JP2011505561A - ピペットによる吸引中の不十分な試料の検出 - Google Patents

ピペットによる吸引中の不十分な試料の検出 Download PDF

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Abstract

液体吸引プロセスの終了直前の限定された期間中に生成された圧力プロファイルを分析し、残差の標準偏差を臨界値と比較して、液体が所望の十分な量であるかを判定する。

Description

本発明は、容器からの一定量の液体の吸引に関し、より具体的には、液体吸引プロセス中に、不十分な試料量を確認するための改善された方法に関する。
体液、たとえば尿、血清、血漿、脳脊髄液等の化学分析及びイムノアッセイを行うための、完全に自動化された診断分析器が市販されている。一般的に、患者の試料内の分析対象物と、分析中に用いられる試薬との間の反応は、信号を生成し、ここから患者の試料内の分析対象物の濃度を算出し得る。そのような自動分析器は、一般的に吸引手段、たとえば試料チップ、又はプローブもしくは針を用いて、分析器上に配置された容器間で、たとえば試料容器、試薬容器及び反応キュベット間で所望の量の液体試料又は液体試薬を移す。以下、用語「吸引」の変形は、そのような、1つの容器から液体を抽出し、同じ又は別の容器内に、少なくともいくらかの液体を注入するためのプロセスのすべてをさし、液体取り扱い作業を完了させるために必要とされる補助装置をさらに含む。
通常、吸引は、中空通路を有する細長い針状のプローブ又はピペットを含み、これによって液体は、適切なポンプ源を用いて、プローブ内に吸引され及び/又はそこから分配され得る。ピペットは、水平及び垂直運動を提供するように適合された移送機構によって運搬されることができ、ピペットチップが液体を吸引するためにタンク内の液体内部に降下することが可能になり、ピペットが液体を吸引するために最適な位置まで降下される別の場所に液体を移送する。いくつかのタイプの装置、たとえばピストンアセンブリは、ピペット内に組み込まれる場合があり、電子的に作動して、ピペット内部に液体を吸引し、真空圧を用いてピペットから液体を分配する。
液体を吸引するとき、吸引に使用可能な液体量が所望の量の吸引液体よりも少ないか、すなわち吸引プロセス中にプローブ内に空気が吸引されているか、を迅速かつ正確に判定することが望ましい。以下に記載するように、そのような「不足試料」状態を検出するためのさまざまな方法が既知である。
米国特許第6,938,504号は、液体計量供給プロセスを開示し、媒体の少なくとも1つの状態変数の時間的経過は、基本的に計量供給プロセス全体にわたって判定され、相関によって、所定の状態変数公称範囲と数学的に比較される。
米国特許第6,370,942号は、液体が吸引されたことを検証するための圧力差試験を含む3つの別個の吸引試験を使用することによって、空気の吸引を判定する方法を開示している。吸引プロセスの間中にわたり取得されたデータを用いる3つのアルゴリズムが使用され、それぞれが、他の場所に移送されるために放出される試料の明確な結果をもたらすことになっている。
米国特許出願公開第20070143063号は、参照により本明細書に組み入れられるが、全吸引圧力曲線のプロファイルを判定し、実際と数理的との間の差が、内部にクロットを有することが分かっているか、又は所望の吸引量よりも少ないことが分かっている試料で測定された吸引圧力曲線の線形回帰分析の残差の標準偏差よりも小さいかを数値解析によって判定することによる吸引プロセスの健全性を検証する方法を開示している。
