JP2005221381A - 腐食監視方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】目視で確認することが難しい設備への浸水を検知し、腐食の状態と腐食速度を調べる方法を提供することを目的とする。
【解決手段】設備11の検査部に、複数電極からなる測定電極12を取り付けて、電気化学ノイズ抵抗の変化を測定することにより、上記設備の腐食状況を調査する腐食監視方法を用いる。
【選択図】図1

Description

この発明は、断熱材に覆われた設備の保守点検に関する。
化学プラントなどの設備において、内部の温度を保持する必要がある場合には、外気へ熱が流出するのを防止するために、断熱材で上記設備を取り巻いている。ところが、上記設備が屋外にある場合は、雨水や飛沫海塩などが上記断熱材の内部へ浸透して、上記設備本体を腐食させることがある。これを防止するために、上記断熱材を取り巻いて雨水などを防ぐ外装材は存在するが、雨水などによる上記外装材そのものの劣化や、目地などの施工不良等が抜け穴となるため、侵入を完全に防ぐことは難しく、腐食が起こることは避けがたい。
このため、上記設備そのものが管理限界内にあるか否かをこまめに監視する必要があるが、上記設備は上記断熱材に覆われているために、目視による監視が出来ず、腐食を発見するには検査のたびに上記断熱材を撤去する必要があった。また、断熱材で取り巻いていなくても、高さがある上記設備では、目視による検査を行うのも容易ではなかった。
上記断熱材の撤去と、その後の復旧には手間と費用がかかるため、目視ではなく、上記断熱材を撤去せずに上記設備の腐食を検査する方法として、次のような方法が知られている。
まず、雨水などが侵入すると温度が変化することを利用して、サーモグラフィーにより上記断熱材外部から温度を測定して、水の侵入箇所を選定する方法が知られている。次に、中性子が水素に吸収されることを利用して、中性子測定により雨水などが浸入した箇所を選定する方法が知られている。さらに、上記断熱材外部からX線を測定し、腐食状態を明確に調べることが出来る方法も知られている。
しかしながら、これらの方法にはいずれも問題点があった。サーモグラフィーを用いる方法では、実際の断熱材下で起こる腐食は100℃以下であることが多いため、明確な温度差が検出できず、判定することが難しかった。また。浸水部がわかったとしても、腐食の状態や腐食速度を求めることはできなかった。
また、中性子測定による方法では、設備内に存在する水素にも中性子が吸収され得るために、浸水による吸収であるか設備への吸収であるかの判定が難しかった。また、浸水部がわかったとしても、腐食の状態や腐食速度を求めることは出来なかった。
さらに、X線を用いた測定では、浸水部の位置と腐食の状態とは明確にわかるが、腐食速度を調べることは出来なかった。さらに、費用が高いという問題もあった。
そこでこの発明は、目視で確認することが難しい設備への浸水を検知し、腐食の状態と腐食速度を調べる方法を提供することを目的とする。
この発明は、設備の検査部に、複数電極からなる測定電極を取り付けて、電気化学ノイズ抵抗の変化を測定することにより、上記設備の腐食状況を調査する腐食監視方法によって、上記の課題を解決したのである。
この発明にかかる方法を用いることにより、断熱材に覆われた設備の腐食を、検査のたびに断熱材を取り外すことなく、検知することができる。また、目視で確認することが困難な高所にある箇所でも、一度測定電極を取り付ければ、その測定電極に繋がるケーブルによって腐食を検知することができる。さらに、腐食の状態や腐食速度を知るための情報も得ることが出来る。
以下、この発明について詳細に説明する。
この発明は、設備の検査部に、複数電極からなる測定電極を取り付けて、電気化学ノイズ抵抗の変化を測定することにより、上記設備の腐食状況を調査する腐食監視方法である。
