JP7168742B2 - 切刃ブレード - Google Patents

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Description

この発明は、半導体材料等の基板を切断してチップ状に個片化するのに用いられる切刃ブレードに関する。
周知のように、半導体材料等の基板を切断してチップ状に個片化する際に、円形状に形成された切刃ブレードが広く用いられている(例えば、特許文献1参照。)。
切刃ブレードは、例えば、ニッケル等の金属めっき相からなる金属母材にダイヤモンドやCBN等の超砥粒を分散した構成とされていて、このような切刃ブレードをフランジを介して切断装置の主軸に取り付けて軸線回りに回転させて外周縁によって基板等の電子材料を切断する。
このような切刃ブレードは、例えば、ダイヤモンド超砥粒を分散したニッケルめっき液にSUS台金を浸漬してニッケルめっき相を形成し、めっき相を台金から剥がして原板を形成する。剥がしためっき原板は、成長面側はダイヤモンド超砥粒が突出しているが、SUS台金側ではダイヤモンド超砥粒は露出していない。
また、切刃ブレードを安定して回転させるための一形態として、例えば、切刃ブレードをめっきによりハブに一体に形成したハブ型ブレードが用いられている(例えば、特許文献2参照。)。
ハブ型ブレードは、例えば、ハブよりも大径のアルミ台金にマスキングを施して、ダイヤモンド超砥粒を分散したニッケルめっき液に浸漬し、ブレード形成面にニッケルめっきすることで切刃ブレードの原板を形成する。
このように形成した切刃ブレードの原板は外周側の厚さが厚いので、円筒研削盤などを用いてアルミ台金を外径加工して切刃ブレードの原板の厚さを均一にする。その後、アルミ台金にマスキングを施してアルカリエッチングによりアルミ台金の外周部分を溶解して外周に所定寸法の切刃ブレードを突出させる。
その後、電解ドレスによって切刃ブレードの表面からニッケルを溶解してダイヤモンド超砥粒を突出させ、さらにダイサードレスによって切刃ブレード外周のダイヤモンド超砥粒を突出させる。
このように、めっきを用いて切刃ブレードを形成する場合、例えば、粒径が約20~30μmのダイヤモンド超砥粒を用いる場合では、切刃ブレードの直進性を向上させるために電解エッチングによりニッケルを約10μm溶解して、切刃ブレードの両側面におけるダイヤモンド超砥粒の突出量を合わせて両側面の切断抵抗をほぼ同じにする必要がある。
特開2015-057307号公報 特開平5-345281号公報
しかしながら、上記従来の製造方法において、電解エッチングを用いてダイヤモンド超砥粒を突出させる場合、台金側の露出していないダイヤモンド超砥粒を突出させる際に、ダイヤモンド超砥粒の周辺のニッケルが優先的に溶解し、ダイヤモンド超砥粒の保持力が低下するという問題がある。
また、台金側のダイヤモンド超砥粒は、めっきの初期段階では、結晶面が台金面に面することで安定して配置されるために、多くのダイヤモンド超砥粒が結晶面を台金側に向けて分散され非常に偏った配列となり、成長面(反対面)側と比較すると非常に平らな状態となる。そこで、ダイヤモンド超砥粒の結晶面が偏りなく配列されるように一層目のダイヤモンド超砥粒を完全に除去しようとすると、2層目のダイヤモンド超砥粒の周辺ではニッケルが優先的に溶解して、多量のダイヤモンド超砥粒が脱落してしまうという問題がある。
この発明は、このような事情を考慮してなされたものであり、金属母材から突出する砥粒が脱落するのを抑制することが可能な切刃ブレードを提供することを目的としている。
上記課題を解決するために、この発明は以下の手段を提案している。
請求項1に記載の発明は、軸線周りに回転される切刃ブレードであって、平板状に形成された金属母材と、前記金属母材に分散された砥粒と、を備え、前記金属母材が第1金属材料により形成されていて、前記金属母材のいずれか一方の面に、前記第1金属材料よりもイオン化傾向が大きい第2金属材料に砥粒が分散されるとともに、前記金属母材に分散された砥粒のうちの前記金属母材から突出した前記砥粒が前記第2金属材料によって被覆された砥粒被覆領域が形成されていることを特徴とする。
この発明に係る切刃ブレードによれば、金属母材が第1金属材料により形成されていて、金属母材のいずれか一方の面に、第1金属材料よりもイオン化傾向が大きい第2金属材料に砥粒が分散されるとともに砥粒が第2金属材料によって被覆された砥粒被覆領域が形成されているので、砥粒被覆領域以外の領域に関して、電解エッチング、酸によるエッチングを用いることで、第1金属材料からなる金属母材が溶解されて砥粒と金属母材の境界にくぼみ(ポケット)が形成されるのを抑制しつつ第2金属材料を溶解、除去して、金属母材の所望の領域(砥粒被覆領域以外の領域)に砥粒を突出させることができる。
この明細書において、金属母材とは、金属(純金属、合金)、金属化合物、これらを混合して構成されたものを含み、めっきによって形成された金属を含んだ結合相をいうものとする。
また、この明細書において、砥粒が金属母材から突出している領域における砥粒と金属母材との境界におけるくぼみ(ポケット)とは、砥粒の周囲又は砥粒と隣接して形成され砥粒表面の露出をともなう凹部をいい、例えば、電解エッチングや酸によるエッチングにより形成される凹部が含まれる。また、くぼみの深さとは、切刃ブレードを厚さ方向に切断した断面における最大深さをいう。
