JP2018155730A - 複合化高分子の製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
また、多孔質高分子担体にエクステンダーと呼ばれるポリマーを共有結合した分離剤(例えば、特許文献2)が吸着量向上に良いとして知られている。
このように、合成高分子をベースとするクロマトグラフィー用充填剤として好適な多孔質高分子担体の細孔内に水溶性の合成高分子を十分に拡散させて固定化した複合化高分子を、高反応性にて効率的に製造する方法が求められている。
また、本発明者らは、多孔性粒子に水溶性合成高分子を固定化する前に、水溶性合成高分子が多孔性粒子の細孔内に拡散するか否かを評価するために、多孔性粒子をカラムに詰め、その固定化相手である水溶性合成高分子を打ち込み、サイズ排除クロマトグラフィーを実施し、細孔内に拡散することを確認した上で、固定化反応を実施すると、充填カラムにおいて圧力損失の抑制された分離剤となる複合化高分子が得られることを見出した。
本発明により製造された複合化高分子は、カラムに詰めた状態での圧力損失が小さく、クロマトグラフィー用充填剤として工業的に有用である。
本発明では、多孔性粒子と水溶性合成高分子を混合している、ないしは、混合した水溶液(以下「反応溶液」又は「反応系」と称す場合がある。)中で、吸着相互作用を発現させた状態で共有結合反応を進行させるが、ここで、「吸着相互作用」とは、化学的に共有結合はしていないが、物理吸着の力で多孔性粒子と水溶性合成高分子とが近接するような作用をさす。吸着相互作用としての物理吸着の形態には特に制限はなく、疎水相互作用、イオン交換相互作用、親水性相互作用が挙げられ、それらの作用が並行して発揮される状態(いわゆるミックスモード)も含まれる。
(1) 反応溶液に塩を添加し、その塩濃度を調整する。
(2) 反応溶液のpHを調整する。
(3) 反応溶液の温度を調整する。
この場合、反応溶液に添加する塩としては、硫酸、塩酸、リン酸、炭酸、硝酸、塩素酸、次亜塩素酸、等の酸のアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アンモニウム塩、ホスホニウム塩、等を用いることができる。アルカリ金属塩としては、リン酸水素二カリウム、リン酸二水素カリウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム、等のリン酸のアルカリ金属塩、炭酸ナトリウム、重曹、等の炭酸のアルカリ金属塩、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、硫酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、クエン酸塩類、等を用いることができる。また、アルカリ土類金属塩としては前記酸のバリウム塩やカルシウム塩、マグネシウム塩を用いることができる。また、アンモニウム塩としては、硫酸アンモニウム等を用いることができる。その他、塩としては、チオ硫酸塩、クエン酸塩、カルボン酸塩、等を用いることもできる。これらの塩は、1種のみを用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。これらの塩の中でも、溶解度が高く、塩析しやすいことから、リン酸水素二カリウム、リン酸二水素カリウム、炭酸ナトリウム、硫酸アンモニウムが好ましい。
多孔性粒子が親水性で水溶性合成高分子が疎水性の場合:反応溶液中の塩濃度は中程度で、1.0〜4.0mol/kgとすることが好ましい。
多孔性粒子が疎水性で水溶性合成高分子が親水性の場合:反応溶液中の塩濃度は中程度で、1.0〜4.0mol/kgとすることが好ましい。
多孔性粒子が疎水性で水溶性合成高分子が疎水性の場合:反応溶液中の塩濃度は比較的低く、0.1〜2.0mol/kgとすることが好ましい。
ここで、疎水性・親水性の指標としては、Flory−Huggins式などで計算されるポリマー溶解度の考え方を用いる事ができる。
また、Flory−Huggins式の考え方に沿ったパラメータとして、溶解度パラメータが知られている。溶解度パラメータの指標は、水素結合性の良いものは比較的高値であり、水素結合性の低いものは比較的低値である。数値の例として、水素結合性が良好なものは親水性が良く、溶解度パラメータは19〜30(MPa)1/2程度であり、水素結合性の低いものは、溶解度パラメータ10〜20(MPa)1/2程度といった分類がされている。この指標は、水溶性合成高分子の親水性・疎水性の判別に使うことが出来る。たとえば、水素結合性の良い溶媒に対する溶解度の高い水溶性合成高分子は、親水性が高く、水素結合性の低い溶媒に対する溶解度の高い水溶性合成高分子は、疎水性が高い、と考える事ができる。
