JP6960742B2 - ビールテイスト飲料およびその製造方法 - Google Patents
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Description
[1]
カルボン酸エステル、アルデヒドおよびペンチルアルコールからなる群より選ばれる1以上の香気成分とテルペノイドとを含み、原材料にホップを用いないビールテイスト飲料。
[2]
カルボン酸エステル、アルデヒドおよびペンチルアルコールからなる群より選ばれる1以上の香気成分とテルペノイドとを含み、イソα酸を含まないビールテイスト飲料。
[3]
前記テルペノイドが、炭素数が40未満の化合物である、[1]または[2]に記載のビールテイスト飲料。
[4]
前記テルペノイドが、ガノデリン酸、d−カルボン、ロスマノール、カルノソールおよびカルノシン酸からなる群より選ばれる1以上を含む、[1]〜[3]のいずれかに記載のビールテイスト飲料。
[5]
前記カルボン酸エステルが酢酸イソアミルおよび酢酸エチルからなる群から選ばれる1以上であり、前記アルデヒドがアセトアルデヒドであり、前記ペンチルアルコールがイソアミルアルコールである、[1]〜[4]のいずれかに記載のビールテイスト飲料。
[6]
酢酸イソアミル0.6質量ppm以上、酢酸エチル10質量ppm以上、アセトアルデヒド1質量ppm以上またはイソアミルアルコール65質量ppm以上含む、[5]に記載のビールテイスト飲料。
[7]
原材料にテルペノイドを用い、
カルボン酸エステル、アルデヒドおよびペンチルアルコールからなる群より選ばれる1以上の香気成分を添加する工程を含む、[1]〜[6]のいずれかに記載のビールテイスト飲料の製造方法。
本明細書において、「カルボン酸エステル、アルデヒドおよびペンチルアルコールからなる群より選ばれる1以上の香気成分」を「本発明の香気成分」ともいう。
本発明のビールテイスト飲料は、カルボン酸エステル、アルデヒドおよびペンチルアルコールからなる群より選ばれる1以上の香気成分とテルペノイドとを含むが、原材料にホップを用いないビールテイスト飲料である。また、本発明のビールテイスト飲料は、カルボン酸エステル、アルデヒドおよびペンチルアルコールからなる群より選ばれる1以上の香気成分とテルペノイドとを含み、イソα酸を含まないビールテイスト飲料である。これらのビールテイスト飲料は、本発明の香気成分を用いることによって、テルペノイド等に由来する不快な香りが効果的にマスキングされる。
本発明のビールテイスト飲料の主な原材料は水、穀物、糖類、水溶性食物繊維および各種添加物等であり、ホップは用いられない。
「ホップ」とは、ビールなどの製造に使用される通常のペレットホップ、ベールホップ、ホップエキス、ホップ加工品(イソ化ホップ、ヘキサホップ、テトラホップ)などをいう。
本発明のビールテイスト飲料は、ホップに由来しないテルペノイドを含む。本発明のビールテイスト飲料において、テルペノイドはビールテイスト飲料の苦みを強化するため、または、ビールテイスト飲料の製造に一般的に用いられるホップの代替物として用いることができる。
本発明のビールテイスト飲料に含まれるテルペノイドはホップに由来しないテルペノイドであり、ガノデリン酸、ロスマノール、カルノソール、カルノシン酸、d−カルボン、クアシン、ネオクアシン、アブシンチンおよびゲルマクラノリドからなる群より選ばれる1以上であることが好ましく、ガノデリン酸、ロスマノール、カルノソールおよびカルノシン酸からなる群より選ばれる1以上であることがさらに好ましい。
本発明のビールテイスト飲料は、カルボン酸エステル、アルデヒドおよびペンチルアルコールからなる群より選ばれる1以上の香気成分を含む。したがって、ビールテイスト飲料に含まれる本発明の香気成分は1種の化合物であっても、複数種の化合物の組み合わせであってもよい。
