JP6472329B2 - 変圧器の余寿命診断法、余寿命診断装置および余寿命診断システム - Google Patents

変圧器の余寿命診断法、余寿命診断装置および余寿命診断システム Download PDF

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Description

本発明は、変圧器の余寿命診断法、余寿命診断装置および余寿命診断システムに関する
モールド変圧器は、省メンテナンス性に優れ、今後、適用範囲の拡大が期待されている。適用範囲拡大の例としては、寒冷、高温、乾燥、湿気他の、通常とは異なる特殊な環境での設置が挙げられる。この様な特殊な環境に設置しても、モールド変圧器を通常環境化における信頼性と同等の信頼性を維持する必要がある。
さらに、余寿命診断により、製品取り換え時期を精度よく予測可能となれば、不具合が発生する直前に製品を取り換えられるので、変圧器の取り換え費用も含めた保守コストを削減可能となる。さらには特殊環境化での変圧器の信頼性の向上にもつながる。大容量器では、一台あたりの製品価格が高く、置き換えコスト削減による効果は大きいため、高精度な余寿命診断技術が重要となっている。
特開平9−243471号公報 特開2007−285930号公報
変圧器の余寿命診断にて、変圧器全箇所の特性測定では、予防保全にかかるコストが大きくなる可能性がある。また、通常実施されている熱劣化の予防保全のみを考慮すると、寿命を過大評価する可能性がある。
特許文献1は、モールドコイルの応力を測定するため、モールドコイル表面に孔を有する金属薄膜が接着されている。金属薄膜に繰り返し応力が作用すると、孔の周囲に応力が集中する。金属薄膜を、製品全体に均一に配置すると、特性測定のためのコストが大となる可能性がある。
特許文献2は、高分子材料の劣化の程度を診断する方法であり、被診断の高分子材料に2種類の単一波長光をそれぞれ照射し各波長に対する反射率を求め、被高分子材料の反射率が軌跡線上のどの位置にあるかを調べることにより劣化程度を判定する。該診断方法は熱劣化のみを考慮しているため、寿命を過大評価する可能性がある。
特に、従来の熱劣化のみをベースとする余寿命診断では、変圧器を構成する樹脂/絶縁紙/金属の複合材において温度差が発生する場合、線膨張係数の違いで発生する熱応力を考慮できず、余寿命の誤差が大きくなる恐れがある。
本発明は、前記の課題を解決するための発明であって、予防保全に係るコストを低減することができる変圧器の余寿命診断法、余寿命診断装置および余寿命診断システムを提供することを目的とする。
前記目的を達成するため、本発明の変圧器の余寿命診断法は、樹脂、絶縁紙、金属を含む複合材で構成される筒状のコイルを有する変圧器において、コイルの端面近傍で、かつ、コイルの周方向の所定の長さをΔLとするとコイルの肉厚Wの変化量ΔW/ΔLの絶対値が、コイルの周方向全体の該肉厚Wの変化量の平均値より大きい箇所で、複合材の特性を計測し、該計測の値を用いて変圧器の余寿命を診断することを特徴とする。本発明のその他の態様については、後記する実施形態において説明する。
本発明によれば、予防保全に係るコストを低減することができる。
モールド変圧器の構成を示す斜視図およびその一部を示す部分断面図である。 実施形態に係る計測機器の設置位置と試験材を示す図であり、(a)は、コイル端面の所定位置に計測機器を設置した場合を示す図であり、(b)は試験材の切り出し部分を示す図である。 試験材の冷熱サイクル試験の試験結果を示す図である。 冷熱サイクル試験の一例を示す図である。 余寿命診断法の処理フローを示す図である。 余寿命診断装置の構成を示す図である。 計測値履歴の一例を示す図である。 熱応力解析による応力集中箇所を示す図であり、(a)はFEM解析で用いた1次側コイルの形状、(b)はコイル内部の応力集中箇所の解析結果である。 計測機器の設置位置を示す図である。 応力緩衝材近傍の詳細図であり、計測機器の設置位置を示す図である。 計測機器の設置位置の他の例を示す図である。
