JP5470713B2 - 電鋳薄刃砥石及びその製造方法 - Google Patents

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本発明は、セラミックスや単結晶材料などの被加工物を切断加工するのに適した薄刃砥石に関するものである。
従来、シリコン、GaAs、フェライト等の被加工物を高精度に切削加工する薄刃砥石(ダイシングブレード)として、薄板リング状の電鋳薄刃砥石が知られている。この電鋳薄刃砥石は、ダイヤモンドやcBN等の砥粒を金属結合材中に分散配置したものであり、その厚さは数十μm〜数百μm程度の薄板リング状に形成されている。薄刃砥石は、その内周側領域を砥石軸に保持し、砥石軸を回転させることで、外周側領域で被加工物の切断加工や溝入れ加工を行うことができる。
近年の電子部品の小型化や収率向上などの理由から、電鋳薄刃砥石にもさらなる薄刃化が求められており、金属結合材としてNiなどの機械的強度が高い金属材料を用いることにより、厚さが50μm以下の極薄電鋳砥石も提供されている。しかし、金属結合材による砥粒の保持力が大きくなると、砥粒による被加工物へのダメージが大きくなるため、切断加工時にチッピングと呼ばれる被加工物の割れ、欠けを増大させるという問題がある。
このような問題を解決するため、特許文献1には、Ni、Co又はこれらの合金からなる金属結合材の刃先部の表面に、この金属結合材からの砥粒の突き出し量を越えない厚みのSnめっき層を形成した電鋳薄刃砥石が提案されている。この場合には、Snめっき層が金属結合材の表面を覆うことで、摺動性を向上させると共に、金属結合材より軟質のSnめっき層が緩衝層を構成し、被加工物へのダメージを低減し、チッピングを抑えることができるとされている。
しかしながら、この構造の電鋳薄刃砥石を用いて、電子セラミックスや単結晶材料などの高硬度脆性材料を切断加工した場合、Snめっき層が加工初期で大きく磨耗してしまい、長期間安定してチッピング抑制効果を維持することができず、実用的ではないという問題がある。その様子を、図5を参照して説明する。
図5の(a)は加工前の薄刃砥石10、(b)は切断加工中の薄刃砥石10を示す。Niよりなる金属結合材11の表面に、砥粒の突き出し量を越えない厚みのSnめっき層12が形成されている。なお、図5では砥粒を省略してある。被加工物13を切削することで薄刃砥石10の外周部が磨耗するが、半径方向の磨耗よりも厚み方向の磨耗、特にSnめっき層12を設けた両側面の磨耗が大きく、図5の(b)に示すように、短時間で金属結合材11が両側面に現れてしまう。これではSnめっき層12による緩衝効果がなくなり、良好な切断性能(チッピング抑制)や加工精度を維持できない。そのため、Snめっき層で被覆した薄刃砥石10の寿命は非常に短いという欠点があった。さらに、電鋳薄刃砥石を切削加工に使用する場合、砥粒の突き出し量を調整し、加工品質を安定させるために、事前にドレッシングと呼ばれる目立て作業を砥石刃先に対して行う。この目立て作業は、例えば砥石刃先部で砥粒を固めたドレスボードをカットすることで行う。このドレスボードをカットすることにより、砥石刃先部で砥粒間の金属結合材が削り取られてチップポケットが形成される。しかしながら、この目立て作業において、Snめっき層は簡単に磨耗してしまうため、実際の切削加工時にはSnめっき層が殆ど残っておらず、Snめっき層による緩衝効果を十分に発揮できないという欠点があった。
特許文献1では、Snめっき層の厚みを例えば10〜15μmとしているが、この様な分厚いSnめっき層を形成すると、砥粒の粒径をそれ以上に大きくする必要があるため、砥粒径の増大によるチッピングの増大や加工品質の低下、さらには加工幅の増大を招くという問題がある。
特開2002−66935号公報
そこで、本発明の目的は、寿命が長く、良好な切断性能を長期間維持できる薄刃砥石及びその製造方法を提供することにある。
