JP6951657B2 - 無機多孔質シートの製造方法 - Google Patents

無機多孔質シートの製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP6951657B2
JP6951657B2 JP2017014088A JP2017014088A JP6951657B2 JP 6951657 B2 JP6951657 B2 JP 6951657B2 JP 2017014088 A JP2017014088 A JP 2017014088A JP 2017014088 A JP2017014088 A JP 2017014088A JP 6951657 B2 JP6951657 B2 JP 6951657B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
porous sheet
inorganic
glass
powder
inorganic porous
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2017014088A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2018123011A (ja
Inventor
清行 奥長
清行 奥長
竜哉 後藤
竜哉 後藤
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nippon Electric Glass Co Ltd
Original Assignee
Nippon Electric Glass Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nippon Electric Glass Co Ltd filed Critical Nippon Electric Glass Co Ltd
Priority to JP2017014088A priority Critical patent/JP6951657B2/ja
Publication of JP2018123011A publication Critical patent/JP2018123011A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6951657B2 publication Critical patent/JP6951657B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Description

本発明は、半導体回路基板等に使用される無機多孔質シートの製造方法に関する。
半導体回路基板は、セラミック粉末を主成分として含有するグリーンシートを焼成処理し、焼結することにより得られる。グリーンシートは、焼成前後でその体積が大きく変化するため、半導体回路基板はその寸法管理が難しいという問題がある。当該問題を解決するため、引用文献1では、セラミック粉末とバインダー樹脂からなる未焼成セラミック積層体を、バインダー樹脂は消失させるが、セラミック粉末は実質的に焼結させない温度で熱処理することにより多孔質積層体を得た後、当該多孔質積層体に液状の固着用樹脂を含浸させることにより、多層回路基板を作製する方法が検討されている。
特開2007−281115号公報
近年、デバイスの小型化を目的として、半導体回路基板の薄型化のニーズが高まっている。特許文献1では、多孔質体をグリーンシート法により作製しているが、通常のグリーンシート法では、以下の理由から薄型の焼成体を作製することが困難である。つまり、グリーンシート法では、焼成時の収縮に伴う変形を抑制するため、通常、拘束板で挟持した状態で焼成を行う。ここで、焼成後の離型性を良くするため、拘束板の表面にはアルミナ粉末等の離型材が塗布される。焼成体の表面には離型材が付着しやすく、当該離型材を除去するため、研磨する必要がある。しかしながら、焼成体が非常に薄い場合、研磨により破損しやすい。
以上に鑑み、本発明は、薄型の無機多孔質シートを破損することなく作製する方法を提供することを目的とする。
