JP6940295B2 - 切刃ブレード、ハブ型ブレード及び切刃ブレード製造方法 - Google Patents
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Description
請求項1に記載の発明は、軸線周りに回転される切刃ブレードであって、平板状に形成された金属母材と、前記金属母材に分散された砥粒と、を備え、前記軸線方向における両側の面において前記砥粒が前記金属母材から突出している領域では、前記砥粒と前記金属母材との境界におけるくぼみの深さが前記砥粒の周囲の金属母材表面に対して砥粒の粒径の10%以下とされていることを特徴とする。
その結果、金属母材から突出する砥粒が脱落するのを抑制することができる。
その結果、金属母材から突出する砥粒が脱落するのを抑制することができる。
また、この発明に係るハブ型ブレードによれば、ハブと切刃ブレードを個別に検査して、品質特性を満足したハブと切刃ブレードだけを用いることができるので、ハブ型ブレードを高品質かつ安価に製造することができる。
その結果、切刃ブレードにおける砥粒の保持力を確保して砥粒が脱落するのを抑制することができる。
また、切刃ブレードの両側面における砥粒の突出量のバランスを合わせることにより切断時の直進性を向上することができる。
その結果、切刃ブレードの切削性能を向上することができる。
また、金属母材が、ニッケルを含む金属材料(ニッケル又はニッケル合金)とされているので、例えば、切刃ブレードの厚さを約30μm程度の薄肉に形成しても切断に適した剛性を確保することができる。
以下、図1〜図4を参照し、本発明の第1実施形態に係る切刃ブレードについて説明する。
図1は、本発明の第1実施形態に係る切刃ブレードの概略構成の一例を説明する斜視図であり、図2は、図1において矢視II−IIで示す断面図であり、図3は拡大した部分断面図である。また、図4は切刃ブレードの概略構成を説明する概念図である。図において、符号1はハブ型ブレードを、符号10はアルミハブ(ハブ)を、符号20は両面粘着テープを、符号30は切刃ブレードを示している。また、符号30Zは下部めっき層を、符号30Nはブレード本体を示している。
また、両面粘着テープ20の厚さについては、例えば、厚さ100μm以下が好適であり、厚さ30μm以上50μm以下がより好適である。
また、ダイヤモンド超砥粒32は、軸線O方向における両側の面で、結晶面が一定の向きに偏ることなく金属母材31から突出しており、例えば、金属母材31から突出するダイヤモンド超砥粒32のうち、結晶面が切刃ブレード30の接続面30Tと平行に配置されたものが約30%以下とされていることが好適である。
ここで、接続面30Tと平行に配置された結晶面とは、接続面30Tに対する傾きが1°以下に配置された結晶面をいうものとする。
また、接続面30Tに対する結晶面の傾きは、切刃ブレード30を任意の方向に沿って厚さ方向に切断し、その切断面を顕微鏡で撮像して取得した画像を計測して判断することが可能である。
なお、金属母材31から突出するダイヤモンド超砥粒32のうち、切刃ブレード30の接続面30Tと平行に配置された結晶面を有するものの比率は、被加工材に応じて任意に設定可能であり、例えば、金属母材31から突出するダイヤモンド超砥粒32のほぼ全数(例えば、95%以上)が接続面30Tと平行に配置された結晶面を有していてもよい。
なお、ダイヤモンド超砥粒32と金属母材31の境界におけるくぼみが形成されていてもよく、くぼみが形成されている場合は、くぼみの深さが金属母材31の表面に対してダイヤモンド超砥粒32の粒径の10%以下であることが好適であり、5%以下であることがより好適である。
図5は、本発明の第1実施形態に係る切刃ブレード製造工程における切刃ブレード素材を製造する手順の概略を示すフローチャートであり、図6A〜図6Dは、切刃ブレード製造工程の概略を説明する図である。また、図7A〜図7Eは、第1実施形態に係る切刃ブレード製造工程におけるブレード本体形成の詳細を説明する図である。また、図8は、電解エッチング処理した後の切刃ブレード素材の原板の概略を説明する概念図である。
まず、アルミハブと対応する外径を有する切刃ブレード素材を形成するのに適したSUS台金(ステンレス鋼製台金)を準備する(S1)。
図6Aは、第1実施形態に係る切刃ブレード素材の原板を製造する際のSUS台金準備の概略を示す概念図である。
SUS台金SUSは、例えば、ステンレス鋼からなる円板により構成されていて、分散めっきによって切刃ブレード素材の原板を形成する切刃ブレード形成面S10は、鏡面処理されていることが好適である。
