JP6946202B2 - 自動分析装置 - Google Patents

自動分析装置 Download PDF

Info

Publication number
JP6946202B2
JP6946202B2 JP2018004327A JP2018004327A JP6946202B2 JP 6946202 B2 JP6946202 B2 JP 6946202B2 JP 2018004327 A JP2018004327 A JP 2018004327A JP 2018004327 A JP2018004327 A JP 2018004327A JP 6946202 B2 JP6946202 B2 JP 6946202B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
automatic analyzer
pressure
sample
dispensing
time
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2018004327A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2019124529A (ja
JP2019124529A5 (ja
Inventor
和弘 野田
和弘 野田
健太 今井
健太 今井
俊輔 佐々木
俊輔 佐々木
博也 梅木
博也 梅木
亨 稲葉
亨 稲葉
航 佐藤
航 佐藤
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Hitachi High Tech Corp
Original Assignee
Hitachi High Tech Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Hitachi High Tech Corp filed Critical Hitachi High Tech Corp
Priority to JP2018004327A priority Critical patent/JP6946202B2/ja
Priority to PCT/JP2019/000836 priority patent/WO2019139159A1/ja
Priority to CN201980005823.4A priority patent/CN111602061B/zh
Publication of JP2019124529A publication Critical patent/JP2019124529A/ja
Publication of JP2019124529A5 publication Critical patent/JP2019124529A5/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6946202B2 publication Critical patent/JP6946202B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • GPHYSICS
    • G01MEASURING; TESTING
    • G01NINVESTIGATING OR ANALYSING MATERIALS BY DETERMINING THEIR CHEMICAL OR PHYSICAL PROPERTIES
    • G01N35/00Automatic analysis not limited to methods or materials provided for in any single one of groups G01N1/00 - G01N33/00; Handling materials therefor
    • GPHYSICS
    • G01MEASURING; TESTING
    • G01NINVESTIGATING OR ANALYSING MATERIALS BY DETERMINING THEIR CHEMICAL OR PHYSICAL PROPERTIES
    • G01N35/00Automatic analysis not limited to methods or materials provided for in any single one of groups G01N1/00 - G01N33/00; Handling materials therefor
    • G01N35/10Devices for transferring samples or any liquids to, in, or from, the analysis apparatus, e.g. suction devices, injection devices

Landscapes

  • Physics & Mathematics (AREA)
  • Health & Medical Sciences (AREA)
  • Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Analytical Chemistry (AREA)
  • Biochemistry (AREA)
  • General Health & Medical Sciences (AREA)
  • General Physics & Mathematics (AREA)
  • Immunology (AREA)
  • Pathology (AREA)
  • Automatic Analysis And Handling Materials Therefor (AREA)