前述の不足試料検出方式では、一般的に吸引曲線の形状は、全吸引プロセスの相当に広い部分にわたって分析される。通常、これらのシステムは、吸引プロセスの間中に異なる所定の間隔で真空圧を測定することと、算出された値を、所定の満足な値の範囲と比較することとに依存する。しかし、臨床分析器の到達技術水準が前進するに従い、分析器のコントローラによって処理される作動データ量が劇的に増大し、不足試料等の動作状況が検出される時間の量に加え、分析器の作動状況の監視中に報告が必要とされるデータ量が減少することが重視されている。このため、液体吸引プロセス中に不十分な試料を判定するより効率的な方法、特に、当技術分野で必要とされるよりも少ないデータ取得が必要とされる方法に対する要望がある。
したがって、本発明の目的は、ピペットチップ内に吸引された液体の量が十分であることを確認するための方法を提供することである。このことは、吸引プロセスを表す吸引圧力曲線の短縮された最終部分にわたり、吸引圧力プロファイルの線形回帰分析から、残差の標準偏差を判定することによって達成される。残差の標準偏差が所定の臨界値よりも大きい場合、少なくとも所定の液体量を有する試料について吸引プロセスが行われることがわかっている。
本発明に加え、他の目的及びさらなる特徴をよりよく理解するために、添付の図面に関連して、さまざまな好ましい実施形態の詳細な説明について以下に述べる。
本発明を実施し得る吸引システムの概略図である。 順調な試料吸引を可能にするために十分な量の試料を図示する、図1の吸引システムで動作可能な通常の吸引圧力プロファイルの図示である。 本発明の、順調な試料吸引を可能にするために不十分な量の試料を図示する、図1の吸引システムで動作可能な通常の吸引圧力プロファイルの図示である。 十分に多い試料量から得られた「公称」吸引圧力の比較的短時間の部分中に得られた圧力データの線形回帰分析の図示である。 本発明の、不十分に多い試料量から得られた「公称」吸引圧力の比較的短時間の部分中に得られた圧力データの線形回帰分析の図示である。
図1は、本発明の実践に有用である従来の液体吸引システム10を図示し、タンク16内に貯蔵された液体、たとえば試料液体14を吸引して分配するためのピペット12を含み、本出願の譲渡人に譲渡され、参照により本明細書に組み入れられる同時継続中の米国特許出願第11/857,922号(DCS−9248)内の記載と類似する。液体分配システム10を説明する目的で、1つのそのような試料液体14が示されているが、当業者においては、本出願の譲渡人に譲渡され、参照により本明細書に組み入れられ、参照によりその中に組み入れられる特許及び特許出願を含む同時継続中の米国特許出願第11/941,204号(DCS−9238)内、および、本出願の譲渡人に譲渡され、参照により本明細書に組み入れられ、参照によりその中に組み入れられる特許及び特許出願を含む同時継続中の米国特許出願第10/862,507号(DCS−9159)内に記載されているような自動臨床分析器内に、任意の数の試料液体タンクを存在させることができることは明白である。代表的な実施形態では、液体分配システム10は、自動臨床分析器(図示せず)で用いることができる。そのような自動臨床分析器は、当技術分野では周知であり、当業者においては、言及された分析器のエレメントの機能を確実に知っているであろう。
一般的に、ピペット12は、遠位オリフィス40で末端をなす円錐状に狭窄する先端形状を有していてもよい取り替え可能なピペットチップ20を、担持するように適合され得る中央キャビティ18を含み、液体は遠位オリフィスを通してキャビティ18内部に吸引され、また液体はそれを通してキャビティから分配される。中央キャビティ18は、ホルダがチップと係合すると、チップキャビティに通じる。交代に、ピペットチップ20は、中央キャビティ18と一体化していてもよい。吸引システム10は、吸引中にキャビティ18内部に真空圧を、そして分配中に正圧を作り出すように適合された吸引/分配圧力制御30をさらに含む。圧力源30は、管材26によってピペットに接続され、その内部圧力は、本発明を実践する他に、関連する分析器の動作を制御するようにプログラムされたシステムコンピュータベースのコントローラ24と連結された従来の圧力トランスデューサによって監視される。典型的な圧力源30は、管材26によって、ピペットチップ20の反対側の上端側でピペット12に接続されたピストンアセンブリ32である。図1に見られるような吸引システム10は、当業者には周知であり、多様な部材及び設計で接続されてもよい。本発明を実践することは、圧力を用いて液体吸引及びピペット12からの分配を生じさせること、及び吸引圧力を監視することのみを必要とする。
