JP6779795B2 - ビールテイスト飲料およびその製造方法 - Google Patents
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Description
[1]
原材料に種子を用いるビールテイスト飲料を製造する方法であって、
糖液と種子とを混合して得られた種子含有糖液を55℃〜99℃で加熱する加熱工程含む、製造方法。
[2]
前記加熱工程後、前記種子含有糖液に酵母を添加して発酵させる発酵工程をさらに含む、[1]に記載の製造方法。
[3]
固形分を除去する工程を含む[1]に記載の製造方法。
[4]
原材料に種子を用いるビールテイスト飲料を製造する方法であって、
種子を55℃〜99℃で加熱して種子含有成分を抽出する工程、および
糖液と前記種子含有成分とを混合する工程、
を有する、製造方法。
[5]
前記混合工程で得られた混合液に酵母を添加して発酵させる発酵工程をさらに含む、[4]に記載の製造方法。
[6]
ビールテイスト飲料を製造する方法であって、
種子を55℃〜99℃で加熱し種子含有成分を抽出する工程、
糖液に酵母を添加し発酵させる発酵工程、および
発酵液と前記種子含有成分とを混合する工程
を含む、製造方法。
[7]
前記種子が乾燥してスパイスとして使用される種子である、[1]〜[6]のいずれかに記載の製造方法。
[8]
ビールテイスト飲料1Lに対して、0.01g〜50gの種子が用いられる[1]〜[7]のいずれかに記載の製造方法。
[9]
[1]〜[8]のいずれかに記載の製造方法で得られた、種子含有成分を含むビールテイスト飲料。
本発明のビールテイスト飲料は、原材料に種子を用い、所定の温度範囲で加熱処理することによって製造される飲料である。
本発明のビールテイスト飲料の製造方法は原材料に種子を用いる製造方法であり、麦汁等の糖液または抽出溶媒中で種子を所定の温度範囲で加熱する工程を有する。種子が加熱されることによって、種子含有成分が抽出されるため、果実の風味を有するビールテイスト飲料を製造することができる。また、本発明のビールテイスト飲料の製造方法は発酵工程を有しても有さなくてもよい。
以下、種子の加熱方法、種子含有成分の混合方法が異なる代表的な3つの製造方法A〜Cを説明する。
(1)糖液の調製
本明細書において、「糖液」とは、単糖、二糖および三糖以上からなる群から選ばれる1以上の糖類を含む水溶液である。
糖液は、たとえば、水、穀物の他に、任意に糖類などの原料を仕込槽に投入し、必要に応じてアミラーゼなどの酵素を添加して、糊化、糖化を行ない、ろ過し、煮沸釜にて必要に応じてホップ、苦味料または着色料などを加えて煮沸し、清澄タンクにて凝固タンパク質などの固形分を取り除くことによって調製される。
また、本発明に用いられる糖液として市販された糖液を用いてもよく、糊化や糖化の必要のない原料は直接煮沸釜に投入してもよい。
用いられる穀物の量は特に限定されないが、最終的に得られるビールテイスト飲料1Lに対して穀物が好ましくは5g〜300g、さらに好ましくは10g〜250g、特に好ましくは20g〜200g用いられる。
用いられる水溶性食物繊維の量は特に限定されないが、最終的に得られるビールテイスト飲料1Lに対して水溶性食物繊維が好ましくは5g〜50g、さらに好ましくは10g〜40g、特に好ましくは15g〜30g用いられる。
(1)で調製された糖液に種子を投入して両者を混合する。混合する時点の糖液および種子の温度は特に限定されない。
種子は、乾燥してスパイスとして使用される種子が好ましい。本発明で用いることができる種子として、たとえば、コリアンダー、ペッパー、フェンネル、花椒、山椒、カルダモン、キャラウェイ、ナツメグ、メース、ジュニパーベリー、オールスパイス、バニラ、エルダーベリー、グレインズ・オブ・パラダイス、アニス、スターアニスの種子などが挙げられる。これらの種子の中でも乾燥したコリアンダーの種子(コリアンダーシード)が特に好ましい。「乾燥してスパイスとして使用される種子」も果実の一部を含んでもよい。
種子は乾燥物、凍結物、凍結乾燥物などであってもよい。種子は細かく粉砕してから投入してもよい。その際、種子の粉砕はミル、プレス機、剪断機等の公知の方法が用いられる。
