JP5930891B2 - ポリマー碍管の劣化診断方法 - Google Patents

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Description

本発明は、FRP(繊維強化プラスチック)筒の両端に、金属製のフランジが取り付けられ、FRP筒の外周がシリコーン製の外被で覆われた構造のポリマー碍管の外被とFRP筒との界面の劣化診断方法に関するものである。
ポリマー碍管は、磁器碍管に比較して、耐震性、防爆性などの機械的性能に優れており、また、シリコーン外被材の撥水性により、耐汚損特性にも優れていることから、世界的に適用が拡大されている。
一方、ポリマー碍管は、有機材料により構成されていることから、適用寿命、長期信頼性などが懸念されている。特に、中空のFRP芯材(FRP筒)と外被ゴムとの界面の接着力の信頼性については評価が進んでいない。
経年によってFRP筒と外被ゴムとの界面の接着強度が低下し、さらに強制的な外力が加えられると、界面に剥離が発生する。その後外部よりイオン性物質を含む水が浸入することで、界面絶縁性能が低下すると、地絡などの重大な事故に繋がるため、外被とFRP筒との界面の劣化を把握することは重要である。
特許文献1では、碍子の汚損時に発生する電磁波を検出することで、碍子の汚損状況を常時監視可能な汚損検出装置が記載されている。
特許文献2では、ポリマー碍管と超音波プローブとを水中に浸漬し、超音波プローブにより外被ゴム側からポリマー碍管に超音波を照射し、その反射波を求め、求めた反射波に基づき、界面の剥離を検査するポリマー碍管の界面剥離検査方法が記載されている。
特開2000−352571号公報 特開平10−267900号公報
しかしながら、特許文献1に記載の汚損検出方法では、ポリマー碍管の絶縁特性を、部品全体の特性としてオンタイムで知る上では効果的であるが、外被とFRP筒との界面についての経年性の劣化の進行状況を把握することは難しいという問題があった。
また、特許文献2に記載の界面剥離検査方法は、外被とFRP筒との界面の劣化に特化した評価方法ではあるが、検査に要する装置構成が大掛かりであることに加え、外被とFRP筒との界面についての経年性の劣化の進行状況を把握することは難しいという問題があった。
この発明は、上記に鑑みてなされたもので、外被とFRP筒との界面の劣化進行を推定でき、余寿命評価が可能なポリマー碍管の劣化診断方法を提供することを目的とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係るポリマー碍管の劣化診断方法は、FRP筒とこのFRP筒の外周面を覆うシリコーンゴムから成る外皮とを備えたポリマー碍管の前記FRP筒と前記外皮との界面強度の劣化を診断するポリマー碍管の劣化診断方法であって、前記FRP筒を模擬するFRP部材とこのFRP部材に接着され前記外皮を模擬するシリコーンゴム部材とから構成され、前記FRP部材と前記シリコーンゴム部材との界面が露出した複数個の試験片を、前記ポリマー碍管が設置された電気所内に設置する第1のステップと、所定期間経過するごとに少なくとも1個以上の前記試験片を前記電気所から回収する第2のステップと、回収された前記試験片に前記シリコーンゴム部材の表面から前記FRP部材の表面に達する碁盤目状の切り込みを入れて前記シリコーンゴム部材に複数個の分割片を形成し、これらの分割片をそれぞれ前記シリコーンゴム部材側から引っ張ることで引き剥がし試験を実施する第3のステップと、前記引き剥がし試験の結果に基づき、界面破壊が発生した前記分割片の個数と前記分割片の総数との比として界面破壊率を求める第4のステップと、前記FRP部材と前記シリコーンゴム部材とについて界面強度と界面破壊率との理論的関係を与える界面強度−界面破壊率曲線を用いて、前記第4のステップにて求めた前記界面破壊率に相当する界面強度値を求めるとともに、前記試験片の設置時から当該回収時までの経過時間を求める第5のステップと、前記第5のステップにて求めた界面強度値及び経過時間に関するデータと、当該回収時以前の過去の回収時に求めた界面強度値及び経過時間に関するデータとに基づき、時間経過とともに指数関数的に減衰する界面強度の減衰曲線を求める第6のステップと、前記界面強度−界面破壊率曲線及び前記界面強度の減衰曲線を用いて、界面破壊率の経時変化曲線を求める第7のステップと、を含むことを特徴とする。