通常、液体吸引システム10は、図で示された移送装置22を含み、これは任意の好適なタイプでよい。移送装置22は、分析器内でピペット12を水平(X方向)に、垂直(Z方向)に、及び前後(Y方向)に移動させて、ピペット12が、ピペットチップ20(使い捨てチップが用いられている場合)をピックアップし、液体14を試料液体タンク16又は管16からピペットチップ20内に吸引して、試験分析エレメント又は他の容器内(図示せず)に、所望の量の液体試料を分配することを可能にする。一般的に、移送装置22内部で、ステッパモータ、電子ドライバ、インターフェイス回路及びリミットスイッチを用いて、ピペット12の移送を制御し、これらはシステムコンピュータ24に連結する。交代に、ピペット12は、ラックアンドピニオンドライバによって、垂直なz軸に沿って平行移動してもよい。従来の電子機器を用いて、コンピュータ24に移送装置を連結する。
図示されるように、ピペット12は、液体14を保持するためのキャビティ18と、そこから、コンピュータ24からのコマンドに応答してピペット12全体にわたって可変真空圧を作り出すための真空圧測定装置又はトランスデューサ28及び圧力制御30に接続される管26とを有する。そのような装置及びソースは、当技術分野では周知である。ステンレス鋼等の金属又はポリプロピレン等のプラスチック及び類似の材料から作られた市販のピペット12と、ビニール、ポリプロピレン、ポリエチレン、金属等から作られた管26とを本発明に用いてもよい。圧力測定装置28は、本発明の吸引方法の間、ピペット12内部の空気圧を継続的にも周期的にも測定する。代表的な圧力測定装置28は、圧力トランスデューサ(SenSym,Miltipas,Calif製の型番SCXL004DN)であり、コンピュータ24と連結して、コンピュータ24に、管26内部の測定された空気圧を提供する。
代表的な吸引圧力制御30はピストンシリンジ装置であり、ステッパモータ34と、シリンジピスンの動きを制御して、圧力制御30に管26を通して空気を吸引させて分配させるエンコーダ又はホームリミットスイッチ(図示せず)とに機械的に接続される。吸引圧力制御30及び圧力検知装置28は、液体吸引システム10の動作を制御するために用いられるコンピュータ24に電子的に連結される。また、コンピュータ24は、移送装置22を介したピペット12動きの他に、ピペットチップ24への液体の吸引及びそこからの液体の分配を制御するための信号を提供する。
そのような例では、図1に図示されるように、圧力制御30は、閉鎖されたチャンバ36内部にピストン34を前進後退させるためのモータ32に取り付けられたピストン34を含む。ピストン34の下降運動は、チャンバ36の体積を増大させる傾向にあるため、相互接続された管材26、キャビティ18及びピペットチップ20から、液体14を吸引するためのキャビティ18に空気を引き込むチャンバ36内に真空又は負の空気圧を引き起こす。チャンバ内に向かって前進するピストン36は、チャンバ36の体積を減少させることによって正の空気圧を提供し、これはチップオリフィスを介してピペットチップ20から液体を吐き出して分配するために、チャンバ36から、相互接続された管材26、キャビティ18及びピペットチップ20内に空気を押し出す。このように、ピストン36は、ピペットチップ20内の液体の吸引及そこからの液体の分配に備える。