本発明の無機多孔質シートの製造方法は、ガラス粉末と無機フィラー粉末を含み、ガラス粉末の含有量が50体積%以下である混合粉末を準備する工程、混合粉末を無機基板上に塗布して塗膜を形成する工程、塗膜を焼成して焼成膜を形成する工程、及び、焼成膜を無機基板から剥離する工程、を備え、焼成温度が、ガラス粉末の軟化点+50℃以下であることを特徴とする。このようにすれば、焼成により軟化流動するガラス粉末の量が50体積%以下と少ないことに加え、焼成温度もガラス粉末の軟化点+50℃以下と比較的低いため、ガラス粉末の流動量も小さい。そのため、焼成膜が無機基板に固着しにくくなり、離型材を使用することなく、焼成膜を無機基板から容易に剥離することが可能となる。結果として、薄型の無機多孔質シートを研磨することなく作製することが可能となる。なお、本発明において「剥離する」とは、無機基板に一定の強度で固着している無機多孔質シートを分離する場合に限られるものではなく、無機基板に全く固着していない無機多孔質シートを取り外す場合も含む。
本発明の無機多孔質シートの製造方法は、無機基板と焼成膜の30〜300℃の範囲における熱膨張係数差が20×10−7/℃以上であることが好ましい。このようにすれば、焼成膜が無機基板から剥離しやすくなる。
本発明の無機多孔質シートの製造方法は、混合粉末をペースト状で無機基板上に塗布することが好ましい。このようにすれば、塗膜の厚みを均一化かつ薄型化しやすくなる。
本発明の無機多孔質シートの製造方法は、無機多孔質シートの厚みが30〜500μmであることが好ましい。
本発明の無機多孔質シートの製造方法は、無機フィラー粉末が、結晶化ガラス、石英ガラス、β−スポジュメン、β−ユークリプタイト、ウイレマイト、コーディエライト、チタン酸アルミニウム、タングステン酸ジルコニウム、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化ジルコニウム、α石英、αクリストバライト、リン酸タングステン酸ジルコニウムからなる群から選ばれた少なくとも一種からなることが好ましい。
本発明の無機多孔質シートの製造方法は、無機フィラー粉末が、リチウムアルミニウムシリケート系結晶化ガラスからなることが好ましい。
本発明の無機多孔質シートの製造方法は、ガラス粉末が、シリカホウ酸系ガラスからなることが好ましい。このようにすれば、無機多孔質シートの耐熱性を向上させることが可能となる。
本発明の無機多孔質シートの製造方法は、シリカホウ酸系ガラスが、質量%で、SiO 25〜70%、B 1〜50%、MgO 0〜10%、CaO 0〜25%、SrO 0〜10%、BaO 0〜40%、MgO+CaO+SrO+BaO 10〜45%、Al 0〜20%、及びZnO 0〜25%含有することが好ましい。
本発明の無機多孔質シートの製造方法は、ガラス粉末の軟化温度が400〜1100℃であることが好ましい。
本発明の無機多孔質シートの製造方法は、無機フィラー粉末の平均粒子径(D50)が2〜50μmであることが好ましい。
本発明の無機多孔質シートの製造方法は、ガラス粉末の平均粒子径(D50)が0.5〜20μmであることが好ましい。
本発明の無機多孔質シートは、ガラスと無機フィラーを含み、ガラスの含有量が50体積%以下である無機多孔質シートであって、両面が未研磨であることを特徴とする。
本発明の無機多孔質シートは、厚みが30〜500μmであることが好ましい。
本発明によれば、薄型の無機多孔質シートを破損することなく作製することが可能となる。
本発明の一実施形態に係る無機多孔質シートの製造方法を示す模式的断面図である。
以下、図面を参照して本発明の好ましい実施形態について説明する。但し、以下の実施形態は単なる例示であり、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。
図1は、本発明の一実施形態に係る無機多孔質シートの製造方法を示す模式的断面図である。まず、ガラス粉末と無機フィラー粉末を含む混合粉末を準備し、混合粉末を無機基板1上に塗布して塗膜2を形成する(図1(a))。次に、塗膜2を焼成して焼成膜3を形成する(図1(b))。さらに、焼成膜3を無機基板1から剥離する(図1(c))。このようにして、無機多孔質シートを得る。
以下、各工程毎に詳細に説明する。
(1)混合粉末準備工程
ガラス粉末としては、耐熱性の観点から、シリカホウ酸系ガラスからなるものであることが好ましい。シリカホウ酸系ガラスの具体例としては、質量%で、SiO 25〜70%、B 1〜50%、MgO 0〜10%、CaO 0〜25%、SrO 0〜10%、BaO 0〜40%、MgO+CaO+SrO+BaO 10〜45%、Al 0〜20%、及びZnO 0〜25%含有するものが挙げられる。さらには、質量%で、SiO 30〜70%、B 1〜15%、MgO 0〜10%、CaO 0〜25%、SrO 0〜10%、BaO 0〜40%、MgO+CaO+SrO+BaO 10〜45%、Al 0〜20%、及びZnO 0〜10%含有するものが好ましい。なお、アルカリ金属成分(LiO、NaO及びKO)は軟化温度を低下させるため、その含有量が多すぎると無機多孔質シートの耐熱性が低下する場合がある。よって、アルカリ金属成分の含有量は、合量で10%以下であることが好ましく、5%以下であることがより好ましく、1%以下であることがさらに好ましく、含有しないことが特に好ましい。