また、SUS台金SUSは、図6Aに示すように、切刃ブレード素材の形状を考慮して、下部めっき層及びブレード本体の形成が不要な部分にマスキングM1を施すことが好適である。
また、SUS台金SUSの外径は、例えば、SUS台金の切刃ブレード形成面S10に形成される切刃ブレード素材の原板の外周側が厚めに形成されても、切刃ブレード素材をアルミハブに装着して、外径加工、ダイサードレスした後に、切刃ブレードの刃厚、歪等が切刃ブレードの寸法公差内となるように設定されていることが好適である。
次に、SUS台金にダイヤモンドの超砥粒を分散した亜鉛(Zn)を分散めっきして下部めっき層30Zを形成する(S2)。
図6Bは、SUS台金SUSの切刃ブレード形成面S10に、亜鉛(Zn)の分散めっきによって下部めっき層が形成された状態の概略構成を示す概念図である。
下部めっき層形成工程では、ダイヤモンド超砥粒を分散した亜鉛めっき液を分散めっき装置(不図示)に貯留して、亜鉛めっき液中にSUS台金SUSを配置する。
そして、亜鉛をアノードとして、亜鉛めっき液を撹拌しながら電解めっき法によりSUS台金SUSの切刃ブレード形成面S10にダイヤモンド超砥粒dの約1.5倍の厚さの下部めっき層(亜鉛めっき)を成長させる。
その結果、図6Bに示すように、切刃ブレード形成面S10に、ダイヤモンド超砥粒32が分散された亜鉛31Zからなる分散亜鉛めっき(亜鉛めっき)による下部めっき層30Zが形成される。
下部めっき層形成工程については、後述する下部めっき層溶解工程の説明において、下部めっき層形成〜下部めっき層溶解について詳細を説明する。
なお、下部めっき層を構成する第2金属材料としては、両性元素であるスズ(Sn)、亜鉛(Zn)が好適であり、ニッケル(Ni)よりもイオン化傾向が大きい点で亜鉛(Zn)がより好適である。また、第2金属材料として、第1金属材料よりイオン化傾向が大きい金属を適用してもよい。
次に、SUS台金に形成した下部めっき層の上(表面)に、ダイヤモンドの超砥粒が分散されたニッケルめっき液を用いて分散ニッケルめっきにより切刃ブレード素材の原板を形成する(S3)。
図6Cは、SUS台金SUSの切刃ブレード形成面S10に、分散ニッケルめっきによって切刃ブレード素材の原板が形成された状態の概略構成を示す概念図である。
分散めっき工程では、ダイヤモンドの超砥粒を分散したニッケルめっき液を分散めっき装置(不図示)に貯留して、ニッケルめっき液中に下部めっき層30Zが形成されたSUS台金SUSを配置する。
そして、ニッケルをアノードとして、ニッケルめっき液を撹拌しながらSUS台金SUSに形成された下部めっき層30Zの上に、ブレード本体30Nをなすダイヤモンド超砥粒32が分散されたニッケルめっき31からなるブレード本体30Nを電解めっき法により成長させる。
その結果、図6Cに示すように、下部めっき層30Zの上部にブレード本体30Nが形成された切刃ブレード素材の原板W301が形成される。
また、分散ニッケルめっき層により切刃ブレード素材の原板を形成する場合には熱処理は不要であるが、Ni−PやNi−Bめっき層により切刃ブレード素材の原板を形成する場合には熱処理(例えば、250℃×1hr)が有効である。
また、電解めっき法に代えて、無電解めっき法によりめっき層を形成してもよい。
次いで、ブレード本体形成工程で形成した切刃ブレード素材の原板を、下部めっき層とともにSUS台金から剥離する(S4)。
切刃ブレード素材の原板W301は、下部めっき層30ZとともにSUS台金SUSから剥離する。
剥離した切刃ブレード素材の原板W301は、ダイヤモンド含有量、刃厚、そり、外観等を検査する。
次いで、SUS台金から剥離した切刃ブレード素材の原板においてエッチング処理が不要な部分にマスキングをする(S5)。
図6Dは、下部めっき層にマスキングを施した切刃ブレード素材の原板の概略を説明する概念図である。
この実施形態では、図6Dに示すように、切刃ブレード形成面S10側に位置されて、亜鉛(Zn)めっきからなる亜鉛31Zからダイヤモンド超砥粒32を突出させずに表面粗さが小さな鏡面状の平坦面のままでアルミハブのブレード取付け面10Aに接着させるための接続面30Tがアルカリで溶解しないようにマスキングM2を施す。
次に、マスキングを施した切刃ブレード素材の原板の下部めっき層のマスキングされていない領域を溶解し、接続面側の金属母材からダイヤモンド超砥粒を突出させる(S6)。
