JP7022506B2 - ビールテイスト飲料およびその製造方法 - Google Patents
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Description
[1]
原材料に種子を用いるビールテイスト飲料を製造する方法であって、
糖液と種子とを混合して得られた種子含有糖液を調製する工程、
種子含有糖液から種子を除去する工程、および
種子を除去した後に、タンパク質を除去する工程、
を含む、製造方法。
[2]
ビールテイスト飲料を製造する方法であって、
種子含有成分を抽出する工程、
糖液と前記種子含有成分とを混合する工程、
種子含有糖液から種子を除去する工程、および
種子を除去した後に、タンパク質を除去する工程、
を含む、製造方法。
[3]
種子が除去された種子含有糖液に酵母を添加して発酵させる発酵工程をさらに含む、[1]または[2]に記載の製造方法。
[4]
タンパク質を除去する工程において、酵母を除去する、[3]に記載の製造方法
[5]
前記乾燥してスパイスとして乾燥してスパイスとして使用される種子である、[1]~[4]のいずれかに記載の製造方法。
[6]
種子の除去が煮沸釜内またはオリ分離槽内で行われる、[1]~[5]のいずれかに記載の製造方法。
[7]
ビールテイスト飲料1Lに対して、0.01g~50gの種子が用いられる[1]~[6]のいずれかに記載の製造方法。
[8]
[1]~[7]のいずれかに記載の製造方法で得られた、種子含有成分を含むビールテイスト飲料。
本発明のビールテイスト飲料は、原材料に種子を用い、所定の温度範囲で加熱処理することによって製造される飲料である。
本発明のビールテイスト飲料の製造方法は原材料に種子を用いる製造方法であり、種子含有成分が抽出された後に、種子が除去されることによって、豊かな果実の風味を有し雑味の少ないビールテイスト飲料を製造することができる。また、本発明のビールテイスト飲料の製造方法は発酵工程を有しても有さなくてもよい。
(1)糖液の調製
本明細書において、「糖液」とは、単糖、二糖および/または三糖以上の糖類を含む水溶液である。
糖液は、たとえば、水、穀物の他に、任意に糖類などの原料を仕込槽に投入し、必要に応じてアミラーゼなどの酵素を添加して、糊化、糖化を行ない、ろ過し、煮沸釜にて必要に応じてホップ、苦味料または着色料などを加えて煮沸し、清澄タンクにて凝固タンパク質などの固形分を取り除くことによって調製される。
また、本発明に用いられる糖液として市販された糖液を用いてもよく、糊化や糖化の必要のない原料は直接煮沸釜に投入してもよい。
用いられる穀物の量は特に限定されないが、最終的に得られるビールテイスト飲料1Lに対して穀物が好ましくは5g~300g、さらに好ましくは10g~250g、特に好ましくは20g~200g用いられる。
用いられる水溶性食物繊維の量は特に限定されないが、最終的に得られるビールテイスト飲料1Lに対して水溶性食物繊維が好ましくは5g~50g、さらに好ましくは10g~40g、特に好ましくは15g~30g用いられる。
(1)で調製された糖液に種子を投入して両者を混合する。混合する時点の糖液および種子の温度は特に限定されない。
種子は、乾燥してスパイスとして使用される種子が好ましい。本発明で用いることができる種子として、たとえば、コリアンダー、ペッパー、フェンネル、花椒、山椒、カルダモン、キャラウェイ、ナツメグ、メース、ジュニパーベリー、オールスパイス、バニラ、エルダーベリー、グレインズ・オブ・パラダイス、アニス、スターアニスの種子などが挙げられる。これらの種子の中でも乾燥したコリアンダーの種子(コリアンダーシード)が特に好ましい。「乾燥してスパイスとして使用される種子」も果実の一部を含んでもよい。
