(実施例)
(画像形成装置)
まず、画像形成装置1の概略構成を説明する。図1は画像形成装置1の概略断面図である。図1に示す画像形成装置1は読取装置を備えていないカラープリンタ(SFP:Small Function Printer)であるが、実施の形態は読取装置を備える複写機であってもよい。また、実施の形態は、図1に示すような複数の感光ドラム103を備えるカラー画像形成装置に限られず、1つの感光ドラム103を備えるカラー画像形成装置やモノクロ画像を形成する画像形成装置でも良い。
図1に示す画像形成装置1は、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各色のトナー像を形成する4基の画像形成部102Y、102M、102C、102K(以下、総称して単に「画像形成部102」とも称する)を備える。また、画像形成部102Y、102M、102C、102Kは、それぞれ感光ドラム103Y、103M、103C、103K(以下、総称して単に「感光ドラム103」とも称する)を備える。また、画像形成部102Y、102M、102C、102Kは、感光ドラム103Y、103M、103C、103Kをそれぞれ帯電させる帯電器104Y、104M、104C、104K(以下、総称して単に「帯電器104」とも称する)を備える。また、画像形成部102Y、102M、102C、102Kは、感光ドラム103Y、103M、103C、103Kを露光する光を出射する露光光源としてのLED(Light Emitting Diode、以下LEDと記載)露光ユニット500Y、500M、500C、500K(以下、総称して単に「露光ユニット500」とも称する)を備える。さらに、画像形成部102Y、102M、102C、102Kは、感光ドラム103上の静電潜像をトナーによって現像し、感光ドラム103上に各色のトナー像を現像する現像器106Y、106M、106C、106K(以下、総称して単に「現像器106」とも称する)を備える。符号に付されたY、M、C、Kはトナーの色を示している。
画像形成装置1は、感光ドラム103に形成されたトナー像が転写される中間転写ベルト107、各画像形成部102の感光ドラム103に形成されたトナー像を当該中間転写ベルトに順次転写させる一次転写ローラ108(Y、M、C、K)を備える。また、画像形成装置1は、中間転写ベルト107上のトナー像を給紙部101から搬送されてきた記録紙Pに転写させる二次転写ローラ109、二次転写された画像を記録紙Pに定着させる定着器100を備える。
(ドラムユニット)
続いて、本実施例に係る画像形成装置1に着脱可能な交換ユニットの一例であるドラムユニット518(Y、M、C、K)および現像ユニット641(Y、M、C、K)について説明する。図2(a)は、画像形成装置1が備えるドラムユニット518及び現像ユニット641周囲の概略斜視図である。また、図2(b)は画像形成装置1に対して装置本体の外側から挿入途中の状態のドラムユニット518を示す図である。
図2(a)に示すように、画像形成装置1は、板金で形成される前側板642と後側板643を備える。前側板642は画像形成装置1の正面側に設けられた側壁である。一方、後側板643は画像形成装置1の背面側に設けられた側壁である。図2(a)に示すように、前側板642と後側板643は対面して配置され、それらの間には梁としての不図示の板金が橋架されている。前側板642、後側板643、および不図示の梁はそれぞれ、画像形成装置1の枠体の一部を構成する。
画像形成装置1の正面側からドラムユニット518、および現像ユニット641を挿抜できるように、前側板642には開口が形成されている。ドラムユニット518、および現像ユニット641は、開口を通して画像形成装置1本体の所定の位置(装着位置)に装着される。また、画像形成装置1は、装着位置に装着されたドラムユニット518と現像ユニット641の正面側を覆うカバー558(Y、M、C、K)を備える。カバー558は、一端がヒンジによって画像形成装置1本体に固定されており、ヒンジによって画像形成装置1本体に対して回動可能となっている。メンテナンスを行う作業者がカバー558を開いて本体内のドラムユニット518あるいは現像ユニット641を取り出し、新しいドラムユニット518あるいは現像ユニット641を挿入してカバー558を閉じることによってユニットの交換作業が完了する。カバー558についての詳しい説明は後述する。
図2(a)および図2(b)に示すように、以下の説明では前側板642側を前側、後側板643側を後側と定義する。また、ブラックのトナー像に関する静電潜像が形成される感光ドラム103Kを基準としたとき、イエローのトナー像に関する静電潜像が形成される感光ドラム103Yが配置されている側を右側と定義する。また、イエローのトナー像に関する静電潜像が形成される感光ドラム103Yを基準としたとき、ブラックのトナー像に関する静電潜像が形成される感光ドラム103Kが配置されている側を左側と定義する。さらに、ここで定義した前後方向及び左右方向に垂直な方向であって鉛直方向上向きを上方向、また、ここで定義した前後方向及び左右方向に垂直な方向であって鉛直方向下向きを下方向と定義する。定義した前方向、後方向、右方向、左方向、上方向、下方向を図2に示す。また、以下の本文で記載する感光ドラム103の回転軸線方向における一端側はここで定義する前側を意味し、他端側はここで定義する後側を意味する。前後方向における一端側および他端側に関してもここで定義する前側および後側に対応する。左右方向における一端側はここで定義する右側を意味し、他端側はここで定義する左側を意味する。
本実施例の画像形成装置1にはドラムユニット518が取り付けられる。ドラムユニット518は、交換されるカートリッジである。本実施例のドラムユニット518はドラムユニット518の筐体に対して回転可能に支持された感光ドラム103を備える。ドラムユニット518は、感光ドラム103、帯電器104、及び不図示のクリーニング装置を備えている。感光ドラム103が、例えばクリーニング装置によるクリーニングによって摩耗するなどして寿命を迎えた際に、図2(b)に示すようにメンテナンスを行う作業者がドラムユニット518を装置本体から取り出して感光ドラム103を交換する。ドラムユニット518は、帯電器104、及びクリーニング装置を備えておらず、感光ドラム103を備えていた構成でも良い。
本実施例の画像形成装置1にはドラムユニット518とは別体の現像ユニット641が取り付けられている。現像ユニット641は図1に示す現像器106を含む。現像器106は、現像剤を担持する現像剤担持体であるところの現像スリーブを備える。現像ユニット641にはトナーとキャリアを攪拌するためのスクリュを回転させるためのギアが複数設けられている。これらのギアが経年劣化等した際には、メンテナンスを行う作業者が現像ユニット641を画像形成装置1の装置本体から取り出して交換する。本実施例の現像ユニット641は、現像スリーブを備える現像器106とスクリュが設けられたトナー収容部とが一体化されたカートリッジである。なお、ドラムユニット518および現像ユニット641の実施の形態は、上記ドラムユニット518と現像ユニット641が一体化されたプロセスカートリッジでも良い。
(画像形成プロセス)
次に、画像形成プロセスについて説明する。後述する光プリントヘッド105Yは帯電器104Yによって帯電された感光ドラム103Yの表面を露光する。これにより、感光ドラム103Yには静電潜像が形成される。次に、現像器106Yは感光ドラム103Yに形成された静電潜像をイエローのトナーによって現像する。感光ドラム103Yの表面に現像されたイエローのトナー像は、一次転写部Tyにおいて一次転写ローラ108Yによって中間転写ベルト107に転写される。マゼンタ、シアン、ブラックのトナー像も同様の画像形成プロセスで中間転写ベルト107に転写される。
中間転写ベルト107上に転写された各色のトナー像は、中間転写ベルト107によって二次転写部T2まで搬送される。二次転写部T2に配置された二次転写ローラ109にはトナー像を記録紙Pに転写するための転写バイアスが印加されている。二次転写部T2まで搬送されたトナー像は、二次転写ローラ109の転写バイアスによって、給紙部101から搬送されてきた記録紙Pに転写される。トナー像が転写された記録紙Pは定着器100に搬送される。定着器100は、熱と圧力によって記録紙Pにトナー像を定着させる。定着器100によって定着処理がなされた記録紙Pは、排紙部111に排出される。
(露光ユニット)
光プリントヘッド105を含む露光ユニット500について説明する。図3は、本実施例の画像形成装置1が備える露光ユニット500の概略斜視図である。図4は、図3に示す露光ユニット500と、及び露光ユニット500の上側に配置される感光ドラム103と、を感光ドラム103の回転軸線方向に垂直な面で切断した概略断面図である。露光ユニット500は、光プリントヘッド105と移動機構640を含む。
光プリントヘッド105は、レンズアレイ506(レンズ)と基板502とを保持する保持体505と、当接ピン514と、当接ピン515と、を備える。詳細は後述するが、当接ピン514は、感光ドラム103の回転軸線方向における保持体505の一端側(前側)であって、ドラムユニット518側に突き出ている。また、当接ピン515は、感光ドラム103の回転軸線方向における保持体505の他端側(後側)であって、ドラムユニット518側に突き出ている。移動機構640は、第1リンク機構861と、第2リンク機構862と、スライド部525と、第1支持部527と、第2支持部528と、スライド支持部の一例としての第3支持部526と、を含む。第1リンク機構861は、リンク部材651と、リンク部材653と、を備え、第2リンク機構862は、リンク部材652と、リンク部材654と、を備える。ここで、本実施例では、当接ピン514および当接ピン515は円柱状のピンとしているが、その形状は円柱に限らず角柱や端部ほどその径が細くなる円錐のような形状でも構わない。
まず、保持体505について説明する。保持体505は、後述する基板502、レンズアレイ506、当接ピン514、および当接ピン515を保持するホルダーである。本実施例では一例として、保持体505の上面から突き出す当接ピン514の長さは7mm、保持体505の上面から突き出す当接ピン515の長さは11mm、保持体505の下面から突き出す当接ピン514の長さは22mm、保持体505の下面から突き出す当接ピン515の長さは22mmとしている。図4に示すように、保持体505は、レンズアレイ506が取り付けられるレンズ取付部701と、基板502が取り付けられる基板取付部702と、を備える。また、保持体505は、後述する図22において説明するように、バネ取付部661、バネ取付部662、ピン取付部632、およびピン取付部633を備える。本実施例の保持体505は、レンズ取付部701、基板取付部702、バネ取付部661、バネ取付部662、ピン取付部632、およびピン取付部633を備える。保持体505は、レンズ取付部701と基板取付部702とバネ取付部661とバネ取付部662とが一体的に射出成形された樹脂製の成形物である。なお、保持体の材質は樹脂製に限らず、例えば金属製でも構わない。
図3に示すように、リンク部材651が取り付けられるバネ取付部661は、前後方向におけるレンズアレイ506とピン取付部632との間に設けられている。また、リンク部材652が取り付けられるバネ取付部662は、前後方向におけるレンズアレイ506とピン取付部633との間に設けられている。すなわち保持体505は、光プリントヘッド105が露光位置と退避位置とを移動するにあたり、前後方向におけるレンズアレイ506と当接ピン514との間でリンク部材651によって支持され、前後方向におけるレンズアレイ506と当接ピン515との間でリンク部材652によって支持される。リンク部材651とリンク部材652によって保持体505に対して付勢力が付与される部分が、レンズアレイ506と上下方向で重ならないため、当該付勢力によるレンズアレイ506の撓みが低減される。
