JP6958454B2 - 車両用乗員保護装置 - Google Patents

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Description

本発明は、車両用乗員保護装置に関する。
下記特許文献1に記載された自動車の乗員保持装置は、車両の前面衝突時(前突時)に、乗員の背部とシートバックとの間で背部用エアバッグが膨張展開する構成とされている。当該構成によれば、前突時の衝撃で乗員の上体がシート前方側に慣性移動し、次いで、その反動でシート後方側に移動する際に、乗員の上体が背部エアバッグによって支持される。これにより、上体がシートバックに当たる際の衝撃が緩和されている。
一方、下記特許文献2に記載された乗員保護装置は、車両の前突時に、乗員の腰部とシートバックとの間でエアバッグ装置が膨張展開する構成とされている。当該構成によれば、前突時にエアバッグ装置が膨張展開されると、乗員の腰部がシート前方に押し出され、腰部のシート後方側への傾きが小さくなる。これにより、ラップベルトによる拘束性能が向上され、乗員がシートクッションに沈み込みラップベルトの下をすり抜けるサブマリン現象が回避される。
一方、下記特許文献3に記載された車両用乗員保護装置は、車両の前突時に、乗員の腰部とシートバックとの間で、補助エアバッグが膨張展開する構成とされている。この補助エアバッグは、下側から上側へ膨張展開されるため、乗員の上半身が起き上がる。これにより、乗員の着座姿勢が矯正され、サブマリン現象が回避される。
特開H11−342822号公報 特開2007−015466号公報 特開2016−055705号公報
ところで、近年、自動運転技術や運転支援技術の発展に伴い、運転席の乗員又は助手席の乗員が走行中にシートの向きを変えたり、シートバックが大きく傾斜された安楽姿勢をとることが想定される。
上記先行技術では、シートが前向きに配置された場合の車両の前突時を想定しており、衝撃によってシート前方側へ慣性移動しようとする乗員をエアバッグで拘束することができる。しかしながら、例えば、シートが後ろ向きに配置され、車両の前突時に、乗員がシート後方側(車両前方側)へ慣性移動しようとする場合を想定していない。このため、車両の衝突時にシート後方側へ慣性移動しようとする乗員をエアバッグで適切に拘束するという点で改善の余地がある。
また、シート後方側へ慣性移動しようとする乗員を拘束するエアバッグは、特に、乗員が安楽姿勢で着座している場合に重要である。というのも、乗員が安楽姿勢をとるためにシートバックを過度に後傾させた状態では、車両の衝突時にシート後方側(車両前方側)へ慣性移動しようとする乗員が、シートバックから適切な反力を得られない可能性がある。このため、乗員がシートバックに沿って斜め上方へずり上がってしまい、車室内で二次衝突が発生することが懸念される。
本発明は上記事実を考慮し、車両衝突時に車両用シートに安楽姿勢で着座し、かつ、シート後方側へ慣性移動しようとする乗員を適切に拘束することができる車両用乗員保護装置を得ることを目的とする。
請求項1に記載の本発明に係る車両用乗員保護装置は、車両衝突時に、車両用シートに着座した乗員のシート後方側への慣性移動が検知又は予知され、かつ、シートバックがシート後方側へ所定の角度を超えて傾斜されている際に作動し、ガスを発生させるインフレータと、前記シートバックに収納され、前記インフレータからガスが供給されることで、前記乗員の肩部よりシート上方側からシート前方側へ膨張展開されて前記乗員の肩部を拘束する第1チャンバと、前記第1チャンバの下方側に配置され、前記乗員の背部とシートバックとの間で膨張展開される第2チャンバとを含んで構成されたエアバッグと、を有する。
請求項1に記載の本発明に係る車両用乗員保護装置では、シートバックにエアバッグが収納されており、車両衝突時に、車両用シートに着座した乗員のシート後方側への慣性移動が検知又は予知され、かつ、シートバックがシート後方側へ所定の角度を超えて傾斜されていると、インフレータが作動してエアバッグ内へガスが供給される。ここで、エアバッグは、第1チャンバと第2チャンバを含んで構成されており、第1チャンバは乗員の肩部よりシート上方側からシート前方側へ膨張展開されて乗員の肩部を拘束する。また、第2チャンバは、第1チャンバの下方側に配置されており、乗員の背部とシートバックとの間で膨張展開される。