本発明で用いる水溶性合成高分子において、親水性の高いものは20(MPa)1/2以上の溶解度パラメータのもの、疎水性の高いものは20(MPa)1/2未満の溶解度パラメータのもの、が挙げられる。上記、溶解度パラメータの考え方は、Polymer Handbook 4th Ed, 6章、p675〜714のTable 1(溶媒の溶解度パラメータの水素結合性の順列)、Table 10(ポリマーの溶解度パラメータ)、に沿ったものが使える。
この場合、反応溶液のpHは、pH1以下の強酸性又はpH14以上の強アルカリ性とすることが好ましく、本発明では、そのために、以下の酸触媒又はアルカリ触媒を用いて、pHを調整することが好ましい。
酸触媒としては、硫酸、塩酸、リン酸、硝酸、トリフルオロメタンスルホン酸、等の1種又は2種以上を用いることができる。これらの酸触媒の中でも、他の物質と反応が起きにくいことから、硫酸が好ましい。アルカリ触媒としては、水酸化ナトリウム(NaOH)、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、重曹、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、水酸化バリウム等の1種又は2種以上を用いることができる。これらのアルカリ触媒の中でも、触媒としての性能に優れ、pHを調整しやすいことから、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウムが好ましい。
なお、前述の塩として、炭酸ナトリウムのようなアルカリ性の塩を用いたり、超強酸塩のような酸性の塩を用いたりすることで、これらの塩の添加で、所望のpHに調整することができる場合は、このような酸触媒又はアルカリ触媒の添加は必ずしも必要とされない。
これに対して、本発明においては、水溶性合成高分子の固定化に酸又はアルカリ触媒を用いてpH1以下又はpH14以上で固定化を行うことが反応効率の面から好ましい。
この場合、反応溶液の温度は3〜120℃、特に20〜70℃とすることが好ましい。反応溶液の温度がこの範囲であると固定化反応が進行しやすくなるのと、反応中の水溶性合成高分子や多孔性粒子の劣化が抑えられるとともに、吸着相互作用を発現させた状態とすることができる。
本発明において、反応溶液中の水溶性合成高分子の濃度は、低濃度とすることが好ましく、具体的には、0.01質量%〜10質量%が好ましく、0.05質量%〜5.0質量%がより好ましく、0.1質量%〜2.0質量%が更に好ましい。
反応溶液中の水溶性合成高分子の濃度を低くすることにより、水溶性合成高分子を多孔性粒子の細孔内に十分に分散させて固定化することができるため、「粒子表面に過剰に固定化されて圧力損失が大きくなる」という現象を抑制することができる。また、水溶性合成高分子の濃度が過度に低いと多孔性粒子の固定化効率が低下するため、上記範囲とすることが好ましい。
本発明で用いる多孔性粒子は、水に不溶な多孔性粒子であることが好ましい。ここで、水に不溶な多孔性粒子とは架橋構造を有する多孔性粒子であり、例えば、アガロース、デキストラン、セルロース、キトサン等の天然高分子系担体、およびポリスチレン、ポリ(メタ)アクリル酸エステル等の合成高分子系担体が挙げられる。具体的に合成高分子系担体としては、例えば、スチレン、エチルスチレン、メチルスチレン、ヒドロキシスチレン、クロロスチレン等のスチレン系単量体などの芳香族モノビニル化合物;(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、グリセリンモノ(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸エステル類;(メタ)アクリルアミド、ジメチル(メタ)アクリルアミド、ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド等の(メタ)アクリルアミド類;(メタ)アクリロニトリルのようなニトリル類;グリシジル(メタ)アクリレート、4,5−エポキシブチル(メタ)アクリレート、9,10−エポキシステアリル(メタ)アクリレート等のエポキシ基含有化合物;その他のビニルエステル類、ビニルエーテル類等のモノビニル単量体の1種又は2種以上を(共)重合した後、得られた(共)重合物に対してエピクロルヒドリン、(ポリ)アルキレングリコールジグリシジルエーテル、アルキレンジイソシアネート等の架橋剤を用いて架橋構造を導入することにより多孔質架橋粒子としたものや、ジビニルベンゼン、トリビニルベンゼン等の芳香族ポリビニル化合物、(ポリ)エチレングリコールジ(メタ)アクリル酸エステル、グリセロールジ(メタ)アクリル酸エステル等のポリ(メタ)アクリル酸エステル類、ポリカルボン酸ポリビニルエステル類、ポリカルボン酸ポリアリルエステル類、ポリオールポリビニルエーテル類、ポリオールポリアリルエーテル類、ブタジエン、メチレンビスアクリルアミド、イソシアヌル酸トリアリル等のポリビニル化合物の1種又は2種以上を(共)重合させたもの、もしくはこのようなポリビニル化合物の1種又は2種以上と、上述のモノビニル単量体の1種又は2種以上とを共重合して得られる多孔質架橋粒子などが挙げられる。これらのポリビニルアルコール系重合体、スチレン−ジビニルベンゼン系重合体や(メタ)アクリル系重合体のうち、好ましくは(メタ)アクリル系重合体である。
