JP6958334B2 - 複合化高分子の製造方法 - Google Patents

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本発明は、高分子同士を共有結合させて複合化高分子を製造する方法に関するものであり、詳しくは水に不溶の多孔質高分子粒子に水溶性の合成高分子を共有結合させて、クロマトグラフィー用充填剤として好適に用いられる複合化高分子を製造する方法に関するものである。本発明により製造された複合化高分子は、クロマトグラフィー用充填剤として用いた場合に、カラム充填性に優れ、通液時の圧力損失の低いものである。
タンパク質等の生体高分子の研究・開発において、それらの吸着・分離・精製にはクロマトグラフィーが多く用いられている。特に、これらのタンパク質等を吸着する能力を向上させるために、多孔質高分子担体上に水溶性の高分子を結合した複合化高分子を固定相とするクロマトグラフィー用分離剤、とりわけイオン交換基を導入したイオン交換クロマトグラフィー分離剤が、吸着量の向上に有効と考えられ、注目されている。
従来、複合化高分子型の分離剤としては、特許文献1のように、不飽和型合成モノマーを重合してなる多孔質分離剤であって、その細孔内部が、架橋構造を有していない水溶性ポリマーが共有結合により固定化されて満たされ、かつ、その水溶性ポリマー部位に、共有結合された親和性官能基を有するものが提案されている(特許文献1)。
また、多孔質高分子担体にエクステンダーと呼ばれるポリマーを共有結合した分離剤(例えば、特許文献2)が吸着量向上に良いとして知られている。
一方、非特許文献1には、反応性官能基を有する多孔質担体にタンパク質を結合させる方法として、多孔質担体とタンパク質との混合水溶液を調製したのち硫酸アンモニウムや炭酸ナトリウム、リン酸カリウムなどの塩濃度を上げることで、多孔質担体とタンパク質との吸着相互作用を発現させ、共有結合反応を促進させる方法が開示されている。
特開2008−232764号公報 特表2001−510397号公報
Wheatley,et al,J Chromatogr A 849,1999,1-12
特許文献1の分離剤を合成する際には、水溶性ポリマーを多孔質高分子粒子の細孔内に拡散させ、続いて該多孔質高分子粒子の細孔表面に該水溶性ポリマーを共有結合で固定化させる工程が必要である。このような、水溶性ポリマーと多孔質高分子粒子、すなわち高分子同士の反応は高分子反応とも呼ぶことがあるが、一般には反応性が低いことが知られている。特許文献1においても低反応性であることが推察されるが、特許文献1には、高分子同士の反応が低反応性であることに関する課題および解決策について示唆はみられない。
また、特許文献2における多孔質高分子担体とエクステンダーの共有結合反応については、強いアルカリ水溶液中で進行させる例が開示されている程度であり、特許文献2にも高分子間の反応が低反応性であることに関する課題や解決策についての示唆はみられない。また、得られた複合化担体の圧力損失への影響に関しても、特段の示唆はみられない。
一方、非特許文献1では、担体に結合させる高分子はタンパク質に限られており、タンパク質以外の一般の合成高分子への適用の可能性について示唆はみられず、共有結合反応を進行させる条件についても不明である。さらにこの文献においてはタンパク質を結合後の担体の圧力損失への影響に関しても示唆はみられない。
非特許文献1のようにタンパク質を多孔質高分子に効率よく固定化する方法として塩濃度を上げる方法が提案されているが、一般の水溶性合成高分子を多孔質高分子に効率よく固定化する方法は知られておらず、それらの高分子同士の反応性が低いために、生産性が低いことが工業的にも課題となっていた。
また、多孔質高分子担体粒子への水溶性高分子の固定化反応は、反応性基を介した反応となる。本発明者らの検討に拠れば、両者を混合すると反応が進行するため、多孔質高分子担体粒子の表面から反応が進み、その表面近傍で水溶性高分子の固定化が進んだものが得られやすいことが判明した。このような粒子をカラムに充填すると、粒子表面での通液性が悪いので圧力損失が増大する問題がある。
加えて、多孔質高分子に水溶性の高分子を共有結合させてクロマトグラフィー用充填剤を調製する際、多孔質高分子の細孔内に拡散しうる水溶性ポリマーを固定化することが、細孔内の空間を有効利用できるようになるので、重要であることが知られている(特許文献1、2)。この固定化の際、多孔質高分子の細孔内に、水溶性の高分子を拡散させる必要があるので、細孔の大きさが、水溶性高分子の大きさよりも十分大きいことを確認する必要がある。その確認方法は、従来、特許文献1,2においては、細孔の大きさを標準高分子によるサイズ排除クロマトグラフィーにより排除限界分子量測定によって測定している。しかし、これはあくまでも標準高分子による細孔評価方法にとどまり、実際に固定化する水溶性高分子が多孔質高分子の細孔内に拡散するかどうかを評価したものではなかった。
上記のような複数の課題に対し、水溶性高分子を多孔質高分子担体の細孔の内部に拡散させたうえで固定化させる工程を採用して円滑に反応を進行させる方法が求められており、これにより、充填カラムにおける圧力損失の増大を抑えることができる複合化高分子粒子が求められている。
このように、合成高分子をベースとするクロマトグラフィー用充填剤として好適な多孔質高分子担体の細孔内に水溶性の合成高分子を十分に拡散させて固定化した複合化高分子を、高反応性にて効率的に製造する方法が求められている。
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであり、合成高分子をベースとするクロマトグラフィー用充填剤として好適な多孔性粒子の細孔内に水溶性の合成高分子を十分に拡散させて固定化した複合化高分子を、高反応性にて効率的に製造する方法を提供するものである。
本発明者らが鋭意研究を行なった結果、多孔性粒子に水溶性合成高分子を固定化する際に、例えば、水溶性合成高分子を多孔性粒子の細孔内に拡散させた状態にし、その後、塩を添加し、系内の塩濃度を上げて細孔内に拡散していた水溶性合成高分子を細孔内に疎水吸着させる工程をとると、水溶性合成高分子が細孔内のエポキシ基等の反応性官能基と比較的容易に共有結合を形成して、複合化高分子が得られることを見出した。しかも、このような方法で合成した複合化高分子粒子は、カラムに充填して通液したときの圧力損失が大きくならないことを見出した。
また、本発明者らは、多孔性粒子に水溶性合成高分子を固定化する前に、水溶性合成高分子が多孔性粒子の細孔内に拡散するか否かを評価するために、多孔性粒子をカラムに詰め、その固定化相手である水溶性合成高分子を打ち込み、サイズ排除クロマトグラフィーを実施し、細孔内に拡散することを確認した上で、固定化反応を実施すると、充填カラムにおいて圧力損失の抑制された分離剤となる複合化高分子が得られることを見出した。
即ち、本発明の要旨は、以下のとおりである。
[1] 多孔性粒子と水溶性合成高分子とを共有結合させる複合化高分子の製造方法であって、多孔性粒子と水溶性合成高分子とを塩濃度0.1mol/kg以上10.0mol/kg以下の水溶液中で混合し、共有結合反応を進行させる、複合化高分子の製造方法。
[2] 前記水溶液中の塩濃度が、1.0mol/kg以上3.0mol/kg以下である、[1]に記載の複合化高分子の製造方法。
[3] 前記水溶液中の塩濃度が、1.5mol/kg以上2.0mol/kg以下である、[1]に記載の複合化高分子の製造方法。
[4] 前記多孔性粒子と水溶性合成高分子とを混合する前記水溶液中の前記水溶性合成高分子の濃度が2.0質量%以下である、[1]〜[3]のいずれかに記載の複合化高分子の製造方法。
[5] 前記多孔性粒子と水溶性合成高分子との共有結合反応の際に、酸触媒又はアルカリ触媒を用いる、[1]〜[4]のいずれかに記載の複合化高分子の製造方法。
[6] 前記多孔性粒子が、水に不溶の高分子からなる、[1]〜[5]のいずれかに記載の複合化高分子の製造方法。
[7] 前記水溶性合成高分子が、前記多孔性粒子の細孔内に拡散しうる水溶性合成高分子である、[1]〜[6]のいずれかに記載の複合化高分子の製造方法。
本発明によれば、合成高分子をベースとするクロマトグラフィー用充填剤として好適な多孔性粒子の細孔内に水溶性の合成高分子を十分に拡散させて固定化した複合化高分子を、高反応性にて効率的に製造することができる。
本発明により製造された複合化高分子は、カラムに詰めた状態での圧力損失が小さく、クロマトグラフィー用充填剤として工業的に有用である。
以下に本発明について詳述するが、以下に記載する例示物等は、本発明の実施態様の一例(代表例)であり、本発明はその要旨を逸脱しない限り、これらの内容に限定されるものではない。
なお、本明細書において、「(メタ)アクリル」とは、「アクリル」と「メタクリル」の一方または双方をさし、「(メタ)アクリレート」についても同様である。また、「(共)重合」とは「重合」と「共重合」の一方または双方を意味する。