本発明を実施するための実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は、モールド変圧器の構成を示す斜視図およびその一部を示す部分断面図である。モールド変圧器は、内側から鉄心3と、この鉄心3に巻装され、電流を出力する巻線導体が複数巻かれて形成される2次側コイル2と、2次側コイル2の外周に巻装され、電流を入力する巻線導体が複数巻かれて形成される1次側コイル1と、これらを支持する筐体支持部4とで概略構成されている。なお、1次側コイル1は高電圧側コイルであり、2次側コイル2は低電圧側コイルである。
1次側コイル1と2次側コイル2は、図1の断面図に示すように、鉄心3の外周に複数巻回された巻線導体5同士の層間に絶縁シート6が配置され、更に、その周囲が、絶縁シート6とは熱膨張係数が異なるエポキシ樹脂などのモールド樹脂7で一体にモールドされて構成されている。尚、絶縁シート6は、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)製などの有機絶縁シートからなる。
このように構成されたモールド変圧器では、硬化温度から室温まで冷却した際に熱応力が大きくなりクラックの発生が懸念される部位に、巻線導体5と接しておらず、かつ、巻線導体5から鉄心3の軸方向に対して平行に伸びている絶縁シート6の端部とモールド樹脂7がある。
ここで、クラックとは、成形されたモールド樹脂7にひび割れが入ることであり、熱応力とは、拘束されている物体に熱変化が加わったときに生じる内力のことである。拘束のない物体の場合は、熱変化が加わったときに自由膨張、或いは自由収縮する。しかし、物体が拘束されていると、この変形を妨げるように熱応力が発生する。
近年、絶縁材として低コストで線膨張係数が樹脂と大きく異なる絶縁紙を利用することが多くなってきた。このため、従来課題となっていなかった冷熱サイクル時に樹脂との線膨張率の差により発生するクラック耐性を向上する必要がでてきた。そこで、本実施形態では、図2に示す試験材で樹脂強度を調査した。
図2は、実施形態に係る計測機器の設置位置と試験材を示す図であり、(a)は、コイル端面の所定位置に計測機器を設置した場合を示す図であり、(b)は試験材の切り出し部分を示す図である。図2(a)において、1次側コイル1において、1a,1bは1次側コイル1のコイル端面であり、1cは1次側コイル1のコイル側面である。
ここで、本実施形態の特徴は、図2に示すように、評価対象機器の変圧器において、部材の物理量の変化を、後記する評価法により所定の位置に計測機器8(例えば、温度センサ、歪センサ)を置くと有効であることを見出した。例えば、図2(a)に示すように、コイル端面1aの所定位置である。その所定位置を見出すために、試験材10による基礎特性実験を実施した。なお、評価対象機器の変圧器は、温度サイクルが発生する環境に置かれている。
図2(b)は、図2(a)の部分を切り出して拡大表示した試験材10である。切り出す試験材10としては、最低限、モールド樹脂7の絶縁材、絶縁シート6の絶縁紙、巻線導体5の金属で構成されていればよい。このように、変圧器のコイルの構成材である絶縁材、絶縁紙、金属の複合材を含む構造を切りだした試験材10を用いて、冷熱サイクル試験を実施した。冷熱サイクル試験の際、絶縁シート6のうち先端部6aは、熱応力がかかり易い位置として検討した。
図3は、試験材の冷熱サイクル試験の試験結果を示す図である。図4は、冷熱サイクル試験の一例を示す図である。前記したように、コイルを構成する巻線導体5の周りには絶縁紙、その周りに樹脂材がある。このとき、試験材10に温度サイクル(冷熱サイクル)を与える。巻線導体5および樹脂に比べて、絶縁紙の線膨張係数が小さいため、熱応力が発生する。
