JP3905354B2 - トンネル構造体、トンネル構造体の損傷診断方法、損傷検出材、トンネルの建設方法およびトンネルの補修方法 - Google Patents
トンネル構造体、トンネル構造体の損傷診断方法、損傷検出材、トンネルの建設方法およびトンネルの補修方法 Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
本願発明は、トンネル構造体における劣化や変形を検出する技術に関し、詳しくは、圧縮、引張りなどの荷重の変化を導電率等の変化により検出することのできる破壊検知材をトンネル構造体に備えることにより、トンネル構造体における劣化・変形などを検出する技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、鉄道や道路のトンネル構造体におけるコンクリート部材の急速な劣化が顕在化し、コンクリート崩落事故等の社会的な問題が勃発している。このような状況下、コンクリートにおける損傷、破壊、劣化を診断する健全性モニタリング技術が注目されている。
現在まで、トンネル構造体の健全性診断に用いられている技術はシユミットハンマー法と呼ばれる人間の経験に依存した打音検査法であるが、この技術は検査に要する時間・費用が膨大となるだけでなく客観性に乏しいという問題を抱えている。
【0003】
これに対し、一般的な健全性診断システムとしては、金属泊ゲージ、光ファイバー、炭素繊維型FRP(Fiber Reinforced Plastics)、炭素粒子分散型FRPなどが知られている。
汎用品である金属箔歪ゲージは、ポイント型のセンサであって、構造物全体の健全性診断には多数のゲージが必要となること、長期安定性に乏しいことなどの理由から長期的な診断期間を要する構造体には適していない。
種々の光フアイバーによる健全性診断システムは、設置の難しさ、耐久性の問題、高コスト、計測時間の問題などにより、実構造物への適用には解決すべき課題が多い。
炭素繊維型FRPでは、補強機能を有するものの最低歪み検出限界、歪み感度が不十分である。炭素粒子分散型では、最低歪み検出限界、歪み感度、コストパフォーマンスに優れるという利点がある。炭素粒子分散型FRPについては、特開平9−100356号公報および特開2001−41774号公報に記載されている。なお、これらはいずれも本出願人による関連出願である。
【0004】
しかしながら、トンネル構造体は、基本的にアーチ構造を有しており、そのような構造体においては、アーチ方向に沿って生じる荷重負荷およびアーチの上方や側方からの荷重が負荷されることなどを始めとして各種の応力が発生することが予測される。したがって、トンネル構造体は、一般的な構築物を構成する柱や壁面などの躯体とは異なる特殊な歪み発生環境にある。
トンネル構造体は、その用途から、通常は、列車通過等による振動や空気圧変動、激しい温度変化などに常に曝されていること、そして、多くの場合、地山の緩みなどの影響を大きく受けるといった、他の構築物とは異なる劣化環境に曝されている。
また、トンネル構造体は、長期にわたって健全性の確保が要求される構造体であり、また、安全性確保の観点から、小さい歪みから大きい歪みまで幅広い範囲で歪みを検知することが要求される。
さらに、トンネル構造体において発生した損傷や破壊部分を早期にかつ高精度で検出するとともに、具体的な補修作業を考慮した場合には、構造体の大きさゆえに損傷箇所の特定が必要であるという特徴を有する。したがって、広範囲なモニタリングが要求される。
さらに、損傷部位には、例えば地震などの災害時に高い応力・ひずみが作用してひび割れが開口し、その災害が沈静化した後にはそのひび割れが閉じてしまうものも想定される。このような損傷に対して、これらの健全性診断システムによりそのひび割れの開閉の履歴を調べるためには常時モニタリングが前提となる。ただし、炭素繊維型FRPおよび炭素粒子分散型FRPに関しては、このひび割れの開閉の履歴を記憶でき、必ずしも常時モニタリングを必要としない可能性がある。
【0005】
上記各種の健全性診断システムのいずれが機能的にトンネル構造体に有効であるかということは現在確認されていない。また、上記したようにトンネル構造体における健全性診断の特殊性を鑑みると、いずれの健全性診断システムが使用できるか否かを判断することも極めて困難である。
また、損傷履歴を調べるための常時モニタリングは全ての計測箇所へのセンサデバイスおよび計測装置の設置を必要とし、コスト面や作業効率の面から非現実的な手法であり、健全性診断システムの実用化を遅らせている要因の一つとなっている。
【0006】
一方、トンネル構造物をより長く安全に使用するために、構成するコンクリート部材における各種の補強技術が開発されており、新設構造物に対してはコンクリート打設時に金属や高分子の短繊維を混入させる手法がある。既設構造物に対しては、例えばコンクリート表面にひび割れが発生および進展した場合には、そのひび割れ箇所の樹脂封入やコンクリート表面への鉄鋼板貼付による固定などの技術が採用されている。これらの技術は基本的に補強効果のみをもたらすものであるが、この補強効果と上記の健全性モニタリング機能を同一の材料システムで達成できれば、健全性をチェックしながら損傷を抑制することができる理想的な安全構造システムを構築することができる。また、この機能の融合は安全性の向上だけでなくコストの低減などの効果をもたらすものと期待できる。上記の金属箔歪ゲージや光ファイバーを構造体に適用した場合、それによる補強効果は見込めない。これに対して、炭素繊維型FRPおよび炭素粒子分散型FRPは、コンクリート補強筋として実用化されているFRPという基本構造を有していることから補強効果が期待できる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、本発明は、トンネル構造体などにおける劣化や損傷等の健全性を診断する技術を提供することを課題とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、炭素粒子分散型FRPを用いる健全性診断システムに着目し、このシステムのトンネル構造体に対する適用を検討した。その結果、このシステムがトンネル構造体における損傷・劣化の早期検出、損傷部位特定、損傷履歴の記憶などに有効であり、トンネル構造体の健全性診断システムとして適用できることを見出し、本発明を完成した。
本発明によれば、以下の手段が提供される。
【0009】
(1)導電性粒子の連続的な接触形態を有する導電経路を有するトンネル構造体であって、前記導電経路は、長繊維強化プラスチック材の絶縁性のマトリックス中において、コンクリート補強作用を有する繊維に沿って備えられた導電性粒子によって構成されておりており、複数の前記マトリックスを三次元状に配設することで、前記トンネル構造体のアーチ方向および長手方向に沿った三次元状の前記導電経路を備えるトンネル構造体。