レンズ取付部701は、保持体505の長手方向に延びる第1内壁面507と、第1内壁面507に対面し、同じく保持体505の長手方向に延びる第2内壁面508と、を備える。光プリントヘッド105の組み立て時に第1内壁面507と第2内壁面508との間にレンズアレイ506が挿入される。そして、レンズアレイ506の側面とレンズ取付部701との間に接着剤が塗布されることによって、レンズアレイ506は保持体505に固定される。
図4に示すように、基板取付部702は、断面が略コの字状の形状となっており、保持体505の長手方向に延びる第3内壁面900と、第3内壁面900に対面し、保持体505の長手方向に延びる第4内壁面901と、を備える。第3内壁面900および第4内壁面901との間には基板502を挿入するための間隙910が形成される。また、基板取付部702は、基板502が当接する基板当接部911を備える。光プリントヘッド105の組み立て時に基板502は間隙910から挿入され、基板当接部911まで押し込まれる。そして、基板502が基板当接部911に当接した状態で間隙910側の基板502と第3内壁面900と第4内壁面901との境界部に接着剤が塗布されることによって、基板502は保持体505に固定されている。当該露光ユニット500は感光ドラム103の回転軸線よりも鉛直方向下側に設けられており、光プリントヘッド105が有するLED503が感光ドラム103を下方から露光する。
次に、保持体505に保持される基板502について説明する。図5(a)は基板502の概略斜視図である。図5(b1)は基板502に設けられた複数のLED503の配列を示し、図5(b2)は図5(b1)の拡大図を示している。
基板502にはLEDチップ639が実装されている。図5(a)に示すように、基板502の一方の面にはLEDチップ639が設けられ、裏面側にコネクタ504が設けられている。基板502には各LEDチップ639に信号を供給するための配線が設けられている。コネクタ504には、不図示のフレクシブルフラットケーブル(FFC)の一端が接続される。画像形成装置1本体には基板が設けられている。基板は制御部とコネクタとを備える。FFCの他端は、当該コネクタに接続されている。基板502には、画像形成装置1本体の制御部からFFCおよびコネクタ504を介して制御信号が入力される。LEDチップ639は、基板502に入力された制御信号によって駆動される。
基板502に実装されたLEDチップ639についてさらに詳しく説明する。図5(b1)および(b2)に示すように、基板502の一方の面には複数のLED503が配置された複数のLEDチップ639−1〜639−29(29個)が配列されている。各LEDチップ639−1〜639−29はそれぞれ、その長手方向に516個のLED(発光素子)が一列に配列されている。LEDチップ639の長手方向において隣り合うLEDの中心間距離k2は画像形成装置1の解像度に対応している。本実施例の画像形成装置1の解像度は1200dpiであるので、LEDチップ639−1〜639−29LEDチップ639の長手方向において、LEDは隣接するLEDの中心間距離が21.16μmとなるように一列に配列されている。そのため、本実施例の光プリントヘッド105の露光範囲は約316mmとなる。感光ドラム103の感光層は316mm以上の幅で形成されている。A4サイズの記録紙の長辺の長さおよびA3サイズの記録紙の短辺の長さは297mmであるため、本実施例の光プリントヘッド105は、A4サイズの記録紙およびA3サイズの記録紙に画像形成可能な露光範囲を有している。
LEDチップ639−1から639−29は、感光ドラム103の回転軸線方向に沿って二列となるよう交互に配置されている。すなわち、図5(b1)に示すように、左側から数えて奇数番目のLEDチップ639−1、639−3、・・・639−29が基板502の長手方向に一列に実装され、偶数番目のLEDチップ639−2、639−4、・・・639−28が基板502の長手方向に一列に実装されている。LEDチップ639をこのように配置することで、図5(b2)に示すように、LEDチップ639の長手方向において、隣り合う異なるLEDチップ639における一方のLEDチップ639の一端と他方のLEDチップ639の他端とに配置されたLEDの中心間距離k1を一つのLEDチップ639上における隣り合うLEDの中心間距離k2と等しくすることができる。
なお、本実施例では露光光源にLEDを用いる構成を例示するが、露光光源として有機EL(Organic Electro Luminescence)を用いても良い。
次に、レンズアレイ506について説明する。図5(c1)はレンズアレイ506を感光ドラム103側から見た時の概略図である。また、図5(c2)はレンズアレイ506の概略斜視図である。図5(c1)に示すように、これら複数のレンズは複数のLED503の配列方向に沿って二列に並べられている。各レンズは、一方の列のレンズの配列方向において隣り合うレンズの両方に接するように他方の列のレンズの一つが配置されるよう交互に配置されている。各レンズは、円柱状の硝子製のロッドレンズである。なお、レンズの材質は硝子製に限らず、プラスチック製でも構わない。レンズの形状についても円柱状に限らず、例えば六角柱等の多角柱でも構わない。
図5(c2)に示す点線Zはレンズの光軸を示す。光プリントヘッド105は前述の移動機構140によって当該点線Zで示すレンズの光軸に概ね沿った方向に移動させられる。ここで言うレンズの光軸とは、レンズの光出射面の中心と当該レンズの焦点とを結ぶ線を意味する。図4に示すように、LEDから出射された放射光はレンズアレイ506に含まれるレンズに入射する。レンズは入射した放射光を感光ドラム103の表面上に集光させる機能を有する。レンズアレイ506は、LEDの発光面とレンズの光入射面との距離と、レンズの光出射面と感光ドラム103の表面との距離と、が略等しくなるように光プリントヘッド105の組み立て時のレンズ取付部701に対する取付位置が調整される。
ここで、光プリントヘッド105を移動させる必要性について説明する。本実施例の画像形成装置1は、図2で説明したようにドラムユニット518を交換する際に感光ドラム103の回転軸線方向であって装置本体の前側にドラムユニット518をスライド移動させる。光プリントヘッド105が感光ドラム103表面近傍に位置した状態でドラムユニット518を移動させるとスライド移動する感光ドラム103表面に接触してしまい、装着する感光ドラム103の表面に傷がついてしまう。また、ドラムユニット518の枠体にレンズアレイ506が接触してレンズアレイ506に傷がついてしまう。そのため、感光ドラム103を露光する露光位置(図6(a))と当該露光位置よりも交換ユニットから退避した退避位置(図6(b))との間で、光プリントヘッド105が往復移動する構造が必要である。光プリントヘッド105が露光位置(図6(a))の状態でスライド部525が矢印A方向にスライド移動すると光プリントヘッド105は退避位置(図6(b))へと向かう方向に移動する。一方、光プリントヘッド105が退避位置(図6(b))の状態でスライド部525が矢印B方向にスライド移動すると光プリントヘッド105は露光位置(図6(a))へと向かう方向に移動する。詳細は後述する。
図7(a1)は露光位置に位置する光プリントヘッド105の後側、およびドラムユニット518の後側に設けられたブッシュ671を示す斜視図である。図7(a2)は光プリントヘッド105が露光位置に位置する際の第2支持部528およびドラムユニット518の後側に設けられたブッシュ671を示す断面図である。図7(b1)は退避位置に位置する光プリントヘッド105の後側、およびドラムユニット518の後側に設けられたブッシュ671を示す斜視図である。図7(b2)は光プリントヘッド105が退避位置に位置する際の第2支持部528およびドラムユニット518の後側に設けられたブッシュ671を示す断面図である。
図7を用いて、光プリントヘッド105の後側に設けられた当接ピン515がドラムユニット518側に設けられたブッシュ671に当接する様子を説明する。ドラムユニット518の前側にも当接ピンが当接するブッシュ671に相当する部品が設けられており、その構造はブッシュ671の構造と同様であって、機能についても実質的に同一である。ここでは当接ピン515がドラムユニット518側に設けられたブッシュ671に当接する様子のみ説明する。
図7(a1)および図7(b1)より、リンク部材652が保持体505に取り付けられている部分は、上下方向(光プリントヘッド105が露光位置と退避位置とを移動する方向:往復移動方向)における当接ピン515の両端のうち交換ユニット側(ドラムユニット518が配置されている側)とは反対側の端部より感光ドラム103側である。リンク部材652が取り付けられるバネ取付部662が、当接ピン515と上下方向で交差しないように配置されている。また、ここでは図示しないが、リンク部材651が保持体505に取り付けられている部分も、上下方向(光プリントヘッド105が露光位置と退避位置とを移動する方向:往復移動方向)における当接ピン514の両端のうち交換ユニット側(ドラムユニット518が配置されている側)とは反対側の端部より感光ドラム103側である。リンク部材651が取り付けられるバネ取付部661が、当接ピン514と上下方向で交差しないように配置されている。これにより、露光ユニット500が上下方向で大型化することを抑制している。
図7(a2)および図7(b2)に示すように、第2支持部528は第2座面587、規制部128、第1壁面588、第2壁面589を備える。第2座面587は、保持体505の下側に設けられている。露光位置から退避位置に向かって移動する保持体505の下側が、第2座面587および後述する第1支持部527の第1座面586に対して、鉛直方向上側から当接することで、光プリントヘッド105が退避位置となる。規制部128は第2支持部528に形成された前側に開いたコの字状の凹部であって、保持体505に対してドラムユニット518が位置する側とは反対側に配置されており、当接ピン515が上下方向に移動可能なように当接ピン515より後側から嵌っている。保持体505の下側から突き出た当接ピン515は、規制部128によって形成された間隙内を移動しながら保持体505と共に上下移動する。ここでは図示しないが、第1支持部527も規制部127を備える。規制部127は第1支持部527に形成された前側に開いたコの字状の凹部であって、保持体505に対してドラムユニット518が位置する側とは反対側に配置されており、当接ピン514が上下方向に移動可能なように当接ピン514より前側から嵌っている。保持体505の下側から突き出た当接ピン514は、規制部127によって形成された間隙内を移動しながら保持体505と共に上下移動する。規制部127は当接ピン514との接触で生じる摩擦力を可能な限り低減するため、テーパ形状を成している。これにより、当接ピン514は規制部127の間隙において滑らかに上下移動することができる。したがって、当接ピン515及び当接ピン514と一体の保持体505は前後方向(感光ドラム103の回転軸線方向)と上下方向(光プリントヘッド105が露光位置と退避位置とを移動する方向:往復移動方向)との双方に交差する方向への移動が規制される。また、規制部127は当接ピン514が後側から前側へ移動することを規制しても構わないし、規制部128は当接ピン515が前側から後側へ移動することを規制しても構わない。
第1壁面588と第2壁面589とは左右方向で対面する位置に配置されており、間隙を形成している。光プリントヘッド105が露光位置と退避位置とを往復移動するにあたり、保持体505は第1壁面588と第2壁面589とによって形成された間隙内を上下方向に移動する。その間、保持体505は第1壁面588と第2壁面589とによって前後方向(感光ドラム103の回転軸線方向)と上下方向(光プリントヘッド105が露光位置と退避位置とを移動する方向:往復移動方向)との双方に交差する方向への移動が規制される。
