JP6939365B2 - アミン組成物の製造方法 - Google Patents

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本発明はアミン組成物の製造方法に関する。
ポリアミン、並びに、ポリアミンとアルケニル化合物やエポキシ化合物等との付加反応により得られる化合物は、エポキシ樹脂硬化剤として有用であることが知られている。これらのエポキシ樹脂硬化剤を利用したエポキシ樹脂組成物は、船舶・橋梁・陸海上鉄構築物用防食塗料等の塗料分野、コンクリート構造物のライニング・補強・補修材、建築物の床材、上下水道のライニング、舗装材、接着剤等の土木・建築分野に広く利用されている。
中でも、ポリアミンとアルケニル化合物との付加反応により得られるアミン化合物は、未反応ポリアミン含有量が比較的低く低粘度であることから、該化合物を含むエポキシ樹脂硬化剤を用いたエポキシ樹脂組成物は良好な硬化物性能を与えることができる。
例えば特許文献1には、ポリアミンとアルケニル化合物との付加反応により得られたアミノ化合物及びその製造方法が開示されている。特許文献2には、所定の化合物の存在下でポリアミンとアルケニル化合物との付加反応を行うことを特徴とした、臭気の少ないアミノ化合物を安定して製造する方法が開示されている。
また特許文献3には、ジアミン又はポリアミンとスチレンとを反応させることによって得られる付加物を含むエポキシ樹脂用硬化剤が開示されている。
特許文献1には、ポリアミンとしてキシリレンジアミン又はビス(アミノメチル)シクロヘキサンを用い、アルケニル化合物としてスチレンを用いた場合の付加反応物の構造式が示されている(請求項2、実施例等)。しかしながら該化合物は、ポリアミンが有するアミノ基の窒素原子に結合した水素(以下「活性水素」という)がアルケニル化合物由来の基で置換されているため、原料のポリアミンと比較して活性水素が少なくなり、結果、活性水素当量(以下「AHEW」ともいう)が高くなる。AHEWが高いエポキシ樹脂硬化剤は必然的にエポキシ樹脂への配合量が多くなることから、エポキシ樹脂組成物の配合組成が制限されるばかりでなく、高コストにもなる。
特開2002−161076号公報 国際公開第2012/105303号 特表2008−503627号公報
本発明が解決しようとする課題は、キシリレンジアミンとスチレンとの付加体を含有するアミン組成物の製造方法であって、活性水素当量が低く、エポキシ樹脂硬化剤として使用した際にはエポキシ樹脂組成物への配合量が少なくても十分な硬化性を有し、良好な硬化物性能を与えることができるアミン組成物を効率よく製造する方法を提供することにある。
本発明者らは、キシリレンジアミンとスチレンとを特定の固体塩基の存在下で付加反応させることにより上記課題を解決できることを見出した。
すなわち本発明は、下記[1]〜[9]に関する。
[1]キシリレンジアミンとスチレンとの付加体を含有するアミン組成物の製造方法であって、キシリレンジアミンとスチレンとを、下記(A)及び(B)成分を含有する組成物に由来する固体塩基(X)の存在下で付加反応させる工程を有する、アミン組成物の製造方法。
(A)水酸化カリウム及び炭酸カリウムからなる群から選ばれる1種以上のカリウム化合物
(B)金属ナトリウム
[2]前記固体塩基(X)が、前記(A)及び(B)成分、並びに下記(C)成分を含有する組成物に由来する、上記[1]に記載のアミン組成物の製造方法。
(C)酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム、酸化カルシウム、水酸化カルシウム、アルミナ、酸化ジルコニウム、グラファイト、及びアモルファス炭素からなる群から選ばれる1種以上の担持体
[3]前記固体塩基(X)中のカリウムとナトリウムとのモル比が0.01:1〜10:1である、上記[1]又は[2]に記載のアミン組成物の製造方法。
[4]前記固体塩基(X)中の前記(B)成分の含有量が7〜40質量%である、上記[1]〜[3]のいずれか1項に記載のアミン組成物の製造方法。
[5]前記アミン組成物がキシリレンジアミン1モルとスチレン1モルとが付加した1:1付加体を含む、上記[1]〜[4]のいずれか1項に記載のアミン組成物の製造方法。
[6]前記1:1付加体において、下記一般式(1)で示される付加体と下記一般式(2)で示される付加体の合計量を100質量%とした場合の、該一般式(1)で示される付加体の含有量が15質量%以上である、上記[5]に記載のアミン組成物の製造方法。
Figure 0006939365

(式(1)中、Aは1,2−フェニレン基、1,3−フェニレン基、又は1,4−フェニレン基である。)
Figure 0006939365

(式(2)中、Aは1,2−フェニレン基、1,3−フェニレン基、又は1,4−フェニレン基である。)
[7]前記アミン組成物の活性水素当量が200以下である、上記[1]〜[6]のいずれかに記載のアミン組成物の製造方法。
[8]前記(C)成分が酸化マグネシウム及び炭酸マグネシウムからなる群から選ばれる1種以上のアルカリ土類金属化合物である、上記[2]〜[7]のいずれかに記載のアミン組成物の製造方法。
