JP6949954B2 - 結着剤、結着成形食品、及びその製造方法 - Google Patents

結着剤、結着成形食品、及びその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、結着剤、結着成形食品、及びその製造方法に関し、より詳細には、小片状又は粒状の食品材料同士を結着する結着力に優れた結着剤、当該結着剤を用いて得られる結着成形食品、及び当該結着成形食品を工業的規模で歩留まり良く製造する方法に関する。
近年、グラノーラバーなどに代表される、所謂、結着成形食品が注目を浴びている。結着成形食品の製造においては、小片状又は粒状の食品材料同士を安定に結着するために、通常、結着剤が用いられる。結着剤は、食品材料同士の結着性はもとより、目的とする結着成形食品の製造のし易さ、得られる結着成形食品の保形性・保存安定性、取り扱い性、耐衝撃性、更には、その歩留まりや商品寿命を大きく左右することから、極めて重要な役割を担っている。
従来、結着剤として、多糖類やオリゴ糖を含む糖類(澱粉、デキストリン、寒天など)、ガム質、増粘剤、アルギン酸、蛋白質などを主体とするものが使用され、中でも、天然多糖であるプルランを主体とする結着剤は、プルラン不含有の結着剤と比べ、結着性や成形性に優れているとされている。
しかし、本発明者らの知見によれば、これまで提案されているプルランを主体とする結着剤には、適用対象によっては、結着力が不十分であったり、結着力を高めるために、比較的多量のプルランを用いなければならないという欠点があった。斯かる欠点を解消するために、例えば特許文献1においては、プルランを主体とする結着剤に、更に粘性多糖類や可塑性付与物質などの他の成分を添加するか、凝集力向上剤や粘度調整物質などを添加して結着力を高める提案がなされている。しかし、特許文献2に述べられているとおり、特許文献1の提案にしたがってプルランと他の成分とを併用しても、プルランを主体とする結着剤の結着力が必ずしも増加するとは限らず、未だ改良の余地が残されている。このため、特許文献2では、プルランとともに、平均重合度が4以下の糖類を含む結着剤が提案されているが、糖類の配合量が極めて多く、それら糖類に起因する甘味のために、当該結着剤を使用した最終製品の味に影響を及ぼすなどの不都合があり、当該結着剤には用途に制約があるという欠点がある。
また、特許文献3には、プルラン、デキストリン、寒天、ガム質、アルギン酸、蛋白質などから選ばれる1種以上を主体とする結着剤と、これを用いる成形食品が開示されている。しかし、この特許文献3に開示されている結着剤は粉末状のものであって、軽い食感の成形食品を得るために、加水した乾燥可食素材片と当該結着剤とを混合し、当該結着剤を湿潤させ、所望の結着力を引き出す必要があり、汎用性に欠けるという問題点がある。
斯かる状況下、本出願人は、共同出願人の一人として、特願2016−166348号(以下、「先願」と言う。)において、プルランと特定の分岐α−グルカン混合物とを用いる結着剤を開示した。当該結着剤は、特定の分岐α−グルカン混合物に対しプルランを無水物換算での質量比で1.5乃至4倍量含むプルランを主体とする結着剤であり、結着力に優れるとともに、型を用いて食品素材を結着、成形するにあたり、型への充填作業及び型からの取り出し作業(以下、特に断りがない限り、これら一連の作業のし易さを「作業性」と言う場合がある。)が、良好に行えるという極めて優れた特性を有する結着剤である。しかし、当該結着剤は、所期の特性を得るためには、分岐α−グルカン混合物に対するプルランの配合量を質量比で1.5倍量以上にすることを必要とし、比較的多量のプルランを用いなければならないという制約を有している。
特開昭61−246239号公報 特開平5−306350号公報 特開平1−91748号公報
本発明は、上記従来技術の不都合や制約に鑑みてなされたもので、より少ないプルランの配合量で、優れた結着力を発揮し、小片状及び/又は粒状の食品材料同士を容易に結着でき、しかも、保形性・保存安定性、取り扱い性、更には、耐衝撃性に優れ、商品寿命も長い結着成形食品を容易に調製できる結着剤を提供することを課題とし、更には、前記プルランの配合量が少ない結着剤を用いて、小片状及び/又は粒状の食品材料を結着成形して得られる結着成形食品並びにその製造方法を提供することを課題とする。
本発明者らは、上記課題を解決すべく、結着剤に求められる特性を維持しつつ、結着剤におけるプルラン含量の低減手段について種々検討し、試行錯誤を繰り返した結果、プルランと、特定の分岐α−グルカン混合物と、オリゴ糖とを特定の質量比で含む結着剤は、結着力に優れ、食品材料同士を容易に結着でき、しかも、食品材料に光沢を付与することができることを新規に見出した。更に、当該結着剤は、プルランを比較的多量に用いる先願に開示した結着剤と同様に、小片状及び/又は粒状の食品材料を型(モールド)に充填するときの作業性に優れ、小片状及び/又は粒状の食品材料を型に容易に充填することができる上、結着成形された小片状及び/又は粒状の食品材料を型から取り出すときの作業性にも優れていることを見出し、更には、当該結着剤を用いれば、保形性・保存安定性、取り扱い性、耐衝撃性、及び光沢に優れるとともに、商品寿命も長い結着成形食品が容易に、かつ、工業的規模で歩留まり良く製造できることを見出した。
すなわち、本発明は、有効成分として、プルランと、下記(A)乃至(C)の特徴を有する分岐α−グルカン混合物と、オリゴ糖とを含んでなる結着剤であって、当該結着剤の固形分当たりのプルラン含量が、10乃至50質量%である結着剤を提供することによって上記課題を解決するものである。
(A)グルコースを構成糖とし、
(B)α−1,4結合を介して連結したグルコース重合度3以上の直鎖状グルカンの一端に位置する非還元末端グルコース残基にα−1,4結合以外の結合を介して連結したグルコース重合度1以上の分岐構造を有し、
(C)イソマルトデキストラナーゼ消化により、イソマルトースを消化物の固形分当たり5質量%以上生成する。
また、本発明は、上記本発明の結着剤を用いて製造される結着成形食品、及びその製造方法を提供することにより上記課題を解決するものである。
本発明の結着剤によれば、当該結着剤の固形物当たりのプルラン含量が10乃至50質量%という比較的少量のプルランを用いながら、プルラン含量が比較的多量である結着剤と同様に、小片状及び/又は粒状の食品材料同士を容易に結着でき、保形性・保存安定性、取り扱い性、耐衝撃性に優れ、更には、商品寿命も長い優れた結着成形食品を製造することができるだけでなく、型を用いて食品材料を結着形成するに際し、型への充填作業及び型からの取り出し作業も良好にできるという利点が得られる。また、本発明の結着剤を用いて製造される結着成形食品は、プルラン含量が比較的多量である結着剤を用いて製造される結着成形食品と比べ、結着成形食品表面の光沢が優れているという特徴を備えている。更には、本発明の結着成形食品の製造方法によれば、前記優れた特徴を有する結着成形食品を工業的規模で歩留まり良く容易に提供することができるという利点が得られる。
本発明に係る結着剤は、有効成分として、プルランと、特定の分岐α−グルカン混合物と、オリゴ糖とを含む結着剤である。以下、各有効成分について順次説明する。
<プルラン>
本発明の結着剤の有効成分として用いるプルランとは、周知のとおり、マルトトリオースが規則正しくα−1,6結合を介して複数連なった構造を有し、水に易溶性でエタノールには殆ど溶解せず、プルラナーゼ(EC3.2.1.41)を作用させて加水分解すると、主にマルトトリオースを生成する多糖類である。本発明を実施するに際しては、結着力、接着力、粘度、取り扱い性などの観点から、重量平均分子量(Mw)が約5,000,000未満のプルランが、好適には約1,000,000未満、より好適には約10,000乃至約700,000、更に好適には約50,000乃至約600,000、更により好適には約150,000乃至約500,000のプルランが好適に用いられる。本発明の結着剤に好適に用いることができるプルランとしては、例えば、商品名『食品添加物プルラン』(プルラン含量約94質量%、水分含量約2質量%、株式会社林原製)が挙げられる。このプルランは、食品添加物として市販されているプルランであり、その重量平均分子量は約150,000乃至約500,000の範囲にあり、例えば、水溶液にしたとき、優れた粘性を示すことから、本発明の結着剤に好適に用いることができる。
<分岐α−グルカン混合物>
本発明の結着剤の有効成分として用いる分岐α−グルカン混合物は、下記(A)乃至(C)の特徴を有する分岐α−グルカン混合物である;
(A)グルコースを構成糖とし、
(B)α−1,4結合を介して連結したグルコース重合度3以上の直鎖状グルカンの一端に位置する非還元末端グルコース残基にα−1,4結合以外の結合を介して連結したグルコース重合度1以上の分岐構造を有し、
(C)イソマルトデキストラナーゼ消化により、イソマルトースを消化物の固形分当たり5質量%以上生成する。
上記(A)乃至(C)の特徴は、本発明で用いる分岐α−グルカン混合物を、混合物全体として特徴付ける指標である。すなわち、本発明で用いる分岐α−グルカン混合物は、通常、様々な分岐構造並びにグルコース重合度(分子量)を有する多数の分岐α−グルカン分子の混合物の形態にあり、現行の技術では、個々の分岐α−グルカン分子を単離し、その構造を決定したり定量したりすることは技術的に不可能である。しかし、分岐α−グルカン混合物は、斯界で一般に用いられている種々の物理的手法、化学的手法、又は酵素的手法により求められる種々の特徴により、混合物全体として規定することができ、本発明で用いる分岐α−グルカン混合物は、混合物全体として、上記(A)乃至(C)の特徴によって特徴付けられる分岐α−グルカン混合物(以下、単に「本分岐α−グルカン混合物」と呼ぶ場合がある)である。
すなわち、本分岐α−グルカン混合物は、グルコースを構成糖とするグルカン(特徴(A))であり、α−1,4結合を介して連結したグルコース重合度3以上の直鎖状グルカンの一端に位置する非還元末端グルコース残基にα−1,4結合以外の結合を介して連結したグルコース重合度1以上の分岐構造を有している(特徴(B))。なお、特徴(B)でいう「非還元末端グルコース残基」とは、α−1,4結合を介して連結したグルカン鎖のうち、還元性を示さない末端に位置するグルコース残基を意味し、「α−1,4結合以外の結合」とは、α−1,2結合、α−1,3結合、α−1,6結合等のα−1,4結合以外の結合を意味する。
更に、本分岐α−グルカン混合物は、イソマルトデキストラナーゼ消化により、イソマルトースを消化物の固形分当たり5質量%以上生成することを特徴とする(特徴(C))。特徴(C)でいうイソマルトデキストラナーゼ消化とは、分岐α−グルカン混合物にイソマルトデキストラナーゼを作用させ、加水分解することを意味する。イソマルトデキストラナーゼは、国際生化学分子生物学連合により酵素番号(EC)3.2.1.94が付与されている酵素であり、α−グルカンにおけるイソマルトース構造の還元末端側に隣接するα−1,2、α−1,3、α−1,4、及びα−1,6結合のいずれの結合様式であっても加水分解する酵素である。好適には、アルスロバクター・グロビホルミス由来のイソマルトデキストラナーゼ[例えば、サワイ(Sawai)ら、アグリカルチュラル・アンド・バイオロジカル・ケミストリー(Agricultural and Biological Chemistry)、第52巻、第2号、495乃至501頁(1988年)参照]が用いられる。
イソマルトデキストラナーゼ消化により生成する消化物の固形物当たりのイソマルトースの割合は、分岐α−グルカン混合物を構成する分岐α−グルカンの構造におけるイソマルトデキストラナーゼで加水分解され得るイソマルトース構造の割合を示すものであり、イソマルトデキストラナーゼ消化により、イソマルトースを消化物の固形分当たり5質量%以上生成するという特徴(C)によって、本分岐α−グルカン混合物の構造を、混合物全体として、酵素的手法によって特徴付けることができる。
