JP6957397B2 - 作業車両 - Google Patents

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Description

本発明は、前輪を操向操作する操向ハンドルと、操向ハンドルに連結されたステアリングシャフトとを備える作業車両に関する。
田植機等の作業車両では、ステアリングシャフトを2回転させることがあり、例えば0度と左右どちらかに1回転した360度との判別ができないと、種々の制御において不都合が生じる場合がある。下記特許文献1には、操向自在な前輪の操向角度をポテンショメータを用いて検出する技術が開示されている。
特開2009−80号公報
しかしながら、ステアリングシャフトの回転角度を検出するためにポテンショメータを設けると、部品点数が増加し、コストも増大してしまう。
そこで、本発明は上記課題に鑑み、部品点数を抑えつつ、ステアリングシャフトの0度と360度の回転角度を判別することができる作業車両を提供することを目的とする。
本発明の作業車両は、前輪を操向操作する操向ハンドルと、
前記操向ハンドルに連結されたステアリングシャフトと、
前記ステアリングシャフトとともに回動する被検知体と、
前記被検知体を検知するステアリングシャフトセンサと、
前記ステアリングシャフトの左右それぞれの所定角度で切り替わる切り替わり部材と、
前記切り替わり部材の切り替わりを検出する所定角度センサと、
前記ステアリングシャフトの第1の回転角度と前記第1の回転角度から左右どちらかに360度回転した第2の回転角度とを判別する制御部と、を備え、
前記制御部は、前記ステアリングシャフトセンサによる検知結果と前記所定角度センサによる検出結果に基づいて、前記ステアリングシャフトの前記第1の回転角度と前記第2の回転角度とを判別するものである。
本発明において、前記切り替わり部材は、前記ステアリングシャフトの左右それぞれの所定角度で接続と切断が切り替わる後輪のサイドクラッチであり、
前記所定角度センサは、前記サイドクラッチの接続又は切断を検出するサイドクラッチセンサであり、
前記被検知体は、前輪が直進状態のときに前記ステアリングシャフトセンサに検知される位置に設けられ、
前記制御部は、前記ステアリングシャフトセンサによる検知結果と前記サイドクラッチセンサによる検出結果に基づいて、前記ステアリングシャフトの前記第1の回転角度と前記第2の回転角度とを判別するものでもよい。
本発明において、前記ステアリングシャフトに操舵補助力を付与するパワーステアリング装置をさらに備え、
前記制御部は、左右の前記サイドクラッチがどちらも接続している状態で、前記ステアリングシャフトセンサが前記被検知体を検知したときを基準点として、前記基準点から左右それぞれの前記ステアリングシャフトの回転角度を算出し、
前記パワーステアリング装置は、前記制御部が算出した回転角度に応じた向きと大きさの操舵補助力を前記ステアリングシャフトに付与するものでもよい。
本発明によれば、ポテンショメータを設けることなく、ステアリングシャフトの第1の回転角度と第1の回転角度から左右どちらかに360度回転した第2の回転角度とを判別することができる。よって、部品点数を抑えつつ、ステアリングシャフトの0度と360度の回転角度を判別することができる。
本発明において、作業車両の位置情報を取得する測位手段と、
設定した経路に沿って作業車両を自動走行させる自動走行制御部と、をさらに備え、
作業車両の駆動源を起動したとき、前記自動走行制御部は、前記被検知体が前記ステアリングシャフトセンサに検知されるまでは自動走行を規制するものでもよい。
駆動源が停止されると、通常、パワーステアリング装置はステアリングシャフトの回転角度の記録を無くしてしまう。パワーステアリング装置が前輪の操向角度を分からない状態で作業車両を自動走行させることは危険なため、駆動源を起動したとき、被検知体がステアリングシャフトセンサに検知され、ステアリングシャフトの0度と360度の回転角度を判別できるまで自動走行を規制するように構成している。
本発明において、自動走行に関する情報を報知する報知部と、をさらに備え、