本発明の複合化高分子の製造方法は、多孔性粒子と水溶性合成高分子とを共有結合させる複合化高分子の製造方法であって、多孔性粒子と水溶性合成高分子とを塩濃度0.1mol/kg以上10.0mol/kg以下の水溶液中で混合し、共有結合反応を進行させることを特徴とする。
<吸着相互作用を発現させた状態>
本発明では、多孔性粒子と水溶性合成高分子を混合している、ないしは、混合した水溶液(以下「反応溶液」又は「反応系」と称す場合がある。)中で、吸着相互作用を発現させた状態で共有結合反応を進行させるが、ここで、「吸着相互作用」とは、化学的に共有結合はしていないが、物理吸着の力で多孔性粒子と水溶性合成高分子とが近接するような作用をさす。吸着相互作用としての物理吸着の形態には特に制限はなく、疎水相互作用、イオン交換相互作用、親水性相互作用が挙げられ、それらの作用が並行して発揮される状態(いわゆるミックスモード)も含まれる。
このような「吸着相互作用」を発現させた状態を実現するための手段として、本発明では、下記(1)の方法を採用して、塩濃度を0.1mol/kg以上10.0mol/kg以下に調整するが、更に、下記(2)、下記(3)又はその両方の方法を組み合わせて採用してもよい。
(1) 反応溶液に塩を添加し、その塩濃度を調整する。
(2) 反応溶液のpHを調整する。
(3) 反応溶液の温度を調整する。
以下に「吸着相互作用を発現させた状態」を達成するための各達成手段について説明する。
(1) 反応溶液の塩濃度を調整して吸着相互作用を発現させた状態とする方法
この場合、反応溶液に添加する塩としては、硫酸、塩酸、リン酸、炭酸、硝酸、塩素酸、次亜塩素酸、等の酸のアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アンモニウム塩、ホスホニウム塩、等を用いることができる。アルカリ金属塩としては、リン酸水素二カリウム、リン酸二水素カリウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム、等のリン酸のアルカリ金属塩、炭酸ナトリウム、重曹、等の炭酸のアルカリ金属塩、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、硫酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、クエン酸塩類、等を用いることができる。また、アルカリ土類金属塩としては前記酸のバリウム塩やカルシウム塩、マグネシウム塩を用いることができる。また、アンモニウム塩としては、硫酸アンモニウム等を用いることができる。その他、塩としては、チオ硫酸塩、クエン酸塩、カルボン酸塩、等を用いることもできる。これらの塩は、1種のみを用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。これらの塩の中でも、溶解度が高く、塩析しやすいことから、リン酸水素二カリウム、リン酸二水素カリウム、炭酸ナトリウム、硫酸アンモニウムが好ましい。
本発明では、上記塩濃度は、0.1mol/kg以上10.0mol/kg以下の範囲、好ましくは1.0mol/kg以上3.0mol/kg以下、より好ましくは1.5mol/kg以上2.0mol/kg以下で調整する。塩濃度は、用いる多孔性粒子及び水溶性合成高分子の種類(多孔性粒子や水溶性合成高分子の有する官能基の種類や親・疎水性の程度などの物性)や、用いる塩の種類によって最適な範囲が異なるが、例えば、以下のような塩濃度とすることが好ましい。
多孔性粒子が親水性で水溶性合成高分子が親水性の場合:反応溶液中の塩濃度は比較的高く、1.0〜10.0mol/kgとすることが好ましい。
多孔性粒子が親水性で水溶性合成高分子が疎水性の場合:反応溶液中の塩濃度は中程度で、1.0〜4.0mol/kgとすることが好ましい。
多孔性粒子が疎水性で水溶性合成高分子が親水性の場合:反応溶液中の塩濃度は中程度で、1.0〜4.0mol/kgとすることが好ましい。
多孔性粒子が疎水性で水溶性合成高分子が疎水性の場合:反応溶液中の塩濃度は比較的低く、0.1〜2.0mol/kgとすることが好ましい。
なお、本明細書において疎水性の水溶性合成高分子とは、水に溶解可能であって、かつ疎水的な性質を有するものであり、例えば溶解度パラメータが水や水溶性有機溶媒の値から離れる方向のものを指す。具体的には、例えば、グリシジルメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、などの疎水性モノマー由来の構成単位を全構成単位中に1質量%以上含む合成高分子が挙げられる。
ここで、疎水性・親水性の指標としては、Flory−Huggins式などで計算されるポリマー溶解度の考え方を用いる事ができる。
また、Flory−Huggins式の考え方に沿ったパラメータとして、溶解度パラメータが知られている。溶解度パラメータの指標は、水素結合性の良いものは比較的高値であり、水素結合性の低いものは比較的低値である。数値の例として、水素結合性が良好なものは親水性が良く、溶解度パラメータは19〜30(MPa)1/2程度であり、水素結合性の低いものは、溶解度パラメータ10〜20(MPa)1/2程度といった分類がされている。この指標は、水溶性合成高分子の親水性・疎水性の判別に使うことが出来る。たとえば、水素結合性の良い溶媒に対する溶解度の高い水溶性合成高分子は、親水性が高く、水素結合性の低い溶媒に対する溶解度の高い水溶性合成高分子は、疎水性が高い、と考える事ができる。
本発明で用いる水溶性合成高分子において、親水性の高いものは20(MPa)1/2以上の溶解度パラメータのもの、疎水性の高いものは20(MPa)1/2未満の溶解度パラメータのもの、が挙げられる。上記、溶解度パラメータの考え方は、Polymer Handbook 4th Ed, 6章、p675〜714のTable 1(溶媒の溶解度パラメータの水素結合性の順列)、Table 10(ポリマーの溶解度パラメータ)、に沿ったものが使える。
塩濃度が上記範囲となるように調整することにより「吸着相互作用を発現させた状態」を実現することができる。
(2) 反応溶液のpHを調整して吸着相互作用を発現させた状態とする方法
この場合、反応溶液のpHは、pH1以下の強酸性又はpH14以上の強アルカリ性とすることが好ましく、本発明では、そのために、以下の酸触媒又はアルカリ触媒を用いて、pHを調整することが好ましい。
酸触媒としては、硫酸、塩酸、リン酸、硝酸、トリフルオロメタンスルホン酸、等の1種又は2種以上を用いることができる。これらの酸触媒の中でも、他の物質と反応が起きにくいことから、硫酸が好ましい。アルカリ触媒としては、水酸化ナトリウム(NaOH)、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、重曹、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、水酸化バリウム等の1種又は2種以上を用いることができる。これらのアルカリ触媒の中でも、触媒としての性能に優れ、pHを調整しやすいことから、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウムが好ましい。
なお、前述の塩として、炭酸ナトリウムのようなアルカリ性の塩を用いたり、超強酸塩のような酸性の塩を用いたりすることで、これらの塩の添加で、所望のpHに調整することができる場合は、このような酸触媒又はアルカリ触媒の添加は必ずしも必要とされない。
多孔性粒子にタンパク質を固定化する従来法では、通常、このような酸触媒やアルカリ触媒は、加えないか、もしくは加えても、タンパク質が変性しない程度の少量であり、調整pH値は低くても2、高くても11程度である。
これに対して、本発明においては、水溶性合成高分子の固定化に酸又はアルカリ触媒を用いてpH1以下又はpH14以上で固定化を行うことが反応効率の面から好ましい。
(3) 反応溶液の温度を調整して吸着相互作用を発現させた状態にする方法
この場合、反応溶液の温度は3〜120℃、特に20〜70℃とすることが好ましい。反応溶液の温度がこの範囲であると固定化反応が進行しやすくなるのと、反応中の水溶性合成高分子や多孔性粒子の劣化が抑えられるとともに、吸着相互作用を発現させた状態とすることができる。
<水溶性合成高分子濃度>
本発明において、反応溶液中の水溶性合成高分子の濃度は、低濃度とすることが好ましく、具体的には、0.01質量%〜10質量%が好ましく、0.05質量%〜5.0質量%がより好ましく、0.1質量%〜2.0質量%が更に好ましい。
反応溶液中の水溶性合成高分子の濃度を低くすることにより、水溶性合成高分子を多孔性粒子の細孔内に十分に分散させて固定化することができるため、「粒子表面に過剰に固定化されて圧力損失が大きくなる」という現象を抑制することができる。また、水溶性合成高分子の濃度が過度に低いと多孔性粒子の固定化効率が低下するため、上記範囲とすることが好ましい。