図3の横軸は冷熱サイクル数、縦軸は樹脂強度である。冷熱サイクル試験は、複合材である試験材10と、試験材10と同じ形状・同じ大きさの樹脂単独の試験材も実施している。樹脂強度は、一定の冷熱サイクル試験間隔にて、恒温装置内に複数ある試験材の一つを取り出し、これの引張り試験で破壊するときの強度(破壊強度)から算出した。冷熱サイクル試験では、恒温器に試験材10を入れ、図4に示す温度履歴に制御する。なお、余寿命は、図2にて樹脂強度がある一定値以下(例えば、樹脂強度が1/2p.u.以下)となる冷熱サイクルから余寿命を見積もる。
図2から、試験サイクルが大きくなるにつれ、樹脂の強度が小さくなることが分かった。さらに樹脂単独の方が、劣化スピードが小さくなることがわかる。このように試験材10での材料特性(例えば、温度、歪、赤外吸収(IR)、部分放電、形状、質量、抵抗)の 経時変化を温度センサ、歪センサ、赤外吸収計測装置、部分放電計測装置、光センサ、水晶振動質量分析装置、抵抗計で計測し、特に破壊強度・歪と冷熱サイクル数(試験回数)の関係を余寿命診断装置100(図6参照)のデータベース120(記憶部)に格納する。
なお、赤外吸収とは、試料に赤外線をあて吸収された赤外吸収スペクトルを計測することによって定性を行う分析方法のひとつである。光センサとは、光によって物の大きさや、長さなどの物理量、位置や段差、変位、外観を検知する機器である。検知する方法として、光を反射する反射型フォトセンサを用いるとよい。
試験材10での材料特性(例えば、温度、歪、赤外吸収(IR)、部分放電、形状、質量、抵抗)を得るには、取得するためのコスト(費用)を考慮するとよい。すなわち、計測に係るコストの順で計測装置を順番づけると、例えば、水晶振動質量分析装置、光センサによる精密計測装置、部分放電計測装置となる。計測費用を含め低コストと高コストの計測の関係と、冷熱サイクルに伴う強度劣化の関係を予め調べることで、低コストのみの計測で、高コストの計測を近似的に見積ることができる。
ここで、図2(a)に示すように、1次側コイル1は、筒状コイル形状であり、コイルの肉厚Wの変化分ΔWを周方向Lの所定長さΔLで割った値であるΔW/ΔLを、肉厚の変化量と呼ぶ。熱応力計算により、肉厚の変化量ΔW/ΔLの絶対値(|ΔW/ΔL|)が、周方向全体での平均値より大きい箇所で、クラック耐性が低減することが判明した。
なお、解析条件には、巻線導体5(例えば、アルミニウム、銅)、絶縁シート6、モールド樹脂7の熱膨張係数を代入した。周方向全体での平均値とは、全周をLallとすると、N箇所(N=Lall/ΔL)のΔW/ΔLの絶対値の積算をNで除算した値となる。また、1次側コイル1が円筒状で、かつ、コイルの肉厚Wが同一の場合は、ΔWがゼロとなり、この場合、肉厚の変化量ΔW/ΔLはゼロとなる。
また、応力計算では、肉厚の変化量ΔW/ΔLの絶対値が、周方向全体の平均値より大きい場合の方が、小さい場合に比べて、冷熱サイクルで発生する残留熱応力が大きかった。すなわち、コイルが膨らんでいる状態の方が、残留熱応力が大きいことを意味している。
このため、図2(a)に示すように、肉厚の変化量ΔW/ΔLの絶対値が、周方向全体の平均値より大きい箇所に材料特性を評価する計測機器8(例えば、温度センサ、歪センサ)を設置するとよい。その箇所での温度、歪を境界条件として、変圧器全体の熱応力解析を実施し、熱応力が最大となる部位を、余寿命診断装置100(図6参照)により導出する。
図5は、余寿命診断法の処理フローを示す図である。余寿命診断法は、3ステップに大きく分けられる。
