以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。図1〜図12は第1実施形態のフラップ扉を示している。このフラップ扉は、図1、2に示す如く、家具類などのキャビネット8の収納部9を閉じる板状の扉本体2と、扉本体2の内側両端部に固定される1対のスライダー4と、収納部9内の両側壁面の水平位置に固定される1対のスライドレール3と、から構成される。
キャビネット8の収納部9を開閉するフラップ扉は、開放時、扉本体2が収納部9内の上部空間に挿入され、閉鎖時、内側両端部に取り付けたスライダー4を、スライドレール3のレール摺動面30上で前方に摺動させ、その引き出し端で、下側に回動させて、収納部9を閉じる。この扉本体2を引き出し端で下側に回動させるとき、従来のように軸ピンを中心に回動せず、スライダー4とスライドレール3が協働して、扉本体2が、前後にずれ且つ持ち上がるように作用し、図2に示す如く、閉鎖時には、キャビネット8の天板と扉本体2の上端間に生じる隙間C1が最少となるように構成される。
すなわち、スライドレール3は、図3〜図5に示すように、上面にレール摺動面30を有し、長尺で細長い形状に形成され、スライドレール3の両端部に当接部31が、レール摺動面30から上方に突出して形成される。図3に示す如く、スライドレール3は、長手方向の中央位置を垂直に通る中心線S1を、対称軸とする対称形に形成され、つまりスライドレール3は側面視で左右対称形に形成され、収納部9内の左右両側壁面に固定される1対のスライドレール3は、同一形状である。
これにより、製造時、スライドレール3を合成樹脂の型成形により成形する場合、同一の成形型で両側のスライドレール3を成形できるため、製造コストを下げることができる。また、スライドレール3をキャビネット8内の左右両側壁部に取り付ける際、スライドレール3の方向性、左右の別などを考慮せずに、取付作業を簡単に行うことできるようになっている。
なお、フラップ扉用のスライドレールの機能としては、レールの前部にのみ、当接部31及び曲り壁部34を設ければ良いため、レールの後部(奥部)の当接部31及び曲り壁部34は単純なストッパ形状であってもよい。上述の如く、本実施形態のスライドレール3は、レールの両端部に、当接部31及び曲り壁部34を対称形に設けて、両側壁面のスライドレールを共通して使用可能としている。また、レールの両端部に設けた当接部31及び曲り壁部34は、中心線S1を対称軸とした対称形に形成され、同一の構成である。このため、両側の部材には、同じ符号を付して、一方の当接部31及び曲り壁部34のみを説明し、他方の説明は省略する。
図4,5に示すように、スライドレール3の前端の当接部31は、レール摺動面30から上方に突設され、当接部31上には、扉本体2の内側面が摺接し山形状に形成された山形摺動面32が設けられる。当接部31の内側先端に、スライダー4の当接面42を当てる当接端部33が、円弧状曲面をもった角部状に形成される。スライドレール3の当接部31には、図3に示す如く、水平方向に固定孔38が貫通して設けられる。当接部31上の山形摺動面32は、扉本体2を開くとき、上に回動させながら収納部9の上空間に挿入する際、スライダー4の当接面42及び傾斜摺動面48が円滑に山形摺動面32を滑りながら回動して、進入するように形成される。
また、スライドレール3上の当接部31は、図4に示すように、一方の側縁部側に偏倚した位置に突設され、これにより、当接部31の側部には、スライダー4用の進入空間39が形成される。進入空間39の底面には、レール摺動面30からの摺動面がそのまま延設され、扉本体2の引き出し時、スライダー4の持上係止部43がレール摺動面30から進入空間39内に円滑に進入可能となっている。
スライドレール3の端部で、進入空間39の外側に、曲り壁部34が進入空間39の外側を覆うように、且つ先端を少し内側に傾斜した状態で立設される。この曲り壁部34の外側面は、当接部31の外側面と一体となるように形成される。曲り壁部34の上端には、持上端部35が角状に形成され、持上端部35の上角部は当接部31の山形摺動面32の端部の角部と一直線状に連続するように形成される。そして、図9等に示すように、持上端部35の直下外側に、第1傾斜面36が形成され、第1傾斜面36の下側には、鈍角の曲り面を介して、第2傾斜面37が形成される。
