JP6960788B2 - ウエーハの加工方法 - Google Patents

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Description

本発明は、ウエーハにゲッタリング層を形成するウエーハの加工方法に関する。
半導体デバイス製造工程においては、複数のデバイスが形成された半導体ウエーハをストリートに沿って分割することにより、半導体デバイスを形成する。半導体デバイスの小型化及び軽量化を図るために、半導体ウエーハを分割する前に、半導体ウエーハの裏面を研削している。このように半導体ウエーハを研削すると、半導体ウエーハの裏面にマイクロクラックからなる1μm程度の研削歪層が生成される。半導体ウエーハの厚みが100μm以下に薄くなると、この研削歪層により半導体デバイスの抗折強度が低下するという問題がある。
このような問題を解消するために、半導体ウエーハを所定の厚みに研削した後、半導体ウエーハの裏面にポリッシング加工、ウエットエッチング加工、ドライエッチング加工等を施し、半導体ウエーハの裏面に生成された研削歪層を除去し、半導体デバイスの抗折強度の低下を防いでいる。
一方で、DRAMやフラッシュメモリ等のようにメモリ機能を有する半導体デバイスが複数形成された半導体ウエーハにおいては、研削歪層を除去すると、メモリ機能が低下するという問題がある。これは、半導体ウエーハ裏面の研削歪層が除去されるとゲッタリング効果が消失して、半導体ウエーハの内部に含有した銅等の金属イオンがデバイスの形成された表面側に浮遊することで電流リークが発生するためと考えられる。
このような問題を解消するために、半導体ウエーハの裏面に0.2μm以下の厚さのマイクロクラックからなるゲッタリング層を形成するための研磨パッドが提案されている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1の研磨パッドは、シリコンと固相反応を誘発する固相反応微粒子(研磨用砥粒)と、シリコンよりモース硬度が高いゲッタリング用微粒子(ゲッタリング用砥粒)とを混入した液状結合剤を不織布に含浸させて構成されている。
この研磨パッドを用いるウエーハの加工方法では、半導体ウエーハを所定の厚みに研削した後、アルカリ溶液を供給しつつ、研磨パッドで半導体ウエーハの裏面を研磨する。これにより、固相反応微粒子が働いて、半導体ウエーハの裏面に残存した研削砥石による研削歪層を除去できる。その後、純水を供給しつつ、研磨パッドで半導体ウエーハの裏面を研磨する。これにより、ゲッタリング用微粒子が働いて、抗折強度を低下させない僅かな傷を半導体ウエーハの裏面に形成し、ゲッタリング層を形成することができる。
特開2015−46550号公報
しかしながら、上記の加工方法では、研磨パッドは可撓性を有するため、ゲッタリング層を形成する際に、研磨パッドの表面でゲッタリング用微粒子が沈み込み、研磨パッドがウエーハに全体的に接触してゲッタリング用微粒子がうまく働かない場合があった。このため、ゲッタリング層の形成に時間がかかってしまう問題があった。
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、ゲッタリング層形成工程におけるウエーハの加工時間を短縮することができるウエーハの加工方法を提供することを目的の一つとする。
本発明の一態様のウエーハの加工方法は、シリコン基板の表面にデバイスが形成されたウエーハの裏面に金属イオンの誘導を規制するゲッタリング層を形成するウエーハの加工方法であって、ウエーハの表面に保護部材を貼着し、チャックテーブルの保持面に保護部材側を保持するウエーハ保持工程と、シリコンと固相反応を誘発する固相反応微粒子と、シリコンよりモース硬度が高くゲッタリング層を形成するゲッタリング用微粒子とを液状結合剤に混入して不織布に含浸させ乾燥してなる研磨パッドを回転するとともに、チャックテーブルを回転させながら研磨パッドにpH10以上12以下のアルカリ溶液を供給しつつ、ウエーハの裏面を研磨してウエーハの裏面の歪層を除去する歪層除去工程と、歪層除去工程を実施した後に、アルカリ溶液の供給を停止して研磨パッドに常温よりも低い水温の純水を供給しつつ研磨パッドを回転するとともにチャックテーブルを回転させながら、不織布の硬度が増した研磨パッドによって歪層除去工程の研磨圧力よりも小さい研磨圧力でウエーハの裏面を研磨することにより裏面に傷を付けてゲッタリング層を形成するゲッタリング層形成工程と、を含む。