本発明の係る電鋳薄刃砥石は、砥粒の一部がNiめっき層からなる金属結合材から突き出すように前記砥粒を前記金属結合材中に分散配置してなる電鋳薄刃砥石において、前記金属結合材の表面に、Cuめっき層からなる第1の金属層がめっき法により形成され、前記第1の金属層の表面に、Niめっき層からなる第2の金属層がめっき法により形成されており、前記第1の金属層と第2の金属層との合計厚みが前記金属結合材からの砥粒の突き出し量を越えない厚みに設定されていることを特徴とする電鋳薄刃砥石である。
本発明に係る電鋳薄刃砥石の製造方法は、砥粒の一部がNiめっき層からなる金属結合材から突き出すように前記砥粒を前記金属結合材中に分散配置してなる電鋳薄刃砥石を作成する第1の工程と、前記金属結合材の表面に、Cuめっき層からなる第1の金属層をめっき法により形成する第2の工程と、前記第1の金属層の表面に、Niめっき層からなる第2の金属層をめっき法により形成する第3の工程と、を含み、前記第1の金属層と第2の金属層との合計厚みが前記金属結合材からの砥粒の突き出し量を越えない厚みに設定されていることを特徴とする電鋳薄刃砥石の製造方法である。
本発明に係る薄刃砥石で被加工物を切削すると、金属結合材より軟質の第1の金属層が砥石側面付近での砥粒の緩衝性(クッション性)を維持でき、被加工物へのダメージを低減でき、チッピングを抑制できる。しかも、第1の金属層の表面はそれより硬質の第2の金属層で覆われているので、第1の金属層の磨耗を抑制できるとともに、側面砥粒の脱落を抑制でき、安定したチッピング抑制効果を維持できる。そのため、長寿命の薄刃砥石を実現できる。さらに、実際の切削加工に先立って行われる目立て作業において、第2の金属層が第1金属層の保護層として機能し、第1の金属層を簡単に磨耗させないので、切削加工時に第1の金属層による緩衝効果を十分に発揮できる。第2の金属層は第1の金属層より硬質であるが、金属結合材と第2の金属層のいずれが硬質であってもよいし、同質であってもよい。
第1の金属層と第2の金属層との合計厚みは、1〜10μmであることが望ましい。前述のように第2の金属層によって第1の金属層の磨耗が抑制されるので、第1 の金属層の厚さが10μm以下でも十分な緩衝効果を発揮できる。換言すると、砥粒の粒径をそれだけ小さくでき、高精度な切削加工を行うことができる。第1の金属層と第2の金属層の合計厚みは、砥粒の粒径に応じて設定されるが、砥粒の粒径が4〜10μmの場合、1〜10μm、望ましくは1〜5μmがよい。
第2の金属層の厚みを、第1の金属層の厚みより薄くするのが望ましい。第2の金属層は第1の金属層より硬質であるため、あまり厚くすると、砥粒の緩衝性がなくなり、被加工物へのダメージが大きくなる可能性がある。そこで、第2の金属層の厚みを第1の金属層の厚みより薄くすることで、被加工物へのダメージを小さくできる。具体的には、第2の金属層は1μm以下でもよい。
例えば金属結合材がNiめっき層の場合、第1の金属層をSnめっき層、Cuめっき層、Auめっき層、Agめっき層のいずれかとし、第2の金属層をNiめっき層としてもよい。いずれの組み合わせの場合も金属同士の密着性がよく、良質の多層構造を構成できる。Niのヤング率は210GPaであるのに対し、Snのヤング率は55GPa、Auのヤング率は78GPa、Cuのヤング率は120GPa、Agのヤング率は73GPaであるため、第1の金属層としてSn、Au、Cu、Agを使用した場合、所定の緩衝効果を発揮できる。なお、第1の金属層はSn,Au,Cu,Agなどに限るものではなく、金属結合材より低ヤング率の材料であればよい。また、第2の金属層は第1の金属層より硬質であればよく、Ni以外にも種々の金属を選択できる。例えば、第1の金属層がSnめっき層又はAuめっき層の場合、第2の金属層としてCuめっき層を用いてもよい。
金属結合材を構成する金属としては、Niのほか、主体となるNiと他の金属(例えばCo等)との合金でもよい。ここで、Niを主体とする合金とは、少なくともNiが50重量%以上含む合金をいう。Niと同等な機械的強度及び耐磨耗性を有する合金であればよい。本発明の薄刃砥石で切削できる被加工物としては、シリコンやGaAs、フェライトなどの他、PZT等の圧電セラミックス、水晶、LiTaO3単結晶、誘電体などの高硬度の材料も含む。
