JP6946072B2 - 電気機器の診断システム及び方法 - Google Patents

電気機器の診断システム及び方法 Download PDF

Info

Publication number
JP6946072B2
JP6946072B2 JP2017122768A JP2017122768A JP6946072B2 JP 6946072 B2 JP6946072 B2 JP 6946072B2 JP 2017122768 A JP2017122768 A JP 2017122768A JP 2017122768 A JP2017122768 A JP 2017122768A JP 6946072 B2 JP6946072 B2 JP 6946072B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
mold resin
physical quantity
residual stress
electric device
electrical equipment
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2017122768A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2019007806A (ja
Inventor
侯泰 吉村
侯泰 吉村
宗太 木村
宗太 木村
剛志 井上
剛志 井上
拓 小野寺
拓 小野寺
美稀 山崎
美稀 山崎
竹内 正樹
正樹 竹内
憲一 相馬
憲一 相馬
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Hitachi Industrial Equipment Systems Co Ltd
Original Assignee
Hitachi Industrial Equipment Systems Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Hitachi Industrial Equipment Systems Co Ltd filed Critical Hitachi Industrial Equipment Systems Co Ltd
Priority to JP2017122768A priority Critical patent/JP6946072B2/ja
Priority to PCT/JP2018/008446 priority patent/WO2018235346A1/ja
Priority to TW107110263A priority patent/TW201905437A/zh
Publication of JP2019007806A publication Critical patent/JP2019007806A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6946072B2 publication Critical patent/JP6946072B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • GPHYSICS
    • G01MEASURING; TESTING
    • G01MTESTING STATIC OR DYNAMIC BALANCE OF MACHINES OR STRUCTURES; TESTING OF STRUCTURES OR APPARATUS, NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • G01M99/00Subject matter not provided for in other groups of this subclass
    • GPHYSICS
    • G01MEASURING; TESTING
    • G01NINVESTIGATING OR ANALYSING MATERIALS BY DETERMINING THEIR CHEMICAL OR PHYSICAL PROPERTIES
    • G01N17/00Investigating resistance of materials to the weather, to corrosion, or to light