(2)(1)に記載のトンネル構造体に備えられる前記導電経路に生じる電気抵抗の変化から、トンネル構造体の損傷を検出する、トンネル構造体の損傷診断方法。
(3)(1)に記載のトンネル構造体に備えられる前記導電経路に生じる電気抵抗の変化から、トンネル構造体における損傷の履歴を検出する、トンネル構造体の損傷診断方法。
(4)外部から変形を受けると電気抵抗が変化する、導電性粒子の連続的な接触形態を有する導電経路と、この導電経路を保持し、外力によって変形可能なマトリックスとを備え、前記マトリックスは、検知しようとする構造体の変形量あるいは荷重の範囲内で、かつ設置しようとする構造体の三次元状に倣うような弾性変形あるいは塑性変形可能であり、前記導電経路の電気抵抗が定常状態から低下することより圧縮変形による損傷を、前記導電経路の電気抵抗の増加により引張変形による損傷を、それぞれ検出するトンネル構造体用の損傷検出材。
(5)前記マトリックスは、絶縁性のプラスチックである(4)に記載のトンネル構造体用の損傷検出材。
(6)前記マトリックスは、絶縁性の繊維で強化されている請求項(5)に記載のトンネル構造体用の損傷検出材。
(7)前記導電経路は、前記マトリックス中の繊維に沿って備えられる(6)に記載のトンネル構造体用の損傷検出材。
(8)トンネルの建設方法であって、トンネルを建設する工程において、(4)〜(7)のいずれかに記載の損傷検出材を、履工コンクリートの一部に設置する、方法。
(9)トンネルの建設方法であって、トンネルを建設する工程において、(4)〜(7)のいずれかに記載の損傷検出材を、吹付けコンクリートの一部に設置する、方法。
(10)トンネルの補修方法であって、履工コンクリートの補修工程において、(4)〜(7)のいずれかに記載の損傷検出材を履工コンクリートの一部に設置する、方法。
【0010】
これらの手段においては、いずれも、導電性粒子の連続的な接触形態を有する導電経路を備えている。本発明者らは、この導電経路が多様な変形に対して応答可能であることを始めて見出した。
すなわち、この導電経路によれば、導電性粒子の配列が乱れるもしくは整列される、あるいは粒子間距離が伸びるもしくは縮むといった導電性粒子の接触状態の変化により、導電性が変化する。導電性の変化は、電気抵抗値の変化として検出することができる。したがって、このような導電経路を、変形を検出しようとする構造体の一部に備えることにより、多種多様な変形を電気抵抗値の変化などとして検出することができるようになる。
【0011】
本発明者らは、トンネル構造体における覆工コンクリートの崩落について種々に検討した結果、トンネル構造体においては多様な応力が発生し、各種の応力が複合された結果、覆工コンクリートの崩落現象が発生することを見出した。さらに、このような多様な応力環境下においては、種々の変形に対して応答可能な損傷検出材を適用する必要性があることを見出した。
これらの知見に基づいて、鋭意研究した結果、導電性粒子からなる導電経路が、導電性粒子の接触状態の変化に基づいて、引張り変形の他、圧縮変形やその他の多様な応力によって生じる変形に応答可能であること、そしてこの導電経路を損傷検出材としてトンネル構造体に適用するのに有効であるとの結論に至った。例えば、引張り変形部位では、電気抵抗値は上昇し、圧縮変形部位では、電気抵抗値は低下する。なお、従来、本導電経路による圧縮変形を含む多様な変形に対する応答性については全く着目されていなかった。また、炭素繊維型FRPによる健全性診断システムでは、引張り変形以外の変形についてはほとんど応答能を有していない。
【0012】
さらに、この導電経路は、ある荷重あるいは変形量を超える損傷を受けると、その損傷により変化した導電性粒子の接触状態は、荷重が除去された後において、完全には初期状態に復元されないで、ある程度変化した状態が残留する。変化が残留した接触状態に基づいて初期状態とは異なる電気抵抗値が得られる。このような残留抵抗値を評価することにより、過去において構造体に与えられた最大荷重あるいは最大変形や損傷の履歴を検出することができる。
【0013】
以上のことから、前記導電経路あるいは導電経路とマトリックスとを備える損傷検出材を、損傷を検出しようとする構造体に備えることにより、多様な応力環境下での損傷発生を簡易に検出し、診断することができる。また、荷重除去後も導電経路に残留する導電経路のひずみに基づいて、最大荷重あるいは最大変形の履歴を検出できるため、定期的モニタリングでも損傷履歴を診断することができる。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
本発明における導電経路は、導電性粒子の連続的な接触形態(以下、パーコレーション構造ともいう。)を有している。
導電経路自体の形態は、特に限定しない。例えば、線状、面状、チューブ状、あるいはデザインされた二次元あるいは三次元形状を取ることができる。また、これらの形態の導電経路が積層された形態も含むことができる。
検知しようとする、あるいは発生する可能性のある応力の種類、方向などに応じて適宜選択することができる。
導電経路を構成する導電性粒子は、導電性を有する粒子であれば特に限定しないで使用できる。例えば、炭素、金属酸化物、金属窒化物、金属炭化物などのセラミックス、金属、導電性プラスチックを使用できる。セラミックス粉末としては、炭化珪素、炭化チタン、窒化チタンを例示できる。好ましくは、炭素あるいはセラミックスである。
導電性粒子としては、1種あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0015】
導電性粒子の形態は、球状、フレーク状(薄片状)とすることができる。導電性粒子は、このような形態を有する粒子を1種あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。導電性粒子のサイズも特に限定しないが、好ましくは、10nm〜20μmである。
【0016】
導電性粒子のパーコレーション構造はそれ自体として構造体に備えられていても、構造体に発生した変形により導電性粒子の接触状態が変化するので、損傷検出材として機能することができるが、好ましくは、導電経路はマトリックスに保持された状態で損傷検出材とされている。さらに好ましくは、このマトリックスが、さらに後述する保護担体に被覆されている。
なお、マトリックスは、導電性粒子を直接保持する媒体を意味するものとする。導電経路がマトリックスに保持されている場合、導電経路は、マトリックス中に導電性相として存在することになる。
【0017】
マトリックス材料は、保持された導電経路が構造体の損傷検出材として機能することを許容する材料である。
すなわち、構造体に生じた変形におおよそ追従できる塑性変形能あるいは弾性変形能を有することが好ましい。あるいは、保持された導電性粒子の接触状態の変化を許容する程度の弾性変形能あるいは塑性変形能を有していることが好ましい。より好ましくは、検知しようとする構造体の変形量あるいは荷重の範囲で弾性変形あるいは塑性変形可能であることが好ましい。なお、設置しようとする構造体の三次元形状に倣うような弾性変形能あるいは塑性変形能を有していることが好ましい。
