JP3241537B2 - ガラスセラミック基板 - Google Patents

ガラスセラミック基板

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JP3241537B2 JP14416994A JP14416994A JP3241537B2 JP 3241537 B2 JP3241537 B2 JP 3241537B2 JP 14416994 A JP14416994 A JP 14416994A JP 14416994 A JP14416994 A JP 14416994A JP 3241537 B2 JP3241537 B2 JP 3241537B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ガラスセラミック基板
に係り、導体パターンを有するガラスセラミック配線基
板に関するものである。特に、高性能電送路が必要とさ
れる電子機器の実装用基板に適すものである。
【0002】
【従来の技術】従来の技術においては、産業用、家庭用
を問わず、電子機器の高性能化は近年ますます強くなっ
てきている。この要請を満たすために高速、大規模論理
のICや部品の高密度実装化が進められている。発熱の
大きなLSIを多量に必要とする大形コンピュータなど
では、微細配線の形成、シリコンとのマッチングから高
密度実装用基板として、セラミック基板が用いられてい
る。
【0003】一モジュール当たりの論理の複雑化に伴
い、配線基板が大形化し、配線長も長くなる傾向がある
が、高密度に部品を搭載するためには、まず配線幅は細
くしなければならない。これらの要求を同時に満たすに
は、配線抵抗を低下させる必要があり、導体材料として
は銅が望ましい。そこで、基板材料も、銅の融点よりも
高温の焼結温度が必要なアルミナやムライトに替えて、
銅の融点以下の温度で焼結するガラスなどが開発されて
きている。
【0004】上記ガラス多層配線基板の一連の製造工程
は、アルミナ等のセラミック基板のグリーンシート積層
方法と同じであり、ガラス粉末および無機添加粉末と、
有機バインダ材料とを溶剤に混合しスリップを製造する
工程と、前記スリップをドクターブレードなどにより膜
状にし、加熱等によってこのスリップ中の溶剤を除去し
シート化する工程と、前記シートにポンチなどでバイア
ホールを形成する工程と、前記バイアホールに印刷法な
どにより金属粉末ペーストを充填しさらに前記シート表
面に配線パターンを形成する工程と、前記配線形成シー
トを積層圧着して積層体にする工程と、前記積層体を適
当な雰囲気もしくは真空中で加熱して前記バインダを除
去する脱バインダ工程と、脱バインダされた前記積層体
を適当な雰囲気もしくは真空中で加熱して、この積層体
を構成するガラスあるいは無機添加粉末を強固に結合さ
せ緻密化させる焼結工程を経て製造されるのが普通であ
る。ただし、上述の脱バインダ工程と焼結工程とを明確
に区別せず、一つの熱処理工程で処理することもある
が、この場合でも現象としては、脱バインダと焼結との
両方が起こっている。
【0005】上記に関連する技術としては、特開昭59
−995号公報記載の技術では、組成として、Al23
を50.5重量%、SiO2を35.0重量%、B23
を13.0重量%、アルカリ成分を1.75重量%で構
成したガラスについて、ポリメチルメタアクリレート系
樹脂などの解重合性樹脂をバインダに用いて、メチルエ
チルケトンとアルコールを溶媒にして、積層体を形成
し、前記バインダを分圧0.07気圧の水蒸気を含む窒
素中にて約650℃で除去し、そののちに乾燥窒素中で
焼結させたものが示されている。しかし、この技術で
は、炭化したバインダの焼結体から除去が不十分であ
り、幾分か残る欠点があった。
【0006】前記バインダを充分に除去するために、特
開昭60−254697号公報記載の技術では、同様に
解重合性のポリメタクリレートエステル系樹脂をバイン
ダに用い、ボロシリケイトガラス、例えば組成として、
Al23を約34重量%、SiO2を約60重量%、B2
3を約5重量%、アルカリ成分を1.6重量%に、こ
のガラスと同重量%のアルミナと石英ガラスを添加した
材料について、水蒸気分圧を0.07気圧含む窒素中で
400℃で処理し、続いて800℃の処理を施し、バイ
ンダを除去したのち、1010℃の窒素中で焼結させる
方法が記載されている。
【0007】前記特開昭60−254697号公報記載
の技術では、ガラスの使用量を、脱バインダを確実に行
うために40重量%以下、かつ充分に焼結させるために
20重量%以上にするようにしている。前記技術では、
脱バインダ工程以降は、上記積層体中には、ガラス、ア
ルミナ、石英ガラス以外はないのであるから、前記ガラ
スの使用量の制限は、アルミナと石英ガラスの合計量を
60重量%以上、80重量%以下にせよという条件と等
価となる。
【0008】前記特開昭60−254697号公報記載
の技術では、誘電率が比較的高く、かつ熱膨張率がけい
素チップと比べて高いアルミナを多量、実際には20重
量%以上加える必要があった。前記のような良好な解重