このような多孔性粒子は後述の方法で製造することができる。
本発明で用いる水溶性合成高分子は、上記の多孔性粒子の細孔内に拡散し得る水溶性合成高分子であることが好ましい。
即ち、多孔性粒子をカラムに充填して、排除限界や浸透限界分子量を評価する際に、排除限界を示す標準物質よりも長い保持時間を示す水溶性合成高分子である。また、浸透限界分子量を測定した時に、浸透限界分子量を示す標準物質よりも短い保持時間を示す水溶性合成高分子である。
排除限界分子量を示す標準物質の保持時間及び水溶性合成高分子の保持時間は次のように測定される。直径10mm、長さ30cmのカラムに多孔質粒子を充填し、流速0.5mL/minで200mMリン酸ナトリウム緩衝液(pH7)を流し、たとえば分子量500万〜4千万のデキストランの0.1質量%水溶液を100μL、および、0.1質量%水溶性合成高分子水溶液100μLをそれぞれ打ち込み、各々の保持時間を記録する(分子量500万〜4千万のデキストランの代わりに、該カラムの排除限界分子量と同等以上の物質であれば用いることができる。)。
浸透限界分子量を示す標準物質の保持時間及び水溶性合成高分子の保持時間は次のように測定される。直径10mm、長さ30cmのカラムに多孔質粒子を充填し、流速0.5mL/minで200mMリン酸ナトリウム緩衝液(pH7)を流し、1質量%エチレングリコール水溶液100μL、および、0.1質量%水溶性合成高分子水溶液100μLをそれぞれ打ち込み、各々の保持時間を記録する(エチレングリコールの代わりに、浸透限界の測定に使用するアセトンや硝酸ナトリウムなどの1〜数%の水溶液を用いることもできる。)。
また、グリシジル基のような反応性官能基も有していれば、後反応での官能基導入が行い易くなり、好ましい。
本発明の複合化高分子の製造方法は、具体的には以下の方法で実施される。
多孔性粒子と、重合により得られた水溶性合成高分子の0.1〜80質量%の水溶液と、更に水と塩を所定の仕込み量で混合して撹拌し、ここへ、酸触媒又はアルカリ触媒を添加して混合する。その後3〜200℃、好ましくは3〜120℃で0.1〜100時間反応させる。その後、必要に応じて降温し、得られた複合化高分子を反応溶液から固液分離し、必要に応じて水洗して目的の複合化高分子を得る。
本発明で製造される複合化高分子の平均粒子径は、その用途によっても異なるが、1μm以上、1000μm以下であることが好ましい。より好ましい平均粒子径は、例えば、クロマトグラフィー用充填剤としての用途において、用いる充填用カラムの用途や大きさにもよるが、5μm以上、700μm以下であり、更に好ましい平均粒子径は10μm以上、500μm以下である。平均粒子径がこの範囲より小さいと、カラムに充填して通液した時の圧力損失が大きくなり、そのため通液速度をあまり高くできず、分離処理の生産性が低下する。一方、この範囲を超えて平均粒子径が大きいと、カラムの効率が低下し、イオン交換吸着量や分離性能が低下する。なお、複合化高分子の粒子径は、担体である多孔性粒子の粒子径で実質的に決定される。
本発明の複合化高分子の製造方法で用いられる多孔性粒子(以下、「本発明に係る多孔性粒子」、又は単に「多孔性粒子」と記載する場合がある。)は、好ましくは官能基を有する(メタ)アクリル酸エステル誘導体由来の構成単位を2種以上含む重合体で構成される。
この中でもビニル基を2つ以上有する(メタ)アクリル酸エステル誘導体は好適な多官能性単量体の一つである。
その他の単量体として、例えば、スチレン系単量体としては、スチレン、エチルスチレン、メチルスチレン、ヒドロキシスチレン、クロロスチレン等の単量体;(メタ)アクリル系単量体として、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、グリセリンモノ(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸エステル類、(メタ)アクリルアミド、ジメチル(メタ)アクリルアミド、ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド等の(メタ)アクリルアミド類、(メタ)アクリロニトリルのようなニトリル類などが例示できる。
また、上述の(メタ)アクリレート以外の架橋性単量体として、アリルグリシジルエーテル、ビニルグリシジルエーテル、4−エポキシ−1−ブテンなどが挙げられる。
構成単位(a):90質量%以上30質量%以下、
構成単位(b):10質量%以上70質量%以下、
であり、より好適には、
構成単位(a):60質量%以上40質量%以下、
構成単位(b):40質量%以上60質量%以下、
である。
