JP3274934B2 - ポリオレフィン系樹脂組成物の製造法 - Google Patents

ポリオレフィン系樹脂組成物の製造法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ポリオレフィン系樹脂
組成物の製造法に関する。さらに詳しくは、コアシェル
グラフト共重合体、ポリテトラフルオロエチレンからな
るマスターバッチと、ポリオレフィンとを混合してなる
加工性、表面性、耐衝撃性、剛性などの良好なるポリオ
レフィン系樹脂組成物の製造法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、ポリオレフィンは、安価で、物理
的特性にすぐれているため、各種成形体などに広く利用
されている。
【0003】しかしながら、たとえばポリプロピレンに
は、以下のような欠点がある。すなわち、1)溶融時の
粘度および張力が低いため、シートの真空成形性(以
下、熱成形性という)、カレンダー成形性、ブロー成形
性、発泡成形性などの加工性が劣る、2)剛性が他のポ
リスチレン、ポリ塩化ビニル、ABS樹脂などと較べて
低い、3)低温での耐衝撃性が低い、4)表面性たとえ
ば表面光沢、硬度、塗装性などが劣るなどの点である。
【0004】前記ポリプロピレンの加工性や特性を改良
する目的で、一般にポリエチレンなどが機械的に混合さ
れているが、加工性や特性の改良効果が不充分であるた
め、多量のポリエチレンが必要とされ、えられる混合物
の剛性が低下するという欠点がある。また、ポリプロピ
レンの分子量を大きくすることにより、その溶融時の粘
度および張力を改良する試みが行なわれているが、分子
量が大きいポリプロピレンは、その重要な加工法の1つ
である押出成形が困難であるという大きな問題がある。
【0005】また、ポリエチレンに未架橋のアクリル系
重合体を添加し、その加工性や特性を改良することが提
案されているが(米国特許第4156703号明細
書)、両者の相溶性が不充分であり、またアクリル系重
合体が未架橋であるため、カレンダー成形時、押出成形
時などに、該アクリル系重合体がポリエチレンから分離
し、カレンダーのロール面、押出機のダイス面などに付
着し(以下、このことをプレートアウトという)、かえ
って加工性や特性が低下するという問題がある。
【0006】また、前記ポリオレフィン本来の低剛性、
また、ポリエチレンなどの添加による剛性低下を改良す
る目的で、無機充填剤などの添加が行なわれているが、
ポリオレフィンとの相溶性が低く、分散不良により、成
形体、たとえば押出シートの表面性が著しく低下すると
いった欠点を有している。
【0007】さらに、ポリプロピレンの耐衝撃性を改良
する目的で、一般にエチレン−プロピレンゴムなどのゴ
ム成分を機械的に混合させて導入する方法、ブロック共
重合させて導入する方法などが行なわれているが、ゴム
成分を機械的に混合させて導入する方法やブロック共重
合させて導入する方法は、分散粒子径のコントロールが
困難であるため、ゴム成分の使用効率が低く、耐衝撃性
の改良効果が不充分となる。また、この結果、多量のゴ
ム成分が必要とされ、えられる混合物の剛性が低下する
という欠点がある。さらに、分散しているゴム成分の粒
子径が大きいことに起因して、表面光沢が低下するとい
う欠点がある。
【0008】従来、ポリ塩化ビニル系樹脂などにおいて
耐衝撃性の改良剤として広く用いられているコアーシェ
ル型の変性剤は、あらかじめ設定した粒子径のゴム成分
(コア層)を効率よく分散させることができ、剛性の低
下をおさえて耐衝撃性を改良することができるものであ
る。しかしながら、非極性であるポリオレフィンに対し
ては、該コアーシェル型の変性剤は、相溶性が小さく、
ほとんど使用することができないという問題がある。
【0009】そこで、ポリオレフィンに、特定の相溶化
剤の存在下で前記コアーシェル型の変性剤を添加するこ
とが提案されているが(特開平3−185037号公
報、米国特許第4997884号明細書)、前記相溶化
剤の合成工程が複雑であり、該相溶化剤の使用によるコ
ストアップや、系が複雑になるなどの問題がある。
【0010】また、熱可塑性樹脂に繊維状ポリテトラフ
ルオロエチレンを添加し、溶融粘度を増加させ、加工性
を改良しようとする試みがなされているが(米国特許3
005795号明細書)、マトリックスである熱可塑性
樹脂へのポリテトラフルオロエチレンの分散が悪く、成
形体、たとえば押出シートの表面性が著しく低下すると
いった欠点を有している。
【0011】このように、すぐれた加工性、耐衝撃性、
剛性、表面性などの特性を同時に満足するポリオレフィ
ン系樹脂組成物はいまだ提案されていないのが実状であ
り、かかる加工性および特性を同時に満足するポリオレ
フィン系樹脂組成物の開発が待ち望まれている。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、すぐれた加
工性、耐衝撃性、剛性および表面性を同時に呈する、コ
アシェルグラフト共重合体、ポリテトラフルオロエチレ
ンおよびポリオレフィンからなるポリオレフィン系樹脂
組成物の製造法を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明は、ポリオレフィ
ン(A)100重量部、コアシェルグラフト共重合体
(B)0.002〜100重量部およびポリテトラフル
オロエチレン(C)0.001〜10重量部の混合物か
らなるポリオレフィン系樹脂組成物を製造するに際し、
コアシェルグラフト共重合体(B)およびポリテトラフ
ルオロエチレン(C)を、またはコアシェルグラフト共
重合体(B)、ポリテトラフルオロエチレン(C)およ
びポリオレフィン(A)の一部を、コアシェルグラフト
共重合体(B)とポリテトラフルオロエチレン(C)と
の比率(B)/(C)が100/50〜100/0.0
01となる範囲で予め高剪断下で混合し、ポリテトラフ
ルオロエチレン(C)を繊維化してマスターバッチを作
製し、該マスターバッチと残余のポリオレフィン(A)