Description

本発明は、電気機器の診断技術に関する。
特許文献1(特開2004−12270号公報)には、「内部に金属インサートを含むモールド品の内部ひずみの計測が可能なモールド品の内部ひずみ測定法に関する。
内部に金属インサート3を含む高分子絶縁材料2よりなるモールド品の成型時に前記インサート近傍に光ファイバセンサ1を埋め込み、モールド品内部のひずみの挙動をモニタリングすることを特徴とする。」ことが開示されている(要約参照)。
特開2004−12270号公報
特許文献1は、インサート近傍に光ファイバセンサ1を埋め込み、モールド品内部のひずみの挙動をモニタリングするものである。つまり、モールド樹脂2と金属インサート3との界面にセンサ1を直接貼り付けるものである。
電気機器のモールド樹脂は、通電部を覆うものであり絶縁性を確保するため、通電部にセンサ等を貼り付けることが困難である。そのため、引用文献1の技術は、モールド樹脂と金属部材との間にセンサを貼り付けまたは埋込みが困難な電気機器の測定については考慮されていない。
本発明は、このような事情を鑑みてなされたものであり、電気機器の通電部位近傍に存在するモールド樹脂の状態を診断するシステム及び方法を提供することを目的とする。
前記課題を解決するために、例えば本発明の一例を挙げるとするならば、通電部と通電部に接続されたモールド樹脂を備えた電気機器の診断システムであって、モールド樹脂の表層部の物理量を測定する測定手段と、測定した物理量を用いて、表層部とモールド樹脂と通電部との間である界面部との領域が有する物理量分布を特定する分布特定手段と、特定した物理量分布を用いて、モールド樹脂の状態を特定する状態特定手段と、を有することを特徴とする電気機器の診断システムである。
本発明によれば、電気機器の通電部位近傍に存在するモールド樹脂の状態を診断するシステムを提供することができる。
本発明の実施形態に係る電気絶縁用モールド樹脂を備える電気機器の診断方法のフローチャートである。 本発明の実施例1に係る電気絶縁用モールド樹脂を備える電気機器の診断方法のフローチャートである。 本発明の実施例1に係る電気絶縁用モールド樹脂を用いたX線回折強度の結果を示す図である。 本発明の実施例1に係る電気機器をモデル化した解析モデルの斜視図である。 図4(a)中の平面Aで得られる電気機器の解析モデルの断面図である。 図4(b)の領域Bで得られる有限要素法解析の結果を示す図である。 本発明の実施例1に係る電気絶縁用モールド樹脂を用いた応力緩和試験の結果を示す図である。 本発明の実施例1に係る残留応力分布のデータベースを示す概要図である。 本発明の実施例2に係る電気絶縁用モールド樹脂を備える電気機器の診断方法で実施される第1の工程のフローチャートである。 本発明の実施例2に係る電気絶縁用モールド樹脂を用いた4点曲げ負荷試験のX線応力測定結果を表す図である。 本発明の実施例3に係る電気絶縁用モールド樹脂を備える電気機器の診断方法のフローチャートである。 本発明の実施例3に係る電気機器を模擬した要素試験片の斜視図である。 図10の測定箇所でX線測定した樹脂の残留応力と測定箇所の樹脂厚さ位置との関係を示す図である。 本発明の実施例4に係る電気絶縁用モールド樹脂を備える電気機器の診断方法で実施される測定箇所の決定のフローチャートである。 本発明の実施例5に係る電気絶縁用モールド樹脂を備える電気機器の診断方法で実施される測定箇所の決定のフローチャートである。 図13中の相関データベースを示す概要図である。 本発明の実施例6に係る電気絶縁用モールド樹脂を備える電気機器の診断システムを表すブロック構成図である。 本発明の実施例6に係る電気絶縁用モールド樹脂を備える電気機器の診断システムの表示部を表す図である。
以下、適宜図面を参照して、本発明を実施するための形態(実施形態)について詳細に説明する。なお、実施例を説明するための各図において、同一の構成要素には同一の名称、符号を付して、その繰り返しの説明を省略する。
便宜上その必要があるときは、複数のセクションまたは実施の形態に分割して説明するが、特に明示した場合を除き、それらはお互いに無関係なものではなく、一方は他方の一部または全部の変形例、詳細、補足説明などの関係にある。
また、要素の数など(個数、数値、量、範囲などを含む)に言及する場合、特に明示した場合および原理的に明らかに特定の数に限定される場合などを除き、その特定の数に限定されるものではなく、特定の数以上でも以下でも良いものとする。
また、その構成要素(要素ステップ等も含む)は、特に明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須ではない。
また、構成要素等について、「Aからなる」、「Aよりなる」、「Aを有する」、「Aを含む」と言うときは、特にその要素のみである旨明示した場合等を除き、それ以外の要素を排除するものでないことは言うまでもない。同様に、以下の実施の形態において、構成要素等の形状、位置関係等に言及するときは、特に明示した場合および原理的に明らかにそうでないと考えられる場合等を除き、実質的にその形状等に近似または類似するもの等を含むものとする。このことは、上記数値および範囲等についても同様である。
例えば、変圧器や開閉器、モータ、インバータなどの電気機器は、コイルなどの通電部位とそれを取り囲む電気絶縁性のモールド樹脂とを備えている。モールド樹脂を形成することで、漏電による機器の故障を防いだり、電気機器が設置された周囲への漏電を防ぎ、安全を確保できる。
多くの場合、このモールド樹脂は、エポキシ樹脂などの樹脂材料を主成分とする。さらに、着色剤や無機充填材が配合される場合もある。無機充填材は、樹脂材料に分散させることで、機械的な破断強度や弾性率の向上と、耐熱性の向上をもたらす。具体的には、シリカや、アルミナ、ガラスなどの安価な無機充填材が配合される。
電気機器の製造時、特に、モールド樹脂の成型時には、高温で硬化させたモールド樹脂の徐冷過程において、モールド樹脂とコイルとの線膨張係数差に起因した残留応力が発生する。この残留応力はコイルに対してモールド樹脂を締め付ける働きを持ち、コイルに対してモールド樹脂が強固に接着される。
電気機器の運転中、コイルへの連続的通電に起因する発熱により、モールド樹脂にも熱が印加される。樹脂の粘弾性特性により、モールド樹脂に発生している残留応力は、熱が印加された高温環境下において経時的に低下する。また、運転中のコイルの発熱や一日の中での昼夜による温度差に起因し、モールド樹脂には線膨張係数差による熱応力が印加される。熱応力の繰り返し負荷による熱疲労に起因した樹脂の剛性低下により、モールド樹脂に発生している残留応力は、経時的に低下する。
モールド樹脂の粘弾性や剛性の経年変化による残留応力の低下により、モールド樹脂がコイルを締め付ける働きが低下し、コイルとモールド樹脂間に滑りが発生する。滑りが発生すると、熱応力の印加時に、当該界面に局所的な応力集中が発生し、当該界面の剥離やモールド樹脂が割れるなどして、絶縁破壊され、モールド樹脂による電気絶縁の保証ができなくなり、電気機器としての故障に至る。多くの場合には、金属製の通電部位には破壊が及ばないため、電気機器の故障を決定づける部位は、モールド樹脂である。
このような界面の剥離やモールド樹脂の割れは、電気機器の内部で起こるものである。従って、電気機器が故障を迎えつつあるかどうかを知り、電気機器の使用継続や取りやめなどを適切に診断するためには、電気機器の外部から、モールド樹脂がコイルを締め付ける力の変化を把握し、当該界面の剥離やモールド樹脂の割れの前兆を見つけ出す必要がある。
