JP2020056768A - 応力モニタリングセンサおよび応力モニタリング方法 - Google Patents
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(応力モニタリングセンサの構成)
図1は、本実施形態に係る応力モニタリングセンサの概略構成を示す図である。応力モニタリングセンサ1は、光信号を伝送する光ファイバケーブル9にひずみを検知する検知部13が設けられた光ファイバセンサ11と、光ファイバセンサ11を被覆する第1の被覆部15と、を備えている。本実施形態では、光ファイバセンサとして、FBGセンサを用いる。
次に、本実施形態に係る応力モニタリングセンサの作製方法について、説明する。図2は、本実施形態に係る応力モニタリングセンサの作製方法を示すフローチャートである。
次に、応力モニタリングセンサの作製過程における、光ファイバセンサの設置方法について、説明する。
図3(a)および(b)は、光ファイバセンサを設置した様子を模式的に示す図である。図3(a)に示すように、側面に貫通孔17が設けられた円柱状の型枠19の鉛直方向の上下両端部近傍に、糸や番線などの固定部材21を設置する。固定部材の設置方法は、例えば、型枠に4箇所の固定部材設置用の貫通孔を設け、各貫通孔に固定部材を設置する方法があるが、光ファイバセンサを真っ直ぐに設置するために固定できれば良く、これに限定されない。光ファイバセンサ11を、貫通孔17に挿通し、型枠内の固定部材21に接着剤などを用いて固定する。図3(b)に示すように、光ファイバセンサ11を鉛直方向に真っ直ぐ設置しても良い。光ファイバセンサ11を設置後、型枠19内にセメント系材料を打設する。なお、型枠は柱状、球状、キューブ状等でも良く、円柱状に限定されない。
図4(a)および(b)は、光ファイバセンサを設置した様子を模式的に示す図である。まず、中空の円筒23内に光ファイバセンサ11を挿通し、型枠19内に、光ファイバセンサ11が挿通された円筒23を鉛直方向に起立させて設置する(図4(a))。次に、円筒23が設置された型枠19内に、セメント系材料を打設し、セメント系材料が固まる前に円筒23を2つに割きながら除去する(図4(b))。このように設置することで、光ファイバセンサ11を損傷させることなく、応力モニタリングセンサ1の中心(型枠19の中心軸上)に設置することが可能となる。
図5(a)〜(d)は、光ファイバセンサを設置した様子を模式的に示す図である。まず、側面に貫通孔17が設けられた型枠19に光ファイバセンサ11を設置する高さまで、セメント系材料を打設する(図5(a))。貫通孔17に光ファイバセンサ11を挿通させ、鉛直方向に対して直交する方向に光ファイバセンサ11を敷設する(図5(b))。図5(c)に示すように、光ファイバセンサ11を貫通孔に挿通させず、鉛直方向に出しても良い。光ファイバセンサ11が敷設されたコンクリート上にさらにコンクリートを打設する(図5(d))。このように設置することで、光ファイバセンサ11を損傷させることなく、応力モニタリングセンサ1に光ファイバセンサ11を設置することが可能となる。
図6は、応力モニタリングセンサをコンクリート構造物内に設置した様子を模式的に示す図である。コンクリート構造物31は、横方向や縦方向に鉄筋33を備えている。光ファイバセンサを設置する位置は、柱、梁など構造物の主要構造部が好ましい。
次に、本実施形態に係る応力モニタリングセンサの性能について検証した。図8は、本検証例で用いた応力モニタリングセンサの概略構成を示す図である。本検証例で用いた応力モニタリングセンサ1には、上述した応力モニタリングセンサ作製方法(設置例1)で作製した応力モニタリングセンサを用いた。本実施形態に係る応力モニタリングセンサと従来から用いられているひずみゲージとの性能を比較するため、脱型後に応力モニタリングセンサの側面にひずみゲージ41(2本)を設置した。
コンクリート構造物の応力測定において、主応力の大きさや方向が不明である場合がある。このような場合、ロゼット解析によって、主応力の大きさや方向を求めることが可能である。ロゼット解析とは、測定対象物に、異なる測定方向を持つ2つ以上のひずみゲージを近接して配置したゲージ(ロゼットゲージ、3軸ロゼットゲージ)を接着して測定したひずみの値から、主応力の大きさや方向を求める方法である。
