JP6941725B1 - 樹脂組成物 - Google Patents
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Abstract
Description
具体的には高い表面光沢による外観向上や、射出成形時に樹脂が熱滞留しても変色しにくく色調が安定していることが挙げられる。また、大型成形体用途や、複雑な形状の成形体用途への展開でもシルバーなどの問題がなく成形できることが重要となっている。
[1]
(A)スチレン系共重合体100質量部と、(A)スチレン系共重合体100質量部に対して(B)ゴム重合体2.5〜40質量部と、(C)塩素系樹脂10〜90質量部と、を含み、(A)スチレン系共重合体の数平均分子量が40,000〜150,000である、スチレン系樹脂組成物。
[2]
樹脂組成物全体100質量部に対し、更に(D)流動改質剤を0.1〜10質量部含む、[1]に記載のスチレン系樹脂組成物。
[3]
前記(D)流動改質剤が、シリコンオイル、ポリエチレンワックス、脂肪族アルコール、エチレンビスステアリン酸アミド及びミネラルオイルからなる群より選ばれる少なくとも1種である、[2]に記載のスチレン系樹脂組成物。
[4]
前記(A)スチレン系共重合体が、アクリロニトリル・スチレン樹脂(AS樹脂)及びアクリロニトリル・αメチルスチレン樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種である、[1]〜[3]のいずれかに記載のスチレン系樹脂組成物。
[5]
前記(B)ゴム重合体が、アクリロニトリル・スチレン・ブタジエン樹脂(ABS樹脂)及びメタクリル酸メチル・ブタジエン・スチレン樹脂(MBS樹脂)からなる群より選ばれる少なくとも1種である、[1]〜[4]のいずれかに記載のスチレン系樹脂組成物。
[6]
前記(C)塩素系樹脂が、塩化ビニル樹脂(PVC)、塩素化ポリエチレン(CPE)及び塩化ビニリデン樹脂(PVDC)からなる群より選ばれる少なくとも1成分である、[1]〜[5]のいずれかに記載のスチレン系樹脂組成物。
[7]
樹脂組成物全体100質量部に対し、更に(E)酸化アンチモンを1〜10質量部含む、[1]〜[6]のいずれかに記載のスチレン系樹脂組成物。
[8]
樹脂組成物全体100質量部に対し、更に(F)安定剤を0.1〜10質量部含む、[1]〜[7]のいずれかに記載のスチレン系樹脂組成物。
[9]
[1]〜[8]のいずれかに記載のスチレン系樹脂組成物を含む成形体。
本実施形態のスチレン系樹脂組成物(以下、単に「樹脂組成物」とも記す)は、(A)スチレン系共重合体100質量部と、(A)スチレン系共重合体100質量部に対して、(B)ゴム重合体2.5〜40質量部と、(C)塩素系樹脂10〜90質量部と、を含み、(A)スチレン系共重合体の数平均分子量が40,000〜150,000である。
本実施形態の樹脂組成物において使用することができる(A)スチレン系共重合体について、詳細に説明する。
本実施形態の樹脂組成物において使用することができる(B)ゴム重合体について、詳細に説明する。
本実施形態の樹脂組成物において使用することができる(C)塩素系樹脂について、詳細に説明する。
本実施形態の樹脂組成物において、更に(D)流動改質剤を含むことが好ましい。
本実施形態の樹脂組成物において、更に(E)酸化アンチモンを含むことが好ましい。
本実施形態の樹脂組成物において、更に(F)安定剤を含むことが好ましい。
本実施形態の樹脂組成物は、本発明の目的を損なわない範囲で、公知の添加剤を添加できる。具体的には、特に限定されないが、例えば、充填材(タルク、マイカ、炭酸カルシウム等)、導電付与剤(カーボンブラック、カーボンナノチューブ、グラファイト等)、着色剤(酸化チタン、酸化亜鉛、酸化鉄、酸化アルミニウム、有機染料等)、紫外線吸収剤、耐候剤、滑剤、酸化防止剤を含有することができる。これらの含有量は、樹脂組成物100質量部に対し、充填材、導電付与剤は30質量部以下が好ましく、それ以外は5質量部以下であることが好ましい。これらは単独であっても、複数を組み合わせて使用してもよい。