電気機器内部の通電部位とモールド樹脂との界面の剥離やモールド樹脂の割れは、前記の通り、モールド樹脂がコイルを締め付ける力の経時変化に伴う当該界面の滑りや、滑りに伴う電気機器の運転中に自ずと印加される熱応力の応力集中による。電気機器の診断の高精度化のためには、電気機器の外側から目視することができない、通電部位とモールド樹脂との界面の剥離やモールド樹脂の割れなどの前兆を直接的に知る必要があった。
図1は、本発明の実施形態に係る電気絶縁用モールド樹脂を備える電気機器の診断方法のフローチャートである。
図1が示すように、本発明の一実施形態に係る電気絶縁用モールド樹脂を備える電気機器の診断方法は、診断に関する第1の工程S101、第2の工程S102、第3の工程S103を含む。
本発明の実施の形態に係る診断方法は、下記する第1の工程S101の下準備として測定対象の決定11を行う。測定対象の決定11では、ユーザまたはシステムが測定する電気機器を選択すると、型式、製造年数、定格容量、寸法、構成材料などを含む仕様が明らかになる。すなわち、診断を行う前に型式等の情報を記憶手段に記憶させることで、選択された測定対象である電気機器の型式等が特定される。
次に、測定箇所の決定12にて、診断に適した測定箇所を決定する。測定箇所は、電気機器のモールド樹脂が電気機器外部に露出した箇所とし、診断に使用する測定装置によりモールド樹脂を測定できる任意の箇所である。なお、電気機器のモールド樹脂が電気機器外部に露出とは、モールド樹脂が外気に接触している部分をいい、表面が観察できる部位をいう。
測定箇所の決定12は、予め構築したデータベースを用いて自動的に実施してもよいし、測定者自らが実施してもよい。データベースを用いる場合、例えば電気機器の機種ごとに測定箇所を事前に決定しておき、データベースを構築しておくことができる。測定対象が選択され、仕様に含まれる機種の情報が明らかになれば、データベースに従いその機種に対応した測定箇所が決定される。
測定箇所は、1箇所でも複数箇所でも構わない。また、同一の測定箇所に対して、1または複数回の測定を行っても良い。測定回数を増加させることで誤差等を減らすことができる。電気機器が筐体または塗装により覆われている場合、その筐体を取り外す、または塗装を取り除くことで、モールド樹脂が露出した測定箇所とすることができる。
次に、診断工程として、第1の工程S101では、測定箇所の決定12によって特定した測定箇所のモールド樹脂の表層部の物理量を測定する。モールド樹脂の表層部とは、第1の工程S101で用いる測定手法により測定可能な領域を指す。測定装置の性能や測定原理に対応して測定対象の決定11または測定箇所の決定12のステップにおいて、表層部を表示またはユーザへの指示することで測定箇所の決定を容易にすることができる。
例えば、光学式の表面観察手段やX線を用いた非接触式の測定では、光またはX線が照射され、モールド樹脂に侵入する領域が表層部として特定される。光やX線が侵入するとは表面で反射せずにその内部へ入り込んだ成分が、散乱または反射し、測定対象から出てくることをいう。
ひずみゲージや熱電対を用いた接触式のセンサを用いた測定では、当該センサが貼り付けられたモールド樹脂の表面部が表層部として画定される。
第1の工程S101で測定する物理量とは、測定対象の電気機器が製造されたときの物理量と比較し、時間経過に伴い変化する物理量であることが好ましい。当該物理量の経時変化は、製造からの経過時間、電気機器の使用負荷率、または電気機器の設置環境などに依存し変化率が決定される。
例えば、使用負荷率によって物理量の変化量が異なれば、使用負荷率のみがことなる2つの電気機器が存在する場合、各々の電気機器が有する物理量は異なる値を示し、電気機器の状態が異なることを表せる。
次に、第2の工程S102について説明する。第2の工程S102は、第1の工程S101で測定した表層部の物理量を基に、モールド樹脂の内部の物理量を特定する工程である。
モールド樹脂の内部とは、モールド樹脂が電気機器外部に露出した表層部から、モールド樹脂が被覆する導電材料とモールド樹脂との界面部までの領域をいう。つまり、S101で測定したモールド樹脂表面または表層部からモールド樹脂内部の通電部であるコイル等との界面までの領域である。
モールド樹脂の表層部から内部までの物理量分布を特定するために、電気機器中の物理量分布データベース13を用いる。物理量分布とは、物理量の変化を示すものである。
物理量分布は、測定箇所から最も近い通電部までを結ぶ直線状に存在するモールド樹脂の物理量変化を指してもよいし、3次元のコンター図などで表されるように、モールド樹脂の構造全体にわたる物理量の3次元変化を指してもよい。
物理量分布は、電気機器の構成材料の種類やモールド樹脂の表層部からコイル等の通電する導電材料との界面部までの距離などの条件に依存し異なり得るため、予め電気機器の診断条件に合わせたデータベース13を構築しておく。
データベース13の構築には、電気機器を作成し測定する、電気機器を模擬した要素試験片を作成し測定する、または電気機器をモデル化し解析するといった手法を用いる。例えば、仕様に含まれる電気機器の機種ごとに電気機器の構造をモデル化し、解析を予め実施する。電気機器の任意の表層部からモールド樹脂内部までの物理量変化を評価し整理することで、その物理用変化をデータベース13に格納する。
物理量分布データベース13を参照し、測定対象の電気機器の仕様、測定箇所または測定箇所である表層部の物理量にあわせ、第1の工程S101で測定した表層部を始点としたモールド樹脂と導電材料の界面部までの物理量分布を抽出する。抽出とは、表層部を始点として、界面部までの物理量を計算により求めることをいう。
終点をモールド樹脂と導電材料つまりコイルとの界面部とすることができる。また、コイル内部まで物理量分布を特定するため、コイルの中心を終点としてもよい。この場合は、コイルの特性を考慮することができるため、精度が向上する。さらに、コイルとコイルに巻き回された鉄心との接触を考慮し、鉄心を含めて終点を特定してもよい。 第2の工程S102において、モールド樹脂内部にかかる物理量分布の抽出が完了すると、診断は第3の工程S103に進む。
第3の工程S103では、第2の工程S102で抽出したモールド樹脂内部の物理量分布を基に、電気機器の劣化状態を特定する工程である。電気機器の劣化状態とは、特定された界面部の物理量により測定対象である電気機器の劣化程度を表すものである。劣化程度の一例として、モールド樹脂の絶縁破壊が生じる予測時期や、絶縁性能が所定の値よりも低くなる予測時期、定格容量で使用され続けた電気機器と比較した場合の物理量変化の進行程度等を含む概念である。
例えば、電気機器が界面部で絶縁破壊に至るモールド樹脂内部の物理量の閾値が存在する場合、第2の工程S102で特定した物理量分布より界面部での物理量を算出し、当該閾値と比較することで、電気機器が絶縁破壊にいたる裕度を特定できる。
また、電気機器の製造会社が指定する標準的な電気機器の使用環境が存在する場合、当該使用環境で使用した際のモールド樹脂内部の物理量を特定しておけば、標準的な使用環境で示す物理量と第2の工程S102で特定したモールド樹脂内部の物理量とを比較することで、診断される電気機器が標準的な環境で使用されていたか、またはより過酷な環境で使用されていたか判断することができる。電気機器が標準的な環境よりも過酷な環境で使用されていたと判断した場合、電気機器の製造会社は電気機器の保証年数よりも短い使用年数で電気機器の交換を推奨することができる。