以上の構成により、光プリントヘッド105は前後方向(感光ドラム103の回転軸線方向)と上下方向(光プリントヘッド105が露光位置と退避位置とを移動する方向:往復移動方向)との双方に交差する方向への移動が規制された状態で露光位置と退避位置とを移動する。なお、規制部127と規制部128は、少なくとも一方が第1支持部527または第2支持部528に設けられていれば構わない。すなわち、規制部127が支持部の一例としての第1支持部527に設けられているか、規制部128が第2支持部528に設けられているかすれば十分である。
図7(a1)および図7(a2)に示すように、当接ピン515がドラムユニット518の後側に設けられたブッシュ671に当接し、かつ、当接ピン514(不図示)がドラムユニット518の前側に設けられたブッシュ671に相当する部品に当接した位置が、光プリントヘッド105の露光位置である。当接ピン514、および当接ピン515がドラムユニット518側のブッシュ671およびブッシュ671に相当する部品にそれぞれ当接することによって、レンズアレイ506と感光ドラム103表面との距離が設計称呼となる。
一方、図7(b1)および図7(b2)に示すように、当接ピン515がドラムユニット518の後側に設けられたブッシュ671から退避した位置が、光プリントヘッド105の退避位置に相当する。光プリントヘッド105が図7(b1)および図7(b2)に示す退避位置に位置することによって交換のためにスライド移動するドラムユニット518と光プリントヘッド105が接触しない状態となる。
ここで、ドラムユニット518が備えるブッシュ671について説明する。図8にブッシュ671の斜視図を示す。ブッシュ671は、ドラムユニット518の筐体にビスあるいは接着剤によって固定された部材である。図8に示すように、ブッシュ671には開口916が形成されている。開口916には感光ドラム103の他端側の軸部材が回転可能に挿入されている。すなわち、ブッシュ671は感光ドラム103を回転可能に軸支する。
感光ドラム103は中空の円柱形状のアルミ管の外壁面に感光層が形成されている。アルミ管の両端にはフランジ673が圧入されている。ブッシュ671に形成された開口916には感光ドラム103の他端側のフランジ673が回転可能に挿入されている。フランジ673は、ブッシュ671に形成された開口916の内壁面に摺擦しながら回転する。すなわち、ブッシュ671は感光ドラム103を回転可能に軸支する。また、当接ピン514が当接する、ドラムユニット518の前側に設けられたブッシュ671に相当する部品の中央部にもブッシュ671と同様に開口が形成されている。ブッシュ671に相当する部品に形成された開口には感光ドラム103の一端側(前側)のフランジ673が回転可能に挿入されている。フランジ673は、当該開口の内壁面に摺擦しながら回転する。すなわち、ドラムユニット518の前側と同様、後側においてもブッシュ671は感光ドラム103を回転可能に軸支する。
ブッシュ671は、当接ピン515が嵌る嵌合部685を備える。嵌合部685は、当接面551と、後側壁面596と、テーパ部585と、を備える。嵌合部685はブッシュ671に対して窪んでいても構わないし、立設されていても構わない。当接面551には、退避位置から露光位置へと向かう方向へ移動する当接ピン515が当接する。嵌合部685の下端の淵はテーパ形状であるテーパ部585が形成されている。テーパ部585は、退避位置から露光位置へと向かう方向へ移動する当接ピン515が、当接面551に当接するようにその移動を案内する。後側壁面596と当接ピン515との接触については後で説明する。
嵌合部685の当接面551に当接した当接ピン515は、嵌合部685によって前後方向(感光ドラム103の回転軸線方向)と上下方向(光プリントヘッド105が露光位置と退避位置とを移動する方向:往復移動方向)との双方に交差する方向への移動が規制される。すなわち、露光位置に位置する光プリントヘッド105(図7(a2)参照)において、当接ピン515の上端は嵌合部685によって前後方向と上下方向との双方に交差する方向への移動が規制され、当接ピン515の下端は規制部128によって前後方向と上下方向との双方に交差する方向への移動が規制される。ここで、嵌合部685の左右方向の径と当接ピン515の上端の左右方向の径との差と規制部128の左右方向の径と当接ピン515の下端の左右方向の径との差は、第1壁面588と第2壁面589との左右方向の間隔と第1壁面588と第2壁面589との間に位置する保持体505との差よりも小である。したがって、光プリントヘッド105が露光位置である時、第1壁面588と第2壁面589は保持体505の前後方向と上下方向との双方に交差する方向への移動の規制には関与しない。
(移動機構)
以下、光プリントヘッド105を移動させるための移動機構140について説明する。
まず、第1支持部527ついて説明する。図9(a)は第1支持部527の概略斜視図である。第1支持部527には、突き当て部(停止機構)の一例としての第1座面586、差し込み部の一例としての開口部700、当接部529、規制部127、突起601、ビス孔602、位置決めボス603、位置決めボス604、ビス孔605が形成されている。ここで、第1支持部527は、開口部700と第1座面586とが一体的に射出成形された成形物であっても構わないし、互いに別部材であっても構わない。
第1座面586は、露光位置から退避位置に向けて移動する保持体505の下側が、鉛直方向上側から当接する部分であって、画像形成装置1本体に固定されている。保持体505の下側が第1座面586に当接し、光プリントヘッド105が退避位置となる。
開口部700にはトナー等によって汚れたレンズアレイ506の光出射面を清掃するための清掃部材572が、画像形成装置1本体の外側から差し込まれる。清掃部材572は長尺の棒状の部材である。本実施例では、開口部700の一例として前後方向に貫通する貫通孔を示すが、孔に限らず、例えば上部にスリットが形成されていても構わない。当接部529は、図9(a)に斜線で示すように第1支持部527の後側の面であって開口部700の上側と下側の領域である。当接部529の機能については後で詳細を説明する。
図9(a)に示すように、規制部127は第1支持部527に形成された後側に開いたコの字状の凹部である。保持体505の下側から突き出た当接ピン514の一部は、規制部127によって形成された間隙の間を保持体505と共に上下移動する。規制部127は当接ピン514との接触で生じる摩擦力を可能な限り低減するため、テーパ形状を成しており、当接ピン514に近付くに従い上下方向の厚さが薄くなっている。これにより、当接ピン514は規制部127の間隙において滑らかに上下移動することができる。
第1支持部527は前側板642の前側の面に固定されている。前側板642には位置決めボス603、位置決めボス604、固定用のビスそれぞれに対応する複数の孔が形成されている(不図示)。位置決めボス603および位置決めボス604は、設けられた複数の孔に挿入されており、その状態で第1支持部527のビス孔から通されたビスによって第1支持部527は前側板642に固定されている。
後述する第3支持部526はコの字型に折り曲げられた板金である。図9(b)は、第3支持部526の長手方向における一端部が図9(a)に示す点線で囲まれた部分に挿入される様子を説明するための図を示し、図9(c)は第3支持部526の長手方向における一端部が図9(a)に示す点線で囲まれた部分に挿入された図を示す。図9(b)および(c)に示すように、第3支持部526の一端部には切欠きが設けられており、第1支持部527側の突起601が第3支持部526の切欠きに係合する。突起601が第3支持部526の切欠きに係合することによって第1支持部527に対して第3支持部526の左右方向の位置が決まる。第3支持部526は、ビス孔602から挿入されたビスによって図9(c)の下側から加圧されて第1支持部527の接触面681に当接することによって第1支持部527に固定されている。
次に、第2支持部528について説明する。図10(a)は第2支持部528の概略斜視図である。第2支持部528には、第2座面587と、第1壁面588と、第2壁面589と、規制部128が形成されている。
第2座面587は前で説明した通り、露光位置から退避位置に向けて移動する保持体505の下側が当接する部分である。第2座面587は、画像形成装置1本体に固定されている。保持体505の下側が第2座面587に当接し、光プリントヘッド105が退避位置となる。
図10(b)に示すように、第2支持部528は後側板643の前側の面に固定されている。第2支持部528は、第1支持部527が前側板642に固定される方法と同様に、位置決めボスおよびビスによって後側板643に固定されている。図10(c)は、第3支持部526の長手方向における第3支持部526の他端側(後側)が図10(a)に示す点線で囲まれた部分に挿入された状態を示す。すなわち、第3支持部526は一端部が第1支持部527に支持され、他端部が第2支持部528に支持され、第1支持部527および第2支持部528がそれぞれ前側板642および後側板643に固定されている。そのため、第3支持部526は画像形成装置1本体に対して固定されていることになる。
なお、第2支持部528は第3支持部526に対してビス等によって固定され、後側板643とはビス留めされていない構成であっても構わない。その場合、例えば、第2支持部528には凹部が形成されており、後側板643に形成された凸部に嵌ることで、後側板643に対する第2支持部528の位置が決まる構造とする。第2支持部528の第1壁面588、第2壁面589については後述する。
図10(a)に示すように、規制部128は第2支持部528に形成された前側に開いたコの字状の凹部である。保持体505の下側から突き出た当接ピン515の一部は、規制部128によって形成された間隙の間を保持体505と共に上下移動する。規制部128は当接ピン515との接触で生じる摩擦力を可能な限り低減するため、テーパ形状を成しており、当接ピン515に近付くに従い上下方向の厚さが薄くなっている。これにより、当接ピン515は規制部128の間隙において滑らかに上下移動することができる。
次に、図11を用いて第3支持部526およびスライド部525について説明する。第3支持部526およびスライド部525は、保持体505に対して感光ドラム103とは反対側に配置されている。
図11(a)は、第1支持部527を不図示とした移動機構640の前側を左側から見た概略斜視図である。また、図11(b)は、第1支持部527を不図示とした移動機構640の前側を右側から見た概略斜視図である。移動機構640はリンク部材651と、スライド部525と、第3支持部526を備える。第3支持部526は、支持軸531と、E型止め輪533と、を備える。図11に示すように、支持軸531は、コの字型に加工された第3支持部526の対向する面(左側面と右側面)に設けられた開口に挿入されている。支持軸531は第3支持部526の右側面および左側面を貫通している。支持軸531は、第3支持部526の開口から抜け落ちないように左側面の外側でE型止め輪533にて留められている。一方、図11(a)に示すようにスライド部525には前後方向に延びる長尺の開口である長孔691が形成されている。支持軸531はスライド部525の長孔691に挿入されており、長孔691に対し例えば上下方向において0.1〜0.5mm程度の隙間を以て緩嵌している。そのため、スライド部525は、第3支持部526に対して上下方向の移動が規制され、長孔691の前後方向の長さの分だけ第3支持部526に対してスライド移動可能となる。