ここで、シートバックがシート後方側へ過度に傾斜されている状態では乗員が第2チャンバを介してシートバックから受けるシート前方向の反力が減少する。すると、車両衝突時にシート後方側へ慣性移動しようとする乗員が、シートバックに沿って斜め上方へずり上がってしまう可能性がある。このような場合であっても、第1チャンバで乗員の肩部をシート上方側から拘束することができる。これにより、乗員のシートバック上方側へのずり上がりが抑制され、第2チャンバによる乗員の拘束性能を発揮することができる。
以上説明したように、請求項1に記載の本発明に係る車両用乗員保護装置によれば、車両衝突時に車両用シートに安楽姿勢で着座し、かつ、シート後方側へ慣性移動しようとする乗員を適切に拘束することができるという優れた効果を奏する。
本実施形態に係る車両用乗員保護装置による保護態様を模式的に示すものであり、運転席が後ろ向きの場合の側面図である。 図1に示される車両用乗員保護装置による保護態様を模式的に示すものであり、シート前方側から見た拡大正面図である。 対比例としての車両用乗員保護装置による保護態様を模式的に示すものであり、運転席が後ろ向きの場合の側面図である。
以下、図1〜図3に基づいて、本実施形態に係る車両用乗員保護装置としてのエアバッグ装置40について説明する。なお、各図に適宜記す矢印FR、矢印UP、矢印RHは、車両10の前方向、上方向、右方向をそれぞれ示している。以下、単に前後、上下、左右の方向を用いて説明する場合は、特に断りのない限り、車両前後方向の前後、車両上下方向の上下、進行方向を向いた場合の車両幅方向の左右を示すものとする。
(車両用シート12の構成)
図1に示されるように、エアバッグ装置40は、車両用シート12に搭載されている。
車両用シート12は、乗員の腰部L及び大腿部Dを支持するシートクッション14と、シートクッション14の後端部に傾倒可能に支持されて乗員の背部Bを支持するシートバック16と、シートバック16の上端部に上下動可能に設けられて乗員の頭部Hを支持するヘッドレスト18と、によって構成されている。なお、車両用シート12は車両10の運転席として構成され、車両10の車両幅方向中央部に対して左側又は右側にオフセットされた位置に設けられている。
また、上述した車両用シート12のシートバック16は、骨格部材である金属製のシートバックフレーム(図示省略)と、シートバックフレームに被せられ、クッション材として構成されたシートバックパッド(図示省略)と、シートバックパッドを覆ったシート表皮19と、を備えている。また、シートバックフレームは、シートバック16のシート幅方向両側部に配置されたサイドフレームと、サイドフレームの上端部同士をシート幅方向に繋ぐアッパフレームと、サイドフレームの下端部同士をシート幅方向に繋ぐロアフレームと、を備えている(何れも図示省略)。
また、図示はしないが、シートバック16のシート前後方向の前面には、後述するエアバッグ44が膨張展開する際に押圧力が作用することにより破断し開裂する開裂部(図示省略)がシート幅方向に沿って形成されている。なお、開裂部は、後述するエアバッグモジュール42の固定位置に伴い適宜設定すればよい。
補足すると、各図では、保護すべき乗員のモデルとして衝突試験用のダミー(人形)が車両用シート12のシートクッション14に着座した状態を示している。このダミーは、フルラップ前面衝突試験用ダミーのAM95(米国人成人男性の95パーセンタイル)である。以下、ダミーを乗員とみなして「乗員P」と称することとする。
ここで、本実施形態の車両用シート12は、回転式のシートとされている。一例として、車両用シート12のシートクッション14がフロアに対して車両上下方向回りに回転可能に取付けられており、乗員Pが車両前方を向く前向きと、乗員Pが車両後方を向く後向きの2つのポジションの間で回転可能とされている。
なお、図1には、着座した乗員Pが車両後方を向く後向きのポジションに車両用シート12が配置されており、当該車両用シート12を車両10の車両幅方向右側から見た側面図が示されている。また、図1では、車両10のフロアに対する鉛直線が直線Q1で示され、シートバック16の傾斜方向に沿った中心線が直線Q2で示されている。さらに、図1には、シートバック16における直線Q2の直線Q1に対するシート後方への傾斜角度θがθ1となる位置に傾斜させた状態が示されている。本実施形態では、シートバック16における直線Q2の直線Q1に対するシート後方への傾斜角度θが、θ1を超えている状態を車両用シート12の安楽姿勢位置とする。この状態の車両用シート12では、着座した乗員Pの腰部Lがほとんど屈折することなく支持され、乗員Pの着座姿勢が安楽姿勢となる構成とされている。また、車両用シート12が前向きのポジションに配置された場合と比べて、シートバック16に対する運転席のステアリングホイール24及び車両前部に配置されたウインドシールドガラス26やフロントヘッダ28との距離が縮まる状態とされている。
