JP2004114632A - セラミック積層体の製造方法 - Google Patents

セラミック積層体の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】従来、セラミック積層体の製造においては、有機バインダ,可塑剤,有機溶剤等を成分とする密着液をセラミックグリーンシートに塗布して積層していたが、密着液によりセラミックグリーンシートが軟化し、加圧積層することによりセラミック積層体に大きな変形が発生するという問題があった。
【解決手段】セラミックグリーンシート4の積層において、樹脂フィルム3の主面に形成した接着剤層1をセラミックグリーンシート4に転写し、この接着剤層1が形成されたセラミックグリーンシート4を積層してセラミックグリーンシート積層体を作製し、焼成することによって、セラミック積層体を得る。セラミックグリーンシート4全体が軟化するのを防止でき、得られるセラミックグリーンシート積層体およびセラミック積層体の変形を抑制することができる。
【選択図】 図3

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、積層セラミック配線基板,積層セラミックパッケージ,積層セラミックコンデンサ,積層圧電素子等を構成するセラミック積層体の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、例えば、セラミックスを絶縁基板材料とする配線基板は、セラミック絶縁層が多層に積層された絶縁基板の表面および内部にメタライズ配線層が配設された構造からなり、代表的な例として、半導体素子や水晶振動子等を収納する電子部品収納用パッケージが挙げられる。また、これら半導体素子や水晶振動子等を収容するための絶縁基板上の窪み(キャビティ)が形成されたものも多用されている。このような電子部品収納用パッケージの絶縁基板材料としては、従来よりアルミナ系セラミックス等が多用され、さらに最近では、銅メタライズ配線との同時焼成が可能なガラスセラミックス等も実用化されている。
【0003】
このようなセラミック積層体を製造するには、一般には、所定の比率で調合したセラミック原料粉末に、適当な有機バインダを添加し、有機溶媒中に分散してスラリーを調製し、従来周知のドクターブレード法やリップコーター法等のキャスト法によりキャリアフィルム上に該スラリーをキャストし、乾燥することによって、所定の厚みのセラミックグリーンシートを成形する。
【0004】
次に、セラミックグリーンシートの所定位置に、打ち抜きピンやレーザを用いて貫通孔を形成し、金属粉末,有機バインダ,溶剤および可塑剤を混合して得た金属ペーストを周知のスクリーン印刷法によりこの貫通孔に充填するとともに、所定の配線パターンに印刷塗布する。
【0005】
その後、これらの加工を施したセラミックグリーンシートに、有機バインダ,可塑剤および有機溶剤を成分とする密着液を周知のスクリーン印刷法により塗布し、溶剤成分を乾燥させ、複数のこれらセラミックグリーンシートを逐次、または一括で積層し加圧することにより一体化させて積層体を得る。
【0006】
その後、得られた積層体を焼成することにより、セラミックグリーンシート,金属ペーストおよび密着液の有機成分を揮発させ、または熱分解により除去し、さらに、セラミック原料粉末を焼結させることによって、セラミック積層体を得る。なお、セラミックグリーンシートに形成された金属ペーストを充填した貫通孔は、焼成により、異なる絶縁層に形成された配線パターン間を接続する貫通導体となる。
【0007】
【特許文献1】
特開平5−304363号公報
【特許文献2】
特開平6−290987号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
セラミック積層体においては、これを用いた配線基板の小型化を図る上で、配線パターンおよび貫通孔の微細化が必要であり、積層精度の向上が不可欠である。
【0009】
しかし、セラミックグリーンシートに密着液を塗布する従来のセラミック積層体の製造方法では、密着液の成分である有機溶剤および可塑剤がセラミックグリーンシートの内部まで浸透するため、セラミックグリーンシート全体が軟化してしまい、積層時の加圧によりセラミックグリーンシートが変形してしまうために積層体も変形してしまうという問題があった。また、この変形を防止するために積層時の加圧の圧力を下げると、セラミックグリーンシート間の密着不良が発生するという問題があった。
【0010】