前記駆動源を起動したとき、前記報知部は、少なくとも前記被検知体が前記ステアリングシャフトセンサに検知されるまでに前記操向ハンドルを操作する旨を作業者へ報知するものでもよい。
この構成によれば、報知部が操向ハンドルの操作を作業者へ促すことで、被検知体がステアリングシャフトセンサに確実に検知される。
本実施形態に係る田植機の全体構成を示す左側面図である。 ステアリングシャフト周辺の概略構成を示す後方側から見た正面図である。 ステアリングシャフト周辺の概略構成を示す後方側から見た斜視図である。 被検知体及びステアリングシャフトセンサの詳細を示す分解斜視図である。 サイドクラッチ操作機構の構成を示す模式図である。 制御部の機能ブロック図である。 ステアリングシャフトの0度と360度を判別する方法を説明する図である。 運転操作部を左後方から見た斜視図である。 タブレットに表示される表示画面を示す図である。
以下に、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。
図1は、作業車両の一例としての田植機1を示している。作業車両としては、田植機1のほか、トラクタ、コンバイン、土木・建築作業車等が例示される。
まず、田植機1の概略構造について説明する。なお、以下の説明では、走行機体2の進行方向(図1の左方向)に向かって左側を単に左側と称し、同じく進行方向に向かって右側を単に右側と称する。田植機1は、走行機体2と、走行機体2を支持する左右一対の前輪3,3及び左右一対の後輪4,4と、走行機体2の前部に搭載されるエンジン5とを備えている。エンジン5からの動力を後方のミッションケース6に伝達して、前輪3,3及び後輪4,4を駆動させることにより、走行機体2が前後進走行するように構成されている。ミッションケース6の左右側方にフロントアクスルケース7を突出させ、フロントアクスルケース7から左右外向きに延びる前車軸に前輪3が舵取り可能に取り付けられている。ミッションケース6の後方に筒状フレーム8を突出させ、筒状フレーム8の後端側にリアアクスルケース9を固設し、リアアクスルケース9から左右外向きに延びる後車軸に後輪4が取り付けられている。また、走行機体2は、不図示の制御部を備えている。制御部は、田植機1の各部に備えられたセンサ等の信号に基づいて、田植機1の各構成を制御するように構成されている。
図1に示されるように、走行機体2の前部及び中央部の上面側には、作業者搭乗用の作業ステップ(車体カバー)10が設けられている。作業ステップ10の前部の上方にはフロントボンネット11が配置され、フロントボンネット11の内部にエンジン5を設置している。
また、フロントボンネット11の後部上面側にある運転操作部12には、操向ハンドル13と走行主変速レバー14とが設けられている。作業ステップ10の上面のうちフロントボンネット11の後方には、シートフレーム15を介して操縦座席16が配置されている。
走行機体2の後端部にリンクフレーム17が立設されている。リンクフレーム17には、ロワーリンク18及びトップリンク19からなる昇降リンク機構20を介して、苗植付装置21が昇降可能に連結されている。筒状フレーム8の上面後部に、油圧式の昇降シリンダ22のシリンダ基端側を上下回動可能に支持させる。昇降シリンダ22のロッド先端側はロワーリンク18に連結している。昇降シリンダ22の伸縮動にて昇降リンク機構20を上下回動させる結果、苗植付装置21が昇降動する。
作業者は、作業ステップ10の側方にある乗降ステップ23から作業ステップ10上に搭乗し、運転操作にて圃場内を移動しながら、苗植付装置21を駆動させて圃場に苗を植え付ける苗植え作業(田植え作業)を実行する。
図1に示すように、苗植付装置21は、エンジン5からミッションケース6を経由した動力が伝達される植付入力ケース24と、植付入力ケース24に連結する八条用四組(二条で一組)の植付伝動ケース25と、各植付伝動ケース25の後端側に設けられた苗植機構26と、八条植え用の苗載台27と、各植付伝動ケース25の下面側に配置された田面均平用のフロート28とを備えている。苗植機構26には、一条分二本の植付爪29を有するロータリケース30が設けられている。植付伝動ケース25に二条分のロータリケース30が配置されている。ロータリケース30の一回転によって、二本の植付爪29が各々一株ずつの苗を切り取ってつかみ、フロート28にて整地された田面に植え付ける。