種子は乾燥物、凍結物、凍結乾燥物などであってもよい。
種子は細かく粉砕してから投入してもよい。その際、種子の粉砕はミル、プレス機、剪断機等の公知の方法が用いられる。
粉砕後の保管時間は、12時間~30日が好ましく、18時間~20日がさらに好ましく、24時間~7日間が特に好ましい。保管時間が40日より長いと、香りの揮発量が大きくなりやすい。また、保管時間が6時間より短いと、種子に由来する不快臭の低減が不十分となりやすい。
粉砕された種子の保管時の圧力は特に限定されず、たとえば、常圧で保管できる。
また真空状態で保管してもよい。
加熱時間は特に限定されないが、1分~180分が好ましく、10分~180分がさらに好ましく、10分~100分、10分~80分が特に好ましい。
種子含有成分が効率的に抽出されるために、必要に応じて撹拌を行ってもよい。撹拌手段は、機械撹拌、不活性ガスや空気による撹拌などの公知の方法を用いることができる。
種子の除去は、(2)の糖液と種子との混合後(5)のろ過工程の前の間であればいつでもよい。種子の除去は(5)のろ過工程より4時間以上前に除去することが好ましく、8時間以上前に除去することがさらに好ましい。
具体的には、(1)で得られた種子含有糖液から種子が除去されてもよい。また、(4)の発酵工程が行われる場合、発酵工程直前の発酵前液から種子が除去されても、発酵工程後の発酵液から種子が除去されてもよい。発酵前液から種子が除去されるとより雑味の抽出が抑えられるので好ましい。
種子の除去方法はメッシュ等を用いたろ過による除去、遠心分離、沈殿物のブローによる除去等の公知の方法が用いられる。種子と共にその他の固形分(オリ等)も一緒に除去されてもよい。
種子が除去に用いられる容器は特に限定されないが、(1)の加熱が行われた容器(たとえば煮沸釜)内や、オリ分離槽内、その他製造に係るいずれかのタンク内で行われてもよい。
(3)で得られた糖液(発酵前液)に酵母を添加して発酵させてもよい。発酵後、ろ過機などで酵母を取り除き、必要に応じて水、醸造用アルコールや添加剤などを加えてもよい。
発酵温度は27℃以下が好ましいが、その範囲の中でも、0℃~27℃が好ましく、5℃~27℃がさらに好ましく、7℃~27℃が特に好ましい。発酵の途中、当該温度範囲で発酵液の温度を昇降させてもよい。このような温度範囲で発酵させると、種子が有する爽やかな香りの変質を最小限に抑えることができる。これによって、種子が有する爽やかな香りが豊かなビールテイスト飲料を製造できる。
発酵時間は、2~30日、3~20日、5~15日が好ましい。また、発酵時の圧力も特に限定されないが、常圧が好ましい。また、発酵の途中、圧力を変化させてもよい。
たとえばビールテイスト発酵飲料を製造する場合、通常のビールや発泡酒の製造のための発酵条件である、8~25℃、3~15日間の条件で発酵させてもよい。発酵工程の途中で発酵液の温度(昇温、または降温)、または圧力を変化させてもよい。
発酵後に、その他の固形分を除去することができる。たとえば、酵母、オリ(例えば酵母やタンパク質の冷凝固物など)を、ろ過等の公知の方法で除去することができる。当該ろ過の際に、種子の一部が除去されてもよい。
貯蔵、必要により炭酸ガス添加、容器詰め、必要により殺菌の工程を経て、ビールテイスト飲料を得ることができる。
(1)種子含有成分の抽出
製造方法Bにおいて抽出される、「種子含有成分」は、抽出処理によって種子から得られる抽出液、該抽出液の希釈液もしくは濃縮液、該抽出液を乾燥して得られる乾燥物、これらの精製物等をいう。また、前記希釈液および前記濃縮液は、種子由来の固形分を含んでもよい。