[9]前記固体塩基(X)が前記(A)及び(B)成分を含有する組成物を不活性ガス雰囲気下で熱処理したものである、上記[1]〜[8]のいずれかに記載のアミン組成物の製造方法。
本発明によれば、活性水素当量が低く、エポキシ樹脂硬化剤として使用した際にはエポキシ樹脂組成物への配合量が少なくても十分な硬化性を有し、良好な硬化物性能を与えることができる、キシリレンジアミンとスチレンとの付加体を含有するアミン組成物を効率よく製造できる。該アミン組成物はエポキシ樹脂硬化剤等に好適に用いられる。
[アミン組成物の製造方法]
本発明のアミン組成物の製造方法(以下「本発明の製造方法」ともいう)は、キシリレンジアミンとスチレンとの付加体を含有するアミン組成物の製造方法であって、キシリレンジアミンとスチレンとを、下記(A)及び(B)成分を含有する組成物に由来する固体塩基(X)の存在下で付加反応させる工程を有する。
(A)水酸化カリウム及び炭酸カリウムからなる群から選ばれる少なくとも1種のカリウム化合物
(B)金属ナトリウム
キシリレンジアミンとスチレンとの付加反応においては、原料ジアミンであるキシリレンジアミンのアミノ基の窒素原子にフェネチル基が結合した構造を有する付加体が形成される場合と、キシリレンジアミンのベンジル位の炭素原子にフェネチル基が結合した構造を有する付加体が形成される場合がある。
本発明の製造方法では、キシリレンジアミンとスチレンとの付加反応において特定の固体塩基を触媒として用いることにより、キシリレンジアミンのベンジル位の炭素原子にフェネチル基が結合した構造を有する付加体の形成が高選択的にかつ効率よく進行する。その結果、得られる付加体中にキシリレンジアミン由来の活性水素が残存する割合が高くなるので、得られる付加体、及びこれを含有するアミン組成物の活性水素当量が低くなる。したがって、例えば当該アミン組成物をエポキシ樹脂硬化剤として用いると、エポキシ樹脂組成物への配合量を従来よりも少なくすることができるという効果を奏する。
キシリレンジアミンはo−キシリレンジアミン、m−キシリレンジアミン(メタキシリレンジアミン;MXDA)、及びp−キシリレンジアミン(パラキシリレンジアミン;PXDA)からなる群から選ばれる1種以上である。中でも、メタキシリレンジアミン及びパラキシリレンジアミンからなる群から選ばれる1種以上が好ましく、メタキシリレンジアミンがより好ましい。
<固体塩基(X)>
キシリレンジアミンとスチレンとの付加反応に用いる固体塩基(X)は、下記(A)及び(B)成分を含有する組成物に由来する塩基触媒である。
(A)水酸化カリウム及び炭酸カリウムからなる群から選ばれる1種以上のカリウム化合物(以下、単に「カリウム化合物(A)」又は「(A)成分」ともいう。)
(B)金属ナトリウム(以下、単に「金属ナトリウム(B)」又は「(B)成分」ともいう。)
当該固体塩基(X)の存在下で原料ジアミンであるキシリレンジアミンとスチレンとの付加反応を行うことで、効率よく反応が進行し、かつ、キシリレンジアミンのベンジル位の炭素原子にフェネチル基が結合した構造を有する付加体を高選択率で得ることができる。
キシリレンジアミンとスチレンとの付加反応に用いる塩基触媒としては金属カリウムやナトリウム・カリウム合金も使用できるが、安全性の観点から当該固体塩基(X)を使用するのが望ましい。
固体塩基(X)は、前記(A)及び(B)成分、並びに下記(C)成分を含有する組成物に由来する固体塩基であることがより好ましい。
(C)酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム、酸化カルシウム、水酸化カルシウム、アルミナ、酸化ジルコニウム、グラファイト、及びアモルファス炭素からなる群から選ばれる1種以上の担持体(以下、単に「担持体(C)」又は「(C)成分」ともいう。)
(C)成分としては、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム、酸化カルシウム、及び水酸化カルシウムからなる群から選ばれる1種以上のアルカリ土類金属化合物が好ましく、酸化マグネシウム及び炭酸マグネシウムからなる群から選ばれる1種以上のアルカリ土類金属化合物がより好ましく、酸化マグネシウムがさらに好ましい。
「(A)及び(B)成分を含有する組成物に由来する固体塩基(X)」としては、具体的には、カリウム化合物(A)、及び金属ナトリウム(B)を含有する組成物、及び、当該組成物を不活性ガス雰囲気下で熱処理したものが挙げられる。触媒活性の観点からは、固体塩基(X)は、前記(A)及び(B)成分を含有する組成物を不活性ガス雰囲気下で熱処理したものであることが好ましい。
固体塩基(X)が(A)〜(C)成分を含有する組成物に由来する固体塩基である場合、その具体例としては、カリウム化合物(A)、金属ナトリウム(B)、及び担持体(C)を含有する組成物、及び、当該組成物を不活性ガス雰囲気下で熱処理したものが挙げられ、前記(A)〜(C)成分を含有する組成物を不活性ガス雰囲気下で熱処理したものであることが好ましい。
