JP2012112690A - コンクリート構造物のひずみ計測方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】施工ブロック毎に分割して構築されるコンクリート構造物のひずみを効率の良い作業で精度良く計測する。
【解決手段】施工ブロック毎に順次コンクリートを打設して構造物を構築するものとし、一つの施工ブロックのコンクリートを打設した後、隣接する施工ブロックのコンクリートを打設するための型枠内には、先の施工ブロックに埋設された可撓管に接合して連続する可撓管を配置する。複数の施工ブロックのコンクリートの打設が終了すると可撓管16内に光ファイバケーブル18を挿入するとともにグラウト17を注入し、光ファイバケーブルとコンクリート1aとを一体化する。その後、光ファイバケーブルの一端にひずみ測定器を接続し、光パルスを入射して後方散乱光を検知する。後方散乱光の周波数の変化及び後方散乱光を検知した時間から橋桁の各位置に生じたひずみの大きさを計測する。
【選択図】図5
【解決手段】施工ブロック毎に順次コンクリートを打設して構造物を構築するものとし、一つの施工ブロックのコンクリートを打設した後、隣接する施工ブロックのコンクリートを打設するための型枠内には、先の施工ブロックに埋設された可撓管に接合して連続する可撓管を配置する。複数の施工ブロックのコンクリートの打設が終了すると可撓管16内に光ファイバケーブル18を挿入するとともにグラウト17を注入し、光ファイバケーブルとコンクリート1aとを一体化する。その後、光ファイバケーブルの一端にひずみ測定器を接続し、光パルスを入射して後方散乱光を検知する。後方散乱光の周波数の変化及び後方散乱光を検知した時間から橋桁の各位置に生じたひずみの大きさを計測する。
【選択図】図5
Description
本願発明は、施工ブロック毎にコンクリートを分割打設することによって構築されるコンクリート構造物に光ファイバケーブルを埋設してコンクリートのひずみを計測するひずみ計測方法に関する。
従来、コンクリート構造物に発生するひずみを測定する方法としては、ひずみゲージをコンクリートに接着し、接着した位置のコンクリートのひずみを測定するものが広く用いられている。
また、近年は光ファイバケーブルを使用して光ファイバケーブルが配置された位置のコンクリートに発生したひずみを計測する技術が用いられるようになっている。
例えば、特許文献1に記載されている技術は、繊維強化プラスチック等で周囲が被覆された光ファイバをコンクリートに埋設又は接着しておく。そして、光ファイバの一端又は両端に光パルスを入射して発生する散乱光を検知することにより、光ファイバケーブルが配置された位置のひずみを計測するものである。この計測方法によれば、埋設又は接着された光ファイバケーブルに沿って多数の位置でひずみを計測することができ、ひずみゲージを用いる方法のように測定位置毎にケーブルを配置する必要がない。したがって、多数点のひずみを少ない労力で簡単に計測することが可能となる。
また、近年は光ファイバケーブルを使用して光ファイバケーブルが配置された位置のコンクリートに発生したひずみを計測する技術が用いられるようになっている。
例えば、特許文献1に記載されている技術は、繊維強化プラスチック等で周囲が被覆された光ファイバをコンクリートに埋設又は接着しておく。そして、光ファイバの一端又は両端に光パルスを入射して発生する散乱光を検知することにより、光ファイバケーブルが配置された位置のひずみを計測するものである。この計測方法によれば、埋設又は接着された光ファイバケーブルに沿って多数の位置でひずみを計測することができ、ひずみゲージを用いる方法のように測定位置毎にケーブルを配置する必要がない。したがって、多数点のひずみを少ない労力で簡単に計測することが可能となる。
しかしながら、上記のように光ファイバケーブルを使用してコンクリート構造物のひずみを計測する方法では解決が望まれる以下の問題点がある。
例えば、張り出し施工や押し出し施工のように施工ブロック毎に分割してコンクリートを打設する構造物について広い範囲でひずみを測定しようとすると、複数の施工ブロックにわたって連続する光ファイバケーブルをコンクリートに埋設するか貼り付けることが望ましい。施工ブロック毎に光ファイバケーブルを埋設し、この埋設された光ファイバケーブルと次に施工されるブロックに埋設される光ファイバケーブルとを接続して連続した光ファイバケーブルにすることも可能ではあるが、接続のたびに光伝送効率が低下するという問題がある。
複数の施工ブロックのコンクリートが連続するように打設された構造物に対して、コンクリートの表面に連続する光ファイバケーブルを貼り付けることは、足場等を別途に設ける必要が生じる場合等、効率の悪い作業となることが多い。また、複数の施工ブロックにわたって連続する光ファイバケーブルを埋め込むときには、一つの施工ブロックに埋め込んだ光ファイバケーブルが隣接して次に打設する施工ブロック側に突き出しており、次にコンクリートを打設する施工ブロックの鉄筋及び型枠の組み立て等の作業を阻害したり、光ファイバケーブルを損傷したりする虞が生じる。
例えば、張り出し施工や押し出し施工のように施工ブロック毎に分割してコンクリートを打設する構造物について広い範囲でひずみを測定しようとすると、複数の施工ブロックにわたって連続する光ファイバケーブルをコンクリートに埋設するか貼り付けることが望ましい。施工ブロック毎に光ファイバケーブルを埋設し、この埋設された光ファイバケーブルと次に施工されるブロックに埋設される光ファイバケーブルとを接続して連続した光ファイバケーブルにすることも可能ではあるが、接続のたびに光伝送効率が低下するという問題がある。