通常、工業用の合成高分子は高濃度(約10〜約80質量%)の重合反応系で製造され、その後、固定化工程に用いるが、この場合、希釈すると固定化反応性が下がるので、なるべく高濃度で担体と結合させるのが従来の技術常識であった。本発明では、重合反応で得られた水溶性合成高分子を希釈した上で、前述の通り、塩や触媒を添加して固定化するが、従来は、このような操作は、排水や廃棄物が増えるので、非効率であると考えられていた。
しかし、高濃度の水溶性合成高分子溶液は、粘度が高く、担体となる多孔質粒子と混合した際に、細孔内への拡散性が悪いので、固定化反応も殆ど多孔性粒子の表面において進行するようになる。そのため、得られた粒子をカラムに充填すると、粒子の表面に多くの水溶性合成高分子が存在するので、通液性が低い、即ち、圧力損失が大きいものとなってしまう。
従来技術では、希釈すると固定化しないと考えられており、希釈は行われていなかったが、水溶性高分子を希釈した状態にすれば粘度が下がり、細孔内拡散性が上がると考えられる。本発明においては、重合反応系からの水溶性合成高分子溶液を希釈して十分に分散させた状態で、塩と、更に必要に応じて添加される触媒の存在下に、多孔性粒子と水溶性合成高分子とを混合することで、反応性を向上させ、これにより、多孔性粒子の細孔内に効率的に水溶性合成高分子を固定化することができる。
<多孔性粒子>
本発明で用いる多孔性粒子は、水に不溶な多孔性粒子であることが好ましい。ここで、水に不溶な多孔性粒子とは架橋構造を有する多孔性粒子であり、例えば、アガロース、デキストラン、セルロース、キトサン等の天然高分子系担体、およびポリスチレン、ポリ(メタ)アクリル酸エステル等の合成高分子系担体が挙げられる。具体的に合成高分子系担体としては、例えば、スチレン、エチルスチレン、メチルスチレン、ヒドロキシスチレン、クロロスチレン等のスチレン系単量体などの芳香族モノビニル化合物;(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、グリセリンモノ(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸エステル類;(メタ)アクリルアミド、ジメチル(メタ)アクリルアミド、ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド等の(メタ)アクリルアミド類;(メタ)アクリロニトリルのようなニトリル類;グリシジル(メタ)アクリレート、4,5−エポキシブチル(メタ)アクリレート、9,10−エポキシステアリル(メタ)アクリレート等のエポキシ基含有化合物;その他のビニルエステル類、ビニルエーテル類等のモノビニル単量体の1種又は2種以上を(共)重合した後、得られた(共)重合物に対してエピクロルヒドリン、(ポリ)アルキレングリコールジグリシジルエーテル、アルキレンジイソシアネート等の架橋剤を用いて架橋構造を導入することにより多孔質架橋粒子としたものや、ジビニルベンゼン、トリビニルベンゼン等の芳香族ポリビニル化合物、(ポリ)エチレングリコールジ(メタ)アクリル酸エステル、グリセロールジ(メタ)アクリル酸エステル等のポリ(メタ)アクリル酸エステル類、ポリカルボン酸ポリビニルエステル類、ポリカルボン酸ポリアリルエステル類、ポリオールポリビニルエーテル類、ポリオールポリアリルエーテル類、ブタジエン、メチレンビスアクリルアミド、イソシアヌル酸トリアリル等のポリビニル化合物の1種又は2種以上を(共)重合させたもの、もしくはこのようなポリビニル化合物の1種又は2種以上と、上述のモノビニル単量体の1種又は2種以上とを共重合して得られる多孔質架橋粒子などが挙げられる。これらのポリビニルアルコール系重合体、スチレン−ジビニルベンゼン系重合体や(メタ)アクリル系重合体のうち、好ましくは(メタ)アクリル系重合体である。
このような多孔性粒子は後述の方法で製造することができる。
<水溶性合成高分子>
本発明で用いる水溶性合成高分子は、上記の多孔性粒子の細孔内に拡散し得る水溶性合成高分子であることが好ましい。
ここで「多孔性粒子の細孔内に拡散し得る」とは、例えば、以下のような特性を満たす水溶性合成高分子が挙げられる。
即ち、多孔性粒子をカラムに充填して、排除限界や浸透限界分子量を評価する際に、排除限界を示す標準物質よりも長い保持時間を示す水溶性合成高分子である。また、浸透限界分子量を測定した時に、浸透限界分子量を示す標準物質よりも短い保持時間を示す水溶性合成高分子である。
排除限界分子量を示す標準物質の保持時間及び水溶性合成高分子の保持時間は次のように測定される。直径10mm、長さ30cmのカラムに多孔質粒子を充填し、流速0.5mL/minで200mMリン酸ナトリウム緩衝液(pH7)を流し、たとえば分子量500万〜4千万のデキストランの0.1質量%水溶液を100μL、および、0.1質量%水溶性合成高分子水溶液100μLをそれぞれ打ち込み、各々の保持時間を記録する(分子量500万〜4千万のデキストランの代わりに、該カラムの排除限界分子量と同等以上の物質であれば用いることができる。)。
浸透限界分子量を示す標準物質の保持時間及び水溶性合成高分子の保持時間は次のように測定される。直径10mm、長さ30cmのカラムに多孔質粒子を充填し、流速0.5mL/minで200mMリン酸ナトリウム緩衝液(pH7)を流し、1質量%エチレングリコール水溶液100μL、および、0.1質量%水溶性合成高分子水溶液100μLをそれぞれ打ち込み、各々の保持時間を記録する(エチレングリコールの代わりに、浸透限界の測定に使用するアセトンや硝酸ナトリウムなどの1〜数%の水溶液を用いることもできる。)。
本発明の複合化高分子がイオン交換クロマトグラフィー用充填剤として用いられる場合、本発明で用いる水溶性合成高分子はイオン交換基を有していることが好ましい。イオン交換基としては、例えば、カルボキシメチル基等のカルボキシル基、ホスホノエチル基等のホスホノアルキル基、スルホエチル基、スルホプロピル基、2−メチルプロパンスルホン酸基、スチレンスルホン酸基、スチレンスルホン酸基等のスルホアルキル基、アルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基、トリアルキルアンモニウム基等の各種アルキルアミノ基、ピリジン基、フェノキシ基、等およびこれらの塩が挙げられ、好ましくはカルボキシル基、スルホプロピル基、2−メチルプロパンスルホン酸基およびそのナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、カルボン酸塩、ホスホン酸塩、リン酸塩、塩化物、臭化物、ヨウ化物、が挙げられる。
また、グリシジル基のような反応性官能基も有していれば、後反応での官能基導入が行い易くなり、好ましい。
本発明で用いる水溶性合成高分子は、イオン交換基の無い水溶性合成高分子であってもよい。その場合は、水溶性合成高分子は、ヒドロキシ基、グリシジル基、フェニル基、カルボニル基、チオカルボニル基を有することが好ましい。
<反応操作例>
本発明の複合化高分子の製造方法は、具体的には以下の方法で実施される。
多孔性粒子と、重合により得られた水溶性合成高分子の0.1〜80質量%の水溶液と、更に水と塩を所定の仕込み量で混合して撹拌し、ここへ、酸触媒又はアルカリ触媒を添加して混合する。その後3〜200℃、好ましくは3〜120℃で0.1〜100時間反応させる。その後、必要に応じて降温し、得られた複合化高分子を反応溶液から固液分離し、必要に応じて水洗して目的の複合化高分子を得る。
多孔性粒子と水溶性合成高分子の仕込み量比は、水溶性合成高分子/多孔性粒子(乾燥状態)の質量比で0.01〜10、特に0.1〜0.70とすることが好ましい。ここで、水溶性合成高分子の質量は含有水の質量を除いた数値である。この範囲よりも水溶性合成高分子が少なく多孔性粒子が多いと、固定化反応の進行が緩やかになり、時間もかかることになる。逆に水溶性合成高分子が多く多孔性粒子が少ない場合は、反応溶液中の水溶性合成高分子濃度が高い場合が多く、前述の通り、多孔性粒子の細孔内への水溶性合成高分子の拡散効率が悪くなる可能性がある。
<平均粒子径>
本発明で製造される複合化高分子の平均粒子径は、その用途によっても異なるが、1μm以上、1000μm以下であることが好ましい。より好ましい平均粒子径は、例えば、クロマトグラフィー用充填剤としての用途において、用いる充填用カラムの用途や大きさにもよるが、5μm以上、700μm以下であり、更に好ましい平均粒子径は10μm以上、500μm以下である。平均粒子径がこの範囲より小さいと、カラムに充填して通液した時の圧力損失が大きくなり、そのため通液速度をあまり高くできず、分離処理の生産性が低下する。一方、この範囲を超えて平均粒子径が大きいと、カラムの効率が低下し、イオン交換吸着量や分離性能が低下する。なお、複合化高分子の粒子径は、担体である多孔性粒子の粒子径で実質的に決定される。