ボンネット11の左右側方には、苗植付装置21に補給するための予備苗を載置可能な予備苗台31が設けられている。本実施形態では、左右に4つずつ予備苗台31が設けられている。また、ボンネット11の左右側方には、予備苗台31を支持する予備苗フレーム32が前後方向に間隔をあけて2本ずつ設けられている。また、予備苗フレーム32の上部には、前後方向に並べられた2本の予備苗フレーム32の上端に連結される連結フレーム33が設けられている。
連結フレーム33は、側方視で略L字状をしており、連結フレーム33の上端には、上方に延びる支持フレーム34が接続されている。左右の支持フレーム34の上部には、ユニットフレーム35が回動可能に連結される。
ユニットフレーム35の左右方向中央部には、測位ユニット36(測位手段に相当する)が設けられている。測位ユニット36は、測位用アンテナ、位置情報受信機、慣性計測装置(IMU)等を備える。測位用アンテナは、例えば衛星測位システム(GNSS)等の測位システムを構成する測位衛星からの信号を受信するものである。測位用アンテナは、測位ユニット36の上面に取り付けられている。測位用アンテナで受信された測位信号は、位置情報受信機に入力され、位置情報受信機は、入力された測位信号を信号処理して測位情報を取得する。慣性計測装置は、走行機体2の姿勢(ロール角、ピッチ角、ヨー角)を特定することが可能なユニットである。
以下、図2及び図3に基づいて、操向ハンドル13の回転操作によって前輪3,3を操向操作するためのステアリング系統の概略構成について説明する。
ステアリングシャフト41は、操向ハンドル13の中心部分に接続されて、操向ハンドル13の操舵力を前輪3に伝達する。ステアリングシャフト41は、その周囲が支持部材により覆われているので、図2及び図3では、覆われている部位を破線にて示している。ステアリングシャフト41は、上下方向に延びるように備えられ、その上端部が操向ハンドル13に連結されている。ステアリングシャフト41の下端部がミッションケース6の上部に連結されており、ステアリングシャフト41は、ミッションケース6の上部に支持されている。
ステアリングシャフト41は、上方側から順に、上方側シャフト41a、中間シャフト41b、下方側シャフト41cの3つのシャフトに分割されている。上方側シャフト41aは、上方側ほど後方側に位置する後方傾斜姿勢にて配置されており、中間シャフト41b及び下方側シャフト41cは、上下方向に沿って延びる起立姿勢にて配置されている。上方側シャフト41aと中間シャフト41bは継手部材42にて一体的に回転するように接続されており、中間シャフト41bと下方側シャフト41cとの間にはパワーステアリング装置51が配置されている。
作業者が操向ハンドル13を回転操作すると、その回転操作に伴う操舵力がステアリングシャフト41に伝達される。ステアリングシャフト41の中間部にはパワーステアリング装置51が備えられており、パワーステアリング装置51は、電動モータ52を備えており、電動モータ52の駆動力を操舵補助力としてステアリングシャフト41に付与する電動式に構成されている。よって、ステアリングシャフト41には、作業者による操向ハンドル13の操舵力に加えて、パワーステアリング装置51における電動モータ52による操舵補助力が付与されている。ステアリングシャフト41は、操向ハンドル13による操舵力、及び、パワーステアリング装置51による操舵補助力によって回転駆動することになり、ステアリングシャフト41の回転駆動によってピットマンアーム(図示省略)を揺動操作して右及び左の前輪3,3を操向操作するように構成されている。