複数の施工ブロックのコンクリートが連続するように打設された構造物に対して、コンクリートの表面に連続する光ファイバケーブルを貼り付けることは、足場等を別途に設ける必要が生じる場合等、効率の悪い作業となることが多い。また、複数の施工ブロックにわたって連続する光ファイバケーブルを埋め込むときには、一つの施工ブロックに埋め込んだ光ファイバケーブルが隣接して次に打設する施工ブロック側に突き出しており、次にコンクリートを打設する施工ブロックの鉄筋及び型枠の組み立て等の作業を阻害したり、光ファイバケーブルを損傷したりする虞が生じる。
本願発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、施工ブロック毎に分割してコンクリートが打設されるコンクリート構造物に発生するひずみを、効率の良い作業で精度良く計測するコンクリート構造物のひずみ計測方法を提供することである。
上記課題を解決するために、請求項1に係る発明は、 コンクリート構造物に発生するひずみを計測するひずみ計測方法であって、 前記コンクリート構造物は、複数の施工ブロックに分割して順次連続するようにコンクリートを打設して構築するものとし、 第1の施工ブロックのコンクリートを打設するための型枠内に管状部材を配置した後、前記管状部材を埋め込むようにコンクリートを打設し、 第2の施工ブロックのコンクリートを打設するための型枠内に前記第1の施工ブロック内に埋め込んだ管状部材と連続するように接続した管状部材を配置し、 該管状部材を埋め込み、第1の施工ブロックと連続するように第2の施工ブロックのコンクリートを打設し、 順次打設した複数の施工ブロックのコンクリートが硬化した後、複数の施工ブロックにわたって連続するように埋め込まれた前記管状部材内に光ファイバケーブルを挿通し、 前記管状部材内にグラウトを注入して、硬化したグラウトと前記光ファイバケーブルとを一体とし、 前記光ファイバケーブルが有する光ファイバに光パルスを入射して、該光ファイバ内に生じる散乱光を検知することにより、該光ファイバケーブルに沿って前記コンクリート構造物に発生したひずみを計測するコンクリート構造物のひずみ計測方法を提供する。
このコンクリート構造物のひずみ計測方法では、光ファイバケーブルが挿通された管状部材内にグラウトが注入され、硬化してコンクリートと一体化されるので、管状部材内の光ファイバケーブルもコンクリートと一体化され、コンクリートのひずみを計測することができる。そして、複数の施工ブロックにわたって連続して埋設された管状部材に光ファイバケーブルを挿通するので、1本の光ファイバケーブルを切断することなく複数の施工ブロック内にわたって埋設することができる。したがって、複数の施工ブロックのコンクリートを順次に打設しても光ファイバケーブルを接続する必要がなく、光伝送効率を低下させることがない。さらに、光ファイバケーブルは、打設された各施工ブロックのコンクリートが硬化した後に配置されるので、型枠又は鉄筋の組み立て時に光ファイバケーブルが損傷するのが防止される。
請求項2に係る発明は、請求項1に記載のコンクリート構造物のひずみ計測方法において、 前記コンクリート構造物は橋桁であり、 複数の施工ブロックにわたって連続するように埋め込まれた前記管状部材は、複数の施工ブロックにわたって前記橋桁の上縁付近に埋め込んだものと、上縁付近に前記管状部材が埋め込まれた複数の施工ブロックとは別の複数の施工ブロックにわたって前記橋桁の下縁付近に埋め込んだものとを設け、 前記下縁付近に埋め込んだ管状部材内と、前記上縁付近に埋め込んだ管状部材内とに、連続した前記光ファイバケーブルを挿通するものとする。
このコンクリート構造物のひずみ計測方法では、複数の施工ブロックの上縁付近に埋設した管状部材に光ファイバケーブルを挿通した後、同じ光ファイバケーブルを連続して他の複数の施工ブロックの下縁付近に埋設した管状部材に挿通することができる。また、下縁付近に埋設した管状部材に光ファイバケーブルを挿通した後、他の施工ブロックの上縁付近に埋設した管状部材に挿通することもできる。したがって、橋桁に作用する曲げモーメントの分布に応じて、橋桁の上縁付近又は下縁付近のひずみを選択して計測することができる。
また、上縁付近から下縁付近、又は下縁付近から上縁付近に管状部材の埋設される位置が移行する場所では、管状部材は一旦箱桁のコンクリート部材外に引き出すことができるので、コンクリート部材から露出した位置で光ファイバケーブルを管状部材内へ挿通する作業やグラウトを注入する作業を行うことができる。
また、上縁付近から下縁付近、又は下縁付近から上縁付近に管状部材の埋設される位置が移行する場所では、管状部材は一旦箱桁のコンクリート部材外に引き出すことができるので、コンクリート部材から露出した位置で光ファイバケーブルを管状部材内へ挿通する作業やグラウトを注入する作業を行うことができる。
請求項3に係る発明は、請求項1に記載のコンクリート構造物のひずみ計測方法において、 前記コンクリート構造物は橋桁であり、 前記管状部材は、前記橋桁の断面の異なる複数の位置に、複数の施工ブロックにわたって該橋桁の軸線方向に連続して埋設されるように、それぞれ配置し、 前記光ファイバケーブルは、前記管状部材の一つに挿通した後、曲げ回して該橋桁の断面内の他の位置に埋設された管状部材に、該橋桁の軸線の逆方向に挿通するものとする。
このコンクリート構造物のひずみ計測方法では、1本の光ファイバケーブルで、橋桁の同じ断面内の異なる2箇所のひずみを1回の測定で計測することができる。したがって、上縁付近のひずみと下縁付近のひずみ、又は橋桁の右側と左側のひずみを1本の光ファイバケーブルで同時に計測することができ、コンクリート構造物におけるひずみの分布を的確に把握することが可能となる。