ここで、複合化高分子の平均粒子径は、既知の方法で測定することができる。例えば、光学顕微鏡にて、100個以上の粒子径を測定し、その分布から体積メジアン径を算出することで平均粒子径が得られる。粒子径分布の幅の指標である均一係数は、通常小さい方がカラムに充填して通液する時の圧力損失が小さくなり好ましい。均一係数が大きくなると、カラムへの充填効率は高くなるものの、圧力損失が大きくなる傾向にある。
[多孔性粒子の製造方法]
本発明の複合化高分子の製造方法で用いられる多孔性粒子(以下、「本発明に係る多孔性粒子」、又は単に「多孔性粒子」と記載する場合がある。)は、好ましくは官能基を有する(メタ)アクリル酸エステル誘導体由来の構成単位を2種以上含む重合体で構成される。
本発明に係る多孔性粒子は、水溶性合成高分子を固定するための担体であり、クロマトグラフィー等に使用する際の耐久性と機械的強度を担うものである。また、共有結合によって水溶性合成高分子を固定化できるための反応性官能基を有するものである。
本発明に係る多孔性粒子は、水に不溶の架橋合成高分子であることが好ましく、分離時の水媒体との親和性が高く、選択率向上に有効な(メタ)アクリル酸エステル単量体由来の構成単位を含むことが好ましい。なお、以下で説明する各構造単位の質量割合は原料として用いられる各化合物の質量割合に基づいて定められるものとする。
本発明に係る多孔性粒子における架橋合成高分子の構成単位に相当する反応性官能基付与性を有する重合性単量体としては、イオン交換基を含む合成高分子鎖を共有結合で固定化できるような反応性官能基そのものを有する(メタ)アクリル系単量体か、又はこのような反応性官能基を有する化合物(リンカー)と反応可能な官能基を有する(メタ)アクリル系単量体があり、本発明にはそのいずれも使用可能である。
このイオン交換基を含む合成高分子鎖を共有結合で固定化できる反応性官能基(以下、「共有結合性官能基」と称す場合がある。)としては、イオン交換基を含む合成高分子鎖の結合部位に相当する官能基の種類に応じて選択すればよいが、例えばイオン交換基を含む合成高分子鎖が、結合部位にアミノ基を有する場合、このアミノ基と共有結合可能な官能基としては、エポキシ基、カルボキシル基などが挙げられる。中でも反応性の点から、エポキシ基が好ましい。
このようなエポキシ基を有する(メタ)アクリル系単量体としては、グリシジル(メタ)アクリレート、4,5−エポキシブチル(メタ)アクリレート、9,10−エポキシステアリル(メタ)アクリレート等のエポキシ基含有(メタ)アクリル酸エステル誘導体などが挙げられる。
本発明に係る多孔性粒子における架橋合成高分子は、多孔性粒子に架橋構造を付与するために、重合反応時に重合可能な官能基を分子中に複数個有する多官能性単量体由来の構造単位を有していてもよい。
このような多官能性単量体としては、例えばジビニルベンゼン、トリビニルベンゼン等の芳香族ポリビニル化合物、(ポリ)エチレングリコールジ(メタ)アクリル酸エステル、グリセロールジ(メタ)アクリル酸エステル等のポリ(メタ)アクリル酸エステル類、ポリカルボン酸ポリビニルエステル類、ポリカルボン酸ポリアリルエステル類、ポリオールポリビニルエーテル類、ポリオールポリアリルエーテル類、ブタジエン、メチレンビスアクリルアミド、イソシアヌル酸トリアリル等のポリビニル化合物が挙げられ、より具体的にはペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
この中でもビニル基を2つ以上有する(メタ)アクリル酸エステル誘導体は好適な多官能性単量体の一つである。
また、多孔性粒子における架橋合成高分子は、上述の単量体以外の単量体(以下、「その他の単量体」と記載する。)由来の構造単位を含んでいてもよい。その他の単量体の割合は、本発明の効果を損なわない範囲で決定される。
その他の単量体として、例えば、スチレン系単量体としては、スチレン、エチルスチレン、メチルスチレン、ヒドロキシスチレン、クロロスチレン等の単量体;(メタ)アクリル系単量体として、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、グリセリンモノ(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸エステル類、(メタ)アクリルアミド、ジメチル(メタ)アクリルアミド、ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド等の(メタ)アクリルアミド類、(メタ)アクリロニトリルのようなニトリル類などが例示できる。
また、上述の(メタ)アクリレート以外の架橋性単量体として、アリルグリシジルエーテル、ビニルグリシジルエーテル、4−エポキシ−1−ブテンなどが挙げられる。
多孔性粒子を構成する架橋合成高分子における、上記多官能性単量体、例えば、ビニル基を2つ以上を有する(メタ)アクリル酸エステル単量体由来の構成単位の割合は、架橋合成高分子全量を100質量%として、10質量%以上70質量%以下であることが好ましく、15質量%以上65質量%以下であることがより好ましく、40質量%以上60質量%以下であることが最も好ましい。当該構成単位の割合が10質量%未満であると、細孔が十分に形成されずにイオン交換吸着量が低くなったり、細孔内の拡散性が低下したりする。また、70質量%を超えると、分離剤自体の疎水性が増加して非特異吸着が大きくなったり、細孔が小さくなって拡散性が低下したり、水溶性合成高分子と共有結合させる単量体単位の割合が減るために水溶性合成高分子の結合量が十分に稼げなくなったりする問題がある。
本発明に係る多孔性粒子として好適な架橋合成高分子において、好ましく用いられる官能基を有する(メタ)アクリル酸エステル誘導体由来の構成単位は、エポキシ基を有する(メタ)アクリル酸エステル誘導体由来の構成単位(以下、「構成単位(a)」と記載する場合がある。)と、ビニル基を2つ以上有する(メタ)アクリル酸エステル誘導体由来の構成単位(以下、「構成単位(b)」と記載する場合がある。)とを含むものである。
このような構成単位(a)と構成単位(b)の割合は、「架橋合成高分子を構成する官能基を有する(メタ)アクリル酸エステル誘導体由来の構成単位の合計質量」に対して、好適には
構成単位(a):90質量%以上30質量%以下、
構成単位(b):10質量%以上70質量%以下、
であり、より好適には、
構成単位(a):60質量%以上40質量%以下、
構成単位(b):40質量%以上60質量%以下、
である。
なお、「架橋合成高分子を構成する官能基を有する(メタ)アクリル酸エステル誘導体由来の構成単位の合計質量」は、官能基を有する(メタ)アクリル酸エステル誘導体由来の構造単位を2種以上含む重合体が、構成単位(a)及び構成単位(b)のみからなる場合には、「エポキシ基を有する(メタ)アクリル酸エステル誘導体由来の構成単位(a)」と「ビニル基を2つ以上有する(メタ)アクリル酸エステル誘導体由来の構成単位(b)」の合計質量である。
また、構成単位(a)及び構成単位(b)以外に、他の構造単位を含む場合は、「エポキシ基を有する(メタ)アクリル酸エステル誘導体由来の構成単位(a)」、「ビニル基を2つ以上有する(メタ)アクリル酸エステル誘導体由来の構成単位(b)」及び「他の官能基を有する(メタ)アクリル酸エステル誘導体由来の構成単位」の合計質量である。
上記の架橋合成高分子からなる多孔性粒子を製造する方法としては、例えば、特公昭58−058026号公報や、特開昭53−090911号公報に開示されているような方法を用い、上述の架橋性官能基を有する(メタ)アクリル酸エステル単量体(及びその他の単量体)を、懸濁重合や乳化重合させることによって行う方法が挙げられる。原料となる単量体については、架橋合成高分子の構造単位として上述した通りである。また、これらの単量体の重合における使用量は、多孔性粒子を構成する架橋合成高分子における構造単位が目的とする割合になるように調整される。
好適な単量体の種類や割合等についても架橋合成高分子の構造単位として上述した通りである。
特に平均粒子径が1μm以上、1000μm以下の架橋合成高分子からなる多孔性粒子を形成できる点で、例えば特開平1−54004号公報に記載されているような、懸濁重合法により製造することが好ましい。
架橋合成高分子からなる多孔性粒子の物性(細孔の径、細孔の総容積、比表面積、空孔率等)は、用いる原料単量体の種類・量や、重合方法の種類、重合の操作条件、その他を調節すること等により、適宜制御することができる。
例えば、多孔性粒子の平均粒子径は、懸濁重合の操作条件、例えば、上記の各種原料単量体の種類・量の選択、乳化剤及び/又は保護コロイド剤の種類・量の選択、及び撹拌の強度(撹拌回転数等)、その他を調節すること等により、適宜制御することができる。