ステップS1:冷熱サイクル試験での複合材の材料特性の経時変化を計測し、その結果をデータベース120(図6参照)に格納する。材料特性としては、温度、歪、強度(破壊強度)、赤外吸収(IR)、部分放電、形状、質量、抵抗がある。また、材料特性の経時変化に基づく劣化疲労モデルを、データベース120に格納する。劣化疲労モデルとしては、冷熱サイクルに対する材料特性の変化がある。
疲労劣化については、繰り返し応力による疲労破壊現象が挙げられる。長期試験が可能な場合にはクリープ試験等を実施するが、短期的に予測することも可能であり、Baskuin則、Coffin-Manson則がある。Baskuin則は特に高サイクル疲労とよばれる、破壊応力よりも低い領域でかつ長期にわたってサイクルが繰り返される場合に適用される。Baskuin則は次式で表わされる。
Δσ・Nα=E・C ・・・・(1)
ここで、Δσは繰り返し応力の大きさ、Nは破壊に至るサイクル数、Eは弾性率、αとCは物質に固有の定数である。
通常、変圧器の使われ方としてまた周囲の温度環境からして、1日で異種材料界面部分での応力が働くと考えられる。そこで、これを計測もしくは計算しておけば、Nを求めることができる。
ステップS2:肉厚の変化量ΔW/ΔLの絶対値(|ΔW/ΔL|)が周方向全体の平均値以上となる箇所で、材料特性を計測する。その計測結果の履歴と、ステップS1でのデータベース120に記憶されている履歴と熱応力解析に基づいて、破壊強度が許容値以下となる部位を特定し、余寿命、応力・耐クラック性が低い箇所を、表示部に表示する。
ステップS3:特定された特定箇所と余寿命を、オンラインで設計部署に送信し、製品・設計にフィードバックする。
図6は、余寿命診断装置の構成を示す図である。余寿命診断装置100は、処理部110、データベース120、入力部130、表示部140、通信部150を有する。余寿命診断装置100は、評価対象機器200および設計部署サーバ300とネットワークNWを介して接続されている。評価対象機器200には、図2に示す計測機器8が設置されており、通信部9を介して、計測値が所定時間ごとに余寿命診断装置100に送信される。
入力部130は、キーボードやマウスなどのコンピュータに指示を入力するための装置であり、プログラムの起動などの指示を入力する。表示部140は、ディスプレイなどであり、余寿命診断装置100による処理の実行状況や実行結果などを表示する。通信部150は、他の装置と各種データやコマンドを交換する。
処理部110は、中央演算処理装置(CPU)であり、メモリに格納される各種プログラムを実行する。データベース120は、外部記憶装置であり、余寿命診断装置100が処理を実行するための各種データを保存する。
データベース120には、冷熱サイクル試験の破壊強度データ121、冷熱サイクル試験の材料特性データ122、計測機器8からの計測値履歴123が記憶されている。材料特性データ122とは、例えば、冷熱サイクルと歪との関係、冷熱サイクルと温度との関係を示す。
処理部110には、FEM(有限要素法)を用いた熱応力解析部111と、破壊強度データ121、材料特性データ122、計測装置からの計測値履歴123とに基づいて余寿命を算出する余寿命算出部112と、余寿命算出部112での算出結果に基づいて耐クラック性低減部位を抽出する部位抽出部113と、抽出した部位の結果を表示部140に表示する表示出力部114と、入力部130からデータ送信指示を受けると、抽出した部位の結果についてのデータを設計部署サーバ300に送信するデータ送信部115を有している。
熱応力解析部111は、計測機器からの計測値履歴123を境界条件に、変圧器全体の熱応力解析を実施し、応力が最大となる部位を抽出する。余寿命算出部112は、例えば、材料特性データ122に基づき計測された歪量から冷熱サイクル数を算出し、破壊強度データ121に基づき、算出された冷熱サイクル数に対応する破壊強度から、破壊強度の許容値までの部位の余寿命を算出する。
