JP6960235B2 - 飲料、容器詰め飲料、容器詰め飲料の流通方法、飲料の製造方法および飲料の嗜好性向上方法 - Google Patents
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一方、近年、消費者の嗜好性の向上、飲料の多様化などに伴い、ニアウォーターなどと呼ばれる透明飲料の開発が盛んに行われている。しかしながら、このような透明飲料においては、乳化剤の使用により飲料が白濁してしまうといった問題があった。そのため透明飲料の透明性を維持したまま微生物の繁殖を制御するためには、乳酸などの有機酸を用いることが有効であることが知られていた。
また、特許文献1に記載された技術は、透明飲料をミネラル強化する観点から、カルシウム、亜鉛およびマグネシウムに、乳酸などの可食性の酸を組み合わせるものであり、乳酸による後味に着目したものではなく、また、後味の不快感を解消するものでもなかった。
成分(A)の含有量が435ppm以上であり、
成分(B)の含有量(ppm)に対する成分(A)の含有量(ppm)(A/B)が、15以上400以下である、飲料(ただし、非重合体カテキン類を含む飲料を除く)が提供される。
また、本発明によれば、
(A)乳酸と、(B)ナトリウム、カリウム、マグネシウム、およびカルシウムからなる群から選ばれる少なくとも1種のイオンと、を含み、
成分(B)がマグネシウムイオンであり、かつ成分(B)の含有量(ppm)が、2以上15以下であり、
成分(B)の含有量(ppm)に対する成分(A)の含有量(ppm)(A/B)が、15以上400以下である、飲料(ただし、非重合体カテキン類を含む飲料を除く)が提供される。
前記飲料を調製する工程において、成分(A)の含有量が435ppm以上であり、成分(B)の含有量(ppm)に対する成分(A)の含有量(ppm)(A/B)を、15以上400以下に調製する、飲料の製造方法(ただし、非重合体カテキン類を含む飲料を除く)が提供される。
前記飲料を調製する工程において、成分(A)の含有量が435ppm以上であり、成分(B)の含有量(ppm)に対する成分(A)の含有量(ppm)(A/B)を、15以上400以下に調製する、飲料の嗜好性向上方法(ただし、非重合体カテキン類を含む飲料を除く)が提供される。
本実施形態における飲料は、透明である。
本実施形態における飲料は、(A)乳酸と、(B)ナトリウム、カリウム、マグネシウム、およびカルシウムからなる群から選ばれる少なくとも1種のイオンと、を含み、
成分(B)の含有量(ppm)に対する成分(A)の含有量(ppm)(A/B)が、15以上400以下である。
また、成分(B)の含有量(ppm)は、本発明の飲料全体に対して、0.5以上35以下であることが好ましく、1.5以上15以下であることがより好ましい。当該範囲内とすることで、乳酸による後味をすっきりさせつつ、飲料としての味のバランスを良好にし、おいしいと感じさせることができる。
なお、「ブリックス値」は、例えば、糖用屈折計示度「RX−5000α」株式会社アタゴ製を用い、液温20℃で測定することができる。
なお、「甘味度」とは、甘味のショ糖濃度換算濃度であり、ショ糖を100としたときの値である。
なお、「酸度」とは、本発明の飲料に含まれている酸の量をクエン酸の相当量として換算した値、すなわち、クエン酸酸度(質量%)として表した数値を指す。
近年、さまざまな形態の飲料が開発される中、透明な飲料に対して、視覚的にすっきり感、爽快感等が得られることから、味としても、すっきりしたいという期待が高まっている。そのため、本発明の飲料を透明にすることにより、消費者の高度な期待に一致し、後味のすっきり感をより効果的に付与できる。
甘味料としては、例えば、果糖ぶどう糖液糖、砂糖(ショ糖やグラニュー糖を含む)、果糖、高果糖液糖、ぶどう糖、オリゴ糖、乳糖、はちみつ、水飴(麦芽糖)、糖アルコール、高甘味度甘味料等が挙げられる。
高甘味度甘味料としては、例えば、アスパルテーム、アセスルファムカリウム、キシリトール、グリチルリチン酸二ナトリウム、サッカリン、サッカリンカルシウム、サッカリンナトリウム、スクラロース、ネオテーム、アラビノース、カンゾウ抽出物、キシロース、ステビア、タウマチン、ラカンカ抽出物、ラムノース及びリボースが挙げられる。