また、この明細書において、第1金属材料とは、金属(純金属、合金)、金属化合物、金属と金属化合物を含んで構成されたもの、又は少なくともこれらのいずれかひとつと他の物質を含んで構成されたものを含むものとする。また、第2金属材料についても同様とする。
請求項2に記載の発明は、軸線周りに回転される切刃ブレードであって、平板状に形成された金属母材と、前記金属母材に分散された砥粒と、を備え、前記金属母材が第1金属材料により形成されていて、前記金属母材のいずれか一方の面に、両性元素を含んで構成された第2金属材料に砥粒が分散されるとともに、前記金属母材に分散された砥粒のうちの前記金属母材から突出した前記砥粒が前記第2金属材料によって被覆された砥粒被覆領域が形成されていることを特徴とする。
この発明に係る切刃ブレードによれば、金属母材のいずれか一方の面に、両性元素を含んで構成された第2金属材料に砥粒が分散されるとともに砥粒が第2金属材料によって被覆された砥粒被覆領域が形成されているので、砥粒被覆領域以外の領域に関して、アルカリによるエッチング、酸によるエッチング、電解エッチングを用いることで、第1金属材料からなる金属母材が溶解されて砥粒と金属母材の境界にくぼみ(ポケット)が形成されるのを抑制しつつ第2金属材料を溶解、除去して、金属母材の所望の領域(砥粒被覆領域以外の領域)に砥粒を突出させることができる。
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の切刃ブレードであって、前記第1金属材料がニッケルを含有する金属材料とされ、前記第2金属材料が亜鉛であることを特徴とする。
この発明に係る切刃ブレードによれば、第1金属材料がニッケルを含有する金属材料とされ、砥粒被覆領域を構成する第2金属材料が両性元素でありニッケルよりもイオン化傾向が大きい亜鉛とされているので、砥粒被覆領域以外の領域に関して、アルカリによるエッチング、電解エッチング、酸によるエッチングを用いることで、第1金属材料からなる金属母材が溶解されて砥粒と金属母材の境界にくぼみ(ポケット)が形成されるのを抑制しつつ亜鉛を溶解、除去して金属母材の所望の領域(砥粒被覆領域以外の領域)に砥粒を突出させることができる。
この発明に係る切刃ブレードによれば、金属母材から突出する砥粒が脱落するのを抑制することができる。
本発明の第1実施形態に係る切刃ブレードが適用されたハブ型ブレードの概略構成の一例を説明する斜視図である。 本発明の第1実施形態に係る切刃ブレードが適用されたハブ型ブレードの概略構成を説明する図であり、図1において矢視II-IIで示す断面図である。 本発明の第1実施形態に係る切刃ブレードが適用されたハブ型ブレードの概略構成を説明する拡大した部分断面図である。 本発明の第1実施形態に係る切刃ブレードの概略構成を説明する概念図である。 本発明の第1実施形態に係る切刃ブレードの製造工程における切刃ブレード素材を製造する手順の概略を示すフローチャートである。 本発明の第1実施形態に係る切刃ブレードの製造工程を説明する図であり、切刃ブレード素材の原板を製造する際のSUS台金準備の概略を示す概念図である。 本発明の第1実施形態に係る切刃ブレードの製造工程を説明する図であり、下部めっき層が形成された状態の概略構成を示す概念図である。 本発明の第1実施形態に係る切刃ブレードの製造工程を説明する図であり、切刃ブレードの原板が形成された状態の概略構成を示す概念図である。 本発明の第1実施形態に係る切刃ブレードの製造工程を説明する図であり、エッチング前のマスキングを施した切刃ブレード素材の原板の概略を説明する概念図である。 本発明の第1実施形態に係る切刃ブレードの製造工程におけるブレード本体形成の詳細を説明する図であり、砥粒粒径の0.5倍まで下部めっき層が成長した状態を示す概念図である。 本発明の第1実施形態に係る切刃ブレードの製造工程におけるブレード本体形成の詳細を説明する図であり、砥粒粒径の1.5倍まで下部めっき層が成長した状態を示す概念図である。 本発明の第1実施形態に係る切刃ブレードの製造工程におけるブレード本体形成の詳細を説明する図であり、下部めっき層の上にブレード本体を形成する状態を示す概念図である。 本発明の第1実施形態に係る切刃ブレードの製造工程におけるブレード本体形成の詳細を説明する図であり、ブレード本体の形成が終了した状態を示す概念図である。 本発明の第1実施形態に係る切刃ブレードの製造工程におけるブレード本体形成の詳細を説明する図であり、下部めっき層溶解の状態を示す概念図である。 本発明の第1実施形態に係る切刃ブレードの製造工程を説明する図であり、電解エッチング処理した後の切刃ブレード素材の原板の概略を説明する概念図である。
<第1実施形態>
以下、図1~図4を参照し、本発明の第1実施形態に係る切刃ブレードについて説明する。
図1は、本発明の第1実施形態に係る切刃ブレードが適用されたハブ型ブレードの概略構成の一例を説明する斜視図であり、図2は、図1において矢視II-IIで示す断面図であり、図3は拡大した部分断面図である。また、図4は切刃ブレードの概略構成を説明する概念図である。図において、符号1はハブ型ブレードを、符号10はアルミハブ(ハブ)を、符号20は両面粘着テープを、符号30は切刃ブレードを示している。また、符号30Zは下部めっき層を、符号30Nはブレード本体を示している。