本発明によれば、吸引圧力制御30及び圧力検知装置28は、コンピュータ24によって制御されて分析され、全吸引プロセスの省略された部分の間に生成された圧力プロファイルの分析を通して、吸引された試料液体14の量が十分であることを判定する。全吸引サイクルの省略された部分のみにわたって、吸引された試料液体14が十分であることが判定することによって、本発明は、分析器のコントローラに、圧力データの他にそのような判定を行うために必要とされるデータ量を報告するために必要とされる時間を短縮させる。
本発明の重要な特色は、圧力トランスデューサ28からの圧力測定を分析して、吸引プロセスの短縮された最終部分の間のみ、いわゆる「不足した試料」を、残りのプロセスの間に圧力測定を必要とすることなく確認することである。吸引圧力トランスデューサ28は、ポンピング動作又は試料吸引の終了前に、圧力トランスデューサ28からの特定数の圧力測定読み取りだけ起動される。圧力データは、たとえばA/D(ディジタル信号に変換されたアナログ信号)変換器を用いて、全吸引プロセスの最終部分のみを取り込むために十分に長い期間収集される。圧力データは、吸引サイクル中にリアルタイムで収集される。通常の実施形態では、アナログ入力サブシステムは、圧力検知装置を、読み取り値を結果として吸引データセットに包含するためにそれぞれ読み取ってバッファリングする一定の速度(たとえば500Hz)のタイムスタンピングで読み取る。吸引プロセスと平行して、圧力データは、アナログサブシステムバッファから、吸引データセット内に周期的に転送される。吸引データは、ポンピング動作の初期部分の前及びその最中に生じる一連のタイムスタンピングされた圧力読み取り値からなる。各プロセスイベント(吸引サイクル開始、ポンピングサイクル開始、吸引圧力読み取り終了)は、データセットに記録される。プロセスイベントに近接した結合を達成するために、データは、これらのイベントと同期してアナログシステムからさらに読み取られる。そして、結果として得られる吸引データセットは、吸引プロセスの関連部分の分析を可能にするいくつものタイムスタンピングされた圧力及びイベントマーカを含む。
試料液体14の上面部の検知は、本発明の譲受人に譲渡され、参照によって本明細書に組み入れられる米国特許第7,150,190号に記載されているもの等の、本技術分野において周知である静電容量レベル検知技術を用いて、システム10を介して行われてもよい。当該明細書で開示された技術は、液体レベルセンサの静電容量の変化が、所与の期間にわたって反復可能及び一定であることを検証することによって、液体レベルセンサ内部での静電容量のあらゆる変化が、プローブと液体との間の真の物理的接触によってのみ生じるため、プローブと液体のとの実際の接触によって生じ、疑似電気妨害又は他の測定不備によって生じないことを確証している。
いったんタンク16内の液体レベルが判定されると、試料吸引が始まる。吸引圧力制御30によって生成される真空は、試料液体14をピペットチップ20内に引き上げる。サンプル時間時点では、ピペット12は下降して、タンク16内の試料のレベルに従って下がり、チップ20の液体14内への浸漬を維持する。タンク16の直径に依存して、異なる下降速度が用いられる。吸引が完了した後、イベントの最後に近い部分の間のみ記録された圧力プロファイルは、以下に記載されるように検査されて、ピペットチップ20は、液体試料14から後退する。さらに、大量の空気がチップ20内に吸引されて、吸引された試料液体14をチップ20の底から遠ざけて、起こり得る滴下を防止してもよい。
吸引の速度は、圧力プロファイルに、吸引成功分析に必要な特徴を提供する一方で、サイクル時間を最小限にして、圧力信号の大きさを圧力トランスデューサ28の限度内に維持するように選択される。
図2は、周知の吸引圧力プロファイルの図示であり、順調な試料吸引を可能にするために十分な量の試料を図示する図1の吸引システムとともに動作可能である通常の吸引圧力プロファイルのグラフィカルな表示を図示する。図2の吸引プロセスは、以下のイベントを含む。
P1=ピペット20内への液体の実際の吸引前の平均相対圧力