これら甘味料は、1種類を単独で用いてもよく、また2種類以上を用いてもよい。
酸味料としては、上記成分(A)の乳酸に加えて、例えば、アジピン酸、クエン酸、グルコノデルタラクトン、グルコン酸、コハク酸、DL−酒石酸、L−酒石酸、氷酢酸、フマル酸、DL−リンゴ酸、リン酸、フィチン酸及びそれらの塩等が挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を用いてもよい。
香料としては、天然香料または合成香料であって、例えば、フルーツフレーバー、植物フレーバー、またはこれらの混合物である。フルーツフレーバーにおける「フルーツ」としては、例えば、レモン、オレンジ、蜜柑、グレープフルーツ、シークヮーサー、柚およびライム等の柑橘類、苺、桃、葡萄、林檎、パイナップル、マンゴー、メロン、およびバナナ等が挙げられる。なかでも、後味のすっきり感の観点から、柑橘類のフレーバーが好ましい。
本発明の飲料は、加熱殺菌され、容器に詰められた状態の容器詰飲料としてもよい。容器としては、例えば、ペットボトル、アルミ缶、スチール缶、紙パック、チルドカップ、瓶等が挙げられる。本発明の飲料を外観から観察し、透明性、色などを確認できる観点から、透明な容器であることが好ましく、具体的には透明性に優れたペットボトルが挙げられる。また、取扱性、流通性、携帯性等の観点から、ペットボトルであることが好ましい。
本発明の容器詰め飲料の流通方法は、上記容器詰め飲料を常温で流通させるものである。
すなわち、本発明の容器詰め飲料は、乳酸を含むため静菌効果を有し、冷蔵を必須とするものではなく、常温下におくことができる。これにより、冷蔵での流通に比べて、品質管理が容易になるとともに、消費電力を大幅に削減し、製品コストを安価にできる。
なお、常温とは、冷蔵よりも高い温度であって、通常の流通過程において容器詰め飲料がおかれるうる温度を意図するものである。例えば、10〜50℃、好ましくは15〜35℃である。
また、流通とは、容器詰め飲料を製造後、倉庫に保管すること、水陸空を利用して輸送すること、店頭での陳列等を含むものである。
本発明の飲料の製造方法は、(A)乳酸と、(B)ナトリウム、カリウム、マグネシウム、およびカルシウムからなる群から選ばれる少なくとも1種のイオンと、を混合し、飲料を調製する工程を含み、前記飲料を調製する工程において、成分(B)の含有量(ppm)に対する成分(A)の含有量(ppm)(A/B)を、15以上400以下に調製するものである。また、上記の飲料を調製する工程の後、さらに、上記の飲料を容器詰めする工程を有してもよい。
また、上記混合する方法は、公知の方法を用いることができ、混合の順序、温度、時間などは特に限定されない。
本発明の飲料の嗜好性向上方法は、(A)乳酸と、(B)ナトリウム、カリウム、マグネシウム、およびカルシウムからなる群から選ばれる少なくとも1種のイオンと、を混合し、飲料を調製する工程を含み、前記飲料を調製する工程において、成分(B)の含有量(ppm)に対する成分(A)の含有量(ppm)(A/B)を、15以上400以下に調製するものである。また、上記の飲料を調製する工程の後、さらに、上記の飲料を容器詰めする工程と、上記の容器詰めされた飲料を常温下で保管する工程と、を有してもよい。
以下、本発明の参考形態の一例を示す。
<1>
(A)乳酸と、(B)ナトリウム、カリウム、マグネシウム、およびカルシウムからなる群から選ばれる少なくとも1種のイオンと、を含み、
成分(B)の含有量(ppm)に対する成分(A)の含有量(ppm)(A/B)が、15以上400以下である、飲料。
<2>
成分(B)の含有量(ppm)が、0.5以上35以下である、<1>に記載の飲料。
<3>
成分(B)がマグネシウムイオンおよびカルシウムイオンのいずれか一方または両方である、<1>または<2>に記載の飲料。
<4>
波長650nmにおける吸光度が0.06以下である、<1>乃至<3>のいずれか一つに記載の飲料。
<5>
成分(B)の含有量(ppm)が、1.5以上15以下である、<1>乃至<4>のいずれか一つに記載の飲料。
<6>
<1>乃至<5>のいずれか一つに記載の飲料が容器に充填されている容器詰め飲料。
<7>
前記容器が透明である、<6>に記載の容器詰め飲料。
<8>
<6>または<7>に記載の容器詰め飲料を常温で流通させる、流通方法。
