JP6993066B2 - コンクリート構造物の診断方法 - Google Patents

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特許法第30条第2項適用 [発行日]2017年7月20日 [刊行物]2017年度大会(中国) 学術講演梗概集 建築デザイン発表梗概集,415-416頁
本発明は、コンクリート構造物の診断方法に関する。さらに詳述すると、本発明は、コンクリート構造物における損傷・破壊モードの推定や損傷程度の推定に用いて好適な技術に関する。
コンクリートやコンクリート構造物の変位の把握に用いられる機序として、ひずみ計が挙げられる。
従来のひずみ計として、例えば、合成樹脂製の円柱状部材からなる本体部を底面の円中心を含む軸方向に削孔して円柱状又は円錐状の空隙を設けて空洞部とし、空洞部の開放部からひずみセンサを挿入し、空洞部の開放部を合成樹脂と付着する接着剤または封入材で封入するようにした埋設型ひずみ計がある(特許文献1)。
特開2009-192319号公報
しかしながら、特許文献1のようなひずみ計では、コンクリート構造物に埋設されて計測が行われたとしても、計測されるのは当該のひずみ計が設置されている位置(言い換えると、点)に於けるひずみのみである。したがって、例えば図1(A)に示すようなコンクリート製の地中構造物10の表面において目視点検によってひび割れ3Aが確認された場合に、コンクリート内部におけるひび割れ(言い換えると、非可視領域に於いて発生して存在するひび割れ)の進展の態様を計測結果に基づいて判断することができない。したがって、損傷/破壊モードが、図1(B)のようなせん断ひび割れ3B/せん断破壊であるのか、同図(C)のような曲げひび割れ3C/曲げ破壊であるのかを特定することはできない。このため、コンクリート構造物の維持管理や健全性評価に対して有用な情報を提供することができるとは言い難い。
ここで、せん断破壊は、軸力保持性能の低下を起こす危険性を含む破壊モードであるので、靭性に富む曲げ破壊と比べて危険なモードである。したがって、コンクリート表面においてひび割れ3Aが確認された場合に当該ひび割れ3Aと繋がるコンクリート内部におけるひび割れの態様がせん断ひび割れ3Bであるのか曲げひび割れ3Cであるのかを特定することは、コンクリート構造物の維持管理や健全性評価において非常に重要な情報である。
そこで、本発明は、コンクリート構造物における損傷/破壊モードがせん断ひび割れ/せん断破壊であるのか曲げひび割れ/曲げ破壊であるのかを推定したりコンクリート構造物の損傷の程度を定量的に推定したりすることができるコンクリート構造物の診断方法を提供することを目的とする。
かかる目的を達成するため、本発明のコンクリート構造物の診断方法は、光ファイバの長手方向がコンクリート構造物の表面と直交するように光ファイバセンサを配設し、且つ光ファイバセンサは、コンクリート構造物に外力が作用した際に発生することが想定されるコンクリート構造物の表面に現れるひび割れの方向に対して垂直な方向に並んで複数個設置され、光ファイバセンサによって計測されるひずみが増大している場合にコンクリート内部にせん断ひび割れが発生したと判断するようにしている。
本発明のコンクリート構造物の診断方法では、複数個の光ファイバセンサの配設の態様について、光ファイバの長手方向が、コンクリート構造物に配筋される主筋の長手軸心方向並びにコンクリート構造物の表面とにそれぞれ直交するようにして主筋の長手軸心方向に配置したり、コンクリート構造物に配筋されるせん断補強筋の長手軸心方向と平行であるように主筋の長手軸心方向に配置したり、また、コンクリート構造物に外力が作用した際に発生することが想定されるコンクリート構造物の表面に現れるひび割れに対して直交するひび割れ奥行き方向と平行であるようにひび割れの方向に対して垂直な方向に設置されたりしても良い。
本発明のコンクリート構造物の診断方法によると、コンクリート内部におけるひび割れの態様が曲げひび割れであるのかせん断ひび割れであるのかが判断され特定される。
本発明のコンクリート構造物の診断方法は、光ファイバがコンクリート構造物に配筋されるせん断補強筋に貼付されるようにしても良い。この場合には、コンクリート構造物が変位した際に光ファイバセンサが切断されるなどして損傷してしまうことが防止される。