下部めっき層溶解は、例えば、エッチング装置を用いて、図6Dに示すマスキングを施した切刃ブレード素材の原板W301を、アルカリによりエッチングして、所望の領域(砥粒被覆領域以外の領域)の下部めっき層を溶解、除去する。アルカリとしては、例えば、水酸化ナトリウム(NaOH)を用いることが好適である。
下部めっき層溶解工程では、金属母材31に取り込まれずに下部めっき層30Zに分散されたダイヤモンド超砥粒32が離脱する。
また、例えば、電解エッチング、酸エッチングを先に行っておき、最後の一皮のみアルカリによるエッチングを行って時間効率を向上してもよい。
その結果、図7Cに示すように、切刃ブレード素材の原板W301Nにおいてブレード本体30Nを構成する金属母材31と下部めっき層30Zの界面には、種々の方向に結晶面32Aを向けたダイヤモンド超砥粒32が、切刃ブレード形成面S10に関わらず偏りなく配置される。
ブレード本体30Nは、図7Dに示すように、ニッケルからなる金属母材31にダイヤモンド超砥粒32が分散されるとともに、成長面では、種々の方向に結晶面32Aを向け偏りなく配列されたダイヤモンド超砥粒32が金属母材31から突出する。
その結果、切刃ブレード素材の原板W301は、マスキングされた接続面30Tではダイヤモンド超砥粒が突出することなく平坦に形成され接続面30Tと反対側に位置される露出面30Fでは金属母材31からダイヤモンド超砥粒32が突出した切刃ブレード素材の原板W302が形成される。
次に、下部めっき層溶解工程で不要な下部めっき層30Zを溶解、除去したブレードを電解エッチング処理して、切刃ブレード素材の原板において下部めっき層を除去して露出した金属母材を溶解し、ダイヤモンド超砥粒を突出させて目立てする(S7)。
図8は、第1実施形態に係る電解エッチング後の切刃ブレード素材の原板の概略を説明する概念図である。
電解エッチング処理は、切刃ブレード素材の原板を電解エッチング装置で逆電解することにより、下部めっき層30Zが溶解して露出したニッケルめっきからなる金属母材31からニッケルを溶解させてダイヤモンド超砥粒32を突出させて、切刃ブレード素材の原板W302を形成する。
次いで、電解エッチング工程で目立てをした切刃ブレード素材の原板を内径加工して切刃ブレード素材を形成する(S8)。
切刃ブレード素材の原板W302の内径加工は、例えば、内径加工する部位に液体(例えば、水)を供給して冷却しながらレーザビームを照射して切刃ブレード素材の原板W302に円形穴を加工して切刃ブレード素材を形成する。
なお、内径加工する部位に液体を供給する場合には、例えば、内径加工する部位に噴流液水柱(噴流水柱)を形成して、レーザビームをこの噴流水柱内で反射させながら加工部位に誘導して、加工部位に照射することが好適であり、そのため、噴流水柱(噴流液柱)を可能な限り凹凸の少ない層流としてレーザビームを噴流水柱C内で全反射させるとより好適である。また、レーザビームの波長は、例えば、200〜700nmとすることが好適である。
なお、水を供給せずにレーザビームを照射して内径加工してもよいし、レーザビーム加工に代えてワイヤカットや研削等、周知の他の加工方法により内径加工してもよい。
また、外径加工する場合には、例えば、アルミハブに装着した切刃ブレード素材をアルミハブの軸線と同軸に外径加工することが好適である。
また、単体で用いる切刃ブレード(ハブレス)については、内径加工と外形加工を同時に行ってもよいし、いずれかを一方を行った後に他方を行ってもよい。
品質検査が満足していたら切刃ブレード素材が完成する(S9)。
なお、S1〜S9の工程は、一例を示すものであり適宜変更又は省略することが可能である。
その結果、金属母材31からダイヤモンド超砥粒32が脱落するのを抑制することができる。
例えば、上記実施形態においては、ダイヤモンド超砥粒32が金属母材31から突出している領域において、金属母材31の表面がダイヤモンド超砥粒32に平坦に接続されている場合について説明したが、ダイヤモンド超砥粒32と金属母材31の境界に金属母材31の表面に対してダイヤモンド超砥粒32の粒径の10%以下の深さのくぼみが形成された構成とされていてもよい。
また、第1金属材料よりもイオン化傾向が大きくめっきが可能な両性元素を含んでいない第2金属材料を用いて下部めっき層を形成してもよい。
また、ダイヤモンド超砥粒32の向きの偏りをどのように構成するかについても任意に設定することができる。
10 アルミハブ(ハブ)
10A ブレード取付面
20 両面粘着テープ
21 テープ本体
21A 切刃ブレード側に位置される面
21B ハブ側に位置される面
30 切刃ブレード