合性がないポリビニルブチラル等をバインダとして使用
する例が、特公昭62−45720号公報記載技術とし
て提供されている。このようなバインダは、窒素と水蒸
気と水素との混合雰囲気において、水素/水蒸気の体積
比をおよそ10~6〜10~4に変化させながら、200℃
〜780℃で脱バインダを施している。
【0009】また、特公昭62−45720号公報記載
の技術では、前述の雰囲気において水蒸気の分圧とし
て、約0.5気圧を含むため、炉外の水蒸気導入部から
積層体周囲までの間で結露等などの影響が大きく、水蒸
気と水素との比を所定値に管理することがなかなか困難
であった。
【0010】これを解決するために、特開平2−345
71号公報記載の技術では、窒素と水蒸気と水素との混
合雰囲気で脱バインダする場合には、酸化銅を含むセッ
タ・タイルを積層体の近くに配置して、酸化銅と雰囲気
との平衡反応によって、前記積層体表面の水蒸気/水素
比を104に保たせるようにした例がある。この技術で
は、脱バインダと同時に焼結が起こるようなガラスで
は、実際バインダの分解が起こっている積層体中の水蒸
気/水素比までは管理することできない。
【0011】また、銅は配線材であるので、配線基板製
造後、酸化していない金属状態でなければならないが、
バインダは、一般に雰囲気が酸化性の方が除去されやす
く、逆に、銅を金属状態に保たせるには還元性の雰囲気
が望ましい。したがって、バインダ材料としては、非酸
化性の雰囲気下でも低温で容易に分解し除去できるもの
が好ましい。
【0012】中性もしくは還元性の雰囲気で良好な燃焼
特性を示すように改良されたポリマは、その膜形成性
が、ポリビリニルブチラル等の代表的なバインダ材料よ
りも劣ったり、通常の好ましい溶剤に溶けないなど、バ
インダとしては使いにくい性質がある。
【0013】このように、除去性が必ずしも充分でない
バインダを水蒸気等の雰囲気との反応によって除去しよ
うとするのだから、ガラスとしては、前記雰囲気の流通
を妨げないように、脱バインダに必要な温度以上の焼
結、融合温度を持ったものを選択しなければならない。
また、銅は、その融点が1083℃であるのでガラスも
銅の融点以下の温度で焼結しなければならなかった。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】従来の脱バインダに必
要な温度以上、銅の融点以下の温度で焼結するという二
つの条件をみたすガラスの組成範囲は、かなり制限され
ており、ガラスの主骨格素材であるシリコンと酸素の他
に、ほう素やアルカリ元素を加える必要がある。前記の
ほう素やアルカリ元素を加えることは、ガラスの耐水
性、広義の化学的耐久性を低下させることになる。
【0015】このような組成のガラスに対しては、脱バ
インダなどの高温プロセスは好ましくない結果をもたら
していた。前記好ましくない結果とは、ガラス工学の分
野でいう、いわゆる失透現象を起こし、ガラスの変質が
起こりやすくなるためである。この変質とは、本来ガラ
スは、準安定相であり、均一な非結晶状態であるが、一
般に粘度が極めて大きく、結晶成長速度も小さいにもか
かわらず、その組成中に異なる複数の相が発生したり、
結晶が析出することを指している。
【0016】とくに、SiO2を含むガラスからSiO2
の結晶相であるクリストバライトなどが熱処理中に発生
すると、これらの結晶は、冷却時に高温型から低温型へ
相転移し急激な体積収縮を起こし、その周囲のガラスに
引っ張り応力を与え、焼結基板の強度を下げてしまうこ
とになる。
【0017】また、その他にB23を含むガラスでは、
23の濃度が濃縮された相が、生成すると化学的耐久
性が低下してしまうという欠点があった。このようなガ
ラスセラミック基板の特性低下は、焼結後の基板に研磨
したり、有機薄膜層を形成したり、ろう付けによってピ
ンを接続したりして、モジュール化するための基板とし
ては致命的な欠点となるという問題がある。
【0018】上記の如く、バインダに除去性以外の性質
を付与させようとした場合に、脱バインダ工程の複雑
化、高温、長時間化が避けられない。そればかりか、こ
のような高温、長時間化の脱バインダ工程下では、失透
現象のようなガラスの変質が起こりやすくなるという不
都合な問題がある。本発明は、かかる従来技術による問
題点を解決すべくなされたものであり、脱バインダ、焼
結工程下でのガラスの変質を防止し、耐水性、化学的耐
久性の低下、基板の強度の低下を防止した銅配線を有す
るガラスセラミック基板を提供することをその目的とす
る。
【0019】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明に係るガラスセラミック基板の構成は、母材
ガラスと、アルミニウム元素含有無機物質とのグリーン
シートを形成し、前記グリーンシート上に金属の導体パ
ターンを形成し、前記導体パターンを形成させたグリー
ンシートを圧着して積層体とし、前記積層体を熱処理し
焼結体を構成させるガラスセラミック基板において、前
記母材ガラスとして前記金属の融点以下で軟化し前記母
材ガラスを単独で軟化点以上かつ前記金属の融点以下の