パワーステアリング装置51は、中間シャフト41bと下方側シャフト41cとの間に配置されたパワーステアリングケース53と、電動モータ52とが備えられている。パワーステアリングケース53は、図3に示すように、大径の円筒部位の上部に小径の円筒部位を配置させた平面視で円形状に形成されており、その上面部から上方側に延びる状態で入力部54が配置され、その底面部から下方側に延びる状態で出力部55が配置されている。パワーステアリングケース53内には、詳細な図示は省略するが、例えば、入力部54にて入力された操舵力(回転駆動力)を伝達して出力部55に出力する軸部、その軸部の途中部に配置される駆動ギヤ、トルクセンサ等が収容されている。そして、パワーステアリング装置51は、図2に示すように、入力部54が中間シャフト41bに接続されており、中間シャフト41bから入力部54に操舵力(回転駆動力)が伝達されるように構成されている。また、パワーステアリング装置51は、図2に示すように、出力部55がジョイント部材56を介して下方側シャフト41cに接続されており、出力部55からジョイント部材56を介して下方側シャフト41cに操舵力(回転駆動力)伝達されるように構成されている。
中間シャフト41bの上下方向中央部には、ステアリングシャフト41とともに回動する被検知体43が固定されている。被検知体43は、上下方向に延びる金属製のプレートである被検知部43aと、中間シャフト41bに取り付けるための取付部43bとが一体として形成されている。
中間シャフト41bの上下方向中央部には、中間シャフト41bとともに回動するフランジ44が設けられている。フランジ44には、中間シャフト41bの回りに円弧状の長孔44aが形成されている。被検知体43の取付部43bが、締結手段であるボルト45とナット45aによりフランジ44の長孔44aに固定される。そのため、被検知体43は、フランジ44の長孔44aに沿って移動でき、中間シャフト41bに対する被検知体43の角度位置を調節できる。
被検知体43を検知するステアリングシャフトセンサ46が、中間シャフト41bを覆う支持部材47に固定されている。ステアリングシャフトセンサ46としては、金属を検出可能な近接センサが例示される。支持部材47は、その上端部が継手部材42を覆う支持部材48に連結されており、中間シャフト41bの左右両側を覆い、かつ中間シャフト41bの前方側及び後方側を開放する前後方向に延びる一対の板状体で構成されている。
いずれか一方の支持部材47(本実施形態では左側)には、開口部47aが形成されており、開口部47aの開口縁から左側方へ突出するセンサ固定部47bが形成されている。ステアリングシャフトセンサ46は、センサ固定部47bに固定され、センサ部が開口部47aを通して被検知体43の被検知部43aに対向している。これにより、ステアリングシャフトセンサ46は、ステアリングシャフト41が回転して被検知部43aが接近したことを検知できる。なお、ステアリングシャフトセンサ46の検知結果は、後述する制御部100に入力されるようになっている。本実施形態では、ステアリングシャフトセンサ46と被検知部43aは、前輪3が直進状態のとき、すなわちステアリングシャフト41の回転角度が0度のときに、ステアリングシャフトセンサ46が被検知部43aを検知可能な位置に配置されている。
次に、後輪4の後車軸に対する駆動力の伝達の有無を切り替え可能なサイドクラッチ操作機構について説明する。図5には、サイドクラッチ操作機構94の模式的な構成が示されている。
エンジン5の動力は、プロペラシャフト91を介して、リアアクスルケース9に伝達される。リアアクスルケース9内で入力された回転駆動力は、左の後車軸92L及び右の後車軸92Rに伝達される。左の後車軸92Lは左の後輪4を駆動し、右の後車軸92Rは右の後輪4を駆動する。
プロペラシャフト91から左の後車軸92Lまでの駆動伝達経路の間には、左のサイドクラッチ93Lが配置されている。同様に、プロペラシャフト91から右の後車軸92Rまでの駆動伝達経路の間には、右のサイドクラッチ93Rが配置されている。左右のサイドクラッチ93L,93Rは、それぞれ独立して接続と切断を切り替えることができる。
サイドクラッチ操作機構94は、左右のクラッチ操作レバー95L,95Rと、ステアリング連動レバー96と、ステアリング操作伝達リンク97と、から構成されている。