上述したように、第2の工程S102で特定した物理量分布から電気機器の劣化程度を特定するために、第3の工程S103では、モールド樹脂内部の物理量と電気機器の劣化状態の相関データベース14を用いる。
相関データベース14を参照し、電気機器の仕様、測定箇所および測定箇所での物理量分布にあわせ、電気機器の劣化状態を抽出する。例えば、相関データベース14は、モールド樹脂と通電部との間で滑りが発生するモールド樹脂内部での物理量の閾値を、電気機器の機種ごとに有している。
滑りは、モールド樹脂と導電材料とが変形するとき、界面部でのそれぞれの変位が一致しない状態を指す。滑りにより、界面部のモールド樹脂または導電部材が摩耗などの損傷を受ける場合がある。
電気機器の仕様より機種を特定し、相関データベース14を参照することで、当該電気機器に対する内部での物理量の閾値を取得できる。第2の工程S102で特定したモールド樹脂内部の物理量を取得した閾値で除することで、物理量の閾値を指標として電気機器の滑りに至る裕度を算出できる。
第3の工程S103において、電気機器の劣化状態の抽出が完了すると、当該劣化状態を診断結果15として示し、診断は終了する。
次に、実施の形態について図1から図6を用いて説明する。
実施形態で記載した診断方法では、電気機器が製造されたときの物理量と比較し、時間経過に伴い変化する物理量を診断指標とすることが好ましい。
例えば、診断指標として用いる物理量として、電気機器の製造時にモールド樹脂に発生する残留応力、モールド樹脂と導電材料の電位差、モールド樹脂の剛性、モールド樹脂中に存在するボイド率等が実施できる。
残留応力とは、外部から力が働いていない状態で存在する物体内の応力状態をいう。電気機器では、モールド樹脂はコイル等の通電部を覆う構造をしており、樹脂が硬化する際にモールド樹脂と通電部との熱変形量に差異が発生する。その熱変形量が釣り合うように、モールド樹脂および通電部に応力が発生し、これが残留応力となる。モールド変圧器などの電気機器では、モールド樹脂が通電部を締め付ける力として残留応力が存在する。
ここで、モールド樹脂はコイル等の通電部を覆う構造については、覆う状態に限らず単に通電部に隣り合うように接続されたものであってもよい。また、コイル等の通電部は前面が覆われている必要はなく、絶縁性を持たせる領域に対して接続されていればよい。つまり、通電部、モールド樹脂、外気の順に配置される関係であればよい。
以下、物理量が残留応力である場合の例について説明する。
図2は、残留応力を診断指標とした本実施例に係る、電気絶縁用モールド樹脂を備える電気機器の診断方法を段階的に表すフローチャートである。
実施形態と同様、診断は測定対象の決定11から開始し、測定箇所の決定12に進み、測定箇所を決定するが、同一の工程であるため説明を省略し、差異のある第1の工程S201以降について説明する。
次に、第1の工程S201において、モールド樹脂の表層部に係る残留応力の測定を行う。残留応力の測定は、非破壊検査手法によって行う。このとき、測定対象の電気機器は、通電状態にあっても構わないし、停電状態にあっても構わない。安定した測定結果を得るためには、停電状態での測定が好ましい。
残留応力の非破壊検査手段として、X線など放射光を用いた応力測定装置を用いることができる。X線応力測定は、X線の回折現象を用いる。
X線の回折現象とは、測定対象物が有する結晶構造の格子面間で起こる現象であり、測定対象物に入射されたX線が強めあって反射する。
反射する角度(回折角)は、X線の波長および測定物の物質ごとに固有である。測定物に応力が加わると、固有値である回折角も変化する。この回折角の変化は加わる応力に依存するため、回折角がどれだけ変化したかを特定することで測定物に負荷される応力の大きさを算出できる。
したがって、X線応力測定を実施するためには、結晶構造に由来した回折現象が得られることが必要である。つまり、測定対象物には結晶成分を有する部材が含有されている必要がある。
電気絶縁用モールド樹脂に複合化する無機充填材の粉末のミクロ構造は、規則的な原子配列を有する結晶質または原子配列が不規則な非晶質を有している必要がある。X線による応力測定を行う場合には、測定対象であるモールド樹脂内部に明確な回折パターンを有する結晶質を有することが必要である。
結晶質の無機充填材としては、例えば、結晶性シリカ、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、炭酸カルシウム、酸化鉄、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化セシウムなどが挙げられる。また、無機充填材の配合量は任意である。
一例として、電気機器のモールド樹脂がエポキシ樹脂である場合にX線を照射した際のX線回折の一例を図3に示す。エポキシ樹脂には、充填剤として結晶性シリカが含有されている。
図3に示す実線は充填剤を含有するエポキシ樹脂の回折パターンであり、点線は充填剤単体の回折パターンである。エポキシ樹脂にX線を照射すると、充填剤単体と一致するエポキシ樹脂の回折強度のパターンが得られる。
得られた回折パターンに着目し、エポキシ樹脂にかかる応力が算出でき、モールド樹脂表層部のX線による応力測定が可能である。
第1の工程S201で残留応力をX線測定する場合、測定されるモールド樹脂の表層部は、X線の照射径は数ミリメートルおよびX線の侵入深さ数十マイクロメートルである。X線の照射強度によって侵入深さは変化するため上記した値に限定されないが、上記表層部を測定することにより本発明は実施できる。
第2の工程S202では、電気機器中の残留応力分布データベース23Eを参照し、第1の工程S201で測定した表層部の物理量を基に、モールド樹脂の内部の物理量を抽出する。一例として、測定した表層部から最も近い通電部までを結ぶモールド樹脂の物理量変化を抽出する場合を記載する。
測定する電気機器の寸法および構造の情報を基に、測定した表層部から最も近い通電部の位置が特定できる。例えば、残留応力分布データベース23Eは、電気機器の機種ごと、そして電気機器の稼働率や経過年数ごとに、表層部での残留応力と表層部から最も近い通電部での残留応力の応力変化率を備えている。
表層部から最も近い通電部の場合は、モールド樹脂への影響が大きいため測定箇所として有効である。また、最も近い通電部に限らず実施可能であり、複数の測定箇所を用いる場合には、平均値を取得することも可能である。
電気機器の仕様より機種、稼働率、および経過年数を特定すれば、残留応力分布データベース23Eから表層部と通電部での応力変化率を抽出することができる。このとき、第1の工程S201で測定した表層部での残留応力と当該応力変化率を掛け合わせることで、通電部での残留応力を知ることができる。
電気機器中の残留応力データベース23Eを構築するために、電気機器や電気機器が備えるモールド樹脂材料の試験片23Cに対して解析や試験、測定を行う。試験片23Cを用いることで、電気機器を実寸で測定する場合と比較して、モールド樹脂のヤング率やポアソン比といった力学物性を含むモールド樹脂の物性値、そして当該物性値の劣化による経年変化の評価が容易となる。
なお、電気機器が備えるモールド樹脂材料の試験片23Cは、実際に稼働する電気機器から直接切り出してきた試験片でも構わないし、これと全く同じ化学成分、複合材組成をもち、別途製造した樹脂材料の試験片であっても構わない。
図2に示す23Aから23Eに至るフローは、電気機器に対する有限要素法による数値解析に関するものであり、実際に電気機器を診断する前に行い、結果をデータベースに格納しておく。