当該固体塩基(X)は例えば、不活性ガス雰囲気下で、カリウム化合物(A)、金属ナトリウム(B)、及び必要に応じて担持体(C)を混合し、好ましくは98〜400℃で、10分〜5時間加熱撹拌することによって製造することができる。カリウム化合物(A)、金属ナトリウム(B)、及び担持体(C)を混合する順番は特に限定されない。
不活性ガスとしては、例えば、ヘリウム、窒素、アルゴン等を挙げることができる。
固体塩基(X)の調製における加熱温度は、好ましくは98〜400℃、より好ましくは110〜300℃、さらに好ましくは120〜280℃である。加熱温度が上記範囲であると、金属ナトリウム(B)が融解するため分散混合しやすく、且つ、(A)及び(B)成分、又は(A)〜(C)成分が十分に焼成されて得られる固体塩基(X)の触媒活性が高くなる傾向にあるので、反応転化率が向上する。
固体塩基(X)の調製における熱処理時間は、好ましくは10分〜5時間、より好ましくは30分〜3時間、さらに好ましくは30分〜2時間である。熱処理時間が上記範囲であると、(A)及び(B)成分、又は(A)〜(C)成分が十分に焼成されて得られる固体塩基(X)の触媒活性が高くなる傾向にあるので、反応転化率が向上する。
カリウム化合物(A)、担持体(C)は、吸湿性が高く、活性が低下する傾向にあることから、固体塩基(X)の調製前に、さらに熱処理を加えてもよい(以下「調製前の熱処理」ともいう)。調製前の熱処理は不活性ガス雰囲気下、又は、真空下で行うことが好ましい。
調製前の熱処理の温度は、不要な水分を取り除くことができれば特に限定されないが、好ましくは200〜500℃、より好ましくは250〜400℃である。調製前の熱処理の温度が上記範囲であると十分に水分を取り除くことができ、固体塩基(X)の触媒活性が高くなる傾向にあるので、反応転化率が向上する。
調製前の熱処理の時間は、好ましくは10分〜5時間、より好ましくは30分〜3時間、さらに好ましくは30分〜2時間である。調製前の熱処理の時間が上記範囲であると十分に水分を取り除くことができ、固体塩基(X)の触媒活性が高くなる傾向にあるので、反応転化率が向上する。
固体塩基(X)中のカリウムとナトリウムとのモル比は、反応転化率を向上させる観点から、好ましくは0.01:1〜10:1である。キシリレンジアミンのベンジル位の炭素原子にフェネチル基が結合した構造を有する付加体を高選択率で得る観点からは、カリウムのモル比が高いことが好ましい。この観点、及び、反応転化率を向上させる観点からは、固体塩基(X)中のカリウムとナトリウムとのモル比は、より好ましくは0.1:1〜10:1、さらに好ましくは0.2:1〜10:1、さらに好ましくは0.4:1〜8:1、よりさらに好ましくは0.8:1〜3:1である。
固体塩基(X)におけるカリウムとナトリウムとのモル比は、カリウム化合物(A)及び金属ナトリウム(B)を含有する組成物におけるカリウム化合物(A)及び金属ナトリウム(B)の配合量より求めることができる。
固体塩基(X)中の金属ナトリウム(B)の含有量は、好ましくは7〜40質量%、より好ましくは8〜30質量%、さらに好ましくは9〜20質量%である。固体塩基(X)中の金属ナトリウム(B)の含有量が上記範囲であると、付加反応速度が良好であり、かつ、副反応の発生を抑制できる。
固体塩基(X)中の金属ナトリウム(B)の含有量は、カリウム化合物(A)及び金属ナトリウム(B)を含有する組成物の合計質量に対する金属ナトリウム(B)の質量の割合から求めることができる。
固体塩基(X)が(A)〜(C)成分を含有する組成物に由来する固体塩基である場合、固体塩基(X)中の担持体(C)の含有量は0質量%より大きければ特に制限はない。例えば担持体(C)が酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム、酸化カルシウム、及び水酸化カルシウムからなる群から選ばれる1種以上のアルカリ土類金属化合物である場合は、触媒活性の観点、及び副反応の発生を抑制する観点から、アルカリ土類金属とナトリウムとのモル比として、好ましくは0.1:1〜20:1、より好ましくは0.5:1〜10:1、さらに好ましくは1:1〜8:1である。
固体塩基(X)中のアルカリ土類金属とナトリウムとのモル比は、カリウム化合物(A)及び金属ナトリウム(B)、並びに担持体(C)としてアルカリ土類金属化合物を含有する組成物における、金属ナトリウム(B)及び担持体(C)であるアルカリ土類金属化合物の配合量より求めることができる。
また、例えば担持体(C)がアルミナ、酸化ジルコニウム、グラファイト、及びアモルファス炭素からなる群から選ばれる1種以上である場合は、触媒活性の観点、及び副反応の発生を抑制する観点から、アルミナ、酸化ジルコニウム、グラファイト、及びアモルファス炭素からなる群から選ばれる1種以上とナトリウムとの質量比として、好ましくは0.2:1〜12:1、より好ましくは0.5:1〜10:1である。
上記質量比は、カリウム化合物(A)及び金属ナトリウム(B)、並びに担持体(C)を含有する組成物における、金属ナトリウム(B)及び担持体(C)の配合量より求めることができる。
固体塩基(X)中の(A)成分及び(B)成分の合計含有量は、本発明の効果を得る観点から、好ましくは25質量%以上、より好ましくは30質量%以上であり、上限は100質量%である。