この発明によれば、ポリマー碍管の外被とFRP筒との界面の劣化進行を推定でき、余寿命評価が可能になる、という効果を奏する。
図1は、実施の形態におけるポリマー碍管の構成例を示した縦断面図である。 図2は、試験片の一例を示した斜視図である。 図3は、試験片に碁盤目状の切り込みを入れた様子を示した斜視図である。 図4は、劣化の進行度合いを評価する方法を示した概念図である。 図5は、凝集破壊及び界面破壊の概念を示した図である。 図6は、界面強度と界面破壊率との関係(界面強度−界面破壊率曲線)を理論的に求めた結果を示した図である。 図7は、加速劣化試験に基づく界面破壊率の測定結果を示した図である。 図8は、加速劣化試験に基づいて求めた界面強度の減衰曲線の一例を示した図である。 図9は、加速劣化試験に基づいて求めた界面破壊率の経時変化曲線の一例を示す図である。 図10は、実器設置環境から回収された試験片に対する界面破壊率の測定結果の一例を示した図である。 図11は、図10に基づいて求めた界面強度の減衰曲線の一例を示した図である。 図12は、図10に基づいて求めた界面破壊率の経時変化曲線の一例を示す図である。 図13は、実施の形態に係るポリマー碍管の劣化診断方法を示すフローチャートである。 図14は、界面破壊率の経時変化曲線を直線で近似した例を示す図である。
以下に、本発明に係るポリマー碍管の劣化診断方法の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
実施の形態.
図1は、本実施の形態におけるポリマー碍管の構成例を示した縦断面図である。図1に示すように、ポリマー碍管11は、例えば円筒状のFRP(Fiber Reinforced Plastics)筒12と、FRP筒12の軸方向の両端に設けられた金属製のフランジ15a,15bと、FRP筒12の外周面を覆うポリマー(シリコーンゴム)から成る外被13とを備えている。なお、外被13には、軸方向に複数個のひだが設けられている。
ポリマー碍管11は、FRP筒12の外周面をシリコーンゴムで一体的にモールド成形して得られ、FRP筒12と外被13との界面は接着されている。しかし、変電所等における例えば野外での長期運用により、温度や雨水等の影響により、FRP筒12と外被13との接着力が低下し、これらの界面に剥離が発生することがある。FRP筒12と外被13との界面の劣化進行の度合いを的確に把握することは、ポリマー碍管11の絶縁性能の信頼性を確保する上で重要である。本実施の形態は、FRP筒12と外被13との界面強度の劣化進行を診断する方法に関する。
本実施の形態では、ポリマー碍管11の実器(変電所等の電気所において実際に設置された機器)を直接の診断対象とはせずに、FRP筒12と外被13との界面を模擬した試験片であって、実器と同じ環境下に設置した試験片について定期的に診断を行うものである。ここで、試験片は、FRP筒12を模擬するFRP部材と外皮13を模擬するシリコーンゴム部材との界面(接着面)が外部に露出しているものであれば任意の形状のものでよい。図2は、試験片20の一例を示した斜視図である。この試験片20は、例えば矩形のFRP部材3を同じく矩形のシリコーンゴム部材2で挟み込む形で形成したものであり、FRP部材3とシリコーンゴム部材2との界面が露出している。この試験片20は、例えばエポキシ樹脂から成るFRP部材3にシリコーンゴムをモールドした後、端部のシリコーンゴムを切り落とし、FRP部材3とシリコーンゴムとの界面を露出させることで作製することができる。なお、FRP部材3の片面のみにシリコーンゴム部材2が接着した試験片を使用してもよい。
