JP2017173274A - 鉄筋コンクリート構造物の耐力評価方法、及び耐力評価プログラム - Google Patents

鉄筋コンクリート構造物の耐力評価方法、及び耐力評価プログラム Download PDF

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Abstract

【課題】本願発明の課題は、従来技術が抱える問題を解決することであり、すなわち、主筋とせん断補強筋の腐食の進行程度を個別に推定し、さらに鉄筋コンクリート構造物のせん断耐力と曲げ耐力を考慮したうえで鉄筋コンクリート構造物の耐力を評価することができる耐力評価方法と耐力評価プログラムを提供することである。【解決手段】本願発明の鉄筋コンクリート構造物の耐力評価方法は、第1腐食量算出工程と、第2腐食量算出工程、第1残存鉄筋量算出工程、第2残存鉄筋量算出工程、せん断耐力算出工程、曲げ耐力算出工程、曲げせん断耐力比算出工程、耐力評価工程を備えた方法である。このうち曲げせん断耐力比算出工程では、鉄筋コンクリートのせん断耐力と曲げ耐力に基づいて鉄筋コンクリートの曲げせん断耐力比を求め、耐力評価工程では、鉄筋コンクリートの曲げせん断耐力比と、閾値を比較することで鉄筋コンクリート構造物の耐力を判定する。【選択図】図7

Description

本願発明は、鉄筋コンクリート構造物の耐力評価に関するものであり、より具体的には、せん断補強筋と主筋の腐食量をもとに算出される曲げせん断耐力比に基づいて、鉄筋コンクリート構造物の耐力を評価する方法及びプログラムに関するものである。
我が国で建設された鉄筋コンクリート構造物は、既に長い年月を経たものが多くなってきた。特に、東京オリンピックを目前にした昭和30年代は、いわゆる建設ラッシュといわれ多くの鉄筋コンクリート構造物が構築されたが、これらの構造物も現在では50年以上経過している。一般にコンクリートの耐久性は50年とも100年ともいわれるが、仮に50年とすると、当時建設された鉄筋コンクリート構造物は相当に老朽化し、必要な耐力が失われていることも考えられる。実際、地方自治体を中心に近年実施された橋梁点検では、多くの鉄筋コンクリー構造物でひび割れ等の損傷が確認されている。
鉄筋コンクリートのひび割れは、乾燥収縮や、コンクリートの内外温度差、想定外の外力による耐力不足、アルカリ骨材反応といった材料に伴うもの、など様々な要因によって発生する。特に古い構造物では、経年により腐食した鉄筋が膨張し、これに伴ってコンクリートにひび割れが発生するケースが多く見られる。この場合、ひび割れが鉄筋まで貫通していることから、空気と水に曝された鉄筋はさらに腐食の速度が大きくなる。
鉄筋の腐食が進むと、コンクリートのひび割れ幅も大きくなり、鉄筋とコンクリートの劣化から鉄筋コンクリート構造物としての耐力も小さくなっていく。必要とされる耐力を失うと構造物としての力学的な目的を果たさないため、通常はその前に補修や補強といった対策工が施される。ところが、鉄筋コンクリート構造物としての耐力を正しく評価することは容易ではなく、ましてや供用中の構造物の場合は非破壊による調査・検査を条件とされることも多く、さらに耐力評価を難しいものとしている。鉄筋コンクリート構造物の耐力が評価できないと、対策工を行う時期やその実施内容を適切に計画することができず、ひいては構造物の長寿命化を図ることができなくなる。
そこで、種々の情報から鉄筋コンクリート構造物の耐力を推定する技術がこれまでも提案されており、例えば特許文献1では、直接計測により、あるいは計算によって鉄筋の腐食量を求め、この鉄筋腐食量に基づいて鉄筋コンクリート構造物の耐力を推定する技術について提案している。
特開2004−053562号公報
ところで、一般的な鉄筋コンクリート構造物には、図8に示すように主筋とせん断補強筋が配置される。主筋は主に曲げモーメントにより生ずる引張力に対抗するもので、せん断補強筋は主にせん断力に対抗するものである。また、せん断補強筋は、図8のように主筋に直交する方向で、主筋を取り巻くように配置される。つまり、主筋よりもせん断補強筋の方がかぶり深さが小さく、しかもその役割から主筋よりもせん断補強筋の方が径(断面)が小さいことが多い。かぶり深さが小さいほど早く鉄筋の腐食が始まり、鉄筋径が小さいほど腐食に伴う残存鉄筋量は減少しやすいことから、主筋とせん断補強筋の経時的な腐食の進行の程度は相違する。したがって、鉄筋コンクリート構造物のせん断耐力がコンクリートと鉄筋(主筋及びせん断補強筋)の断面積に基づいて求められ、その曲げ耐力が主筋に基づいて求められることを考えれば、鉄筋コンクリート構造物のせん断耐力と曲げ耐力の経時的な劣化程度は異なるわけである。