これにより、図9に示す如く、扉本体2を収納部9内の上部位置から引き出すと、扉本体2は、その内側面が当接部31の山形摺動面32上に摺接し、前方に移動する。その後、スライダー4の持上係止部43が進入空間39内に進入し、スライダー4の傾斜した当接面42が当接部31の当接端部33に接触するようになっている。
さらに、図3〜図5に示すように、当接部31の内側面、つまり当接部31の当接端部33から下側のレール摺動面30に続く部位に、レール摺動面30から鋭角に傾斜する傾斜面31aが形成され、当接端部33は側面視では鋭角状に形成され、且つ円弧状曲面を有して形成される。また、スライダー4の当接面42は垂直に形成され、当接面42の上側は傾斜摺動面48として上方に傾斜して形成される。これにより、扉の開放時、扉本体2を手前に引き出す際、スライダー4の当接面42が当接部31に当たった後、扉本体2が下側に回りながら、当接端部33の円弧状曲面に傾斜摺動面48が良好に摺接し、扉本体2が閉じる方向に回動する構造である。
また、スライドレール3の当接部31の傾斜面31aは、図9に示す如く、扉本体2を引き出して、その手前を少し上に持ち上げた場合でも、スライダー4の当接面42が当接部31の当接端部33の円弧状曲面に良好に接して回動できるようになっている。そして、扉本体2を閉じるために、図10に示す如く、扉本体2を下側に回したとき、扉本体2の内側面が持上端部35に当接し、そのまま持上端部35を支点に下側に回動し、扉本体2の内側面は第1傾斜面36に当接するようになる。
このとき、図10に示すように、扉本体2側のスライダー4の当接面42が当接端部33を上側に摺動して扉本体2が閉方向に回動する。また、図10、図11に示すように、当接端部33の曲り壁部34には、第1傾斜面36の下側に、鈍角の角部を介して、第2傾斜面37が形成される。これにより、扉本体2の閉鎖時、扉本体2を下側に回動操作したとき、後半部分で、図11に示す如く、扉本体2の内側面が第1傾斜面36から鈍角の角部を介して第2傾斜面37に当接するようになっている。
扉本体2の内側両端部に固定される1対のスライダー4は、同一形状に形成され、図6〜図8に示すように、直方体形状の摺動部本体40を有し、摺動部本体40の正面側に、摺動部本体40の左右幅より小幅の持上係止部43を突設して構成される。
図6(a)に示すように、スライダー4は、正面の中央位置を垂直に通る中心線S2を、対称軸とする左右対称形に形成される。そして、扉本体2の内側両端部に固定される1対のスライダー4は、同一形状である。これにより、製造時、スライダー4を合成樹脂の型成形により成形する場合、同一の成形型で両側のスライダー4を成形できるため、製造コストを下げることができる。また、スライダー4を扉本体2の内側面奥部の両側に取り付ける際、左右の別を考慮せずに、取付作業を簡単に行うことできるようになっている。
なお、スライダーは、左右非対称形に形成することもできる。つまり、本実施形態のスライダー4において、摺動部本体40の前面の持上係止部43の両側に当接面42及び傾斜摺動面48を配置しているが、閉鎖時、レールの当接端部33に実際に当接する当接面42は、一方の側のみであるので、スライダー4は左右対称形とせず、一方の側のみ、当接面42及び傾斜摺動面48を設けるように形成してもかまわない。
摺動部本体40の下面に、上記スライドレール3のレール摺動面30と摺接する第1摺動面41が設けられる。図8(b)に示すように、摺動部本体40の上面が、扉本体2への取付面であり、上面の取付面の前部に、位置決め部49が上側に突設される。これにより、扉本体2の内側面奥部(両側)にスライダー4を取り付ける際、図6(b)に示すように、位置決め部49を扉本体2の奥部の角部に当接させ、固定孔47に固定ネジを差し込んで固定すれば、簡単にスライダー4を所定位置に取り付けることができる。固定孔47は摺動部本体40の中央部に、上下に貫通して設けられる。