この構成によれば、歪層除去工程においては、固相反応微粒子が働いてウエーハの裏面を研磨できるとともに、ゲッタリング層形成工程においては、ゲッタリング用微粒子が働いてウエーハにゲッタリング層を形成できる。特に、ゲッタリング層形成工程において、常温よりも低い水温の純水を研磨パッドに供給することで、研磨パッドが冷却され、研磨パッドの表面付近が硬くなる。これにより、研磨パッドがウエーハに押圧される際に、研磨パッドの表面から突出するゲッタリング用微粒子の沈み込みが抑制される。よって、ゲッタリング用微粒子がウエーハWに効果的に接触してウエーハに傷が付き易くなり、ゲッタリング層形成工程におけるウエーハの加工時間を短縮することができる。
本発明によれば、ゲッタリング層形成工程におけるウエーハの加工時間を短縮することができる。
本実施の形態に係る研磨装置の斜視図である。 本実施の形態に係る研磨手段の模式図である。 本実施の形態に係る研磨パッドの貯蔵弾性率と純水の温度との関係を示す図である。 本実施の形態に係るウエーハ保持工程を示す図である。 本実施の形態に係る歪層除去工程を示す図である。 本実施の形態に係るゲッタリング層形成工程を示す図である。
以下、添付図面を参照して、研磨装置について説明する。図1は、本実施の形態に係る研磨装置の斜視図である。なお、本実施の形態に係る研磨装置は、図1に示すような研磨専用の装置に限定されず、例えば、研削、研磨、洗浄等の一連の加工が全自動で実施されるフルオートタイプの加工装置に組み込まれてもよい。
図1に示すように、研磨装置1は、後述する研磨パッド47を用いて、化学機械研磨(CMP: Chemical Mechanical Polishing)によってウエーハWを研磨するように構成されている。ウエーハWはシリコンウエーハからなり、表面W1に複数のストリートが格子状に形成され、ストリートによって区画された領域にIC、LSI等のデバイス(不図示)が形成されている。ウエーハWの裏面W2を研削して所定の厚み(例えば100μm)にする際し、ウエーハWの表面W1に形成されるデバイスを保護するために、ウエーハWの表面W1には保護部材としての保護テープTが貼着されている。ウエーハWは、被加工面である裏面W2を上側にして後述するチャックテーブル21に保持される。
研磨装置1の基台11の上面には、Y軸方向に延在する矩形状の開口が形成され、この開口はチャックテーブル21とともに移動可能なテーブルカバー12及び蛇腹状の防水カバー13に覆われている。防水カバー13の下方には、チャックテーブル21をY軸方向に移動させる移動手段24と、チャックテーブル21を連続回転させる回転手段22とが設けられている。チャックテーブル21の表面には、多孔質のポーラス材によって保護テープTを介してウエーハWを保持する保持面23が形成されている。保持面23は、チャックテーブル21内の流路を通じて吸引源(不図示)に接続されている。
移動手段24は、基台11上に配置されたY軸方向に平行な一対のガイドレール51と、一対のガイドレール51にスライド可能に設置されたモータ駆動のY軸テーブル52とを有している。Y軸テーブル52の背面側には、ナット部(不図示)が形成され、このナット部にボールネジ53が螺合されている。そして、ボールネジ53の一端部に連結された駆動モータ54が回転駆動されることで、チャックテーブル21が一対のガイドレール51に沿ってY軸方向に動かされる。回転手段22は、Y軸テーブル52上に設けられており、チャックテーブル21をZ軸回りに回転可能に支持している。
基台11にはコラム14が設置されており、コラム14には、研磨手段41をZ軸方向に加工送りする加工送り手段31が設けられている。加工送り手段31は、コラム14に配置されたZ軸方向に平行な一対のガイドレール32と、一対のガイドレール32にスライド可能に設置されたモータ駆動のZ軸テーブル33とを有している。Z軸テーブル33の背面側にはナット部(不図示)が形成され、このナット部にボールネジ34が螺合されている。ボールネジ34の一端部に連結された駆動モータ35によりボールネジ34が回転駆動されることで、研磨手段41がガイドレール32に沿って加工送りされる。