熱処理をした場合に前記母材ガラスの強度を著しく低下
させる異結晶を生成するものを用い、前記アルミニウム
元素含有無機物質として前記金属の融点以下で焼結しな
いものを用い、前記熱処理を前記母材ガラスの軟化点以
上、かつ前記金属の融点以下にて施し焼結体を構成させ
たことを特徴とするものである。
【0020】上記目的を達成するため、本発明に係る
ラスセラミック基板の構成は、母材ガラスと、アルミニ
ウム元素含有無機物質と、アルミニウム元素を含まない
無機物質とのグリーンシートを形成し、前記グリーンシ
ート上に前記金属の導体パターンを形成し、前記導体パ
ターンを形成させたグリーンシートを圧着して積層体と
し、前記積層体を熱処理し焼結体を構成させるガラスセ
ラミック基板において、前記母材ガラスとして前記金属
の融点以下で軟化し前記母材ガラスを単独で軟化点以上
かつ前記金属の融点以下の熱処理をした場合に前記母材
ガラスの強度を著しく低下させる異結晶としてクリスト
バライトを生成するものを用い、前記アルミニウム元素
含有無機物質とアルミニウム元素を含まない無機物質と
して前記金属の融点以下で焼結しないものを用い、前記
熱処理を前記母材ガラスの軟化点以上、かつ前記金属の
融点以下にて施し焼結体を構成させたことを特徴とする
ものである。
【0021】前項記載のガラスセラミック基板におい
て、前記金属として融点が1100℃以下の金属を用
い、前記母材ガラスとしてSiO2とB23とを含み、
その他にNa2O、K2Oのいずれか一方または両方を含
んだほうケイ酸ガラスを用い、前記アルミニウム元素含
有無機物質としてムライトとアルミナとを混合したもの
を用い、前記アルミニウム元素を含まない無機物質とし
て石英ガラスを用いて構成したことを特徴とするもので
ある。
【0022】前項記載のガラスセラミック基板におい
て、前記金属として融点が1100℃以下の金属を用
い、前記母材ガラスとしてSiO2とB23とを含み、
その他にNa2O、K2Oのいずれか一方または両方を含
んだほうケイ酸ガラスを用い、前記アルミニウム元素含
有無機物質としてムライトとコージェライトを混合した
ものを用い、前記アルミニウム元素を含まない無機物質
として石英ガラスを用いて構成したことを特徴とするも
のである。
【0023】前項記載のガラスセラミック基板におい
て、前記金属として融点が1100℃以下の金属を用
い、前記母材ガラスとしてSiO2とB23とを含み、
その他にNa2O、K2Oのいずれか一方または両方を含
んだほうケイ酸ガラスを用い、前記アルミニウム元素含
有無機物質としてコージェライトとアルミナとを混合し
たものを用い、前記アルミニウム元素を含まない無機物
質として石英ガラスを用いて構成したことを特徴とする
ものである。
【0024】前項記載のいずれかのガラスセラミック基
板において、前記金属として銅を用い、前記母材ガラス
として、75重量%以上、85重量%以下のSiO2
含有し、10重量%以上、15重量%以下のB23を含
有するほうケイ酸ガラスを用いて構成したことを特徴と
するものである。前項記載のいずれかのガラスセラミッ
ク基板において、前記母材ガラスの内部において、当該
母材ガラスと前記アルミニウム元素含有無機物質との界
面に対しアルミニウム元素の濃度勾配を高くなるように
熱処理し、前記熱処理後に前記母材ガラスから結晶相を
発生させないように構成したことを特徴とするガもので
ある。
【0025】前項記載のガラスセラミック基板におい
て、前記熱処理には、アルミニウム元素の拡散作用を用
いることを特徴とするものである。前項記載のガラスセ
ラミック基板において、前記アルミニウム元素含有無機
物質として、Al23を12mol%以上含むアルミノ
けい酸ガラスを用いたことを特徴とするものである。
【0026】前項記載のガラスセラミック基板におい
て、前記のムライトとアルミナと石英ガラスとの合わせ
た含有量が55vol%であり、かつこの三つの物質の
体積混合比が、一の三元組成図の異結晶不析出領域内に
入ることを特徴とするものである。
【0027】前項記載のガラスセラミック基板におい
て、前記のムライトとコージェライトと石英ガラスとの
合せた含有量が55vol%であり、かつこの三つの物
質の体積混合比が、他の一の三元組成図の異結晶不析出
領域内に入ることを特徴とするものである。
【0028】前項記載のガラスセラミック基板におい
て、前記のアルミナとコージェライトと石英ガラスとの
合わせた含有量が55vol%であり、かつこの三つの
物質の体積混合比が、さらに他の一の三元組成図の異結
晶不析出領域内に入ることを特徴とするものである。
【0029】前項記載のガラスセラミック基板におい
て、前記アルミニウム元素含有無機物質として、平均粒
径が1μm以下のアルミナの含有量を5vol%以上、
15vol%以下とし、前記アルミニウム元素を含まな
い無機物質として、石英ガラスの含有量を35vol%
以下として用いたことを特徴とするものである。
【0030】
【作用】上記各技術的手段の働きは次ぎのとおりであ
る。本発明の構成によれば、熱処理中にフィラーのガラ
スへの微量溶解によって、脱バインダおよび焼結工程中