さらに、摺動部本体40の正面側、つまり第1摺動面41と垂直な前面側に当接面42が設けられ、当接面42の中央位置つまり摺動部本体40の前面に、持上係止部43が突設される。持上係止部43は、平面視で長方形状に、側面視で略直角三角形状に、前方に突き出すように形成される。この持上係止部43は、扉本体2の閉鎖時、収納部9の上部から扉本体2を引き出したとき、図9に示すように、レール摺動面30上を摺動しながら当接部31の側方の進入空間39に進入し、持上係止部43の左側または右側の当接面42が当接部31の当接端部33に当たる構造である。
持上係止部43の上面には、傾斜した持上傾斜面45が設けられるとともに、持上傾斜面45の中間部に円弧状凹面44が設けられる。持上係止部43の持上傾斜面45には、図11に示すように、扉本体2の閉鎖時、その最終段階で、スライドレール3の曲り壁部34の持上端部35が当接して摺動し、最後に、持上端部35が円弧状凹面44から持上傾斜面45に移動するとき、持上係止部43が持上端部35から持上力を受け、スライダー4が扉本体2と共に持ち上げられるように構成される。
さらに、持上係止部43の先端部は上方に曲折してフック状に形成され、係止先端部46が先端に形成される。この係止先端部46は、扉本体2を閉じたとき、図11のように、スライダー4の持上係止部43の係止先端部46が、スライドレール3側の曲り壁部34の持上端部35に係止され、または係止可能となる。これにより、閉鎖時における扉本体2の外れを防止することができる。
上記構成のフラップ扉は、例えば、本棚、書庫等のキャビネット8の収納部9に取り付けて使用される。スライドレール3は、図2に示す如く、キャビネット8の収納部9内における、左右の内側壁部両側の上部に、そのレール摺動面30を上に向けて水平に配置し、前後両側の固定孔38に固定ネジを差し込んで、固定される。左右の内側壁部両側に固定されるスライドレール3は同一形状であるので、左右の別を確認することなく、容易に固定することができる。
スライダー4は、図1に示すように、扉本体2の内側後端部(奥部)の両側に、その持上係止部43を手前に向け、位置決め部49を扉本体2の後端部に当てて取り付けられる。その取付は、固定孔47に固定ネジを差し込み、扉本体2の内側後端部の定位置に固定して行う。扉本体2の内側面の左右両側に取り付けられるスライダー4は、同一形状であるので、左右の別を確認することなく、容易に固定することができる。
このように、1対のスライドレール3及び1対のスライダー4は、簡単に取り付けることができ、キャビネットを購入したユーザーが、自分でフラップ扉を取り付ける場合でも、簡単に取り付けることができる。
スライダー4を内側後端部(奥部)の両側に固定した扉本体2を、キャビネット8の収納部9に組み付ける場合、扉本体2の後端部を、収納部9内の上部位置に差し込むように挿入する。このとき、内側後端部両側のスライダー4が、スライドレール3のレール摺動面30上に乗るように、挿入する。
この操作により、扉本体2は、図2に示す如く、その両内側のスライダー4が、スライドレール3のレール摺動面30上に乗り、前後に摺動可能な状態となり、扉本体2の前部の内側面が、スライドレール3の当接部31の山形摺動面32に載置され、扉本体2は、奥部を少し傾け、前後に摺動可能な状態に保持されることとなる。
図2に示すように、扉本体2が収納部9内上部に差し込まれた状態が開放状態であり、この状態から、収納部9を扉本体2により閉鎖する場合、先ず、扉本体2を手前に引き出す。このとき、スライダー4の第1摺動面41が、スライドレール3のレール摺動面30上を摺動し、扉本体2の内側面両側が、両側のスライドレール3の当接部31の山形摺動面32上を摺動し、円滑に引き出すことができる。このとき、扉本体2の前部を少し持ち上げるようにして引き出してもよい。
次に、両側のスライダー4の当接面42が、図9に示す如く、扉本体2の引き出し端で、スライドレール3の当接部31の当接端部33に当接する。このとき、図10のように、扉本体2の前部を少し下方に押して下側に回動させる。扉本体2は、図10に示す如く、当接部31の曲り壁部34先端の持上端部35を支点に、そのスライダー4を上側に上げるように回動する。