複数の施工ブロックのコンクリートを順次に打設するときに、既にコンクリートを打設した施工ブロックに一本の連続する光ファイバケーブルの異なる2つの領域が埋め込まれると、当該施工ブロックに埋め込まれた部分と連続する他の部分をどのように保持するかが問題となる。つまり、続いてコンクリートを打設する施工ブロックの構築に支障を生じないように光ファイバケーブルを保持することが難しくなる。しかし、上記方法では、各施工ブロックのコンクリートが硬化してから光ファイバケーブルを挿通することができ、上記のような問題点は解消される。
複数の施工ブロックのコンクリートを順次に打設するときに、既にコンクリートを打設した施工ブロックに一本の連続する光ファイバケーブルの異なる2つの領域が埋め込まれると、当該施工ブロックに埋め込まれた部分と連続する他の部分をどのように保持するかが問題となる。つまり、続いてコンクリートを打設する施工ブロックの構築に支障を生じないように光ファイバケーブルを保持することが難しくなる。しかし、上記方法では、各施工ブロックのコンクリートが硬化してから光ファイバケーブルを挿通することができ、上記のような問題点は解消される。
請求項4に係る発明は、請求項1に記載のコンクリート構造物のひずみ計測方法において、 前記光ファイバケーブルは、前記橋桁の複数の施工ブロックにわたって連続して埋設された前記管状部材に一方端から他方端に挿通した後、曲げ回して同じ管状部材内に前記他方端から前記一方端に挿通するものとする。
このコンクリート構造物のひずみ計測方法では、同一の管状部材内に連続する一本の光ファイバケーブルが折り返して2本挿入されることになり、橋桁の同じ位置について1度の計測で2つの計測データを得ることができる。したがって、同じ光ファイバケーブルで検出される2つのデータを利用することができ、ひずみ計測の精度を高めることができる。
上記のように、本願発明に係るコンクリート構造物のひずみ計測方法では、複数の施工ブロックに分割してコンクリートが打設されたコンクリート構造物について、コンクリートの打設後に光ファイバケーブルを埋め込み、コンクリートと一体とすることができる。そして、複数の施工ブロックにわたるコンクリート構造物のひずみを、1本の連続した光ファイバケーブルで計測することが可能となる。したがって、ひずみを測定しようとする範囲で光ファイバケーブルを接続することによる光伝送効率の低下を排除し、精度のよいひずみの計測が可能となる。また、分割して施工ブロック毎にコンクリート構造物を構築するときに光ファイバケーブルを損傷することもなくなる。
以下、本願発明の実施の形態を図に基づいて説明する。
図1は、本願発明の一実施形態であるコンクリート構造物のひずみ計測方法が適用される橋桁の一例を示す概略側面図及び概略断面図、図2は図1で示す橋桁の構築方法を示す概略側面図である。
この橋桁1は、橋脚2及び橋台3a,3bに支持され、橋脚2とは一体となって2径間のラーメン橋を構成するものである。橋台上では支承4a,4bを介して支持され、橋桁1の軸線方向に水平移動が可能となっている。橋桁1の断面形状は、図1(b)に示されるように箱型になっており、コンクリートの上床版11と下床版12とこれらを縦方向に連結するコンクリートのウェブ13とで構成されている。この橋桁1の軸線方向には緊張材14が配置され、これらの緊張材14を緊張して定着することによってプレストレストが導入される。
図1は、本願発明の一実施形態であるコンクリート構造物のひずみ計測方法が適用される橋桁の一例を示す概略側面図及び概略断面図、図2は図1で示す橋桁の構築方法を示す概略側面図である。
この橋桁1は、橋脚2及び橋台3a,3bに支持され、橋脚2とは一体となって2径間のラーメン橋を構成するものである。橋台上では支承4a,4bを介して支持され、橋桁1の軸線方向に水平移動が可能となっている。橋桁1の断面形状は、図1(b)に示されるように箱型になっており、コンクリートの上床版11と下床版12とこれらを縦方向に連結するコンクリートのウェブ13とで構成されている。この橋桁1の軸線方向には緊張材14が配置され、これらの緊張材14を緊張して定着することによってプレストレストが導入される。
この橋桁1の構築は、図2及び図3に示すように、立ち上げられた橋脚2上に橋桁1の柱頭部1aを橋脚2に連続して形成し、その上に移動吊支保工として機能する2台の橋桁架設装置5を載置する。そして、橋桁の軸線方向における両側へそれぞれ施工ブロック毎のコンクリートの打設及び橋桁架設装置5の前進を順次繰り返し、両側への転倒モーメントを制御しながら張り出すように施工するものである。このようにして所定の数の施工ブロック6を構築する張り出し施工が完了すると、最終の施工ブロックの先端から橋台3a,3bまでの橋桁7を支保工又は吊り支保工上に構築する。
このような橋桁1には、図3及び図4に示すようにプレストレスを導入するための緊張材としてPC鋼材14,15が配置される。張り出し施工によって構築される部分には上床版付近にPC鋼材14が配置され、支保工によって構築される領域7及び張り出し施工された先端付近の施工ブロック6aには下床版付近にPC鋼材15が配置される。これにより、橋脚上付近で生じる負の曲げモーメント及び橋脚2と橋台3との間の橋台近くで生じる正の曲げモーメントによって橋桁1に大きな引張応力度が生じないようにプレストレスを導入するものとなっている。
次に、上記のように構築される橋桁の橋軸方向に生じるひずみを測定する方法であって、本願発明の一実施形態であるひずみ計測方法について説明する。
このひずみ計測方法は、コンクリートと一体となってひずみが生じるように光ファイバケーブルをコンクリート内に埋め込み、この光ファイバケーブルに光パルスを入射して散乱光を検知することにより行うものである。光ファイバケーブルは、図4に示すように橋桁1の断面内に可撓管16を埋め込み、この可撓管16内に挿通される。そして、図5に示すように、可撓管16内にグラウト17を注入して硬化させ、光ファイバケーブル18にコンクリートと同じひずみが生じるようにグラウト及び橋桁のコンクリートと一体化するものである。