Pb=ピペット20内への液体の実際の吸引開始時の相対圧力
Pa=実際の吸引中の圧力測定範囲
Pend=ピペット20内への液体の実際の吸引終了時の圧力
Pp=吸引後、平衡前の圧力
Peq=吸引後、平衡時の相対圧力
吸引プロセスに影響することが知られているパラメータの1つは、吸引液体14の所望量である。コンピュータ24は、液体吸引システム10の動作を制御して、特にPbが確立された後で所定の時間にわたって吸引圧力制御30を動作させることによって、そのような所望量を運ぶようにするようにプログラムされる。これは時間周期、すなわち「吸引サイクル時間」であり、この間に圧力測定が吸引中行われ、Pend、すなわち吸引終了時の圧力が達成される時点で終了する。
本発明は、Pendの直前の期間を包含する吸引サイクルの限定された部分にわたって不足している試料のための、空気の吸引のための吸引プロセスを監視する。図3は、本発明による、順調な試料吸引を可能にするために十分な量の試料を図示する図1の吸引システムをともに動作可能である吸引圧力プロファイルの図示である。本発明は、Pend範囲中で不足試料が生じた場合、圧力トランスデューサ28によって測定された圧力が、図3に「Pss」として定義された概ね水平な線によって示されるように、横ばい状態になることに基づく。コンピュータ15への分析システムの負荷を低減させるために、Pend範囲は、一般に、Pbで始まりPendで終了する全吸引サイクルの約20%の範囲内になるように選択される。図3の破線は、適正な吸引プロセスを示し、適正および不十分な吸引プロセスの全体形状を対比させることが含まれる。
吸引は、吸引中の圧力/時間プロファイルが、異常又は非均一性がない場合に液体のために得られた所望する圧力プロファイルと一致しない場合に失敗する。一致の度合いは、測定された圧力プロファイルと、異常又は非均一性がない場合の圧力プロファイルとの間の相違を表す積分の実計算に近似させる、任意の数の周知の数値解析手法を用いて得られ得る。既知のように、積分のあらゆる定義は特定の測定に基づく。すなわち、ルベーグ積分はルベーグ測度に基づき、リーマン積分はジョルダン測度に基づく。測度の研究及びそれらの積分への応用は、測度論として知られる。一般的に、これらの手法は、さまざまな形状のルベーグ積分であり、集合のルベーグ測度を用いて比較される関数の上限又は下限において定義される。値が近似された点集合のルベーグ測度のルベーグ和を用いる。このタイプの積分は、リーマン積分がするよりも広い区分の関数を包含し、この積分は、普通は微積分法のテキストで出会い、医師及び技術者によって用いられる。ニュートン・コーツの公式は、数値積分法の別のわかりやすい仲間である。いくつかの間隔にわたって関数を積分するために、等分され、表関数に近似された多項式が求められて積分され、曲線下の領域に近似される。ラグランジュ補間多項式を用いて、適した多項式を見つける。結果として得られる数式は、ニュートン・コーツの公式、又は求積公式と呼ばれる。数値が単に表にされたものに代えて、関数が明確に与えられた場合、積分の最良な数値的方法は、ガウシアン求積法と呼ばれる。吸引圧力をサンプリングする間隔を選ぶことにより、本手順は、実際と所望の圧力プロファイル間の変動の、より正確な近似値を作り出す(しかし、実施するにはより複雑である)。
これに代えて、シンプソンの法則、ニュートン・コーツ公式を用いて、求積多項式(すなわち、台形法で用いられる直線セグメントに代えて放物曲線)を用いることによって、実際と所望の圧力プロファイル間の積分の変動を近似させることができる。シンプソンの法則は、3つの等間隔点における関数に適した三次ラグランジュ補間多項式を積分することによって導き出すことができる。これは求積多項式を用いて関数を近似させるため、シンプソンの法則は実際に、多項式の積分が三次元の度合いまで近似されたときに、正確な結果をもたらす。