次に、図12に示すような、本実施形態に係る応力モニタリングセンサの作製方法について、説明する。まず、セメント系材料のブロックを作製する。次に、ブロック表面に光ファイバセンサを設置する(図14)。光ファイバセンサ設置後、ブロックを型枠内に固定し、さらにブロックと同素材のセメント系材料で被覆する(図12)。このように作製することにより、光ファイバセンサ設置の際の固定部材や型枠を用いることなく、応力モニタリングセンサを作製することが可能となる。ブロックに用いる材料および光ファイバセンサを被覆する材料は、樹脂でも良く、セメント系材料に限定されない。ここでブロックと第1の被覆部は同じ材料とするので、光ファイバセンサは単独で被覆されたものとみなす。
次に、第1の実施形態に係る応力モニタリングセンサの変形例について説明する。図16は、本実施形態に係る応力モニタリングセンサ3の概略構成を示す図である。応力モニタリングセンサ3は、光信号を伝送する光ファイバケーブル9にひずみを検知する検知部13が設けられた光ファイバセンサ11と、光ファイバセンサ11を被覆する第1の被覆部51と、光ファイバセンサ11と第1の被覆部51との間に、少なくとも検知部13が露出するように光ファイバケーブル9を被覆する第2の被覆部53(以下、保護チューブとして説明する)と、を備える。本実施形態では、光ファイバセンサとして、FBGセンサを用いる。
次に、本実施形態に係る応力モニタリングセンサの作製方法について、説明する。まず、保護チューブ53の端部(検知部13側に設置する開口部)に油粘土を充填する。次に、光信号を伝送する光ファイバケーブル9にひずみを検知する検知部13が設けられた光ファイバセンサ11のうち、光ファイバケーブル9を保護チューブ53に、挿通させる。光ファイバケーブル9と保護チューブ53の間が狭い場合や、保護チューブ53の樹脂の摩擦が大きい場合は、パウダーや油などを塗布して挿通しやすいようにしてもよい。光ファイバケーブル9に保護チューブ53が設けられた光ファイバセンサ11を、型枠19内に設置する。
図18は、光ファイバセンサ11を設置した様子を模式的に示す図である。図18に示すように、型枠19の鉛直方向の上下両端部近傍に糸や番線などの固定部材21を設置する。固定部材21の設置方法は、例えば、型枠19に4箇所の固定部材設置用の貫通孔を設け、各貫通孔に固定部材21を設置する方法があるが、光ファイバセンサ11を真っ直ぐに設置するために固定できれば良く、これに限定されない。保護チューブ53で被覆された光ファイバセンサ11を、型枠19内の固定部材21に接着剤などを用いて、中心に鉛直方向に真っ直ぐ設置する。また、型枠19の底面に貫通孔17が設けられ、貫通孔17に保護チューブ53で被覆された光ファイバセンサ11を挿通させて設置しても良い。光ファイバセンサ11設置後、型枠19内にセメント系材料を打設する。なお、型枠は柱状、球状、キューブ状等でも良く、円柱状に限定されない。
9 光ファイバケーブル
11 光ファイバセンサ
13 検知部(センサ部/FBG部)
15 第1の被覆部
17 貫通孔
19 型枠
21 固定部材
23 円筒
31 コンクリート構造物
33 鉄筋
35 計測器
41 ひずみゲージ
51 第1の被覆部
53 第2の被覆部(保護チューブ)
55 浸水防止部材
1−1、1−2、1−3 光ファイバセンサ
2−1、2−2、2−3 光ファイバセンサ
3−1、3−2、3−3 光ファイバセンサ
Claims (14)
- コンクリート構造物内部の応力をモニタリングする応力モニタリングセンサであって、
光信号を伝送する光ファイバケーブルにひずみを検知する検知部が設けられた第1の光ファイバセンサと、
前記第1の光ファイバセンサに密着した状態で形成され、前記検知部を囲繞するように前記第1の光ファイバセンサを被覆する第1の被覆部と、を備え、
前記第1の光ファイバセンサは、単独で前記第1の被覆部に被覆され、
前記第1の被覆部を構成する材料は、前記コンクリート構造物に用いられるコンクリートと同程度以上の強度を有するセメント系材料または樹脂であることを特徴とする応力モニタリングセンサ。 - 前記セメント系材料は、セメント系低収縮材またはセメント系無収縮材であることを特徴とする請求項1記載の応力モニタリングセンサ。