架橋合成高分子からなる多孔性粒子の細孔の径や細孔の総容積、比表面積、空孔率等は、用いる重合性単量体の種類・量や、重合時の水(ここで用いる水は、懸濁重合を行うために、ポリビニルアルコール、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、等の界面活性剤を0.001〜5質量%含む水溶液であってもよい。)と単量体との量比、あるいは重合に際して重合に不活性な有機溶媒(多孔質化剤)を反応系中に所定量共存させ、その種類や量を制御することによって調整することができる。更に、重合開始剤の種類・量によっても調整が可能である。例えば、重合時の水と単量体との量比としては、架橋合成高分子の原料となる単量体の総量を100質量部とした時に、水の使用量は通常400〜2000質量部であり、500〜1500質量部が好ましく、800〜1450質量部が最も好ましい。即ち、水/単量体の総量の質量比は、通常1〜20、好ましくは1〜15、最も好ましくは2〜14.5である。
また、架橋合成高分子の原料となる単量体を、多孔質化剤の共存下で重合することにより、より細孔物性に優れた多孔性粒子を得ることができる。多孔質化剤としては、トルエン、4−メチル−2−ペンタノール、1−ヘキサノール、シクロヘキサノール、1−オクタノール、デカノール、ドデカノール、テトラデカノール、4−メチル−2−ペンタノン、酢酸ブチル、2,6−ジメチル−4−ヘプタノン、クロロベンゼン、2−オクタノン、酢酸エチル、フタル酸エステル類、1,2−ジクロロプロパン、ジクロロメタン等が挙げられる。なかでも、架橋度を低くしても細孔容積や比表面積を大きくできることから、シクロヘキサノール、2,6−ジメチル−4−ヘプタノン、4−メチル−2−ペンタノール、4−メチル−2−ペンタノン、2−オクタノン、フタル酸エステル類等の脂肪族系の多孔質化剤であることが好ましく、特に架橋合成高分子の架橋度が低い場合には2−オクタノン、4−メチル−2−ペンタノール、4−メチル−2−ペンタノン、2,6−ジメチル−4−ヘプタノン、酢酸エチルがより好ましい。
なお、多孔質化剤の配合量としては、架橋合成高分子の原料となる単量体の総量を100質量部とした時に、多孔質化剤の配合量は、通常80〜300質量部であり、90〜260質量が好ましく、120〜230質量部が最も好ましい。
特に、用いる多孔質化剤の種類によっては架橋剤として働く多官能性単量体の量(架橋度)の好ましい範囲が存在する。
芳香族系多孔質化剤の場合は、重合時の相分離が良好なため、細孔が形成されやすく、架橋度が低くても細孔容積が充分で比表面積や水分含有量、空孔度の良好な多孔性粒子を得ることが出来る。原料となる単量体の合計質量に対する多官能性単量体の割合で示される架橋度の好適な範囲は10質量%以上、90質量%以下、より好ましくは40質量%以上、70質量%以下である。
一方、脂肪族多孔質化剤の場合は、単量体と多孔質化剤、ならびに重合で生成する架橋合成高分子と多孔質化剤との相溶性が良好である。この場合、細孔を発達させる手段として、架橋剤の量が少ない場合には多孔質化剤の量は少なめに設定し、緩やかに相分離を進行させると良い。一方、架橋度が高い場合には、多孔質化剤の量を増やすことで、発達した細孔の多孔質架橋粒子を得ることが出来る。
芳香族系の多孔質化剤、また、脂肪族系の多孔質化剤、それぞれに好適な架橋度、ならびに、好適な多孔質化剤の添加量がある。
芳香族系多孔質化剤を使う場合、架橋度50質量%以上、70質量%以下が好ましく、その場合の多孔質化剤の添加量の好適範囲は、架橋合成高分子の原料となる単量体の総量を100質量部とした時に、150質量部以上、200質量部以下である。
脂肪族系多孔質化剤を使う場合、架橋度10質量%以上、40質量%以下の領域では、多孔質化剤の添加量の好適範囲は、架橋合成高分子の原料となる単量体の総量を100質量部とした時に、100質量部以上、150質量部以下である。この場合、架橋度のより好適な範囲は20質量%以上、40質量%以下である。
脂肪族系多孔質化剤を使う場合、架橋度40質量%以上、70質量%以下の領域では、多孔質化剤の添加量の好適範囲は、架橋合成高分子の原料となる単量体の総量を100質量部とした時に、150質量部以上、300質量部以下である。
さらに、重合開始剤の種類・量を選択することにより、より細孔物性に優れた多孔性粒子を得ることができる。重合開始剤としては、t−ブチルハイドロパーオキシド、過酸化ジベンゾイル、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)(以下、ADVNと略すことがある。)、ジメチル=2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)(以下、MAIBと略すことがある。)等が挙げられる。なお、重合開始剤の配合量としては、架橋合成高分子の原料となる単量体の総量を100質量部とした時に、重合開始剤の配合量は、通常0.01〜3質量部であり、0.1〜2質量が好ましく、0.3〜1.5質量部が最も好ましい。
架橋合成高分子からなる多孔性粒子は、重合反応の後に、マイナス20℃以上プラス60℃以下の温度で減圧乾燥し、乾燥状態で分級して製造することが好ましい。このような処理を行う利点としては、重合工程由来、洗浄工程由来で残存する溶媒成分や単量体成分などの揮発性不純物を除去できる点、又、減圧乾燥では乾燥温度を高く設定しなくて良いため、多孔性粒子の反応性官能基の分解を抑制できる点が挙げられる。また、湿潤分級の問題点としては、イオン交換基を含む合成高分子鎖結合用の多孔性粒子の分級には水からの汚染を避けるため高純度の水を大量に消費する点、また、100μm以下の粒子を篩い分けする際には篩いの目詰まりが起こりやすく生産性が低い問題点があるが、乾燥分級の利点としては篩いを使用しない風簸分級法が適用でき、工業スケールでの大量製造に向いている。一方、従来の常圧乾燥法では、乾燥する際に粒子同士が付着しやすく、その後の分級工程で付着粒子がほぐれる時に粒子表面が剥離する問題が生じることがある。減圧乾燥では乾燥温度を高く設定しなくて良いため、そのような付着粒子の表面剥離現象は軽減される。水分含有量が高い多孔性粒子や、空孔率の大きな多孔性粒子、乾燥時に細孔容積が小さくなる多孔性粒子、また、(メタ)アクリル酸エステル系のような比較的強度の低い多孔性粒子において、上述の問題は特に顕著に見られることがあるので、減圧乾燥のような緩やかな乾燥方法での乾燥を経て分級する方法が好ましい。
[水溶性合成高分子の製造方法]
水溶性合成高分子は、通常、前述の多孔性粒子の表面に残存するエポキシ基及び/またはアミノ基等の共有結合性官能基と、水溶性合成高分子が有するイオン性官能基との共有結合で固定化される。
ここで、イオン性官能基とは、何らかのイオン性を有する官能基であり、なかでもイオン交換基であることが好ましく、例えば、カルボキシメチル基等のカルボキシル基、ホスホノエチル基等のホスホノアルキル基、スルホエチル基、スルホプロピル基、2−メチルプロパンスルホン酸基等のスルホアルキル基、アルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基、トリアルキルアンモニウム基等の各種アルキルアミノ基、ピリジン基等が挙げられ、好ましくはカルボキシル基、スルホン酸基、スルホプロピル基、2−メチルプロパンスルホン酸基、2級アミン基、3級アミン基、4級アンモニウム基、が挙げられる。
水溶性合成高分子は、これらのイオン交換基の1種のみを含むものであってもよく、2種以上を含むものであってもよい。
水溶性合成高分子としては、より好ましくは水酸基を複数有する水溶性合成高分子である。水酸基を複数有する合成ポリマーとしては、ポリグリセリン、ポリグリシドール、アリルグリシジルエーテル−グリシドール共重合体等のポリエーテルポリオール類、(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2,3−ジヒドロキシプロピル等の(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキル類、ヒドロキシエチルビニルエーテル、ヒドロキシブチルビニルエーテル等のヒドロキシアルキルビニルエーテル類、メチロールアクリルアミド、ヒドロキシエチルアクリルアミド等のアルキロールアクリルアミド類等の一級水酸基を含むモノビニル単量体の1種又は2種以上の(共)重合体またはこれらの一級水酸基を含むモノビニル単量体の1種又は2種以上とその他の官能基を含むモノビニル単量体の1種又は2種以上との共重合体等が挙げられる。
本発明に係る水溶性合成高分子鎖は、重合反応性が良好、共重合性が良好、重合完結度が良好、後処理・後反応のバリエーションが豊富、また、工業的に入手が容易といった観点から、下記式(1)〜(3)で表されるモノマーのいずれかに由来する構造単位を含むことが好ましい。
Figure 0006958334
(式(1)中、Rは水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を表す。Rは−NR−R−R又は−O−R−Rを表す。Rは水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を表す。Rは脂肪族環を含む炭素数1〜6のアルキレン基、又は炭素数1〜6の直鎖又は分岐のアルキレン基を表す。Rは、ハロゲン原子、アルコール性OH基、スルホン酸基、カルボキシル基、アミノ基、グリシジル基、アルデヒド基又はエポキシ基を表す。