種子含有成分の原料として使用される種子は製造方法Aで用いられる種子と同様である。種子含有成分を製造するための抽出処理の前に、種子はミル等の公知の方法で粉砕等の前処理が施されることが好ましい。
種子含有成分の抽出処理は55℃~99℃に加熱して行われることが好ましい。このような温度範囲で種子を加熱することによって、種子から好ましい風味を有する成分が効率的に抽出される。加熱温度は、58℃~97℃がさらに好ましく、60℃~97℃、60~95℃、60~93℃、60~90℃が特に好ましい。抽出時間は特に限定されないが、1分~180分が好ましく、1分~60分がさらに好ましく、10分~50分が特に好ましい。
抽出に使用される抽出溶媒としては、種子含有成分を抽出できれば特に限定されないが、たとえば、水、極性有機溶媒(エタノール等)、水と極性有機溶媒との混合物、超臨界二酸化炭素などが挙げられる。抽出溶媒の量は、特に限定されないが、たとえば水の場合、種子の容積に対して1~100,000倍量程度、好ましくは10~10,000倍量程度が好ましい。
糖液の調製は、製造方法Aと同様である。
(2)で調製された糖液と(1)で得られた種子含有成分とを混合する。
種子由来の固形分の除去は、(3)の糖液と種子含有成分との混合後(6)のろ過工程の前の間であればいつでもよい。前記固形分の除去は(6)のろ過工程より4時間以上前に除去することが好ましく、8時間以上前に除去することがさらに好ましい。
具体的には、(3)で得られた混合液から前記固形分が除去されてもよい。また、(4)の発酵工程が行われる場合、発酵工程直前の発酵前液から前記固形分が除去されても、発酵工程後の発酵液から前記固形分が除去されてもよい。発酵前液から種子が除去されるとより雑味の抽出が抑えられるので好ましい。
種子由来の固形分の除去方法および除去に用いられる容器は、製造方法Aと同様である。
(3)で得られた混合液、または、(4)において種子由来の固形分が除去された液(発酵前液)に酵母を添加して発酵させてもよい。発酵条件等は製造方法Aと同様である。
(4)の種子由来の固形分の除去の後に、その他の固形分を除去することができる。たとえば、酵母やタンパクを、ろ過等の公知の方法で除去することができる。
製造方法Aと同様、貯蔵、必要により炭酸ガス添加、容器詰め、必要により殺菌の工程を経て、ビールテイスト飲料を得ることができる。
本発明では、本発明の効果を妨げない範囲で、必要に応じて、様々な添加物が添加されてもよい。たとえば、着色料、泡形成剤、香料、発酵促進剤、甘味料、苦味料、酵母エキス、ペプチド含有物などのタンパク質系物質、アミノ酸などの調味料、アスコルビン酸などの酸化防止剤、各種酸味料などを本発明の効果を妨げない範囲で必要に応じて添加することができる。着色料は、飲料にビール様の色を与えるために使用するものであり、カラメル色素などを用いることができる。泡形成剤は、飲料にビール様の泡を形成させるため、あるいは飲料の泡を保持させるために使用するものであり、大豆サポニン、キラヤサポニン等の植物抽出サポニン系物質、コーン、大豆などの植物タンパク、およびペプチド含有物、ウシ血清アルブミン等のタンパク質系物質、酵母エキスなどを適宜使用することができる。香料は、ビール様の風味付けのために用いるものであり、ビール風味を有する香料を適量使用することができる。発酵促進剤は、酵母による発酵を促進させるために使用するものであり、たとえば、酵母エキス、米や麦などの糠成分、ビタミン、ミネラル剤などを単独または組み合わせて使用することができる。甘味料は、天然甘味料および合成甘味料のいずれの高甘味度甘味料も使用することができ、ショ糖誘導体、たとえばスクラロース等;合成甘味料、たとえばアセスルファムK、サッカリン等が挙げられ、これらは単独または2種以上組み合せて用いることができる。苦味料は、ホップ抽出物のほか、クワシン、ナリンギン、柑橘抽出物、ニガキ抽出物、コーヒー抽出物、茶抽出物、ゴーヤ抽出物、ハス胚芽抽出物、キダチアロエ抽出物、ニガヨモギ抽出物、マンネンロウ抽出物、レイシ抽出物、ローレル抽出物、セージ抽出物、キャラウェイ抽出物などを用いることができる。
