JP4337250B2 - 電鋳薄刃砥石及びその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はシリコンやフェライト等の被削材を切断加工したり溝入れ加工するため等に用いられる電鋳薄刃砥石とその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
シリコンやGaAs、フェライト等の被削材を高精度に切断加工したり溝入れ加工するのに用いられる薄刃ブレード等の工具として電鋳薄刃砥石がある。このような電鋳薄刃砥石の一例として図7に示すものがあり、この電鋳薄刃砥石1は、NiやCo、或いはこれらの合金等からなる金属めっき相中にダイヤモンドやcBN等の超砥粒が分散配置されてなるリング形状とされている。この電鋳薄刃砥石1は厚さ数十μm〜数百μmの板状をなしている。
そしてこの電鋳薄刃砥石1は軸線回りに回転する砥石軸2の小径軸部3に嵌挿された一対の取り付け用フランジ4,4間に挟まれた状態で、ナット5によって砥石軸2に締め込まれて固定されている。この砥石軸2を軸線まわりに回転することにより電鋳薄刃砥石1の外周縁1aでシリコン等の被削材を研削切断加工することになる。
【0003】
ところでこのような電鋳薄刃砥石1は、Niめっき等に微少量含まれるイオウの影響によってNiやNi合金等による金属めっき相の硬度がHv=500〜750にまで増加するためにその機械的強度と剛性が高く、薄肉であっても切断加工等に用いることができた。
しかしながら、このような電鋳薄刃砥石1にあっては金属めっき相の硬度が高いために、切断加工時に超砥粒の摩耗が進んでも金属めっき相の摩耗速度が遅く金属めっき相から超砥粒が容易に脱落しないために自生発刃作用を十分に発揮できず、切れ味が低下し切断加工精度が低下するという欠点があった。
そこで特公平6−92073号公報等に開示されているように、電鋳薄刃砥石1の刃先の外周面を放電加工等によって200℃以上の温度で熱処理することでNiめっき等でなる金属めっき相の切削に関与する刃先部の組織を再結晶化して金属めっき相を軟質化するとともに脆化させる技術が提案されている。これによって被削材の切断加工時に金属めっき相の摩耗除去が促進されて超砥粒の摩耗に応じてこれが金属めっき相と共に脱落して新たな超砥粒が露出することで切れ味を高く維持できるとしている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、刃先部の金属めっき相を放電加工等で熱処理する際に加熱した部分が熱歪みで変形し易く、円形の刃先部が全周に亘って歪むことになって千鳥刃状になり、切断加工時の被削材の切断代が大きくなる上に高精度な切断加工等ができなくなってしまうという問題がある。
また研削切断加工時に金属めっき相のNiやCoが摩擦熱により被削材と凝着することがあり、NiやNi合金などは変形抵抗が大きく凝着部をせん断する際に大きなせん断力が要求され、そのために研削抵抗が大きくなって砥石ダメージの蓄積により砥石剛性の低下を来たし砥石寿命が短いという問題もある。
【0005】
本発明は、このような課題に鑑みて、研削加工時に被削材との凝着が生じても小さい研削抵抗で加工を行えるようにした電鋳薄刃砥石を提供することを目的とする。
また本発明の他の目的は、刃先部の自生発刃を促進して切れ味を向上できるようにした電鋳薄刃砥石及びその製造方法を提供することにある。
また本発明の他の目的は刃先部の熱処理の際に熱変形を抑制できるようにした電鋳薄刃砥石及びその製造方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る電鋳薄刃砥石は、Ni,Coまたはこれらの合金からなる金属結合相中に超砥粒を分散配置してなる電鋳薄刃砥石において、金属結合相からの超砥粒の突き出し量を超えない厚みのSnめっき層を刃先部の金属結合相表面に形成し、該刃先部を熱処理してSnめっき層を溶融させて前記金属結合相と合金化させたことを特徴とする。刃先部を熱処理してSnめっき層を溶融させて金属結合相と合金化させことにより、SnとNi等との金属間化合物が再結晶組織として製作され、刃先部が元の金属結合相より脆くなるために超砥粒の自生発刃を促進でき被削材との凝着を断ち切りやすい。またSn−Ni金属間化合物を形成して化学的に安定化するため凝着自体を起こしにくくなる。