Description

本開示は、液体を吸引吐出する分注ユニットを備えた自動分析装置に関する。
生化学分析装置や免疫分析装置などの自動分析装置は、生体試料などの検体を規定量吸引して反応容器内に吐出する検体分注ユニットと、検査試薬を規定量吸引して反応容器内に吐出する試薬分注ユニットと、反応した試薬を検出する検出ユニットと、を備える。
ここで、検体分注ユニットや試薬分注ユニットは、液中に挿入するプローブ、液体の吸引および吐出を駆動するシリンジ、プローブとシリンジ間をつなぐ流路によって構成される。自動分析装置は、液体にプローブを挿入して規定量の液体を吸引し、プローブを異なる容器に移動して吐出を行うことで、規定量の液体を分注する。なお、自動分析装置の検体分注においては、次の検査への検体成分の持ち越しを防ぐために、プローブの先端に使い捨てのチップを装着することもある。
自動分析装置を使用する場合、液体分注の際に、検体容器ハンドリングによって発生した気泡を吸引する、高粘度液体や検体中のフィブリン等の繊維素により流路内が詰まる、といった分注の異常が起こりうる。それ故、自動分析装置を用いる場合、分注の異常を正確に検知することによって、確度の高い分析結果を得ることができる。
分注の異常検知を行う手法として、例えば特許文献1には、試料吐出時の圧力変動に対し、特定の時区間における圧力データの積分値や、吐出終了時に算出した平均圧力と正常に吐出した時に算出した平均圧力との差を指標とし、これらを予め設定された閾値と比較することで、分注の異常を検知する技術が開示されている。
また、計測装置が遠隔地で計測した計測値の推定を行うものとして、特許文献2には「計測モデルにより、計測対象の計測値を制御系などで安定化させなくても、環境変動に左右されない計測対象の推定計測値を得ることができる」技術、即ち、計測モデルの計算により測定データを高精度化する技術が開示されている。
特表平11−501399号公報 特開2013−167623号公報
上記のとおり、特許文献1に記載された方法は、試料吐出時の圧力変動に対し、特定の時区間における圧力データの積分値や、吐出終了時に算出した平均圧力と正常に吐出した時に算出した平均圧力との差を指標とし、これらを予め設定された閾値と比較することで分注状態の検知を行う。しかし、吐出する分注量が少ない場合、正常時と異常時とで圧力波形に大きな差異が認められず分注状態の予測精度が悪化する。例えば、装置周囲の温度や外気圧などが変化した場合、正常時の圧力波形と異常時の圧力波形との差分と同程度の圧力波形の変化が生じてしまうため分注状態の予測精度が悪化する。つまり、特許文献1に記載された方法では、環境の変化に対応することが難しい。
また、特許文献2に記載された技術では、気泡の有無や液体の粘度といった計測装置によって計測していないパラメータが計測モデルの算出対象となっていない。そのため、モデルの算出対象となっていない分注状態の検知や計測していないパラメータの予測が高精度にできないという課題があった。
本開示は、上記の点に鑑みてなされたものであり、自動分析装置が分注する溶液の量が少量であり、計測していない未知のパラメータがあっても、分注状態を高精度に予測できる技術を提供する。
上記課題を解決するために、液体を分注するプローブと、前記プローブが前記液体を分注するための圧力変動を発生させるシリンジと、前記プローブと前記シリンジを接続する流路と、前記プローブが前記液体を分注する際の前記流路内の圧力を測定する圧力センサと、前記圧力センサが測定した前記圧力の時系列データを記憶する記憶部と、前記流路内の液体流動の基準圧力波形を物理モデルに基づいて計算するシミュレータと、前記プローブが判定対象の液体を分注した際の前記圧力の時系列データと、前記シミュレータが算出した前記基準圧力波形と、の情報に基づいて、前記判定対象の液体の分注状態を判定する判定部と、を備える自動分析装置を提供する。
本開示によれば、自動分析装置が分注する溶液の量が少量であり、計測していない未知のパラメータがあっても、分注状態を高精度に予測できる。上記以外の課題、構成および効果は、以下の実施の形態の説明により明らかにされる。
実施例1に係る自動分析装置の概略構成図である。 実施例1に係る検体分注ユニットの概略構成図である。 自動分析装置が分注状態の1つである空吸いをした場合のチップ内の流体移動を示す図である。 空吸い検知に使用する流体計算シミュレータの計算フローを示す図である。 分注量が4μLの場合の正常分注と完全空吸いの基準圧力波形を示す図である。 分注状態の検知の処理フローを示す図である。 計算された統計距離の2次元プロットを示す図である。 温度変化に対する圧力波形の変化を表す図である。 高粘度検体を吸引する時の流体移動を示す図である。 流体計算シミュレータにより作成された、吸引時の基準圧力波形を示す図である。 高粘度検体によって生じる詰まり検知の処理フローを示す図である。 物理モデルに入力した粘度と対応する統計距離とを2次元平面にプロットした図である。 実施例2の自動分析装置が推定した検体の粘度の度数分布を示す図である。 データ同化手法を用いた流体計算シミュレータの処理フローを示す図である。
以下、図面に基づいて、本開示の実施例を説明する。なお、本開示の実施例は、後述する実施例に限定されるものではなく、その技術思想の範囲において、種々の変形が可能である。また、後述する各実施例の説明に使用する各図の対応部分には同一の符号を付して示し、重複する説明を省略する。
<実施例1>
まず、本開示の実施例1を以下に説明する。実施例1に係る自動分析装置は、分注状態の一つである気泡の吸引(以下、空吸いと称する)の検知を行う。
[自動分析装置の構成]
図1は、実施例1に係る自動分析装置101の概略構成図である。図1において、自動分析装置101は、検体ラック102を搬送するラック搬送ライン103と、試薬保冷ユニット104と、インキュベータディスク(反応ディスク)105と、検体分注機構(試料分注機構)106と、試薬分注機構107と、消耗品搬送ユニット108と、検出部ユニット109と、を備えている。
検体ラック102は、血液や尿などの生体試料(検体)を収容する複数の検体容器(試料容器)110を収納し、検体容器110が収納された状態でラック搬送ライン103上を搬送される。
試薬保冷ユニット104には、検体の分析に用いる種々の試薬が収容された複数の試薬容器111が収納・保冷されている。試薬保冷ユニット104の上面の少なくとも一部は試薬ディスクカバー112により覆われている。
インキュベータディスク105は、検体と試薬を反応させるための複数の反応容器113が配置される反応容器配置部114と、反応容器113の温度を所望の温度に調整する温度調整機構(図示せず)を有している。
検体分注機構106は、回転駆動機構や上下駆動機構(図示せず)を有し、これらの駆動機構により検体容器110からインキュベータディスク105に収容された反応容器113に検体を分注することが可能である。また、試薬分注機構107も同じく回転駆動機構や上下駆動機構(図示せず)を有し、これらの駆動機構により試薬容器111からインキュベータディスク105に収容された反応容器113に試薬を分注する。検出部ユニット109は、光電子増倍管や光源ランプ、分光器、フォトダイオード(図示せず)を備え、それらの温度を調整する機能をもち、反応液の分析を行う。
図2は、実施例1に係る検体分注ユニットの概略構成図である。プローブ202は、自由に着脱可能なチップ201が装着され、流路203を介してシリンジ204に接続されており、それらの内部は液体で充填されている。
シリンジ204はシリンダ204aとプランジャ204bとから構成され、プランジャ204bにはシリンジ駆動手段205が接続されている。シリンジ駆動手段205によってプランジャ204bをシリンダ204aに対して上下に駆動させることで、検体分注ユニットは検体の吸引と吐出を行う。