既述のとおり、構造物の長寿命化を図るためには対策工を行う時期等を適切に判断する必要があり、そのためには鉄筋コンクリート構造物の耐力を的確に評価しなければならない。主筋とせん断補強筋の経時的な腐食進行程度がそれぞれ異なることを考えれば、その時点における主筋の腐食量とせん断補強筋の腐食量はそれぞれ個別に推定し、そのうえで鉄筋コンクリート構造物の耐力を的確に評価することが求められる。ところが特許文献1をはじめこれまでは、主筋とせん断補強筋の腐食進行程度をそれぞれ別に考慮したうえで鉄筋コンクリート構造物の耐力を評価することがなかった。
本願発明の課題は、従来技術が抱える問題を解決することであり、すなわち、主筋とせん断補強筋の腐食の進行程度を個別に推定し、さらに鉄筋コンクリート構造物のせん断耐力と曲げ耐力を考慮したうえで鉄筋コンクリート構造物の耐力を評価することができる耐力評価方法と耐力評価プログラムを提供することである。
本願発明は、主筋とせん断補強筋の経時的な腐食進行程度の相違に注目し、鉄筋コンクリート構造物のせん断耐力と曲げ耐力を求めるとともに、これらにより算出された「曲げせん断耐力比」に基づいて鉄筋コンクリート構造物の耐力を評価する、という点に着目してなされたものであり、これまでにない発想に基づいて行われた発明である。
本願発明の鉄筋コンクリート構造物の耐力評価方法は、第1腐食量算出工程と、第2腐食量算出工程、第1残存鉄筋量算出工程、第2残存鉄筋量算出工程、せん断耐力算出工程、曲げ耐力算出工程、曲げせん断耐力比算出工程、耐力評価工程を備えた方法である。このうち第1腐食量算出工程では、鉄筋径とかぶり深さに基づいてせん断補強筋の腐食量を求め、第2腐食量算出工程では、鉄筋径とかぶり深さに基づいて主筋の腐食量を求め、第1残存鉄筋量算出工程では、第1腐食量算出工程で得られた腐食量に基づいてせん断補強筋の残存鉄筋量を求め、第2残存鉄筋量算出工程では、第2腐食量算出工程で得られた腐食量に基づいて主筋の残存鉄筋量を求める。また、せん断耐力算出工程では、第1残存鉄筋量算出工程及び第2残存鉄筋量算出工程で得られた主筋及びせん断補強筋の残存鉄筋量に基づいて、鉄筋コンクリートのせん断耐力を算出する。一方、曲げ耐力算出工程では、第2残存鉄筋量算出工程で得られた主筋の残存鉄筋量に基づいて、鉄筋コンクリートの曲げ耐力を算出する。そして、曲げせん断耐力比算出工程では、せん断耐力算出工程で得られた鉄筋コンクリートのせん断耐力と、曲げ耐力算出工程で得られた鉄筋コンクリートの曲げ耐力に基づいて鉄筋コンクリートの曲げせん断耐力比を求め、耐力評価工程では、曲げせん断耐力比算出工程で得られた鉄筋コンクリートの曲げせん断耐力比と、あらかじめ設定された閾値を比較することで鉄筋コンクリート構造物の耐力を判定する。
本願発明の鉄筋コンクリート構造物の耐力評価方法は、さらに第1腐食進行推移推定工程と第2腐食進行推移推定工程を備えた方法とすることもできる。この第1腐食進行推移推定工程では、時間の経過とせん断補強筋の腐食量との関係を「第1腐食進行推移」として推定し、第2腐食進行推移推定工程では、時間の経過と主筋の腐食量との関係を「第2腐食進行推移」として推定する。
本願発明の鉄筋コンクリート構造物の耐力評価方法は、さらに第1ひび割れ腐食量算出工程と第2ひび割れ腐食量算出工程を備えた方法とすることもできる。この第1ひび割れ腐食量算出工程では、せん断補強筋のかぶり深さ及び鉄筋径とコンクリート強度を含む条件に基づいて計算を行うことで、せん断補強筋の腐食によってコンクリートのひび割れが発生する「第1ひび割れ発生時期」におけるせん断補強筋の腐食量を「第1ひび割れ腐食量」として求める。また、第2ひび割れ腐食量算出工程では、主筋のかぶり深さ及び鉄筋径とコンクリート強度を含む条件に基づいて計算を行うことで、主筋の腐食によってコンクリートのひび割れが発生する「第2ひび割れ発生時期」における主筋の腐食量を「第2ひび割れ腐食量」として求める。なお、第1腐食進行推移推定工程では、せん断補強筋の腐食が始まる「第1腐食開始時期」と第1ひび割れ発生時期、第1腐食開始時期から第1ひび割れ発生時期までの「第1ひび割れ前腐食速度」、第1ひび割れ発生時期以降の「第1ひび割れ後腐食速度」に基づいて第1腐食進行推移を推定する。そして、第2腐食進行推移推定工程では、主筋の腐食が始まる「第2腐食開始時期」と、第2ひび割れ発生時期、第2腐食開始時期から第2ひび割れ発生時期までの「第2ひび割れ前腐食速度」、第2ひび割れ発生時期以降の「第2ひび割れ後腐食速度」に基づいて第2腐食進行推移を推定する。第1ひび割れ発生時期は、第1ひび割れ腐食速度と第1ひび割れ腐食量に基づいて求められ、第2ひび割れ発生時期は、第2ひび割れ前腐食速度と第2ひび割れ腐食量に基づいて求められる。