クラッチ操作レバー95L,95Rはリアアクスルケース9の上面側に配置されている。また、クラッチ操作レバー95L,95Rは、支軸99L,99Rを中心にして「クラッチ接続位置」と「クラッチ切断位置」との間で回動することにより、対応する側のサイドクラッチを操作できるように構成されている。具体的には、左のクラッチ操作レバー95Lを「クラッチ接続位置」まで回動させると左のサイドクラッチ93Lが接続状態となり、当該左のクラッチ操作レバー95Lを「クラッチ切断位置」まで回動させると左のサイドクラッチ93Lが切断状態となるように構成されている。同様に、右のクラッチ操作レバー95Rを「クラッチ接続位置」まで回動させると右のサイドクラッチ93Rが接続状態となり、当該右のクラッチ操作レバー95Rを「クラッチ切断位置」まで回動させると右のサイドクラッチ93Rが切断状態となるように構成されている。なお、クラッチ操作レバー95L,95Rは、不図示の付勢部材によって、「クラッチ接続位置」となるように付勢力が加えられている。従って、左右のクラッチ操作レバー95L,95Rに対して操作力を加えない状態では、左右のサイドクラッチ93L,93Rは共に接続状態となる。
ステアリング連動レバー96は、リアアクスルケース9の上面側に配置されている。また、ステアリング連動レバー96は、その長手方向中心部に支軸96aが取り付けられており、この支軸96aを中心にして回動可能に構成されている。ステアリング連動レバー96は、支軸96aを中心にして回動することにより、左右のクラッチ操作レバー95L,95Rを操作できるように構成されている。
具体的には、左のクラッチ操作レバー95Lは、ステアリング連動レバー96の左側の端部96bの近傍に配置されている。そして、ステアリング連動レバーが支軸96aを中心として一方向に向けて回転することにより、当該ステアリング連動レバー96の左側の端部96bによって左のクラッチ操作レバー95Lを押すことができるように構成されている。このようにステアリング連動レバー96の端部96bによって左のクラッチ操作レバー95Lを押すことにより、前記付勢力に逆らって左のクラッチ操作レバー95Lを回動させ、当該左のクラッチ操作レバー95Lを「クラッチ切断位置」とすることができる。
また、右のクラッチ操作レバー95Rは、ステアリング連動レバー96の右側の端部96cの近傍に配置されている。そして、ステアリング連動レバー96は、支軸96aを中心として他方向に向けて回転することにより、当該ステアリング連動レバー96の他側の端部96cによって右のクラッチ操作レバー95Rを押すことができるように構成されている。このようにステアリング連動レバー96の端部96cによって右のクラッチ操作レバー95Rを押すことにより、前記付勢力に逆らって右のクラッチ操作レバー95Rを回動させ、当該右のクラッチ操作レバー95Rを「クラッチ切断位置」とすることができる。なお、ステアリング連動レバー96は、左右のクラッチ操作レバー95L,95Rの何れも操作しない中立位置(図5の状態)を取ることができるように構成されている。
ステアリング操作伝達リンク97は、作業者による操向ハンドル13の操作を、ステアリング連動レバー96の支軸96aに伝達するように構成されている。これにより、操向ハンドル13の操作量に応じてステアリング連動レバー96を回動させることができるので、操向ハンドル13の操作に応じてサイドクラッチ93L,93Rの接続/切断を切り替えることができる。
より具体的には、操向ハンドル13を左に一定量以上操作すると、ステアリング連動レバー96の端部96bが左のクラッチ操作レバー95Lを押して、左のサイドクラッチ93Lを切断するように構成されている。左のサイドクラッチ93Lは、例えば操向ハンドル13が直進状態(0度)から左へ270度以上回転操作された場合に切断される。また、操向ハンドル13を右に一定量以上操作すると、ステアリング連動レバー96の端部96cが右のクラッチ操作レバー95Rを押して、右のサイドクラッチ93Rを切断するように構成されている。右のサイドクラッチ93Rは、例えば操向ハンドル13が直進状態(0度)から右へ270度以上回転操作された場合に切断される。本実施形態では、後輪4,4のサイドクラッチ93L,93Rが本発明の切り替わり部材に相当し、ステアリングシャフト41の左右それぞれの所定角度で接続と切断が切り替わる。
