JP6942234B1 - スチレン系樹脂組成物 - Google Patents
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Abstract
Description
[1]
(A)スチレン系共重合体、(B)塩素系樹脂、及び(C)Fedors法による溶解度パラメータ値(SP値)が8.5〜10(cal/cm3)0.5であり、かつ23℃で固体の添加剤を含む、スチレン系樹脂組成物。
[2]
前記(A)スチレン系共重合体が、スチレン単量体とアクリロニトリル単量体との共重合体を含み、該共重合体におけるアクリロニトリル単量体由来の成分の割合が10〜40質量%である、[1]に記載のスチレン系樹脂組成物。
[3]
前記(B)塩素系樹脂と前記(A)スチレン系共重合体との質量比((B)塩素系樹脂:(A)スチレン系共重合体)が1:99〜49:51である、[1]又は[2]に記載のスチレン系樹脂組成物。
[4]
前記(B)塩素系樹脂が塩化ビニル系樹脂と塩素化ポリエチレンとの併用である、[1]〜[3]のいずれかに記載のスチレン系樹脂組成物。
[5]
前記塩化ビニル系樹脂と前記塩素化ポリエチレンとの質量比(塩素化ポリエチレン:塩化ビニル系樹脂)が1:2.1〜1:4.9である、[4]に記載のスチレン系樹脂組成物。
[6]
(A)スチレン系共重合体及び(B)塩素系樹脂の合計100質量部に対して、前記(C)添加剤の含有量が0.01〜10質量部である、[1]〜[5]のいずれかに記載のスチレン系樹脂組成物。
[7]
更に(D)Fedors法による溶解度パラメータ値(SP値)が7〜8.5(cal/cm3)0.5であり、かつ23℃で液体の添加物を含む、[1]〜[6]のいずれかに記載のスチレン系樹脂組成物。
[8]
(A)スチレン系共重合体及び(B)塩素系樹脂の合計100質量部に対して、前記(D)添加剤の含有量が0.01〜10質量部である、[7]に記載のスチレン系樹脂組成物。
[9]
(A)スチレン系共重合体及び(B)塩素系樹脂の合計100質量部に対して、更に(E)酸化アンチモンを0.1〜10質量部含む、[1]〜[8]のいずれかに記載のスチレン系樹脂組成物。
[10]
[1]〜[9]のいずれかに記載のスチレン系樹脂組成物を含む成形体。
本実施形態におけるスチレン系樹脂組成物(以下、単に「樹脂組成物」とも記す)は、(A)スチレン系共重合体、(B)塩素系樹脂、及び(C)Fedors法による溶解度パラメータ値(SP値)が8.5〜10(cal/cm3)0.5であり、かつ23℃で固体の添加剤(以下、単に「(C)添加剤」とも記す)を含む。
本実施形態の樹脂組成物において使用することができる(A)スチレン系共重合体について、詳細に説明する。
(A)スチレン系共重合体をテトラヒドロフラン(THF)中に浸漬し、溶解した(A)スチレン系共重合体成分をろ別する。得られたろ液を用い、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)で測定する。当該測定結果に基づき、(A)スチレン系共重合体の数平均分子量を、ポリスチレン(PS)を標準物質として算出する。
本実施形態の樹脂組成物において使用することができる(B)塩素系樹脂について、詳細に説明する。
本実施形態において使用可能な(C)Fedors法による溶解度パラメータ値(SP値)が8.5〜10(cal/cm3)0.5であり、かつ23℃で固体の添加剤としては、特に限定されないが、例えば、脂肪族アルコール、脂肪酸アマイドが挙げられる。脂肪族アルコールとしては、特に限定されないが、例えば、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール等が挙げられる。これらは動物又は植物油脂或いはそれらの脂肪酸エステルを還元し、若しくは天然ロウを分解蒸留することにより得られる脂肪族アルコールでも、或いは合成の脂肪族アルコールでもよい。また混合高級脂肪族アルコールでもよい。