本願発明の鉄筋コンクリート構造物の耐力評価方法は、第1ひび割れ腐食量算出工程と第2ひび割れ腐食量算出工程において、せん断補強筋や主筋のうちコンクリート表面側の略半周面が腐食する条件で計算を行う方法とすることもできる。
本願発明の鉄筋コンクリート構造物の耐力評価方法は、さらに寿命予測工程を備えた方法とすることもできる。この寿命予測工程では、第1腐食進行推移に基づいて求められるせん断補強筋の腐食量と、第2腐食進行推移に基づいて求められる主筋の腐食量を用いて、鉄筋コンクリートの曲げせん断耐力比が閾値を下回る時期を推定することで、鉄筋コンクリート構造物の寿命を予測する。
本願発明の鉄筋コンクリート構造物の耐力評価方法は、第1腐食量算出工程と第2腐食量算出工程において、第1腐食進行推移や第2腐食進行推移に基づいてせん断補強筋や主筋の腐食量を求める方法とすることもできる。
本願発明の鉄筋コンクリート構造物の耐力評価方法は、さらに第1ひび割れ幅計測工程と第2ひび割れ幅計測工程を備えた方法とすることもできる。この第1ひび割れ幅計測工程では、せん断補強筋の腐食によって生じたコンクリートのひび割れ幅を測定し、第2ひび割れ幅計測工程では、主筋の腐食によって生じたコンクリートのひび割れ幅を測定する。この場合、第1腐食量算出工程と第2腐食量算出工程では、第1ひび割れ幅計測工程や第2ひび割れ幅計測工程で得られたひび割れ幅と、せん断補強筋のかぶり深さ及び鉄筋径を含む推定式によって、せん断補強筋や主筋の腐食量を求める。
本願発明の鉄筋コンクリート構造物の耐力評価プログラムは、第1腐食量算出処理と、第2腐食量算出処理、第1残存鉄筋量算出処理、第2残存鉄筋量算出処理、せん断耐力算出処理、曲げ耐力算出処理、曲げせん断耐力比算出処理、耐力評価処理を、コンピュータに実行させる機能を備えたものである。このうち第1腐食量算出処理では、せん断補強筋の鉄筋径とかぶり深さの情報を読み出すとともに、この情報に基づいてせん断補強筋の腐食量を求め、第2腐食量算出処理では、主筋の鉄筋径とかぶり深さの情報を読み出すとともに、この情報に基づいて主筋の腐食量を求める。また、第1残存鉄筋量算出処理では、第1腐食量算出処理で得られた腐食量に基づいてせん断補強筋の残存鉄筋量を求め、第2残存鉄筋量算出処理では、第2腐食量算出処理で得られた腐食量に基づいて主筋の残存鉄筋量を求める。せん断耐力算出処理では、第1残存鉄筋量算出処理及び第2残存鉄筋量算出処理で得られた主筋及びせん断補強筋の残存鉄筋量に基づいて、鉄筋コンクリートのせん断耐力を算出する。一方、曲げ耐力算出処理では、第2残存鉄筋量算出処理で得られた主筋の残存鉄筋量に基づいて、鉄筋コンクリートの曲げ耐力を算出する。そして、曲げせん断耐力比算出処理では、せん断耐力算出処理で得られた鉄筋コンクリートのせん断耐力と、曲げ耐力算出処理で得られた鉄筋コンクリートの曲げ耐力に基づいて鉄筋コンクリートの曲げせん断耐力比を求め、耐力評価処理では、曲げせん断耐力比算出処理で得られた鉄筋コンクリートの曲げせん断耐力比と、あらかじめ設定された閾値を比較することで鉄筋コンクリート構造物の耐力を判定する。
本願発明の鉄筋コンクリート構造物の耐力評価方法、及び耐力評価プログラムには、次のような効果がある。
(1)主筋とせん断補強筋それぞれの腐食の進行程度を個別に評価することから、現実の構造物耐力を的確に判定することができる。特に、主筋よりもせん断補強筋が先行して腐食する状況を正しく評価する点で、従来に比してより高い信頼度で判定することができる。
(2)鉄筋コンクリート構造物に必要な補修や補強の内容や実施時期、あるいは建替えの要否などの判断に有用な情報を提供することができる。
(a)は塩化物イオンがコンクリート表面から侵入する状態を示すモデル図、(b)は鉄筋が腐食している状態を示すモデル図、(c)は鉄筋の腐食によりコンクリートにひび割れが生じた状態を示すモデル図。 鉄筋コンクリート構造物の経過時間(建設後の年数)と、鉄筋の腐食の程度の関係を示すグラフ図。 腐食進行推移を推定する主要な工程の流れを示すフロー図 (a)は本願発明者らが鉄筋の全周面が一様に腐食するという条件でFEM解析を行って求めたひび割れ腐食量と諸条件との関係を示すグラフ図、(b)は鉄筋表面のうちコンクリート表面側の半周面が腐食するという条件でFEM解析を行って求めたひび割れ腐食量と諸条件との関係を示すグラフ図。 本願発明の鉄筋コンクリート構造物の耐力評価方法の主要な工程の流れを示すフロー図。 測定したひび割れ幅に基づいて鉄筋腐食量を算出する流れを示すフロー図。 (a)はせん断補強筋の腐食進行推移と主筋の腐食進行推移を示すグラフ図、(b)は時間の経過と曲げせん断耐力比の関係を示すグラフ図。 主筋とせん断補強筋が配置された一般的な鉄筋コンクリート構造物の断面図。