これに代えて、ガウシアン求積法を使用して、関数を求めるための最適な横座標を選ぶことによって、圧力変動の最良の数値測定を得ることができる。ガウシアン求積の基本定理は、m点ガウシアン求積公式の最適な横座標は、厳密には同じ間隔及び重み関数のための直交多項式である。ラドーの求積法又はラゲールの求積法から、わずかに最適を下回る適合が得られる場合がある。これらのような手法を使用して、本発明を有利に行うことができるが、吸引中に測定された圧力/時間プロファイルが、異常又は非均一性がない場合の液体で達成されることで知られる圧力/時間プロファイルとどの程度一致しないかの測定の正確さの度合いは、単なる相対的測定であるため、本発明では、残差の標準偏差として知られる、あまり高度ではない数値解析法が使用される。
測定されたプロファイルと、予想されるプロファイルとの間の相違は、特定の時間その時点の残差である。プロファイルの時間にわたる残差の標準偏差は、異常又は非均一性がない場合のプロファイルと、測定されたプロファイルとの間の適合又は適合の欠如を測定する。しかし、残差の低標準偏差は、それだけでは順調な試料量の吸引のインジケータではない。
残差は、偶然誤差及び統計誤差の両方の部分で構成され、分散誤差及び偏り誤差と呼ばれる(N.R.Draper及びH.Smith、“Applied Regression Analysis”、John Wiley & Sons、1966、36頁)。本発明では、両方の誤差が、吸引された液体の異常及び非均一性を示す。残差の高い標準誤差は、使用が異常であったか又は非均一性を有していたことを示唆する。残差の標準偏差が所与の値を上回っていないことを試験するための、数多くの他の周知の数学的手順がある(Abraham Wald,“Sequential Analysis”、Dover Publications、1947、125頁)。
吸引中の不足試料の存在を確認するために、本発明では、比較的短時間の部分Tssの間に、図4に示される十分に多量の試料から得られる「通常」吸引圧力プロファイルの約20%の範囲内で、圧力トランスデューサ28によって圧力データが得られる。これらの圧力データを用いて、線形回帰分析が行われ、本ケースではY=圧力及びx=吸引時間である、Y=a+b Xとして表される場合の一般回帰方程式の傾斜b及び交点aを求める。そのような算出の結果は、破線の「線形回帰線」LRLとして図4に見られる。次に、実際及び理論的圧力データ間の分散は、上述のような任意の数多くの数値手法を用いて数学的に求められる。
代表的な実施形態では、残差分散は、線形回帰線LRLに関する実際の圧力値の分散の測定として算出される。残差分散RVは、以下の式によって与えられ、ここでyは実際の測定された圧力値、y’はLRL数式によって算出された圧力、y−y’は残差、及びnはデータ点の数である。
(RV)=(y−y’)2n−2
残差分散の平方根は、推定残差の標準偏差である。残差(y−y’)の標準偏差が諸低地よりも大きい場合、所望量を吸引するには試料が不十分であったことが見出されている。所定量は、液体の所望量よりも少ない液体試料を吸引し、そのような不適当な吸引の残差の標準偏差を算出することによって試験的に求められてもよい。
図5は、図1の吸引システムで得られる吸引圧力プロファイルのグラフィカルな表示であり、試料不足の場合に、本発明によって得られる吸引圧力曲線の線形回帰分析を図示する。Pend直前の期間Tssを包含する吸引サイクルの短縮された最終部分のみにわたる、図4の十分な量の試料吸引プロファイルの、LRLの残差の標準偏差と、図5の不十分な量の試料吸引プロファイルの、LRLssの残差の標準偏差との比較は、十分な量の試料吸引プロファイルのLRLの残差が、不十分な量の試料吸引圧力プロファイルを有する、不足試料のLRLssの残差よりも大きいことを示す。最小限の実験によって、たとえば、250μLの十分な量の試料吸引プロファイルと、200μL及び250μLの不十分な量の試料吸引プロファイルのLRLの残差とを比較することによって、不十分な量の試料吸引のLRLがより少ない臨界値を求めることができる。