ガラス粉末の軟化温度は1100℃以下、特に1000℃以下であることが好ましい。ガラス粉末の軟化温度が高すぎると、焼成時に無機フィラー粉末が変質する場合がある。ガラス粉末の軟化温度の下限は特に限定されないが、無機多孔質シートの耐熱性を向上させるため、400℃以上、500℃以上、600℃以上、700℃以上、特に800℃以上であることが好ましい。
本明細書において、ガラス粉末の軟化温度はDTA(示差熱分析装置)により測定した値をいう。
ガラス粉末の平均粒子径(D50)は0.5〜20μm、特に2〜10μmであることが好ましい。ガラス粉末の平均粒子径(D50)が大きすぎると、均質な無機多孔質シートが得にくくなる。一方、ガラス粉末の平均粒子径(D50)が小さすぎると、無機多孔質シートの機械的強度に劣る傾向がある。
本発明において、平均粒子径(D50)はレーザー回折式粒度分布計により測定することができる。
ガラス粉末の熱膨張係数は特に限定されず、例えば30×10−7〜100×10−7/℃、特に40×10−7〜80×10−7/℃の範囲で適宜選択される。
なお、本明細書において、熱膨張係数は30〜300℃の温度範囲での値をいう。
混合粉末中におけるガラス粉末の含有量は50体積%以下、30体積%以下、特に20体積%以下であることが好ましい。ガラス粉末の含有量が多すぎると、焼成膜3が無機基板1から剥離しにくくなる。また、無機多孔質シートの気孔率が低下しやすくなる。一方、混合粉末中におけるガラス粉末の含有量が少なすぎると、無機多孔質シートの機械的強度が低下しやすくなるため、3体積%以上、特に5体積%以上であることが好ましい。
無機フィラー粉末は、塗膜2の焼成時に軟化流動しない粉末であればよい。具体的には、無機フィラー粉末の軟化点は、ガラス粉末の軟化点より高く、ガラス粉末の軟化点+50℃超であることが好ましく、ガラス粉末の軟化点+100℃以上がより好ましく、ガラス粉末の軟化点+200℃以上がさらに好ましい。
無機フィラー粉末の具体例としては、結晶化ガラス、石英ガラス、β−スポジュメン、β−ユークリプタイト、ウイレマイト、コーディエライト、チタン酸アルミニウム、タングステン酸ジルコニウム、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化ジルコニウム、α石英、αクリストバライト、リン酸タングステン酸ジルコニウム等が挙げられる。無機フィラー粉末は1種のみを含んでいてもよいし、2種以上を含んでいてもよい。
結晶化ガラスとしては、β−スポジュメン固溶体またはβ−石英固溶体を析出結晶として含有するリチウムアルミニウムシリケート系結晶化ガラスが挙げられる。結晶化ガラスの結晶化開始温度は700℃以上であることが好ましく、750℃以上であることがより好ましい。結晶化開始温度が低すぎると、無機多孔質シートの耐熱性が低下しやすくなる。
無機フィラー粉末の平均粒子径(D50)は2〜50μm、特に3〜15μmであることが好ましい。無機フィラーの平均粒子径(D50)が大きすぎると、無機多孔質シートの機械的強度が低くなったり、均質性が低下する傾向がある。無機フィラー粉末の平均粒子径(D50)が小さすぎると、気孔率が低下しやすくなる。
無機フィラー粉末の形状は特に限定されず、例えば不定形、略球状、楕球状等が挙げられる。なかでも、無機フィラー粉末が略球状であることにより、無機多孔質シート内部の気孔の分布が均質になりやすい。
混合粉末中における無機フィラー粉末の含有量は50体積%以上、70体積%以上、特に80体積%以上であることが好ましい。無機フィラー粉末の含有量が少なすぎると、焼成膜3が無機基板1から剥離しにくくなる。また、無機多孔質シートの気孔率が低下しやすくなる。一方、混合粉末中における無機フィラー粉末の含有量が多すぎると、無機多孔質シートの機械的強度が低下しやすくなるため、97体積%以下、特に95体積%以下であることが好ましい。
無機フィラー粉末の熱膨張係数は特に限定されず、例えば−80×10−7〜100×10−7/℃の範囲で適宜選択される。なお、熱膨張係数の小さい無機多孔質シートを得る場合は、無機フィラー粉末の熱膨張係数は−80×10−7〜70×10−7/℃、−80×10−7〜40×10−7/℃、特に−10×10−7〜30×10−7/℃であることが好ましい。
(2)塗膜形成工程