プローブ202にはプローブ駆動手段206としてモータが接続されており、これによってプローブ202を水平方向および垂直方向に移動させ、所定の位置に移動させることができる。なお、シリンジ駆動手段205およびプローブ駆動手段206は制御部207によって制御される。
容器208内の検体(試料)209を吸引する場合、吸引動作に先立ち、プローブ202内に充填されている液体と検体209とが混ざり合わないようにするために空気(分節空気)をプローブ202内に吸引し、チップ201をプローブ202の先端に取り付ける。その後、プローブ駆動手段206により、チップ201先端が検体209の液中に到達するまでプローブ202を下降させ、吸引動作を行う。検体吸引動作が終了すると、プローブ202は検体吐出位置へ移動し、シリンジ204が吐出動作を行う。
検体209を吐出後、給水ポンプ210によって給水タンク211内の洗浄水212を高圧で吐き出すことで、プローブ202を洗浄することが可能である。給水タンク211への流路の開閉は電磁弁213により行う。なお、電磁弁213は制御部207によって制御される。
流路203内の圧力を測定するための圧力センサ214は、分岐ブロック215を介し、プローブ202、流路203、シリンジ204を含む流路系に接続されている。ここで、圧力センサ214はプローブ202およびチップ201の開口部の圧力変動を感度良く測定するために、可能な限りプローブ202側に設置することが望ましい。圧力センサ214の出力値は信号増幅器216によって増幅され、A/D変換器217によってデジタル信号に変換される。デジタル変換された信号は判定部218に送られる。
判定部218は、A/D変換器217からの信号をサンプリングするサンプリング部219と、シミュレーションを行い比較部220に計算結果を出力する流体計算シミュレータ221と、サンプリングデータと計算結果を比較する比較部220と、によって構成される。
環境測定装置222は、自動分析装置101の設置環境での温度や外気圧(環境情報)を測定する。測定された環境情報は、記憶部223に送られる。記憶部223には、上記環境情報に加え、装置固有のシリンジ動作パターン、管路径および管路長などの情報も記憶されている。記憶部223に記憶された情報は、自動分析装置101が分注状態の検知を行う時に、判定部218内の流体計算シミュレータ221に送られる。
なお、判定部218は、専用の回路基板として装置内のハードウェアとして構成されてもよいし、プロセッサが記憶部223に記録されたプログラムを読み込んで実行することで判定部218として機能してもよい。さらには、無線または有線で自動分析装置101と通信可能に接続されたサーバ内のプロセッサがプログラムを読み込んで実行し、判定部218として機能してもよい。
図3は、自動分析装置101が空吸いをした場合のチップ201内の流体移動を示す図である。図3(a)はプローブ202が検体301を吸引する時の流体移動を示し、図3(b)はプローブ202が溶液を吐出する時の流体移動を示す。空吸いは、検体301を吸引する時に、誤って気泡302をチップ303内に吸引することで発生する。空吸いの原因としては検体容器ハンドリングによって意図せず発生した気泡による液面の誤検知などが考えられる。なお、気泡は、血液の検体が搬送される途中で振られるなどした場合に発生する。
チップ201内を気泡が移動する場合と検体301が移動する場合とを比較すると、流体の粘性による管路内の圧力損失が異なる。管路内の摩擦による圧力損失を表す物理式の一例として、以下のハーゲン・ポアズイユの式が挙げられる。
Figure 0006946202
ここでPlossは圧力損失、μは流体の粘度、Lは管路長、πは円周率、dは管路直径、Qは管路内の流量を表す。式(1)より、流量の大きさと圧力損失は比例関係にあるので、空吸い状態の検知は吸引工程および吐出工程のうち流量の大きい工程で行った方が精度よく検知しやすい。本実施例では、吐出工程の流量が大きいため、吐出工程の圧力データを用いて空吸い状態の検知を行う。
図4は、空吸い検知に使用する流体計算シミュレータ221の計算フローを示す図である。当該シミュレータでは、溶液が管路内を1次元の流体方程式に従って運動する(運動方向を管路方向1次元とする)モデルのシミュレーションを実行する。具体的には、上記流体計算シミュレータ221では管路を複数の1次元の空間メッシュに切り分けて扱う。このとき、管路径が変化する箇所や、液体から気体(または、気体から液体)など流体の相が変化する箇所でメッシュを切り分けることが望ましい。また、精度が不足するならば、上述のメッシュに加えてさらに細かなメッシュを加える、あるいは2次元や3次元の流体計算を行う、としてもよい。さらに、管路径や管路の材質、流体の種類などに応じて、メッシュの刻み幅を変化させてもよい。また、自動分析装置101の周囲の環境情報は、環境測定装置222が測定して記憶部223に記録する。以下に、図4のフローについて説明する。
(S401)
まず、流体計算シミュレータ221は、記憶部223より環境情報を取得する。環境情報とは、例えば、装置周辺の温度や外気圧などである。環境測定装置222の測定操作は、流体計算シミュレータ221の計算前であればよく、例えば、自動分析装置101の立ち上げ時、あるいは分注動作の直前などいつ行ってもよい。ただし、環境測定装置222は温度や外気圧などが変化するタイムスケールよりも短い時間間隔で環境情報を取得することが望ましい。
(S402)
次に、流体計算シミュレータ221に時刻t=0(初期条件)の設定を行う。ここで、管路の径や管路の材質等の管路情報と、自動分析装置101の周囲の温度や外気圧といった環境情報と、管路内の流体配置と、各流体の物性値と、を設定する。流体配置としては、例えば、プローブ202が検体を正常に吸引していることを仮定して物理モデルを計算する場合は管路内に規定量の検体が入っている状態を設定し、プローブ202が完全に空吸いをしていることを仮定して物理モデルを計算する場合は検体の代わりに空気が入っている状態を設定する。これに加えて、分注する検体の粘度が異なる状態、空吸いと正常吸引の中間状態、分離剤など検体と異なる液体を吸引した状態、などに応じて異なる初期条件を設定してもよい。なお、空吸いと正常吸引の中間状態は、空吸いの度合いに対応する複数の初期条件が考慮されてもよい。
また、環境測定装置222での環境測定およびS401の処理を省略し、S402の処理において、温度や外気圧などの環境情報を未知のパラメータとして扱う環境状態の異なるモデルを用意してもよい。同様に、管路径や材質等の管路情報も未知のパラメータとして扱う管路状態の異なるモデルを用意してもよい。ただし、分注状態の検知の精度向上と計算負荷低減の観点から、上記環境情報および管路情報を既知として、流体配置のみ未知のパラメータとすることが望ましい。
(S403)
続いて、流体計算シミュレータ221は、記憶部223よりシリンジ速度を取得する。
(S404)
流体計算シミュレータ221が、時刻t+dtでの物理量pおよびuの計算を行う。これは、時刻tの物理量から時刻t+dtの物理量を推定する処理である。ここでdtは数値計算のための時間刻み幅を表す。次の時刻の物理量推定は以下の連立方程式により行う。
Figure 0006946202
Figure 0006946202
ここで、pは圧力、uは流速、Kは流体の体積弾性率、Eは管材のヤング率、bは管の壁厚、dxはメッシュ長、ρは流体密度、λは管摩擦係数を表す。また下付き添え字の、Uはメッシュの上流側の物理量を、Dはメッシュの下流側の物理量を表す。また、上付き添え字のnは時刻tの物理量を、n+1は時刻t+dtの物理量を表す。上付き添え字の*にnを代入した時は陽的な解法、*にn+1を代入した時は陰的な解法になる。
式(3)の右辺第2項は管摩擦による圧力損失を表している。管摩擦以外の圧力損失の原因として、管路径の変化、管路の重力方向高低差、管路出口、なども考えられ、これらの効果を加えてもよい。本実施例では数値計算の安定性を重視し陰的な解法を示したが、計算時間を短縮するために陽的な解法を用いてもよい。