また、固体塩基(X)が(A)〜(C)成分を含有する組成物に由来する固体塩基である場合、固体塩基(X)中の(A)〜(C)成分の合計含有量は、本発明の効果を得る観点から、好ましくは50質量%以上、より好ましくは70質量%以上、さらに好ましくは90質量%以上であり、上限は100質量%である。固体塩基(X)は、(A)〜(C)成分からなる組成物に由来することがさらに好ましい。
上記合計含有量は、(A)及び(B)成分、並びに(C)成分を含有する組成物の合計質量に対する各成分の合計質量の割合から求めることができる。
キシリレンジアミンとスチレンとの付加反応における固体塩基(X)の使用量は、キシリレンジアミンに対して、好ましくは0.01〜30質量%、より好ましくは0.05〜25質量%である。固体塩基(X)の使用量がキシリレンジアミンに対し0.01質量%以上であれば付加反応速度が良好であり、30質量%以下であれば経済的に有利である。
本発明の製造方法において、キシリレンジアミンに対するスチレンの使用量は、所望するアミン組成物の活性水素当量に応じて適宜選択でき、例えば、キシリレンジアミン1モルに対するスチレンのモル比を、好ましくは0.1〜5.0モル、より好ましくは0.2〜3.0モルの範囲とすることができる。キシリレンジアミンとスチレンとの1:1付加体(後述する一般式(1)及び一般式(2)で示される付加体)を高い割合で含有するアミン組成物を製造する場合は、キシリレンジアミン1モルに対するスチレンのモル比は、さらに好ましくは0.5〜1.5モル、よりさらに好ましくは0.8〜1.2モルの範囲である。
反応方式には特に制限はなく、公知の方式を適宜選択することができる。例えば、固体塩基(X)を仕込んだ反応器にキシリレンジアミン及びスチレンをバッチ方式又はセミバッチ方式にて供給する方法;反応器にキシリレンジアミン、スチレン及び固体塩基(X)を連続的に供給する完全混合流通方式;固体塩基(X)を反応器に充填しキシリレンジアミン及びスチレンを流通させる固定床流通方式;等が挙げられる。これらの中でも、操作が容易であり、水分混入による固体塩基(X)の触媒活性の低下を抑制しやすいという点からはバッチ方式が好ましい。
バッチ方式又はセミバッチ方式の場合、反応器内で予め固体塩基(X)とキシリレンジアミンとを混合し、次いでスチレンを供給して反応させることが反応効率の点で好ましい。
付加反応における固体塩基(X)の添加方法にも特に制限はなく、一括添加、分割添加のいずれでもよい。固体塩基(X)を分割添加する場合、分割回数には特に制限はないが、通常2〜10回の範囲であり、作業性の観点から好ましくは2〜5回の範囲である。
付加反応時の温度は、好ましくは15〜300℃、より好ましくは15〜150℃、さらに好ましくは15〜80℃、よりさらに好ましくは15〜50℃である。反応温度が15℃以上であれば、キシリレンジアミンとスチレンとの付加反応が効率よく進行する。また300℃以下であれば、副生成物であるスチレンの重合物の生成を抑制することができる。
反応時間には特に制限はなく、使用する固体塩基(X)の種類や反応条件等に応じて適宜選択できる。バッチ方式、セミバッチ方式の反応時間、又は、完全混合流通方式での滞留時間として、通常0.1〜10時間である。固定床流通方式の場合には、スチレンのLSVとして、通常0.1〜10h-1が採用される。上記付加反応時間であれば未反応原料の残存が少なく、かつ、生産性の点で有利である。
上記反応時間の起点は、例えばバッチ方式又はセミバッチ方式において反応器内で予め固体塩基(X)とキシリレンジアミンとを混合し、次いでスチレンを供給して反応させる場合には、スチレンの供給開始時を起点とする。
反応は水、メタノール等を添加することにより停止(quench)することができる。得られた反応液中には、反応により生成したアミン組成物と固体塩基(X)が含まれる。また、未反応原料であるキシリレンジアミン、スチレンがさらに含まれることがある。
反応後における反応液と固体塩基(X)の分離は、沈降、遠心分離、濾過、分液抽出等の一般的な方法により行うことができる。分離された固体塩基(X)は反応系に循環させてもよい。
上記のようにして反応液から固体塩基(X)を分離した後、水、メタノール等を除去し、キシリレンジアミンとスチレンとの付加体を含有するアミン組成物が得られる。必要に応じ、蒸留により、反応液から未反応のキシリレンジアミン及び未反応スチレンを除去してもよい。
アミン組成物中には、キシリレンジアミン1モルとスチレン1モルとが付加した1:1付加体の他、キシリレンジアミン1モルとスチレン2モルとが付加した1:2付加体、キシリレンジアミン1モルとスチレン3モルとが付加した1:3付加体、キシリレンジアミン1モルとスチレン4モルとが付加した1:4付加体等の多付加体が含まれる。
本発明の製造方法によれば、キシリレンジアミンのアミノ基の窒素原子にフェネチル基が結合した構造を有する付加体よりも、キシリレンジアミンのベンジル位の炭素原子にフェネチル基が結合した構造を有する付加体を高い割合で含むアミン組成物を得ることができる。そのため、活性水素当量がより低いアミン組成物を製造することができる。