また、マトリックス材料は、導電経路における電気抵抗の変化の検知できる程度に、導電性が低いことを要する。好ましくは、導電性粒子に比較して実質的に導電性がないか、あるいは絶縁性であることが好ましい。特に、絶縁性材料を使用することは、導電経路の精度を確保する上で重要である。
また、マトリックス材料は、導電経路による損傷検知能を確保する観点から、導電性に影響を及ぼす成分、特に、水などの導電性成分が非浸透性であることが好ましい。特に、構造体のコンクリートやモルタルなどのセメント系材料部位に本検出材を設置する場合には、水非浸透性の樹脂などのマトリックス材料中に埋設状に導電経路を備えるようにするか、あるいはこれに替えてもしくはこれに併用して導電経路を水非浸透性材料で被覆するようにすることができる。
【0018】
このようなマトリックス材料としては、高分子系(プラスチック)材料やセラミックス系材料を挙げることができる。高分子系材料としては、ビニルエステル樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂を挙げることができる。また、セラミックス系材料としては、窒化珪素、酸化アルミニウムを挙げることができる。高分子系材料は、成形性・加工性の点、及び強度や変形能の点から好ましく用いることができる。また、水分非浸透性や、耐アルカリ、耐酸性などの特性を選択して用いることにより、導電経路に対する有害成分と効果的に隔離することができる点においても、高分子系材料が好ましい。
【0019】
検出材を構成する材料には、さらに、他の材料を含めることができる。例えば、マトリックスおよび/または構造体を補強できるような材料がある。本検出材が構造体のコンクリート部分などに適用することが好ましいことを考慮すれば、これらの補強材料は、コンクリート補強材料であることが好ましい。
このような補強材料としては、連続繊維(一方向繊維)、長繊維、短繊維などの繊維状体を挙げることができる。また、これらの繊維の形態は、単繊維形態でもよいが、繊維束となっていてもよいし、適当な長さの繊維が交絡されるか、織物、あるいは編物などであるシート状体あるいは細長いテープ状体であってもよい。さらには、繊維束あるいは単繊維によって二次元あるいは三次元状のネット状骨格体、交絡体、および織物を形成していてもよい。繊維が複合化などされて二次元あるいは三次元形態を有している場合には、このような形態がマトリックスないしは検出材の形態を決定することができる。すなわち、検出材に対して所望の形状を付与できるという機能も備えている。
【0020】
材質としては、ガラス、セラミックス、プラスチックなどであるが、導電経路の電気的特性を妨げない配合比率および配合形態であることを要する。したがって、好ましくは絶縁性材料の繊維である。
具体的には、ガラス繊維やセラミックス繊維を配合する場合には、検出材および/または構造体の強度を向上させることができる。
また、プラスチックなどからなる弾性繊維を配合して、検出材および/または構造体の弾性率を向上させることにより、これらの強度を向上させることができる。このような弾性繊維としては、例えば、アラミド繊維等を挙げることができる。
【0021】
なお、繊維と高分子系材料とを含む検出材は、一般的に繊維補強プラスチック(FRP)と呼ばれる複合材料である。したがって、導電性粒子を含有するFRPは、本検出材の好ましい形態を構成する。特に、コンクリート補強筋として利用されつつある長繊維強化プラスチックに導電性粒子を分散させた材料は、コンクリート構造部に適用するための好ましい形態である。
【0022】
本検出材の備える形態は、特に限定しない。必要に応じて、シート状、棒状、繊維状、細長いテープ状の他、任意の三次元形状とすることができる。検出材の形態は、マトリックス材料自体の形態であってもよい。マトリックス材料自体の形態とする場合には、マトリックス材料に当該材料の成形方法によって形態が付与されることができる。前述したようにマトリックスに含有される他の材料(繊維など)によって構築される構造体の形態に準じた形態であってもよい。
【0023】
検出材の大きさは、適用する構造体あるいはその適用箇所に対応させることができる。適用しようとする構造体のアーチ方向に対して、検出材を構造体全円周長さとすることもでき、また、一部のみの長さとすることもでき、さらには検出材を分割して適用することができる。また、適用しようとする構造体の長さ方向に対して、検出材を構造体全長の長さとすることもでき、また、一部のみの長さとすることもでき、さらには検出材を分割して適用することができる。
【0024】
このような検出材は、マトリックス材料の種類に応じて、あるいはマトリックスに含有させる繊維などの種類や形態に応じて、従来公知の各種成形方法を用いることにより取得することができる。
マトリックス材料として高分子系材料を用いる場合には、樹脂に導電性粒子を配合した組成物を成形することにより本検出材を得ることができる。成形方法としては、従来公知の高分子系材料の成形方法を採用することができる。また、高分子系材料と他の成分との複合化技術を利用することにより、本検出材を得ることもできる。
さらに、シート状あるいは細長いテープ状のマトリックスに対して、二次元的に設計された導電経路を付与することもできる。この場合、導電経路は単なる直線状に限定しない。あるいは三次元形態を有するマトリックスに対して三次元形態の導電経路を付与することもできる。このようなデザインされた導電経路をマトリックスに形成する場合、連続繊維などに沿って形成された導電経路(これ自体が本検出材である)を、デザインに基づいて配置することもできる。
【0025】
また、高分子系のマトリックスに各種繊維などを含有させる場合には、例えば、矩繊維に対しては、高分子系材料の組成物に配合して成形することができる。また、連続繊維や二次元あるいは三次元形態を有する繊維構造体の場合には、これらの繊維材料の表面に高分子系材料組成物を吹付けたり、あるいはこれらの繊維材料を高分子系材料組成物にディッピングすることにより形状を付与することができる。方向性を持って連続する繊維あるいは繊維構造体部分に沿って高分子系材料組成物を付与することにより、繊維方向あるいは繊維構造体部分に沿う方向性を有する導電経路を形成できる。
【0026】
マトリックス材料としてセラミックス材料を用いる場合には、従来公知の各種セラミックスの成形加工方法を適用することにより、本検出材を得ることができる。導電性粒子、あるいは補強材料の複合化に関しても、これらの材料を複合化する従来公知の手法を適用することができる。
【0027】
なお、上記した製造方法は単なる例示であり、本検出材の製法はこれに限定するものではなく、これらの材料の種類や形態に応じて、当業者に公知の方法を1種あるいは2種以上を組み合わせて適用することができる。