とを混合することを特徴とするポリオレフィン系樹脂組
成物の製造法に関する。
【0014】
【作用および実施例】本発明は、ポリオレフィン(A)
100部(重量部、以下同様)、コアシェルグラフト共
重合体(B)0.002〜100部およびポリテトラフ
ルオロエチレン(C)0.001〜10部の混合物から
なるポリオレフィン系樹脂組成物の製造法に関する。
【0015】本発明の製造法に用いるポリオレフィン
(A)は、本発明の製造法でえられるポリオレフィン系
樹脂組成物(以下、PO組成物ともいう)において基材
樹脂として作用する成分である。基材樹脂としてポリオ
レフィンを使用するため、本発明の組成物をカレンダー
成形法、押出成形法、熱成形法、ブロー成形法、射出成
形法などの簡単かつ一般的な方法で成形することがで
き、しかも、えられる成形体がすぐれた加工性、耐衝撃
性、剛性、表面性という特性を有するものになる。
【0016】ポリオレフィン(A)としては、メルトフ
ローインデックス(ASTM D1238に準じて荷重
2.16kgで、10分間に落下する溶融ポリマーのグ
ラム数を測定した値である。なお、プロピレン系ポリオ
レフィンは230℃での値である)(以下、MIともい
う)が10以下、好ましくは5以下、さらに好ましくは
2.5以下のものが溶融張力が高く加工性がすぐれてお
り、またマスターバッチ、無機充填剤などとの混練、分
散性がよく、本発明の効果の発現の点から好ましい。
【0017】前記ポリオレフィン(A)の具体例として
は、たとえばポリプロピレン、高密度ポリエチレン、低
密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、ポリ−1
−ブテン、ポリイソブチレン、プロピレンとエチレンお
よび(または)1−ブテンとのあらゆる比率でのランダ
ムまたはブロック共重合体、エチレンとプロピレンとの
あらゆる比率においてジエン成分が10%(重量%、以
下同様)以下含まれるエチレン−プロピレン−ジエン三
元共重合体、ポリメチルペンテン、シクロペンタジエン
とエチレンまたはプロピレンとの共重合体およびその他
の環状ポリオレフィン、エチレンまたはプロピレンと5
0%以下のたとえば酢酸ビニル、メタクリル酸アルキル
エステル、アクリル酸アルキルエステル、芳香族ビニル
などのビニル化合物などとのランダム、ブロックまたは
グラフト共重合体などがあげられる。
【0018】これらは単独でまたは2種以上を混合して
用いることができる。
【0019】前記ポリオレフィン(A)のうちでは、前
記プロピレンを50%以上、さらには75%以上含有す
る単量体成分を重合してえられたプロピレン系ポリオレ
フィンまたは前記プロピレンを50%以上含有するプロ
ピレン系ポリオレフィン100部と、前記エチレンを5
0%以上含有するエチレン系ポリオレフィン0.1〜1
00部の混合物が、溶融張力が高く加工性がすぐれてお
り、またマスターバッチ、コアシェルグラフト共重合体
(B)、無機充填剤などとの混練、分散性がよく、本発
明の効果の発現の点から好ましい。
【0020】さらに前記ポリオレフィン(A)のうちで
は、ポリオレフィン(A)が、ホモポリプロピレン、エ
チレンプロピレンランダム共重合体およびエチレンプロ
ピレンブロック共重合体から選ばれた少なくとも一種で
あるばあいには、汎用性があり低コストである点から好
ましく、またポリオレフィン(A)が、ホモポリプロピ
レン、エチレンプロピレンランダム共重合体およびエチ
レンプロピレンブロック共重合体から選ばれた少なくと
も一種からなるプロピレン系ポリオレフィン100部
と、低密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレンおよ
び高密度ポリエチレンから選ばれた少なくとも一種から
なるポリエチレン系ポリオレフィン0.1〜100部と
の混合物であるばあいには、同様に汎用性があり低コス
トであるとともに溶融張力が高く加工性がすぐれている
点から好ましい。
【0021】本発明の製造法には、前記のポリオレフィ
ン(A)とともに、コアシェルグラフト共重合体(以
下、共重合体(B)ともいう)が使用される。
【0022】前記共重合体(B)は、ポリテトラフルオ
ロエチレンを効果的に分散、繊維化させることにより、
また自らもポリオレフィン(A)を改質し、本発明の製
造法でえられたPO組成物からえらえる成形品の耐衝撃
性、表面性などを改良するとともに、加工性などを改良
するための成分である。
【0023】共重合体(B)は、コア層を形成する架橋
ゴム状重合体の存在下に、シェル成分をグラフト共重合
してえられたものをいうが、本発明の効果を有効に発現
させる観点からは、ガラス転移温度(以下、Tgともい
う)が25℃以下である架橋ゴム状重合体(a)をコア
層に、それのみで重合せしめるとTgが25℃以上であ
るビニル系化合物からなる硬質層をシェル層に有する、
コアシェル型のグラフト共重合体が好ましい。
【0024】架橋ゴム状重合体のTgが25℃をこえる
ばあいには、加工性および耐衝撃性の改良効果が低下す
る傾向があり、また、グラフト共重合される単量体成分
のみで重合したもののTgが25℃未満のばあいには、
グラフト共重合体が塊状化する傾向がある。この観点か
ら、架橋ゴム状重合体のTgは、10℃以下、またグラ
フト共重合される単量体成分のみで重合したもののTg
が40℃以上のばあいがさらに好ましい。
【0025】共重合体(B)は、架橋ゴム状重合体
(a)に、共重合可能なビニル化合物からなる単量体成
分(b)をグラフト共重合することによりえられる。
【0026】架橋ゴム状重合体(a)としては、前記の
ごとくTgが25℃以下の重合体であることが好まし
く、ジエン化合物60〜100%およびこれと共重合可
能な他のビニル化合物40〜0%からなるジエン系ゴ
ム、アルキル基の炭素数が2〜22であるアクリル酸ア
ルキルエステル60〜100%およびこれと共重合可能
な他のビニル化合物40〜0%からなるアクリル系ゴ
ム、またその他オレフィン系ゴム、シリコンゴムなどの