試験片20は、実器と同じ環境下、具体的には実器が設置された変電所等の敷地内に設置され、温度、湿度、降雨条件等が略同じ環境下に置かれる。なお、試験片20は、好ましくは実器の近傍に設置する。また、試験片20は、経年の劣化診断に必要な個数分複数個用意してこれらを実器と同じ環境下に設置し、試験を行うたびにその都度試験に使用する個数を回収する。例えば、30年にわたって5年ごとに定期的に劣化診断を行う場合には、少なくとも6個の試験片20を最初にまとめて設置しておき、5年ごとに1つずつ回収して劣化診断に使用するようにする。なお、1回の劣化診断で、複数個の試験片20を回収して診断に用いてもよい。
試験片20は、劣化診断のために定期的に回収された後、引き剥がし試験が実施される。図3は、試験片20に碁盤目状の切り込みを入れた様子を示した斜視図、図4は、劣化の進行度合いを評価する方法を示した概念図である。
引き剥がし試験を実施するために、図3に示すように、まず、試験片20上に例えばカッターナイフで数mm角の碁盤目状の切込み1aを入れる。切込み1aは、シリコーンゴム部材2の表面からFRP部材3の表面に到るように入れられる。この切込み1aにより、側面が互いに分割された複数個の角状部分である分割片1が形成される。なお、図示例では、分割片1は例えば9個形成されている。
次に、図示しない引っ張り試験機(例えばオートグラフ)により分割片1をシリコーンゴム部材2側から一定速度で引っ張る。これにより、分割片1の一部が引き剥がされる。この引き剥がし試験をすべての分割片1に対して実施する。
図4では、図3の9個の分割片1について引き剥がし試験を実施した結果を示したものであり、界面破壊4又は凝集破壊5のいずれかが発生した様子を示している。界面破壊4は、シリコーンゴム部材2がFRP部材3との界面から引き剥がされて生ずる破壊である。これは、FRP部材3とシリコーンゴム部材2との界面の界面強度(接着強度)がシリコーンゴム部材2の結合強度よりも低下した場合に発生するもので、界面の劣化が進行していることを示すものである。凝集破壊は、シリコーンゴム部材2の一部が断裂して生ずる破壊である。これは、FRP部材3とシリコーンゴム部材2との界面の界面強度(接着強度)がシリコーンゴム部材2の結合強度よりも大きい場合に発生するもので、界面の劣化が進行していないことを示すものである。図示例では、9個の分割片1のうち、5個について界面破壊4が発生し、4個について凝集破壊5が発生している。
引き剥がし試験を実施することにより、この試験結果に基づいて界面破壊率を求めることができる。ここで、界面破壊率は(界面破壊した分割片1の個数)/(分割片1の総数)で与えられる。したがって、図示例では、界面破壊率=5/9〜0.56である。分割片1の総数を増やすことで統計的信頼性は向上する。
一方、界面破壊率は、理論的には、次のようにして求められる。すなわち、シリコーンゴム部材2とFRP部材3との界面の強度分布をf(x)、シリコーンゴム部材2の強度分布をg(x)としたときに、界面破壊率は、次式で表される。
Figure 0005930891
ここで、界面の強度分布f(x)は界面の強度xに対する確率密度を表し、シリコーンゴム部材2の強度分布g(x)はシリコーンゴム部材2の強度xに対する確率密度を表す。f(x),g(x)はそれぞれ例えば正規分布で近似することができる。
図5は、凝集破壊及び界面破壊の概念を示した図である。上記のように、凝集破壊は、界面の強度(単に、「界面強度」ともいう。)がシリコーンゴムの強度(単に、「ゴム強度」ともいう。)よりも大きいときに生ずる。同図中の上段左側には、凝集破壊のイメージを示している。凝集破壊は、シリコーンゴム部材2の一部が引き剥がされて生ずる。