【0028】
また、検出材が、それが適用される構造体において有効に損傷検出機能を発揮するためには、含有する導電経路の電気的特性が構造体由来あるいはそれ以外に由来する原因によって妨げられないように防護されていることが好ましい。このような原因としては、水分、アルカリ、酸などを挙げることができるが、特に、水分の侵入が回避されていることが好ましい。また、コンクリート構造部分に適用する場合には、耐アルカリ性が確保されていることが好ましい。
したがって、検出材においては、マトリックスの外側にこのような各種原因から検出材を保護する担体(以下、被覆相あるいは被覆層ともいう。)を備えていることが好ましい。被覆相は、例えば、絶縁性および/または水分の非浸透性との双方を備えていることが好ましい。もっとも好ましくはこれらの双方を備えていることが好ましい。具体的には、加工性に優れる絶縁性樹脂である、ビニルエステル樹脂、耐アルカリ性に優れる絶縁性樹脂であるエポキシ樹脂などを挙げることができる。
このような被覆相は、マトリックス材料と同一である場合もありうるし(マトリックスの説明部分参照)、マトリックス材料とは少なくとも部分的に異なる組成の材料である場合もある。
被覆相は、マトリックスの周囲に1層または2層以上の層状の被覆層として形成することが好ましいが、その形態を層状に限定するものではない。これに限定するものではない。なお、このような被覆相においても、マトリックスに含有させることのできる上記した各種補強材料を配合することができる。これにより、検出材および/または構造体を補強することもできる。
【0029】
さらに、検出材には、構造体に適用する場合において、構造体中の所定の位置に安定して保持されること、構造体の変形に対してすべりを生じさせないなどの機能を有する材料および/または形態を備える定着材などを付加することができる。かかる定着材としては、絶縁性を有する高分子系材料であることが好ましく、また、ビニロン、アラミド、ガラスなどの絶縁性の繊維(連続繊維、長繊維あるいは短繊維)を含むものであることが好ましい。一例としては、連続繊維あるいは繊維束とビニルエステルなどの絶縁性樹脂とからなる線状体を、検出材の外周の少なくとも一部に凸状に備えるようにすることができる。例えば、細長い棒状体の検出材に対しては、このような線状体を検出材の外周にラセン状に巻きつけることにより、コンクリート相との界面での滑りを防止することができる。
【0030】
本検出材の導電経路の端部などには、端子やリード線などを有することができる。このような端子やリード線を介して導電経路における電気抵抗値などの変化を検出することができるようになる。端子などは、導電経路を含有するマトリックスの成形時あるいは成形後であって被覆相の形成前に装着加工することができる。
電気抵抗値などの計測方法は、その種類を問わないで用いることができる。電気抵抗値の計測方法として、定電流電圧計測法、低電圧電流計測法、さらにはブリッジ回路を用いる方法などがあるが、本発明ではその種類を限定しない。また、損傷を診断するにあたり、この電気抵抗値の計測方法として、連続計測および定期計測が挙げられる。これらの計測において計測時間、間隔、頻度などは、構造体の形態・規模や推定される損傷の形態・規模に応じて任意に選択できる。
【0031】
本検出材は、特に限定しないが、一般の建設物に適用することができるが、トンネル構造体に好ましく適用することができる。トンネル構造体とは、地下に形成された空洞状部を意味するものとする。空洞状部は、通路状であってもよく、またドーム状等の空洞部であってもよい。また、通路の方向性は特に限定しないで、水平から鉛直までのいずれであってもよい。トンネル構造体には、一般にトンネルと称される、交通や輸送機関として使われる水平に近い細長い地下通路の他、垂直状に掘削される立坑や、水力発電所などの斜坑などを挙げることができる。
【0032】
また、トンネル構造体には、建設される場所、用途、形状、工法などによって分類されており、またそれぞれの分類によって様々な呼称があるが、いずれも本願発明におけるトンネル構造体に包含されるものとする。
トンネルの建設する場所の分類としては、山岳、都市、水底(海底)などがある。トンネルを使用する用途の分類では、道路、鉄道、水路、ケーブル、鉱山などがある。トンネル形状の分類では、馬蹄形、円形、矩形などがある。
トンネル構造体には、現在トンネル工法として知られている工法のいずれかによって建設されたトンネル構造体も包含されるものとする。このようなトンネル工法としては、例えば、山岳工法、開削工法、シールド工法、沈埋工法、推進工法、ケーソン工法、NATM工法(New Austrian Tunneling Method)、NTL(New Tunnel Lining)工法、TBM(Tunnel Boring Machine)工法やそのほかの特殊工法がある。
【0033】
本検出材をトンネル構造体に適用するにあたっては、トンネル構造体の少なくとも一部に本検出材を備えるようにすればよい。トンネル構造体を構成する支保構造物は、支保工と覆工に区分けされている。一般的に用いられている支保工は吹付けコンクリート、ロックボルト、鋼製アーチ支保工などである。地山からの応力が均一ならば、通常、吹付けコンクリートには常に圧縮応力が働いていると考えられる。
また、覆工は、覆工コンクリートなどである。覆工コンクリートには、地山からの応力はほとんど受けていないと考えられる。なお、支保工と覆工との間に防水シートを施す場合もある。
なお、現在最も一般的なトンネル構造は、掘削地山面を吹付けコンクリート、ロックボルト、鋼製アーチ支保工で支保した後に型枠を組みコンクリートを流し込んで覆工コンクリートとする、複層あるいは多層構造である。
【0034】
本検出材は、好ましくは、構造体におけるコンクリート部分に適用する。
トンネル構造体のコンクリート部分としては、例えば、具体的には、吹付けコンクリート、覆工コンクリートがある。
また、補修などのためのセメント系材料適用部位(モルタル部分およびコンクリート部分)に適用することも好ましい。
【0035】
さらに、これらのコンクリート部分あるいはセメント系材料適用部位の表面に本検出材を設置することもできるし、これらの内部に埋設することもできる。表面に設置する場合には、例えば、エポキシ樹脂系接着剤などの有機系接着剤によりこれらの表面に設置することもできるし、また、接着剤の使用に替えてあるいはこれとともにモルタルやコンクリートなどのセメント系材料で被覆して定着固定することでこれらの表面に設置することができる。さらに、これらの表面に設置する方法では、セメント系材料の吹付け工法などの応用が可能である。
なお、表面に設置する方法は、主に既設の構造体を対象とした方法である。表面設置の典型的形態は、例えば、本検出材をシート状体あるいは細長いテープ状体としてトンネル構造体の進行方向もしくはアーチ方向に対して十分な長さをもつ連続体として設置する形態を挙げることができる。