また刃先部を熱処理することによって得られる再結晶組織の幅が2mm以下であってもよい。
レーザ光等を用いて熱処理することで刃先部の少なくとも研削に関与する領域を再結晶組織とすることができ、その他の領域では剛性を高く維持できる。尚、レーザ光を用いれば熱処理範囲を精密に設定でき、電鋳薄刃砥石の全周に亘って研削に関与する領域のみを高精度に再結晶化できる。
【0008】
本発明による電鋳薄刃砥石は、Ni,Coまたはこれらの合金からなる金属結合相中に超砥粒を分散配置してなる電鋳薄刃砥石において、金属結合相からの超砥粒の突き出し量を超えない厚みのSnめっき層を刃先部の金属結合相表面に形成すると共に刃先部の延在方向に沿って所定間隔でスリットを形成した後、刃先部を熱処理して、Snめっき層を溶融させて金属結合相と合金化させたことを特徴とする。
刃先部がスリットで分断されているために熱処理時における刃先部の熱変形が小さく刃先部全体に行き渡らずスリットで分断された領域でのみ熱歪みが生じるので、刃先部の精度が高くなって切れ味のよい研削が行える。
【0009】
本発明による電鋳薄刃砥石の製造方法は、Ni,Coまたはこれらの合金からなる金属結合相中に超砥粒を分散配置すると共に金属結合相の表面にSnめっき層を形成してなる電鋳薄刃砥石を、所定速度で回転させつつ刃先部にレーザ光を照射して所定幅に亘り、前記Snめっき層を溶融させて前記金属結合相と合金化させたことを特徴とする。刃先部にレーザ光を照射させつつ電鋳薄刃砥石を回転させることで、レーザ光照射部が順次相対移動して短時間の加熱後に順次冷却され、刃先部の熱歪みを抑えてSnめっき層を溶融させて金属結合相を合金化させ、しかも電鋳薄刃砥石の回転速度によってレーザ光による入熱量を制御できる。またレーザ光の照射に先だって刃先部には所定間隔でスリットを形成してもよい。電鋳薄刃砥石を回転させながらレーザ照射を行うので、加熱時に刃先部の熱がスリットによって効率良く放熱され、しかも熱歪みが生じてもスリットで仕切られた刃先片単位で歪みが生じるために外周方向に連続する大きな歪みは発生せず、刃先部のスリットで仕切られた領域の熱変形を抑えて精度の良い合金化ができる。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明による電鋳薄刃砥石の実施形態について添付図面を参照しながら説明する。図1は第一の実施の形態による電鋳薄刃砥石の刃先部の拡大断面図、図2は電鋳薄刃砥石の平面図、図3はSnめっき層を形成する前の電鋳薄刃砥石の刃先部の拡大断面図である。
第一の実施の形態による電鋳薄刃砥石10は図1及び図2に示すように略リング型薄板状を呈しており、その厚みは例えば数十μm〜数百μmの範囲とされている。この電鋳薄刃砥石10はダイヤモンドやcBN等の超砥粒11が金属めっき相(金属結合相)12中に分散配置されて構成され、金属めっき相12は例えばNi−Co合金等、Ni、Coまたはこれらの合金等からなっていて、しかもNi基合金中にイオウが超砥粒を含む全重量に対して0.01〜0.3重量%含まれている。
そして図1及び図2に示す電鋳薄刃砥石10の外周側に位置するリング状の刃先部16において、金属めっき相12の表面12aの一部は例えば厚さt=10〜15μm程度のSnめっき層14で被覆されている。このSnめっき層14は例えば刃先部16にのみ形成されている。
尚、Snめっき層14は少なくとも刃先部16を被覆していればよいが、刃先部16だけでなく電鋳薄刃砥石10の金属めっき相全体をSnめっき層14でめっき形成してもよい。
【0011】
本実施の形態による電鋳薄刃砥石10は上述の構成を有しており、次に電鋳薄刃砥石10の製造方法について説明する。
先ずめっきされる金属に対して剥離性の処理がなされたステンレス製の基板に砥石の原型形状をなす部分を残してマスキングを施し、脱脂等の清浄化処理を施す。次にこの基板をめっき浴槽内のめっき液中に浸漬する。めっき液はダイヤモンド等の超砥粒を分散させたNi基若しくはCo基とイオウを含む有機光沢剤を含有する電解めっき液とし、このめっき液中に基板に対向して陽極板を配設し、基板を陰極に接続する。