式(2)中、Rは、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、スルホン酸基、カルボキシル基、アミノ基、グリシジル基、アルデヒド基又はエポキシ基を表す。
式(3)中、Rは炭素数1〜6の直鎖又は分岐のアルキレン基を表す。)
従って、水溶性合成高分子は、上記(1)〜(3)で表されるモノマーのいずれかを原料モノマーとして製造されたものであることが好ましい。
上記式(1)で表されるモノマーとしては、アリルグリシジルエーテル−グリシドール共重合体等のポリエーテルポリオール類、(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2,3−ジヒドロキシプロピル等の(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキル類、ヒドロキシメチルアクリルアミド、ヒドロキシエチルアクリルアミド等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリルアミド類、ヒドロキシエチルビニルエーテル、ヒドロキシブチルビニルエーテル等のヒドロキシアルキルビニルエーテル類、N−(2−ヒドロキシエチル)アクリルアミド、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、2−メタクリルアミド−2−エタンスルホン酸、2−メタクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、(3−アクリルアミドプロピル)トリメチルアンモニウムクロリド、N−[3−(N’,N’−ジメチルアミノ)プロピル]アクリルアミド等の1種又は2種以上が挙げられ、これらのうちヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシメチルメタクリレート、ヒドロキシメチルアクリルアミド、N−(2−ヒドロキシエチル)アクリルアミド、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、2−メタクリルアミド−2−エタンスルホン酸、2−メタクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、(3−アクリルアミドプロピル)トリメチルアンモニウムクロリド、N−[3−(N’,N’−ジメチルアミノ)プロピル]アクリルアミドが好ましく、ヒドロキシメチルアクリルアミド、N−(2−ヒドロキシエチル)アクリルアミド、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、(3−アクリルアミドプロピル)トリメチルアンモニウムクロリド、N−[3−(N’,N’−ジメチルアミノ)プロピル]アクリルアミドがより好ましい。
上記式(2)で表されるモノマーとしては、スチレンスルホン酸、スチレンスルホン酸塩等の1種又は2種以上が挙げられ、これらのうちスチレンスルホン酸塩が好ましく、p−スチレンスルホン酸ナトリウムがより好ましい。
上記式(3)で表されるモノマーとしては、ビニルフェニルメタンスルホン酸、ビニルフェニルエタンスルホン酸、ビニルフェニルプロパンスルホン酸、ビニルフェニルブタンスルホン酸等の1種又は2種以上が挙げられ、これらのうちビニルフェニルメタンスルホン酸、ビニルフェニルプロパンスルホン酸、ビニルフェニルブタンスルホン酸が好ましく、4−ビニルフェニルメタンスルホン酸がより好ましい。
これらのうち、特に(1)のモノマーを2種以上使用することが好ましく、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸およびN−(2−ヒドロキシエチル)アクリルアミドの2種を使用することが好ましい。
特に、本発明では、水溶性合成高分子の製造原料として、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、スチレンスルホン酸、ビニルスルホン酸等のスルホン酸基、等を有するモノマー(「モノマーA」と称す場合がある。)と、N−(2−ヒドロキシエチル)アクリルアミド等のアルコール性水酸基を有するモノマー(「モノマーH」と称す場合がある。)とをモル比A/Hが1/100〜100/1となるように用いることが吸着量向上の観点から好ましい。
また、本発明では、水溶性合成高分子の製造原料として、水溶性の低いモノマーも使用することができる。水溶性の低いモノマーの例示としてはグリシジルメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、グリセリンメタクリレート、アクリルアミド、スチレン、ジビニルベンゼン等が挙げられる。水溶性の低いモノマーを使用すると、固定化担体である多孔性粒子に疎水吸着が起こりやすい方向なので、塩の添加量の少ない条件においても効率的に固定化反応が進行する。
<水溶性合成高分子の分子量>
水溶性合成高分子の分子量については特に制限はないが、通常100以上、好ましくは200以上、より好ましくは250以上であり、一方、通常5,000,000以下、好ましくは1,000,000以下、より好ましくは600,000以下である。水溶性合成高分子の分子量が小さ過ぎると、多孔性粒子に固定化することによる吸着量向上効果が低減する傾向にあり、一方で大き過ぎると水溶性合成高分子が多孔性粒子の細孔内空間の大多数を占めることによりタンパク質等の高分子量の分離対象物が細孔内空間に拡散浸透する余地が少なくなることとなる。
<水溶性合成高分子の粘度>
また、水溶性合成高分子の粘度は、この水溶性合成高分子の30質量%濃度の水溶液について、室温(25℃±2℃)でB型粘度計で測定した値で、1mPa・s以上、1000mPa・s以下であることが好ましく、この粘度は、特に10mPa・s以上、800mPa・s以下であることがより好ましく、50mPa・s以上、500mPa・s以下であることがさらに好ましい。水溶性合成高分子の粘度が上記下限より低いことは、水溶性合成高分子の分子量が小さいことを意味し、多孔性粒子に固定化することによる吸着量向上効果が低減する傾向にあり、上記上限より大きいことは、水溶性合成高分子の分子量が大きいことを意味し、水溶性合成高分子が多孔性粒子の細孔内空間の大多数を占めることによりタンパク質等の高分子量の分離対象物が細孔内空間に拡散浸透する余地が少なくなる。特に多孔性粒子の細孔内への拡散性の観点から、多孔性粒子の細孔径に適する分子量の範囲となるように水溶性合成高分子の粘度を適宜調整することが好ましい。
以下、実施例を用いて本発明を更に具体的に説明するが、本発明はその要旨を逸脱しない限り、以下の実施例の記載に限定されるものではない。
なお、略号としては、以下のものを用いた。
GMM:グリシジルメタクリレート
EGDMM:エチレングリコールジメタクリレート
MIBK:4−メチル−2−ペンタノン
AAMPS:2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸
HEAA:N−(2−ヒドロキシエチル)アクリルアミド
AAPMAC:(3−アクリルアミドプロピル)トリメチルアンモニウムクロリド
DMAPAA:N−[3−(N、N’−ジメチルアミノ)プロピル]アクリルアミド
[測定・評価方法]
<複合化高分子の平均粒子径>
複合化高分子の平均粒子径は、光学顕微鏡を用いて顕微鏡写真を撮影し、一視野あたり100個の粒子の径を測定し、その平均値を平均粒子径とした。
<官能基導入量>
[陽イオン交換基を含む水溶性合成高分子の場合]
検体樹脂(複合化高分子)5mLを含むスラリー水溶液を25mL容量のメスシリンダーに入れ、タップしながら樹脂を沈降させ、樹脂5.0mLを量り取った。この樹脂を濾別し、カラムに入れて1M塩酸100mLを流して再生し、水で充分水洗し流出水のpHが中性になったのを確認した。得られた樹脂を濾別し、それを5質量%塩化ナトリウム水溶液50mLと混合し、遊離した酸を滴定し、滴定値を樹脂体積で割って、樹脂あたりの官能基導入量とした。
[陰イオン交換基を含む水溶性合成高分子の場合]
検体樹脂(複合化高分子)5mLを含むスラリー水溶液を25mL容量のメスシリンダーに入れ、タップしながら樹脂を沈降させ、樹脂5.0mLを量り取った。この樹脂を濾別し、カラムに入れて1M水酸化ナトリウム100mLを流して再生し、水で充分水洗し流出水のpHが中性になったのを確認した。得られた樹脂を濾別し、それを5質量%塩化ナトリウム水溶液50mLと混合し、遊離したアルカリを滴定し、滴定値を樹脂体積で割って、樹脂あたりの官能基導入量とした。
<圧力損失>