粉砕後の保管時間は、12時間〜30日が好ましく、18時間〜20日がさらに好ましく、24時間〜7日間が特に好ましい。保管時間が40日より長いと、香りの揮発量が大きくなりやすい。また、保管時間が6時間より短いと、種子に由来する不快臭の低減が不十分となりやすい。
粉砕された種子の保管時の圧力は特に限定されず、たとえば、常圧で保管できる。
また真空状態で保管してもよい。
加熱時間は特に限定されないが、1分〜180分が好ましく、10分〜180分がさらに好ましく、10分〜100分、10分〜80分が特に好ましい。
種子含有成分が効率的に抽出されるために、必要に応じて撹拌を行ってもよい。撹拌手段は、機械撹拌、不活性ガスや空気による撹拌などの公知の方法を用いることができる。
前記種子含有糖液の加熱後、種子等の固形分を除去してもよい。固形分の除去は、ろ過、遠心分離等の公知の方法が用いられる。
(2)で得られた糖液(発酵前液)に酵母を添加して発酵させてもよい。発酵後、ろ過機などで酵母を取り除き、必要に応じて水、醸造用アルコールや添加剤などを加えてもよい。
発酵温度、および発酵期間などの諸条件は、自由に設定することができる。発酵温度は27℃以下が好ましいが、その範囲の中でも、0℃〜27℃が好ましく、5℃〜27℃がさらに好ましく、7℃〜27℃が特に好ましい。発酵の途中、当該温度範囲で発酵液の温度を昇降させてもよい。このような温度範囲で発酵させると、種子が有する爽やかな香りの変質を最小限に抑えることができる。これによって、種子が有する爽やかな香りが豊かなビールテイスト飲料を製造できる。
発酵時間は、2〜30日、3〜20日、5〜15日が好ましい。また、発酵時の圧力も特に限定されないが、常圧が好ましい。また、発酵の途中、圧力を変化させてもよい。
たとえばビールテイスト発酵飲料を製造する場合、通常のビールや発泡酒の製造のための発酵条件である、8〜25℃、3〜15日間の条件で発酵させてもよい。発酵工程の途中で発酵液の温度(昇温、または降温)、または圧力を変化させてもよい。
貯蔵、必要により炭酸ガス添加、容器詰め、必要により殺菌の工程を経て、ビールテイスト飲料を得ることができる。
(1)種子含有成分の抽出
製造方法Bにおいて抽出される、「種子含有成分」は、抽出処理によって種子から得られる抽出液、該抽出液の希釈液もしくは濃縮液、該抽出液を乾燥して得られる乾燥物、これらの精製物等をいう。
種子含有成分の原料として使用される種子は製造方法Aで用いられる種子と同様である。種子含有成分を製造するための抽出処理の前に、種子はミル等の公知の方法で粉砕等の前処理が施されることが好ましい。
種子含有成分の抽出処理は55℃〜99℃に加熱して行われることが好ましい。このような温度範囲で種子を加熱することによって、種子から好ましい風味を有する成分が効率的に抽出される。加熱温度は、58℃〜97℃がさらに好ましく、60℃〜97℃、60〜95℃、60〜93℃、60〜90℃が特に好ましい。抽出時間は特に限定されないが、1分〜180分が好ましく、10分〜180分がさらに好ましく、10分〜100分、10分〜80分が特に好ましい。
抽出に使用される抽出溶媒としては、種子含有成分を抽出できれば特に限定されないが、たとえば、水、極性有機溶媒(エタノール等)、水と極性有機溶媒との混合物、超臨界二酸化炭素などが挙げられる。抽出溶媒の量は、特に限定されないが、たとえば水の場合、種子の容積に対して1〜100,000倍量程度、好ましくは10〜10,000倍量程度が好ましい。
糖液の調製は、製造方法Aと同様である。
(2)で調製された糖液と(1)で得られた種子含有成分とを混合する。
(3)で得られた混合液(発酵前液)に酵母を添加して発酵させてもよい。発酵条件等は製造方法Aと同様である。
製造方法Aと同様、貯蔵、必要により炭酸ガス添加、容器詰め、必要により殺菌の工程を経て、ビールテイスト飲料を得ることができる。
(1)種子含有成分の抽出
種子含有成分の抽出は、製造方法Bと同様である。
種子含有成分の抽出に用いられる種子の量は特に限定されないが、最終的に得られるビールテイスト飲料1Lに対して0.01g〜50g、好ましくは0.02g〜25g、さらに好ましくは0.04g〜10g含有するように種子が用いられる。
糖液の調製は、製造方法Aと同様である。
(2)で得られた糖液(発酵前液)を発酵させて発酵液を得る。発酵条件等は製造方法Aと同様である。