また、構成単位(a)及び構成単位(b)以外に、他の構造単位を含む場合は、「エポキシ基を有する(メタ)アクリル酸エステル誘導体由来の構成単位(a)」、「ビニル基を2つ以上有する(メタ)アクリル酸エステル誘導体由来の構成単位(b)」及び「他の官能基を有する(メタ)アクリル酸エステル誘導体由来の構成単位」の合計質量である。
好適な単量体の種類や割合等についても架橋合成高分子の構造単位として上述した通りである。
例えば、多孔性粒子の平均粒子径は、懸濁重合の操作条件、例えば、上記の各種原料単量体の種類・量の選択、乳化剤及び/又は保護コロイド剤の種類・量の選択、及び撹拌の強度(撹拌回転数等)、その他を調節すること等により、適宜制御することができる。
芳香族系多孔質化剤の場合は、重合時の相分離が良好なため、細孔が形成されやすく、架橋度が低くても細孔容積が充分で比表面積や水分含有量、空孔度の良好な多孔性粒子を得ることが出来る。原料となる単量体の合計質量に対する多官能性単量体の割合で示される架橋度の好適な範囲は10質量%以上、90質量%以下、より好ましくは40質量%以上、70質量%以下である。
一方、脂肪族多孔質化剤の場合は、単量体と多孔質化剤、ならびに重合で生成する架橋合成高分子と多孔質化剤との相溶性が良好である。この場合、細孔を発達させる手段として、架橋剤の量が少ない場合には多孔質化剤の量は少なめに設定し、緩やかに相分離を進行させると良い。一方、架橋度が高い場合には、多孔質化剤の量を増やすことで、発達した細孔の多孔質架橋粒子を得ることが出来る。
芳香族系多孔質化剤を使う場合、架橋度50質量%以上、70質量%以下が好ましく、その場合の多孔質化剤の添加量の好適範囲は、架橋合成高分子の原料となる単量体の総量を100質量部とした時に、150質量部以上、200質量部以下である。
脂肪族系多孔質化剤を使う場合、架橋度10質量%以上、40質量%以下の領域では、多孔質化剤の添加量の好適範囲は、架橋合成高分子の原料となる単量体の総量を100質量部とした時に、100質量部以上、150質量部以下である。この場合、架橋度のより好適な範囲は20質量%以上、40質量%以下である。
脂肪族系多孔質化剤を使う場合、架橋度40質量%以上、70質量%以下の領域では、多孔質化剤の添加量の好適範囲は、架橋合成高分子の原料となる単量体の総量を100質量部とした時に、150質量部以上、300質量部以下である。
水溶性合成高分子は、通常、前述の多孔性粒子の表面に残存するエポキシ基及び/またはアミノ基等の共有結合性官能基と、水溶性合成高分子が有するイオン性官能基との共有結合で固定化される。
ここで、イオン性官能基とは、何らかのイオン性を有する官能基であり、なかでもイオン交換基であることが好ましく、例えば、カルボキシメチル基等のカルボキシル基、ホスホノエチル基等のホスホノアルキル基、スルホエチル基、スルホプロピル基、2−メチルプロパンスルホン酸基等のスルホアルキル基、アルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基、トリアルキルアンモニウム基等の各種アルキルアミノ基、ピリジン基等が挙げられ、好ましくはカルボキシル基、スルホン酸基、スルホプロピル基、2−メチルプロパンスルホン酸基、2級アミン基、3級アミン基、4級アンモニウム基、が挙げられる。
水溶性合成高分子は、これらのイオン交換基の1種のみを含むものであってもよく、2種以上を含むものであってもよい。
式(2)中、R6は、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、スルホン酸基、カルボキシル基、アミノ基、グリシジル基、アルデヒド基又はエポキシ基を表す。
式(3)中、R7は炭素数1〜6の直鎖又は分岐のアルキレン基を表す。)
上記式(2)で表されるモノマーとしては、スチレンスルホン酸、スチレンスルホン酸塩等の1種又は2種以上が挙げられ、これらのうちスチレンスルホン酸塩が好ましく、p−スチレンスルホン酸ナトリウムがより好ましい。
上記式(3)で表されるモノマーとしては、ビニルフェニルメタンスルホン酸、ビニルフェニルエタンスルホン酸、ビニルフェニルプロパンスルホン酸、ビニルフェニルブタンスルホン酸等の1種又は2種以上が挙げられ、これらのうちビニルフェニルメタンスルホン酸、ビニルフェニルプロパンスルホン酸、ビニルフェニルブタンスルホン酸が好ましく、4−ビニルフェニルメタンスルホン酸がより好ましい。
特に、本発明では、水溶性合成高分子の製造原料として、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、スチレンスルホン酸、ビニルスルホン酸等のスルホン酸基、等を有するモノマー(「モノマーA」と称す場合がある。)と、N−(2−ヒドロキシエチル)アクリルアミド等のアルコール性水酸基を有するモノマー(「モノマーH」と称す場合がある。)とをモル比A/Hが1/100〜100/1となるように用いることが吸着量向上の観点から好ましい。