具体的に、電気機器のモデル化23Aでは、電気機器の部品構造を基に有限要素モデリングを行う。電気機器のモデル化23Aで作成したモデルの各要素に対して、電気機器の各部位、例えば通電部位やモールド樹脂などを実際に構成する材料の材料物性を入力する。例えば、通電部のコイルの材料物性及び形状、コイルを覆うモールド樹脂の材料物性及び形状を入力する。
ここで、材料物性とは、ヤング率やポアソン比などの力学物性、線膨張係数や熱伝導率などの熱物性である。
例えば、有限要素法解析23Bでは、電気機器が製造された際の初期残留応力分布を求めることができる。
エポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂は熱硬化処理に晒され、高温状態で硬化され、成型される。電気機器が製造される際、硬化時の高温状態から室温まで電気機器は冷却工程を受ける。
冷却工程ではモールド樹脂および導電材料共に熱収縮するが、各材料の線膨張係数の差異に起因して、熱収縮量はそれぞれ異なる。このとき、熱収縮量の差が釣り合うように時モールド樹脂と導電材料とが変形し、変形が釣り合うよう残留応力が発生する。
電気機器のモデル化23Aで作成したモデルを用い、上記した冷却工程を模擬した有限要素法解析23Bを実施することで、上述した残留応力を見積れる。
図4(a)には、電気機器のモデル化23Aで作成された解析モデルの斜視図を示す。図は、電気機器がモールド変圧器である場合を一例として示す。
次に、図4(a)に示す平面Aで得られる電気機器の断面図を図4(b)に示している。モールド樹脂22が通電部位21を覆っている。図中の領域Bに対して得られる有限要素法解析23Bの結果例を図4(c)に示す。
図4(c)には、モールド樹脂22と通電部位21との界面からモールド樹脂22の表層部までの残留応力分布を示している。このとき、応力の分布とは、図4(c)に示すように、モールド樹脂の表層部24から、通電部位21と電気絶縁用モールド樹脂22との界面部23に至るまでの各位置における応力の比率を意味する。
図4(c)は、応力の分布の模式図であり、界面部23における応力S1と、表層部24における応力S2と、これらの間の応力分布S3をそれぞれ抽出する。
図4(c)では、表層部24における応力S2が、界面部23における応力S1よりも小さく示してあるが、表層部24における応力S2が、界面部23における応力S1よりも大きくとも構わないし、等しくとも構わない。
このとき、表層部24における応力S2と界面部23における応力S1との比をαとし、次式で定義する。
α=S1/S2
第1の工程S201で測定される表層部にかかる残留応力は、上記表層部24における応力S2であるから、表層部24と界面部23との残留応力値の比率αを用いて、界面部の残留応力S2を次式で求めることができる
S2=α×S1
上記のように、表層部24と界面部23との残留応力値の比率αをデータベース23Eに格納しておけば、第1の工程で求めた表層部の残留応力より界面部での残留応力を評価することができる。
すなわち、予め表層部と界面部との残留応力値の関係である比率αを特定する。その後、界面部の残留応力値を、予め特定された残留応力値の関係である比率αと、測定した表層部の応力値を用いて特定する。なお、表層部を測定できるパラメータであれば残留応力に限らず剛性や電位差等の他の物理量を用いることもできる。
図中、有限要素法解析23Bで評価される初期の残留応力分布を実線で示している。
また、電気機器中の残留応力分布データベース23Eでは、経年変化後の残留応力分布も格納する。
残留応力の経年変化の一因として、応力緩和が挙げられる。応力緩和とは、樹脂に所定のひずみを与え続けた際、発生する応力が減少していく現象である。
図5は、応力緩和実測の一例を示している。試験片を作製し、0.3%のひずみを与えた際の応力緩和を測定し、開始時点の応力値を基準に経過時間後の応力を正規化している。
図5では、環境温度100℃と25℃とでの残留応力変化を示している。環境温度によって応力変化率が異なっていることが分かる。
電気機器の使用時、モールド樹脂のひずみレベルは負荷率によって変化し、またモールド樹脂の受ける温度も変化する。
したがって、電気機器の負荷率に対応するモールド樹脂の温度とひずみの関係を特定し、図5に示す応力緩和試験結果を用いて、経過時間に対する応力の低下率を算出することができる。
応力緩和による残留応力低下を考慮し、電気機器製造時からの残留応力分布の変化例を図4(c)の点線で示す。
有限要素法解析23Bと応力緩和試験23Dを組み合わせることで、任意の電気機器の仕様に合わせ初期の残留応力分布と経年変化後の残留応力分布を算出できる。このとき、算出した残留応力分布のデータベース23Eの例を図6に示す。
電気機器の機種ごと、そしてその負荷率毎に表層部と界面部の残留応力の比(内外応力比)を見積っておき、データベース化している。機種とは製造年度や形状、型式を含む概念であるが、これに限らず電気機器の特性毎に分けることが可能である。
以上のように構築される残留応力分布データベース23Eを用いることで、第1の工程S201で測定した表層部の残留応力を基に、第2の工程S202でモールド樹脂内部の残留応力の分布を抽出することができる。
次に、第3の工程S203は、第2の工程S202で抽出したモールド樹脂内部の残留応力分布を基に、電気機器の劣化状態を特定する工程である。
第2の工程S202で特定した残留応力分布から電気機器の劣化状態を特定するために、第3の工程S203では、残留応力と劣化状態の相関データベース24Aを用いる。相関データベース24Aを参照し、電気機器の仕様、測定箇所および測定箇所での残留応力分布にあわせ、電気機器の劣化状態を抽出する。
例えば、相関データベース24Aは、モールド樹脂と通電部との間で滑りが発生する残留応力の閾値を、電気機器の機種ごとに有することができる。モールド樹脂が通電部を締め付ける力として残留応力が存在するため、残留応力がゼロに近づくとモールド樹脂と通電部との間の界面で滑りが生じやすくなる。当該界面で滑りが発生し電気機器が絶縁破壊に至る残留応力の閾値を設定できる。
残留応力の大きさは、電気機器の構造部材の種類や寸法に依存するため、残留応力の閾値は例えば電気機器の機種ごとに求めておいた方が好ましい。そこで、相関データベース24Aに電気機器の機種ごとのモールド樹脂内部の残留応力の閾値を格納しておけば、電気機器の仕様より機種を特定することで、当該データベース24を参照して、当該閾値を取得できる。
第2の工程S202で特定したモールド樹脂内部の残留応力を取得した上記閾値で除することで、電気機器のモールド樹脂と通電部との界面で滑りが発生する裕度を定量化できる。
相関データベース24Aは、滑りに限らず、界面部でのボイドや亀裂が発生するモールド樹脂内部の界面部での残留応力値の閾値を格納していてもよい。上述したように、モールド樹脂内部の残留応力分布より界面部での残留応力値を抽出し、相関データベース24Aに格納された機種ごとの閾値と比較することで、電気機器の裕度が評価される。
第3の工程S203において、電気機器の劣化状態の抽出が完了すると、当該劣化状態を診断結果25として示し、診断は終了する。なお、診断結果25は必ずしも表示しなくても実施できる。例えば、この場合に、他の装置や記憶手段に記憶させ、測定対象の診断情報として利用することもできる。診断結果の表示部については他の実施例で後述する。
実施例2では、実施例1の第1の工程S201における、モールド樹脂の表層部に係る残留応力値のX線測定手法を図7及び図6を用いて詳述する。