(S405)
流体計算シミュレータ221は、数値計算を終了する終了時刻の判定を行う。流体計算シミュレータ221は、終了時刻に達していない場合、上記の手続きを予め設定された終了時刻まで再度S403から処理を行う。終了時刻に達した場合、S406の処理に進む。なお、数値計算の終了時刻は、吐出のためのシリンジ駆動の終了時刻より後の時刻に設定することが望ましい。このようにすると、より長い時間に亘って定義された圧力波形の比較ができ、分注状態の予測精度が向上する。
(S406)
流体計算シミュレータ221は基準圧力波形の作成を行い、処理を終了する。基準圧力波形とは、圧力センサ214によって計測する圧力を流体計算シミュレータ221が計算し、時系列で並べたデータである。ここで判定速度の向上のため、計算の終了時刻に達する前から、計算結果と計算結果を得た時刻とを順次出力することで基準圧力波形の作成を計算と平行して行ってもよい。
図5は、分注量が4μL(マイクロリットル)の場合の正常分注と完全空吸いの基準圧力波形を示す図である。実線L1が正常分注の圧力、破線L2が完全空吸いの圧力を示す。図5に示されているように、4μLという微小な液量を正常に分注した場合と完全空吸いの状態で分注した場合との圧力差はわずかであることがわかる。本実施例では、環境情報等を物理モデルに組み込むことでこのようなわずかな差から高精度に分注の異常を検知することができる。
図6は、分注状態の検知の処理フローを示す図である。以下に、処理フローの各ステップについて説明する。
(S601)
流体計算シミュレータ221で基準圧力波形を作成する。
(S602)
制御部207がシリンジ駆動手段205を制御してプローブ202から検体を吸引する。
(S603)
制御部207がシリンジ駆動手段205を制御してプローブ202から検体を吐出する。検体の吐出と同時に、圧力センサ214から圧力の時系列データを収集する。なお、基準圧力波形の作成は、吸引工程や吐出工程とは独立したプロセスであるため、取得圧力データと基準圧力波形との統計距離を計算する前であればいつ行ってもよい。ただし、分注状態の検知を速やかに行うという観点では、基準圧力波形の作成は吸引工程よりも前に終わっていることが望ましい。また分注状態の検知精度向上のため、圧力センサ214を管路内の複数箇所に設置し、圧力データを収集してもよい。この場合は、それぞれの圧力センサ214の位置での基準圧力波形を用意するとよい。
(S604)
流体計算シミュレータ221が、取得圧力データと基準圧力波形との統計距離を計算する。このとき、正常分注に対応する基準圧力波形と空吸いに対応する基準圧力波形の両方に対して、統計距離の計算を行う。統計距離の例としては、式(4)のユークリッド距離が挙げられる。
Figure 0006946202
ここで、Xはユークリッド距離、kは取得時系列データ数、iは時系列データ番号、ptemplateは基準圧力波形の圧力値、pdataは取得圧力データの圧力値を表す。なお統計距離としては、マハラノビス、標準ユークリッド、マンハッタン、チェビシェフ、ミンコフスキー、多変量正規密度、などの公知の距離指標を用いてもよい。また、異常がある場合に圧力値に変化が起きやすい特定の時刻のデータに対して重みづけを行って上記統計距離を算出してもよい。さらには、圧力の平均値の差や圧力の積分値の差を統計距離として使用してもよい。
(S605)
比較部220が、統計距離の計算結果に基づいて分注状態の判定を行う。比較部220は、例えば、正常分注の基準圧力波形と取得データとに基づいて算出された統計距離と、空吸いの基準圧力波形および取得データとに基づいて算出された統計距離とを比較する。正常分注の基準圧力波形と取得データとに基づいて算出された統計距離が、空吸いの基準圧力波形と取得データとに基づいて算出された統計距離以下である場合(取得した圧力データが正常範囲内である場合)、S606の処理に進む。正常分注の基準圧力波形と取得データとに基づいて算出された統計距離が空吸いの基準圧力波形と取得データとに基づいて算出された統計距離よりも大きい場合(取得した圧力データが正常範囲外である場合)、S607の処理に進む。
図7は、計算された統計距離の2次元プロットを示す図である。図中、上記の判定方法に基づいて、実測値の圧力データが正常吸引データと空吸いデータとに分離されている様子が示されている。このように、本実施例では、基準圧力波形と取得した圧力データとに基づいて統計距離を計算することによって、分注状態を判定することができる。
(S606)
比較部220が、分注状態は正常と判定する。
(S607)
比較部220が、分注状態は空吸いと判定する。比較部220が分注状態を空吸いと判定した場合、分析結果の正確性を確保するためにアラートを表示する、あるいは当該検体に対する以降の検査工程をキャンセルするなどの対策を行ってもよい。また、空吸いによって不足した分注量を、再び分注するという補償を行ってもよい。上記のキャンセル動作や補償を行うことにより、分析結果の確度を向上させることができる。
図5に示されているように、自動分析装置101が4μL程度の少量分注を実施する場合、正常分注時の圧力波形と完全空吸い時の圧力波形との差分が非常に小さい。また、上記圧力波形は温度や外気圧などの周囲の環境変化や装置固有のシリンジ動作パターンの違いによって、上記差分と同程度の変化をしてしまう。それ故、少量分注をする場合の分注状態の異常検知は、環境変化や装置の個体差を考慮しない場合精度が落ちてしまう。温度変化を例に挙げて上述のことを以下に具体的に説明する。
図8は、温度変化に対する圧力波形の変化を表す図である。L1、L2およびL3は、それぞれ、装置周囲の気温が15℃、24℃および34℃の時の正常分注に対応する圧力波形である。それぞれの圧力波形の差分は、図5に示された空吸いに対応する基準圧力波形と正常分注に対応する基準圧力波形との差分と同程度である。つまり、装置周囲の温度が変化すると分注状態が空吸いか正常分注かを精度よく判定することができなくなってしまう。
このため、物理モデルを介して周囲の環境変化、装置固有のシリンジ動作特徴や管路の特徴を取り込むことによって、高精度な分注状態の検知を実行することができる。また、本実施例では、血液などの検体中に生じた気泡や検体の粘度など未知のパラメータがある状況であっても、物理モデルを用いてシミュレーションすることにより、多様な環境下での分注状態の高精度な検知を実施できる。
なお、本実施例の分注状態の検知は正常分注に対応する基準圧力波形のみを用いて行ってもよい。その場合は、正常分注に対応する基準圧力波形と取得データとの統計距離を所定の閾値と比較し、統計距離が閾値以下であれば正常、閾値以上であれば空吸いと判定する。また分注時の圧力データと、検体液面の画像、静電容量、電気抵抗などの情報を組み合わせて空吸い検知を行ってもよい。
上記状態検知は、吐出工程の圧力データの代わりに、吸引工程の圧力データを使用してもよい。吸引工程の圧力データを使用する場合、図6のフローチャートに示された統計距離の計算と分注状態の判定を、吐出工程より前に行ってもよい。吐出工程の前に状態の判定を行い、異常を検知した場合に、吐出工程を含む、以降の分注動作をキャンセルすることで、試薬の無駄を削減することができる。
基準圧力波形の作成において、空吸い状態と正常分注状態との間の複数の中間状態に対応する基準圧力波形を作成した場合、作成したそれぞれの基準圧力波形と取得データとの統計距離を算出し、分注状態を判定する。その場合、比較部220は、統計距離が最も小さい基準圧力波形を生成するときに設定した分注状態が実際の分注状態であると判定する。このようにすると、分注状態を正常状態と空吸い状態との2種類だけでなく、空吸いの程度に応じた中間状態の判定を行うことができる。この場合、自動分析装置101は、対応する中間状態の分注量に応じて、アラートの表示や不足量の再分注などを行ってもよい。