に前記フィラーと前記ガラスとが反応し、前記フィラー
と前記ガラスの界面あるいは前記ガラス組成中に拡散・
侵入した前記フィラー中のアルミナ元素は、ガラスを構
成しているシリコンと酸素間もしくはほう素と酸素間の
結合を強くし、ガラスの分相傾向を少なくして、異結晶
の析出を抑え、変質を抑制する。
【0031】さらに、詳しく説明すると、前記アルミニ
ウム原子は、フィラーとガラスとの界面からガラス中に
拡散していくため、その濃度勾配は、前記界面で高く、
前記界面から離れてガラス内部に行くにしたがい分布が
低くなる。前記分布の定量的な濃度勾配は、フィラーの
種類、ガラス組成、熱処理条件等によって変化する。い
ずれにしろ、フィラーとガラスとの界面近傍に存在して
いる前記アルミニウム原子が、ガラスから異結晶を析出
し始める前に、ガラス中を熱自己拡散運動しているアル
カリ原子と強く結合し、このアルカリ原子をフィラー表
面に補足させ、フィラー近傍のガラス組成を分相および
結晶化しにくい高アルカリ組成に、またガラス内部の組
成を分相および結晶析出しにくい高シリカ組成、すなわ
ち低アルカリ組成とにするためである。
【0033】
【実施例】本発明の各実施例を〔表1〕、〔表2〕、図
1、2、3、を参照して説明する。〔表1〕は、本発明
の一実施例に係るガラスセラミック基板のスリップの組
成表、〔表2〕は、本発明の他の一実施例に係るガラス
セラミック基板のスリップの組成表、図1は、本発明の
さらに他の一実施例に係るガラスセラミック基板の三元
組成図、図2は、本発明のさらに他の一実施例に係るガ
ラスセラミック基板の三元組成図、図3は、本発明のさ
らに他の一実施例に係るガラスセラミック基板の三元組
成図である。
【0034】〔実施例 1〕本発明の一実施例に係るガ
ラスセラミック基板について〔表1〕を参照して説明す
る。本実施例は、通常組成の市販ほうけい酸ガラスに、
アルミニウム含有無機物質としてアルミナとムライトと
を、アルミニウム含まない無機物質として石英ガラスと
をフィラーとして用いて製造した銅配線を有するマルチ
チップモジュール用の多層ガラスセラミック基板であ
る。
【0035】本実施例においては、環境への配慮から製
造工程においては、有機ハロゲン系溶剤の使用を止め
て、その代わりにスリップ形成の溶媒として水とイソプ
ロピルアルコールとの混合溶媒を選択し、バインダとし
て水溶性に富むアクリル系高分子を用いた。
【0036】本実施例に用いたスリップの組成を下記の
〔表1〕に示すものである。
【表1】 なお、上記ほうけい酸ガラス、アルミナ、ムライト、石
英ガラスの密度は、それぞれ2.25g/cm3、3.
9g/cm3、3.1g/cm3、2.1g/cm3であ
った。
【0037】本実施例のグリーンシート作成工程では、
スリップ形成時にガラス粉末を水溶液中に曝すので、耐
水性、すなわちほうけい酸ガラスから水へのほう酸とア
ルカリとの溶出特性を考慮しなければならない。実際の
アルカリ成分として、Na2O、K2Oの一方あるいは両
方を含むほうけい酸ガラスであって、SiO2を多く含
む組成のガラス粉末20数種について、前記水溶性高分
子のバインダーと前記溶剤によりスリップ化した。実際
の一例としては、前記ほうけい酸ガラスには、市販のS
iO280%、B2313%、Al233%、Na2O4
%(いずれもwt%)のものを用いた。
【0038】また、前記ほうけい酸ガラスは、その組成
によっては、ほう酸の溶出量傾向が大きく、そのシート
をやや湿度の高い場所に放置しておくと、数時間でほう
酸の結晶がシート表面に析出してしまい、ポンチによる
孔明けや銅ペーストの印刷工程において不良となるもの
があるので注意しなければならない。本実施例において
は、ほうけい酸ガラスとして、耐水性が高く、シート状
にしたのち、湿度の高い場所に数十日間放置しても、上
述のほう酸結晶の浮き上がりがほとんどないものを用
い、上記孔明けや銅ペーストの印刷工程にて、不良の原
因にならないようにした。
【0039】上記のような組成のスリップをドクターブ
レードにより、マイラーフィルム上において膜状にし、
120℃の温風乾燥によって前記スリップ中の水とイソ
プロピルアルコールとを除去し、シート化した。前記シ
ートをマイラーフィルムから剥離し、シリカゲルが入れ
てあるデシケータ中に保管する。前記シート寸法は、2
0cm角で、厚さは0.2mmであり、前記シートにポ
ンチで直径0.3mmのバイアホールを形成し、このバ
イアホールにスクリーン印刷法で銅粉末ペーストを充填
した。この銅粉末には室温での酸化と凝集とを防ぐため
に、有機物のコーティングが施されているが、ペースト
に混練する途中に前記コーティングは破壊される。
【0040】前記シート表面に同じく銅ペーストで配線
パターンを印刷した。この配線が形成されているシート
を40層積層し、圧力150kgf/cm2、温度15
0℃で圧着して積層体にした。前記積層体に8kgf/
cm2の加重を加えながら、分圧として0.4気圧の水
蒸気と40ppmの水素とを含む窒素雰囲気中で、次ぎ
の脱バインダ工程と焼結工程とを施した。焼結後の基板
の構成は、ほうけい酸ガラス45%、アルミナ5%、ム