発明のビールテイスト飲料は、容器に充填・密閉して、容器詰めとすることができる。いずれの形態・材質の容器を用いてもよく、容器の例としては、ビン、缶、樽、またはペットボトルが挙げられる。
麦芽20kgを粉砕し、52℃の温水80Lに投入した。よく撹拌しながら20分保持し、続いて65℃で40分、78℃で2分保持した後、ろ過により麦芽粕を除去して清澄な麦汁を得た。続いて、原麦汁エキス濃度が10%となるように水を添加した。煮沸釜内の10%エキス濃度の麦汁に、ホップ0.7g/Lと、ミルで細かく粉砕したコリアンダーシードを0.19g/Lとなるように添加して、95℃で30分間加熱し、種子含有成分を抽出した。
実施例1と同様に、30分間の加熱により種子含有成分が抽出された麦汁を得た。得られた麦汁を煮沸釜からオリ分離槽に送り、オリ分離槽で種子を除去して発酵液を得たこと以外は実施例1と同様にして官能サンプル(飲料)を得た。
実施例1と同様に、30分間の加熱により種子含有成分が抽出された麦汁を得た。種子の除去を行わずに麦汁を発酵タンクに送り、酵母を添加して発酵を行った。発酵終了後、ろ過によって種子、タンパク質、酵母などの固形物を除去して官能サンプル(飲料)とした。
「弱い」=1点 「ある程度感じる」=3点 「強く感じる」=5点
後味の雑味の改善効果
「弱い」=1点 「ある程度感じる」=3点 「強く感じる」=5点
結果は表1のとおりであった。
Claims (6)
- 原材料に種子を用いるビールテイスト飲料を製造する方法であって、
糖液と種子とを混合して得られた種子含有糖液を調製する工程、
種子含有糖液から種子を除去する工程、および
種子を除去した後に、濾過によってタンパク質を除去する工程、
を含み、
種子含有糖液は、前記種子含有糖液を調製する工程において95℃~99℃で10分~180分加熱され、
ビールテイスト飲料1Lに対して、0.01g~50g含有するように種子が用いられ、
種子の除去がオリ分離槽内で行われ、タンパク質を除去する工程より4時間以上前に種子が除去され、
前記種子が、コリアンダー、ペッパー、フェンネル、山椒、カルダモン、キャラウェイ、ナツメグ、メース、ジュニパーベリー、オールスパイス、バニラ、またはスターアニスの種子を少なくとも含む、製造方法。 - ビールテイスト飲料を製造する方法であって、
種子含有成分を抽出する工程(但し、抽出する工程は糖化を含まない)、
糖液と前記種子含有成分とを混合する工程、
種子含有糖液から種子を除去する工程、および
種子を除去した後に、濾過によってタンパク質を除去する工程、
を含み、
前記種子が、コリアンダー、ペッパー、フェンネル、山椒、カルダモン、キャラウェイ、ナツメグ、メース、ジュニパーベリー、オールスパイス、バニラ、またはスターアニスの種子を少なくとも含む、製造方法。 - 種子が除去された種子含有糖液に酵母を添加して発酵させる発酵工程をさらに含む、請求項1または2に記載の製造方法。
- タンパク質を除去する工程において、酵母を除去する、請求項3に記載の製造方法。
- 前記種子が乾燥してスパイスとして使用される種子である、請求項1~4のいずれかに記載の製造方法。
- 種子の除去が煮沸釜内またはオリ分離槽内で行われる、請求項1~5のいずれかに記載の製造方法。
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