図5の上段右側には、横軸を強度とし縦軸を確率密度として、界面の強度分布(単に、「界面強度分布」ともいう。)f(x)、シリコーンゴムの強度分布(単に、「ゴム強度分布」ともいう。)g(x)を記載している。ただし、f(x)とg(x)とでは縦軸の向きが互いに反対になるように記載している。なお、ゴム強度分布g(x)の強度の平均値をmで表す。シリコーンゴムについては、経年劣化がほぼ無視できることが判明しており、その強度分布は時間経過によらず不変であると仮定してもよい。すなわち、ゴム強度分布g(x)については、平均値mは経年によらず一定とみなすことができ、その分散も一定とみなすことができる。したがって、平均値mとその分散を実験データ等に基づいて与えておけば、g(x)は既知である。他方、界面強度分布f(x)は、界面強度の経年劣化により変化する。特に、界面強度分布f(x)の平均値nは経年により減少し、同図中、f(x)は経年により左側へ移動する。なお、図示例では、n<mの時の一例を示している。この場合でも、界面強度x1>ゴム強度α1(x1>α1)を満たすf(x1)>0,g(α1)>0が存在するので、凝集破壊が生じ得る。
図5の下段左側には、界面破壊のイメージを示している。界面破壊は、シリコーンゴム部材2が界面から引き剥がされて生ずる。上記のように、界面破壊は、界面の強度がシリコーンゴムの強度よりも小さいとき(ゴム強度>界面強度)に生ずる。
図5の下段右側には、上段右側と同様に、横軸を強度とし縦軸を確率密度として、界面強度分布f(x)、ゴム強度分布g(x)を記載している。併せて、界面破壊率の計算式をf(x)及びg(x)と対応させて示している。ゴム強度αよりも小さい界面強度に対して界面破壊が発生するので、f(x)を0〜αの範囲で積分したものにゴム強度αのときの確率密度g(α)を乗じ、これをαについてさらに積分することで界面破壊率が得られる。なお、本実施の形態では、界面強度分布f(x)の分散は例えばゴム強度分布の分散と同じ値であると仮定する。
図6は、界面強度と界面破壊率との関係(界面強度−界面破壊率曲線)を理論的に求めた結果を示した図である。上記(1)式によれば、界面強度分布f(x)の平均値nを与えることにより、界面破壊率が計算できるので(ゴム強度分布g(x)は既知であり、界面強度分布f(x)の分散はゴム強度分布g(x)の分散に等しい)、この平均値nを縦軸(界面強度[MPa])とし、この平均値nに対応する界面破壊率を横軸(界面破壊率[%])としてプロットしたものが図6である。なお、図6では、一例として、シリコーンゴムの強度の平均値mを5MPa、シリコーンゴム及び界面の各強度分布の標準偏差を1.25MPaとした場合について、界面強度と界面破壊率との関係を理論的に求めたものである。
次に、図6の界面強度−界面破壊率曲線を利用した界面強度の劣化診断方法の原理について説明する。以下では、複数個の試験片20に対して加速劣化試験を実施し、これらの試験片20の界面を強制的に劣化させたサンプルを用意し、これらのサンプルに対して界面強度の劣化診断方法を適用することにより、その内容及び有効性を説明する。
加速劣化試験の条件は、試験片20を塩水(イオン性物質を含む水を模擬)の入った密閉容器に入れて100℃で煮沸するものである。加速劣化時間である煮沸時間は、200時間、500時間、800時間の三通りとし、それぞれ2個の試験片20を試験に用いた。各加速劣化時間の経過後に、2個の試験片20を密閉容器から取り出し、上記の引き剥がし試験を実施し、界面破壊率を求めた。
図7は、加速劣化試験に基づく界面破壊率の測定結果を示した図である。図7において、経過時間(h)は加速劣化時間を表す。経過時間が200時間の場合は、2個のサンプル(試験片20)について、引き剥がし試験の結果、いずれの界面破壊率も0%となった。界面破壊率=0[%]に対する界面強度は10.4[MPa]である。これは、図6の界面強度−界面破壊率曲線から求められたものであるので、図7では「界面強度理論値」と記載している。経過時間が500時間の場合は、2個のサンプル(試験片20)について、引き剥がし試験の結果、界面破壊率は11%及び22%となった。界面破壊率=11[%]に対する界面強度は7.2[MPa]であり、界面破壊率=22[%]に対する界面強度は6.4[MPa]である。これらは、図6の界面強度−界面破壊率曲線から求められたものである。経過時間が800時間の場合は、2個のサンプル(試験片20)について、引き剥がし試験の結果、いずれも界面破壊率が33%となった。界面破壊率=33[%]に対する界面強度は5.8[MPa]である。これは、図6の界面強度−界面破壊率曲線から求められたものである。このように、加速劣化時間とともに、界面が劣化して界面破壊率が上昇し及び界面強度が低下していることがわかる。