架橋ゴム状重合体(a)が代表例としてあげられる。
【0027】前記の中では、ジエン系ゴムが汎用性があ
り低コストである点から好ましく用いられ、アクリル系
ゴムが安定性などの点から好ましく用いられる。
【0028】ジエン系ゴムに使用されるジエン化合物と
しては、ブタジエン、イソプレン、クロロプレンなど
が、また、これと共重合可能なビニル化合物としては、
芳香族ビニル化合物、アルキル基の炭素数が1〜22の
メタクリル酸アルキルエステル、アルキル基の炭素数が
1〜22のアクリル酸アルキルエステル、不飽和ニトリ
ル化合物などが代表例としてあげられる。
【0029】前記芳香族ビニル化合物としては、スチレ
ン、αメチルスチレンなどが、アルキル基の炭素数が1
〜22のメタクリル酸アルキルエステルとしては、メタ
クリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n
−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸t−
ブチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル
酸ステアリルなどが、アルキル基の炭素数が1〜22の
アクリル酸アルキルエステルとしては、アクリル酸エチ
ル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、ア
クリル酸t−ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、
アクリル酸ステアリルなどが、不飽和ニトリル化合物と
しては、アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどが
代表的な具体例としてあげられる。
【0030】また、ジエン系ゴムに使用される共重合可
能なビニル化合物としては、酸無水物基、カルボン酸
基、アミノ基、ヒドロオキシ基、エポキシ基などの反応
性官能基を有するビニル化合物、たとえば無水マレイン
酸、メタクリル酸、アクリル酸、メタクリルアミド、ア
クリルアミド、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、ヒ
ドロキシエチルメタクリレート、ヒドロオキシエチルア
クリレート、グリシジルメタクリレート、グリシジルア
クリレートなどの使用も可能である。これら共重合可能
なビニル化合物は、必要に応じて一種以上を混合して使
用できる。
【0031】アクリル系ゴムに使用される、アルキル基
の炭素数が2〜22であるアクリル酸アルキルエステル
としてはアクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチル、ア
クリル酸イソブチル、アクリル酸t−ブチル、アクリル
酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ステアリルなどがあ
げられ、またこれと共重合可能な他のビニル化合物とし
ては前記芳香族ビニル化合物、アルキル基の炭素数が1
〜22の前記メタクリル酸アルキルエステル、アルキル
基の炭素数が1〜22の前記アクリル酸アルキルエステ
ル、前記不飽和ニトリル化合物などが代表例としてあげ
られる。
【0032】前記架橋ゴム状重合体をうるための架橋法
は、通常この分野で行なわれる方法が使用できる。たと
えば、ブタジエンによる自己架橋、ジビニルベンゼン、
1,3−ブタンジオールジメタクリレートなどの多官能
性架橋剤の使用による架橋、アリルメタクリレート、ア
リルアクリレート、ジアリルメタクリレートなどのグラ
フト化剤の使用による架橋、過酸化物による架橋などで
あり、これら架橋法は併用することもできる。架橋ゴム
状重合体は架橋ゲル分が50%以上、さらには60%以
上になるように調製されることが好ましい。50%未満
のばあい、たとえばカレンダー加工などにおいて、ロー
ル面に樹脂がプレートアウトし、加工性改良効果が必ず
しも充分でない。
【0033】架橋ゲル分の値は、ゴム成分の良溶媒、た
とえばトルエン、メチルエチルケトンなどに48時間浸
漬したのち、超遠心分離機にて分離される不溶分として
測定される。
【0034】コアシェルグラフト共重合体をうるための
グラフト重合に使用される共重合可能なビニル化合物と
しては、前記芳香族ビニル化合物、アルキル基の炭素数
が1〜22の前記メタクリル酸アルキルエステル、アル
キル基の炭素数が1〜22の前記アクリル酸アルキルエ
ステル、前記不飽和ニトリル化合物などが代表例として
あげられる。これらのなかでは、前記のごとくそれのみ
で重合せしめるとTgが25℃以上であるものが好まし
く用いられる。
【0035】前記ビニル化合物のなかでは、重合性が良
好であり低コストであるスチレン、αメチルスチレンな
どの芳香族ビニル化合物、アルキル基の炭素数が1〜4
のメタクリル酸アルキルエステルなどが好ましい。
【0036】コアシェルグラフト共重合体は、Tgが2
5℃以下の架橋ゴム状重合体(a)40〜95部に、そ
れのみで重合せしめるとTgが25℃以上である共重合
可能なビニル化合物からなる単量体成分(b)60〜5
部をグラフト共重合してえられるものが、グラフト共重
合体が塊状化せず、加工性および耐衝撃性の改良効果が
すぐれている点から好ましい。
【0037】架橋ゴム状重合体(a)が40部未満のば
あいには、加工性、耐衝撃性の改良効果が低下し、95
部をこえるばあいには、グラフト共重合体が塊状化する
傾向がある。この観点から、架橋ゴム状重合体(a)が
40〜90部、前記(b)成分が60〜10部であるこ
とがさらに好ましい。
【0038】また、架橋ゴム状重合体(a)40〜95
部に、芳香族ビニル化合物、アルキル基の炭素数が1〜
22のメタクリル酸アルキルエステルの少なくとも一種
100〜50%、共重合可能なその他のビニル化合物0
〜50%からなる単量体成分(b)をグラフト共重合し
てえられるコアシェルグラフト共重合体が重合性の低下