検体樹脂(複合化高分子)を内径20mm、長さ300mmのカラムに供給し、定流量ポンプで流速100mL/minで水を通水し、約5〜7%の圧縮率で充填した。次に600cm/h相当の流速で水を通液し、その時のカラム上部の圧力を記録した。そのカラム圧力と空カラムでの圧力との差を圧力損失の値とした。この値は1.5MPa/m以下が好ましい。
<吸着量(インシュリン)>
検体樹脂(複合化高分子)を内径7mm、長さ26mmのカラムに充填した。インシュリン(シグマ試薬、ウシ膵臓由来)の2g/L水溶液を0.025Mのクエン酸ナトリウム緩衝液(pH=3.5)で調製し、流速0.5mL/minで前記カラムに流した。カラム出口の吸光度を監視し、原液をカラム無しで流した時の吸光度と比べて10%破過した時点までに流通させ、単位検体樹脂(複合化高分子1L)当たりの吸着されたインシュリンの総量を吸着量とした。
<吸着量(γグロブリン)>
検体樹脂(複合化高分子)を内径5mm、長さ100mmのカラムに充填し、濃度1g/Lとしたヒトガンマグロブリン(和光純薬試薬)の酢酸緩衝液(pH5.5)を通液した。カラム流出液の吸光度が原液の吸光度の10%に達するまで通液し、その通液量をもとに動的吸着容量を算出した。得られた値は単位検体樹脂(複合化高分子1L)当たりの吸着容量に換算した。
<水溶性合成高分子の粘度>
JIS K7117−1に従って、単一円筒型回転粘度計(スピンドルタイプ、B型粘度計)を使用し、300mLトールビーカに水溶性合成高分子の水溶液を入れ、ガード無しで測定した。標準ロータのM1ロータを使用し、所定の補正係数を掛けた値を粘度とした。測定は25℃(±2℃)で行い、30質量%濃度の水溶性合成高分子水溶液について測定した。
[参考例]
実施例で用いた水溶性合成高分子が、「多孔性粒子の細孔内に拡散し得る」水溶性合成高分子であることの確認試験を、以下の通り行った。
実施例2と同様にして多孔質架橋粒子を重合し、38〜74μmの篩いで粒子を篩い分けて多孔性粒子を得た。これを直径10mm、長さ30cmのカラムに充填し、0.5mL/minの流速で200mMリン酸ナトリウム緩衝液(pH=7)を流して、安定させた。安定化後、1質量%濃度に調製した水溶性合成高分子、デキストランまたはエチレングリコールの水溶液をそれぞれ100μL打ち込み、カラム出口をRI検出器でモニターした。なお、ここで用いた水溶性合成高分子は、それぞれ粘度が200mPa・s、300mPa・s、および、500mPa・sであるものを用いた。この水溶性合成高分子は、実施例1と同様の方法で重合したものであり、粘度200mPa・sのものは実施例1と同様のα−チオグリセロール量0.3質量部で重合した。また、粘度300mPa・sのものはα−チオグリセロール0.25質量部、粘度300mPa・sのものはα−チオグリセロール0.2質量部として、それぞれ重合を行い、本試験に供した。
カラムに注入した各試料で検出された保持時間は、下記表1の通りであり、水溶性合成高分子の粘度200mPa・s、300mPa・s、500mPa・sの順番でカラム保持時間が短くなっていることがわかり、分子量300万〜700万のデキストランよりも保持時間が長く、また、エチレングリコールよりも保持時間が短くなっていた。また、粘度の低い水溶性合成高分子のほうが多孔性粒子の細孔内へ良好に拡散する傾向も見られた。
粘度200mPa・s相当の水溶性合成高分子を固定化するにあたって、該水溶性合成高分子が多孔性粒子の細孔内へ拡散することが本参考例からわかる。
Figure 0006958334
[実施例1]
<架橋合成高分子からなる多孔性粒子の製造>
ポリビニルアルコール(日本合成化学製)を溶解し2質量%とした水1000質量部中に、グリシジルメタクリレート(和光純薬製)50質量部、エチレングリコールジメタクリレート(和光純薬製)50質量部、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)1質量部(和光純薬製)、及び4−メチル−2−ペンタノン(和光純薬製)150質量部の混合物を室温下で加え、窒素流通雰囲気で撹拌して懸濁状態とした。このとき、撹拌速度を調整して液滴の平均直径が約90μmになるようにした。この懸濁液を70℃に昇温し、窒素流通雰囲気で3時間反応させた。冷却後、得られた架橋合成高分子からなる多孔性粒子を水洗後、メタノール洗浄し、乾燥、分級して目的とする多孔性粒子を得た。
<陽イオン交換基を含む水溶性合成高分子の合成>
2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸(東京化成試薬)70質量部、N−(2−ヒドロキシエチル)アクリルアミド(試薬)60質量部、α−チオグリセロール0.3質量部、水125質量部を加えて溶解させた(溶液A)。
別に、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)ジヒドロクロリド(和光試薬)0.7質量部および水148質量部を混合し、70℃に維持し、これに溶液Aを滴下して4時間反応させ、陽イオン交換基を含む水溶性合成高分子の水溶液を得た。得られた水溶液中の水溶性合成高分子の濃度は30質量%であった。なお、本水溶性合成高分子の粘度は約200mPa・sである。
<陽イオン交換基を含む水溶性合成高分子の固定化>
上記で得られた架橋合成高分子からなる多孔性粒子(湿潤状態)を14質量部、上記陽イオン交換基を含む水溶性合成高分子の30質量%水溶液を11質量部、水98質量部、硫酸アンモニウム((NHSO))1質量部を加えて、スラリーを調製し、25℃で撹拌した。これに、4Mの硫酸アンモニウム水溶液を700質量部、1時間かけて添加した。その後、47質量%硫酸を12量部加え(pH1)、50℃で6時間反応させた。その後降温して粒子を濾過、水洗し、目的の複合化高分子を得た。
<評価>
得られた複合化高分子の平均粒子径、官能基導入量を測定した結果を表2にまとめて示す。また、固定化を行うために仕込んだ水溶性合成高分子量に対する、固定化された水溶性合成高分子量を固定化率(%)で示した。なお、固定化率は下記式(1)により求めた。実施例2〜7及び比較例1においても同様である。
<陽イオン交換基含有ポリマーの固定化の際の固定化率算出方法>
固定化率(陽イオン交換基を含む分離剤の場合)(%)
= {(固定化反応後の乾燥状態での樹脂質量)−(固定化反応前の乾燥状態での樹脂質量)}/(仕込んだ水溶性合成高分子の量×仕込んだ水溶性合成高分子の濃度)×100 … (1)
ここで、式(1)中の固定化反応前もしくは固定化反応後の乾燥状態での樹脂質量は、以下式(2)または(3)により求めた。
(固定化反応前もしくは固定化反応後の乾燥状態での樹脂質量)=(固定化反応前もしくは固定化反応後の湿潤状態での質量)×(1−固定化反応前もしくは固定化反応後の湿潤状態の樹脂の水分含有量(%)/100) … (2)
なお、固定化反応前の樹脂を乾燥状態で仕込んだ場合は、
(固定化反応前の乾燥状態での樹脂質量)=(乾燥状態での樹脂仕込み量) … (3)
とした。
[実施例2〜7]
多孔性粒子の製造において、グリシジルメタクリレート量を40質量部、エチレングリコールジメタクリレートを60質量部、及び4−メチル−2−ペンタノンを230質量部に変更した以外は実施例1と同様にして多孔性粒子を得た。
上記の多孔性粒子および実施例1と同様にして得られた水溶性合成高分子を使用し、かつ、多孔性粒子および水溶性合成高分子の仕込み量、添加する塩の種類、塩の到達濃度、滴下時間、触媒量、触媒種をそれぞれ表2に記載の通り変えた以外は実施例1と同様にして、目的の複合化高分子を得た。
得られた複合化高分子の平均粒子径、官能基導入量、圧力損失を測定した結果を表2にまとめて示す。また、固定化を行うために仕込んだ水溶性合成高分子量に対する、固定化された水溶性合成高分子量を固定化率(%)で示した。また、実施例2については、インシュリンの吸着量を測定し、その結果を併記した。
[比較例1]
実施例2と同様にして得られた多孔性粒子および実施例1と同様にして得られた水溶性合成高分子を使用し、かつ、多孔性粒子および水溶性合成高分子の仕込み量、触媒種をそれぞれ表2に記載の通り変え、塩を添加しなかった以外は実施例1と同様にして、目的の複合化高分子を得た。
得られた複合化高分子の平均粒子径、官能基導入量、圧力損失を測定した結果を表2にまとめて示す。また、固定化を行うために仕込んだ水溶性合成高分子量に対する、固定化された水溶性合成高分子量を、固定化率(%)で示した。
Figure 0006958334
表2より次のことが分かる。
固定化反応の際の塩濃度およびpHを調整した実施例1〜7では、仕込んだ水溶性合成高分子量に対して、高い割合で固定化されており、比較例1に対して固定化の効率が極めて高い。このことより、実施例では吸着相互作用を発現させた状態で共有結合反応を円滑に進行できていることがわかる。
また、固定化反応に供する液中の水溶性合成高分子濃度が十分に低い実施例2,4,6では、実施例7および比較例1に比べて圧力損失が低い複合化高分子が得られている。これは、水溶性合成高分子が多孔性粒子の細孔内に分散して固定化されており、粒子表面に過剰に固定化されて圧力損失が大きくなることがないことを示している。