この発明を用いる上記設備としては、例えば、化学プラントなどのように、屋外で風雨に曝される環境にある配管、槽、塔などが挙げられる。また、これらに限らず、水が浸入することによる金属の腐食が起こる可能性のあるものであれば、適用可能である。これら設備が、断熱材に覆われていたり、配管等が入り組んでいる箇所であったり、かつ/又は高所であったりすることにより、視認しにくく、手が届きにくく、かつ/又は危険であったりして、目視で腐食の検知を行うことが難しい場合に、この発明はよりよい効果を発揮する。
具体的に高所とは、例えば、人が通常動き回る床の高さから2メートル以上離れた、目視での検査の際に脚立や梯子などが必要となったり、安全性に問題があったりする箇所をいう。望ましくは、鉛直方向に2〜200メートル離れたところである。2メートル未満であれば、測定や目視が難しくないのでこの発明を用いる意義に乏しく、一方、基準となる床の高さから200メートルを超える位置にある設備だと途中で別に床となるべきものが設けられていることが多い。さらに、断熱材に覆われていてかつ上記のような高所にある場合や、配管等が入り組んでいてかつ上記のような高所にある場合でも、この発明を用いることによって簡便に腐食状況の調査が可能となる。
上記検査部としては、上記設備のうち、腐食しやすいと想定される箇所であると望ましい。上記設備が大きい場合に、その全体をくまなく検査するのは困難だからであり、過去の経験上、腐食しやすい場所を集中して検査すると効率的である。この腐食しやすい場所とは、へこみがあったり、ひさし状の部位が伸びたりして、侵入した水が集まりやすかったり、残りやすかったりする場所であり、かつ、断熱材に覆われていたり塔の頂上のような高所で目視による検査が困難であったりする場所が挙げられる。雨水等Aが浸入する図1に示す設備11の、11aに示すような箇所である。
上記測定電極は、同一材質である複数の電極からなるものである必要がある。この測定電極を有する電気化学センサが、電気化学的電流ノイズInと電気化学的電位ノイズVnとを測定し、電気化学ノイズ抵抗Rnを算出することで、電気化学ノイズ抵抗Rnの変化を間接的に測定するものであると望ましい。また、電極は少なくとも2電極以上であることが必要であり、3電極系であると望ましい。それらの電極は、必ずしも各極が1個の電極のみで成り立っている必要は無く、図2(a)に示すように、より広範囲を効果的に感知するために、各極がさらに分かれているとより望ましい。ただし、これらの電極はお互いの位置が動かないように、電極板12に固定されていることが望ましい。固定されていないと、電極の相対的な動きによって、測定される電気化学ノイズ抵抗Rnの値が変動してしまうおそれがあるからである。
上記の電極板12を検査部11aに取り付ける際には、図2(b)の矢印のように、電極21〜23が直接に検査部11aに接触するようにして、電極21〜23に繋げた信号を伝達するケーブル13とともに取り付ける。図1に示すように、断熱材14が設けられている場合は、上記ケーブル13を断熱材14及び外装材15外まで延ばすと望ましい。検査部11aが上記のような高所や入り組んだ箇所にある場合は、人が容易に測定可能な地点までケーブル13を延ばすと望ましい。このケーブル13の先に測定装置100を接続して測定を行うと、測定装置100を接近させることが難しい箇所にある検査部11aであっても、測定が容易にできる。そのため、検査部11aに電極板12を固定しておき、そこから延ばしたケーブル13と測定装置100とが自在に脱着できるように、ケーブル13の先端に接続端子13aを設けておくと望ましい。その場合、測定時には、この接続端子13aに測定装置100を繋げて測定を行う。