界面強度の劣化のメカニズムは、次のようなものである。シリコーンゴムとFRPはプライマーにより接着されており、シリコーンゴムとプライマーは共有結合で、FRPとプライマーは水素結合で繋がっており、外部からの水分や熱により、これらの結合が徐々に切断されることで、界面強度が低下する。界面強度は、結合の数に比例し、時間経過とともに指数関数的に減衰していく。
図8は、加速劣化試験に基づいて求めた界面強度の減衰曲線の一例を示した図である。図8では、図7の界面強度理論値を経過時間(加速劣化時間)ごとにプロットした後(4点)、上述のように界面強度は時間経過とともに指数関数的に減衰するとの仮定のもと、その減衰形状をA・exp(−B・t)のように仮定し、実測点としての4点にこの減衰曲線を当てはめることにより係数A,Bを決定し、これを実測点に併せて点線で示したものである。なお、expは指数関数を、tは時間を表す。
次に、図6の界面強度−界面破壊率曲線を再度利用することにより、図8の界面強度の減衰曲線から、界面破壊率の経時変化曲線を求める。すなわち、図6の界面強度−界面破壊率曲線を参照することにより、界面強度の減衰曲線の各界面強度に対応する界面破壊率が得られるので、加速劣化時間に対する界面破壊率の変化を表す曲線(界面破壊率の経時変化曲線)を得ることができる。図9は、このようにして求めたもので、加速劣化試験に基づいて求めた界面破壊率の経時変化曲線の一例を示す図である。図9では、図7で得られた実測点(4点)とともに界面破壊率の経時変化曲線を示している。実測点は、加速劣化時間が200時間、500時間、800時間の各時点で与えられるが、界面破壊率の経時変化曲線を求めることにより、加速劣化時間が800時間以降の界面破壊率を推定することが可能となる。そして、界面破壊率の経時変化曲線により、界面の余寿命を評価することが可能となる。例えば、界面破壊率がある一定値(図示例では例えば88%)に達した時を界面寿命と定義した場合は、界面破壊率の経時変化曲線から当該一定値に対応する加速劣化時間を界面寿命として求めることができ、現時点を基準に界面寿命までの余時間として余寿命を評価することができる。
以上の界面の劣化診断方法は、加速度劣化時間を実際の経過時間(実器の使用年数)に置き換えることにより、実器と同じ設置環境から回収された試験片20に対しても同様に適用することができる。これは、図6の界面強度−界面破壊率曲線が時間要素を含まない一般的特性であること、図8のような界面強度の減衰特性は加速劣化時間に対してのみならず実際の経過時間(実器の使用年数)に対しても成立すると推定されることによる。
図10〜図12は、実器と同じ設置環境から回収された試験片20(経過年数t1,t2,t3の各2個の試験片20)に対して上記界面の劣化診断方法を適用した場合に予測される結果の例を示したものであり、それぞれ加速劣化試験により得られた図7〜図9に対応する図である。すなわち、図10は、実器設置環境から回収された試験片20に対する界面破壊率の測定結果の一例を示した図、図11は、図10に基づいて求めた界面強度の減衰曲線の一例を示した図、図12は、図10に基づいて求めた界面破壊率の経時変化曲線の一例を示す図である。なお、図10〜図12は、図7〜図9との対応を明らかにするための例示であり、数値自体は加速劣化試験と同じものを経過時間t1〜t3を明示しないで示している。
以上の説明に基づき、本実施の形態に係るポリマー碍管の劣化診断方法について説明する。図13は、本実施の形態に係るポリマー碍管の劣化診断方法を示すフローチャートである。図13は、これまでの説明を時系列的な処理としてまとめたものである。