このとき、スライダー4は、その当接面42から傾斜摺動面48を、当接部31の当接端部33に摺接させながら、回動する。そして、図10に示すように、扉本体2の内側面が、当接部31の第1傾斜面36に当接した状態となる。この状態で、扉本体2は、収納部9の開口部に対し約45度程度の傾斜角度となり、約半分まで閉じた状態となる。
そして、さらに扉本体2を下側に回動させると、図11に示すように、扉本体2の内側面が、当接部31の第1傾斜面36上を、下側に滑りながら回動し、当接部31の持上端部35が、スライダー4の持上係止部43の円弧状凹面44に当接した状態となる。
このように、扉本体2を下側に回動させて閉じるとき、従来のように軸ピンを中心に扉本体が回動するのではなく、スライダー4とスライドレール3の当接部31の作用により、扉本体2が下側に滑りながら回動するため、必要とする収納部9内上部空間、つまり扉本体2の回動高さ幅を小さくすることができる。
またこのとき、扉本体2の内側面は、図11上側に示す如く、曲り壁部34の第1傾斜面36と第2傾斜面37間の角部上のB点(図11のB点の紙面厚さ方向に延びる線上)に載置された状態となる。さらにこのとき、曲り壁部34は、扉本体2の内側面とスライダー4の持上係止部43の円弧状凹面44との間に挟まれ、且つ戸当たりもあって、扉本体2の状態は保持される。
そして、図11の上側から下側に示す如く、扉本体2を完全に閉じるように扉本体2を回動させると、扉本体2には、図12に示す如く、第1傾斜面36と第2傾斜面37間の角部上を支点Bとするモーメントが作用する。このとき、曲り壁部34は、扉本体2の内側面とスライダー4の持上係止部43の円弧状凹面44間に挟まれた状態となっており、曲り壁部34先端の持上端部35とスライダー4の持上係止部43の円弧状凹面44とは、当接点Dにおいて当接した状態となる。
このため、図12に示すように、扉本体2を閉じる方向に閉鎖力F0で押したとき、支点Bの回りのモーメントから、曲り壁部34先端の持上端部35(当接点D)は、スライダー4の持上係止部43の円弧状凹面44から押圧力F1を受ける。これにより、円弧状凹面44の当接点Dは、その反力として、持上端部35から、押圧力F1の垂直方向の分力である、押上力F3を受けることとなる。
このため、扉本体2が閉鎖側に回動されたとき、図11、図12に示すように、曲り壁部34先端の持上端部35が、円弧状凹面44からその下側の持上傾斜面45に摺接するように、持上係止部43の円弧状凹面44が上側に回動し、図11の上側から下側に示す如く、スライダー4の持上係止部43が持ち上げられる。これにより、スライダー4とともに扉本体2が上昇し、閉鎖時における扉本体2の上端部と収納部9の天板間の隙間C1は、図11下側に示すように最少状態となる。またこのとき、持上端部35の当接点が円弧状凹面44から持上傾斜面45に移行して角部を乗り越え、扉本体2は安定状態となる。
閉鎖状態は、図11下側に示す如く、持上端部35が持上傾斜面45に当接し、その状態で、扉本体2の自重による荷重が、持上傾斜面45の当接部分から持上端部35にかかる。このため、その当接部分の摩擦抵抗により、図11下側に示す扉本体2の閉鎖状態は、保持される。
このように、扉本体2を閉じる際、扉本体2が軸ピンなどの軸中心を軸に回動して閉じるのではなく、スライドレール3上を摺動する扉本体2のスライダー4が、スライドレール端の当接部31に当接した後、スライダー4の持上係止部43の円弧状凹面44及び持上傾斜面45とスライドレール3側の曲り壁部34の持上端部35との作用により、スライダー4が持ち上がるように回動して、フラップ扉が閉じられるため、閉鎖状態における扉本体2の上側の隙間を、最少とすることができる。
扉本体2が閉鎖されるとき、図11下側に示す状態となるが、このとき、スライダー4の持上係止部43の係止先端部46が、スライドレール3側の曲り壁部34の持上端部35に係止され、或いは係止可能な状態となっているので、不用意に扉本体2が外れることはない。
一方、閉鎖した状態の扉本体2を開く場合、扉本体2の下部を手前に引くように回動する。このとき、扉本体2は、その内側面の支点Bを中心に図11の時計方向に回動し、図11の上図に示す状態となる。
