JP4013149B2 - 構造物の健全性判定装置 - Google Patents

構造物の健全性判定装置 Download PDF

Info

Publication number
JP4013149B2
JP4013149B2 JP2004067329A JP2004067329A JP4013149B2 JP 4013149 B2 JP4013149 B2 JP 4013149B2 JP 2004067329 A JP2004067329 A JP 2004067329A JP 2004067329 A JP2004067329 A JP 2004067329A JP 4013149 B2 JP4013149 B2 JP 4013149B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
sensor
carbon fiber
fiber string
string
sheet member
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2004067329A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2004258041A (ja
Inventor
清 石井
裕 稲田
稔 杉田
謙蔵 関島
靖 大塚
照幸 中辻
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Shimizu Corp
Original Assignee
Shimizu Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Shimizu Corp filed Critical Shimizu Corp
Priority to JP2004067329A priority Critical patent/JP4013149B2/ja
Publication of JP2004258041A publication Critical patent/JP2004258041A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4013149B2 publication Critical patent/JP4013149B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Images

Description

本発明は、構造物の健全性の判定に用いられる構造物の健全性判定装置に関する。
土木・建築等の構造物は、地震荷重や風荷重などによって被害を受け、時には倒壊する。このことから、これらの荷重を当然考慮して構造物の設計が行われるが、それにもかかわらず被害を受ける理由は、これらの荷重がもつ発生過程の不規則性、発生時点、大きさ、継続時間等が統計的に変動するためである。
そこで、周知のように、構造物(例えば、コンクリート)に生じるひび割れの有無、ひいてはひび割れの程度等のいわゆる健全性を検知すべくひび割れ幅を計測するための手法としては、現在までのところ次のようなものが実用化されている。
(1)目視によりひび割れの有無を観察しクラックスケールを用いてひび割れ幅を読み取るもの。
(2)接着型抵抗線ひずみゲージ(ワイヤーストレインゲージ)を構造物の表面に接着するもの。
(3)非接触型ひずみ計(カールソン型計器)を構造物の内部に埋設しておくもの。
(4)金属板に打ち込んだ鋼球を標点とする押当て式ひずみ計(コンタクト式ひずみゲージ)を構造物の表面に接着して用いるもの。
(5)電気的変位計(πゲージ)を用いるもの。
ところで、上述した従来の手法は、実験室において構造物たるコンクリート試験体に対してひび割れ試験を行う場合に適用し得るものの、実際に構築されている屋外の構造物のひび割れを長期にわたってモニタリングする場合にそのまま適用することは以下のような理由によりいずれも無理がある。
(1)目視観察によるものは精度の点で難があり、特に構造物の表面が汚れているような場合には、微細なひび割れを検知し難い。
さらに、目視観察によるものは、次のような部分、場所の健全性を確認することができない。
(a)地下部分、仕上材、天井材、カバー(屋上における防水層やトンネルの覆工等)、機器配管類の陰になっている部分、作業員が立ち入ることができない程狭い部分。
(b)高所作業を伴い、かつ安全な作業足場を確保し難い場所。
(c)水・海水に接している構造物や水中構造物。
(d)発電所設備等のような(超)高電圧設備機器が設置されている場所。
(e)原子力施設や放射性廃棄物の処分場等のような放射性物質を取り扱う施設。
(f)人体に有害な気体(ガス)または刺激臭(臭い)が発生する場所。
(g)酸素欠乏状態になり易い場所。
(h)出来れば避けたい汚物、光、騒音、粉塵、振動等がある場所。
(i)高温度、高湿度の場所。
(2)接着型抵抗線ひずみゲージは耐久性に難がある。
(3)非接触型ひずみ計は高価であるので測定箇所が限定される。
(4)押当て式ひずみ計は構造物の表面に対する接着の手間を要し、また鋼球が錆びるという懸念がある。
(5)電気的変位計は屋外において使用する場合は耐久性に難があり、実用的でない。
本発明はこのような背景の下になされたもので、実際に施工された構造物の健全性を簡単な計器を用いて判定することができる構造物の健全性判定装置を提供することを目的とする。