やコストアップが生じにくいなどの点からさらに好まし
い。
【0039】ここでいうところのTgおよびその測定に
ついては、たとえばポリマーハンドブック第2版(ジョ
ン・ウィリー・アンド・サンズ社(John Wile
y& Sons.Inc)1975)などに記載されて
いる。
【0040】本発明においては、共重合体のTgは、以
下の計算式により算出された値が用いられる。
【0041】1/Tg=Wa/Tga+Wb/Tgb Tg :成分a,bよりなる共重合体のガラス転移温度 Tga:成分a単独のガラス転移温度 Tgb:成分b単独のガラス転移温度 Wa :成分aの重量分率 Wb :成分bの重量分率 共重合体(B)は、通常のラジカル重合で重合でき、懸
濁重合、乳化重合などの重合法が用いられるが、粒子
径、粒子構造などのコントロールの観点より、乳化重合
法が好ましい。さらに、重合時の粒子を酸、塩、凝集剤
などの添加により肥大させることも可能である。また組
成物の表面性の上から、重合終了時の粒子径は3ミクロ
ン以下であることが好ましい。
【0042】本発明の製造法には、さらにポリテトラフ
ルオロエチレン(以下、PTFE(C)ともいう)が使
用される。PTFE(C)は、共重合体(B)ととも
に、ポリオレフィン(A)を改質し、本発明の製造法で
えられたPO組成物の加工性を改良するための成分であ
る。
【0043】PTFE(C)は、剪断力を加えることに
より繊維化されるものであれば特に限定されないが、た
とえば乳化重合法などによりえられる高分子量のポリテ
トラフルオロエチレンの乳化分散体を凝集させて製造し
たパウダー、懸濁重合法などによりえられる高分子量の
ポリテトラフルオロエチレンから製造したパウダーなど
があげられる。それらのなかでも、乳化重合法などによ
りえられる高分子量のポリテトラフルオロエチレンの乳
化分散体を凝集させて製造したパウダーが、剪断力によ
り繊維化されやすいという点から好ましい。
【0044】なお、ポリテトラフルオロエチレンのパウ
ダーであっても、合成方法などの違いにより繊維状にな
らないものは溶融時の張力増大などによる加工性の改良
などの本発明の効果を発現しないため本発明には使用さ
れない。
【0045】またPTFE(C)の平均粒径はコアシェ
ルグラフト共重合体(B)とのマスターバッチ化による
混合、分散の点から100〜700ミクロン、好ましく
は300〜600ミクロン、さらに好ましくは400〜
500ミクロンが好ましい。
【0046】繊維状PTFE(C)をえるための市販の
原料としては、ダイキン工業(株)製のポリフロンTF
E−F103、F104、三井デュポン(株)製のテフ
ロンTFE−6J、6C−Jなどが代表例としてあげら
れる。
【0047】本発明において共重合体(B)は、ポリオ
レフィン(A)100部に対して0.002〜100部
含まれる。共重合体(B)が100部をこえたばあいに
はポリオレフィン本来の耐熱性、剛性などの特性を損
い、0.002部未満のばあいにはポリテトラフルオロ
エチレンを効果的に分散、繊維化することができない。
この点から、共重合体(B)の含有量は0.025〜7
0部、さらには0.025〜50部の範囲であることが
好ましい。
【0048】本発明においてPTFE(C)は、ポリオ
レフィン(A)100部に対して0.001〜10部含
まれる。PTFE(C)が0.001部未満のばあいに
は、加工性の改良効果が充分ではなく、10部をこえた
ばあいには低コストなどの汎用性を損う。この点からP
TFE(C)の含有量は0.005〜5部、さらには
0.005〜3部の範囲であることが好ましい。
【0049】前記3成分(ポリオレフィン(A)、共重
合体(B)およびPTFE(C))からなるPO組成物
を製造するに際し、本発明の製造法は、共重合体(B)
およびPTFE(C)を、または共重合体(B)、PT
FE(C)およびポリオレフィン(A)の一部を、共重
合体(B)とPTFE(C)との比率(B)/(C)が
100/50〜100/0.001となる範囲で予め高
剪断下で混合し、PTFE(C)を繊維化してマスター
バッチを作製し、該マスターバッチと残余のポリオレフ
ィン(A)を混合することを特徴とするものである。
【0050】共重合体(B)とPTFE(C)との比率
(B)/(C)は100/50〜100/0.001と
なる範囲である。該比率が100/50未満のばあいに
は、PTFE(C)の繊維化が充分に行なわれず、PT
FE(C)の分散がわるく、加工性の改良効果が減少す
る。また該比率が100/0.001をこえるばあいに
は、たとえばポリオレフィン(A)100部に共重合体
(B)を100部配合しても、PTFE(C)の部数が
0.001部より少なくなり、加工性の改良効果が不充
分となる。前記観点から該比率(B)/(C)は、好ま
しくは100/40以上、さらに好ましくは100/3
0以上であり、好ましくは100/0.005以下、さ
らに好ましくは100/0.01以下である。
【0051】なお、共重合体(B)およびPTFE
(C)の使用量は前記比率(B)/(C)を満足し、さ
らには前記PO組成物中のそれぞれの含有量および好ま
しい含有量などを満足するように調整して用いられる。
【0052】マスターバッチを作成する際、通常は共重
合体(B)およびPTFE(C)を用いるが、マスター
バッチとポリオレフィン(A)との相溶性向上、マスタ
ーバッチの低コスト化を図るばあいには、さらにポリオ
レフィン(A)の一部も用いられる。用いられるポリオ
レフィン(A)の量は、0.001〜50部、さらには
0.005〜40部、とくには0.01〜30部が好ま
しい。
【0053】本発明でいう予め高剪断下で混合し、PT
FE(C)を繊維化してマスターバッチを作製すると
は、たとえば共重合体(B)およびPTFE(C)を、
または共重合体(B)、PTFE(C)およびポリオレ
フィン(A)の一部をヘンシェルミキサーその他の一般
的な撹拌機を用いて撹拌するなどのパウダー混合法によ
り、予め剪断力を加えてPTFE(C)を分散、繊維化
することをいう。