研磨手段41は、ハウジング42を介してZ軸テーブル33の前面に取り付けられており、スピンドルユニット43の下部に研磨パッド47を設けて構成されている。スピンドルユニット43にはフランジ45が設けられ、フランジ45を介してハウジング42に研磨手段41が支持される。スピンドルユニット43の下部にはマウント44が取り付けられ、マウント44には支持基台46と研磨パッド47から構成される研磨工具48が装着される。研磨手段41には、研磨用アルカリ溶液の配管、及び純水の配管が接続されている。バルブ65が開かれると、研磨手段41にアルカリ溶液が研磨液として供給され、バルブ66が開かれると、研磨手段41に純水が供給される。
研磨装置1には、装置各部を統括制御する制御部70が設けられている。制御部70は、バルブ65、66を制御する。制御部70は、各種処理を実行するプロセッサやメモリ等により構成される。メモリは、用途に応じてROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等の一つ又は複数の記憶媒体で構成される。このように構成された研磨装置1では、研磨パッド47がZ軸回りに回転されながらチャックテーブル21に保持されるウエーハWに接近される。そして、研磨パッド47がウエーハWの裏面W2に回転接触することでウエーハWが研磨される。
ここで、シリコンと固相反応を誘発する固相反応微粒子と、シリコンよりモース硬度が高いゲッタリング用微粒子とを含んだ研磨パッドを用いて、ウエーハの裏面にゲッタリング層を形成するウエーハの加工方法が知られている。この加工方法では、ウエーハを所定の厚みに研削した後、アルカリ溶液を供給しながらウエーハの裏面を研磨することにより、固相反応微粒子が働いて、ウエーハの裏面から研削歪層を除去できる。その後、純水を供給しながらウエーハの裏面を研磨することにより、ゲッタリング用微粒子が働いて、ウエーハにゲッタリング層を形成することができる。
しかしながら、研磨パッドは可撓性を有するため、研磨パッドがウエーハに押圧される際に、研磨パッドの表面に突出するゲッタリング用微粒子が研磨パッドに埋まって、ゲッタリング用微粒子がうまく働かない場合があった。このため、ウエーハの裏面にうまく傷が付かず、ゲッタリング層の形成に時間がかかる問題があった。そこで本実施の形態においては、ゲッタリング層の形成時に常温よりも低い水温の純水を研磨パッドに供給することで、研磨パッドを冷却し、研磨パッドの表面付近を硬くしている。これにより、研磨パッドの表面に突出するゲッタリング用微粒子の沈み込みを抑制している。
まず、図2を参照して、研磨パッド47の構成、並びにアルカリ溶液及び純水の供給系統について詳細に説明する。図2は、本実施の形態に係る研磨手段の模式図である。図3は、本実施の形態に係る研磨パッドの貯蔵弾性率と純水の温度との関係を示す図である。図3において、縦軸は研磨パッド47の貯蔵弾性率、横軸は純水の温度を示しており、測定周波数が2[Hz]における貯蔵弾性率を示している。
図2に示すように、研磨パッド47は、円環状の支持基台46に貼着され研磨工具48を構成する。支持基台46はアルミ合金等によって形成されており、中央部分には研磨液が通る穴46aが開口されている。研磨パッド47は円環状に形成され、研磨パッド47の中央部分には、支持基台46に形成される穴46aに連通する穴47cが開口されている。
研磨パッド47は、シリコンと固相反応を誘発する固相反応微粒子81、及びシリコンよりモース硬度が高いゲッタリング用微粒子82が液状結合材に投入され、この液状結合材を含浸させた不織布が乾燥されて形成されている。研磨パッド47の表面からは、固相反応微粒子81及びゲッタリング用微粒子82が突出している。固相反応微粒子81としては、SiO、CeO、ZrO等が用いられ、固相反応微粒子81の粒径は、例えば2μm以上であることが好ましい。ゲッタリング用微粒子82はモース硬度が9以上であることが好ましく、ゲッタリング用微粒子82としては、ダイヤモンド、GC(Green Carbide)等のSiC、Al、WC、TiN、TaC、ZrC、AlB、BC等が用いられる。ゲッタリング用微粒子82の粒径は、例えば1μm以下であることが好ましい。
また、液状結合剤としては、例えばウレタンを溶媒で溶解した液体が用いられ、溶媒としては、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、アセトン、酢酸エチル等が用いられる。研磨パッド47には、固相反応微粒子81及びゲッタリング用微粒子82が、夫々2種類以上含まれていてもよい。