上記の取り付ける作業は、断熱材14を設置する前に予め行っておくことが望ましいが、断熱材14を既に設置してある場合には、一度、少なくとも設置する部分の断熱材14を撤去して取り付ける。電極板12を取り付けた後に設備11の腐食状況を調査する際には、調査のたびに断熱材14を撤去する必要はなく、断熱材14及び外装材15外に延びたケーブル13にコンピュータ40等からなる測定装置100を繋ぐだけで、上記電気化学ノイズ抵抗Rnを測定し、腐食状況を監視することが出来る。
なお、この方法により、配管の入り組んだ場所や、高所など、人が行きにくい箇所や手が届きにくい箇所の腐食状況を調査することも出来る。
具体的には、上記電気化学センサは、上記のように検査部11aに接触させた電極21〜23と、それにケーブル13で繋がった測定装置100からなる。上記の検査部11aに水が浸入して、設備11及び電極21〜23が腐食すると、水に溶解したイオン又はラジカルの量が変化し、検査部11aと接触している上記電気化学センサの電極21〜23にも影響を及ぼし、電極間抵抗が変化する。この各電極間の電流と電圧とを測定装置100で測定することで、電気化学的電流ノイズIn及び電気化学的電位ノイズVnの値を得て、これらからオームの法則による下記式(1)に従い、電気化学ノイズ抵抗Rnを算出できる。この電気化学ノイズ抵抗Rnの変動を調べることで、設備11の腐食状況を調査できる。
Rn=Vn/In (1)
上記の電気化学センサと、それにより得られたデータの調査方法について、例として図3乃至図5を用いてより詳細に説明する。
図3は、本実施形態例を含む電気化学センサの全体構成の概要を示すブロック図であり、ここでは、本実施形態例を含む電気化学センサの構成とその作用ならびに効果について述べる。
まず、電極を含む電流電圧測定手段20について説明する。これは、図3に示す電気化学センサのうち、測定電極、無抵抗電流計24、電圧計25、及びバンドパスフィルター26、27から構成される。上記測定電極の電極部分は、同一材質からなり、並列である第1、第2及び第3の各電極21、22、23である。なお、これらの電極は、先端がさらに複数の極に分かれていてもよい。また、これらの電極が相互に動かないように、かつ接触しないように一つに固定して、図2に示すような電極板にまとめてもよい。
電極21〜23の材質は、測定する上記設備の検査部11aの材質と同一であることが望ましい。しかし、検査部11aの材質が腐食しやすいものである場合は、上記電極21〜23を検査部11aと同じ材質にしようとすると、腐食に耐えるために厚みを大きくしなければならなくなる。上記電極21〜23の厚みが大きすぎると、得られるデータが実際の測定環境とは乖離したものになるおそれがある。この場合、電極21〜23の材質を、腐食しにくいSUS304などのステンレスなどにして測定し、同一腐食環境における検査部11aと電極21〜23との材質のノイズ抵抗のデータを、測定とは別に実験で求めておき、得られた双方の実験データにより、腐食しにくい材質の電極21〜23で得られた測定データを、検査部11aにおける測定データに換算すると望ましい。
上記の測定電極は、上記設備の上記検査部に接触するように取り付けられ、固定される。これら測定電極から無抵抗電流計24及び電圧計25までは、上記断熱材14や外装材15の外まで延びるケーブル13で接続されているとよく、無抵抗電流計24及び電圧計25を含むコンピュータ40側は取り外し可能であると望ましい。上記の取り外し可能である部分を、必要時にのみ上記測定電極に繋がるケーブル13の先端に設けた接続端子13aに接続して測定するようにすると、設備を簡素化できるからである。
また、上記第1の電極21と第2の電極22間には、内部抵抗がほぼゼロの電流測定回路、いわゆる無抵抗電流計(zero resistance ammeter)24を接続させ、上記第2の電極22と第3の電極23間には、該電極側に影響を与えずに信号電圧を測定し得る入力インピーダンスが非常に大きいアンプ回路、すなわち電圧計25を接続させる。