第1の金属層、第2の金属層の形成は、めっき工法に限らず、溶射/印刷/塗布/蒸着/スパッタリング/ライニング/コーティング/CVD/PVDなどの皮膜形成工法を用いても同様の効果が得られる。さらに、第2の金属層の形成を、第1の金属層の表層部を熱処理/化学反応/加工硬化などにより硬質に改質し、硬質層を形成することで製作することも可能である。
薄刃砥石としては電着薄刃砥石や電鋳薄刃砥石を用いることができる。例えば、電着薄刃砥石の場合には、ステンレス等の台金をカソードとして、その上に電着法によりNi又はNiを主体とする合金からなる金属結合材を形成することで、薄刃砥石を作成できる。また、電鋳薄刃砥石の場合には、カソードから金属結合材を剥離することで、極薄肉な薄刃砥石も作成できる。
本発明に係る薄刃砥石によれば、金属結合材の表面に金属結合材より軟質の第1の金属層を形成し、第1の金属層の表面に第1の金属層より硬質の第2の金属層を形成し、第1の金属層と第2の金属層との合計厚みを金属結合材からの砥粒の突き出し量を越えない厚みに設定したので、砥粒が被加工物に当たった時に第1の金属層が緩衝層として働き、被加工物へのダメージを低減でき、被加工物のチッピングを抑制できる。また、第2の金属層は第1の金属層より硬質であるため、耐磨耗性に優れ、第1の金属層を設けた両側面の磨耗速度を低減できる。そのため、切削加工に伴って薄刃砥石の半径方向の磨耗速度と厚み方向の磨耗速度とをバランスさせることができ、薄刃砥石が磨耗しても初期の切断性能と同様の性能を維持できる。その結果、長寿命の薄刃砥石を実現できる。
以下に、本発明の好ましい実施の形態を、図面を参照して説明する。図1は本発明にかかる薄刃砥石の第1実施形態を示し、(a)は薄刃砥石の正面図、(b)はA−A線拡大断面図である。本実施形態の薄刃砥石1は薄板リング状の電鋳薄刃砥石であり、ダイヤモンドやcBN等の砥粒2を金属結合材3中に分散配置してなるものであり、その厚さは数十μm〜数百μm程度、望ましくは50μm以下に設定されている。金属結合材3は、例えばNiめっき層又はNiを主体とする合金めっき層で構成されている。Ni合金としては、例えばNi−Co合金,Ni−W合金,Ni−B合金などがある。
金属結合材3の表面には金属結合材3より軟質の第1の金属層4が形成され、第1の金属層4の表面には第1の金属層4より硬質の第2の金属層5が形成されている。例えば金属結合材3がNiの場合、第1の金属層4としてはSn、Au、Cu、Agなどが使用され、第2の金属層5としてはNiなどが使用される。第1の金属層4と第2の金属層5の合計厚みは、金属結合材3からの砥粒2の突き出し量を越えない厚みに設定されている。砥粒2の粒径が4〜10μmの場合、合計厚みは1〜10μm、望ましくは1〜5μmがよい。第2の金属層5の厚さは第1の金属層4の厚さより薄い方が望ましく、1μm以下がよい。なお、図1の(b)では、表層部の全ての砥粒2が第2の金属層5の表面から突出している例を示したが、一部の砥粒2は第1の金属層4又は第2の金属層5内に埋没していてもよい。第1の金属層4及び第2の金属層5は、少なくとも薄刃砥石1の刃先部1aに形成されるが、刃先部1aだけでなく薄刃砥石1の全体にわたって第1の金属層4及び第2の金属層5を形成してもよい。
次に、前記構成よりなる薄刃砥石1の製造方法の一例を、図2を参照して説明する。ここでは、Ni/Cu/Ni/Cu/Niの五層構造の薄刃砥石の例について説明する。
まず、ダイヤモンド等の砥粒2を分散させたNiを含む電解めっき液を準備し、このめっき液中にステンレス等の基板と陽極板とを対向して配置し、基板を陰極に接続する。陰極と陽極間に通電すると、基板上にNi合金めっき層が析出し、砥粒2が均一に分散された金属結合材3が形成される。金属結合材3が数十μm〜数百μmとなった時点でめっきを終了し、この金属結合材3を形成した基板をめっき液から取り出し、基板から金属結合材3を剥離する。剥離した金属結合材3をリング状に成形して図2の(a)に示す電鋳単層砥石1Aを得る。