このように構成される研磨工具48は、スピンドルユニット43の下端に取り付けられているマウント44の下面に装着される。この際、スピンドルユニット43の中心に形成される流路43aが、支持基台46及び研磨パッド47に形成される穴46a、47cに連通する。
スピンドルユニット43の流路43aには、バルブ65、66を介してそれぞれ研磨用アルカリ溶液供給源61、低温純水供給源62が接続されている。研磨用アルカリ溶液供給源61のアルカリ溶液又は低温純水供給源62の低温の純水は、流路43a及び穴46a、47cを通って研磨パッド47に供給される。
研磨用アルカリ溶液供給源61には、アルカリ溶液が収容されている。研磨用アルカリ溶液供給源61におけるアルカリ溶液は、pH10以上pH12以下であることが好ましい。pH10以上pH12以下のアルカリ溶液としては、TMAH(水酸化テトラメチルアンモニウム)、ピペラジン、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム等が用いられる。
低温純水供給源62には、低温の純水が収容されている。低温純水供給源62の低温の純水は、工場内の配管から供給される純水が冷却設備を介して供給されてもよい。
歪層除去工程においてウエーハWから研削歪層を除去する際は、バルブ65が開かれて、アルカリ溶液が研磨用アルカリ溶液供給源61から流路43aに供給される。流路43aに供給されたアルカリ溶液は研磨パッド47の研磨面に広がる。これにより、研磨パッド47に含まれる固相反応微粒子81が働いて、ウエーハWを研磨できる。
ゲッタリング層形成工程においてウエーハWにゲッタリング層を形成する際には、バルブ66が開かれて、低温の純水が低温純水供給源62から流路43aに供給される。
ここで、図3に示すように、研磨パッド47の貯蔵弾性率は、純水の温度の低下とともに上昇する。純水の温度を20℃付近の常温よりも低くすると、研磨パッドが冷却されて硬くなり、研磨パッド47がウエーハWに押圧される際に、研磨パッド47の表面から突出するゲッタリング用微粒子82の沈み込みを抑制できる。これにより、ウエーハWにゲッタリング用微粒子82を効果的に接触させることができる。
このため、ゲッタリング層形成工程において、低温純水供給源62から研磨パッド47に供給される純水の水温としては、研磨パッド47の表面から突出するゲッタリング用微粒子82の沈み込みを抑制する観点から、常温よりも低い温度であることが好ましく、10℃以下であることがより好ましい。これにより、研磨パッド47の表面から突出するゲッタリング用微粒子82が研磨パッド47によって保持され、ゲッタリング用微粒子82を効果的に働かせることができるため、ウエーハWにゲッタリング層を良好に形成できる。
以下、図4から図6を参照して、本実施の形態に係るウエーハWの加工方法について説明する。ウエーハWの加工方法は、チャックテーブル21にウエーハWを保持するウエーハ保持工程と、アルカリ溶液を供給しながら研磨パッド47でウエーハWの裏面W2を研磨して切削歪層を除去する歪層除去工程と、低温の純水を供給しながら研磨パッド47でウエーハWの裏面W2に傷を形成するゲッタリング層形成工程とを含んでいる。図4は本実施の形態に係るウエーハ保持工程、図5は本実施の形態に係る歪層除去工程、図6は本実施の形態に係るゲッタリング層形成工程を示す図である。
図4に示すように、まずウエーハ保持工程が実施される。所定の厚みに研削加工されたウエーハWは、保護テープTが貼着される表面W1を下側に、裏面W2を上側にしてチャックテーブル21に搬入され、ウエーハWは保護テープTを介してチャックテーブル21の保持面23に保持される。
図5に示すように、ウエーハ保持工程の後には、歪層除去工程が実施される。移動手段24(図1参照)によりチャックテーブル21が研磨手段41の下方に移動され、チャックテーブル21の回転軸と研磨パッド47の回転軸とがずれるように位置付けられる。
チャックテーブル21がZ軸回りに回転されるとともに、研磨パッド47もZ軸回りにチャックテーブル21と同一方向に回転される。そして、加工送り手段31(図1参照)により例えば300g/cmの研磨圧力で研磨パッド47がウエーハWの裏面W2に向けて加工送りされ、研磨パッド47の研磨面がウエーハWの裏面W2全体に回転接触されウエーハWが研磨される。研磨パッド47は、ウエーハWに全体的に接触している。
