以下、本発明の各実施形態について、図を参照しながら説明する。
(第1実施形態)
[複合機の外観構成]
図1は、第1実施形態に係る複合機1の外観図である。複合機1は、液体消費装置の一例であり、X方向を幅方向、Y方向を前後(奥行)方向、Z方向を上下方向とする直方体状の外観形状を有する。複合機1は、プリンタユニット2、スキャナーユニット3、操作キー4、通知部5、及び制御部6(図5参照)を備える。
スキャナーユニット3は、画像を撮像素子により読み取って画像データを生成する。画像データは、プリンタユニット2において、複合機1の内部に貯留され又は複合機1の外部から供給される記録シートに印刷される。スキャナーユニット3は、原稿台7と蓋8とを有する。スキャナーユニット3は、プリンタユニット2上に重ねられ、プリンタユニット2の後側部分に設けられた連結部2aによりプリンタユニット2と連結されている。蓋8は、原稿台7を覆うように配置される。スキャナーユニット3は、原稿台7と蓋8との間に原稿シートが配置された状態で、原稿シートに記録された画像を読み取る。
操作キー4と通知部5とは、複合機1の外側部分(ここでは前側部分)に配置されている。操作キー4は、ユーザが入力する各種要求を受け付ける。通知部5は、ユーザに向けて情報を通知する。一例として、通知部5は表示部である。制御部6は、プリンタユニット2とスキャナーユニット3とを制御する。
プリンタユニット2は、ケース10、カバー11、複数のタンク12、及び複数のキャップ15を有する。ケース10は、複合機1の筐体を部分的に構成している。ケース10には、複数のタンク12が収容される内部空間13が形成されている。またケース10の内部には、記録シートを貯留するトレイ14が配置されている。カバー11は、ケース10の前側部分に設けられ、ケース10の内部空間13を覆い又は開放する。本実施形態のカバー11は、水平方向(一例として複合機1の幅方向)に延びる仮想軸線Pの軸周りに一定範囲で回動可能にケース10に連結され、プリンタユニット2の連結部2aを支点として、スキャナーユニット3の前側部分がプリンタユニット2から持ち上げられた状態で開閉する。
複数のタンク12は、整列された状態で内部空間13に収容され、カバー11が開けられることで外部に露出する。一例として、複合機1はカラー印刷が可能であり、各タンク12は、異なる色(ここではブラック、イエロー、マゼンタ、及びシアン)のインクに対応している。なお複合機1は、単一のタンクを備え、単色の印刷のみが可能であってもよい。
[タンク]
図2は、第1実施形態に係る複合機1が有するタンク12の上部と、キャップ15の分解図である。図2に示すように、一例としてタンク12は直方体状であり、タンク12の水平断面は前後方向に長寸の長方形状である。従って、タンク12は4つの側面を有し、当該タンク12が内部空間13に収容された状態では、これら4つの側面のうちの1つが、内部空間13の後部を区画する側壁10a(図3参照)と対向する。以下、タンク12の側壁10aと対向する側面を対向側面12aと称する。
タンク12には、液体貯留室12cと注入口12dとが形成されている。液体貯留室12cは、タンク12の内部に形成されており、そこには液体(ここでは所定の色のインク)が貯留される。液体貯留室12cの上部は、注入口12dと連通しており、液体貯留室12cの下部は、図示しない流路を介して記録ヘッド36(図5参照)と繋がっている。液体貯留室12cに貯留されたインクは、この流路を通じて記録ヘッド36に供給される。
注入口12dは、液体貯留室12cにインクを注入するために用いられる。本実施形態の注入口12dは、タンク12の上部(ここではタンク12の上面12b)に形成されている。注入口12dの開口形状は円形であるが、これに限定されない。注入口12dの周縁には、タンク12の上面12bから上方に向けて突出する内側リブ12eと外側リブ12fとが形成されている。上面視において内側リブ12eは環状であり、注入口12dを囲みながら、タンク12の上部から上方に向けて突出している。外側リブ12fは、内側リブ12eとの間に間隔をおいて、内側リブ12eの外周を囲んでいる。
外側リブ12fには、キー溝12gが形成されている。キー溝12gは、外側リブ12fとキャップ15とを係合させるためのものである。一例としてキー溝12gは、外側リブ12fの一部をその厚み方向に切り欠くことにより形成されている。キー溝12gは、外側リブ12fの上下方向に延びており、外側リブ12fの上端にて開放されている。
[キャップ]
キャップ15は、注入口12dを塞いだ状態で注入口12dに取り付け可能に形成されている。キャップ15は、注入口12dを液密に塞ぐことが可能な材料(一例としてエラストマー)からなる。キャップ15は、注入口12dを閉塞する閉塞部15aと、ユーザに把持される操作部15bとを有する。
このうち閉塞部15aは、上端が閉塞された円筒部材の内部に、該円筒部材の内径よりも外径の小さい円柱部材を同心状に設けたような構成となっている。より具体的に説明すると、閉塞部15aは、円板状をなす天板部15cと、円筒状の周縁部15dと、円柱状の突出部15hとを有する。
突出部15hは、天板部15cの下面から下方へ突出するようにして設けられている。この突出部15hは、上述した内側リブ12eの内部空間に対応する形状を有している。従って、キャップ15を閉じると、突出部15hは内側リブ12e内に挿入され、このとき突出部15hの外周面は内側リブ12eの内周面に対して液密に接触する。
周縁部15dは、突出部15hを取り囲むようにして、天板部15cの周縁から下方に向けて延びている。このような周縁部15dは、キャップ15を閉じると内側リブ12eと外側リブ12fとの間に挿入され、このとき周縁部15dの内周面が内側リブ12eの外周面と液密に接触し、外周面が外側リブ12fの内周面と液密に接触する。周縁部15dの外周面には、キー溝12gと係合可能なキー(規制部)15eが形成されている。
一方、操作部15bは、閉塞部15aに対してタンク12側とは反対側に位置し、天板部15cの上面から上方に突出して設けられている。本実施形態の操作部15bは、注入口12dの径方向に延びる直方体状に形成され、その4つの側面が天板部15cの上面に立てられている。
操作部15bには、反射領域15fと接触領域15gとが設けられている。反射領域15fは、上記4つの側面のうちの1つであって、具体的には操作部15bの長手方向の一端に位置する面で構成され、平坦に形成されている。そして、キャップ15が注入口12dに対して正しく装着されると、反射領域15fは所定の方向(側壁10a側)に向けられる。従って、反射領域15fは、キャップ15が注入口12dに装着された状態では、後述する光学センサ16の出射光を光学センサ16が受光可能なように反射する。なお、キャップ15の正しい装着とは、キー15eがキー溝12gに係合した状態で、キャップ15が注入口12dに取り付けられることをいう。