脂肪酸アマイドとしては、特に限定されないが、例えば、ラウリン酸アマイド、パルミチン酸アマイド、ステアリン酸アマイド、ベヘン酸アマイド等の飽和脂肪酸モノアマイド類、オレイン酸アマイド、エルカ酸アマイド等の不飽和脂肪酸モノアマイド類、N−ステアリルステアリン酸アマイド、N−ステアリルオレイン酸アマイド、N−オレイルステアリン酸アマイド、N−ステアリルエルカ酸アマイド等の置換アマイド類、メチレンビスステアリン酸アマイド、エチレンビスカプリン酸アマイド、エチレンビスラウリン酸アマイド、エチレンビスステアリン酸アマイド、エチレンビスベヘン酸アマイド、ヘキサメチレンビスステアリン酸アマイド、ヘキサメチレンビスベヘン酸アマイド、N,N’−ジステアリルアジピン酸アマイド等の飽和脂肪酸ビスアマイド、エチレンビスオレイン酸アマイド、エチレンビスエルカ酸アマイド、ヘキサメチレンビスオレイン酸アマイド、N,N’−ジオレイルアジピン酸アマイド等の不飽和脂肪酸ビスアマイド類等が挙げられる。
本実施形態において(C)添加剤としては、脂肪族アルコールであることが好ましい。本実施形態のスチレン系樹脂組成物において、(C)添加剤が脂肪族アルコールであると、優れた難燃性、耐衝撃性を維持しつつ、耐候性に一層優れる傾向にある。
本実施形態の樹脂組成物において、更に(D)Fedors法による溶解度パラメータ値(SP値)が7〜8.5(cal/cm3)0.5であり、かつ23℃で液体の添加物(以下、単に「(D)添加物」とも記す)を含むことが好ましい。(D)添加物を含むと、樹脂組成物及びその成形体の機械的特性が向上する傾向にある。
本実施形態の樹脂組成物において、更に(E)酸化アンチモンを含むことが好ましい。
本実施形態の樹脂組成物において、更に安定剤を含むことが好ましい。
本実施形態の樹脂組成物は、公知の方法による製造を行うことができる。具体的には、特に限定されないが、例えば、一軸又は多軸混練押出機、ロール、バンバリーミキサー、加圧ニーダ等により、以下のように原料成分を混合及び溶融混練し、成形することにより製造することができる。
本実施形態における成形体は、上述のスチレン系樹脂組成物を含む。
本実施形態における成形体を得るための成形方法については、特に限定されず、公知の成形方法を利用できる。具体的には、特に限定されないが、例えば、押出成形、射出成形、真空成形、ブロー成形、射出圧縮成形、加飾成形、他材質成形、ガスアシスト射出成形、発泡射出成形、低圧成形、超薄肉射出成形(超高速射出成形)、金型内複合成形(インサート成形、アウトサート成形)等の成形方法のいずれかによって成形することができる。
本実施形態の樹脂組成物は、難燃性、機械的強度及び外観が要求される成形体の原料として使用することができる。
原料を一括ブレンドし、シリンダ温度を160〜200℃に設定した二軸機(ZSK−25)にて押出を実施して樹脂組成物を得た。
射出成形機(EC−75SXII、東芝機械(株)製)を用いて、得られた樹脂組成物から、JIS K7152−1及びISO294−1に準拠した小型試験片の樹脂成形体を得た。また、燃焼試験用試験片としては、得られた樹脂組成物から、IEC−60695−11−10に準拠した小型試験片の樹脂成形体を得た。
前記IEC−60695−11−10に準拠して成形された125mm×13mm×1.5mmの小型試験片の樹脂成形体を用い、燃焼試験(UL94に準拠したV−0燃焼試験)を行い、V−0グレードに相当するか否かにより難燃性を以下のように評価した。
〇:(合格)V−0グレードに相当する
×:(不合格)V−0グレードに満たない
前記ISO294−1に準拠して成形された小型試験片の樹脂成形体を用い、ISO179に準拠した切削後衝撃強度試験を行い、シャルピー衝撃強度を測定し、耐衝撃性を以下のように評価した。
〇:(合格)シャルピー衝撃強度値5kJ/m2以上
×:(不合格)シャルピー衝撃強度値5kJ/m2未満
前記ISO294−1に準拠して成形された小型試験片の樹脂成形体を用い、スーパーキセノンウェザーメーター(スガ試験機製、SX75)により、63℃の温度において500時間試験をし、以下のように評価した。
〇:(合格)耐候変色ΔE=30未満
×:(不合格)耐候変色ΔE=30以上
実施例及び比較例に用いた樹脂組成物及び成形体の原料成分を以下に説明する。
(A1)アクリロニトリル・スチレン樹脂(AS樹脂):アクリロニトリル比25質量%、数平均分子量55,000
(A2)アクリロニトリル・スチレン・ブタジエン樹脂(ABS樹脂):平均ゴム粒径500nm