本発明は、以上のような従来の技術における問題を解決すべく案出されたものであり、従来の密着液を用いた積層におけるセラミックグリーンシート全体の軟化を防ぐことにより、密着不良を発生させることなく、かつ積層時の加圧によるセラミックグリーンシートおよび積層体の変形を抑制することができるセラミック積層体の製造方法を提供することを目的とするものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明のセラミック積層体の製造方法は、樹脂フィルムの主面に接着剤層を形成した接着シート、およびセラミックグリーンシートを準備する工程と、前記接着シートの前記接着剤層を前記セラミックグリーンシートの主面に転写する工程と、前記接着剤層が転写された複数枚の前記セラミックグリーンシートを間に前記接着剤層を介在させて積層し、加圧することによって、セラミックグリーンシート積層体を作製する工程と、前記セラミックグリーンシート積層体を焼成する工程とを具備することを特徴とするものである。
【0012】
本発明のセラミック積層体の製造方法によれば、樹脂フィルムの主面に予め接着剤層を設けておき、この接着剤層をセラミックグリーンシートの主面に転写するので、接着剤層に含まれる可塑剤が密着液を用いたときのようにセラミックグリーンシート全体に浸透することがなく、セラミックグリーンシート全体が軟化するのを防止でき、セラミックグリーンシート表面のみを軟化させて、得られるセラミックグリーンシート積層体およびセラミック積層体の変形を抑制することができる。
【0013】
さらに、セラミックグリーンシートに施された高密度の配線パターンおよび貫通導体について積層加圧により良好な接着性を得ることができながらも、セラミックグリーンシート全体は軟化しないことからセラミックグリーンシート積層体の積層加圧による変形は低減することができ、配線パターンおよび貫通導体の微細化が可能な寸法精度の高いセラミック積層体の製造が可能となる。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明のセラミック積層体の製造方法を図を参照しつつ詳説する。
【0015】
図1は、本発明のセラミック積層体の製造方法において用いられる接着シートの一例を示す断面図であり、図2は、本発明のセラミック積層体の製造方法の実施の形態の一例におけるセラミックグリーンシート積層体の例を示す断面図である。
【0016】
また、図3(a)〜(c)は、それぞれ本発明のセラミック積層体の製造方法の実施の形態の一例を説明するための、接着剤層をセラミックグリーンシートに転写し、接着剤層が転写されたセラミックグリーンシートを複数枚積層している様子を示す模式的な断面図である。
【0017】
(接着シートの製造方法)
図1に示すように、接着シートXは、例えば樹脂フィルム3,剥離処理層2および接着剤層1からなる。
【0018】
この接着シートXの製造方法は、例えば、樹脂フィルム3の主面に剥離処理を施して剥離処理層2を形成するとともに、所定の樹脂組成物と所定の有機溶剤,可塑剤とを加え、ミキサー等の混合機を用いて樹脂溶液を作製し、この樹脂溶液を減圧脱泡した後、ロッドコーター法,ロールコーター法,グラビアコーター法等のコーティング法によりこの樹脂溶液を剥離処理層2にコーティングし、乾燥することにより、所定の厚みの接着剤層1を形成する。
【0019】
なお、樹脂フィルム3に剥離処理層2を形成することが好ましいのは、接着剤層1をセラミックグリーンシートの主面に転写後、樹脂フィルム3を剥離するときに、接着剤層1がセラミックグリーンシート4の主面に完全に転写され、樹脂フィルム3に接着剤層1が残らないようにするためである。
【0020】
樹脂フィルム3は、二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(ポリエステルフィルム)または二軸延伸ポリプロピレンフィルム等の硬質樹脂材料等が使用できるが、これらに限定されるものではない。また、その厚みは5μmから80μmであり、セラミックグリーンシート4の主面に樹脂フィルム3が沿わない等の転写性と工程間や工程内の取り扱いにおいて重量が重くなる等のハンドリングの観点から10μmから60μm、より好ましくは、20μmから40μmである。
【0021】
剥離処理層2は、シリコーン樹脂等をロッドコーター法,ロールコーター法,グラビアコーター法等のコーティング法により形成し乾燥することによって形成することができる。
【0022】