本発明のコンクリート構造物の診断方法は、光ファイバセンサが、コンクリート構造物にせん断ひび割れが発生した場合に当該コンクリート構造物の表面に現れるひび割れについて想定される方向に対して垂直な方向に並んで複数個設置されるようにしても良い。この場合には、各光ファイバセンサによって計測されるひずみの増大の有無に基づいてコンクリート内部におけるひび割れの進展の程度が把握される。
本発明のコンクリート構造物の診断方法によれば、コンクリート内部におけるひび割れの態様が曲げひび割れであるのかせん断ひび割れであるのかを判断することができるので、コンクリート構造物の維持管理や健全性評価に対して有用な情報を提供することが可能になる。
本発明のコンクリート構造物の診断方法は、光ファイバセンサがせん断補強筋に貼付されるようにした場合には、光ファイバセンサの損傷を防止することができるので、長期にわたって計測を行ってコンクリート構造物の健全性等に纏わる情報を提供することが可能になる。
本発明のコンクリート構造物の診断方法は、光ファイバセンサが所定の方向に並んで複数個設置することによりコンクリート内部におけるひび割れの進展の程度を把握することができるので、コンクリート構造物の維持管理や健全性評価に対して一層有用な情報を提供することが可能になる。
本発明が適用され得る構造物の一例としての鉄筋コンクリート製の地中構造物を示す縦断面斜視図である。(A)は健全な状態を示す図である。(B)は側壁にせん断ひび割れが発生した状態を示す図である。(C)は側壁に曲げひび割れが発生した状態を示す図である。 コンクリート構造物に発生するひび割れの態様の一例、及び、コンクリート構造物への光ファイバセンサの設置の態様の一例を示す斜視図である。 ひずみ計を用いる従来の計測の仕方及び計測によって取得されるひずみデータのイメージを示す図である。 光ファイバセンサを用いる本発明に係るコンクリート構造物の診断方法における計測の仕方及び計測によって取得されるひずみデータのイメージを示す図である。
以下、本発明の構成を図面に示す実施の形態の一例に基づいて詳細に説明する。
図1及び図2に、本発明に係るコンクリート構造物の診断方法の実施形態の一例を示す。
本実施形態のコンクリート構造物の診断方法は、光ファイバの長手方向がコンクリート構造物11の表面と直交するように光ファイバセンサ1A乃至1Eを配設し、光ファイバセンサ1A乃至1Eによって計測されるひずみが顕著に増大している場合にコンクリート内部にせん断ひび割れ3Bが発生したと判断するようにしている。
本実施形態のコンクリート構造物の診断方法は、特に、光ファイバの長手方向がコンクリート構造物11の表面と直交するように光ファイバセンサ1A乃至1Eを配設し、コンクリート構造物11の表面にひび割れ3Aが現れた際に、光ファイバセンサ1A乃至1Eによって計測されるひずみが顕著には増大していない場合にコンクリート内部に曲げひび割れ3Cが発生したと判断し、光ファイバセンサ1A乃至1Eによって計測されるひずみが顕著に増大している場合にコンクリート内部にせん断ひび割れ3Bが発生したと判断するようにしている。
ここで、コンクリート内部に曲げひび割れが発生した場合でも所定の方向に配設された光ファイバセンサ1A乃至1Eによって計測されるひずみが多少は増大する可能性がある。このため、上記における「ひずみが顕著に増大している」とは曲げひび割れが発生したことによる余波的な影響としてのひずみの大きさを超える程度までひずみが増大していることを意味し、「ひずみが顕著には増大していない」とは曲げひび割れが発生したことによる余波的な影響としてのひずみの大きさを超える程度まではひずみが増大していないことを意味する。なお、顕著な増大に相当するひずみの具体的な大きさ(言い換えると、せん断ひび割れが発生したと判断するための所定の閾値としてのひずみの大きさ)は、特定の大きさとして定義され得るものではなく、例えば計測対象のコンクリート構造物の特性や同様のコンクリート構造物における計測データ/計測事例などに基づいて適当な大きさに適宜設定される。
本発明に係るコンクリート構造物の診断方法では、光ファイバセンサの配設の態様について、光ファイバセンサ1A乃至1Eの長手方向が、コンクリート構造物11に配筋される主筋の長手軸心方向と直交するようにしたり、コンクリート構造物11に配筋されるせん断補強筋の長手軸心方向と平行であるようにしたり、或いは、コンクリート構造物11の断面せいの方向と平行であるようにしたりされる。