【0054】また他の方法としては、共重合体(B)と
PTFE(C)を、または共重合体(B)、PTFE
(C)およびポリオレフィン(A)の一部を単軸押出
機、二軸押出機またはロール混練機などで溶融混練する
などの溶融混練法により、PTFE(C)に予め剪断力
を加えてPTFE(C)を分散、繊維化することをい
う。
【0055】PTFE(C)が繊維化しているとは、P
TFE(C)が繊維状となっていればとくに限定されな
いが、たとえばマスターバッチ中において、PTFE
(C)の繊維径は、効率よくネットワーク構造をとると
いう点から好ましくは約2ミクロン以下、さらに好まし
くは約1ミクロン以下、またさらに好ましくは約0.5
ミクロン以下である。繊維長は、ネットワーク構造をと
るため一概にはいえないが、溶融時の張力増大による加
工性の改良の点から好ましくは約3ミクロン以上、さら
に好ましくは5ミクロン以上、またさらに好ましくは約
10ミクロン以上である。
【0056】パウダー混合法によったばあいは、製造方
が簡便であり、低コストであるという効果があり、溶融
混練法によったばあいは、マスターバッチがペレット状
でえられるなどの効果がある。
【0057】また、前記パウダー混合法と溶融混練法は
併用することもできる。たとえば共重合体(B)とPT
FE(C)を、または共重合体(B)、PTFE(C)
およびポリオレフィンの一部を、ヘンシェルミキサーで
混合したのち、該混合物を、または該混合物にさらにポ
リオレフィン(A)の一部を加えたものを、押出機など
の前記溶融混練をすることによりペレット化してマスタ
ーバッチを作製することも、PTFE(C)の繊維化、
混合、分散をより完全に行なう点から好ましく行なわれ
る。
【0058】前記の撹拌機ないし混合機のなかではヘン
シェルミキサーが、汎用性があり、簡便である点から好
ましい。
【0059】パウダー混合法によってマスターバッチを
作成する際の操作条件としては、PTFE(C)を高剪
断下で混合し、繊維化できればとくに限定されない。
【0060】ヘンシェルミキサーなどを用いたパウダー
混合法によってマスターバッチを作成する際の温度条件
としては、常温で撹拌してもよいし、共重合体(B)、
PTFE(C)、またはポリオレフィン(A)が劣化、
変質しない程度の温度に加熱して撹拌してもよい。
【0061】溶融混練法によってマスターバッチを作成
する際の操作条件としては、PTFE(C)を高剪断下
で混合し、繊維化できればとくに限定されない。
【0062】つぎに、えられたマスターバッチと残余の
ポリオレフィン(A)を混合することによってPO組成
物を製造する(なお、残余とは、マスターバッチの作製
工程でポリオレフィン(A)の一部が用いられたばあい
には、その残りのという意味であり、ポリオレフィン
(A)の一部が用いられないばあいには、ポリオレフィ
ン(A)の全量という意味である)。該混合法にはとく
に限定はなく、たとえば押出混合法、ロール混合法など
の通常の方法によって製造することができる。
【0063】マスターバッチと残余のポリオレフィン
(A)の比率は、前記PO組成物中のポリオレフィン
(A)、共重合体(B)およびPTFE(C)の所定含
有量となるように調整して使用される。
【0064】また、えられたPO組成物中において、P
TFE(C)の繊維径は、効率よくネットワーク構造を
とるという点から好ましくは約2ミクロン以下、さらに
好ましくは約1ミクロン以下、またさらに好ましくは約
0.5ミクロン以下である。繊維長は、ネットワーク構
造をとるため一概にはいえないが、溶融時の張力増大に
よる加工性の改良の点から好ましくは約3ミクロ以上、
さらに好ましくは5ミクロン以上、またさらに好ましく
は約10ミクロン以上である。
【0065】本発明において、特定量の共重合体
(B)、PTFE(C)、または、特定量の共重合体
(B)、PTFE(C)およびポリオレフィン(A)の
一部を予め高剪断下で混合してPTFE(C)を繊維化
してマスターバッチを作製し、該マスターバッチと残余
のポリオレフィン(A)を混練することにより、PTF
E(C)の繊維化が促進され、えられたPO組成物中で
PTFE(C)が均一に分散し、PO組成物からえられ
た成形体の外観が改良される。また、溶融時の張力が増
大し、カレンダー加工時のシートの引き取り性、熱成形
時またはブロー成形時の溶融樹脂のドローダウン、発泡
成形時のセルの連化などが改良され、カレンダー加工、
熱成形、ブロー成形、発泡成形などの加工性が改良され
る。また、押出加工時の吐出量、シートおよびフィルム
などの押出成形体の表面状態が改良され、押出加工性が
改良される。またPTFE(C)を共重合体(B)と前
記の混合をすることにより、PTFE(C)のブロッキ
ングが改善され、ポリオレフィンとの配合が容易となっ
ている。
【0066】さらに本発明は、前記本発明において、前
記えられたマスターバッチと残余のポリオレフィン
(A)を混合する工程において、さらに無機充填剤
(D)をポリオレフィン(A)100部に対して0.1
〜400部加えて混合する工程に代えたPO組成物の製
造法をも含む。このばあい、PO組成物は、ポリオレフ
ィン(A)100部、共重合体(B)0.002〜10
0部、PTFE(C)0.001〜10部および無機充
填剤(D)0.1〜400部となる。
【0067】無機充填剤(D)はえられるPO組成物の
剛性、加工性だけでなくさらに塗装性、印刷性、耐熱性
を向上せしめ、低コスト化を実現させる作用を有する成
分である。かかる無機充填剤の代表例としては、重質炭
酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、タルク、ガラス繊
維、炭酸マグネシウム、マイカ、カリオン、硫酸カルシ
ウム、硫酸バリウム、チタンホワイト、ホワイトカーボ
ン、カーボンブラック、水酸化アルミニウム、水酸化マ
グネシウム、溶融シリカなどがあげられ、これらは単独
または2種以上を混合して用いることができる。これら
の中では、入手しやすいという点から重質炭酸カルシウ