以上の構成で、操向ハンドル13が左右に一定量以上操作された場合(圃場にて旋回を行う場合)、内側の後輪4に対する駆動力の伝達が切断されるので、内側の後輪4によって圃場が荒れることを防止しつつスムーズな旋回を実現することができる。
また、左右のクラッチ操作レバー95L,95Rの近傍には、それぞれサイドクラッチセンサ98L,98Rが取り付けられている。このサイドクラッチセンサ98L,98Rは、具体的にはスイッチとして構成されている。即ち、クラッチ操作レバー95L,95Rが「クラッチ切断位置」まで回動したときに、対応する側のサイドクラッチセンサ98L,98Rを押し、スイッチがONとなることによりサイドクラッチ93L,93Rの切断を検出するように構成されている。これにより、簡単な構成で、サイドクラッチ93L,93Rが接続しているか否かを検出することができる。本実施形態では、サイドクラッチセンサ98L,98Rが本発明の所定角度センサに相当し、サイドクラッチ93L,93Rの接続又は切断を検出する。なお、サイドクラッチセンサ98L,98Rの検出結果は、後述する制御部100に入力されるようになっている。
制御部100は、ステアリングシャフト41の第1の回転角度と第1の回転角度から左右どちらかに360度回転した第2の回転角度とを判別する。制御部100は、ステアリングシャフトセンサ46による検知結果とサイドクラッチセンサ98L,98R(所定角度センサの一例)による検出結果に基づいて、ステアリングシャフト41の第1の回転角度と第2の回転角度とを判別することができる。本実施形態では、制御部100は、ステアリングシャフト41の0度と左右どちらかに1回転した360度とを判別する。この判別方法について、図7を用いて説明する。
ステアリングシャフトセンサ46は、前述のように、ステアリングシャフト41の回転角度が0度のとき、被検知部43aを検知する。さらに、ステアリングシャフトセンサ46は、ステアリングシャフト41の回転角度が左右どちらかに360度のときにも、被検知部43aを検知する。言い換えると、ステアリングシャフトセンサ46が被検知部43aを検知したとき(図7では「〇」で示す)、ステアリングシャフト41は、直進状態、又は左右どちらかに1回転させた状態である。
左のサイドクラッチセンサ98Lは、ステアリングシャフト41の回転角度が左に270度以上のとき、スイッチがONとなり左のサイドクラッチ93Lの切断を検出する。また、右のサイドクラッチセンサ98Rは、ステアリングシャフト41の回転角度が右に270度以上のとき、スイッチがONとなり右のサイドクラッチ93Rの切断を検出する。言い換えると、サイドクラッチセンサ98L,98RがONのとき、ステアリングシャフト41は、左右どちらかに270度以上回転させた状態である。一方、サイドクラッチセンサ98L,98Rが両方ともOFFのとき、ステアリングシャフト41は、左右どちらにも270度以上回転させていない状態である。
よって、制御部100は、ステアリングシャフトセンサ46が被検知部43aを検知し、かつ左右のサイドクラッチセンサ98L,98Rがいずれもサイドクラッチ93L,93Rの接続を検出したとき、ステアリングシャフト41の回転角度が0度(直進状態)であると判断する。また、制御部100は、ステアリングシャフトセンサ46が被検知部43aを検知し、かつ左右のサイドクラッチセンサ98L,98Rのいずれかがサイドクラッチ93L,93Rの切断を検出したとき、ステアリングシャフト41の回転角度が左右どちらかに360度(左右どちらかに1回転させた状態)であると判断する。これにより、制御部100は、ステアリングシャフト41の0度と、左右どちらかに1回転した360度とを判別することができる。なお、左右のサイドクラッチセンサ98L,98Rとは別に、ステアリングシャフト41の回転角度が360度を超えて720度までの範囲でONとOFFが切り替わる判別スイッチを左右それぞれ備え、判別スイッチの切り替わりとステアリングシャフトセンサ46が被検知部43aを検知したことを組み合わせることで、制御部100は、ステアリングシャフト41の0度と、左右どちらかに2周回転した720度とを判別することもできる。