また、接着剤層1の樹脂組成物としては、ポリメチルアクリレート,ポリメチルメタクリレート,ポリエチルアクリレート,ポリエチルメタクリレート,ポリブチルアクリレート,ポリブチルメタクリレート,ポリイソブチルアクリレート,ポリイソブチルメタクリレート等のアクリル系樹脂、またはこれらの共重合体から成り、カルボキシル基,水酸基等の極性基を含んでもよい。さらに、平均分子量は50万以下であり、好ましくは20万〜30万であり、さらに好ましくは20万以上と10万以下との混合系である。
【0023】
さらに、可塑剤としては、DBP,DOP,DINP,DIDP等が使用できる。
【0024】
接着剤層1の厚みは、これを転写するセラミックグリーンシート4の主面の表面粗さに応じて望ましい厚みがあるものの、通常は0.2μm〜2μmの範囲内である。
【0025】
(セラミックグリーンシートの製造方法)
次に、接着剤層1が転写されるセラミックグリーンシート4の製造方法について説明する。
【0026】
先ず、十分に乾燥させたセラミック原料粉末を所定の比率で調合し、バインダ,溶剤,可塑剤,分散剤等を加え、ボールミル,ビーズミル,ミキサー等を用いて混合し、場合によっては粉砕を伴う混合を行なう。
【0027】
これにより、バインダが溶解した有機溶媒中にセラミック原料粉末が分散したスラリーが得られる。このスラリーを減圧脱泡した後、ドクターブレード法やリップコーター法等のキャスト法により、キャリアフィルム上にこのスラリーをキャストし、乾燥することによって、所定の厚みのセラミックグリーンシート4を成形する。
【0028】
セラミック材料としては、例えばリチウム珪酸系ガラス,BaO系ガラス,ZnOガラス等のガラス成分と例えばアルミナ,クォーツ,チタン酸塩等の無機フィラーにより構成されるガラスセラミックス系やアルミナを主成分とし、焼結助剤として、SiO,MgO,CaCO,Mn等の添加系を含むアルミナ系等、さらには、チタン酸バリウム系,ジルコニア系,炭化珪素系等があるが、特に限定されるものではない。
【0029】
(セラミックグリーンシートの加工方法)
次に、このセラミックグリーンシート4に、打ち抜きピンやレーザを用いて、例えばセラミック多層配線基板の構造に応じて、所定位置に貫通孔を形成し、銅粉末等の金属粉末に有機バインダ,溶剤,可塑剤を添加混合して得た金属ペーストをスクリーン印刷法等により貫通孔に充填し、また、所定の配線パターン5を印刷塗布する。
【0030】
また、図2に示すようなキャビティ8を有する多層配線基板を製造する場合においては、セラミックグリ−ンシート4の所定位置に、金型やレーザを用いて、キャビティ8部を構成する貫通孔を形成する。
【0031】
(接着剤層の転写方法)
次に、図3(a)に示すように、以上のようにして得られた、金属ペーストを充填した貫通孔(貫通導体)6,配線パターン5等が形成されたセラミックグリーンシート4の主面に接着シートXの主面の接着剤層1を対向させて積層し、受台12に載置し、加圧板11を用いて加熱加圧する。その後、図3(b)に示すように、加圧板11を上昇させて樹脂フィルム3をセラミックグリーンシート4から剥離することにより、接着剤層1をセラミックグリーンシート4の主面に転写させる。
【0032】
このとき、転写条件としては、温度は40〜70℃,圧力は2〜8MPa,加圧時間は4〜30秒であることが望ましい。
【0033】
接着剤層1は、セラミックグリーンシート4の配線パターン5が形成された側の主面および/または裏面の配線パターン5の形成されていない側の主面に転写してもよい。
【0034】
さらに、転写の際に、受台12が加圧板11に向かって上昇しても良い。
【0035】
(セラミックグリーンシートの積層方法)
次に、図3(c)に示すように、受台12に以上のようにして得られた接着剤層1が転写されたセラミックグリーンシート4を、接着剤層1がセラミックグリーンシート4の間に介在するようにして所定の順に複数重ね合わせて積層した後に、加圧板11を用いて加熱加圧することにより一体化させ、セラミックグリ−ンシート積層体を作製する。このとき、セラミックグリ−ンシート4は従来の密着液を用いた場合のように軟化していないので、積層加圧によるセラミックグリ−ンシート4の変形はほとんど発生しない程度にまで抑制され、寸法精度の高いセラミックグリ−ンシート積層体を得ることができる。
【0036】
このときの積層条件としては、温度は40〜70℃,圧力は2〜8MPa,加圧時間は4〜30秒であることが望ましい。
【0037】