ム、軽質炭酸カルシウムまたはタルクなどが好ましい。
【0068】また前記無機充填剤(D)の平均粒子径は
約10ミクロン以下、さらには約5ミクロン以下である
ことが、えられるPO組成物の表面性を向上させる上で
好ましい。
【0069】前記無機充填剤(D)を0.1〜400部
用いることにより、製造されたPO組成物および該組成
物からえられた成形品の剛性や耐熱性などが向上し、ま
たカレンダー加工などにおけるロール面への粘着防止な
どの加工性が改良され、さらに低コスト化も達成でき
る。無機充填剤(D)の使用量が0.1部未満のばあい
には前記剛性などの改良効果が充分ではなく、また40
0部をこえるばあいには、前記表面性が低下する傾向に
あり好ましくない。この点から無機充填剤(D)の使用
量は1〜350部、さらには1〜300部の範囲である
ことが好ましい。
【0070】本発明のPO組成物の製造法においては、
必要に応じて、さらにたとえば安定剤、滑材などを添加
してもよい。安定剤としては、ペンタエリスリチル−テ
トラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロ
キシフェニル)プロピオネート]、トリエチレングリコ
ール−ビス[3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−
ヒドロキシフェニル)プロピオネート]などのフェノー
ル系安定剤、トリス(モノノニルフェニル)ホスファイ
ト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスフ
ァイトなどのリン系安定剤、ジラウリル3,3´−チオ
ジプロピオネートなどのイオウ系安定剤、また、滑剤と
しては、ラウリル酸、パルミチン酸、オレイン酸、ステ
アリン酸のナトリウム、カルシウム、マグネシウム塩な
どがそれぞれ代表例としてあげられる。
【0071】本発明の製造法でえられるPO組成物は、
加工性、耐衝撃性、剛性、表面性などが大幅に改良され
ており、従来のポリオレフィン系樹脂組成物では困難で
あった成形方法も含めて、種々の成形方法によって有用
な成形体を製造することができる。
【0072】本発明の製造法でえられたPO組成物に用
いられる成形方法としては、たとえばカレンダー成形
法、押出成形法、熱成形法、ブロー成形法、射出成形
法、発泡成形法などが代表例としてあげられる。
【0073】たとえば本発明のポリオレフィン系樹脂組
成物をカレンダー加工または押出成形することにより、
フィルムないしシート状成形体をうることができる。さ
らに該フィルムないしシート状成形体に、用いたポリオ
レフィン系樹脂組成物に適した温度で熱成形を施すこと
によって、熱成形体をうることができる。また、たとえ
ば前記樹脂組成物に押出加工を施してえられたペレット
を射出成形またはブロー成形することによって、それぞ
れ射出成形体または中空成形体をうることができる。さ
らに、本発明のポリオレフィン系樹脂組成物に発泡剤を
添加し、たとえば押出機などを用いて発泡成形すること
によって、発泡体をうることができる。
【0074】以下に本発明の製造法を実施例などに基づ
いてさらに詳細に説明するが、本発明はこれらによりな
んら制約を受けるものではない。
【0075】製造例1 コアシェルグラフト共重合体
(B)−1の製造 通常の乳化重合によりブタジエンを重合し、架橋ポリブ
タジエンゴムをえた。架橋剤はとくに使用しなかった。
えられたゴムのTgは−80℃、粒子径は2500オン
グストローム、架橋ゲル分は85%であった。えられた
ポリブタジエンゴムラテックス75部(固形分)の存在
下、メタクリル酸メチル15部、スチレン10部よりな
る単量体成分25部を通常の乳化重合によりグラフト共
重合した。転化率は98%、粒子径は2600オングス
トロームであった。えられた重合体の乳化分散液を通常
の方法で塩析、脱水、乾燥し、コアシェルグラフト共重
合体(B)−1をえた。パウダーの平均粒子径は250
ミクロンであった。
【0076】製造例2 コアシェルグラフト共重合体
(B)−2の製造 アクリル酸n−ブチル100部、メタクリル酸アリル1
部からなる単量体成分を通常の乳化重合により重合し、
架橋ポリアクリル酸ブチルゴムをえた。えられたゴムの
Tgは−55℃、粒子径は2000オングストローム、
架橋ゲル分は85%であった。えられた架橋ポリアクリ
ル酸ブチルゴムラテックス70部(固形分)の存在下、
メタクリル酸メチル25部、メタクリル酸n−ブチル5
部よりなる単量体成分30部を通常の乳化重合によりグ
ラフト共重合した。転化率は98%、粒子径は2200
オングストロームであった。えられた重合体の乳化分散
液を通常の方法で塩析、脱水、乾燥し、コアシェルグラ
フト共重合体(B)−2をえた。パウダーの平均粒子径
は200ミクロンであった。
【0077】実施例1〜4および比較例1〜4 表1記載のコアシェルグラフト共重合体(B)の表1記
載量と、ポリテトラフルオロエチレン(C)である商品
名:ポリフロンTFE−F104、乳化重合法によりえ
られた乳化分散体を凝集させて製造したパウダー(ダイ
キン工業(株)製)(以下、TFE−Fという)の表1
記載量を、ヘンシェルミキサーにより、室温で10分間
高速(1500rpm)撹拌し、混合すると同時に剪断
を加えてポリテトラフルオロエチレンを繊維化してマス
ターバッチを作製した。
【0078】えられたマスターバッチの表1記載量とポ
リオレフィン(A)であるポリプロピレン(商品名:ハ
イポール−B200、三井石油化学工業(株)製、M
I:0.5(以下、ハイポールBという))100部
を、スクリュウ径40mm、L/Dが28の単軸押出機
で、200℃、50rpmで押出混練し、ペレット化し
てPO組成物をえた。
【0079】なお、比較例2〜4はマスターバッチ化を
行なわず、ハイポールB−200、コアシェルグラフト
共重合体(B)およびTFE−Fの所定量を、前記単軸
押出機で同様にペレット化を行なった。
【0080】えられたPO組成物を用いて、下記方法に