前述の通り、X線によって応力測定されるのは、モールド樹脂に含有される表層部に配置される充填剤にかかる残留応力である。充填剤にかかる残留応力は、モールド樹脂が受ける残留応力が、その内部の充填剤に伝播したものである。
通電部位とモールド樹脂との間で発生する滑りやはく離等に起因する絶縁破壊は、界面部付近の樹脂が受ける残留応力の影響を受けることにより生じる。したがって、モールド樹脂の絶縁破壊を予防するには、モールド樹脂にかかる残留応力の特定が必要である。
本実施例では、樹脂にかかる残留応力と充填剤にかかる残留応力との相関を取得することで、X線測定より樹脂の残留応力値を算出することを可能にする。
具体的には、第1の工程S201は、図7に示されるフローに従う。すなわち、充填剤とモールド樹脂とにかかる残留応力の相関データベースS201Dを用い、充填剤への残留応力値をモールド樹脂の残留応力値に変換する。
当該相関を取得するために、140×20×5mmの寸法を有するモールド樹脂の短冊形の要素試験片を作成し、4点曲げ試験により要素試験片に負荷を与える。このとき、モールド樹脂の試験片に係る応力は、残留応力値を模擬したものである。
試験片に負荷が与えられた状態でX線測定を実施し、充填剤に負荷される残留応力値を評価した。なお、樹脂試験片に負荷される残留応力を模擬した応力値は、試験片に貼り付けたひずみゲージをセンサとすることで、算出した。
複数の負荷を試験片に与えた際のX線測定結果を図8に示す。X線応力測定値と樹脂試験片への負荷応力とには相関があることがわかる。モールド樹脂に残留応力が存在している場合、その大きさに比例して、充填剤への残留応力も変化するといえる。
以上より、本実施例で示した充填剤とモールド樹脂とにかかる残留応力の相関データベースS201Dを用いることで、X線測定で高精度にモールド樹脂の残留応力を評価できる。試験片による残留応力の特定ができ、この結果と測定対象の表層部とを比較することで、所定の装置の劣化診断を行うことができる。
実施例3では、実施例1の電気機器中の残留応力分布データベース23Eを構築する代替手法を記載する。代替手法を追加した診断フローを図9に示す。
電気機器の構造を模擬した樹脂材料の試験片23Fを製造し検証した。試験片23Fを図10に示す。試験片は、通電部位を模擬した金属円柱31、金属円柱31を覆うように成型されたモールド樹脂円柱32により構成される。
例えば、金属円柱31は銅、モールド樹脂円柱32は電気機器に適用されるエポキシ樹脂32とし、寸法は、金属円柱の内径をφ14mmおよび外径をφ30mm、金属円柱の内径をφ30mmおよび外径をφ60mmとし、それぞれ高さ25mmとした。
当該試験片を用いることで樹脂の厚さ方向に複数の測定箇所33にて、X線測定することで金属円柱31と樹脂円柱32の界面部から樹脂円柱32の外側(表層部)までの残留応力分布を取得できる。
測定した残留応力分布例を図11に示す。図示されるように、樹脂厚さ内で残留応力が分布することが分かる。要素試験片の部材や寸法を変え、電気機器の構造を模擬することで、残留応力分布の有限要素法解析23Bの代替手法として残留応力データベース23Eを構築できる。
図11に示す残留応力分布は、要素試験片を作成した直後に測定した値である。電気機器が受ける温度変化を試験片に与え続ければ、電気機器の経年使用後の残留応力分布が測定可能である。
実施例4では、電気機器の診断方法の高精度化に係る実施例について記載する。実施例4では、過去の測定対象の電気機器について測定した結果を用いる例について説明する。
図12は、図2に示す測定箇所の決定22について過去の測定結果を用いるフローを示す。電気機器の過去測定の結果を、測定箇所と測定結果のばらつきとの相関データベース22Cとして格納しておく。
新たな電気機器の診断をする際、当該データベース22Cを用い、診断する電気機器と類似する機種の過去データを参照する。過去データより、類似機種の測定位置と測定結果のばらつきを抽出する。当該抽出結果より、測定結果のばらつきが少ないと予想される測定箇所を選定することができる。
実施例5では、電気機器の診断方法の高精度化に係る別の実施例について記載する。実施例5では、電気機器の稼働データを活用する。
前述の通り、残留応力の変化は、電気機器の使用負荷によって異なり、劣化状態の指標とすることができる。稼働条件によって、機種ごとに示す残留応力値がことなる。そのため、同じ仕様を有する機種であっても、測定値のばらつきは稼働条件に依存して変化しうる。
実施例4に対し、図13は、測定箇所の決定22で稼働データを追加で格納した相関データベースを有している。新規の電気機器の診断をする際、当該データベースを用い、稼働データも含めて当該電気機器と類似する機種の過去データを参照することで、更に測定結果のばらつきが少ないと推定される測定箇所を選定することができる。
また、図15に示すように、稼働データなどの過去の測定結果をデータベースとして格納している場合、診断結果25が類似機種と比較して妥当な値となっているか検討することも可能となる。
以上より、稼働データなどの過去の測定結果を活用することで、より高精度な診断を提供することが可能となる。
図15に、本発明の一実施形態に係る、電気絶縁用モールド樹脂を備える電気機器の診断システムを表すブロック構成図を示す。
電気機器の診断システムは、表層部応力測定装置30と診断装置40から構成されている。表層部の残留応力の測定装置30は、電気機器が備える電気絶縁用モールド樹脂の表層部24における残留応力を測定する装置であり、例えばX線回折から応力を測定するX線応力測定装置などを用いることができる。
演算処理部40は、残留応力分布算出部41と劣化状態算出部42とを備えている。また、記憶部50は、電気機器中の残留応力分布データベース51と残留応力と劣化状態の相関データベース52とを備えている。
残留応力分布算出部41は、測定装置30で測定した残留応力と、残留応力分布データベース51から、モールド樹脂における応力分布S3を算出する。劣化状態算出部42は、残留応力分布算出部41で求めた残留応力分布と、残留応力と劣化状態の相関データベース52から電気機器の劣化状態を特定する。
表示部60は、得られた電気機器の診断結果を表示する。表示部60は、診断装置30内に設けても良いし、診断装置とは別体の例えばタブレット端末などとし、これに診断装置から表示信号を伝送するようにしても良い。
図16に表示部60で示す診断結果の一例を示す。図中の診断結果では、表示内容を画面内で選択できる。選択肢としては、診断結果の種類(信号による表示、相当年数による表示、など)、X線測定結果の表示グラフの種類(回折強度、残留応力値、など)、測定部の表示手法(写真、図面、など)、過去の測定結果のうち一つまたは複数を含むことができる。
以上に説明した電気絶縁用モールド樹脂を備える電気機器の診断方法は、電気機器の故障を律する、電気機器内部の通電部位とモールド樹脂との界面部に係る物理量を求めることができ、当該物理量を用いて電気機器の劣化状態を特定することで、高精度な診断技術を提供することができる。
S101、S201…第1の工程、S102、S202…第2の工程、S103、S203…第3の工程、11…測定対象の決定、12…測定箇所の決定、13…電気機器中の物理用分布データベース、14…物理量と劣化状態の相関データベース、15、25…診断結果、21…通電部位、22…電気絶縁用モールド樹脂、23…界面部、23E…電気機器中の残留応力分布データベース、24…表層部、24A…残留応力と劣化状態の相関データベース、30…測定装置、40…演算処理部、50…記憶部、60…表示部