[実施例8]
<架橋合成高分子からなる多孔性粒子の製造>
多孔性粒子の製造において、ポリビニルアルコール(日本合成化学製)を溶解し1.5質量%とした水1000質量部中に、グリシジルメタクリレート量を70質量部、エチレングリコールジメタクリレート量を30質量部とし、MIBKの代りにトルエンを128質量部用いた以外は実施例1と同様にして多孔性粒子を得た。
<陽イオン交換基を含む水溶性合成高分子の合成>
2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸(東京化成試薬)65質量部、N−(2−ヒドロキシエチル)アクリルアミド(試薬)55質量部、水120質量部を加えて溶解させた(溶液B)。
別に、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)ジヒドロクロリド(和光試薬)0.7質量部および水360質量部を混合し、70℃に維持し、これに溶液Bを滴下して4時間反応させ、陽イオン交換基を含む水溶性合成高分子の水溶液を得た。得られた水溶液中の水溶性合成高分子の濃度は20質量%であった。なお、本水溶性合成高分子の粘度は約600mPa・sである。
<陽イオン交換基を含む水溶性合成高分子の固定化>
上記で得られた架橋合成高分子からなる多孔性粒子(乾燥状態)を7質量部、上記陽イオン交換基を含む水溶性合成高分子の20質量%水溶液を5.6質量部、水56質量部を加えて、スラリーを調製し、25℃で撹拌した。これに、1.9Mの硫酸アンモニウム水溶液を250質量部、1時間かけて添加した。その後、47質量%硫酸を12質量部加え(pH1)、50℃で6時間反応させた。その後降温して粒子を濾過、水洗し、複合化高分子を得た。
<開環>
上記で得られた複合化高分子(湿潤状態)を15質量部、水を30質量部、47質量%硫酸を15質量部加えて混合し、50℃で6時間反応させた。その後降温して粒子を濾過、水洗し、目的の複合化高分子を得た。
<評価>
得られた複合化高分子の平均粒子径、官能基導入量、γグロブリンの吸着量を測定した結果を表3Aにまとめて示す。
[実施例9〜18]
実施例8における陽イオン交換基を含む水溶性合成高分子の固定化において、塩の到達濃度が表3A,3Bに記載の通りになるように硫酸アンモニウム水溶液を用いると共に水を200質量部とし、水溶性合成高分子の仕込み量をそれぞれ表3A,3Bに記載の通り変えた以外は、実施例8と同様にして、固定化及び開環を行って複合化高分子を得た。
得られた複合化高分子の平均粒子径、官能基導入量、γグロブリンの吸着量を測定した結果を表3A,3Bにまとめて示す。
Figure 0006958334
Figure 0006958334
表3より次のことが分かる。
固定化反応の際の仕込み比率を一定で塩到達濃度を調整した実施例8〜13では、塩到達濃度が高まるにつれて官能基導入量が高くなっている。γグロブリンの吸着量が変化することから、吸着相互作用を発現させた状態に塩到達濃度が重要な役割を果たしていることが分かる。
固定化反応の際の塩到達濃度を一定で仕込み比率を調整した実施例14〜18では、仕込み比率が高まるにつれて官能基導入量が高くなっている。γグロブリンの吸着量について官能基導入量がほぼ同等な実施例10と15を比較して大きな差がみられることから、吸着相互作用を発現させた状態に塩到達濃度が重要な役割を果たしていることがわかる。
[実施例19]
<架橋合成高分子からなる多孔性粒子の製造>
多孔性粒子の製造において、グリシジルメタクリレート量を40質量部、エチレングリコールジメタクリレートを60質量部、及び4−メチル−2−ペンタノンを230質量部に変更した以外は実施例1と同様にして多孔性粒子を製造した。
<陰イオン交換基を含む水溶性合成高分子の合成>
(3−アクリルアミドプロピル)トリメチルアンモニウムクロリド(東京化成試薬)56質量部、N−[3−(N、N’−ジメチルアミノ)プロピル]アクリルアミド(東京化成試薬)7質量部、N−(2−ヒドロキシエチル)アクリルアミド(試薬)16質量部、α−チオグリセロール0.2質量部、水91質量部を加え、さらに47質量%硫酸を加えて混合液のpHを5に調整した(溶液B)。
別に、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)ジヒドロクロリド(和光試薬)0.4質量部および水224質量部を混合し、70℃に維持し、これに溶液Bを滴下して4時間反応させ、陰イオン交換基を含む水溶性合成高分子の水溶液を得た。得られた水溶液中の水溶性合成高分子の濃度は20質量%であった。
<陰イオン交換基を含む水溶性合成高分子の固定化>
上記で得られた架橋合成高分子からなる多孔性粒子を15質量部、上記陰イオン交換基を含む水溶性合成高分子の20質量%水溶液を22質量部、水73質量部、炭酸ナトリウム(NaCO)0.8質量部を加えて、スラリーを調製し、25℃で撹拌した。これを30℃に維持して、別途調製しておいた炭酸ナトリウム100質量部と水350質量部との混合水溶液を約1時間かけて滴下し、5時間反応させた。その後降温して粒子を濾過、水洗し、目的の複合化高分子を得た
なお、本実施例では、塩として添加した炭酸ナトリウムによりアルカリ性溶液となり、アルカリ触媒を別途添加する必要がない。
<評価>
得られた分離剤の平均粒子径、官能基導入量を測定した結果を表4にまとめて示す。
[実施例20]
実施例19と同様にして得られた多孔性粒子および水溶性合成高分子を使用し、かつ、多孔性粒子および水溶性合成高分子の仕込み量、添加する塩の種類、塩の到達濃度、滴下時間をそれぞれ表4に記載の通り変えた以外は実施例19と同様にして、目的の複合化高分子を得た。
得られた複合化高分子の平均粒子径、官能基導入量を測定した結果を表4にまとめて示す。
[比較例2]
多孔性粒子の重合においてグリシジルメタクリレート量を60質量部、エチレングリコールジメタクリレートを40質量部,及び4−メチル−2−ペンタノンを200質量部に変更した以外は実施例19と同様にして多孔性粒子を得た。
上記の多孔性粒子および実施例19と同様にして得られた水溶性合成高分子を使用し、かつ、多孔性粒子および水溶性合成高分子の仕込み量、触媒種をそれぞれ表4に記載の通り変え、塩を添加しなかったこと以外は実施例19と同様にして、目的の複合化高分子を得た。
得られた複合化高分子の平均粒子径、官能基導入量を測定した結果を表4にまとめて示す。
Figure 0006958334
表4より次のことが分かる。
固定化反応の際の塩濃度およびpHを調整した実施例19、20では、比較例2と同程度の官能基導入量であることから、同程度の量の水溶性合成高分子が固定化されていると推察される。実施例19、20で仕込んだ水溶性合成高分子量は比較例2に比べて約1/3であることから、仕込んだ水溶性合成高分子量に対して、水溶性合成高分子が高い割合で固定化されており、比較例2に対して固定化の効率が極めて高いことがわかる。このことより、実施例では吸着相互作用を発現させた状態で共有結合反応を円滑に進行できていることがわかる。
本発明により製造される複合化高分子は、カラムに充填して通液した際の圧力損失が小さく、クロマトグラフィー用充填剤、特に、タンパク質等の生体高分子の吸着・分離・精製用クロマトグラフィー用充填剤として工業的に有用である。

Claims (7)

  1. 多孔性粒子と水溶性合成高分子とを共有結合させる複合化高分子の製造方法であって、多孔性粒子と水溶性合成高分子とを塩濃度0.1mol/kg以上10.0mol/kg以下の水溶液中で混合し、共有結合反応を進行させる、複合化高分子の製造方法。
  2. 前記水溶液中の塩濃度が、1.0mol/kg以上3.0mol/kg以下である、請求項1に記載の複合化高分子の製造方法。
  3. 前記水溶液中の塩濃度が、1.5mol/kg以上2.0mol/kg以下である、請求項1に記載の複合化高分子の製造方法。
  4. 前記多孔性粒子と水溶性合成高分子とを混合する前記水溶液中の前記水溶性合成高分子の濃度が2.0質量%以下である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の複合化高分子の製造方法。
  5. 前記多孔性粒子と水溶性合成高分子との共有結合反応の際に、酸触媒又はアルカリ触媒を用いる、請求項1〜4のいずれか1項に記載の複合化高分子の製造方法。
  6. 前記多孔性粒子が、水に不溶の高分子からなる、請求項1〜5のいずれか1項に記載の複合化高分子の製造方法。
  7. 前記水溶性合成高分子が、前記多孔性粒子の細孔内に拡散しうる水溶性合成高分子である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の複合化高分子の製造方法。
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