また、車両用シート12には、3点式のシートベルト装置20が搭載されている。このシートベルト装置20は、車両用シート12に着座した乗員Pを拘束するための非伸縮性の帯状部材として構成されるウエビング22を備えている。ウエビング22の一端部は、ウエビング巻取装置(図示省略)に係止されており、付勢力でウエビング巻取装置の巻取軸に層状に巻き取られる構成とされている。また、ウエビング22の他端部は、図示しないアンカプレート(図示省略)に係止されている。ウエビング22の中間部は、ショルダアンカ(図示省略)に挿通可能に支持されて折り返されている。また、ウエビング22の中間部には、移動可能に挿通支持されたタングプレート(図示省略)が配置されている。そして、このタングプレートを、車両用シート12のシートクッション14のシート幅方向内側部に立設されたバックル装置(図示省略)に係合させることにより、乗員Pは3点式のシートベルト装置20のウエビング装着状態となる。
シートベルト装置20のウエビング装着状態では、タングプレートからショルダアンカまでのウエビング22が乗員Pのシート幅方向外側の肩部Sを拘束するショルダウエビング22Aとして機能し、タングプレートからアンカプレートまでのウエビング22が乗員Pの腰部Lを拘束するラップウエビング22Bとして機能する。
なお、ウエビング巻取装置は車両用シート12のシートバック16の内部に配置されており、アンカプレートはシートクッション14のシート幅方向外側部に固定されている。また、ショルダアンカ(ベルトガイド)はシートバック16の上端部かつシート幅方向外側部に配置されている。これにより、シートベルト装置20のウエビング装着状態においても、車両用シート12をフロアに対して車両上下方向回りに回転可能とされている。なお、この実施形態では、一例としてウエビング巻取装置は、フォースリミッタ機構を備えたものが使用されている。
(エアバッグ装置40の構成)
図1に示されるように、エアバッグ装置40は、袋状に形成されたエアバッグ44と、作動することによりエアバッグ44にガスを供給するインフレータ50と、を含んで構成されている。このエアバッグ44は、通常時には、インフレータ50と共にエアバッグモジュール42とされ、車両用シートのシートバック16の内部かつシートバック16に形成された開裂部のシート後方側に収納されている。このエアバッグモジュール42では、エアバッグ44が蛇腹折り、ロール折り等の所定の折り畳み方で折り畳まれると共に、容易に破断するラップ材(図示省略)で包まれている。
インフレータ50は、所謂シリンダータイプのインフレータであり、円柱状に形成されている。一例として、インフレータ50は、シートバック16のサイドフレーム間に架け渡されたブラケット(図示省略)に固定されており、軸線方向がシートバック16のシート幅方向に沿う姿勢でエアバッグ44内の後端部に収容されている。具体的には、インフレータ50の外周部からは、シート前後方向後側へ向けてスタッドボルト(図示省略)が突出している。このスタッドボルトは、エアバッグ44の基布、及びサイドフレーム間に架け渡されたブラケットを貫通した状態で、先端側にはナット(図示省略)が螺合されている。これにより、エアバッグ44及びインフレータ50がブラケットを介してサイドフレームに締結固定されている。
また、インフレータ50の軸方向の一端部には、ガス噴出口(図示省略)が形成されており、インフレータ50が作動(起動)した際には、このガス噴出口から膨張展開用のガスが噴出され、エアバッグ44の内部にガスが供給される構成とされている。
図1に示されるように、インフレータ50には、ECU(Electronic Control Unit)52が電気的に接続されている。このECU52は、車両10の前面衝突又は後面衝突を予知又は検知する衝突検知センサ54と電気的に接続されている。また、ECU52は、車両用シート12の向きを検知するシート向きセンサ56と、車両用シート12が上述した安楽姿勢位置に設定されているか否かを検知するシートバックセンサ58と電気的に接続されている。そして、これらのセンサから送られる信号によって、車両衝突時に車両用シート12に着座した乗員Pのシート後方側への慣性移動が検知又は予知され、かつ、車両用シート12が安楽姿勢位置に設定されていることがECU52で検知されると、インフレータ50が作動される。