このとき、バルブ66が閉じられ、バルブ65が開かれて研磨用アルカリ溶液供給源61からスピンドルユニット43内の流路43aにアルカリ溶液が供給される。支持基台46に形成される穴46aを介して研磨パッド47に形成される穴47cに、例えば1分間に0.5リットルの割合でアルカリ溶液が供給される。アルカリ溶液は研磨パッド47の穴47cから研磨面に広がる。なお、研磨レートは例えば0.72μm/分に設定され、研磨時間は例えば2分間に設定される。
このようにして歪層除去工程を実施することにより、研磨パッド47に含まれる固相反応微粒子81が強く働いて、ウエーハWの裏面W2が所定量研磨されるとともに、アルカリ溶液によりエッチングされるため、研削加工でウエーハWの裏面W2に生成された研削歪層が除去される。
図6に示すように、歪層除去工程の後には、ゲッタリング層形成工程が実施される。図6Aに示すように、チャックテーブル21がZ軸回りに回転されるとともに、研磨パッド47もZ軸回りにチャックテーブル21と同一方向に回転される。そして、加工送り手段31(図1参照)により、例えば50g/cmの研磨圧力で研磨パッド47がウエーハWの裏面W2に向けて加工送りされ、研磨パッド47の研磨面がウエーハWに回転接触されてウエーハWが研磨される。
このとき、バルブ65が閉じられて流路43aへの常温の純水の供給が停止され、バルブ66が開かれて低温純水供給源62からの低温の純水の供給に切り替えられる。これにより、支持基台46に形成される穴46aを介して研磨パッド47に形成される穴47cに、例えば1分間に1.0リットルの割合で低温の純水が供給され、純水は穴47cから研磨面に広がる。
図6Bに示すように、研磨パッド47に低温の純水が供給されながら研磨パッド47がウエーハWに回転接触されている状態で、移動手段24(図1参照)により矢印Nの方向にチャックテーブル21が移動される。すなわち、ウエーハWの裏面W2が摺動されながら、チャックテーブル21の回転軸と研磨パッド47の回転軸とがY軸方向に離れるように移動される。チャックテーブル21の矢印Nで示す方向への移動は、例えば移動速度0.67mm/秒で1分間実施され、チャックテーブル21は約40mm移動される。これにより、ウエーハWの裏面W2には僅かな傷が付けられる。
低温純水供給源62から研磨パッド47に供給される低温の純水の温度としては、常温よりも低い温度であることが好ましく、10℃以下であることがより好ましい。これにより、研磨パッド47の貯蔵弾性率が上昇して研磨パッド47の硬度が増すため、研磨パッド47がウエーハWに押圧される際に、研磨パッド47の表面から突出するゲッタリング用微粒子82の沈み込みが抑制される。ゲッタリング用微粒子82が研磨パッド47によって保持され、研磨パッド47の表面からゲッタリング用微粒子82が突出した状態でウエーハWにゲッタリング用微粒子82を効果的に接触させることができるため、ウエーハWに傷が付き易くなり、ウエーハWにゲッタリング層を効率的に形成できる。
また、ゲッタリング層形成工程の研磨圧力を、歪層除去工程の研磨圧力よりも小さくすることにより、図5に示すよりも研磨パッド47がウエーハWに弱く押圧されるため、研磨パッド47の表面からゲッタリング用微粒子82を効果的に突出させた状態でウエーハWを研磨することができる。また、研磨パッド47がウエーハWに全体的に接触されることを抑えられるため、研磨パッド47に低温の純水が供給された際に、研磨パッド47の表面に純水が行き渡り易くなる。これにより、研磨パッド47の表面付近が効果的に冷却されて硬度が増し、研磨パッド47の表面から突出するゲッタリング用微粒子82が研磨パッド47に効果的に保持される。
このようにしてゲッタリング層形成工程を実施することにより、研磨パッド47に含まれるゲッタリング用微粒子82が強く働いて、ウエーハWの裏面W2にゲッタリング層を形成することができる。
以上のように、本実施の形態に係るウエーハWの加工方法は、歪層除去工程においては、固相反応微粒子81が働いてウエーハWの裏面W2を研磨できるとともに、ゲッタリング層形成工程においては、ゲッタリング用微粒子82が働いてウエーハWにゲッタリング層を形成できる。特に、ゲッタリング層形成工程において、常温よりも低い水温の純水を研磨パッド47に供給することで、研磨パッド47が冷却され、研磨パッド47の表面付近が硬くなる。これにより、研磨パッド47がウエーハWに押圧される際に、研磨パッド47の表面から突出するゲッタリング用微粒子82の沈み込みが抑制される。よって、ゲッタリング用微粒子82がウエーハWに効果的に接触してウエーハWに傷が付き易くなり、ゲッタリング層形成工程におけるウエーハWの加工時間を短縮することができる。