ガラス粉末と無機フィラー粉末を含む混合粉末は、そのまま無機基板1上に塗布してもよいが、ペースト状で塗布することやグリーンシートを載置することが好ましい。このようにすれば、塗膜2の厚みを均一化かつ薄型化しやすくなる。ペーストは、ガラス粉末及び無機フィラー粉末に加え、樹脂バインダーや溶剤等を含むビークルを添加、混合することにより作製することができる。ペーストを無機基板1の上に塗布し、乾燥させることにより塗膜2を形成する。グリーンシートは、上記ペーストをPET(ポリエチレンテレフタラート)等の樹脂基材上に成膜することにより作製したものを無機基板1上に載置する。なお、本発明によれば、グリーンシートを利用した製法であっても、焼成後の焼成膜3を無機基板1から容易に剥離できるため、離形材を使用することなく無機多孔質シートを作製することが可能である。
樹脂バインダーとしては、ポリビニルブチラール、ポリビニルアルコール等のビニル系高分子;ポリブチルメタアクリレート、ポリメチルメタアクリレート、ポリエチルメタアクリレート等のアクリル系高分子;エチルセルロース、ニトロセルロース等のセルロース系高分子;アミド系高分子等の有機高分子が使用可能であり、これらを単独または混合して使用することができる。
溶剤としては、ターピネオール、酢酸イソアミル、トルエン、メチルエチルケトン、ブチルカルビトールアセテート(ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート)、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタジオールモノイソブチレート等を単独または混合して使用することができる。
ペースト層の厚みは目的とする無機多孔質シートの厚みに応じて適宜選択すればよく、具体的には50〜1000μm、60〜500μm、70〜300μm、特に80〜200μmであることが好ましい。
ペーストの塗布方法は特に限定されず、スクリーン印刷法等の公知の方法により行えばよい。
(3)塗膜焼成工程
塗膜2の焼成温度はガラス粉末の軟化点+50℃以下であり、ガラス粉末の軟化点+40℃以下、特にガラス粉末の軟化点+30℃以下であることが好ましい。焼成温度が高すぎると、ガラス粉末の軟化流動が過剰になって、焼成膜3が無機基板1に固着し、剥離が困難になる傾向がある。なお、塗膜2の焼成温度が低すぎると、焼結が不十分となり無機多孔質シートの機械的強度が低下しやすくなるため、焼成温度は(ガラス粉末の軟化点−50℃)以上、(ガラス粉末の軟化点−20℃)以上、特に(ガラス粉末の軟化点−10℃)以上であることが好ましい。特に、十分な焼結性を確保する観点からは、焼成温度はガラス粉末の軟化点以上であることが好ましい。なお、塗膜2の焼成の前に、ビークルを除去する脱脂工程を行ってもよい。
以上の条件で作製された焼成膜3は、無機基板1に対する固着力が弱いため、無機基板1の表面から破損することなく容易に剥離することができる。このようにして得られた無機多孔質シートは離型材を除去する必要がないため、そのまま、即ち両面が未研磨の状態で使用することができる。
なお、焼成膜3と無機基板1の熱膨張係数差が大きいほど、焼成膜3が無機基板1から剥離しやすくなる。具体的には、焼成膜3と無機基板1の熱膨張係数差は20×10−7/℃以上、30×10−7/℃以上、40×10−7/℃以上、特に50×10−7/℃以上であることが好ましい。焼成膜3と無機基板1の熱膨張係数差の上限は特に限定されないが、現実的には150×10−7/℃以下、特に120×10−7/℃以下である。
無機基板1の熱膨張係数は、焼成膜3と無機基板1の熱膨張係数差が所望の大きさとなるように適宜選択すればよく、例えば−15×10−7〜110×10−7/℃の範囲で適宜選択される。
無機基板1としては、結晶化ガラス、石英ガラス、アルミナ、ジルコニア、窒化アルミニウム、炭化ケイ素、MCrAlY(Mは、NiおよびCoから選択される少なくとも1種)等が挙げられる。結晶化ガラスとしては、β−スポジュメン固溶体またはβ−石英固溶体を析出結晶として含有する結晶化ガラスが挙げられる。
焼成膜3(無機多孔質シート)の熱膨張係数は、目的とする用途に応じて適宜選択すればよく、例えば、−10×10−7〜100×10−7/℃とすることができる。なお、熱膨張係数の小さい焼成膜3を目的とする場合は、焼成膜3の熱膨張係数は−10×10−7〜70×10−7/℃、−10×10−7〜30×10−7/℃、特に0〜15×10−7/℃であることが好ましい。
上記のようにして得られた無機多孔質シートの厚みは30〜500μm、40〜300μm、特に50〜100μmであることが好ましい。無機多孔質シートの厚みが小さすぎると、製造時または使用時に破損しやすくなる。一方、無機多孔質シートの厚みが大きすぎると、半導体回路基板等の薄型化が困難になる。