特に活性水素当量の低いアミン組成物を得る観点からは、得られるアミン組成物はキシリレンジアミン1モルとスチレン1モルとが付加した1:1付加体及びキシリレンジアミン1モルとスチレン2モルとが付加した1:2付加体からなる群から選ばれる1種以上を含むことが好ましく、キシリレンジアミン1モルとスチレン1モルとが付加した1:1付加体を含むことがより好ましい。
キシリレンジアミン1モルとスチレン1モルとが付加した1:1付加体(以下、単に「1:1付加体」ともいう)は、下記一般式(1)で示される付加体及び下記一般式(2)で示される付加体である。一般式(1)で示される付加体はキシリレンジアミンのベンジル位の炭素原子に1つのフェネチル基が結合した構造を有する付加体であり、一般式(2)で示される付加体はキシリレンジアミンのアミノ基の窒素原子に1つのフェネチル基が結合した構造を有する付加体である。
Figure 0006939365

(式(1)中、Aは1,2−フェニレン基、1,3−フェニレン基、又は1,4−フェニレン基である。)
Figure 0006939365

(式(2)中、Aは1,2−フェニレン基、1,3−フェニレン基、又は1,4−フェニレン基である。)
式(1)及び式(2)中、Aは1,3−フェニレン基又は1,4−フェニレン基であることが好ましく、1,3−フェニレン基であることがより好ましい。
活性水素当量を低くする観点から、アミン組成物は1:1付加体の中でも前記一般式(1)で示される付加体を含むことが好ましい。1:1付加体のうち、一般式(1)で示される付加体の方が一般式(2)で示される付加体よりも活性水素当量が低いためである。
前記一般式(1)で示される付加体に加えて、アミン組成物はさらに前記一般式(2)で示される付加体を含んでもよい。
アミン組成物中の前記1:1付加体において、前記一般式(1)で示される付加体と前記一般式(2)で示される付加体の合計量を100質量%とした場合の、該一般式(1)で示される付加体の含有量[(1)/{(1)+(2)}]は、好ましくは15質量%以上、より好ましくは30質量%以上、さらに好ましくは40質量%以上、よりさらに好ましくは50質量%以上、よりさらに好ましくは70質量%以上、よりさらに好ましくは75質量%以上であり、上限は100質量%である。一般式(1)で示される付加体の含有量比[(1)/{(1)+(2)}]が15質量%以上であると、アミン組成物のAHEWの値が小さくなり、エポキシ樹脂硬化剤として使用した際の硬化性がより良好になる。
キシリレンジアミン1モルとスチレン2モルとが付加した1:2付加体(以下、単に「1:2付加体」ともいう)としては、下記式(3)〜(8)で示される付加体が挙げられる。
Figure 0006939365

(式(3)〜(8)中、Aは1,2−フェニレン基、1,3−フェニレン基、又は1,4−フェニレン基である。)
本発明の製造方法では、1:2付加体の中でも式(3)〜(6)で示される付加体、さらには式(3)又は(4)で示される付加体(主として式(3)で示される付加体)を高い割合で含むアミン組成物を得ることができる。
活性水素当量の低いアミン組成物を得る観点、及び、エポキシ樹脂硬化剤として使用した際に良好な硬化物性能を与えるという観点からは、アミン組成物中の1:1付加体及び1:2付加体の合計含有量は、好ましくは20質量%以上、より好ましくは30質量%以上、さらに好ましくは40質量%以上、よりさらに好ましくは50質量%以上である。なお、上限は100質量%である。
また、アミン組成物中の1:1付加体の含有量は、好ましくは15質量%以上、より好ましくは20質量%以上、さらに好ましくは30質量%以上、よりさらに好ましくは35質量%以上である。なお、上限は100質量%である。
アミン組成物の活性水素当量(AHEW)は、好ましくは200以下であり、より好ましくは150以下、さらに好ましくは120以下、よりさらに好ましくは100以下、よりさらに好ましくは90以下、よりさらに好ましくは85以下である。アミン組成物のAHEWが上記範囲であると、該組成物をエポキシ樹脂硬化剤として使用した際に、エポキシ樹脂への配合量が少なくても高い硬化性を発現する。また経済性の観点、エポキシ樹脂硬化剤として使用した際に良好な硬化物性能を与えるという観点からは、アミン組成物のAHEWは、好ましくは65以上、より好ましくは70以上である。
アミン組成物中に含まれる各付加体の含有量は、ガスクロマトグラフィー(GC)分析により求めることができ、具体的には実施例に記載の方法で求められる。またアミン組成物のAHEWはGC分析から計算により求めることができ、具体的には実施例に記載の方法で測定できる。
本発明の製造方法により得られるアミン組成物は、例えば、エポキシ樹脂硬化剤に用いることができる。当該アミン組成物をエポキシ樹脂硬化剤に使用する場合には、該アミン組成物をエポキシ樹脂硬化剤として単独で使用してもよいし、活性水素を有する他のポリアミン等の、他の硬化剤成分と混合して使用してもよい。