本発明は、構造物と、前記構造物の表面に貼着され、もしくは構造物の内部に埋設され、所定値以上の引っ張り力で破断する導電性材料から構成されたセンサと、前記センサにおける少なくとも2点に各々接続された複数の端子と、前記複数の端子のうち少なくとも2つの端子間の抵抗値を測定する抵抗測定手段とを具備し、前記センサは、導電性の繊維を束ねた繊維ストリングまたは導電性の繊維をメッシュ・マット状に編組した繊維シートが帯状のプラスチックスからなるシート部材の表面に貼着されてなり、前記センサにおける繊維ストリングまたは繊維シートがその中央部より略U字形状に折曲げられた状態でシート部材に貼着され、前記抵抗測定手段は、切り替えスイッチの切り替え操作により直流抵抗測定またはインピーダンス測定の選択が可能であり、かつ直流抵抗の変化から水の浸透を判定するモニタリングと、インピーダンスの変化からセンサの損傷状況を判定するモニタリングの双方が可能なテスタからなることを特徴とする。
本発明によれば、構造物に荷重が作用すると、センサに引っ張り力が作用することによりセンサの抵抗値が変化する。従って、本発明によれば、上記抵抗値を簡易な抵抗測定手段により測定することにより、実際に施工された構造物の健全性を簡単に判定することができるという効果が得られる。また、本発明によれば、複数の端子を設けることによりセンサにおける複数の区間の抵抗値を細かく測定することができるので、構造物の健全性の判定精度を向上することができるという効果が得られる。
さらに、抵抗測定手段は切り替えスイッチの切り替え操作により直流抵抗測定またはインピーダンス測定の選択が可能であり、かつ直流抵抗の変化およびインピーダンスの変化の双方をモニタリング可能なテスタからなるので、そのテスタにより直流抵抗の変化をモニタリングすることにより障害箇所への水の浸透を判定でき、インピーダンス変化のモニタリングをすることにより障害箇所におけるセンサの損傷状況を把握することができる。
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。図1は本発明の一実施形態による構造物の健全性判定装置の概略構成を示す図である。この図において、1は、被測定対象物の直流抵抗またはインピーダンスを測定するテスタであり、その端子1aには、プローブ2aの一端が接続されており、その端子1bには、プローブ2bの一端が接続されている。また、テスタ1には、図示しない切り替えスイッチが設けられており、この切り替えスイッチの切り替えにより、直流抵抗測定またはインピーダンス測定の選択が行われる。ここで、上記インピーダンス測定により、センサ4のキャパシタンス成分およびインダクタンス成分が測定される。
3は、構造物であり、例えば、構造用鉄筋等の補強材を内部に有しないコンクリート構造物、上記補強材を内部に有する鉄筋コンクリート構造物、柱、梁、壁、筋交い、階段、基礎版、フーチング、基礎杭等である。4は、構造物3の内部に同図横方向に埋設され、かつその中央部が折曲げられた導電性線材からなるセンサであり、その一端4aおよび一端4bが構造物3の一側面より突出している。このセンサ4は、構造物3の健全性を検知するものである。また、測定時において、センサ4の一端4aには、プローブ2aの他端が当接され、かつ一端4bには、プローブ2bの他端が当接される。
なお、このセンサ4の具体的構成等の詳細については後述する。
上記構成において、今、構造物3に対して同図に示す矢印A方向に荷重が作用していないものとする。従って、この場合、構造物3の形状は、同図に2点鎖線で示すものとされている。
この状態において、作業者は、テスタ1の切り替えスイッチを直流抵抗測定側に切り替えた後、プローブ2aおよび2bの各他端をセンサ4の一端4aおよび4bに当接させる。これにより、テスタ1には、センサ4の直流抵抗値が表示され、今の場合、センサ4に損傷、断線等が生じていないものとすると、上記直流抵抗値は、ほぼゼロである。従って、作業員は、直流抵抗値がゼロであるため、センサ4ひいては構造物3に損傷、亀裂等が発生していないものと判定する。
そして、今、地震等の影響により、構造物3に対して同図に示す矢印A方向に荷重が加えられることにより、構造物3が2点鎖線で示す形状から実線で示す形状に変形したものとする。この変形により、障害部分Hにおいて、構造物3に亀裂、損傷等が生じたとともに、センサ4が断線したものとする。
ここで、上記荷重としては、地震の他、風圧、雪荷重、氷荷重、土荷重、水圧、波圧、潮圧、地盤の変形、温度等の自然荷重、付加された死荷重や活荷重、衝撃、衝突、爆発、採鉱や近接工事による沈下等の人為的荷重等が挙げられる。
上述した状態において、上述した動作と同様にして、テスタ1によりセンサ4の直流抵抗値が測定されると、該直流抵抗値は、無限大とされる。これにより、作業員は、センサ4に断線が発生しており、かつ構造物3に損傷、亀裂等が発生しているものと判定する。
さらに、センサ4が断線している状態において、障害箇所Hに水が浸透すると、センサ4の直流抵抗値は、無限大から有限値へと変化する。この変化の状況を長時間に亙ってモニタリングすることにより、障害箇所Hに水が浸透していることが判定される。