より加工性、耐衝撃性、曲げ弾性率、溶融張力、ロール
シートの外観、メルトフローインデックスを評価した。
結果を表2に示す。
【0081】(加工性(ドローダウン))PO組成物を
200℃で3分間ロール混練して厚さ1mmのロールシ
ート作製した。えられたロールシートを2枚重ねあわ
せ、200℃×30kg/cm2 ×10分という条件で
プレス成形し、そののち常温で50kg/cm2 ×10
分という条件で冷却し、厚さ1.5mmのシートをえ
た。このシートから100mm角の試験片を切り出し
た。
【0082】えられた試験片を76mm四方の開口部を
有するフレームでとめ、フレームの脚の部分に垂れ下が
り測定のための金属物差を取り付け、シートをとめたフ
レームを190℃に設定したオープン中に置き、30分
間のシート中央部の垂れ下がり(ドローダウンともい
う)(mm)を測定した。
【0083】(耐衝撃性)前記(加工性)で述べたと同
様にして1/4インチ厚試験片を作製し、ASTM−D
256に準拠してノッチ付アイゾット耐衝撃度を測定
した。
【0084】(曲げ弾性率)ASTM−D 790に準
拠して測定した。
【0085】(溶融張力)PO組成物を用い、東洋精機
(株)製のダイス直径2mm×長さ10mmを有するキ
ャプログラフで、200℃、押出スピード20mm/
分、引き取りスピード1m/分での溶融張力を測定し
た。
【0086】(ロールシートの外観)PO組成物を20
0℃でロール混練してえられたロールシートの表面状態
を目視にて観察し、以下の評価基準にもとづいて評価し
た。
【0087】(評価基準) A:ポリテトラフルオロエチレンの凝集物は観察されな
い。
【0088】B:繊維状のポリテトラフルオロエチレン
の凝集物が僅かに観察される。
【0089】C:ポリテトラフルオロエチレンの塊が観
察される。
【0090】(メルトフローインデックス)ASTM−
D 1238に準拠して、230℃で測定した。
【0091】表2の結果から、コアシェルグラフト共重
合体(B)とポリテトラフルオロエチレン(TFE−
F)をヘンシェルミキサーでマスターバッチ化したもの
を用いてえたPO組成物は、マスターバッチ化しないで
えたPO組成物に比べて、溶融張力が高められており、
熱成形性、ブロー成形性などの加工性の指標であるシー
トのドローダウンが大幅に改良され、またシート外観も
改良されていることがわかる。
【0092】ポリプロピレン中のポリテトラフルオロエ
チレンの存在形態を観察するため、PO組成物からなる
成形体を超薄切片に切り出し、4酸化ルテニウムで染色
してTEM(拡大倍率10,000倍)で観察した。そ
の結果、ポリテトラフルオロエチレンが繊維状となって
いるのが観察された。なお、ポリテトラフルオロエチレ
ンが容易に観察できるように、試料は、実施例1におい
てコアシェルグラフト共重合体(B)−1を25部、ポ
リテトラフルオロエチレン(TFE−F)を0.5部に
変更した以外は実施例1と同様にしてPO組成物を製造
した。
【0093】
【表1】
【0094】
【表2】
【0095】実施例5〜9 (1)実施例5〜8:表3記載のコアシェルグラフト共
重合体(B)の表3記載量と、前記TFE−Fの表3記
載量および前記ハイポール−B200、5部をハンドブ
レンドしたのちに、スクリュウ径44mm、L/Dが3
0の二軸押出機で、200℃、100rpmで押出混練
し、ポリテトラフルオロエチレンを繊維化してマスター
バッチを作製した。
【0096】(2)実施例9:コアシェルグラフト共重
合体(B)の表3記載量と、TFE−Fの表3記載量と
をヘンシェルミキサーにより、室温で10分間高速撹拌
した。この撹拌混合物とハイポールBの表3記載量をハ
ンドブレンドしたのち、前記実施例5〜9と同様にして
マスターバッチを作製した。
【0097】えられたマスターバッチそれぞれの表3記
載量と残余のハイポール−Bの表3記載量を実施例1と
同様に単軸押出機で混練ペレット化し、PO組成物をえ
た。えられたPO組成物を実施例1と同様に評価し、結
果を表4に示す。
【0098】表4の結果から、コアシェルグラフト共重
合体(B)とTFE−FおよびハイポールBの一部を二
軸押出機でマスターバッチ化したものを用いてえたPO
組成物は、ヘンシェルミキサーでマスターバッチ化した
ものと同様に、溶融張力が高く、メルトインデックスが
低くなっており、ドローダウンが大幅に改良され、また
シート外観も改良されていることがわかる。
【0099】また、コアシェルグラフト共重合体とTF
E−Fとをヘンシェルミキサーで高速撹拌したのちに、
ハイポールBの一部と二軸押出機でマスターバッチ化し
たものは、ヘンシェルミキサーまたは二軸押出機のみで
マスターバッチ化したものと同様、溶融張力、メルトイ
ンデックスが高くなっており、ドローダウンが改良さ
れ、シートの外観はさらに改良されている。
【0100】
【表3】
【0101】
【表4】
【0102】実施例10〜13および比較例5 無機充
填剤を含む配合例 実施例1と同様にしてコアシェルグラフト共重合体とT
FE−Fをヘンシェルミキサーで高速撹拌してマスター
バッチを作製した。
【0103】えられたマスターバッチ、ハイポールBに
さらに表5記載量の軽質炭酸カルシウム(商品名:スノ
ーライトSSS 丸尾カルシウム(株)製)を配合した
以外は、実施例1と同様にしてPO組成物をえ、実施例
1と同様にして評価を行なった。結果を表6に示す。
【0104】表6の結果から、コアシェルグラフト共重
合体(B)とTFE−Fのマスターバッチ、炭酸カルシ
ウムおよびハイポールBを用いてえられたPO組成物
は、マスターバッチを配合していないものと比較して、
溶融張力が高められており加工性の指標であるシートの
ドローダウンが大巾に改良され、耐衝撃性、剛性のバラ
ンスにもすぐれていることがわかる。
【0105】
【表5】
【0106】
【表6】
【0107】
【発明の効果】本発明の製造法によれば、成形加工にお
いて溶融したときの張力が大きく、カレンダー加工時の