上記(A)及び(B)の特徴を有するとともに、イソマルトデキストラナーゼ消化により、イソマルトースを消化物の固形物当たり5質量%以上、好適には10質量%以上、より好適には15質量%以上、更に好適には20質量以上70質量%以下、より更に好適には20質量%以上60質量%以下、更に好適には20質量%以上50質量%以下生成する分岐α−グルカン混合物は、プルランとの相性が良く、プルランと特定の質量比で併用したとき、プルラン単独の場合と比べ、食品材料同士の結着性が効果的に向上するとともに、食品材料同士を結着させるときの作業性が良いなどの優れた特性を発揮するので、本発明の結着剤の有効成分として好適に用いられる。
上記(A)乃至(C)の特徴を備える限り、本分岐α−グルカン混合物の由来や製法に制限はなく、いかなる製造方法で製造されたものであっても良く、例えば、本願と同じ出願人が、国際公開第WO2008/136331号パンフレットなどにおいて開示した分岐α−グルカン混合物が好適な一例として挙げられる。当該分岐α−グルカン混合物は、澱粉を原料とし、これに種々の酵素を作用させて得られる分岐α−グルカン混合物であり、通常、様々な分岐構造とグルコース重合度を有する複数種の分岐α−グルカンを主体とする混合物の形態にあり、上記(A)乃至(C)の特徴を充足する。
当該分岐α−グルカン混合物の製造方法としては、前記国際公開第WO2008/136331号パンフレットに開示されているバチルス・サーキュランス PP710(FERM BP−10771)由来及び/又はアルスロバクター・グロビホルミス PP349(FERM BP−10770)由来のα−グルコシル転移酵素を単独で澱粉質に作用させるか、前記α−グルコシル転移酵素に加え、マルトテトラオース生成アミラーゼ(EC 3.2.1.60)などのアミラーゼ、プルラナーゼ(EC 3.2.1.41)、イソアミラーゼ(EC 3.2.1.68)などの澱粉枝切り酵素、更には、シクロマルトデキストリングルカノトランスフェラーゼ(EC 2.4.1.19)(以下、「CGTase」と言う。)、澱粉枝作り酵素(EC 2.4.1.18)、或いは特開2014−054221号公報などに開示されている重合度2以上のα−1,4グルカンを澱粉質内部のグルコース残基にα−1,6転移する活性を有する酵素などの1又は複数を併用して澱粉質に作用させる方法を例示できる。
また、本分岐α−グルカン混合物のより好適な一例としては、高速液体クロマトグラフィー(酵素−HPLC法)(以下、単に「酵素−HPLC法」という。)により求めた水溶性食物繊維含量が40質量%以上であるという特徴(D)を有しているものが挙げられる。
水溶性食物繊維含量を求める前記「酵素−HPLC法」とは、平成8年5月20日付の厚生省告示第146号の栄養表示基準、『栄養成分等の分析方法等(栄養表示基準別表第1の第3欄に掲げる方法)』における第8項の「食物繊維」に記載されている方法であり、その概略を説明すると以下のとおりである。すなわち、試料を熱安定α−アミラーゼ、プロテアーゼ及びグルコアミラーゼによる一連の酵素処理により分解処理し、イオン交換樹脂により処理液から蛋白質、有機酸、無機塩類を除去することによりゲル濾過クロマトグラフィー用の試料溶液を調製する。次いで、ゲル濾過クロマトグラフィーに供し、クロマトグラムにおける、未消化グルカンとグルコースのピーク面積を求め、それぞれのピーク面積と、別途、常法により、グルコース・オキシダーゼ法により求めておいた試料溶液中のグルコース量に基づいて、試料の水溶性食物繊維含量を算出する。なお、本明細書を通じて「水溶性食物繊維含量」とは、特に説明がない限り、前記「酵素−HPLC法」で求めた水溶性食物繊維含量を意味する。
水溶性食物繊維含量は、α−アミラーゼ及びグルコアミラーゼによって分解されないα−グルカンの含量を示すものであり、特徴(D)は、本分岐α−グルカン混合物の構造を、混合物全体として、酵素的手法により特徴付ける指標の一つである。
上記(A)乃至(C)の特徴を有するとともに、水溶性食物繊維含量が40質量%以上100質量%未満、好ましくは50質量%以上99質量%未満、より好ましくは60質量%以上99質量%未満、更に好ましくは70質量%以上99質量%未満である分岐α−グルカン混合物は、プルランとの相性がよく、本発明に係る結着剤の有効成分としてより好適に用いられる。因みに、前記バチルス・サーキュランス PP710(FERM BP−10771)の培養物には、α−グルコシル転移酵素とアミラーゼとが含まれており、斯かる酵素混合物は、これをマルトース及び/又はグルコース重合度が3以上のα−1,4グルカンに作用させると、水溶性食物繊維含量の高い分岐α−グルカン混合物を安定して生成するという特徴を有している。
なお、水溶性食物繊維含量が高いほど、プルランとの相性が良い理由は定かではないが、水溶性食物繊維含量が40質量%以上である本分岐α−グルカン混合物は、原料澱粉由来のα−1,4結合を基本構造としつつ、α−1,4結合以外の多様な結合を多く含んでいるので、プルランと分子レベルで複雑に絡み合い、その結果、プルラン単独の結着剤と比べ、例えば、乾燥食品同士を結着させる場合、結着力が高まって成形性が良くなり、保形性・保存安定性、耐衝撃性に優れた結着成形食品が得られるのではないかと推測される。
更に、本発明で用いる分岐α−グルカン混合物のより好適な一例としては、下記特徴(E)及び(F)を有する分岐α−グルカン混合物が挙げられる。当該特徴(E)及び(F)はメチル化分析によって確認することができる。
(E)α−1,4結合したグルコース残基とα−1,6結合したグルコース残基の比が1:0.6乃至1:4の範囲にあり、
(F)α−1,4結合したグルコース残基とα−1,6結合したグルコース残基との合計が全グルコース残基の55%以上を占める。
メチル化分析とは、周知のとおり、多糖又はオリゴ糖において、これを構成する単糖の結合様式を決定する方法として一般的に汎用されている方法である(シューカヌ(Ciucanu)ら、カーボハイドレート・リサーチ(Carbohydrate Research)、第131巻、第2号、209乃至217頁(1984年))。メチル化分析をグルカンにおけるグルコースの結合様式の分析に適用する場合、まず、グルカンを構成するグルコース残基における全ての遊離の水酸基をメチル化し、次いで、完全メチル化したグルカンを加水分解する。次いで、加水分解により得られたメチル化グルコースを還元してアノマー型を消去したメチル化グルシトールとし、更に、このメチル化グルシトールにおける遊離の水酸基をアセチル化することにより部分メチル化グルシトールアセテート(なお、「部分メチル化グルシトールアセテート」を単に「部分メチル化物」と総称する場合がある。)を得る。得られる部分メチル化物を、ガスクロマトグラフィーで分析することにより、グルカンにおいて結合様式がそれぞれ異なるグルコース残基に由来する各種部分メチル化物は、ガスクロマトグラムにおける全ての部分メチル化物のピーク面積に占めるピーク面積の百分率(%)で表すことができる。そして、このピーク面積%から当該グルカンにおける結合様式の異なるグルコース残基の存在比、すなわち、各グルコシド結合の存在比率を決定することができる。部分メチル化物についての「比」は、メチル化分析のガスクロマトグラムにおけるピーク面積の「比」を意味し、部分メチル化物についての「%」はメチル化分析のガスクロマトグラムにおける「面積%」を意味するものとする。
上記特徴(E)及び(F)における「α−1,4結合したグルコース残基」とは、1位及び4位の炭素原子に結合した水酸基のみを介して他のグルコース残基に結合したグルコース残基であり、メチル化分析において、2,3,6−トリメチル−1,4,5−トリアセチルグルシトールとして検出される。また、上記特徴(E)及び(F)における「α−1,6結合したグルコース残基」とは、1位及び6位の炭素原子に結合した水酸基のみを介して他のグルコース残基に結合したグルコース残基であり、メチル化分析において、2,3,4−トリメチル−1,5,6−トリアセチルグルシトールとして検出される。
メチル化分析により得られる、α−1,4結合したグルコース残基とα−1,6結合したグルコース残基の比率、及び、α−1,4結合したグルコース残基とα−1,6結合したグルコース残基の全グルコース残基に対する割合は、本発明で用いる分岐α−グルカン混合物の構造を、混合物全体として、化学的手法によって特徴付ける指標の一つとして用いることができる。
上記特徴(E)の「α−1,4結合したグルコース残基とα−1,6結合したグルコース残基の比が1:0.6乃至1:4の範囲にある」との特徴は、本発明で用いる分岐α−グルカン混合物をメチル化分析に供したとき、検出される2,3,6−トリメチル−1,4,5−トリアセチルグルシトールと2,3,4−トリメチル−1,5,6−トリアセチルグルシトールの比が1:0.6乃至1:4の範囲にあることを意味する。また、上記特徴(F)の「α−1,4結合したグルコース残基とα−1,6結合したグルコース残基との合計が全グルコース残基の55%以上を占める」との特徴は、本発明で用いる分岐α−グルカン混合物が、メチル化分析において、2,3,6−トリメチル−1,4,5−トリアセチルグルシトールと2,3,4−トリメチル−1,5,6−トリアセチルグルシトールとの合計が部分メチル化グルシトールアセテートの55%以上を占めることを意味する。
通常、澱粉は1位と6位でのみ結合したグルコース残基を有しておらず、かつα−1,4結合したグルコース残基が全グルコース残基中の大半を占めていることから、上記特徴(E)及び(F)の要件は、当該分岐α−グルカン混合物が澱粉とは全く異なる構造を有することを意味するものである。
上記(A)乃至(C)又は(A)乃至(D)の特徴に加えて、上記(E)及び(F)の特徴を有する分岐α−グルカン混合物は、澱粉に存在するα−1,4結合及びα−1,6結合に加えて、非還元末端に位置する「α−1,6結合したグルコース残基」という澱粉には存在しないグルコース残基を相当程度有する分岐α−グルカン混合物であり、本発明に係る結着剤における有効成分として好適に用いられる。
更に、本発明で用いる分岐α−グルカン混合物のより好適な一例としては、前記特徴(A)乃至(F)に加え、更に下記特徴(G)及び(H)を有する分岐α−グルカン混合物が挙げられる。当該特徴(G)及び(H)もメチル化分析によって確認することができる。
(G)α−1,3結合したグルコース残基が全グルコース残基の0.5%以上10%未満である;及び
(H)α−1,3,6結合したグルコース残基が全グルコース残基の0.5%以上である。
上記特徴(G)における、「α−1,3結合したグルコース残基が全グルコース残基の0.5%以上10%未満である」とは、C−1位の水酸基とC−3位の水酸基のみを介して他のグルコースと結合したグルコース残基が、グルカンを構成する全グルコース残基の0.5%以上10%未満存在することを意味する。上記(G)の特徴を有する分岐α−グルカン混合物は本発明において好適に用いることができ、中でも、α−1,3結合したグルコース残基が全グルコース残基の1乃至3%の範囲にある分岐α−グルカン混合物は、本発明を実施する上でより好適に用いられる。
更に、上記特徴(H)における、「α−1,3,6結合したグルコース残基が全グルコース残基の0.5%以上である」とは、C−1位の水酸基以外に、C−3位の水酸基とC−6位の水酸基を介して他のグルコースと結合したグルコース残基が、グルカンを構成する全グルコース残基の0.5%以上存在することを意味する。上記(H)の特徴を有する分岐α−グルカン混合物は本発明において好適に用いることができ、中でも、α−1,3,6結合したグルコース残基が、グルカンを構成する全グルコース残基の1乃至10%である分岐α−グルカン、好適には、1乃至7%の範囲にある分岐α−グルカンは、本発明を実施する上でより好適に用いられる。