アミン組成物をエポキシ樹脂硬化剤に使用する場合、該アミン組成物は当該エポキシ樹脂硬化剤の主成分としてもよく、エポキシ樹脂硬化剤の性能を改良する目的で少量使用してもよい。ここでいう「主成分」とは、エポキシ樹脂硬化剤中の全構成成分を100質量%とした場合、その含有量が50質量%以上である成分をいう。したがってエポキシ樹脂硬化剤中のアミン組成物の含有量は特に制限されず、例えば、1質量%以上、好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上、さらに好ましくは20質量%以上、よりさらに好ましくは30質量%以上、よりさらに好ましくは40質量%以上とすることができる。硬化剤としての硬化性、及び良好な硬化物性能を与え得るエポキシ樹脂組成物を得る観点でアミン組成物をエポキシ樹脂硬化剤の主成分とする場合は、エポキシ樹脂硬化剤中のアミン組成物の含有量は、好ましくは50質量%以上、より好ましくは60質量%以上、さらに好ましくは70質量%以上、よりさらに好ましくは80質量%以上、よりさらに好ましくは90質量%以上、よりさらに好ましくは95質量%以上、よりさらに好ましくは99質量%以上とすることができる。また、上限は100質量%である。
エポキシ樹脂硬化剤には、さらに公知の硬化促進剤や非反応性希釈剤等を配合してもよい。
エポキシ樹脂組成物は、前述したエポキシ樹脂硬化剤と、エポキシ樹脂とを含有するものである。エポキシ樹脂組成物に用いられるエポキシ樹脂としては、エポキシ樹脂硬化剤の活性水素と反応するグリシジル基を持つエポキシ樹脂であればいずれも使用することができるが、硬化物性能に優れる観点からは、分子内に芳香環又は脂環式構造を含むエポキシ樹脂であることが好ましい。
該エポキシ樹脂の具体例としては、メタキシリレンジアミンから誘導されたグリシジルアミノ基を有するエポキシ樹脂、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサンから誘導されたグリシジルアミノ基を有するエポキシ樹脂、ジアミノジフェニルメタンから誘導されたグリシジルアミノ基を有するエポキシ樹脂、パラアミノフェノールから誘導されたグリシジルアミノ基を有するエポキシ樹脂、パラアミノフェノールから誘導されたグリシジルオキシ基を有するエポキシ樹脂、ビスフェノールAから誘導されたグリシジルオキシ基を有するエポキシ樹脂、ビスフェノールFから誘導されたグリシジルオキシ基を有するエポキシ樹脂、フェノールノボラックから誘導されたグリシジルオキシ基を有するエポキシ樹脂、及びレゾルシノールから誘導されたグリシジルオキシ基を有するエポキシ樹脂からなる群から選ばれる1種以上の樹脂が挙げられる。柔軟性や耐衝撃性、耐湿熱性などの諸性能を向上させるために、上記の種々のエポキシ樹脂を2種以上混合して使用することもできる。
エポキシ樹脂組成物中のエポキシ樹脂硬化剤の含有量は、エポキシ樹脂硬化剤中の活性水素数と、エポキシ樹脂中のエポキシ基の数との比率が、好ましくは1/0.8〜1/1.2、より好ましくは1/0.9〜1/1.1、さらに好ましくは1/1となる量である。
エポキシ樹脂組成物には、さらに、充填材、可塑剤などの改質成分、揺変剤などの流動調整成分、顔料、レベリング剤、粘着付与剤などのその他の成分を用途に応じて含有させてもよい。
エポキシ樹脂組成物は、例えば、塗料、接着剤、床材、及び封止剤として用いることができる。該塗料としては、例えば防食用塗料が好ましいものとして挙げられる。本発明の製造方法により得られるアミン組成物をエポキシ樹脂硬化剤として用いたエポキシ樹脂組成物は、良好な硬化物性能を有しており、耐水性や耐薬品性にも優れる。そのため、該エポキシ樹脂組成物は防食用塗料等の各種塗料、接着剤、床材、封止剤等に好適に用いられる。
以下に実施例及び比較例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明は下記実施例に限定されるものではない。なお、アミン組成物の分析及び評価は以下の方法により行った。
(ガスクロマトグラフィー(GC)分析)
スチレン反応率、アミン組成物中の付加体の含有量比の測定は、GC分析により以下の条件で行った。
装置;アジレント・テクノロジー(株)製「7890B GC」
カラム;アジレント・テクノロジー(株)製「CP−Sil 8 CB for Amines」(長さ30m、膜厚0.25μm、内径0.25mm)
カラム温度;150℃2分→10℃/分昇温→300℃60分
キャリアーガス:ヘリウム
キャリアーガス流速:1.36mL/分
注入口圧力:33.473psi (定圧力モード)
検出器:FID
注入口温度:300℃
検出器温度:300℃
(ガスクロマトグラフ質量分析(GC−MS))
得られたアミン組成物中に含まれる付加体の質量分析による構造同定は、ガスクロマトグラフ質量分析(GC−MS)により以下の条件で行った。
<分析条件(EI+モード)>
装置;アジレント・テクノロジー(株)製「7890N GC」
カラム;アジレント・テクノロジー(株)製「DB−1MS」(長さ30m、膜厚0.25μm、内径0.25mm)
キャリアーガス;ヘリウム
キャリアーガス流量;1.0mL/分
オーブンプログラム;50℃5分→20℃/分昇温→320℃10分
注入量;1μL
注入モード;Splitモード
Split ratio;1:100
注入口温度;300℃
質量分析計;日本電子(株)製「AccuTOF GCv 4G」
質量範囲;m/z=33〜700
インターフェース温度;300℃