<実施例2>
続いて、実施例2の自動分析装置について説明する。実施例2の自動分析装置のハードウェアの構成は、実施例1の自動分析装置101の構成と同じである。実施例2では、空吸いの検知ではなく、プローブの詰まりの検知を行う。具体的には、実施例2では高粘度検体による詰まりの判定を行う。詰まりの検知をする際は、例えば、吸引時の圧力データに基づいて異常検知を実施する。
図9は、高粘度検体を吸引する時の流体移動を示す図である。検体901は分節空気902と流路を満たす液体(システム水903)を介してシリンジ204の駆動(図示せず)により吸引される。図9(a)は、正常吸引時のチップ904とプローブ905内の流体移動を示す図であり、図9(b)は詰まり時のチップ904とプローブ905内の流体移動を示す図である。プローブ905内は分節空気902とシステム水903で満たされている。またチップ904内には分節空気902があり、吸引時に検体901が流入する。
チップ904または、プローブ905に詰まりが起こると、プランジャ204bの駆動量に対して検体901の吸引量が小さくなる。このため、分節空気902の体積が膨張し管路内の圧力が低くなる。この効果を利用して、吸引時の圧力データから検体分注ユニットの状態検知を行う。
実施例2に係る自動分析装置は、実施例1と同様に、図4のフローチャートに示された処理フローを実行する流体計算シミュレータ221を用いて基準圧力波形を計算する。以下に、実施例1と異なる点について述べる。
実施例2では吸引時の基準圧力波形を生成する必要があるため、「時刻t=0(初期条件)の設定」(S402)における管路内の流体配置設定が異なる。初期条件は、管路内に検体901が無い状態である。また、「記憶部223よりシリンジ速度取得」(S403)で検体901吸引時のシリンジ駆動速度を取得する。なお、シミュレーション終了時刻は、検体901を吸引するためのシリンジ駆動終了時刻より後の時刻に設定することが望ましい。そのようにすると、長い時間間隔でシミュレーション結果の圧力と取得した圧力との差を計算できる。
また、高粘度検体による詰まりが発生した状態で吸引した場合に測定される圧力の時系列データと近い基準圧力波形を見つけるために、検体粘度の異なる複数のモデルでシミュレーションを行う。このとき、検体粘度は詰まりを発生させる粘度と、詰まりを発生させない粘度のものを計算するとよい。また、検体中のフィブリンなどの繊維素による詰まりを模擬する基準圧力波形を作成してもよい。ここで、ある閾値よりも粘度が高い場合、詰まりを発生させる高粘度検体であるとし、粘度が当該閾値以下の場合、詰まりを発生させない粘度の検体であるとする。
図10は、流体計算シミュレータ221により作成された、吸引時の基準圧力波形を示す図である。図10において、L1、L2、L3、L4の順で低粘度検体から高粘度検体を模擬している。流体計算シミュレータ221は、さらに多い種類の粘度の検体について基準圧力波形を作成してもよい。
図11は、高粘度検体によって生じる詰まり検知の処理フローを示す図である。以下に、図11の処理フローについて説明する。
(S1101)
まず、流体計算シミュレータ221で基準圧力波形を作成する。流体計算シミュレータ221は、複数の粘度の入力値に対応する複数の基準圧力波形を作成する。
(S1102)
続いて、制御部207はプローブ202を制御して検体を吸引し、併せて、検体を吸引している際の圧力データを時系列データとして収集する。
(S1103)
その後、制御部207は検体の吐出を実行する。
(S1104)
比較部220は、検体を吸引している際の圧力データを収集した後、取得圧力データと基準圧力波形との統計距離を計算する。統計距離としては実施例1と同様のものを使用することができる。比較部220は、統計距離の大小を比較することで、取得圧力データに最も近い基準圧力波形を選択する。即ち、比較部220は、統計距離が最小となる基準圧力波形を選択する。
(S1105)
続いて、比較部220は吸引検体の粘度推定を行う。図12は、物理モデルに入力した粘度と対応する統計距離とを2次元平面にプロットした図である。粘度推定は、図12に示すように、物理モデルに入力した粘度と対応する統計距離とを2次元平面にプロットし、最適モデルを表す点付近で近似曲線を作成し、当該近似曲線における最も統計距離が小さい点(図12中の点A)の粘度を検体の粘度とすることによって実施する。また、実施例2の自動分析装置は、粘度推定と同時に、検体粘度の推定結果から実際に吸引できた検体体積を推定してもよい。また、実施例2の自動分析装置は、繊維素による詰まりの基準圧力波形と取得した圧力データとの統計距離を計算して、繊維素による詰まりの判定を行ってもよい。
図13は、実施例2の自動分析装置が推定した検体の粘度の度数分布を示す図である。図13の度数分布において、分布は、低い粘度に対応する正常吸引群Aと高い粘度に対応する詰まり群Bとに分離されている。正常吸引群Aは、例えば、推定した粘度が所定の値以下の検体の集合であり、詰まり群Bは推定した粘度が上記所定の値よりも大きい検体の集合である。なお、上記所定の値は、経験的にそれ以下であれば詰まりを起こさないと考えられる値またはそれよりも大きければ詰まりを起こすと考えられる値である。
(S1106)
比較部220が、分注状態の判定をする。実施例2の場合、分注状態の判定とは、検体の推定粘度が詰まりを起こす粘度であるか否かの判定をすることを意味する。分注状態を判定した結果、推定粘度が正常範囲内(推定粘度が所定の値以下)である場合、S1107に進む。分注状態を判定した結果、推定粘度が正常範囲外(推定粘度が所定の値よりも大きい)である場合、S1108に進む。なお、分注状態の判定は、吸引した検体体積の推定値をある閾値と比較して行ってもよい。
(S1107)
比較部220は、分注状態が正常と判定して処理を終了する。
(S1108)
比較部220は、分注状態が詰まりと判定する。この場合、分析結果の正確性を確保するために、アラートを表示する、あるいは当該検体に対する以降の検査工程をキャンセルする等の対策を行うことが望ましい。また、検体が高粘度検体であると推定された場合は、チップ201の先端を検体内に長い時間浸して規定量の分注を行ってもよい。繊維素による詰まりが発生していると推定された場合は、繊維素を除去した後に、再び検体の吸引を行ってもよい。このように、繊維素による詰まりと高粘度検体による詰まりを分離して判定することで、有効な補償動作を選択することが可能である。
上記のとおり、実施例2の自動分析装置は、装置周辺の環境変化、装置固有のシリンジ動作特徴や管路の特徴といった情報を物理モデルに取り込むことで、精度の高い分注状態の検知を実行できる。装置周辺の温度および/または外気圧が変化する、検体の粘度や気泡の有無や繊維素の有無などが未知である、といった多様な環境下での分注状態の高精度検知は、先行技術では実現困難であり、本開示のような構成が有効である。また、実施例2の自動分析装置では、繊維素による詰まりの判定や粘度の推定を実行するため、詰まりの原因に応じた対策を行うことが可能である。判定に応じて、続く工程のキャンセル動作や補償を行うことにより、分析結果の確度を向上させることができる。
実施例2の検体の粘度推定と詰まりの状態検知は、正常吸引の基準圧力波形と取得した圧力データとの統計距離に基づいて行うことも可能である。ここで、正常吸引の基準圧力波形とは、例えば、物理モデルに詰まりが生じない検体の粘度を入力して算出した圧力波形であり、当該入力には気泡の有無に関する情報を含んでもよい。この場合は、算出した統計距離と予め設定された閾値とを比較し、統計距離が閾値以下であれば分注状態は正常、閾値よりも大きければ分注状態は詰まりと判定する。その結果、検体の粘度や気泡の有無などが未知であったとしても、検体の分注状態が正常であるか詰まりであるかを精度よく判定することができる。