接触領域15gは、操作部15bの操作時にユーザが触れる領域であり、反射領域15fとは別に設けられている。本実施形態の操作部15bでは、接触領域15gは、操作部15bの4つの側面のうち、長手方向に延びる一対の側面(一対の主面)に設けられている。
[カバー]
図3は、第1実施形態に係る複合機1において、開位置及び閉位置にあるカバー11と、タンク12とを示す図である。なお、この図3は、仮想軸線Pの軸方向(複合機1の幅方向)から見た構成を示している。また図3では、カバー11及びシャッター17に関しては、開位置にあるときの状態を実線で示し、閉位置にあるときの状態を一点鎖線で示している。
カバー11は、その一端においてケース10に連結されている。図3に示すように、本実施形態のカバー11は、仮想軸線Pの軸周りに一定範囲内で回動することにより、注入口12dと注入口12dに取り付けられたキャップ15とを覆うことが可能な閉位置と、注入口12dと注入口12dに取り付けられたキャップ15とが露出される開位置との間で、タンク12に対して移動する。カバー11が開位置にあるときには、ユーザがキャップ15を注入口12dから取り外して、注入口12dから液体貯留室12cにインクを注入した後、キャップ15を注入口12dに再び取り付けることができる。カバー11が閉位置にあるときには、ユーザのこのような操作は不可能となる。
カバー11は、仮想軸線Pの軸方向から見ると略L字状を成し、互いに交差する第1カバー部11aと第2カバー部11bとを有する。第1カバー部11aは、一端にケース10との連結部を有し、カバー11が閉位置にある状態において、タンク12を上方から覆う。第2カバー部11bは第1カバー部11aの他端と連なり、カバー11が閉位置にある状態において、タンク12の対向側面12aとは反対側の側面(前面)を前方から覆う。
[センサ及びシャッター]
複合機1は、検出センサ16とシャッター17とを更に備える。検出センサ16は、内部空間13に配置されている。検出センサ16は、少なくともキャップ15が注入口12dに取り付けられているか否かを検出するために用いられる。本実施形態の検出センサ16は、カバー11が閉位置にあり且つキャップ15が注入口12dに取り付けられている、か否かを検出する。検出センサ16は、複数のタンク12のそれぞれに個別に設けられている。すなわち複合機1には、タンク12と検出センサ16とからなる組が複数組設けられている。
具体的には、検出センサ16は光学センサであり、本実施形態の検出センサ16は反射型光学センサである。以下、検出センサ16を光学センサ16とも称する。光学センサ16は、複合機1の電源が入っている通電状態では、所定の周期で発光及び受光を繰り返すように連続的に駆動される。光学センサ16は、図示しない支持部材を介してケース10に支持されており、その出射光路Lが注入口12dに取り付けられたキャップ15と交わるように設けられている。
この光学センサ16は、発光部16aと受光部16bとを有する。発光部16aは、カバー11が閉位置にあり且つキャップ15が注入口12dに正しく取り付けられた状態で、当該キャップ15の反射領域15fと対向するように配置されている。このときの出射光路Lは、発光部16aから反射領域15fに向けて延びた後、反射領域15fで折り返して、反射領域15fから受光部16bに向けて延びている。従って、受光部16bは、反射領域15fで反射された発光部16aからの出射光を受光する。
シャッター17は、カバー11の閉位置と開位置との間の移動に連動して移動する。本実施形態のシャッター17は、カバー11のケース10との連結部から延設されたアーム17bと、アーム17bの先端にて支持された弧状の板部材から成る遮蔽部17cとを有している。
シャッター17のアーム17bは、カバー11が開位置にある状態で仮想軸線Pの軸方向から見ると、カバー11との接続部分から光学センサ16の下方まで延びており、遮蔽部17cは、光学センサ16の下方から延びて当該光学センサ16とキャップ15との間に先端部が位置する。また、カバー11が開位置にある状態では、シャッター17は後方へ回動して位置し、遮蔽部17cの先端部は光学センサ16とキャップ15との間から退避して位置する。
これによりシャッター17は、カバー11が開位置にあると、光学センサ16と注入口12dに取り付けられたキャップ15との間にて出射光路Lを遮断する位置に位置付けられ、カバー11が閉位置にあると、出射光路Lを開放する位置に位置づけられる。なおシャッター17は、カバー11と直接的に接続された構成(一体的な構成)とする必要はなく、例えば、カバー11とは別体にして他のリンク部材等を介してカバー11と連動して動作するように構成してもよい。
ここでキャップ15には、規制部が形成されている。この規制部は、反射領域15fで反射した光学センサ16の出射光が光学センサ16に受光される位置に反射領域15fが配置されるように、タンク12の注入口12dの周縁と係合して、注入口12dの周方向におけるキャップ15の向きを規制する。本実施形態では、上述したようにキー15eが規制部として機能する。
図4は、図3のシャッター17における被照射領域17aの拡大図である。図4に示すように、シャッター17の遮蔽部17cには、その一方の主面に被照射領域17aが設けられている。被照射領域17aは、カバー11が開位置にあるときに、光学センサ16からの出射光を減衰、吸収、屈折、又は乱反射させる。本実施形態の被照射領域17aには、その光学センサ16と対向する部分に不織布シート18が設けられている。被照射領域17aは、不織布シート18の繊維に光学センサ16からの出射光を当てることにより、光学センサ16からの出射光を減衰させる。
ここで複合機1の状態は、カバー11の開閉位置と、キャップ15が注入口12dに取り付けられているか否かとにより、4つの状態に区別される。第1状態は、カバー11が閉位置にあり且つ注入口12dにキャップ15が取り付けられている状態である。第2状態は、カバー11が閉位置にあり且つ注入口12dにキャップ15が取り付けられていない状態である。第3状態は、カバー11が開位置にあり且つ注入口12dにキャップ15が取り付けられている状態である。そして第4状態は、カバー11が開位置にあり且つ注入口12dにキャップ15が取り付けられていない状態である。