また、スライド部525の一端側には左側から下側に亘って収納スペース562を有するスライド補助部材539が取り付けられている。スライド補助部材539はスライド部525に対して左側からビス留めされることで固定されている。収納スペース562には後述するカバー558が備える加圧部561が収納される。収納スペース562と加圧部561との関係および構造的特徴については、後のカバー558についての説明と合わせて記載する。
以下、図3、図11および図12を用いて移動機構640について説明する。
図3は移動機構640を備える露光ユニット500の概略斜視図である。図3に示すように移動機構640は第1リンク機構861と、第2リンク機構862と、スライド部525と、第1支持部527と、第2支持部528と、第3支持部526を備える。第1リンク機構861はリンク部材651とリンク部材653を備え、第2リンク機構862はリンク部材652とリンク部材654を備える。図3に示すように、リンク部材651とリンク部材653、リンク部材652とリンク部材654はそれぞれλ型のリンク機構を構成する。
図11(a)は、第1支持部527を不図示とした移動機構640の前側を左側から見た概略斜視図である。また、図11(b)は、第1支持部527を不図示とした移動機構640の前側を右側から見た概略斜視図である。
以下、図11(a)、図11(b)、図12(a)および図12(b)を用いて、第1リンク機構861について説明する。図12(a)は、第1リンク機構861を感光ドラム103の回転軸線に沿った面で切断した断面図を右側から見た図である。第1リンク機構861は、リンク部材651と、リンク部材653を備える。第1リンク機構861を構成するリンク部材651およびリンク部材653はそれぞれ単一のリンク部材であるが、複数のリンク部材を組み合わせて構成しても良い。
図12(a)および(b)に示すように、リンク部材653の長手方向の長さはリンク部材651の長手方向の長さよりも短い。
リンク部材651は、軸受部610、突起655、および接続軸部538、を備える。軸受部610はリンク部材651の長手方向の一端側に設けられている。突起655は、リンク部材651の長手方向の他端側に設けられた、リンク部材651の回動軸線方向に立設した円柱状の突起であって、光プリントヘッド105の保持体505側に設けられたバネを変形させるための突起である。接続軸部538はリンク部材651の長手方向において軸受部610と突起655との間に設けられている。なお、第1移動部は突起655に限らず、リンク部材651の長手方向の一端側が回動軸線方向に屈曲した構造でも構わない。
軸受部610には図12(a)の左右方向に延びる円形の中空孔が形成されている。スライド部525には嵌合軸部534が設けられている。嵌合軸部534はスライド部525から図12(a)の左方向に立設した円柱状の突起である。嵌合軸部534は軸受部610の孔に対して回動可能に嵌合されることで第1接続部を形成する。すなわち、リンク部材651は第1接続部を回動中心としてスライド部525に対して回動可能となっている。ここで、嵌合軸部534がリンク部材651側に形成され、軸受部610がスライド部525に形成されていても構わない。
リンク部材653は、接続軸部530を備える。接続軸部530はリンク部材653の長手方向の一端側に設けられている。接続軸部530はリンク部材653から図12(a)の左側に立設した円柱状の突起である。接続軸部530は第3支持部526に形成された孔に回転可能に挿入され、第3接続部を形成する。ここで、接続軸部530はリンク部材653ではなく、第3支持部526に形成されていても構わない。すなわち、リンク部材653に形成された孔に第3支持部に形成された接続軸部530が挿入されていてもよい。
リンク部材653の長手方向の他端側には図12(a)の左右方向に延びる円形の孔が形成されている。当該孔にはリンク部材651の接続軸部538が回動可能に挿入されており、接続軸部538とリンク部材653の孔は第4接続部を形成する。すなわち、リンク部材653は、第3接続部を回動中心に第3支持部526に対して回動可能であり、第4接続部を回動中心にリンク部材651に対して回動可能となっている。ここで、接続軸部538はリンク部材651ではなく、リンク部材653に形成されていても構わない。すなわち、リンク部材651に形成された孔にリンク部材653に形成された接続軸部538が挿入されてもよい。
なお、第2リンク機構862の構成についても、上で説明した第1リンク機構861の構成と同様である。第2リンク機構862が備えるリンク部材652およびリンク部材654は、それぞれリンク部材651およびリンク部材653に対応する。また、第1接続部に対応して、リンク部材652の長手方向の一端側とスライド部525との接続部分は第2接続部を構成する。なお、移動機構640の実施の形態はリンク部材653とリンク部材654のいずれか一方を省略しても良い。
以上の構成により、スライド部525が第3支持部526に対して前側から後側へスライド移動すると、スライド部525と共に嵌合軸部534に嵌合した軸受部610が第3支持部526に対して前側から後側へスライド移動する。これにより、図12(a)に示すように第1リンク機構861を右側から見た時、リンク部材651は嵌合軸部534を回動中心として時計回りに回動し、かつ、リンク部材653は接続軸部530を回動中心として反時計回りに回動する。よって、突起655が露光位置から退避位置へと向かう方向へ移動する。
一方、スライド部525が第3支持部526に対して後側から前側へスライド移動すると、リンク部材651およびリンク部材653は図12(a)に記載の矢印とは逆方向に移動する。スライド部525が、第3支持部526に対して後側から前側へスライド移動するとスライド部525と共に嵌合軸部534に嵌合した軸受部610が第3支持部526に対して後側から前側へスライド移動する。これにより、図12(a)に示すように第1リンク機構861を右側から見た時、リンク部材651は嵌合軸部534を回動中心として反時計回りに回動し、かつ、リンク部材653は接続軸部530を回動中心として時計回りに回動する。よって、突起655は退避位置から露光位置へと向かう方向へ移動する。
なお、(1)接続軸部538の回動中心軸と軸受部610の回動中心軸との距離をL1、(2)接続軸部538の回動中心軸と接続軸部530の回動中心軸との距離をL2、(3)接続軸部538の回動中心軸と突起655の回動中心軸との距離をL3とする。移動機構640において第1リンク機構861は、L1、L2、L3は互いに等しいスコットラッセル機構を形成する(図12(b)参照)。距離L1、L2、L3は等しくすることによって、嵌合軸部534のスライド移動方向に対して突起655が垂直に移動(図12(b)の点線A上)するため、上記のリンク機構において光プリントヘッド105をレンズの略光軸方向に移動させることができる。
ここで、第1リンク機構861と、第2リンク機構862と、のそれぞれを前後方向で逆の構造とし、スライド部525を前側から後側へスライド移動させると光プリントヘッド105が退避位置から露光位置に向けて移動し、スライド部525を後側から前側へスライド移動させると光プリントヘッド105が露光位置から退避位置に向けて移動する構成としても構わない。この場合、後述するカバー558は、開状態から閉状態への移動時にスライド部525を前側から後側へ押し込み、閉状態から開状態への移動時にスライド部525を後側から前側へ引き込む。
光プリントヘッド105を移動させる機構は移動機構640に限らず、図13に示す移動機構140でも構わない。以下、図13および図14を用いて移動機構140について説明する。なお、移動機構640を構成する部材と実質的に同じ機能を有する部材には同じ符合を付して説明し、重複する説明は省略する場合がある。
以下、図13(a)、図13(b)、および図14(a)、図14(b)を用いて、移動機構140が保持体505を移動させる仕組みについて説明する。図14(a)は、保持体505と図14(b)に示す移動機構140とを感光ドラム103の回転軸線に沿った面で切断した断面図である。
図13(a)および(b)に示すように、リンク部材151は、軸受部110と、突起155を備える。軸受部110はリンク部材151の長手方向の一端側に設けられている。図14(a)および(b)に示すように突起155は、リンク部材151の長手方向の他端側に設けられた、リンク部材151の回動軸線方向に立設した円柱状の突起であって、光プリントヘッド105の保持体505側に設けられたバネを変形させるための突起である。ここで、第1移動部は突起155に限らず、リンク部材151の長手方向の一端側がリンク部材151の回動軸線方向に屈曲した構造でも構わない。
軸受部110には左右方向に延びる円形の中空孔が形成されている。図14(a)および(b)に示すように、スライド部525には嵌合軸部534が設けられている。嵌合軸部534はスライド部525から左方向に立設した円柱状の突起である。軸受部110の孔が嵌合軸部534に対して回動可能に嵌合されることで第1接続部を形成する。すなわち、リンク部材151は第1接続部を回動中心としてスライド部525に対して回動可能となっている。ここで、嵌合軸部534がリンク部材151側に形成され、軸受部110がスライド部525に形成されていても構わない。
なお、第3支持部526の後側には支持軸531と同様の軸が設けられ、スライド部525の後側には長孔691と同様の長孔が形成されており、移動機構140の後側は前側と同様の構造である。また、リンク部材152の構造についても、上で説明した第1移動部材の構造と同様であって、リンク部材152はリンク部材151に対応する。また、第1接続部に対応して、リンク部材152の長手方向の一端側とスライド部525との接続部分は第2接続部を構成する。
保持体505の一端より前側には第1支持部527(不図示)の当接部529が配置されている。これにより、スライド部525が第3支持部526に対して後側から前側へスライド移動すると、スライド部525と共に嵌合軸部534に嵌合した軸受部110が第3支持部526に対して後側から前側へスライド移動する。それに伴い、突起155が取り付けられた保持体505も前側に移動しようとするが、保持体505の一端は当接部529に当接しており前側への移動が制限される。リンク部材151は、突起155を備える一端側が軸受部110を備える他端側よりドラムユニット518側に位置するように感光ドラム103の回転軸線方向に交差して配置されているため、図14(a)に示すように右側から見ると嵌合軸部534を回動中心として反時計回りに回動する。よって、保持体505は、保持体505の一端が当接部529に当接しながら退避位置から露光位置に向かって移動する。
一方、スライド部525が、第3支持部526に対して前側から後側へスライド移動するとスライド部525と共に嵌合軸部534に嵌合した軸受部110が第3支持部526に対して後側から前側へスライド移動する。これにより、リンク部材151は、図14(a)に示すように右側から見ると嵌合軸部534を回動中心として時計回りに回動する。よって、突起155は露光位置から退避位置へと向かう方向へ移動する。詳しくは後述するが、スライド部525はカバー558の閉動作に連動して後側から前側に移動し、カバー558の開動作に連動して前側から後側に移動する。すなわち、カバー558が開状態から閉状態に移動すると保持体505が退避位置から露光位置へ向かう方向に移動し、カバー558が閉状態から開状態に移動すると保持体505が露光位置から退避位置へ向かう方向に移動する。
光プリントヘッド105がレンズの略光軸方向に移動する時、保持体505の後側は、前記した第2支持部528が備える第1壁面588と第2壁面589とが形成する間隙を移動する。これにより、保持体505が左右方向に傾倒することを防止する。