まず、実器であるポリマー碍管11(図1)の設置場所の例えば近傍に複数個の試験片20(図2)を設置する(S1)。上述のように、ポリマー碍管11は例えば変電所等に設置され、複数個の試験片20はポリマー碍管11と略同じ設置環境に設置される。
次に、所定経過年ごとに試験片20を変電所内の設置個所から回収する(S2)。回収の個数は以下の引き剥がし試験に使用する個数であり、少なくとも1以上である。なお、回収は、年単位で行わなくとも所定期間ごとに定期的に行うものであればよい。
回収した試験片20に碁盤目状の切込み1aを入れた後(S3、図3)、試験片20に対して引き剥がし試験を実施する(S4、図4)。引き剥がし試験は、例えばオートグラフにより行う。
次に、引き剥がし試験の結果に基づいて、界面破壊率を求める(S5)。界面破壊率の計算は、(界面破壊した分割片1の個数)/(分割片1の個数)による。
次に、予め求めた界面強度−界面破壊率曲線(図6)を用いて、S5で求めた界面破壊率に相当する界面強度値を求め、この界面強度値を試験片20設置後から当該回収時までの経過時間及びS5で求めた界面破壊率とともに記憶部(図示せず)に保存する(S6)。保存されたデータは、次回収時以降の劣化診断に使用される。
次に、過去の界面強度値及び当該界面強度を求めた時の経過時間のデータが記憶部に保存されているか否かを調べる(S7)。すなわち、前回以前の試験片回収時においてS3〜S6と同様の処理により求めた界面強度値、界面破壊率及び当該回収時の経過時間が記憶部に記憶されているか否かを調べる。
S7の判定の結果、過去の界面強度値及びその時(当該界面強度を求めた時)の経過時間のデータが保存されている場合は(S7,Yes)、過去の界面強度値及びその時の経過時間のデータに今回得られた界面強度値及び当該回収時における経過時間のデータをもとに、指数関数的な減少特性の仮定のもと、界面強度の減衰曲線を求める(S8,図11)。なお、上述のように界面強度の減衰曲線をA・exp(−B・t)のように仮定した場合は、2時点以上のデータが得られれば、A,Bの値を求めることができる。A,Bの算出方法(曲線当てはめ)には種々の方法を適用することができる。S7の判定の結果、過去の界面強度値及びその時の経過時間のデータが保存されていない場合は(S7,No)、S2に戻る。
次に、界面強度−界面破壊率曲線(図6)及び界面強度の減衰曲線(図11)を用いて、界面破壊率の経時変化曲線を求める(S9、図12)。そして、得られた界面破壊率の経時変化曲線に基づいて、界面強度の余寿命を診断する(S10、図12)。余寿命は、界面破壊率が当該回収時の値から界面寿命を定める予め設定された一定値に達するまでの時間を求めることにより評価することができる。S2〜S10の処理を所定経過年ごとに繰り返す。界面破壊率の経時変化曲線は、試験片20を回収し劣化診断を行うたびに最新のデータにより更新される。
なお、S5〜S10の処理は例えば所定のプログラムに従って動作するコンピュータで行うことができる。
以上説明したように、本実施の形態によれば、ポリマー碍管11の設置環境と同様の設置環境に置かれた試験片20について図13に示すような界面強度の劣化診断を実施することにより、ポリマー碍管11のFRP筒12と外被13との界面の劣化進行を推定でき、その余寿命評価が可能となる。
なお、従来のように、実器について劣化診断を行う場合には、実器を停止する等の制約があり、メンテナンスコストの面からも、診断の間隔は長期に及ぶ場合もある。これに対し、本実施の形態では、複数の試験片を実器と同じ又は類似の環境下において劣化診断を行うようにしたので、より短い間隔で定期的に診断を行うことも可能である。