さらに、扉本体2が回動すると、図10の下図から上図に示すように、扉本体2の内側面の当接位置が、スライドレール3の当接部31の第1傾斜面36から持上端部35に移動し、スライダー4の傾斜摺動面48が当接部31の山形摺動面32の頂部に接触する状態となる。
そしてさらに、扉本体2が上側に回動すると、山形摺動面32上の接触部がスライダー4の傾斜摺動面48から扉本体2の内側面に、滑らかに移行する。このとき、扉本体2は、当接部31の山形摺動面32上に支持されながら、開方向に回動するため、スライダー4が回動に伴いスライドレール3上に強く当たることはなく、打音の発生などの不具合は防止される。そして、扉本体2は、当接部31の山形摺動面32上に支持されて略水平状態となり、その状態で、扉本体2を収納部9内上部に差し込めば、両側のスライダー4がスライドレール3上を摺動し、図2に示すような開放状態となる。
図13〜図23は、第2実施形態のフラップ扉を示している。このフラップ扉は、扉本体2に固定されるスライダー7及び収納部9の側壁に固定されるスライドレール6が、ともにより小形化され、且つ単純化された構造である。フラップ扉の扉本体2を閉じる際、上記と同様に、扉本体2側のスライダー7がスライドレール6の山形支持当接部61に当接した後、スライダー7の持上係止部73と曲り壁部64の作用により、スライダー7が持ち上がるように回動し、扉本体2が持ち上がり、その上側の隙間を最少とするようになっている。
左右1対のスライドレール6は、図13、図14に示すように、キャビネット8の収納部9内中央に、対称面を、前後方向を向けて垂直に配したとき、当該対称面とする面対称に形成される。左側スライドレールと右側スライドレールは、相互に面対称形状であるため、別部材として成形される。なお、図17には、右側のスライドレール6のみを記載し、左側のスライドレール6は、右側のスライドレール6の面対称形状となるため、その説明を省略する。
すなわち、スライドレール6は、図17に示すように、上面にレール摺動面60が及び内側面にレール側部摺動面63がレールの長手方向に沿って形成され、
長尺で細長い形状に形成される。スライドレール6の前側先端部にのみ、上記当接部として、山形形状の山形支持当接部61が、レール摺動面60から上方に突出して形成され、さらに、山形支持当接部61から内側(側方)に、曲り壁部64が突き出すように延設される。図17(c)に示すように、曲り壁部64は、山形支持当接部61の外形形状に沿って下部から立上がり、スライドレール6を正面または側面から見た場合、曲り壁部64の上部を、手前から背面側に傾斜して湾曲させた形状に形成されている。
図17に示すように、山形支持当接部61の上端には、山形摺動面62が形成され、扉本体2はその内側面を山形摺動面62上に摺接させ、扉本体2は前後に移動可能である。山形支持当接部61の曲り壁部64の外側は、傾斜面66となっており、図23に示すように、扉本体2を手前に引き出し下側に回動操作して、収納部9を閉じるとき、扉本体2の内側面が傾斜面66に当接するようになっている。また、曲り壁部64の先端に持上端部65が形成され、図23に示す如く、扉本体2を閉じる方向に回動操作したとき、持上端部65が、スライダー7の円弧状凹面74から持上傾斜面75に当り、スライダー7及び扉本体2に、持上力を発生させるようになっている。
さらに、スライドレール6には、図17に示す如く、水平横方向に固定ねじ用の固定孔68が貫通して設けられ、キャビネット8の内壁面の任意の位置に、スライドレール6を簡単に固定可能である。スライドレール6の固定面は図17(b)の正面に現れる面であり、当該固定面を収納部9の側壁に当て、固定孔68と固定ねじを用いて固定する。また、山形支持当接部61から内側に突設された曲り壁部64、つまり、山形支持当接部61の内側部には、スライダー7用の進入空間69が形成され、扉本体2の引き出し時、スライダー7先端の持上係止部73がレール側部摺動面63から進入空間39内に円滑に進入可能となっている。