ハブ型ブレード1は、図1~図3に示すように、例えば、アルミハブ10と、両面粘着テープ(接続部)20と、切刃ブレード30とを備えている。そして、アルミハブ10と、切刃ブレード30とが両面粘着テープ20によって貼着、接続されている。
アルミハブ10は、例えば、最大外径55.4mmに形成され軸線O方向の一方側Rにブレード取付け面10Aが形成され、ブレード取付け面10Aから軸線Oの他方側Fに向かうにしたがって一旦縮径されてから拡径されるとともに、内周に軸線Oと同軸とされる取付孔10Hが形成されている。
また、ハブ10は、例えば、アルミニウム又はアルミニウム合金により形成されている。アルミニウム合金の材質については、使用条件に基づいて任意に設定することが可能であるが、例えば、A2017、A5083、A7075(JIS規格)等が好適である。
また、ブレード取付け面10Aは、両面粘着テープ20の効果的な貼着を確保するために、例えば、研磨加工等によって、表面粗さRmax0~20μm(JIS B0601-1982)のスムースな仕上面とされていることが好適である。
両面粘着テープ20は、例えば、粘着性を有するシート状の樹脂をドーナツ状に形成したものであり、テープ本体21の切刃ブレード30側に位置される面21A及びハブ10側に位置される面21Bに粘着性を有する接着剤転写テープとされている。
また、両面粘着テープ20の外径、厚さ、弾性係数、保持力(粘着力)等は、例えば、切刃ブレード30の平面度(軸線Oに対する直角度)を保持することが可能とされ、かつハブ型ブレード1が対象物を切断する際の切断トルクによって生じるねじり変形が切刃ブレード30に破損を生じさせないように設定されていることが好適である。
また、両面粘着テープ20の厚さについては、例えば、厚さ100μm以下が好適であり、厚さ30μm以上50μm以下がより好適である。
なお、アルミハブ10と切刃ブレード30との間にタッチセンサとして機能する程度の導電性を有していることが好適であるが、両面粘着テープ20が導電性を有するかどうかは任意に設定可能である。導電性を有するものとしては、一例として、導電性接着剤転写テープ9707(商品名:3Mジャパン株式会社製)、9709S(商品名:3Mジャパン株式会社製)、T4420W(商品名:デクセリアルズ株式会社製)を適用することができる。
なお、両面粘着テープ20に代えて、例えば、テープ基材の一方側と他方側の面に粘着性接着剤が塗布された両面粘着テープを用いてもよい。かかる場合、例えば、厚さ25μmのアルミ箔により構成され、粘着性を有する粘着性接着剤は、導電性粒子を混入したアクリル樹脂により構成され厚さ85μmとされていて導電性(例えば、アルミハブ10と切刃ブレード30の間の電気抵抗約4.5Ω)を有していることが好適である。
テープ基材を有する両面粘着テープとしては、例えば、AL-25DC(商品名:3Mジャパン株式会社製)、T7620(商品名:デクセリアルズ株式会社製)や7848YCWB(商品名:積水化学工業株式会社製)等が適用可能であり、X-7001(商品名:3Mジャパン株式会社製)のように褶曲させた導電性布を基材とするものや、9720S(商品名:3Mジャパン株式会社製)のように不織布を基材とするものを適用してもよい。
切刃ブレード30は、例えば、外径55.05mm、刃厚15~40μm(例えば、20μm)の円板状とされ、内周側には軸線Oと同軸に直径42.00mmの円形穴30Hが形成されている。
また、切刃ブレード30は、図4に示すように、例えば、ハブ型ブレード1において、軸線O方向における一方側Rに位置されて露出面30F及び切刃ブレード30の外周に位置される突出部を含むブレード本体30Nと、軸線O方向における他方側Fの内周側に位置され、他方側Fが両面粘着テープ20を介してハブ10と接続される接続面30Tとされた下部めっき層(砥粒被覆領域)30Zを備えている。
また、ブレード本体30Nは、例えば、ニッケル(Ni)(第1金属材料)からなる金属母材31と、金属母材31に分散されたダイヤモンド超砥粒(砥粒)32とを備え、ダイヤモンド超砥粒32は接続面30Tが形成された下部めっき層(砥粒被覆領域)30Z以外の領域で、例えば、金属母材31の表面から約10μm突出している。
ダイヤモンド超砥粒32は、例えば、約20~30μm(平均粒径23μm)、集中度は50~125のダイヤモンドによって構成されている。
また、ダイヤモンド超砥粒32は、軸線O方向における両側の面で、結晶面が一定の向きに偏ることなく金属母材31から突出しており、例えば、金属母材31から突出するダイヤモンド超砥粒32のうち、結晶面が切刃ブレード30の接続面30Tと平行に配置されたものが約30%以下とされていることが好適である。
ここで、接続面30Tと平行に配置された結晶面とは、接続面30Tに対する傾きが1°以下に配置された結晶面をいうものとする。
また、接続面30Tに対する結晶面の傾きは、切刃ブレード30を任意の方向に沿って厚さ方向に切断し、その切断面を顕微鏡で撮像して取得した画像を計測して判断することが可能である。