複合機1が通電中の場合、第1状態では、光学センサ16の出射光が反射領域15fに反射されて光学センサ16に受光されるため、光学センサ16の出力値はONとなる。第2状態では、キャップ15が無く光学センサ16の出射光が反射領域15fを照射できないため、光学センサ16の出力値はOFFとなる。また第3,4状態では、出射光路Lがシャッター17により遮断されるため、光学センサ16の出力値はいずれもOFFとなる。これにより複合機1が、第1状態と、第1状態以外(第2〜第4状態)とのいずれの状態にあるかが検出される。
また、上述した光学センサ16は各タンク12に対して設けられている。つまり、複合機1は、タンク12と光学センサ16とからなる組を複数組備えている。そして、この複数組に含まれる一部の光学センサ16により、キャップ15が注入口12dに取り付けられていると検出される一方で、前記複数組に含まれるその他の光学センサ16により、キャップ15が注入口12dに取り付けられていないと検出される場合があり得る。この場合、前記その他の光学センサ16と対応するタンク12を特定することで、どのタンク12の注入口12dにキャップ15が取り付けられていないかを特定できる。以下、光学センサ16の検出信号(出力値)に基づいて実現可能な複合機1の機能について、更に説明する。
[複合機の機能的構成]
図5は、第1実施形態に係る複合機1の機能ブロック図である。プリンタユニット2は、モータドライバIC30,31、ヘッドドライバIC32、搬送モータ33、キャリッジモータ34、キャリッジ35、及び記録ヘッド36を更に有している。
制御部6は、一例としてCPU40、記憶部(ROM41、RAM42、及びEEPROM43)、及びASIC44を有する。CPU40は、光学センサ16の検出信号を監視すると共に、プリンタユニット2が有する各ドライバIC30〜32と、通知部5とを制御する。CPU40の個数は、単数または複数のいずれでもよい。
ROM41には、CPU40がスキャナーユニット3に原稿シートの画像の読取処理を実行させるための読取制御プログラムと、CPU40がプリンタユニット2に印刷処理を実行させるための印刷制御プログラムとが格納されている。EEPROM43には、ユーザが入力した各種の初期設定の情報が格納されている。ASIC44には、モータドライバIC30,31と、ヘッドドライバIC32とが接続されている。
CPU40は、ユーザから印刷要求を受け付けると、印刷制御プログラムに基づいて、印刷指令をASIC44へ出力する。ASIC44は、印刷指令に基づいて各ドライバIC30〜32を駆動する。またCPU40は、モータドライバIC30により搬送モータ33を駆動させて記録シートを搬送し、モータドライバIC31によりキャリッジモータ34を駆動させてキャリッジ35を動作させる。またCPU40は、ヘッドドライバIC32により、キャリッジ35に取り付けられた記録ヘッド36からインクを吐出させ、記録シートに画像データを印刷する。これにより印刷処理が行われる。
[複合機の動作]
図6は、第1実施形態に係る複合機1の動作を示すフローチャートである。通電状態の複合機1において、CPU40は印刷制御プログラムに基づき、全ての光学センサ16の出力値がONか否かを判定する(ステップS1:以下、単にS1と称する。他のステップも同様とする。)。ここで、全ての光学センサ16の出力値がONである場合は、前述した第1〜4状態のうち、第1状態の場合のみである。
CPU40は、S1において、全ての光学センサ16の出力値がONでない(すなわち、少なくとも1つの光学センサ16の出力値がOFFである)と判定した場合、一部の光学センサ16の出力値がONであるか否かを判定する(S2)。CPU40は、S2において、一部の光学センサ16の出力値がONではない(すなわち、全ての光学センサ16の出力値がOFFである)と判定した場合、通知部5からユーザに警告を通知する(S3)。具体的には、例えば「カバーが開いているか、全てのタンクの注入口にキャップが正しく取り付けられていません」とのメッセージを通知部5に表示することが挙げられる。なお、例えば、複合機1にスピーカーを通知部として設け、スピーカーから警告音を発してユーザに通知してもよい。
これによりCPU40は、光学センサ16によりキャップ15が注入口12dに取り付けられていないと検出されたことに応じて、通知部5に、キャップ15が注入口12dに取り付けられていないことを示す情報を通知させる。よって、カバー11が開けられた状態、又は、注入口12dにキャップ15が取り付けられていない状態で、複合機1が放置されるのが防止される。
CPU40は、S2において、一部の光学センサ16の出力値がONであると判定した場合、CPU40は、出力値がOFFである光学センサ16に対応するタンク12を特定する情報を含む警告を、通知部5からユーザに通知する(S4)。具体的には、例えば出力値がOFFである光学センサ16に対応するタンク12がブラックのインクを貯留するタンク12である場合、「ブラックのタンクの注入口にキャップが正しく取り付けられていません」とのメッセージを通知部5に表示することが挙げられる。これにより、特定のタンク12の注入口12dにキャップ15が取り付けられていない状態で複合機1が放置されるのが防止される。
CPU40は、S1において、全ての光学センサ16の出力値がONであると判定した場合、次に印刷要求があるか否かを判定する(S5)。CPU40は、S5において、印刷要求があると判定するまで、S1〜S5を繰り返して行う。CPU40は、S5において、印刷要求があると判定した場合、印刷指令をASIC44へ出力し、印刷処理を行う(S6)。その後CPU40は、ステップをS1にリターンさせる。
なお、タンク12が単一である場合には、S2及びS4を省略できる。この場合、CPU40は、S1において、全ての光学センサ16の出力値がONでないと判定した場合、S3を実行すればよい。
以上に説明したように、複合機1によれば、タンク12の注入口12dを塞いだ状態でタンク12の注入口12dにキャップ15が取り付けられているか否かを光学センサ16により検出できるので、タンク12の注入口12dがキャップ15により塞がれない状態のまま複合機1が使用されるのを防止できる。また、塵埃等の異物が注入口12dからタンク12内へ侵入したり、注入口12dからインクが漏れ出したりするのを防止できる。また、注入口12dを通じてインクが蒸発してインクが増粘することで、記録ヘッド36から吐出されるインクの吐出特性が変化し、インク液滴が所望の着弾位置に着弾せずに画像が劣化するのを抑制できる。
また光学センサ16が、カバー11の開閉と、キャップ15の有無とを検出するセンサを兼ねているので、複合機1に設けるセンサ数を低減でき、複合機1の構成を簡素化できる。また、光学センサ16とシャッター17を用いて、比較的簡素な構成で、カバー11の開閉と、キャップ15の有無とを検出できる。