なお、α−1,3結合したグルコース残基は、メチル化分析において検出される、「2,4,6−トリメチル−1,3,5−トリアセチルグルシトール」に基づいて解析でき、上記特徴(G)が規定する「α−1,3結合したグルコース残基が全グルコース残基の0.5%以上10%未満である」ことは、対象とする分岐α−グルカン混合物をメチル化分析に供したとき、2,4,6−トリメチル−1,3,5−トリアセチルグルシトールが部分メチル化グルシトールアセテートの0.5%以上10%未満存在することによって確認することができる。また、α−1,3,6結合したグルコース残基は、メチル化分析において検出される、「2,4−ジメチル−1,3,5,6−テトラアセチルグルシトール」に基づいて解析でき、上記特徴(H)が規定する「α−1,3,6結合したグルコース残基が全グルコース残基の0.5%以上である」ことは、対象とする分岐α−グルカン混合物をメチル化分析に供したとき、2,4−ジメチル−1,3,5,6−テトラアセチルグルシトールが部分メチル化グルシトールアセテートの0.5%以上10%未満存在することによって確認することができる。
更に、本発明で用いるに好適な分岐α−グルカン混合物は、重量平均分子量(Mw)、及び、重量平均分子量(Mw)を数平均分子量(Mn)で除した値(Mw/Mn)によっても特徴付けることができる。重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)は、例えば、サイズ排除クロマトグラフィー等を用いて求めることができる。また、重量平均分子量(Mw)に基づいて、分岐α−グルカン混合物を構成する分岐α−グルカン分子の平均グルコース重合度を算出することができるため、本発明で用いる分岐α−グルカン混合物は平均グルコース重合度で特徴付けることもできる。ちなみに、平均グルコース重合度は、重量平均分子量(Mw)から18を減じ、その残量をグルコース残基の分子量である162で除して求めることができる。本発明で用いる分岐α−グルカン混合物は、その平均グルコース重合度が、通常、8乃至500、好ましくは15乃至400、より好ましくは20乃至300のものが好適である。なお、本発明で用いる分岐α−グルカン混合物は、平均グルコース重合度が大きいほど粘度が増し、平均グルコース重合度が小さいほど粘度が小さくなる点で、通常のグルカンと同様の性質を示す。したがって、粘度を重視する場合には、所望の平均グルコース重合度を有する分岐α−グルカン混合物を適宜選択して用いればよい。
重量平均分子量(Mw)を数平均分子量(Mn)で除した値であるMw/Mnは、1に近いものほど分岐α−グルカン混合物を構成する分岐α−グルカン分子のグルコース重合度のばらつきが小さいことを意味する。本発明においては、Mw/Mnが、通常、20以下の分岐α−グルカン混合物が使用できるものの、好ましくは10以下、より好ましくは5以下のものがより好適に用いられる。なお、より均一なグルコース重合度の分岐α−グルカン混合物が求められる場合には、グルコース重合度のばらつきが小さいMw/Mnが1により近いものを選択して用いればよい。
上述したとおり、本発明で用いる分岐α−グルカン混合物は、その由来や製法に特段の制限はなく、上記特徴(A)乃至(C)を有する限り、如何なる方法で製造されたものであってもよい。例えば、α−1,4結合を介して連結したグルコース重合度3以上の直鎖状グルカンの非還元末端グルコース残基にα−1,6結合を介して連結したグルコース重合度1以上の分岐構造を導入する作用を有する酵素を澱粉質に作用させて得られる分岐α−グルカン混合物は、本発明の実施において好適に利用することができ、より好適な一例として、国際公開第WO2008/136331号パンフレットに開示されているα−グルコシル転移酵素を澱粉質に作用させて得られる分岐α−グルカン混合物が挙げられる。また、前記α−グルコシル転移酵素に加え、液化型α−アミラーゼ(EC 3.2.1.1)や糖化型α−アミラーゼ(EC 3.2.1.1)、マルトテトラオース生成アミラーゼ(EC 3.2.1.60)、マルトヘキサオース生成アミラーゼ(EC 3.2.1.98)などのアミラーゼや、イソアミラーゼ(EC 3.2.1.68)やプルラナーゼ(EC 3.2.1.41)などの澱粉枝切り酵素を併用すれば、本分岐α−グルカン混合物を低分子化することができるので、分子量、グルコース重合度などを所望の範囲に調整することができる。更には、シクロマルトデキストリングルカノトランスフェラーゼ(EC 2.4.1.19)や、澱粉枝作り酵素(EC 2.4.1.18)、特開2014−054221号公報に開示されている重合度2以上のα−1,4グルカンを澱粉質の内部のグルコース残基にα−1,6転移する活性を有する酵素を併用することにより、本分岐α−グルカン混合物を構成する分岐α−グルカンを更に高度に分岐させ、当該分岐α−グルカン混合物の水溶性食物繊維含量を高めることもできる。かくして得られる分岐α−グルカン混合物に、更にグルコアミラーゼ等の糖質加水分解酵素を作用させ、水溶性食物繊維含量をより高めた分岐α−グルカン混合物とすることも随意である。更に、斯かる分岐α−グルカン混合物にグリコシルトレハロース生成酵素(EC 5.4.99.15)を作用させることにより分岐α−グルカン混合物を構成する分岐α−グルカンの還元末端にトレハロース構造を導入したり、水素添加により分岐α−グルカン分子の還元末端を還元するなどして本分岐α−グルカン混合物の還元力を低下させてもよく、また、サイズ排除クロマトグラフィー等による分画を行なうことにより、所望の範囲に収まる分子量分布を有する本分岐α−グルカン混合物を取得することも随意である。
本発明で用いる分岐α−グルカン混合物は、以上に述べたとおりのものであるが、株式会社林原からイソマルトデキストリン(商品名『ファイバリクサ』)として販売されている分岐α−グルカン混合物は、本発明を実施する上で、最適な分岐α−グルカン混合物として用いることができる。
<オリゴ糖>
本発明の結着剤の有効成分として用いるオリゴ糖とは、2乃至10糖類の糖質を意味し、具体的には、スクロース、ラクトース、マルトース、イソマルトース、ラクトスクロース、グルコシルスクロース、ラフィノース、マルトトリオース、マルトシルスクロース、マルトテトラオース、マルトペンタオース、マルトヘキサオース、マルトヘプタオース、マルトオクタオース、α,α−トレハロース、α−グルコシルα,α−トレハロース、α−マルトシルα,α−トレハロース、α−マルトトリオシルα,α−トレハロース、α−マルトテトラオシルα,α−トレハロース、α−マルトペンタオシルα,α−トレハロース、α−マルトヘキサオシルα,α−トレハロース、糖アルコール(ソルビトール、マンニトール、キシリトール、マルチトール、エリスリトールなど)、フラクトオリゴ糖、ガラクトオリゴ糖、キシロオリゴ糖、大豆オリゴ糖などから選ばれる1種又は2種以上の糖質を意味する。
本発明で結着剤の有効成分として用いるオリゴ糖は、必ずしも純品である必要性はなく、当該結着剤が奏する作用効果を妨げない範囲で、オリゴ糖とともに、単糖類及び/又はオリゴ糖より高分子の糖質(但し、プルラン及び分岐α−グルカン混合物を除く)の1種又は2種以上の他の糖質(以下、単に「他の糖質」と言う。)を含む、糖質混合物であってもよい。しかしながら、本発明で用いるオリゴ糖中に混在するオリゴ糖以外の他の糖質含量は、無水物換算で、通常、30質量%以下、好適には、20質量%以下、より好適には10質量%以下、更に好適には5質量%以下であるものが好ましい。本発明で好適に用いられるオリゴ糖としては、澱粉を酸や糖化酵素で糖化して得られる、前記オリゴ糖の2種又は3種以上を含むオリゴ糖混合物の形態にある、所謂、水飴(酸糖化水飴、酸・酵素糖化水飴、酵素糖化水飴、麦芽酵素糖化水飴、砂糖結合水飴、マルトース高含有シラップ、トレハロース高含有シラップ、マルトテトラオース高含有シラップ、パノース高含有シラップ、ラクトスクロース高含有シラップ、マルチトール高含有シラップなど)を例示できる。本発明を実施するに際し、前記水飴は複数種のオリゴ糖を主体とし、全体として、適度の粘性を有することと相まって、本発明で用いるプルランや分岐α−グルカン混合物との相性がよいことから、本発明で用いるオリゴ糖として好適に用いられる。斯かる水飴の具体例としては、例えば、商品名『ハローデックス』(株式会社林原製)、商品名『テトラップ』(株式会社林原製)、商品名『パノラップ』(株式会社林原製)、商品名『カップリングシュガー』(株式会社林原製)、商品名『ラクトスクロースシラップ』(株式会社林原製)、商品名『水飴(酸糖化水飴)』(三重化糧株式会社製)、商品名『フジラップ(酸糖化水あめ)』(加藤化学株式会社製)、商品名『麦芽水あめ』(加藤化学株式会社製)、商品名『MS水飴(MS−500)』(三和澱粉工業株式会社製)、商品名『MS水飴(MS−630)』(三和澱粉工業株式会社製)、商品名『MS水飴(MS−720)』(三和澱粉工業株式会社製)、商品名『オリゴシラップM40』(日本コーンスターチ株式会社製)、商品名『N.S.−200』(日本コーンスターチ株式会社製)などを例示することができる。前記水飴の内、『ハローデックス』は、本発明で用いるオリゴ糖として最も好適に用いることができる。なお、前記各種水飴は、単独で用いることはもとより、必要に応じて、それらの2種以上を適宜組み合わせて用いることも随意である。
<結着剤>
本発明の結着剤は、有効成分として、前記プルランと、前記分岐α−グルカン混合物と、前記オリゴ糖とを含んでなる結着剤であって、当該結着剤における固形分当たりのプルラン含量は、通常10乃至50質量%、好適には10乃至30質量%、より好適には15乃至30質量%、より好適には20乃至30質量%である。プルラン含量が前記範囲の上限を上回ると、プルランと、特定の分岐α−グルカン混合物と、オリゴ糖とを併用することにより奏せられる、本発明の所期の作用効果が十分に発揮できなくなるので好ましくない。一方、プルラン含量が前記範囲の下限を下回ると、本発明の所期の作用効果が著しく低下するか発揮されなくなるので好ましくない。
本発明の結着剤において、前記プルランと、前記分岐α−グルカン混合物と、前記オリゴ糖とは、無水物換算での質量比で、通常、約1:1乃至3:0.1乃至3、好適には約1:1乃至3:1乃至3、より好適には1:1乃至3:1.5乃至3、更により好適には約1:1乃至2:1.5乃至2.5の範囲にある。なお、前記配合割合の範囲の下限を下回る場合、又はその上限を超える場合には、本発明の結着剤が奏する所期の作用効果が著しく低下するか、発揮できなくなる場合があるので好ましくない。
本発明の結着剤の更に好ましい実施態様としては、プルランを当該結着剤の固形分当たり10質量%以上50質量%以下、より好適には10質量%以上30質量%以下、更に好適には15質量%以上30質量%未満、より好適には20質量%以上30質量%未満含有し、かつ、プルランと、特定の分岐α−グルカン混合物と、オリゴ糖とを、無水物換算での合計で、当該結着剤に対し、通常、70質量%以上、好適には80質量%以上、好適には90乃至100質量%、より好適には95乃至100質量%の量、含むものを例示できる。なお、プルランと、特定の分岐α−グルカン混合物と、オリゴ糖の合計量が、70質量%を下回る場合には、本発明の結着剤が奏する所期の作用効果が著しく低下するか発揮できなくなるので望ましくない。
また、本発明の結着剤のより更に好ましい実施態様としては、当該結着剤の形態が水溶液などの液状であって、プルランを、液重量当たり、通常、2.5質量%以上、好適には3乃至15質量%、より好適には3乃至10質量%、更に好適には3乃至8質量%含有し、より更に好適には4乃至7質量%含有し、かつ、プルランと、特定の分岐α−グルカン混合物と、オリゴ糖とを合計で、液重量当たり、通常、10乃至60質量%、より好適には10乃至50質量%、更に好適には10乃至40質量%、より更に好適には10乃至30質量%含有する水溶液を例示できる。なお、液重量当たりのプルランと、特定の分岐α−グルカン混合物と、オリゴ糖との合計量が10質量%を下回る場合には、本発明の結着剤が奏する所期の作用効果が著しく低下するか、発揮できなくなる場合があるので好ましくない。また、液重量当たりのプルランと、特定の分岐α−グルカン混合物と、オリゴ糖との合計量が60質量%を超える場合には、水溶液の固形分濃度が高くなり粘度が増加し、当該水溶液を結着剤と用いる場合のハンドリングが著しく低下するので推奨されない。