無機多孔質シートの気孔率は20〜80%、特に30〜70%であることがより好ましい。気孔率が小さすぎると、樹脂が含浸しにくくなる。一方、気孔率が大きすぎると、無機多孔質シートの機械的強度が低下しやすくなる。
本発明の無機多孔質シートにエポキシ系樹脂、ビニル系樹脂等の硬化性樹脂を含浸させ、樹脂を硬化させることにより、半導体回路基板として使用することができる。その他にも、本発明の無機多孔質シートは、フィルター、調湿材、徐放材等に使用することが可能である。
以下、本発明について、具体的な実施例に基づいて、さらに詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に何ら限定されるものではない。
(実施例1)
ガラス粉末(日本電気硝子株式会社製シリカホウ酸系ガラスGA−4、平均粒子径(D50):15μm、軟化温度:645℃、熱膨張係数:64×10−7/℃)と、アルミナ粉末(平均粒子径(D50):10μm、熱膨張係数:70×10−7/℃)と、樹脂バインダー(エチルセルロース)、有機溶剤(ターピネオール及びブチルカルビトールアセテート)を混練し、ペーストを作製した。なお、ガラス粉末の含有量({(ガラス粉末の体積含有量)/(ガラス粉末の体積含有量+結晶化ガラス粉末の体積含有量)}×100)を7.4体積%とした。
結晶化ガラス基板(日本電気硝子株式会社製β−石英固溶体析出結晶化ガラス、熱膨張係数:−1×10−7/℃)の上に、厚みが400μmとなるようにペーストを塗布し、塗膜を形成した。その後、塗膜を660℃で10分間焼成することにより、焼成膜を形成した。焼成膜は基板から容易に剥離できた。このようにして、無機多孔質シート(厚み300μm、気孔率46%、熱膨張係数69×10−7/℃)を得た。
得られた無機多孔質シートの基板との接合面を観察したところ、光沢のある平滑な表面であった。このシート上に水滴を滴下したところ、水滴がシートに吸収された。このことから、シートが内部に連通した気孔を有していることが確認できた。
なお、気孔率は、ガラス粉末と無機フィラー粉末の密度から理論密度を求め、試料の体積と質量から見かけ密度を求め、理論密度と見かけ密度から算出した。また、無機多孔質シートの熱膨張係数は次のようにして測定した。ステンレス金型に原料粉末を入れ、プレス成型後、上記の温度と時間で熱処理を行って焼結体を得た。得られた焼結体を直径5mm、長さ20mm程度に加工して測定用試料を作製した。測定用試料について、熱機械分析装置を用いて熱膨張係数を測定した。測定条件は、昇温速度10℃/分、温度範囲30℃〜300℃とした。
(実施例2)
ガラス粉末の含有量を15.3体積%としたこと以外は、実施例1と同様にして無機多孔質シート(厚み300μm、気孔率42%、熱膨張係数67×10−7/℃)を得た。本実施例においても、焼成膜は基板から容易に剥離できた。
(実施例3)
ガラス粉末の含有量を23.6体積%としたこと以外は、実施例1と同様にして無機多孔質シート(厚み300μm、気孔率38%、熱膨張係数66×10−7/℃)を得た。本実施例においても、焼成膜は基板から容易に剥離できた。
(実施例4)
ガラス粉末(日本電気硝子株式会社製シリカホウ酸系ガラスGA−13、平均粒子径(D50):2.4μm、軟化温度:845℃、熱膨張係数:64.9×10−7/℃)と、結晶化ガラス粉末(日本電気硝子株式会社製β−石英固溶体析出結晶化ガラス、結晶化開始温度:870℃、平均粒子径(D50):3μm、熱膨張係数:−7×10−7/℃)と、樹脂バインダー(エチルセルロース)、有機溶剤(ターピネオール及びブチルカルビトールアセテート)を混練し、ペーストを作製した。なお、ガラス粉末の含有量({(ガラス粉末の体積含有量)/(ガラス粉末の体積含有量+結晶化ガラス粉末の体積含有量)}×100)を12体積%とした。
アルミナ基板(熱膨張係数:70×10−7/℃)の上に、厚みが400μmとなるようにペーストを塗布し、塗膜を形成した。その後、塗膜を860℃で10分間焼成することにより、焼成膜を形成した。焼成膜は基板から容易に剥離できた。このようにして、無機多孔質シート(厚み300μm、気孔率49%、熱膨張係数8×10−7/℃)を得た。
(実施例5)
ガラス粉末の含有量を17.8体積%としたこと以外は、実施例4と同様にして無機多孔質シート(厚み300μm、気孔率47%、熱膨張係数10×10−7/℃)を得た。本実施例においても、焼成膜は基板から容易に剥離できた。
1 無機基板
2 塗膜
3 焼成膜