一方、作業者によりテスタ1の切り替えスイッチが直流抵抗値測定側からインピーダンス測定側に切り替えられると、テスタ1からは、プローブ2aおよびプローブ2bを介してセンサ4へ交流信号が出力される。これにより、テスタ1には、センサ4のインピーダンス、すなわちキャパシタンス成分およびインダクタンス成分が表示される。作業者は、上記インピーダンスの変化をモニタリングすることにより、障害箇所Hにおけるセンサ4の損傷状況を把握する。このインピーダンス測定法によるセンサ4の健全性の判定手法は、直流抵抗値測定法による測定結果が不安定である場合に、特に有効である。
図2(a)は、上述した一実施形態による構造物の健全性判定装置の別の概略構成を示す平面図であり、図2(b)は、図2(a)に示すA−A線視断面図である。図2(a)および(b)において、図1の各部に対応する部分には、同一の符号を付けその説明を省略する。
図2(a)および(b)においては、図1に示す構造物3に代えて基礎杭5が設けられている。
基礎杭5は、地表6に縦方向に打設された構造部材であり、厚肉円筒形状とされている。この基礎杭5の厚肉部分には、杭頭5aから杭先端部5bまでに至って、略U字形状のセンサ4が埋設されている。すなわち、センサ4は、その中央部が折曲げられており、かつ一端4aおよび4bが互いに近接するようにして杭頭5aより突出している。
上記構成において、基礎杭5の健全性の判定方法は、図1を参照して説明した構造物の健全性判定装置と同様である。すなわち、図2(b)に示す基礎杭5に荷重が作用すると、例えば、同図に示す障害部分Hにおいて、基礎杭5に亀裂、損傷等が生じるとともに、センサ4が断線する。この状態において、テスタ1によりセンサ4の直流抵抗値が測定されると、該直流抵抗値は、相当に大きな値なる。これにより、作業者は、基礎杭5に亀裂、損傷等が発生したものと判定する。
なお、上述した一実施形態による構造物の健全性判定装置においては、センサ4としてカーボン等の導電性の繊維・粉末によるものを用いる。
この種のセンサ4は、カーボン繊維を数100本以上(具体的には、600本以上であって、かつ1000本単位で1000本〜12000本程度)束ねてなるもの、またはカーボン繊維をメッシュ・マット状(シート状)に編組してなるものである。この種のセンサ4の破断伸びは、ピッチ系カーボン繊維の場合、0.38〜2.2%程度である。このようなセンサ4を用いた場合、構造物3の変形により、カーボン繊維が損傷や破断することにより引き起こされる直流抵抗値(インピーダンス)が変化する。
従って、このセンサ4によれば、構造物3に作用する荷重の大きさと、直流抵抗値(インピーダンス)との関係を予め実験等により調べておくことにより、実際の直流抵抗値(インピーダンス)から作用した荷重の大きさを知ることができる。
ひいては、このセンサ4によれば、直流抵抗値(インピーダンス)の変化をテスタ1により計測することにより、構造物3のひびわれ、曲げ、せん断、圧縮(圧壊)、はがれ等を検知することができる。
次に、センサ4の詳細な構成について説明する。なお、本実施形態におけるセンサ4としては、以下の段落[0039]〜[0043]において(S−4)項として説明するセンサ80,90,100(図5参照)を使用するのであるが、センサ4の基本構成やそれに関連する事項について(S−1)項〜(S−3)項によりまず説明しておく。
(S一1) カーボンの長繊維(連続糸)を束ねて糸状もしくは紐状にしたもの(以下、総称してカーボン繊維ストリングと称する)、またはカーボン繊維をシート状にしたもの(以下、カーボン繊維シートと称する)。
このようなセンサ4の使用方法としては、構造物の内部に埋設する方法(図1および図2参照)の他に、構造物の表面に貼着する方法がある。このようにセンサ4を構造物の表面に貼着して使用する場合には、センサ4に対して樹脂や塗料を塗布、またはセンサ4を覆うように構造物の表面にプラスチックス等のシートを貼付けることにより、センサ4を保護する必要がある。
(S一2) 図3(a)〜(j)に示すセンサ10、20、30、40および50。
以下、これらセンサ10、20等の構成について説明する。図3(a)、(c)、(e)、(g)および(i)は、センサ10、20、30、40、および50の各構成を示す断面図である。また、図3(b)、(d)、(f)、(h)および(j)は、センサ10、20、30、40および50の各構成を示す平面図である。
まず、図3(a)および(b)に示すセンサ10は、カーボン繊維ストリング11とシート部材12とから構成されている。カーボン繊維ストリング11は、上述したようにカーボンの長繊維(連続糸)を束ねて糸状もしくは紐状にしたものである。シート部材12は、プラスチックスが帯状に形成されてなり、このシート部材12表面の中央部には、長手方向にカーボン繊維ストリング11が貼着されている。
また、用途によっては、シート部材12は、その裏面に接着剤が塗布されており、テープ状とされている。この種のシート部材12は、構造物3(図1参照)または基礎杭5(図2参照)の表面に貼着する場合に用いて好適である。
また、図3(c)および(d)に示すセンサ20は、カーボン繊維シート21とシート部材22とから構成されている。カーボン繊維シート21は、上述したようにカーボン繊維がシート状に形成されてなるものである。シート部材22の基本的な構成およびその材料は、図3(b)に示すシート部材12と同様である。
このシート部材22の表面の中央部には、長手方向にカーボン繊維シート21が貼着されている。また、場合によっては、シート部材22は、その裏面に接着剤が塗布されている。この種のセンサ20は、構造物3(図1参照)または基礎杭5(図2参照)の表面に貼着する場合に用いて好適である。