本発明の結着剤は、通常、固形分濃度15質量%の水溶液(7℃)にしたときの粘度が、約20cP以上、好適には約20乃至約70cP、より好適には約40乃至約70cP、更に好適には約50乃至約70cPの範囲にある。なお、前記粘度は、後述する実験1(2)に示す「粘度測定方法」により求めることができる。
以上に述べた本発明の結着剤は、食品材料同士の結着性に優れ、小片状及び/又は粒状の食品材料同士を容易に結着でき、しかも、保形性・保存安定性、取り扱い性、耐衝撃性に優れ、しかも光沢に優れ、商品寿命も長い結着成形食品を工業的規模で歩留まり良く、大量、安価に製造することができる優れた利点を有する。
<結着成形食品>
次に、本発明の結着成形食品について述べる。本発明の結着成形食品は、前記結着剤を用いて、小片状及び/又は粒状の食品材料同士が結着成形されてなる結着成形食品であって、前記食品材料同士が前記結着剤若しくはその乾燥物を介して結着成形されている結着成形食品である。本発明の結着成形食品に含まれる結着剤の量は、無水物換算で、当該食品材料当たり、通常、0.1乃至30質量%、より好適には1乃20質量%、更に好適には2乃至10質量%である。なお、結着成形食品に含まれる結着剤の量が、無水物換算で、当該食品材料当たり、0.1質量%を下回る場合には、結着成形された結着成形食品の保形性・保存安定性、取り扱い性、耐衝撃性、光沢、商品寿命が著しく低下する場合があるので好ましくない。また、結着成形食品に含まれる結着剤の量が、無水物換算で、当該食品材料当たり、約30質量%を超えると、配合量に見合った作用効果が期待できくなる上、コストも高くなるので好ましくない。
本発明の結着成形食品を構成する食品材料とは、主として、ヒトが食することのできる食品材料全般、殊に、乾燥食品材料(フリーズドライ食品、乾燥ベビーフードなどの材料を含む)全般を意味する。しかし、本発明の結着成形食品は、ヒト以外の動物に適用可能な形態とすることもできる。そのような場合には、前記食品材料に代えて、公知の飼料材料(ペットフードを含む)や餌料材料を用いることができる。以下、便宜上、本発明の結着成形食品を構成する食品材料として、ヒトが食することのできる食品材料を中心に説明する。
本発明の結着成形食品を構成するヒトが食することのできる食品材料の具体例としては、膨化穀類[膨化米、煎餅、ゴーフル、炭酸煎餅、ポン菓子、コーンフレーク、ポップコーン、おこし(栗おこし、雷おこし、岩おこしなど)、おいり、おかき、かき餅(柿の種など)、雛あられなど]、チョコレート(クランチチョコレートを含む)、アルファ化米、乾燥麺類(ウドン、ソバ、中華麺、パスタなどの乾燥品、干しひらめん、ひらめん、きしめんなど)、即席乾燥麺類(即席ラーメン、カップ麺など)、及びそれらの破断物又は破砕物;スナック菓子(ビスケット、乾パン、クラッカー、ポテトチップス、プレッツェルなど)、グラノーラ、乾燥カステラ、乾燥スポンジケーキ、及びそれらの破断物又は破砕物;乾燥種実類[アーモンド、カシューナッツ、ヘーゼルナッツ、ブラジルナッツ、ピーカンナッツ、ギンナン、栗、クルミ、ココナッツ、ピスタチオ、ピーナッツ、ペカン、トウモロコシ、米、大麦、小麦、雑穀(粟、稗、蕎麦の実など)、ゴマ、ヒシの実、ケシの実、ハスの実、松の実、椎の実、麻の実、カボチャの実、ヒマワリの種などの乾燥品]、及びそれらの破断物又は破砕物;ブドウ、ウメ、モモ(ネクタリンなどを含む)、リンゴ、ナシ、キウイ、柿、イチジク、マンゴー、バナナ、ハパイヤ、パイナップル、プラム(ソルダムなどを含む)、ブルーベリー、グミ(西洋グミを含む)、イチゴ、ゴーヤ、サクランボ、アケビなど)、柑橘類(温州ミカン、伊予柑、文旦、八朔、小夏、オレンジ、グレープフルーツ、デコポン、ポンカン、キンカン、ネーブル、レモン、ユズ、スダチ、ライムなど)などの乾燥果肉(ドライフルーツ)、及びそれらの破断物又は破砕物;乾燥野菜類(ジャガイモ、カボチャ、さつま芋、山芋、ニンジン、ダイコン、レンコン、ゴボウ、蕪、キャベツ、レタス、白菜、チンゲン菜、ルッコラ、トマト、ピーマン、トウモロコシ、オカヒジキ、フキ、アスパラ、セリ、パセリ、ナズナ、ゴギョウ、ハコベラ、ホトケノザ、ドクダミ、茄子、葱、玉葱、大豆、小豆、空豆、エンドウ、ソバ、キュウリ、タケノコ、蕨、イタドリ、ツクシ、ヨモギなどの乾燥品)、及びそれらの破断物又は破砕物;更には、乾燥全卵(全卵粉)、乾燥キノコ類(シイタケ、キクラゲ、シメジ、エノキ、ぶなしめじ、エリンギ、マイタケなどの乾燥品)、乾燥海藻類(アオサ、アオノリ、アカモク、アサクサノリ、コンブ、テングサ、ヒジキ、モズク、ワカメなどの乾燥品)、乾燥魚介類(剣先スルメ、アジの開き、サバの開き、タイの開き、乾燥エビ、いりこ、乾ちりめん、乾燥アサリ、乾燥ハマグリ、乾燥シジミ、干しタコ、カラスミなど)、乾燥肉類(乾燥ビーフジャーキーなど)、及びそれらの破断物又は破砕物などを例示できる。
前記食品材料は、そのまま用いることもできるが、その水分含量が10質量%を超える場合には、適宜の乾燥方法により、前記食品材料の水分含量を、通常、10質量%未満、好適には、5質量%未満、より好適には3質量%未満となるように調整して用いるのが良い。
また、本発明の結着成形食品には、有効成分として用いられるプルラン、分岐α−グルカン混合物、及びオリゴ糖以外の他の成分として、多糖類(カラギーナン、ペクチン、アラビアガム、キサンタンガム、ジェランガム、寒天、トラガントガム、タマリンドシードガム、グァーガム、ローカストビーンガム、澱粉、キトサンなど)、高甘味度甘味料(サッカリン、アスパルテーム、アセスルファムK、スクラロース、ネオテーム、アドバンテーム、スクラロース、サッカリン、ステビオサイド、ステビア抽出物など)、蜂蜜、メープルシュガー、メープルシロップ、メープルシュガーパウダー、ココナッツパームシュガー、保存剤、着色剤、安定剤、呈味剤、油脂などから選ばれる1種又は2種以上の適量を適宜組み合わせて配合することができる。前記他の成分の配合量としては、その種類及び目的とする結着成形食品の種類、形状、大きさなどを勘案しつつ、通常、各成分につき、無水物換算で、結着成形食品当たりの質量に対し、0.0001質量%以上、好適には0.001乃至30質量%、より好適には0.01乃至20質量%、更に好適には0.01乃至10質量%の範囲から選ばれる量が用いられる。また、前記他の成分は、本発明の結着成形食品が完成するまでの1又は複数の工程でその必要量を一度に添加するか、適宜の量に小分けして複数回に分けてその全量を添加することができる。なお、前記各成分のいずれも、本発明の結着成形食品の製造が完了するまでの1又は複数の工程で、例えば、混合、混和、混捏、浸漬、噴霧、散布、塗布、注入などの公知の1種又は2種以上の方法を適宜組み合わせて添加/配合することができる。
前記保存剤としては、例えば、グリシン、アラニン、ポリリジンなどのアミノ酸類;食塩、酢酸塩、クエン酸塩、炭酸カルシウム、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、酸化カルシウム、水酸化カルシウム、リン酸二ナトリウム、リン酸三カリウム、ソルビン酸カリウムなどの塩類;ソルビン酸、安息香酸、パラオキシ安息香酸エステル類、プロピオン酸などの酸類;及びニンニク汁、梅肉エキス、笹エキス、プロポリスエキス、醗酵乳、卵白リゾチームなどの天然保存剤などを例示できる。
前記着色剤としては、例えば、赤麹、カニ殻粉末、アスタキサンチン、野菜色素、紅麹色素、濃縮ファフィア色素油、クチナシエロー、抹茶色、コチニール色素、クチナシ黄色素、クチナシ青色素、フラボノイド色素、カラメル色素、β−カロテン、カロテノイド系色素、木炭などの天然色素;及び赤色2号、赤色3号、赤色104号、赤色105号、赤色106号、黄色4号、黄色5号、青色1号、二酸化チタンなどの合成着色料を例示できる。
前記安定剤としては、例えば、環状四糖、α−シクロデキストリン、β−シクロデキストリン、γ−シクロデキストリンなどを例示できる。
前記呈味剤としては、例えば、グルコース、フラクトース、ガラクトースなどの単糖類;高甘味度甘味料(サッカリン、アスパルテーム、アセスルファムK、スクラロース、ネオテーム、アドバンテーム、スクラロース、サッカリン、ステビオサイド、ステビア抽出物など);ペパーミント、スペアミント、バジルミント、パイナップルミント、レモンバーム、ローズマリー、ラベンダー、セージ、オリーブなどのハーブ類を含む可食性植物又はそれらのエキス類;果実類;及び他の甘味、酸味、苦味、塩味、旨味、辛味、又は渋味を有する各種食品素材などを例示できる。本発明を実施するに際しては、前記呈味剤の1種又は2種以上の適量を適宜組み合わせて用いることができる。
前記油脂としては、例えば、サラダ油、カカオ脂、ナタネ油、大豆油、ヒマワリ種子油、落花生油、米ぬか油、コーン油、サフラワー油、オリーブ油、グレープシード油、ゴマ油、月見草油、パーム油、シア脂、サル脂、カカオ脂、ヤシ油、パーム核油、マーガリン等の植物性油脂;乳脂、牛脂、ラード、魚油、鯨油、バター等の動物性油脂;前記植物性及び前記動物性油脂の1種又は2種以上の混合油;及びそれらの油脂を硬化させ、分別蒸留し、エステル交換等を施した加工油脂などを例示できる。前記食品材料を被覆する場合の動植物性油脂の量、及び糖質(無水物換算)の量はそれぞれ、前記食品材料に対し、通常、5質量%以上、好適には、10乃至30質量%、より好適には10乃至20質量%、更に好適には約10乃至約15質量%である。
本発明の結着成形食品の形状・形態、大きさには、特段の制限はないけれども、通常、ヒトが経口摂取し易い大きさの球状、半球状、立方体状、直方体状、多角形体状、楕円体状、ひょうたん形状、柱状、板状、棒状(シリアルバー、グラノーラバーなどのバー状)、円錐状、三角錐状、四角錐/ピラミッド状のものを例示できる。前記ヒトが経口摂取し易い大きさとは、通常、長径が5cm以下、好適には0.5乃至4cm、より好適には1乃至3cmのサイズを意味する。
斯かる本発明の結着成形食品は、保形性・保存安定性、耐衝撃性、光沢に優れた結着成形食品であって、搬送中、保管中、及び店頭での配架中における変形、破断、崩壊、或いは品質低下が実質的にないか極めて少なく、取り扱い性に優れ、商品寿命も長いという優れた特徴を有している。
<結着成形食品の製造方法>
次に、本発明の結着成形食品の製造方法について説明する。当該製造方法は、小片状及び/又は粒状の食品材料の表面に、本発明の結着剤を付着させる工程を含む、結着成形食品の製造方法である。
上記小片状及び/又は粒状の食品材料としては、既述した形状・形態、大きさの食品材料が用いられる。斯かる食品材料は、そのまま用いることもできるが、必要に応じて、例えば、常圧又は減圧下、室温またはそれ以上の温度の温風ないしは熱風を前記食品材料に送風することにより、その水分含量を、通常、10質量%以下に調整したものが好適に用いられる。なお、前記食品材料の乾燥は、1工程に限定されることなく、2工程以上に分けて実施することも随意である。また、前記水分調整後の食品材料は、そのまま用いることもできるが、当該食品材料の表面が多孔質性又は吸湿性である場合には、当該食品材料の表面に動植物性油脂及び/又は糖質を無水物換算で、当該食品材料当たり、通常、5質量%以上、好適には、10乃至30質量%、より好適には10乃至20質量%、更に好適には10乃至15質量%となるように、付着、散布、噴霧、又は塗布して食品材料の表面を被覆するのがよい。被覆に用いる動植物性油脂及び糖質(無水物換算)の量はそれぞれ、前記食品材料に対し、通常、5質量%以上、好適には10乃至30質量%、より好適には10乃至20質量%、更に好適には10乃至15質量%である。被覆に際しては、表面に動植物性油脂及び/又は糖質を付着、散布、噴霧、又は塗布するだけでも良いが、好適には、表面に動植物性油脂及び/又は糖質を付着、散布、噴霧、又は塗布した食品材料を、通常、80℃以上、好適には、90乃至150℃、より好適には、100乃至130℃で、5乃至30分間、好適には、5乃至20分間、より好適には10乃至20分間加熱し、その後、室温まで放冷して、当該小片状及び/又は粒状の食品材料の表面に動植物性油脂及び/又は糖質の比較的均質な被覆を形成させるのが良く、小片状及び/又は粒状の食品材料の表面にこのような被覆が施されている場合には、当該食品材料同士を結着剤若しくはその乾燥物を介して結着させる際、前記結着剤が当該食品材料の組織内部に実質的に浸透することなく、その表面に効率よく滞留し、当該食品材料に付着させることができるという利点が得られる。これにより、保形性・保存安定性、耐衝撃性、光沢に優れた結着成形食品を得ることができる。