本発明のビールテイスト飲料では、これらの香気成分を用いることによって、原材料に由来する不快な香り、特にテルペノイドに由来する不快な香りが効果的にマスキングされる。
本発明の香気成分として用いられるカルボン酸エステルは特に限定されないが、炭素数が15以下の化合物が好ましく、炭素数が10以下の化合物がさらに好ましい。本発明で用いることができるカルボン酸エステルは酢酸エステルが好ましく、酢酸イソアミルおよび酢酸エチルがさらに好ましい。
本発明の香気成分として用いられるアルデヒドは特に限定されないが、炭素数が10以下の化合物が好ましく、炭素数が5以下の化合物がさらに好ましい。本発明で用いることができるアルデヒドにおいて、脂肪族アルデヒドが好ましく、アセトアルデヒドがさらに好ましい。
本発明の香気成分として用いられるペンチルアルコールは特に限定されないが、直鎖構造であっても分岐鎖構造であってもよい。本発明で用いることができるペンチルアルコールにおいて、イソアミルアルコールが好ましい。
本発明のビールテイスト飲料に含まれる炭酸ガスは、原材料に含まれる炭酸ガスを利用してもよく、また、炭酸水との混和または炭酸ガスの添加などで溶解させてもよい。
本発明のビールテイスト飲料に含まれる炭酸ガスは、原材料に発酵液を用いた場合、発酵工程で炭酸ガスが発生するため、当該炭酸ガスをそのまま用いることができる。また、原材料に非発酵液を用いた場合、発酵工程で発生する炭酸ガスを利用できないため、非発酵液と炭酸水との混和、または非発酵液に炭酸ガスの添加によって、ビールテイスト飲料に炭酸ガスを溶解させることができる。
本発明では、本発明の効果を妨げない範囲で、必要に応じて、様々な添加物を添加してもよい。例えば、着色料、泡形成剤、香料、発酵促進剤、甘味料、苦味料、酵母エキス、ペプチド含有物などのタンパク質系物質、アミノ酸などの調味料、アスコルビン酸などの酸化防止剤、各種酸味料などを本発明の効果を妨げない範囲で必要に応じて添加することができる。着色料は、飲料にビール様の色を与えるために使用するものであり、カラメル色素などを用いることができる。泡形成剤は、飲料にビール様の泡を形成させるため、あるいは飲料の泡を保持させるために使用するものであり、大豆サポニン、キラヤサポニン等の植物抽出サポニン系物質、コーン、大豆などの植物タンパク、およびペプチド含有物、ウシ血清アルブミン等のタンパク質系物質、酵母エキスなどを適宜使用することができる。香料は、ビール様の風味付けのために用いるものであり、ビール風味を有する香料を適量使用することができる。発酵促進剤は、酵母による発酵を促進させるために使用するものであり、例えば、酵母エキス、米や麦などの糠成分、ビタミン、ミネラル剤などを単独または組み合わせて使用することができる。甘味料は、天然甘味料および合成甘味料のいずれの高甘味度甘味料も使用することができ、ショ糖誘導体、例えばスクラロース等;合成甘味料、例えばアセスルファムK、サッカリン等が挙げられ、これらは単独または2種以上組み合せて用いることができる。苦味料は、飲料に配合することによって味覚に苦味を知覚せしめる植物体あるいは植物抽出物であればよい。苦味料としては、姫茴香、杜松実、セージ、迷迭香、マンネンタケ、月桂樹、迷迭香、マンネンタケ、クワシン、ナリンギン、柑橘抽出物、ニガキ抽出物、コーヒー抽出物、茶抽出物、ゴーヤ抽出物、ハス胚芽抽出物、キダチアロエ抽出物、ニガヨモギ抽出物、ローレル抽出物などを用いることができる。
本発明のビールテイスト飲料の製造方法は、特に限定されないが、例えば、原飲料の製造工程、テルペノイドの添加工程、本発明の香気成分の添加工程を含む。当該製造方法において、テルペノイドおよび香気成分を添加するタイミングは原飲料の製造中でも、原飲料の製造後であってもよい。