なお、金属母材31から突出するダイヤモンド超砥粒32のうち、切刃ブレード30の接続面30Tと平行に配置された結晶面を有するものの比率は、被加工材に応じて任意に設定可能であり、例えば、金属母材31から突出するダイヤモンド超砥粒32のほぼ全数(例えば、95%以上)が接続面30Tと平行に配置された結晶面を有していてもよい。
また、ダイヤモンド超砥粒32が金属母材31から突出している領域では、金属母材31の表面がダイヤモンド超砥粒32に平坦に接続されていて、金属母材31とダイヤモンド超砥粒32の境界にはくぼみ(ポケット)が形成されていない構成とされている。
なお、ダイヤモンド超砥粒32と金属母材31の境界におけるくぼみが形成されていてもよく、くぼみが形成されている場合は、くぼみの深さが金属母材31の表面に対してダイヤモンド超砥粒32の粒径の10%以下であることが好適であり、5%以下であることがより好適である。
なお、ニッケル(Ni)を含む金属母材31として、ニッケル(Ni)に代えてニッケルを主成分とする合金を適用してもよく、ニッケルを主成分とする合金としては、例えば、ニッケル-リン(Ni-P)、ニッケル-コバルト(Ni-Co)、ニッケル-ボロン(Ni-B)を適用することが好適である。
また、下部めっき層30Zは、例えば、亜鉛(Zn)(第2金属材料)31Zと、亜鉛(Zn)31Zに分散されたダイヤモンド超砥粒(砥粒)32とを備え、金属母材31側は下部めっき層30Zから突出するダイヤモンド超砥粒32が金属母材31に取り込まれ、接続面30T側は亜鉛(Zn)31Zの表面からダイヤモンド超砥粒32が突出することなく平坦面に形成されている。
また、ハブ型ブレード1において切刃ブレード30がアルミハブ10から外方に突出する突出部は、例えば、軸線O方向の一方側と他方側に面取り状の目立部30Cが形成されている。なお、図2に示す目立部30Cは一例であり、目立部30Cの形態は被加工材により適宜設定される。
この実施形態において、切刃ブレード30は、アルミハブ10に両面粘着テープ20を貼着し、貼着した両面粘着テープ20に内径加工した切刃ブレード30の原板を貼着した後にアルミハブ10と同軸に外径加工して形成されている。
次に、図5、図6A~図6D、図7A~図7E、図8を参照して、第1実施形態に係る切刃ブレードの製造工程における切刃ブレード素材の製造手順の概略について説明する。 図5は、本発明の第1実施形態に係る切刃ブレードの製造工程における切刃ブレード素材を製造する手順の概略を示すフローチャートであり、図6A~図6Dは、切刃ブレードの製造工程の概略を説明する図である。また、図7A~図7Eは、第1実施形態に係る切刃ブレードの製造工程におけるブレード本体形成の詳細を説明する図である。また、図8は、電解エッチング処理した後の切刃ブレード素材の原板の概略を説明する概念図である。
切刃ブレード製造工程は、図5に示すように、例えば、SUS台金準備工程(S1)と、下部めっき層形成工程(S2)と、ブレード本体形成工程(S3)と、剥離工程(S4)と、マスキング工程(S5)と、下部めっき層溶解工程(S6)と、電解エッチング工程(S7)と、内径加工工程(S8)とを備えていて、これら一連の工程を経て切刃ブレード素材が完成される(S9)。
(1)SUS台金準備工程
まず、アルミハブと対応する外径を有する切刃ブレード素材を形成するのに適したSUS台金(ステンレス鋼製台金)を準備する(S1)。
図6Aは、第1実施形態に係る切刃ブレード素材の原板を製造する際のSUS台金準備の概略を示す概念図である。
SUS台金SUSは、例えば、ステンレス鋼からなる円板により構成されていて、分散めっきによって切刃ブレード素材の原板を形成する切刃ブレード形成面S10は、鏡面処理されていることが好適である。
また、SUS台金SUSは、図6Aに示すように、切刃ブレード素材の形状を考慮して、下部めっき層及びブレード本体の形成が不要な部分にマスキングM1を施すことが好適である。
また、SUS台金SUSの外径は、例えば、SUS台金の切刃ブレード形成面S10に形成される切刃ブレード素材の原板の外周側が厚めに形成されても、切刃ブレード素材をアルミハブに装着して、外径加工、ダイサードレスした後に、切刃ブレードの刃厚、歪等が切刃ブレードの寸法公差内となるように設定されていることが好適である。
なお、この明細書において、ハブに切刃ブレードを装着するとは、別々に作成したハブと切刃ブレードとを、例えば、両面粘着テープ、接着剤、拡散接合等の装着手段(接続部)により接続して一体のハブ型ブレードを構成することをいい、ハブにめっきや蒸着等により切刃ブレードを直接的に形成する以外の種々の装着手段による接続を含む趣旨である。
(2)下部めっき層形成工程
次に、SUS台金にダイヤモンドの超砥粒を分散した亜鉛(Zn)を分散めっきして下部めっき層30Zを形成する(S2)。
図6Bは、SUS台金SUSの切刃ブレード形成面S10に、亜鉛(Zn)の分散めっきによって下部めっき層が形成された状態の概略構成を示す概念図である。
下部めっき層形成工程では、ダイヤモンド超砥粒を分散した亜鉛めっき液を分散めっき装置(不図示)に貯留して、亜鉛めっき液中にSUS台金SUSを配置する。