本願発明の鉄筋コンクリート構造物の耐力評価方法、及び耐力評価プログラムの実施形態の一例を、図に基づいて説明する。
1.鉄筋の腐食
既述のとおり、本願発明は主筋とせん断補強筋の経時的な腐食進行の相違に注目したうえで鉄筋コンクリート構造物の耐力を評価する、という技術的特徴を備えている。そこで、まずは時間の経過とともに進行する鉄筋の腐食について説明する。
鉄筋の腐食は、コンクリート表面から侵入する塩化物イオンが徐々に拡散し、腐食する程度の量の塩化物イオンが鉄筋まで到達した時点で始まることが知られている。塩化物イオンの拡散が進むと、鉄筋周辺の塩化物イオン濃度が上昇していき、これに伴って鉄筋の腐食は進行していく。そして、鉄筋の腐食がさらに進行していくと鉄筋は膨張しはじめ、ある程度膨張するとコンクリートには引張力が作用し、遂にはコンクリートにひび割れが発生する。図1は、塩化物イオンの侵入からコンクリートのひび割れ発生までの各状態を示すモデル図であり、(a)は塩化物イオンがコンクリート表面から侵入する状態を、(b)は鉄筋が腐食している状態を、(c)は鉄筋の腐食によりコンクリートにひび割れが生じた状態を、それぞれ示している。
また、鉄筋の腐食はほぼ一定の速度で進行することが知られている。ただし、ひび割れが発生した後は、ひび割れが鉄筋まで貫通していることから空気と水に曝される鉄筋が腐食する速度は大きくなる。図2は、鉄筋コンクリート構造物の経過時間(建設後の年数)と、鉄筋の腐食の程度の関係を示すグラフ図である。この図に示すように、鉄筋コンクリート構造物の建設後しばらくの期間、鉄筋は腐食しないが(図1(a)の状態)、ある時期から鉄筋の腐食が始まり、一定の速度で腐食が進行していく(図1(b)の状態)。そしてコンクリートにひび割れが発生すると(図1(c)の状態)、より大きな速度でさらに鉄筋の腐食が進行していく。なお、図2に示す「経過の時間と、鉄筋の腐食の程度との関係」を、ここでは便宜上「腐食進行推移」ということとする。
腐食進行推移を推定する手法について、図3を参照しながら詳しく説明する。図3は、腐食進行推移を推定する主要な工程の流れを示すフロー図である。従来から知られている塩化物拡散方程式を用い、鉄筋のかぶり深さと経過時間を入力値として、その時点におけるコンクリート内の塩化物イオン濃度分布を算出する。そして、経過時間を変えて繰り返し計算することにより、「塩化物イオン濃度分布の経時変化」を得る(Step101)。ここで塩化物拡散方程式は、「コンクリート標準示方書―設計編―(土木学会)」に示される拡散係数と、コンクリート表面の塩化物イオン濃度、鉄筋コンクリート構造物の経過時間に基づく推定式である。なお、塩化物イオン濃度の実績値がある場合は、Fickの法則に従う1次元拡散方程式を用いて得られた複数の値から、最小二乗法によって拡散係数を求めてもよい。
塩化物イオン濃度分布の経時変化が得られると、鉄筋が腐食を始める塩化物イオン濃度(限界塩化物イオン濃度)と照らして、鉄筋の腐食が開始する時期(以下、「腐食開始時期」という。)を求める(Step102)。また、鉄筋が腐食する速度も推定する(Step103)。このとき、先に説明したとおりひび割れ発生前と発生後ではその速度が変化するため、ひび割れ発生前の速度を「ひび割れ発生前腐食速度」として、ひび割れ発生後の速度を「ひび割れ発生後腐食速度」として推定する。この推定を行うにあたっては、従来から用いられている推定速度値を利用することもできるし、実験や解析(シミュレーション)等によって得られた速度値を用いてもよい。なお、腐食速度としては、腐食断面積に着目した速度(つまり、単位時間当たりの質量や面積)としてもよいし、鉄筋の半径(直径)方向の減少に着目した速度(つまり、単位時間当たりの長さ)としてもよいし、質量(面積)や長さの比率に着目した速度としてもよい。