ところで、制御部100でパワーステアリング装置51を制御することにより自動操舵を実現する際、ステアリングシャフト41の0度と360度の回転角度を判別できないと、仮に制御部100が360度を0度と認識した場合、すでに旋回中にも拘らずステアリングシャフト41をさらに回転させようとするおそれがある。本発明によれば、ステアリングシャフト41の0度と360度を判別することができるため、田植機1が直進状態か否かを判定することができる。
図8は、運転操作部12周辺の斜視図である。運転操作部12の右側には、タブレット37(報知部の一例)が設けられている。タブレット37は、測位ユニット36により取得された位置情報を表示することができる。また、タブレット37は、設定した経路に沿って田植機1を自動走行させる際、走行経路を表示したり、自動走行の指示を行ったりするために使用される。
制御部100は、設定した経路に沿って田植機1を自動走行させる自動走行制御部100aを含む。自動走行制御部100aの制御によって、測位ユニット36にて田植機1の現在位置を取得しながら、操向ハンドル13の操作等を行い、自動走行可能に構成されている。
ところで、エンジン5のキーOFFが起きると、通常、パワーステアリング装置51はステアリングシャフト41の回転角度の記録を無くしてしまう。パワーステアリング装置51が前輪4の操向角度を分からない状態で田植機1を自動走行させることは危険なため、作業者がエンジン5を起動したとき、自動走行制御部100aは、被検知体43がステアリングシャフトセンサ46に検知され、上記の判別方法を用いてステアリングシャフト41の0度と360度の回転角度を判別ができるまで自動走行を規制する。
自動走行制御部100aは、被検知体43がステアリングシャフトセンサ46に検知されていない場合、被検知体43がステアリングシャフトセンサ46に検知されるまで操向ハンドル13を操作する旨を作業者へ報知する。作業者への報知は、タブレット37で行われる。図9は、タブレット37の表示画面を示している。
図9(a)に示す表示画面では、画面上端側の上部表示領域61とそれよりも画面下方側の下部表示領域62とに分割されている。上部表示領域61では、「地図」及び「ヘルプ」の操作部63が左側端部に表示され、「GNSS/IMU」及び「メニュー」の操作部63が右側端部に表示され、中央部に現在どのような画面が表示されているかの表示内容(この例では「作業操作」)が表示される。
下部表示領域62では、田植機1の自動走行を開始するための各種の条件となる部位(ステアリング、ブレーキ等)を示す成立状態表示画面64が表示される。成立状態表示画面64において、各部位について、条件を満たしている部位については成立用の特定色(例えば、緑色)を点灯させ、条件を満たしていない部位については未成立用の特定色(例えば、赤色)を点灯させている。ここでは、「ステアリング中央」について未成立用の特定色が点灯している。
図9(a)の「ステアリング中央」を選択操作すると、図9(b)の表示画面に遷移する。図9(b)に表示画面では、被検知体43がステアリングシャフトセンサ46に検知されるように、前輪3を真っすぐにし、その後ステアリング(操向ハンドル13)を左右に45度回す操作を作業者へ促している。これにより、被検知体43がステアリングシャフトセンサ46に確実に検知される。
タブレット37は、走行経路やエラーを表示したり、自動走行の指示が入力されたりするだけでなく、例えば、表示されたアイコンが選択されると、そのアイコンに対応した情報を作業者以外の補助作業者に報知するようにしてもよい。具体的には、エラーや資材の状態等の情報を補助作業者が有する通信機器に送信する。例えば、予備苗の残数が少なくなったことを田植機1の周辺にいる補助作業者に知らせることができる。これにより、補助作業者が予備苗の準備を行えるため、作業効率が上がる。また、表示されたアイコンを作業者が選択することなく、タブレット37が自動で補助作業者に情報を報知するようにしてもよい。さらに、タブレット37は、田植機1の故障情報をメンテナンス業者に報知するようにしてもよい。
[他の実施形態]