水溶性合成高分子の分子量については特に制限はないが、通常100以上、好ましくは200以上、より好ましくは250以上であり、一方、通常5,000,000以下、好ましくは1,000,000以下、より好ましくは600,000以下である。水溶性合成高分子の分子量が小さ過ぎると、多孔性粒子に固定化することによる吸着量向上効果が低減する傾向にあり、一方で大き過ぎると水溶性合成高分子が多孔性粒子の細孔内空間の大多数を占めることによりタンパク質等の高分子量の分離対象物が細孔内空間に拡散浸透する余地が少なくなることとなる。
また、水溶性合成高分子の粘度は、この水溶性合成高分子の30質量%濃度の水溶液について、室温(25℃±2℃)でB型粘度計で測定した値で、1mPa・s以上、1000mPa・s以下であることが好ましく、この粘度は、特に10mPa・s以上、800mPa・s以下であることがより好ましく、50mPa・s以上、500mPa・s以下であることがさらに好ましい。水溶性合成高分子の粘度が上記下限より低いことは、水溶性合成高分子の分子量が小さいことを意味し、多孔性粒子に固定化することによる吸着量向上効果が低減する傾向にあり、上記上限より大きいことは、水溶性合成高分子の分子量が大きいことを意味し、水溶性合成高分子が多孔性粒子の細孔内空間の大多数を占めることによりタンパク質等の高分子量の分離対象物が細孔内空間に拡散浸透する余地が少なくなる。特に多孔性粒子の細孔内への拡散性の観点から、多孔性粒子の細孔径に適する分子量の範囲となるように水溶性合成高分子の粘度を適宜調整することが好ましい。
GMM:グリシジルメタクリレート
EGDMM:エチレングリコールジメタクリレート
MIBK:4−メチル−2−ペンタノン
AAMPS:2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸
HEAA:N−(2−ヒドロキシエチル)アクリルアミド
AAPMAC:(3−アクリルアミドプロピル)トリメチルアンモニウムクロリド
DMAPAA:N−[3−(N、N’−ジメチルアミノ)プロピル]アクリルアミド
<複合化高分子の平均粒子径>
複合化高分子の平均粒子径は、光学顕微鏡を用いて顕微鏡写真を撮影し、一視野あたり100個の粒子の径を測定し、その平均値を平均粒子径とした。
[陽イオン交換基を含む水溶性合成高分子の場合]
検体樹脂(複合化高分子)5mLを含むスラリー水溶液を25mL容量のメスシリンダーに入れ、タップしながら樹脂を沈降させ、樹脂5.0mLを量り取った。この樹脂を濾別し、カラムに入れて1M塩酸100mLを流して再生し、水で充分水洗し流出水のpHが中性になったのを確認した。得られた樹脂を濾別し、それを5質量%塩化ナトリウム水溶液50mLと混合し、遊離した酸を滴定し、滴定値を樹脂体積で割って、樹脂あたりの官能基導入量とした。
[陰イオン交換基を含む水溶性合成高分子の場合]
検体樹脂(複合化高分子)5mLを含むスラリー水溶液を25mL容量のメスシリンダーに入れ、タップしながら樹脂を沈降させ、樹脂5.0mLを量り取った。この樹脂を濾別し、カラムに入れて1M水酸化ナトリウム100mLを流して再生し、水で充分水洗し流出水のpHが中性になったのを確認した。得られた樹脂を濾別し、それを5質量%塩化ナトリウム水溶液50mLと混合し、遊離したアルカリを滴定し、滴定値を樹脂体積で割って、樹脂あたりの官能基導入量とした。
検体樹脂(複合化高分子)を内径20mm、長さ300mmのカラムに供給し、定流量ポンプで流速100mL/minで水を通水し、約5〜7%の圧縮率で充填した。次に600cm/h相当の流速で水を通液し、その時のカラム上部の圧力を記録した。そのカラム圧力と空カラムでの圧力との差を圧力損失の値とした。この値は1.5MPa/m以下が好ましい。
検体樹脂(複合化高分子)を内径7mm、長さ26mmのカラムに充填した。インシュリン(シグマ試薬、ウシ膵臓由来)の2g/L水溶液を0.025Mのクエン酸ナトリウム緩衝液(pH=3.5)で調製し、流速0.5mL/minで前記カラムに流した。カラム出口の吸光度を監視し、原液をカラム無しで流した時の吸光度と比べて10%破過した時点までに流通させ、単位検体樹脂(複合化高分子1L)当たりの吸着されたインシュリンの総量を吸着量とした。
検体樹脂(複合化高分子)を内径5mm、長さ100mmのカラムに充填し、濃度1g/Lとしたヒトガンマグロブリン(和光純薬試薬)の酢酸緩衝液(pH5.5)を通液した。カラム流出液の吸光度が原液の吸光度の10%に達するまで通液し、その通液量をもとに動的吸着容量を算出した。得られた値は単位検体樹脂(複合化高分子1L)当たりの吸着容量に換算した。
JIS K7117−1に従って、単一円筒型回転粘度計(スピンドルタイプ、B型粘度計)を使用し、300mLトールビーカに水溶性合成高分子の水溶液を入れ、ガード無しで測定した。標準ロータのM1ロータを使用し、所定の補正係数を掛けた値を粘度とした。測定は25℃(±2℃)で行い、30質量%濃度の水溶性合成高分子水溶液について測定した。