この臨界値は、吸引システム10の設計における数多くのばらつき(たとえば、中央キャビティ18、ピペットチップ20、圧力源30、管材26、圧力トランスデューサ28等のばらつき)によって影響され、結果的にそのような「十分な量の吸引プロファイル」に関連する残差標準偏差の範囲を判定するための較正プロセスを必要とする、残差値の普遍的に適用可能な「臨界値」を求めることが可能ではなくなる。したがって、本発明は、先行技術では定常的であるような、十分な試料量である試料14に対して、圧力値が全吸引プロセスについて評価される必要なく吸引プロセスが行われていることを確認又は確証するための改善された方法を提供する。
当業者においては、本明細書で開示された本発明の実施形態が、本発明の原理の例証であり、依然として本発明の範囲内である他の改変物が使用されてもよいことが理解されよう。たとえば、吸引中に測定された圧力/時間プロファイルの、異常又は非均一性がない場合のプロファイルからの分散は、より高度な数値積分手法、たとえばニュートン・コーツ公式、シンプソンの法則又はガウシアン求積法を用いて、より高い精度で得られる場合がある。また、本発明の明らかな変形物を、パラメータのわずかな調節で、流体結合システムに適用可能のはずである。したがって、本発明は、厳密には明細書に示され記載された実施形態に限定されないが、以下の特許請求の範囲のみによる。

Claims (8)

  1. 吸引プロセスで吸引された液体試料量が、少なくとも所望量と同程度であることを判定するための方法であって、
    前記吸引プロセスを表す吸引圧力曲線の短縮された最後の部分のプロファイルを判定することと、
    吸引圧力曲線の短縮された最後の部分の第1の数学的表現を算出することと、
    十分な量であると分かっている試料の吸引圧力曲線の短縮された最後の部分の第2の数学的表現を算出することと、
    短縮された最後の部分のプロファイルと、短縮された最後の部分の第1の数学的表現との間の差の残差の標準偏差が、限定部分のプロファイルと、第2の数学的表現との間の差の残差の標準偏差と少なくとも同程度であると判定することと、
    それによって、吸引された液体試料が、少なくとも所望量と同程度であることを確証することと、
    を含む方法。
  2. 吸引圧力曲線の前記短縮された最後の部分が、吸引終了の直前である、請求項1記載の方法。
  3. 吸引圧力曲線の前記短縮された最後の部分が、全吸引プロセスのおよそ20%程度である、請求項2記載の方法。
  4. 前記第2の数学的表現が、傾きがゼロの線形数学的表現である、請求項1記載の方法。
  5. 吸引プロセスで吸引された液体試料が、所望量よりも少ない体積を有することを判定するための方法であって、
    前記吸引プロセスを表す吸引圧力曲線の短縮された最後の部分のプロファイルを判定することと、
    吸引圧力曲線の短縮された最後の部分の第1の数学的表現を算出することと、
    十分な量であると分かっている試料の吸引圧力曲線の短縮された最後の部分の第2の数学的表現を算出することと、
    短縮された最後の部分のプロファイルと、短縮された最後の部分の第1の数学的表現との間の差の残差の標準偏差が、限定部分のプロファイルと、第2の数学的表現との間の差の標準偏差よりも小さいと判定することと、
    それによって、吸引された液体試料が、所望量よりも少ないことを結論づけることと、
    を含む方法。
  6. 吸引圧力曲線の前記短縮された最後の部分が、吸引終了の直前である、請求項5記載の方法。
  7. 吸引圧力曲線の前記短縮された最後の部分が、全吸引プロセスのおよそ20%程度である、請求項6記載の方法。
  8. 前記第2の数学的表現が、傾きがゼロの線形数学的表現である、請求項5記載の方法。
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