ここで、本発明の説明における「コンクリート構造物」には、主筋を少なくとも有するものとして組み立てられた鉄筋に対してコンクリートが打設されることによって構成される構造物(つまり、鉄筋コンクリート製の構造物)が含まれ、具体的には例えば、コンクリート壁,コンクリート床板,コンクリート柱,コンクリート桁,コンクリート杭など種々のものが含まれる。
本発明では光ファイバセンサが用いられる。本発明で用いられる光ファイバセンサは、計測対象の構造物に取り付けられた光ファイバの変形に伴う光伝搬特性の変化を電気光学的計測装置によって計測して構造物に生じた変位(具体的には、計測対象の構造物に取り付けられた光ファイバに沿う方向の複数の地点に於けるひずみ)を感知・計測するものであれば、特定の種類に限定されるものではなく、適当な光ファイバセンサが適宜選択される。
本発明では、光ファイバセンサとして、具体的には例えば、あくまで一例として挙げると、「FBI-Gauge」(株式会社富士テクニカルリサーチ)が用いられ得る。FBI-Gaugeは、光ファイバを計測対象物へと貼り付けることで、ひずみと温度とを計測するシステムである。具体的には、光ファイバ内の微小反射光である「レイリー散乱光」をOFDR(Optical Frequency Domain Reflectomemory の略)方式で検知することにより、光ファイバに沿う方向においてミリレベルの位置解像度で(言い換えると、ミリ単位の計測間隔/計測ピッチで、つまり相互に隣り合う計測点同士の間隔がミリ単位の密度で)計測が行われる。
光ファイバセンサは、光ファイバの長手方向がコンクリート構造物に配筋される主筋の長手軸心方向(言い換えると、タテ筋)と直交するように配設され、当該主筋の長手軸心方向と直交する方向において構造物に生じる変位を計測する。
光ファイバセンサは、主筋の長手軸心方向と直交するように且つ前記主筋を囲むように配置されるせん断補強筋の長手軸心方向(言い換えると、タテ筋)に沿って配設されるようにしても良い。
光ファイバセンサは、せん断補強筋として配筋される鉄筋(具体的には、丸鋼や異形鉄筋等の棒鋼などの鋼材)の表面に当該鉄筋の長手軸心方向に沿って接着剤によって貼付されて固定されるようにしても良く、或いは、せん断補強筋として配筋される鉄筋の表面に当該鉄筋の長手軸心方向に沿って溝が形成された上で当該溝へと嵌め込まれて接着剤によって貼付されて固定されるようにしても良い。いずれにしても、光ファイバセンサは、せん断補強筋として配筋される鉄筋に密着するように取り付けられる。
光ファイバセンサが鉄筋へと貼付され固定されて密着するように取り付けられるようにすることにより、計測対象のコンクリート構造物が変位した際に光ファイバセンサが切断されるなどして損傷してしまうことが防止される。
光ファイバセンサが鉄筋へと貼付され固定されて密着するように取り付けられるようにすることにより、また、光ファイバセンサによる計測によって鉄筋の伸び量が把握され、延いては鉄筋の損傷の程度が評価される。
鉄筋に取り付けられた光ファイバセンサが、防水性の確保のためなどの必要に応じ、例えば樹脂によって被覆されるようにしても良い。
光ファイバセンサは、コンクリート構造物が新設される際に(言い換えると、コンクリートが打設される前の鉄筋の組み立ての際に)設置されるようにしても良く、或いは、既設・既存の実構造物に対して後付け的に設置されるようにしても良い。
コンクリート構造物が新設される際に光ファイバセンサが配設される場合には、主筋やせん断補強筋を含むものとして組み立てられる鉄筋のうちの、主筋の長手軸心方向と直交する方向(言い換えると、壁柱断面せいの方向と平行)に配筋されるせん断補強筋へと光ファイバセンサが取り付けられて設置されるようにすることが考えられる。
この場合、組み立てられる前の鉄筋の表面に光ファイバセンサを嵌め込むための溝が形成されるようにしたり、光ファイバセンサが例えば樹脂によって被覆されるようにしたりしても良い。
また、既設・既存の実構造物に対して後付け的に光ファイバセンサが配設される場合には、コンクリートを主筋の長手軸心方向と直交する方向(言い換えると、断面せいの方向)に削孔し、定着を確保した鉄筋に光ファイバセンサを貼付すると共に孔内にモルタルなどで埋め戻しを行うことによって光ファイバセンサが設置されるようにすることが考えられる。この場合、定着が確保された鉄筋を主筋の長手軸心方向と直交する方向(言い換えると、断面せいの方向)に設置することはせん断補強筋を設置することと同様であるとみなせるため、構造性能の低下を招くことはないと考えられる。