なお、本実施例において、(A)スチレン系共重合体の数平均分子量は以下の方法で測定した。(A)スチレン系共重合体をテトラヒドロフラン(THF)中に浸漬し、溶解した(A)スチレン系共重合体成分をろ別した。得られたろ液を用い、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)で測定した。当該測定結果に基づき、(A)スチレン系共重合体の数平均分子量を、ポリスチレン(PS)を標準物質として算出した。
(B1)ポリ塩化ビニル(PVC):平均重合度600
(B2)塩素化ポリエチレン(CPE):MFR1.5g/10min、塩素含有量30質量%
(C1)ステアリルアルコール:C12とC14との合計が1%以下、C16は10〜15%、C18は85〜90%、Fedors法による溶解度パラメータ値(SP値)が9.49(cal/cm3)0.5、23℃で固体
(D1)ジメチルシリコーンオイル:基油粘度 350mm2/s(40℃)、Fedors法による溶解度パラメータ値(SP値)が7.5(cal/cm3)0.5、23℃で液体
(D2)流動パラフィン:動粘度 69.67mm2/s(40℃)、Fedors法による溶解度パラメータ値(SP値)が8.0(cal/cm3)0.5、23℃で液体
(E1)三酸化二アンチモン:平均粒子径1μm
(F1)有機スズ安定剤:ジブチル・スズ・マレート及びジオクチル・スズ・マレート
各成分がそれぞれ表1に記載の割合となるように原料を配合して上記方法により押出を行い、樹脂組成物を製造した。得られた樹脂組成物を用い、上記条件にて成形を行い成形体を製造した。
Claims (11)
- (A)スチレン系共重合体、(B)塩素系樹脂、及び(C)Fedors法による溶解度パラメータ値(SP値)が8.5〜10(cal/cm3)0.5であり、かつ23℃で固体の添加剤を含み、前記添加剤が脂肪族アルコールであり、前記(B)塩素系樹脂が塩化ビニル系樹脂と塩素化ポリエチレンとの併用である、スチレン系樹脂組成物。
- 前記(C)添加剤が、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール又はセチルアルコールである、請求項1に記載のスチレン系樹脂組成物。
- 前記(C)添加剤が、ステアリルアルコールである、請求項1に記載のスチレン系樹脂組成物。
- 前記(A)スチレン系共重合体が、スチレン単量体とアクリロニトリル単量体との共重合体を含み、該共重合体におけるアクリロニトリル単量体由来の成分の割合が10〜40質量%である、請求項1〜3のいずれか一項に記載のスチレン系樹脂組成物。
- 前記(B)塩素系樹脂と前記(A)スチレン系共重合体との質量比((B)塩素系樹脂:(A)スチレン系共重合体)が1:99〜49:51である、請求項1〜4のいずれか一項に記載のスチレン系樹脂組成物。
- 前記塩化ビニル系樹脂と前記塩素化ポリエチレンとの質量比(塩素化ポリエチレン:塩化ビニル系樹脂)が1:2.1〜1:4.9である、請求項1〜5のいずれか一項に記載のスチレン系樹脂組成物。
- (A)スチレン系共重合体及び(B)塩素系樹脂の合計100質量部に対して、前記(C)添加剤の含有量が0.01〜10質量部である、請求項1〜6のいずれか一項に記載のスチレン系樹脂組成物。
- 更に(D)Fedors法による溶解度パラメータ値(SP値)が7〜8.5(cal/cm3)0.5であり、かつ23℃で液体の添加物を含み、前記添加剤(D)がポリオルガノシロキサン又は炭化水素オイルである、請求項1〜7のいずれか一項に記載のスチレン系樹脂組成物。
- (A)スチレン系共重合体及び(B)塩素系樹脂の合計100質量部に対して、前記(D)添加剤の含有量が0.01〜10質量部である、請求項8に記載のスチレン系樹脂組成物。
- (A)スチレン系共重合体及び(B)塩素系樹脂の合計100質量部に対して、更に(E)酸化アンチモンを0.1〜10質量部含む、請求項1〜9のいずれか一項に記載のスチレン系樹脂組成物。
- 請求項1〜10のいずれか一項に記載のスチレン系樹脂組成物を含む成形体。
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