ライト45%、石英ガラス5%(いずれも単位はVol
%)となる。
【0041】前記脱バインダ工程では、100℃/時間
の速度で室温から800℃まで加熱し、800℃、50
時間、熱処理してバインダが除去される。前記バインダ
は、800℃に達した時点で、すでに約95%除去され
ているが、残りの5%のバインダおよびバインダの熱変
性物を200ppm以下にするのに、前記の如く800
℃、50時間の熱処理工程が必要であった。
【0042】このように、長時間の脱バインダ工程が必
要であるのは、本実施例において、用いられているバイ
ンダが、水溶性を付加させるために多数の親水基で修飾
されたアクリル系高分子であり、代表的なバインダであ
るポリビニールブチラール等よりも熱分解性が劣ってい
るためである。
【0043】前記バインダは、窒素中雰囲気下では、1
00℃/時間の加熱速度で室温から1100℃まで加熱
しつづけても、本実施例のサイズ、180mm角、厚さ
8mmの焼結体に残存する炭素物量を、最終的に200
ppm以下にすることはできなかった。しかし、前記雰
囲気、すなわち分圧として0.4気圧の水蒸気と40p
pmの水素とを含む窒素雰囲気の脱バインダ工程後の残
存炭素物量は、200ppm以下である。
【0044】また、この時点での焼結体の開気孔率は、
20.6%、平均細孔径は、0.7μmであった。前記
脱バインダ工程おいては、特別な水素/水蒸気比管理を
行わなくても比較的短時間に脱バインダが完了したの
は、開気孔率、平均細孔径ともに大きく、前記水蒸気の
流通を妨げなったためである。脱バインダさせた前記積
層体を同じ雰囲気下のもと、1025℃に昇温し、二時
間で焼結させた。焼結後の基板表面は、加圧焼結時に用
いた治具の表面粗さを転写していたので、研磨によって
平坦化・平滑化して薄膜が形成できる状態に加工する。
【0045】本実施例によるガラスセラミック基板の相
対密度は、97%、比誘電率は5.5、銅配線を含まな
い部分の熱膨張率は、3.75×10~6/K、抗折強度
は、24.7kgf/mm2であった。前記基板中のボ
イド径は、約3μmであった。この基板を粉砕し、X線
回折法により測定をしたところ、回折パターンには、ガ
ラスのハローとアルミナ、ムライトおよび銅のピークの
みが観測され、クリストバライト等の異結晶は存在しな
かった。
【0046】本実施例によらず、フィラーを添加せず、
通常の組成ほうけい酸ガラスだけを用いた場合には、8
00℃以上で、約10時間以上の熱処理をすると、強度
および耐水性が著しく低下し、ガラスセラミック基板を
製造することができなかった。この熱処理後の前記基板
をX線回折法で測定したところ、SiO2の結晶相の一
つであるクリストバライトが観測された
【0047】前記熱処理中のクリストバライトおよびそ
れ以外の異結晶析出を抑制する働きのあったものは、本
実施例では、アルミナ(Al23)、ムライト(3Al
23・2SiO2)の他に、シリマナイト(Al23
SiO2)、コージェライト(2MgO・2Al23
5SiO2)、スピネル(2MgO・Al23)などの
アルミニウム原子を含む無機結晶、さらには、アルミノ
けい酸ガラス(その組成は12.91MgO、12.9
1Al23、74.18SiO2mol%)などのアル
ミニウム原子を含むけい酸ガラスであった。石英ガラス
(SiO2)は、クリストバライトおよびそれ以外の異
結晶析出の抑制に効果を示さなかった。
【0048】また、通常、市販されているほうけい酸ガ
ラス以外でも、これと組成の近いけい酸ガラス、すなわ
ちアルカリ成分としてNa2O、K2Oの一方あるいは両
方を含むものに、前記の異結晶析出を抑制する働きのあ
る物質をフィラーとして添加すれば、熱処理中のクリス
トバライトおよびそれ以外の異結晶の析出を抑制するこ
とができる。
【0049】さらに、前記の異結晶析出抑制は、熱処理
条件を800℃,2時間、800℃,10時間、800
℃,50時間、1000℃,2時間、1000℃,10
時間と変えても、また、熱処理雰囲気として窒素ー水素
ー水蒸気、窒素ー水蒸気、空気、空気ー水蒸気の内、ど
れを用いて異結晶析出を抑制することができる。
【0050】本実施例においては、フィラーとして、ム
ライトとアルミナと石英ガラスとを採用したことによっ
て、ガラスセラミック基板の熱膨張率をシリコンの熱膨
張率とほぼ同じにすることができ、大形のシリコンLS
Iが搭載できる基板がえられた。
【0051】〔実施例 2〕本発明の他の一実施例に係
るガラスセラミック基板について説明する。本実施例
は、市販のほうけい酸ガラスに、アルミニウム含有無機
物質としてアルミナとムライトとを、アルミニウム含ま
ない無機物質として石英ガラスをフィラーとして用い、
銅配線を有するマルチチップモジュール用多層ガラスセ
ラミック基板を製造する。
【0052】本実施例においては、熱分解性が良いポリ
ビニールブチラールをバインダに用いた。本実施例に用
いたスリップの組成を下記〔表2〕に示すものである。
【表2】 なお、上記ほうけい酸ガラス、アルミナ、ムライト、石
英ガラスの密度は、それぞれ2.25g/cm3、3.