また、本実施の形態では、余寿命の推定は、界面破壊率の経時変化曲線そのものを用いて行うとしたが、例えば界面破壊率の経時変化曲線を直線近似したものを用いて行ってもよい。図12に示すように、界面破壊率の経時変化曲線はある範囲(図示例では、経過時間が10〜25の範囲)では直線的に振る舞う。そこで、当該範囲で界面破壊率の経時変化曲線を近似する直線を求め、この直線を当該範囲から外挿することによっても、界面の劣化の傾向を把握でき、界面強度の余寿命評価が可能となる(図14参照)。例えば、この直線により、界面破壊率が100[%]になるまでの余寿命を推定することができる。この場合の余寿命の評価は実際よりも厳し目の評価を与えると推定される。
また、余寿命がわずかであると判断された場合には、アラームを発するなどの設定を行ってもよい(例えば、図13のS5〜S10の処理を行うコンピュータにて設定する)。界面破壊率約90%は界面剥離するような領域にあるので、界面破壊率90%までの余寿命がわずかになった時にアラームを発するようにすることもできる。
本発明は、ポリマー碍管の外皮とFRP筒との界面の劣化診断方法として好適である。
1 分割片
2 シリコーンゴム部材
3 FRP部材
4 界面破壊
5 凝集破壊
5 凝集破壊
11 ポリマー碍管
12 FRP筒
13 外被
15a,15b フランジ
20 試験片

Claims (4)

  1. FRP筒とこのFRP筒の外周面を覆うシリコーンゴムから成る外皮とを備えたポリマー碍管の前記FRP筒と前記外皮との界面強度の劣化を診断するポリマー碍管の劣化診断方法であって、
    前記FRP筒を模擬するFRP部材とこのFRP部材に接着され前記外皮を模擬するシリコーンゴム部材とから構成され、前記FRP部材と前記シリコーンゴム部材との界面が露出した複数個の試験片を、前記ポリマー碍管が設置された電気所内に設置する第1のステップと、
    所定期間経過するごとに少なくとも1個以上の前記試験片を前記電気所から回収する第2のステップと、
    回収された前記試験片に前記シリコーンゴム部材の表面から前記FRP部材の表面に達する碁盤目状の切り込みを入れて前記シリコーンゴム部材に複数個の分割片を形成し、これらの分割片をそれぞれ前記シリコーンゴム部材側から引っ張ることで引き剥がし試験を実施する第3のステップと、
    前記引き剥がし試験の結果に基づき、界面破壊が発生した前記分割片の個数と前記分割片の総数との比として界面破壊率を求める第4のステップと、
    前記FRP部材と前記シリコーンゴム部材とについて界面強度と界面破壊率との理論的関係を与える界面強度−界面破壊率曲線を用いて、前記第4のステップにて求めた前記界面破壊率に相当する界面強度値を求めるとともに、前記試験片の設置時から当該回収時までの経過時間を求める第5のステップと、
    前記第5のステップにて求めた界面強度値及び経過時間に関するデータと、当該回収時以前の過去の回収時に求めた界面強度値及び経過時間に関するデータとに基づき、時間経過とともに指数関数的に減衰する界面強度の減衰曲線を求める第6のステップと、
    前記界面強度−界面破壊率曲線及び前記界面強度の減衰曲線を用いて、界面破壊率の経時変化曲線を求める第7のステップと、
    を含むことを特徴とするポリマー碍管の劣化診断方法。
  2. 前記第7のステップ後、前記界面破壊率の経時変化曲線を用いて、界面破壊率が前記回収時の値から予め定めた一定値に達するまでの時間を求めることにより前記界面強度の余寿命を評価することを特徴とする請求項1に記載のポリマー碍管の劣化診断方法。
  3. 前記界面破壊率の経時変化曲線を直線で近似した後に、前記余寿命の評価を行うことを特徴とする請求項2に記載のポリマー碍管の劣化診断方法。
  4. 前記界面強度−界面破壊率曲線は、前記FRP部材と前記シリコーンゴム部材との界面の強度分布と、前記シリコーンゴム部材の強度分布とに基づいて求められたものであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のポリマー碍管の劣化診断方法。
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