(3)で得られた発酵液と(1)で得られた種子含有成分とを混合する。
製造方法Aと同様、貯蔵、必要により炭酸ガス添加、容器詰め、必要により殺菌の工程を経て、ビールテイスト飲料を得ることができる。
本発明では、本発明の効果を妨げない範囲で、必要に応じて、様々な添加物が添加されてもよい。たとえば、着色料、泡形成剤、香料、発酵促進剤、甘味料、苦味料、酵母エキス、ペプチド含有物などのタンパク質系物質、アミノ酸などの調味料、アスコルビン酸などの酸化防止剤、各種酸味料などを本発明の効果を妨げない範囲で必要に応じて添加することができる。着色料は、飲料にビール様の色を与えるために使用するものであり、カラメル色素などを用いることができる。泡形成剤は、飲料にビール様の泡を形成させるため、あるいは飲料の泡を保持させるために使用するものであり、大豆サポニン、キラヤサポニン等の植物抽出サポニン系物質、コーン、大豆などの植物タンパク、およびペプチド含有物、ウシ血清アルブミン等のタンパク質系物質、酵母エキスなどを適宜使用することができる。香料は、ビール様の風味付けのために用いるものであり、ビール風味を有する香料を適量使用することができる。発酵促進剤は、酵母による発酵を促進させるために使用するものであり、たとえば、酵母エキス、米や麦などの糠成分、ビタミン、ミネラル剤などを単独または組み合わせて使用することができる。甘味料は、天然甘味料および合成甘味料のいずれの高甘味度甘味料も使用することができ、ショ糖誘導体、たとえばスクラロース等;合成甘味料、たとえばアセスルファムK、サッカリン等が挙げられ、これらは単独または2種以上組み合せて用いることができる。苦味料は、ホップ抽出物のほか、クワシン、ナリンギン、柑橘抽出物、ニガキ抽出物、コーヒー抽出物、茶抽出物、ゴーヤ抽出物、ハス胚芽抽出物、キダチアロエ抽出物、ニガヨモギ抽出物、マンネンロウ抽出物、レイシ抽出物、ローレル抽出物、セージ抽出物、キャラウェイ抽出物などを用いることができる。
発明のビールテイスト飲料は、容器に充填・密閉して、容器詰めとすることができる。いずれの形態・材質の容器を用いてもよく、容器の例としては、ビン、缶、樽、またはペットボトルが挙げられる。
麦芽20kgを粉砕し、52℃の温水80Lに投入した。よく撹拌しながら20分保持し、続いて65℃で40分、78℃で2分保持した後、濾過により麦芽粕を除去して清澄な麦汁を得た。続いて、原麦汁エキス濃度が10%となるように水を添加した。10%エキス濃度の麦汁に、ホップ0.7g/Lと、ミルで細かく粉砕したコリアンダーシード0.19g/Lを添加して、表1に記載の温度で30分間加熱した。加熱後の麦汁を冷却し、遠心分離によって固形分を除去して官能サンプルとした。
得られた飲料について、パネラー4名による「香りの強度」と「雑味の抑制度合い」の官能評価を下記の基準で実施し、3.0点以上の評点で優れた品質と判定した。
「弱い」=1点 「ある程度感じる」=3点 「強く感じる」=5点
後味の雑味の改善効果
「弱い」=1点 「ある程度感じる」=3点 「強く感じる」=5点
結果は表1のとおりであった。
実施例1−2で得られた麦汁に酵母を添加し、10℃で約2週間発酵させた。発酵液を濾過し、酵母などを除去してサンプルを得た。
当該サンプルについてパネラー4名による官能試験を行ったところ、ビールテイスト飲料として良好な香味を有することが確認できた。
これらの実施例と比較例から、種子を所定の温度範囲で抽出して用いることで香りが豊かで、後味の雑味が改善され、良好な香味を有するビールテイスト飲料が製造できることがわかった。
Claims (3)
- 原材料に種子を用いるビールテイスト飲料を製造する方法であって、
種子(ただし、ハトムギを含まない)を55℃〜99℃で加熱して種子含有成分を抽出する工程、
糖液と前記種子含有成分とを混合する工程、および
前記混合工程で得られた混合液に酵母を添加して発酵させる発酵工程を有する、製造方法。 - 種子含有成分を抽出する工程で用いられる種子が乾燥してスパイスとして使用される種子である、請求項1に記載の製造方法。
- ビールテイスト飲料1Lに対して、0.01g〜50gの種子が種子含有成分を抽出する工程で用いられる請求項1または2に記載の製造方法。
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