また、図3(e)および(f)に示すセンサ30は、カーボン繊維ストリング31および被覆部材32とから構成されている。このカーボン繊維ストリング31は、カーボン繊維ストリング11(図3(b)参照)と同一構成とされている。被覆部材32は、絶縁材料たるプラスチックスが厚肉帯状に形成されてなり、図3(e)に示すカーボン繊維ストリング31の外周面を被覆している。
この種のセンサ30は、カーボン繊維ストリング31の外周面が全体に亙って絶縁されているため、構造物3および基礎杭5の材料がコンクリート、鉄筋等の導電性材料である場合に、カーボン繊維ストリング31と構造物3等との接触による短絡を防止することを目的として用いて好適である。
また、センサ30を用いた場合には、2本以上のセンサ30を重ねて用いてもカーボン繊維ストリング31同士およびカーボン繊維ストリング31と構造物3等との間の絶縁が確保されるので、設置に際して取扱いが非常に容易である。
また、図3(g)および(h)に示すセンサ40は、カーボン繊維ストリング41およびプラスチックス樹脂42とから構成されている。カーボン繊維ストリング41は、カーボン繊維ストリング11(図3(b)参照)と同一構成とされている。プラスチックス樹脂42は、カーボン繊維ストリング11の外周面全体をコーティングしている。この種のセンサ40は、センサ30と同様にしてカーボン繊維ストリング41および構造物3等との接触による短絡を防止することを目的として用いて好適であるとともに、設置に際して取扱いが非常に容易である。
また、図3(i)および(j)に示すセンサ50は、カーボン繊維ストリング51およびプラスチックス樹脂52、53とから構成されている。カーボン繊維ストリング51は、カーボン繊維ストリング11と同一構成とされている。このカーボン繊維ストリング51の外周面は、一定長さに亙って、プラスチックス樹脂52およびプラスチックス樹脂53によりコーティングされている。
すなわち、カーボン繊維ストリング51においては、プラスチックス樹脂52およびプラスチックス樹脂53によりコーティングされている部分と、コーティングされていない部分とが存在する。
この種のセンサ50は、構造物3等に対する絶縁が必要な箇所のみが部分的に絶縁可能な構成とされているので、センサ40(図3(g)および(h))に比して製造コストが安いという利点がある。
(S−3) 上述した(S一1)項および(S一2)項で説明したセンサとして、破断伸びが異なる2種類以上のカーボン繊維ストリングまたはカーボン繊維シートが用られているもの。
以下、この種のセンサについて、図4(a)〜(d)を参照して説明する。図4(a)および(c)は、センサ60および70の構成を示す断面図であり、図4(b)および(d)は、センサ60および70の構成を示す平面図である。
図4(a)および(b)に示すセンサ60は、第1のカーボン繊維ストリング61A、第2のカーボン繊維ストリング61Bおよびシート部材62から構成されている。上記第1のカーボン繊維ストリング61Aおよび第2のカーボン繊維ストリング61Bの基本的な構成は、カーボン繊維ストリング11(図3(b)参照)の構成と同一である。但し、第1のカーボン繊維ストリング61Aと第2のカーボン繊維ストリング61Bとは、その破断伸び特性が異なる。
すなわち、第1のカーボン繊維ストリング61Aは、第2のカーボン繊維ストリング61Bに比して、所定の引張応力に対して伸びが小さい。従って、第1のカーボン繊維ストリング61Aおよび第2のカーボン繊維ストリング61Bに一定の増加率で増加する引張応力を徐々に作用させた場合、第1のカーボン繊維ストリング61Aは、第2のカーボン繊維ストリング61Bよりも先に破断する。もっといえば、上述した場合において、第1のカーボン繊維ストリング61Aの抵抗値の増加分は、第2のカーボン繊維ストリング61Bの抵抗値の増加分に比して大きい。
さらに、第1のカーボン繊維ストリング61Aは、第1の値以上の引張応力が作用すると完全に破断し、この場合には、その抵抗値が理論的に無限大、または飛躍的に大なる値となる。一方、第2のカーボン繊維ストリング61Bは、第2の値(>第1の値)以上の引張応力が作用すると完全に破断し、この場合には、抵抗値が無限大または飛躍的に大なる値となる。
また、これら第1のカーボン繊維ストリング61Aおよび第2のカーボン繊維ストリング61Bにおける伸びに対する抵抗値の増加分の関係を表す特性は、実験等により予めわかっているものである。
これら第1のカーボン繊維ストリング61Aおよび第2のカーボン繊維ストリング61Bは、一定間隔をおいて平行配置されている。シート部材62は、上述したシート部材12(図3(b)参照)と同一構成とされており、このシート部材62の中央部には、長手方向に第1のカーボン繊維ストリング61Aおよび第2のカーボン繊維ストリング61Bが各々貼着されている。
上述したセンサ60を用いた構造物の健全性判定装置によれば、破断伸び特性が異なる、第1のカーボン繊維ストリング61Aおよび第2のカーボン繊維ストリング61Bを用いているので、第1のカーボン繊維ストリング61Aの抵抗値と第2のカーボン繊維ストリング61Bの抵抗値との双方より、構造物3(図1参照)等に作用した引張応力の大きさを詳細に知ることができる。
