分間乾燥処理して塗膜を形成した。次いで上記塗膜を、ギャップ間調整式ロールプレス機(テスター産業(株)製、商品名「SA−601」)を用いて、ロール温度30℃、線圧力1t/cm及び送り速度0.5m/分の条件でプレスし、活物質層の密度が1.60g/cmとなるように調整した。さらに、絶対圧100Paの減圧下、160℃において6時間加熱して活物質層を形成することにより、蓄電デバイス電極を得た。この蓄電デバイス電極における活物質層の密度は1.62g/cmであった。
5.2.5.ピール強度の測定
上記で得られた蓄電デバイス電極から幅2cm×長さ12cmの試験片を切り出し、この試験片の活物質層側の表面を、幅25mmの両面テープ(ニチバン株式会社製、商品名「ナイスタック(登録商標)」)を用いてアルミニウム板に貼り付けた。一方、試験片の集電体の表面に、幅18mmテープ(ニチバン株式会社製、商品名「セロテープ(登録商標)」、JIS Z1522に規定)を貼り付けた。この幅18mmテープを90°方向に50mm/minの速度で2cm剥離したときの力(N/m)を6回測定し、その平均値を密着強度(ピール強度、N/m)として算出した。このピール強度の値が大きいほど、集電体と活物質層との密着強度が高く、集電体から活物質層が剥離し難いと評価することができる。定量的には、ピール強度の値が8N/m以上である場合、密着強度が良好であると判断することができる。ピール強度の測定結果を表1に併せて示した。
5.2.6.蓄電デバイスの製造
露点が−80℃以下となるようアルゴン置換されたグローブボックス内で、上記で製造した電極を直径15.5mmに打ち抜き成形したものを、活物質層を上側にして、2極式コインセル(宝泉(株)製、商品名「HSフラットセル」)上に載置した。次いで、直径24mmに打ち抜いたポリプロピレン製多孔膜からなるセパレータ(セルガード(株)製、商品名「セルガード#2400」)を上記の電極上に載置し、さらに、空気が入らないように電解液を500μL注入した後、対電極として厚さ200μmのリチウム箔を直径16.6mmに打ち抜き成形したものを載置し、前記2極式コインセルの外装ボディーをネジで閉めて封止することにより、リチウムイオン電池セル(蓄電デバイス)を組み立てた。ここで使用した電解液は、エチレンカーボネート/エチルメチルカーボネート=1/1(質量比)の溶媒に、LiPFを1mol/Lの濃度で溶解した溶液である。この操作を繰り返し、合計2個の蓄電デバイスを製造した。
5.2.7.残存容量率及び抵抗上昇率の測定
上記で製造した電池セルを25℃の恒温槽に入れ、定電流(0.2C)にて充電を開始し、電圧が4.1Vになった時点で引き続き定電圧(4.1V)にて充電を続行し、電流値が0.01Cとなった時点を充電完了(カットオフ)とした。次いで、定電流(0.2C)にて放電を開始し、電圧が2.5Vになった時点を放電完了(カットオフ)とした(エージング充放電)。
上記エージング充放電後のセルを25℃の恒温槽に入れ、定電流(0.2C)にて充電を開始し、電圧が4.1Vになった時点で引き続き定電圧(4.1V)にて充電を続行し、電流値が0.01Cとなった時点を充電完了(カットオフ)とした。次いで、定電流(0.2C)にて放電を開始し、電圧が2.5Vになった時点を放電完了(カットオフ)とし、0.2Cにおける放電容量(初期)の値であるC1を測定した。
上記放電容量(初期)測定後のセルを25℃の恒温槽に入れ、定電流(0.2C)にて充電を開始し、電圧が4.1Vになった時点で引き続き定電圧(4.1V)にて充電を続行し、電流値が0.01Cとなった時点を充電完了(カットオフ)とした。
この充電状態のセルについてEIS測定(“Electrochemical Inpedance Spectroscopy”、「電気化学インピーダンス測定」)を行い、初期の抵抗値EISaを測定した。
次に、初期の抵抗値EISaを測定したセルを60℃の恒温槽に入れ、定電流(0.2C)にて充電を開始し、電圧が4.4Vになった時点で引き続き定電圧(4.4V)にて充電を168時間続行した(過充電の加速試験)。
その後、この充電状態のセルを25℃の恒温槽に入れてセル温度を25℃に低下してから、定電流(0.2C)にて放電を開始し、電圧が2.5Vになった時点を放電完了(カットオフ)として、0.2Cにおける放電容量(試験後)の値であるC2を測定した。
上記放電容量(試験後)のセルを25℃の恒温槽に入れ、定電流(0.2C)にて充電を開始し、電圧が4.1Vになった時点で引き続き定電圧(4.1V)にて充電を続行し、電流値が0.01Cとなった時点を充電完了(カットオフ)とした。次いで、定電流(0.2C)にて放電を開始し、電圧が2.5Vになった時点を放電完了(カットオフ)とした。このセルのEIS測定を行い、熱ストレス及び過充電ストレス印加後の抵抗値であるEISbを測定した。
上記の各測定値を下記式(7)に代入して求めた残存容量率は98%であり、上記の各測定値を下記式(8)に代入して求めた抵抗上昇率は40%であった。
残存容量率(%)=(C2/C1)×100 ・・・(7)
抵抗上昇率(%)=(EISb/EISa)×100 ・・・(8)
この残存容量率が75%以上であり、かつ、抵抗上昇率300%以下であるとき、耐久性は良好であると評価することができる。