引き取り性、熱成形時またはブロー成形時の溶融樹脂の
ドローダウン、発泡成形時のセルの連泡化などが良好で
あり、カレンダー加工、熱成形、ブロー成形、発泡成形
などの加工性がすぐれており、また、シートおよびフィ
ルムなどの押出成形体の表面状態が改良され、押出加工
性が良好となるポリオレフィン系樹脂組成物をうること
ができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI C08K 3/34 C08K 3/34 C08L 51/04 C08L 51/04 //(C08L 23/02 (C08L 23/02 51:04 51:04 27:18) 27:18) (72)発明者 青山 泰三 兵庫県高砂市高砂町宮前町1−8 鐘淵 化学工業株式会社高砂工業所内 (56)参考文献 特開 平6−73192(JP,A) 特開 平5−214184(JP,A) 特開 昭59−223755(JP,A) 特開 昭60−90260(JP,A) 特開 昭57−187338(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08L 23/00 - 23/36 C08L 51/00 - 51/10 C08L 27/18 C08J 3/22 C08K 3/00 - 3/40 C08F 279/00 - 279/06

Claims (10)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリオレフィン(A)100重量部、コ
    アシェルグラフト共重合体(B)0.002〜100重
    量部およびポリテトラフルオロエチレン(C)0.00
    1〜10重量部の混合物からなるポリオレフィン系樹脂
    組成物を製造するに際し、コアシェルグラフト共重合体
    (B)およびポリテトラフルオロエチレン(C)を、ま
    たはコアシェルグラフト共重合体(B)、ポリテトラフ
    ルオロエチレン(C)およびポリオレフィン(A)の一
    部を、コアシェルグラフト共重合体(B)とポリテトラ
    フルオロエチレン(C)との比率(B)/(C)が10
    0/50〜100/0.001となる範囲で予め高剪断
    下で混合し、ポリテトラフルオロエチレン(C)を繊維
    化してマスターバッチを作製し、該マスターバッチと残
    余のポリオレフィン(A)とを混合することを特徴とす
    るポリオレフィン系樹脂組成物の製造法。
  2. 【請求項2】 コアシェルグラフト共重合体(B)が、
    ガラス転移温度が25℃以下である架橋ゴム状重合体
    (a)40〜95重量部に、それのみで重合せしめると
    ガラス転移温度が25℃以上である、共重合可能なビニ
    ル化合物からなる単量体成分(b)60〜5重量部を、
    グラフト共重合させた共重合体である請求項1記載のポ
    リオレフィン系樹脂組成物の製造法。
  3. 【請求項3】 ポリオレフィン(A)が、少なくとも5
    0重量%のプロピレンからなるプロピレン系ポリオレフ
    ィンである請求項1または2記載のポリオレフィン系樹
    脂組成物の製造法。
  4. 【請求項4】 ポリオレフィン(A)が、少なくとも5
    0重量%のプロピレンからなるプロピレン系ポリオレフ
    ィン100重量部と、少なくとも50重量%のエチレン
    からなるエチレン系ポリオレフィン0.1〜100重量
    部との混合物からなる請求項1または2記載のポリオレ
    フィン系樹脂組成物の製造法。
  5. 【請求項5】 ポリオレフィン(A)が、ホモポリプロ
    ピレン、エチレンプロピレンランダム共重合体およびエ
    チレンプロピレンブロック共重合体から選ばれた少なく
    とも一種である請求項1または2記載のポリオレフィン
    系樹脂組成物の製造法。
  6. 【請求項6】 ポリオレフィン(A)が、ホモポリプロ
    ピレン、エチレンプロピレンランダム共重合体およびエ
    チレンプロピレンブロック共重合体から選ばれた少なく
    とも一種からなるプロピレン系ポリオレフィン100重
    量部と、低密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン
    および高密度ポリエチレンから選ばれた少なくとも一種
    からなるエチレン系ポリオレフィン0.1〜100重量
    部との混合物からなる請求項1または2記載のポリオレ
    フィン系樹脂組成物の製造法。
  7. 【請求項7】 マスターバッチの作製法が、パウダー混
    合法によるものである請求項1、2、3、4、5または
    6記載のポリオレフィン系樹脂組成物の製造法。
  8. 【請求項8】 マスターバッチの作製法が、溶融混練法
    である請求項1、2、3、4、5または6記載のポリオ
    レフィン系樹脂組成物の製造法。
  9. 【請求項9】 ポリオレフィン系樹脂組成物が、ポリオ
    レフィン(A)100重量部に対し、0.1〜400重
    量部の無機充填剤(D)をさらに含み、マスターバッチ
    と残余のポリオレフィン(A)とを混合することが、マ
    スターバッチと残余のポリオレフィン(A)にさらに無
    機充填剤(D)を混合することである請求項1、2、
    3、4、5、6、7または8記載のポリオレフィン系樹
    脂組成物の製造法。
  10. 【請求項10】 無機充填剤(D)が、炭酸カルシウム
    またはタルクである請求項9記載のポリオレフィン系樹
    脂組成物の製造法。
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CN114573929A (zh) * 2022-03-15 2022-06-03 湖南省希润弗高分子新材料有限公司 一种聚烯烃用助剂组合物

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