上記実施の形態においては、ゲッタリング層形成工程において、移動手段24によりチャックテーブル21がY軸方向に移動されることで(図1及び図6B参照)、ウエーハWの裏面W2にゲッタリング層が形成される構成としたが、これに限定されない。ウエーハWの裏面W2が摺動されながらチャックテーブル21の回転軸と研磨パッド47の回転軸とが離れるように移動されれば、研磨パッド47がチャックテーブル21に対して移動される構成としてもよい。
また、上記実施の形態においては、ウエーハWとして半導体デバイスウエーハが用いられる構成としたが、例えば、半導体基板、酸化物ウエーハが用いられてもよい。
また、上記実施の形態においては、ウエーハWの表面W1には保護テープTが貼着される構成としたが、ウエーハWの表面W1にはサブストレートが接着される構成としてもよい。
また、本実施の形態では、加工装置としてウエーハを研磨する研磨装置を例示して説明したが、この構成に限定されない。本発明は、弾性率が温度により変化する加工具を用いてウエーハWを加工する他の加工装置に適用可能である。例えば、研磨装置及びこれを組み合わせたクラスター装置等に適用されてもよい。
また、本発明の各実施の形態を説明したが、本発明の他の実施の形態として、上記各実施の形態を全体的又は部分的に組み合わせたものでもよい。
また、本発明の実施の形態は上記の各実施の形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想の趣旨を逸脱しない範囲において様々に変更、置換、変形されてもよい。さらには、技術の進歩又は派生する別技術によって、本発明の技術的思想を別の仕方で実現することができれば、その方法を用いて実施されてもよい。したがって、特許請求の範囲は、本発明の技術的思想の範囲内に含まれ得る全ての実施態様をカバーしている。
本実施の形態では、本発明をウエーハを研磨加工する研磨装置に適用した構成について説明したが、弾性率が温度により変化する加工具に含まれる粒子を用いてウエーハWを加工する加工装置に適用することも可能である。
以上説明したように、本発明は、ゲッタリング層形成工程におけるウエーハの加工時間を短縮することができるという効果を有し、特にウエーハを研磨加工する研磨装置に有用である。
1 研磨装置
21 チャックテーブル
23 保持面
46 支持基台
47 研磨パッド
48 研磨工具
61 研磨用アルカリ溶液供給源
62 低温純水供給源
65、66 バルブ
81 固相反応微粒子
82 ゲッタリング用微粒子
T 保護テープ(保護部材)
W ウエーハ
W1 (ウエーハの)表面
W2 (ウエーハの)裏面

Claims (1)

  1. シリコン基板の表面にデバイスが形成されたウエーハの裏面に金属イオンの誘導を規制するゲッタリング層を形成するウエーハの加工方法であって、
    ウエーハの表面に保護部材を貼着し、チャックテーブルの保持面に該保護部材側を保持するウエーハ保持工程と、
    シリコンと固相反応を誘発する固相反応微粒子と、シリコンよりモース硬度が高くゲッタリング層を形成するゲッタリング用微粒子とを液状結合剤に混入して不織布に含浸させ乾燥してなる研磨パッドを回転するとともに、該チャックテーブルを回転させながら該研磨パッドにpH10以上12以下のアルカリ溶液を供給しつつ、ウエーハの裏面を研磨してウエーハの裏面の歪層を除去する歪層除去工程と、
    該歪層除去工程を実施した後に、該アルカリ溶液の供給を停止して該研磨パッドに常温よりも低い水温の純水を供給しつつ該研磨パッドを回転するとともに該チャックテーブルを回転させながら、該不織布の硬度が増した該研磨パッドによって該歪層除去工程の研磨圧力よりも小さい研磨圧力でウエーハの裏面を研磨することにより裏面に傷を付けてゲッタリング層を形成するゲッタリング層形成工程と、を含むことを特徴とするウエーハの加工方法。
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