次に、単層砥石の金属結合材3の表面をエッチング等により除去し、図2の(b)のように砥粒2の突き出し量を大きくした単層砥石1Bを得る。
次に、単層砥石1BをCuイオンを含むめっき液に浸漬し、単層砥石1Bを陰極とし、この陰極に対向して陽極板を配置し、陰極と陽極間に通電すると、Cuが単層砥石1B上に析出し、Cuめっき層(第1の金属層)4が形成される。Cuめっきは非導電性の砥粒2上には析出せず、金属結合材3上にのみ析出する。こうして、図2の(c)に示す三層砥石1Cが得られる。
次に、三層砥石1CをNiイオンを含むめっき液に浸漬し、三層砥石1Cを陰極とし、この陰極に対向して陽極板を配置し、陰極と陽極間に通電すると、Niが三層砥石1C上に析出し、Niめっき層(第2の金属層)5が形成される。Niめっきは非導電性の砥粒2上には析出せず、第1の金属層4上にのみ析出する。こうして、図2の(d)に示す薄刃砥石1が得られる。なお、実際の切削加工に先立って、刃先部をドレッシングすることにより、目立てを行うのがよい。
図3に本実施形態における薄刃砥石1の初期状態(a)と何回かの切断加工を実施した後の状態(b)とを示す。なお、図3では砥粒を省略してある。被加工物6を切削することで薄刃砥石1の外周部が磨耗するが、軟質の第1の金属層4の外側面が硬質の第2の金属層5で被覆されているので、第1の金属層4の磨耗が抑制され、半径方向の磨耗速度と厚み方向の磨耗速度とがバランスする。そのため、金属結合材3の外周部が円弧状に磨耗するとともに、第1の金属層4及び第2の金属層5の先端部も磨耗し、この形態を維持しながら磨耗が進行する。特に、薄刃砥石1の外周部の両側面の硬度がチッピングの発生に大きく影響するが、本実施形態における薄刃砥石1の場合には、図3の(b)に示すように薄刃砥石1の外周部の両側面に第1の金属層4を残しながら磨耗していくので、第1の金属層4による緩衝効果を維持でき、良好な切断性能(チッピング抑制)や加工精度を維持できる。そのため、薄刃砥石1の寿命が長くなる。
次に、金属結合材の表面に軟質材(第1の金属層)を被覆した三層砥石(1) と、それに硬質材(第2の金属層)を表面被覆した本発明砥石(2) とを製作した。各砥石の製作条件を以下に示す。
(1)Cu めっき砥石(Cu/Ni/Cuの三層構造)
処理基材:単層砥石(金属結合材+砥粒)
種別:電鋳単層砥石
結合材:Ni
砥粒径:4/6μm
形状:76×0.03×40 [mm]
軟質材形成条件
軟質材材質:Cu(電解Cuめっき処理)
軟質材厚 :1.0μ
めっき浴 :硫酸銅めっき浴
めっき電流:0.75A
めっき時間:6min
電流密度 :1.15A/dm2
(2) Cuめっき+Niめっき砥石(Ni/Cu/Ni/Cu/Niの五層構造)
処理基材:Cuめっき砥石(Cu/Ni/Cuの三層構造)
硬質材形成条件
硬質材材質 :Ni(電解Niめっき処理)
硬質材厚 :0.04μm/0.08μm
めっき浴 :ワット浴
めっき電流 :0.16A
めっき時間 :1min/2min
電流密度 :0.25A/dm2
本発明における最外層に硬質材(第2の金属層)を被覆することで、軟質材(第1の金属層)の耐磨耗性を加工後の砥石側面SEM観察により評価する。加えて、砥粒の緩衝性が低下しチッピング抑制効果の消失が無いことを評価する。このときの加工条件を以下に示す。
加工条件
加工機 :ダイサーDAD3350(株式会社ディスコ製)
主軸回転数:30000rpm
加工材料 :単結晶材料(LiTaO3
ワーク形状:φ100ウェハ
送り速度 :80mm/s
カット本数:(オリフラに対して)平行方向1.4mm、垂直方向1.0mm
上記ピッチにてウェハ1枚ダイシング加工
軟質材(第1の金属層)磨耗状態比較