また、実施例2では、吸引工程の圧力データのみを使用して分注状態を判定できるため、プローブ202が検体を吐出する前に全ての計算、推定および判定を行うことが可能である。検体吐出よりも先に推定および判定を行うことで、分注状態が詰まりと判定された際に検体吐出をキャンセルし、試薬の無駄を削減することが可能である。
上記状態検知では、吸引工程の圧力データを使用したが、吐出工程の圧力データを使用して判定を行ってもよい。吐出工程の圧力データを使用する際は、正常分注の基準圧力波形のみを使用して分注状態を判定してもよいし、管路内での詰まりを仮定して算出した基準圧力波形と正常分注を仮定して算出した基準圧力波形とを組み合わせて分注状態の判定を行ってもよい。
<実施例3>
実施例3の自動分析装置について以下に説明する。実施例3の自動分析装置は、空吸いや詰まりを含めた分注状態の検知に、データ同化による逐次推定手法を用いる。ここでは、データ同化手法として粒子フィルタ(ベイジアンフィルタ)を使用した例を紹介する。粒子フィルタのほかにも、公知のカルマンフィルタ、アンサンブルカルマンフィルタ、拡張カルマンフィルタ、融合粒子フィルタなどのフィルタを用いてもよい。
図14は、データ同化手法を用いた流体計算シミュレータ221の処理フローを示す図である。データ同化手法を用いる場合、流体計算シミュレータ221の計算時に圧力センサ214で取得した時系列圧力データが必要である。時系列圧力データは、検体を吸引する際に取得した圧力データであってもよいし、検体を吐出する時に取得した圧力データであってもよい。図14の処理フローについて以下に説明する。なお、実施例1の図4に示された処理と同様の処理については詳細な説明を省く。
(S1401)
流体計算シミュレータ221が、記憶部223より環境情報を取得する。
(S1402)
流体計算シミュレータ221に時刻t=0での初期条件(粒子)をN個設定する。初期条件に含まれる値としては、管路内の流体配置および各流体の物性値等がある。N個の粒子のそれぞれは、異なる初期条件として設定される。例えば、上記N個の初期条件は、空吸いや詰まりに対応する流体配置や、検体粘度などの物性値を変化させて作成する。この際、環境測定装置を使用しない場合や、環境測定装置の測定精度が不十分な場合は、記憶部223から環境情報を取得する処理を省略し、環境情報を変化させた初期条件を作成することで、環境情報の推定を同時に行ってもよい。
(S1403)
流体計算シミュレータ221が、記憶部223よりシリンジ速度を取得する。
(S1404)
流体計算シミュレータ221が、時刻t+dtでの物理量p(圧力)およびu(流速)の計算をする。
(S1405)
流体計算シミュレータ221が、参照時刻の判定をする。ここで、参照時刻とは、流体計算シミュレータが算出した圧力値と圧力センサ214が取得した測定値とを比較する時間間隔のことを意味する。参照時刻は、圧力センサ214が圧力の測定を終える時刻としてもよく、圧力センサ214が圧力の測定を終える時刻よりも前の時刻としてもよい。時刻が参照時刻に到達してない場合、S1403の処理から再度くりかえす。時刻が参照時刻に到達している場合、S1406の処理に進む。
(S1406)
流体計算シミュレータ221が、算出した基準圧力波形と圧力センサ214が取得した測定値とをベイズ統計に基づいて比較し、各粒子の尤度計算をする。尤度の計算は、例えば、以下の式(5)に基づいて実行される。
Figure 0006946202
ここでYは尤度、πは円周率、npsは圧力センサの数、sobs測定誤差の標準偏差、jは圧力センサ番号、psimは流体計算シミュレータでの圧力値、pobsは圧力センサ測定値を表す。尤度は、N個の粒子全てに対して計算される。
(S1407)
流体計算シミュレータ221が粒子の更新をしてS1408の処理に進む。粒子を更新する方法としては、例えば、各粒子に対して当該粒子の尤度Yで重み付けした確率で粒子を抽出し、N個の粒子を再度選択する方法がある。上記のように粒子を更新することによって、実際の測定結果と一致度が高い初期条件をもつ粒子が優先的に生き残ることになる。なお、更新された各粒子に対して、初期条件や計算された物理量に乱数を付加するとよい。このようにすると、N個の粒子の多くが同一の粒子(初期条件)となることを防ぐことができる。
(S1408)
流体計算シミュレータ221は、終了条件の判定をする。終了時刻に達していない場合、流体計算シミュレータ221が再度S1403の処理に戻る。終了時刻に達した場合、流体計算シミュレータ221は生き残ったN個の粒子のうち、取得した圧力データとの統計距離が最も小さい粒子(初期条件)を出力して処理を終了する。終了条件としては、ある時刻に達したか否かで終了判定する手法以外にも、粒子(初期条件)の収束性で終了判定する手法などが挙げられる。時刻で終了判定する際は、吸引終了あるいは吐出終了よりも後の時刻に終了時刻を設定し、終了時刻へ到達した際に終了すればよい。粒子(初期条件)の収束性で判定する場合、粒子(初期条件)のばらつきが、ある閾値以下になった時に終了すればよい。
続いて、比較部220が、流体計算シミュレータ221が出力した粒子(初期条件)が示す、空吸いの程度や検体粘度の情報を閾値と比較することで、分注状態を検知する。検体粘度の閾値は、例えば、詰まりの状態か否かを判定できる検体粘度の境界値であり、検体粘度が閾値以上の場合は詰まりと判定し、閾値未満の場合は詰まりでないと判定する。また、空吸いの閾値は、例えば、空吸いの状態か否かを判定できる境界値であり、管内の検体量が閾値以下の場合は空吸いと判定し、閾値より大きい場合は空吸いでないと判定する
分注状態が詰まりであるかまたは空吸い状態であると判定された際は、実施例1および実施例2で説明した、工程のキャンセルや補償を行うとよい。工程のキャンセルや補償を行うことにより、分析結果の確度を向上させることができる。
上記のとおり、実施例3の自動分析装置は、物理モデルを介して周囲の環境変化や装置固有のシリンジ動作の特徴や管路の特徴を取り込むことで、分注状態の高精度な検知を実行することができる。実施例1と同様に多様な環境下での分注状態の高精度な検知は、先行技術では実現困難であり、本実施例のような構成が有効である。また、粒子(初期条件)の収束性で終了判定を行えば、流体計算シミュレータ221の計算時間を短縮することができる。流体計算シミュレータ221の計算時間短縮は分注状態の判定を高速化するうえで有効である。
なお、本開示は上記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施例は本開示を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。また、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
101:自動分析装置、102:検体ラック、103:ラック搬送ライン、
104:試薬保冷ユニット、105:インキュベータディスク、106:検体分注機構、
107:試薬分注機構、108:消耗品搬送ユニット、109:検出部ユニット、
110:検体容器(試料容器)、111:試薬容器、112:試薬ディスクカバー、
113:反応容器、114:反応容器配置部、201:チップ、202:プローブ、
203:流路、204:シリンジ、204a:シリンダ、204b:プランジャ、
205:シリンジ駆動手段、206:プローブ駆動手段、207:制御部、
208:容器、209:検体(試料)、210:給水ポンプ、211:給水タンク、
212:洗浄水、213:電磁弁、214:圧力センサ、215:分岐ブロック、
216:信号増幅器、217:A/D変換器、218:判定部、219:サンプリング部、
220:比較部、221:流体計算シミュレータ、222:環境測定装置、223:記憶部、301:検体、302:気泡、303:チップ、901:検体、902:分節空気、
903:システム水、904:チップ、905:プローブ