そして、亜鉛をアノードとして、亜鉛めっき液を撹拌しながら電解めっき法によりSUS台金SUSの切刃ブレード形成面S10にダイヤモンド超砥粒dの約1.5倍の厚さの下部めっき層(亜鉛めっき)を成長させる。
その結果、図6Bに示すように、切刃ブレード形成面S10に、ダイヤモンド超砥粒32が分散された亜鉛31Zからなる分散亜鉛めっき(亜鉛めっき)による下部めっき層30Zが形成される。
下部めっき層形成工程については、後述する下部めっき層溶解工程の説明において、下部めっき層形成~下部めっき層溶解について詳細を説明する。
なお、下部めっき層を構成する第2金属材料としては、両性元素であるスズ(Sn)、亜鉛(Zn)が好適であり、ニッケル(Ni)よりもイオン化傾向が大きい点で亜鉛(Zn)がより好適である。また、第2金属材料として、第1金属材料よりイオン化傾向が大きい金属を適用してもよい。
(3)ブレード本体形成工程
次に、SUS台金に形成した下部めっき層の上(表面)に、ダイヤモンドの超砥粒が分散されたニッケルめっき液を用いて分散ニッケルめっきにより切刃ブレード素材の原板を形成する(S3)。
図6Cは、SUS台金SUSの切刃ブレード形成面S10に、分散ニッケルめっきによって切刃ブレード素材の原板が形成された状態の概略構成を示す概念図である。
分散めっき工程では、ダイヤモンドの超砥粒を分散したニッケルめっき液を分散めっき装置(不図示)に貯留して、ニッケルめっき液中に下部めっき層30Zが形成されたSUS台金SUSを配置する。
そして、ニッケルをアノードとして、ニッケルめっき液を撹拌しながらSUS台金SUSに形成された下部めっき層30Zの上に、ブレード本体30Nをなすダイヤモンド超砥粒32が分散されたニッケルめっき31からなるブレード本体30Nを電解めっき法により成長させる。
その結果、図6Cに示すように、下部めっき層30Zの上部にブレード本体30Nが形成された切刃ブレード素材の原板W301が形成される。
なお、ニッケルめっき液に代えて、ダイヤモンドの超砥粒を分散したニッケルを含有する第1金属材料のめっき液を用いて切刃ブレード素材の原板を形成してもよく、第1金属材料としては、Ni-Co、Ni-B、Ni-Pめっき液や銅(Cu)が好適である。 また、分散ニッケルめっき層により切刃ブレード素材の原板を形成する場合には熱処理は不要であるが、Ni-PやNi-Bめっき層により切刃ブレード素材の原板を形成する場合には熱処理(例えば、250℃×1hr)が有効である。
また、電解めっき法に代えて、無電解めっき法によりめっき層を形成してもよい。
(4)剥離工程
次いで、ブレード本体形成工程で形成した切刃ブレード素材の原板を、下部めっき層とともにSUS台金から剥離する(S4)。
切刃ブレード素材の原板W301は、下部めっき層30ZとともにSUS台金SUSから剥離する。
剥離した切刃ブレード素材の原板W301は、ダイヤモンド含有量、刃厚、そり、外観等を検査する。
(5)マスキング工程
次いで、SUS台金から剥離した切刃ブレード素材の原板においてエッチング処理が不要な部分にマスキングをする(S5)。
図6Dは、下部めっき層にマスキングを施した切刃ブレード素材の原板の概略を説明する概念図である。
この実施形態では、図6Dに示すように、切刃ブレード形成面S10側に位置されて、亜鉛(Zn)めっきからなる亜鉛31Zからダイヤモンド超砥粒32を突出させずに表面粗さが小さな鏡面状の平坦面のままでアルミハブのブレード取付け面10Aに接着させるための接続面30Tがアルカリで溶解しないようにマスキングM2を施す。
なお、切刃ブレード単体(ハブレス)で用いる場合など、下部めっき層溶解工程において、軸線O方向における両側の全面にわたってアルカリエッチングにより下部めっき層30Zを溶解、除去して、両側の全面にダイヤモンド超砥粒32を突出させる場合はマスキング工程は不要である。
また、下部めっき層溶解工程において、アルカリに代えて酸によるエッチングを用いて下部めっき層30Zを溶解、除去する場合には、マスキングM2に加えて下部めっき層30Zと反対側の面をマスキングすることが好適である。
また、下部めっき層溶解工程において、アルカリに代えて電解用の電極を下部めっき層30Zと対向させ、電解エッチングにより下部めっき層30Zを溶解、除去する場合は、下部めっき層30Zと反対側の面についてマスキングを省略してもよい。
(6)下部めっき層溶解工程
次に、マスキングを施した切刃ブレード素材の原板の下部めっき層のマスキングされていない領域を溶解し、接続面側の金属母材からダイヤモンド超砥粒を突出させる(S6)。
下部めっき層溶解は、例えば、エッチング装置を用いて、図6Dに示すマスキングを施した切刃ブレード素材の原板W301を、アルカリによりエッチングして、所望の領域(砥粒被覆領域以外の領域)の下部めっき層を溶解、除去する。アルカリとしては、例えば、水酸化ナトリウム(NaOH)を用いることが好適である。
下部めっき層溶解工程では、金属母材31に取り込まれずに下部めっき層30Zに分散されたダイヤモンド超砥粒32が離脱する。
下部めっき層溶解工程で処理された切刃ブレード素材の原板は、マスキングされた接続面30Tはダイヤモンド超砥粒が突出することなく平坦に形成されて、接続面と反対側に位置される露出面は金属母材31からダイヤモンド超砥粒32が突出している。