また、本発明の製造方法において、テルペノイドの添加工程を含まない場合、ビールテイスト飲料に含まれるテルペノイドは原材料に由来して含まれることになる。同様に、本発明の製造方法において、本発明の香気成分の添加工程を含まない場合、ビールテイスト飲料に含まれる当該香気成分は原材料に由来して含まれることになる。
本発明のビールテイスト飲料はテルペノイドを含有するため、テルペノイドに由来する不快臭が発生することがある。本発明のビールテイスト飲料とその製造方法によれば、そのような不快臭を効果的にマスキングできる。
原飲料に原材料由来のテルペノイドまたは本発明の香気成分が含まれている場合、その含有量と添加する香気成分の含有量が、所定の含有量になるようにテルペノイドまたは本発明の香気成分を添加する。
原飲料の製造工程として、発酵液および非発酵液の製造工程を説明する。
本発明のビールテイスト飲料の製造方法に用いられる原飲料である発酵液は、例えば、仕込み工程、発酵工程、貯酒工程、ろ過工程、および容器詰工程などの当業者に周知のビールテイスト飲料の製造工程によって得られる。
具体的には、原料を仕込釜または仕込槽に投入し、必要に応じてアミラーゼなどの酵素を添加し、糊化、糖化を行わせ、ろ過して煮沸し、清澄タンクにて凝固タンパクなどの固形分を取り除く。その後、さらに酵母を添加して発酵させ、ろ過機などで酵母を取り除き、必要に応じて水、醸造用アルコールや添加剤などを加え、発酵液を得る。
本発明のビールテイスト飲料の製造方法に用いられる原飲料である非発酵液の製造工程は、発酵工程を含まず、麦、麦芽エキス、大豆ペプチド、ホップなどと水を含む麦汁などの原液に、炭酸水または炭酸ガスと、アルコールとを混和する混和工程によって得られる。非発酵液は混和工程の他に、さらに、仕込み工程、貯酒工程、および容器詰工程などの当業者に周知のビールテイスト飲料の製造工程を含んでもよい。
テルペノイドの添加工程はテルペノイドの添加によって行われる。テルペノイドの添加のタイミングは特に限定されず、原飲料の製造工程途中でも、原飲料の製造後であってもよい。また、テルペノイドの添加は複数回に分けられてもよい。
香気成分の添加工程は本発明の香気成分の添加によって行われる。香気成分の添加のタイミングは特に限定されず、原飲料の製造工程途中でも、原飲料の製造後であってもよい。また、香気成分の添加は複数回に分けられてもよい。
発明のビールテイスト飲料は、容器に充填・密閉して、容器詰めとすることができる。いずれの形態・材質の容器を用いてもよく、容器の例としては、ビン、缶、樽、またはペットボトルが挙げられる。
実施例Aでは、香気成分としてマンネンロウ抽出物を用いた発酵飲料を調製した。飲料に添加する香気成分としては、酢酸イソアミル(実施例A1)、酢酸エチル(実施例A2)、アセトアルデヒド(実施例A3)、イソアミルアルコール(実施例A4)を用いた。
粉砕した麦芽5kgを、52℃で温水20Lを保持した煮沸釜に投入した。よく撹拌しながら30分保持し、続いて65℃で10分、100℃で10分保持した。また、粉砕した麦芽7.5kgを使用し、52℃で温水30Lを保持した仕込槽に投入したものを65分保持し、煮沸釜のマイシェを仕込槽に合併した。全体のマイシェの温度を70℃、76℃と段階的に保持したものを濾過して麦芽粕を除去し麦汁を得た。
液糖(糖化スターチ、加藤化学株式会社製)11.8kgを添加し麦汁を煮沸してから冷却した後、ビール酵母を添加して約1週間発酵させた。酵母を除去し、瓶詰めした後65℃10分間加熱してビールテイスト飲料を製造した(以下、「サンプル飲料1」という)
また、酢酸イソアミルを添加しないこと以外は実施例A1−1と同じ条件で飲料を製造した(比較例A1)。
香味改善効果の評価は、比較例A1を基準として、加熱による不快臭の低減効果を1〜3(0.5刻み)
1:全くない
2:改善されている