<9>
(A)乳酸と、(B)ナトリウム、カリウム、マグネシウム、およびカルシウムからなる群から選ばれる少なくとも1種のイオンと、を混合し、飲料を調製する工程を含み、
前記飲料を調製する工程において、成分(B)の含有量(ppm)に対する成分(A)の含有量(ppm)(A/B)を、15以上400以下に調製する、飲料の製造方法。
<10>
(A)乳酸と、(B)ナトリウム、カリウム、マグネシウム、およびカルシウムからなる群から選ばれる少なくとも1種のイオンと、を混合し、飲料を調製する工程を含み、
前記飲料を調製する工程において、成分(B)の含有量(ppm)に対する成分(A)の含有量(ppm)(A/B)を、15以上400以下に調製する、飲料の嗜好性向上方法。
表1〜3に示す組成(g/L)、pH、酸度(質量%)となるように、公知の方法で、飲料を作製した。得られた飲料を95℃瞬間殺菌にて殺菌し、容器詰め飲料を得た。
次に、得られた容器詰め飲料について以下の評価を行い、結果を表1〜3に示した。
・ブリックス値:糖用屈折計示度「RX−5000α」株式会社アタゴ製を用いてブリックス値を測定した。飲料の液温は20℃とした。
得られた容器詰め飲料について、飲料を摂取したときの「後味の良さ」、「おいしさ」について、熟練した5人のパネリストにより評価した。分量評定法を用い、対照例を評点4とし、評点1〜7の7段階で評価した。なお、数値が大きいほど、嗜好性が高いことを表す。評点の平均値をとり、結果を表1〜3に示した。
Claims (11)
- (A)乳酸と、(B)ナトリウム、カリウム、マグネシウム、およびカルシウムからなる群から選ばれる少なくとも1種のイオンと、を含み、
成分(A)の含有量が435ppm以上であり、
成分(B)の含有量(ppm)に対する成分(A)の含有量(ppm)(A/B)が、15以上400以下である、飲料(ただし、非重合体カテキン類を含む飲料を除く)。 - 成分(B)の含有量(ppm)が、0.5以上35以下である、請求項1に記載の飲料。
- 成分(B)がマグネシウムイオンおよびカルシウムイオンのいずれか一方または両方である、請求項1または2に記載の飲料。
- 成分(B)の含有量(ppm)が、1.5以上15以下である、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の飲料。
- (A)乳酸と、(B)ナトリウム、カリウム、マグネシウム、およびカルシウムからなる群から選ばれる少なくとも1種のイオンと、を含み、
成分(B)がマグネシウムイオンであり、かつ成分(B)の含有量(ppm)が、2以上15以下であり、
成分(B)の含有量(ppm)に対する成分(A)の含有量(ppm)(A/B)が、15以上400以下である、飲料(ただし、非重合体カテキン類を含む飲料を除く)。 - 波長650nmにおける吸光度が0.06以下である、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の飲料。
- 請求項1乃至6のいずれか一項に記載の飲料が容器に充填されている容器詰め飲料。
- 前記容器が透明である、請求項7に記載の容器詰め飲料。
- 請求項7または8に記載の容器詰め飲料を常温で流通させる、流通方法。
- (A)乳酸と、(B)ナトリウム、カリウム、マグネシウム、およびカルシウムからなる群から選ばれる少なくとも1種のイオンと、を混合し、飲料を調製する工程を含み、
前記飲料を調製する工程において、成分(A)の含有量が435ppm以上であり、成分(B)の含有量(ppm)に対する成分(A)の含有量(ppm)(A/B)を、15以上400以下に調製する、飲料の製造方法(ただし、非重合体カテキン類を含む飲料を除く)。 - (A)乳酸と、(B)ナトリウム、カリウム、マグネシウム、およびカルシウムからなる群から選ばれる少なくとも1種のイオンと、を混合し、飲料を調製する工程を含み、
前記飲料を調製する工程において、成分(A)の含有量が435ppm以上であり、成分(B)の含有量(ppm)に対する成分(A)の含有量(ppm)(A/B)を、15以上400以下に調製する、飲料の嗜好性向上方法(ただし、非重合体カテキン類を含む飲料を除く)。
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