イオン化法;電子イオン化法(EI+)
イオン化エネルギー;70eV
イオン源温度;250℃
<分析条件(FI+モード)>
装置;アジレント・テクノロジー(株)製「7890N GC」
カラム;アジレント・テクノロジー(株)製「DB−1MS」(長さ30m、膜厚0.25μm、内径0.25mm)
キャリアーガス;ヘリウム
キャリアーガス流量;1.0mL/分
オーブンプログラム;50℃5分→20℃/分昇温→320℃10分
注入量;1μL
注入モード;Splitモード
Split ratio;1:50
注入口温度;300℃
質量分析計;日本電子(株)製「AccuTOF GCv 4G」
質量範囲;m/z=33〜700
インターフェース温度;300℃
イオン化法;電界イオン化法(FI+)
イオン源温度;60℃
エミッター電流;0mA
1H−NMR、13C−NMR分析)
得られたアミン組成物中に含まれる付加体の構造同定は1H−NMR及び13C−NMRにより以下の条件で行った。
核磁気共鳴分光計;ブルカー製 AVANCE3−500
プローブ;5mmφ二重共鳴多核種プローブ(BBFOプローブ)
重溶媒;重メタノール
測定核;1H,13C
測定温度;室温
(活性水素当量(AHEW)の測定)
アミン組成物の活性水素当量(AHEW)は、前記GC分析によりアミン組成物中の各成分の含有量比を求め、その結果からアミン組成物のAHEWを算出した。
<製造例1〜3:固体塩基の製造>
製造例1
磁気撹拌子を備えた200mlのナスフラスコに窒素雰囲気下で、炭酸カリウム(KCO,和光純薬工業(株)製)1.8g、金属ナトリウム(和光純薬工業(株)製)0.6g、酸化マグネシウム(MgO,和光純薬工業(株)製)3.2gを仕込んだ。このナスフラスコをアルミブロックヒータースターラーにて250℃、1時間加熱撹拌した後に、アルミブロックヒータースターラーから取り外し、空冷で室温まで冷却することで5.6gの粉状の固体塩基aを得た。
製造例2
製造例1において、炭酸カリウム及び酸化マグネシウムの使用量を表1に示すとおりに変更したこと以外は、製造例1と同様の方法で固体塩基bを製造した。
製造例3
製造例1において、炭酸カリウム及び酸化マグネシウムの使用量を表1に示すとおりに変更したこと以外は、製造例1と同様の方法で固体塩基cを製造した。
固体塩基a〜cの組成を表1に示す。
Figure 0006939365
<実施例1〜5:アミン組成物の製造>
実施例1
コック付きテフロンキャップを有する20mLガラス製反応器に、25℃、窒素雰囲気下で、マグネチックスターラーバー、製造例1で調製した固体塩基a 0.15gを入れた後に、室温窒素フローの下、500rpmで撹拌しながらm−キシレン−α、α’−ジアミン〔m−キシリレンジアミン;MXDA〕(和光純薬工業(株)製、特級)1mL(0.008モル)を3分かけて滴下した。10分間撹拌した後に、撹拌を継続しながらスチレン(和光純薬工業(株)製、特級)1.8mL(0.016モル)を0.03mL/minで滴下し反応を行った。
スチレンの滴下終了後、30分間攪拌した後、反応液に純水を加えて反応を停止し、ジエチルエーテルを加えて分液操作を行うことで有機相を回収した。有機相に対して1N−HClを添加し、再度分液操作を行った。水相を分離回収し、ジエチルエーテル及び1N−水酸化ナトリウム水溶液を加え再度分液を行い、有機相側を分離回収した。回収した有機相に硫酸ナトリウムを加えて脱水した後に、減圧下で濃縮することで、淡黄色のオイル(メタキシリレンジアミンとスチレンとの付加体を含むアミン組成物A)3.5gを得た。スチレン反応率は100%であった。
アミン組成物AをGC分析した結果、MXDAとスチレンとの1:1付加体、1:2付加体、並びに1:3付加体の含有量比(表2において、これを「1/2/3付加体比」と表記する)はGC分析のピーク面積比で21/52/27であった。
アミン組成物Aは、1:1付加体として下記構造式(1−1)で示される付加体及び下記構造式(2−1)で示される付加体を含んでおり、アミン組成物A中の1:1付加体の合計含有量は21質量%であった。また、アミン組成物A中の構造式(1−1)で示される付加体と構造式(2−1)で示される付加体の合計を100質量%とした場合の、構造式(1−1)で示される付加体の含有量(表2において、これを「(1)/[(1)+(2)]」と表記する)は87質量%であった。
Figure 0006939365

Figure 0006939365
またアミン組成物Aは、MXDAとスチレンとの1:2付加体を含んでおり、アミン組成物A中の1:2付加体の合計含有量は52質量%であった。また1:2付加体中、構造式(3−1)、(5−1)、(6−1)、(7−1)及び(8−1)で示される付加体の合計を100質量%とした場合の各付加体の含有量(表2において、これを「1:2付加体比」と表記する)は59/9/24/8/0(質量%)であった。
Figure 0006939365
構造式(3−1)、(5−1)、(6−1)、(7−1)及び(8−1)で示される付加体のAHEWは以下のとおりである。AHEWが低い付加体(構造式(3−1)(5−1)(6−1)、より好ましくは構造式(3−1))の割合が高い方が、AHEWの低いアミン組成物を製造しうる点で有利である。