光ファイバセンサは、計測対象のコンクリート構造物に配筋されるせん断補強筋のうち、例えば、ひび割れが発生し易い箇所・範囲やコンクリートの健全性の評価を重点的に行うことが望まれる箇所・範囲に配筋される任意の鉄筋へと取り付けられる。つまり、本発明においては、計測対象のコンクリート構造物に配筋されるせん断補強筋の全てに対して光ファイバセンサが設置されることは発明を成立させるための要件ではない。
本発明では、例えば図1(A)に示すようなコンクリート製の地中構造物10の表面においてひび割れ3Aが確認された場合に、コンクリート内部におけるひび割れ(言い換えると、非可視領域に於いて発生して存在するひび割れ)の進展の態様を直接目視することができないとしても、地中構造物10の表面に現れたひび割れ3Aが図1(B)のようなせん断ひび割れ3Bと同図(C)のような曲げひび割れ3Cとのうちのどちらであるのかを判断し特定することができるようにすることを目的の一つとする。
ここで、本発明の説明における各種方向として以下のものを定義する。以下の定義の説明における「X軸方向」,「Y軸方向」,及び「Z軸方向」は、三次元直交座標系を構成するものであり、コンクリート構造物に纏わる各方向と図2に示すように対応する。
1)表面ひび割れ方向
計測対象のコンクリート構造物11の表面(更に言えば、ひび割れ3Aが視認される表面;図2におけるX-Z平面)と平行であり、且つ、外力が作用した際に前記コンクリート構造物11において発生することが想定されるせん断ひび割れや曲げひび割れによって(或いは、コンクリート構造物の健全性に重大な影響を与えるためにその種別を判断し特定することが必要な要監視対象とすべきひび割れに伴って)前記コンクリート構造物11の表面に現れるひび割れ3Aに沿う方向を「表面ひび割れ方向」という(図2におけるX軸方向)。
なお、表面ひび割れ方向は、主には、計測対象のコンクリート構造物11に配筋される主筋の長手軸心方向(「部材在軸方向」とも言える;図2におけるZ軸方向)と直交する方向であることが想定される。
2)ひび割れ奥行方向
計測対象のコンクリート構造物11の表面(更に言えば、ひび割れ3Aが視認される表面;図2におけるX-Z平面)に対して垂直な方向であり、且つ、前記コンクリート構造物11の表面に現れたひび割れ3Aが曲げひび割れである場合に当該曲げひび割れが進展する方向を「ひび割れ奥行方向」という(図2におけるY軸方向)。「表面ひび割れ方向」と「ひび割れ奥行方向」とは相互に直交する関係にある。
なお、ひび割れ奥行方向は、主には、計測対象のコンクリート構造物11に配筋されるせん断補強筋(のうちの少なくとも一部)の長手軸心方向と平行な方向であることが想定される。
ひび割れ奥行方向は、計測対象のコンクリート構造物11における要監視対象のせん断ひび割れとの関係において「断面せいの方向」である。
3)部材スパン方向
計測対象のコンクリート構造物11の表面と平行な方向であり、且つ、前記コンクリート構造物11の表面に現れたひび割れ3Aがせん断ひび割れである場合に当該せん断ひび割れが進展する方向を「部材スパン方向」という(図2におけるZ軸方向)。「部材スパン方向」と「表面ひび割れ方向」及び「ひび割れ奥行方向」とは相互に直交する関係にある。
なお、部材スパン方向は、主には、計測対象のコンクリート構造物11に配筋される主筋の長手軸心方向(「部材在軸方向」とも言える;図2におけるZ軸方向)と平行な方向であることが想定される。
そして、本発明では、光ファイバセンサが、光ファイバの長手方向がひび割れ奥行方向(別言すると、断面せいの方向)と平行であるように配設される。
本発明では、また、光ファイバセンサが、部材スパン方向に並んで複数個設置されることが好ましい。なお、「複数個」は、連続する一本の光ファイバが複数箇所を巡るように設置される態様ではなく、各々が別個のものとして独立している複数本の光ファイバが複数箇所に個別に設置される態様を意味する。
つまり、本発明では、図2に示すように、光ファイバセンサ(図2に示す例では、1A乃至1E)は、各々の長手方向が計測対象のコンクリート構造物11の表面と直交する方向(即ち、ひび割れ奥行方向/断面せいの方向)と平行であるようにそれぞれが配設され、且つ、前記コンクリート構造物11に外力が作用した際に発生することが想定されるせん断ひび割れや曲げひび割れによって(或いは、コンクリート構造物の健全性に重大な影響を与えるためにその種別を判断し特定することが必要な要監視対象とすべきひび割れに伴って)前記コンクリート構造物11の表面に現れるひび割れ3Aの方向(即ち、表面ひび割れ方向)に対して前記コンクリート構造物11の表面において垂直な方向(即ち、部材スパン方向)に並んで、複数個設置されることが好ましい。