例えば、第1のカーボン繊維ストリング61Aの抵抗値が無限大であって、かつ第2のカーボン繊維ストリング61Bの抵抗値が非常に小さいものである場合には、構造物3等に作用した引張応力の大きさが第1の値以上であってかつ第2の値より小であるものと推測することができる。
また、第1のカーボン繊維ストリング61Aおよび第2のカーボン繊維ストリング61Bの各抵抗値が共に無限大である場合には、構造物3等に作用した引張応力の大きさが第2の値以上であるものと推測することができる。
図4(c)および(d)に示すセンサ70は、第1のカーボン繊維ストリング71A、第2のカーボン繊維ストリング71Bおよびシート部材72から構成されている。上記第1のカーボン繊維ストリング71Aおよび第2のカーボン繊維ストリング71Bの各構成は、上述した図4(b)に示す第1のカーボン繊維ストリング61Aおよび第2のカーボン繊維ストリング61Bの各構成と同一とされている。
すなわち、第1のカーボン繊維ストリング71Aと第2のカーボン繊維ストリング71Bとは、その破断伸び特性が異なる。
また、第1のカーボン繊維ストリング71Aおよび第2のカーボン繊維ストリング71Bは、各々一定間隔をおいて平行配置されている。シート部材72は、シート部材62(図4(b)参照)と同質の材料から構成されており、第1のカーボン繊維ストリング71Aおよび第2のカーボン繊維ストリング71Bの各外周面を被覆している。すなわち、第1のカーボン繊維ストリング71Aおよび第2のカーボン繊維ストリング71Bは、図4(c)に示すようにシート部材72により一体に被覆されている。
上述したセンサ70を用いた構造物の健全性判定装置によれば、センサ60と同様にして、構造物3(図1参照)等に作用した引張応力の大きさを詳細に知ることができる。
なお、上述したセンサ60およびセンサ70においては、第1のカーボン繊維ストリング61A、第2のカーボン繊維ストリング61B、第1のカーボン繊維ストリング71Aおよび第2のカーボン繊維ストリング71Bに代えて、前述したカーボン繊維シートを用いてもよい。
(S一4) 図5(a)〜(h)に示すセンサ80、90および100。
以下、これらセンサ80、90および100の構成について説明する。ここで、図5(a)、(c)および(f)は、センサ80、90および100の構成を示す断面図である。図5(b)、(d)および(g)は、センサ80、90および100の構成を示す平面図である。また、図5(e)は、センサ90の構成を示す右側面図であり、図5(h)は、センサ100の構成を示す背面図である。
まず、図5(a)および(b)に示すセンサ80は、カーボン繊維ストリング81およびシート部材82から構成されている。カーボン繊維ストリング81は、その材質が図3(a)に示すカーボン繊維ストリング11と同質とされており、その中央部より略U字形状に折曲げられている。シート部材82は、シート部材12(図3(a)参照)と同一構成とされている。このシート部材82の表面中央部には、長手方向にカーボン繊維ストリング81が貼着されている。
また、図5(c)、(d)および(e)に示すセンサ90は、カーボン繊維ストリング91およびシート部材92から構成されている。カーボン繊維ストリング91は、カーボン繊維ストリング81と同一構成、形状とされており、その中央部より略U字形状に折曲げられている。シート部材92は、シート部材12(図3(a)参照)と同一構成とされているが、その一端部には、表面から裏面までを貫通する貫通孔92aが形成されている。この貫通孔92aには、カーボン繊維ストリング91のU字部が貫通されている。すなわち、カーボン繊維ストリング91の一方の半部は、図5(e)に示すシート部材92の表面に貼着されており、またカーボン繊維ストリング91の他方の半部は、シート部材92の裏面に貼着されている。
また、図5(f)、(g)および(h)に示すセンサ100は、カーボン繊維ストリング101、シート部材102およびカーボン繊維ストリング103から構成されている。カーボン繊維ストリング101は、カーボン繊維ストリング81(図5(b)参照)と同一構成、形状とされている。シート部材102は、シート部材82(図5(b)参照)と同一構成とされており、その表面中央部には、長手方向に図5(g)に示すカーボン繊維ストリング101が貼着されている。カーボン繊維ストリング103は、カーボン繊維ストリング101と同一構成、形状とされており、図5(h)に示すシート部材102の裏面中央部に長手方向に貼着されている。
なお、上述したセンサ80、90および100においては、カーボン繊維ストリング81、91、101および103に代えて、前述したカーボン繊維シートをU字形状に形成したものを用いてもよい。
本発明の一実施形態による構造物の健全性判定装置の概略構成を示す図である。 同一実施形態による構造物の健全性判定装置の別の概略構成を示す図である。 同一実施形態による構造物の健全性判定装置に用いられるセンサの基本構成を示す参考図である。 同一実施形態による構造物の健全性判定装置に用いられる他のセンサの基本構成を示す参考図である。 同一実施形態による構造物の健全性判定装置に用いられるセンサの具体的な構成を示す図である。
符号の説明
1 テスタ
2a、2b プローブ
3 構造物
4、80、90、100 センサ
5 基礎杭
81、91、101 カーボン繊維ストリング(繊維ストリング)
82、92、102 シート部材