ここで、車両衝突時に、車両用シート12に着座した乗員Pがシート後方側へ慣性移動される場合とは、車両用シート12を後ろ向きのポジションに配置した状態で車両10が前面衝突する場合や、車両用シート12を前向きのポジションに配置した状態で車両10が後面衝突する場合である。
従って、衝突検知センサ54により車両の前面衝突が検知又は予知され、かつ、シート向きセンサ56によって車両用シート12が後ろ向きのポジションであることが検知され、かつ、シートバックセンサ58によって車両用シート12が安楽姿勢位置に設定されていることが検知されることを条件にインフレータ50が作動される。
又は、衝突検知センサ54により車両の後面衝突が検知又は予知され、かつ、シート向きセンサ56によって車両用シート12が前向きのポジションであることが検知され、かつ、シートバックセンサ58によって車両用シート12が安楽姿勢位置に設定されていることが検知されることを条件にインフレータ50が作動する構成とされている。
ここで、図1に示されるように、エアバッグ44は、インフレータ50からガスが供給されることに伴って膨張する第1チャンバ46と第2チャンバ48を備えており、所謂ダブルチャンバタイプのエアバッグとされている。
第1チャンバ46は、例えばナイロン系又はポリエステル系の布材で形成された2枚の基布を互いに重ね合わせて縫製することで袋状に形成されている。この第1チャンバ46には、インフレータ50のガス噴出口が挿入されており、インフレータ50から発生するガスの圧力で、シートバック16のシート上下方向の上端部かつショルダウエビング22Aの配置されないシート幅方向一端部からシート前方側へ膨張展開する。換言すると、ショルダウエビング22Aの掛かっていない乗員Pの肩部Sのシート上方側からシート前方側へ膨張展開される。また、第1チャンバ46は、膨張展開状態で、シート幅方向に沿った側面視でシート下方側を開口とする略U字形状をなすように湾曲された長尺な袋体として形成されている。このため、ショルダウエビング22Aの掛かっていない乗員の肩部Sをシート上方側から覆うように配置されている。
第2チャンバ48は、第1チャンバ46と同様に、ナイロン系又はポリエステル系の布材で形成された2枚の基布を互いに重ね合わせて縫製することで袋状に形成されている。この第2チャンバ48は、上端部かつシート幅方向内側の端部に第1チャンバ46の下部が重ね合わされて縫製されており、インフレータ50から発生するガスの圧力で、シートバック16のシート前後方向の前側面からシート前方、シート幅方向の左右、及びシート上下方向の上下へ膨張展開する。また、第2チャンバ48は、膨張展開状態で、第1チャンバ46の下方側に配置され、シート正面から見てシート上下方向に沿って長尺な略矩形状を成すように形成されている。このため、乗員Pの背部B及び腰部Lとシートバック16との間に配置される。
また、図2に示されるように、第1チャンバ46と第2チャンバ48とは、仕切り部48Aによって仕切られている。本実施形態では、袋状の第2チャンバ48の上端部かつシート幅方向内側の端部によって仕切り部48Aが構成されている。すなわち、第2チャンバ48の上端部かつシート幅方向内側の端部が仕切り部48Aとして機能している。
図2に示されるように、仕切り部48Aには1つの連通孔48Bが形成されており、この連通孔48Bを介して第1チャンバ46の内部空間と第2チャンバ48の内部空間が連通されている。これにより、インフレータ50が作動され、ガスが発生すると、先ず、第1チャンバ46の内部にガスが供給され、第1チャンバが膨張展開する。次いで、第1チャンバ46内のガスが連通孔48Bを通って第2チャンバ48へ供給され、第2チャンバ48が膨張展開する構成とされている。なお、仕切り部48Aに、連通孔48Bを複数設ける構成としてもよい。この連通孔48Bの数は、エアバッグ44の大きさやインフレータ50からのガスの供給量に応じて適宜変更すればよい。
(作用及び効果)
次に、本実施形態の作用について説明する。