Claims (11)

  1. 液体を分注するプローブと、
    前記プローブが前記液体を分注するための圧力変動を発生させるシリンジと、
    前記プローブと前記シリンジを接続する流路と、
    前記プローブが前記液体を分注する際の前記流路内の圧力を測定する圧力センサと、
    前記圧力センサが測定した前記圧力の時系列データを記憶する記憶部と、
    時刻tの物理量を用いて物理モデルに基づいて、時間刻み幅dtごとに時刻t+dtの物理量を逐次的に計算することにより、前記流路内の液体流動の基準圧力波形を作成するシミュレータと、
    前記プローブが判定対象の液体を分注した際の前記圧力の時系列データと、前記シミュレータが算出した前記基準圧力波形と、の情報に基づいて、前記判定対象の液体の分注状態を判定する判定部と、
    を備える自動分析装置。
  2. 請求項1に記載の自動分析装置において、
    前記シミュレータは、分注状態を特徴づける入力を受け付け、前記入力に対応する基準圧力波形を算出する、
    自動分析装置。
  3. 請求項2に記載の自動分析装置において、
    前記入力は、前記液体の粘度、前記液体に含まれる気泡の量、および前記気泡の配置の少なくとも一つを含む、
    自動分析装置。
  4. 請求項2に記載の自動分析装置において、
    気温および外気圧の少なくとも1つを含む装置周囲の環境情報を測定する環境測定装置をさらに備える自動分析装置。
  5. 請求項4に記載の自動分析装置において、
    前記入力は、前記環境測定装置の測定結果を含む自動分析装置。
  6. 請求項5に記載の自動分析装置において、
    前記入力は、前記シリンジの駆動速度を含む自動分析装置。
  7. 請求項1に記載の自動分析装置において、
    前記シミュレータは、前記圧力の時系列データと前記基準圧力波形との統計距離を計算する、
    自動分析装置。
  8. 請求項7に記載の自動分析装置において、
    前記統計距離は、マハラノビス距離、ユークリッド距離、標準ユークリッド距離、マンハッタン距離、チェビシェフ距離、ミンコフスキー距離または多変量正規密度のいずれかである、
    自動分析装置。
  9. 請求項1に記載の自動分析装置において、
    前記シミュレータが計算する前記物理モデルは、1次元流体方程式である、
    自動分析装置。
  10. 請求項1に記載の自動分析装置において、
    前記判定部は、ベイジアンフィルタを用いて前記圧力の時系列データと前記基準圧力波形とを比較する、
    自動分析装置。
  11. 請求項2に記載の自動分析装置において、
    前記分注状態を特徴づける入力は、正常に吸引している状態を模擬する入力と、空気が入っている状態や詰まりを模擬する入力を有することを特徴とする、
    自動分析装置。
JP2018004327A 2018-01-15 2018-01-15 自動分析装置 Active JP6946202B2 (ja)