上述の設置態様は、図2に示すように、光ファイバセンサ(図2に示す例では、1A乃至1E)は、各々の長手方向が計測対象のコンクリート構造物11に配筋される少なくとも一部のせん断補助筋の長手軸心方向と平行であるようにそれぞれが配設され、且つ、前記コンクリート構造物11に配筋される主筋の長手軸心方向複数個設置されることが好ましい、とも言い表せる。
コンクリート構造物としての壁柱のスパン方向における光ファイバセンサの設置位置について、せん断ひび割れ及び曲げひび割れの想定される発生位置に鑑みて、塑性ヒンジ領域(即ち、剛域であると考えられる断面境界から0.5D~1.0Dの領域;尚、Dは部材せいのことである)(図2に示す例における光ファイバセンサ1A,1E)とスパン中心位置(図2に示す例における光ファイバセンサ1C)とに少なくとも設置されることが好ましい。
また、コンクリート構造物としての部材の材軸方向(別言すると、表面ひび割れ方向)における光ファイバセンサの設置間隔について、コンクリート構造物におけるひび割れは一般的に材軸方向に同じひび割れが発生することが想定されるので、一セグメント(即ち、例えば耐震ジョイントやプレキャスト部材の場合の材軸方向における継ぎ目のような区切りのこと)内に格子を組むように設置することが考えられる。
そして、各光ファイバセンサによって、コンクリート構造物に関するひび割れ奥行方向(別言すると、断面せいの方向)における、所定間隔(具体的には例えば、1~数 mm ピッチ)でのひずみが空間的に連続して計測される。
図2に示す例では、部材スパン方向において、下側の塑性ヒンジ領域内から順に光ファイバセンサ1A,1B,1C,1D,及び1Eが並んで設置されている。
そして、コンクリート構造物11の表面にひび割れ3Aが現れた際に、光ファイバセンサ1A乃至1Eによって計測されるひずみがいずれも(顕著には)増大していない(言い換えると、ひび割れ3Aが現れる前の結果と比べて(顕著には)変化していない)場合には、コンクリート構造物11において発生したひび割れは曲げひび割れ3Cであると判断される。
一方、コンクリート構造物11の表面にひび割れ3Aが現れた際に、光ファイバセンサ1A乃至1Eによって計測されるひずみのうちの少なくとも一部が(顕著に)増大している(言い換えると、ひび割れ3Aが現れる前の結果と比べて(顕著に)増大している)場合には、コンクリート構造物11において発生したひび割れはせん断ひび割れ3Bであると判断される。
特に、コンクリート構造物11の部材スパン方向における中央位置若しくはその周辺にある光ファイバセンサ(図2に示す例では、光ファイバセンサ1C)によって計測されるひずみが顕著に増大している場合に、コンクリート構造物11の表面に現れたひび割れ3Aと繋がるせん断ひび割れ3Bが発生していると判断される。
また、光ファイバセンサ1A乃至1Eのそれぞれによって計測されるひずみ分布からコンクリート内部におけるひび割れ幅が推定される。
具体的には、光ファイバセンサ1A乃至1Eのそれぞれによって計測されるひずみを積分することにより、ひび割れ幅が算定される(例えば、大野義照ら「鉄筋コンクリート壁の収縮ひび割れ幅の予測」,コンクリート工学年次論文集,Vol.26,No.1,2004年)。
以上のように構成されたコンクリート構造物の診断方法によれば、コンクリート構造物11の表面に現れたひび割れ3Aと繋がるひび割れの態様が曲げひび割れ3Cであるのかせん断ひび割れ3Bであるのかを判断することができる。このため、コンクリート構造物の維持管理や健全性評価に対して有用な情報を提供することが可能になる。
具体的には、ひずみ計を用いる従来の計測では、当該のひずみ計が設置されている位置(言い換えると、点)に於けるひずみに関する情報が得られるに過ぎない(図3A)。このため、コンクリート内部におけるひび割れの具体的な発生位置や発生範囲を特定することができず、したがって特定の方向(具体的には、せん断補強筋の方向)におけるどの位置において斜めひび割れが発生しているかを正確に特定することはできない。