図7は、計測値履歴の一例を示す図である。図7は、評価対象機器200の計測値履歴の冷熱サイクル環境での現在までの温度履歴を示す。
図8は、熱応力解析による応力集中箇所を示す図であり、(a)はFEM解析で用いた1次側コイルの形状、(b)はコイル内部の応力集中箇所の解析結果である。応力集中箇所は、絶縁シート6の上部端部である。また、余寿命予測の年数(例えば、10年)が表示される。これにより、熱劣化のみを考慮する従来法に比べ、余寿命予測を高精度化できる。なお、符号11は解析時に用いる比較対象の基準面である。
図6に戻り、データ送信部115は、入力部130からデータ送信指示を受けると、抽出した部位の結果、すなわち耐クラック性が低い箇所と余寿命などの保守の情報を設計部署サーバ300に送信する。これにより、予防保全に係る保守での課題を、設計・製造にリアルタイムでフィードバックできる。また、検査員が、予防保全のために現地に出向く必要がなくなり、保守コストが低減できる。
(計測機器の設置位置)
図2(a)では、コイルの肉厚の変化量ΔW/ΔLの絶対値が、周方向全体の平均値より大きい箇所に材料特性を評価する計測機器8(例えば、温度センサ、歪センサ)を設置することを示したが、さらに具体例を説明する。
図9は、計測機器の設置位置を示す図である。図10は、応力緩衝材近傍の詳細図であり、計測機器の設置位置を示す図である。1次側コイル1および2次側コイル2は、ゴム材などの応力緩衝材13を介して筐体支持部4で支持される。その際に、応力緩衝材13の近傍で、1次側コイル1のコイル端面1bに計測機器8を設置するとよい。
図11は、計測機器の設置位置の他の例を示す図である。図11は、図9と比較して、応力緩衝材13の近傍で、1次側コイル1のコイル端面1bに計測機器8を設置するとともに、コイル側面1cに計測機器8aを設置している。
図11において、計測機器8,8aの設置位置を、応力緩衝材13の近傍としているが、計測機器8を、応力緩衝材13の中に組み込んでもよい。
計測機器8および計測機器8aでの計測値または計測値履歴を境界条件として、熱応力解析を実施すると、さらに的確な耐クラック性低減部位および部位中の箇所を特定することができる。
(油入変圧器への適用)
以上、本実施形態では、モールド変圧器、つまり乾式変圧器について説明してきたが、これに限定されるわけではない。例えば、油入変圧器にも適用することができる。油入変圧器の1次側コイル1のコイル端面において、コイルの肉厚の変化量ΔW/ΔLの絶対値が、周方向全体の平均値より大きい箇所に材料特性を評価する計測機器8(例えば、温度センサ、歪センサ)を設置するとよい。
乾式変圧器との相違点は、図2においては、1次側コイル1と2次側コイル2との間隙は空気層であるが、油入変圧器の場合は絶縁油で満たされており、モールド樹脂7は、所定の絶縁材で構成されているが、図5に示した余寿命診断法、図6に示した余寿命診断装置は、油入変圧器にも適用することができる。
なお、本実施形態で示した図面は模式的なものであり、厚みと平面寸法との関係、各層厚みの比率などは現実のものとは異なることに留意すべきである。従って、具体的な厚みや寸法は以下の説明を参酌して判断すべきである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることは勿論である。
以上説明したように、本願発明は下記の特徴を有する。