上記構成のエアバッグ装置40では、シートバック16にエアバッグ44が収納されており、車両衝突時に、車両用シート12に着座した乗員Pのシート後方側への慣性移動が検知又は予知され、かつ、車両用シート12が安楽姿勢位置に設定されていることを条件に、インフレータ50が作動する。
なお、車両衝突時に、車両用シート12に着座した乗員Pがシート後方側へ慣性移動される場合とは、車両用シート12を後ろ向きのポジションに配置した状態で車両10が前面衝突する場合や、車両用シート12を前向きのポジションに配置した状態で車両10が後面衝突する場合である。また、車両用シート12が安楽姿勢位置に設定されている場合とは、図1に示されるように、シートバック16における直線Q2の直線Q1に対するシート後方への傾斜角度θが、θ1を超えている状態が検知される場合である。
すなわち、図1に示されるように、車両の前面衝突時に、車両用シート12が安楽姿勢位置に設定され、かつ、車両用シート12が後ろ向きのポジションに配置されている場合に、インフレータ50が作動する。
又は、図示はしないが、車両の後面衝突時に、車両用シート12が安楽姿勢位置に設定され、かつ、車両用シート12が前向きのポジションに配置されている場合に、インフレータ50が作動する。
このようにしてインフレータ50が作動すると、エアバッグ44内へガスが供給される。具体的には、先ず、第1チャンバ46の内部にガスが供給される。第1チャンバ46はショルダウエビング22Aの掛かっていない側の乗員Pの肩部Sよりシート上方側からシート前方側へ膨張展開されて乗員Pの肩部Sを拘束する。また、第2チャンバ48は、乗員Pの背部Bとシートバック16との間で膨張展開される。
ところで、車両用シート12が安楽姿勢位置に設定されている場合、シートバック16のシート後方側への傾きが大きいほど、乗員Pが第2チャンバ48を介してシートバック16から受けるシート前方向の反力が減少する。すると、衝突の衝撃によってシート後方側に慣性移動しようとする乗員Pが、シートバック16に沿って斜め上方へずり上がってしまう可能性がある。このような場合であっても、第1チャンバ46で乗員Pの肩部Sをシート上方側から拘束することができる。これにより、乗員Pがシート上方側へ慣性移動することが抑制され、第2チャンバ48による乗員Pの拘束性能を発揮することができる。
更に、上記作用効果について補足説明するために、対比例として図3に示される車両70が前面衝突した場合を説明する。図3には、車両用シート76が後ろ向きのポジションに配置され、さらに、車両用シート76を安楽姿勢位置に設定した状態が示されている。この車両用シート76では、車両衝突時に、車両用シート76に着座した乗員Pのシート後方側への慣性移動が検知又は予知され、かつ、車両用シート76が安楽姿勢位置に設定されていることを条件に、シートバック78と乗員Pの背部Bとの間でエアバッグ80が膨張展開される構成とされている。
上記構成によれば、車両70が前面衝突すると、衝突の衝撃によって乗員Pがシート後方側に慣性移動しようとする。このとき、前面衝突時に、シートバック78と乗員Pの背部Bとの間でエアバッグ80を膨張展開させると、エアバッグ80には、乗員Pからシート後方向の荷重F(図3参照)が入力される。この荷重Fを、シートバック78の傾斜方向に対して垂直方向の成分F1と、シートバック78の傾斜方向に沿ったシート上向きの成分F2とに分けて捉えると、乗員Pの背部Bは、成分F1に対する反力R1を、エアバッグ80を介してシートバック78から受けることができる(図3に示される矢印F1、F2、R1参照)。一方、エアバッグ80では、成分F2に対する反力を発生させる反力面が乏しいため、乗員Pが、図3において実線で示される衝突直後の着座位置から、図3において二点鎖線で示される着座位置までシートバック78に沿ってずり上がることが考えられる。そのため、乗員Pの頭部Hがウインドシールドガラス72やフロントヘッダ74へ二次衝突するおそれがある。
これに対して、本実施形態のエアバッグ装置40では、エアバッグ44の第1チャンバ46が乗員Pの肩部Sよりシート上方側からシート前方側へ膨張展開し、乗員Pの肩部Sを拘束する。このため、第1チャンバ46が反力面となって、乗員Pの肩部Sは、荷重Fの成分F2に対する反力R2を受けることができる。その結果、乗員Pがシートバック16に沿って斜め上方へずり上がってしまうことが抑制され、エアバッグ44による拘束性能を発揮することができる。