下部めっき層溶解工程の構成に関して、第2金属材料が両性元素でありかつ第1金属材料よりもイオン化傾向が大きい場合(例えば、第1金属材料がニッケル(Ni)、銅(Cu)、Ni-Co、Ni-B、Ni-P、第2金属材料が亜鉛(Zn)、第1金属材料が銅(Cu)、第2金属材料がスズ(Sn)等の場合)は、アルカリによるエッチングのほか、酸によるエッチング、電解エッチング、又はアルカリによるエッチングと酸によるエッチングと電解エッチングのなかから選択したものを組み合わせて用いてもよい。
また、第2金属材料が両性元素を含みかつ第1金属材料よりもイオン化傾向が小さい場合(例えば、第1金属材料がニッケル(Ni)、Ni-Co、Ni-B、Ni-P、第2金属材料がスズ(Sn)の場合)は、酸によるエッチングは適さず、アルカリによるエッチング、電解エッチング、アルカリによるエッチングと電解エッチングを組み合わせて用いることが可能である。
また、第2金属材料が両性元素を含むものではなく第1金属材料よりもイオン化傾向が大きい場合(例えば、第1金属材料が銅(Cu)や銅合金、第2金属材料がニッケル(Ni)、クロム(Cr)等)は、酸によるエッチング、電解エッチング、又は酸性によるエッチングと電解エッチングを組み合わせて用いることが可能である。
下部めっき層溶解工程において、アルカリによるエッチングに代えて又はアルカリによるエッチングとともに、酸によるエッチング、電解エッチング、酸によるエッチングと電解エッチングを適用してもよい。
また、例えば、電解エッチング、酸エッチングを先に行っておき、最後の一皮のみアルカリによるエッチングを行って時間効率を向上してもよい。
以下、図7A~図7Eを参照して、下部めっき層形成~下部めっき層溶解について詳細を説明する。図7A~図7Eは、第1実施形態に係る切刃ブレード製造工程におけるブレード本体形成の詳細を説明する図であり、図7Aは、砥粒粒径の0.5倍まで下部めっき層が成長した状態を、図7Bは、砥粒粒径の1.5倍まで下部めっき層が成長した状態を、図7Cは、下部めっき層の上にブレード本体を形成する状態を、図7Dは、ブレード本体の形成が終了した状態を、図7Eは、下部めっき層溶解の状態を示す概念図である。
ダイヤモンド超砥粒32が分散された亜鉛めっき31Zを形成する場合、図7Aに示すように、下部めっき層30Zの下層においてめっき形成の初期段階にSUS台金SUSの切刃ブレード形成面S10に定着されるダイヤモンド超砥粒32は、ダイヤモンド超砥粒32の結晶面(結晶の表面を構成する面)32Aが優先的に切刃ブレード形成面S10と面する。このような状況は、例えば、ダイヤモンド超砥粒32の粒径dに対して、約0.5dまで観察される。
その後、図7Bに示すように、下部めっき層30Zが成長するにつれて、結晶面32Aが切刃ブレード形成面S10と関わりなく配置されたダイヤモンド超砥粒32が、亜鉛(Zn)内に分散配置される。そして、例えば、ダイヤモンド超砥粒32の粒径dに対して、約1.5dに至るころには、結晶面32Aが種々の方向に分散されて偏りがなくなることが観察される。
下部亜鉛めっき層30Zの上にダイヤモンド超砥粒32が分散されたニッケル(Ni)(第1金属材料)をめっきしてブレード本体を形成する際、図7Cに示すように、下部めっき層30Zから上方に突出するダイヤモンド超砥粒32は、結晶面32Aの向きに関係なく金属母材31内に取り込まれる。
その結果、図7Cに示すように、切刃ブレード素材の原板W301Nにおいてブレード本体30Nを構成する金属母材31と下部めっき層30Zの界面には、種々の方向に結晶面32Aを向けたダイヤモンド超砥粒32が、切刃ブレード形成面S10に関わらず偏りなく配置される。
その後、成長面側(切刃ブレード形成面S10の反対側)にダイヤモンド超砥粒32が分散されたニッケル31Nのめっきが成長して、図7Dに示すようなブレード本体30Nが形成される。
ブレード本体30Nは、図7Dに示すように、ニッケルからなる金属母材31にダイヤモンド超砥粒32が分散されるとともに、成長面では、種々の方向に結晶面32Aを向け偏りなく配列されたダイヤモンド超砥粒32が金属母材31から突出する。
下部めっき層溶解は、図7Eに示すように、例えば、切刃ブレード素材の原板W301をアルカリによりエッチングして、所望の領域(砥粒被覆領域以外の領域)の下部めっき層を溶解、除去して、金属母材31に取り込まれずに下部めっき層30Zに分散されたダイヤモンド超砥粒32をブレード本体30Nから離脱させて切刃ブレード素材の原板W302を形成する。
その結果、切刃ブレード素材の原板W301は、マスキングされた接続面30Tではダイヤモンド超砥粒が突出することなく平坦に形成され接続面30Tと反対側に位置される露出面30Fでは金属母材31からダイヤモンド超砥粒32が突出した切刃ブレード素材の原板W302が形成される。
(7)電解エッチング工程
次に、下部めっき層溶解工程で不要な下部めっき層30Zを溶解、除去したブレードを電解エッチング処理して、切刃ブレード素材の原板において下部めっき層を除去して露出した金属母材を溶解し、ダイヤモンド超砥粒を突出させて目立てする(S7)。
図8は、第1実施形態に係る電解エッチング後の切刃ブレード素材の原板の概略を説明する概念図である。