- 前記第1の光ファイバセンサと前記第1の被覆部との間に設けられ、少なくとも前記検知部が露出するように前記光ファイバケーブルを被覆する第2の被覆部と、を備えることを特徴とする請求項1または請求項2記載の応力モニタリングセンサ。
- 前記第2の被覆部は、樹脂で構成されていることを特徴とする請求項3記載の応力モニタリングセンサ。
- 前記第2の被覆部は、中空の円筒状に形成されていることを特徴とする請求項3または請求項4記載の応力モニタリングセンサ。
- 前記第2の被覆部の検知部側の開口部を閉塞するように、浸水防止部材が充填されていることを特徴とする請求項5記載の応力モニタリングセンサ。
- 前記浸水防止部材は、疎水性、非硬化性および粘性を有する材料で形成されていることを特徴とする請求項6記載の応力モニタリングセンサ。
- 前記第1の光ファイバセンサに直交するように設置された第2の光ファイバセンサと、を備えることを特徴とする請求項1から請求項7いずれかに記載の応力モニタリングセンサ。
- 前記第1の光ファイバセンサおよび前記第2の光ファイバセンサそれぞれに対し、直交するように設置された第3の光ファイバセンサをさらに備えることを特徴とする請求項8記載の応力モニタリングセンサ。
- 複数の前記光ファイバセンサは、少なくとも1つの平面上において、特定の一点を通り平行でない3方向に設置されたことを特徴とする請求項1から請求項7のいずれかに記載の応力モニタリングセンサ。
- コンクリート構造物内部の応力をモニタリングする応力モニタリング方法であって、
光信号を伝送する光ファイバケーブルにひずみを検知する検知部が設けられた少なくとも1つの光ファイバセンサを型枠内で固定する工程と、
前記光ファイバセンサに密着した状態で、前記検知部を囲繞するように、前記コンクリート構造物と同程度以上の強度を有するセメント系材料または樹脂で前記光ファイバセンサを被覆する工程と、
前記型枠を取り外す工程と、
前記検知部が被覆された少なくとも1つの光ファイバセンサを、前記コンクリート構造物内に埋設する工程と、
前記埋設した光ファイバセンサのひずみを測定する工程と、
前記測定したひずみの経時的変化の特性に基づいて、前記コンクリート構造物内に生じた応力を推定する工程と、を少なくとも含むことを特徴とする応力モニタリング方法。 - コンクリート構造物内部の応力をモニタリングする応力モニタリング方法であって、
前記コンクリート構造物と同程度以上の強度を有するセメント系材料または樹脂で作製されたブロックの少なくとも1つの平面上において、特定の一点を通り平行でない3方向に光信号を伝送する光ファイバケーブルにひずみを検知する検知部が設けられた複数の光ファイバセンサを設置する工程と、
前記光ファイバセンサを設置したブロックを型枠内で固定する工程と、
前記ブロックと同材料で、前記光ファイバセンサを被覆する工程と、
前記型枠を取り外す工程と、
前記検知部が被覆された光ファイバセンサを用いて、前記コンクリート構造物内に埋設する工程と、
前記埋設した光ファイバセンサの前記各平面上のひずみを測定する工程と、
前記測定したひずみから主応力を算出する工程と、を少なくとも含むことを特徴とする応力モニタリング方法。 - 前記各光ファイバセンサのひずみ検知部の近傍であり、かつ実質的に同一の深さに、温度センサを設置する工程と、
前記温度センサにより測定したひずみを用いて、前記光ファイバセンサにより測定したひずみを補正する工程と、をさらに含むことを特徴とする請求項11または請求項12記載の応力モニタリング方法。 - 前記コンクリート構造物内に埋設する工程では、前記検知部を被覆する材料が前記コンクリート構造物と同等の強度を有するセメント系材料で構成された少なくとも1つの光ファイバセンサと、前記検知部を被覆する材料が前記前記コンクリート構造物よりも高い強度を有するセメント系材料で構成された少なくとも1つの光ファイバセンサを埋設することを特徴とする請求項11から請求項13のいずれかに記載の応力モニタリング方法。
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