本実施形態の樹脂組成物は、公知の方法による製造を行うことができる。具体的には、特に限定されないが、例えば、一軸又は多軸混練押出機、ロール、バンバリーミキサー等により、以下のように原料成分を混合及び溶融混練し、成形することにより製造することができる。
本実施形態における成形体は、上述のスチレン系樹脂組成物を含む。
本実施形態における成形体を得るための成形方法については、特に限定されず、公知の成形方法を利用できる。具体的には、特に限定されないが、例えば、押出成形、射出成形、真空成形、ブロー成形、射出圧縮成形、加飾成形、他材質成形、ガスアシスト射出成形、発泡射出成形、低圧成形、超薄肉射出成形(超高速射出成形)、金型内複合成形(インサート成形、アウトサート成形)等の成形方法のいずれかによって成形することができる。
本実施形態の樹脂組成物は、難燃性、機械的強度及び外観が要求される成形体の原料として使用することができる。
原料を一括ブレンドし、シリンダ温度を160〜200℃に設定し、二軸押出機(ZSK−25、コペリオン製)にて押出を実施して樹脂組成物を得た。
射出成形機(EC−75SXII、東芝機械(株)製)を用いて、得られた樹脂組成物から、JIS K7152−1及びISO294−1に準拠した小型試験片の樹脂成形体を得た。また、燃焼性試験用試験片としては、得られた樹脂組成物から、IEC−60695−11−10に準拠した小型試験片の樹脂成形体を得た。
前記IEC−60695−11−10に準拠して成形された125mm×13mm×1.5mm厚の小型試験片の樹脂成形体を用い、UL94に準拠した燃焼試験を行い、難燃性を以下のように評価した。
○:(合格)自己消火性あり
×:(不合格)自己消火性なし
前記ISO294−1に準拠して成形された小型試験片の樹脂成形体を用い、ISO179に準拠した切削後衝撃強度試験を行い、シャルピー衝撃強度を測定し、耐衝撃性を以下のように評価した。
◎:(合格)シャルピー衝撃強度7.5kJ/m2以上
○:(合格)シャルピー衝撃強度6kJ/m2以上、7.5kJ/m2未満
△:(合格)シャルピー衝撃強度4.5kJ/m2以上、6kJ/m2未満
×:(不合格)シャルピー衝撃強度4.5kJ/m2未満
得られた樹脂組成物から、大型射出成形機にて600mm×30mm×15mmの格子状のプレート板を成形し、プレート板におけるシルバー発生量に基づき大型射出成形性を以下のように評価した。
○:(合格)シルバーが全体の1/20未満で見られる
△:(合格)シルバーが全体の1/20〜1/10の範囲で見られる
×:(不合格)シルバーが全体の1/10を超えて見られ、非常に多い
成形機温度を200℃とし、10分間成形機内に溶融滞留後成形したサンプルの変色の色差ΔE(分光5nm光学反射、光源:D65光10°視野、正反射光を除いた測定(d/8)条件、観察視野:直径15mm)を測定し、熱滞留性安定性を以下のように評価した。
<評価>
〇:(合格)ΔE≦1
△:(合格)1<ΔE≦3
×:(不合格)3<ΔE
光沢計(グロスメーターUGV−6P、スガ試験機(株)製)を用い、カラープレートの光沢を測定し、外観を以下のように評価した。なお、カラープレートは、90mm×50mm×2.5mm厚の鏡面金型を用いて樹脂組成物から得られた。
◎:(合格)光沢が92%以上
○:(合格)光沢が90%以上、92%未満
△:(合格)光沢が88%以上、90%未満
×:(不合格)光沢が88%未満
実施例及び比較例に用いた樹脂組成物及び成形体の原料成分を以下に説明する。
(A1)アクリロニトリル・スチレン樹脂(AS樹脂):スチレン比率75質量%、数平均分子量35,000
(A2)アクリロニトリル・スチレン樹脂(AS樹脂):スチレン比率75質量%、数平均分子量40,000
(A3)アクリロニトリル・スチレン樹脂(AS樹脂):スチレン比率75質量%、数平均分子量60,000