なお、図5では光ファイバケーブル18が可撓管の中心付近に埋め込まれているが、必ずしも中心付近に埋め込まれる必要はなく可撓管内のいずれの位置であっても、グラウト17と一体となるように埋め込まれるものであればよい。
このひずみ計測方法は、コンクリートと一体となってひずみが生じるように光ファイバケーブルをコンクリート内に埋め込み、この光ファイバケーブルに光パルスを入射して散乱光を検知することにより行うものである。光ファイバケーブルは、図4に示すように橋桁1の断面内に可撓管16を埋め込み、この可撓管16内に挿通される。そして、図5に示すように、可撓管16内にグラウト17を注入して硬化させ、光ファイバケーブル18にコンクリートと同じひずみが生じるようにグラウト及び橋桁のコンクリートと一体化するものである。
なお、図5では光ファイバケーブル18が可撓管の中心付近に埋め込まれているが、必ずしも中心付近に埋め込まれる必要はなく可撓管内のいずれの位置であっても、グラウト17と一体となるように埋め込まれるものであればよい。
上記光ファイバケーブル18は、耐久性を有するように光ファイバの外周面を合成樹脂で被覆したものであり、被覆層の外周面には突起が形成されている。したがって、光ファイバケーブルを埋め込むグラウトと確実に一体化されるようになっている。なお、被覆層としては、合成樹脂または繊維強化された合成樹脂等を用いることができる。
上記可撓管16は、薄い鋼板、亜鉛メッキ鋼板又は合成樹脂等からなり、周面に螺旋状の凹凸が形成されて、図5(b)に示すように軸線方向の断面が波形となった管状の部材である。このような形状により容易に曲げ変形が生じるもの、つまり可撓性を有するものとなっている。また、螺旋状の凹凸を利用して、わずかに外径が小さい管状部材をねじ込むことができ、容易に接続することができるものである。さらに、この可撓管16を橋桁1のコンクリートに埋め込んだときには、周面に形成された上記螺旋状の凹凸にコンクリートが密着するとともに、この可撓管16に注入されたグラウト17も該可撓管16の内側で上記凹凸の内面に密接する。これにより、可撓管16を介して橋桁1のコンクリートと可撓管16に注入されて硬化したグラウト17とが一体化されるものとなっている。なお、本実施の形態では、径が約40mmの可撓管を使用している。
上記グラウトは、セメントを水と混合したものを主成分とするものが望ましいが、これに限定されるものではなく、合成樹脂又はセメント系の材料と合成樹脂とを混合したもの等を使用することができる。
上記可撓管16は、薄い鋼板、亜鉛メッキ鋼板又は合成樹脂等からなり、周面に螺旋状の凹凸が形成されて、図5(b)に示すように軸線方向の断面が波形となった管状の部材である。このような形状により容易に曲げ変形が生じるもの、つまり可撓性を有するものとなっている。また、螺旋状の凹凸を利用して、わずかに外径が小さい管状部材をねじ込むことができ、容易に接続することができるものである。さらに、この可撓管16を橋桁1のコンクリートに埋め込んだときには、周面に形成された上記螺旋状の凹凸にコンクリートが密着するとともに、この可撓管16に注入されたグラウト17も該可撓管16の内側で上記凹凸の内面に密接する。これにより、可撓管16を介して橋桁1のコンクリートと可撓管16に注入されて硬化したグラウト17とが一体化されるものとなっている。なお、本実施の形態では、径が約40mmの可撓管を使用している。
上記グラウトは、セメントを水と混合したものを主成分とするものが望ましいが、これに限定されるものではなく、合成樹脂又はセメント系の材料と合成樹脂とを混合したもの等を使用することができる。
上記可撓管16は、次のように橋桁1の複数の施工ブロックにわたってコンクリート内に埋め込む。
橋桁1の柱頭部1aのコンクリートを打設する前に、型枠内で橋桁の軸線方向に貫通するように上記可撓管16を支持しておく。そして、これを埋め込むようにコンクリートを打設する。この可撓管16は、ひずみを測定する位置で測定しようとするひずみの方向に配置するものであり、配置する位置は任意に設定することができる。本実施の形態で可撓管は、図4(a)に示すように上床版11とウェブ13との接合部に設けられたハンチ内に配置している。橋脚2付近では、大きな負の曲げモーメントが生じることを考慮して上縁付近のひずみを検出するものとし、緊張材を挿通するためのシースと緩衝しないように上記ハンチ内に配置している。
橋桁1の柱頭部1aのコンクリートを打設する前に、型枠内で橋桁の軸線方向に貫通するように上記可撓管16を支持しておく。そして、これを埋め込むようにコンクリートを打設する。この可撓管16は、ひずみを測定する位置で測定しようとするひずみの方向に配置するものであり、配置する位置は任意に設定することができる。本実施の形態で可撓管は、図4(a)に示すように上床版11とウェブ13との接合部に設けられたハンチ内に配置している。橋脚2付近では、大きな負の曲げモーメントが生じることを考慮して上縁付近のひずみを検出するものとし、緊張材を挿通するためのシースと緩衝しないように上記ハンチ内に配置している。
上記柱頭部1aのコンクリートが硬化して、これに連続する第1の施工ブロック6bのコンクリートを打設する時には、この第1の施工ブロック6bの型枠内に、柱頭部のコンクリートに埋め込まれた可撓管と接合して連続する可撓管を配置する。そして、この可撓管を埋め込むようにコンクリートを打設する。
上記のように順次にコンクリートが打設される施工ブロック6に連続する可撓管16を埋め込む。
上記のように順次にコンクリートが打設される施工ブロック6に連続する可撓管16を埋め込む。