実施例で用いた水溶性合成高分子が、「多孔性粒子の細孔内に拡散し得る」水溶性合成高分子であることの確認試験を、以下の通り行った。
実施例2と同様にして多孔質架橋粒子を重合し、38〜74μmの篩いで粒子を篩い分けて多孔性粒子を得た。これを直径10mm、長さ30cmのカラムに充填し、0.5mL/minの流速で200mMリン酸ナトリウム緩衝液(pH=7)を流して、安定させた。安定化後、1質量%濃度に調製した水溶性合成高分子、デキストランまたはエチレングリコールの水溶液をそれぞれ100μL打ち込み、カラム出口をRI検出器でモニターした。なお、ここで用いた水溶性合成高分子は、それぞれ粘度が200mPa・s、300mPa・s、および、500mPa・sであるものを用いた。この水溶性合成高分子は、実施例1と同様の方法で重合したものであり、粘度200mPa・sのものは実施例1と同様のα−チオグリセロール量0.3質量部で重合した。また、粘度300mPa・sのものはα−チオグリセロール0.25質量部、粘度300mPa・sのものはα−チオグリセロール0.2質量部として、それぞれ重合を行い、本試験に供した。
粘度200mPa・s相当の水溶性合成高分子を固定化するにあたって、該水溶性合成高分子が多孔性粒子の細孔内へ拡散することが本参考例からわかる。
<架橋合成高分子からなる多孔性粒子の製造>
ポリビニルアルコール(日本合成化学製)を溶解し2質量%とした水1000質量部中に、グリシジルメタクリレート(和光純薬製)50質量部、エチレングリコールジメタクリレート(和光純薬製)50質量部、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)1質量部(和光純薬製)、及び4−メチル−2−ペンタノン(和光純薬製)150質量部の混合物を室温下で加え、窒素流通雰囲気で撹拌して懸濁状態とした。このとき、撹拌速度を調整して液滴の平均直径が約90μmになるようにした。この懸濁液を70℃に昇温し、窒素流通雰囲気で3時間反応させた。冷却後、得られた架橋合成高分子からなる多孔性粒子を水洗後、メタノール洗浄し、乾燥、分級して目的とする多孔性粒子を得た。
2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸(東京化成試薬)70質量部、N−(2−ヒドロキシエチル)アクリルアミド(試薬)60質量部、α−チオグリセロール0.3質量部、水125質量部を加えて溶解させた(溶液A)。
別に、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)ジヒドロクロリド(和光試薬)0.7質量部および水148質量部を混合し、70℃に維持し、これに溶液Aを滴下して4時間反応させ、陽イオン交換基を含む水溶性合成高分子の水溶液を得た。得られた水溶液中の水溶性合成高分子の濃度は30質量%であった。なお、本水溶性合成高分子の粘度は約200mPa・sである。
上記で得られた架橋合成高分子からなる多孔性粒子(湿潤状態)を14質量部、上記陽イオン交換基を含む水溶性合成高分子の30質量%水溶液を11質量部、水98質量部、硫酸アンモニウム((NH4)2SO4))1質量部を加えて、スラリーを調製し、25℃で撹拌した。これに、4Mの硫酸アンモニウム水溶液を700質量部、1時間かけて添加した。その後、47質量%硫酸を12量部加え(pH1)、50℃で6時間反応させた。その後降温して粒子を濾過、水洗し、目的の複合化高分子を得た。
得られた複合化高分子の平均粒子径、官能基導入量を測定した結果を表2にまとめて示す。また、固定化を行うために仕込んだ水溶性合成高分子量に対する、固定化された水溶性合成高分子量を固定化率(%)で示した。なお、固定化率は下記式(1)により求めた。実施例2〜7及び比較例1においても同様である。
<陽イオン交換基含有ポリマーの固定化の際の固定化率算出方法>
固定化率(陽イオン交換基を含む分離剤の場合)(%)
= {(固定化反応後の乾燥状態での樹脂質量)−(固定化反応前の乾燥状態での樹脂質量)}/(仕込んだ水溶性合成高分子の量×仕込んだ水溶性合成高分子の濃度)×100 … (1)
ここで、式(1)中の固定化反応前もしくは固定化反応後の乾燥状態での樹脂質量は、以下式(2)または(3)により求めた。
(固定化反応前もしくは固定化反応後の乾燥状態での樹脂質量)=(固定化反応前もしくは固定化反応後の湿潤状態での質量)×(1−固定化反応前もしくは固定化反応後の湿潤状態の樹脂の水分含有量(%)/100) … (2)
なお、固定化反応前の樹脂を乾燥状態で仕込んだ場合は、
(固定化反応前の乾燥状態での樹脂質量)=(乾燥状態での樹脂仕込み量) … (3)
とした。
多孔性粒子の製造において、グリシジルメタクリレート量を40質量部、エチレングリコールジメタクリレートを60質量部、及び4−メチル−2−ペンタノンを230質量部に変更した以外は実施例1と同様にして多孔性粒子を得た。