またシャッター17は、カバー11が開位置にあるときに、光学センサ16からの出射光を減衰、吸収、屈折、又は乱反射させる被照射領域17aを有するので、被照射領域17aにより光学センサ16の受光量を調節でき、光学センサ16の検出精度を高められる。
また、キャップ15の反射領域15fは、閉塞部15aから離隔した操作部15bに設けられているので、タンク12内のインクが付着しにくい。このように、反射領域15fを操作部15bに設けることで、インクが付着しにくいキャップ15の部分に反射領域15fを設けることができ、反射領域15fにインクが付着することで光学センサ16の検出精度が低下するのを防止できる。
また操作部15bには、反射領域15fとは別に、ユーザが操作時に触れる接触領域15gが設けられると共に、キャップ15には、規制部としてキー15eが形成されているので、ユーザの指に付着したインクで汚れないように反射領域15fを接触領域15gとは分けて設けることで、光学センサ16の検出精度を安定化できる。また、光学センサ16に対して反射領域15fの位置がばらつくのを防止でき、キャップ15がタンク12の注入口12dに正しく取り付けられるようにすることができる。
またCPU40は、光学センサ16によりキャップ15が注入口12dに取り付けられていないと検出されたことに応じて、通知部5に、キャップ15が注入口12dに取り付けられていないことを示す情報を通知させるので、ユーザにキャップ15を注入口12dに取り付けるように促すことができる。
またCPU40は、複数組に含まれる一部の光学センサ16により、キャップ15が注入口12dに取り付けられていると検出される一方で、複数組に含まれるその他の光学センサ16により、キャップ15が注入口12dに取り付けられていないと検出された場合に、前記その他の光学センサ16に対応するタンク12を特定する情報を、通知部5に通知させるので(S4)、センサ数をタンク数と同数に抑えながら、キャップ15が注入口12dに取り付けられていないタンク12を検出できる。
またCPU40は、ユーザが操作キー4から印刷要求を入力した場合でも、カバー11が閉位置にあり且つ全てのタンク12の注入口12dにキャップ15が取り付けられた状態でなければ印刷処理を行わないため(S6)、ユーザにカバー11及びキャップ15の確認を良好に促すことができる。以下、第2〜13実施形態について、先行する実施形態との差異を中心に説明する。
(第2実施形態及びその変形例)
図7は、第2実施形態及びその変形例に係る複合機の閉位置にあるカバー11とタンク12を示す図である。図7では、第2実施形態の変形例に係る光学センサ16を一点鎖線で示している。
第2実施形態の複合機は、シャッター17を備えていない。光学センサ16は反射型光学センサであり、カバー11と一体的に設けられ、カバー11のキャップ15と対向する領域(一例として、第1カバー部11aのキャップ15と対向する領域)に配置されている。光学センサ16は、カバー11が開位置にあるときには、出射光が注入口12dに取り付けられたキャップ15の反射領域15fを照射できず、カバー11が閉位置にあるときには、出射光が注入口12dに取り付けられたキャップ15の反射領域15fを照射できるように、カバー11に対して設けられている。
一例としてキャップ15は、タンク12の上部に取り付けられる。光学センサ16は、閉位置にあるカバー11においてキャップ15の上面と対向する領域に設けられる。反射領域15fは、キャップ15の上面(一例として操作部15bの上面)に設けられている。
複合機が通電状態の場合、第1状態では、光学センサ16の出射光が反射領域15fに反射されて光学センサ16に受光されるため、光学センサ16の出力値はONとなる。第2〜4状態では、キャップ15が無く光学センサ16の出射光が反射領域15fを照射できないため、光学センサ16の出力値はOFFとなる。これにより複合機が、第1状態と、第1状態以外(第2〜第4状態)とのいずれにあるかが検出される。
第2実施形態の複合機においても、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。また反射型光学センサ16と、キャップ15に形成された反射領域15fとを用いることで、比較的簡素な構成で、カバー11が閉位置にあるか否かと、注入口12dにキャップ15が取り付けられているか否かとを検出できる。
また、キャップ15の上面に反射領域15fを設けることで、キャップ15の側面の設計自由度を高めることができる。また、カバー11の移動に連動してシャッター17を移動させるための空間が不要であるため、内部空間13のコンパクト化を図ることができる。
続いて、第2実施形態の本変形例に係る複合機では、反射領域15fが、キャップ15の側面に設けられている。光学センサ16は、閉位置にあるカバー11においてキャップ15の側面と対向する領域に設けられている。本変形例の複合機においても、第2実施形態と同様の効果を得ることができる。また、キャップ15の側面に反射領域15fを設けることで、キャップ15の上面の設計自由度を高めることができる。
(第3実施形態)
[複合機の内部構成]
図8は、第3実施形態に係る複合機において、開位置及び閉位置にあるカバー11と、タンク112とを示す図である。図8では、カバー11及びカバー検出用磁石M2に関しては、開位置にあるときの状態を実線で示し、閉位置にあるときの状態を一点鎖線で示している。図8に示すように、タンク112は、ケース10の側壁10aと隣接している。当該複合機は、磁気センサ20、キャップ検出用磁石M1、及びカバー検出用磁石M2を備える。
キャップ検出用磁石M1は、タンク112の注入口112dにキャップ115が取り付けられているか否かを磁気センサ20が検出するために用いられる。キャップ検出用磁石M1は、キャップ115に設けられている。本実施形態のキャップ検出用磁石M1は、環状に形成され、周縁部115dの上側部分の外周を取り囲むようにキャップ115に取り付けられている。キャップ検出用磁石M1の形状と、キャップ検出用磁石M1のキャップ115への取り付け方法は、これに限定されない。
カバー検出用磁石M2は、カバー11が閉位置にあるか否かを磁気センサ20が検出するために用いられる。カバー検出用磁石M2は、カバー11が閉位置にあるときと、カバー11が開位置にあるときとで、磁気センサ20に検知される磁気が異なるように設けられている。本実施形態のカバー検出用磁石M2は、直方体状に形成されている。カバー検出用磁石M2は、カバー11において、カバー11が閉位置にあるときに磁気センサ20により磁気が検知される位置に設けられている。一例としてカバー検出用磁石M2は、第1カバー部11aにおいて、内部空間13に面し且つキャップ115と干渉しない位置に設けられている。