また、本実施形態では、インフレータ50が第1チャンバ46と接続されており、初めにインフレータ50から第1チャンバ46へガスが供給される構成となっている。これにより、第1チャンバ46が早期に膨張展開されることとなり、乗員Pの肩部Sを初期に拘束することができる。その結果、乗員Pのシート上方側への慣性移動を衝突早期に抑制することができ、第2チャンバ48による乗員Pの背部Bの拘束力が向上されている。
以上、本実施形態のエアバッグ装置40について説明したが、本発明の構成はこれに限らない。例えば、本実施形態では、第1チャンバ46と第2チャンバ48とを仕切り部48Aによって仕切っていたが、仕切り部48Aの無い構造としてもよい。また、テザーなど別体の部材を用いて仕切ってもよい。
また、本実施形態では、インフレータ50が第1チャンバ46と接続されており、先ず、インフレータ50から第1チャンバ46へガスが供給され、第1チャンバ46から連通孔48Bを通って第2チャンバ48へガスが供給される構成としたが、本発明はこれに限らない。例えば、インフレータ50を複数のガス発生部を備えたデュアルインフレータにより構成し、インフレータ50に形成された複数のガス噴出口によって、第1チャンバ46及び第2チャンバ48にそれぞれガスが供給される構成としてもよい。また、第1チャンバ46と第2チャンバ48にそれぞれ別体のインフレータを接続し、別個にガスが供給される構成としてもよい。
また、本実施形態では、先ず、第1チャンバ46の膨張展開が完了し、次いで、第2チャンバ48の膨張展開が完了する構成としたが、これに限らず、第1チャンバ46と第2チャンバ48の膨張展開が同時に完了する構成としてもよい。また、第2チャンバ48の膨張展開が完了し、次いで、第1チャンバ46の膨張展開が完了する構成としてもよい。この場合に、インフレータ50が第2チャンバ48に接続される構成としてもよい。
また、本実施形態では、車両用シート12の向きを前向きのポジションと後ろ向きのポジションの2通りに配置できる構成としたが、これに限らない。例えば、シート向きが車両幅方向に一致する横向きのポジションに配置できる構成としてもよい。この場合、車両用シートに着座した乗員がシート後方側へ慣性移動される車両の衝突とは、シート向きが車両幅方向右方に向いた状態で車両10の車両左側面が側面衝突した場合や、シート向きが車両幅方向左方に向いた状態で車両10の車両右側面が側面衝突した場合である。
また、本実施形態では、車両用シート12を車両10の運転席として構成したが、これに限らず、助手席や、後部座席として構成してもよい。
また、本実施形態のエアバッグ装置40では、車両用シート12を安楽姿勢位置に設定していない場合(シートバック16がシート後方側へ過度に傾斜されていない場合)においても、車両衝突時にシート後方側へ慣性移動しようとする乗員をエアバッグ44で適切に拘束することができる。従って、この点を本発明が解決しようとする課題として捉えることも可能であり、この場合、発明の構成を「車両用シートに着座した乗員がシート後方側へ慣性移動される車両の衝突が検知又は予知されることで作動し、ガスを発生させるインフレータと、前記シートバックに収納され、前記インフレータからガスが供給されることで、前記乗員の肩部よりシート上方側からシート前方側へ膨張展開されて前記乗員の肩部を拘束する第1チャンバと、前記第1チャンバの下方側に配置され、前記乗員の背部とシートバックとの間で膨張展開される第2チャンバと、を有する車両用乗員保護装置。」として捉えることができる。
10 車両
12 車両用シート
16 シートバック
40 エアバッグ装置(車両用乗員保護装置)
44 エアバッグ
46 第1チャンバ
48 第2チャンバ
50 インフレータ
P 乗員
S 肩部
B 背部

Claims (1)

  1. 車両衝突時に、車両用シートに着座した乗員のシート後方側への慣性移動が検知又は予知され、かつ、シートバックがシート後方側へ所定の角度を超えて傾斜されている際に作動し、ガスを発生させるインフレータと、
    前記シートバックに収納され、前記インフレータからガスが供給されることで、前記乗員の肩部よりシート上方側からシート前方側へ膨張展開されて前記乗員の肩部を拘束する第1チャンバと、前記第1チャンバの下方側に配置され、前記乗員の背部とシートバックとの間で膨張展開される第2チャンバとを含んで構成されたエアバッグと、
    を有する車両用乗員保護装置。

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