上記の多孔性粒子および実施例1と同様にして得られた水溶性合成高分子を使用し、かつ、多孔性粒子および水溶性合成高分子の仕込み量、添加する塩の種類、塩の到達濃度、滴下時間、触媒量、触媒種をそれぞれ表2に記載の通り変えた以外は実施例1と同様にして、目的の複合化高分子を得た。
得られた複合化高分子の平均粒子径、官能基導入量、圧力損失を測定した結果を表2にまとめて示す。また、固定化を行うために仕込んだ水溶性合成高分子量に対する、固定化された水溶性合成高分子量を固定化率(%)で示した。また、実施例2については、インシュリンの吸着量を測定し、その結果を併記した。
実施例2と同様にして得られた多孔性粒子および実施例1と同様にして得られた水溶性合成高分子を使用し、かつ、多孔性粒子および水溶性合成高分子の仕込み量、触媒種をそれぞれ表2に記載の通り変え、塩を添加しなかった以外は実施例1と同様にして、目的の複合化高分子を得た。
得られた複合化高分子の平均粒子径、官能基導入量、圧力損失を測定した結果を表2にまとめて示す。また、固定化を行うために仕込んだ水溶性合成高分子量に対する、固定化された水溶性合成高分子量を、固定化率(%)で示した。
固定化反応の際の塩濃度およびpHを調整した実施例1〜7では、仕込んだ水溶性合成高分子量に対して、高い割合で固定化されており、比較例1に対して固定化の効率が極めて高い。このことより、実施例では吸着相互作用を発現させた状態で共有結合反応を円滑に進行できていることがわかる。
また、固定化反応に供する液中の水溶性合成高分子濃度が十分に低い実施例2,4,6では、実施例7および比較例1に比べて圧力損失が低い複合化高分子が得られている。これは、水溶性合成高分子が多孔性粒子の細孔内に分散して固定化されており、粒子表面に過剰に固定化されて圧力損失が大きくなることがないことを示している。
<架橋合成高分子からなる多孔性粒子の製造>
多孔性粒子の製造において、ポリビニルアルコール(日本合成化学製)を溶解し1.5質量%とした水1000質量部中に、グリシジルメタクリレート量を70質量部、エチレングリコールジメタクリレート量を30質量部とし、MIBKの代りにトルエンを128質量部用いた以外は実施例1と同様にして多孔性粒子を得た。
2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸(東京化成試薬)65質量部、N−(2−ヒドロキシエチル)アクリルアミド(試薬)55質量部、水120質量部を加えて溶解させた(溶液B)。
別に、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)ジヒドロクロリド(和光試薬)0.7質量部および水360質量部を混合し、70℃に維持し、これに溶液Bを滴下して4時間反応させ、陽イオン交換基を含む水溶性合成高分子の水溶液を得た。得られた水溶液中の水溶性合成高分子の濃度は20質量%であった。なお、本水溶性合成高分子の粘度は約600mPa・sである。
上記で得られた架橋合成高分子からなる多孔性粒子(乾燥状態)を7質量部、上記陽イオン交換基を含む水溶性合成高分子の20質量%水溶液を5.6質量部、水56質量部を加えて、スラリーを調製し、25℃で撹拌した。これに、1.9Mの硫酸アンモニウム水溶液を250質量部、1時間かけて添加した。その後、47質量%硫酸を12質量部加え(pH1)、50℃で6時間反応させた。その後降温して粒子を濾過、水洗し、複合化高分子を得た。
上記で得られた複合化高分子(湿潤状態)を15質量部、水を30質量部、47質量%硫酸を15質量部加えて混合し、50℃で6時間反応させた。その後降温して粒子を濾過、水洗し、目的の複合化高分子を得た。
得られた複合化高分子の平均粒子径、官能基導入量、γグロブリンの吸着量を測定した結果を表3Aにまとめて示す。
実施例8における陽イオン交換基を含む水溶性合成高分子の固定化において、塩の到達濃度が表3A,3Bに記載の通りになるように硫酸アンモニウム水溶液を用いると共に水を200質量部とし、水溶性合成高分子の仕込み量をそれぞれ表3A,3Bに記載の通り変えた以外は、実施例8と同様にして、固定化及び開環を行って複合化高分子を得た。
得られた複合化高分子の平均粒子径、官能基導入量、γグロブリンの吸着量を測定した結果を表3A,3Bにまとめて示す。
固定化反応の際の仕込み比率を一定で塩到達濃度を調整した実施例8〜13では、塩到達濃度が高まるにつれて官能基導入量が高くなっている。γグロブリンの吸着量が変化することから、吸着相互作用を発現させた状態に塩到達濃度が重要な役割を果たしていることが分かる。
固定化反応の際の塩到達濃度を一定で仕込み比率を調整した実施例14〜18では、仕込み比率が高まるにつれて官能基導入量が高くなっている。γグロブリンの吸着量について官能基導入量がほぼ同等な実施例10と15を比較して大きな差がみられることから、吸着相互作用を発現させた状態に塩到達濃度が重要な役割を果たしていることがわかる。