次に、ひび割れが発生する時期(以下、「ひび割れ発生時期」という。)を求めるため、コンクリートにひび割れが発生する程度の膨張量に基づいて、鉄筋の腐食量を算出する(Step104)。なお、ひび割れ発生時期における鉄筋の腐食量を、ここでは便宜上、「ひび割れ腐食量」ということとする。このひび割れ腐食量は、例えば、コンクリート強度や、鉄筋のかぶり深さ、鉄筋径などを入力値として、FEM(Finite Element Method)解析によって算出することかができる。本願発明者らは、コンクリート強度fcを18N/mmとし、鉄筋径をD16,D25,D32、鉄筋のかぶり深さを40mm,60mm,80mm,100mmとしてFEM解析を行い、ひび割れ腐食量を求めた。図4はその結果を示すグラフ図である。なお、図4(a)は鉄筋の全周面が一様に腐食するという条件で、(b)は鉄筋表面のうちコンクリート表面側の略半周面(半周面含む)が腐食するという条件でFEM解析を行った結果である。
腐食開始時期と、ひび割れ発生前腐食速度、ひび割れ腐食量が得られると、ひび割れ発生時期を求めることができる(Step105)。そして、ここまでで求めた腐食開始時期と、ひび割れ発生前腐食速度、ひび割れ発生時期、ひび割れ発生後腐食速度に基づいて、図2に示すような腐食進行推移を推定することができる(Step106)。
2.鉄筋コンクリート構造物の耐力評価方法
次に、本願発明の鉄筋コンクリート構造物の耐力評価方法について、図5を参照しながら説明する。図5は、本願発明の鉄筋コンクリート構造物の耐力評価方法の主要な工程の流れを示すフロー図である。
(せん断補強筋の腐食量)
本願発明では、鉄筋コンクリートの曲げ耐力とせん断耐力の比である「曲げせん断耐力比」を求めることから、鉄筋コンクリートのせん断耐力、及び曲げ耐力をそれぞれ得る必要があり、そのためにはせん断補強筋の腐食量を算出し(第1腐食量算出工程:Step211)、主筋の腐食量を算出する(第2腐食量算出工程:Step221)必要がある。まずはせん断補強筋の腐食量の算出から詳しく説明する。
せん断補強筋の腐食量を算出する手法としては、2種類の手法が挙げられる。1つ目は、せん断補強筋の腐食進行推移(以下、「第1腐食進行推移」という。)を利用する手法である。これまで図3に沿って説明した手順で第1腐食進行推移を推定し、現時点におけるせん断補強筋の腐食量を求めるわけである。具体的には、塩化物拡散方程式を用いてコンクリート内の塩化物イオン濃度分布の経時変化を得る(図3のStep101)とともに、せん断補強筋の腐食が開始する時期(以下、「第1腐食開始時期」という。)を求め(図3のStep102)、ひび割れ発生前の速度を「第1ひび割れ発生前腐食速度」として、ひび割れ発生後の速度を「第1ひび割れ発生後腐食速度」として推定する(図3のStep103)。そして、コンクリートにひび割れが発生する際のせん断補強筋の腐食量(以下、「第1ひび割れ腐食量」という。)をFEM解析で算出し(図3のStep104)、せん断補強筋が腐食したことによってコンクリートにひび割れが生じる時期(以下、「第1ひび割れ発生時期」という。)を求め、せん断補強筋の第1腐食進行推移を推定する(図3のStep106)。
2つ目は、せん断補強筋が腐食したことによって生じたコンクリートのひび割れに基づいて、せん断補強筋の腐食量を求める手法である。したがってこの場合は、せん断補強筋の腐食によって生じたコンクリートのひび割れ幅を測定する(以下、「第1ひび割れ幅計測工程」という。)必要がある。図6は、測定したひび割れ幅に基づいて鉄筋腐食量を算出する流れを示すフロー図である。せん断補強筋が配置された位置が把握できれば、せん断補強筋の腐食に伴うひび割れを抽出することができるため、そのひび割れ幅を測定し、推定式を用いてせん断補強筋の腐食量を求める。なお、せん断補強筋の位置は、設計図や竣工図などの記録に基づいて把握するか、コンクリートの非破壊検査(例えば、電磁誘導法や電磁波レーダ法)によって把握することかできる。
測定されたひび割れ幅に基づいて鉄筋の腐食量を推定するための推定式は、発明者らが多くの実績データに基づいて見出した下記の4つの式のうちいずれかを使用することができる。なお推定式中のyは鉄筋の腐食量であり、tはひび割れ幅、cは鉄筋のかぶり深さ、dは鉄筋径である。また、αとβは定数で、複数の実績データから推定して求めることができる。
Figure 2017173274
(主筋の腐食量)