柱頭部1aから上床版付近に可撓管16を埋め込んで施工ブロック毎のコンクリートの打設を所定の施工ブロックまで行うと、図3(b)に示すように次の施工ブロック6cでは可撓管16をコンクリート部材内から箱型となった断面内のコンクリート部材外に引き出すように配置する。さらに、可撓管16が下床版付近のコンクリート内に埋め込まれ、次の施工ブロック6d内に連続する位置に配置する。そして、この施工ブロック6cのコンクリートを打設すると、可撓管16はこの施工ブロック6cで上床版付近のコンクリート内から一旦コンクリート部材外に引き出され、下床版付近のコンクリート内に再び埋め込まれた状態となる。
上記可撓管16がコンクリート外に引き出された施工ブロック6cに引き続いて張り出し施工される施工ブロック6d及び支保工上でコンクリートが打設される範囲7では、下床版12付近に可撓管16を配置し、先の施工ブロックに埋め込まれた可撓管16と連続するように接合する。また、橋桁1の端部すなわち両端の橋台3上の部分では箱型となった断面の内側のコンクリート部材外に引き出されるように可撓管16を配置する。そして、この可撓管13を埋め込むようにコンクリートを打設して、橋桁1のコンクリート打設を完了する。
なお、下床版付近の可撓管は、図4(b)に示すように、下床版12とウェブ13との接合部に設けられるハンチ内に埋め込むものであり、ウェブ13内に配置される緊張材15と位置が重ならないようになっている。
なお、下床版付近の可撓管は、図4(b)に示すように、下床版12とウェブ13との接合部に設けられるハンチ内に埋め込むものであり、ウェブ13内に配置される緊張材15と位置が重ならないようになっている。
このように橋桁1のコンクリートの打設が行われた後、橋桁1の軸線方向に埋め込まれた可撓管16には、その一端から光ファイバケーブル18を挿入する。挿入に際しては、光ファイバケーブル18を序々に可撓管16の中に押し込んで挿通してもよいし、光ファイバケーブル18よりも剛性が大きい鋼線等を先行して挿通してもよい。先行して挿通した鋼線等は、光ファイバケーブル10の先端に接続して可撓管16の反対側から引き抜くことによって光ファイバケーブル18を可撓管16内に挿通することができる。
また、可撓管16の埋設位置が上床版付近11から下床版付近12へ移動する施工ブロック6cでは、可撓管16はコンクリート部材外に引き出されて露出しており、露出している可撓管16を分断しておくことができる。この分断された部分に到達した光ファイバケーブル18をここからさらに下床版付近12に配置された可撓管16内に挿通することができ、長い範囲に光ファイバケーブル18を円滑に挿通することができる。
光ファイバケーブル18が可撓管16に挿通されると、可撓管16にグラウト17を注入する。グラウト17は注入後に硬化して光ファイバケーブル18と一体となる。また、凹凸が形成されている可撓管16の内周面に密着して硬化するとともに、可撓管16の外周面の凹凸に橋桁1を構成するコンクリートが密着しており、硬化したグラウト17はコンクリートと一体となって挙動するものとなる。
上記のようにコンクリートと一体となってひずみが生じるように埋め込まれた光ファイバケーブル18は、一端をひずみ計測器(図示せず)に接続し、光ファイバケーブル18に光パルスを入射する。この光パルスにより光ファイバケーブル18の全長で後方散乱光が発生し入射端へ到達する。この後方散乱光は、散乱が生じた位置における光ファイバケーブル18の軸線方向のひずみに対応して周波数が変化する。この周波数の変化を検出することにより光ファイバケーブル18のひずみを計測することができる。そして、光ファイバケーブル18は橋桁1を構成するコンクリートに埋設されてコンクリートと一体化しており、光ファイバケーブル18のひずみは橋桁1のコンクリートのひずみとすることができる。
また、当該ひずみが生じている位置は、パルスの入射から散乱光が到達するまでの時間により特定することができる。したがって、連続して到達する散乱光を検出することにより、光ファイバケーブル18に沿った各位置のコンクリートに生じているひずみを計測することができる。
なお、ひずみ計測器によって検出された計測値は、接続されたパーソナルコンピュータに入力し、計測値の処理を行って、表示画面等にひずみの大きさやひずみが生じている場所を表示させることができる。
なお、ひずみ計測器によって検出された計測値は、接続されたパーソナルコンピュータに入力し、計測値の処理を行って、表示画面等にひずみの大きさやひずみが生じている場所を表示させることができる。
図6は、上記のように配置された光ファイバケーブル18を用いて橋桁1のコンクリートのひずみを計測した結果を示すものである。このひずみは、橋脚2と左側橋台3bとの間の下床版付近に配置された緊張材15bに緊張力を導入したときの橋桁1に生じたものである。つまり、この計測時には、上床版付近に配置された緊張材14及び右側径間の下床版付近に配置された緊張材15aはすでに緊張力が導入されており、橋脚2と左側橋台3bとの間の下床版付近に配置された緊張材15bを緊張することによって生じるひずみのみを計測したものである。したがって、上記緊張材15bが配置された範囲つまり左側橋台3bと橋脚2間の支保工施工範囲7bとこの支保工施工範囲と隣接する施工ブロックで大きなひずみが生じ、それ以外の範囲では計測されるひずみが小さくなっている。上記緊張材15bの配置範囲外に生じるひずみは、橋脚2と左側橋台3bとの間の下床版付近に配置された緊張材15bに緊張力が導入されたために生じた二次応力によるひずみである。
上記計測値は、図6に示すように、設計値とほぼ一致しており、橋桁1のコンクリートには設計値に近いひずみが生じていることが認められる。
なお、ひずみの計測値を示す折れ線グラフが2箇所(図6中のA、B)で途切れているが、これらは光ファイバケーブル18が橋桁1のコンクリート部材から引き出されている範囲であり、これらの位置ではひずみが計測されていない。