(1)制御部100は、左右のサイドクラッチ93L,93Rがどちらも接続している状態で、ステアリングシャフトセンサ46が被検知体43を検知したときを基準点として、基準点から左右それぞれのステアリングシャフト41の回転角度を算出し、パワーステアリング装置51は、制御部100が算出した回転角度に応じた向きと大きさの操舵補助力をステアリングシャフト41に付与するようにしてもよい。なお、基準点からの回転角度は、例えばパワーステアリング装置51の電動モータ52の回転角に基づいて算出することができる。
(2)切り替わり部材としては、前述の後輪4,4のサイドクラッチ93L,93Rの他、後輪4,4にそれぞれ設けられたサイドブレーキ、操向ハンドル13を回動させて旋回開始時に苗植付装置21の上昇を決定するスイッチ等が例示される。
以上、本発明の実施形態について図面に基づいて説明したが、具体的な構成は、これらの実施形態に限定されるものでないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明だけではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
1 田植機
3 前輪
4 後輪
13 操向ハンドル
36 測位ユニット
37 タブレット
41 ステアリングシャフト
43 被検知体
43a 被検知部
46 ステアリングシャフトセンサ
51 パワーステアリング装置
93L 左のサイドクラッチ
93R 右のサイドクラッチ
98L 左のサイドクラッチセンサ
98R 右のサイドクラッチセンサ
100 制御部
100a 自動走行制御部

Claims (5)

  1. 前輪を操向操作する操向ハンドルと、
    前記操向ハンドルに連結されたステアリングシャフトと、
    前記ステアリングシャフトとともに回動する被検知体と、
    前記被検知体を検知するステアリングシャフトセンサと、
    前記ステアリングシャフトの左右それぞれの所定角度で接続と切断が切り替わる後輪のサイドクラッチと、
    前記サイドクラッチの接続と切断の切り替わりを検出する所定角度センサと、
    前記ステアリングシャフトの第1の回転角度と前記第1の回転角度から左右どちらかに360度回転した第2の回転角度とを判別する制御部と、を備え、
    前記所定角度は、前記第1の回転角度よりも大きく、かつ、前記第2の回転角度よりも小さく、
    前記制御部は、前記ステアリングシャフトセンサによる検知結果と前記所定角度センサによる検出結果に基づいて、前記ステアリングシャフトの前記第1の回転角度と前記第2の回転角度とを判別する、作業車両。
  2. 前記被検知体は、前輪が直進状態のときに前記ステアリングシャフトセンサに検知される位置に設けられる、請求項1に記載の作業車両。
  3. 前記ステアリングシャフトに操舵補助力を付与するパワーステアリング装置をさらに備え、
    前記制御部は、左右の前記サイドクラッチがどちらも接続している状態で、前記ステアリングシャフトセンサが前記被検知体を検知したときを基準点として、前記基準点から左右それぞれの前記ステアリングシャフトの回転角度を算出し、
    前記パワーステアリング装置は、前記制御部が算出した回転角度に応じた向きと大きさの操舵補助力を前記ステアリングシャフトに付与する、請求項2に記載の作業車両。
  4. 作業車両の位置情報を取得する測位手段と、
    設定した経路に沿って作業車両を自動走行させる自動走行制御部と、をさらに備え、
    作業車両の駆動源を起動したとき、前記自動走行制御部は、前記被検知体が前記ステアリングシャフトセンサに検知されるまでは自動走行を規制する、請求項1〜3の何れか1項に記載の作業車両。
  5. 自動走行に関する情報を報知する報知部と、をさらに備え、
    前記駆動源を起動したとき、前記報知部は、少なくとも前記被検知体が前記ステアリングシャフトセンサに検知されるまで前記操向ハンドルを操作すべき旨を作業者へ報知する、請求項4に記載の作業車両。
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