電解エッチング処理は、切刃ブレード素材の原板を電解エッチング装置で逆電解することにより、下部めっき層30Zが溶解して露出したニッケルめっきからなる金属母材31からニッケルを溶解させてダイヤモンド超砥粒32を突出させて、切刃ブレード素材の原板W302を形成する。
電解エッチングをする際は、電解エッチング用の電極を、下部めっき層30Zが溶解、除去された切刃ブレード素材の原板の接続面30T側と対向させ、露出面30F側に電流が流れるのを抑制することが好適である。
切刃ブレード素材の原板W302は、図8に示すように、ハブ型ブレードにおいてアルミハブ10と反対側に位置される露出面30F及び切刃ブレードの突き出し部分は、ニッケルめっきからなる金属母材31からダイヤモンド超砥粒32が突出している。また、両面粘着テープが貼着される接続面30Tは、下部めっき層をなす亜鉛(Zn)(第2金属材料)31Zがダイヤモンド超砥粒32を被覆しているので、ダイヤモンド超砥粒32が突出することなく平坦面とされている。
(8)内径加工工程
次いで、電解エッチング工程で目立てをした切刃ブレード素材の原板を内径加工して切刃ブレード素材を形成する(S8)。
切刃ブレード素材の原板W302の内径加工は、例えば、内径加工する部位に液体(例えば、水)を供給して冷却しながらレーザビームを照射して切刃ブレード素材の原板W302に円形穴を加工して切刃ブレード素材を形成する。
なお、内径加工する部位に液体を供給する場合には、例えば、内径加工する部位に噴流液水柱(噴流水柱)を形成して、レーザビームをこの噴流水柱内で反射させながら加工部位に誘導して、加工部位に照射することが好適であり、そのため、噴流水柱(噴流液柱)を可能な限り凹凸の少ない層流としてレーザビームを噴流水柱C内で全反射させるとより好適である。また、レーザビームの波長は、例えば、200~700nmとすることが好適である。
なお、水を供給せずにレーザビームを照射して内径加工してもよいし、レーザビーム加工に代えてワイヤカットや研削等、周知の他の加工方法により内径加工してもよい。
また、外径加工する場合には、例えば、アルミハブに装着した切刃ブレード素材をアルミハブの軸線と同軸に外径加工することが好適である。
また、単体で用いる切刃ブレード(ハブレス)については、内径加工と外形加工を同時に行ってもよいし、いずれかを一方を行った後に他方を行ってもよい。
(9)切刃ブレード素材完成
品質検査が満足していたら切刃ブレード素材が完成する(S9)。
なお、S1~S9の工程は、一例を示すものであり適宜変更又は省略することが可能である。
第1実施形態に係るハブ型ブレード1によれば、切刃ブレード30のダイヤモンド超砥粒32が金属母材31から突出している領域において、金属母材31の表面がダイヤモンド超砥粒32に平坦に接続されくぼみが形成されていないので、ダイヤモンド超砥粒32に対する保持力が充分に確保される。
その結果、金属母材31からダイヤモンド超砥粒32が脱落するのを抑制することができる。
第1実施形態に係るハブ型ブレード1及び切刃ブレード製造方法によれば、第1金属材料がニッケルを含有する金属材料とされ、砥粒被覆領域を構成する第2金属材料が両性元素でありニッケルよりもイオン化傾向が大きい亜鉛とされているので、酸によるエッチングにより下部めっき層30Zを溶解して、接続面30T以外の領域において、ダイヤモンド超砥粒32と金属母材31との境界にポケットが形成されるのを抑制しつつ金属母材31からダイヤモンド超砥粒32を突出させることができる。
第1実施形態に係る切刃ブレード製造方法によれば、下部めっき層形成工程において、ダイヤモンド超砥粒32の粒径の1.5倍以上の下部めっき層30Zを形成するので、下部めっき層30Zを溶解することにより、金属母材31から突出するダイヤモンド超砥粒32の結晶面32Aの向きが切刃ブレード30の面に沿って偏るのを抑制することができる。その結果、切刃ブレード30の切削性能を向上することができる。
第1実施形態に係る切刃ブレード製造方法によれば、第1金属材料がニッケルを含む金属材料からなり、第2金属材料が亜鉛とされているので、アルカリによるエッチング、電解エッチング、酸によるエッチングのいずれを適用しても、金属母材31の溶解を抑制しつつ下部めっき層30Zを溶解して下部めっき層30Zに被覆されていたダイヤモンド超砥粒32を突出させることが可能であり、切削性能が優れた切刃ブレード30を効率的に製造することができる。
なお、上記実施形態において記載した技術的事項については、発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加えることが可能である。
例えば、上記実施形態においては、ダイヤモンド超砥粒32が金属母材31から突出している領域において、金属母材31の表面がダイヤモンド超砥粒32に平坦に接続されている場合について説明したが、ダイヤモンド超砥粒32と金属母材31の境界に金属母材31の表面に対してダイヤモンド超砥粒32の粒径の10%以下の深さのくぼみが形成された構成とされていてもよい。
また、上記実施形態においては、切刃ブレード30がニッケルめっきからなる金属母材31にダイヤモンド超砥粒32が分散されている場合について説明したが、例えば、Ni-Pめっき、Ni-CoめっきやNi-Bめっき、銅(Cu)や銅合金(例えば、Cu-Sn)をはじめとする適用可能な種々の第1金属材料からなる金属母材に砥粒が分散された切刃ブレードに適用してもよい。