【0036】
また、コンクリート部分あるいはセメント系材料の適用部位の内部に埋設する場合には、例えば、コンクリートとの定着をとるために検出材の周囲を凹凸形状として、コンクリート打設前の型枠等に固定し、コンクリートの硬化により定着固定する。この方法は、新設構造物に対して有効な方法となる。また、既設構造物のコンクリートに対して補修をする際に、コンクリートの再打設時においても同様の方法により埋設することができる。埋設場所としては、コンクリートの中央部、地山面側、空洞側などに設置することができる。
さらに、既設構造物のコンクリートに対して補修をする場合以外にも、そのコンクリート表面に線状の溝を形成し、その溝の中に検出材を設置した後にその溝をセメント系材料もしくは樹脂系材料を用いて埋めることにより設置することもできる。
内部に埋設する方法は、主に新設の構造体もしくは補修を要する既設構造体を対象とした方法である。内部埋設の典型的形態は、例えば、検出材を捧形状としてトンネル構造体の進行方向もしくはアーチ方向に対して十分な長さをもつ連続体として埋設する形態である。補強材料を含有する検出材を適用する場合、表面に設置する方法に比べ、内部に埋設する方法においてその効果が高いという特徴がある。
【0037】
以上説明したように、本検出材のトンネル構造体などへの設置に関しては、トンネル構造体の建設工程、補修工程、補強工程のいずれであってよい。また、これらの各工程とは独立して検出材の設置工程を実施することもできる。
トンネル構造体の建設工程においては、トンネル構造体の建設工程における各段階のコンクリート打設工程において検出材を設置することができる。また、既設のトンネル構造体の補修あるいは補強工程においても、検出材を設置することができる。
【0038】
トンネル構造体などの構造体に対する本検出材の配置位置、配置方向、配置数およびその距離は、自由に設計・施工することができ、構造体の形態もしくは推定される損傷の形態に応じて最適設計が可能である。
例えば、コンクリート部分およびセメント系材料適用部位の表面および/または内部に埋設する方法において、検出材を複数設置しさらにそれらを二次元的あるいは三次元的に配置してそれぞれの電気抵抗変化を比較することにより、トンネル構造体に作用する局所的な損傷の領域・場所を診断することが可能となる。
【0039】
以上説明したように、本検出材は、導電性粒子の連続的な接触形態を有する導電経路を備えることにより、多様な方向性あるいは種類の変形を鋭敏かつ簡易に検出することができる。さらに、本検出材は、変形が作用した際の電気抵抗値変化が除荷後にも初期値に戻らず残留するという不可逆的な変化を示すことができる。この残留抵抗値の評価より過去に与えられた最大変形の履歴を診断することが可能となる。これにより、この検出材を適用したコンクリート部分を有するトンネル構造体においては、地震などの災害発生後の抵抗値計測をもとに災害時の最大損傷を診断できることとなり、常時モニタリングではなく定期的なモニタリングでの診断が可能となる。
なお、モニタリングを通信回線などを利用して行うことができる。例えば、本検出材を利用して計測した電気抵抗値などの関連情報を、遠隔地にある出力装置に通信手段を介して伝達し、出力することにより、遠隔地においても、容易に損傷の検出及びモニタリングが可能となる。
【0040】
さらに、本検出材のマトリックスおよび/または被覆相に、コンクリートなどを補強可能な補強材料を含有する場合には、本検出材を備える構造体を補強することができる。このような検出材あるいはそれを備えた構造体は、構造体の補強と損傷検出との2つの作用効果を同時に達成することができる点において非常に有用である。
【0041】
本発明によれば、トンネル構造体への検出材の適用ならびにその電気抵抗値の計測により、簡便かつ迅速に覆エコンクリートにおける劣化・変形の状況を高精度に診断できるだけでなく、複数の検出材の二次元的配置により異常個所の推定も可能とし、さらには電気抵抗変化の不可逆性を応用することにより定期的なモニタリングでの最大損傷の履歴診断を可能となる。また同時に構造体の補強効果も得ることができる。
これらの効果として、従来技術との比較において大幅なコスト低減ならびに作業効率の向上をもたらすとともに高付加価値の機能を付与することができる。以上のことから、本発明は、トンネル構造体の健全性を効率的かつ的確に診断するものであり、コンクリートの崩落等の事故を未然に防止する技術として極めて有用である。
【0042】
【実施例】
以下、本発明を具現化した実施例について図1〜15に基づいて説明する。なお、これらの実施例は、本発明を具体的に説明することを意図するものであって、これらの実施例によって本願発明を限定するものでは決してない。
【0043】
本発明に至る経緯として、コンクリートブロツク試験体での基礎特性評価試験を経て、実際のトンネル構造体を模擬した大型構造体により実証試験を実施しており、以下、これらについて順に示す。
【0044】
(実施例1:覆工コンクリートブロック試験体における試験)
[検出材の作製]
本実施例で使用した、覆工コンクリートのブロック試験体に設置した検出材2、22は、コンクリート中に埋設する棒状の埋設型と、コンクリート表面に貼付するシート状のパッチ型の2種類であった。これら検出材2,22の構造模式図を図1に示す。
検出材2は、全体としてロッド状体である。検出材2は、導電経路4を含有する高分子系材料のマトリックス6に導電性粒子8と補強材料としてガラス連続繊維10とを含有している。そして、ロッド状のマトリックス6は、さらに、被覆相12としてのガラス連続繊維10を含有する高分子系材料中に埋設ないしは被覆されている。
また、検出材22は、全体としてシート状体である。検出材22は、導電経路24を含有する高分子系材料のマトリックス26に導電性粒子28と補強材料としてガラス連続繊維30とを含有している。そして、シート状のマトリックス26は、さらに、被覆相32としての、ガラス連続繊維30を含有する高分子系材料中に埋設ないしは被覆されている。
なお検出材2、22では、マトリックス6、26と被覆相12、32を構成する高分子系材料はいずれもビニルエステル樹脂である。
【0045】
この検出材2、22の作製手順を図2のフローチャートに示す。この作製の第1段階は、炭素粒子を分散させたマトリックス6、26の作製である。
以下、まず、検出材22の作製工程について説明する。
この検出材2のマトリックス6となる液体状のビニルエステル樹脂(日本ユピカ製、8250HK)に、室温硬化用の硬化剤(日本油脂製、パーメックN)、スチレンおよび硬化触媒としてのナフテン酸コバルトを添加する。このマトリックス樹脂に対して体積割合20vol.%の炭素粒子(SEC製、高純度人造黒鉛SCP−5)を混入させ、攪拌機により分散させる。このように作製したスラリーを一方向のガラス繊維(旭ファイバーガラス製、ER2220TM一F08)10の繊維束に含浸させた。この含浸方法にはフリーディッピング法を採用した。
その後、スラリーを含むガラス繊維10の繊維束をブッシング(2mmφの穴)に通すことによって棒状に成形することにより、導電性粒子8を含有するマトリックスに形状を付与した。その状態にて室温24時間乾燥させ、さらに80℃、2時間という硬化処理を施した。
【0046】
以上により合成したマトリックス6中の導電経路4に対して、その両端に電気抵抗測定用の電極端子を取り付けた。電極加工後に、導電経路4の周囲に絶縁性の複合材料(上記ガラス繊維十上記ビニルエステル樹脂)を被覆相12として被覆した。このキャリヤ12は、コンクリート試験体への埋設に際してコンクリートとの絶縁性を確保するために重要な構成部分となる。
最終工程として、この検出材2に対してら旋状に絶縁性の定着材料40を巻き付けた。これはコンクリートの変形に対して、埋設した検出材2とコンクリートの界面に滑りが生じないように定着処理として施したものである。以上の工程により合成した検出材2の最終形態の外観を図3に示した。
【0047】
コンクリート表面に貼付するシート状のパッチ型の検出材22も、基本的に上記と同様の方法により作製した。このパッチ型検出材22では、ガラス繊維30に一方向繊維ではなくクロス(織物)を使用した。また、導電経路24を含むマトリックス26の両面に炭素粒子を含まない絶縁性の複合材料(上記ビニルエステル樹脂)を被覆させたシート形状としている。検出材22の最終形態を図3に示す。
【0048】
[覆工コンクリートブロック試験体への適用]
作製した検出材2,22を覆工コンクリートのブロック試験体(100×100×400mm)へ導入した。この覆工コンクリートの配合および使用原料を表1および2に示す。覆工コンクリートのブロック試験体50,60としては、コールドジョイント62の無し有りで2種類調製した。コールドジョイントは、型粋中に仕切り板を設けコンクリートの打設を2回に分けることによりその界面に形成させた。
作製したブロック試験体及びそれに検出材2、22を設置した状体の外観および模式図を図4および図5に示す。
【表1】
【表2】
【0049】
この試験体に埋設した検出材2は、1試験体につき2本であり、図4及び図5に示すように、コンクリート表面付近に埋設することにより、曲げ変形に伴う引張・圧縮応力作用下での応答性を評価できるものと考えた。また、コンクリート表面への貼付により設置するシート状の検出材22は、曲げ変形により引張応力が作用する面だけでなく圧縮応力が作用する面にも設置した。既設構造物への適用として覆エコンクリートの表面に貼付することを想定すると、地山の変形に伴ってコンクリートに曲げ変形が作用することにより、トンネルの進行方向においてはコンクリート表面に引張歪みが作用するが、円周(アーチ)方向においてはコンクリート表面に圧縮歪みが作用する可能性があるため、その両者について評価する必要があると考えた。このシート状検出材22をコンクリート表面に貼付する工程には、エポキシ系接着剤を使用した。
【0050】
[評価試験方法]
作製した覆工コンクリートに対して、JIS A1106に準拠した3等分点載荷法により曲げ試験を実施した。この曲げ試験の模式図を図6に示す。載荷点70のスパンは100mm、支持点80のスパンは300mmであり、油圧式疲労試験装置を用いた上部からの圧縮により曲げ変形を作用させる。この載荷方法において、コンクリート試験体の曲げ強度fbは同規格に基づいて次式(1)により算出した。
fb=Pl/bh2 ………(1)
ただし、P:試験機の示す最大荷重(N)
l:支持点スパン(mm)
b:破壊断面の幅(mm)
h:破壊断面の高さ(mm)
【0051】
この曲げ試験では、コンクリートブロック試験体の長手方向に圧縮応力(軸力)を導入した(図6参照)。トンネル構造体というアーチ形状の構造体における損傷形態を想定した場合、アーチ外面のある点において圧縮応力が作用すると、通常の曲げ変形以外にそのアーチ方向に沿って圧縮応力が作用すると考えられる。本試験は、この圧縮応力も含めて実際の応力場を考慮した曲げ試験となっている。
【0052】
この曲げ試験においては、2種類の載荷方法を採用した。一方では、一定の変位速度でブロック試験体に作用する荷重を増加させ、引張・圧縮表面に作用する歪の変化を計測するとともに、その変形に伴う各検出材の電気抵抗変化を計測した。もう一方では、繰返し負荷除荷曲げ試験において、負荷除荷1サイクルごとに作用させる応力・ひずみを段階的に増加させていく載荷パターンを採用した。この後者の試験により、電気抵抗値の不可逆的な変化すなわち残留抵抗の発現について評価し、最大損傷の履歴を診断する機能について検討することができる。
【0053】
検出材2、22の電気抵抗値の計測には、定電流電圧測定法による抵抗計を使用した。応力作用前の初期抵抗値をR0として、応力作用時の抵抗変化ΔR(=R−R0)を初期抵抗値で割った抵抗変化率ΔR/R0により応答性を評価した。
【0054】
[試験結果]
コールドジョイントを含まない覆工コンクリート試験体50において軸力を導入した単純曲げ試験を実施し、その強度特性ならびに損傷診断特性について評価した結果を図7及び図8に示す。
図7及び図8は、上から曲げ試験における荷重−変位曲線、歪み(引張・圧縮)−変位曲線ならびに各検出材2、22の抵抗変化率と変位の関係を示すグラフを示す。図7は、広範な変位量域におけるグラフであり、図8は微小変位量域におけるグラフである。
この覆工コンクリート試験体の曲げ試験においては、軸力の導入によってひび割れの開口を抑えていた。このことからも、ひび割れ発生ポイントの判断は難しいが、ひずみ−変位曲線の変曲点より約35.0kNの荷重において約500μの引張歪みが作用した際に発生したものと推測される。なお、破壊荷重までに至る評価に関しては、曲げ試験治具の設計耐荷重の制限ならびに破壊時の爆発的挙動が懸念されたことから、本試験では対象から外した。
【0055】
このコンクリートの損傷形態に対して、設置した検出材2、22は、ひび割れ発生以前からの微小歪み領域においても、明確な応答性を示した。図7に示すように、引張側・圧縮側に埋設および表面貼付した検出材はそれぞれ異なる挙動を示し、引張側に設置した検出材は引張歪みの増加に対応して抵抗値の増加を、圧縮側に設置した検出材は圧縮歪みの増加に対応して抵抗値の減少を示した。さらに、埋設型に比べて中立点からの距離がより大きく作用する引張・圧縮歪みが大きいパッチ型において、より高い抵抗変化率が達成されている。このひび割れ発生以前の微小歪み領域をさらに拡大した結果から、埋設型およびパッチ型の両検出材において数μの微小歪みに対して応答性を示していることが明らかとされた。このことは、導電経路4および24が導電性粒子の接触状態で形成されていることから、複雑な変形応力に対して極めて敏感に応答したためと推測された。
【0056】
ひび割れ発生時の挙動に着目すると、引張側に貼付・埋設した検出材2,22には抵抗値の変化(増加)に変曲点がみられ、この応答性からひび割れの発生時点をモニタリングすることが可能である。―方、圧縮側に埋設した検出材はひび割れ発生と同時に抵抗値の減少傾向が鈍化しており、これは中立点の位置がひび割れ発生により試験体の中央部から載荷点側に移動したことにより圧縮歪みが緩和される現象を反映している。この覆工コンクリート試験体の圧縮側表面へ設置したパッチ型検出材22は、ひび割れ発生後の進展過程においても抵抗減少を継続するという埋設型検出材2とは異なる傾向を示した。これは、コンクリートの最表面にパッチ型検出材22が貼付されていることから、ひび割れ発生により中立点が移動した際にも常に圧縮歪みが作用することに起因している。
以上の結果より、本発明における検出材2,22は、設置したコンクリートブロック試験体において、作用する歪に対して極めて高い感度で正確な応答性を示すことが明らかとされた。
【0057】
一方、同様に軸力を導入した覆工コンクリート試験体において繰返し負荷除荷曲げ試験を実施し、その損傷診断特性について評価した結果を図9に示す。図9には、曲げ試験において与えた荷重サイクルに対する歪み(引張・圧縮)ならびに各検出材の抵抗変化率を時間の関数として示した。この繰返し多軸曲げ試験では、ひび割れ発生ポイントが明確ではないが、引張側の歪みにおいて異常な挙動がみられた約48.0kNの荷重サイクル以降ではないかと推察した。このひび割れ発生前後において、明確な残留歪みは現れておらず、ひび割れの開口も除荷後には閉じてしまうという損傷挙動を示した。
【0058】
このような損傷挙動に対して、設置した検出材2,22は、引張側に設置したパッチ型22および埋設型2においては抵抗値の増加、圧縮側に設置したパッチ型22および埋設型2においては抵抗値の減少として応答性を示した。
さらに、除荷した際の抵抗変化率に着目すると、ひび割れ発生以降において、その変化率がゼロ(初期抵抗値)にまで戻らず残留する現象が現れた。ひび割れ発生以降においてひずみはほとんど残留していないことから、この電気抵抗値の不可逆的な変化は検出材2,22における本質的な変化として捉えることができる。
すなわち、この現象を利用することにより、例えば地震などの災害が発生した後にこの残留抵抗値を計測することにより、コンクリートがどの程度の損傷(ひび割れ)を被ったのかを判断でき、ひび割れが既に閉じてしまっていても、損傷の履歴を診断できる可能性がある。これにより、常に抵抗変化をモニタリングしておくことは必ずしも必要ではなく、定期的なモニタリングにより過去に受けた損傷履歴を診断でき、人件費や装置費などの大幅なコスト低減に貢献できる成果といえる。
【0059】
本試験においてコンクリートブロック試験体に設置した検出材の補強効果について示す。図11は、コールドジョイントを含むコンクリートおよび含まないコンクリートにおいて、検出材(埋設型およびパッチ型)2,22を設置した場合の曲げ破壊強度への影響を評価した結果である。なお、この曲げ破壊強度の計測にあたっては、JIS A1106に準拠した3等分点載荷法による通常の曲げ試験を採用し、上記に記載した軸力は導入していない。コールドジョイントを含まない場合、検出材を設置することにより曲げ破壊強度は約63%向上した。一方、コールドジョイントを含む場合には、検出材の設置により約114%もの曲げ破壊強度の向上を達成している。これらの結果より、検出材の設置によリコンクリートにおける曲げ破壊強度の向上として補強効果が得られることを明らかであった。
【0060】
(実施例2:トンネル模擬構造体への適用)
[検出材の作製]
本実施例においてトンネル模擬構造体に設置した検出材の基本構成は、実施例1に示した検出材と同様であり、コンクリート中に埋設する棒状の埋設型と、コンクリート表面に貼付するシート状のパッチ型の2種類に大別される。ただし、このパッチ型検出材のガラス繊維を一方向の繊維に変更している。
【0061】
[トンネル模擬構造体への適用]
作製した検出材を実際のトンネル構造体を模擬した覆工コンクリート構造体100へ導入した。ここで用いたコンクリートの配合および使用原料を表3および4に、また、この構造体100の外観および模式図を図11〜13に示す。この構造体100は、幅4m、高さ3.4m、厚み15cm、奥行き(トンネル進行方向) 1mとし、鋼製波板とH鋼を組み合わせてできており、コンクリートの床の上に固定されている。
【0062】
【表3】
【表4】
【0063】
図12に示すように、この構造体100にはトンネル進行方向およびアーチ方向にそれぞれ3本づつ二次元的に埋設型およびパッチ型の検出材102、112を設置した。埋設型の検出材102はトンネル進行方向およびアーチ方向において、それぞれトンネルのほぼ全長にわたつて厚さ方向の外周寄りに埋設した。
図13に示すように、パッチ型の検出材112は覆工コンクリート内壁面の頂点部を中心に部分的(トンネル進行方向:約lm、アーチ方向:約1.5m)に貼付した。このパッチ型検出材112をコンクリート表面に貼付する工程にはエポキシ系接着剤を使用して固定した。この固定方法以外に、補修モルタルの吹付け工程を実施することも想定されるが、本実施例ではコンクリートにおけるひび割れ発生がシート状検出材の剥離を誘発するかどうかの確認をするために、この工程の採用は見合わせた。
【0064】
図14に示すように、歪ゲージ120は覆工コンクリートの内表面に6箇所取り付けた。トンネル進行方向に覆工コンクリート最上部に3箇所、トンネルアーチ方向に3箇所(天井部と側面地面から約50cmの部分2箇所)である。
【0065】
[評価試験方法]
この構造体への荷重載荷はトンネル頂点部中心から1点を載荷点101として載荷する方式を採用した。この載荷方法の概要を図11〜13に示した。トンネル脚部に設置したH鋼からトンネル頂点部の載荷点101を中心に覆工コンクリートと縁切りした異形鉄筋を通し、トンネル上部に突き出た異形鉄筋部にセンターホール型の圧縮荷重計と油圧シリンダーを固定した。脚部のH鋼は地面に接する覆工コンクリートの両端で固定した。この脚部に設置したH鋼から頂点部を貫通する鋼棒に引張応力を与えその反力としての圧縮応力を覆工コンクリートの頂点部に作用させる圧縮載荷試験とした。圧縮荷重の載荷は、コンクリートにクラックが発生するまで単調に荷重を増加させる方式とし、その変形に伴う歪の変化を計測するとともに、各検出材102、112の電気抵抗変化を計測した。
【0066】
検出材102、112の電気抵抗値の計測には、実施例1と同様に定電流電圧測定法による抵抗計を使用した。実施例1と同様に、抵抗変化率により応答性を評価した。
【0067】
[試験結果]
このトンネル模擬構造体における圧縮載荷試験の結果として、圧縮荷重の増加に対するトンネルアーチ方向の歪変化、埋設型およびパッチ型の検出材における電気抵抗変化の計測結果を図15に示す。
まず、トンネルアーチ方向の歪変化より、トンネルの頂点部付近ではコンクリート内壁に引張歪が作用し、トンネル脚部では圧縮歪が作用し、トンネル頂点部が凹状となる変形形態であることがわかる。トンネル進行方向の歪はいずれも内壁面にて引張歪が作用し、通常の曲げ変形が作用しているものと考えられた。クラックは頂点部においてトンネル進行方向に発生し、それまでに作用した歪はいずれも50μ以下であったことから、極めて微小な変形に対する損傷診断が要求された。この微小変形に対し、コンクリート内部のアーチ方向に埋設した検出材は、脚部で圧縮応力を受けるだけでなく、頂点部でも凹状変形に対して圧縮側に位置することから全体としても圧縮歪が作用すると考えられる。また、進行方向に埋設した検出材も通常の曲げ変形の圧縮側に位置することからやはり圧縮歪を受ける。
【0068】
この圧縮変形に応答して、埋設した検出材102はアーチ方向および進行方向ともに抵抗値の減少を示した。一方、トンネル壁の頂点部付近にアーチ方向および進行方向に沿って貼付したパッチ型検出材112は、いずれも変形初期から抵抗値の増加を示した。トンネル頂点部付近では、進行方向およびアーチ方向ともにコンクリートの曲げ変形に伴う引張歪が作用しており、これに対応した応答性が得られている。なお、クラック発生時にはクラックに直交しているアーチ方向のパッチ型検出材112が明確な抵抗値の増加を示し、クラック発生状況も診断できた。
【0069】
一方、設置した複数の検出材それぞれの電気抵抗変化において、埋設型検出材102およびパッチ型検出材112ともに載荷点101付近における変化量が大きいという傾向を得ることができた。この結果は、作用する歪が載荷点付近を中心として分布することに起因している。したがって、これら複数の検出材の応答性を総合的に評価することにより応力が作用している(損傷している)領域の判定が可能である。以上の結果から、トンネル構造体の複雑な変形形態において、その損傷を10μ以下の微小歪みからクラック発生以降にわたつて診断できることを実証できた。
【0070】
【発明の効果】
本発明によれば、トンネル構造体などの構造体における劣化や損傷等の健全性を診断する技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1においてコンクリートヘ適用した埋設型およびパッチ型検出材の構造模式図である。
【図2】図1の検出材の作製手順を示すフローチャートである。
【図3】作製埋設型およびパッチ型検出材の外観を示す図である。
【図4】実施例1において作製したブロック試験体の外観を示す図である。
【図5】実施例1において作製したブロック試験体の構造模式図である。
【図6】実施例1において実施した3等分点載荷法による多軸曲げ試験の概要図である。
【図7】実施例1において実施したコンクリート試験体の単純多軸曲げ試験において、その強度特性ならびに損傷診断特性について評価した結果である。曲げ試験における荷重−変位曲線、歪み(引張・圧縮)−変位曲線ならびに各検出材の抵抗変化率と変位の関係を示す図である。
【図8】実施例1において実施したコンクリート試験体の単純多軸曲げ試験において、その強度特性ならびに損傷診断特性について評価した結果である。曲げ試験における荷重−変位曲線、歪み(引張・圧縮)−変位曲線ならびに各検出材の抵抗変化率と変位の関係を示す図である。
【図9】実施例1において実施したコンクリート試験体の繰返し多軸曲げ試験において、検出材の最大損傷記憶機能について評価した結果である。曲げ試験における荷重サイクル、歪み(引張・圧縮)および各検出材の抵抗変化率と試験時間の関係を示す図である。
【図10】実施例1において実施した曲げ試験において、検出材の有無およびコールドジョイントの有無がコンクリート試験体の曲げ強度に及ぼす影響を示す結果である。
【図11】実施例2において作製したトンネル模擬構造体の構造模式図の正面図及び平面図である。
【図12】実施例2における埋設型検出材の配置図である。
【図13】実施例2におけるパッチ型型検出材の配置図である。
【図14】実施例2における歪ゲージの配置図である。
【図15】実施例2において実施したトンネル模擬構造体の圧縮載荷試験において、その強度特性ならびに損傷診断特性について評価した結果である。圧縮試験における荷重一歪み(引張・圧縮)曲線ならびに各検出材の抵抗変化率と荷重の関係を示す図である。
【符号の説明】
2、22、102、112 損傷検出材
4、24 導電経路
6,26 マトリックス
8,28 導電性粒子
10,30 ガラス繊維
12、32 被覆相
40 定着材
50、60 試験体
62 コールドジョイント
100 トンネル構造体
120 歪みゲージ
Claims (10)
- 導電性粒子の連続的な接触形態を有する導電経路を有するトンネル構造体であって、
前記導電経路は、長繊維強化プラスチック材の絶縁性のマトリックス中において、コンクリート補強作用を有する繊維に沿って備えられた導電性粒子によって構成されておりており、
複数の前記マトリックスを三次元状に配設することで、前記トンネル構造体のアーチ方向および長手方向に沿った三次元状の前記導電経路を備えるトンネル構造体。 - 請求項1に記載のトンネル構造体に備えられる前記導電経路に生じる電気抵抗の変化から、トンネル構造体の損傷を検出する、トンネル構造体の損傷診断方法。
- 請求項1に記載のトンネル構造体に備えられる前記導電経路に生じる電気抵抗の変化から、トンネル構造体における損傷の履歴を検出する、トンネル構造体の損傷診断方法。
- 外部から変形を受けると電気抵抗が変化する、導電性粒子の連続的な接触形態を有する導電経路と、この導電経路を保持し、外力によって変形可能なマトリックスとを備え、
前記マトリックスは、検知しようとする構造体の変形量あるいは荷重の範囲内で、かつ設置しようとする構造体の三次元状に倣うような弾性変形あるいは塑性変形可能であり、
前記導電経路の電気抵抗が定常状態から低下することより圧縮変形による損傷を、前記導電経路の電気抵抗の増加により引張変形による損傷を、それぞれ検出するトンネル構造体用の損傷検出材。 - 前記マトリックスは、絶縁性のプラスチックである請求項4に記載のトンネル構造体用の損傷検出材。
- 前記マトリックスは、絶縁性の繊維で強化されている請求項5に記載のトンネル構造体用の損傷検出材。
- 前記導電経路は、前記マトリックス中の繊維に沿って備えられる請求項6に記載のトンネル構造体用の損傷検出材。
- トンネルの建設方法であって、トンネルを建設する工程において、請求項4〜7のいずれかに記載の損傷検出材を、履工コンクリートの一部に設置する、方法。
- トンネルの建設方法であって、トンネルを建設する工程において、請求項4〜7のいずれかに記載の損傷検出材を、吹付けコンクリートの一部に設置する、方法。
- トンネルの補修方法であって、履工コンクリートの補修工程において、請求項4〜7のいずれかに記載の損傷検出材を履工コンクリートの一部に設置する、方法。
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