この状態で陰極と陽極に通電すると、基板上にNi合金、Co合金或いはNi−Co合金めっき相が析出し、このめっき相中に超砥粒が均一に分散された砥粒層が形成される。砥粒層の厚みが数十μm〜数百μmとなった状態でめっきを終了する。
次いで、この砥粒層を形成した基板をめっき液から取り出してブラッシング等を含む水洗処理を施した後、基板から砥粒層を剥離する。そして得られた砥粒層をパンチング加工等により円形の砥石形状に成型して更に真円に加工して電鋳薄刃砥石10′を得る。
【0012】
そして電鋳薄刃砥石10′の刃先部16を残してマスキングを施して、必要に応じて金属めっき相12の表面をエッチング等により除去し、図3に示すように超砥粒11を相対的に突出させ超砥粒11の突き出し量Tを設定する。
次にマスキングを施した状態で電鋳薄刃砥石10をめっき浴槽内のSnイオンを含むめっき液に浸漬して、上述の場合と同様に陰極に通電して電気めっきを行い、Snを金属めっき相12上に析出させて刃先部16全体にSnめっき層14を形成する。この場合、Snめっきは超砥粒11には析出せず、金属めっき相表面12aにのみ析出することになる。
このようにして図1に示す電鋳薄刃砥石10が得られる。
【0013】
本実施の形態による電鋳薄刃砥石10を用いてシリコン等の被削材の研削切断を行う場合、電鋳薄刃砥石10を砥石軸2に装着して回転させつつ刃先部16で被削材を研削する。すると研削時の摩擦熱により刃先部16の表面が被削材と凝着を起こす。ここで刃先部16の金属めっき相12の表面12aにはSnめっき層14が被覆されており、このSnめっき層14は摺動性が良く潤滑性がよいために変形抵抗が小さく、また機械的強度も小さいので、被削材と凝着したSnめっき層14表面で凝着部が容易にせん断されて凝着を断ち切りやすい。
そのため、Snめっき層14の表面で凝着が容易にせん断されるためにせん断力を小さく抑えて切断抵抗や研削抵抗を低下でき、電鋳薄刃砥石の切れ味を向上できる。また研削抵抗の低減が可能となるため、砥石の負荷が小さくなり砥石ダメージの蓄積を抑制できるので砥石の寿命向上が図れる。
しかも表面に軟質のSnめっき層14を被覆することで摺動性の向上と相手攻撃性の低減による効果と超砥粒11の突出量を抑制する効果との相乗効果で被削材のチッピングを抑えることができる。
【0014】
上述のように本実施の形態によれば、研削切断時の被削材と電鋳薄刃砥石10との凝着時のせん断力が小さく研削切断抵抗を低減でき切れ味を向上できる。また研削抵抗の低減によって砥石の負荷が小さくなり砥石ダメージの蓄積を抑制できるので砥石の寿命向上が図れる。しかも軟質のSnめっき層14を被覆することで摺動性の向上と相手攻撃性の低減による効果と超砥粒11の突出量を抑制する効果との相乗効果で被削材のチッピングを抑えることができる。
【0015】
次に本発明の第二の実施の形態について図4から図6により説明するが、上述の実施の形態と同一または同様な部分、部品には同一の符号を用いて説明する。第二の実施の形態による電鋳薄刃砥石20は、図4及び図5に示すように第一の実施の形態による電鋳薄刃砥石10と同様の構成を有しており、リング型薄板状で超砥粒11がNi−Co合金等の金属めっき相12中に分散配置され、刃先部16では金属めっき相12の表面12aにSnめっき層14が被覆形成された構成を有している。
しかも電鋳薄刃砥石20の刃先部16をレーザ光で200℃〜500℃の範囲、例えば250℃で熱処理することで、Snめっき層14が溶融して金属めっき相12のNiと合金化して再結晶化され、金属めっき相12がSnめっき層14と共にSn−Ni金属間化合物からなる再結晶組織22を構成する。
【0016】
その上、図4に示すように刃先部16に外周縁16aから径方向内側に向けて所定間隔で複数のスリット24…が形成されている。スリット24の本数は電鋳薄刃砥石20の外径によるが、電鋳薄刃砥石20の外径を例えば93.2mmとした場合、スリット24は例えば8条以上、好ましくは16条以上、周方向に等間隔に形成されている。
スリット24の数が増大すれば熱処理時の熱変形は抑制できるが刃先部16の剛性が低下する欠点があり、逆にスリット24の数が少ないと刃先部16の熱変形が長く大きくなって精度低下を来すことになる。
刃先部16は外周縁16aから径方向内側に例えば2mm以内の範囲に亘って熱処理して金属間化合物の再結晶組織22が形成され、この領域が研削切断に関与する研削領域を構成する。刃先部16は周方向に隣り合うスリット24、24で仕切られた各領域が刃先片26を構成する