また、セラミックグリーンシート4の積層方法は、このような積層方法に限定されず、例えば、受台12にセラミックグリーンシート4とセラミックグリーンシート4の接着剤層1側とを重ね合わせ、加圧板11を用いて加熱加圧したセラミックグリーンシート4の積層体に、さらに、セラミックグリーンシート4の接着剤層1側を重ね合わせ、加圧板11を用いて加熱加圧を繰り返すことによって積層する方法や、複数枚の接着剤層1付きセラミックグリーンシート4を積層したセラミックグリ−ンシート積層体を複数個用意し、これらの積層体の表面のセラミックグリ−ンシート4に接着剤層1を転写し、それら複数のセラミックグリ−ンシート積層体を接着剤層1を介して一体化させてセラミックグリ−ンシート積層体とする方法や、セラミックグリーンシート4に接着剤層1を転写し、その後、セラミックグリーンシート4を重ね合わせ、加圧板11を用いて加熱加圧し、さらに、接着剤層1を転写することを繰り返す方法によって積層体としてもよい。
【0038】
また、必要に応じて、焼成後に個々の小型のセラミック積層体に分割するための分割溝を、セラミックグリ−ンシート積層体にプレス等の方法を用いて形成してもよい。
【0039】
(積層体の焼成方法)
以上のようにして得られたセラミックグリ−ンシート積層体を、必要に応じて所定の寸法に切断後、焼成炉を用いて焼成する。
【0040】
このとき、セラミックグリーンシート4の層間の接着剤層1を焼成によって完全に除去するために、500℃までの昇温時間を2時間以上とすることが望ましい。このように500°までの昇温時間を十分にとることによって、接着剤層1を完全に除去して残留させないようにすることができる。なお、500℃以上における焼成条件は、目的とするセラミック積層体に必要な焼成条件に応じて設定すればよい。
【0041】
以上の方法により、寸法精度の高いセラミック積層体を得ることができる。
【0042】
【実施例】
以下、本発明のセラミック積層体の製造方法につき、具体例を示して説明する。
【0043】
(接着剤層の作製)
接着剤層を、メチルイソブチルケトンを主溶剤として重合したメタクリレート系樹脂100質量部に対し、フタル酸エステル系可塑剤を55質量部添加し、メチルイソブチルケトンにより希釈することにより、メタクリレート系樹脂の2質量%溶液,5質量%溶液,20質量%溶液を作製した。この溶液をミキサーにより1時間攪拌後、減圧脱泡した溶液を、剥離処理を行ない剥離処理層としてシリコーン樹脂がコーティングされた、厚みが38μmのポリエチレンテレフタレートフィルム上に、ロッドコーターを用いて塗工し、乾燥することにより、厚みが0.05μm,0.1μm,0.5μm,2μmおよび3μmの接着剤層を形成した。
【0044】
なお、厚みが0.05μmおよび0.1μmの接着剤層の作製には濃度2質量%の溶液を使用し、厚みが0.5μmの接着剤層の作製には濃度5質量%の溶液を使用し、厚みが2μmおよび3μmの接着剤層の作製には20質量%溶液を使用し、それぞれの塗工厚みは単位面積当たりの塗工重量より調整して、塗工ロッド選定,塗工圧力調整,塗工速度調整により、厚みばらつきが10%以内の接着剤層を形成した。
【0045】
(グリーンシート作製および加工)
次に、平均粒径が2μmのガラスを55質量%と、平均粒径が2μmのアルミナ粉末45質量%からなるセラミック組成物100質量部に、フタル酸エステル系可塑剤を含みトルエンを主要剤として重合したメタクリレート系樹脂を12質量部、およびトルエンを55質量部の割合で混合し、ボールミルで24時間混合してスラリーを作製した。このスラリーを減圧脱泡後、ドクターブレード法により、厚みが120μmのグリーンシートを作製した。
【0046】
次に、このセラミックグリーンシートを200mm×200mmの大きさに切断し、所定の位置に打ち抜きピンを用いて直径が70μmの貫通孔を形成した。次に、平均粒径が1.5μmの銅粉末100質量部に、メタクリレート系樹脂を12質量部,テルピネオールを10質量部の割合で混合した金属ペーストを調製し、セラミックグリーンシートの主面にスクリーン印刷法により、所定のパターンに印刷塗布し、また、貫通孔内に金属ペーストを充填した。また、キャビティを構成するセラミックグリーンシートには、金型を用いてキャビティとなる貫通孔を形成した。
【0047】
(接着剤層の転写)
このようにして得られた、金属ペーストを充填した貫通孔,配線パターン等が形成されたセラミックグリーンシートに、前述のようにして得られた接着剤層が形成された樹脂フィルムを、その接着剤層がセラミックグリーンシートの主面に接触する向きにて重ね、所定温度に加熱した加圧板を用いて、所定の圧力を5秒間印加した。加圧後、樹脂フィルムを剥がすことにより、接着剤層が転写されたセラミックグリーンシートを得た。
【0048】
なお、このときの加熱加圧の温度および圧力は、表1に示した。
【0049】
(セラミックグリーンシートの積層)