本実施形態の変圧器の余寿命診断法は、樹脂、絶縁紙、金属を含む複合材で構成される筒状のコイル(例えば、1次側コイル1、2次側コイル2)を有する変圧器において、コイルの端面近傍で、かつ、コイルの周方向の所定の長さをΔLとするとコイルの肉厚Wの変化量ΔW/ΔLの絶対値が、コイルの周方向全体の該肉厚Wの変化量の平均値より大きい箇所(例えば、図2の計測機器8参照)で、複合材の特性(例えば、温度、歪、赤外吸収)を計測し、該計測の値を用いて変圧器の余寿命を診断することができる。これにより、診断体系を構成する複合材の特性を、コイルの端面近傍で、かつ、コイルの周方向の所定の長さをΔLとするとコイルの肉厚Wの変化量ΔW/ΔLの絶対値が、コイルの周方向全体の該肉厚Wの変化量の平均値より大きい箇所で計測することで、計測数を最小限とすることで、保守のための初期コストを低減することが可能となる。
また、コイルの端面の複合材の試験材を用いて、冷熱サイクル試験を実施し、前記冷熱サイクル試験での前記複合材の特性の経時変化を計測し、その計測結果をデータベースに格納するととともに、複合材の劣化疲労モデルを構築することができる。
また、計測の履歴と熱応力解析と複合材の劣化疲労モデルに基づいて複合材の特性が許容値外となる部位を特定することができる。これにより、計測の履歴と熱応力解析とで、特性が許容値外となる部位が特定できるため、早期に熱応力劣化を知ることができる。
本実施形態の変圧器の余寿命診断装置100は、樹脂、絶縁紙、金属を含む複合材で構成される筒状のコイルを有する変圧器の余寿命を診断するに際し、コイルの端面近傍で、かつ、コイルの周方向の所定の長さをΔLとすると、コイルの肉厚Wの変化量ΔW/ΔLの絶対値が、コイルの周方向全体の該肉厚Wの変化量の平均値より大きい箇所に配置された、複合材の特性を計測する計測機器8を備え、計測機器8の計測値を用いて変圧器の余寿命を診断することができる。
さらに、余寿命診断装置100は、計測値履歴と熱応力解析とで複合材の特性が許容値外となる部位、計算結果、 余寿命結果を、オンラインで設計・製造サーバ(例えば、設計部署サーバ300)に通信することで、設計へのフィードバックが可能となる。
また、データベース120は、温度差が繰り返し発生する環境にて異なる線膨張係数を持つ複合材(樹脂、絶縁紙、金属を含む)の冷熱サイクル試験により得られた材料特性(例えば、温度、歪、破壊強度、赤外吸収、部分放電、形状、質量、抵抗)の経時変化のデータを有している。このデータベースを用いることにより、温度差が繰り返し発生する環境での寿命評価を高精度化できる。
また、変圧器の余寿命診断をする際の計測の箇所は、コイルを支持する支持部とコイル端面との間に装着された応力緩衝材13(緩衝材)の近傍であるとよい。これにより、コイルが破損するケースでの余寿命を高精度化できる。
1 1次側コイル
1a,1b コイル端面
1c コイル側面
2 2次側コイル
3 鉄心
4 筐体支持部
5 巻線導体
6 絶縁シート
7 モールド樹脂
8 計測機器
9 通信部
10 試験材
13 応力緩衝材(緩衝材)
100 余寿命診断装置
110 処理部
111 熱応力解析部
112 余寿命算出部
113 部位抽出部
114 表示出力部
115 データ送信部
120 データベース
121 破壊強度データ
122 材料特性データ
123 計測機器からの計測値履歴
130 入力部
140 表示部
150 通信部
200 評価対象機器
300 設計部署サーバ
NW ネットワーク

Claims (16)

  1. 樹脂、絶縁紙、金属を含む複合材で構成される筒状のコイルを有する変圧器において、
    前記コイルの端面近傍で、かつ、前記コイルの周方向の所定の長さをΔLとすると前記コイルの肉厚Wの変化量ΔW/ΔLの絶対値が、前記コイルの周方向全体の該肉厚Wの変化量の平均値より大きい箇所で、前記複合材の特性を計測し、該計測の値を用いて前記変圧器の余寿命を診断する
    ことを特徴とする変圧器の余寿命診断法。
  2. 前記複合材の特性は、温度、歪、赤外吸収のうち少なくともいずれかである
    ことを特徴とする請求項1に記載の変圧器の余寿命診断法。