本発明の結着成形食品の製造方法における小片状及び/又は粒状の食品材料の表面に結着剤を付着させる工程とは、室温又はそれを上回る温度条件下で、当該結着剤を当該食品材料と接触させ、その表面の一部又は全体に当該結着剤を付着させる工程を意味し、通常、結着成形食品を製造する際に用いる、混合、混和、混捏、散布、噴霧、塗布、又は浸漬する手段を単独又はそれらの複数を適宜組み合わせて用いることができる。詳細には、本発明で用いる結着剤が粉末状の形態にある場合には、前記手段により、当該結着剤を食品材料の表面に付着させる。しかし、工業的規模で実施する場合には、通常、水溶液の形態にある結着剤を食品材料と混合、混和、又は混捏するか、当該結着剤を当該食品材料の表面に散布、噴霧、又は塗布するか、当該結着剤に当該食品材料を浸漬して付着させるのが好ましい。付着させる当該結着剤の量は、食品材料当たり、無水物換算で、通常、0.1乃至30質量%が好ましく、より好適には1乃至20質量%、更に好適には2乃至10質量%の範囲が好ましい。付着させる当該結着剤の量が0.1質量%を下回る場合には、当該結着剤としての所期の作用効果が著しく低下するか、発揮できなくなる場合があるので好ましくない。また、付着させる当該結着剤の量が30質量%を超える場合には、配合量に見合った作用効果が期待できなくなる上、コスト面でも好ましくない。
また、本発明の結着成形食品の製造方法には、表面に前記結着剤が付着した小片状及び/又は粒状の前記食品材料を成形する工程を含めることができる。すなわち、本発明の結着成形食品の製造方法は、小片状及び/又は粒状の食品材料の表面に結着剤を付着させる工程において、食品材料を、1個以上の球状、半球状、立方体状、直方体状、星形状、ひょうたん形状、楕円体状、柱状、板状、棒状(シリアルバー、グラノーラバーなどのバー状)、円錐状、三角錐状、四角錐/ピラミッド状などの各種形状の窪みを有する、適宜の形状、サイズ、材質[金属、シリコン、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂、汎用プラスチック(ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリ酢酸ビニル、ポリウレタン、ポリテトラフルオロエチレン、ABS樹脂、AS樹脂、アクリル樹脂など)、エンジニアリング・プラスチック(エンプラ)、繊維強化プラスチック(ガラス繊維強化プラスチック、炭素繊維強化プラスチックなど)、木材、ガラス、陶器など]の型に載置又は充填し、通常、室温またはそれ以上の温度条件下、内容物を減圧、常圧、加圧、押圧条件下で、食品材料同士を結着剤若しくはその乾燥物を介して結着、成形する工程を含むことができる。なお、本発明の結着成形食品を工業的規模で製造する場合には、例えば、特開平5−328903号公報、特開平6−303907号公報、及び特開平6−303907号公報などに開示された油脂性菓子食品の製造装置を適宜用いることができる。
また、本発明の結着成形食品の製造方法において、前記食品材料同士の結着性を更に高める目的で、前記食品材料を結着成形する工程の後に、結着成形物を更に乾燥及び/又は加熱する工程を設けることも随意である。前記乾燥及び/又は加熱する工程としては、通常、斯界において用いられている公知の方法を適用できる。乾燥工程における温度は、通常、室温またはそれ以上の温度であって、好適には、50℃以上、より好適には60乃至150℃、更に好適には70乃至120℃、より更に好適には70乃至110℃、更に好適には80乃至110℃の温度が採用される。また、加熱工程における温度は、通常、70℃以上、好適には80℃以上、より好適には90℃以上、更に好適には100乃至200℃、より更に好適には100乃至150℃、更に好適には100乃至140℃、更に好適には100乃至130℃の温度が好ましい。前記食品材料を乾燥又は加熱する時間は、通常、60分間以内、好適には5乃至40分間、より好適には5乃至30分間、更に好適には5乃至20分間の範囲から選ばれる時間が、作業性、エネルギー効率の観点から望ましい。また、前記乾燥及び/又は加熱する工程は、前記温度の熱風を前記食品材料に送風することにより実施することも随意である。なお、前記乾燥工程は減圧条件下で実施することもできる。また、前記乾燥工程は、1工程に限定されることなく、2工程以上に分けて実施し、最終製品としての結着成形物の水分含量が、通常、10質量%以下、好適には3乃至7質量%の範囲となるように調整する。なお、結着成形物の水分含量が3質量%未満の場合、結着成形物が固くなり過ぎて好ましくないとともに、逆に、水分含量が10質量%超の場合には、結着成形物が柔らかくなり過ぎたり、保存安定性に劣るなどの理由により推奨されない。
本発明の製造方法によれば、食品材料の種類、形状、大きさに左右されることなく、食品材料同士が全体として均一に結着成形でき、外観仕上がりが良好で、保形性・保存安定性、耐衝撃性、光沢に優れた高品質の結着成形食品を良好な歩留まり、作業効率で、容易かつ安定して製造することができる。
以上に述べた本発明の結着剤、結着成形食品、及び結着成形食品の製造方法における特徴を纏めると下記のとおりである。
(1)本発明の結着成形食品は、食品材料同士が全体として均一に結着成形され、適度の光沢が付与された、外観仕上がりが良好で、保形性・保存安定性、耐衝撃性に優れた結着成形食品であって、搬送中、保管中、及び店頭での配架中における変形、破断、崩壊、品質低下が実質的にないか極めて少なく、耐衝撃性及び取り扱い性に優れ、商品寿命が相対的に長い。
(2)本発明の製造方法は、前記(1)に示す優れた特性を有する結着成形食品を歩留まり良く、効率的に容易かつ安定して製造できるとともに、従来のプルラン含有結着剤と比べ、結着成形食品表面の光沢が優れているとともに、比較的高価なプルランの配合量が少ないので、より低コストで製造できる。
(3)本発明の結着剤は、前記(1)及び(2)に示す結着成形食品とその製造方法の提供を可能にする。
なお、本発明に係る結着剤の用途として、結着成形食品の製造に用いる場合を中心に説明したが、当該結着剤は斯かる用途のみに決して限定されるものではなく、例えば、結着成形食品以外の他の食品、化粧品、化学品、医薬品、医薬部外品、飼料、餌料、日常雑貨などの原料、材料、原材料などを結着、接合、被覆、保護したり、光沢を付与するなどの用途を例示することができる。
以下、実験に基づいて、本発明をより詳細に説明する。
<実験1:結着剤におけるプルラン、分岐α−グルカン混合物、及びオリゴ糖の配合量と、得られる結着剤の物性との関係>
(1)概要
本出願人は、共同出願人の一人として、先願(特願2016−166348)において、プルランと特定の分岐α−グルカン混合物とを、無水物換算での質量比で、1.5乃至4:1の範囲で含む結着剤を開示した。先願においては、所望の特性を有する結着剤を得るためには、プルランの配合量を分岐α−グルカン混合物のそれの1.5倍量(質量比)未満に低減させることは困難であったことに鑑み、結着剤におけるプルランの配合量が分岐α−グルカン混合物のそれの1.5倍量(質量比)未満であって、かつ、所望の優れた特性を有する結着剤を得ることを目指し、プルランと分岐α−グルカン混合物の2成分に加え、更なる第3の成分として、オリゴ糖に着目し、それら3成分の配合量と、得られる結着剤の物性との関係について詳細に調べた。
(2)実験方法
A.結着剤の調製
プルラン(商品名『食品添加物プルラン』、プルラン含量約94質量%、水分含量約2質量%、株式会社林原製)と、本発明で用る分岐α−グルカン混合物の代表例として、実施例1に示す分岐α−グルカン混合物(固形分含量約98質量%、水分含量約2質量%)と、オリゴ糖として、商品名『ハローデックス』(固形分濃度72質量%以上、固形分当たりのマルトシルα,α−トレハロース含量が50質量%以上、全オリゴ糖含量(2糖類乃至10糖類の合計)が95質量%以上である水飴、株式会社林原製)とを下記表1に示す配合組成となるように、精製水、プルラン、及び分岐α−グルカン混合物を混合、又は、精製水、プルラン、分岐α−グルカン混合物、及びオリゴ糖を混合し、室温で溶解し、水溶液の形態にある結着剤である、被験試料1乃至6をそれぞれ調製した。なお、各被験試料における、プルラン、分岐α−グルカン混合物、及びオリゴ糖の質量比、及び各被験試料中のプルラン、分岐α−グルカン混合物、又はオリゴ糖の固形分量を表1に併記した。また、被験試料水溶液の粘度を下記測定方法によりそれぞれ求め、表1に併記した。
<粘度測定方法>
被験試料の温度(品温)を7℃に調整し、これを粘度計『TVB−10M』(付属するロータの番号は「M2」、東機産業株式会社製)に供し、ロータ回転数30rpmの条件で測定する。
また、下記表1に示すとおり、対照として、プルランと分岐α−グルカン混合物の無水分換算での質量比が、1:0.5である水溶液(以下、「対照液」と言う。)を調製した。
Figure 0006949954
なお、被験試料1は、対照と比べ、プルランの配合量を結着剤の固形分当たり、約70質量%から約50質量%まで減じ、かつ、分岐α−グルカン混合物の配合量を若干増量した試料である。被験試料2乃至5は、更に、プルラン含量を約30質量%、約20質量%、約15質量%、及び約10質量%まで段階的に減じた試料であって、これら被験試料2乃至5は、分岐α−グルカン混合物の配合量を被験試料1と同じくするも、被験試料1には配合されていないオリゴ糖をそれぞれ同量、配合した試料である。また、被験試料6は、プルラン及び分岐α−グルカン混合物の配合量がいずれも、被験試料5とほぼ同量であるが、オリゴ糖を被験試料5の場合の2倍量含む試料である。
B.各被験試料の結着剤としての評価
各被験試料を評価する目的で、それらを用いて結着成形食品を調製する際の各被験試料の取り扱い性と、得られた結着成形食品の物性について調べた。
<結着成形食品の調製>
20℃の温度条件下、食品材料として、市販の米パフ(グルテンフリーの米パフ、株式会社前田商店製)を破砕機にて粉砕し、破片の一辺が約3乃至約4mmの小片状ゴーフルを得、その50gをボウルにとり、撹拌下、サラダ油7gを添加し、130℃で10分間加熱し、室温まで放冷した後、結着剤として前記被験試料1乃至6のいずれかを10g添加し、混合し、各被験試料を小片状のゴーフル表面にほぼ均一に付着させた。なお、サラダ油は、前記小片状ゴーフルの表面が多孔性、吸湿性であることに鑑み、予め、その表面を油脂で被覆しておくことにより、小片状ゴーフル表面への前記結着剤の付着効率を高めるために用いた。次いで、直径約3cmの半球状の窪みを複数個有するプラスチック製モールド(以下、「モールド」と言う。)の各窪みの上に、各窪みの体積をやや上回る程度の量の小片状ゴーフルを載置し、ステンレス製のヘラでモールド表面を平らに均し、各窪みに前記小片状ゴーフルを充填するとともに、ゴーフル同士を結着成形した。その後、小片状ゴーフルを収容したモールドを反転させ、振動を加え、モールドの開口部から半球状のゴーフル塊を抜き出した。得られたゴーフル塊をオーブンに入れ、100℃で20分間加熱し、結着成形食品を得た。なお、対照として、被験試料1乃至6に代えて、前記対照液を用いた以外は前記同様にして、結着成形食品を調製した。