<架橋合成高分子からなる多孔性粒子の製造>
多孔性粒子の製造において、グリシジルメタクリレート量を40質量部、エチレングリコールジメタクリレートを60質量部、及び4−メチル−2−ペンタノンを230質量部に変更した以外は実施例1と同様にして多孔性粒子を製造した。
(3−アクリルアミドプロピル)トリメチルアンモニウムクロリド(東京化成試薬)56質量部、N−[3−(N、N’−ジメチルアミノ)プロピル]アクリルアミド(東京化成試薬)7質量部、N−(2−ヒドロキシエチル)アクリルアミド(試薬)16質量部、α−チオグリセロール0.2質量部、水91質量部を加え、さらに47質量%硫酸を加えて混合液のpHを5に調整した(溶液B)。
別に、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)ジヒドロクロリド(和光試薬)0.4質量部および水224質量部を混合し、70℃に維持し、これに溶液Bを滴下して4時間反応させ、陰イオン交換基を含む水溶性合成高分子の水溶液を得た。得られた水溶液中の水溶性合成高分子の濃度は20質量%であった。
上記で得られた架橋合成高分子からなる多孔性粒子を15質量部、上記陰イオン交換基を含む水溶性合成高分子の20質量%水溶液を22質量部、水73質量部、炭酸ナトリウム(Na2CO3)0.8質量部を加えて、スラリーを調製し、25℃で撹拌した。これを30℃に維持して、別途調製しておいた炭酸ナトリウム100質量部と水350質量部との混合水溶液を約1時間かけて滴下し、5時間反応させた。その後降温して粒子を濾過、水洗し、目的の複合化高分子を得た
なお、本実施例では、塩として添加した炭酸ナトリウムによりアルカリ性溶液となり、アルカリ触媒を別途添加する必要がない。
得られた分離剤の平均粒子径、官能基導入量を測定した結果を表4にまとめて示す。
実施例19と同様にして得られた多孔性粒子および水溶性合成高分子を使用し、かつ、多孔性粒子および水溶性合成高分子の仕込み量、添加する塩の種類、塩の到達濃度、滴下時間をそれぞれ表4に記載の通り変えた以外は実施例19と同様にして、目的の複合化高分子を得た。
得られた複合化高分子の平均粒子径、官能基導入量を測定した結果を表4にまとめて示す。
多孔性粒子の重合においてグリシジルメタクリレート量を60質量部、エチレングリコールジメタクリレートを40質量部,及び4−メチル−2−ペンタノンを200質量部に変更した以外は実施例19と同様にして多孔性粒子を得た。
上記の多孔性粒子および実施例19と同様にして得られた水溶性合成高分子を使用し、かつ、多孔性粒子および水溶性合成高分子の仕込み量、触媒種をそれぞれ表4に記載の通り変え、塩を添加しなかったこと以外は実施例19と同様にして、目的の複合化高分子を得た。
得られた複合化高分子の平均粒子径、官能基導入量を測定した結果を表4にまとめて示す。
固定化反応の際の塩濃度およびpHを調整した実施例19、20では、比較例2と同程度の官能基導入量であることから、同程度の量の水溶性合成高分子が固定化されていると推察される。実施例19、20で仕込んだ水溶性合成高分子量は比較例2に比べて約1/3であることから、仕込んだ水溶性合成高分子量に対して、水溶性合成高分子が高い割合で固定化されており、比較例2に対して固定化の効率が極めて高いことがわかる。このことより、実施例では吸着相互作用を発現させた状態で共有結合反応を円滑に進行できていることがわかる。
Claims (7)
- 多孔性粒子と水溶性合成高分子とを共有結合させる複合化高分子の製造方法であって、多孔性粒子と水溶性合成高分子とを塩濃度0.1mol/kg以上10.0mol/kg以下の水溶液中で混合し、共有結合反応を進行させる、複合化高分子の製造方法。
- 前記水溶液中の塩濃度が、1.0mol/kg以上3.0mol/kg以下である、請求項1に記載の複合化高分子の製造方法。
- 前記水溶液中の塩濃度が、1.5mol/kg以上2.0mol/kg以下である、請求項1に記載の複合化高分子の製造方法。
- 前記多孔性粒子と水溶性合成高分子とを混合する前記水溶液中の前記水溶性合成高分子の濃度が2.0質量%以下である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の複合化高分子の製造方法。
- 前記多孔性粒子と水溶性合成高分子との共有結合反応の際に、酸触媒又はアルカリ触媒を用いる、請求項1〜4のいずれか1項に記載の複合化高分子の製造方法。
- 前記多孔性粒子が、水に不溶の高分子からなる、請求項1〜5のいずれか1項に記載の複合化高分子の製造方法。
- 前記水溶性合成高分子が、前記多孔性粒子の細孔内に拡散しうる水溶性合成高分子である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の複合化高分子の製造方法。
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