尚、スリット24の長さは再結晶組織22の幅以上であることが好ましいが、再結晶組織22以下であってもよい。この場合でもスリット24の内側縁部が再結晶組織22の基端側縁部近くであれば熱処理による熱歪みの悪影響は少ない。
【0017】
次に第二の実施の形態による電鋳薄刃砥石20の製造方法について説明する。
超砥粒11を金属めっき相12中に分散配置させ、少なくとも刃先部16の金属めっき相12の表面12aにSnめっき層14を形成するまでは第一の実施の形態による電鋳薄刃砥石10と同様である。
そして得られた電鋳薄刃砥石20について、切断用レーザ装置等を用いて刃先部16の外周縁16aから径方向内側に所定間隔でスリット24…を形成する。次に、電鋳薄刃砥石20を図6に示すようにモータに連結された回転台27に設けた一対の例えば円形カップ型をなすフランジ28,28で挟持して、刃先部16を含む外周側だけを全周にリング状に突出させる。その際に電鋳薄刃砥石20はフランジ28、28と同心円をなすように固定する。この状態で電鋳薄刃砥石20の刃先部16の外周縁16a近傍にレーザ光を照射できるようにレーザ装置30を配設しておく。レーザ装置30は例えばろう付け用、はんだ付け用等の低温加熱のものを用いるが他の適宜種類のレーザ装置を採用できる。
この状態で、回転台27の中心軸回りに電鋳薄刃砥石20を回転させながらレーザ装置30からレーザ光を照射して、回転する刃先部16の外周縁16aから径方向内側に2mm以下の範囲を順次加熱する。レーザ照射による加熱温度は200℃以上500℃までの範囲、例えば250℃程度とする。
【0018】
これにより刃先部16をスポット的に熱処理できるから、その加熱領域でSnめっき層14が溶融して内側の金属めっき相12と合金化して金属間化合物となり再結晶組織22となる。しかも回転する電鋳薄刃砥石20をスポット的に連続して加熱するから短時間加熱された刃先部16はレーザ光照射ポイントを直ぐに外れて冷却されるために温度の低下が早く周辺領域まで再結晶化されることを防止できる。同時に刃先部16には所定間隔でスリット24…が形成されているから、レーザ照射時に各刃先片26の回転方向前後のスリット24、24でも放熱される。これらの要因により刃先部16は加熱後に効果的に冷却されることになり、刃先部16に熱変形が生じるのを抑制できる。
しかもスリット24のために周方向に大きな熱歪みが生じることはなく、刃先片26単位で小さな熱歪みが生じ得るにすぎない。
従って刃先部16を例えば幅2mm以内の所定範囲に亘って全周に高精度に熱処理して金属間化合物の再結晶組織22を製作でき、熱歪みで波打ったり千鳥状になるのを確実に防止できる。
【0019】
このようにして得られた電鋳薄刃砥石20を用いてシリコン等の被削材を切断加工する場合、電鋳薄刃砥石20を砥石軸2に装着した状態で所定回転速度で回転させつつ被削材に切り込み刃先部16で切断加工する。
この時、刃先部16の研削領域はSn−Niの金属間化合物からなる再結晶組織22になっているから元の金属めっき相12の組織より軟質化して脆化されており、超砥粒11が研削で摩耗するより早く再結晶組織22が摩耗して除去され、新たな超砥粒11が露出するために良好な切れ味を継続的に確保できる。そのため研削領域について自生発刃作用を促進できて良好な切れ味を維持できて優れた研削性能を発揮できる。しかも被削材との凝着を断ち切り易く、研削に関与しない領域では金属めっき相12が高い剛性を維持するので電鋳薄刃砥石20の保持強度が高い。
【0020】
上述のように本実施の形態によれば、刃先部16の自生発刃作用を促進して良好な切れ味を維持でき優れた研削性能を発揮できる。また電鋳薄刃砥石20の製作に際して、金属間化合物からなる再結晶組織22を形成するための刃先部16の加熱時にスリット24…を設け且つ電鋳薄刃砥石20を回転させたから、刃先部16の熱歪みを刃先片26単位で小さく抑えて歪みの少ない高精度な再結晶組織22を製作でき、周辺領域の強度低下をもたらすおそれがない。