9g/cm3、3.1g/cm3、2.1g/cm3であ
った。
【0053】上記〔表2〕に示されるスリップをドクタ
ーブレードによりマイラーフィルム上で膜状にし、80
℃の温風乾燥によってスリップ中の溶剤を除去しシート
化した。上記シートにポンチにより直径0.3mmバイ
アホールを形成し、このバイアホールに印刷法にて銅粉
末のペーストを充填した。上記シート表面に同じく銅ペ
ーストで配線パターンを印刷した。この配線を形成した
シートを積み重ね、圧着して積層体にした。
【0054】本実施例においては、以下の一連の熱処理
によって、脱バインダと焼結とを施した。100℃/時
間の速度で、室温から350℃まで窒素中で加熱し、3
50℃からは雰囲気を分圧0.4気圧の水蒸気と40p
pmの水素とを含む窒素雰囲気に切り替えて、20℃/
時間の昇温速度で700℃まで加熱した。前記700℃
から雰囲気を窒素雰囲気に切り替えて、100℃/時間
の昇温速度で1000℃まで加熱し、1000℃で2時
間保持し、その後、約250℃/時間の降温速度で冷却
した。前記焼結後の基板の構成は、ほうけい酸ガラス7
5%、アルミナ5%、ムライト15%、石英ガラス5%
(いずれも単位はVol%)であった。
【0055】さらに、詳しく説明すると、市販のほうけ
い酸ガラスと、平均粒径2.4μmのムライト(商品
名、太平洋金属株式会社製、ランダム70M5000)
と、アルミナと、石英ガラスとを組合せてフィラーとし
た。上記アルミナとムライトとの合計量を少なくとも1
5vol%以上を添加することによって、焼結基板の異
常な強度低下を防ぐことができるが、添加量が25vo
l%よりも少ないと僅かではあるが、クリストバライト
の析出が見られる。
【0056】したがって、高い信頼性が要求される用途
では、25vol%以上の添加が好ましい。このように
すると、クリストバライト等の異結晶の析出を完全に抑
えることができ、強度が低下することはない。本実施例
のガラスセラミック基板は、焼結時の加重を小さくし、
簡略化した加圧治具により製造することができる。
【0057】〔実施例 3〕本発明のさらに他の実施例
を図1を参照して説明する。図1は、本発明のさらに他
の一実施例に係るガラスセラミック基板の三元組成図で
ある。本実施例は、通常のほうけい酸ガラスに、アルミ
ニウム含有無機物質としてムライトとアルミナとを、ア
ルミニウム含まない無機物質として石英ガラスをフィラ
ーとして同時に添加してガラスセラミック基板を製造す
る方法である。
【0058】ほうけい酸ガラスに、ムライト、アルミ
ナ、石英ガラスそれぞれの投入量割合は、45vol
%、35vol%、10vol%、10vol%であ
り、〔実施例 1〕と同じ製造方法で製造した。前記基
板の比誘電率は5.4、熱膨張率は3.6×10~6
K、抗折強度は20.6kg/mm2であった。X線回
折法による測定でもクリストバライトの析出は認められ
なかった。
【0059】図1は、ほうけい酸ガラスを45vol
%、総フィラー量を55vol%とした場合、焼成後に
おいてもクリストバライトの析出が認められなくなるム
ライト、石英ガラス、アルミナの体積比の範囲を示す実
験線図である。図1において、A部は、異結晶不析出領
域の体積比範囲を示すものである。この場合、石英ガラ
スは、一定量が含まれると、ガラスセラミック基板の熱
膨張率と、比誘電率との低減に有効である。前記一定の
量は、その効果から、2Vol%以上であることが好ま
しい。本実施例において、ガラスセラミック基板の強度
を高くすることができる。
【0060】〔実施例 4〕本発明のさらに他の実施例
を、図2を参照して説明する。図2は、本発明のさらに
他の一実施例に係るガラスセラミック基板の三元組成図
である。本実施例は、市販のほうけい酸ガラスに、アル
ミニウム含有無機物質としてムライトとコージェライ
ト、アルミニウム含まない無機物質として石英ガラスを
フィラーとして、同時に添加してガラスセラミック基板
を製造する方法である。
【0061】上記一例として、ほうけい酸ガラス、ムラ
イト、コージェライト、石英ガラスの投入量割合は、そ
れぞれ45vol%、45vol%、5vol%、5v
ol%であり、〔実施例 1〕と同じ製造方法で製造し
た。前記基板の相対密度は、98%、比誘電率は5.
4、熱膨張率は3.3×10~6/K、抗折強度は20.