Priority Applications (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2018004327A JP6946202B2 (ja) 2018-01-15 2018-01-15 自動分析装置
PCT/JP2019/000836 WO2019139159A1 (ja) 2018-01-15 2019-01-15 自動分析装置
CN201980005823.4A CN111602061B (zh) 2018-01-15 2019-01-15 自动分析装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2018004327A JP6946202B2 (ja) 2018-01-15 2018-01-15 自動分析装置

Publications (3)

Publication Number Publication Date
JP2019124529A JP2019124529A (ja) 2019-07-25
JP2019124529A5 JP2019124529A5 (ja) 2020-09-10
JP6946202B2 true JP6946202B2 (ja) 2021-10-06

Family

ID=67219139

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2018004327A Active JP6946202B2 (ja) 2018-01-15 2018-01-15 自動分析装置

Country Status (3)

Country Link
JP (1) JP6946202B2 (ja)
CN (1) CN111602061B (ja)
WO (1) WO2019139159A1 (ja)

Families Citing this family (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN114608963B (zh) * 2022-03-25 2023-11-28 电子科技大学 一种基于排气法的金属丝杨氏模量测量装置及测量方法
CN117547671B (zh) * 2024-01-05 2024-05-10 深圳汉诺医疗科技股份有限公司 血液气泡监测中异常报警的控制方法、装置、设备及介质

Family Cites Families (18)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2515938B2 (ja) * 1991-10-18 1996-07-10 アロカ株式会社 液体の吸引方法
JP3318629B2 (ja) * 1993-06-18 2002-08-26 ソニー株式会社 液体の吸引/排出装置及び方法
JP3158084B2 (ja) * 1997-09-25 2001-04-23 アロカ株式会社 自動分注機能を有した分析用装置
JPH11258244A (ja) * 1998-03-16 1999-09-24 Olympus Optical Co Ltd 分注装置の異常検知方法および異常検知装置
JP2000121649A (ja) * 1998-10-09 2000-04-28 Furuno Electric Co Ltd 自動分注装置
US6370942B1 (en) * 2000-05-15 2002-04-16 Dade Behring Inc. Method for verifying the integrity of a fluid transfer
JP4248328B2 (ja) * 2002-08-07 2009-04-02 株式会社日立ハイテクノロジーズ サンプル分注装置およびそれを用いた自動分析装置
US7027935B2 (en) * 2002-08-07 2006-04-11 Hitachi High Technologies Corp. Sample dispensing apparatus and automatic analyzer using the same
JP2004271266A (ja) * 2003-03-06 2004-09-30 Hitachi High-Technologies Corp 分注装置およびそれを用いた自動分析装置
JP3119773U (ja) * 2005-12-22 2006-03-09 株式会社日立ハイテクノロジーズ 自動分析装置
JP2009174911A (ja) * 2008-01-22 2009-08-06 Hitachi High-Technologies Corp 自動分析装置、および自動分析方法
JP5249000B2 (ja) * 2008-12-01 2013-07-31 アズビル株式会社 導圧管の詰まり診断装置および詰まり診断方法
JP5277214B2 (ja) * 2010-07-27 2013-08-28 株式会社日立ハイテクノロジーズ 自動分析装置
JP2012189514A (ja) * 2011-03-11 2012-10-04 Toshiba Corp 自動分析装置
JP5865633B2 (ja) * 2011-09-01 2016-02-17 株式会社日立ハイテクノロジーズ 自動分析装置
JP6204104B2 (ja) * 2013-07-29 2017-09-27 株式会社堀場製作所 液体分析装置
WO2015174226A1 (ja) * 2014-05-15 2015-11-19 株式会社日立ハイテクノロジーズ 自動分析装置
JP6567890B2 (ja) * 2015-06-19 2019-08-28 株式会社日立ハイテクノロジーズ 自動分析装置

Also Published As

Publication number Publication date
JP2019124529A (ja) 2019-07-25
WO2019139159A1 (ja) 2019-07-18
CN111602061A (zh) 2020-08-28
CN111602061B (zh) 2023-07-14

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6076108B2 (ja) 自動分析装置
JP6649942B2 (ja) 自動分析装置
US7027935B2 (en) Sample dispensing apparatus and automatic analyzer using the same
JP6602753B2 (ja) 自動分析装置
JP5899075B2 (ja) 自動分析装置
JP2004125780A (ja) サンプル分注装置およびそれを用いた自動分析装置
JP2000039440A (ja) 血餅その他の閉塞物の検出方法、試料採取システム及び許容できない試験試料の分離方法
JP6407895B2 (ja) 自動分析装置
JP2011505561A (ja) ピペットによる吸引中の不十分な試料の検出
JP2010216876A (ja) 分析装置および分注プローブ洗浄方法
JP6946202B2 (ja) 自動分析装置
US11918995B2 (en) Automatic liquid transfer optimization pipetting apparatus and method
JP2004271266A (ja) 分注装置およびそれを用いた自動分析装置
WO2020188897A1 (ja) 自動分析装置
WO2021111725A1 (ja) 自動分析装置及び分注方法
JP6911262B2 (ja) 臨床分析器における吸引不足の検出
JP5374092B2 (ja) 自動分析装置および血液サンプル分析方法
US20240201209A1 (en) Classifying pipetting procedures with median of pressure curves
WO2010150502A1 (ja) 自動分析装置
US20240201219A1 (en) Determining Physical Parameters of a Liquid
CN112955749B (zh) 异常判定方法和自动分析装置
US20240201208A1 (en) Determining physical parameters of a liquid with simulation
CN117295954A (zh) 分注装置、自动分析装置以及分注方法

Legal Events

Date Code Title Description
A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20200731

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20200731

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20210831

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20210915

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6946202

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150