磁気センサ20は、検出センサの一例であり、キャップ検出用磁石M1の磁気を検知して、少なくとも、カバー11がキャップ115が注入口112dに取り付けられているか否かを検出する。本実施形態の磁気センサ20は、カバー11が閉位置又は開位置のいずれにあるかと、キャップ115が注入口112dに取り付けられているか否かに関して、カバー11が閉位置にあり且つキャップ115が注入口112dに取り付けられている状態を、他の状態と区別して検出する。
また、本実施形態のキャップ検出用磁石M1及びカバー検出用磁石M2と磁気センサ20とは、第1〜4状態のそれぞれにおいて、磁気センサ20が検知する磁気が互いに異なるように設定されている。
本実施形態の磁気センサ20は、タンク112に隣接するケース10の側壁10aにおいて、注入口112dにキャップ115が取り付けられているときのキャップ検出用磁石M1の磁気を検出できる位置に設けられている。磁気センサ20は、その一部が内部空間13に面するように、ケース10の側壁10aに設けられている。磁気センサ20の下方には、キャップ検出用磁石M1が位置している。磁気センサ20の上方には、カバー11が閉位置又は開位置のいずれの位置にある場合でも、カバー検出用磁石M2が位置している。
注入口112dにキャップ115が取り付けられた状態における磁気センサ20及びキャップ検出用磁石M1の位置関係は、カバー11の開閉位置とは無関係に一定である。磁気センサ20及びカバー検出用磁石M2の位置関係は、カバー11が開位置にあるときと、カバー11が閉位置にあるときとで変化する。図8に示すように、本実施形態のカバー検出用磁石M2は、カバー11が開位置にあるときは、カバー11が閉位置にあるときに比べて磁気センサ20から遠位に位置する。一例として、磁気センサ20とキャップ検出用磁石M1との間の水平(Y)方向における最短距離は、6mmに設定され、磁気センサ20とカバー11が閉位置にあるときのカバー検出用磁石M2との間の上下(Z)方向における最短距離は、4mmに設定されている。
磁気センサ20は、一例としてホールICであり、検知した磁束密度に応じて、4つの異なる出力値(OUT1〜4、表1参照)を出力する。磁気センサ20は、ホールICに限定されない。
本実施形態の複合機には、複数のタンク112に対応して個別に磁気センサ20が設けられていると共に、複数のタンク112の注入口112dに取り付けられるキャップ115に対応して、個別にキャップ検出用磁石M1が設けられている。またカバー検出用磁石M2は、複数の磁気センサ20に対応して、個別に設けられている。なお、全ての磁気センサ20に共通して対応するように、単一のカバー検出用磁石M2を設けてもよい。
[磁気センサが検知する磁束密度等について]
図9は、磁気センサ20が検知する磁束密度と、磁気センサ20のカバー検出用磁石M2からの距離との関係を示すグラフである。図10は、磁気センサ20の出力電圧と、磁気センサ20が検知する磁束密度との関係を示すグラフである。図9及び10と、後に示す図11及び12における座標軸の数値は、相対値を示している。
図9に示すように、磁気センサ20が検知する磁束密度は、磁気センサ20の磁石からの距離が小さくなるほど増大する。また図10に示すように、磁気センサ20の出力電圧は、磁気センサ20が検知する磁束密度が大きくなるほど増大する。磁気センサ20は、この特性を利用することにより、検知する磁束密度の大きさに応じた大きさの出力値で出力する。
図11は、カバー検出用磁石M2及びキャップ検出用磁石M1の磁気センサ20に検知される磁極が互いに同じ向きに配置された場合(以下、第1ケースと称する。)における、磁気センサ20の出力電圧と、磁気センサ20のカバー検出用磁石M2からの距離との関係を示すグラフである。図11に示すように、第1ケースにおいて磁気センサ20が検知する磁束密度は、磁気センサ20のカバー検出用磁石M2からの距離が小さくなるほど単調に増加し、当該距離が大きくなるほど単調に減少する。
第1ケースでは、注入口112dにキャップ115が取り付けられた状態でカバー11が開位置及び閉位置のうちの一方から他方に移動するにつれ、キャップ検出用磁石M1とカバー検出用磁石M2とによって形成される合成磁界から磁気センサ20が検知する磁束密度は、単調変化する。磁気センサ20がこの合成磁界から検知する磁束密度は、カバー11が開位置及び閉位置のいずれにあるかによって異なる。また、磁気センサ20がこの合成磁界から検知する磁束密度は、注入口112dにキャップ115が取り付けられているか否かによっても異なる。これにより、第1ケースにおける磁気センサ20の出力値は、第1〜4状態のそれぞれにおいて異なる値となる。よって、複合機が第1〜4状態のいずれにあるかを、磁気センサ20により検出できる。第3実施形態の複合機では、第1ケースのように、磁気センサ20に検知されるカバー検出用磁石M2及びキャップ検出用磁石M1が、磁極が互いに同じ向きとなるように配置されている。
なお第1〜4状態において、磁気センサ20が検知する磁気を異ならせる方法としては、磁石M1,M2の磁力の大小関係を調節する方法や、磁気センサ20と磁石M1,M2との距離を所定値に予め設定しておく方法等、様々な方法が考えられる。
また、カバー検出用磁石M2及びキャップ検出用磁石M1の形状は、同様としてもよい。また第3実施形態では、カバー11が仮想軸線Pの軸周りに回動することで、カバー検出用磁石M2が磁気センサ20に対して移動するが、カバー検出用磁石M2を磁気センサ20に対して移動させる構造は、これに限定されない。例えば、カバー11をケース10の外表面に沿って往復方向にスライドさせる構造でもよいし、カバー11をケース10から着脱自在に脱離させる構造でもよい。また、カバー11が閉位置又は開位置のいずれかにあるときに、磁気センサ20に検知されるカバー検出用磁石M2の磁束密度が低減されるように、磁気を遮蔽する遮蔽部材によりカバー検出用磁石M2が覆われるようにしてもよい。
図12は、カバー検出用磁石M2及びキャップ検出用磁石M1の磁気センサ20に検知される磁極が互いに逆向きに配置された場合(以下、第2ケースと称する。)における、磁気センサ20の出力電圧と、磁気センサ20のカバー検出用磁石M2からの距離との関係を示すグラフである。
図12に示すように、第2ケースにおいて磁気センサ20が検知する磁束密度は、磁気センサ20のカバー検出用磁石M2からの距離が変化すると、キャップ検出用磁石M1とカバー検出用磁石M2との磁界の相互作用により、第1ケースよりも複雑に変化する。磁気センサ20が検知する磁束密度は、各磁石M1,M2の磁力の大小関係や、各磁石M1,M2の配置関係等によって異なるので、第2ケースでは、磁気センサ20の出力値により第1〜4状態を区別できるように、各状態における磁気センサ20の出力値を予め確認しておくことが望ましい。