1kg/mm2であった。X線回折法による測定でもク
リストバライトの析出は認められなかった。
【0062】図2は、ほうけい酸ガラスを45vol%
とし、総フィラー量を55vol%とした場合、焼成後
においてもクリストバライトの析出が認められなくなる
ムライト、コージェライト、石英ガラスの体積比の範囲
を示す実験線図である。この場合も石英ガラスの含有量
は、その効果から〔実施例 3〕において述べたように
2%以上が好ましい。図2において、B部は、異結晶不
析出領域の体積比範囲である。本実施例においては、
〔実施例 3〕に示すガラスセラミック基板よりも低熱
膨張率で、焼結性も良くすることができた。
【0063】〔実施例 5〕本発明のさらに他の実施例
を図3を参照して説明する。図3は、本発明のさらに他
の一実施例に係るガラスセラミック基板の三元組成図で
ある。本実施例は、市販のほうけい酸ガラスに、アルミ
ニウム含有無機物質として、アルミナとコージェライト
を、アルミニウム含まない無機物質として石英ガラスを
フィラーとして同時に添加してガラスセラミック基板を
製造するものである。
【0064】上記一例として、前記ほうけい酸ガラス、
アルミナ、コージェライト、石英ガラスの投入量割合を
それぞれ、45vol%、45vol%、7.5vol
%、2.5vol%とし、〔実施例 1〕と同じ製造方
法で製造した 前記基板の相対密度は97%、比誘電率は6.6、熱膨
張率は4.6×10~6/K、抗折強度は26kg/mm
2であった。X線回折測定でもクリストバライトの析出
は認められなかった。
【0065】図3は、焼成後においてもクリストバライ
トの析出が認められなくなる場合について、ほうけい酸
ガラス45vol%、総フィラー量を55vol%と
し、アルミナ、コージェライト、石英ガラスの体積比の
範囲を示す実験線図である。この場合、石英ガラスの含
有量は、その効果から〔実施例 1〕、〔実施例 3〕
に述べたように2%以上が好ましい。図3において、C
部は、異結晶不析出領域の体積比範囲である。前記コー
ジェライトは、焼結を促進させるために加えたものであ
る。本実施例のガラスセラミック基板は、〔実施例
4〕のガラスセラミック基板よりも強度が高く、焼結性
も良かった。
【0066】〔実施例 6〕本発明のさらに他の実施例
を説明する。本実施例は、市販のほうけい酸ガラスに、
微粉末、平均粒径0.5μmのアルミナ(住友化学株式
会社製、商品名AKP−20)をフィラーとして10v
ol%加えた材料を用い、〔実施例 2〕と同じ工程で
製造したガラスセラミック基板である。
【0067】本実施例では、熱分解性が良いポリビニー
ルブチラールをバインダに用いた。基板の相対密度は9
8%、比誘電率は5.0、熱膨張率は3.6×10~6
Kであった。X線回折測定でもクリストバライトの析出
は認められなかった。上記平均粒径0.5μm(住友化
学株式会社製、商品名AKP−20)および平均粒径
0.2μm(住友化学株式会社製、商品名AKP−5
0)のアルミナと、市販のほうけい酸ガラスとの組合せ
では、アルミナを5vol%以上を添加すれば、クリス
トバライト等の異結晶の析出を完全に抑えることができ
る。
【0068】一方、平均粒径2.1μmのアルミナ(昭
和電工株式会社製、商品名AL−45−2)と〔表1〕
の組成のほうけい酸ガラスとの組合せでは、アルミナを
45vol%以上を添加しなければ、クリストバライト
等の異結晶の析出を完全に抑えることができない。した
がって、微粉アルミナをフィラーとして5vol%以上
を添加することによって、焼結基板の異常な強度低下を
防ぐことができる。アルミナの多量添加、例えば20重
量%以上は、ガラスセラミック基板の熱膨張率、比誘電
率を高くすることになるが、本実施例によれば、アルミ
ナの添加量を低減でき、このような不都合を避けること
ができる。
【0069】〔実施例 7〕本発明のさらに他の実施例
をを参照して説明する。本実施例は、市販のほうけい酸
ガラスに、微粉末の平均粒径0.5μmのアルミナ(住
友化学株式会社製、商品名AKP−20)と石英ガラス
をフィラーとして同時に添加して製造したガラスセラミ
ック基板である。市販のほうけい酸ガラス、微粉末のア
ルミナ、石英ガラスの投入量割合は、それぞれ、50v
ol%、15vol%、35vol%であり、〔実施例
2〕と同じ製造方法で製造した。
【0070】本実施例では、熱分解性が良いポリビニー
ルブチラールをバインダに用いた。前記基板の相対密度
は97.5%、比誘電率は4.5、熱膨張率は2.9×
10~6/Kであった。X線回折法による測定でもクリス
トバライトの析出は認められなかった。本実施例のガラ
スセラミック基板では、〔実施例 6〕のガラスセラミ
ック基板よりも膨張率と比誘電率とを低くすることがで
きた。
【0071】
【発明の効果】以上詳細に説明した如く、本発明の構成
によれば、脱バインダ、焼結工程下でのガラスの変質を
防止し、耐水性、化学的耐久性の低下、基板の強度の低
下を防止した銅配線を有するガラスセラミック基板を提
供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る一実施例に係るガラスセラミック
基板の三元組成図である。
【図2】本発明に係る他の一実施例に係るガラスセラミ
ック基板の三元組成図である。
【図3】本発明に係るさらに他の一実施例に係るガラス
セラミック基板の三元組成図である。
【符号の説明】
A…ガラスセラミック基板の三元組成図の異結晶不析出
領域 B…ガラスセラミック基板の三元組成図の異結晶不析出
領域 C…ガラスセラミック基板の三元組成図の異結晶不析出
領域
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 森田 耕策 神奈川県横浜市戸塚区吉田町292番地 株式会社日立製作所生産技術研究所内 (72)発明者 保崎 直子 神奈川県横浜市戸塚区吉田町292番地 株式会社日立製作所生産技術研究所内 (56)参考文献 特開 平6−112604(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H05K 3/46 C03C 10/04 H05K 1/03 610

Claims (13)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 母材ガラスと、アルミニウム元素含有無
    機物質とのグリーンシートを形成し、前記グリーンシー