なお、ひずみの計測値を示す折れ線グラフが2箇所(図6中のA、B)で途切れているが、これらは光ファイバケーブル18が橋桁1のコンクリート部材から引き出されている範囲であり、これらの位置ではひずみが計測されていない。
以上に説明したひずみ計測方法では、橋桁1のコンクリートが右側橋台3aから左側橋台3bまでの全域に打設され、硬化した後に光ファイバケーブル18を挿通してひずみの計測を行っているが、柱頭部1aから複数の施工ブロック6が片持ち状に張り出した状態で、これらの施工ブロックに埋め込まれた可撓管に光ファイバケーブルを挿通し、グラウトを注入して、その後に作用する荷重又はプレストレスによって生じるひずみを計測することもできる。また、右径間又は左径間のみが橋台上まで構築された後、光ファイバケーブルの挿通及びグラウトの注入を行ってその後に生じるひずみを計測することもできる。
また、上記実施形態では、橋桁の一方端から他方端に可撓管を埋め込み、これに一本の光ファイバケーブルを挿通してひずみを計測するものであるが、橋桁の断面の異なる位置に複数の可撓管を埋め込んでおき、それぞれの位置でひずみを計測するものであっても良い。例えば、図7(a)に示すように、橋桁40の上縁付近に可撓管41を配置するとともに下縁付近にも可撓管42を配置する。そして、これらの可撓管41,42に光ファイバケーブルを挿通して上縁付近と下縁付近とのひずみを計測することができる。これらの可撓管41,42にはそれぞれ別個の光ファイバケーブルを挿通してひずみを計測しても良いが、図7(a)に示すように一方の可撓管、例えば上縁付近に配置した可撓管41に挿通した光ファイバケーブル43を曲げ回し、同じ光ファイバケーブルを他方の可撓管つまり下縁付近に配置した可撓管42に挿通することもできる。これにより、一本の光ファイバケーブル43で橋桁の各断面の上縁付近と下縁付近のひずみを計測することが可能となり、橋桁40に生じるひずみをより詳細に計測することができる。
また、箱形となった断面の二つのウェブにそれぞれ可撓管を埋め込み、これらに挿通した光ファイバケーブルでひずみを計測することもできる。例えば、橋桁の軸線が曲線となっている場合等にも、ひずみの発生状態を正確に把握することができる。このように断面の左右の位置に可撓管を埋め込んだときにも、2本の可撓管の一方に光ファイバケーブルを挿通した後、曲げ回して他方の可撓管に挿通し、一本の光ファイバケーブルで各断面の2箇所でひずみを計測することができる。
また、箱形となった断面の二つのウェブにそれぞれ可撓管を埋め込み、これらに挿通した光ファイバケーブルでひずみを計測することもできる。例えば、橋桁の軸線が曲線となっている場合等にも、ひずみの発生状態を正確に把握することができる。このように断面の左右の位置に可撓管を埋め込んだときにも、2本の可撓管の一方に光ファイバケーブルを挿通した後、曲げ回して他方の可撓管に挿通し、一本の光ファイバケーブルで各断面の2箇所でひずみを計測することができる。
さらに、図7に示すように、橋桁50の軸線方向に連続して埋設した1本の可撓管51に光ファイバケーブル52を挿通した後、曲げ回して同じ可撓管51に反対側から再度挿通することもできる。このように配置することにより、同じ可撓管51に1本の光ファイバケーブル52が往復で挿通されることになり、橋桁50の各断面における同じ位置について一本の光ファイバケーブル52で2つの計測データを得ることができる。したがって、計測精度を向上させることができる。
図8は、本発明に係るコンクリート構造物のひずみ計測方法によって得られる計測値を、従来の光ファイバケーブルをコンクリート内に直接埋設する方法で得られる計測値と比較した実験の結果を示す図である。
この実験では、供試体としてコンクリートからなる梁を製作し、光ファイバケーブルを直接埋設してひずみを計測する第1の計測方法、及び可撓管に光ファイバケーブルを挿通し、グラウトを施してひずみを計測する第2の計測方法の2種類の計測方法により、上記供試体のコンクリートのひずみを計測して、これらを比較した。
供試体は、長さが5mで断面が矩形の単純支持された梁とし、上縁付近及び下縁付近のそれぞれに、光ファイバケーブルを埋め込む。そして、下縁付近に直線配置した緊張材を緊張してプレストレスを導入したときのひずみを計測したものである。
なお、この実験に用いた光ファイバケーブルやひずみ計測器は上記実施の形態と同じものを用いている。
この実験では、供試体としてコンクリートからなる梁を製作し、光ファイバケーブルを直接埋設してひずみを計測する第1の計測方法、及び可撓管に光ファイバケーブルを挿通し、グラウトを施してひずみを計測する第2の計測方法の2種類の計測方法により、上記供試体のコンクリートのひずみを計測して、これらを比較した。
供試体は、長さが5mで断面が矩形の単純支持された梁とし、上縁付近及び下縁付近のそれぞれに、光ファイバケーブルを埋め込む。そして、下縁付近に直線配置した緊張材を緊張してプレストレスを導入したときのひずみを計測したものである。
なお、この実験に用いた光ファイバケーブルやひずみ計測器は上記実施の形態と同じものを用いている。
この図が示すように、供試体の梁の下縁付近及び上縁付近に生じたひずみは、光ファイバケーブルを直接埋設した第1の計測方法と可撓管に光ファイバケーブルを挿通して埋設した第2の計測方法とで計測結果にほとんど差は生じていない。また、双方の計測値は理論値とも大きく乖離することもない。
これにより、光ファイバケーブルを直接埋設する第1の計測方法と、本実施の形態による計測方法とでは同じような計測結果を得ることでき、本発明のコンクリート構造物のひずみ計測方法は、光ファイバケーブルを直接埋設するひずみ計測方法と同様に信頼性があることがわかる。