Claims (11)

  1. ガラス粉末と無機フィラー粉末を含み、ガラス粉末の含有量が20体積%以下である混合粉末を準備する工程、
    混合粉末を、結晶化ガラス、石英ガラス、アルミナ、ジルコニア、窒化アルミニウムまたは炭化ケイ素からなる無機基板上に塗布して塗膜を形成する工程、
    塗膜を焼成して焼成膜を形成する工程、及び、
    焼成膜を無機基板から剥離する工程、
    を備える無機多孔質シートの製造方法であって、
    焼成温度が、ガラス粉末の軟化点+50℃以下であり、無機基板と焼成膜の30〜300℃の範囲における熱膨張係数差が50×10−7/℃以上であることを特徴とする無機多孔質シートの製造方法。
  2. 混合粉末をペースト状で無機基板上に塗布することを特徴とする請求項1に記載の無機多孔質シートの製造方法。
  3. 無機多孔質シートの厚みが30〜500μmであることを特徴とする請求項1または2に記載の無機多孔質シートの製造方法。
  4. 無機フィラー粉末が、結晶化ガラス、石英ガラス、β−スポジュメン、β−ユークリプタイト、ウイレマイト、コーディエライト、チタン酸アルミニウム、タングステン酸ジルコニウム、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化ジルコニウム、α石英、αクリストバライト、リン酸タングステン酸ジルコニウムからなる群から選ばれた少なくとも一種からなることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の無機多孔質シートの製造方法。
  5. 無機フィラー粉末が、リチウムアルミニウムシリケート系結晶化ガラスであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の無機多孔質シートの製造方法。
  6. ガラス粉末が、シリカホウ酸系ガラスからなることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の無機多孔質シートの製造方法。
  7. シリカホウ酸系ガラスが、質量%で、SiO 25〜70%、B 1〜50%、MgO 0〜10%、CaO 0〜25%、SrO 0〜10%、BaO 0〜40%、MgO+CaO+SrO+BaO 10〜45%、Al 0〜20%、及びZnO 0〜25%含有することを特徴とする請求項6に記載の無機多孔質シートの製造方法。
  8. ガラス粉末の軟化温度が400〜1100℃であることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の無機多孔質シートの製造方法。
  9. 無機フィラー粉末の平均粒子径(D50)が2〜50μmであることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の無機多孔質シートの製造方法。
  10. ガラス粉末の平均粒子径(D50)が0.5〜20μmであることを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の無機多孔質シートの製造方法。
  11. ガラス粉末と無機フィラー粉末を含み、ガラス粉末の含有量が20体積%以下である混合粉末を準備する工程、
    混合粉末を、結晶化ガラス、石英ガラス、アルミナ、ジルコニア、窒化アルミニウムまたは炭化ケイ素からなる無機基板上に塗布して塗膜を形成する工程、
    塗膜を焼成して焼成膜を形成する工程、
    焼成膜を無機基板から剥離することにより、当該焼成膜からなる無機多孔質シートを得る工程、及び、
    無機多孔質シートに硬化性樹脂を含浸させ、樹脂を硬化させる工程、
    を備える半導体回路基板の製造方法であって、
    焼成温度が、ガラス粉末の軟化点+50℃以下であり、無機基板と焼成膜の30〜300℃の範囲における熱膨張係数差が50×10 −7 /℃以上であることを特徴とする半導体回路基板の製造方法。
JP2017014088A 2017-01-30 2017-01-30 無機多孔質シートの製造方法 Active JP6951657B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2017014088A JP6951657B2 (ja) 2017-01-30 2017-01-30 無機多孔質シートの製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2017014088A JP6951657B2 (ja) 2017-01-30 2017-01-30 無機多孔質シートの製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2018123011A JP2018123011A (ja) 2018-08-09
JP6951657B2 true JP6951657B2 (ja) 2021-10-20