従って、この態様の場合、上記第1の電極21と第2の電極22間には、それぞれ、各電極表面の腐食の進行程度に応じたカップリング電流Imean(a)を生じ、該カップリング電流Imean(a)は、上記無抵抗電流計24によって測定され、且つ後述する信号処理をなした上で、データ記憶手段であるコンピュータ40のデータ記録部50に時系列で蓄積される。
このとき、上記カップリング電流Imean(a)に含まれる上記電気化学的電流ノイズInについての変動は、上記カップリング電流Imean(a)から、フィルター回路、特にバンドパスフィルター回路26によって、その低周波数領域、特に1Hz程度以下の周波数領域、好ましくは0.01〜1Hz程度の周波数領域における上記電流aの変動を抽出して得ることができ、この抽出された電気化学的電流ノイズInもまた後述する信号処理をなした上で、コンピュータ40のデータ記録部50に時系列で蓄積される。なお、この電気化学的電流ノイズInは、コンピュータ40に取り込まれたカップリング電流Imean(a)をしかるべく演算処理し、その標準偏差を求めることによっても同様に得られる。
一方、電気化学的電位ノイズVnについては、上記第2の電極22と第3の電極23間の電位差Vmean(b)を電圧計25によって測定し、フィルター回路、特にバンドパスフィルター回路27によって、その低周波数領域、特に1Hz程度以下の周波数領域、好ましくは0.01〜1Hz程度の周波数領域における上記電位差の変動を抽出して得ることができ、該測定された電気化学的電位ノイズVnもまた後述する信号処理をなした上で、コンピュータ40のデータ記録部50に時系列で蓄積される。ここでも、この電気化学的電位ノイズVnは、上記電位差Vmean(b)を直接コンピュータ40に取り込んで、算出工程60でしかるべく演算処理し、その標準偏差を求めることによっても同様に得られる。
次に、上記各測定データ信号(電流及び電圧の各測定データ)をコンピュータ40に入力するまでのデータ処理の具体的な回路手段の詳細を図4(a)、(b)及び図5(a)、(b)に示す。
図4(a)、(b)は、同上データ処理回路をアナログ回路によって構成したときの一例である。この場合、先ず、上記電流信号、即ち、上記第1の電極21と第2の電極22間のカップリング電流aは、同図(a)にみられるように、無抵抗電流計24によって測定されると共に、その電流信号の一方は、信号の2乗平均を求めるRMS回路→求めた信号を直流に変換するDC回路→直流に変換された信号を対数に変換するLOG回路からなるコンバータ(以下、対数コンバータという)31によって対数変換され、さらに、アナログ/デジタルコンバータ(以下、A/Dコンバータという)33によってデジタル変換された後、上記コンピュータ40にカップリング電流Imean(a)として入力される。また、電流信号の他方は、バンドパスフィルター回路26によって1Hz程度以下の周波数成分が取り出された上で、同様に対数コンバータ31によって対数変換され、さらに、A/Dコンバータ33によってデジタル変換された後、上記コンピュータ40に電気化学的電流ノイズInとして入力される。
次いで、上記電圧信号、即ち、上記第2の電極22と第3の電極23間の電位差は、同図(b)にみられるように、電圧計25によって測定され、かつこの信号からバンドパスフィルター回路27によって1Hz程度以下の周波数成分が取り出された上で、ここでも、対数コンバータ32によって対数変換され、さらに、A/Dコンバータ34によってデジタル変換された後、上記コンピュータ40に電気化学的電位ノイズVnとして入力される。
一方、図5(a)、(b)は、上記図4(a)、(b)のアナログ回路構成に対応してデータ処理回路をデジタル回路で構成したときの一例で、図中、同一符号は、同一又は相当部分を示しており、該デジタル回路構成によっても同様な作用が得られる。なお、図3におけるコンバータの記載はアナログ回路を用いた場合であり、図5のようにデジタル回路を用いた場合は、上記対数コンバータ31、32が省略される。