【0021】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明に係る電鋳薄刃砥石は、金属結合相からの超砥粒の突き出し量を超えない厚みのSnめっき層を刃先部の金属結合相表面に形成し、該刃先部を熱処理してSnめっき層を溶融させて前記金属結合相と合金化させたから、SnとNi等の金属結合相を構成する金属とで金属間化合物が形成され、刃先部が元の金属より脆くなるために超砥粒の自生発刃を促進できると共に被削材との凝着を断ち切りやすい。またSn−Ni金属間化合物等を形成して化学的に安定化するため凝着自体を起こしにくくなる。また刃先部を熱処理することによって得られる再結晶組織の幅が2mm以下であるから、切断などの研削に関与する領域のみを再結晶組織とすることができて切れ味を向上できる上にその他の領域は合成を高く維持できる。
【0023】
本発明による電鋳薄刃砥石は、金属結合相からの超砥粒の突き出し量を超えない厚みのSnめっき層を刃先部の金属めっき相表面に形成すると共に刃先部の延在方向に沿って所定間隔でスリットを形成した後、刃先部を熱処理して、Snめっき層を溶融させて金属結合相と合金化させたから、熱処理時における刃先部の熱変形が小さく、刃先部の精度が高くなって切れ味のよい研削が行える。
【0024】
本発明による電鋳薄刃砥石の製造方法は、金属結合相中に超砥粒を分散配置し、金属結合相の表面にSnめっき層を形成してなる電鋳薄刃砥石を、所定速度で回転させつつ刃先部にレーザ光を照射して所定幅に亘って再結晶化させたから、刃先部にレーザ光を照射させつつ電鋳薄刃砥石を回転させることで、刃先部の熱歪みを抑えて再結晶化でき、電鋳薄刃砥石の回転速度によってレーザ光による入熱量を制御できる。しかもSnめっき層が溶融して金属結合相を構成する金属と金属間化合物を形成して再結晶化できるから研削時の自生発刃を促進できる。
またレーザ光の照射に先だって刃先部には所定間隔でスリットを形成したから、レーザ光照射時の放熱がスリットで一層進み、刃先部の熱歪みを一層抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第一の実施の形態による電鋳薄刃砥石の刃先部の拡大断面図である。
【図2】 実施の形態による電鋳薄刃砥石の平面図である。
【図3】 Snめっき層を形成するまえの電鋳薄刃砥石を示す刃先部の拡大断面図である。
【図4】 第二の実施の形態による電鋳薄刃砥石の刃先部の拡大断面図である。
【図5】 実施の形態による電鋳薄刃砥石の平面図である。
【図6】 電鋳薄刃砥石の刃先部にレーザ光を照射する工程を示す説明図である。
【図7】 従来の電鋳薄刃砥石を砥石軸に装着した状態を示す縦断面図である。
【符号の説明】
10,20 電鋳薄刃砥石
11 超砥粒
12 金属めっき相
12a 表面
16 刃先部
22 再結晶組織
24 スリット
Claims (5)
- Ni,Coまたはこれらの合金からなる金属結合相中に超砥粒を分散配置してなる電鋳薄刃砥石において、
前記金属結合相からの超砥粒の突き出し量を超えない厚みのSnめっき層を刃先部の金属結合相表面に形成し、
該刃先部を熱処理してSnめっき層を溶融させて前記金属結合相と合金化させたことを特徴とする電鋳薄刃砥石。 - 前記刃先部を熱処理することによって得られる合金化された再結晶組織の幅が2mm以下であることを特徴とする請求項1に記載の電鋳薄刃砥石。
- Ni,Coまたはこれらの合金からなる金属結合相中に超砥粒を分散配置してなる電鋳薄刃砥石において、前記金属結合相からの超砥粒の突き出し量を超えない厚みのSnめっき層を刃先部の金属結合相表面に形成すると共に前記刃先部の延在方向に沿って所定間隔でスリットを形成した後、前記刃先部を熱処理して、前記Snめっき層を溶融させて金属結合相と合金化させたことを特徴とする電鋳薄刃砥石。
- Ni,Coまたはこれらの合金からなる金属結合相中に超砥粒を分散配置すると共に前記金属結合相の表面にSnめっき層を形成してなる電鋳薄刃砥石を、所定速度で回転させつつ刃先部にレーザ光を照射して所定幅に亘り、前記Snめっき層を溶融させて前記金属結合相と合金化させてなる電鋳薄刃砥石の製造方法。
- レーザ光の照射に先だって刃先部には所定間隔でスリットを形成したことを特徴とする請求項4記載の電鋳薄刃砥石の製造方法。
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