<各被験試料を用いて結着成形食品を調製するときの作業性及び得られた結着成形食品の評価>
被験試料1乃至6を用いて結着成形食品を調製するときの作業性、及び得られた結着成形食品の物性につき、下記評価項目(ア)保形性、(イ)固形性について、熟練職人が評価した。
<評価項目>
(ア)焼成前の結着成形食品の保形性:モールド成型された食品材料(焼成前の結着成形食品)をモールドから抜き出すとき(デモールディング作業時)の保形性;及び
(イ)焼成後の結着成形食品の固形性:焼成後の結着成形食品を指先で軽く摘まんだとき、変形しない程度の十分な強度。
すなわち、前記評価項目それぞれにつき、前記熟練職人が、各被験試料毎に下記に示す5段階で評価するとともに、各被験試料(対照を含む)を用いて結着成形食品を調製するときの作業性について評価し、それらの評価結果を前記熟練職人が自身の知識と経験に照らし、各被験試料毎に、結着剤としての優劣を、「優」、「良」、「可」、及び「不可」の4段階で判定した。結果は、下記表2に示す。
<5段階評価>
A:極めて良好
B:特に良好
C:良好
D:やや良好
E:不良
Figure 0006949954
前記表2に示すとおり、対照液(対照)を用いて得られた焼成前後の結着成形食品は、極めて良好な保形性又は固形性を有し、評価項目のいずれも「A」と評価され、総合判定は「優」と判定された。被験試料1は、対照と比べ、プルランの配合量を結着剤の固形分当たり、約70質量%から約50質量%まで減じ、かつ、分岐α−グルカン混合物の配合量を若干増量した試料であり、これを用いて調製した焼成前後の結着成形食品は、保形性と固形性がそれぞれ、「C」及び「E」と評価され、しかも、保形性と固形性が不足していたため、総合判定は「可」と判定された。一方、被験試料2乃至5の内、被験試料2、3はともに、保形性と固形性がそれぞれ、「A」及び「B」と評価され、対照と比べ、固形性の点で対照には及ばなかったものの、備考の欄に示すとおり、被験試料2、3を用いて得られた結着成形食品表面の光沢は対照と比べ、明らかに優れていたことから、総合判定は「優」と判定された。なお、前記「光沢」とは、結着成形食品表面に被験試料による透明な被覆層が形成され、その被覆層に光が反射して輝いて見え、これにより、結着成形食品に高級な質感が付与されることを意味する。また、被験試料4は、焼成後の結着成形食品の固形性がやや不足していたものの、実用上、支障のないものであったので、総合判定は「良」と判定された。被験試料5は、焼成前後の結着成形食品が全体的に脆く、結着成形食品の調製に支障をきたしたことから、結着剤として不適であるとして、総合判定は「不可」と判断された。更に、被験試料6は、保形性、固形性の判定結果は、被験試料4と同じであったが、焼成後の結着成形食品は、ヌガー様の好ましくない食感を呈したことから、結着剤として不適であるとして、総合判定は「不可」と判定された。
本実験結果から、対照(優れた特性を有する結着剤)におけるプルラン含量である約70質量%を約30乃至約15質量%まで減じても、つまり、対照におけるプルラン含量を約1/3乃至約2/3(前記表1の対照と被験試料2乃至4におけるプルラン含量との比に基づく)まで減じても、プルランと、特定の分岐α−グルカン混合物と、オリゴ糖とを、無水物換算での質量比で、1:約1乃至約3:約1.5乃至約3の範囲で配合して得られる結着剤は、対照の結着剤と同様の優れた特性を有することが判明した。殊に、プルランと、特定の分岐α−グルカン混合物と、オリゴ糖とを、無水物換算での質量比で、1:約1乃至約2:約1.5乃至約2.5の範囲で含んでなる被験試料2、3の結着剤はいずれも、総合判定が「優」と判定された、極めて優れた結着剤であった。また、本実験結果から、プルランと、特定の分岐α−グルカン混合物と、オリゴ糖とを含む結着剤において、前記実験1(2)に示す「粘度測定方法」で測定したときの粘度が、約20cP以上、好適には約30cP以上である結着剤は、より好ましい結着剤であることも判明した。但し、被験試料1乃至6の粘度と、総合判定の結果によれば、結着剤としての有用性は、結着剤の粘度だけでは決まらないことも判明した。
以上述べた実験結果から、有効成分として、プルランと、下記(A)乃至(C)の特徴を有する分岐α−グルカン混合物と、オリゴ糖とを含んでなる結着剤であって、当該結着剤の固形分当たりのプルラン含量が10乃至50質量%である結着剤は、優れた特性を有する結着剤であると結論される。
(A)グルコースを構成糖とし、
(B)α−1,4結合を介して連結したグルコース重合度3以上の直鎖状グルカンの一端に位置する非還元末端グルコース残基にα−1,4結合以外の結合を介して連結したグルコース重合度1以上の分岐構造を有し、
(C)イソマルトデキストラナーゼ消化により、イソマルトースを消化物の固形分当たり5質量%以上生成する。
以下、実施例を用いて本発明をより詳細に説明するが、本発明はそれら実施例により何ら限定されるものではない。
<結着剤と結着成形食品>
精製水100質量部に対し、乾燥固形物(固形分)換算で、プルラン(商品名『食品添加物プルラン』、プルラン含量約94質量%、水分含量約2質量%、株式会社林原製)10質量部と、国際公開第WO2008/136331号パンフレットの実施例5に開示された方法に準じて得た、下記(ア)乃至(セ)の特性を有する分岐α−グルカン混合物15質量部と、オリゴ糖として、商品名『ハローデックス』(固形分濃度72質量%以上、固形分当たりのマルトシルα,α−トレハロース含量が50質量%以上、全オリゴ糖含量(2糖類乃至10糖類の合計)が95質量%以上である水飴、株式会社林原製)30質量部とを添加し、溶解し、水溶液の形態にある本発明の結着剤を得た。当該結着剤におけるプルラン、分岐α−グルカン混合物、及びオリゴ糖の無水物換算での質量比は、1:約1.5:約2であった。また、当該結着剤を固形分濃度約15質量%の水溶液とし、実験1(2)に示す「粘度測定方法」により測定したときの粘度は、20cP超であった。
<分岐α−グルカン混合物の特性>
(ア)グルコースを構成糖とする。
(イ)α−1,4結合を介して連結したグルコース重合度3以上の直鎖状グルカンの一端に位置する非還元末端グルコース残基にα−1,4結合以外の結合を介して連結したグルコース重合度1以上の分岐構造を有する。
(ウ)イソマルトデキストラナーゼ消化により、イソマルトースを消化物の固形分当たり約40質量%生成する。
(エ)高速液体クロマトグラフ法(酵素−HPLC法)により求めた水溶性食物繊維含量が約80質量%である。
(オ)α−1,4結合したグルコース残基とα−1,6結合したグルコース残基の比が約1:2.6である。
(カ)α−1,4結合したグルコース残基とα−1,6結合したグルコース残基との合計が全グルコース残基の約69%を占める。
(キ)α−1,3結合したグルコース残基が全グルコース残基の2.5%である。
(ク)α−1,3,6結合したグルコース残基が全グルコース残基の6.3である。
(ケ)ゲル濾過高速液体クロマトグラムに基づく分子量分布分析による重量平均分子量(Mw)が約4,700ダルトンであり、かつ
(コ)重量平均分子量(Mw)を数平均分子量(Mn)で除した値(Mw/Mn)が2.1である。
(サ)固形分当たり、グルコース重合度(DP)9以上の分岐α−グルカン含量が約90質量%である。
(シ)DP1乃至8の単糖乃至オリゴ糖の合計含量が約10質量%である。
(ス)DEが約7である。
(セ)水分含量が約8%である。
次いで、25℃の室温下、食品材料として、市販のゴーフル(株式会社神戸風月堂製)を破砕機にて、破片の一辺が約1乃至約2mmとなるように粉砕した破片状のゴーフル1kgを容器にとり、同温度下で撹拌しながら、サラダ油150g及びグルコース150gを順次添加し、130℃で10分間加熱し、室温まで放冷し、次いで、前記本発明の結着剤200gを小片状ゴーフル表面にほぼ均一に散布し付着させ、直径約3cmの半球状の窪みを複数個有するプラスチック製モールドに充填し、ステンレス製のヘラでモールド表面を平らに均し、破片状のゴーフル同士を結着させ、得られた半球状ゴーフル塊をモールドから取り出し、オーブンに入れ、100℃で20分間加熱し、本発明の結着成形食品を得た。
本品は、室温で6ヶ月間以上保管した後も、製造直後の形状、風味をほぼそのまま保っており、歯触り、食感、保形性・保存安定性、耐衝撃性、光沢のいずれも優れた結着成形食品である。
<結着剤と結着成形食品>
精製水100質量部に対し、乾燥固形物換算で、プルラン(商品名『食品添加物プルラン』、プルラン含量約94質量%、水分含量約2質量%、株式会社林原製)10質量部と、国際公開第WO2008/136331号パンフレットの実施例3に開示された方法に準じて得た、下記(ア)乃至(セ)の特性を有する分岐α−グルカン混合物15質量部と、オリゴ糖として、商品名『テトラップ−H』(固形分約75質量%以上、グルコース含量5質量%以下、マルトテトラオース含量73質量%以上である水飴、株式会社林原製)30質量部を添加し、溶解し、水溶液の形態にある本発明の結着剤を得た。当該結着剤におけるプルラン、分岐α−グルカン混合物、及びオリゴ糖の無水物換算での質量比は、1:約2:約2.5であった。また、当該結着剤を固形分濃度約15質量%の水溶液とし、実験1(2)に示す「粘度測定方法」により測定したときの粘度は、20cP超であった。
<分岐α−グルカン混合物の特性>
(ア)グルコースを構成糖とする。
(イ)α−1,4結合を介して連結したグルコース重合度3以上の直鎖状グルカンの一端に位置する非還元末端グルコース残基にα−1,4結合以外の結合を介して連結したグルコース重合度1以上の分岐構造を有する。
(ウ)イソマルトデキストラナーゼ消化により、イソマルトースを消化物の固形分当たり約35質量%生成する。
(エ)高速液体クロマトグラフ法(酵素−HPLC法)により求めた水溶性食物繊維含量が約76質量%である。
(オ)α−1,4結合したグルコース残基とα−1,6結合したグルコース残基の比が約1:1.3である。
(カ)α−1,4結合したグルコース残基とα−1,6結合したグルコース残基との合計が全グルコース残基の約70%を占める。
(キ)α−1,3結合したグルコース残基が全グルコース残基の3.0%である。
(ク)α−1,3,6結合したグルコース残基が全グルコース残基の4.8である。
(ケ)ゲル濾過高速液体クロマトグラムに基づく分子量分布分析による重量平均分子量(Mw)が約6,200ダルトンであり、かつ
(コ)重量平均分子量(Mw)を数平均分子量(Mn)で除した値(Mw/Mn)が2.2である。
(サ)固形分当たり、グルコース重合度(DP)9以上の分岐α−グルカン含量が約91質量%である。
(シ)DP1乃至8の単糖乃至オリゴ糖の合計含量が約9質量%である。
(ス)DEが約7.5である。
(セ)水分含量が約8%である。
次いで、20℃の温度下、食品材料として、市販の小片状コーンフレークである『森永コーンフレーク3M 500g』(森永製菓株式会社製)を破砕機にて、破片の一辺が約3乃至約10mmの範囲となるように粉砕した。次いで、得られた小片状のコーンフレーク1kgを容器にとり、撹拌下、前記本発明の結着剤200gを小片状コーンフレークの表面にほぼ均一に付着させ、直径約2cmの半球状の窪みを複数個有するプラスチック製モールドに充填し、ステンレス製のヘラでモールド表面を平らに均し、コーンフレーク同士を結着させ、次いで結着させた半球状コーンフレーク塊をモールドから取り出し、市販のオーブンに入れ、100℃で20分間加熱し、本発明の結着成形食品を得た。
本品は、室温で6ヶ月間以上保管した後も、製造直後の形状、風味をほぼそのまま保っており、歯触り、食感、保形性・保存安定性、耐衝撃性、光沢のいずれも優れた結着成形食品である。