主筋の腐食量を算出する手法も、せん断補強筋と同様、主筋の腐食進行推移(以下、「第2腐食進行推移」という。)を利用する手法と、現実に発生したひび割れに基づく手法の場合がある。第2腐食進行推移を利用する手法の場合、第2腐食進行推移を推定し、現時点における主筋の腐食量を求める。具体的には、塩化物拡散方程式を用いてコンクリート内の塩化物イオン濃度分布の経時変化を得る(図3のStep101)とともに、主筋の腐食が開始する時期(以下、「第2腐食開始時期」という。)を求め(図3のStep102)、ひび割れ発生前の速度を「第2ひび割れ発生前腐食速度」として、ひび割れ発生後の速度を「第2ひび割れ発生後腐食速度」として推定する(図3のStep103)。そして、コンクリートにひび割れが発生する際の主筋の腐食量(以下、「第2ひび割れ腐食量」という。)をFEM解析で算出し(図3のStep104)、主筋が腐食したことによってコンクリートにひび割れが生じる時期(以下、「第2ひび割れ発生時期」という。)を求め、主筋の第2腐食進行推移を推定する(図3のStep106)。
現実に発生したひび割れに基づく手法の場合、主筋が腐食したことによって生じたコンクリートのひび割れに基づいて推定する。したがってこの場合は、主筋の腐食によって生じたコンクリートのひび割れ幅を測定する(以下、「第2ひび割れ幅計測工程」という。)必要がある(図6)。主筋の腐食量は、既述した推定式(式1−1〜式1−4)を用いて算出するとよい。なお主筋の場合も、配置された位置が把握できれば主筋の腐食に伴うひび割れを抽出することができる。主筋の位置は、設計図や竣工図などの記録、あるいはコンクリートの非破壊検査によって把握する。
(せん断耐力)
鉄筋コンクリートのせん断耐力は、コンクリートと鉄筋の断面積により定められる。コンクリートは、一般的に時間の経過に伴い断面積は変化しないとされるが、鉄筋は腐食するため時間の経過に伴い断面積は減少していく。なおせん断耐力に寄与する鉄筋は、せん断補強筋と主筋の両方である。そこで、せん断補強筋の腐食量からせん断補強筋の残存鉄筋量を算出し(第1残存鉄筋量算出工程:Step212)、主筋の腐食量から主筋の残存鉄筋量を算出して(第2残存鉄筋量算出工程:Step222)、これらせん断補強筋の残存鉄筋量と、主筋の残存鉄筋量、コンクリート断面に基づいて鉄筋コンクリートのせん断耐力を算出する(せん断耐力算出工程:Step213)。
(曲げ耐力)
鉄筋コンクリートの曲げ耐力は、主筋の鉄筋径や、降伏強度、かぶり深さにより定められる。つまり、曲げ耐力に寄与するのは主に主筋である。第2腐食量算出工程(Step221)で主筋の腐食量が得られ、第2残存鉄筋量算出工程(Step222)で主筋の残存鉄筋量が得られると、この主筋の残存鉄筋量に基づいて鉄筋コンクリートの曲げ耐力を算出する(曲げ耐力算出工程:Step223)。
(曲げせん断耐力比)
鉄筋コンクリートのせん断耐力と曲げ耐力が求められると、せん断耐力を曲げ耐力で除した曲げせん断耐力比を求める(曲げせん断耐力比算出工程:Step231)。図7は、鉄筋コンクリートの曲げせん断耐力比の時間変化を説明するグラフ図であり、(a)はせん断補強筋の腐食進行推移(第1腐食進行推移)と主筋の腐食進行推移(第2腐食進行推移)を示し、(b)は時間の経過と曲げせん断耐力比の関係を示している。この図から分かるように、主筋よりもせん断補強筋の腐食の方が早く進行することから、主筋が腐食する時期(第2腐食開始時期)より前から曲げせん断耐力比は低減していき、せん断補強筋の腐食によるひび割れが生じる時期(第1ひび割れ発生時期)から急激に曲げせん断耐力比は低減する。
(耐力判定)
その時点における鉄筋コンクリートの曲げせん断耐力比が得られると、あらかじめ設定された閾値と照らし合わせ(Step232)、鉄筋コンクリート構造物の耐力を判定する(耐力評価工程:Step233)。例えば、図7(b)に示すように2段階の閾値を設定し、曲げせん断耐力比が閾値1.5を下回ると「やや危険」と判断し、曲げせん断耐力比が閾値1.0を下回ると「危険」と判断することができる。また、図7(b)と現時点を照らし合わせることで、鉄筋コンクリート構造物が「やや危険」となる時期や、「危険」となる時期を予測することができ、すなわち当該鉄筋コンクリート構造物の寿命予測を行うこともできる(寿命予測工程:Step234)。
3.鉄筋コンクリート構造物の耐力評価プログラム
本願発明の鉄筋コンクリート構造物の耐力評価プログラムについて、図5を参照しながら説明する。なお、本願発明の鉄筋コンクリート構造物の耐力評価プログラムは、ここまで説明してきた内容で鉄筋コンクリート構造物の耐力を評価するプログラムであり、したがって「2.鉄筋コンクリート構造物の耐力評価方法」と重複する内容の説明は避け、鉄筋コンクリート構造物の耐力評価プログラムに特有の内容のみ説明することとする。すなわち、ここに記載されていない内容は、「2.鉄筋コンクリート構造物の耐力評価方法」で記載したものと同様である。