3:より改善されている
の5段階で評価し、2.0以上を合格とした。
また、ビールテイスト飲料の総合評価を1〜3(0.5刻み)
1:非常においしくない
2:おいしい
3:よりおいしい
の5段階で評価し、2.0以上を合格とした。
これらの結果は表1のとおりであった。
実施例A1と同じマンネンロウ抽出物を200μL/100mLの濃度となるようにサンプル飲料1に添加し、さらに香気成分として酢酸エチルを表2に記載の濃度(質量ppm)となるように添加して飲料を製造した(実施例A2−1〜A2−3)。
また、酢酸エチルを添加しないこと以外は実施例A2−1と同じ条件で飲料を製造した(比較例A2)。
実施例A1と同じマンネンロウ抽出物を200μL/100mLの濃度となるようにサンプル飲料1に添加し、さらに香気成分としてアセトアルデヒドを表3に記載の濃度(質量ppm)となるように添加して飲料を製造した(実施例A3−1〜A3−3)。
また、アセトアルデヒドを添加しないこと以外は実施例A3−1と同じ条件で飲料を製造した(比較例A3)。
実施例A1と同じマンネンロウ抽出物を200μL/100mLの濃度となるようにサンプル飲料1に添加し、さらに香気成分としてイソアミルアルコールを表4に記載の濃度(質量ppm)となるように添加して飲料を製造した(実施例A4−1〜A4−3)。
また、イソアミルアルコールを添加しないこと以外は実施例A4−1と同じ条件で飲料を製造した(比較例A4)。
また、酢酸イソアミルを添加しないこと以外は実施例B−1と同じ条件で飲料を製造した(比較例B)。
また、前記香気成分を添加しないこと以外は実施例A1−1と同じ条件で飲料を製造した(比較例C)。
Claims (7)
- カルボン酸エステル、アルデヒドおよびペンチルアルコールからなる群より選ばれる1以上の香気成分とテルペノイドとを含み、
酢酸イソアミル7.0質量ppm以上、酢酸エチル30質量ppm以上、アセトアルデヒド25質量ppm以上またはイソアミルアルコール80質量ppm以上を少なくとも含む、原材料にホップを用いないビールテイスト飲料。 - カルボン酸エステル、アルデヒドおよびペンチルアルコールからなる群より選ばれる1以上の香気成分とテルペノイドとを含み、
酢酸イソアミル7.0質量ppm以上、酢酸エチル30質量ppm以上、アセトアルデヒド25質量ppm以上またはイソアミルアルコール80質量ppm以上を少なくとも含む、イソα酸を含まないビールテイスト飲料。 - 前記テルペノイドが、炭素数が40未満の化合物である、請求項1または2に記載のビールテイスト飲料。
- 前記テルペノイドが、ガノデリン酸、d−カルボン、ロスマノール、カルノソールおよびカルノシン酸からなる群より選ばれる1以上を含む、請求項1〜3のいずれかに記載のビールテイスト飲料。
- 前記カルボン酸エステルが酢酸イソアミルおよび酢酸エチルからなる群から選ばれる1以上であり、前記アルデヒドがアセトアルデヒドであり、前記ペンチルアルコールがイソアミルアルコールである、請求項1〜4のいずれかに記載のビールテイスト飲料。
- 原材料にテルペノイドを用い、
原液に酵母を添加して発酵を行う工程、および
発酵工程後に前記テルペノイドを添加する工程、
カルボン酸エステル、アルデヒドおよびペンチルアルコールからなる群より選ばれる1以上の香気成分を添加する工程を含む、
ビールテイスト飲料の製造方法であって、
前記ビールテイスト飲料が酢酸イソアミル7.0質量ppm以上、酢酸エチル30質量ppm以上、アセトアルデヒド25質量ppm以上またはイソアミルアルコール80質量ppm以上を少なくとも含む、製造方法。 - 前記ビールテイスト飲料が、アルコールを1〜15重量%含む、請求項6に記載の製造方法。
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