Family

ID=63110009

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2017014088A Active JP6951657B2 (ja) 2017-01-30 2017-01-30 無機多孔質シートの製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6951657B2 (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2020129857A1 (ja) * 2018-12-20 2020-06-25 株式会社村田製作所 ガラスセラミック材料、積層体、及び、電子部品

Family Cites Families (10)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH04139060A (ja) * 1990-09-29 1992-05-13 Taiyo Yuden Co Ltd セラミック回路基板
US5256603A (en) * 1992-11-19 1993-10-26 Corning Incorporated Glass bonded ceramic composites
US5310422A (en) * 1992-12-01 1994-05-10 General Electric Co. High temperature inorganic paint
JPH08186409A (ja) * 1995-01-05 1996-07-16 Sumitomo Electric Ind Ltd 高周波回路基板
JP3885550B2 (ja) * 2001-10-23 2007-02-21 三菱マテリアル株式会社 高周波回路用基板及びその製造方法
DE102007018610A1 (de) * 2007-04-18 2008-10-23 Ceramtec Ag Innovative Ceramic Engineering Keramischer Werkstoff mit einer Zusammensetzung, die auf einen durch einen metallischen Werkstoff vorgegebenen Wärmeausdehnungskoeffizient abgestimmt ist
JP5356305B2 (ja) * 2010-04-07 2013-12-04 株式会社ノリタケカンパニーリミテド 絶縁層を有する高熱伝導性基板ならびに該絶縁層形成用材料
JP6182084B2 (ja) * 2013-03-25 2017-08-16 日本碍子株式会社 緻密質複合材料、その製法、接合体及び半導体製造装置用部材
WO2015056673A1 (ja) * 2013-10-15 2015-04-23 日本電気硝子株式会社 排気ガスセンサー及び排気ガスセンサーの製造方法
JP6123773B2 (ja) * 2014-11-06 2017-05-10 トヨタ自動車株式会社 燃料電池装置

Also Published As

Publication number Publication date
JP2018123011A (ja) 2018-08-09

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US7135767B2 (en) Integrated circuit substrate material and method
EP1369402B1 (en) Tape composition and process for constrained sintering of low temperature co-fired ceramic
JP3387531B2 (ja) ガラスベースおよびガラス−セラミックベースの複合材料
JP5459926B2 (ja) 擬似対称に構成された低温共焼成セラミック構造体の強制焼結法
JPH04130072A (ja) ガラスセラミック・グリーンシートと多層基板、及び、その製造方法
KR100755547B1 (ko) 유사-대칭으로 구성된 저온 동시소성 세라믹 구조체의 구속소결 방법
JP2002533900A (ja) 型を用いて基材上にセラミック微細構造体を形成するための硬化性スラリー
JP2006225252A (ja) 擬似対称に構成された低温共焼成セラミック構造体の強制焼結法
CN110922213B (zh) 陶瓷基体的表面修饰层及其制备方法、陶瓷发热体及电子雾化装置
JPH107435A (ja) ガラスセラミック配線基板およびその製造方法
JP6951657B2 (ja) 無機多孔質シートの製造方法
CN100412995C (zh) 不对称构型电介质层的约束烧结方法
JP2000151080A (ja) 転写式印刷パタ―ン形成方法及びこれにより印刷パタ―ンが形成されたガラス
WO2007004414A1 (ja) 多層セラミック基板およびその製造方法ならびに多層セラミック基板作製用複合グリーンシート
JP2004114632A (ja) セラミック積層体の製造方法
JP2005203723A (ja) ガラスセラミック基板およびその製造方法
JP3241537B2 (ja) ガラスセラミック基板
JPH07502245A (ja) 低誘電率基板
CN115745577B (zh) 一种超薄低温烧结陶瓷基板的制备方法
JP2008186905A (ja) 低温焼成配線基板の製造方法
WO2003000619A1 (fr) Composant ceramique et procede de fabrication associe
JP2004165506A (ja) ガラスセラミック基板およびその製造方法
JP2004262741A (ja) ガラスセラミック基板およびその製造方法
JP2004146405A (ja) ガラスセラミック基板およびその製造方法
JPS6371366A (ja) グレ−ズドセラミツク基板の製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20191203

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20200626

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20200710

A601 Written request for extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601

Effective date: 20200903

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20200924

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20210218

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20210407

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20210826

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20210908

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6951657

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150