Claims (8)

  1. 通電部と前記通電部に接続されたモールド樹脂を備えた電気機器の診断システムであって、
    前記モールド樹脂の表層部の物理量を測定する測定手段と、
    測定した前記物理量を用いて、前記表層部と前記モールド樹脂と前記通電部との間である界面部との領域が有する物理量分布を特定する分布特定手段と、
    特定した前記物理量分布を用いて、前記モールド樹脂の状態を特定する状態特定手段と、
    を有し、
    前記分布特定手段は、前記表層部と前記界面部との関係を予め特定し、測定した前記表層部の物理量を予め特定された前記関係とを基に、前記界面部の物理量分布を特定し、
    前記物理量は残留応力値であり、
    前記測定手段は、X線測定装置であり、
    前記モールド樹脂は、無機充填部材が配合された複合樹脂部材であって、
    前記無機充填部材は、結晶構造を有する部材であることを特徴とする電気機器の診断システム。
  2. 請求項に記載の電気機器の診断システムにおいて、
    前記X線測定装置は、前記結晶構造の回折光を測定することを特徴とする診断システム。
  3. 請求項に記載の電気機器の診断システムにおいて、
    前記モールド樹脂の前記物理量と劣化状態との関係を記憶する記憶部を有し、
    前記状態特定手段は、前記記憶部に記憶された前記劣化状態と前記物理量分布とを用いて、前記モールド樹脂の状態を特定することを特徴とする診断システム。
  4. 請求項に記載の電気機器の診断システムにおいて、
    前記測定手段は、前記モールド樹脂のうち塗装されていない領域または筐体に覆われていない領域を測定することを特徴とする診断システム。
  5. 請求項1に記載の電気機器の診断システムにおいて、
    前記電気機器は、変圧器、開閉器、モータまたはインバータであることを特徴とする診断システム。
  6. 通電部と前記通電部に接続されたモールド樹脂を備えた電気機器の診断方法であって、
    前記モールド樹脂の表層部の物理量を測定する測定工程と、
    測定した前記物理量を用いて、前記表層部と前記モールド樹脂と前記通電部との間である界面部との領域が有する物理量分布を特定する分布特定工程と、
    特定した前記物理量分布を用いて、前記モールド樹脂の状態を特定する状態特定工程と、
    を有し、
    前記分布特定工程は、前記表層部と前記界面部との関係を予め特定し、測定した前記表層部の物理量を予め特定された前記関係とを基に、前記界面部の物理量分布を特定し、
    前記物理量は残留応力値であり、
    前記測定手段は、X線測定装置であって、前記結晶構造の回折光を測定し、
    前記モールド樹脂は、無機充填部材が配合された複合樹脂部材であって
    前記無機充填部材は、結晶構造を有する部材であることを特徴とする電気機器の診断方法。
  7. 請求項に記載の電気機器の診断方法において、
    前記モールド樹脂の前記物理量と劣化状態との関係を記憶する記憶部を有し、
    前記状態特定方法は、前記記憶部に記憶された前記劣化状態と前記物理量分布とを用いて、前記モールド樹脂の状態を特定することを特徴とする診断方法。
  8. 請求項に記載の電気機器の診断方法において、
    前記測定手段は、前記モールド樹脂のうち塗装されていない領域または筐体に覆われていない領域を測定することを特徴とする診断方法。
JP2017122768A 2017-06-23 2017-06-23 電気機器の診断システム及び方法 Active JP6946072B2 (ja)