Claims (1)

  1. 構造物と、
    前記構造物の表面に貼着され、もしくは構造物の内部に埋設され、所定値以上の引っ張り力で破断する導電性材料から構成されたセンサと、
    前記センサにおける少なくとも2点に各々接続された複数の端子と、
    前記複数の端子のうち少なくとも2つの端子間の抵抗値を測定する抵抗測定手段と
    を具備し、
    前記センサは、導電性の繊維を束ねた繊維ストリングまたは導電性の繊維をメッシュ・マット状に編組した繊維シートが帯状のプラスチックスからなるシート部材の表面に貼着されてなり、
    前記センサにおける繊維ストリングまたは繊維シートがその中央部より略U字形状に折曲げられた状態でシート部材に貼着され、
    前記抵抗測定手段は、切り替えスイッチの切り替え操作により直流抵抗測定またはインピーダンス測定の選択が可能であり、かつ直流抵抗の変化から水の浸透を判定するモニタリングと、インピーダンスの変化からセンサの損傷状況を判定するモニタリングの双方が可能なテスタからなることを特徴とする構造物の健全性判定装置。
JP2004067329A 2004-03-10 2004-03-10 構造物の健全性判定装置 Expired - Fee Related JP4013149B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004067329A JP4013149B2 (ja) 2004-03-10 2004-03-10 構造物の健全性判定装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004067329A JP4013149B2 (ja) 2004-03-10 2004-03-10 構造物の健全性判定装置