また第2ケースでは、磁石M1,M2の合成磁界によっては、第1状態と第2状態とにおいて、磁気センサ20の出力値が実質的に同値となる場合が考えられる。しかしながら、複合機が第1状態になる直前の状態(第3状態)における磁気センサ20の出力値と、複合機が第2状態になる直前の状態(第4状態)における磁気センサ20の出力値とは、キャップ検出用磁石M1の有無により異なる。よってCPU40は、磁気センサ20の出力値の時間的変化を示す情報をRAM42に適宜格納しておき、磁気センサ20が第1状態及び第2状態に対応する出力値を出力した場合は、その出力直前の磁気センサ20の出力値が第3状態又は第4状態のいずれに対応するかを判定することで、現在の複合機の状態が第1状態又は第2状態のいずれであるかを正確に判定できる。
従って第3実施形態の複合機では、第2ケースのように、磁気センサ20に検知されるカバー検出用磁石M2及びキャップ検出用磁石M1の磁極を互いに逆向きとなるように配置することも可能である。
ここで表1は、第3実施形態に係る磁気センサ20の各状態における出力値を示す。
本実施形態のカバー検出用磁石M2及びキャップ検出用磁石M1は、磁気センサ20に検知される磁極が同じ向きになる(すなわち第1ケースとなる)ように配置されているので、第1〜4状態における磁気センサ20の出力値は、表1に示すように、互いに異なるOUT1〜4のいずれかとなるように設定されている。従って、磁気センサ20の出力値がOUT1〜4のいずれであるかを判定することで、注入口112dにキャップ115が取り付けられているか否かと、カバー11が閉位置にあるか否かとを判定できる。
[複合機の動作]
図13は、第3実施形態に係る複合機の動作を示すフローチャートである。通電状態の複合機において、CPU40は印刷制御プログラムに基づき、全ての磁気センサ20の出力値がOUT1か否かを判定する(S11)。ここで、全ての磁気センサ20の出力値がOUT1である場合は、カバー11が閉位置にあり且つ全てのタンク112の注入口112dにキャップ115が取り付けられた第1状態の場合のみである。
CPU40は、S11で全ての磁気センサ20の出力値がOUT1でない(すなわち、少なくとも1つの磁気センサ20の出力値がOUT1以外である)と判定した場合、各磁気センサ20の出力値に応じて警告を通知する(S12)。
具体的にS12において、例えばCPU40は、ブラックのインクのタンク112に対応する磁気センサ20の出力値がOUT4であり、その他のインクのタンク112に対応する磁気センサ20の出力値がOUT3である場合、「カバーが閉じられておらず、ブラックのタンクの注入口にキャップが正しく取り付けられていません」とのメッセージを通知部5に通知させる。またCPU40は、ブラックとシアンのインクのタンク112に対応する磁気センサ20の出力値がOUT4であり、その他のインクのタンク112に対応する磁気センサ20の出力値がOUT3である場合、「カバーが閉じられておらず、ブラックとシアンのタンクの注入口にキャップが正しく取り付けられていません」とのメッセージを通知部5に通知させる。またCPU40は、ブラックのインクのタンク112に対応する磁気センサ20の出力値がOUT2であり、その他のインクのタンク112に対応する磁気センサ20の出力値がOUT1である場合、「ブラックのタンクの注入口にキャップが正しく取り付けられていません」とのメッセージを通知部5に通知させる。通知部5の通知方法は、これに限定されない。
CPU40は、S11において、全ての磁気センサ20の出力値がOUT1であると判定した場合、次に印刷要求があるか否かを判定する(S13)。CPU40は、S13において印刷要求があると判定するまで、S11〜S13を繰り返して行う。CPU40は、S13において印刷要求があると判定した場合、印刷指令をASIC44へ出力し、印刷処理を行う(S14)。その後CPU40は、ステップをS11にリターンさせる。
以上に説明したように、第3実施形態の複合機においても、第1実施形態と同様の効果を期待できる。また磁気センサ20は、カバー11が閉位置又は開位置のいずれにあるかと、キャップ115が注入口112dに取り付けられているか否かに関して、カバー11が閉位置にあり且つキャップ115が注入口112dに取り付けられている状態を、他の状態と区別して検出できるので、複合機1が第1状態にあるか否かを磁気センサ20を用いて良好に検出できる。また複合機1は、カバー11が閉位置にあるときと、カバー11が開位置にあるときとで、磁気センサ20に検知される磁気が異なるように設けられたカバー検出用磁石M2を備えるので、カバー11が閉位置にあるか否かを、磁気センサ20がカバー検出用磁石M2の磁束密度を検知することで良好に検出できる。また複合機1は、磁気センサ20を用いることにより、センサの検出精度がインク等の汚れの付着により低下するのを回避できる。
また、キャップ検出用磁石M1及びカバー検出用磁石M2と磁気センサ20とは、第1〜4状態のそれぞれにおいて磁気センサ20が検知する磁気が互いに異なるように設定されているので、各状態を精度よく区別して検出できる。
また磁気センサ20が、ケース10の側壁10aにおいて、注入口112dにキャップ115が取り付けられているときのキャップ検出用磁石M1の磁気を検知できる位置に設けられ、カバー検出用磁石M2が、カバー11において、カバー11が閉位置にあるときに磁気センサ20により磁気が検知される位置に設けられているので、カバー11に設けたカバー検出用磁石M2により、カバー11が閉位置にあるか否かを、キャップ115が注入口112dに取り付けられているか否かとは別に検出できる。
またキャップ検出用磁石M1とカバー検出用磁石M2とは、注入口112dにキャップ115が取り付けられた状態でカバー11が開位置及び閉位置のうちの一方から他方に移動するにつれ、上記した合成磁界から磁気センサ20が検知する磁束密度が単調変化するように設けられているので、カバー11が閉位置又は開位置にある状態と、キャップ115が注入口112dに取り付けられた状態又は取り付けられていない状態とのそれぞれに応じて、磁気センサ20の出力値を異ならせ易くすることができる。
(第4実施形態)