(A4)アクリロニトリル・スチレン樹脂(AS樹脂):スチレン比率75質量%、数平均分子量80,000
(A5)アクリロニトリル・スチレン樹脂(AS樹脂):スチレン比率75質量%、数平均分子量130,000
(A6)アクリロニトリル・スチレン樹脂(AS樹脂):スチレン比率75質量%、数平均分子量160,000
(A7)アクリロニトリル・αメチルスチレン樹脂:αメチルスチレン比率75質量%、数平均分子量60,000
なお、本実施例において、(A)スチレン系共重合体の数平均分子量は以下の方法で測定した。(A)スチレン系共重合体をテトラヒドロフラン(THF)中に浸漬し、溶解した(A)スチレン系共重合体成分をろ別した。得られたろ液を用い、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)で測定した。当該測定結果に基づき、(A)スチレン系共重合体の数平均分子量を、ポリスチレン(PS)を標準物質として算出した。
(B1)(b1)ブタジエンゴムに(b2)アクリロニトリル・スチレン樹脂(平均ゴム粒径500nm)をグラフトさせたゴム重合体
(C1)ポリ塩化ビニル(PVC):平均重合度600
(C2)塩素化ポリエチレン(CPE):MFR1.5g/10min、塩素含有量30質量%
(D1)ジメチルシリコーンオイル:基油粘度 350mm2/s(40℃)
(D2)流動パラフィン:動粘度 69.67mm2/s(40℃)
(D3)エチレンビスステアリン酸アミド
(E1)三酸化二アンチモン:平均粒子径1μm
(F1)ジブチルスズマレイン酸塩
(F2)ジブチルスズ−3メルカプトプロピオン酸塩
各成分がそれぞれ表1に記載の割合となるように原料を配合して上記方法により押出し、樹脂組成物を製造した。得られた樹脂組成物を用い、上記条件にて成形し、成形体を製造した。
得られた成形体の物性を表1及び2にまとめた。
以上の実施例及び比較例の結果から、本実施形態の樹脂組成物は、優れた難燃性、耐衝撃性を維持しつつ、高品位である(外観(光沢)、熱滞留安定性、大型射出成形性に優れる)ことは明白である。
Claims (8)
- (A)スチレン系共重合体100質量部と、(A)スチレン系共重合体100質量部に対して(B)ゴム重合体2.5〜35質量部と、(C)塩素系樹脂10〜90質量部と、を含み、(A)スチレン系共重合体の数平均分子量が40,000〜65,000であり、(A)スチレン系共重合体がアクリロニトリル・スチレン樹脂(AS樹脂)である、スチレン系樹脂組成物。
- 樹脂組成物全体100質量部に対し、更に(D)流動改質剤を0.1〜10質量部含む、請求項1に記載のスチレン系樹脂組成物。
- 前記(D)流動改質剤が、シリコンオイル、ポリエチレンワックス、脂肪族アルコール、エチレンビスステアリン酸アミド及びミネラルオイルからなる群より選ばれる少なくとも1種である、請求項2に記載のスチレン系樹脂組成物。
- 前記(B)ゴム重合体が、アクリロニトリル・スチレン・ブタジエン樹脂(ABS樹脂)及びメタクリル酸メチル・ブタジエン・スチレン樹脂(MBS樹脂)からなる群より選ばれる少なくとも1種である、請求項1〜3のいずれか一項に記載のスチレン系樹脂組成物。
- 前記(C)塩素系樹脂が、塩化ビニル樹脂(PVC)、塩素化ポリエチレン(CPE)及び塩化ビニリデン樹脂(PVDC)からなる群より選ばれる少なくとも1成分である、請求項1〜4のいずれか一項に記載のスチレン系樹脂組成物。
- 樹脂組成物全体100質量部に対し、更に(E)酸化アンチモンを1〜10質量部含む、請求項1〜5のいずれか一項に記載のスチレン系樹脂組成物。
- 樹脂組成物全体100質量部に対し、更に(F)安定剤を0.1〜10質量部含む、請求項1〜6のいずれか一項に記載のスチレン系樹脂組成物。
- 請求項1〜7のいずれか一項に記載のスチレン系樹脂組成物を含む成形体。
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