構造式(3−1):86.1
構造式(5−1)(6−1):114.8
構造式(7−1)(8−1):172.2
アミン組成物Aの分析結果を表2に示す。
なお、前記GC分析において、MXDAとスチレンとの1:1付加体、1:2付加体、及び1:3付加体に相当する各ピークのリテンションタイム(RT)は以下の通りであった。
1:1付加体(前記構造式(2−1)):13.5分
1:1付加体(前記構造式(1−1)):13.7分
1:2付加体(前記構造式(7−1)):19.8分
1:2付加体(前記構造式(5−1)):20.1分
1:2付加体(前記構造式(8−1)):21.5分
1:2付加体(前記構造式(6−1)):21.7分
1:2付加体(前記構造式(3−1)):21.9分
1:3付加体:38.5〜40.5分
実施例2
実施例1において、スチレンの使用量を3.6mL(0.03モル)、スチレンの滴下時間を120分(スチレンの滴下速度は0.03mL/min)に変更したこと以外は、実施例1と同様の方法でアミン組成物Bを製造し、前記評価を行った。製造条件及び分析結果を表2に示す。
実施例3〜5
実施例1において、MXDAの使用量を3.8mL(0.03モル)、スチレンの使用量を3.65mL(0.03モル)とし、固体塩基の種類及び製造条件を表2に示すとおりに変更したこと以外は、実施例1と同様の方法でMXDAとスチレンとの付加反応を行った。スチレンの滴下終了後、30分間攪拌した後、反応液にメタノールを加えて反応を停止した。ここから固体触媒、メタノール及び未反応のMXDAを除いたものをアミン組成物C〜Eとして、前記評価を行った。製造条件及び分析結果を表2に示す。
Figure 0006939365
表2に示すように、実施例1〜5においてはMXDAとスチレンとの1:1付加体、1:2付加体ともに、原料ジアミンであるMXDAのベンジル位の炭素原子にフェネチル基が結合した構造を有する付加体が高選択的に得られた。
本発明によれば、活性水素当量が低く、エポキシ樹脂硬化剤として使用した際にはエポキシ樹脂組成物への配合量が少なくても十分な硬化性を有し、良好な硬化物性能を与えることができる、キシリレンジアミンとスチレンとの付加体を含有するアミン組成物を効率よく製造できる。該アミン組成物はエポキシ樹脂硬化剤等に好適に用いられる。

Claims (9)

  1. キシリレンジアミンとスチレンとの付加体を含有するアミン組成物の製造方法であって、キシリレンジアミンとスチレンとを、下記(A)及び(B)成分を含有する組成物又は該組成物を不活性ガス雰囲気下で熱処理したものである固体塩基(X)の存在下で付加反応させる工程を有する、アミン組成物の製造方法。
    (A)水酸化カリウム及び炭酸カリウムからなる群から選ばれる1種以上のカリウム化合物
    (B)金属ナトリウム
  2. 前記固体塩基(X)が、前記(A)及び(B)成分、並びに下記(C)成分を含有する組成物であるか、又は該組成物を不活性ガス雰囲気下で熱処理したものである、請求項1に記載のアミン組成物の製造方法。
    (C)酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム、酸化カルシウム、水酸化カルシウム、アルミナ、酸化ジルコニウム、グラファイト、及びアモルファス炭素からなる群から選ばれる1種以上の担持体
  3. 前記固体塩基(X)中のカリウムとナトリウムとのモル比が0.01:1〜10:1である、請求項1又は2に記載のアミン組成物の製造方法。
  4. 前記固体塩基(X)中の前記(B)成分の含有量が7〜40質量%である、請求項1〜3のいずれか1項に記載のアミン組成物の製造方法。
  5. 前記アミン組成物がキシリレンジアミン1モルとスチレン1モルとが付加した1:1付加体を含む、請求項1〜4のいずれか1項に記載のアミン組成物の製造方法。
  6. 前記1:1付加体において、下記一般式(1)で示される付加体と下記一般式(2)で示される付加体の合計量を100質量%とした場合の、該一般式(1)で示される付加体の含有量が15質量%以上である、請求項5に記載のアミン組成物の製造方法。
    Figure 0006939365

    (式(1)中、Aは1,2−フェニレン基、1,3−フェニレン基、又は1,4−フェニレン基である。)
    Figure 0006939365

    (式(2)中、Aは1,2−フェニレン基、1,3−フェニレン基、又は1,4−フェニレン基である。)
  7. 前記アミン組成物の活性水素当量が200以下である、請求項1〜6のいずれかに記載のアミン組成物の製造方法。
  8. 前記(C)成分が酸化マグネシウム及び炭酸マグネシウムからなる群から選ばれる1種以上のアルカリ土類金属化合物である、請求項2〜7のいずれかに記載のアミン組成物の製造方法。
  9. 前記固体塩基(X)が前記(A)及び(B)成分を含有する組成物を不活性ガス雰囲気下で熱処理したものである、請求項1〜8のいずれかに記載のアミン組成物の製造方法。
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