はじめに、記憶手段に記憶されたせん断補強筋の鉄筋径とかぶり深さの情報を読み出すとともに、せん断補強筋の腐食量を算出する処理(第1腐食量算出処理:Step211)が実行される。あわせて、記憶手段に記憶された主筋の鉄筋径とかぶり深さの情報を読み出すとともに、主筋の腐食量を算出する処理(第2腐食量算出処理:Step221)が実行される。そして、このせん断補強筋の腐食量からせん断補強筋の残存鉄筋量を算出する処理(第1残存鉄筋量算出処理:Step212)が実行され、主筋の腐食量から主筋の残存鉄筋量を算出する処理(第2残存鉄筋量算出処理:Step222)が実行される。これらせん断補強筋の残存鉄筋量と、主筋の残存鉄筋量、コンクリート断面に基づいて鉄筋コンクリートのせん断耐力を算出する処理(せん断耐力算出処理:Step213)が実行される。
次に、第2残存鉄筋量算出処理(Step222)で得られた主筋の残存鉄筋量に基づいて、鉄筋コンクリートの曲げ耐力を算出する処理(曲げ耐力算出処理:Step223)が実行される。
鉄筋コンクリートのせん断耐力と曲げ耐力が求められると、せん断耐力を曲げ耐力で除した曲げせん断耐力比を求める処理(曲げせん断耐力比算出処理:Step231)が実行される。そして、その時点における鉄筋コンクリートの曲げせん断耐力比が得られると、記憶手段から読み出された閾値と照らし合わせ(Step232)、鉄筋コンクリート構造物の耐力を判定する処理(耐力評価処理:Step233)が実行される。また、時間の経過と曲げせん断耐力比の関係(図7(b))と現時点を照らし合わせることで、当該鉄筋コンクリート構造物の寿命予測を行う処理(寿命予測処理:Step234)を実行することもできる。
本願発明の鉄筋コンクリート構造物の耐力評価方法、及び耐力評価プログラムは、橋梁の下部工や、コンクリート擁壁、ボックスカルバートといった土木構造物、あるいはオフィスビル等の建築構造物、その他種々の鉄筋コンクリート構造物に利用することができる。本願発明が、補強等の実施内容や実施時期にとって有用な情報を提供し、すなわち鉄筋コンクリート構造物の長寿命化に資することを考えれば、産業上利用できるばかりでなく社会的にも大きな貢献を期待し得る発明といえる。

Claims (8)

  1. 鉄筋コンクリート構造物の耐力を評価する方法において、
    鉄筋径とかぶり深さに基づいて、せん断補強筋の腐食量を求める第1腐食量算出工程と、
    鉄筋径とかぶり深さに基づいて、主筋の腐食量を求める第2腐食量算出工程と、
    前記第1腐食量算出工程で得られた腐食量に基づいて、前記せん断補強筋の残存鉄筋量を求める第1残存鉄筋量算出工程と、
    前記第2腐食量算出工程で得られた腐食量に基づいて、前記主筋の残存鉄筋量を求める第2残存鉄筋量算出工程と、
    前記せん断補強筋及び前記主筋の残存鉄筋量に基づいて、鉄筋コンクリートのせん断耐力を算出するせん断耐力算出工程と、
    前記主筋の残存鉄筋量に基づいて、鉄筋コンクリートの曲げ耐力を算出する曲げ耐力算出工程と、
    前記せん断耐力算出工程で得られた鉄筋コンクリートのせん断耐力と、前記曲げ耐力算出工程で得られた鉄筋コンクリートの曲げ耐力と、に基づいて鉄筋コンクリートの曲げせん断耐力比を求める曲げせん断耐力比算出工程と、
    前記曲げせん断耐力比算出工程で得られた鉄筋コンクリートの曲げせん断耐力比と、あらかじめ設定された閾値と、を比較することで前記鉄筋コンクリート構造物の耐力を判定する耐力評価工程と、
    を備えた、ことを特徴とする鉄筋コンクリート構造物の耐力評価方法。
  2. 時間の経過と前記せん断補強筋の腐食量との関係を、第1腐食進行推移として推定する、第1腐食進行推移推定工程と、
    時間の経過と前記主筋の腐食量との関係を、第2腐食進行推移として推定する、第2腐食進行推移推定工程と、
    をさらに備えた、ことを特徴とする請求項1記載の鉄筋コンクリート構造物の耐力評価方法。
  3. 前記せん断補強筋のかぶり深さ及び鉄筋径と、コンクリート強度と、を含む条件に基づいて計算を行うことで、該せん断補強筋の腐食によってコンクリートのひび割れが発生する第1ひび割れ発生時期における該せん断補強筋の腐食量を、第1ひび割れ腐食量として求める第1ひび割れ腐食量算出工程と、
    前記主筋のかぶり深さ及び鉄筋径と、コンクリート強度と、を含む条件に基づいて計算を行うことで、該主筋の腐食によってコンクリートのひび割れが発生する第2ひび割れ発生時期における該主筋の腐食量を、第2ひび割れ腐食量として求める第2ひび割れ腐食量算出工程と、をさらに備え、