<結着剤とこれを用いて得られる結着成形食品>
精製水100質量部に対し、乾燥固形物換算で、プルラン(商品名『食品添加物プルラン』、プルラン含量約94質量%、水分含量約2質量%、株式会社林原製)10質量部と、国際公開第WO2008/136331号パンフレットの実施例4に開示された方法に準じて得た下記(ア)乃至(セ)の特性を有する分岐α−グルカン混合物16質量部と、オリゴ糖として、商品名『パノラップ』(固形分74質量%以上、パノース含量28質量%以上、イソマルトオリゴ糖含量50質量%以上である水飴、株式会社林原製)を30質量部添加し、溶解し、水溶液の形態にある本発明の結着剤を得た。当該結着剤におけるプルラン、分岐α−グルカン混合物、及びオリゴ糖の無水物換算での質量比は、1:約2:約2であった。また、当該結着剤を固形分濃度約15質量%の水溶液とし、実験1(2)に示す「粘度測定方法」により測定したときの粘度は、20cP超であった。
<分岐α−グルカン混合物の特性>
(ア)グルコースを構成糖とする。
(イ)α−1,4結合を介して連結したグルコース重合度3以上の直鎖状グルカンの一端に位置する非還元末端グルコース残基にα−1,4結合以外の結合を介して連結したグルコース重合度1以上の分岐構造を有する。
(ウ)イソマルトデキストラナーゼ消化により、イソマルトースを消化物の固形物当たり約45質量%生成する。
(エ)高速液体クロマトグラフ法(酵素−HPLC法)により求めた水溶性食物繊維含量が約85質量%である。
(オ)α−1,4結合したグルコース残基とα−1,6結合したグルコース残基の比が約1:2である。
(カ)α−1,4結合したグルコース残基とα−1,6結合したグルコース残基との合計が全グルコース残基の約80%を占める。
(キ)α−1,3結合したグルコース残基が全グルコース残基の1.4%である。
(ク)α−1,3,6結合したグルコース残基が全グルコース残基の1.7である。
(ケ)ゲル濾過高速液体クロマトグラムに基づく分子量分布分析による重量平均分子量(Mw)が約10,000ダルトンであり、かつ
(コ)重量平均分子量(Mw)を数平均分子量(Mn)で除した値(Mw/Mn)が2.9である。
(サ)固形分当たり、グルコース重合度(DP)9以上の分岐α−グルカン含量が約92質量%である。
(シ)DP1乃至8の単糖乃至オリゴ糖の合計含量が約8質量%である。
(ス)DEが約6である。
(セ)水分含量が約7%である。
次いで、15℃の温度下、食品材料として、市販のポン菓子である『こめポン』(亀田製菓株式会社製)500gを容器にとり、同温度下で撹拌しながら、サラダ油60g及びグルコース60gを順次添加し、130℃で10分間加熱し、放冷し、次いで、前記本発明の結着剤100gをポン菓子の表面にほぼ均一に付着させ、一辺が約3cmの立方体状の窪みを複数個有するプラスチック製モールドに充填し、ステンレス製のヘラでモールド表面を平らに均し、ポン菓子同士を結着させ、得られた立方体状ポン菓子塊をモールドから取り出し、オーブンに入れ、100℃で20分間加熱し、本発明の結着成形食品を得た。
本品は、室温で6ヶ月間以上保管した後も、製造直後の形状、風味をほぼそのまま保っており、歯触り、食感、保形性・保存安定性、耐衝撃性、光沢のいずれも優れた結着成形食品である。
<結着剤とこれを用いて得られる結着成形食品>
精製水100質量部に対し、乾燥固形物換算で、プルラン(商品名『食品添加物プルラン』、プルラン含量約94質量%、水分含量約2質量%、株式会社林原製)10質量部と、国際公開第WO2008/136331号パンフレットの実施例5に開示された方法に準じて得た、下記(ア)乃至(セ)の特性を有する分岐α−グルカン混合物15質量部と、オリゴ糖として、商品名『ハローデックス』(固形分濃度72質量%以上、固形分当たりのマルトシルα,α−トレハロース含量が50質量%以上、全オリゴ糖含量(2糖類乃至10糖類の合計)が95質量%以上である水飴、株式会社林原製)30質量部とを添加し、溶解し、水溶液の形態にある本発明の結着剤を得た。当該結着剤におけるプルラン、分岐α−グルカン混合物、及びオリゴ糖の無水物換算での質量比は、1:約1.5:約2であった。また、当該結着剤を固形分濃度約15質量%の水溶液とし、実験1(2)に示す「粘度測定方法」により測定したときの粘度は、20cP超であった。
<分岐α−グルカン混合物の特性>
(ア)グルコースを構成糖とする。
(イ)α−1,4結合を介して連結したグルコース重合度3以上の直鎖状グルカンの一端に位置する非還元末端グルコース残基にα−1,4結合以外の結合を介して連結したグルコース重合度1以上の分岐構造を有する。
(ウ)イソマルトデキストラナーゼ消化により、イソマルトースを消化物の固形分当たり約47質量%生成する。
(エ)高速液体クロマトグラフ法(酵素−HPLC法)により求めた水溶性食物繊維含量が約63質量%である。
(オ)α−1,4結合したグルコース残基とα−1,6結合したグルコース残基の比が約1:2.4である。
(カ)α−1,4結合したグルコース残基とα−1,6結合したグルコース残基との合計が全グルコース残基の約60%を占める。
(キ)α−1,3結合したグルコース残基が全グルコース残基の2.3%である。
(ク)α−1,3,6結合したグルコース残基が全グルコース残基の2.1である。
(ケ)ゲル濾過高速液体クロマトグラムに基づく分子量分布分析による重量平均分子量(Mw)が約1,000ダルトンであり、かつ
(コ)重量平均分子量(Mw)を数平均分子量(Mn)で除した値(Mw/Mn)が1.8である。
(サ)固形分当たり、グルコース重合度(DP)9以上の分岐α−グルカン含量が約90質量%である。
(シ)DP1乃至8の単糖乃至オリゴ糖の合計含量が約10質量%である。(ス)DEが約7である。
(セ)水分含量が約8%である。
次いで、25℃の室温下、食品材料として、市販のピーナッツ及びアーモンドの各1kgを粉砕機にて、粉砕物の一辺が約2乃至約5mmとなるように粉砕した。次いで、粉砕物の全量を容器に取り、同温度下で撹拌しながら、前記本発明の結着剤400gを粉砕物に噴霧し、その表面にほぼ均一に付着させた後、直径約2cmの半球状の窪みを複数個有するプラスチック製モールドに充填し、ステンレス製のヘラでモールド表面を平らに均し、小片状のピーナッツ・アーモンド同士を結着させ、得られた半球状ピーナッツ・アーモンド塊をモールドから取り出し、オーブンに入れ、100℃で30分間加熱し、本発明の結着成形食品を得た。
本品は、室温で6ヶ月間以上保管した後も、製造直後の形状、風味をほぼそのまま保っており、歯触り、食感、保形性・保存安定性、耐衝撃性、光沢に優れた結着成形食品である。
<結着剤とこれを用いて得られる結着成形食品>
精製水100質量部に対し、乾燥固形物換算で、プルラン(商品名『食品添加物プルラン』、プルラン含量約94質量%、水分含量約2質量%、株式会社林原製)10質量部と、国際公開第WO2008/136331号パンフレットの実施例3に開示された方法に準じて得た、下記(ア)乃至(セ)の特性を有する分岐α−グルカン混合物20質量部と、オリゴ糖として、商品名『テトラップ−H』(固形分約72質量%以上、グルコース含量5質量%以下、マルトテトラオース含量73質量%以上である水飴、株式会社林原製)30質量部を添加し、溶解し、水溶液の形態にある本発明の結着剤を得た。当該結着剤におけるプルラン、分岐α−グルカン混合物、及びオリゴ糖の無水物換算での質量比は、1:約2:約2.5であった。また、当該結着剤を固形分濃度約15質量%の水溶液とし、実験1(2)に示す「粘度測定方法」により測定したときの粘度は、20cP超であった。
<分岐α−グルカン混合物の特性>
(ア)グルコースを構成糖とする。
(イ)α−1,4結合を介して連結したグルコース重合度3以上の直鎖状グルカンの一端に位置する非還元末端グルコース残基にα−1,4結合以外の結合を介して連結したグルコース重合度1以上の分岐構造を有する。
(ウ)イソマルトデキストラナーゼ消化により、イソマルトースを消化物の固形分当たり約28.4質量%生成する。
(エ)高速液体クロマトグラフ法(酵素−HPLC法)により求めた水溶性食物繊維含量が約42.1質量%である。
(オ)α−1,4結合したグルコース残基とα−1,6結合したグルコース残基の比が約1:0.62である。
(カ)α−1,4結合したグルコース残基とα−1,6結合したグルコース残基との合計が全グルコース残基の約83.7%を占める。
(キ)α−1,3結合したグルコース残基が全グルコース残基の1.1%である。
(ク)α−1,3,6結合したグルコース残基が全グルコース残基の0.8である。
(ケ)ゲル濾過高速液体クロマトグラムに基づく分子量分布分析による重量平均分子量(Mw)が約59,000ダルトンであり、かつ
(コ)重量平均分子量(Mw)を数平均分子量(Mn)で除した値(Mw/Mn)が15.4である。
(サ)固形分当たり、グルコース重合度(DP)9以上の分岐α−グルカン含量が約92質量%である。
(シ)DP1乃至8の単糖乃至オリゴ糖の合計含量が約9質量%である。
(ス)DEが約6.5である。
(セ)水分含量が約7%である。
次いで、20℃の温度下、食品材料として、市販の『ドライフルーツミックス』(小島屋製)を破砕機にて、破砕物の一辺が約2乃至約5mmとなるように粉砕した。次いで、得られた小片状ドライフルーツ200gと市販のオーツ麦800gとを容器にとり、同温度で撹拌しながら、ナタネ油120g及びグルコース120gを順次添加し、130℃で10分間加熱し、室温まで放冷し、次いで、前記本発明の結着剤300gを前記混合物の表面にほぼ均一に付着させ、直径約1cm、長さ10cmの半円筒状の窪みを複数個有するプラスチック製モールドに充填し、ステンレス製のヘラでモールド表面を平らに均し、前記混合物同士を結着させ、結着させた半球状の混合物塊をモールドから取り出し、オーブンに入れ、100℃で20分間加熱し、本発明の結着成形食品を得た。
本品は、室温で6カ月間保管した後も、製造直後の形状、風味をほぼそのまま保っており、歯触り、食感、保形性・保存安定性、耐衝撃性、光沢のいずれも優れた結着成形食品である。
<結着剤とこれを用いて得られる結着成形食品>
精製水100質量部に対し、乾燥固形物換算で、プルラン(商品名『食品添加物プルラン』、プルラン含量約94質量%、水分含量約2質量%、株式会社林原製)10質量部と、国際公開第WO2008/136331号パンフレットの実施例3に開示された方法に準じて得た、下記(ア)乃至(セ)の特性を有する分岐α−グルカン混合物18質量部と、オリゴ糖として、商品名『パノラップ』(固形分74質量%以上、パノース含量28質量%以上、イソマルトオリゴ糖含量50質量%以上である水飴;株式会社林原製)を30質量部添加し、溶解し、水溶液の形態にある本発明の結着剤を得た。当該結着剤におけるプルラン、分岐α−グルカン混合物、及びオリゴ糖の無水物換算での質量比は、1:約2:約2であった。また、当該結着剤を固形分濃度約15質量%の水溶液とし、実験1(2)に示す「粘度測定方法」により測定したときの粘度は、20cP超であった。
<分岐α−グルカン混合物の特性>
(ア)グルコースを構成糖とする。
(イ)α−1,4結合を介して連結したグルコース重合度3以上の直鎖状グルカンの一端に位置する非還元末端グルコース残基にα−1,4結合以外の結合を介して連結したグルコース重合度1以上の分岐構造を有する。
(ウ)イソマルトデキストラナーゼ消化により、イソマルトースを消化物の固形分当たり約28.4質量%生成する。
(エ)高速液体クロマトグラフ法(酵素−HPLC法)により求めた水溶性食物繊維含量が約42.1質量%である。
(オ)α−1,4結合したグルコース残基とα−1,6結合したグルコース残基の比が約1:0.62である。
(カ)α−1,4結合したグルコース残基とα−1,6結合したグルコース残基との合計が全グルコース残基の約83.7%を占める。
(キ)α−1,3結合したグルコース残基が全グルコース残基の1.1%である。