次に、本実施例では、厚みが120μmのセラミックグリーンシートを6枚積層して焼成することにより得られるセラミック多層配線基板を作製した。なお、ここでは積層体の最上層を1層目,最下層を6層目と呼び、上記の方法による接着剤層の転写は、セラミック多層配線基板の設計に応じて所定の配線パターンおよび金属ペーストを充填した貫通孔が形成された1層目,2層目,3層目,4層目および5層目を構成するセラミックグリーンシートの裏面に対して行ない、所定の配線パターンおよび金属ペーストを充填した貫通孔が形成された最下層を構成する6層目のセラミックグリーンシートには、接着剤層の転写は行なわなかった。
【0050】
また、加圧によるセラミックグリ−ンシート積層体の変形量を測定するため、最上層を構成する1層目のセラミックグリーンシートの主面には、x方向およびy方向(x方向と直角の方向)のそれぞれに、2点間の距離が約120mmとなる位置に針を用いてマーキングを行ない、接着剤層を転写する前に2点間の距離を正確に測定して、得られたx方向の2点間の距離をA1とし、y方向の2点間の距離をB1とした。
【0051】
その後、これら6枚のセラミックグリーンシートを所定の位置にて重ね、加圧板を用いて、接着剤層を転写した同温度にて、接着剤層を転写したときと同圧力を5秒間印加することにより、6枚のセラミックグリーンシートを一体化させて積層体を作製した。
【0052】
一方、比較のため、従来の密着液を用いる積層方法として、アクリル系樹脂30質量%,フタル酸エステル30質量%、酢酸ブチル40質量%により構成された密着液を作製し、スクリーン印刷法により、1層目,2層目,3層目,4層目および5層目を構成するセラミックグリーンシートにこの密着液を塗工し、50℃にて10分間乾燥させた。
【0053】
なお、前記の接着シート転写法の場合と同様に、最上層を構成する1層目のセラミックグリーンシートの主面には、x方向およびy方向のそれぞれに、2点間の距離が約120mmとなる位置に針を用いてマーキングを行ない、密着液を塗工する前に2点間の距離を正確に測定して、得られたx方向の2点間の距離をA1とし、y方向の2点間の距離をB1とした。
【0054】
その後、前記の接着シート転写法の場合と同様に、これら6枚のセラミックグリーンシートを所定の位置にて重ね、加圧板を用いて、所定温度にて、所定圧力を5秒間印加することにより、6枚のセラミックグリーンシートを一体化させて積層体を作製した。なお、このときの加熱加圧の温度および圧力は、表2に示した。
【0055】
(変形量の測定)
上記のそれぞれの方法により得られたセラミックグリ−ンシート積層体の表面の、針によりマーキングしたx方向およびy方向の2点間の距離を測定して、得られたx方向の2点間の距離をA2とし、y方向の2点間の距離をB2とした。
【0056】
そして、以下の式(1)により、加圧によるx方向の変形率Ra(ppm)を求め、以下の式(2)により加圧によるy方向の変形率Rb(ppm)を求め、以下の式(3)により加圧による平均変形率R(ppm)を求めた。
Ra=(A2−A1)/A1×10・・・(1)
Rb=(B2−B1)/B1×10・・・(2)
R=(Ra+Rb)/2・・・・・・・(3)
このようにして、接着剤層の厚み,転写時の温度および圧力,積層時の温度および圧力,以上の測定により得られた平均変形率R(ppm)を、表1に併せて示した。
【0057】
また、従来の密着液を用いる積層方法における、積層時の温度および圧力,以上の測定により得られた平均変形率R(ppm)を、表2に合せて示した。
【0058】
また、平均変形率Rの評価として、100ppm未満を○,100ppm以上1000ppm未満を△,1000ppm以上を×として、表1および表2に示した。
【0059】
(焼成および評価)
次に、セラミックグリ−ンシート積層体を60mm×60mmの寸法に切断後、焼成炉により、窒素雰囲気中で焼成した。焼成条件としては、室温から500℃まで2時間かけて昇温し、500℃で1時間保持後、940℃まで3時間かけて昇温し、1時間保持後、室温まで5時間かけて降温させることによりセラミック積層体である焼結体を得た。
【0060】
これらの焼結体をx方向に10mm間隔で切断し、カラーレーザ顕微鏡(キーエンス製VK−8500)を用いて断面を観察した上で、さらに、その焼結体の中央部,角部および1辺の中央部の断面を、走査型電子顕微鏡(日本電子製JSM−5600LV)を用いて観察した。以上の観察により、焼結体の層間剥離(デラミネーション)が見られない場合を○,一部でも見られた場合を×として、表1および表2に併せて示した。
【0061】
【表1】
Figure 2004114632
【0062】
【表2】
Figure 2004114632