なお、リンク部材151およびリンク部材152は、他端側が一端側より前側に配置され、当接部529が保持体505の他端より後側に配置されていても構わない。すなわち、スライド部525が第3支持部526に対して前側から後側へスライド移動すると、スライド部525と共に嵌合軸部534に嵌合した軸受部110が第3支持部526に対して前側から後側へスライド移動する。それに伴い、突起155が取り付けられた保持体505も後側に移動しようとするが、保持体505の他端は当接部529に当接しており後側への移動が制限される。よって、リンク部材151を右側から見た時、リンク部材151およびリンク部材152はスライド部525に対して時計回りに回動し、保持体505は他端が当接部529に当接しながら退避位置から露光位置に向かって移動する。この場合、カバー558は、開状態から閉状態への移動時にスライド部525を前側から後側へ押し込み、閉状態から開状態への移動時にスライド部525を後側から前側へ引き込む。
光プリントヘッド105を移動させる機構は移動機構140や移動機構640に限らず、図15に示す移動機構840でも構わない。以下、図15を用いて移動機構840について説明する。なお、移動機構140(840)を構成する部材と実質的に同じ機能を有する部材には同じ符合を付して説明し、重複する説明は省略する場合がある。
図15(a1)および図15(a2)は移動機構840である。図15(a1)および図15(a2)に示すように移動機構840は第1リンク機構858と、第2リンク機構859と、スライド部825と、第3支持部526を備える。第1リンク機構858はリンク部材843とリンク部材844を備え、第2リンク機構859はリンク部材845とリンク部材846を備える。図15に示すように、リンク部材843とリンク部材844、リンク部材845とリンク部材846はそれぞれ互いに回動可能に交差してX型のリンク機構を構成する。リンク部材843の突起847、リンク部材844の突起848、リンク部材845の突起849、リンク部材846の突起850がそれぞれ不図示の保持体805に回動可能に取り付けられている。図15(a1)においてスライド部825を矢印A方向にスライド移動させるとリンク部材843〜846がスライド部825に対して回動し、突起847〜850が下側へ移動する(図15(a2))。一方、図15(a2)においてスライド部825を矢印B方向にスライド移動させるとリンク部材843〜846がスライド部825に対して回動し、突起847〜850が上側へ移動する(図15(a1))。
図15(b)は、移動機構840の前側を保持体805の前側と合わせて示した図である。
以下、図15(b)を用いて、移動機構840が保持体805を移動させる仕組みについて説明する。ここで、第1リンク機構858と第2リンク機構859の動作は実質的に同一のため、ここでは第1リンク機構858について図15(b)を用いて説明する。第1リンク機構858は、リンク部材843と、リンク部材844を備える。第1リンク機構858を構成するリンク部材843およびリンク部材844はそれぞれ単一のリンク部材であるが、複数のリンク部材を組み合わせて構成しても良い。
図15(b)における移動機構840は、第1リンク機構858、スライド部825を備える。図15(b)に示すように、スライド部825は左右方向に貫通し前後方向に延びた長尺の開口である長孔863を備える。
リンク部材843は、突起810、突起847および接続軸部538、を備える。突起810はリンク部材843の長手方向の一端側に設けられている。突起847は、リンク部材843の長手方向の他端側に設けられた、リンク部材843の回動軸線方向であって右側に立設した円柱状の突起である。接続軸部538はリンク部材843の長手方向において突起810と突起847との間に設けられている。なお、第1移動部は突起847に限らず、リンク部材843の長手方向の一端側が回動軸線方向に屈曲した構造でも構わない。
突起810はスライド部825の長孔863に対して回動可能に緩嵌されることで第1接続部を形成する。すなわち、リンク部材843は第1接続部を回動中心としてスライド部825に対して回動可能となっている。また、突起810は長孔863において長孔863の前後方向の範囲内(開口内)で前後方向に移動可能である。長孔863の後側の縁と突起810との間にはコイルばね860が配置されている。
リンク部材844は、接続軸部530と突起848を備える。接続軸部530はリンク部材844の長手方向の一端側に設けられている。接続軸部530はリンク部材844から図15(b)の右側に立設した円柱状の突起である。接続軸部530は第3支持部526に形成された孔に回転可能に挿入され、第3接続部を形成する。ここで、接続軸部530はリンク部材844ではなく、第3支持部526に形成されていても構わない。すなわち、リンク部材844に形成された孔に第3支持部に形成された接続軸部530が挿入されていてもよい。
突起848は、リンク部材844の長手方向の他端側に設けられた、リンク部材844の回動軸線方向であって右側に立設した円柱状の突起である。
また、リンク部材844の突起848と第3接続部との間には図15(b)の左右方向に延びる円形の孔が形成されている。当該孔にはリンク部材843の接続軸部538が回動可能に挿入されており、接続軸部538とリンク部材844の孔は第4接続部を形成する。すなわち、リンク部材844は、第3接続部を回動中心に第3支持部526に対して回動可能であり、第4接続部を回動中心にリンク部材843に対して回動可能となっている。ここで、接続軸部538はリンク部材843ではなく、リンク部材844に形成されていても構わない。すなわち、リンク部材843に形成された孔にリンク部材844に形成された接続軸部538が挿入されてもよい。
なお、移動機構840の実施の形態はリンク部材843とリンク部材844のいずれか一方を省略しても良い。
保持体805は、レンズアレイ506、リンク取付部851、リンク取付部852、ピン取付部855を備える。リンク取付部851及びリンク取付部852は共に、レンズアレイ506と保持体805に取り付けられるピン514の間に設けられる。なお、ここでは図示しないが、第2リンク機構859を構成するリンク部材845及びリンク部材846が取り付けられるリンク取付部853及びリンク取付部854も共に、レンズアレイ506と保持体805の他端側に取り付けられるピン515の間に設けられる。リンク取付部851は、レンズアレイ506とピン取付部855との間において保持体805に形成された、左右方向に貫通した孔である。また、リンク取付部852はレンズアレイ506とリンク取付部851との間において保持体805に形成された、左右方向に貫通し前後方向に延びる長孔である。
リンク取付部851にはリンク部材843の突起847が回動可能に取り付けられており、リンク取付部852にはリンク部材844の突起848が回動可能に取り付けられている。また、突起848はリンク取付部851に対して前後方向に移動可能に取り付けられている。したがって、リンク部材844は突起848を回動中心として回動しながらリンク取付部852の前後方向の範囲内で前後方向にスライド移動可能である。
以上の構成により、スライド部825が第3支持部526に対して前側から後側へスライド移動すると、スライド部825と共に突起810が第3支持部526に対して前側から後側へスライド移動する。これにより、図15(a1)に示すように第1リンク機構858を右側から見た時、リンク部材843は突起810を回動中心として時計回りに回動し、かつ、リンク部材844は接続軸部530を回動中心として反時計回りに回動しながら突起848はリンク取付部852において前側から後側へ移動する。よって、突起847及び突起848が露光位置から退避位置へと向かう方向へ移動する。
一方、スライド部825が第3支持部526に対して後側から前側へスライド移動すると、スライド部825と共に突起810が第3支持部526に対して後側から前側へスライド移動する。これにより、図15(a2)に示すように第1リンク機構858を右側から見た時、リンク部材843は突起810を回動中心として反時計回りに回動し、かつ、リンク部材844は接続軸部530を回動中心として時計回りに回動しながら突起848はリンク取付部において後側から前側へ移動する。よって、突起847及び突起848が退避位置から露光位置へと向かう方向へ移動する。図15(b)に示すように、当接ピン514が当接面550に当接した状態で、更にスライド部825が前側へスライド移動すると、コイルばね860が長孔863の後側の縁と突起810とに挟まれて収縮する。収縮したコイルばね860の復元力によって、突起810は前側へ付勢される。これにより、保持体805に上側へ向かう方向の付勢力が付与される。
ここで、第1リンク機構858と、第2リンク機構859と、のそれぞれを前後方向で逆の構造とし、スライド部825を前側から後側へスライド移動させると光プリントヘッド105が退避位置から露光位置に向けて移動し、スライド部825を後側から前側へスライド移動させると光プリントヘッド105が露光位置から退避位置に向けて移動する構成としても構わない。この場合、後述するカバー558は、開状態から閉状態への移動時にスライド部825を前側から後側へ押し込み、閉状態から開状態への移動時にスライド部825を後側から前側へ引き込む。
また、光プリントヘッド105を移動させる機構は移動機構140、移動機構640、移動機構840に限らず、図16に示す移動機構940でも構わない。以下、図16を用いて移動機構940について説明する。なお、移動機構140(640や840を含む)を構成する部材と実質的に同じ機能を有する部材には同じ符合を付して説明し、重複する説明は省略する場合がある。
図16に示すように、スライド部525の前側及び後側には第1カム部112および第2カム部113が設けられており、また、保持体905の下側であって前側及び後側には移動支持部114及び移動支持部115が設けられている。第1カム部112および第2カム部113は、保持体905側に後側から前側に向けて下側に傾斜した面を備える。
図16(a)は、露光位置に位置する光プリントヘッド105及び移動機構940を右側から見た概略図である。光プリントヘッド105が露光位置である際に、スライド部525が第3支持部526に対して前側から後側へスライド移動すると、スライド部525と共にスライド部525に設けられた第1カム部112および第2カム部113が第3支持部526に対して前側から後側へスライド移動する。これにより、保持体905に設けられた移動支持部114及び移動支持部115の下端が第1カム部112および第2カム部113に当接し、移動支持部114及び移動支持部115が第1カム部112および第2カム部113に沿って露光位置から退避位置へと向かう方向へ移動する。
図16(b)は、退避位置に位置する光プリントヘッド105及び移動機構940を右側から見た概略図である。光プリントヘッド105が退避位置である際に、スライド部525が第3支持部526に対して後側から前側へスライド移動すると、スライド部525と共にスライド部525に設けられた第1カム部112および第2カム部113が第3支持部526に対して後側から前側へスライド移動する。これにより、保持体905に設けられた移動支持部114及び移動支持部115の下端が第1カム部112および第2カム部113に沿って、退避位置から露光位置へと向かう方向へ押し上げられ移動する。
ここで、第1カム部112および第2カム部113と、のそれぞれが備える傾斜面の傾斜方向を前側から後側へ向けて下側に傾斜した構造とし、スライド部525を前側から後側へスライド移動させると光プリントヘッド105が退避位置から露光位置に向けて移動し、スライド部525を後側から前側へスライド移動させると光プリントヘッド105が露光位置から退避位置に向けて移動する構成としても構わない。この場合、後述するカバー558は、開状態から閉状態への移動時にスライド部525を前側から後側へ押し込み、閉状態から開状態への移動時にスライド部525を後側から前側へ引き込む。