Related Parent Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP18705697A Division JP3555061B2 (ja) 1997-07-11 1997-07-11 構造物の健全性判定装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2004258041A JP2004258041A (ja) 2004-09-16
JP4013149B2 true JP4013149B2 (ja) 2007-11-28

Family

ID=33128399

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2004067329A Expired - Fee Related JP4013149B2 (ja) 2004-03-10 2004-03-10 構造物の健全性判定装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4013149B2 (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN102095362A (zh) * 2010-11-20 2011-06-15 武汉理工大学 栅型碳纤维应变传感器

Families Citing this family (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2017155095A1 (ja) * 2016-03-11 2017-09-14 大日本印刷株式会社 センサーモジュール及びシートモジュール
JP6759689B2 (ja) 2016-05-10 2020-09-23 ヤマハ株式会社 歪みセンサユニット
KR102487780B1 (ko) * 2021-07-14 2023-01-17 고려대학교 산학협력단 전자기파를 이용한 지중 구조물의 건전도 평가 장치

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN102095362A (zh) * 2010-11-20 2011-06-15 武汉理工大学 栅型碳纤维应变传感器

Also Published As

Publication number Publication date
JP2004258041A (ja) 2004-09-16

Similar Documents

Publication Publication Date Title
Abdelrahman et al. Acoustic emission based damage assessment method for prestressed concrete structures: Modified index of damage
Zhou et al. Smart film for crack monitoring of concrete bridges
CN103399049A (zh) 基于导电聚合物拉敏效应的混凝土开裂监测方法
JP4013149B2 (ja) 構造物の健全性判定装置
JP2981206B1 (ja) コンクリート構造物の補強後における損傷の進行を確認する方法
JP3555061B2 (ja) 構造物の健全性判定装置
JP3940740B2 (ja) 亀裂検出システム、このシステムで利用可能な接着剤及び線状検出具
CN106226100B (zh) 一种边坡预应力锚索使用性能测试结构及测试方法
Engineer search and Deve
JP6934413B2 (ja) 応力モニタリングセンサおよび応力モニタリング方法
JP3148898B2 (ja) 歪・応力探知器およびそれを用いた構造物の歪・応力探知方法
CN214497610U (zh) 一种基坑混凝土梁支护体裂纹监测装置
JP3905354B2 (ja) トンネル構造体、トンネル構造体の損傷診断方法、損傷検出材、トンネルの建設方法およびトンネルの補修方法
Youn et al. Deterioration of bonded posttensioned concrete bridges and research topics on the strength evaluation in ISARC
JP4012633B2 (ja) 構造部材の健全性モニタリングセンサー
CN112761195A (zh) 一种基坑混凝土梁支护体裂纹监测装置及其监测方法
RU2290474C1 (ru) Способ контроля и диагностики элемента сооружения
Lin et al. Crack damage detection of structures using distributed electrical-time-domain reflectometry sensors
Makhoul et al. Structural Health Monitoring of buried pipelines under seismic hazard: A reivew of damage scenarios and sensing techniques
JPH0894557A (ja) 埋設pc鋼材の健全度検査方法
Yuyama et al. Acoustic emission evaluation in concrete
Inaudi Distributed Optical Fiber Sensors for Strain and Deformation Monitoring of Pipelines and Penstocks.
CN105957299B (zh) 一种混凝土开裂预警装置及方法
Youn et al. Acoustic emission technique for detection of corrosion-induced wire fracture
JP7075961B2 (ja) コンクリート構造物の内部応力または温度の計測方法

Legal Events

Date Code Title Description
A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20060919

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20061109

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20070508

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20070611

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20070807

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20070829

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100921

Year of fee payment: 3

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100921

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130921

Year of fee payment: 6

S531 Written request for registration of change of domicile

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140921

Year of fee payment: 7

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees