JP2003138892A - トンネル構造体およびトンネル構造体の損傷診断方法 - Google Patents

トンネル構造体およびトンネル構造体の損傷診断方法

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秀彰 松原
Yoshiki Okuhara
芳樹 奥原
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Masahiro Iwasaki
昌浩 岩崎
Shinji Konishi
真治 小西
Hiroaki Yanagida
博明 柳田
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Abstract

(57)【要約】 【課題】トンネル構造体などにおける劣化や損傷等の健
全性を診断する技術を提供する。 【解決手段】導電性粒子8,28の連続的な接触形態を
有する導電経路4,24を備えるトンネル構造体とす
る。この導電経路4,24によれば、トンネル構造体に
おける損傷・劣化の早期検出、損傷部位特定、損傷履歴
の記憶などに有効であり、トンネル構造体の健全性診断
システムとして適用できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本願発明は、トンネル構造体
における劣化や変形を検出する技術に関し、詳しくは、
圧縮、引張りなどの荷重の変化を導電率等の変化により
検出することのできる破壊検知材をトンネル構造体に備
えることにより、トンネル構造体における劣化・変形な
どを検出する技術に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、鉄道や道路のトンネル構造体にお
けるコンクリート部材の急速な劣化が顕在化し、コンク
リート崩落事故等の社会的な問題が勃発している。この
ような状況下、コンクリートにおける損傷、破壊、劣化
を診断する健全性モニタリング技術が注目されている。
現在まで、トンネル構造体の健全性診断に用いられてい
る技術はシユミットハンマー法と呼ばれる人間の経験に
依存した打音検査法であるが、この技術は検査に要する
時間・費用が膨大となるだけでなく客観性に乏しいとい
う問題を抱えている。
【0003】これに対し、一般的な健全性診断システム
としては、金属泊ゲージ、光ファイバー、炭素繊維型F
RP(Fiber Reinforced Plasti
cs)、炭素粒子分散型FRPなどが知られている。汎
用品である金属箔歪ゲージは、ポイント型のセンサであ
って、構造物全体の健全性診断には多数のゲージが必要
となること、長期安定性に乏しいことなどの理由から長
期的な診断期間を要する構造体には適していない。種々
の光フアイバーによる健全性診断システムは、設置の難
しさ、耐久性の問題、高コスト、計測時間の問題などに
より、実構造物への適用には解決すべき課題が多い。炭
素繊維型FRPでは、補強機能を有するものの最低歪み
検出限界、歪み感度が不十分である。炭素粒子分散型で
は、最低歪み検出限界、歪み感度、コストパフォーマン
スに優れるという利点がある。炭素粒子分散型FRPに
ついては、特開平9−100356号公報および特開2
001−41774号公報に記載されている。なお、こ
れらはいずれも本出願人による関連出願である。
【0004】しかしながら、トンネル構造体は、基本的
にアーチ構造を有しており、そのような構造体において
は、アーチ方向に沿って生じる荷重負荷およびアーチの
上方や側方からの荷重が負荷されることなどを始めとし
て各種の応力が発生することが予測される。したがっ
て、トンネル構造体は、一般的な構築物を構成する柱や
壁面などの躯体とは異なる特殊な歪み発生環境にある。
トンネル構造体は、その用途から、通常は、列車通過等
による振動や空気圧変動、激しい温度変化などに常に曝
されていること、そして、多くの場合、地山の緩みなど
の影響を大きく受けるといった、他の構築物とは異なる
劣化環境に曝されている。また、トンネル構造体は、長
期にわたって健全性の確保が要求される構造体であり、
また、安全性確保の観点から、小さい歪みから大きい歪
みまで幅広い範囲で歪みを検知することが要求される。
さらに、トンネル構造体において発生した損傷や破壊部
分を早期にかつ高精度で検出するとともに、具体的な補
修作業を考慮した場合には、構造体の大きさゆえに損傷
箇所の特定が必要であるという特徴を有する。したがっ
て、広範囲なモニタリングが要求される。さらに、損傷
部位には、例えば地震などの災害時に高い応力・ひずみ
が作用してひび割れが開口し、その災害が沈静化した後
にはそのひび割れが閉じてしまうものも想定される。こ
のような損傷に対して、これらの健全性診断システムに
よりそのひび割れの開閉の履歴を調べるためには常時モ
ニタリングが前提となる。ただし、炭素繊維型FRPおよ
び炭素粒子分散型FRPに関しては、このひび割れの開閉
の履歴を記憶でき、必ずしも常時モニタリングを必要と
しない可能性がある。
【0005】上記各種の健全性診断システムのいずれが
機能的にトンネル構造体に有効であるかということは現
在確認されていない。また、上記したようにトンネル構
造体における健全性診断の特殊性を鑑みると、いずれの
健全性診断システムが使用できるか否かを判断すること
も極めて困難である。また、損傷履歴を調べるための常
時モニタリングは全ての計測箇所へのセンサデバイスお
よび計測装置の設置を必要とし、コスト面や作業効率の
面から非現実的な手法であり、健全性診断システムの実
用化を遅らせている要因の一つとなっている。
【0006】一方、トンネル構造物をより長く安全に使
用するために、構成するコンクリート部材における各種
の補強技術が開発されており、新設構造物に対してはコ
ンクリート打設時に金属や高分子の短繊維を混入させる
手法がある。既設構造物に対しては、例えばコンクリー
ト表面にひび割れが発生および進展した場合には、その
ひび割れ箇所の樹脂封入やコンクリート表面への鉄鋼板
貼付による固定などの技術が採用されている。これらの
技術は基本的に補強効果のみをもたらすものであるが、
この補強効果と上記の健全性モニタリング機能を同一の
材料システムで達成できれば、健全性をチェックしなが
ら損傷を抑制することができる理想的な安全構造システ
ムを構築することができる。また、この機能の融合は安
全性の向上だけでなくコストの低減などの効果をもたら
すものと期待できる。上記の金属箔歪ゲージや光ファイ
バーを構造体に適用した場合、それによる補強効果は見
込めない。これに対して、炭素繊維型FRPおよび炭素粒
子分散型FRPは、コンクリート補強筋として実用化され
ているFRPという基本構造を有していることから補強効
果が期待できる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】そこで、本発明は、ト
ンネル構造体などにおける劣化や損傷等の健全性を診断
する技術を提供することを課題とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、炭素粒子
分散型FRPを用いる健全性診断システムに着目し、こ
のシステムのトンネル構造体に対する適用を検討した。
その結果、このシステムがトンネル構造体における損傷
・劣化の早期検出、損傷部位特定、損傷履歴の記憶など
に有効であり、トンネル構造体の健全性診断システムと
して適用できることを見出し、本発明を完成した。本発
明によれば、以下の手段が提供される。
【0009】(1)導電性粒子の連続的な接触形態を有
する導電経路を有する、トンネル構造体。 (2)前記導電経路は、絶縁性のマトリックスに保持さ
れている、(1)記載のトンネル構造体。 (3)前記導電経路は、トンネル構造体のコンクリート
部の表面あるいは内部に備えられる、(1)又は(2)
記載の構造体。 (4)前記導電経路は、コンクリート補強作用を有する
繊維に沿って備えられている、(3)記載の構造体。 (5)前記導電経路は、長繊維強化プラスチック材のマ
トリックスに分散される導電性粒子によって構成されて
いる、(4)記載の構造体。 (6)前記トンネル構造体のアーチ方向および/または
長手方向に沿って前記導電経路を備える(1)〜(5)
のいずれかに記載の構造体。 (7)(1)〜(6)のいずれかに記載のトンネル構造
体に備えられる前記導電経路に生じる電気抵抗の変化か
ら、トンネル構造体の損傷を検出する、トンネル構造体
の損傷診断方法。 (8)(1)〜(6)のいずれかに記載のトンネル構造
体に備えられる前記導電経路に生じる電気抵抗の変化か
ら、トンネル構造体における損傷の履歴を検出する、ト
ンネル構造体の損傷診断方法。 (9)前記電気抵抗に関連する情報を通信回線を介して
遠隔地の出力装置に出力する、(7)または(8)に記
載のトンネル構造体の損傷診断方法。 (10)外部から変形を受けると電気抵抗が変化する導
電経路を備える、トンネル構造体用の損傷検出材。 (11)前記導電経路は、導電性粒子の連続的な接触形
態を有する、(10)記載の損傷検出材。 (12)前記導電経路は、絶縁性のプラスチックマトリ
ックス中に形成されている、(10)または(11)に
記載の損傷検出材。 (13)前記導電経路は、絶縁性の繊維で強化されたプ
ラスチック材の絶縁性プラスチックマトリックス中に形
成されている、(10)または(11)に記載の損傷検
出材。 (14)トンネルの建設方法であって、トンネルを建設
する工程において、(10)〜(13)のいずれかに記
載の損傷検出材を、トンネル構造体の少なくとも一部に
設置する、方法。 (15)前記検出材を、履工コンクリートの一部に設置
する、(14)記載の方法。 (16)前記検出材を、吹付けコンクリートの一部に設
置する、(14)記載の方法。 (17)トンネルの補修方法であって、履工コンクリー
トの補修工程において、(10)〜(13)のいずれか
に記載の損傷検出材を履工コンクリートの一部に設置す
る、方法。 (18)損傷検出材であって、導電性粒子の連続的な接
触形態を有する導電経路と、この導電経路を保持し、外
力によって変形可能なマトリックス、とを備え、前記導
電経路の電気抵抗が定常状態から低下することより圧縮
変形による損傷を検出する、損傷検出材。 (19)さらに、前記導電経路の電気抵抗の増加により
引張り変形による損傷を検出する、(18)記載の損傷
検出材。 (20)前記マトリックスは、プラスチックである、
(18)または(19)に記載の損傷検出材。 (21)前記マトリックスには、連続繊維あるいは短繊
維を含有する、(18)〜(20)のいずれかに記載の
損傷検出材。 (22)前記導電経路は、マトリックス中の繊維に沿っ
て備えられる、(21)記載の損傷検出材。 (23)前記マトリックスは、弾性変形あるいは塑性変
形可能である、(18)〜(22)のいずれかに記載の
損傷検出材。
【0010】これらの手段においては、いずれも、導電
性粒子の連続的な接触形態を有する導電経路を備えてい
る。本発明者らは、この導電経路が多様な変形に対して
応答可能であることを始めて見出した。すなわち、この
導電経路によれば、導電性粒子の配列が乱れるもしくは
整列される、あるいは粒子間距離が伸びるもしくは縮む
といった導電性粒子の接触状態の変化により、導電性が
変化する。導電性の変化は、電気抵抗値の変化として検
出することができる。したがって、このような導電経路
を、変形を検出しようとする構造体の一部に備えること
により、多種多様な変形を電気抵抗値の変化などとして
検出することができるようになる。
【0011】本発明者らは、トンネル構造体における覆
工コンクリートの崩落について種々に検討した結果、ト
ンネル構造体においては多様な応力が発生し、各種の応
力が複合された結果、覆工コンクリートの崩落現象が発
生することを見出した。さらに、このような多様な応力
環境下においては、種々の変形に対して応答可能な損傷
検出材を適用する必要性があることを見出した。これら
の知見に基づいて、鋭意研究した結果、導電性粒子から
なる導電経路が、導電性粒子の接触状態の変化に基づい
て、引張り変形の他、圧縮変形やその他の多様な応力に
よって生じる変形に応答可能であること、そしてこの導
電経路を損傷検出材としてトンネル構造体に適用するの
に有効であるとの結論に至った。例えば、引張り変形部
位では、電気抵抗値は上昇し、圧縮変形部位では、電気
抵抗値は低下する。なお、従来、本導電経路による圧縮
変形を含む多様な変形に対する応答性については全く着
目されていなかった。また、炭素繊維型FRPによる健
全性診断システムでは、引張り変形以外の変形について
はほとんど応答能を有していない。
【0012】さらに、この導電経路は、ある荷重あるい
は変形量を超える損傷を受けると、その損傷により変化
した導電性粒子の接触状態は、荷重が除去された後にお
いて、完全には初期状態に復元されないで、ある程度変
化した状態が残留する。変化が残留した接触状態に基づ
いて初期状態とは異なる電気抵抗値が得られる。このよ
うな残留抵抗値を評価することにより、過去において構
造体に与えられた最大荷重あるいは最大変形や損傷の履
歴を検出することができる。
【0013】以上のことから、前記導電経路あるいは導
電経路とマトリックスとを備える損傷検出材を、損傷を
検出しようとする構造体に備えることにより、多様な応
力環境下での損傷発生を簡易に検出し、診断することが
できる。また、荷重除去後も導電経路に残留する導電経
路のひずみに基づいて、最大荷重あるいは最大変形の履
歴を検出できるため、定期的モニタリングでも損傷履歴
を診断することができる。
【0014】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て詳細に説明する。本発明における導電経路は、導電性
粒子の連続的な接触形態(以下、パーコレーション構造
ともいう。)を有している。導電経路自体の形態は、特
に限定しない。例えば、線状、面状、チューブ状、ある
いはデザインされた二次元あるいは三次元形状を取るこ
とができる。また、これらの形態の導電経路が積層され
た形態も含むことができる。検知しようとする、あるい
は発生する可能性のある応力の種類、方向などに応じて
適宜選択することができる。導電経路を構成する導電性
粒子は、導電性を有する粒子であれば特に限定しないで
使用できる。例えば、炭素、金属酸化物、金属窒化物、
金属炭化物などのセラミックス、金属、導電性プラスチ
ックを使用できる。セラミックス粉末としては、炭化珪
素、炭化チタン、窒化チタンを例示できる。好ましく
は、炭素あるいはセラミックスである。導電性粒子とし
ては、1種あるいは2種以上を組み合わせて用いること
ができる。
【0015】導電性粒子の形態は特に問わない。粒子
は、球状、フレーク状(薄片状)、ウィスカ状、ファイ
バー状、棒状等とすることができる。導電性粒子は、こ
のような形態を有する粒子を1種あるいは2種以上を組
み合わせて用いることができる。導電性粒子のサイズも
特に限定しないが、好ましくは、10 nm〜20μmであ
る。
【0016】導電性粒子のパーコレーション構造はそれ
自体として構造体に備えられていても、構造体に発生し
た変形により導電性粒子の接触状態が変化するので、損
傷検出材として機能することができるが、好ましくは、
導電経路はマトリックスに保持された状態で損傷検出材
とされている。さらに好ましくは、このマトリックス
が、さらに後述する保護担体に被覆されている。なお、
マトリックスは、導電性粒子を直接保持する媒体を意味
するものとする。導電経路がマトリックスに保持されて
いる場合、導電経路は、マトリックス中に導電性相とし
て存在することになる。
【0017】マトリックス材料は、保持された導電経路
が構造体の損傷検出材として機能することを許容する材
料である。すなわち、構造体に生じた変形におおよそ追
従できる塑性変形能あるいは弾性変形能を有することが
好ましい。あるいは、保持された導電性粒子の接触状態
の変化を許容する程度の弾性変形能あるいは塑性変形能
を有していることが好ましい。より好ましくは、検知し
ようとする構造体の変形量あるいは荷重の範囲で弾性変
形あるいは塑性変形可能であることが好ましい。なお、
設置しようとする構造体の三次元形状に倣うような弾性
変形能あるいは塑性変形能を有していることが好まし
い。また、マトリックス材料は、導電経路における電気
抵抗の変化の検知できる程度に、導電性が低いことを要
する。好ましくは、導電性粒子に比較して実質的に導電
性がないか、あるいは絶縁性であることが好ましい。特
に、絶縁性材料を使用することは、導電経路の精度を確
保する上で重要である。また、マトリックス材料は、導
電経路による損傷検知能を確保する観点から、導電性に
影響を及ぼす成分、特に、水などの導電性成分が非浸透
性であることが好ましい。特に、構造体のコンクリート
やモルタルなどのセメント系材料部位に本検出材を設置
する場合には、水非浸透性の樹脂などのマトリックス材
料中に埋設状に導電経路を備えるようにするか、あるい
はこれに替えてもしくはこれに併用して導電経路を水非
浸透性材料で被覆するようにすることができる。
【0018】このようなマトリックス材料としては、高
分子系(プラスチック)材料やセラミックス系材料を挙
げることができる。高分子系材料としては、ビニルエス
テル樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂を挙げること
ができる。また、セラミックス系材料としては、窒化珪
素、酸化アルミニウムを挙げることができる。高分子系
材料は、成形性・加工性の点、及び強度や変形能の点か
ら好ましく用いることができる。また、水分非浸透性
や、耐アルカリ、耐酸性などの特性を選択して用いるこ
とにより、導電経路に対する有害成分と効果的に隔離す
ることができる点においても、高分子系材料が好まし
い。
【0019】検出材を構成する材料には、さらに、他の
材料を含めることができる。例えば、マトリックスおよ
び/または構造体を補強できるような材料がある。本検
出材が構造体のコンクリート部分などに適用することが
好ましいことを考慮すれば、これらの補強材料は、コン
クリート補強材料であることが好ましい。このような補
強材料としては、連続繊維(一方向繊維)、長繊維、短
繊維などの繊維状体を挙げることができる。また、これ
らの繊維の形態は、単繊維形態でもよいが、繊維束とな
っていてもよいし、適当な長さの繊維が交絡されるか、
織物、あるいは編物などであるシート状体あるいは細長
いテープ状体であってもよい。さらには、繊維束あるい
は単繊維によって二次元あるいは三次元状のネット状骨
格体、交絡体、および織物を形成していてもよい。繊維
が複合化などされて二次元あるいは三次元形態を有して
いる場合には、このような形態がマトリックスないしは
検出材の形態を決定することができる。すなわち、検出
材に対して所望の形状を付与できるという機能も備えて
いる。
【0020】材質としては、ガラス、セラミックス、プ
ラスチックなどであるが、導電経路の電気的特性を妨げ
ない配合比率および配合形態であることを要する。した
がって、好ましくは絶縁性材料の繊維である。具体的に
は、ガラス繊維やセラミックス繊維を配合する場合に
は、検出材および/または構造体の強度を向上させるこ
とができる。また、プラスチックなどからなる弾性繊維
を配合して、検出材および/または構造体の弾性率を向
上させることにより、これらの強度を向上させることが
できる。このような弾性繊維としては、例えば、アラミ
ド繊維等を挙げることができる。
【0021】なお、繊維と高分子系材料とを含む検出材
は、一般的に繊維補強プラスチック(FRP)と呼ばれ
る複合材料である。したがって、導電性粒子を含有する
FRPは、本検出材の好ましい形態を構成する。特に、
コンクリート補強筋として利用されつつある長繊維強化
プラスチックに導電性粒子を分散させた材料は、コンク
リート構造部に適用するための好ましい形態である。
【0022】本検出材の備える形態は、特に限定しな
い。必要に応じて、シート状、棒状、繊維状、細長いテ
ープ状の他、任意の三次元形状とすることができる。検
出材の形態は、マトリックス材料自体の形態であっても
よい。マトリックス材料自体の形態とする場合には、マ
トリックス材料に当該材料の成形方法によって形態が付
与されることができる。前述したようにマトリックスに
含有される他の材料(繊維など)によって構築される構
造体の形態に準じた形態であってもよい。
【0023】検出材の大きさは、適用する構造体あるい
はその適用箇所に対応させることができる。適用しよう
とする構造体のアーチ方向に対して、検出材を構造体全
円周長さとすることもでき、また、一部のみの長さとす
ることもでき、さらには検出材を分割して適用すること
ができる。また、適用しようとする構造体の長さ方向に
対して、検出材を構造体全長の長さとすることもでき、
また、一部のみの長さとすることもでき、さらには検出
材を分割して適用することができる。
【0024】このような検出材は、マトリックス材料の
種類に応じて、あるいはマトリックスに含有させる繊維
などの種類や形態に応じて、従来公知の各種成形方法を
用いることにより取得することができる。マトリックス
材料として高分子系材料を用いる場合には、樹脂に導電
性粒子を配合した組成物を成形することにより本検出材
を得ることができる。成形方法としては、従来公知の高
分子系材料の成形方法を採用することができる。また、
高分子系材料と他の成分との複合化技術を利用すること
により、本検出材を得ることもできる。さらに、シート
状あるいは細長いテープ状のマトリックスに対して、二
次元的に設計された導電経路を付与することもできる。
この場合、導電経路は単なる直線状に限定しない。ある
いは三次元形態を有するマトリックスに対して三次元形
態の導電経路を付与することもできる。このようなデザ
インされた導電経路をマトリックスに形成する場合、連
続繊維などに沿って形成された導電経路(これ自体が本
検出材である)を、デザインに基づいて配置することも
できる。
【0025】また、高分子系のマトリックスに各種繊維
などを含有させる場合には、例えば、矩繊維に対して
は、高分子系材料の組成物に配合して成形することがで
きる。また、連続繊維や二次元あるいは三次元形態を有
する繊維構造体の場合には、これらの繊維材料の表面に
高分子系材料組成物を吹付けたり、あるいはこれらの繊
維材料を高分子系材料組成物にディッピングすることに
より形状を付与することができる。方向性を持って連続
する繊維あるいは繊維構造体部分に沿って高分子系材料
組成物を付与することにより、繊維方向あるいは繊維構
造体部分に沿う方向性を有する導電経路を形成できる。
【0026】マトリックス材料としてセラミックス材料
を用いる場合には、従来公知の各種セラミックスの成形
加工方法を適用することにより、本検出材を得ることが
できる。導電性粒子、あるいは補強材料の複合化に関し
ても、これらの材料を複合化する従来公知の手法を適用
することができる。
【0027】なお、上記した製造方法は単なる例示であ
り、本検出材の製法はこれに限定するものではなく、こ
れらの材料の種類や形態に応じて、当業者に公知の方法
を1種あるいは2種以上を組み合わせて適用することが
できる。
【0028】また、検出材が、それが適用される構造体
において有効に損傷検出機能を発揮するためには、含有
する導電経路の電気的特性が構造体由来あるいはそれ以
外に由来する原因によって妨げられないように防護され
ていることが好ましい。このような原因としては、水
分、アルカリ、酸などを挙げることができるが、特に、
水分の侵入が回避されていることが好ましい。また、コ
ンクリート構造部分に適用する場合には、耐アルカリ性
が確保されていることが好ましい。したがって、検出材
においては、マトリックスの外側にこのような各種原因
から検出材を保護する担体(以下、被覆相あるいは被覆
層ともいう。)を備えていることが好ましい。被覆相
は、例えば、絶縁性および/または水分の非浸透性との
双方を備えていることが好ましい。もっとも好ましくは
これらの双方を備えていることが好ましい。具体的に
は、加工性に優れる絶縁性樹脂である、ビニルエステル
樹脂、耐アルカリ性に優れる絶縁性樹脂であるエポキシ
樹脂などを挙げることができる。このような被覆相は、
マトリックス材料と同一である場合もありうるし(マト
リックスの説明部分参照)、マトリックス材料とは少な
くとも部分的に異なる組成の材料である場合もある。被
覆相は、マトリックスの周囲に1層または2層以上の層
状の被覆層として形成することが好ましいが、その形態
を層状に限定するものではない。これに限定するもので
はない。なお、このような被覆相においても、マトリッ
クスに含有させることのできる上記した各種補強材料を
配合することができる。これにより、検出材および/ま
たは構造体を補強することもできる。
【0029】さらに、検出材には、構造体に適用する場
合において、構造体中の所定の位置に安定して保持され
ること、構造体の変形に対してすべりを生じさせないな
どの機能を有する材料および/または形態を備える定着
材などを付加することができる。かかる定着材として
は、絶縁性を有する高分子系材料であることが好まし
く、また、ビニロン、アラミド、ガラスなどの絶縁性の
繊維(連続繊維、長繊維あるいは短繊維)を含むもので
あることが好ましい。一例としては、連続繊維あるいは
繊維束とビニルエステルなどの絶縁性樹脂とからなる線
状体を、検出材の外周の少なくとも一部に凸状に備える
ようにすることができる。例えば、細長い棒状体の検出
材に対しては、このような線状体を検出材の外周にラセ
ン状に巻きつけることにより、コンクリート相との界面
での滑りを防止することができる。
【0030】本検出材の導電経路の端部などには、端子
やリード線などを有することができる。このような端子
やリード線を介して導電経路における電気抵抗値などの
変化を検出することができるようになる。端子などは、
導電経路を含有するマトリックスの成形時あるいは成形
後であって被覆相の形成前に装着加工することができ
る。電気抵抗値などの計測方法は、その種類を問わない
で用いることができる。電気抵抗値の計測方法として、
定電流電圧計測法、低電圧電流計測法、さらにはブリッ
ジ回路を用いる方法などがあるが、本発明ではその種類
を限定しない。また、損傷を診断するにあたり、この電
気抵抗値の計測方法として、連続計測および定期計測が
挙げられる。これらの計測において計測時間、間隔、頻
度などは、構造体の形態・規模や推定される損傷の形態
・規模に応じて任意に選択できる。
【0031】本検出材は、特に限定しないが、一般の建
設物に適用することができるが、トンネル構造体に好ま
しく適用することができる。トンネル構造体とは、地下
に形成された空洞状部を意味するものとする。空洞状部
は、通路状であってもよく、またドーム状等の空洞部で
あってもよい。また、通路の方向性は特に限定しない
で、水平から鉛直までのいずれであってもよい。トンネ
ル構造体には、一般にトンネルと称される、交通や輸送
機関として使われる水平に近い細長い地下通路の他、垂
直状に掘削される立坑や、水力発電所などの斜坑などを
挙げることができる。
【0032】また、トンネル構造体には、建設される場
所、用途、形状、工法などによって分類されており、ま
たそれぞれの分類によって様々な呼称があるが、いずれ
も本願発明におけるトンネル構造体に包含されるものと
する。トンネルの建設する場所の分類としては、山岳、
都市、水底(海底)などがある。トンネルを使用する用
途の分類では、道路、鉄道、水路、ケーブル、鉱山など
がある。トンネル形状の分類では、馬蹄形、円形、矩形
などがある。トンネル構造体には、現在トンネル工法と
して知られている工法のいずれかによって建設されたト
ンネル構造体も包含されるものとする。このようなトン
ネル工法としては、例えば、山岳工法、開削工法、シー
ルド工法、沈埋工法、推進工法、ケーソン工法、NATM工
法(New Austrian Tunneling Method)、NTL(New Tunn
el Lining)工法、TBM(Tunnel Boring Machine)工法
やそのほかの特殊工法がある。
【0033】本検出材をトンネル構造体に適用するにあ
たっては、トンネル構造体の少なくとも一部に本検出材
を備えるようにすればよい。トンネル構造体を構成する
支保構造物は、支保工と覆工に区分けされている。一般
的に用いられている支保工は吹付けコンクリート、ロッ
クボルト、鋼製アーチ支保工などである。地山からの応
力が均一ならば、通常、吹付けコンクリートには常に圧
縮応力が働いていると考えられる。また、覆工は、覆工
コンクリートなどである。覆工コンクリートには、地山
からの応力はほとんど受けていないと考えられる。な
お、支保工と覆工との間に防水シートを施す場合もあ
る。なお、現在最も一般的なトンネル構造は、掘削地山
面を吹付けコンクリート、ロックボルト、鋼製アーチ支
保工で支保した後に型枠を組みコンクリートを流し込ん
で覆工コンクリートとする、複層あるいは多層構造であ
る。
【0034】本検出材は、好ましくは、構造体における
コンクリート部分に適用する。トンネル構造体のコンク
リート部分としては、例えば、具体的には、吹付けコン
クリート、覆工コンクリートがある。また、補修などの
ためのセメント系材料適用部位(モルタル部分およびコ
ンクリート部分)に適用することも好ましい。
【0035】さらに、これらのコンクリート部分あるい
はセメント系材料適用部位の表面に本検出材を設置する
こともできるし、これらの内部に埋設することもでき
る。表面に設置する場合には、例えば、エポキシ樹脂系
接着剤などの有機系接着剤によりこれらの表面に設置す
ることもできるし、また、接着剤の使用に替えてあるい
はこれとともにモルタルやコンクリートなどのセメント
系材料で被覆して定着固定することでこれらの表面に設
置することができる。さらに、これらの表面に設置する
方法では、セメント系材料の吹付け工法などの応用が可
能である。なお、表面に設置する方法は、主に既設の構
造体を対象とした方法である。表面設置の典型的形態
は、例えば、本検出材をシート状体あるいは細長いテー
プ状体としてトンネル構造体の進行方向もしくはアーチ
方向に対して十分な長さをもつ連続体として設置する形
態を挙げることができる。
【0036】また、コンクリート部分あるいはセメント
系材料の適用部位の内部に埋設する場合には、例えば、
コンクリートとの定着をとるために検出材の周囲を凹凸
形状として、コンクリート打設前の型枠等に固定し、コ
ンクリートの硬化により定着固定する。この方法は、新
設構造物に対して有効な方法となる。また、既設構造物
のコンクリートに対して補修をする際に、コンクリート
の再打設時においても同様の方法により埋設することが
できる。埋設場所としては、コンクリートの中央部、地
山面側、空洞側などに設置することができる。さらに、
既設構造物のコンクリートに対して補修をする場合以外
にも、そのコンクリート表面に線状の溝を形成し、その
溝の中に検出材を設置した後にその溝をセメント系材料
もしくは樹脂系材料を用いて埋めることにより設置する
こともできる。内部に埋設する方法は、主に新設の構造
体もしくは補修を要する既設構造体を対象とした方法で
ある。内部埋設の典型的形態は、例えば、検出材を捧形
状としてトンネル構造体の進行方向もしくはアーチ方向
に対して十分な長さをもつ連続体として埋設する形態で
ある。補強材料を含有する検出材を適用する場合、表面
に設置する方法に比べ、内部に埋設する方法においてそ
の効果が高いという特徴がある。
【0037】以上説明したように、本検出材のトンネル
構造体などへの設置に関しては、トンネル構造体の建設
工程、補修工程、補強工程のいずれであってよい。ま
た、これらの各工程とは独立して検出材の設置工程を実
施することもできる。トンネル構造体の建設工程におい
ては、トンネル構造体の建設工程における各段階のコン
クリート打設工程において検出材を設置することができ
る。また、既設のトンネル構造体の補修あるいは補強工
程においても、検出材を設置することができる。
【0038】トンネル構造体などの構造体に対する本検
出材の配置位置、配置方向、配置数およびその距離は、
自由に設計・施工することができ、構造体の形態もしく
は推定される損傷の形態に応じて最適設計が可能であ
る。例えば、コンクリート部分およびセメント系材料適
用部位の表面および/または内部に埋設する方法におい
て、検出材を複数設置しさらにそれらを二次元的あるい
は三次元的に配置してそれぞれの電気抵抗変化を比較す
ることにより、トンネル構造体に作用する局所的な損傷
の領域・場所を診断することが可能となる。
【0039】以上説明したように、本検出材は、導電性
粒子の連続的な接触形態を有する導電経路を備えること
により、多様な方向性あるいは種類の変形を鋭敏かつ簡
易に検出することができる。さらに、本検出材は、変形
が作用した際の電気抵抗値変化が除荷後にも初期値に戻
らず残留するという不可逆的な変化を示すことができ
る。この残留抵抗値の評価より過去に与えられた最大変
形の履歴を診断することが可能となる。これにより、こ
の検出材を適用したコンクリート部分を有するトンネル
構造体においては、地震などの災害発生後の抵抗値計測
をもとに災害時の最大損傷を診断できることとなり、常
時モニタリングではなく定期的なモニタリングでの診断
が可能となる。なお、モニタリングを通信回線などを利
用して行うことができる。例えば、本検出材を利用して
計測した電気抵抗値などの関連情報を、遠隔地にある出
力装置に通信手段を介して伝達し、出力することによ
り、遠隔地においても、容易に損傷の検出及びモニタリ
ングが可能となる。
【0040】さらに、本検出材のマトリックスおよび/
または被覆相に、コンクリートなどを補強可能な補強材
料を含有する場合には、本検出材を備える構造体を補強
することができる。このような検出材あるいはそれを備
えた構造体は、構造体の補強と損傷検出との2つの作用
効果を同時に達成することができる点において非常に有
用である。
【0041】本発明によれば、トンネル構造体への検出
材の適用ならびにその電気抵抗値の計測により、簡便か
つ迅速に覆エコンクリートにおける劣化・変形の状況を
高精度に診断できるだけでなく、複数の検出材の二次元
的配置により異常個所の推定も可能とし、さらには電気
抵抗変化の不可逆性を応用することにより定期的なモニ
タリングでの最大損傷の履歴診断を可能となる。また同
時に構造体の補強効果も得ることができる。これらの効
果として、従来技術との比較において大幅なコスト低減
ならびに作業効率の向上をもたらすとともに高付加価値
の機能を付与することができる。以上のことから、本発
明は、トンネル構造体の健全性を効率的かつ的確に診断
するものであり、コンクリートの崩落等の事故を未然に
防止する技術として極めて有用である。
【0042】
【実施例】以下、本発明を具現化した実施例について図
1〜15に基づいて説明する。なお、これらの実施例
は、本発明を具体的に説明することを意図するものであ
って、これらの実施例によって本願発明を限定するもの
では決してない。
【0043】本発明に至る経緯として、コンクリートブ
ロツク試験体での基礎特性評価試験を経て、実際のトン
ネル構造体を模擬した大型構造体により実証試験を実施
しており、以下、これらについて順に示す。
【0044】(実施例1:覆工コンクリートブロック試
験体における試験) [検出材の作製]本実施例で使用した、覆工コンクリー
トのブロック試験体に設置した検出材2、22は、コン
クリート中に埋設する棒状の埋設型と、コンクリート表
面に貼付するシート状のパッチ型の2種類であった。こ
れら検出材2,22の構造模式図を図1に示す。検出材
2は、全体としてロッド状体である。検出材2は、導電
経路4を含有する高分子系材料のマトリックス6に導電
性粒子8と補強材料としてガラス連続繊維10とを含有
している。そして、ロッド状のマトリックス6は、さら
に、被覆相12としてのガラス連続繊維10を含有する
高分子系材料中に埋設ないしは被覆されている。また、
検出材22は、全体としてシート状体である。検出材2
2は、導電経路24を含有する高分子系材料のマトリッ
クス26に導電性粒子28と補強材料としてガラス連続
繊維30とを含有している。そして、シート状のマトリ
ックス26は、さらに、被覆相32としての、ガラス連
続繊維30を含有する高分子系材料中に埋設ないしは被
覆されている。なお検出材2、22では、マトリックス
6、26と被覆相12、32を構成する高分子系材料は
いずれもビニルエステル樹脂である。
【0045】この検出材2、22の作製手順を図2のフ
ローチャートに示す。この作製の第1段階は、炭素粒子
を分散させたマトリックス6、26の作製である。以
下、まず、検出材22の作製工程について説明する。こ
の検出材2のマトリックス6となる液体状のビニルエス
テル樹脂(日本ユピカ製、8250HK)に、室温硬化
用の硬化剤(日本油脂製、パーメックN)、スチレンお
よび硬化触媒としてのナフテン酸コバルトを添加する。
このマトリックス樹脂に対して体積割合20vol.%
の炭素粒子(SEC製、高純度人造黒鉛SCP−5)を
混入させ、攪拌機により分散させる。このように作製し
たスラリーを一方向のガラス繊維(旭ファイバーガラス
製、ER2220TM一F08)10の繊維束に含浸さ
せた。この含浸方法にはフリーディッピング法を採用し
た。その後、スラリーを含むガラス繊維10の繊維束を
ブッシング(2mmφの穴)に通すことによって棒状に
成形することにより、導電性粒子8を含有するマトリッ
クスに形状を付与した。その状態にて室温24時間乾燥
させ、さらに80℃、2時間という硬化処理を施した。
【0046】以上により合成したマトリックス6中の導
電経路4に対して、その両端に電気抵抗測定用の電極端
子を取り付けた。電極加工後に、導電経路4の周囲に絶
縁性の複合材料(上記ガラス繊維十上記ビニルエステル
樹脂)を被覆相12として被覆した。このキャリヤ12
は、コンクリート試験体への埋設に際してコンクリート
との絶縁性を確保するために重要な構成部分となる。最
終工程として、この検出材2に対してら旋状に絶縁性の
定着材料40を巻き付けた。これはコンクリートの変形
に対して、埋設した検出材2とコンクリートの界面に滑
りが生じないように定着処理として施したものである。
以上の工程により合成した検出材2の最終形態の外観を
図3に示した。
【0047】コンクリート表面に貼付するシート状のパ
ッチ型の検出材22も、基本的に上記と同様の方法によ
り作製した。このパッチ型検出材22では、ガラス繊維
30に一方向繊維ではなくクロス(織物)を使用した。
また、導電経路24を含むマトリックス26の両面に炭
素粒子を含まない絶縁性の複合材料(上記ビニルエステ
ル樹脂)を被覆させたシート形状としている。検出材2
2の最終形態を図3に示す。
【0048】[覆工コンクリートブロック試験体への適
用]作製した検出材2,22を覆工コンクリートのブロ
ック試験体(100×100×400mm)へ導入し
た。この覆工コンクリートの配合および使用原料を表1
および2に示す。覆工コンクリートのブロック試験体5
0,60としては、コールドジョイント62の無し有り
で2種類調製した。コールドジョイントは、型粋中に仕
切り板を設けコンクリートの打設を2回に分けることに
よりその界面に形成させた。作製したブロック試験体及
びそれに検出材2、22を設置した状体の外観および模
式図を図4および図5に示す。
【表1】
【表2】
【0049】この試験体に埋設した検出材2は、1試験
体につき2本であり、図4及び図5に示すように、コン
クリート表面付近に埋設することにより、曲げ変形に伴
う引張・圧縮応力作用下での応答性を評価できるものと
考えた。また、コンクリート表面への貼付により設置す
るシート状の検出材22は、曲げ変形により引張応力が
作用する面だけでなく圧縮応力が作用する面にも設置し
た。既設構造物への適用として覆エコンクリートの表面
に貼付することを想定すると、地山の変形に伴ってコン
クリートに曲げ変形が作用することにより、トンネルの
進行方向においてはコンクリート表面に引張歪みが作用
するが、円周(アーチ)方向においてはコンクリート表
面に圧縮歪みが作用する可能性があるため、その両者に
ついて評価する必要があると考えた。このシート状検出
材22をコンクリート表面に貼付する工程には、エポキ
シ系接着剤を使用した。
【0050】[評価試験方法]作製した覆工コンクリー
トに対して、JIS A1106に準拠した3等分点載
荷法により曲げ試験を実施した。この曲げ試験の模式図
を図6に示す。載荷点70のスパンは100mm、支持
点80のスパンは300mmであり、油圧式疲労試験装
置を用いた上部からの圧縮により曲げ変形を作用させ
る。この載荷方法において、コンクリート試験体の曲げ
強度fbは同規格に基づいて次式(1)により算出し
た。 fb=Pl/bh2 ………(1) ただし、P:試験機の示す最大荷重(N) l:支持点スパン(mm) b:破壊断面の幅(mm) h:破壊断面の高さ(mm)
【0051】この曲げ試験では、コンクリートブロック
試験体の長手方向に圧縮応力(軸力)を導入した(図6
参照)。トンネル構造体というアーチ形状の構造体にお
ける損傷形態を想定した場合、アーチ外面のある点にお
いて圧縮応力が作用すると、通常の曲げ変形以外にその
アーチ方向に沿って圧縮応力が作用すると考えられる。
本試験は、この圧縮応力も含めて実際の応力場を考慮し
た曲げ試験となっている。
【0052】この曲げ試験においては、2種類の載荷方
法を採用した。一方では、一定の変位速度でブロック試
験体に作用する荷重を増加させ、引張・圧縮表面に作用
する歪の変化を計測するとともに、その変形に伴う各検
出材の電気抵抗変化を計測した。もう一方では、繰返し
負荷除荷曲げ試験において、負荷除荷1サイクルごとに
作用させる応力・ひずみを段階的に増加させていく載荷
パターンを採用した。この後者の試験により、電気抵抗
値の不可逆的な変化すなわち残留抵抗の発現について評
価し、最大損傷の履歴を診断する機能について検討する
ことができる。
【0053】検出材2、22の電気抵抗値の計測には、
定電流電圧測定法による抵抗計を使用した。応力作用前
の初期抵抗値をR0として、応力作用時の抵抗変化ΔR
(=R−R0)を初期抵抗値で割った抵抗変化率ΔR/
0により応答性を評価した。
【0054】[試験結果]コールドジョイントを含まな
い覆工コンクリート試験体50において軸力を導入した
単純曲げ試験を実施し、その強度特性ならびに損傷診断
特性について評価した結果を図7及び図8に示す。図7
及び図8は、上から曲げ試験における荷重−変位曲線、
歪み(引張・圧縮)−変位曲線ならびに各検出材2、2
2の抵抗変化率と変位の関係を示すグラフを示す。図7
は、広範な変位量域におけるグラフであり、図8は微小
変位量域におけるグラフである。この覆工コンクリート
試験体の曲げ試験においては、軸力の導入によってひび
割れの開口を抑えていた。このことからも、ひび割れ発
生ポイントの判断は難しいが、ひずみ−変位曲線の変曲
点より約35.0kNの荷重において約500μの引張
歪みが作用した際に発生したものと推測される。なお、
破壊荷重までに至る評価に関しては、曲げ試験治具の設
計耐荷重の制限ならびに破壊時の爆発的挙動が懸念され
たことから、本試験では対象から外した。
【0055】このコンクリートの損傷形態に対して、設
置した検出材2、22は、ひび割れ発生以前からの微小
歪み領域においても、明確な応答性を示した。図7に示
すように、引張側・圧縮側に埋設および表面貼付した検
出材はそれぞれ異なる挙動を示し、引張側に設置した検
出材は引張歪みの増加に対応して抵抗値の増加を、圧縮
側に設置した検出材は圧縮歪みの増加に対応して抵抗値
の減少を示した。さらに、埋設型に比べて中立点からの
距離がより大きく作用する引張・圧縮歪みが大きいパッ
チ型において、より高い抵抗変化率が達成されている。
このひび割れ発生以前の微小歪み領域をさらに拡大した
結果から、埋設型およびパッチ型の両検出材において数
μの微小歪みに対して応答性を示していることが明らか
とされた。このことは、導電経路4および24が導電性
粒子の接触状態で形成されていることから、複雑な変形
応力に対して極めて敏感に応答したためと推測された。
【0056】ひび割れ発生時の挙動に着目すると、引張
側に貼付・埋設した検出材2,22には抵抗値の変化
(増加)に変曲点がみられ、この応答性からひび割れの
発生時点をモニタリングすることが可能である。―方、
圧縮側に埋設した検出材はひび割れ発生と同時に抵抗値
の減少傾向が鈍化しており、これは中立点の位置がひび
割れ発生により試験体の中央部から載荷点側に移動した
ことにより圧縮歪みが緩和される現象を反映している。
この覆工コンクリート試験体の圧縮側表面へ設置したパ
ッチ型検出材22は、ひび割れ発生後の進展過程におい
ても抵抗減少を継続するという埋設型検出材2とは異な
る傾向を示した。これは、コンクリートの最表面にパッ
チ型検出材22が貼付されていることから、ひび割れ発
生により中立点が移動した際にも常に圧縮歪みが作用す
ることに起因している。以上の結果より、本発明におけ
る検出材2,22は、設置したコンクリートブロック試
験体において、作用する歪に対して極めて高い感度で正
確な応答性を示すことが明らかとされた。
【0057】一方、同様に軸力を導入した覆工コンクリ
ート試験体において繰返し負荷除荷曲げ試験を実施し、
その損傷診断特性について評価した結果を図9に示す。
図9には、曲げ試験において与えた荷重サイクルに対す
る歪み(引張・圧縮)ならびに各検出材の抵抗変化率を
時間の関数として示した。この繰返し多軸曲げ試験で
は、ひび割れ発生ポイントが明確ではないが、引張側の
歪みにおいて異常な挙動がみられた約48.0kNの荷
重サイクル以降ではないかと推察した。このひび割れ発
生前後において、明確な残留歪みは現れておらず、ひび
割れの開口も除荷後には閉じてしまうという損傷挙動を
示した。
【0058】このような損傷挙動に対して、設置した検
出材2,22は、引張側に設置したパッチ型22および
埋設型2においては抵抗値の増加、圧縮側に設置したパ
ッチ型22および埋設型2においては抵抗値の減少とし
て応答性を示した。さらに、除荷した際の抵抗変化率に
着目すると、ひび割れ発生以降において、その変化率が
ゼロ(初期抵抗値)にまで戻らず残留する現象が現れ
た。ひび割れ発生以降においてひずみはほとんど残留し
ていないことから、この電気抵抗値の不可逆的な変化は
検出材2,22における本質的な変化として捉えること
ができる。すなわち、この現象を利用することにより、
例えば地震などの災害が発生した後にこの残留抵抗値を
計測することにより、コンクリートがどの程度の損傷
(ひび割れ)を被ったのかを判断でき、ひび割れが既に
閉じてしまっていても、損傷の履歴を診断できる可能性
がある。これにより、常に抵抗変化をモニタリングして
おくことは必ずしも必要ではなく、定期的なモニタリン
グにより過去に受けた損傷履歴を診断でき、人件費や装
置費などの大幅なコスト低減に貢献できる成果といえ
る。
【0059】本試験においてコンクリートブロック試験
体に設置した検出材の補強効果について示す。図11
は、コールドジョイントを含むコンクリートおよび含ま
ないコンクリートにおいて、検出材(埋設型およびパッ
チ型)2,22を設置した場合の曲げ破壊強度への影響
を評価した結果である。なお、この曲げ破壊強度の計測
にあたっては、JIS A1106に準拠した3等分点
載荷法による通常の曲げ試験を採用し、上記に記載した
軸力は導入していない。コールドジョイントを含まない
場合、検出材を設置することにより曲げ破壊強度は約6
3%向上した。一方、コールドジョイントを含む場合に
は、検出材の設置により約114%もの曲げ破壊強度の
向上を達成している。これらの結果より、検出材の設置
によリコンクリートにおける曲げ破壊強度の向上として
補強効果が得られることを明らかであった。
【0060】(実施例2:トンネル模擬構造体への適
用) [検出材の作製]本実施例においてトンネル模擬構造体
に設置した検出材の基本構成は、実施例1に示した検出
材と同様であり、コンクリート中に埋設する棒状の埋設
型と、コンクリート表面に貼付するシート状のパッチ型
の2種類に大別される。ただし、このパッチ型検出材の
ガラス繊維を一方向の繊維に変更している。
【0061】[トンネル模擬構造体への適用]作製した
検出材を実際のトンネル構造体を模擬した覆工コンクリ
ート構造体100へ導入した。ここで用いたコンクリー
トの配合および使用原料を表3および4に、また、この
構造体100の外観および模式図を図11〜13に示
す。この構造体100は、幅4m、高さ3.4m、厚み
15cm、奥行き(トンネル進行方向) 1mとし、鋼
製波板とH鋼を組み合わせてできており、コンクリート
の床の上に固定されている。
【0062】
【表3】
【表4】
【0063】図12に示すように、この構造体100に
はトンネル進行方向およびアーチ方向にそれぞれ3本づ
つ二次元的に埋設型およびパッチ型の検出材102、1
12を設置した。埋設型の検出材102はトンネル進行
方向およびアーチ方向において、それぞれトンネルのほ
ぼ全長にわたつて厚さ方向の外周寄りに埋設した。図1
3に示すように、パッチ型の検出材112は覆工コンク
リート内壁面の頂点部を中心に部分的(トンネル進行方
向:約lm、アーチ方向:約1.5m)に貼付した。こ
のパッチ型検出材112をコンクリート表面に貼付する
工程にはエポキシ系接着剤を使用して固定した。この固
定方法以外に、補修モルタルの吹付け工程を実施するこ
とも想定されるが、本実施例ではコンクリートにおける
ひび割れ発生がシート状検出材の剥離を誘発するかどう
かの確認をするために、この工程の採用は見合わせた。
【0064】図14に示すように、歪ゲージ120は覆
工コンクリートの内表面に6箇所取り付けた。トンネル
進行方向に覆工コンクリート最上部に3箇所、トンネル
アーチ方向に3箇所(天井部と側面地面から約50cm
の部分2箇所)である。
【0065】[評価試験方法]この構造体への荷重載荷
はトンネル頂点部中心から1点を載荷点101として載
荷する方式を採用した。この載荷方法の概要を図11〜
13に示した。トンネル脚部に設置したH鋼からトンネ
ル頂点部の載荷点101を中心に覆工コンクリートと縁
切りした異形鉄筋を通し、トンネル上部に突き出た異形
鉄筋部にセンターホール型の圧縮荷重計と油圧シリンダ
ーを固定した。脚部のH鋼は地面に接する覆工コンクリ
ートの両端で固定した。この脚部に設置したH鋼から頂
点部を貫通する鋼棒に引張応力を与えその反力としての
圧縮応力を覆工コンクリートの頂点部に作用させる圧縮
載荷試験とした。圧縮荷重の載荷は、コンクリートにク
ラックが発生するまで単調に荷重を増加させる方式と
し、その変形に伴う歪の変化を計測するとともに、各検
出材102、112の電気抵抗変化を計測した。
【0066】検出材102、112の電気抵抗値の計測
には、実施例1と同様に定電流電圧測定法による抵抗計
を使用した。実施例1と同様に、抵抗変化率により応答
性を評価した。
【0067】[試験結果]このトンネル模擬構造体にお
ける圧縮載荷試験の結果として、圧縮荷重の増加に対す
るトンネルアーチ方向の歪変化、埋設型およびパッチ型
の検出材における電気抵抗変化の計測結果を図15に示
す。まず、トンネルアーチ方向の歪変化より、トンネル
の頂点部付近ではコンクリート内壁に引張歪が作用し、
トンネル脚部では圧縮歪が作用し、トンネル頂点部が凹
状となる変形形態であることがわかる。トンネル進行方
向の歪はいずれも内壁面にて引張歪が作用し、通常の曲
げ変形が作用しているものと考えられた。クラックは頂
点部においてトンネル進行方向に発生し、それまでに作
用した歪はいずれも50μ以下であったことから、極め
て微小な変形に対する損傷診断が要求された。この微小
変形に対し、コンクリート内部のアーチ方向に埋設した
検出材は、脚部で圧縮応力を受けるだけでなく、頂点部
でも凹状変形に対して圧縮側に位置することから全体と
しても圧縮歪が作用すると考えられる。また、進行方向
に埋設した検出材も通常の曲げ変形の圧縮側に位置する
ことからやはり圧縮歪を受ける。
【0068】この圧縮変形に応答して、埋設した検出材
102はアーチ方向および進行方向ともに抵抗値の減少
を示した。一方、トンネル壁の頂点部付近にアーチ方向
および進行方向に沿って貼付したパッチ型検出材112
は、いずれも変形初期から抵抗値の増加を示した。トン
ネル頂点部付近では、進行方向およびアーチ方向ともに
コンクリートの曲げ変形に伴う引張歪が作用しており、
これに対応した応答性が得られている。なお、クラック
発生時にはクラックに直交しているアーチ方向のパッチ
型検出材112が明確な抵抗値の増加を示し、クラック
発生状況も診断できた。
【0069】一方、設置した複数の検出材それぞれの電
気抵抗変化において、埋設型検出材102およびパッチ
型検出材112ともに載荷点101付近における変化量
が大きいという傾向を得ることができた。この結果は、
作用する歪が載荷点付近を中心として分布することに起
因している。したがって、これら複数の検出材の応答性
を総合的に評価することにより応力が作用している(損
傷している)領域の判定が可能である。以上の結果か
ら、トンネル構造体の複雑な変形形態において、その損
傷を10μ以下の微小歪みからクラック発生以降にわた
つて診断できることを実証できた。
【0070】
【発明の効果】本発明によれば、トンネル構造体などの
構造体における劣化や損傷等の健全性を診断する技術を
提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1においてコンクリートヘ適用した埋設
型およびパッチ型検出材の構造模式図である。
【図2】図1の検出材の作製手順を示すフローチャート
である。
【図3】作製埋設型およびパッチ型検出材の外観を示す
図である。
【図4】実施例1において作製したブロック試験体の外
観を示す図である。
【図5】実施例1において作製したブロック試験体の構
造模式図である。
【図6】実施例1において実施した3等分点載荷法によ
る多軸曲げ試験の概要図である。
【図7】実施例1において実施したコンクリート試験体
の単純多軸曲げ試験において、その強度特性ならびに損
傷診断特性について評価した結果である。曲げ試験にお
ける荷重−変位曲線、歪み(引張・圧縮)−変位曲線な
らびに各検出材の抵抗変化率と変位の関係を示す図であ
る。
【図8】実施例1において実施したコンクリート試験体
の単純多軸曲げ試験において、その強度特性ならびに損
傷診断特性について評価した結果である。曲げ試験にお
ける荷重−変位曲線、歪み(引張・圧縮)−変位曲線な
らびに各検出材の抵抗変化率と変位の関係を示す図であ
る。
【図9】実施例1において実施したコンクリート試験体
の繰返し多軸曲げ試験において、検出材の最大損傷記憶
機能について評価した結果である。曲げ試験における荷
重サイクル、歪み(引張・圧縮)および各検出材の抵抗
変化率と試験時間の関係を示す図である。
【図10】実施例1において実施した曲げ試験におい
て、検出材の有無およびコールドジョイントの有無がコ
ンクリート試験体の曲げ強度に及ぼす影響を示す結果で
ある。
【図11】実施例2において作製したトンネル模擬構造
体の構造模式図の正面図及び平面図である。
【図12】実施例2における埋設型検出材の配置図であ
る。
【図13】実施例2におけるパッチ型型検出材の配置図
である。
【図14】実施例2における歪ゲージの配置図である。
【図15】実施例2において実施したトンネル模擬構造
体の圧縮載荷試験において、その強度特性ならびに損傷
診断特性について評価した結果である。圧縮試験におけ
る荷重一歪み(引張・圧縮)曲線ならびに各検出材の抵
抗変化率と荷重の関係を示す図である。
【符号の説明】
2、22、102、112 損傷検出材 4、24 導電経路 6,26 マトリックス 8,28 導電性粒子 10,30 ガラス繊維 12、32 被覆相 40 定着材 50、60 試験体 62 コールドジョイント 100 トンネル構造体 120 歪みゲージ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 松原 秀彰 愛知県名古屋市熱田区六野2丁目4番1号 財団法人ファインセラミックスセンター 内 (72)発明者 奥原 芳樹 愛知県名古屋市熱田区六野2丁目4番1号 財団法人ファインセラミックスセンター 内 (72)発明者 石田 積 新潟県西頸城郡青海町青海2209 電気化学 工業株式会社青海工場内 (72)発明者 岩崎 昌浩 新潟県西頸城郡青海町青海2209 電気化学 工業株式会社青海工場内 (72)発明者 小西 真治 東京都国分寺市光町2丁目8番38 財団法 人鉄道総合技術研究所内 (72)発明者 柳田 博明 東京都調布市佐須町1丁目3番19号 Fターム(参考) 2D055 CA03 DA00 DB00 KA00 LA13 LA16

Claims (24)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】導電性粒子の連続的な接触形態を有する導
    電経路を有する、トンネル構造体。
  2. 【請求項2】前記導電経路は、絶縁性のマトリックスに
    保持されている、トンネル構造体。
  3. 【請求項3】前記導電経路は、トンネル構造体のコンク
    リート部の表面あるいは内部に備えられる、請求項1又
    は2記載の構造体。
  4. 【請求項4】前記導電経路は、コンクリート補強作用を
    有する繊維に沿って備えられている、請求項3記載の構
    造体。
  5. 【請求項5】前記導電経路は、長繊維強化プラスチック
    材のマトリックスに分散される導電性粒子によって構成
    されている、請求項4記載の構造体。
  6. 【請求項6】前記トンネル構造体のアーチ方向および/
    または長手方向に沿って前記導電経路を備える請求項1
    〜5のいずれかに記載の構造体。
  7. 【請求項7】請求項1〜6のいずれかに記載のトンネル
    構造体に備えられる前記導電経路に生じる電気抵抗の変
    化から、トンネル構造体の損傷を検出する、トンネル構
    造体の損傷診断方法。
  8. 【請求項8】請求項1〜6のいずれかに記載のトンネル
    構造体に備えられる前記導電経路に生じる電気抵抗の変
    化から、トンネル構造体における損傷の履歴を検出す
    る、トンネル構造体の損傷診断方法。
  9. 【請求項9】前記電気抵抗に関連する情報を通信回線を
    介して遠隔地の出力装置に出力する、請求項7または8
    に記載のトンネル構造体の損傷診断方法。
  10. 【請求項10】外部から変形を受けると電気抵抗が変化
    する導電経路を備える、トンネル構造体用の損傷検出
    材。
  11. 【請求項11】前記導電経路は、導電性粒子の連続的な
    接触形態を有する、請求項10記載の損傷検出材。
  12. 【請求項12】前記導電経路は、絶縁性のプラスチック
    マトリックス中に形成されている、請求項10または1
    1に記載の損傷検出材。
  13. 【請求項13】前記導電経路は、絶縁性の繊維で強化さ
    れたプラスチック材の絶縁性プラスチックマトリックス
    中に形成されている、請求項10または11に記載の損
    傷検出材。
  14. 【請求項14】トンネルの建設方法であって、トンネル
    を建設する工程において、請求項10〜13のいずれか
    に記載の損傷検出材を、トンネル構造体の少なくとも一
    部に設置する、方法。
  15. 【請求項15】前記検出材を、履工コンクリートの一部
    に設置する、請求項14記載の方法。
  16. 【請求項16】前記検出材を、吹付けコンクリートの一
    部に設置する、請求項14記載の方法。
  17. 【請求項17】トンネルの補修方法であって、履工コン
    クリートの補修工程において、請求項10〜13のいず
    れかに記載の損傷検出材を履工コンクリートの一部に設
    置する、方法。
  18. 【請求項18】損傷検出材であって、導電性粒子の連続
    的な接触形態を有する導電経路と、この導電経路を保持
    し、外力によって変形可能なマトリックス、とを備え、
    前記導電経路の電気抵抗が定常状態から低下することよ
    り圧縮変形による損傷を検出する、損傷検出材。
  19. 【請求項19】さらに、前記導電経路の電気抵抗の増加
    により引張変形による損傷を検出する、請求項18記載
    の損傷検出材。
  20. 【請求項20】前記マトリックスは、プラスチックであ
    る、請求項18または19に記載の損傷検出材。
  21. 【請求項21】前記マトリックスには、連続繊維あるい
    は短繊維を含有する、請求項18〜20のいずれかに記
    載の損傷検出材。
  22. 【請求項22】前記導電経路は、マトリックス中の繊維
    に沿って備えられる、請求項21に記載の損傷検出材。
  23. 【請求項23】前記マトリックスは、弾性変形あるいは
    塑性変形可能である、請求項18〜22のいずれかに記
    載の損傷検出材。
  24. 【請求項24】
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