なお、上記測定条件において「1C」とは、ある一定の電気容量を有するセルを定電流放電して1時間で放電終了となる電流値を示す。例えば「0.1C」とは、10時間かけて放電終了となる電流値のことであり、「10C」とは0.1時間かけて放電完了となる電流値のことをいう。
5.3.実施例2〜5及び比較例1〜2
上記実施例1において、(A)デンプン架橋粒子、(B)重合体、(D)水溶性ポリマーの種類及び量を表1に記載の通りとしたほかは、実施例1と同様にして蓄電デバイス電極及び蓄電デバイスを製造して評価した。これらの結果を表1に示す。
Figure 0006965534
表1における化合物の略称は、それぞれ以下の意味である。欄における「−」は、その組成物を使用しなかったか、あるいはその単量体の評価値が観測されなかったことを示す。
ECOSPHERE:ECOSPHERE 92202(ECOSYNTHETIX社製)
CMC2200:CMC 2200 (株式会社ダイセル製)
上記表1から明らかなように、実施例1〜5に示した本願発明に係るデンプン架橋粒子は優れた耐電解液特性を有する。また、デンプン架橋粒子を有する電極は集電体との非常に良好な接着性を示し、これらを具備する蓄電デバイス(リチウムイオン電池)は、耐久試験後の残存容量、および抵抗上昇の抑制に優れたものであった。一方、比較例1〜2では、集電体との接着性が良好な電極は得られなかった。この理由としてデンプン架橋粒子を有さない比較例1および2で形成した電極では十分な接着性が発現されなかったためだと考えられる。
本発明は、上記の実施形態に限定されるものではなく、種々の変形が可能である。本発明は、実施形態で説明した構成と実質的に同一の構成(例えば、機能、方法および結果が同一の構成、あるいは目的および効果が同一の構成)を包含する。また本発明は、上記の実施形態で説明した構成の本質的でない部分を他の構成に置き換えた構成を包含する。さらに本発明は、上記の実施形態で説明した構成と同一の作用効果を奏する構成または同一の目的を達成することができる構成をも包含する。さらに本発明は、上記の実施形態で説明した構成に公知技術を付加した構成をも包含する。

Claims (11)

  1. (A)デンプン架橋粒子と、(C)と、を含有する、非水電解液を使用する蓄電デバイス電極用組成物。
  2. 前記(A)デンプン架橋粒子の数平均粒子径が20〜450nmである、請求項1に記載の蓄電デバイス電極用組成物。
  3. 前記非水電解液が、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ブチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、メチルエチルカーボネート、γ−ブチロラクトン、トリメトキシシラン、1,2−ジメトキシエタン、ジエチルエーテル、2−エトキシエタン、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、ジメチルスルホキシド、1,3−ジオキソラン、4−メチル−1,3−ジオキソラン、アセトニトリル、ニトロメタン、ギ酸メチル、酢酸メチル、酢酸ブチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、リン酸トリエステル、ジグライム、トリグライム、テトラグライム、アセトン、ジエチルケトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、スルホラン、2−メチル−2−オキサゾリジノン、1,3−プロパンスルトン、1,4−ブタンスルトン、2,4−ブタンスルトン、及び1,8−ナフタスルトンの1種以上を含む、請求項1または請求項2に記載の蓄電デバイス電極用組成物。
  4. さらに(B)重合体を含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載の蓄電デバイス電極用組成物。
  5. 前記重合体(B)が、不飽和カルボン酸エステルに由来する繰り返し単位と、不飽和カルボン酸に由来する繰り返し単位と、を含む重合体である、請求項4に記載の蓄電デバイス電極用組成物。
  6. 前記(B)重合体が、共役ジエン化合物に由来する繰り返し単位を含むジエン系重合体粒子である、請求項4または請求項5に記載の蓄電デバイス電極用組成物。
  7. 前記(B)重合体が、含フッ素エチレン系単量体に由来する繰り返し単位を含む含フッ素系重合体粒子である、請求項4に記載の蓄電デバイス電極用組成物。
  8. 請求項1〜7のいずれか一項に記載の蓄電デバイス電極用組成物と、活物質と、を含有する蓄電デバイス電極用スラリー。
  9. 前記活物質として、ケイ素材料を含む、請求項8に記載の蓄電デバイス電極用スラリー。
  10. 集電体と、前記集電体の表面上に請求項8または請求項9に記載の蓄電デバイス電極用スラリーを用いて作製された活物質層と、を備える蓄電デバイス電極。
  11. 請求項10に記載の蓄電デバイス電極を備える蓄電デバイス。
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