図14は、第4実施形態に係る複合機の閉位置にあるカバー11とタンク112を示す図である。本実施形態の複合機は、第3実施形態の複合機を基本構造としているが、磁気センサ20は、カバー11において、カバー11が閉位置にあるときに、注入口112dに取り付けられたキャップ115のキャップ検出用磁石M1の磁気を検知できる位置に設けられている。一例として、磁気センサ20は、カバー11が閉位置にあるときに注入口112dに取り付けられたキャップ115と部分的に対向する位置に設けられている。またカバー検出用磁石M2は、側壁10aにおいて、カバー11が閉位置にあるときに磁気センサ20により磁気が検知される位置に設けられている。
第4実施形態の複合機においても、第3実施形態の複合機と同様の効果を期待でき、側壁10aに設けたカバー検出用磁石M2により、カバー11が閉位置にあるか否かを、キャップ115が注入口112dに取り付けられているか否かとは別に検出できる。
(第5実施形態)
第5実施形態に係る複合機は、図14に示す第4実施形態の複合機を基本構造としているが、カバー検出用磁石M2が省略されている。また磁気センサ20は、第4実施形態と同様に、閉位置にあるカバー11においてキャップ115と対向する領域に設けられている。
第5実施形態の複合機によれば、比較的簡素な構成で、単一の磁気センサ20及び磁石(キャップ検出用磁石M1)により、カバー11が閉位置に無い状態又はタンク112にキャップ115が取り付けられていない状態と、これ以外の状態とを検出できる。
(第6実施形態)
図15は、第6実施形態に係る複合機の閉位置にあるカバー211とタンク212を示す図である。図16は、第6実施形態に係る複合機の部分的な回路構成を示す図である。図15及び16に示す例では、カバー211又はキャップ215に、圧電素子25と通信回路26とが取り付けられている。
カバー211又はキャップ215には、更に機械式スイッチ27、アクチュエータ28、及びローラ29のいずれかが、カバー211が閉位置にあるときに圧電素子25に振動を加えられる位置に取り付けられている。機械式スイッチ27、アクチュエータ28、及びローラ29には、圧電素子25をより振動させられるようにバネが取り付けられている。本実施形態では、機械式スイッチ27、アクチュエータ28、及びローラ29のいずれかは、各色のインクを貯留するタンクに取り付けられるキャップ215、又は各キャップ215に対応するカバー211の領域に取り付けられている。
ユーザがタンク212にインクを補充し、キャップ215が注入口212dに取り付けられている状態でカバーが閉じられると、機械式スイッチ27、アクチュエータ28、及びローラ29のいずれかがキャップ215に当たり、圧電素子25に振動が加えられる。これにより、圧電素子25によって十分な電力が蓄えられ、電力値が閾値を超えると、複合機が備える電源回路が動作して、通信回路26が動作する。通信回路26は、複合機に備えられた制御基板又は通信網のホストと通信し、起動したことを通知する。これに対してキャップ215の閉め忘れがあったり、注入口212dにキャップ215が正しく取り付けられていないと、圧電素子25に振動が加えられず、通信回路26を起動する電力が得られない。
通信回路26が行う通信内容は、インク色毎に異なっているため、通知を付け取った制御基板又は通信網のホストは、キャップ215が正しく閉じられているか否かを判定でき、この判定において、キャップ215が正しく閉じられていないと判定した場合、プリント動作は行わず、ユーザに警告を通知する。
(第7実施形態)
図17は、第7実施形態に係る複合機の閉位置にあるカバー211とタンク212を示す図である。第7実施形態は、第6実施形態を基本構造とし、キャップ215に圧電素子回路、通信回路26、及び超音波センサ50が取り付けられている。この構成では、キャップ215が注入口212dに取り付けられているか否かを検出すると共に、圧電素子25の起電力により超音波センサ50を動作させ、超音波センサ50からタンク212内のインクの液面までの距離を測定して、測定結果を制御基板又は通信網のホストに通知する。測定結果の通知を受けた制御基板又は通信網のホストは、その測定結果からタンク212内のインク量を測定し、インク量が十分あると判定した場合にプリント動作可能とし、インク量が十分でないと判定した場合には、その旨をユーザに通知する。
(第8実施形態)
図18は、第8実施形態に係る複合機の閉位置にあるカバー211とタンク212を示す図である。第8実施形態は、第7実施形態を基本構造とし、第2圧電素子51と通信回路(ホスト)とが装置本体側に取り付けられている。第2圧電素子51は、カバー211が閉じられると振動が加えられる。第2圧電素子51と通信回路は、制御基板52に有線で接続される。
この構成によれば、複合機に電源が入っていない状態でカバー211が閉じられても、通信回路からこの通信回路(ホスト)が内部に情報を蓄える。そして、通電状態の複合機において、制御基板52は通信回路(ホスト)と有線を介して通信し、キャップ215が注入口212dに取り付けられているか否かを検出すると共に、タンク212内のインク量を測定し、十分な液量であるか否かを判定する。
(第9実施形態)
図19は、第9実施形態に係る複合機の閉位置にあるカバー311とタンク312を示す図である。図20は、第9実施形態に係る複合機の部分的な回路構成を示す図である。図21は、第9実施形態に係る複合機におけるタンク状態検出信号の時間変化を示す図である。図22は、第9実施形態に係る複合機における検出電圧の時間変化を示す図である。
図19に示すように、第9実施形態では、タンク312の上部に注入口312dが設けられ、注入口312dが導電性のキャップ315で閉じられる。閉位置におけるカバー311のキャップ315の上面と対向する位置には、ゴム部材53が取り付けられている。ゴム部材53は導電性ゴムからなり、配線を通じて制御基板52に接続され、カバー311が閉位置にあるときはキャップ315の上面に接触する。
タンク312の内部には、液量測定用コンデンサ54が設けられている。液量測定用コンデンサ54は、液量測定用導電性ゴムを有する。この液量測定用導電性ゴムは、タンク312の内側で、タンク312の上下方向に複数のコンデンサを形成するように配線されている。液量測定用導電性ゴムの負極側は、タンク312の下方に設けられた導電性部材を介して、制御基板52のGND側に接続されている。注入口312dは、タンク312の内外で導電性を有している。注入口312dの外側部分はキャップ315と接触し、注入口312dの内側部分は液量測定用コンデンサ54の正極側と接触する。
上記構成によれば、カバー311が閉じられ、制御基板52に電源が投入されると、カバー311に取り付けられたゴム部材53を介して、制御基板52に向けてタンク状態検出信号が送信される。図21に示すように、制御基板52に設けられたCPUは、タンク状態検出信号をHigh Levelに設定する。キャップ315が注入口312dに正しく取り付けられ、インク量も十分である場合、液量測定用コンデンサ54に十分な電荷が蓄積される。このため図21及び22に示すように、CPUがタンク状態検出信号をHizに設定しても端子電圧の傾きは残量に応じてなだらかになる。