Priority Applications (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2017122768A JP6946072B2 (ja) 2017-06-23 2017-06-23 電気機器の診断システム及び方法
PCT/JP2018/008446 WO2018235346A1 (ja) 2017-06-23 2018-03-06 電気機器の診断システム及び方法
TW107110263A TW201905437A (zh) 2017-06-23 2018-03-26 電氣機器之診斷系統及方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2017122768A JP6946072B2 (ja) 2017-06-23 2017-06-23 電気機器の診断システム及び方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2019007806A JP2019007806A (ja) 2019-01-17
JP6946072B2 true JP6946072B2 (ja) 2021-10-06

Family

ID=64736903

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2017122768A Active JP6946072B2 (ja) 2017-06-23 2017-06-23 電気機器の診断システム及び方法

Country Status (3)

Country Link
JP (1) JP6946072B2 (ja)
TW (1) TW201905437A (ja)
WO (1) WO2018235346A1 (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP7374004B2 (ja) * 2020-01-24 2023-11-06 三菱重工業株式会社 回転電機用複合材の劣化診断方法および劣化診断システム

Family Cites Families (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP3612293B2 (ja) * 2001-07-31 2005-01-19 株式会社東芝 物体内部の残留応力測定方法およびその測定装置
JP2012052891A (ja) * 2010-08-31 2012-03-15 Toyota Motor Corp 樹脂モールド部品の内部応力計測方法
JP2013088149A (ja) * 2011-10-13 2013-05-13 Toyota Motor Corp 樹脂モールド部品および樹脂モールド部品の内部応力測定方法
JP5930891B2 (ja) * 2012-07-10 2016-06-08 三菱電機株式会社 ポリマー碍管の劣化診断方法
JP2016201460A (ja) * 2015-04-10 2016-12-01 株式会社日立産機システム 劣化診断機能を有するモールド機器
EP3113016A1 (en) * 2015-06-29 2017-01-04 itemis AG Tracing dependencies between development artifacts in a development project

Also Published As

Publication number Publication date
WO2018235346A1 (ja) 2018-12-27
JP2019007806A (ja) 2019-01-17
TW201905437A (zh) 2019-02-01

Similar Documents

Publication Publication Date Title
KR20150103021A (ko) 피로 손상 예측과 구조 건전성 평가를 위한 비파괴 검사에서의 매립된 결함의 확률론적 모델링과 사이징
RU2651008C2 (ru) Способ и устройство для проверки яиц
Kim et al. Real‐time deformed shape estimation of a wind turbine blade using distributed fiber Bragg grating sensors
US9658192B2 (en) Insulation defect detection of high voltage generator stator core
JP6946072B2 (ja) 電気機器の診断システム及び方法
JP5374445B2 (ja) 余寿命診断方法、余寿命診断装置及びプログラム
JP6676003B2 (ja) モールド変圧器
Gokanakonda et al. Fatigue sensor for structural health monitoring: Design, fabrication and experimental testing of a prototype sensor
JP6472329B2 (ja) 変圧器の余寿命診断法、余寿命診断装置および余寿命診断システム
Scheyer et al. Impedance-based structural health monitoring of additive manufactured structures with embedded piezoelectric wafers
CN114088237A (zh) 电力电缆温度场评估方法、系统、设备、介质及程序
JP6670629B2 (ja) 電気機器の診断システム
WO2017141793A1 (ja) 電気絶縁用樹脂モールドを備えた電気機器の診断方法および診断システム
JP6668101B2 (ja) 電気絶縁用樹脂モールドを備えた電気機器の診断方法および診断システム
Moser et al. A measurement structure for in-situ electrical monitoring of cyclic delamination
Fauzi et al. Transformer Oil Temperature Detection Utilising a Thermal Resistor Sensor
Kreger et al. Optical frequency domain reflectometry for aerospace applications
CN117685898B (zh) 复合材料固化成型原位检测的数据处理方法及装置
Collombet et al. Cure monitoring of an autoclave manufactured industrial part: added value of complementary instrumentation
JP2006024800A (ja) 油入変圧器の余寿命・異常診断システム
RU157151U1 (ru) Переносной комплекс диагностики огнезащитных покрытий
EP4075127A1 (en) Method of testing the thermal performance of an object
Ratke et al. Thermal characterization of passive piezoelectric actuators
Zarr et al. SRM 1453, expanded polystyrene board, for thermal conductivity from 281 K to 313 K
JP6277737B2 (ja) 電線被覆劣化診断装置および電線被覆劣化診断方法

Legal Events

Date Code Title Description
A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20170623

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20200123

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20200124

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A132

Effective date: 20210119

RD02 Notification of acceptance of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7422

Effective date: 20210126

RD04 Notification of resignation of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7424

Effective date: 20210205

A601 Written request for extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601

Effective date: 20210315

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20210517

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20210817

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20210915

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6946072

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150