これにより、図21に示す如く、扉本体2を閉じるために、収納部9内の上部位置から引き出すと、扉本体2は、その内側面が山形支持当接部61の山形摺動面62上を摺動し、前方に移動する。その後、スライダー7の持上係止部73が進入空間69内に進入するようになっている。
一方、スライダー7は、図18,19に示すように、本体となるスライド本体70が、直方体形状に形成され、スライド本体70の前部に、持上係止部73が前方を向けて突設される。スライド本体70の両側に、平坦な側部摺動面71が形成され、スライダー7を扉本体2の内側面に固定し、扉本体2を収納部9の上部内に挿入したとき、その平坦な側部摺動面71がスライドレール6のレール側部摺動面63に接触可能となる。これにより、図20に示すように、開いた扉本体2を引き出して閉じる際、スライダー7の側部摺動面71が、スライドレール6のレース側部摺動面63に摺接し、或いはレース側部摺動面63と間で少し隙間をあけて移動し、扉本体2を安定して引き出し或いは押し込み移動可能としている。
図18,19に示す如く、スライダー7の形状は、比較的単純な直方体形状であり、上記実施形態のものに比して、小形化し単純化することができ、キャビネット等の収納部のスペースを広く使用することができ、且つ製造コストを低減することができる。スライダー7の固定面78は、スライド本体70の上面に形成され、固定面78から底面にかけて固定孔77が形成され、固定ねじと固定孔77により、スライダー7は、扉本体2の後端部下面に、持上係止部73を前方に向けた固定される。
また、スライダー7の固定面78は平坦とされ、上記実施形態のスライダーに設けた位置決め部は削除し、固定面78から直角に下がる背面となっている。これにより、扉本体2の後端部(上端部)への固定位置を調整可能とし、扉本体2の閉鎖時に、扉本体2の上端とキャビネット内側面の間に生じる隙間を最少に調整することができる。
スライダー7は、図18,19に示すように、スライド本体70の前部に、持上係止部73が前方を向けて突設され、持上係止部73は、先端部にフック状の係止先端部76を、上向きに設けた形状に形成される。この持上係止部73の係止先端部76は、図22に示すように、扉本体2を引き出し下側に回動操作して閉じる際、スライドレール6の曲り壁部64の内側に係止され、扉本体2を安定して閉鎖状態(略鉛直に近い状態)に保持するようになっている。
さらに、図18,19に示すように、持上係止部73の係止先端部76から背面側にかけて、持上傾斜面75が徐々に上方に向かうように傾斜して形成され、持上傾斜面75の中間部に、円弧状凹面74が形成される。図23に示すように、扉本体2を閉じるように扉本体2を下側に回動操作したとき、この円弧状凹面74に、スライドレール6の曲り壁部64の上端の持上端部65が点Dで当接し、点Dには、スライダー7及び扉本体2を持ち上げる持上力F3が作用するようになっている。
上記構成のフラップ扉は、例えば、本棚、書庫等のキャビネット8の収納部9に取り付けて使用される。左右1対のスライドレール6は、図13,14に示す如く、各々、キャビネット8の収納部9内における、左右の内側壁部両側の上部に、そのレール摺動面60を上に向けて水平に配置し、前後両側の固定孔68に固定ねじを差し込んで、固定される。
スライドレール6の高さ位置は、図15に示すように、レールの上方に、十分な余地空間をもって扉本体2が挿入可能な空間をおいた位置に、スライドレール6は取り付けられる。さらに、収納部9の側壁の両側奥部に、ストッパ5が固定される。ストッパ5は、開放時に扉本体2を収納部9の上部に水平に引き戻したとき、扉本体2の後端部が当接する位置に、固定ねじで固定される。
ストッパ5は、スライドレール6に対して任意の適正な位置に固定することができるので、これにより、各種長さの扉本体2を、適正な開放位置(水平挿入位置)で止めることができ、仮に、扉本体2の長さや収納部9の奥行長が異なるキャビネット8であっても、適正な水平挿入位置で扉本体2を止めることができる。従って、このフラップ扉のスライドレール6は、例えば1種類の長さのものを製造するのみで、各種大きさのキャビネット8に使用することができる。