なお、コンピュータ40にデータを入力する際に、それらのデータを記録しておくデータ記録部50は、一旦保存するために光ディスクや磁気ディスクのような保存性の記録媒体であってもよいし、すぐに算出を行うために非保存性の半導体メモリであってもよい。
このようにして得られた電気化学的電流ノイズIn、及び電気化学的電位ノイズVnのデータに基づき、上記式(1)によって電気化学ノイズ抵抗Rnを、算出工程60によって算出する。このとき、計算に用いる電気化学的電流ノイズInと電気化学的電位ノイズVnとのデータは、一度保存媒体であるデータ記録部50に保存してから読み出したものでもよいし、上記半導体メモリであるデータ記録部50にリアルタイムに送られてくるデータを順次処理するものであってもよい。また、カップリング電流Imean(a)と、電位差Vmean(b)とから、算出工程60により標準偏差を算出し、電気化学的電流ノイズInと電気化学的電位ノイズVnとを求め、すぐに電気化学ノイズ抵抗Rnを算出してもよい。これらのようにして算出された電気化学ノイズ抵抗Rnの値の変化により、上記設備の腐食状況を調査する。
上記Rnの推移は、CRTや液晶等のディスプレイ91の画面上やプリンタ92のプリントアウトとして出力表示される。また、上記出力表示には、カップリング電流Imean(a)と、電気化学的電流ノイズIn及び電気化学的電位ノイズVnとの各測定データの瞬時値や、それを時系列順に表したトレンド値の推移、その累積値などをも各別若しくは相互に関連付けて表示させることもできる。
さらに、これらのデータを、上記の瞬時値や推移、累積値などを含めて、長期間にわたる変動の推移を蓄積してより確実な調査材料とするために、磁気ディスクや光ディスクなどの保存媒体を含む記録手段に記録しておくと望ましい。
これらのデータの蓄積から、腐食の発生や腐食の状況、さらに腐食速度をも推測することが可能である。検査部に水が浸入して腐食が進行すると、一般に、上記電気化学ノイズ抵抗Rnは低下し、その低下する低下幅や、低下する速度から状況等が推測できる。さらに、これらのデータと、実際の腐食状況とを関連づけて記録を積み重ねることによって、上記設備の肉厚が管理限界値に達する時期を予測することができる。
上記管理限界値に達する時期、すなわち、現時点から設備の肉厚が管理限界に達するまでの時間Pを予測する方法は次の通りである。
腐食速度Crは、検査部表面で起こる電極反応の電流値に比例するため、検査部の上記電気化学ノイズ抵抗Rnに反比例する。したがって、腐食速度Crは下記式(2)により求められる。
Cr=F/Rn (2)
ここでFは、検査部及び電極材料により決まる係数であり、実際の設備でなくても、実験室内の実験で求めることができる。
上記設備の測定開始時点の金属肉厚をW、上記設備の管理限界となる肉厚をw、現時点での腐食速度をCr(t)とすると、上記の現時点から設備の肉厚が管理限界に達するまでの時間Pは、下記式(3)により求められる。
P=[(W−∫Cr・dt)−w]/Cr(t) (3)
なお、∫Cr・dtは、測定開始から現在までの合計腐食量を意味する。この式(3)により、管理限界に達する時期を予測することができ、検査のたびに断熱材を剥がしたり、高所に上って作業したりしなくても、普段は設置したセンサからケーブルを通して測定するだけでよく、修復や交換等が必要なときにのみこれらのことを行えば済むようになる。
以下、実施例によりこの発明をさらに具体的に説明する。
屋外にあって、断熱材と外装材とに覆われている炭素鋼の配管に、図3〜図4に記載の構成を有する電気化学センサの図2に記載された形状の電極を設けた。その電極材料はSUS304製であり、各々の電極板は厚さ1mm、幅15mm、長さ100mmの長方形板であり、それぞれ二枚一組で1つの極を為している。また、各電極間の間は2mmである。