    ト上に金属の導体パターンを形成し、前記導体パターン
    を形成させたグリーンシートを圧着して積層体とし、前
    記積層体を熱処理し焼結体を構成させるガラスセラミッ
    ク基板において、 前記母材ガラスとして前記金属の融点以下で軟化し前記
    母材ガラスを単独で軟化点以上かつ前記金属の融点以下
    の熱処理をした場合に前記母材ガラスの強度を著しく低
    下させる異結晶を生成するものを用い、前記アルミニウ
    ム元素含有無機物質として前記金属の融点以下で焼結し
    ないものを用い、前記熱処理を前記母材ガラスの軟化点
    以上、かつ前記金属の融点以下にて施し焼結体を構成さ
    せたことを特徴とするガラスセラミック基板。
  2. 【請求項2】 母材ガラスと、アルミニウム元素含有無
    機物質と、アルミニウム元素を含まない無機物質とのグ
    リーンシートを形成し、前記グリーンシート上に前記金
    属の導体パターンを形成し、前記導体パターンを形成さ
    せたグリーンシートを圧着して積層体とし、前記積層体
    を熱処理し焼結体を構成させるガラスセラミック基板に
    おいて、 前記母材ガラスとして前記金属の融点以下で軟化し前記
    母材ガラスを単独で軟化点以上かつ前記金属の融点以下
    の熱処理をした場合に前記母材ガラスの強度を著しく低
    下させる異結晶としてクリストバライトを生成するもの
    を用い、前記アルミニウム元素含有無機物質とアルミニ
    ウム元素を含まない無機物質として前記金属の融点以下
    で焼結しないものを用い、前記熱処理を前記母材ガラス
    の軟化点以上、かつ前記金属の融点以下にて施し焼結体
    を構成させたことを特徴とするガラスセラミック基板。
  3. 【請求項3】 請求項2記載のガラスセラミック基板
    において、 前記金属として融点が1100℃以下の金属を用い、前
    記母材ガラスとしてSiOとBとを含み、その
    他にNaO、KOのいずれか一方または両方を含ん
    だほうケイ酸ガラスを用い、前記アルミニウム元素含有
    無機物質としてムライトとアルミナとを混合したものを
    用い、前記アルミニウム元素を含まない無機物質として
    石英ガラスを用いて構成したことを特徴とするガラスセ
    ラミック基板。
  4. 【請求項4】 請求項2記載のガラスセラミック基板
    において、 前記金属として融点が1100℃以下の金属を用い、前
    記母材ガラスとしてSiOとBとを含み、その
    他にNaO、KOのいずれか一方または両方を含ん
    だほうケイ酸ガラスを用い、前記アルミニウム元素含有
    無機物質としてムライトとコージェライトを混合したも
    のを用い、前記アルミニウム元素を含まない無機物質と
    して石英ガラスを用いて構成したことを特徴とするガラ
    スセラミック基板。
  5. 【請求項5】 請求項2記載のガラスセラミック基板
    において、 前記金属として融点が1100℃以下の金属を用い、前
    記母材ガラスとしてSiOとBと、NaO、
    Oのいずれか一方または両方とを含んだほうケイ酸
    ガラスを用い、前記アルミニウム元素含有無機物質とし
    てコージェライトとアルミナとを混合したものを用い、
    前記アルミニウム元素を含まない無機物質として石英ガ
    ラスを用いて構成したことを特徴とするガラスセラミッ
    ク基板。
  6. 【請求項6】 請求項2ないし5記載のいずれかのガラ
    スセラミック基板において、 前記金属として銅を用い、前記母材ガラスとして、75
    重量%以上、85重量%以下のSiOを含有し、10
    重量%以上、15重量%以下のBを含有するほう
    ケイ酸ガラスを用いて構成したことを特徴とするガラス
    セラミック基板。
  7. 【請求項7】 請求項2ないし6記載のいずれかのガラ
    スセラミック基板において、 前記母材ガラスの内部において、当該母材ガラスと前記
    アルミニウム元素含有無機物質との界面に対しアルミニ
    ウム元素の濃度勾配を高くなるように熱処理し、前記熱
    処理後に前記母材ガラスから結晶相を発生させないよう
    に構成したことを特徴とするガラスセラミック基板。
  8. 【請求項8】 請求項7記載のガラスセラミック基板
    において、 前記熱処理には、アルミニウム元素の拡散作用を用いる
    ことを特徴とするガラスセラミック基板。
  9. 【請求項9】 請求項2記載のガラスセラミック基板
    において、 前記アルミニウム元素含有無機物質として、Al
    を12mol%以上含むアルミノけい酸ガラスを用いた
    ことを特徴とするガラスセラミック基板。
  10. 【請求項10】 請求項3記載のガラスセラミック基
    板において、 前記のムライトとアルミナと石英ガラスとの合わせた含
    有量が55vol%であり、かつこの三つの物質の体積
    混合比が、一の三元組成図の異結晶不析出領域内に入る
    ことを特徴とするガラスセラミック基板。
  11. 【請求項11】 請求項4記載のガラスセラミック基
    板において、 前記のムライトとコージェライトと石英ガラスとの合せ
    た含有量が55vol%であり、かつこの三つの物質の
    体積混合比が、他の一の三元組成図の異結晶不析出領域
    内に入ることを特徴とするガラスセラミック基板。
  12. 【請求項12】 請求項5記載のガラスセラミック基
    板において、 前記のアルミナとコージェライトと石英ガラスとの合わ
    せた含有量が55vol%であり、かつこの三つの物質
    の体積混合比が、さらに他の一の三元組成図の異結晶不
    析出領域内に入ることを特徴とするガラスセラミック基
    板。
  13. 【請求項13】 請求項2記載のガラスセラミック基
    板において、 前記アルミニウム元素含有無機物質として、平均粒径が
    1μm以下のアルミナの含有量を5vol%以上、15
    vol%以下とし、前記アルミニウム元素を含まない無
    機物質として、石英ガラスの含有量を35vol%以下
    として用いたことを特徴とするガラスセラミック基板。
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