30Z 下部めっき層(砥粒被覆領域)
30N ブレード本体(ニッケルめっき層)
30T 接続面(砥粒被覆領域)
31 金属母材(ニッケル)
31Z 亜鉛(Zn)
32 ダイヤモンド超砥粒(砥粒)
SUS SUS台金(ステンレス鋼台金)
S10 切刃ブレード形成面
W301、W302 切刃ブレード素材の原板
Claims (12)
- 軸線周りに回転される切刃ブレードであって、
平板状に形成された金属母材と、
前記金属母材に分散された砥粒と、を備え、
前記軸線方向における両側の面において前記砥粒が前記金属母材から突出している領域では、前記砥粒と前記金属母材との境界におけるくぼみの深さが前記砥粒の周囲の金属母材表面に対して砥粒の粒径の10%以下とされていることを特徴とする切刃ブレード。 - 軸線周りに回転される切刃ブレードであって、
平板状に形成された金属母材と、
前記金属母材に分散された砥粒と、を備え、
前記軸線方向における両側の面において前記砥粒が前記金属母材から突出している領域では、前記くぼみが形成されていないことを特徴とする切刃ブレード。 - 請求項1又は2に記載の切刃ブレードであって、
前記金属母材が第1金属材料により形成されていて、
前記金属母材のいずれか一方の面に、前記第1金属材料よりもイオン化傾向が大きい第2金属材料に砥粒が分散されるとともに前記砥粒が前記第2金属材料によって被覆された砥粒被覆領域が形成されていることを特徴とする切刃ブレード。 - 請求項1〜3のいずれか一項に記載の切刃ブレードであって、
前記金属母材が第1金属材料により形成されていて、
前記金属母材のいずれか一方の面に、両性元素を含んで構成された第2金属材料に砥粒が分散され前記砥粒が前記第2金属材料によって被覆された砥粒被覆領域が形成されていることを特徴とする切刃ブレード。 - 請求項3又は4に記載の切刃ブレードであって、
前記第1金属材料がニッケルを含有する金属材料とされ、前記第2金属材料が亜鉛であることを特徴とする切刃ブレード。 - 請求項1〜5のいずれか一項に記載の切刃ブレードと、
軸線回りに回転可能に形成されブレード取付面に前記切刃ブレードが配置されたハブと、
前記ハブと前記切刃ブレードの間に配置され前記ハブに前記切刃ブレードを装着して接続する接続部と、
を備えることを特徴とするハブ型ブレード。 - 請求項3〜5のいずれか一項に記載の切刃ブレードと、
軸線回りに回転可能に形成され前記軸線方向の一方側にブレード取付面に前記切刃ブレードが配置されたハブと、
前記ハブと前記切刃ブレードの間に配置され両面に粘着性を有する両面粘着テープと、を備え、
前記砥粒被覆領域を介して前記両面粘着テープにより前記ハブと前記切刃ブレードを接続することを特徴とするハブ型ブレード。 - 金属母材に砥粒が分散され少なくとも一部に前記砥粒が前記金属母材から突出する切刃ブレードを製造する切刃ブレード製造方法であって、
前記金属母材を構成する第1金属材料よりも容易に溶解することが可能な第2金属材料に砥粒が分散された下部めっき層を台金の表面に形成する下部めっき層形成工程と、
前記下部めっき層の上に第1金属材料に砥粒が分散されたブレード本体をめっきにより形成するブレード本体形成工程と、
前記ブレード本体を前記下部めっき層とともに前記台金から剥離させる剥離工程と、 前記第2金属材料を前記第1金属材料よりも高速に溶解する下部めっき層溶解工程と、を備えることを特徴とする切刃ブレード製造方法。 - 請求項8に記載の切刃ブレード製造方法であって、
前記第2金属材料は前記第1金属材料よりイオン化傾向が大きい金属材料からなり、 前記下部めっき層溶解工程は、
酸によるエッチング、電解エッチングの少なくともいずれかを含んで構成されていることを特徴とする切刃ブレード製造方法。 - 請求項8に記載の切刃ブレード製造方法であって、
前記第2金属材料は両性元素を含んで構成され、
前記下部めっき層溶解工程は、
アルカリによるエッチングを含んで構成されていることを特徴とする切刃ブレード製造方法。 - 請求項8〜10のいずれか一項に記載の切刃ブレード製造方法であって、
前記下部めっき層形成工程において、前記砥粒の粒径の1.5倍以上の厚さの下部めっき層を形成することを特徴とする切刃ブレード製造方法。 - 請求項8〜11のいずれか一項に記載の切刃ブレード製造方法であって、
前記第1金属材料はニッケルを含む金属材料からなり、前記第2金属材料は亜鉛からなることを特徴とする切刃ブレード製造方法。
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