なお、電極の材質と取り付ける配管の材質が異なっているが、これは、電極の材質を炭素鋼とすると、腐食が速く進行しすぎてしまうためにその分だけ電極厚みを大きくしなければならなくなり、これにより、測定環境と得られるデータとが大きく乖離する可能性があるためである。この実施例においては、同一腐食環境における炭素鋼とSUS304とのノイズ抵抗のデータを予め求めておき、管理の際には、SUS304によるデータを炭素鋼に換算したデータを用いる。
この電極を用いて、晴れ又は曇りの日が続いた場合と、雨が降った日を含む場合とにおいて、一週間に亘って電気化学ノイズ抵抗Rnを測定した。その結果をそれぞれ図6及び図7に示す。なおこの系では、観測される電気化学ノイズ抵抗Rnが103以下となったとき、腐食が生じたことをあらかじめ確認してある。また、配管温度及び気温は常温であった。なお、これらの測定は異なった日に同じ設備で行った。
(結果)
雨が降った日は、晴れ又は曇りの日と比較して、平均で一桁近く電気化学ノイズ抵抗Rnが低下し、配管の検査部に水が浸入して、電極部に影響が出ていることが検出された。しかし、腐食が進行するまでには至っておらず、雨が止むと電気化学ノイズ抵抗Rnは晴れていた場合とほぼ同じ値に戻った。
設備に電極を取り付ける際の概念図 電気化学センサの電極部の例図 電気化学センサの全体構成の概要を示すブロック図 図3の電気化学センサにおける電流、電圧の各測定データの処理回路をアナログ回路で構成したときの例を示すブロック図 図3の電気化学センサにおける電流、電圧の各測定データの処理回路をデジタル回路で構成したときの例を示すブロック図 晴れ又は曇りの日が続いた際の、電気化学ノイズ抵抗の変遷を示したグラフ 雨が降った際の、電気化学ノイズ抵抗の変遷を示したグラフ
符号の説明
11 設備
11a 検査部
12 電極板
13 ケーブル
13a 接続端子
14 断熱材
15 外装材
20 電圧電流測定手段
21 第1の電極
22 第2の電極
23 第3の電極
24 無抵抗電流計
25 電圧計
26、27 バンドパスフィルター回路
30 コンバータ
31、32 対数コンバータ
33、34 A/Dコンバータ
40 コンピュータ
50 データ記録部
60 電気化学ノイズ抵抗(Rn)の算出工程
91 ディスプレイ
92 プリンタ
100 測定装置
A 雨水等
mean カップリング電流(a)
In 電気化学的電流ノイズ
mean 電位差(b)
Vn 電気化学的電位ノイズ

Claims (4)

  1. 断熱材に覆われた箇所、及び/又は高所に存在する設備の検査部に、複数の電極からなる測定電極を取り付けて、電気化学ノイズ抵抗の変化を測定することにより、上記設備の腐食状況を調査する腐食監視方法。
  2. 上記測定電極を、それに繋げたケーブルとともに上記検査部に取り付け、調査時に上記ケーブルを通して測定して上記電気化学ノイズ抵抗の変化を求める、請求項1に記載の腐食監視方法。
  3. 上記の測定電極は3極の電極からなり、これらに繋げる電気化学センサを構成する測定装置が、
    電気化学的電流ノイズ及び電気化学的電位ノイズをそれぞれに測定する電流電圧測定手段、上記電流電圧測定手段で測定された電気化学的電流ノイズ並びに電気化学的電位ノイズの各測定データを取り入れて、この測定データを時系列に蓄積するデータ記録部、並びに、上記データ記録部に時系列順に記録された電気化学的電流ノイズ又は電気化学的電位ノイズの測定データを取り出し、この取り出されたデータから上記設備の検査部の電気化学ノイズ抵抗を算出する算出工程を有するものである、請求項1又は2に記載の腐食監視方法。
  4. 請求項1乃至3のいずれかに記載の腐食監視方法で得られる上記電気化学ノイズ抵抗の変化から、上記設備の肉厚が管理限界値に達する時期を予測する予測方法。
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