一方、扉本体2の後端部下面の両側に、スライダー7がその持上係止部73を手前に向けた状態で固定される。1対のスライダー7の間隔は、図14に示すように、1対のスライドレール6の内側に摺動可能に位置する距離間隔で固定する。このようなスライダー7は、その上面の固定面78を扉本体2の後端部下面に当て、固定孔77に固定ねじをねじ込み締付固定すればよい。このため、キャビネットなどの家具類の収納部に、後付けで、フラップ扉を、一般的なユーザーであっても、簡単に取り付けることができる。扉本体2の内側面の左右両側に取り付けられる1対のスライダー7は、同一形状であるので、左右の別を確認することなく、容易に固定することができる。
このように、1対のスライドレール6及び1対のスライダー7は、簡単に且つ後付けでも取り付けることができ、キャビネットを購入したユーザーが、自分でフラップ扉を取り付ける場合でも、簡単に取り付けることができる。
スライダー7を内側後端部(奥部)の両側に固定した扉本体2を、キャビネット8の収納部9に組み付ける場合、扉本体2の後端部を、収納部9内の上部空間位置に差し込むように挿入する。このとき、内側後端部両側のスライダー7が、両側のスライドレール6の側部摺動面71の内側に入り、扉本体2の両側の内側縁部がスライドレール6の山形支持当接部61上及びレール摺動面60の後部上に載置されるように挿入する。
この操作により、扉本体2は、図15に示す如く、その両側がスライドレール6の山形支持当接部61上及びレール摺動面60上に乗り、前後に摺動可能な状態となり、扉本体2が収納部9内に装着される。
図5に示すように、扉本体2が収納部9内上部に差し込まれた状態が開放状態であり、この状態から、収納部9を扉本体2により閉鎖する場合、先ず、扉本体2を手前に引き出す。このとき、図20に示すように、両側のスライダー7の側部摺動面71が、両側のスライドレール6のレール側部摺動面63とレール側部摺動面63間を摺動し、図21のように、扉本体2の両側縁部の内側面が、両側のスライドレール3の山形支持当接部61上とレール摺動面60上を摺動し、円滑に引き出すことができる。このとき、扉本体2の前部を少し持ち上げるようにして引き出してもよい。
次に、両側のスライダー7の持上係止部73が、図22に示す如く、扉本体2の引き出し端で、スライドレール6の山形支持当接部61に当接する。このとき、図22のように、扉本体2の前部を少し下方に押して下側に回動させる。扉本体2は、図22に示す如く、スライドレール6の持上係止部73の係止先端部76を支点に、そのスライダー7を上側に上げるように回動する。
このとき、スライダー7は、その持上傾斜面75を、レールの持上端部65に摺接させながら、回動する。そして、図22に示すように、扉本体2の内側面が、スライドレール6の曲り壁部64の傾斜面66に当接した状態となる。この状態で、扉本体2は、収納部9の開口部に対し約45度程度の傾斜角度となり、約半分まで閉じた状態となる。
そして、さらに扉本体2を下側に回動させると、図22に示すように、扉本体2の内側面が、曲り壁部64の傾斜面66に当接し下側に滑りながら回動し、図23に示すように、曲り壁部64の持上端部65が、スライダー7の持上係止部73の円弧状凹面74に当接した状態となる。
このように、扉本体2を下側に回動させて閉じるとき、従来のように軸ピンを中心に扉本体が回動するのではなく、スライダー7とスライドレール6の当接作用により、扉本体2が下側に滑りながら回動するため、必要とする収納部9内上部空間、つまり扉本体2の回動高さ幅を小さくすることができる。
またこのとき、扉本体2の内側面は、図23に示す如く、曲り壁部64の傾斜面66上のB点(図23のB点の紙面厚さ方向に延びる線上)に載置された状態となる。さらにこのとき、曲り壁部64は、扉本体2の内側面とスライダー7の持上係止部73の円弧状凹面74との間に挟まれ、且つ戸当たりもあって、扉本体2の状態は保持される。
そして、図22の上側から下側に示す如く、扉本体2を完全に閉じるように扉本体2を回動させると、扉本体2には、図23に示す如く、曲り壁部64の傾斜面66上の支点Bとするモーメントが作用する。このとき、曲り壁部64は、扉本体2の内側面とスライダー7の持上係止部73の円弧状凹面74間に挟まれた状態となっており、曲り壁部64先端の持上端部65とスライダー7の持上係止部73の円弧状凹面74とは、当接点Dにおいて当接した状態となる。