次に、図17を用いてカバー558について説明する。カバー558はスライド部525を上記のようにスライド移動させるための部材である。なお、スライド部525をスライド移動させる構成はカバー558に限定されるものではない。例えば、不図示の前扉の開閉に連動してスライド部525がスライド移動するように構成しても良い。また、カバー558や扉のような被覆部材ではなく、レバーのような回動部材の回動に連動してスライド部525がスライド移動するように構成しても良い。
図17(b)はカバー558の斜視図である。図17(a)に示すように、カバー558は、回動軸部559と、回動軸部560と、を備える。回動軸部559は、カバー558の右側方向に突出する円柱形状の突起である。一方、回動軸部560は、カバー558の左側方向に突出する円柱形状の突起である。
図17(b)に前側板642にカバー558が取り付けられる部分の拡大図を示す。また図17(b)は、前側板642に取り付けられたカバー558の斜視図である。図17(b)に示すように、前側板642には、カバー558の回動軸部559が嵌合する軸受部材621と、回動軸部560が嵌合する軸受部材622と、が設けられている。図17(c)に示すように、カバー558の回動軸部559が前側板642の軸受部材621に回動可能に嵌合し、回動軸部560が前側板642の軸受部材622に回動可能に嵌合している。図17(a)に示すように、回動軸部559の回動軸線と回動軸部560の回動軸線は回動軸線563上にある。カバー558は画像形成装置1本体に対して回動軸線563を回動中心として開閉する。閉じられたカバー558はドラムユニット518、現像ユニット641の挿抜経路上に位置する。そのため、カバー558が閉状態であると、作業者はドラムユニット518、現像ユニット641の交換作業を行うことができない。作業者は、カバー558を開くことによってドラムユニット518を交換することができ、作業終了後にカバー558を閉じる。
次に、図18〜図21を用いて、カバー558の開閉動作に連動してスライド部525が感光ドラム103の回動軸線方向にスライド移動する構成について詳しく説明する。
図18(a)〜(d)は開状態から閉状態に向けて回動するカバー558を示す斜視図である。図19(a)〜(d)は開状態から閉状態に向けて回動するカバー558を示す断面図である。図18(a)、および図19(a)はカバー558の開状態を示している。図18(d)、および図19(d)はカバー558の閉状態を示している。図18(b)および図19(b)、並びに図18(c)および図19(c)は、開状態から閉状態に移行するカバー558を示す図である。なお、図18(d)、および図19(d)に示す閉状態のカバー558は、本体に係合するスナップフィット機構や回動防止のストッパーなどによって閉状態を維持する。
図18(a)〜(d)に示すように、カバー558は画像形成装置1本体に対して回動軸線563を中心に回動する。それに伴って、図19(a)〜(d)の移動軌跡564のように加圧部561も回動軸線563を中心に回動する。カバー558は左側から右側に向けて突出する円筒状の加圧部561を備える。図18に示すように、加圧部561はスライド部525の一端に取り付けられた収納スペース562に位置する。
図19(a)〜(d)を用いて加圧部561のスライド部525に対する作用について説明する。図19(a)の状態からカバー558が時計回りに回動すると、加圧部561が移動軌跡564上に位置し、移動軌跡564に交差する第1被押圧部566に当接する(図19(b))。この状態からさらにカバー558が時計回りに回動すると、加圧部561は第1被押圧部566に摺擦しながら第1被押圧部566を前側に押圧する。それにより、スライド補助部材539が前側に移動する。スライド補助部材539はスライド部525に固定されているため、スライド部525もスライド補助部材539の移動に連動して前側にスライド移動する。
さらに、カバー558が時計回りに回動すると、加圧部561は第1被押圧部566上から第2被押圧部567上に移動する(図19(c))。第2被押圧部567は、加圧部561の移動軌跡564に凡そ沿う形状の曲面をなしている。そのため、図19(c)の状態からカバー558がさらに時計回りに回動した場合、加圧部561は第2被押圧部567に接触して上側に移動するが、加圧部561からスライド補助部材539をさらに前側にスライド移動させる力は付与されない。
図18(c)及び図19(c)より、カバー558が開状態から閉状態に向けて回動し、保持体505が露光位置となった直後、加圧部561は収納スペース562の前側の第2被押圧部567に当接している。第2被押圧部567は加圧部561の移動軌跡564に凡そ沿う形状、すなわち、回動軸線563を中心とする円弧形状をなしている。そのため、図19(c)の状態からカバー558がさらに時計回りに回動した場合、加圧部561は第2被押圧部567に当接した状態で滑りながら移動する。しかしながら、加圧部561からスライド補助部材539をさらに前側にスライド移動させる力は付与されない。そのため、加圧部561が第2被押圧部567上を移動する間、スライド補助部材539が後側から前側に向けて移動することはない。つまり、本実施例の移動機構640は、加圧部561が第1被押圧部566上に当接した状態でカバー558が回動すると、スライド部525は加圧部561の移動に連動してスライド移動するが、加圧部561が第2被押圧部567上に当接した状態においてカバー558が回動してもスライド部525はスライド移動しないように構成されている。図19(c)の状態からさらにカバー558が時計回りに回動すると、カバー558は図19(d)に示す閉状態となる。
図20(a)〜(d)は閉状態から開状態に向けて回動するカバー558を示す斜視図である。図21(a)〜(d)は開状態から閉状態に向けて回動するカバー558を示す断面図である。図20(a)、および図21(a)はカバー558の閉状態を示している。図20(d)、および図21(d)はカバー558の開状態を示している。図20(b)および図21(b)、並びに図20(c)および図21(c)は、閉状態から開状態に移行するカバー558を示す図である。
図21(a)に示すカバー558が閉状態において、光プリントヘッド105の自重および後述するバネの復元力によってスライド部525には第1リンク機構861および第2リンク機構862を介して前側から後側にスライドする力が作用する。しかしながら、閉状態のカバー558は回動しないように画像形成装置1本体に対して固定されており、加圧部561がスライド補助部材539の後側への移動を制限しているため、スライド部525が後側にスライド移動しない。
図21(a)からカバー558が反時計回りに回動すると、図21(b)に示すように加圧部561が第3被押圧部568に当接する。図21(b)の状態からさらにカバー558が反時計回りに回動すると、図21(b)(c)に示すように加圧部561が第3被押圧部568を前側から後側に向かって押圧するため、スライド部525が後側に向かって移動する。その後、さらにカバー558が反時計回りに回動すると、図21(d)に示すようにカバー558が開状態になる。
加圧部561が第3被押圧部568を押圧する機構は次の理由により設けられている。すなわち、図20(a)の状態からカバー558を反時計回りに回動させて加圧部561によるスライド補助部材539に対する移動の制限が解除されても、各リンク部材同士の摩擦力やリンク部材651またはリンク部材653とスライド部525との摩擦力、リンク部材652またはリンク部材654と第3支持部526との摩擦力が大きいと、スライド部525が後側に移動しない場合が考えられる。つまり、カバー558を開いてもスライド部525がスライド移動しない場合が考えられる。それに対して、カバー558を開くことによってスライド部525が後側に向かって移動するように、本実施例の移動機構は加圧部561が第3被押圧部568を押圧する機構を含んでいる。
以上の構成により、メンテナンスを行う作業者がカバー558を開閉させることで、カバー558の移動に連動してスライド部525が第3支持部526に対してスライド移動する。
次に、保持体505とリンク部材151との接続機構について説明する。なお、以下で説明する保持体505とリンク部材151との接続機構は、保持体505とリンク部材651との接続機構と実質的に同一の機構である。図22(a)、(c)は、前後方向における保持体505の一端側を示す斜視図である。図22(b)、(d)は、前後方向における保持体505の他端側を示す斜視図である。
図22(a)に示すように、保持体505は、レンズアレイ506が取り付けられるレンズ取付部701と、コイルばね547が取り付けられるバネ取付部661と、コイルばね548が取り付けられるバネ取付部662と、当接ピン514が取り付けられるピン取付部632と、当接ピン515が取り付けられるピン取付部633と、を備える。保持体505は、レンズ取付部701、基板取付部702(不図示)、バネ取付部661、バネ取付部662が一体的に射出成形された樹脂製の成形物である。前後方向において、レンズ取付部701の一端側にバネ取付部661が配置され、バネ取付部661よりもさらに保持体505の端部側にピン取付部632が配置されている。また、前後方向において、レンズ取付部701の他端側にバネ取付部662が配置され、バネ取付部662よりもさらに保持体505の端部側にピン取付部632が配置されている。保持体505において、レンズ取付部701、バネ取付部661、ピン取付部632が形成されている箇所を図示するとそれぞれ、Cの領域、Bの領域、Aの領域で示す箇所となる。一体の射出成形された樹脂製の保持体505は、レンズアレイ506より前側、当接ピン514より後側においてコイルばね547を介しリンク部材151の突起155によって下側から上側に向けて付勢力が付与される。また、図22(c)を用いて、レンズ取付部701、バネ取付部662、ピン取付部633が形成されている箇所を図示するとそれぞれ、Cの領域、Dの領域、Eの領域で示す箇所となる。保持体505は、レンズアレイ506より後側、当接ピン515より前側においてコイルばね548を介しリンク部材152の突起156によって下側から上側に向けて付勢力が付与される。
まず、バネ取付部661について説明する。バネ取付部661は、第1壁部751、第2壁部752、第1係合部543、第2係合部544を含む。第1壁部751は左右方向における保持体505の一端側に配置され、第2壁部752は左右方向における保持体505の他端側に設けられている。本実施例において、左右方向において第1壁部751および第2壁部752は当接ピン514の両側に配置されている。図22(a)に示すように、第1壁部751と第2壁部752はそれぞれ互いに対面する内壁面を含む。第1壁部751には開口755が形成され、第2壁部752には開口756が形成されている。開口755および開口756は上下方向に延びる長孔である。開口755および開口756には突起155が挿入されている。突起155は開口755および開口756に対して嵌合されておらず、前後方向において最も狭いところで0.5mm程度の間隙を以て挿入されている。そのため、突起155は、開口755および開口756の内壁面から大きな摩擦力を受けることなく、開口755および開口756によって上下方向にその移動方向を案内される。
図22(b)は、図22(a)から第1壁部751を取り除いた図面である。左右方向において第1壁部751と第2壁部752との間に第1係合部543と第2係合部544が配置されている。また、前後方向において、この第1係合部543と第2係合部544はそれぞれ開口755と開口756との間に配置されている。本実施例において、第1係合部543は第2係合部544よりも保持体505の端部側に配置されている。第1係合部543および第2係合部544は、保持体505の第1壁部751と第2壁部752とを連結する連結部分から下方に突出する突起である。第1係合部543にはコイルばね547の一端が係合され、第2係合部544にはコイルばね547の他端が係合される。第1係合部543と第2係合部544とに係合したコイルばね547が開口755および開口756を横断するように、第1係合部543および第2係合部544はバネ取付部661に配置されている。