(ク)α−1,3,6結合したグルコース残基が全グルコース残基の0.8である。
(ケ)ゲル濾過高速液体クロマトグラムに基づく分子量分布分析による重量平均分子量(Mw)が約59,000ダルトンであり、かつ
(コ)重量平均分子量(Mw)を数平均分子量(Mn)で除した値(Mw/Mn)が15.4である。
(サ)固形分当たり、グルコース重合度(DP)9以上の分岐α−グルカン含量が約92質量%である。
(シ)DP1乃至8の単糖乃至オリゴ糖の合計含量が約9質量%である。
(ス)DEが約6.5である。
(セ)水分含量が約7%である。
次いで、25℃の温度下、食品材料として、市販の乾燥ニンジン(商品名『ドライ(乾燥)千切り人参』、アスザックフーズ株式会社)を破砕機にて、破砕物の一辺が約3乃至約5mmとなるように粉砕した。次いで、得られた小片状ニンジン1kgを容器にとり、同温度で撹拌しながら、オリーブ油150g及びグルコース150gを順次添加し、130℃で10分間加熱し、室温まで放冷し、次いで、前記本発明の結着剤200gを破砕ニンジンの表面にほぼ均一に付着させ、直径約2cmの半球状の窪みを複数個有するプラスチック製モールドに充填し、ステンレス製のヘラでモールド表面を平らに均し、小片状ニンジン同士を結着させ、結着させた半球状のニンジン塊をモールドから取り出し、オーブンに入れ、100℃で20分間加熱し、本発明の結着成形食品を得た。
本品は、室温で1年以上保管した後も、製造直後の形状、風味をほぼそのまま保っており、歯触り、食感、保形性・保存安定性、耐衝撃性、光沢のいずれも優れた結着成形食品である。
<結着剤と結着成形食品>
精製水100質量部に対し、乾燥固形物換算で、プルラン(商品名『食品添加物プルラン』、プルラン含量約94質量%、水分含量約2質量%、株式会社林原製)14質量部と、国際公開第WO2008/136331号パンフレットの実施例5に開示された方法に準じて得た、下記(ア)乃至(セ)の特性を有する分岐α−グルカン混合物26質量部と、オリゴ糖として、α,α−トレハロース(商品名『トレハ』(α,α−トレハロース含量98質量%以上、水分含量1.5質量%以下、株式会社林原製)26質量部とを均一に攪拌混合し、本発明の液状の結着剤を得た。当該結着剤におけるプルラン、分岐α−グルカン混合物、及びオリゴ糖の無水物換算での質量比は、1:約2:約2であった。
<分岐α−グルカン混合物の特性>
(ア)グルコースを構成糖とする。
(イ)α−1,4結合を介して連結したグルコース重合度3以上の直鎖状グルカンの一端に位置する非還元末端グルコース残基にα−1,4結合以外の結合を介して連結したグルコース重合度1以上の分岐構造を有する。
(ウ)イソマルトデキストラナーゼ消化により、イソマルトースを消化物の固形分当たり約40質量%生成する。
(エ)高速液体クロマトグラフ法(酵素−HPLC法)により求めた水溶性食物繊維含量が約80質量%である。
(オ)α−1,4結合したグルコース残基とα−1,6結合したグルコース残基の比が約1:2.6である。
(カ)α−1,4結合したグルコース残基とα−1,6結合したグルコース残基との合計が全グルコース残基の約69%を占める。
(キ)α−1,3結合したグルコース残基が全グルコース残基の2.5%である。
(ク)α−1,3,6結合したグルコース残基が全グルコース残基の6.3である。
(ケ)ゲル濾過高速液体クロマトグラムに基づく分子量分布分析による重量平均分子量(Mw)が約4,700ダルトンであり、かつ
(コ)重量平均分子量(Mw)を数平均分子量(Mn)で除した値(Mw/Mn)が2.1である。
(サ)固形分当たり、グルコース重合度(DP)9以上の分岐α−グルカン含量が約90質量%である。
(シ)DP1乃至8の単糖乃至オリゴ糖の合計含量が約10質量%である。
(ス)DEが約7である。
(セ)水分含量が約8%である。
次いで、25℃の室温下、食品材料として、市販のゴーフル(株式会社神戸風月堂製)を破砕機にて、破片の一辺が約1乃至約2mmとなるように粉砕した破片状のゴーフル1kgを容器にとり、同温度下で撹拌しながら、サラダ油150g及びグルコース150gを順次添加し、130℃で10分間加熱し、室温まで放冷し、次いで、前記本発明の結着剤200gを小片状ゴーフル表面にほぼ均一に散布し付着させ、直径約3cmの半球状の窪みを複数個有するプラスチック製モールドに充填し、ステンレス製のヘラでモールド表面を平らに均し、破片状のゴーフル同士を結着させ、得られた半球状ゴーフル塊をモールドから取り出し、オーブンに入れ、100℃で20分間加熱し、本発明の結着成形食品を得た。
本品は、室温で6ヶ月間以上保管した後も、製造直後の形状、風味をほぼそのまま保っており、歯触り、食感、保形性・保存安定性、耐衝撃性、光沢のいずれも優れた結着成形食品である。
乾燥固形物換算で、プルラン(商品名『食品添加物プルラン』、プルラン含量約94質量%、水分含量約2質量%、株式会社林原製)10質量部、及び実施例1乃至5で用いた分岐α−グルカン混合物のいずれか18質量部と、オリゴ糖としてのα,α−トレハロース(商品名『トレハ』(α,α−トレハロース含量98質量%以上、水分含量1.5質量%以下、株式会社林原製)18質量部とを均一に攪拌混合し、これを密閉容器に1kgずつ充填し、5種類の本発明の固状の結着剤を得た。当該結着剤におけるプルラン、分岐α−グルカン混合物、及びオリゴ糖の無水物換算での質量比は、1:約2:約2であった。
本品は、用時、その適量を水に溶解し、適宜濃度の水溶液状の結着剤にして用いることができる。斯かる水溶液は、無色、低粘性、取扱い容易で、食品材料同士を結着させる結着力が強い優れた特性を有している。なお、本品又はその水溶液のいずれも、例えば、各種食品素材同士を結着させる「つなぎ」として用いることができるとともに、各種飲食物の保水性を高め、それらの形状を保ったり、食感を良くするために用いることができる。
<結着剤>
乾燥固形物換算で、プルラン(商品名『食品添加物プルラン』、プルラン含量約94質量%、水分含量約2質量%、株式会社林原製)10質量部、及び実施例1乃至5で用いた分岐α−グルカン混合物のいずれか15質量部と、オリゴ糖として、マルトース、マルトトリオース、マルトテトラオース、マルトペンタオース、マルトヘキサオース、マルトヘプタオース、及びマルトオクタオースをそれぞれ等量ずつ含む混合物を15質量部(固形物換算)とを攪拌溶解し、これをスチール製容器に1kgずつ充填し、加熱殺菌し、冷却し、本発明に係る5種類の結着剤を得た。当該結着剤におけるプルラン、分岐α−グルカン混合物、及びオリゴ糖の無水物換算での質量比は、1:約1.5:約1.5であった。当該結着剤を固形分濃度約15質量%の水溶液とし、実験1(2)に示す「粘度測定方法」により測定したときの粘度は、20cP超であった。
前記5種類の結着剤のいずれも、無色、低粘性、取扱い容易で、食品材料同士を結着させる結着力が強く、それら結着剤を用いて得られた結着成形食品は優れた光沢を有していた。なお、前記結着剤のいずれも、例えば、各種飲食物同士を結着させる「つなぎ」として用いることができるとともに、得られる結着成形食品に光沢を付与したり、各種飲食物の保水性を高めたり、それらの形状を保ったり、食感を良くするために用いることができる。
以上述べたとおり、本発明の結着剤によれば、小片状及び/又は粒状の食品材料同士を容易に結着できるとともに、保形性・保存安定性、取り扱い性、更には、耐衝撃性、光沢に優れ、商品寿命も長い結着成形食品を容易に提供できる。また、本発明の結着剤によれば、型を用いて食品材料を結着形成する場合、型への充填作業及び型からの取り出し作業も作業性良く行えるという利点が得られる。また、本発明の結着成形食品の製造方法によれば、前記優れた特徴を有する結着成形食品を工業的規模で歩留まり良く容易に製造できる。本発明が斯界に及ぼす影響は斯くも甚大であり、その工業的意義は極めて大きい。

Claims (15)

  1. 有効成分として、プルランと、下記(A)乃至(C)の特徴を有する分岐α−グルカン混合物と、オリゴ糖とを含んでなる結着剤であって、当該結着剤の固形分当たりのプルラン含量が10乃至50質量%である結着剤:
    (A)グルコースを構成糖とし、
    (B)α−1,4結合を介して連結したグルコース重合度3以上の直鎖状グルカンの一端に位置する非還元末端グルコース残基にα−1,4結合以外の結合を介して連結したグルコース重合度1以上の分岐構造を有し、
    (C)イソマルトデキストラナーゼ消化により、イソマルトースを消化物の固形分当たり5質量%以上生成する。
  2. プルランと、前記分岐α−グルカン混合物と、オリゴ糖とを、無水物換算での質量比で、1:1乃至3:0.1乃至3の範囲で含んでなる請求項1記載の結着剤。
  3. オリゴ糖が、スクロース、ラクトース、マルトース、イソマルトース、ラクトスクロース、グルコシルスクロース、ラフィノース、マルトトリオース、マルトシルスクロース、マルトテトラオース、マルトペンタオース、マルトヘキサオース、マルトヘプタオース、マルトオクタオース、α,α−トレハロース、α−グルコシルα,α−トレハロース、α−マルトシルα,α−トレハロース、α−マルトトリオシルα,α−トレハロース、α−マルトテトラオシルα,α−トレハロース、α−マルトペンタオシルα,α−トレハロース、α−マルトヘキサオシルα,α−トレハロース、糖アルコール、フラクトオリゴ糖、ガラクトオリゴ糖、キシロオリゴ糖、及び大豆オリゴ糖から選ばれる1種又は2種以上であることを特徴とする、請求項1又は2記載の結着剤。
  4. プルラン、前記分岐α−グルカン混合物、及びオリゴ糖を、無水物換算での合計で、70質量%以上含むことを特徴とする、請求項1乃至3のいずれかに記載の結着剤。
  5. 水溶液の形態にあることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の結着剤。
  6. プルランと、特定の分岐α−グルカン混合物と、オリゴ糖とを合計で、液重量当たり、10乃至50質量%含むことを特徴とする、請求項5記載の結着剤。
  7. 前記水溶液の液重量当たり、プルランを2.5質量%以上含むことを特徴とする請求項6記載の結着剤。
  8. 小片状及び/又は粒状の食品材料同士が結着成形されてなる結着成形食品であって、前記食品材料同士が請求項1乃至7のいずれかに記載の結着剤若しくはその乾燥物を介して結合していることを特徴とする結着成形食品。
  9. 小片状及び/又は粒状の前記食品材料が、動植物性油脂及び/又は糖質で被覆されていることを特徴とする、請求項8記載の結着成形食品。
  10. 小片状及び/又は粒状の前記食品材料が、焼き菓子、フレーク菓子、スナック菓子、シリアル食品、ドライフルーツ、及び乾燥野菜から選ばれる1種又は2種以上であることを特徴とする、請求項8又は9に記載の結着成形食品。
  11. 小片状及び/又は粒状の食品材料の表面に請求項1乃至7のいずれかに記載の結着剤を付着させる工程を含むことを特徴とする、結着成形食品の製造方法。
  12. 小片状及び/又は粒状の前記食品材料が、予め動植物性油脂及び/又は糖質で被覆されたものであることを特徴とする、請求項11記載の結着成形食品の製造方法。
  13. 更に、表面に前記結着剤が付着した小片状及び/又は粒状の前記食品材料を乾燥及び/又は加熱する工程を含むことを特徴とする、請求項11又は12記載の結着成形食品の製造方法。
  14. 小片状及び/又は粒状の前記食品材料が、焼き菓子、フレーク菓子、スナック菓子、シリアル食品、ドライフルーツ、及び乾燥野菜から選ばれる1種又は2種以上であることを特徴とする、請求項11乃至13のいずれかに記載の結着成形食品の製造方法。
  15. 表面に結着剤を付着させる前の、小片状及び/又は粒状の前記食品材料の水分含量が、10質量%未満であることを特徴とする、請求項11乃至14のいずれかに記載の結着成形食品の製造方法。
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