【0063】
表1および表2に示した結果より、本発明のセラミック積層体の製造方法である、厚みが0.1μm〜2μmである接着剤層をセラミックグリーンシートに転写し、これを積層一体化する工程を具備するセラミックグリーンシートの積層方法によれば、従来の密着液を用いる積層方法に較べ、積層体を作製する際の加圧による変形量が大幅に低減されたことが分かる。
【0064】
また、本発明のセラミック積層体の製造方法によれば、焼成後のセラミック積層体に層間剥離の発生がないことも確認できた。
【0065】
なお、本発明は以上の実施の形態の例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲であれば種々の変更を加えることは何ら差し支えない。例えば、接着シートの樹脂フィルムは、必ずしも剥離処理を施す必要はなく、離型性のよいフッ素樹脂やシリコーン樹脂を用いて特に剥離処理を施さずにその主面に接着剤層を形成したり、樹脂フィルムとして金属や非金属の板に離型性のよいフッ素コーティングやシリコーンコーティングを施した表面に接着剤層を形成したりしてもよい。また、剥離処理としてワックス等の熱により溶解する材料によるコーティング処理を施し、接着層を熱転写したときにそのワックス等が溶解することによって転写する形態としてもよい。
【0066】
【発明の効果】
本発明のセラミック積層体の製造方法によれば、樹脂フィルムの主面に予め接着剤層を設けておき、この接着剤層をセラミックグリーンシートの主面に転写するので、接着剤層に含まれる可塑剤が密着液を用いたときのようにセラミックグリーンシート全体に浸透することがなく、セラミックグリーンシート全体が軟化するのを防止でき、セラミックグリーンシート表面のみを軟化させて、得られるセラミックグリーンシート積層体およびセラミック積層体の変形を抑制することができる。
【0067】
さらに、セラミックグリーンシートに施された高密度の配線パターンおよび貫通導体について積層加圧により良好な接着性を得ることができながらも、セラミックグリーンシート全体は軟化しないことからセラミックグリーンシート積層体の積層加圧による変形は低減することができ、配線パターンおよび貫通導体の微細化が可能な寸法精度の高いセラミック積層体の製造が可能となる。
【0068】
以上により、本発明によれば、従来の密着液をセラミックグリーンシートに塗工する積層方法に較べ、加圧によるセラミックグリーンシートの変形が大幅に低減され、寸法精度の高いセラミック積層体の製造が可能となる。また、本発明は、特に、厚みが薄く、密着液により軟化しやすいセラミックグリーンシートを用いたセラミック積層体の作製に好適であり、より小型でかつ寸法精度の高いセラミック積層体の製造が可能となる。
【0069】
従って、本発明によれば、従来の密着液を用いた積層におけるセラミックグリーンシート全体の軟化を防ぐことにより、密着不良を発生させることなく、かつ積層時の加圧によるセラミックグリーンシートおよび積層体の変形を抑制することができるセラミック積層体の製造方法を提供することができた。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のセラミック積層体の製造方法において用いられる接着シートの一例を示す断面図である。
【図2】本発明のセラミック積層体の製造方法の実施の形態の一例におけるセラミックグリーンシート積層体の例を示す断面図である。
【図3】(a)〜(c)は、それぞれ本発明のセラミック積層体の製造方法の実施の形態の一例を説明するための模式的な断面図である。
【符号の説明】
1・・・接着剤層
2・・・剥離処理層
3・・・樹脂フィルム
4・・・セラミックグリーンシート
5・・・配線パターン
6・・・金属ペーストを充填した貫通孔(貫通導体)
8・・・キャビティ
11・・・加圧板
12・・・受板
X・・・接着シート

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  1. 樹脂フィルムの主面に接着剤層を形成した接着シート、およびセラミックグリーンシートを準備する工程と、前記接着シートの前記接着剤層を前記セラミックグリーンシートの主面に転写する工程と、前記接着剤層が転写された複数枚の前記セラミックグリーンシートを間に前記接着剤層を介在させて積層し、加圧することによって、セラミックグリーンシート積層体を作製する工程と、前記セラミックグリーンシート積層体を焼成する工程とを具備することを特徴とするセラミック積層体の製造方法。
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