また、上記実施形態においては、第1金属材料がニッケル(Ni)とされ、第2金属材料が両性元素でありかつニッケル(Ni)よりもイオン化傾向が大きい亜鉛(Zn)である場合について説明したが、第2金属材料として、亜鉛(Zn)に代えて、亜鉛(Zn)を含有する合金、亜鉛(Zn)の化合物を含んで構成されたもの、少なくともこれらのうちいずれかひとつと他の物質を含んで構成されたものを適用して下部めっき層を形成してもよい。
また、亜鉛(Zn)に代えて、両性元素であるスズ(Sn)を含有する合金、スズ(Sn)の化合物を含んで構成されたもの、少なくともこれらのうちいずれかひとつと他の物質を含んで構成されたものを含んで構成されたものを用いて下部めっき層を形成してもよい。
また、第1金属材料よりもイオン化傾向が大きくめっきが可能な両性元素を含んでいない第2金属材料を用いて下部めっき層を形成してもよい。
また、上記実施形態においては、下部めっき層30Zを溶解する際にアルカリによりエッチングする場合について説明したが、下部めっき層30Zを溶解する手段については、下部めっき層30Zの材質、下部めっき層30Zと金属母材31との溶解速度の差に基づいて、アルカリによるエッチングに加えて、電解エッチング、酸によるエッチングのいずれか、又は電解エッチングと酸によるエッチングを組み合わせてもよいし、その他の周知の種々の溶解手段を適用することができる。
また、上記実施形態においては、下部めっき層30Z、ブレード本体30Nを電解めっき法により形成する場合について説明したが、電解めっきに代えて、無電解めっき法を適用して下部めっき層30Z、ブレード本体30Nのいずれか一方又は双方を形成してもよい。
また、上記実施形態においては、下部めっき層30Zをダイヤモンド超砥粒32の1.5倍程度形成してダイヤモンド超砥粒32の向きが偏らないように構成する場合について説明したが、下部めっき層30Zの厚さについてはダイヤモンド超砥粒32の突出量に基づいて任意に設定することができる。
また、ダイヤモンド超砥粒32の向きの偏りをどのように構成するかについても任意に設定することができる。
また、上記実施形態においては、切刃ブレード30が、下部めっき層30Zの一部を溶解せずに砥粒被覆領域を残して接続部30Tを備える場合について説明したが、下部めっき層溶解工程において、切刃ブレード形成面S10側をマスキングせずに下部めっき層30Zのすべてを溶解して、切刃ブレード30の両側全面にわたって金属母材31からダイヤモンド超砥粒32を突出させてハブレスの切刃ブレードを製造してもよい。
また、上記実施形態においては、SUS台金に電解めっき法によって分散めっき層を形成することにより切刃ブレード素材W30の原板W301を形成する場合について説明したが、分散めっき層をSUS(ステンレス鋼)以外からなる台金(例えば、表面に酸化皮膜を形成し易いアルミニウムやチタン)に成長させて切刃ブレード素材の原板を形成してもよい。
また、図5に示したフローチャートは一例であり、適宜変更(省略、追加)することができる。
本発明に係る切刃ブレード及びハブ型ブレード、切刃ブレード製造方法によれば、金属母材から突出する砥粒が脱落するのを抑制することができるので産業上利用可能である。
1 ハブ型ブレード
10 アルミハブ(ハブ)
10A ブレード取付面
20 両面粘着テープ
21 テープ本体
21A 切刃ブレード側に位置される面
21B ハブ側に位置される面
30 切刃ブレード
30Z 下部めっき層(砥粒被覆領域)
30N ブレード本体(ニッケルめっき層)
30T 接続面(砥粒被覆領域)
31 金属母材(ニッケル)
31Z 亜鉛(Zn)
32 ダイヤモンド超砥粒(砥粒)
SUS SUS台金(ステンレス鋼台金)
S10 切刃ブレード形成面
W301、W302 切刃ブレード素材の原板

Claims (3)

  1. 軸線周りに回転される切刃ブレードであって、
    平板状に形成された金属母材と、
    前記金属母材に分散された砥粒と、を備え、
    前記金属母材が第1金属材料により形成されていて、
    前記金属母材のいずれか一方の面に、前記第1金属材料よりもイオン化傾向が大きい第2金属材料に砥粒が分散されるとともに、前記金属母材に分散された砥粒のうちの前記金属母材から突出した前記砥粒が前記第2金属材料によって被覆された砥粒被覆領域が形成されている、切刃ブレード。
  2. 軸線周りに回転される切刃ブレードであって、
    平板状に形成された金属母材と、
    前記金属母材に分散された砥粒と、を備え、
    前記金属母材が第1金属材料により形成されていて、
    前記金属母材のいずれか一方の面に、両性元素を含んで構成された第2金属材料に砥粒が分散されるとともに、前記金属母材に分散された砥粒のうちの前記金属母材から突出した前記砥粒が前記第2金属材料によって被覆された砥粒被覆領域が形成されている、切刃ブレード。
  3. 前記第1金属材料がニッケルを含有する金属材料とされ、前記第2金属材料が亜鉛である、請求項1又は2に記載の切刃ブレード。
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