これに対して、図21及び22に示すように、キャップ315が注入口312dに正しく取り付けられていないか、インク量が十分でない場合、CPUがタンク状態検出信号をHizに設定すると、端子電圧が急激に低下する。インク量が規定値を超えた場合、CPUは、ユーザに警告音を発するか、UI上でインク量が満量である旨を警告する。
ここで従来では、ソフトカウントを用いて記録ヘッド36から吐出されるインク液滴の数をカウントすることで、インク残量をカウントしていたが、複合機が置かれる環境の変化によりインク液滴量が微量に変化し、正確なインク残量を判定してユーザに通知することが困難であった。これに対して本実施形態では、コンデンサ容量に基づいて実際のインク残量を測定するため、正確な残量検知が可能である。
なお液量測定用導電性ゴムは、タンク312の底面に向かうにつれて正極側と負極側との間隔を狭くなるように形成してもよい。これにより、低残量時におけるインク残量を精度よく測定できる。また、液量測定用導電性ゴムは、タンク312の上面に向かうにつれて正極側と負極側との間隔が狭くなるように形成してもよい。これにより、満量時又はその近傍におけるインク残量を精度よく測定できる。また、インクの満量を検出するための液量測定用導電性ゴムを、インクの低残量を検出するための液量測定用導電性ゴムとは別に配置してもよい。
(第10実施形態)
第10実施形態について説明する。図23において、(a)はブラック、(b)はマゼンタ、(c)はイエロー、(d)はシアンのインクを貯留するタンク312の注入口312dに取り付けられるキャップ315に形成された導電パターン図である。図24において、(a)はブラック、(b)はマゼンタ、(c)はイエロー、(d)はシアンのインクを貯留するタンク312の注入口312dに形成された導電パターン図である。図23は、キャップ315を見下ろしたときの導電パターンを示し、図24は、注入口312dを見下ろしたときの導電パターンを示す。
第10実施形態に係る複合機は、第9実施形態を基本構造としているが、キャップ315と注入口312dとに導電パターンが形成されている。キャップ315と注入口312dとに形成された導電パターンは、同じ色同士の組み合わせでなければ通電しない。これにより、異なる色同士の注入口312dとキャップ315とが組み合わされても、注入口312dとキャップ315とが導通せず、制御基板52がタンク状態検出信号を誤って受信できないようにすることができる。これにより、キャップ315の付け間違いによる不具合を防止できる。
(第11実施形態)
図25は、第11実施形態に係る複合機の開位置にあるカバー311とタンク312を示す図である。第11実施形態に係る複合機は、キャップ置き場55を有する。キャップ置き場55は、制御基板52と液量測定用コンデンサ54の正極側とに接続されている。キャップ置き場55に導電性のキャップ315を載置することで、キャップ315を介して、制御基板52と液量測定用コンデンサ54の正極側とが接続される。表2は、第11実施形態に係る複合機の状態遷移を示す。
第11実施形態に係る複合機によれば、上記構成を備えることにより、制御基板52に設けられたCPUが、表2に示す判定及び制御を行うことができる。
(第12実施形態)
図26は、第12実施形態に係る複合機の閉位置にあるカバー411とタンク412を示す図である。図26に示すように、閉位置にあるときのカバー411のキャップ415と対向する領域には、スイッチ56が設けられている。スイッチ56は所定の検出回路に接続されている。このスイッチ56は、カバー411が閉位置にあるときには、注入口412dに取り付けられたキャップ415に押されてONとなり、カバー411が開位置にあるときは、キャップ415と離隔してOFFとなる。このように、カバー411に設けたスイッチ56をキャップ415で押す構造にすることで、カバー411が閉位置にあり且つ注入口412dにキャップ415が取り付けられた正常状態と、それ以外の状態とを簡易な方法で判断できる。
なお、上記とは逆に、キャップ415にスイッチ56を設け、閉位置にあるカバー411でスイッチ56を押す構造としてもよい。この場合、スイッチ56を押すための突起をカバー411に設けてもよい。また、複合機がモノクロ対応の場合には、単一のタンク412の注入口に取り付けられるキャップ415に対応してスイッチ56を設けてもよい。
また、複合機がカラー対応の場合には、各色のタンク412の注入口412dに取り付けられるキャップ415に対応して複数のスイッチ56を設けてもよい。この場合、各スイッチ56と検出回路とを接続する配線を並列に設けると、各タンク412の注入口412dにキャップ415が取り付けられているか否かと、カバー411の開閉状態とを検出できると共に、どのタンク412の注入口412dにキャップ415が取り付けられていないかを特定できる。また、各スイッチ56と検出回路とを接続する配線を直列設けると、どのタンク412の注入口にキャップ415が取り付けられていないかは特定できないものの、カバー411が開位置にあるか又はいずれかのキャップ415が注入口412dに取り付けられていないことを検出できる。
また、複合機に複数のタンク412が設けられている場合は、タンク412の注入口412dの開口形状及びキャップ415の注入口412dと接触する部分の形状をタンク412毎に異ならせ、特定の組み合わせのタンク412の注入口412dとキャップ415のみが組み合わせられるようにしてもよい。
(第13実施形態)
図27は、第13実施形態に係る複合機の閉位置にあるカバー511とタンク512を示す図である。第13実施形態は、第12実施形態を基本構造としているが、図27に示すように、タンク512の上部の注入口512dと離隔した位置には、キャップ置き場55が設けられている。キャップ置き場55にキャップ515を載置した状態でカバー511を閉位置に移動させた場合、キャップ515はスイッチ56と離隔する。
このような構成によれば、タンク12の注入口512dから取り外したキャップ515をキャップ置き場55に載置した状態でカバー511が閉じられた場合、スイッチ56がキャップ515により押されることはない。よって、キャップ置き場55を利用して、タンク512にインクを注入し易くできると共に、カバー511が閉位置にあり且つ注入口512dにキャップ515が取り付けられた正常状態と、それ以外の状態とを判断できる。