これにより、光ファイバケーブルを直接埋設する第1の計測方法と、本実施の形態による計測方法とでは同じような計測結果を得ることでき、本発明のコンクリート構造物のひずみ計測方法は、光ファイバケーブルを直接埋設するひずみ計測方法と同様に信頼性があることがわかる。
次に、本願発明の第2の実施形態について説明する。
本実施形態のコンクリート構造物のひずみ計測方法は、押し出し工法によって構築される橋桁のひずみを計測するものである。
なお、この実施の形態で用いられる光ファイバケーブル、可撓管及びひずみ計測器は、第1の実施の形態と同様であるので説明を省略する。
上記押し出し工法は、図9に示すように、橋桁21の架設位置に近接して桁製作ヤード22を設け、この桁製作ヤード22で施工ブロック毎にコンクリートを打設し、橋桁21の製作された部分を橋桁21の軸線方向に押し出す。そして、施工ブロック毎に順次打ち継いで連続する橋桁を完成するととともに所定の位置まで移動して設置するものである。
本実施形態のコンクリート構造物のひずみ計測方法は、押し出し工法によって構築される橋桁のひずみを計測するものである。
なお、この実施の形態で用いられる光ファイバケーブル、可撓管及びひずみ計測器は、第1の実施の形態と同様であるので説明を省略する。
上記押し出し工法は、図9に示すように、橋桁21の架設位置に近接して桁製作ヤード22を設け、この桁製作ヤード22で施工ブロック毎にコンクリートを打設し、橋桁21の製作された部分を橋桁21の軸線方向に押し出す。そして、施工ブロック毎に順次打ち継いで連続する橋桁を完成するととともに所定の位置まで移動して設置するものである。
上記押し出し工法によって製作される橋桁21のひずみを測定するために、桁製作ヤード22で第1の施工ブロック23のコンクリートを打設するときに可撓管(図示しない)を埋設しておく。そして、第2の施工ブロック24のコンクリートを第1の施工ブロックと連続するように打ち継ぐときに、第1の施工ブロック23に既に埋設された可撓管と連続するように可撓管を連結し、この連結された可撓管を第2の施工ブロック24のコンクリート中に埋設する。このように連続する可撓管を埋設しながら順次施工ブロックのコンクリートを打ち継ぎ、これらの施工ブロックからなる橋桁21を押し出して所定の位置に架設する。
ひずみを計測するための光ファイバケーブル(図示しない)は、すべての施工ブロックのコンクリートが打設された後、又は複数の施工ブロックのコンクリートが打設された後の橋桁の架設中に、コンクリート中に埋設された上記可撓管に挿通する。そして、可撓管にグラウトを注入し、グラウトが硬化することによって光ファイバケーブルが硬化したグラウト及びコンクリートと一体となってひずみが生じる状態となる。
このようにコンクリートと一体化した光ファイバケーブルの一端にひずみ測定器を接続して光パルスを入射し、後方散乱光を検知して橋桁のコンクリートに生じたひずみの大きさ及びひずみが生じた位置を計測する。
なお、図9中の符号25は橋桁を軸線方向に移動させる桁送り出し装置を、符号26は移動する橋桁の先端部分が片持ち状となって大きな曲げモーメントが発生するのを抑制するための手延べ桁を、符号27は移動中の橋桁に生じる曲げモーメントを低減するための仮支柱を示すものである。
このようにコンクリートと一体化した光ファイバケーブルの一端にひずみ測定器を接続して光パルスを入射し、後方散乱光を検知して橋桁のコンクリートに生じたひずみの大きさ及びひずみが生じた位置を計測する。
なお、図9中の符号25は橋桁を軸線方向に移動させる桁送り出し装置を、符号26は移動する橋桁の先端部分が片持ち状となって大きな曲げモーメントが発生するのを抑制するための手延べ桁を、符号27は移動中の橋桁に生じる曲げモーメントを低減するための仮支柱を示すものである。
図10は、本願発明の第3の実施形態であるひずみ計測方法が適用される橋桁の架設中の状態を示す概略側面図である。
本実施形態のコンクリート構造物のひずみ計測方法は、支保工32上で施工ブロック毎に分割して構築される橋桁31に採用されるものである。
なお、本実施の形態で用いられる光ファイバケーブル、可撓管、ひずみ計測器は第1の実施の形態と同様であるので説明を省略する。
本実施形態のコンクリート構造物のひずみ計測方法は、支保工32上で施工ブロック毎に分割して構築される橋桁31に採用されるものである。
なお、本実施の形態で用いられる光ファイバケーブル、可撓管、ひずみ計測器は第1の実施の形態と同様であるので説明を省略する。
このコンクリート構造物のひずみ計測方法では、第1の施工ブロック33のコンクリートが打設される前に可撓管(図示しない)を型枠内に配置しておき、この可撓管を埋め込むようにコンクリートを打設する。この施工ブロック33に連続して第2の施工ブロック34のコンクリートを打設するための型枠内には、第1の施工ブロック内に埋め込んだ可撓管と連続するように接合された可撓管を配置し、この可撓管を埋め込むように第2の施工ブロックのコンクリートを打設する。このように、打設しようとするコンクリートに埋め込む可撓管を、先にコンクリートが打設された施工ブロックに埋設された可撓管に連結し、順次施工ブロック毎に橋桁を形成する。
上記のようにして橋桁のコンクリートの打設が終了すると、又は複数の施工ブロックについてコンクリートの打設が完了した架設段階で、1本の光ファイバケーブルを複数の施工ブロックにわたって配置された可撓管に連続して挿通する。そして、可撓管内に注入したグラウトが硬化することによって、光ファイバケーブルはグラウト及びコンクリートと一体化される。
その後、第1の実施の形態と同様に、光ファイバケーブルの一端にひずみ測定器を接続し、光パルスを入射して後方散乱光を検知することによりひずみを計測する。