砥石側面のSEM観察によると、Cuめっき砥石(Cu/Ni/Cuの三層構造)、本発明品-1(硬質材厚0.04μm)では、刃先から大きな領域(例えば 200μmまで)にて加工による軟質材磨耗が発生しているが、本発明品-2(硬質材厚0.08μm)では磨耗を大きく低減できており、Cuめっき砥石よりも軟質材へのダメージを抑制する効果がある。また、Cuめっき砥石では、一部腐食している領域があるが、本発明品-1,-2 には無い。今回のCuのように腐食/酸化しやすい軟質材の場合でも、耐食性の良い硬質材で被覆することで、砥石の耐食性を向上させることができる。以上のことから、今回の加工条件では0.08μm以上の硬質材(第2の金属層)を形成することが好ましく、それにより軟質材(第1の金属層)の耐磨耗性を向上させることが出来ることがわかった。
チッピング比較
チッピング測定結果を図4に示す。ここで、単層Ni砥石のときに発生するチッピング量を100%とし、各砥石のチッピングを割合にてあらわす。図4から明らかなように、Cuめっき砥石及び本発明品-1,-2 の場合は、処理基材とした単層Ni砥石よりも10%〜15%程度のチッピング抑制効果があることがわかる。このことから、本発明品-1,-2 ではCuめっき砥石と同程度のチッピング抑制効果を有し、硬質材にて被覆することによる機能低下(ワークダメージの増加)は無いといえる。なお、図4には比較例としてSnめっき砥石(Sn/Ni/Snの三層構造、Snめっき層厚:1.2 μm)のチッピング結果も示されている。Snめっき砥石の場合、Snめっき層の耐磨耗性が低いため、単層Ni砥石とチッピング結果は殆ど変わらない。以上のことから、本発明品では軟質材の耐磨耗性に優れ、良好なチッピング抑制効果を安定して持続できるといえる。
本発明は前記実施形態に限定されるものではない。前記実施形態では、電鋳薄刃砥石を例として説明したが、ステンレスなどの台金に電着によりNi等のめっき層を設けて金属結合材を構成し、この金属結合材の両側面に第1の金属層及び第2の金属層をめっき処理等により形成したものでもよい。
本発明に係る薄刃砥石の第1実施形態の正面図およびA−A線断面図である。 図1に示す薄刃砥石の製造段階を示す断面図である。 本発明に係る薄刃砥石の初期段階と加工途中の側面図である。 各種薄刃砥石の加工初期におけるチッピング結果を示す比較図である。 従来の薄刃砥石の初期段階と加工途中の側面図である。
符号の説明
1 薄刃砥石
2 砥粒
3 金属結合材(Niめっき層)
4 第1の金属層(Cuめっき層)
5 第2の金属層(Niめっき層)
6 被加工物

Claims (5)

  1. 砥粒の一部がNiめっき層からなる金属結合材から突き出すように前記砥粒を前記金属結合材中に分散配置してなる電鋳薄刃砥石において、
    前記金属結合材の表面に、Cuめっき層からなる第1の金属層がめっき法により形成され、
    前記第1の金属層の表面に、Niめっき層からなる第2の金属層がめっき法により形成されており、
    前記第1の金属層と第2の金属層との合計厚みが前記金属結合材からの砥粒の突き出し量を越えない厚みに設定されていることを特徴とする電鋳薄刃砥石。
  2. 前記第1の金属層と第2の金属層との合計厚みは、1〜10μmであることを特徴とする請求項1に記載の電鋳薄刃砥石。
  3. 前記第2の金属層の厚みは、前記第1の金属層の厚みより薄いことを特徴とする請求項1又は2に記載の電鋳薄刃砥石。
  4. 砥粒の一部がNiめっき層からなる金属結合材から突き出すように前記砥粒を前記金属結合材中に分散配置してなる電鋳薄刃砥石を作成する第1の工程と、
    前記金属結合材の表面に、Cuめっき層からなる第1の金属層をめっき法により形成する第2の工程と、
    前記第1の金属層の表面に、Niめっき層からなる第2の金属層をめっき法により形成する第3の工程と、を含み、
    前記第1の金属層と第2の金属層との合計厚みが前記金属結合材からの砥粒の突き出し量を越えない厚みに設定されていることを特徴とする電鋳薄刃砥石の製造方法。
  5. 前記第1の工程は、前記金属結合材の表面をエッチングして前記金属結合材からの砥粒の突き出し量を増大させる工程を含むことを特徴とする請求項に記載の電鋳薄刃砥石の製造方法。
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