これに対し、光ファイバセンサを用いる本発明に係るコンクリート構造物の診断方法によれば、せん断補強筋の全長に亙って線状に連なるひずみの情報が得られる(図3B)。このため、コンクリート内部におけるひび割れの具体的な発生位置(即ち、部材せいの方向における位置)及び発生範囲(即ち、部材スパン方向における範囲)をどちらも特定することができる。例えば、図3Bの右側の図のように、光ファイバセンサのそれぞれによって計測されて取得される線状に連なるひずみの大きさのグラフにおいて上に凸になっている位置がひび割れの発生位置であり、光ファイバセンサ毎のひずみグラフを部材スパン方向に並べて各グラフの上に凸の部分を結ぶことにより、コンクリート内部におけるひび割れの発生範囲を特定することができ、また、コンクリート内部において斜めひび割れが発生していると判断することができる。
なお、上述の実施形態は本発明を実施する際の好適な形態の一例ではあるものの本発明の実施の形態が上述のものに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において本発明は種々変形実施可能である。
例えば、上述の実施形態では本発明の適用対象として図1に示す鉄筋コンクリート製の地中構造物10や図2に示すコンクリート構造物11を取り上げているが、本発明の適用対象は図1に示すような地中構造物や図2に示すようなコンクリート壁に限定されるものではなく、気中構造物を含む種々の構造物に対して本発明は適用可能である。
また、上述の実施形態ではコンクリート構造物11の表面にひび割れ3Aが現れた際に損傷モードを特定する場合を例に挙げて説明したが、本発明は、ひび割れが現れた際の損傷モードの特定に限らず、ひび割れが現れる前におけるコンクリート構造物11の状態の診断にも適用され得る。付け加えると、本発明では、コンクリート構造物11の表面のひび割れ3Aが実際に視認されることは要件ではない。つまり、コンクリート構造物11の表面にひび割れ3Aが実際に現れているか否かや、コンクリート構造物11の表面のひび割れ3Aが実際に視認されるか否かに関わりなく、本発明によれば、コンクリート構造物11の損傷の程度を評価することが可能である。
1A,1B,1C,1D,1E 光ファイバセンサ
3A コンクリート構造物の表面に現れたひび割れ
3B せん断ひび割れ
3C 曲げひび割れ
10 コンクリート製の地中構造物
11 コンクリート構造物

Claims (5)

  1. 光ファイバの長手方向がコンクリート構造物の表面と直交するように光ファイバセンサを配設し、且つ前記光ファイバセンサは、前記コンクリート構造物に外力が作用した際に発生することが想定される前記コンクリート構造物の表面に現れるひび割れの方向に対して垂直な方向に並んで複数個設置され、前記光ファイバセンサによって計測されるひずみが増大している場合にコンクリート内部にせん断ひび割れが発生したと判断することを特徴とするコンクリート構造物の診断方法。
  2. 光ファイバの長手方向がコンクリート構造物に配筋される主筋の長手軸心方向並びに前記コンクリート構造物の表面とにそれぞれ直交するようにして前記主筋の長手軸心方向に複数個の光ファイバセンサを配設し、前記光ファイバセンサによって計測されるひずみが増大している場合にコンクリート内部にせん断ひび割れが発生したと判断することを特徴とするコンクリート構造物の診断方法。
  3. 光ファイバの長手方向がコンクリート構造物に配筋されるせん断補強筋の長手軸心方向と平行であるように光ファイバセンサを主筋の長手軸心方向に複数個配設し、前記光ファイバセンサによって計測されるひずみが増大している場合にコンクリート内部にせん断ひび割れが発生したと判断することを特徴とするコンクリート構造物の診断方法。
  4. 前記光ファイバが前記せん断補強筋に貼付されることを特徴とする請求項3記載のコンクリート構造物の診断方法。
  5. 光ファイバの長手方向がコンクリート構造物に外力が作用した際に発生することが想定される前記コンクリート構造物の表面に現れるひび割れに対して直交するひび割れ奥行き方向と平行であるように光ファイバセンサを配設し、且つ前記光ファイバセンサは、前記ひび割れの方向に対して垂直な方向に並んで複数個設置され、前記光ファイバセンサによって計測されるひずみが増大している場合にコンクリート内部にせん断ひび割れが発生したと判断することを特徴とするコンクリート構造物の診断方法。
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