上下方向において、第1係合部543と第2係合部544は互いに異なる位置に配置されている。本実施例において、第1係合部543が第2係合部544よりも感光ドラム103側に配置されている。なお、第1係合部543と第2係合部544は上下方向において同一に設けても良いし、第2係合部544が第1係合部543よりも感光ドラム103側に配置されていても良い。
図22(b)に示すように、突起155は、第2壁部752の外壁面側から開口756に挿入され、第1係合部543と第2係合部544に架け渡されたコイルばね547の下を通り、第1壁部751の開口755に挿入されている。
次に、バネ取付部662について説明する。図22(c)に示すように、バネ取付部662は、第3壁部753、第4壁部754、第3係合部545、第4係合部546を含む。第3壁部753は左右方向における保持体505の一端側に配置されており、第4壁部754は左右方向における保持体505の他端側に設けられている。本実施例において、左右方向において第3壁部753および第4壁部754は当接ピン515の両側に配置されている。第1壁部751と第3壁部753は左右方向において同じ側、すなわち、第1壁部751と第3壁部753は左右方向において保持体505の右側に配置されている。第2壁部752と第4壁部754は左右方向において同じ側、すなわち、第2壁部752と第4壁部754は左右方向において保持体505の左側に配置されている。
図22(c)に示すように、第3壁部753と第4壁部754はそれぞれ互いに対面する内壁面を含む。第3壁部753には開口757が形成され、第4壁部754には開口758が形成されている。開口757および開口758は上下方向に延びる長孔である。開口757および開口758には突起156が挿入されている。突起156は開口757および開口758に対して嵌合されておらず、前後方向において最も狭いところで0.5mm程度の間隙を以て挿入されている。そのため、突起156は、開口757および開口758の内壁面から大きな摩擦力を受けることなく、開口757および開口758によって上下方向にその移動方向を案内される。
図22(d)は、図22(c)から第3壁部753を取り除いた図面である。左右方向において第3壁部753と第4壁部754との間に第3係合部545と第4係合部546が配置されている。また、前後方向において、この第3係合部545と第4係合部546はそれぞれ開口757および開口758との間に配置されている。本実施例において、第4係合部546は第3係合部545よりも保持体505の端部側に配置されている。第3係合部545および第4係合部546は、保持体505の第3壁部753と第4壁部754とを連結する連結部分から下方に突出する突起である。第3係合部545にはコイルばね548の一端が係合され、第4係合部546にはコイルばね548の他端が係合される。第3係合部545と第4係合部546とに係合したコイルばね548が開口757および開口758を横断するように、第3係合部545および第4係合部546はバネ取付部662に配置されている。
上下方向において、第3係合部545と第4係合部546は互いに異なる位置に配置されている。本実施例において、第3係合部545が第4係合部546よりも感光ドラム103側に配置されている。なお、第3係合部545と第4係合部546は上下方向において同一に設けても良いし、第4係合部546が第3係合部545よりも感光ドラム103側に配置されていても良い。
図22(d)に示すように、突起156は、第4壁部754の外壁面側から開口758に挿入され、第3係合部545と第4係合部546に架け渡されたコイルばね548の下を通り、第3壁部753の開口757に挿入されている。
なお、本実施例では、コイルばね547およびコイルばね548の一例としてコイル状のバネを示すが、板バネを用いても構わない。
次に、リンク部材151に設けられた突起155のコイルばね547に対する作用、およびリンク部材152に設けられた突起156のコイルばね548に対する作用を図23を用いて説明する。突起155のコイルばね547に対する作用と突起156のコイルばね548に対する作用は実質的に同様であるので、図23では突起156のコイルばね548に対する作用を例示する。
図23(a)は保持体505に設けられた当接ピン515がドラムユニット518の当接面551から退避した状態を示す図である。図23(b)は当接ピン515がドラムユニット518の当接面551に当接した時点を示す図である。図23(c)は、図23(b)の状態からリンク部材152が反時計回りに回動した状態を示す図である。
図23(a)の状態において、スライド部525がスライド移動すると、それに連動してリンク部材152が反時計回りに回動し、突起156が上側に移動する。このとき、突起156がコイルばね548を上側に向かって押圧する。突起156がコイルばね548を上側に向かって押圧すると、第3係合部545および第4係合部546を介して保持体505に対して上側に力が作用する。当接ピン515はドラムユニット518に非接触であり、光プリントヘッド105に作用する重力を除いて突起156がコイルばね548を押圧する力に抗する力が存在しない。そのため、第3係合部545および第4係合部546に上側に向かって作用する力が光プリントヘッド105に作用する重力よりも大きくなると、保持体505が第3係合部545および第4係合部546に作用する力によって上側に移動する。ここで、保持体505が退避位置である時、当接ピン515(514)の下端や保持体505を装置本体で支え、リンク部材152(151)の突起156(155)がコイルばね548(547)と非接触となるようにしても構わない。
保持体505が上側に移動すると、図23(b)に示すように当接ピン515がドラムユニット518の当接面551に当接する。図23(b)は光プリントヘッド105が露光位置に配置されているが、光プリントヘッド105に作用するドラムユニット518に付勢する付勢力が不十分である。そのため、光プリントヘッド105に上記付勢力を付与するために、本実施例の移動機構140は、図23(b)の状態からさらにリンク部材152が回動可能な構成となっている。
図23(b)の状態からさらにリンク部材152が反時計回りに回動しても、当接ピン515がドラムユニット518の当接面551に当接しているため、保持体505の位置は変化しない。一方、突起156は上側方向に移動するため、コイルばね548は第3係合部545と第4係合部546との間を突起156によって押圧されて図23(c)に示すように屈曲して伸長する。
図23(c)の状態は、図19(c)および(d)のカバー558の状態に対応する。すなわち、スライド部525はそれ以上前側にスライド移動しない状態となる。そのため、スライド部525がスライド移動しないため、リンク部材152は図23(c)に示す状態から反時計回りに回動することはなく、突起156も上側に移動することなく図23(c)の位置に静止する。この状態においてコイルばね548は収縮する力が第3係合部545および第4係合部546に作用する。第3係合部545および第4係合部546に作用するコイルばね548の収縮力の分力が上方向に向くため、保持体505にはドラムユニット518側に付勢する付勢力が作用し、保持体505は当接ピン515を介してドラムユニット518に付勢する。
上記したように、第3係合部545が第4係合部546よりも感光ドラム103側に配置されているため、コイルばね548には突起156から矢印N方向の抗力が作用する。矢印N方向の抗力の分力が保持体505に作用する。そのため、当接ピン515には前後方向の後側に向かう力が作用し、当接面551に当接した当接ピン515は嵌合部685の奥側の後側壁面596に付勢して当接する。第1係合部543は第2係合部544よりも感光ドラム103側に配置されている理由も同様である。
(清掃機構)
画像形成装置1において例えば光プリントヘッド105のような露光手段は帯電器104や現像器106との間に設けられる。したがって、光プリントヘッド105が備えるレンズアレイ506の光出射面が感光ドラム103や現像器106から落下したトナーによって汚れることがある。レンズアレイ506の光出射面の汚れは、発光素子から出射される光を部分的に遮光する可能性があり、出力画像の画質低下を生む一原因となる。そのため、光プリントヘッド105の光出射面は定期的に清掃されることが望ましい。
図24(a)は、レンズアレイ506の光出射面を清掃するために用いられる清掃部材572の概略斜視図である。ここで、図24(a)に示すように、長手方向および短手方向を定義する。清掃部材572は、清掃部材572の長手方向における一端側(後端側)に把持部575を備える。後述するが、清掃部材572の長手方向における他端側(先端側)であって、清掃部材572の下側には摺擦部574が設けられている。図24(b)は、清掃部材572が第1支持部527に設けられた開口部700に差し込まれ、摺擦部574がレンズアレイ506の光出射面を清掃している状態を示す。この状態において、長手方向は感光ドラム103の回転軸線方向に沿う方向であって前後方向を、また、短手方向は感光ドラム103の回転軸線方向とレンズの光軸方向とに交差する方向に沿う方向と一致する。図24(b)に示すように、清掃部材572を用いたレンズアレイ506の光出射面の清掃は、光プリントヘッド105が退避位置である場合に行われる。すなわち、ここで言う退避位置は、レンズアレイ506の光出射面を清掃するための清掃位置を意味する。開口部700は、差し込まれた清掃部材572の摺擦部を退避位置に位置する光プリントヘッド105のレンズアレイ506の光出射面上に案内する。例えばユーザやサービスマン等の作業者は清掃部材572の後端側に設けられた把持部575を把持して操作(開口部700に対して抜き差し)する。
図25(a)に清掃部材572を下側から見た図、図25(b)に清掃部材572を感光ドラム103の回転軸線に垂直な面で切断した断面図を示す。また、図26に光プリントヘッド105の前側の概略斜視図を示す。図26に示すように、保持体505の上側には、感光ドラム103の回転軸線方向に延び、右側および左側(感光ドラム103の回転軸線方向とレンズの光軸方向とに交差する方向の双方)に突出した凸部580を備えており、凸部580は間隙579を形成している。図25(a)及び図25(b)に示すように、清掃部材572は摺擦部574と、係合部576と、下側凸部577と、上側凸部578と、を備える。
摺擦部574は、清掃部材572の先端側(感光ドラム103の回転軸線方向における他端側)であって下側に設けられている。摺擦部574は、例えば、綿やナイロン、ポリエステル等の繊維で構成された不織布であり、レンズアレイ506の光出射面に落下したトナー等の汚れを拭き取り清掃する。また、摺擦部574は不織布に限らず、例えばスポンジやエラストマーのようなゴム製の弾性変形可能な部材であって、レンズアレイ506の光出射面に落下したトナー等の汚れをかきとることで清掃しても構わない。
開口部700に挿入された清掃部材572の係合部576は、短手方向において凸部580の外側から凸部580の下側と対向する位置、すなわち間隙579内に向けて突設しており、凸部580に係合する。凸部580の後端(前側の端部)には、図26において色付きで示すテーパ部581が形成されている。テーパ部581は、凸部580の後端(前側の端部)であって、間隙579側に近付くほど後側に向けて傾斜している。当該テーパ部581は、開口部700に挿入され挿入方向下流側に向けて移動する清掃部材572の係合部576を間隙579内に案内する機能を持つ。