その後、第1の実施の形態と同様に、光ファイバケーブルの一端にひずみ測定器を接続し、光パルスを入射して後方散乱光を検知することによりひずみを計測する。
上記第2の実施形態及び第3の実施形態の計測方法でも、第1の実施形態と同様に、橋桁の上縁付近と下縁付近とに可撓管を埋め込んだり、幅方向の異なる複数の位置に可撓管を埋め込んだりして、断面の複数の位置でひずみを計測することができる。そして、順次に打設される施工ブロックに埋め込んだ可撓管は、途中で一旦コンクリート部材外に引き出して再びコンクリート部材内に埋め込むこともできる。
また、上記第2の実施形態及び第3の実施形態の計測方法でも、断面の異なる複数の位置にそれぞれ可撓管を埋め込んだときには、一つの可撓管に光ファイバケーブルを挿通した後、同じ光ファイバケーブルを曲げ回して他の可撓管に橋桁の軸線方向の逆方向へ挿通することもできる。また、同じ可撓管に逆方向から挿通し、一つの可撓管内で2つの計測データを取得することもできる。
また、上記第2の実施形態及び第3の実施形態の計測方法でも、断面の異なる複数の位置にそれぞれ可撓管を埋め込んだときには、一つの可撓管に光ファイバケーブルを挿通した後、同じ光ファイバケーブルを曲げ回して他の可撓管に橋桁の軸線方向の逆方向へ挿通することもできる。また、同じ可撓管に逆方向から挿通し、一つの可撓管内で2つの計測データを取得することもできる。
また、本発明の計測方法は、以上に説明した箱型の断面を有する橋桁に限定されることなく、断面形状がT型又はI型となった橋桁、スラブ状の橋桁等、他の様々な形状の橋桁に適用することができる。また、張り出し架設されるアーチリブ、橋脚等についても適用することができるし、建築物のコンクリートからなる躯体に用いることもできる。
1:橋桁、 2:橋脚、 3:橋台、 4:支承、 5:橋桁架設装置、 6:施工ブロック、 7:橋桁の支保工上で構築される範囲、
11:上床版、 12:下床版、 13:ウェブ、 14,15:PC鋼材、 16:可撓管、 17:グラウト、 18:光ファイバケーブル、
21:橋桁、 22:桁製作ヤード、 23:第1の施工ブロック、 24:第2の施工ブロック、 25:桁送り出し装置、 26:手延べ桁、 27:仮支柱、
31:橋桁、 32:支保工、 33:第1の施工ブロック、 34:第2の施工ブロック、
40:橋桁、 41:上縁付近に埋め込まれた可撓管、 42:下縁付近に埋め込まれた可撓管、 43:光ファイバケーブル、
50:橋桁、 51:可撓管、 52:光ファイバケーブル
11:上床版、 12:下床版、 13:ウェブ、 14,15:PC鋼材、 16:可撓管、 17:グラウト、 18:光ファイバケーブル、
21:橋桁、 22:桁製作ヤード、 23:第1の施工ブロック、 24:第2の施工ブロック、 25:桁送り出し装置、 26:手延べ桁、 27:仮支柱、
31:橋桁、 32:支保工、 33:第1の施工ブロック、 34:第2の施工ブロック、
40:橋桁、 41:上縁付近に埋め込まれた可撓管、 42:下縁付近に埋め込まれた可撓管、 43:光ファイバケーブル、
50:橋桁、 51:可撓管、 52:光ファイバケーブル
Claims (4)
- コンクリート構造物に発生するひずみを計測するひずみ計測方法であって、
前記コンクリート構造物は、複数の施工ブロックに分割して順次連続するようにコンクリートを打設して構築するものとし、
第1の施工ブロックのコンクリートを打設するための型枠内に管状部材を配置した後、前記管状部材を埋め込むようにコンクリートを打設し、
第2の施工ブロックのコンクリートを打設するための型枠内に前記第1の施工ブロック内に埋め込んだ管状部材と連続するように接続した管状部材を配置し、
該管状部材を埋め込み、第1の施工ブロックと連続するように第2の施工ブロックのコンクリートを打設し、
順次打設した複数の施工ブロックのコンクリートが硬化した後、複数の施工ブロックにわたって連続するように埋め込まれた前記管状部材内に光ファイバケーブルを挿通し、
前記管状部材内にグラウトを注入して、硬化したグラウトと前記光ファイバケーブルとを一体とし、
前記光ファイバケーブルが有する光ファイバに光パルスを入射して、該光ファイバ内に生じる散乱光を検知することにより、該光ファイバケーブルに沿って前記コンクリート構造物に発生したひずみを計測することを特徴とするコンクリート構造物のひずみ計測方法。 - 前記コンクリート構造物は橋桁であり、
複数の施工ブロックにわたって連続するように埋め込まれた前記管状部材は、複数の施工ブロックにわたって前記橋桁の上縁付近に埋め込んだものと、上縁付近に前記管状部材が埋め込まれた複数の施工ブロックとは別の複数の施工ブロックにわたって前記橋桁の下縁付近に埋め込んだものとを設け、
前記下縁付近に埋め込んだ管状部材内と、前記上縁付近に埋め込んだ管状部材内とに、連続した前記光ファイバケーブルを挿通することを特徴とする請求項1に記載のコンクリート構造物のひずみ計測方法。 - 前記コンクリート構造物は橋桁であり、
前記管状部材は、前記橋桁の断面の異なる複数の位置に、複数の施工ブロックにわたって該橋桁の軸線方向に連続して埋設されるように、それぞれ配置し、
前記光ファイバケーブルは、前記管状部材の一つに挿通した後、曲げ回して該橋桁の断面内の他の位置に埋設された管状部材に、該橋桁の軸線の逆方向に挿通することを特徴とする請求項1に記載のコンクリート構造物のひずみ計測方法。 - 前記光ファイバケーブルは、前記橋桁の複数の施工ブロックにわたって連続して埋設された前記管状部材に一方端から他方端に挿通した後、曲げ回して同じ管状部材内に前記他方端から前記一方端に挿通することを特徴とする請求項1に記載のコンクリート構造物のひずみ計測方法。
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