このため、図23に示すように、扉本体2を閉じる方向に閉鎖力F0で押したとき、支点Bの回りのモーメントから、曲り壁部64先端の持上端部65(当接点D)は、スライダー7の持上係止部73の円弧状凹面74から押圧力F1を受ける。これにより、円弧状凹面74の当接点Dは、その反力として、持上端部65から、押圧力(持上力)F1の垂直方向の分力である、押上力F3を受けることとなる。
このため、扉本体2が閉鎖側に回動されたとき、図23に示すように、曲り壁部64先端の持上端部65が、円弧状凹面74からその下側の持上傾斜面75に摺接するように、持上係止部73の円弧状凹面74が上側に回動し、図22の上側から下側に示す如く、スライダー7の持上係止部73が持ち上げられる。これにより、スライダー7とともに扉本体2が上昇し、閉鎖時における扉本体2の上端部と収納部9の天板間の隙間C1は、図22下側に示すように最少状態となる。またこのとき、持上端部65の当接点が円弧状凹面74から持上傾斜面75に移行して角部を乗り越え、扉本体2は安定状態となる。
閉鎖状態は、図22下側に示す如く、持上端部65が持上傾斜面75に当接し、その状態で、扉本体2の自重による荷重が、持上傾斜面75の当接部分から持上端部65にかかる。このため、その当接部分の摩擦抵抗により、図22下側に示す扉本体2の閉鎖状態は、保持される。
なお、図22下側に示す図は、扉本体2を、キャビネット前面のブックスタンドとして使用可能なように、扉本体2の下部を少し手前に出した状態で閉鎖状態としているが、扉本体2をキャビネット8の収納用開口部に合せて、90°の鉛直姿勢で閉鎖することも可能である。その場合、両側のスライドレール6に位置を少し手前に取り付け、扉本体2の下端部を収納部9内に進入させ、キャッチで止めるようにすればよい。
このように、扉本体2を閉じる際、扉本体2が軸ピンなどの軸中心を軸に回動して閉じるのではなく、スライドレール6上を摺動する扉本体2のスライダー7が、スライドレール端に達した後、スライダー7の持上係止部73の円弧状凹面74及び持上傾斜面75とスライドレール6側の曲り壁部64の持上端部65との作用により、スライダー7が持ち上がるように回動して、フラップ扉が閉じられるため、閉鎖状態における扉本体2の上側の隙間C1を、最少とすることができる。
また、扉本体2の後端部(上端部)に固定するスライダー7の位置は、扉本体2の後端部(上端部)より少し内側に入った位置にするなどして、調整することによっても、閉鎖状態における扉本体2の上側の隙間C1を、最少とすることができる。
扉本体2が閉鎖されたとき、図22下側に示す状態となるが、このとき、スライダー7の持上係止部73の係止先端部76が、スライドレール6側の曲り壁部64の持上端部65に係止され、或いは係止可能な状態となっているので、不用意に扉本体2が外れることはない。
一方、閉鎖した状態の扉本体2を開く場合、扉本体2の下部を手前に引くように、上側に回動させる。このとき、扉本体2は、その内側面の支点Bを中心に図23の反時計方向に回動し、図22上図に示す状態となる。
さらに、扉本体2が回動すると、図21の下図から上図に示すように、扉本体2の内側面の当接位置が、スライドレール6の傾斜面66から持上端部65に移動し、スライダー7の持上傾斜面75が曲り壁部64から離れる。
そしてさらに、扉本体2を上側に回動させながら、扉本体2の後部を収納部9内上部に差し込むと、両側のスライダー7の側部摺動面71が両側のスライドレール6のレール側部摺動面63間で摺動し、扉本体2の両側縁部内側面がスライドレール6の持上端部65上及びレール摺動面60上で、後方に摺動し、図20の上図に示すような開放状態となる。
なお、扉本体2をキャビネット8から外す場合、図15に示す状態において、扉本体2全体をそのまま少し上に持ち上げ、手前に引き出せば、スライダー7がスライドレール6の山形支持当接部61を、手前に簡単に乗り越えて引き出せるので、扉本体2をキャビネット8から容易に外すことができる。