清掃部材572が備える当接部の一例である下側凸部577は、清掃部材572の下側において保持体505の上側に対向するように、長手方向に沿って形成されている。図27(a)は、清掃部材572が開口部700に挿入された状態において、感光ドラム103の回転軸線に垂直な方向であって清掃部材572が挿入された開口部700を切断した断面図である。図27(b)は、光プリントヘッド105の間隙579に係合する清掃部材572を感光ドラム103の回転軸線に垂直な方向で切断した断面を前側から見た図を示す。
図27(a)に示すように清掃部材572と開口部700の内側とは0.5mm程度の隙間を以て緩嵌した上で、清掃部材572は長手方向に交差する方向への移動が制限される。すなわち、開口部700に挿入された清掃部材572は、開口部700によって感光ドラム103の回転軸線に沿う方向(前後方向)へ移動するように移動が制限される。これにより、開口部700に挿入され、挿入方向下流側に移動する清掃部材572の係合部576の下流側端部(先端側の端部)は、清掃位置である退避位置に位置する光プリントヘッド105の凸部580の上流側端部(一端側の端部)に係合する。
光プリントヘッド105と係合した清掃部材572の位置は、摺擦部574とレンズアレイ506の光出射面とが接触する位置となる。また、この時、光プリントヘッド105は退避位置に位置する。前述の通り、光プリントヘッド105の退避位置は、露光位置から下側に向けて移動する保持体505の下側が、突き当て部(停止機構)の一例としての第1座面586(第1突き当て部の一例でもある)および第2座面587(第2突き当て部の一例でもある)に対して、鉛直方向上側から突き当たった状態における光プリントヘッド105の位置である。すなわち、開口部700に差し込まれ挿抜される清掃部材572に設けられた摺擦部574の移動経路上に、第1座面586と第2座面587とに当接した保持体505が備えるレンズアレイ506の光出射面が重なるように位置する。なお、第1座面586(及び第2座面587)は第1支持部527(及び第2支持部528)に一体成形されていることが望ましいが、別部材で構成されていても構わない。ここで、光プリントヘッド105を退避位置とする機能を持つ突き当て部(停止機構)として、少なくとも、第1支持部527が第1座面586を備えれば十分である。すなわち、第1支持部527が第1座面586を具備し、第2支持部528は第2座面587を具備しない構成でも構わない。これは、仮に第1支持部527が第1座面586を具備していないと、保持体505の一端側が自重によって下側に撓み、開口部700と近接するレンズアレイ506の光出射面と清掃部材572の摺擦部574とが接触しない可能性があるためである。
また、開口部700及び清掃部材572は、例えば清掃部材572を上下逆にした状態で開口部700に差し込まれようとした場合、開口部700と清掃部材572は嵌合しないという特徴がある。すなわち開口部700は、ユーザやサービスマン等の作業者が、清掃部材572を誤って上下逆に開口部700に挿入することを防止する。
図27(b)に示すように、清掃部材572が開口部700から挿入されると下側凸部577は保持体505の上側に形成されたレンズ取付部701の上面に当接する。これにより、開口部700から挿入された清掃部材572の下側とレンズアレイ506の光出射面との間に間隙が形成される。よって、開口部700に差し込まれ光プリントヘッド105と係合した清掃部材572がレンズアレイ506の光出射面と接触する部分は摺擦部574のみとなり、清掃部材572の摺擦部574以外の部分がレンズアレイ506の光出射面と接触することを防ぐことができる。
図28に、感光ドラム103の回転軸線方向に垂直な方向に当接ピン514を切断した断面図を当接ピン515と合わせて示す。図28より保持体505の上側から突き出た当接ピン514の長さは保持体505の上側から突き出た当接ピン515の長さより短く、当接ピン514の上端はレンズアレイ506の光出射面の位置より下側であることが分かる。以下、図28を用いて当接ピン514の上端の位置がレンズアレイ506の光出射面の位置より下側であることの理由を説明する。
保持体505が当接ピン514及び当接ピン515を具備する理由の一つは、前述の通り、レンズアレイ506の光出射面と感光ドラム103との間に間隙を形成するためである。この目的を達成するための当接ピン514及び当接ピン515の構造としては、当接ピン514の保持体505の上側からの突き出し長さを当接ピン515と同程度すなわち当接ピン514の上端の位置をレンズアレイ506の光出射面より上側とする構造でも構わない。しかしながら、そのような構造とした場合、画像形成装置1本体の外側から開口部700に差し込まれた清掃部材572の移動経路上に当接ピン514が存在することになり、清掃部材572を開口部700に差し込まれ、挿入方向下流側に移動していくと、清掃部材572と当接ピン514とが接触してしまう。したがって、レンズアレイ506の光出射面を十分に清掃することが難しくなる。
上述した理由から、図28に示すように保持体505の上側から突き出す当接ピン514の長さは保持体505の上側から突き出す当接ピン515の長さより短く、当接ピン514の上端はレンズアレイ506の光出射面の位置より下側となるようにしている。
以上、説明したように、実施例1の画像形成装置1は、突き当て部(停止機構)の一例として第1座面586と、第2座面587と、を備える。移動機構140(640、840、940)によって露光位置から退避位置(清掃位置)に向けて移動する光プリントヘッド105の保持体505が、第1座面586および第2座面587に対して、鉛直方向上側から突き当たる。これにより、開口部700に挿入される清掃部材572に設けられた摺擦部574の移動経路上に、第1座面586および第2座面587に当接した保持体505が備えるレンズアレイ506の光出射面が重なるように位置する。したがって、清掃部材572が開口部700に対し挿入されることで、レンズアレイ506の光出射面を十分に清掃することができる。
(実施例2)
また、光プリントヘッド105を退避位置(清掃位置)とする機構としては、前述の第1座面586や第2座面587のように保持体505が当接することで、保持体505が下側へ移動することを制限する機構に限らず、次に説明するような機構でも構わない。
図29(a1)に、突き当て部(停止機構)の一例としてスライド部525に設けられた長尺の開口である長孔691を利用した構造を示す。
図29(a1)に示す機構は、光プリントヘッド105の露光位置から退避位置へ向かう方向への移動と共にスライド移動するスライド部525のスライド移動を停止させ、光プリントヘッド105を退避位置とする機構である。
図29(a1)よりスライド部525は長孔691を備える。また、長孔691は当接部591を備える。当接部591は長孔691の縁のうち前側の縁に形成されている。
長孔691はスライド部525に形成されているため、スライド部525のスライド移動と共に移動する。支持軸531と当接部591とは感光ドラム103の回転軸線方向において対向して配置されている。また、支持軸531は第3支持部526にE型止め輪533によって固定されており、長孔691に対し例えば上下方向において0.1〜0.5mm程度の隙間を以て緩嵌している。すなわち、スライド部525のスライド移動は支持軸531によって規制されており、長孔691の前後方向の範囲内(開口内)でスライド移動可能である。ここで、支持軸531は、カバー558が閉状態である時の長孔691の当接部591より後側に配置されている。そのため、カバー558を閉状態とするまで長孔691の当接部591と支持軸531とが接触することはない。
図29(a2)に示すように、感光ドラム103の回転軸線方向における長孔691の範囲を矢印X方向に変化させることでスライド部525のスライド移動可能範囲を変化させることが可能である。
例えば図29(a2)に示すように、長孔691の前側の縁を図29(a1)と比べて支持軸531に近くなるように長孔691の前後方向の範囲を狭める。すると、光プリントヘッド105を退避位置とした時の第3支持部526から保持体505までの上下方向の距離は長孔691の範囲を狭める前の光プリントヘッド105を退避位置とした時の第3支持部526から保持体505までの上下方向の距離と比べて大となる。
以上の構成により、スライド部525前側から後側に向けてスライド移動すると、支持軸531が長孔691の前側の端部に当該スライド移動方向とは逆方向(後側から前側へと向かう方向)に突き当たり、スライド部525のスライド移動とリンク部材651の回動が停止し、保持体505が退避位置となる。以上により、開口部700に差し込まれ挿抜される清掃部材572に設けられた摺擦部574の移動経路上に、保持体505が備えるレンズアレイ506の光出射面が重なるように位置する。
以上、説明したように、実施例2の画像形成装置1は、突き当て部(停止機構)の一例としてスライド部525の長孔691を用いる。長孔691は、光プリントヘッド105を露光位置から退避位置に向けて移動させるスライド部525のスライド移動を停止させ、光プリントヘッド105を退避位置とする機能を有する。これにより、開口部700に差し込まれ挿抜される清掃部材572に設けられた摺擦部574の移動経路上に、退避位置となった保持体505が備えるレンズアレイ506の光出射面が位置する。したがって、清掃部材572を開口部700に対し挿抜することで、レンズアレイ506の光出射面を十分に清掃することができる。
(実施例3)
また、光プリントヘッド105を退避位置とする機構としては、図29(b)に説明するように、突き当て部(停止機構)の一例として当接部材982を用いてリンク部の一例としてのリンク部材651の回動を停止させる機構でも構わない。当該機構について図29(b)を用いて詳細を説明する。
図29(b)は、実施例3における突き当て部(停止機構)を説明するための図である。
図29(b)に示すように、突き当て部(停止機構)の一例としての当接部材982が第3支持部526に対して固定されている。当接部材982は第3支持部526においてスライド部525側に立設した、例えば円柱状の突起である。当接部材982は、リンク部材651が備える軸受部610と感光ドラム103の回転軸線方向において対向して配置されている。スライド部525の前側から後側へ向けての移動に伴い、リンク部材651が備える軸受部610が当接部材982に当接するとスライド部525のスライド移動とリンク部材651の回動とが停止し、光プリントヘッド105が退避位置となる。ここで、当接部材982は、カバー558が閉状態である時のリンク部材651の軸受部610より後側に配置されている。そのため、カバー558を閉状態とするまで軸受部610と当接部材982とが接触することはない。
光プリントヘッド105を退避位置とした時の第3支持部526から保持体505までの上下方向の距離は、当接部材982が第3支持部526において前側に配置されている程、大となる。
なお、ここでは当接部材982を第3支持部526に対して固定したが、固定する部材は第3支持部526に限らず第3支持部526に対して移動しない部材であれば構わない。
以上、説明したように、実施例2の画像形成装置1は、突き当て部(停止機構)の一例として当接部材982を備える。当接部材982は、回動しながら保持体505を露光位置から退避位置に向けて移動させるリンク部材の回動を停止させ、保持体505を退避位置とする。これにより、開口部700に挿入される清掃部材572に設けられた摺擦部574の移動経路上に、退避位置となった保持体505が備えるレンズアレイ506の光出射面が重なるように位置する。したがって、清掃部材572を開口部700に対し挿入されることで、レンズアレイ506の光出射面を十分に清掃することができる。