  3. 前記コイルの端面の複合材の試験材を用いて、冷熱サイクル試験を実施し、前記冷熱サイクル試験での前記複合材の特性の経時変化を計測し、その計測結果をデータベースに格納するととともに、前記複合材の劣化疲労モデルを構築する
    ことを特徴とする請求項1に記載の変圧器の余寿命診断法。
  4. 前記計測の履歴と熱応力解析と前記複合材の劣化疲労モデルとに基づいて前記特性が許容値外となる部位を特定する
    ことを特徴とする請求項3に記載の変圧器の余寿命診断法。
  5. 前記コイルの両側にある端面のうち少なくともいずれかの端面で、前記複合材の特性を計測する
    ことを特徴とする請求項1に記載の変圧器の余寿命診断法。
  6. 前記計測の箇所は、前記コイルを支持する支持部と前記コイルとの間に装着された緩衝材の近傍である
    ことを特徴とする請求項1に記載の変圧器の余寿命診断法。
  7. 前記複合材の特性を計測する計測機器を、前記コイルを支持する支持部と前記コイルとの間に装着された緩衝材に組み込む
    ことを特徴とする請求項1に記載の変圧器の余寿命診断法。
  8. 前記変圧器は、モールド変圧器である
    ことを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか1項である変圧器の余寿命診断法。
  9. 樹脂、絶縁紙、金属を含む複合材で構成される筒状のコイルを有する変圧器の余寿命を診断するに際し、前記コイルの端面近傍で、かつ、前記コイルの周方向の所定の長さをΔLとすると前記コイルの肉厚Wの変化量ΔW/ΔLの絶対値が、前記コイルの周方向全体の該肉厚Wの変化量の平均値より大きい箇所に配置された、前記複合材の特性を計測する計測機器を備え、前記計測機器の計測値を用いて前記変圧器の余寿命を診断する
    ことを特徴とする変圧器の余寿命診断装置。
  10. 前記計測機器は、前記コイルの両側にある端面のうち少なくともいずれかの端面で、前記複合材の特性を計測する
    ことを特徴とする請求項9に記載の変圧器の余寿命診断装置。
  11. 樹脂、絶縁紙、金属を含む複合材で構成される筒状のコイルを有する変圧器の余寿命を診断するに際し、前記コイルの端面近傍で、かつ、前記コイルの周方向の所定の長さをΔLとすると前記コイルの肉厚Wの変化量ΔW/ΔLの絶対値が、前記コイルの周方向全体の該肉厚Wの変化量の平均値より大きい箇所に配置された、前記複合材の特性を計測する計測機器と、
    前記計測機器の計測値を用いて前記変圧器の余寿命を診断する余寿命診断装置と、を有することを特徴とする変圧器の余寿命診断システム。
  12. 前記複合材の特性は、温度、歪、赤外吸収のうち少なくともいずれかである
    ことを特徴とする請求項11に記載の変圧器の余寿命診断システム。
  13. 前記余寿命診断装置は、前記コイルの端面の複合材の試験材を用いた冷熱サイクル試験での前記複合材の特性の経時変化の計測結果に基づく、前記複合材の劣化疲労モデルを記憶するデータベースを有する
    ことを特徴とする請求項11に記載の変圧器の余寿命診断システム。
  14. 前記余寿命診断装置は、前記計測の履歴と熱応力解析と前記複合材の劣化疲労モデルとに基づいて前記特性が許容値外となる部位を特定する
    ことを特徴とする請求項13に記載の変圧器の余寿命診断システム。
  15. 前記計測機器は、前記コイルの両側にある端面のうち少なくともいずれかの端面で、前記複合材の特性を計測する
    ことを特徴とする請求項11に記載の変圧器の余寿命診断システム。
  16. 前記計測の箇所は、前記コイルを支持する支持部と前記コイルとの間に装着された緩衝材の近傍である
    ことを特徴とする請求項11に記載の変圧器の余寿命診断システム。
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