    前記第1腐食進行推移推定工程では、前記せん断補強筋の腐食が始まる第1腐食開始時期と、前記第1ひび割れ発生時期と、該第1腐食開始時期から該第1ひび割れ発生時期までの第1ひび割れ前腐食速度と、該第1ひび割れ発生時期以降の第1ひび割れ後腐食速度と、に基づいて前記第1腐食進行推移を推定し、
    前記第2腐食進行推移推定工程では、前記主筋の腐食が始まる第2腐食開始時期と、前記第2ひび割れ発生時期と、該第2腐食開始時期から該第2ひび割れ発生時期までの第2ひび割れ前腐食速度と、該第2ひび割れ発生時期以降の第2ひび割れ後腐食速度と、に基づいて前記第2腐食進行推移を推定し、
    前記第1ひび割れ発生時期は、前記第1ひび割れ前腐食速度と前記第1ひび割れ腐食量に基づいて求められ、
    前記第2ひび割れ発生時期は、前記第2ひび割れ前腐食速度と前記第2ひび割れ腐食量に基づいて求められる、
    ことを特徴とする請求項2記載の鉄筋コンクリート構造物の耐力評価方法。
  4. 前記第1ひび割れ腐食量算出工程では、前記せん断補強筋のうちコンクリート表面側の略半周面が腐食する条件で計算を行い、
    前記第2ひび割れ腐食量算出工程では、前記主筋のうちコンクリート表面側の略半周面が腐食する条件で計算を行う、ことを特徴とする請求項3記載の鉄筋コンクリート構造物の耐力評価方法。
  5. 前記第1腐食進行推移に基づいて求められる前記せん断補強筋の腐食量と、前記第2腐食進行推移に基づいて求められる前記主筋の腐食量と、を用いて、鉄筋コンクリートの曲げせん断耐力比が前記閾値を下回る時期を推定することで、前記鉄筋コンクリート構造物の寿命を予測する寿命予測工程を、
    さらに備えた、ことを特徴とする請求項2乃至請求項4のいずれかに記載の鉄筋コンクリート構造物の耐力評価方法。
  6. 前記第1腐食量算出工程では、前記第1腐食進行推移に基づいて、前記せん断補強筋の腐食量を求め、
    前記第2腐食量算出工程では、前記第2腐食進行推移に基づいて、前記主筋の腐食量を求める、
    ことを特徴とする請求項2乃至請求項5のいずれかに記載の鉄筋コンクリート構造物の耐力評価方法。
  7. 前記せん断補強筋の腐食によって生じたコンクリートのひび割れ幅を測定する第1ひび割れ幅計測工程と、
    前記主筋の腐食によって生じたコンクリートのひび割れ幅を測定する第2ひび割れ幅計測工程と、をさらに備え、
    前記第1腐食量算出工程では、前記第1ひび割れ幅計測工程で得られたひび割れ幅と、前記せん断補強筋のかぶり深さ及び鉄筋径と、を含む推定式によって該せん断補強筋の腐食量を求め、
    前記第2腐食量算出工程では、前記第2ひび割れ幅計測工程で得られたひび割れ幅と、前記主筋のかぶり深さ及び鉄筋径と、を含む推定式によって該主筋の腐食量を求める、
    ことを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の鉄筋コンクリート構造物の耐力評価方法。
  8. 鉄筋コンクリート構造物の耐力を評価する機能をコンピュータに実行させるプログラムにおいて、
    鉄筋径とかぶり深さの情報を読み出すとともに、該情報に基づいてせん断補強筋の腐食量を求める第1腐食量算出処理と、
    鉄筋径とかぶり深さの情報を読み出すとともに、該情報に基づいて主筋の腐食量を求める第2腐食量算出処理と、
    前記第1腐食量算出処理で得られた腐食量に基づいて、前記せん断補強筋の残存鉄筋量を求める第1残存鉄筋量算出処理と、
    前記第2腐食量算出処理で得られた腐食量に基づいて、前記主筋の残存鉄筋量を求める第2残存鉄筋量算出処理と、
    前記せん断補強筋及び前記主筋の残存鉄筋量に基づいて、鉄筋コンクリートのせん断耐力を算出するせん断耐力算出処理と、
    前記主筋の残存鉄筋量に基づいて、鉄筋コンクリートの曲げ耐力を算出する曲げ耐力算出処理と、
    前記せん断耐力算出処理で得られた鉄筋コンクリートのせん断耐力と、前記曲げ耐力算出処理で得られた鉄筋コンクリートの曲げ耐力と、に基づいて鉄筋コンクリートの曲げせん断耐力比を求める曲げせん断耐力比算出処理と、
    前記曲げせん断耐力比算出処理で得られた鉄筋コンクリートの曲げせん断耐力比と、あらかじめ設定された閾値と、を比較することで前記鉄筋コンクリート構造物の耐力を判定する耐力評価処理と、
    を前記コンピュータに実行させる機能を備えた、ことを特徴とする鉄筋コンクリート構造物の耐力評価プログラム。
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